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1961-11-30 第39回国会 参議院 法務委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月三十日(木曜日)    午前十時四十七分開会    ——————————   委員異動 十月三十一日委員田畑金光辞任につ き、その補欠として向井長年君を議長 において指名した。 十一月一日委員鳥畠徳次郎君及び亀田 得治辞任につき、その補欠として泉 山三六君及び小林孝平君を議長におい て指名した。 十一月十二日委員小林孝平公職選挙 法第九十条により退職者となつた。 十一月十四日委員村松久義辞任につ き、その補欠として堀本宜実君を議長 において指名した。 十一月二十二日委員堀本宜実君辞任に つき、その補欠として太田正孝君及び 江田三郎君を議長において指名した。 十一月二十五日委員向井長年辞任に つき、その補欠として基政七君を議長 において指名した。 十一月二十九日委員江田三郎辞任に つき、その補欠として亀田得治君を議 長において指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     松野 孝一君    理事            井川 伊平君            増原 恵吉君            高田なほ子君            大谷 瑩潤君    委員            木島 義夫君            大森 創造君            亀田 得治君            松澤 兼人君            基  政七君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君   説明員    法務省刑事局長 竹内 寿平君    公安調査庁次長 関   之君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○検察及び裁判運営等に関する調査  (被疑事件処理状況に関する件)  (公安調査庁調査活動に関する件)    ——————————
  2. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  十月三十一日付、田畑金光辞任向井長年選任、十一月一日付、亀田得治辞任小林孝平選任鳥畠徳次郎辞任、泉山三六君選任、十一月十四日付、村松久義辞任堀本宜実君選任、十一月二十二日付、江田三郎選任堀本宜実君辞任太田正孝選任、十一月二十五日付、向井長年辞任基政七君選任、十一月二十九日付、江田三郎辞任亀田得治選任、以上でございます。    ——————————
  3. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 理事補欠互選についてお諮りいたします。  去る十一月一日、理事亀田得治君が委員辞任されたため、理事に欠員を生じておりますので、その補欠互選をしたいと存じます。  互選方法は、慣例により、委員長指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 御異議ないものと認めます。  それでは私より理事高田なほ子君を指名いたします。    ——————————
  5. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、検察及び裁判運営等に関する調査中、被疑事件処理状況に関する件を議題といたします。  本件につきましては、去る十月十七日及び二十六日の両目、当委員会において調査いたしましたが、その際、当局側において御調査の上御報告いただくこととした事項がございました。その後当局側の御調査も進行したことと思いますので、まず、これらの諸点について当局側の御報告をお願いいたします。  なお、ただいま出席中の当局側は、法務省竹内刑事局長であります。
  6. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 去る十月十七日、亀田委員から御指摘のありました点につきまして、その後鋭意調査をいたしましたととろ、過般報告を得ましたので、本日その各点につきまして御報告を申し上げたいと思います。非常に多数の点にわたっておりますが、詳細に申し上げたいと思います。  まず、調査方法につきまして御示唆をいただいたわけでこざいましたが、事柄が検察の運営に関します問題と、それから検察官の綱紀に関する問題を含んでおりますので、私どももきわめて重要視いたしまして、亀田委員から御示唆のございました点は、もちろん現地にも知らせまして、慎重に調査方法等につきましても協議いたしました結果、まず、とりました調査方法は、検事長の責任において調査するということにいたしまして、検事長は、現在の池田検事正から検事正の責任において十点余りの調査項目につきまして正式の報告をとりまして、それからさらに検事長みずから、現在の原田次席検事及び伊津野検事を福岡に招致されまして、両検事と直接面談いたしまして事情を聴取をされ、検事正報告と対照しながら、真偽のほどを明らかにした模様でございます。それからさらに野田検事正につきましては、検事長から野田検事正に直接書面をもって照会され、書面をもって責任のある回答を得て、それに基づきまして当局報告が出されておる次第でございます。かような調査方法は、従来のいろいろな問題につきまして、部内の問題、綱紀問題等につきまして大体とっておりますやり方でございますが、検事長みずから関係検事を直接調べられたというようなことは、むしろ異例に属する事柄でございます。  そこで、御指摘のございました問題点につきまして逐次お答え申し上げますが、まずその第一点は、主任検事でありました苑田検事が、本年一月ごろに告発人今村真純氏に対し、二月になったら捜査に着手すると明確に言明したにもかかわらず、二月を経過しても本件捜査に着手していないではないかという点につきましてでございますが、今村氏が告発をした本件熊本地検が正式に受理いたしましたのは本年一月七日でございまして、本件主任検事である苑田検事は、同月十三日今村氏に告発趣旨を確かめた際に、同氏からいつごろ捜査に着手できるかという質問がございまして、同検事は、当時昭和三十五年に発生した三井三池争議関係事件公判立ち会いを命ぜられておりましたので、その準備及び争議関係残り事件処理に非常に忙しくしておりましたので、その際今村氏に対しまして、早急に着手できない事情を、今申したような事情を述べまして、熊本地検全体としては、二月になれば衆議院議員選挙事件処理が終わるであろうから、そのころ地検捜査体制に余裕ができるであろうという趣旨を述べたことは間違いございません。が、二月に必ず捜査に着手するという言明を与えた事実はないとのことでございます。なお、同検事は、選挙関係事件捜査には全く関係をしておらない検事でございます。  第二点の、本年七月、野田検事正岐阜地検に転勤をする直前になって、本件主任検事苑田検事から伊津野検事に変更したという点につきましてでございますが、野田検事正は、本年七月十五日付をもちまして岐阜地検検事正に転出をいたしましたが、同月五日、本件主任検事苑田検事から伊津野検事に変更いたしましたことは事実でございます。しかし、これは苑田検事三井三池争議関係事件公判立ち会いを命ぜられておりまして、その準備と、さらに同争議をめぐって発生しました警察官約五百名に対する特別公務員職権乱用等告発事件がございまして、その事件捜査に従事をしておりました関係から、本件捜査を早急にやらなければならぬというような検察庁内部考え方からしまして、この事件を本格的に捜査をやらせるには、苑田検事手元があまりに繁忙でございましたので、やむを得ず主任検事を変更したものであるというのが、検察当局の正式の回答でございまして、これに他意はないということが検事長によって確認されておるのでございます。  