○
相澤重明君 私は、
日本社会党を代表して、総理の
施政方針並びに
関係国務大臣に対して質問を行なわんとするものであります。
この
臨時国会は、
災害対策国会ともいうべきもので、去る六月の
梅雨前線豪雨を初め、室戸第二
号台風被害に対し、
予算化、
立法化等により、
国民諸君の期待にこたえるのが責任であると思うのであります。私はこの機会に、
被災者諸君にお見舞を申し上げるとともに、災害により物故された各位並びに御遺族に対し、衷心より哀悼の意を表するものであります。今次災害発生するや、わが党は
早期臨時国会開催を要求したにもかかわらず、
池田内閣の無責任が今日まで延引したことは、まことに遺憾しごくであり、政府はその理由を明らかにしなければならないのであります。
次に、
池田総理に対し、政治の姿勢についてお尋ねいたします。総理は
話し合いの政治を口にされるのでありますが、前
国会末期のごとき状態を何と考えられるでありましょうか。
政防法の審議については、
民主主義に逆行する
問答無用多数決という、きわめて高姿勢があのような混乱を惹起したことを反省し、
政防法のごときは廃案となし、
国民生活に重要な法案を審議すべきであると思うが、総理の見解を問うのであります。
またこの
臨時国会では、与野党が十分話し合って
国会正常化に努力すべきであるにもかかわらず、衆議院においてわが党議員の懲罰問題を再現し、無理に
国会運営に混乱を起こしたことは、まことに残念の一語に尽きるのであります。しかしこれは
話し合いがつきましたけれども、やはり総理としては、少なくとも一党独裁でなく、
民主主義の原則に立って、議席数による配分をする、あるいは
国会正常化をはかる、こういう基本的な考え方を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
第二点は、
綱紀粛正、
汚職追放についてであります。最近とみに日立つのは、
公務員、
政府関係者の
汚職事件であります。しかもその代表的ともいうのが今回の
武鉄免許にかかる点であることは諸君が御承知の通りであります。政府はいかなる責任をとるのか。対策を持っておるのか。今次
武鉄事件は多額な金品により政財界に波及したのであるが、楢橋君は現大臣でないから
池田内閣に責任がない、こういうようなおそらく総理の御答弁があろうと思うのです。あなたは岸内閣で同じ
国務大臣であり、かつ
事案そのものは本年七月十一日認可という
池田内閣のもとに行なわれたことであります。私鉄に対する免許は戦後三回目であるが、今までの筑豊、伊豆急行の二件はいずれも三年以上の時日を要したのであります。武鉄は、申請をした当時は全く問題にならないほど、資金的にも内容的にもずさんであるということを当時指摘されておったのであります。今その内容を考えて参りますと、三十三年十二月に
大日産業の
社長滝島総一郎君が部下の総務、人事あるいは
経理等の者と、
埼玉銀行の頭取あるいは
人事部長あるいは支店長、こういう人たちと一緒になって、そうしてあるいはまた
土地買収のために
白雲観光会社等を設立をして、この事案というものをでっち上げたものであります。当時このことを調べて参りますというと、
東京京橋の
埼玉銀行会議室において、
発起人会議が十二月に持たれております。そしてその十二月
発起人会を持つと同時に、
中央線三鷹駅――秩父市御花畑間の約六十二キロ、これに対する
免許申請をしたものであります。三十四年三月にはこの
用地買収のために
白雲観光株式会社を設立をいたしましたが、資金的にも、あるいは免許をめぐる問題についても、
役員会の意見が一致しなかった。したがって、当時
埼玉銀行の
平沼頭取あるいはまた
滝島白雲観光社長は、相次いで
役員会を実は脱退をしておるのであります。そういう中に三十五年五月の
公聴会では、このような中に
西武鉄道等の猛烈な反対もあって、ついにこれは免許がされなかったのであります。しかし楢橋君が在任中のことであるし、これらの関係を
大映社長の大川君等の「つて」によって、元蔵相の小笠原君を
