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加藤シヅエ君 薬の名前は一々あげていただく必要はございませんですけれ
ども、私が
大臣に伺いたいと思いますことは、この新しい薬が輸入されてあるいは許可されるというような場合に、これは医学の進歩によりまして、全然今までなかった種類の薬だということを聞いております。そういうような薬が輸入されまして、これが一般に普及するというような場合に、それがどういう
目的に使われるかということは非常に問題になると思います。たいへんに大げさな言い分かもしれませんけれ
ども、科学が進歩いたしまして、原子力が平和
目的に利用されるというときには、これは人類の大きな幸福になると、こう
考えますけれ
ども、反対にこれが破壊力に使われました場合には、人類そのものが滅亡するであろうということを私
どもは非常におそれているわけでございます。こういうようなことに比べますと、話が少し大げさかもしれませんけれ
ども、今私が問題にいたしたいと思います薬は、その内容が非常に新しいものでございまして、私
ども戦前から家族計画運動というようなものをいたして参りました。その
目的はあくまでも母体の
保護であり、そうして家庭
生活の幸福、子供
たちも質のよい子供が生まれて育てられる、そういうようなことが
目的で家族計画というような運動が広く行なわれ、また認められて参ったわけでございます。ところが、それに沿う
目的であるかのごとく
考えられておりますこのたびの今問題にしております薬は、もしその使用を誤りましたならば、今私が申し上げましたような幸福を
目的とすることとは正反対に、非常な危険を含んでいる、こういうことを私は医者、研究家の方
たちから聞いているわけでございます。それで、ことにこの薬の非常な新しい作用によりまして、簡単にその薬を飲めば避妊ができるというような薬が、もしそれが事実であって、そうしてそれが簡単に日本でも薬局から買えるというようなことになりまして、そうしてそれが悪用されましたような場合には、私
どもの夫婦関係、男女関係の性道徳そのものが破壊されるおそれもある。そればかりではございませんで、母体に非常な破壊的な力を持っているのではないか、こういうことがすでに医学方面の研究をしている方々から発表されております。私が伺いたいのは、こういうような全然新しい内容を持った薬を許可なさいますその
基準は、薬事審議会がそういうことを審議なさるのだと思いますけれ
ども、薬事審議会におきましてもこういう新しいものの審議の
基準というものをどこに置くか、こういう問題を、この点についてまず
厚生大臣のお
考えを伺いたいと思います。