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亀田得治君
社会党を代表して簡単に
反対の
討論をいたします。
特に私は、
裁判官の
給与につきまして触れておきたいのでありまして、第一の問題は、現在の
裁判官の
報酬制度というものは、
裁判官の特質に合うように
根本的に検討をし直すべき時期に到達しておると考えます。例をとって申し上げますと、
裁判官の職務と
責任といったようなものは、ほかの職域におけるほど差がないのでありまして、したがって、たとえば
審級、あるいは
裁判長であるとか陪席であるとか、そういったようなことによって多少の差異がありましても、それほど差等を設けるべき性質のものでもありません。そういったような問題、あるいはまた、
法曹一元ということが、
司法制度を民主化するために一つのよい
制度であるということは、私
たちは理論的にも、あるいはまた、
米英における歴史的な
経過等から見ても、大いに検討していくべき問題であると思いますが、しかし、そういうことを実際に実現するためには、長い
間在野の
法曹をやって、そうして
裁判官になっていく、そういう
立場の人に対する
裁判官の
報酬、あるいは
裁判官をやめたときの
退職金の支給の仕方、そういったようなことにつきまして、普通の
官公吏とはやはり違った扱いというものをしなければ実情に沿わないのであります。こういうような
問題点は、ずいぶん前から指摘されておるわけでありまして、私
たちは、そういう点について、
裁判所がもっと抜本的に思い切って手をつけていくべき時期と考えておるのです。そういうことがおくれておるものですから、たとえば
裁判官の数が少ないというふうなことも、これは毎年
国会でも問題になるわけでして、
司法試験を通ったあとの進み方を見ましても、
裁判官の数が少ない。
在野法曹に行く人が多い。そのため、
裁判官の
欠員がなかなか満たされない。定員がふやしたいといいましても、そういう面からの自然的な制約というものがあって、どうにもならない。結果としては、いろんな
訴訟事件の遅延という現象となって現われまして、結局は
国民に多大の迷惑をかけておるのが現状だと思います。したがいまして、今回
一般職の昇給があった。したがって、それに対してまた、スライドしてこちらのほうも同じように上げていくと、こういうようなことを続ければ続けるほど、先ほど申し上げたような、
裁判官の
特殊性から考えた
報酬制度のあり方というものの矛盾というものを、ますます実際は拡大していく結果に相なってくるわけであります。
私は、現在の
裁判官の
報酬等がいろんな標準から見て低いという点はよくわかっておりますから、若干でも上がること
自体に対しては、文句を言うわけではないわけですが、
体系自体が間違っておる。これがいろんな人から指摘されておるのに、そのことをそのままにして、同じようなことを
一般職に準じてやられていくということは間違いである。こういうふうに考えておるわけでありまして、こういう観点から、特にこの二法に対しまして、
反対をするわけでございます。