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1962-04-26 第40回国会 衆議院 オリンピック東京大会準備促進特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十七年四月二十六日(木曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 島村 一郎君    理事 伊能繁次郎君 理事 臼井 莊一君    理事 小金 義照君 理事 田中 榮一君    理事 羽田武嗣郎君 理事 阪上安太郎君    理事 平岡忠次郎君 理事 山中 吾郎君       上村千一郎君    佐々木秀世君       濱野 清吾君    藤原 節夫君       松永  東君    松山千惠子君       大柴 滋夫君    田原 春次君  出席政府委員         総理府総務長官 小平 久雄君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         文部政務次官  長谷川 峻君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君  委員外出席者         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会会長)   津島 壽一君         参  考  人         (オリンピック         東京大会組織委         員会事務総長、         日本体育協会東         京オリンピック         選手強化対策本         部本部長)   田畑 政治君         参  考  人         (日本体育協会         東京オリンピッ         ク選手強化対策         本部本部長) 大島 鎌吉君         参  考  人         (日本体育協会         東京オリンピッ         ク選手強化対策         本部常任委員) 織田 幹雄君         参  考  人         (日本体育協会         東京オリンピッ         ク選手強化対策         本部常任委員) 小池 禮三君         参  考  人         (日本体育協会         東京オリンピッ         ク選手強化対策         本部常任委員) 近藤  天君         参  考  人         (日本体育協会         東京オリンピッ         ク選手強化対策         本部常任委員) 八田 一朗君         参  考  人         (日本体育協会         日本オリンピッ         ク委員会委員) 野村 惠二君         参  考  人         (東京オリン         ピック資金財団         理事長)    靱   勉君     ————————————— 四月二十日  委員松山千惠子辞任につき、その補欠として  松澤雄藏君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員松澤雄藏君及び柳田秀一辞任につき、そ  の補欠として松山千惠子君及び田原春次君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員松山千惠子辞任につき、その補欠として  松澤雄藏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  閉会中審査に関する件  オリンピック東京大会準備促進に関する件      ————◇—————
  2. 島村一郎

    島村委員長 これより会議を開きます。  オリンピック東京大会準備促進に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  すなわち、オリンピック東京大会準備促進に関する件につきまして、日本体育協会東京オリンピック選手強化対策本部本部長田畑政治君、同副本部長大島謙吉君、同常任委員織田幹雄君、同小池禮三君、同近藤天君、同八田一朗君、日本体育協会日本オリンピック委員会委員野村恵二君を参考人と決定し、本日その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 島村一郎

    島村委員長 なお、本日は、参考人として、オリンピック東京大会組織委員会会長津島壽一君、同事務総長田畑政治君、東京オリンピック資金財団理事長鞆勉君、以上の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会調査のためわざわざ御出席を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  東京オリンピック選手強化対策に関する問題について、田畑参考人大島参考人織田参考人近藤参考人八田参考人野村参考人小池参考人の順序で御意見を伺うことといたしたいと存じます。  それでは田畑参考人からお願いいたします。
  5. 田畑政治

    田畑参考人 私から簡単に申し上げます。  オリンピック東京大会強化仕事も、ようやく本格的に基礎的の問題が一応完了したという段階にあります。強化の問題を取り上げた当時は、かなり競技団体対策本部との間において意見の食い違いもありましたし、思想統一もなかなか困難でありましたけれども、ここ二年間で各競技団体思想も一応統一されました。もちろん一、二の例外もあって、いまだそういう点について私たちの方でかなり不満の団体もないことはありませんけれども、今後は、いつまでもそういうような、中がまとまらないような団体ありますれば、強化対策本部自体としても、これを取り上げてやっていくという決意をせざるを得ないという段階になっております。今後は競技団体十分連絡をとりながら、しかも内政干渉しないというような立場に立って、強化対策本部ほんとう責任を持ってやるという強固な決意で、実際の問題に取り組みたいと思っております。  本日までのところは、今申し上げましたように、基礎的の問題がようやく地についたということであります。この具体的な点につきましては、強化対策本部として今までやったことは大島君から、各競技団体の実際的の具体的な問題は、おもな競技の代表の方が来ておりますから、その方々に紹介願うことにいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  6. 島村一郎

    島村委員長 次に、大島参考人にお願いいたします。
  7. 大島鎌吉

    大島参考人 ただいま田畑本部長から概略御説明がございましたが、やや細部にわたりまして私がかわって御説明を申し上げたいと思います。  第一に強化対策本部がどういう計画を立ておるかということ、第二には、東京オリンピックに対してどのような目標を持って計画を進めておるかということ、すなわち、メダル幾つ取る目標を持って計画を進めておるかということ、第三は、強化対策本部ができましてから今日までどのような成果を上げてきたかということ、それから本年度計画がどういうような計画に基づき、いかなる方針現場において選手強化が行なわれているかということ、最後に第五といたしまして、選手強化するにあたってわれわれが現にどんな隘路を持っておるかということ、どうしても打開しなければならぬ隘路がどういう点にあるかということについて、きわめて簡単に御説明を申し上げると同時に、皆様方の御参考に供し、御援助をお願いしたい、かように存ずる次第でございます。  第一に計画でございますが、選手強化対策本部が一九六〇年一月十八日に発足いたしましたときに、対策本部は五ヵ年計画を立てたのでございます。一九六四年のオリンピック年度をその仕上期とするところの五ヵ年の計画を立てたのでございますが、過去二年間は、この計画を進めるにあたっての準備段階であった、その基礎固めをやるところの段階であったと申し上げることができると思うのであります。すなわち、それぞれの競技団体の持っております知識中心といたしまして、それに内外の研究あるいは知識交換などを取り入れまして、ここに日本的なトレーニング方式を編み出すというところに問題の重点があったのでございます。これと並行いたしまして、やはり体力がなければいかぬということで、体力中心といたしまして現場の諸活動が続けられて参ったのでございます。とりあえずこの二年間、すなわちこの準備期の二ヵ年間に、対策本部としてはそれぞれある程度目安を得たということが言えるのじゃなかろうかと思うのでございます。今シーズンの初めといたしまして、ことしの競技会は、従来とはかなり違った形において、たとえば記録の出るものについてはかなりの記録が出る、世界記録に近いところの記録が出るということ、それから精神力におきましても、従来と違うところの選手競技場に現われるという形をとってくるのではなかろうかという工合に考えておるのでございます。本年度は、第一次の本格的な準備活動期とわれわれの方は言っておるのでございます。すなわち、過去二年間の基礎準備をもとといたしまして、本年度は本格的第一次の準備活動に入ろうということでございます。対策考え方といたしましては、本年度この機会をはずしてはオリンピックで多くの期待はできない、ことしのうちにかなりはっきりした目安をつける必要があるということで、目下それらの諸活動を続けておるのでございますが、本年度を山といたしまして、明年度は引き続き第二次の本格的な活動期に入るわけでございます。オリンピックの年は十カ月ございますが、その十カ月に最後の仕上げをしようというのが大体の方向でございます。  予算の点につきましては、皆様すでに御承であろうと思いますが、一九六〇年、三十五年度は約八千万円、六一年度、昨年度は二億八千百万円、本年度は五億三千二百万円と、予算の額におきましても、各方面の御協力を得まして、本年度の第一次の本格的な強化活動ができ得るような態勢になっておるのでございます。明年度の第二次本格的強化活動期におきましては五億四千二百万円、それから最後オリンピックの仕上期におきましては、選手の数もしぼられて参りますので、一億八千四百万円ということの大体の予算を組んでおるような次第でございます。  そこで計画でございますが、皆様のお手元に別表がございますので、それをごらんいただきたいと思います。すなわち、今から二年半後の東京オリンピック大会では、それではどれだけのメダルが取れるかということでございます。二十競技団体にわたりまして昨年八月にとりましたときの調査を、その後本年度第一次準備強化活動期に入りますときに、予算を編成する段階において、あらためてそれぞれの競技団体協議をいたしました結果がこの表でございます。ここにございますそれぞれの競技種目の問題につきましては、また後ほどお話が出るかと思うのでございますが、総計いたしますと、金メダルが二十四、銀メダルが十四、銅メダルが十九で、五十七ということになるのでございます。過去の日本オリンピック参加は、非常にはなやかな時代もございましたが、たとえばロスアンゼルスあるいはベルリン大会におきまして、はたしてどれだけのメダル日本がとったかということを御参考までに申し上げますならば、これはそれぞれ十八個であったわけでございます。一位から三位までのメダルの数が十八であったのでございます。戦後ヘルシンキのオリンピック大会では十分ではございませんでしたが、メルボルンのオリンピック大会では全部で十九になっております。それからこの間のローマのオリンピック大会では十八になっておりまして、金メダルの数はそれぞれ四個でございます。過去においてスポーツ黄金時代といわれたときにおいてすら、全部のメダルの数が十八あるいは十九であったということでございますが、このたびは東京オリンピックが開かれますので、それぞれ御努力を願って、とにもかくにも五十七のメダルをとろうということでございます。この点につきましては、世上、こういうたくさんのメダルがとれるものかというようなお話があるのでございます。しかしながら、これはあくまでも目標メダルの数でございまして、それぞれの競技団体では、将来二カ年あるいは三カ年の各国の記録向上の水準などをにらみ合わせまして、とにかく目標としてそれだけのことはやろうではないかということで進んでおるのでございます。かりにこれが八割あるいは六割に達したといたしましても、過去の日本オリンピック参加以上の成績が上げられるのではなかろうか、かように存ずる次第でございます。いずれにいたしましても、それぞれの競技団体はこの目標に向かって一路邁進をしているということを御了解願いたい、かように存ずる次第でございます。  第三は、選手強化対策本部ができまして今まで約二年間の成果でございます。それがもう一つの表にございます。記録の出る競技種目につきましては陸上競泳ライフルウエート・リフティングその他がございます。表でございますので、ごらんをいただきまして御了承が願えると思うのでございます。とにもかくにも選手強化対策本部が発足をいたしましてからでき上がりました記録の出る競技につきましての記録でございます。すなわち、一九六〇年には、陸上競技では二百メートルで木村修三以下これだけの記録が出ております。一九六一年にはさらにその記録を上回るところの選手がこれだけ出ておるのでございます。競泳につきましても、百メートル自由形の山中毅以下このように記録が出ておるのでございます。ライフル競技につきましても吉川以下このように記録が出て、日本記録を破っております。ウエート・リフティングは御承知通りでございます。本年度はまだシーズンも浅うございますので、これから記録が出るわけでございますが、先ほども申し上げました通りに、全然別の選手ができ上がっておる。スポーツ界現場は、過去のスポーツ界現場と違う別のものであるという形の中で、昨年、一昨年以上にすぐれた記録が出るであろうということを期待いたしておるのでございます。  このほかに、注のところにございますが、近代五種競技では、昨年八月モスクワで開催されました第十回の世界選手権大会において、団体総合で第六位をとったのでございます。近代五種競技わが国においては新しい競技でありますので、とても世界の仲間入りはできないであろうと言われておったのでございます。しかし、関係者各位の非常なる熱意と努力によりまして、とにもかくにも世界の第六位に入ることができたので、これは近代五種競技始まって以来のことでございます。と同時に、努力賞と申しますか、非常にすぐれた成果を上げたということで、特別の賞牌を得て帰ったのでございます。  次に、今年一月インドで行なわれました国際ホッケー・トーナメントにおきまして、やはり第六位を記録いたしたのでございます。  このほか、御承知のように、体操、レスリングその他の競技におきましても、それぞれわれわれが期待しておった成果を上げておるのでございます。いずれにいたしましても、大ざっぱに見まして現在の成果はこのようなところでございますが、これは本部仕事ではなくて、それぞれの競技団体現場努力によることはもちろんであるのでございます。われわれといたしましては、二十競技団体すべてが足並みをそろえましてこのような成果に向かって邁進をしていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。  第四は、本年度強化策あるいは方針でございます。本年度は、先ほど申し上げましたように山の年でございまして、第一次の本格的強化活動に入ったわけでございます。そこで、対策本部は、二十競技団体意見を一にいたしまして、まず第一に、重点主義的に選手強化するという方向を打ち出したのでございます。過去二年間は、二十競技団体それぞれ同じ歩調をもってみんなが努力しようじゃないかという形で強化策をとってきたのでございますが、本年度の第一次本格的活動期に入りますや、重点的にこれは踏み切らなければならないということで、重点主義に踏み切ったのでございます。それによりますと、先ほどごらんになりましたようなオリンピック入賞目標、あの表を中心といたしまして、入賞数の多い団体につきまして重点的に予算を振り当てるという方針をとったのでございます。一方においては選手をそういう工合にしぼって重点的に合宿その他の方法強化をいたしますが、同時に、これを教える先生、すなわち、コーチの力を充実するとともに、コーチ努力によって選手を直接強化しなければならぬという方針を打ち出しまして、コーチの数を昨年の二倍にしたのでございます。昨年は六十四名のコーチがあったのでございますが、本年度はこれを倍にいたしまして、百四名のコーチに数をふやしたのでございます。もちろん、この間、選手現場で指導するところのコーチ資質を向上させるために、コーチ会議を開催いたしますと同時に、海外へ派遣いたしまして勉強させるとか、あるいは海外からコーチを招きましてディスカッションをやるというような方法なども講ずるようになっております。  一方、選手には、国際的な知識経験とを得させるために、国際的なスポーツ交流を盛んにしなければならないということで、これも昨年は総計約三百名ばかりの人数の国際交流が行なわれたのでございますが、本年度は約三倍になりまして、九百名の選手が国際的に交流をするという計算になっておるのであります。先ほども申し上げましたように、一応新しいトレーニング方法によって体力はついた。技術については、過去においてわが国が持っておりました、相当高く評価されるところの技術があるということで、技術体力の問題については一応の目安ができたのでございますが、さて第三の問題は、精神力の問題であるわけでございます。そこで本年度は、選手にいかにして根性をつけるかということで、私の方にありますところの科学研究委員会に問題をぶつけまして、この回答が五月の半ばころ出る予定になっておるのであります。今の選手根性をつけるということは非常にむずかしいようではありますが、しかし、好きでスポーツ世界に入ってきた者の目、心というものは、一様にその方に向いておるではないか。従って、スポーツという社会の中でみずからを規制し、みずから目標を立て、それに向かって努力するところの選手というものはできないはずはないではないかということで、本年度はぜひこの精神力強化について、根性の養成について努力をしたいというのが、強化対策本部の第二点の方針であるわけでございます。私たちは、われわれが信頼しておりますところの選手諸君が、今まで社会的ないろいろな悪気流の中で十分目的に向かって突進し得なかったところの隘路打開しながら、オリンピックではみずから自分の二本の足で立って自己を主張するところのりっぱな選手を作り上げたい、かように考えておるような次第でございます。方法その他につきましては、いかにしてその精神を植え付けることができるかなどにつきましては、五月半ばころ出て参りますところの科学研究委員会の結論に基づきまして、それに現場経験を加えながら実際の方策を打ち出したい、かように考えておるのでございます。  それから第三の問題は隘路でございます。隘路につきましては、全体の問題としてあらためて申し上げたい、かように存ずるのであります。五ヵ年計画を立て、オリンピックにおけるところのメダル入賞目標を立て、しかも現場におけるコーチ資質が向上し、コーチほんとうに一生懸命になって選手にぶつかりまして、体当たり選手を作っておる。選手も、従来の選手と違うりっぱなからだができ、それに技術が植え付けられる。とにもかくにも、何とかやれるという見通しがつきましたときに、さて現実的に、それでは現場強化するにあたってどういう隘路があるかということを調べてみますと、やはり現在のわが国体育スポーツ社会において幾つかの大きな隘路があるのでございます。目下、強化対策本部では、その打開策につきまして寄り寄り協議をしておるのでございます。しかしながら、戦後のわが国体育スポーツの歩み方が、世界並みと申しますか、ほかの国並みでなかったというような事情から、この隘路打開はなかなか容易でないように思われるのであります。第一に数えられますのが施設でございます。施設につきましては、東京でも全国各地でも、いろいろと運動場その他の施設があるようでございますが、しかし、重点主義的に選手がしぼられて参りますと、選手のいる場所というものがある程度固まってくるわけでございます。そこで、ある程度固まって参りましたその選手の住んでおりますところの周囲にトレーニングする場所があるかということを考えますと、これは全然ないとは申し上げられません。しかし、ないと言っても過言ではないような印象をわれわれは委員会の中で受けるのであります。現場コーチ諸君から、常に、それらの問題を解決してほしいということを言ってくるのであります。東京の例をとりますと、国立競技場が改装されます関係から、四月一日以降、われわれがトレーニングセンターとして考えておりましたところの国立競技場が使えなくなったということが第一でございます。  第二は、これはやむを得ざることではあったのでございますが、朝霞オリンピック村ができるということで、朝霞にできるところのオリンピック村に作られるであろう練習場は、早く作っていただいてトレーニングセンターにしようという考え方を持っておったのでありますが、ワシントン・ハイツにオリンピック村が移りました関係から、われわれが期待をしておりましたところのトレーニングセンターをここに作ることができなかったというような事態も起こってきておるのでございます。その他、体育館その他の施設につきましても、やはり同様のことが言えるのであります。従って、今この第一次の本格的活動期におきまして、競技団体現場が一番困っているのは練習場の不足でございます。このことは、季節がよくなりました今、春秋の場合においてすらそうでございますが、これを本格的に強化しなければならぬということになりますと、夏はある程度涼しい山の上へ選手を上げて、そこで訓練をしなければならぬ、冬は暖かいところに選手を持っていきまして、そこで訓練をしなければならぬというようなことになりますと、これまた施設が十分であるとは言えないのであります。競技団体ではいろいろ工夫をされまして、現場コーチ専心努力をされて、多少とも打開はされていっておるのであります。しかしながら、その打開の仕方は十分であるとは言えないのであります。  それからもう一つは、器具用具でございます。専門のからだを作る、あるいは技術をみがくところの器具用具わが国には非常に少ないということでございます。今日、選手を作りますところのトレーニング方法が変わりまして、新しいと申しますか、今までにないところの器具用具を使って選手を鍛え上げていく。それは宇宙飛行をやりましたソ連のガガーリンのトレーニングの仕方などによっても明らかでございますが、すぐれた世界的な選手を作るには、やはり別のトレーニング用具を作らなければいけないのでございますが、これにつきましても、考え方はあるにかかわらず、十分なことが現在においてはできないということでございます。  こまかいことを申し上げると切りはないのでございますが、現在それらを含めまして幾つかの隘路を持っておるわけでございます。しかしながら、今日この段階においてどうしても解決してやらなければならない、私たちがあの一生懸命やっているコーチの顔を見て、これに対して共同の責任をとらなければならぬということであるならば、トレーニングセンター施設競技場施設並びに器具用具の問題は早急にこれを解決をしてあげなければならない、かように考えておるのであります。今後これらの問題につきましてはなお慎重審議をいたしまして、これは、オリンピックに好意を持たれ、また積極的にこれを支援していただきますところの関係方面の御理解を願って、何かの方法で解決をいたしていきたい、かように考えておるのであります。大体大ざっぱに見積もりまして、今後七億円ばかりの経費がかかるという工合に見られておるのでございます。ここでこの隘路打開されるならば、先ほど申し上げましたところのメダル五十七、これは全部とはもちろん申し上げられませんが、これに向かって準備をし、それに向かって邁進をいたしていくところの態勢だけはでき上がる、かように存ずるのでございます。  きわめて大ざっぱに御説明を申し上げて、十分とは申し上げられませんが、それぞれの競技団体のことなどにつきましても、それぞれ代表者が来ておられますので、御聴取をお願いいたします。  きわめて簡単ではございますが、私の御報告はこれをもって終わりたいと存じます。
  8. 島村一郎

