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政府委員(小平久雄君) オリンピックの問題につきましては、各方面に多大の御心配をおかけしまして、はなはだ恐縮に存じておるところでございます。その問題は御
承知のように、主として選手村の問題及び国内総合体育館の問題でございまして、これをどこにするかという問題が主なものでございます。御
承知のとおり、選手村につきましては、
東京大会を招致する当初から、大体これを朝霞のキャンプに設ける、こういう
建前でやって参ったのでございます。また、総合体育館につきましてはワシントン・ハイツの一部を返還を受けて、そこに設けたい、こういう
建前で組織
委員会も進んで参りましたし、
政府側におきましても、それに協力をいたして参ったのであります。
具体的に申しますと、昨年の十二月に、今申しましたような方針の
もとに米側と折衝し、正式にその申し入れをいたしたわけでございますが、本年の五月に至りまして、アメリカ側から返事が参りまして、朝霞につきましては、当初当方が希望した地区につきましては、これは一時的な使用ならばよろしいが、これを全面返還するというわけには参らない。ただし、いわゆる桃手地区というところで一部の約十万坪ほどの返還はよろしい、こういうことでございます。また、ワシントン・ハイツにつきましては、これが全面的な返還ならばよろしいが、しかし、一部の返還ということは因る、こういう返事でございます。そこで、そういう返事を受けまして、組織
委員会といたしましては、朝霞の選手村につきましては、若干当初の
計画とは違いますが、返還されるところ、あるいは一部開催中使用を認められるところ、これらを利用して、そこをとにかく選手村にいたそう。しかしまたワシントン・ハイツにつきましても、屋内体育館、これは水泳場を作るわけでありますが、その一部を、どこまでも
一つ返還をしてほしい、そのために当初は約九万坪ほど返還を希望したのでありますが、これを約三分の一程度に縮小いたしまして、その上、ぜひとも返還をしてもらいたい、こういうことでございましたが、その一部返還は、どこまでも困る、こういうことでございました。
そこで、この八月から九月ごろにかけまして、しからば、屋内総合体育館の敷地が、他に適当なところがないだろうかということで、数個所にわたりまして、綿密な検討をいたしたのでございますが、しかし、いずれも屋内競技場の体育館の敷地としては適当ではない、こういう
結論に達したのでございます。
そうこういたしておりまする間に、各種のスポーツ
団体であるとか、あるいは
一般の世論等からいたしましても、一面におきましては、朝霞は選手村としてはあまりに遠過ぎるではないか、また一面におきましては、せっかくワシントン・ハイツの全面返還ならばよろしいと米側も言っていることであるから、この際、これを全面的に返還を受けて、総合体育館も作るべし、選手村も、このワシントン・ハイツの方に移した方が、むしろ今後の競技の運営上もベターではないか、むしろそうすべきだといったような
主張が、だいぶ各方面から強まって参りました。これを受けまして、組織
委員会におきましても、組織員のあるいは懇談会あるいは正規の総会、これ等を開きまして、この検討を続けたわけでございます。しかして、先月の二十六日であったと思いますが、この組織
委員会の総会の結果、ワシントン・ハイツに選手村を持ってくるといたしましたならば、技術的にいって、どういう問題があるか、適否等をしさいに検討しよう、こういうことになりました。そこで、その検討の結果を本月の六日の組織
委員会にはかりましたところ、いろいろ議論はございましたが、一言にして申しますならば、この道路の問題、ワシントン・ハイツをめぐる道路の問題、これらに相当の難点はありまするが、それを適当に処理いたしますならば、あるいはまた、若干の交通規制等を用いますならば、ワシントン・ハイツは選手村としても適地である。こういう大体の
委員各位の御意向でございました。
それにつきましても、先生から
お話がありました
通り、朝霞の方に選手村を作るという
建前の
もとに、
東京都が主体となりまして、道路
計画等も進め、これを現に
実施して参ったのであります。この間、特に
東京都議会といたしましては、五月の多分十五日であったかと思いますが、都議会において選手村を朝霞にする、こういう決議までなさって、関連の道路事業等を推進して参られた、あるいは埼玉県側におきましても、朝霞に選手村がくるものと考えられて、いろいろな準備もなされておった、こういうふうな
関係もありますので、最も
関係の深い
東京都及び埼玉県側の御意向を十分承るべきである、その間、当組織
委員会との間の意見を十分調整すべきである、そういう
結論に達しました。
自来組織
委員会と
東京都及び埼玉県当局との間に、数次にわたりまして意見の調整が行なわれたようであります。しこうして先ほど
お話の
通り、昨日の都の方の、都議会の全員協議会において、大体の御意向がまとめられた、かように
承知をいたしております。なおまた埼玉側につきましては、明日最後の意見調整が行なわれるであろう、しこうしていずれも
東京都の側におきましても、若干の要望事項等もあるようでございますが、埼玉の方は、まだ明日にならなければはっきりいたしません。いずれにいたしましても、そういう要望の
もとに選手村もワシントン・ハイツにすることがよかろう、こういうことに大体今のところまとまりつつあると、かように申してよかろうと思います。
それが正式に両者がきまりますならば、組織
委員会におきまして、最後の御
決定をなさる、それを受けて
政府側といたしましての態度を早急に
決定をいたしたいと考えておるわけであります。
政府側としましても、この問題は早急にきめなければ、御指摘の
通り工期との
関係もありまして、せっかくのこの大行事が有終の美をおさめないというようなことでは困りますので、全力をあげて協力をいたしたい、そのためには、実はもう明日にも
関係閣僚の懇談会等も開き、追って閣議にも諮りまして、
政府の態度につきましては、閣議の御了解を得て万全の策を講じて参りたい、かように考えておるわけでございます。
以上が、従来の大体の経過でございます。なお、お尋ねによりまして
お答え申し上げたいと思います。