代表者として、ついに政財界の顔ぶれをそろえて、そうして
武鉄企業の改組を行なった、こういう経緯ということが言われておるのであります。したがってこれが事実とするならば、いわゆる
政治家に対するところの大きな工作というものが行なわれて、ついに
武鉄免許に本年は踏み切ったというのが、本年七月に
運輸審議会において委員が妥当と答申をし、しかも七月十一日に
木暮運輸大臣が、三十八年七月十日までに着工の
条件付で免許を行なったのであります。資金的には、五十六億円余の資金のうち
自己資金は約三十億、借入金が二十六億、
自己資金のうち三分の一は公募、三分の二は
発起人負担ということで、しかも問題のある
青梅土地区画整理組合との関係、あるいは
政界工作との関係、こういう点で使途額は実に十億余になろうと言われておるのであります。
土地購入代金は約十一億でありますから、こういう点を調べて参りますと、きわめて問題が残されているのであります。かくして希代の大山師と言われたところの
滝島総一郎に踊らされ、また利用され、また利権を得た者は数十人に及ぶという、しかもその中に
政治家が重要な役割を果たしているということであっては、国民の疑惑の出るのは私は当然だろうと思うのであります。こういう点に対して、政治に対する不信これ以上のものはありませんから、総理はどういうふうに内閣として責任をとるのか、その点を明らかにされたいと思うのであります。
また法務大臣には、大映の
大川社長に、お母さんの
病気見舞ということで、五日間の
拘留停止をされたということであるが、一たん帰って来ても、こういう重要な事案について、そういうことが軽々しく許されていいものかどうか、こういう点を私は法務省の見解を明らかにしてもらいたいと思うのであります。
池田総理は、
自民党の
政治資金源である
国民協会を中心に
近代化すれば、
不祥事故はなくなると、あなたは言われたそうでありますが、選挙に金のかかることを野放図にして、金をかける選挙をやるということをしておって、どうして汚職がなくなるでありましょう。しょせんは保守党の持つ選挙――利権――金、こういう宿命的とでもいうべきものではないかと思うのであります。あなたの言うように
国民協会で金集めをされるというときは、それじゃあなたの宏池会なり、あるいは隣りにすわっている佐藤さんの
周山会なり、あるいはその隣りの河野さんの
春秋会なり、あるいはそれらの
後援会ですか、そういうものは
一体解散をするのですか、どうですか。
さらに武鉄については
発起人関係者も疑惑を持たれておるから、運営しも私は相当問題があろうと思う。免許について再審査の考えはないか。またこのような疑惑を持たれる免許を答申した
運輸審議会の構成、運営について、
運輸大臣はどう考えるか。
免許事業については、さらに
電波事業のごとくに、
仮免許制度についても研究する必要はないのか。総理並びに
運輸大臣の答弁を求める次第であります。
第三は
災害対策についてであります。昭和二十八年の西日本の水害を初めとして、三十三年の
狩野川台風、三十四年の
伊勢湾台風、三十五年の
チリ地震津波、本年の
梅雨前線の豪雨及び室戸第二
号台風と、
災害日本と言われるほど大きな災害にわれわれは見舞われているのであります。これらの災害によりまして、人的には、死亡、
行方不明者実に七千五百余人、
罹災者の数は約四百万人、家屋の全半壊、流出は二十万戸に及んでおり、
公共土木施設だけでも約二千五百億余、田畑は約四千億余の被害を見ているのであります。国民の
人命財産がいかに多くの犠牲となっているかを真剣に考えなければならぬと思うのであります。
災害補正は、今次百四億八千百万円と
追加予備費百二十億ということを蔵相が言われておるのでありますが、とれでは単なる復旧だけで、改善はできないのじゃないか。
公共土木、
農林水産、
文教施設、
商工関係だけでも七百億以上の被害があるのであります。また、
公社関係の被害にはどうするか。総理は口を開けば、「経済のことは私におまかせ下さい」、そう言っておるが、去る二十二日の