    島村委員長 次に、織田参考人にお願いいたします。
  9. 織田幹雄

    織田参考人 私は、担当が陸上競技の部門となっておりますので、陸上競技の経緯に関して御説明申し上げたいと思います。  御承知のように、陸上競技は、戦後世界の水準からだんだん取り残されて参りまして、ローマの大会においては一人の入賞者も出さなかったというような状態であります。いわゆるゼロの状態から、東京大会では少なくとも日章旗を掲げ、さらに優勝まで選手を引き上げていかなければならない、これはわれわれの希望であり、全国民の期待だろうと思います。その意味で、われわれ陸上関係しております者は、全力をあげて選手強化をやっております。  選手強化につきましては、ただいま大島本部長からその方針その他お話があった通りであります。私、ローマのオリンピックを見ておりまして、日本選手は実際にはオリンピックでも入賞できる力を持っております、六位あたりには何人か入れたのでありますが、それができなかったということは、やはりどこかにからだの力の抜けた点があり、なお精神面の弱さがあったということを感じまして、その二つの面から選手強化をやっていかなければならない。さらに、今日の陸上競技——陸上競技に限らず、すべてのスポーツがからだ作りによって力を伸ばすことができるということが新しく言われるようになりました。われわれの時代はむしろ技術重点にしてやってきたのでありますが、力をつければ記録も伸び、勝負ができるということもわかって参りました。そういう意味でも、現在の日本選手は弱いのでありますけれども、これをきたえることによっては世界の水準に持ち上げられないことはないという自信を私得まして、そういう意味で、ローマ大会以後、選手のからだ作りということに重点を置いてやって参ったのでありますが、最初の一年は、やはりまだ日本にはそれだけの研究も進んでおりませんし、各コーチというものが自信を持ってからだ作りをやることができなかったのでありますが、その後研究され、また外国から優秀な指導者も見えまして、そこから得たいろいろの知識をもって、本年の冬季は相当のからだ作りをやっております。しかし、まだまだこれでも徹底していないという感じを受けましたけれども、その結果がはっきり出ておるのは、力をすぐ利用できる、ものを投げるという競技におきましては、すでに日本記録幾つか破られております。そういう面と同時に、またわれわれは、幾らからだに力をつけましても、ものを投げるというような競技でありますと、日本人のからだでは、世界のあの優秀なからだを持った選手たちと競争できないから、やはりねらいをすべての種目に置くのでなくて、重点的にやっていかなければならないということを考えまして、昨年までは全般的な強化に力を入れたのでありますが、昨年の秋からは、重点的に、特に跳躍とか、従来われわれが自信を持っておりました長距離、マラソン、そういうものに重点を置いて強化し、伝統の力と申しますか、そういうものをまたさらに生み出していかなければならないということを考えております。  さらに、精神面でありますが、今日の選手は、これはスポーツ全般でございますけれども、精神的に非常に弱いという面があります。ということは、その競技に対する自信も持ちませんし、また意欲も非常に薄い。われわれは気違いになって陸上競技をやったものでありますが、今日の選手はなかなかそこまで飛び込めない。そういう選手を引っぱっていくためにも、やはり指導者がしっかりしてやらせなければならない。また、いろいろだ体験をさせまして自信を持たせなければならない。それには海外遠征して外国の選手とぶつかる、そこで勝負師になれる選手を作るということを考えまして、昨年から海外遠征もかなり多数の選手を送ってもらっております。しかし、私は、大ぜい送ってみましても、何しろ大ぜいいますと、選手というものは強い者に近づかなくて弱い方に近寄っていくというので、これも重点的に持っていかなければならないと考えまして、本年からは、オリンピック候補と名のつくような優秀な選手海外に送って、これを強化して参りたいと考えております。昨年ヨーロッパへ参りましても、やはり経験の浅い者は、飛行機からおりたら、もう自分の荷物も持ち運ぶことができないような選手もおります。それが、自分の荷は自分で持てる、また自分のを運んでおいて他の者のも運べる、そういうところに選手精神面の差ができております。競技をやらしてみますと、やはりそれが競技上にもはっきり出てきておりますから、どうしてもこれはやはり経験を一回でなく二回、三回と積ませなければならないということも感じられるのであります。また、根性作りというようなことがいろいろ取り上げられまして、今後はその点に重点を置くということであります。その選手ほんとう東京大会で自分はがんばるのだという気持を持ってやるところにくれば、私はおのずから根性も出てくると思います。そういう根性を作り上げるように選手を引っぱっていく考えであります。もうすでにそういう決意を持ってやっている選手も何人かおりますけれども、まだまだ選手自体も甘い考え方で、コーチにしましても、ただ記録の面を比較いたしまして、このぐらい伸ばしたらオリンピックでこれくらいやれるのだという甘い考え方の者もおります。私は昨日ある新聞で非常に楽観論者と書かれましたが、私は新聞記者ですから、世界の情勢を見てむしろ悲観論だけれども、選手を引っぱる場合にはそういう考えではいけない、むしろ自分が積極的でいかなければならない、強気でいかなければ選手はとても強くはなれないというので、表面に現わすときには強いことを言います。そうして選手を引き上げていって、世界選手と勝負させたいと考えております。こういうことをやりながら訓練をいたしております。  なお、先ほど大島君からお話がありましたように、われわれは訓練する場というものが非常に困難な状態にあります。現在は方々にグラウンドができておりますから、そこを通じて選手を集めてはやっておりますけれども、宿舎というものが十分なものがありません。ホテル、宿屋こういうものを使いますけれども、これは栄養の面その他の点で非常に不自由を感じます。徹底した合宿訓練もできない状態であります。先ほどお話がありましたように、陸上競技としては霧ケ峰に夏の間の訓練場を作ることをきめまして、ことしはそれを仕立てて、そこに合宿させて徹底的にやっていきたいということも考えております。冬も現在は転々としてあちらのグラウンド、こちらのグラウンドというふうに動き回ってやっております。そういう非常なむだもあります。徹底したことはできない。こういうことも強化対策本部の方でいろいろ考えていただいて、だんだん打開されつつありますけれども、なお十分でないということを感じます。はたしてどこまで陸上競技がいけるか、私は予想つかないのであります。と申しますのは、一応、白書に、これだけのものをやるのだということを打ち立てておりますけれども、これは記録の上で考えられることであります。しかし、勝負というものはそう簡単に予測できるものではありません。私自身、オリンピックで優勝するというようなことは考えたこともありません。三位をねらっていったのでありますが、それでも優勝できた。戦う精神さえあれば相当なことがやれるのじゃないか、私、そういうふうに考えまして、陸上選手もその線に持っていくことであと二年間を徹底的にやって参りたい。  はなはだ具体性がありませんけれども、現在やっておりますことを申し上げました。
  10. 島村一郎