第三点は、本年八月下旬、伊津野検事は積極的に本件捜査を行なって告発人側にも会社書類保管場所、分量などを聞いて、あたかも強制捜査に踏み切るような印象を与えていたにもかかわらず、九月に入ると強制捜査の必要がないという態度に一変をしたという点についての疑惑でございますが、伊津野検事が、告発人側からの強制捜査の申し入れがありまして、これに対して、本件については任意捜査方法によって行なうつもりであるが、もし被告発人側証拠物任意提出に応じない場合は、これは捜索、差し押えを行なうこともあるかもしれないという返事をして応答をした事実がございます。その際、任意提出を求めるにあたりましても、証拠となるべき書類内容とか、保管場所等を聞きおきますことは、これは捜査上よくあることでございまして、必要であるわけでございますから、その点を告発人側が知っておるならば承知しておきたいという意味で尋ねた事実もございます。しかし、本件捜査におきましては、当初から今日まで、検察当局としては任意捜査方法によって終始しておるのでございまして、その間に捜査方針を変更した事実はさらにないのでございます。したがいまして、伊津野検事強制捜査に踏み切ることとし、その後その必要がないというふうに態度を一変したという事実は全く認められないのでございます。なお、この書類等につきましては、被告発人側任意提出を求めたところ、容易にこれに応じまして、捜査上必要な証拠物はほぼ収集されておる状況でございます。  第四点として御指摘になりましたのは、会社側において証拠隠滅をしている疑いがある。その具体的内容といたしまして、会社では本年三月一日から八月二十日までの間に、会社金銭出納関係していた重要参考人六名を、会計事務とは無関係の職場に配置がえを行ない、そういうことによって本件捜査を困難ならしめた事実があるのだということでございまして、具体的に一人々々の名前をあげられておられる一わけでございます。この点につきまして、会社側におきまして、本年三月一日から八月二十日までの間に、御指摘重要参考人会計事務とは無関係の職場に配置がえを行ないました事実は、そのとおりでございます。しかし、御指摘参考人は、すべてこれは会社側の証人じゃなくて、告発人側の人証でございます。この配置がえによってその取り調べに特に支障を来たした事実はなく、そのほか証拠隠滅等が行なわれて本件捜査に困難を生じたというような事実も、検察当局の側から見まして、いささかもそういう点は認められないのであります。  第五点は、本件重要参考人である熊本金属商美宝堂こと林敏夫につきまして、別件によって逮捕状が発せられているにもかかわらず、同人を逮捕していないという点でございます。特に告発人今村氏は、去る九月二十七日に熊本北警察署勇警部補から、右の林が岡山にいるということを聞いているんだ。にもかかわらず、同人を逮捕していないという点についての捜査上の疑惑でございますが、本件捜査におきましては、熊本の今申しました美宝堂こと林敏夫参考人として取り調べる必要があるのでございまして、現在その所在は明らかでないのが実情でございます。まだ同人取り調べるに至っておりませんので、鋭意その所在捜査中でございます。林につきましては、御指摘のように、別の横領事件によりまして逮捕状が現在発せられておりますし、全国に指名手配になっております。しかし、まだ逮捕されていないのでございます。なお北警察署の勇川警部補の話に関連した点につきまして調査をいたしましたところによりますと、林の所在につきまして、林から熊本におります林の知人あてに住所を広島と記載して岡山局の消印のある手紙が送られている事実がございます。さらに、この御指摘の九月二十七日に熊本北警察署勇警部補が別の事件参考人として今村氏を取り調べました際に、今村氏に右の手に入れております書信を、手紙を見せまして、林が岡山市か広島市付近にいるのではないかというふうに漏らした事実があることがわかりました。しかし、同警部補も林の所在を確認しておるわけではなくて、現在捜査当局警察検察庁を含めまして林の所在を確認するに足る資料をつかんでいないのが現状でございます。  第六点でございます。重要な証拠品であるいわゆる板井メモ二冊、この原本が紛失しているのではないかという疑いの点でございます。御指摘によりますと、本年七月、関係者伊津野検事から告発関係書類を見せてもらったときに、右の証拠品がそこになくて、同検事は「高検にでも行っているのかな」と申したということでございます。この点につきまして、私は前回の委員会でも、紛失というようなことは信じられないことだというお答えを申し上げた記憶があるのでございますが、この板井メモ二冊原本は全く紛失事実はなく、現に主任検事手元に現存しております。このメモを領置いたしましてから今日まで引き続き主任検事手元にあるのでございまして、この伊津野検事が「高検にでも行っているのかな」というふうに言ったという事実は、伊津野検事につきまして検事長が調べたところによりますと、どうもこれは何かの行き違いではなかっただろうかということで、自分手元に現存しているものをそんなことを言うわけがないというのが実情のようでございます。  第七点として申し上げなければならないのは、七月八日、野田検事正本件の被告発人竹林勇氏とともに阿蘇ゴルフをして阿蘇観光ホテルで会食をしておる。これは事件関係者と責任ある捜査権限を持つ検事正ゴルフ一緒にするなんということは、綱紀問題ではないかという御疑念でございます。この点につきまして調査をいたしましたところ、本年七月八日、これは土曜日でございますが、野田検事正阿蘇観光ホテルで御指摘のような人たちと会食をし、一晩観光ホテルに宿泊しまして、翌九日日曜日に阿蘇ゴルフをした事実は間違いなくあるのでございます。しかし、これは本件事件とは実は関係なく、司法関係検事正の友人である方から、日曜日にゴルフを楽しもうという申し込みを受けられまして、それで検事正も時おり阿蘇ゴルフをしたことがあり、数名の者とそこへ参ったのでございますが、そのゴルフ場観光ホテルも九州産交の会社の経営にかかるものであるといいましても、そこの支配人も、あるいは被告発人である竹林氏もその仲間に参加をしてゴルフをやったということでございまして、お客さんはむしろ司法関係の方でございましたので、そうしてこの竹林とか支配人とかいう方は、全くパートナーとしておつき合いしたにすぎないということでございます。なお亀田委員から部屋割りその他についての御質問もございましたのでございますが、この点につきましては、検事正のほうはどういうふうに部屋割りをされたのか、そのいきさつは存じないということでありまして、なお検事正答弁書によりますと、会費を三千円ですか、支払いまして、しかも、自分はその観光ホテルに前にも泊まったことがあるけれども、ここはお客さんを主にしたのであって、自分の泊まった部屋は、いつも泊まるところよりもずっとお粗末の部屋に泊まったのであるということでございます。事件と全く関係ないことは、これによって認められるのでございますけれども、まあ李下に冠を正さずといったような考え方からしますと、もし避け得たならば、林と一緒に、パートナーでありましても、一緒に同席し、一緒ゴルフを楽しむというようなことは避け得たならば避けたほうがよりよかったのではなかろうかというのが私どもの感じでございます。  