新聞記者諸君との会見では、あなたは、国民の
生命財産まで預かると言ったそうでありますが、しからば、
大蔵当局の推定による三十六年度
税収自然増は約二千五百億、三十七年度には四千五百億以上を見込まれておるというが、国民から取り過ぎた税金は、当然
大幅減税を行なうと同時に、こういう災害のようなときには、再災害の起こらぬように、改善のため前向きの施策が必要であると思うがどうか。
この際、
中村建設大臣に一言聞いておきたい。あなたは、大阪を初め、被災地の調査及びお見舞に行ったそうだが、
大阪西淀川区西島川の決壊により、全市のうち、約十二万戸にも達する浸水で、現地の人々は
不眠不休、排水に努力しておったそうであります。
現地調査に行った
責任者のあなたが、自動車をおりないで、車の中から現地を見て素通りしようとした、こういうことで、現地の
被災者の憤激を買ったということは事実かどうか。事実とすれば、これは非常に重大な問題である。あなたに輿相を話してもらいたい。
今年の災害の特徴は、異常な豪雨のため、
中小河川あるいは
宅地造成のための被害がまことに多かったのであります。政府は、三十六年度より十カ年計画で九千二百億を投じて、
治山治水、
海岸保全、
防災ダム、
河川改修、あるいは道路五カ年計画では二兆一千億の巨費を投じて、輸送力の確保、
幹線道路、
大都市街路の
整備等に着手するのでありますが、
人手不足や資材の値上がりに対してどんな手を打とうとしておるのであるか、それをお伺いしたいのであります。
国土開発についても、各省の意見はばらばらであります。
公共投資、
都市建設、
工業配置についても、自治省は
基幹都市案、建設省は
広域都市案、通産省は
工業立地計画、こんなばらばらなことで、一体どうして総合的なことができるのか。今回ようやく政府も、
経済圏に
拠点開発方式をとるということで、六つの
経済圏を作ったそうでありますが、低
開発地域、
工業促進について考え方を明らかにしてもらいたいのであります。企画庁初め
関係大臣の答弁を求めます。
災害は必ずしも天災ばかりではありません。対策を忘れ、投資を惜しんだ
余り人災が生まれるのであります。これは厳に反省しなければなりません。新潟県白根市を流れる信濃川の支流中ノロ川の
堤防決壊により、農林省の
保管米四百三十九俵を
土のうがわりに使ったことがあります。これは、ひとつ
河野農林大臣から政府の考えを明らかにしてもらいたい。
現地調査の結果は、災害に対する認識の欠如と、地元一部の者と
保守政治家の結託の結果、今回のこうした事件が起きたのであります。県が当初計画した永久橋のかけかえ、堤防の
かさ上げということをやっておったら、今回のような事故はおこらなかった、こう言われておるのであります。政府は、人災をなくするために厳重なる
監督指導に当たるべきであるが、どうするか。
国際的には非常に
核開発に血道を上げておる米ソの対立、あるいはその進歩の中で日本は
竹やり的存在の
自衛隊の増強に狂奔している。あまつさえ、
国民勤労階層の
生活難をよそに、
次期戦闘機ロッキードの生産に一千億にもなろうとする
財政債務負担行為をのうのうとやっておる
自民党池田政権の無神経、無感覚には、全くあきれてものも言えない。(拍手)
自衛隊は
国土開発隊に再編成すれば、
憲法改正も必要ないし、多額な
債務負担行為である、おもちゃの
ロッキードを作るのをやめて、
平和国土建設のために、再
災害防止のために投資し、万全の備えをなすべきであると思うが、どうか。
伊勢湾台風の経験や本年災害にかんがみ、
高潮対策、
地盤沈下対策並びに
被災者の
住宅対策、
農林漁業施設、
農林物植栽復旧、
中小企業対策について、さらに
災害対策基本法等、
関係立法化や
資金対策についてもどうするのか、総理並びに
関係大臣のお答えをいただきたい。
第四は、
船ごみの問題であります。
運輸大臣は、九月十三日から
港運事業の新料率を実施をいたしましたが、現在の
船ごみの状態をどうしてあなたは解決しようとするのか。これは根本問題は、
労働災害をなくし、