    島村委員長 次に、近藤参考人にお願いいたします。
  11. 近藤天

    近藤参考人 体操の近藤でございます。  東京オリンピック大会が二年後に迫りまして、われわれ体操の関係者としましては、目標に掲げた金、銀、銅のメダルをできるだけたくさんとって、皆様の御期待にこたえたいと思っております。そのためには、やはり平素の準備その他、選手訓練を含めまして、万全の対策を講じなければならない。われわれ過去十年間海外に遠征して、漸次技術の向上をはかって参りました。やっと一昨年のローマのオリンピック大会で待望の男子の団体総合に優勝することができました。しかし、その次に名誉あるところの個人総合選手権は、残念ながらとることができなかったわけであります。また、男子の競技には、そのほか、種目別という、六種目の競技がございます。このうち、幸いにも三種目に金メダルをとることができまして、男子の方は合計八種目の金メダルがあるわけでございますが、そのうち四種目に金メダルをとることができたわけであります。しかし、この金メダルをとったと申しますけれども、先ほど申し上げましたように、団体総合で優勝したその中に個人総合の優勝者が出るということが今まで常識になっておったわけでありますが、このジンクスを破りまして、ついに個人総合で優勝することができなかったということは、われわれの実力がまだ完全ではないということが言われるのじゃないかと思います。東京オリンピック大会では、ローマのオリンピック大会で優勝した団体総合は是が非でもとらなければならない、同時に、個人総合はぜひともこの団体総合で優勝したわれわれのメンバーの中から出さなければならないということを、われわれは非常な決意を持って考えておるわけであります。  そのほか、六種目の個人種目別で優勝しましたのは、徒手体操でございます。この徒手体操は、日本が過去二回の世界選手権大会でも金メダルを引き続いて獲得しているわけでありますから、この徒手体操は是が非でも金メダルを確保したい、かように考えております。  それから跳馬、これもヘルシンキのオリンピック大会以来、銀メダルをとっておりましたし、ローマの大会では金メダルをとったわけでございますから、この跳馬の金メダルはぜひとも確保したい。  それから鉄棒でございます。この鉄棒は、幸いにもメルボルンのオリンピック大会並びにローマのオリンピック大会でも金メダルをとったので、これも日本チームの中から引き続いて金メダルを確保したい、かように考えておるわけであります。  そのほかに、平行棒というのがございますが、この平行棒は、常に優勝する実力がありながら日本選手は第二位の銀メダルしかとれないということでございます。これは先般ソ連の選手日本に招待いたしまして、日ソ対抗の定期戦をやったところ、日本選手がこの平行棒では実力では世界一であるけれども、日本選手は大へん間違った演技をやっておるということをソ連のコーチ並びに選手団から指摘されたわけであります。このことにつきましては、われわれは深く反省して、その指摘された個所、すなわち、非常に簡単なところを間違っておった個所が幾多発見されました。これはただいま直しております。よって、この平行棒はぜひとも金メダルを確保するようにしたい、かように考えております。  そのほか、つり輪というのがございます。このつり輪は、ソ連のアザリアンという選手がおりまして、今日の非常なすぐれた選手でございまして、常に世界選手権大会並びにオリンピック大会のタイトルは彼に独占されておるわけであります。しかし聞くところによれば、彼は東京大会までは続かないであろうというようなことでございます。そういう優秀な選手が出ないから勝てるということを考えるわけではございませんが、非帯にチャンスであるということは言えるのじゃないかと思います。よって、このつり輪でも金メダルを確保するように努力させたい、かように考えておるわけであります。  残るところは、あん馬というのがございます、このあん馬は、日本選手が最も不得手とする種目の一つでございましたが、幸いにも過去の世界選手権大会でも第三位、オリンピック大会でも第二位の銀メダルを確保した経験がございますので、これらを何とかして金メダルをとるようにさせたい、かように考えておるわけでございます。  しかし、このようにわれわれが大きな目標を持って進もうといたしましても目前に迫りました——今年は世界選手権大会がチェコのプラハで七月の三日から八日まで開催されるわけでございますが、これに全力をあげて、われわれは選手を鞭撻していい成績をとらせたいと思っております。  ここでお断わりしておかなければならないことは、ローマのオリンピピック大会で八種目のうち四種目に優勝したから、世界選手権大会ももっといい成績がとれるであろうと思われましても、なかなかそうはいかないということであります。世界選手権大会は、今から八年前の、第十三回のローマにおいて開催されました世界選手権大会選手を派遣しましたが、このときは、ソ連に次いで十六点六分というような大へんな差をつけられまして第二位になったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、徒手体操ただ一つ、竹本という選手金メダルを確保しただけでございました。また、四年前に第十四回の世界選手権大会がモスクワで開かれたわけでございますが、このモスクワでは、いろいろなコンディションの悪条件が重なりまして、ソ連に二点八分五厘という僅差をもって負けて、第二位になったわけでございますが、このときにも先ほどの竹本選手が徒手体操で金メダルを確保しただけでございまして、あと二位、三位には入りましたけれども、決してローマのオリンピック大会のような優秀な成績を上げたわけではございません。ことし開かれます第十五回のプラハの世界選手権大会は、われわれは過去二回選手権大会に選手を派遣した経験に基づきまして、一昨年ローマのオリンピック大会はぜひ優勝したいと念願したと同様の決意を持って、世界選手権大会でも何とか団体総合では優勝したいということを実は念願しておるわけでございます。また同時に、個人総合におきましても優勝したいと念願しておるわけでございます。過去の世界選手権大会ではただ一種目の金メダルしかとっていない。日本の体操が世界一になったからと申しましても、ローマのオリンピック大会でこそ団体総合で優勝したということでございますが、世界選手権大会ではまだ優勝した経験がないわけでございまして、われわれはソ連を追い詰めていきたいと考えておるわけでございます。しかし、私どもは、ことしも去年もヨーロッパ各地を回りまして、いろいろな選手の情勢を探って参りましたけれども、ソ連ソ連と申しますがソ連の選手よりもまだすぐれた選手が、ユーゴスラビアにもイタリアにも、その他に続々と出ておるということで、われわれは安閑としているわけにはいかないわけでございます。プラハの世界選手権大会はすぐ二カ月後に迫っておるわけでございますが、この世界選手権大会の結果というものがすぐに回答となって現われて参ります。この結果、もし日本選手団が団体総合で優勝するとか、あるいはローマのオリンピック大会で得たように八種目のうち四種目をもし取れるようなことがございましたならば、われわれはその力をかりまして、東京大会を目ざして、先ほど強化対策本部長が申されましたような目標に向かいまして、一、二、三位が八種目、すなわち二十四のメダルがあるわけでございますが、このうちわれわれは二十二以上のメダルを取るということを断言してもいいのではないか、かように決心しておるわけでございます。そのためには、日本選手団並びにコーチ団、そしてわれわれのような——今回私もプラハの世界選手権大会では跳馬のチーフ・ジャッジをやるようになっておりますけれども、役員すべてを含めまして、悔いのない、万全の準備対策を講じなければならないのではないかと思っております。ああすればよかった、こうすればよかったというようなことがあとに残ったのでは、取り返しのつかないことになりますので、私どもはこれらに向かいましてすべての点につきまして万全の準備をしなければならぬ。そのためには、先ほど申し上げましたように、国内におきましては練習場が不足しております。また、東京オリンピック大会まで、はたしてわれわれがりっぱな選手を作り出すことのできる練習場が十分確保されるかどうかということに対しては、われわれはまだ自信は持っておりません。こういう点に向かいましても、強化対策本部の方から諸先生方にいろいろなお願いをすることと思いますが、何とぞこれらのことにつきまして一つぜひ御協力を賜わらんことをお願いいたしたいと思います。  簡単に東京オリンピック大会を目ざす決意の一端を御説明いたしまして、皆様方の御参考に供したわけでございます。
  12. 島村一郎

    島村委員長 次に、八田参考人にお願いいたします。
  13. 八田一朗

    八田参考人 レスリングは格闘競技でありまして、普通の競技と違うところがございます。また、体重を八階級に分けております関係で、体重を一定の目方にしておいて、しかも力が出てくるようにしなければならぬ関係上、食事を非常に研究しております。そこで、米を食わなければ力が出ぬというのですけれども、われわれの方は一切米食なしで、体重をつけないようにして体力をつけるという方法をとっておりますが、ちょっとよそと違うのであります。その関係で食料にどうしても金がかかる。ですから、しょっちゅううまいものを食べさせておけばいいのですが、それができないところにわれわれの弱みがあると思うのです。なお、技術的には、世界中の一番よいもの、あらゆる格闘競技の長所を取り入れております。特に柔道、相撲、合気、そういったもののよいところを取り入れ、柔道連盟とは技術の交換をすることを約束いたしまして、今後技術の向上をはかっていきたいと思っております。  それからわれわれは、ヘルシンキ、メルボルンと、調子よくきたのですが、ローマのときにちょっと私気を抜いて、全部若い者にまかせたのですが、みんな思った通りいかなかったので、ただいま私も陣頭指揮をしてやっております。なお、格闘競技ですから、多少蛮的に流れるところがあるのですが、そういう訓練に耐えなければ、とうていオリンピックで優勝することができないと思っております。私どもは、どういうときに試合をするか、時間が非常に不正確なために、どんなときにでも、どんな場所にでも寝れる訓練をしております。たとえば電気をつけっぱなしとか、あるいは板の間で寝かせるとか、あるいは枕は全部取り上げるとか、あるいは毛布なしで寝る——毛布なしで寝るのはどうするかと申しますと、いろいろなものをたくさん着て寝なければならぬのですが、そういうような、とにかくちょっとよそと変わった訓練をしております。  東京オリンピックには必ずいい成績を上げるべく努力しております。どうぞよろしく。
  14. 島村一郎

    島村委員長 次に野村参考人にお願いいたします。
  15. 野村惠二

    野村参考人 馬術連盟の野村でございます。馬術競技というものは、皆さんあまりおなじみのない競技だと思いますが、詳しいことは一切省かせていただきます。  馬術競技には三種目ございまして、このうちの障害馬術競技と申しますのが、ロスアンゼルスのオリンピック大会において、故西大尉がかつて優勝の栄冠を得ました輝かしい伝統のある競技でございます。日本馬術連盟といたしましては、最終日の閉会式の直前に行なわれるこの大障害競技におきましてぜひ日章旗をあげたいという念願のもとに、鋭意強化を続けておるわけでございます。  それから、もう一つ皆さんに訴えたいことは、馬術競技の特殊性でございます。ただいま参考人からいろいろと御説明がありました競技につきましては、これは肉体を持った人間の強化をやることによって記録も向上できるし、あるいは相手を打ち負かすことができる競技でございますが、馬術競技は、これは人間の選手と馬とが一体となりまして争う競技でございまして、馬もやはりりっぱな選手でございます。人間を幾ら強化しましても、りっぱな馬ができませんと、競技にはとうてい勝つことはできないという特殊性を持った競技でございます。これは、ほかのヨットであるとか、ボートであるとか、そういう特別の用具を使用する競技とも共通点があると私は思います。こういう用具を使用します競技は、どうしてもその用具の良否が直接勝敗に関係してくるのでございまして、わが馬術連盟といたしましても、いかにしてりっぱな馬を手に入れるかということに非常な困難を感じております。強化対策本部からも相当額の予算はいただいておりますが、これはすべて選手の合宿費であるとか旅費であるとか、単なる選手強化に充てられるにすぎないのでありまして、あるいは人よりもむしろ大事であると思われます馬の入手のための費用は、ほとんど強化対策関係からは出ないのが現状でございます。では、そういう状態ではたしてオリンピックにその念願が達せられるかどうかという反問があるかと思いますけれども、われわれは、本年あるいは明年の上半期くらいを最終の限度といたしまして、その間に何とかしてりっぱな馬を、あるいは国内に、あるいは外国にまで参りましてでも獲得いたしまして、そしてわれわれの強化準備を万全ならしめたいという念願で、着々準備を進めておるわけでございます。  それから、競技によりましては、皆さんごらんになったと思いますが、たとえばあの馬事公苑に十分練習のできる競技場がございますが、あそこでは十分な練習のできない競技もございます。そういう競技競技場につきましては、やはり現在十分な施設がないために困難をいたしております。  要は、馬術競技におきましては、馬六分に選手四分というくらいのウエートが馬と人間との間にあるのだということを御認識願いまして、われわれがせっかく念願しております日章旗を掲げるその希望をぜひ達成できますように、皆様の今後の御協力をお願いいたしたい、これが私の念願であります。終わります。
  16. 島村一郎

    島村委員長 次に、小池参考人にお願いいたします。
  17. 小池禮三

    小池参考人 水泳の説明をいたしますが、水泳に関しましては、飛び込みにおきまして東京大会でかなりいい線にいくというあれがございます。それから女子では、平泳ぎ、バックでもかなりの成績を上げられると思われますが、ここでは主として男子競泳中心にしてお話し申し上げたいと思います。  オリンピック競技白書に、水泳の方は比較的じみな表現しかしなかったので、水泳は少し点が辛過ぎはしないかというようなあれがあるのでございますが、戦後のオリンピックの水泳のあり方を見てみますと、日本が大体金メダルをとれるだろうと戦前に予想された種目が八種目ないし十種目あったと思います。これが、ふたをあけてみますと、メルボルンにおける古川君の二百メートル平泳ぎ一種目という結果になっております。これを希望的にのみ表現すれば、八種目のうち八種目とれると言っても差しつかえないようにも思うのでありますが、やはり表現としては、上位入賞——上位入賞というのは一等から三等まで、入賞というのは一等から六等まで、これくらいの線ならば勝てるのじゃないかという表現をいたしましたので、ああいうふうな結果になっております。戦前戦後を通じまして、日本の水泳は、オリンピックということになると、常に期待をされておるのでございますが、確かにロスアンゼルス、ベルリンの大会では、日本は圧倒的に世界の水泳界で優位を占めておったのでございます。それはどういうわけかといいますと、当時におきましては、日本の水泳が世界におきまして独占企業的な存在の傾向を持っておったと思います。日本水泳連盟の組織、偶発的に出てきた非常に優秀な選手が一時に輩出したということ、それから今非常にトレーニングの科学性ということがいわれておりますが日本水泳連盟がその当時取り入れた、いわゆる今でいう体力強化の科学的トレーニングというようなこともあずかって力があって、そういうような力が総合したものが、ロスアンゼルス、ベルリンのああいう結果になったと思うのであります。しかし、その中で、何と言っても一番大きな要素は、諸外国に比べて日本が一生懸命やっておったということが、やはり一番大きな点ではなかろうかと思います。ところが、戦後になりまして、日本も確実に進歩はしておるのでございますが、なおかつ諸外国の進歩の方がこれを上回っているということは、日本の戦後の社会情勢の変化、日本を上回るほどの熱意を持った水泳活動、それから研究の進歩というようなことが、日本もある程度順調には進歩しているのですが、これを上回ることができなかったというようなことになるのじゃないかと思います。しかし、日本の水泳といたしましても、戦後のオリンピックをやってきた結果から申しますと、過去の成績があまりはなばなしかったものですから、だめじゃないかというような批判も受けておるのでございますが、ヘルシンキにおきましては、日本はアメリカの次に位した、メルボルンでは、日本もアメリカも地元の豪州にやられましたけれども、五つのメダルをとった、ローマは非常にいいチャンスのように見受けられましたけれども、これは失敗に終わりましたが、それでも四つのメダルをとっているということで、一生懸命にやってはおるのでございますが、なかなかもう一つすきっとした線が出てこないという結果になっております。  東京大会で日本の水泳がどういうふうな方針でどういうふうなことを考えているかということは、私たちは、上位入賞とか、ただ入賞とかいうふうな表現はしておりますけれども、金をとるとか銀をとるとかということの困難さというものが身にしみておりますので、そういう表現をしましたが、やはり千五百メートルとか八百メートル・リレーとか二百メートルの平泳ぎとか、こういうふうなものは、どこの競技団体にも負けなく優勝種目としたいという決意、決心といいますか、そういうようようなのは持っておるのでございます。  そういうような状態におきまして、現在、日本の水泳が強化対策としてどういうふうなことをしているかといいますと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ロスアンゼルスの当時、日本の水泳がトレーニングの科学性ということを取り上げたのですが、これはただ一時的にその時期にとどまって、それからずっと引き続いてこれの研究進歩というものがなされなかったといううらみもありますので、おくればせながら体力、筋力の増強ということに思いをいたしまして、一昨年、昨年に引き続きまして、水泳に必要とするところの筋力測定ということにかなりの重きをいたしまして、豪州、アメリカ等の一流選手の筋力測定をして、これらの選手日本選手に比べてどれくらい筋力の差があるかというようなことを、専門家にお願いしてやったのでございますが、その結果を見ますと、やはり外国の選手日本選手よりもはるかに強い。泳ぐことに要する筋力の強さというものをはっきり持っておるのでございます。ですから、日本選手も、いい記録を出させるためには、やはり筋力の増強ということをやらなくちゃいけない。少なくとも世界記録のレベルまで持っていくには、どこの筋肉をどの強さまで持っていかなくちゃいけないかという逆算的なことまで考えまして、ほぼこれらの研究を終わりまして、次の段階といたしましては、これらのリミットをどの辺に置くか、それから筋力、体力の増強という問題と、泳法、泳ぐことによる強化というものをどういうふうにミックスして取り上げていくかということが当面の課題になっておりますが、一応体力関係の問題は結論を出しまして、現在それを強化に役立てさせているのであります。水泳といたしましては、そういうような研究をしながら、全般的には昨年度は人材発掘の年である。三十七年度におきましては、英才教育をいたしながら、人材の発掘と申しますか、そういうようなものもやっていく。しかし、また三十七年度においては、水泳の若い層を必要とする特殊性から、一般強化の方が六分か七分、英才教育の方を三分か四分。三十八年度になりますと、この比率が逆くらいになると思います。三十九年の十月のオリンピックの年の一年前くらいには、これはほとんど英才教育オンリーということになると思います。  そういうふうなあれでもって、現在、栄養そのほかのことも考慮に入れまして、大体三十七年度の年間の強化スケジュールももう案ができまして、近々の本部会でもって決定いたしまして、本年一年をやって、またそれによって次の段階を考えたい、このように思っております。記録的なことも申し上げたいと思って、データも持ってきましたが、大体以上で終わります。      ————◇—————
  18. 島村一郎