第八点といたしまして、三十四年八月に阿蘇山上ロープ・ウエー建設に関して会社の公金をごまかしたという事件があって、本件については、最初高田検事が担当しておったのであるが、途中で他に転勤を命ぜられ、その後堀検事が担当して不起訴になった。事件処理野田検事正県警本部長及び会社側が、熊本の料亭「おく村」で祝杯をあげたといわれているという情報を御指摘になったわけでございますが、まず、そのような事件があったことは間違いないのでございまして、高田検事熊木地検から長崎地検厳原支部検事に転任をしております。これは検事正の発意でそうしたのではなくて、検事の人事はもちろん法務大臣が掌握しておりますが、多年の慣例によりまして、検事長の推薦によって決定することになっております。ほとんど検事長検事異動権を持っておると申しても過言ではないぐらい、推薦によってこれを決するということになっておりますが、御承知のように厳原は島でございますので、なかなか検事をそこへ回しますことは、検事長の一つの苦労の人事になっておるようでございます。それで、大体年限を限りまして交代をさしておるのでございます。たまたまこの高田検事がその番に当たりまして、検事長からの指名を受けてそちらへ転任をしたのでございます。本件ロープ・ウエー事件とは全く関係ない。これは検事長の権限でいたした人事でございます。それから同事件処理後に、これはまた聞き捨てならないことでございますが、料亭「おく村」で祝杯をあげたというような点につきましては、この処理の前後を通じまして全くないということで、これは何かの誤解ではあるまいかというのが現地からの報告でございます。なお、阿蘇山ロープ・ウエー事件は、三十五年十一月七日付をもって不起訴になっておりますが、この不起訴内容をここで詳しく申し上げることははばかる次第でございますけれども、私どもが事務的に検討いたしました結果、この処理はやむを得ない適正なものだというふうに考えておる次第でございます。  第九点は、昭和三十四年十一月、本件告発人今村真純氏が九州産交従業員組合幹部使い込み事件告発したのでありましたが、本件については、野田検事正強制捜査を差しとめ、結局不起訴処分になったといわれているという点の御指摘でございます。三十四年十一月、今村氏が九州産交従業員組合、これは第二組合でございましょうが、との組合の幹部を告発した事件がございます。その後同事件は不起訴処分になっておるのでございますけれども野田検事正がその事件強制捜査を差しとめるというようなことは、もちろん野田検事正は否定をいたしておりますし、事件の概要を、私ども、これも不起訴事件でございますので、公開を差し控えなければなりませんが、事務的に内容を検討いたしました結果、これは強制捜査に踏み切るような事件でもないので、検事正の、確信を持っての、強制捜査を差しとめたのでないという確言は、私どもの立場から見ましても相当である、こういうふうに考えられますので、これも野田検事正に対するうわさと申しますか、そういうものにすぎないものでなかろうかというふうに考える次第でございます。  第十点は、これは本年八月、会社が、もと会社従業員清田しめ子という女子職員を、同人が退職してから後に、会社職員章を手に入れて、これを不正に使用して乗車したという事実で告発をいたしております。本件は被害がわずか二十円という事件であるということで、熊本北警察署においてこの告発事件捜査した際に、右、清田取り調べの過程で、女子職員を誘導しまして今村真純氏からその職員章をもらったと言わせたという事実があるが、そういう調べはいかがなものであるかという点の御指摘であったと思うのでございます。この点につきまして調査をいたしましたところ、清田しめ子に対する不正乗車——詐欺事件でございますが、この事件は、回数等はわかりませんのでございますが、数十回にわたって不正乗車をしたという告発のようでございますが、結局証拠としてあげ得るものは二件だけで、結局、金額にすると二十円ということになるのでございますが、北警察署において取り調べ中に、その不正職員章はどこからもらったかということにつきまして、清田のほうから、実は今村さんからもらったのだという供述をしたために、今度は今村さんに、お前やったことがあるかということで、今村氏を調べるという順序になっておるようでございます。したがいまして、何でもかんでも今村からもらったというふうに言わせて取り調べを進めたというような事実関係は——現にこの事件検察庁に最近送られて参りました。検察庁で現在取り調べておりますけれども検察庁の調べにおきまして本、そのような誘導したというような点は認められない状況でございます。  以上をもちまして、大体御指摘の点をお答え申し上げた次第でございます。
  7. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 本件について質疑のおありの方は順次御発言願います。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 各点にわたってたいへん詳細な御報告があったわけですが、若干納得できない点につきまして、少し確かめておきたいと思います。  まず、告発人に今年の一月に担当の苑田検事から、二月になれば本件捜査に着手する、こういうことを言った点でありますが、ただいまの刑事局長報告を聞いておりますと、検察庁全体としては、二月になれば手がすくのではないかというような意味であって、必ず着手するというふうに言ったのではないというふうな趣旨のように聞いたわけですが、しかし、告発人側から見れば、必ずとか、その検察庁全体としてはとかいうようなことを実際に言うたのか言わぬのかわかりませんが、必ずという言葉が入っていなくても、あなたがおっしゃったようなことを検察官が答えれば、これは二月になったら手をつけてくれるのだと、こういうふうにとるのじゃありませんか。ともかく、早く手をつけてくれということでお願いに行っているのだから、それは必ずと言わなかったから、そういう告発人のとり方は少し思い過ぎだといったようなことを言うことは少し非常識に聞こえるし、自分手元は忙しいけれども検察庁全体としては手がすくだろうというような、まさかそんな詳しい説明もなかったのだろうし、そういうことは腹の中にあったかもしれないが、おそらく言葉の表面には出ていないと思う。私も念のため、そのとき聞いた方に、ちゃんと苑田検事言葉を書いてもらっているわけですが、もちろんそこには、苑田検事言葉としても、必ずということは書いてありません。しかし、一月中は他の事件関係で手が回らぬが、二月になれば手をつけると、こういうふうに言われれば、これに手をつけてくれるのだ、検察庁全体として手がすくから手をつけられるだろうというような意味だったとか、必ずがないから差しつかえないのだとか、そんなことには、ちょっと私はならぬと思うのです。だから、こういう点はどうなるのか、苑田検事のそういう言明というものは、結局検察官としては軽率だというふうに解釈していいのか、そこら辺のもう少しはっきりとした見解を承りたいのです。