労働者の
労働条件、
生活条件の改善以外に私はないと思うが、どうか。現在の
港湾運送事業による
貿易外収入は幾らか。
通産大臣に、また、その
貿易外収入はどういう面に使用されておるのか、御答弁をいただきたい。
なお、
運輸大臣には、第十七次
造船計画と、さらに問題になっておる戦標船、これらの関係についての
資金対策等についても御説明をいただきたい。
次は、
米軍基地の関係の問題であります。特に最近、
軍事基地の周辺におきましては被害が非常に多いのであります。ジェット機の
墜落事故、爆弾をあやまって落とす誤投問題、爆音による被害は今や人権問題にまで発展しておるのであります。わが党が主張するように、国際的には
中立政策をとるならば、
日米安保条約は要らないし、また、当然米軍の基地もなくなるのでありますから、これはもう問題はない。しかし、
歴代自民党内閣の誤った考えが、今や基地問題を頂点として、
日本民族を拷問にかけていると言っても、これは過言ではない。政府は、五月十三日に、米軍及び
自衛隊等基地に関する主要問題を討議するため、
基地問題等閣僚懇談会を作った。さらに、
下部機関として、
基地等周辺問題対策協議会をおそまきながら設けたいということは、これは私はけっこうだと思う。その構成、運営、
内容等について明らかにしてもらいたい。今後、大和、小牧、
板付等の
関係地区の
問題解決への方向を明らかにしてもらいたいと思うのであります。現在、
日米合同委員会で、米側の要求で、
基地周辺に
航空地役権を設定する協定を協議中と聞いておるが、
外務大臣、
防衛庁長官に経過並びに内容を明らかにしてもらいたい。さらに、米軍は勝手気ままな
飛行コースをとっておるが、政府はいかなる対策を持っておるのか、話を進めておるのか。
米軍機によるこの被害というのは、テレビ、ラジオ、そうして電話、こういうものが全く聞こえない。見ることもできない。
料金不払い同盟ができるのも、これは当然であります。前の
小金郵政大臣は、これは、
陳情者に対して、全くあなた方のおっしゃる通りである。これは人災であるから、
事務当局に
検討立案を命じた。こういうことを言われておるのでありますが、この視聴料金問題や国、地方税の減免については、災害に準じた特例を認めて、
基地交付金等による
財源補てんをなす考えがあるかどうか、
関係大臣の御答弁をいただきたい。また、移転補償問題についても
合理的解決ができないか。なお、これら
関係立法で補償されぬ部面に対し、
国家補償を行なうべきであると思うが、
国家賠償法の改正を行なう必要があるのではないか。
総理大臣、あなたに特に私の長い間の質問でありますから、今回はお答え願いたい。
国家賠償法を改正する意思があるかどうか、なお、
関係大臣の御答弁をいただきたい。
第六は
文教政策についてであります。
荒木文政の反動的なことは、これは
自他ともに許しておることであります。(拍手)あなた自身は、何でも自分の言うことは正しいことと思っているかもしれませんが、いざ一つお尋ねいたしましょう。第一は、十月二十六日、全国一斉の
学力テストはどんなねらいか、その理由を明らかにしていただきたいのであります。-おそらく、
条件整備と言われるでありましょう。しからば、
条件整備とは何か、五教科の
テストのために、他の教科を全部犠牲にする、あるいはからだの悪い者でも何でも、全部その試験を受けなければならぬ、こういうことは、……国家が問題を提出するような例は諸外国にあるか、日本だけじゃないか。米国が
国防教育法をきめて、
テストしたことがありますが、それもすでに二〇%以下ですよ。それから、英国の場合におきましても、十六才になると
資格試験をとらせている。これは今は自主的に行なわれて、文部省というのはノー・タッチであります。今回文部省が行なわんとする
学力テストは、憲法二十六条の学問の自由、
機会均等の精神を全く侵すものであり、そのねらいは、
日本国民の頭の程度を下げる、あるいは低
賃金政策、こういう現われではないかとも疑わざるを得ない。昨年十二月の