    島村委員長 この際、発言の申し出がありますので、これを許します。阪上安太郎君。
  19. 阪上安太郎

    ○阪上委員 本日の参考人の皆さんは、それぞれ水泳あるいは体操、馬術、陸上、レスリング、こういった道における日本最高の権威の方々であります。先ほどから選手強化に関する皆さん方のいろいろな経験を通じてのお話を承ったわけでありますが、私ども大へん参考になりまして、まことにありがたく思っております。同時に、皆さん方の御苦心が大へんなものであるということも実はしみじみ悟らされたわけでありまして、皆さんが考えておられるように、どうしてもやはり東京大会で金メダルをとらせなければならない、また、金メダルをとってもらわなくちゃならない、こういう決意を今さらながら新たにいたしたわけであります。そこで、先刻からいろいろとお話を承っております中に、それぞれ選手強化計画を立ててやってきたが、しかしながら、それにはまだいろいろな隘路があるということをおっしゃっておられます。私どもも、お話を承って、そういう隘路があったのかということを実は感じたわけでありますが、そこでこの際、二、三の点につきまして、さらに選手強化の問題についてお教えをいただきたい、かように存ずるわけでございます。  まず最初に大島さんにお伺いいたしますが、大島さんから先ほど説明をいただいた中で、やはり一番私ども関心の深い問題は、何といっても、その隘路打開という問題でございます。そこで、隘路としてあげられた諸点がございますので、一つ伺ってみたいと思いますが、まず最初に、トレーニング場の不足ということを痛切に感じられておるようでございます。これは織田さんも小池さんもその点について強調されたように思います。それは特に夏季あるいは冬季等におけるところのトレーニング場、こういうことになっておりますが、一体今皆さん方で利用できるところのそういった施設はどこにあるのでございましょうか、それを一つお伺いいたしたいと思います。
  20. 大島鎌吉

    大島参考人 お答えいたします。それぞれの個々の問題の詳細につきましては、それぞれの競技団体の皆さんがおられますので、皆さんの方からそれぞれ御説明をお願いしたいと思いますが、大ざっぱに申し上げますと、昔のトレーニングとはやり方が全然異なりまして、選手を作るには、年間を通じてトレーニングをしなければならない。負荷のかけ方といいますか、トレーニングの強さの問題につきましては、それぞれの競技によってやり方が多少違うのでございますが、いずれにいたしましても、年間を通じてトレーニングをしなければならないということでございます。昔よく言われましたアウト・シーズンというような言葉は、今日われわれの世界ではもうなくなっております。そういうような意味で、夏には、亜熱帯の非常に暑い気候を避ける、すなわち体力の消耗を避けながらトレーニングをする場所が必要である。冬には、寒い気候のときでありますと、やはり選手にいろいろな故障を起こしますので、暖い土地を求めてトレーニングをしなければならぬというような新しい問題が今日出てきておるのでございます。  夏の合宿の点について申し上げますと、現在のところ、一応、御殿場にありますところの国立青年の家の、国の体育施設を利用さしていただいております。宿舎につきましては、国立青年の家は大体勤労青年の教育をするという建前になっておりますので、自衛隊の駐屯部の宿舎をお借りしてやっておるわけでございます。それから一方、それだけでは足りませんので、この夏から、北海道札幌市にありますところの道並びに市の施設を借り、かつ自衛隊の宿舎を借りまして、あそこにもっといいセンターを作るという考え方を持っております。私たち非常に残念に思っておりますのは、ことしの予算で落ちたのでございますが、例の菅平の国立体育研究所の施設予算がつけば、あそこももう一つの候補地になったと思うのでございますが、これはもうまことに残念に思っております。とりあえず、総合的な夏のトレーニングの場としては、この二つが考えられておるわけでございます。  それから陸上につきましては、先ほど織田強化指導本部長からお話がございましたように、陸上専用のトレーニングの場を、これは陸上競技連盟の非常な犠牲におきまして、自己出資で霧ケ峰の夏のトレーニングセンターを考えられておるようでございます。  一方、冬につきましては、現在のところ、大島トレーニングセンター、これは東京都の大島でございますが、あそこが比較的温暖の地でございますので、強化対策本部としてはあそこに総合的な施設を考えておるわけでございます。この施設は、東京都の大島高等学校の持っております施設でありまして、幸い東京都の非常な御協力によりまして、高校としての規模以上の百八十坪という体育館をあそこに設置するようにしていただきまして、この冬からはそれが使えるようになると思います。同時に、トラックの拡張、これは陸上競技ばかりではなくて、サッカーとかホッケーなども同時に練習ができるようにしたいと考えておるのでございます。これは土地はあるのでございますが、使える施設が今狭いので、これを拡張するように、目下文部省の御協力も得まして研究を続けておるような次第でございます。冬の方は、現在のところ大島だけでございますが、そのほかに、静岡の草薙の競技場なども寄り寄り話を進めておるのでございます。そのほかに、もう一つ、ある電鉄会社が作ってやろうというような施設もあったのでございますが、しかし、これは話がそううまく進みませんので、はたして間に合うかどうか、現在心配に思っておるのでございます。  いずれにいたしましても、夏のトレーニング場が二つ、冬のトレーニング場が一つという形の中では、ほんとう選手強化ができないのであります。何とかして打開しようということで、寄り寄り協議をいたしております。  それから平素のトレーニングでございますが、平素のトレーニングにつきましては、先ほど申し上げた通りでございます。大体オリンピック候補全体の選手数は、二十競技団体で現在千五百名ばかりございます。その八割が東京並びにその周辺に住んでおります。従いまして、東京トレーニングの場を作るということが非常に重要な問題であるわけでございますが、先ほども御説明申し上げましたように、国立競技場が使えなくなったということ、もう一つは、朝霞のわれわれが期待しておりましたところの施設ができなかったということで、これは非常に困窮しておるのでございます。従いまして、織田さんからもお話がありましたように、転々とあちこちの競技場を探しながら合宿をやるわけであります。  もう一つ、宿舎でございますが、宿舎につきましても、たとえば国立競技場体育館は、文部省その他関係方面の非常な御協力を得まして、あそこの体育館は一応専用のトレーニング場ということになったのでございます。現在、体操とバレー・ボールがこれを年間計画の中で使用しております。それからバスケットもこの中に一部入っております。ところが、ちょうど学生の選手が合同練習をしなければならぬのに、旅行のシーズンになりますと、東京は宿屋が一ぱいになってどうしても宿舎がないということで、これまた非常に困却をしておるのでございます。そういうようなわけで、これが現在重大な隘路になっております。これはいかなる形においてか、各方面にお願いをいたしまして、各方面の御好意と御協力によって打開をしていきたい、一歩でも前進していきたい、かように考えております。
  21. 阪上安太郎

    ○阪上委員 お話を承りましても、非常にさびしい感じがするわけなんであります。一つは、文部省が作っております国立青年の家でございますか、これをかなり有効に使っておられるように私見ておるわけでありますが、しかしながら、それはたった一つしかない、こういうことなのであります。それから自衛隊のキャンプを使っている。東京の場合、千五百名になんなんとする選手候補がおって、競技場はとにもかくにも間に合うとしても、宿舎の問題がやはり解決されていないために大へん不便を感じておる、こういうお話でございます。ごもっともだと思います。私どもも、日本競技場が、とにかく競技場所そのものはありましても、宿舎というものがこれに併設されていないという関係から、選手強化を真剣にやっていくために非常に大きな隘路になっているということは存じておりますが、お話を承りましても、やはり直接身に感じられているのはその点じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、この際、文部政務次官が来ておられますので、きょうはせっかくこうしてそれぞれの道の権威の方がお集まりになって参考意見の陳述をいただいたのでありますから、ぜひ一つこういった問題は、もうとかく論議の余地はないんじゃないか、私はかように思います。これは体協だけでもどうにもならぬ問題が出てきているのじゃないかと思います。理想的に言うならば、やはり文部省が全国的にそういった場所を作っていただくということ以外に道はないんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。この委員会の審議の過程を通じまして、文部省は非常にそういった点で御理解をいただいて、何とかしていこうというお気持が非常に強いのでありますけれども、やはり三十七年度予算等をながめてみましても、これはもう政務次官も御承知のように、まだまだ十分にこれは盛り入れられていないといううらみがございます。しかも、先刻から伺っておりますと、二年の準備期間を経て、いよいよ今年度から強化対策の本格的な段階に入っていく、こういうことであります。しかも、今年をのがしては、あとは意味がないのだというところまで先ほどから強調されておったように私は思うのであります。従いまして、ただいまから直ちに予算措置が行なわれるとはわれわれも考えませんが、三十七年から八年を通じまして、少なくとも三十八年の当初には、思い切って皆さんが要望されている選手強化対策隘路であるところの問題を解決するように文部省は一つ格段の努力を願わなければならぬじゃなかろうか、かように思うわけであります。そういった点につきまして、文部政務次官決意のほどをこの際伺っておきたい、こう思うのであります。
  22. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 この特別委員会で、かって日の丸をあげた名選手方々、並びに日本競技世界的に持っていった権威者の方々から、東京オリンピックに備えて国民の要望にこたえて選手強化をしている苦心をお伺いして、文部省としても非常に感激しております。そしてまた、従来だんだんとそれぞれの関係者から散発的に聞いておったそのことが、この委員会を通じて皆さん方に総合的に御理解いただき、そしてまた、盛り上がりの激励をいただくということは、私はこのオリンピック特別委員会を非常にありがたく思っております。文部省といたしましては、ただいま阪上君からも御指摘ありましたように、三十七年度施設の方に大体重点を置いたような格好でありまして、この選手強化にいたしましても、五億三千万ほど組んである中に、国庫補助が一億六千万という程度におさまってしまったことでありまして、明年度はぜひとも私たちはこれをよけい拡大していきたい。ということは、文部省としては、施設を建てるだけが——オリンピック組織委員会でおきめいただいたその分野に従って施設予算を獲得して参りましたけれども、それ以上に、この委員会で皆さんから御発言あるように、やはり東京でやるオリンピック日本で初めてやるオリンピックであるから、メーン・マストにやはり日の丸の旗をあげてもらいたいという希望は、これは全国民の要望だろうと思うのです。少年オリンピックの歌を見ましても一見たことのない子供がオリンピックの歌を書いております。そういう脈々たる希望がある。それにおこたえいただくために選手強化の第一線にお立ちになっていらっしゃる権威者の方々が、かつて自分が日の丸の旗をあげたその栄光を若い諸君にどうしてか教えていこうという姿に私はいつも胸打たれるのですが、かつての時代と今の時代が違ったと申されましても、織田さんが書かれた本——その当時は、失礼であるけれども、そう語学も大したことはなかったでしょう。しかし、小人数で外国に行って、そうして外国人のやった競技方法などを研究されて、それを持って帰って、その四年後のオリンピックに備えていった、その精神力、あるいは、せんだって南部さんに紫綬褒章を文部省がお与えいたしましたが、そのときにも、前向き、いつでもかかとをつけないような姿勢、それはやはりちゃんと三段跳びで、あるいはスプリンターとして鍛えたその態勢が一生の一つのくせになっている。やはりそういう根性が非常に大事ではなかろうか。今日青少年の体位は向上いたしましたが、外国人が東京オリンピックへ来たときに、やはり日本国民がすぐ目につくことは、外国人との体位の差だろうと思います。おそらく胸幅なんというものはすぐに目につくのではなかろうか。こういうものなども向上させながらも、やはりかつての選手あるいは権威者が、たとえば八田さんがメルボルンで選手諸君を全部あかりをつけた下に寝かした、そのファイトがメルボルンにおいてあれだけの成績をおさめた。今度は日本でばたばた負けたら、幾ら施設をして、国民が待望しておっても——八田さんが坊主頭になって帰ったそうでありますけれども、今度は日本国民全部が坊主頭にならなければならないというふうな気がいたしまして、私たちのできますことは、来年度予算においては、皆さんの御協力を得まして、一つ国民待望の、選手強化しながら、りっぱな成績を権威者と一緒にとるように努力したい、こう思っております。
  23. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今長谷川さんから非常にかたい決意のほどを伺って安心いたしましたが、それと同時に、先ほどから参考人方々が、いよいよ逢着した一つ技術的な問題点といたしまして——技術的というのは少し言葉が当たりませんが、精神力の問題——あなたが今おっしゃったのも精神力の問題だと思います。こういったものは選手だけでもって強い精神力が養成されるとは私自身考えない。むしろ、それを取り巻く国民全体の、あるいは青少年諸君のやはりそういった強いファイティング・スピリットというものが養成されていかなければ、これは完璧を期せられないのではないか。砕けて言うならば、国全体がやはりオリンピック熱を青少年に持たすようにしなければならぬ。おとなも心がけなければならぬが特に青少年はそういう気持に入っていかなければならない。そのためにもやはり形を与えなければ、これはなかなかいけない問題だと思うのであります。従って、前々からあなたにも申し上げているが、やはり青少年の家というようなものを頭に置かれて、しかもそれがスポーツ施設もそれについている、そういったものによって選手以外の青少年が強い精神力を養われていく、相待って選手精神力強化される、こういう姿になることがやはり望ましいのではないか。そういう意味合いにおきまして、こういう役割を果たしていただくには、やはり体協の支部もそうでありましょうけれども、同時に、文部省がやはり全国的に御配慮を願わなければならぬ点だ、かように存じます。これは御答弁を得るまでもないと思います。ぜひ一つそういうふうにお願いいたしたい。
  24. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 青年の家などをオリンピックのときに使うように、また、その前の選手強化などに利用できるようにというだんだんの御発言、まことにその通りと私も共鳴しております。先日私、沖繩に参りまして、キャラウエイというハイ・コミッショナーに会いましたときも、沖繩のようなところから東京オリンピックに参加する青年、学生をぜひ一つ出したいと思う、それには青年の家を沖繩にもほしいという要望があるが、こうしたときにぜひ一つアメリカも協力してもらいたい、こういうふうに申し上げたのでありますが、そういう沖繩の地方においても、水泳とかカヌーなどにはぜひ自分たちは参加したい、また、それだけの実力もある、それをまだ発掘されていない、こういう話がありました。青年の家というものが今日そちこちに作られておりますが、これをよけい作ることによって、ただ勉強するところ、休むところではなくて、あわせてスポーツ施設を持ちながらやっていくようなことにしたい。今年も予算をとってありますが、これは長い青少年の育成のためにももっともっと予算の獲得に当たりたい、こう思っております。
  25. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に小池さんに伺いますが、水連では、東京都内にもいろいろとプールがあるけれども、一般のプールだって、肝心かなめの夏季練習にはこれを専用して使うことができない、そのことは、やはり東京大会で金メダルを取るためにも大へん大きな影響があるというような観点に立たれて水連専用のプールを作ろうという企画を持っていると私は伺っております。しかも選ばれた場所が、どこか四谷の堀だというふうに記憶しております。そして東京都においては、これはけっこうであるということになっておるが、文部省からちょっと苦情が出たというふうに私は聞いております。この点、一つ伺っておきたいと思います。
  26. 小池禮三