  9. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 先ほど話しましたように、二月になれば、選挙関係事件処理が終わるだろうから、そのころ地検捜査体制余裕ができるだろうという趣旨のことを述べたということになっております。それの受け取り方でございますけれども、早く捜査してもらいたいという申し出に対して、そういう答えがあったといたしますれば、それを聞いた方は、二月になったら着手してもらえるのじゃないだろうかという印象を受けたといたしましても、これは私無理からぬことだというふうに感じるわけであります。しかし、言ったか言わぬかという責任問題にまで話を持っていくということになりますと、言わぬものは言わぬ、こういうふうに言ったのだということに私はなると思うのです。問題は、それでは苑田検事がほんとうに、まあ君が余裕があるなら自分でやってくれと検事正が言うような苑田検事の手持ちの態勢であったかどうかということを、ひとつ私ども内部としては検討してみなければならぬと思うのですが、先ほど来申し上げましたように、苑田検事選挙関係してない検事でございまして、むしろ三井三池争議の公一判立ち会いを命じられておる検事です。したがって、その公判立ち会いのための準備相当頭の痛い幾つかの問題もかかえておるわけでございますし、さらに、その争議をめぐって警察官五百名が職権乱用だというので告発をされておる。この事件をまた関連事件として苑田検事がやらなければならぬ、こういう立場にございましたので、おそらくは、私まあ内部で実務を見ております者とすれば、こういう場合に、どの検事をどの事件に振り向けてやるかということは、検察庁内部の手ごまを全部検事正が勘案しまして、この種の大きな事件をやる場合には、手のうちを考えて着手するものでございますから、苑田検事の一存で自分がやれるからやるというのじゃなくて、苑田検事自身がやれないような態勢にあるわけで、おそらくは、その言葉趣旨からいいまして、二月になれば選挙も済むから、ほかの選挙関係しておった検事余裕ができる、そうなれば熊本地検としてもこの事件をやれるような態勢になってくるのじゃなかろうかというふうなことを述ベた。これはまあ私ども常識で考えられるわけでございます。しかし、そういうふうに言った言葉が、相手方に二月になればやってもらえるかもしれぬというかなり希望を持たしたということは、私否定できないことだが、それが言明であるとか、さらにひいては軽率であるという問題になってきますと、私はまた内部的に見て今申したような事情でございますから、言明というふうには認定できない。さらにそれを言葉じりをとらえて軽率であるというふうに断定するということはちょっといかがかというふうに考えます。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 苑田検事が客観的にもそんなにたくさん仕事を持っていてどうにもならぬものなら、初めから苑田検事の担当にしなければいいわけですが、これはどうなっているのですか、それほど客観的にとてもできないのだということがわかっているのなら。それをしておいて、私は担当検事ですと言うて告発人に面会をしておりながら、検察庁はもう何でもいい、そういうふうに一応形式的に割り付けてしまうのですか。そんなことはないでしょう、客観的にできないのに。
  11. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) これは検察庁実情を申し上げないと御理解をいただきにくいと思いますが、非常に事件が多うございますので、原則としては、裁判所が事件を受けた場合にも、配点の順序は、もう順序によって配点をするというので一つの公平が担保されておるわけでございまして、検察庁におきましても、裁判所のとおり厳格な配点の順序というものはありませんけれども、来た順序で受け付けて検事を大体きめていくというのが建前だと思いますが、ほかの検事は当時まあ選挙違反で忙殺されておる状況でございまして、本年一月初めにこの事件が正式に受理されて、まあ苑田検事のところに割り当てられたという段階だと思います。それで告発事件は、これはあまり自慢のできる話じゃございませんが、なかなかこれは着手いたしましてもまだ腹ごなしもできていない事件でございまするので、特にこの東京地検なんかの状況を見ておりましても、一年も二年も検事がかかえておるというのがございますし、一人の検事が、多い人は八百件も多いときはかかえているという状況でございまして、特に熊本ですと少数の検事しかおりませんので、一応受けた以上は、だれかの検事のところへ事件は割り当てておかなければならぬ。それでその検事が見て、あるいは意見を述べて、これはとても自分の手に負えないと思うからというので、次席なり検事正に申し出て、そうしてさらに検事正のほうで配分を変えるというようなこともあり得るのでございまして、その辺の事情は、現地へそこまで私どもが介入して処理にくちばしをいれることは適当でない。検事正の常識によって判断をしていただくほかないと思います。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 さっきの御答弁にもあったわけですが、またわれわれも、告発人たちも、当時苑田検事から聞いたわけですが、選挙関係調べも一月中には大体片づく、そういうふうな状況になっておったと思うのです。それであれば、わざわざ三井関係のそういう大きな事件を持っておる苑田検事に持っていかぬでも、その選挙関係の人に配分していけばいいわけでしょう。
  13. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 仕事が警察のように実は検察庁内部では分化しておりませんのでございますけれども、なおその一応の責任者と申しますか、そういう意味検察庁の組織におきましても、検事正、次席のもとに、公判——法廷のほうでございますが、公判係とか、あるいは刑事係とか、あるいは公安係とか、青少年係とかいうように大体区別をいたしまして事務を処理しておるのが実情だと思いますが、この苑田検事は、三井三池争議の担当の検事でございまして、私ども内部では公安係の検事ということになろうかと思います。今聞いてみますと、そうだということでございます。そういたしますと、この事件は背任とか横領とかという事件でございますけれども組合関係の者の関係する事件でありますので、事件の性質から申しますと、公安係の担当すべき事件ということになろうかと思います。そういう意味であるいは苑田検事のところにまず配分されたものではなかろうかというふうに思われます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 この時点だけのことをあまりこまかくやっいても時間をとり過ぎますから次に移りますが、まあ検察庁として二月になったらともかく手がすくだろうと、全体として言ったんだということにしろ、告発人というものは、やはり検察庁全体というものを相手に考えているわけですからね。だから、それはそういうふうに言われたのであれば、選挙関係のやつは現実には一月中に大体終わっているわけですから、二月から手をつけるのはあたりまえです。その際苑田検事が公安関係を持っていて忙しいというのなら、計外的にそういうことを言明した以上は、検事正がそのことを聞いて、そういうことを担当検事が言ったのなら、それはひとつ外部に対する関係からいっても、ほかの検事に手伝わせてでも手をつけさしていくことは、これは私は検察庁のやはり責任だと思うのですよ、そのぐらいの配慮は。だから、そこの苑田検事言葉内容なり微妙な点がありますから、ちょっとここでやりとりしてもいたずらに時間がかかると思いますから、この程度にしておきます。  それから第二の、七月五日に担当検事が結局苑田検事から伊津野検事にかえられたわけですね。これは単なる事務的のものだというように言われたわけですが、しかし、五月から苑田検事はともかく本腰を入れて本件と取っ組み出したわけなんですがね。で、なぜそれをかえる必要があるのか。今お聞きすると公安関係の人で打ってつけなんですね。しかも、検事正がこれがすぐ転勤になるわけでしょう。ほかへ行くわけでしょう。それなのにかえた。あとはほかの検事正がやるわけですね。もう岐阜へ野田検事正が移るということがわかっておって、なぜそんな時点において検事を取りかえなければならぬか。私はやはりこの検事正がもうかわることはわかっているわけでしょうから、検事正交代のときに事務引き継ぎとして、本件苑田検事がこういうふうにやっている、あとの処理については、それは新しい検事正にやっぱり責任を持ってもらって公正に処理してくれという点が私はほんとうだと思う。去る者がその去る直前に担当者をかえて行ってしまう、こんなことはちょっとふに落ちないのですがね、単なる事務的とおっしゃいますけれども。その点、刑事局長はどういうふうに見ておられますか。