学術月報を見なさい。十年後の
人材企業別によると、
中学卒業が百四十万、高校卒が四十四万、大学卒は十七万人とされており、ちょうど符節が一致するのじゃないか。また、今回の
テストを起案した者は一体だれなのか。これは経済企画庁の中にある
総合計画人的能力委員会ではないか。その中には
調査計画目録に、一斉
学力テストは
文部担当としておる。藤山君どうなのか。子供の教育に全生涯をささげておる教師の意思をじゅうりんする考えか。
地方教委と教師との
話し合いによる方向をとるべきだと思うがどうか、
文部大臣。さらに、千葉県では来春卒業する中学生をすでに
実習名義で就職をさせておるというが、
学校教育基本法や
労働基準法違反ではないか。
労働大臣、
文部大臣のお考えを聞きたい。さらに、神奈川県下で、平塚では
炭鉱労働者の百七十六世帯の
集団移転があります。これについてもしこのままで就学させますと、一学級五十九人から六十一人というような
すし詰め教育になると思うが、政府はこれらの問題について、当局間の連絡と地教委、自治体への協力、指示はないのか、この際、
関係大臣の御答弁をいただきたい。
次は、
科学技術の問題でありますが、これはもう政府が七年間に一万六千人の定員増をはかると言っておりましたけれどもこれじゃ足りない。いわゆる
国公私立大学を通じ、理工系の
増員計画、あるいはまたそれに必要な施設、設備の拡充、
近代化のための予算の増及び助成の
大幅拡大、さらに
補助対象の拡大、融資及び
免税措置等についてひとつ御説明をいただきたい。さらに、教員の定数がふえなければ幾らそう言ってもこれは何にもならない。研究費の増額、待遇の改善という点について
関係大臣の御答弁を願いたいのであります。
第七は労働問題であります。
福永労働大臣は
国際機関に出席して、
わが国の
労働事情をよく紹介したようであります。たいへん御苦労さまでした。しかし、帰ってから、一体日本の
労働者の地位、
労働条件あるいは
生活条件がどうなっておるかということをあなたは反省されましたか。特に、
労働慣行の樹立やいわゆる
中高年令層の
失業状態を見て、
完全雇用ということを言っておるが、一体どうするのか、何か名案を考えましたか。現在求人難というが、実際に職安の窓口に行ってみると、
失業者が列をなして窓口で職を探しておるのであります。労働省のあなたのところで調査しているところによれば、五十一才以上は男が十九人に一人、女が九人に一人しか就職のチャンスがない。いわゆる三十才以上の九割はあぶれだと見ておるのですが、三十一才以上の
失業者は何人いるか。また、
職業訓練を行なっておりますが、現状はどのくらい
職業訓練を行なっておるか。その経過と今後の方針を聞かせてもらいたい。特に、
中小企業の求人は全くお手上げの格好であります。どうしたらいいか、そういう点についてもあわせて御答弁を願いたい。結局、
労働者の
賃金状態、
労働条件の向上以外に私はないと思う。政府の
最低賃金制、ああいうごまかしをやめて、正しい方向に私は認識を変える必要があると思う。
次は、
労働争議の問題であるが、
経営者もだんだんよくなって参りまして、
近代的経営方針を持つようになってきたので、件数は減ってきたが、しかし、今起きておる争議というものは、きわめて
経営者の中にはヒステリックであり、しかも悪質な事件が多くなっておる。私
ども神奈川県では、相鉄、日の出両交通の争議を見てみますと、
経営者は全くロック・アウトしておって逃げて歩いておる、
経営権の放棄をしておるのであります。こういう悪質なものは、免許を取り消すとか、厳罰に処すべきであると思うが、労働、
運輸大臣の答弁を求める。
最後に、賃金の引き上げについてでありますが、今回
人事院勧告によって七・一%、総額百八十四億を計上して十月一日から実施する、こういうものを蔵相が提案された。これはしかし、人事院の勧告というものを、あなたはすなおにいわゆる尊重しておるのでありましょうか。また、
労働者の給与について
関係者と十分相談し、
話し合いをするということが本来でありますが、なぜ