    小池参考人 これは高石会長の発案によりまして、これの準備委員会を作りましてこの問題に取りかかりましたもので、私も十分詳しいことは知りませんけれども、今、阪上さんのおっしゃるように、水泳連盟が施設の問題で非常に苦労していることは事実なんでございます。現在東京に都の室内プール、国立競技場のプール、それから別府の室内プール等がありますけれども、そのほかは全部温泉場の営業とにらみ合わせた施設だけでして、これは冬場や何かの間に合わせ的なトレーニング場として間に合う程度で、本格的なトレーニングには間に合わないようなものでございます。いずれにしてもそういうふうな状態でして、その問題に取り組んだのでございますが、場所さえあればプールの建設の見通しはついておるのでございますけれども、今お話のように、史跡というのですか、何かの指定になっているというようなことでできないというところまで私伺っております。
  27. 阪上安太郎

    ○阪上委員 おそらく文部省では文化財保護委員会だと思うのであります。これはどうなんですか、あんなきたないところへ、せっかくそんなものを作ってきれいにすれば私はいいと思うのですが、長谷川次官、一つ格段の御努力を願えませんでしょうか。
  28. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 ロスアンゼルスといい、オリンピックで、陸上競技もさることながら、水泳日本で非常に名声を博し、またそれを慕うものがありますから、高石さんが個人的に参られまして、明治神宮のプールも、アジアの選手を呼んで、そこで日本選手強化合宿しようにも、今一般に公開するために金をとっておるので、なかなか練習ができない、国立競技場のプールもその通りだ、目ざしてはいるけれども、専用の練習プールがないのが自分たちの悩みの種だという話を聞いて胸を打たれまして、私もあちこち今飛び回っている最中であります。高石さんが持ってきた場所が、文化財に関係いたします場所でもありますので、その辺でちょっとひっかかっておるのが実情でありますが、これについても了解を求め、あるいはまた、ほかのところに——水連の選手強化のためにだけならば金を出そう、そこで話をつけながら、現にこうした権威者の御努力に対して頭の下がる思いで、個人的にそう力はありませんけれども、そっちこっち飛び回っておる次第でございます。
  29. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この機会についでに伺っておきますが、水連では中学生の選手について国民体育大会の参加を長年要望してきているが、あなたの方ではなかなかお認めにならぬという話でありますが、これは認めてもらうわけにはいかないのでしょうか。
  30. 前田充明

    ○前田(充)政府委員 お話の件につきましては、今年の三月下旬でございますが、水泳連盟会長の高石先生がお見えになりましてお話がございました。私どもといたしましては、小、中学校なり高等学校の児童生徒の対外競技に関する基準というものがございます。これは古い時代からのいろいろな弊害等も考えて作ったものでございまして、終戦直後に作ったものでございます。それを何度か改正いたしまして、実態に合うような方向で現在あるわけでございます。それをどうしても改正いたさなければならぬような問題もあるようでございます。そこで、体育局並びに初等中学教育局あるいは現場の中学校の先生と目下相談いたしまして、ごく最近にも数回にわたりまして協議をいたしておりまして、そう遠くない間に結論が出ることと思います。水泳連盟の御希望ということは十分わかりますが、小さい子供の体育、からだに対してどういう影響があるか、あるいはその他の競技との関係等も考えて結論を出したいと思っておるような状況でございます。
  31. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この点は私はもっと強く要望したいけれども、きょうは参考人の方がおいででございますので、後日に譲りたいと思います。別に何でもかんでも参加させよというわけではない。水泳という特殊な競技なんですから、これはあなたも御存じだろうと思うのですが、大した弊害はないと私は考えておるわけでございますから、さらにそういうように持っていくように御努力願いたいと思います。  そこで、再び大島さんに伺いますが、簡単でけっこうでありますけれども、先ほど隘路一つとして用具不足のお話がございました。その用具不足は、われわれも前から強化対策本部用具不足の声を聞いておったのでありますが、先はどのお話を伺いますと、金がなくて一般の用具が足りないのだというように解釈しておったら、何か特殊な用具が必要だ、こういうようにおっしゃいましたが、その特殊な用具とはどんなものでございましょうか。
  32. 大島鎌吉

    大島参考人 先ほどもそれぞれの競技団体責任者からお話がございましたように、からだを作るところの用具というものがほとんどないわけでございます。御承知のように、からだを作るには、最近はバーベルとかダンベル、あるいはチェストウエートとか、そういういろいろな道具を使うわけでございます。それらの道具はわが国では重量挙協会が持っておるだけでございまして、ほかの二十競技団体はほとんで持っていないという状況でございます。水連あたりも、非常な英断をもちまして、オリンピック候補選手になります者に、チェストウエートを買いましてそれぞれの家庭に送りつけまして、毎日それでトレーニングができるというようなことについて非常に御努力されております。それによって、小池さんの方からきょうはお話が出ませんでしたけれども、今までの日本記録が——それだけではございませんが、それも一つの助けになりまして今までの日本記録が本年度は全部破れるであろうと、陰ながら考えておるのでございます。そればかりではございません。また、飛び込みの選手の方では、一々飛び込み台十メートルの上へ上がりまして飛び込ますのは時間もかかりますし、能率も悪いというので、タンブリングというような器械がございます。飛び上がって引っくり返るとか、いろいろな動作ができる道具でございますが、そういうような道具がやはり必要なわけでございます。これによりますと能率も上がりますし、また、十メートルの台へ上がって飛び込んでやる、それによってできる動作以外の新しい動作もできてくるということもあるわけでございます。それから飛び込み台などは、従来は木の飛び込み台を使っておりましたけれども、これはプラスチックに変わっておるのでございます。プラスチックによらないとやはり本格的なトレーニングができない。しかもプラスチックの寿命は一年しかないということでございます。水泳だけを取り上げましたが、ほかの競技団体においてもすべてそういうような特別な道具というか、それを持っていないのでございます。これを何らかの形でこの段階において解決しなければならない、かように考えております。  それからもう一つ、これは用具でございますが、馬の話がございましたけれども、いい馬がない。これを養成するのは、御承知のようになかなか容易なことではございません。しかし、これも整えなければならないそれからヨットあるいはボート——ボートはエイトその他はあるのでございますが、軽い艇のボートが日本にはない。しかしながら、オリンピックに参加いたしますにはやはりこれも準備をしなければならない。その選手も作らなければならない。それから、カヌーなどにつきましては、先日新聞などに出ておりましたので御承知と思います。  こういう工合に、からだ作りのトレーニングの道具が絶対的に足りないと同時に、一方においては競技用の用具そのものが足りないというようなこともあるわけでございます。これらの問題はこの段階において何とかして処理をしなければならぬ。先ほど申し上げましたように、この三カ年を通じまして、大ざっぱな計算でございますが、一応約七億と出ております。これらにつきましては、またいつか早い機会に御協議がお願いできれば幸いだと思います。
  33. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういう用具、そういったことは、私ども伺いまして非常に参考になったわけでありますが、それが手に入らぬというのは、品物がないというのじゃなくして、金がない、こういうことですか。
  34. 大島鎌吉

    大島参考人 そうでございます。
  35. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから、簡単でけっこうですが、輸入品がほとんどですか。
  36. 大島鎌吉

    大島参考人 日本でできますが、特殊なものは輸入しなければなりません。
  37. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから、もう一つこの際大島さんに伺いますが、先ほど、今年はコーチの数を百四名にふやされたということでしたが、これでコーチは足りるのですか。
  38. 大島鎌吉

    大島参考人 これは非常に重要な問題でございまして、わが国コーチになる資格のある者があるかどうかということが第一の問題でございます。ほかの国にはコーチになるコースがございまして、大学で四年間勉強してしかる後トレーナーになって、二年間勉強して初めてコーチになるのが、千人に一人という現状から考えますと、正直申しまして、わが国にはそういう資格のあるコーチというものはいないのでございます。しかしながら、幸いにしてわが国コーチは非常に経験がございます。この経験は、勉強しただけではつかないものでございます。その経験を生かしていろいろな勉強をしてもらいながら、どちらかといえばインスタントのすぐれたコーチを作り上げようというのが実情でございます。昨年までは六十四名でございましたが、今年はとりあえず二倍にしようということで、あとの半分につきましては、これから勉強していただくという形でいきたい。最終的には、強化対策本部で皆さんと話しているのでございますが、旗のあがる競技種目につきまして、旗一本について一人のコーチを置こうじゃないか——これが二百名くらいになりますか、そういう計画で進もうじゃないかということで協議をしております。最終的にはそういう形にしなければいけないじゃないかと存じております。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、これは大へん失礼なことをお伺いするのですが、学校とかその他の勤務先の協力が非常に不足しているという話を伺っております。また、コーチ方々が合宿されて、最近では奥さんまでだいぶ文句を言うようになったということを伺っておりますが、この点、奥さんの方は一つ皆さんで何とか納得さしていただくことにして、勤務先の協力ということが大へん大事だと思うのです。この点、皆さんの方で何か特別の方法を考えられぬものかどうか、こういうことでございます。それからまた、組織委員会の方ではどういう手回しをしておられるか、この問題につきましてちょっと伺っておきたい。
  40. 大島鎌吉

    大島参考人 現にそういう問題があるわけでございます。コーチの諸君には非常な犠牲を払っていただいております。強化コーチは、規定によって一週間に二回は選手のめんどうを見るということになっております。これにつきまして手当などというものは差し上げてございません。ほんとうに奉仕的な精神選手を作っていただいております。ただ、コーチの指導力を高めるための研究費を差し上げておる程度でございます。従いまして、優秀なコーチで、しかも非常にむずかしい勤務先を持っている、あるいは学校に勤めているというような部分につきましては、それぞれの競技団体にヘッド・コーチがおりますが、ヘッド・コーチ中心として、会社あるいは事業所に連絡をとって了解を求められております。強化対策本部の方へ特にうちの方と話してほしいという競技団体からの要請がありましたときには、本部の方から出て参っております。これにつきましては、津島会長、田畑本部長に積極的に御活動を願っておるのでございます。しかし、現在の段階ですべてがうまくいっておるというわけではございません。なお了解が十分ついていない部分も相当あるわけでございます。これにつきましては、やはりオリンピック・ムードといいますか、全体の空気が盛り上がった形の中でなければ解決しないのではなかろうかというような気がいたします。最近の例をあげますと、川崎重工でございますが、オリンピック候補選手をたくさん持っておるのでございます。これがいろいろな関係から選手が合宿いたすのを拒んでおったのでございますが、つい最近の重役会において、選手は合宿に参加してよいというような決定をいたしております。問題は徐々に解決いたしておりますが、これらにつきましても今後われわれの方で努力をしなければならぬ、かように考えております。
  41. 津島壽一

    津島参考人 ただいま大島参考人から一応申し上げましたが、この問題は私ども非常に重大なことだと思っております。一般的に各関係方面にお願いするのはもちろんでございますが、特殊の場合、すなわち、こういう人が学校などの関係において十分割愛願えないというような場合、一々具体的に会社またはその人を連絡してもらいたいということを各競技団体に申しております。そういった意味で、直接法で行かないと効果がないと思います。私は自分で出かけて行ってお願いを特にしたい、こういうことを競技団体の方へ申しております。そういった支障から強化が妨げられるということはまことに申しわけないと思って、切に協力を懇請したい、こういうことにしたわけでございます。  ちょっと先ほどの御質疑についてお答えしたいと思います。選手強化費の予算の要求でございますが、これは政務次官からもお話がありましたように、毎年相当大きな額を大蔵省に要求しておったのですが、査定を受けたわけです。最後に、何千万円か、若干を減らしてつけていただいて、やっと本年一億六千万円になった。今のいろいろな物件、用具に回す金も非常に足りないというのが実情でございます。何とか資金を工夫して、各競技団体強化に支障のないようにしたいと思います。そこで、来年度、これは本委員会にお願いし、また文部省の政府委員もおられるわけでありますが、選手強化の国庫補助の対象になる費目がきまっておるわけでございまして、用具とか競技場の借り入れとか、こういうものは全然対象外でございます。そこで、最近はむしろそういう方面に要るものが多くなってきた。これは強化といえばこういうものは一体のものだと思うのです。ところが、現在では、合宿費とコーチの経費と、それから医学の関係、それから国際交流、この四費目以外は国庫補助の対象にならぬというわけであります。ところが、それ以外の経費が非常に多いのでございます。最近、各競技団体から十数億になる対象外の経費がどうしても必要だというので、これを査定いたしまして約七億円程度にしておるのですが、これはもう補助の対象にならぬものでございます。補助の対象になるものも予算が削られて、それを補充するのは、自己資金調達というか、寄付金に仰ぐという実情でございます。来年度におきましてもまだおそくないのでございまして、三十八年度におきましては、それらの関係費目は——年度割には相当多額なようでございますので、従いまして、私どもといたしましては、どうか政府予算関係において補助対象をもっとゆとりのあるものにしていただかないと、各競技団体で自分で作るといっても、なかなかそうはいきません。そういうような次第でありまして、この機会にお願いかたがた一応私どもの考えを申し上げる次第でございます。
  42. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大へん懇切に答弁していただきまして、ありがとうございました。先ほど申し上げました勤務先の協力につきましては、大へん御努力願っておるようでありますが、こういうものはやはり文部省も、長谷川さん一つ努力願いたいと思います。これは法律できめるわけにもいきませんから、そういった点で御努力願うよりほかにないと思います。幸い今お話が出ました補助対象の問題でございますけれども、何かこれは立法措置が必要ではないかということを今ちょっと感じたのであります。長谷川さんも大体おわかりだと思いますが、あなたの方でお出しにならなければ、特別委員会で出していく、こういうことになろうかと思います。そういった御配慮をお願いしたいと思います。  いろいろお伺いしたいこともございますが、大へん時間がたっておりますので、なお一点戸田コースの問題につきましてお聞きしたいことがありますが、委員長にあとでお取り計らい願いたいと思います。  参考人に対する私の質問はこれで終わります。
  43. 島村一郎