  15. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 仰せのように、この十五日に移るなら、これは引き継ぎ事項として、自分苑田検事が少し荷が重過ぎるように思うが、新任検事正がよく事情を聞いた上で、早く処理するために主任検事をかえるのが相当かどうか、自分はかえたほうがいいと思うがというような意見で後任の検事正に引き継ぐといったようなことで処理を後任検事正にまかせるほうが適当ではなかったかと私は思います。しかし、この七月十五日の発令でございますけれども、五日当時に野田検事正がもう転任を知っておったかどうかという点につきましては、私は確認する方法はありませんけれども、知らなかったのじゃないだろうかという感じも実はいたしておるのでございます。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 いや、そこら辺は当然重要なことですから。お調べになっていないわけですか。この検事正の交代について何日ぐらい前にどういう連絡が野田検事正まで行ったかということを。
  17. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) その点は調査しておりませんので正確にお答えできないのでございますが、私のまあ感じでございますけれども、十日も前から交渉するなんということは、検事正の場合にはなかろうと思うのでございます。
  18. 亀田得治

    亀田得治君 いや、大体、ずいぶん早くからわかる検事正もあるようですよ。これはどういうつてでわかるのかこれは知りませんけれども、多少高検検事長あたりから内意を聞いたりするということが伝わるのかしりませんが、私は決してそんな十日前にわからぬというふうな断定はできないと思うのです。むしろ、わかった直後にこういうふうなことをしたような目で私はこれは見ておるのです。だから、これはちょっとあなたのほう自体が命令を出すほうですから、お調べを願いたいと思うのです。いつごろこの検事正の交代について連絡等が行ったのか。  それから次の点ですがね、あまり一つ一つ言い出しますとたいへん時間がかかりますが、たとえばこの八月に伊津野検事告発人に対して、会社書類のある場所、あるいはその分量、そういったようなものを書いてもらったときに、もし会社が任意で書類を出さなければ強制捜査するというふうな意味のことを言うためだというふうなさっきのお答えであったようですが、しかしまあ一方では、これは初めから任意捜査の方針で一貫してやっているのだ、こういうふうに刑事局長は先ほどお答えになっている。そういう一貫した方針をこの事件について持っておるのであれば、それは何も、もし出さないならばというようなそんなよけいなことは言う必要のないことですわね。私は、検事がもし知りたければ帳簿の分量なり、場所なり、そういうことを聞かしてもらったらいいわけで、あなた自身がさっきおっしゃったのによりますと、もし出さない場合には強制捜査をするというような意味のことを言うたのだ、こうおっしゃるわけですが、任意捜査の原則がそれほど一貫しておる毛のなら、それはよけいなことですよ。そうじゃないので、やはり告発人のほうからの証拠隠滅の問題なり、いろいろなことを言うていくものですから、伊津野検事だってやはり八月には動揺したと私たちは思うのです、これは何とかしなければならぬと。ところが、その後の事情でまたそれがとまった。あとからの理屈のつけ方として、先ほど局長がお答えになったようなことを言っているようにしか私としては受け取れないわけですからね。ほんとうに任意捜査の原則で一貫しているというなら、そんな条件付のようなことは、一体検事として言っていいものですか、どうですか。こっちの身になってみればそれをどう受け取るか、条件付のそういう発言を。その点どういうふうにお考えですか。
  19. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) これは、一貫して任意捜査の方針というのは、過去を振り返って、告発をしてから今日までの捜査において一貫して任意捜査の方針を堅持してきたという、こういう条件付という言葉がいいかどうかわかりませんが、そういう意味の私は報告だととっておるわけなんですが、そうしたものは将来に向かってやる場合に、任意ときめたらどんなに強制捜査の必要な場合でも一歩も許さないで任意で押し通すのだという性質のものではなくて、やはりほしいと思っても証拠が出してもらえないということになれば強制捜査をするということは、もし捜査に、誠実に捜査をするということであれば、そういう場合もあり得ると思うのでございまして、一貫して任意捜査方法によってきたというのは、過去を振り返ってみてそう言っておるのであって、将来にわたって何といっても任意捜査で押し通すのだということなら、場合によっては捜査を放棄するような結果もまたあり得るのでありまして、捜査につきましては、法の許す限りにおいて可能なる手段で全力をあげてやるというのがこれは捜査であろうかと存じます。したがいまして、将来に向かっての話の際に、もし手に入らなければ強制捜査も差し押えも行なうことがあるかもしれぬと言ったのは、私は捜査官として当然なことだと思うのであります。今、検事長からの報告の中に、終始任意捜査方法でやってきたと申しておるのは、今まで一月七日から今日までの経過を振り返っての御説明であろうと考えます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 それから、六名会計関係の人が転勤させられましたね。そのことによって別に捜査上支障を来たしておらぬ、こういう報告が来ておるように今聞いたわけですが、どうしてそういうことになるのか、ちょっと私たちわからないのですがね。この問題になっておる金銭のこの操作を実際に扱った人、それが会計事務から、会社からほかへやらされる。このこと自体は取り調べのためにも非常に不便なことでしょう、現在そのポストに引き続いでおるかおらぬかということは。だから、転勤させられた人は心理的にもやっぱり会社からいろいろな圧迫を感ずるわけでしょうし、それから全体としても会社に不利なことを言えば、真実であってもこういうふうに左遷するのだ、こういうことがどうしてこの捜査全体に支障を来たさないと、全然関係ないようにおっしゃったわけですが、それは捜査が本気にやられておらぬのじゃないでしょうかね。呼び出すにいたしましても、あなた、天草あたりに転勤させられておる人もおるわけでしょう、重要な参考人で。その点、私納得がいかぬのですが、そんなものですかね。どんどん重要なポストの人が、事件に直接関係あると思われる人が、そんなかえられたってちっとも捜査上差しつかえないのだと、どうしてそういうことが言えるのですか。はっきりして下さい、その理由を。