公務員共闘と
話し合いをしなかったのか。今の物価高から言えば五千円というくらいのものは当然じゃないですか。私
ども国会議員を上げるばかりではなく、そういう
公務員も上げなければならない。そういうことで、今回の補正で、中央あるいは
地方公務員、
公共企業体職員、こういうところに対する補正というものはあなたの提案で十分なのか、この点御答弁をいただきたい。
失対
労務者についてでありますが、
福永労働大臣、あなたはなぜ失対
労務者に対して賃金を上げてやることができないのか。それともあなたは、失対
労務者は食っても食わなくてもいい、こういう考えなのか、それともあなた自身の力がなかったのか、この点はっきりお答え願いたい。
次は、
医療社会保障関係でありますが、
同僚議員からすでにお尋ねしてありますから、私は簡単に
厚生大臣にお答えいただきたい。
国民健康保険の
事務費の問題あるいは家族の負担についてどうするか、あるいは
医療費の問題について、なぜ両
医師会、
薬剤師会と十分話し合って、この機会に
補正予算に計上できなかったのか、この点はっきりしていただきたい。
最後にに
ネルギー対策についてであります。
わが国の
エネルギー対策はきわめて不十分である。いかに
経済成長、
所得倍増を呼号しても、実効の上がらないのは当然であります。政府は諸外国の例を取り入れ、
総合エネルギー対策について、行政上、専管省あるいは
公団等を設ける考えはありませんか。
通産大臣。
次に、
貿易自由化により今後の
エネルギー対策の中心は石油に変えると通産省は言っておるが、三十九年までに非
能率炭鉱を六百二十万トンも買って山をつぶしてしまうというが、そういうことが事実なのかどうか。そのために、
石油各社は現在非常に競争して、
外資導入を考えている。その総額一億五千万ドルを上回ると私は承知している。しかも出資してもよろしいというのが数社あります。政府は
石炭産業について、赤字だから、経営不振だから、こういうことで、
エネルギー革命、いわゆる
石炭斜陽論ということを唱えて、
炭鉱経営者とともに、三十九年までに炭価を千二百円、
労働者を十一万人にも及ぶ膨大な首切り、
合理化政策を進めようとしているのである。三十五年度の
わが国の
エネルギー総需要量は
石炭換算で一億五千五百八十二万トン、そのうち五千九百八十四万トン、つまり三八%までが石炭であります。さらに
製造工業における
エネルギー費が全生産費との比率は五・七あるいは六%ではないか。石油に切りかえても、総コストの低下はわずか一、二%ではないかと思うが、諸外国においても石炭と石油の競争が激しいということは私どもも承知しております。その諸外国でも、総
エネルギーの六〇%――七〇%は
石炭確保のために必死の努力をしていることを
通産大臣は忘れてはいかんと思う。それはとりもなおさず、石油の原産地を除けば
輸入エネルギーが不安であるということを十分承知しているからであります。同時にまた、
労働者の雇用あるいは
地域開発、こういう問題が不可分の問題であるからである。政府がせっかくの
地下資源を活用しないで、
外国エネルギーに依存することは、国民のためでない。一部金融資本独占に奉仕する以外の何ものでもないことを暴露するものである。一時的な対策、
貿易自由化のムードによる幻惑でなく、外国事情や国家的経済事情の立場から
輸入エネルギー資源に頼ることなく、国産
エネルギー資源の開発に資金的にも政治的にも配慮し、
労働者の生活を守るとともに、地域経済の衰退を食いとめるために、本
臨時国会でわが党は
エネルギー特別委員会設置を提唱するものである。政府もそのように踏み切ったようでありますが、はっきりお答えをいただきたい。
以上の立場で、わが党は政府に対し、石炭政策の転換を強く希望するものであります。
池田総理、
通産大臣並びに
関係大臣の誠意ある御答弁を望みまして、私の質問を終わるものであります。(拍手)
〔
国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