  44. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 先ほど大島さんからトレーニング場所施設の問題について伺いました。平素のトレーニング場所として、千五百人のうち八割が東京におるが、朝霞が使えないで、国立競技場体育館を使う、それも旅行シーズンになると非常に困るというようなお話を伺ったのですが、この平素のトレーニングのかわるべき場所をどこかに想定して御研究になっておられるのでありましょうか。  私も総合的に簡単に申し上げることにいたしますが、今までアウト・オブ・シーズンとして入れなかった夏冬の場所、夏は御殿場の国立青年の家あるいは札幌、それから陸上競技の方では霧ケ峰、冬は大島の高等学校に体育館を作ってそれを使うというようなお話でございましたが、その他静岡の草薙に競技場がある、それからなお第三に、電鉄会社かどこかが計画をしておられる、こういうようなお話を承ったのでございますが、一番終わりの電鉄会社については、自分の乗客を乗せるということの営利という立場もございましょうが、電鉄会社がせっかくそういうような計画をなさっておったならば、これは東京オリンピックばかりでなく、今後ずっと競技場練習場として電鉄会社にやらせたらいいじゃないか。そこで、長谷川文部政務次官もおられますが、あなたの熱と政治力をもって電鉄会社を口説いてトレーニング場を作らせる、こういうふうに力をかしていただきたいということをお願いをいたすのでございます。  それから夏の場所として菅平の国立体育場、これは三十七年度予算折衝にあたりまして、主計官の谷川君も非常に同情をしておったわけです。ところが、肝心の文部省が先におりてしまったんですね。それで、われわれ自民党のオリンピック委員会の方で交渉にいったときには、もうすでに文部省がおりてしまったというようなわけで、全く振り上げたげんこつのやり場もないというようなことになったのですが、とにかく二兆四千億という予算ですし、財源はたくさんあったのですから、菅平の国立体育場ぐらいのことは——主計官もそのつもりで往生しておったのです。これは今さら言ってもおかしいのですが、文部省が先におりてしまったのでは、これはどうも話にならない。一億六千万というようなワクの中にどうしてもはめないというような音なしのかまえでおりてしまっておるのですが、一体これは三十八年度において菅平の体育場をトレーニング場所として、トラックを作ったり、あるいは体育館を作ったりすることがむだであるのかどうか、あるいはまた、引き続いてそのことを継続的におやりになる意思があるのかどうか、これは大鳥さんに承っておきたいと思います。  私のお聞きしたいことは、ごく簡単に申しますと、東京の平素のトレーニング場所にかわるべきものが考えられておるのかどうか、それから第二には、電鉄会社が何という会社で、それがどういう場所であるのか、どういうことで行き悩みになっておるのか、それから菅平の夏の国立体育場の施設を来年度においても要求して、そうしてオリンピック選手強化に当たる考え方があるのかどうか、この三つだけを承っておきたいと思います。
  45. 大島鎌吉

    大島参考人 今東京都内にありますところのいろいろろな施設の利用につきましては、近藤委員がその衝に当たっておりますので、これは近藤委員の方から説明を願うことにしたいと思います。  それから話のありました電鉄会社でございますが、実は東急でございます。場所は伊東の稲取でございます。あそこに約百万坪ばかりの場所がありまして、そこにトレーニングセンターを作ってやろうということでございます。場所は非常にいいところでございますので、私たちも乗り気であったのでございますが、一時土地問題で現地と東急との折衝がはかばかしくいきませんで、ようやく今年の一月十三日でありますか、話が片づいたのであります。この六月までに測量をいたしまして、土地をはっきり確定し、それ以後建設にかかりたい、こういうことでございます。最初私たちがお願いをいたしましたトレーニングセンターとしての全体の計画は、今からでは無理でございます。従いまして、できるだけの施設、すなわち、体育館と、ボール・ゲームが練習できるような場所というものはぜひ作っていただきたい。特に、ボール・ゲームをやりますような場所東京周辺にはございませんので、ぜひ作っていただきたいというお願いをいたしてございます。  それから菅平でございますが、これは文部省の皆さん方にもお願いいたしまして、ぜひ明年の予算には盛っていただくように——これは大体お聞きいたしますと、建物もございます。それから場所もございますので、着手をすれば比較的早い期間にでき上がるのじゃないかと考えておる次第でございます。  それから、今あちらこちら非常に御迷惑をかげながらトレーニング施設を作っていただいたり、整備していただいたりしておるのでございますが、これがあとどうなるかというお話でございます。あとの問題につきましては、われわれは、とにかく東京オリンピックまでという時限がついております、東京オリンピックまではとにもかくにもやらなければならぬというので、そこに重点を置いてやっておりますが、その次のオリンピック大会がモスクワでございます。私は、ここまで軌道に乗りましたところのオリンピック選手強化、そういうことは東京で終わりになるということはないのじゃないかと思います。やはりこの勢いと申しますか、この方向は続いていくのじゃないか。特に今日、今でもはっきり申し上げられますことは、今までの日本スポーツ界になかったところの新しい財産——これは施設じゃございません。人間的財産、すなわちコーチというものができ上がっております。このコーチが次の時代の新しい日本選手たちを作っていくことになるだろう、この財産は残ります。施設もある程度残りますので、この組織、仕組みは、オリンピック東京大会で終わるものじゃなくて、今後とも続くのじゃなかろうか、こう思っております。その点に期待いたしております。  なお、東京都の施設につきましては、近藤委員の方から御説明をお願いしたいと思います。
  46. 近藤天

    近藤参考人 私は、選手強化対策本部トレーニングセンターの運営委員長をいたしておりますが、実は先ほど体育館とか、あるいは陸上、水泳その他ボール・ゲームの練習場が非常に不足しておるというので、これを何とかしなければならない。強化対策本部ができましたときに、合宿の費用その他が足りない、要するに、お金が足りないのは全部の競技団体でございましたが、その次に足りないのが、今のトレーニング場所がないというのが大部分でございます。これに対する対策をどうしても立てなければならぬ。実は先般ローマのオリンピックの大会が終わりまして、非常に私は参考になると思いましたし、感心したことは、もちろん、りっぱな施設、大きな体育館、小さな体育館、そしてオリンピック村もりっぱなものが残っておりますが、それよりももっと感心したこと、南地区、北地区の二地区に、宿泊設備が完備し、それから体育館あるいは陸上競技、馬術の練習場その他あらゆるボール・ゲーム場が完備しましたトレーニングセンターが二つ厳然と残っておるという事実でございました。ここにあらゆる選手が合宿いたしまして、暖房のついた、しかもりっぱな食堂のある、そこの食堂は大へんおいしいものを食べさせますし、非常に安いわけであります。これはイタリアのオリンピック委員会が管理しておりまして、現在そこで合宿しておるわけでごごいます。そういったような設備ができることが理想でございますけれども、現実としてはなかなかそうはいかないので、現在どういうふうに考えておるかと申しますと、たとえば今神田の一ツ橋に国民体育館というのがございます、これは文部省の管理のもとにございますが、これをぜひバスケット・ボールに専用に使わしてもらいたいという申し入れをしておりますが、これはやはり一般にも開放しておりますので、バスケット・ボールのスケジュールを優先するというように今お願いしておるわけでございます。その他、各区にあります区立並びに都立の学校の室内体育館が、夜分暗くなっております。これに実は目をつけまして、室内を必要とする競技団体方々に、どういうところの学校の体育館が必要であるかということを今問い合わせておりまして、大体こういう学校の体育館がほしいというようなところには、その区の教育委員会、都の教育委員会方々並びに学校長、担当の方々と話し合いまして、夜分の管理費並びにその他のものをこちらが出してもというようなことで、それを借り上げる、こういう方向に実は進めております。それからもっと大切なのは、実は陸上競技競技場がないということと同様に、たとえばサッカーとかホッケーとかいうボール・ゲームのグラウンド、すなわち芝生のあるグラウンドが全然ないわけなんです。これを持っておりますのは、大きな会社の施設が数カ所あるだけでございまして、それらの大きな会社の方にも、何とか合宿練習ができるような期間貸してもらいたいと申し入れをするようになっておるような実情でございまして、要は、現在ございますところの、夜暗くなっているところを何とか使わしてもらいたいという方向に進んでおるような実情でございます。
  47. 長谷川峻

    ○長谷川政府委員 羽田委員の御質問、来年度やることについては、申し上げております通り、従来は施設でありましたが、選手強化の問題について、来年度予算については皆さんの御声援を得てだんだんにやって参りたいと思います。参考人からの御説明を聞いても、今の時代がどんどん変わりまして、設備、施設用具、いろいろ複雑な時代になっている中に、選手強化、そして大きな目標に向かっている御苦心がわかるのであります。片方ははだし、片方は高げたをはいて走っている、その御若心の筋はわかりますが、私はやはりもう一つ文部省的立場から申しますれば、たとえば、先ほど野村参考人が馬の話をされましたが、これは人馬一体で勝利に進むわけですが、日本で馬といえば、当時は軍部があって、高い馬をたくさん買ってきた。しかし、その当時といえども、私は西大尉以外に入賞したという人の話は聞いてない。私の先輩でありますが、遊佐幸平さんにお伺いすると、西君は全陸軍を通じて最も豪胆な男であった、そういうふうな根性が、最後のメーン・イベントにおいて高障害で優勝さしたということが私は言えると思うのです。先ほど織田さんもおっしゃったように、微風が吹いたらもう競技もやめたというふうな形では、かっての名選手の跡は踏めないのじゃないか。だから、やはりどうしても日本全体が、レクリエーションではこういう世界的な競技にはなかなか勝てないのだという気持で、古き先輩諸君が自分で草創の間に苦心したそのことを、近代設備の中にぜひ生かすように私はお願い申し上げたい。そういう激しさが、たとえばイタリアが二百メートルでは絶対今まで優勝したことはなかったが、あのイタリアにおけるローマ・オリンピックにおいては三百メートルで優勝した。その地元で開くということ、そして国民的期待に自分は沿うのだ、沿わせる選手が君たちだというふうなところに、ぜひ私は精神的なものも加味しておやりいただきたいということを、この際にあわせて申し上げておきます。
  48. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 大体、大島さんのお話あるいは近藤さんのお話で、御苦心のほどはよくわかりましたが、今の冬場のは、伊東のところに六月からいよいよ着工するというお話でございますから、それはけっこうでございます。それから長谷川政務次官から、菅平のことを含めての意味でしょうが、来年の予算では一つがんばろうというお話で、これまたまことに意を強くするところでございます。  それから東京で宿舎がないという問題でございますが、日本青年館の道を隔てて東側に高等学校があって、その間のところですね、ケヤキの木なんかも生えておりますけれども、あすこの土地は東京都が使えるということになっておるというお話でございますから、あすこでも木を切ってブルドーザーでならして、臨時にバラックでもいいですから、選手の共同の宿舎をお作りになるような御工夫を津島会長の方で御研究いただきたい。そうすれば宿舎の若干の緩和になりはしないか、こういうふうに思って、そのことを一言申し上げておきます。  以上で終わります。
  49. 島村一郎

  50. 田原春次

    田原委員 私は、参考人皆様の御努力に対してまず敬意を表し、大いに期待しておりますことを最初に申し上げます。  これは委員長に申し上げるような格好になると思うのですが、この出されました資料の「東京オリンピック大会目標一覧表」で、先ほど大島さんからもお話がありましたように、一位で二十四くらいメダルを取りたいという計画の中で、柔道が四つとなっております。ウエイトリフティング、すなわち重量挙が一となっておりますが、重量挙と柔道の方はきょうは参考人の方がお見えになっておりません。多分時間の関係その他であろうと思いますが、第二回を、今度は柔道とウエイトリフティングの担当者を呼んで開いてもらいたいということであります。たまたま二十八日と二十九日に全日本柔道選手権大会がありまするし、それから六月の十二日と十三日に重量挙の全日本大会が東京であります。その前後、閉会中でありますけれども、あらかじめ相談をされて、少なくとも次は二つの団体合わせて四人ぐらいを呼んでもらいたいのですが、そういう御意思があるかどうかということをあらかじめ御質問の形で申し上げておきます。柔道関係は、講道舘と全日本学生柔道連盟からそれぞれ専門家を呼んでいただきたい。それから重量挙の方は、日本重量挙協会——日本体育協会の一部門でございますが、それと、全日本学生重量挙連盟——全学連というのがございます。これは私が会長でありますが、専門家を呼んでもらいたい、そして一日研究してもらいたいことがたくさんあります。そのことによって、予定されております二十四の金メダルのうちまだ五つ残っておるわけでありますので、十分一つ聞かしていただきたい、これをお願いいたします。
  51. 島村一郎

    島村委員長 承知いたしました。
  52. 田原春次

    田原委員 それから大島さんにお尋ねを申し上げたいのですが、聞いておりますと、各スポーツ強化コーチが百四人になったということであります。これはまことにけっこうでございます。少ないくらいに思います。その研究費が、重量挙協会に聞きますと、月二万円程度だそうですが、これはまことに軽少で、お恥ずかしいことだと思います。やはり重量挙協会に所属しておる強化コーチも、それぞれ本職を持っておられて、本職をさいて来るのでありますから、他のスポーツもそうであろうと思いますが、一億六千万円で足らぬで七億にするというのなら、その中へあとちょっとばかり入れて、やはり車代とか実費弁償の食事、たばこ代ぐらいのことは考えてやるべきじゃないかと思うのです。ただいま大島さんの方でそういう強化コーチの人々に対する、報酬ではないでしょうけれども、今後何か実費の支弁方法について御計画がありますか、これを最初にお尋ねをしておきたいと思います。
  53. 大島鎌吉