  21. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 板井敬治さん、元経理部会計課勤務、——いわゆる板井メモの作成者でございますが、この方が健康保険組合に五月二十二日に転出いたしまして、その後八月二十日に天草に転勤をいたしたのでございますが、その他の長尾二郎さん、あるいは岩永直行さん、こういう方は共済会に転出をしておるようであります。それから高野兼道、元経理部長、これは企画室長に転出した、こういうことになっておるのでございます。で、天草に転勤した人をちょっと取り調べたいという場合に、遠いという点の不便はこれは否定できないと思いますが、これらの方々はいずれも告発人側の証人でございまして、取り調べをするに際して全部取り調べもしておりますし、来てもらって供述を変えてあるいは会社側に有利なことを言わなければならぬような立場の方ではない。事実知ったままのことを述べ得る立場の方でありまして、これは抽象論でございますけれども、抽象的に申しますならば、今の天草へ行った方が距離が遠いということを除きましては捜査に支障を来たすことはないというふうに考えられるのでございます。
  22. 亀田得治

    亀田得治君 それは常識的には受け取れませんよ、そういうことは。  で、この美宝堂林敏夫ですがね、これがいまだに逮捕されないというのがはなはだ納得がいかぬのですね。で、先ほどのお答えもありましたが、勇川警部補今村告発人に林のことについて触れたのは、岡山からの電話がありましてね、そのことを今村の目の前で話っておるのです。勇川が手紙今村に見せたというようなそんな事実は絶対ないですよ。だから、そこら辺も何かうっかり勇川が今村にそういうことをしゃべったわけでしょうが、あとから何かうやむやにするようなことが感ぜられるのですね。はなはだこれなんかも、本件関係があるだけに心外だと思うのです。それからメモの点は、これも板井メモの二冊ですが、自分手元にあるのだから、そんなことを言うはずがないとおっしゃいますけれども、「高検に行っておるのかな」というようなことは、これは検事でなければ出てこぬ言葉ですよ。しろうとがそんなことを言うわけがない、作りごととして。何かはかのことでしょう、それは。言うならばほかの言葉を使う。それも言うた覚えがないということをおっしゃるわけですが、現にあるのだから、それでいいじゃないかというわけには私はいかぬと思うのです。あること自体はそれでよろしいのですがね。ただ一括して岩永に告発関係の番数を見せられて、その中にないものですから、岩永としては、たいへん重要な書類だから、これは何といったって告発人のほうが気がつきますよ、なければないで。そういういきさつのことですから、実際こういうのは奇怪です。はなはだ熱の人れ方がょっと足らぬのじゃないかと思うのです、ここら辺のところが。  次の検事正の遊興の問題ですね。これはちょっと確かめておきたいと思うのですが、先ほどの答弁によりますと、三千円払ったと、こう言うておりますが、これは野田検事正、領収書でも観光ホテルからもらっておるのですか、どういうことなんですか、払ったというのは。
  23. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 私のほうでは、領収書の点は確認いたしておりません。
  24. 亀田得治

    亀田得治君 これは私この前申し上げなかったかどうか知りませんが、この金は三井鉱山が払っているわけなんです、検事正の分も含めて。産交の分は産交の会社が払ったというのです、産交担当者が。そのほかの分は三井鉱山が払っている。三千円検事正が払ったというのは、一体どういうことなんですか。問題になってからこそこそ持っていったんじゃだめですよ。
  25. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 検事長からの正式な報告の中に、三千円支払ってあるということが書いてございます。その報告書に領収書はつけて法務大臣に報告されてはおりませんが、私は常識的に考えましても、第三者に自分の泊まった料金を払ってもらうなんということは考えられないことでございまして、亀田委員がたって三井鉱山から払ったとおっしゃるならば、ひとつ私のほうもはっきりとその点をやりますことは、検察の威信のためにも大切なことだと思いますので、お教えを願いたいと思いますが。
  26. 亀田得治

    亀田得治君 私のほうでは三井鉱山が払ったというふうに調べはなっております。あなたのほうは三千円払ったとおっしゃるのですが、それじゃお聞きしますが、その三千円というのはその日払ったわけですか。あるいは後になって精算したという意味なのか、それはどうなんです。
  27. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) その点につきましては、翌九日でございますが、日曜日に帰るときに三千円を支払って帰ってきた、こういうふうになっております。
  28. 亀田得治

    亀田得治君 それは観光ホテルに直接払ったのですか。
  29. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 報告によりますと、翌九日に、戸上氏というのは三井鉱業福岡事務所長のようでございますが、この戸上氏に会費として三千円を支払って帰った、こういうことになっております。
  30. 亀田得治

    亀田得治君 一応そのことはそれなりに聞いておきましょう。私たちは宿帳なりそういう正規の関係からしか行けないわけですから、内部関係まで立ち入って調べることはできないわけですから。そこで、三千円とおっしゃるが、全体の経費というものは幾らかかっているのですか。
  31. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 会費というととでございますから、ゴルフのグリーン・フィーだとかキャディ代なども含めておそらく三千円だと思います、宿泊料と。
  32. 亀田得治

    亀田得治君 いや、私の聞いておるのは、その一行があるわけですから、八日から九日にかけて一行がいろいろ使ったわけでしょう。その全体の費用というものは幾らかかったのですか。
  33. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) そこへ参加した人たちの全体の費用が幾らかかったかは、取り調べの対象になっていなかったわけでございますが、野田検事正関係部分につきまして申すならば、そのゴルフを楽しんだために、前の晩に泊まったことと、会食したということと、それから翌日ゴルフをやった、これらを含めまして、会費として三千円ずつみんなから徴収してそれで精算したと、こういうことでございまして、検事正は所定の会費三千円を九日に支払って帰ってきた、こういうことになっております。
  34. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことでは納得できないわけですよ。たとえば選挙関係等で会費百円持ってこい。あとはひとつ十分ごちそうを食べて帰ってくれといったようなことをやった場合に、一体世間はどういうふうにそれを批判するか。そういう意味で、私はこういう疑惑を投げかけられた以上は、全体のかかり工合の中のはたして三千円というものは妥当なものかどうか、非常に重要だと思います。そこまでのことは質問の対象にこの前なっていなかったということでお調べなかったかもしれませんが、これはぜひ調べて下さい。
  35. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) もちろん、この会費三千円が妥当であるかどうかということは、一応考えなければならない問題だと思いますが、私も詳しいことはわかりませんが、会員組織のゴルフ・クラブで、会費と、それからそういったゴルフを楽しむために要する経費というものが千円ぐらいなものだといたしますと、いい部屋じゃなかったという話でございますし、ホテルへ泊まって、ホテルに食事がつく、これは二千円ぐらいと、こう見ますると、三千円は東京付近ではあるいは安いかもしれませんが、阿蘇であったならば、相当じゃないかというのが私読んだときの印象でございます。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 それから産交だけじゃなしに、三井鉱山関係事件というものが熊本地検では相当たくさん扱っているわけでしょう。これは産交事件以上にそちらのほうが大きいわけでしょう、事件の分量としては。それは熊本地検では三井鉱山関係をどれくらい扱っておりますか、刑事関係告発関係、いろいろあるわけですが。
  37. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 御必要でありますならば、取り調べまして正確にお答え申し上げます。きょうはその熊本で取り扱っております三井関係事件調査はいたしておりませんので、お答えできません。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 それも調べて、私たちも幾らか知っているわけですが、結局産交にしろ、三井関係にしろ、非常に熊本地検関係があるわけなんですわ、公に。それが事もあろうに検事正がこんな遊び方をしているなんというのは、私はもうゆるんでる証拠だと思うのですよ。そんな姿勢で一体ほんとうに産交なら産交の従業員なり株主が、重役がけしからぬことをやっているから、これを何とかしてくれと言うてきた場合に、突っ込めるかというのです、そんな姿勢で。いや、それは遊びは遊びだ、こっちはこっちだと、そう簡単にいくものじゃ私はなかろうと思うのですね、こういう問題は。だから、はなはだこれは遺憾千万でしてね。この検事正は、これは法務省としてはほっとくのですか。まああの程度はやむを得ぬというので、遺憾の意はちょっと大臣もこの間表されておりましたが、で、そんな程度で済む問題でしょうか、実際にあの熊本地検との、いろいろな関係というものを見た場合に。現にそれは疑惑を与えているのですから。私は疑惑だけじゃないと思う。やはりそんな姿勢じゃ、会社の心臓部にメスを突きつけるというような事件はなかなか扱えませんよ。検事正の処分なんというものは別にお考えになっていないのですか、どうなんですか。
  39. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 先ほど来お答え申し上げて一おりますことは、先般御指摘になった点の事実関係についての報告を申し上げておるわけでございまして、この事件をどう見るかという点になりましては、私もちょっと先ほど報告に付加して触れましたように、事件ゴルフとの関係は、一応ゴルフゴルフ事件事件という建前であったことは事実としてまあ考えられるわけでございますけれども、瓜田にくつを入れずと申しますか、もしそういう方とゴルフをしなくても済む話ならば、また、その場合そういう方とゴルフをしないでも済ませ得る方法があるならば、そういう方法をとったほうがいいというふうに私自身も感じておるのでございます。しかし、野田検事正の姿勢が悪いという点につきまして、これをどういうふうに法務省として処置をするかという点につきましては、まだこの事件は現に捜査しておりますので、こういう事件が一応一段落になりました暁において十分検討いたしまして考えたい、かように考えております。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 まあ大体お答えになった点についての問題点の確かめはこの程度に一応したいと思いますが、ともかく姿勢がやはり弱いのですね。それで、最近は関係者検察庁に行けば、君ら、早くやってくれと言うから早くやっているよという調子なんです。ところが、こちらは早く突っ込んでやってくれという意味なんでして、早くやりさえすればいいというのじゃない。ただずっと体裁だけ整えて終わりと、そういうことじゃ、全然告発人を無視しておる。不可解なのは、告発人たちが指摘したのは、はっきりとした裏づけのできるものを氷山の一角として出しておるのです。で、普通、検察庁は、どこでもある程度、そういう氷山の一角が出てくれば、どうせそういう金の操作なんというものは、あっちこっち全般に関係がありますからね、それで全体について検討してみよう、これはもうどの場合でも検察庁はされておりますよ。ところが、どうもこの事件の扱いについては、ああ、お前がこれを言うているならそこを調べてみようというような感じを受けるわけですね。多少関連があっても、あまり不確実のことを出すと、お前の言っておることはいいかげんじゃないかというようなことを言われるから、今度はこっちが萎縮してしまうわけですね。そういうような感じを与えるということ自身が私は不可解なんです。しかし、それでもまあいたたまれぬものですから、そういうことがあるなら、産交に、検察庁のほうに出しなさいと、私もこれは注意しておるわけなんです。で、出したって、それはまたこっちでも、こんなものが来たよというようなことを言われたりすれば、そうして取り上げてもらえなかったら、また今度は会社の中で、お前たち要らぬことを言うてというふうにいじめられるだけで、検察庁がそういう印象を与えるということはまずいと思うのです。私も勧告しましたものですから、十一月二十八日——一昨日です、福岡高検に直接、実は前から聞いておったことですが、二つほど書類に書いて持っていっておるわけですけれども、これは会社がタイヤなり油を購入する場合の不正購入でリベートをごまかしておる疑いがあるわけなんです。これは金額としては相当大きなものです。これは書類は福岡高検に直接持っていったようですから、高検のほうでは知っておるでしょう。何とか普通のことをやってほしいですね。それはこちらは強制権もないわけですから、あまり理詰めにいろいろなことを言うたら、それは萎縮するし、成り立つものだって成り立たぬようになってしまいます。どろぼうにも三分の理があるというから、いろいろな理屈を向こうだって考えるわけだから、おかしいと思うのです。そういう点は。だから、これは追加したやつは出ておりますからね。これは前ほど裏づけはないかもしれませんけれども、問題の性質上、ここまで問題があれば全般について検討するということが私は普通だと思うのでして、そういう姿勢はやはりとってほしい。この見通しなどは一体どうなんです。この事件の。変なことも聞いておるのですがね。