    大島参考人 ただいま大へん具体的なお話が出ましたので、御説明申し上げたいと思います。私の方では強化コーチと専任強化コーチと二つございまして、専任強化コーチというのは、いわゆるそれを職業としておりますところのプロの方でございます。それは、種目の性質から、現在ボクシングと馬術に専任の強化コーチをお願いしております。あと全体が普通の強化コーチで、アマチュアでございます。それで仕事の余暇に選手のめんどうを見るということになっております。研究費は月に二万円ということになっておりまして、そのコーチが地方に出張する場合につきましては、それぞれ出張旅費が出ることになっております。この予算が、一応昨年までは一万円であったのでございますが、本年度から二万円にふやすという旅費のワクを作っております。ところが、都内におけるところの旅費その他であろうと思うのでございますが、実は私たちスポーツが好きでこのスポーツの道に入り、スポーツ選手養成に少しでもお役に立とうということでやっておるのでございますが、いろいろな委員がたくさんおられますけれども、体育協会では大体五十円のお茶一ぱいで会議をやるということになっております。スポーツをやることによって利益を得るのじゃないのだ、交通費くらいはそれぞれ自分で出して来いという形で進んでおります。われわれはほとんど全部が自分の小づかいをさいて若い選手のめんどうを見てやるというふうな気持でやっております。精神的なものでないと、東京オリンピックほんとうにうまく固まらないのじゃないか、今の選手を指導していく上においてほんとうに魂の固まりとしてこれを強化していくことができないのじゃないか、わずかばかりのことでございますが、みんなそれぞれ手弁当でやっております。コーチについて、そういう手当というか、旅費を出す必要があるかどうかということにつきましては、コーチ審議会の方でもいろいろ意見は出たのでありますが、しかし都内などについてはもうみんなが手弁当でやっておるのだから、こういうようなものはがまんしていただこうじゃないかというようなことで、一応予算などは組んでおらないのであります。それが実情でございます。
  54. 田原春次

    田原委員 コーチといえども、池田政府の物価高で、限られた給料の中から電車賃もたばこ銭も出せということは、誤れる精神主義だと思うのです。今柔道界でも問題になっておるのは、柔道の先生で待遇が悪いために十分な練習ができず、養成もできない。しかるに、たとえばこの間パリで勝ちましたヘーシンク選手は、いわばプロ柔道というか、十分に生活をしていくだけの収入があるわけです。この状態でいけば柔道家が栄養不良になって試合なんか出られぬということになる。でありますから、選手はもちろん、コーチもそういう気持で選手強化に当たっていただきたい。少しくらいの費用は自分で出せということが、もう一カ所回ろうと思っても、電車賃がなくて回れぬということになってはいかぬと思うのです。だから、交通費をさらに増額されるとか、これは池田政府に責任があるのですから、所得倍増政策の責任でありますから、委員長からも子分大蔵省にも談判をされて——ぜいたくをしろというのではありません、必要な経費は計上して、金銭面では何の心配もなく安心して強化コーチに専心してもらいたいと思う。今の大島さんの話を聞きますと、一万円を二万円にした、これで大ふんばりのつもりのようでありますが、私はこれではまことに不足です。少なくとも研究費は一人五万円くらい出す、そのほかに交通費も出すというくらいにしてほしいと思うのです。ここにだいぶ文部省の方も来ていますが、文部省は予算の取り方が実に下手であります。途中であきらめる方であります。この点については文部省自身がやはりねじりはち巻きで当たらなければならぬ。精神は、文部省の方の精神強化しなくちゃいかぬと思うのです。文部省からもたくさん来ておられますから、どなたか、強化コーチに対する実費弁償の増額について目標があるかどうか、お聞かせ願いたい。
  55. 前田充明

    ○前田(充)政府委員 予算の取り方について大へんおしかりを受けたのでございますが、今後の選手強化につきましては、先ほどお話がございまして、増額しなくちゃならぬ、それをどういう方法で獲得するかというようなこともお話がございました。その辺については、目下、関係の者で話をしている最中でございます。なお、来年のことにつきましては、強化対策本部方々と十分御連絡いたしまして、必要な経費についてはもちろん要求するつもりでおります。
  56. 田原春次

    田原委員 どうぞそういうふうに文部省でがんばっていただくように希望して、きょうはこの点の質問は終わります。  次は重量挙の強化コーチの問題であります。しばしばスポーツ新聞等にも一部報道されておりますように、強化コーチは、従来二名であったのを四名にするから、日本重量挙協会で資格その他を審査して四名出せということであったようであります。それで、日本重量挙協会では、全国の高等学校の先生その他関係方面の人を集めて審査をして、その結果、四人を推薦しておる。そうすると、そのうちの三名だけは強化コーチにするが、法政大学のOBであり、現在秋田県庁に勤めておる小林君だけは資格に欠けるということで却下されたらしい。そこで重量挙協会では、一つは、団体の自主性を認めてもらいたいし、それからそういうコーチの資格とか実力ということは団体が一番よく知っておるのだから、何とかもう一度再考を願いたいといって出しましたけれども、強化コーチ講習会に出ていない、あるいは地方におるというようなことで、また再却下らしい。そうしますと、四人のコーチを出せといって、責任ある日本重量挙協会から出したのに、一人だけは却下をするということは、他にだれか強化本部で候補者でもあって天下り的に出すのか、そうでなくて、資格審査表なんかで、これは資格に欠けるからというのか、その点はわれわれ重量挙関係の者は非常に心配しておるのです。御承知のように、重量挙は非常に小さい団体であり、じみである。大学でも東京に七つくらいしか参加しているところはないのであります。地方的にもまだあまりありません。そこへ持ってきて、私が会長である全学連と日本重量挙協会が内紛を起こしておるというような、ごたごたが昨年からあったようであります。内紛は何もないのですが、必要以上に御想像でやられたようであります。それはいかぬ、われわれは選手強化が第一なんだ、協会の人事なんかには学連から文句を言うわけにいかぬというので、学連関係の各大学の監督、選手の代表者等を呼びまして、一切人事については文句を言うな、私が責任を負って調整——と言うと、はなはだ言葉が過ぎるけれども、人事については何の文句も言わないで、ただレコードを上げるようにしようじゃないかということを言っておるのであります。せっかく仲良くやっておるのに、まだ何かあるだろうというふうにときどき書かれることは困るのですが、そういうふうに見えることは、不徳のいたすところであります。そこへ持ってきて、今度大島本部長の方から四人出せというので、四人出したところ、一人は削ってきた。どこに真意があるのか、はかりかねているわけなんであります。公開の場所でございますから、皆が聞きたいことを大島さんからよく聞かしてもらいたい。私も政治家であります。政治家というのは、島村委員長初めわれわれも、調整役、歩み寄り、妥協なんということもよくいたすようでありますが、たとえば、あともう一人だれかふやしてくれというなら、五人にするとか、そういうことで方法はあるのじゃないかという気はするわけです。いずれにいたしましても、法政大学は、きょうの一覧表を見ても、三宅というバンタムの世界選手が出ておる。先日の学連の新人戦におきましても、法政からは、大内君というのが、ジュニア、すなわち二十才以下の選手のうちで世界記録を破っている。それから明治大学の福田君がジュニア世界記録を破っている。この人たちは、これからの適正なる指導によっては東京オリンピックで勝てる有望な選手だ。そこへ持ってきて、法政大学から偶然一人もコーチが出られなかったようなことになると、その結果を心配する、こういう意味がありますので、きょうお尋ねするのです。非常に御苦心されて運営されていることについては感謝いたしますけれども、ひとり重量挙協会だけ特別にいじめなくてもよさそうな気がする。もっと奨励の意味では、コーチ補とか、あるいは嘱託とか、何でもいいのですが——あるいは、研究費を出したりするとかいう費用の点できておるのか、一般の資格規定できておるのか、あるいは、たまたま法政大学そのものに対する不信があるのか、あるいは、われわれの推薦したコーチそのものに何か難くせがあるのか、あるいは、他にだれかを推したいために一人削るというのかどうか、この機会に御答弁を願って、みんなを安心さしてもらいたいと思うのです。大島さん、いかがでしょう。
  57. 大島鎌吉

    大島参考人 非常に簡単な質問のようでございますが、内部的にはなかなかめんどうなようでございます。先ほども申しましたように、私たちは、コーチというものにつきまして、これに信頼を置きまして選手を作らなければならぬという考え方で進んでおります。従いまして、コーチの資格については、比較的厳重な規定がございます。ただいま御指摘になりました秋田県の小林さんは、この規定されておりますところの資格に合致しないということでございます。政治は妥協だということをよくおっしゃいます。おっしゃる通りだと思いますが、しかし、きびしいコーチ現場は、これは妥協を許されないのでございます。われわれは、そういう形の中で審査を慎重にいたしまして、特に重点主義をもって今回の第一次の準備活動も乗り切るという決意でありますので、さような資格に満たないということでお断わりを申し上げたのでございます。これが個人的になんだかんだとか、あとにだれか手持ちがあるのだとかなんとかいうことは、現在の段階では考えてはおりません。しかし、特にウエートリフティングは、オリンピックメダルを取っていただかなければならぬ非常に重要な競技でございますので、問題が今後どうなりますか、そのいかんによっては、われわれはまた新しい決意をしなければならぬ、かように考えております。
  58. 田原春次

    田原委員 先ほどの羽田君でしたか阪上君でしたかの御質問に対する大島本部長さんのお答えの中に、旗のあがるスポーツには、選手一名にコーチ一名をつけるぐらいにやりたいという、非常な意気込みでございます。現にローマで旗をあげたバンタム級の三宅選手もおる。それから有望な大内選手も出ておるのでありますから、法政大学から小林さんに限るといって出したものを、二度もつっぱねるというこははいかがだろうかと思うのです。それがはたして強化になるかどうか。四名出せというから四名出したのですから、四名に対して条件をつけることはいいでしょう、そうして強化の策を指示することはいいと思いますが、どうも今の御答弁だけでは、一般論であって、納得いきかねるわけであります。時間の都合もありましょうから、重量挙の問題だけで討論する気はございませんので、今の御答弁を了承しておきまして、いずれ強化本部並びに日本重量挙協会等々でよく御懇談を願って、少なくとも暗影なく、安んじて、多くの若手選手が気楽にして——現に二、三日前から、全国から二十五人の学生選手を集めて、今国立競技場スポーツマン・ホテルに合宿さして強化を実施中であります。学生諸君から、なぜでしょう、どうして小林さんだけ抜けたのですかという質問があり、これに対して私どもが十分学生を納得させるだけの答弁ができないものですから、この機会をかりて御質問申し上げておる。いずれにいたしましても、各種目にわたってメダルを取るようにし、すでにメダルを取った実績を持っておる重量挙競技に対しては、そう一そうの御指導と愛情ある御鞭撻をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  59. 島村一郎

    島村委員長 臼井莊一君。
  60. 臼井莊一

    ○臼井委員 すでに各委員諸君から各方面にわたっての御質問もございましたし、時間も相当過ぎておりますので、私は簡単に二、三について御質問申し上げたいと思います。なお、先刻来、いろいろ選手強化について各役員の皆様方が非常なお骨折りと御指導をいただいておることに対して、私からもお礼と敬意を表する次第でございます。  そのお話の中にもございましたように、皆様の御努力にもかかわらず、設備とか用具などでまだまだ非常に欠けるところがある、そのほかにも、体力を養成する上においてのいろいろな問題点で御不便をお感じになっていることがあると思うのでありますが、これらについては、予算の面では、私どもも、今さらながら、まだまだ努力が足りなかったということを感ずるのであります。しかし、まず日にちも多少あることでございますので、たとえば、現在予算が限られていても、これは東京オリンピック大会であっても、世界的な祭典でもありますし、日本の国をあげての協力というものが必要だと思うのです。そういう意味において、各地方とか、あるいはまた、財界、各方面でもまだまだお手伝いする場もあるのじゃないかと思うのでありますが、たとえば、今お話になったように、トレーニング場所等については、地方、また自衛隊等も協力しているようであります。選手を見出すといいますか、よく野球なんかでも選手のスカウトなどというのが流行いたしております。地方の体協あたりでも、選手強化ということを最近だいぶやっておりますが、そういう方面十分連絡をとるならば、これから種目によってはまだ新しく有望な選手も見出せるのではないかというふうに考えます。ことに年令の若い人は伸びというものが非常にありますので、大会のときに最高のコンディションに持っていくという点においては、そういう可能性もあると思うのですが、地方の体協には十分御連絡をいただいて、そういうことをおやりになっていると思いますが、その点について一つ
  61. 津島壽一

    津島参考人 ただいまの選手強化関係として、地方からりっぱな選手を選んでくるという問題と関連して、地方の体協との関係でございますが、地方体協も、選手強化関係で体協に連絡協議会を持ちまして、関係者が皆集まって、くまなく将来のりっぱな選手ができるような組織も持ち、またそのために熱心にやっております。なお、体協の会長会議は、来月の七日を期して私どもの方へ集まっていただいて、いろいろな今日までの経過、今後のやり方等についても十分お話を申し上げて、協力していただく。それから選手強化対策本部としては、専門家の——これは医事の関係ですが、スポーツ医事、体育関係、また、専門のそれを実演する者を地方に派遣しまして、全国にわたって、指導員を集めて十分これらの説明なり実演を試みて、相当成果を上げております。これは強化対策本部の事業として、一わたり全国を回って、各所でブロックごとに二、三百人の専門家が集まってやっているということでございますので、今後とも一そうこれを促進したいと思っている次第でございます。
  62. 臼井莊一

    ○臼井委員 それからもう一つは、先刻お話しの選手の体格作りといいますか、体格改造といいますか、そういう面で、これは文部省は全面的に協力するのはもとよりですが、そのほか、たとえば栄養の面とか、あるいは医学上についてのいろいろな対策とか、そういうものについて厚生省あたりもこれは協力すべき部面があると思いますし、そのほかの官庁などでも十分協力していると思うのですが、それらの点についてはいかがでございましょうか。
  63. 大島鎌吉

    大島参考人 体力につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、それぞれ体作りを中心といたしました特別のトレーニングをやっておりますので、きょうなども新聞に出ております通りに、全然別の選手、青年ができ上がってきているということが言えると思います。これにつきましては、今の日本スポーツ界が初めて当面した問題であります。今までこういうような体を持った選手というものは出てきていなかったのであります。それを技術にどういう工合に結びつけるかということが、現在の現場の問題でございます。もっとも、これがすべてであるというわけではございませんので、体力作りの上におきましても、今後二年半これを継続していかなければならぬと思いますが、重要なものは栄養でございます。栄養につきましては、これはなかなかめんどうな問題でございまして、特定の者に特定な食料を食べさすということが、スポーツとしてはたしていいかどうかというようなこと、全般的な問題になるわけでございます。ただし、合宿に入れております間は、一日四千五百カロリーがとれるように、またビタミンなども考慮いたしまして、特別な考慮を払っております。ただ、合宿をやります時間というのが、一年のうちでせいぜい最高三カ月あるいは四カ月くらいになると思いますが、あとの大部分の月日をどうするかということが大きな問題でございます。私たちといたしましては、その選手をめぐる家庭並びに周囲の御了解を得まして、そこらの盛り上がる空気の中で、その選手を取り巻く周囲で平素の管理をやっていただくように、食料管理をやっていただくようにお願いをしようではないか、大体そういう方向を打ち出しております。
  64. 臼井莊一

    ○臼井委員 すでに五カ年計画も立てられて強化に当たっておられるのですが、オリンピックのときの施設とか設備とか、そういうものは割合にはっきり一般にも観念が植わりつつあると思うのですが、しかし、この選手強化については、一つの陰の非常な力で、一挙にできない、また単に金だけでもできない、こういう非常な精神上のむずかしい問題もございます。しかし、それにしても、少なくとも私どもの国会でも、また政府でも、協力し得るそういうことについては、万全を尽くさなければならぬと考えますので、また今後委員会等に御希望がありましたら、どんどんおっしゃっていただきまして、私どもできるだけのお手伝いをしなければならぬ、かように考えておるのであります。  簡単ですが、以上で私の質問を終わります。
  65. 島村一郎

    島村委員長 阪上君。——御発言の前にちょっと申し上げますが、総務長官は、社労と内閣委員会と両方から出席要求を受けておりますので、できるだけ簡単にお願いしたいと思います。
  66. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいま委員長から御注意がございましたので、御趣旨に沿いまして、きわめて簡単に質問いたしたいと思います。  国立の戸田コースの問題についてでございますけれども、われわれ再三現場に参りまして、いろいろと視察をいたして参りました。ところが、あれが国際競技場としてりっぱに、恥ずかしからざる形態を整えるためには、いろいろと施さなければならぬ点があるわけであります。そこで、この際お伺いいたしたいと思いますのは、そのことために最近一つのきわめて悲観すべき事態が発生しているようにわれわれは考えるわけであります。それは何かと申し上げますと、地元の戸田町が、町議会におきまして戸田コース返上の決議をしたということを聞いております。去る四月九日であったように私記憶いたしております。その理由を聞いて参りますと、どうやら、あそこにあります競艇場から上がります収入が数カ町村に分配されておる、従って、あそこで競艇が行なわれないということになりますれば、これはそういった財源の配分に影響を来たすというようなことだと聞いております。しかし、このようなことは初めからわかっておることなのでありますが、最近になってこの決議が行なわれたということでありまして、非常にわれわれは残念に思っております。その間の経緯を一つ伺いたい、かように存ずるわけであります。  いま一点は、あの競技場は、どう見ましても、あそこにあります環境が国際競技場としては好ましくない、こういうことだと思うのでありまして、そのことのために、どうしてもあそこの住宅地域の立ちのきをしてもらわなければならぬ、それから工場地帯が若干ございますが、これも立ちのきをしてもらう、そういうことになりませんと、これは国際競技場としての体裁は全くないというふうにわれわれは考えておるのでありますが、そのことにつきまして、予算措置につきまして県との関係その他で依然としてまだ解決されていないとわれわれは仄聞いたしております。その見通しもあわせて総務長官からお伺いしたいと思います。
  67. 小平久雄

    ○小平政府委員 最初に、戸田町の議会におきまして、あそこで競艇をやることについての返上の決議をなさったという問題でございますが、実は私もそういうことがありましたことを新聞で承知をいたしました。直接的には別段何ら連絡もございませんから、直接的には承知をいたしておらないのであります。ただこの問題は、実は戸田を競艇場として使用するという話がありました際におきまして、御指摘のように、あそこでいわゆるボート・レース、競艇をやっておるということは、これは当時からあったわけであり、またあそこをオリンピックに使うとなれば、当然それとの問題も想定されたことでありまして、それにつきましては、これは埼玉県側において処置をなさる、こういう了解のもとに、オリンピックであそこを使う話し合いになっていたと私は承知をいたして、今日もさように思っているわけであります。それで、御指摘の戸田町の決議があったということで、直接には今申す通り何ら聞いておりませんが、私も気にかかりましたので、埼玉県側の話を伺ってみたい、こう思いまして、県当局から来ていただいたわけです。実はその際私留守にいたしましたので、直接には会いませんでしたが、四月の九日でございますか、副長官が栗原知事さんとお会いしまして、そのときの知事さんのお話では、この問題は県内の問題として知事さんが調整をして下さるというような趣旨のお話があったということを私は報告を受けておるのであります。従って、政府として少なくもこの問題にかれこれ進んで口を出すということも、かえって問題を複雑にするかとも思いますので、当初からのいきさつから申しましても、県当局に御配慮願う、御尽力願うということが一番適当ではなかろうか、現在もさように考えておるわけであります。  それから、今問題になっております九十五戸の立ちのきの問題、さらにただいまのお話ですと、工場も含めてというお話でございますが、この問題につきましても、衆議院及び参議院の両特別委員会委員の各位が御視察をなされまして、ぜひともこれは立ちのいていただくべきだ、こういう御意見が支配的でございますので、私も、でき得るならばそういう方向でいきたいものだと考えまして、実は埼玉の知事さんにも二度ほど直接お会いしまして、また関係各省からも来ていただきまして、何とか両院の特別委員会の皆さんの御意向に沿い得る道はないかと思いまして努力をいたしたのでございますが、従来までのいきさつからいたしますと、遺憾ながら、立ちのくということについて政府から補助を出すということにつきましては、まだ確たる見通しができません。むしろ、その点につきましては、目下のところでは、少なくとも政府の補助という点から申しますと困難なのではないか、実は、目下の見通しとしては、そういう見通しを持っております。そこで問題は、あの周辺一帯を他に移転していただくということが確かに一番いい方法であるには違いないと思いますが、しかしまた一部では、あの移転ということがどうしてもなければならぬものかどうか、特にレース自体の立場から考えた場合に、それがどうしても必要なのかどうか、あるいは、あそこにある程度の建物というものは、極端に申せば、全国至るところにあることでもあるしするから、ましてや、埼玉県側としても、あの周辺を整備いたして、現在非常にきたなくなっておりますが、そう見苦しくない程度には整備をなさる、こういっておられるのであるから、レースそのものに差しつかえがないならば、あの移転をしいてやらぬでもよろしいのではないかといった意見のあることも事実でございます。そういう関係もございますので、実は四月の六日に田畑組織委員会の事務総長においで願って、結局、組織委員会としてはどういう見解なんだろう、この段階にきてじんぜん日を送っておるのもいかがかと思う、組織委員会として、一体あの移転の問題はどうしても必要欠くべからざるものだという建前なのか、一方、政府としては、そのために補助金を出すということは、現在の時点では少なくとも困難といわなければならぬような状態だ、だから、補助が出ないという場合に一体どういう関係になるのか、どういう考えを持っておるのか、その辺のところを最終的に組織委員会としても腹をきめてもらわなければならぬと思うのだが、こういう話をしました。そのとき田畑さんは、まだ別に正式に組織委員会として決定をしていないが——これは田畑さんのそのときの私的な見解であったと思いますが、今さらほかへ変えるというわけにもいかぬと思うし、それだけは動かせないと思うというそのときのお話でした。しかしそれはいずれ組織委員会の内部において関係団体等の意見を聞いて調整したい、こういうことでお別れをいたしておるわけであります。その後組織委員会の内部等において調整をはかっていただいておることと思いますが、何分これだけの問題になったことでございますので、いつまでもほうっておくというわけにはもちろんいきませんが、またあまりに性急にこちらから催促がましくすることによって、かえって問題をこじらせてもいかがか、そういった考え方からいたしまして、ただいまのところ、私の方といたしましては、関係団体なり、あるいは県との間なりの話し合いを、組織委員会の最終的な態度というものを中心にして一つまとめていただきたい、こう思いまして、目下静観しておると申しますか、ただいまのところそういう状況にあるわけでございます。
  68. 阪上安太郎

    ○阪上委員 長官から今伺いまして、全くその通りであります。従って、これは大へん憂慮すべき状態にある、そういうふうにわれわれは考えます。しかも、すでに御案内のように、三十七年度で一億九千万以上の予算が計上されておる。三十八年度では二億四千万何がしということで、すでに大体見通しがついている、こういう状態でございます。ただ問題は、この前参りましたときに長官も一緒にごらんになったような状態なんであります。しかし、これは競技をする側の者から見た考え方であります。向こうに住んでおる方から言わせるならば、これはまたいろいろと御意見もあろうかと思います。しかし、全体的に見まして、あの状態では、衛生上の観点から見ましても非常に問題点があるということは事実であります。われわれ見て参りまして、まだ結論は出しておりませんけれども、また、われわれとして、いいとか悪いとかいう結論は出す立場にありませんけれども、方向としては、どうしてもあれは環境を整備しなければいけない、こういうことなんであります。これにつきましては、考え方によっては、金の問題ですから、大した問題ではない、三億も出せばいいのではないかというようにわれわれは考えるわけです。これは長官、何とか一つ努力願って、そういった国際競技をやるにふさわしい状態に持っていってもらうことを何としても要求したいと思うのであります。  それから、いま一つ非常に憂うべきは、戸田町の決議なんです。この場に至りまして戸田コース返上などということになってくると、これは大へんな問題だと思います。そこで、こういった見通しは一体どうなんでしょうか。つまり、県知事が中に入って当然話をまとめていくことになろうと思いますが、まとまる見通しというものがあるのかないのか、この点さらに一つ伺っておきたいと思います。
  69. 小平久雄

    ○小平政府委員 移転の問題、環境整備の問題でございますが、これは金の面だけ考えますと、確かにそう大した額ではない、これはわれわれもさようだと考えているわけなんです。ただ、金額というよりも、むしろ今日に至るまでのいきさつからいたしまして、特に大蔵当局等においては、環境整備は埼玉県でやられる、こういうことで、コースそのものの整備であるとか、あるいは競技に必要な施設であるとか、そういうものは政府で出す、そういうことで今日に至っているのであるからして、筋として、政府はいわゆる環境整備のための補助というものは出せない、出すべきでない、こういうことをことに強調していることは、御承知通りなわけであります。政府の方は、特に大蔵省側はそういう見解を持っておりますし、また埼玉側では、政府側の補助があるならば埼玉側も出す、こういうことを従来ずっと言っておられた、こういうことなんで、両者の言い分が非常にすれ違いになっておりますので、そこを何とか打開できないかと思いまして、先ほど申したような努力をしたわけですが、なかなか現在のところまではうまく参らぬ、遺憾ながらこういう実情なんであります。  それから、先ほども申します通り、なるほど、あそこを全然きれいにしてしまうということがベストであることは、確かに間違いないと思いますが、そうかといって政府の基本的な方針として、競技に必要なものは、これは国の力相応には出そう、しかし、いわゆる便乗的と申しますか、そういうものについてはこれは出さぬ、こういった基本的な考え方を持っているわけなんであります。あそこの移転が必ずしも便乗的とは申せないと思いますが、そこらをどう判断するかということがなかなか微妙でございまして、その間の意見の調整に苦慮いたしているという実情であります。  それから戸田町の問題で、その見通しがどうかということでありますが、この点は、先ほど申しました通り、埼玉県の知事さんも県内の問題として調整に当たって下さる、最近もそういうお話があったぐらいでありますから、私は、もっぱら埼玉県当局において、知事さんを中心としてこの問題は御解決をいただけるものと、さように期待もいたし、信じてもいるわけであります。
  70. 阪上安太郎

    ○阪上委員 予鈴もなりましたので、簡単に一言だけ申し上げておきますが、大へん御努力願っておるようでありますけれども、両方とも、申し上げれば、財源の問題じゃないかと思います。戸田町の問題といたしましては、開催期間内における財源補償の問題が出てくればいいのではないか、こういうふうに思うわけであります。それから今問題になっております建設補助の問題にいたしましても、これも最良の策ではありませんけれども、国から出なければ、何か出す方法があるだろうと思う。すなわち、地方財源でもってまかなっていくという方法も考えられると思うのであります。いずれにいたしましても、急激な収入減というものについては、これは臨時交付税等において見ることができるのではないかという見方が一つ出て参ります。それから先ほど申しました建設補助も、国の方で筋としてやりにくいということであれば、交付税で見ていくということもなきにしもあらず、こういった点におきまして、政府におきましてもぜひとも早く何とか打開策を見つけ出していただきたい。そうして、これだけが今問題として残っておりますから、何か一カ所うみを持っておるような感じがいたしますので、在来の考え方にとらわれることなく、新しい財源措置方法というようなことをお考えいただいてこれを片づけていくという方向一つ長官の御努力を願いたい。このことだけをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  71. 島村一郎

    島村委員長 この際、参考人各位に申し上げます。  本日は、長時間にわたり、貴重な御意見の開陳をいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして私から厚くお礼を申し上げます。      ————◇—————
  72. 島村一郎

    島村委員長 この際、閉会中審査案件の申し出の件につきましてお諮りいたします。  理事会の申し合わせにより、オリンピック東京大会準備促進に関する件につきまして、国会法第四十七条第二項の規定により、閉会中も継続して調査をするため、その旨議長に申し出ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認め、よう決定いたしました。     —————————————
  74. 島村一郎

    島村委員長 次に、ただいまの閉会中審査申し出の件に基づき案件が付託され、その現地調査を必要とする場合におきましては、委員を派遣いたし調査を行ないたいと存じますが、派遣委員の人選、期間、派遣地、その他所要の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  75. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  76. 島村一郎

    島村委員長 なお、本委員会が閉会中調査を進める場合におきましては、東京都、オリンピック東京大会組織委員会及び東京オリンピック資金財団等から、たびたび御出席をお願いせねばならないと思いますので、先刻の理事諸君との御協議通り、本委員会において参考人から意見を聴取する場合には、その人選及び手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 島村一郎

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十四分散会