  41. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) まだこれの結論が出ておりませんのでございますが、たって資料にせられたいという御要望がございましたので、書くこともないわけですけれども、ちょっと書いたわけです。あまり遠くない時期に結論を出したいというのが現地の意向でございまして、現段階では鋭意捜査をしておるという状況でございます。  それから今、亀田委員の仰せになりましたように、告発事件がもちろん常人が見て氷山の一角である場合もありますし、これは告発内容によってはそのすべてである場合もありますし、まあいろいろございますが、検察官とすれば事件告発されておるのであって、したがって、その事件全体について、たとえ告発人が知らない事項でありましても、犯罪になるものにつきましては捜査するというのが、これはもう常道でございます。しかるに、本件についてはやる気がないんじゃないかというふうに見られるというお話でございますけれども、そういうような印象関係者に与えますことはまことに遺憾なことでございますし、われわれも十分注意はいたしますが、検察庁として告発事件はあっさりと頭をなでて、その告発された事実だけについての犯罪のあるなしをきめるといったようなことで従来検察庁としてやっているわけではございません。なお、お話の点は現地に伝えまして、十分そういう誤解の生じませんように努めさせる所存でございます。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 それで、この高検に出した分については、特に追加してやはり検討してほしいと思いますし、まあこういうところで言っていいかどうかわかりませんが、名前はちょっと遠慮しておきますけれどもね、熊本地検の副検事の方が、会社——これも名前はちょっと伏せておきます。この事件はもう不起訴にきまっているんだと、こういう意味のことを最近言うておる事実があるのですよ。何かこの関係者がやかましいものですから、体裁だけはつくろうために動いておられるような感じがそういう面からもするわけです。もしそういうことになれば、われわれとしても相当これは検察庁にはもうまかせられぬ、熊本の大会社については、そういうことにこれはなってくるわけでして、どだいそれは非常識なことですが、それもどの程度はっきりした表現かは私わかりませんけれども、多少でもそういう誤解を与える、こんなものは不起訴というようにきめてしまって、やかましい問題だから、体裁をつくろうために、というのはもってのほかだと思っているんですが、それは参考までに申し上げておきます。あなたの内部でお調べになればあるいはわかるかもしれぬですから。いや、いや、そんなこと絶対に言うたことないというのなら、聞いた人とちゃんと対決してもらってもいいです。そこで、私たち本件で早く帳簿を押えるなり、まあ人間の逮捕というところは多少問題があるにしても、帳簿を押えるといったようなことは、これはもう当然なこととして初めから要請しておったわけですが、それがされないままに経過してきた。で、それに比較してちょっとお聞きしたいのですが、今月の二十六日に長崎の統計調査事務所が捜索されるし、また二人逮捕されると、こういったような事件が起きておるのです。これは突然にお聞きしても何だと思いましたので、けさ、ちょっと電話をしておいたわけですが、本件と比較しますと、はなはだ検察庁というものは不公平なものである、同じ福岡の高検でありながら。こういう感じを私も持っておるわけでして、この長崎の二十六日の強制捜査をやった問題というのは、これは刑事局長、御存じでしょうな。
  43. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 先ほどお電話をいただきまして、今の長崎全農林の労組員のすわり込み事件についてのことを聞くというお話でございました。報告書で私どもの承知しておりますことを申し上げますと、今御指摘のように十一月二十六日に長崎の全農林の本部副委員長と、それから長崎統計本部の分会の委員長の二人を逮捕して、二十七日に事件警察から検察庁に受理されております。二十人目に勾留請求がなされ、二十人目、同日勾留状が発付されておる。さらに、この逮捕の日の十一月二十六日に全農林労組長崎県本部事務所など、十二ヵ所について押収、捜索が行なわれたという報告を受けて承知いたしております。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 まあこの産交事件との比較で実はあなたの考えを聞きたいわけですが、長崎の食糧事務所の事件というのは、まあ起こりは新任の所長が来て、そうして今までの労働慣行がそこの職場としてありますわね、それを一方的に変えていくと、こういうところから問題は紛糾したわけです。しかし、その問題については、結局所長が新米で実はよくわからなかった点もあるといったようなことで、全面的に所長があやまって、そのあやまり証文も、それはえらい丁寧なあやまり証文です。こういう小さい字で二枚もある。こういうあやまり証文を書いて、そうして労働慣行はそんなやはり一方的に改廃することはまずい、それは話し合ってやらなければいかぬというふうな確認書がまた別にできました、こういうのが。それで、これはただ地元のそういう所長と労働組合だけじゃなしに、非常にこの問題は紛糾したものですから、本省からも行きまして、本省の統計調査部からも行って、そうしてそれが立ち会いをしてこういう書類ができて、十月の二十四日に円満に落着した問題なんです。で、その農林省の本省などの意見を聞いてみますと、とにかく、まあえらい所長だと、まあえらいというか、りっぱだというのじゃなしに、非常識です。処分するとしたら所長を何とか処分しなければならぬのじゃないかぐらいに思っているような問題なんです、これは。そういう非常識なことがあったので、組合のほうもすわり込みも多少異例な点も——まあこの点、私はよく現場を見ているわけじゃありませんからわかりませんが、あったのじゃないかと、これは想像はしますが、まあともかくそういうことで落着した。したがって、その事情などは全く所長の間違いなんです。自分でそう書いているんですから、こんな書類に書くほどですから、これはよほどひどいことをやったに違いない。だから、事情は、そんな産交事件のようなことになると、これは会社の重役が金をごまかしておるからけしからぬ、こう従業員が騒いでいるわけですから、まるっきり反対なんです、事情から見て。それから行動自身は、これは新聞にも出ておりまするし、警察でも写真等はとっているわけだし、そうして関係者というのはみんな農林省に勤めておられる人たちです。何ら逃げ隠れということは全然ない。事件の概貌というものは、それは所長がそんなことやるのだから、それはやめてくれということで、やめてもらうためにこう言っておるわけですからね、はっきり公然な行動なんです。だから、刑事捜査任意捜査を原則とする。私たち労働組合のほうが会社などを告発するといえば、捜査任意捜査だということをよく検察官など言うのですがね。こういう長崎事件のようなものこそ任意捜査でまた事足りるのじゃないですか。私たちそう思いますがね。それを産交事件のように書類をきちっと押えなければ捜査ができぬようなものについて任意提出を求めたりしてゆっくりやっておって、そうしてこういう事件について、これは全く組合の弾圧です、言うてみれば。しかも、所長自身があやまっておる。農林省だって全くあきれ返っているような、そういうことと比較をしてみた場合、そこを刑事局長は何とかつじつまを合わして説明しようとするのだろうけれども、私は無理だと思うのです。全くこれは矛盾しています。どういうようにお考えですか。
  45. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) 会社事件でありましょうと、こういう労組の逸脱事件でありましょうと、任意捜査とか強制捜査とかいう一本やりできめられるものじゃなくて、先ほど申しましたように、振り返ってみれば、それでやったということになりましょうけれども、将来に向かってどう処置していくかということは、ケース・バイ・ケースで処置すべきものだと思います。この長崎の事件は詳しい報告をまだ受けておらないのでございますけれども、概略聞いておりますところによりますと、検察庁の出頭にも応じない者があったように聞いておりますし、また事件も、今、亀田委員は所長が悪いようにおっしゃったのでございますけれども、十七項目の労働慣行の中で三項目を新所長が直す、是正するという申し出に対して、すわり込んで十日も職場放棄をやったという事件のようでございます。その三項目は、今は汽車が一等と二等になりましたのですが、古い労働慣行で、三等しか支給できない職員に対してまあ二等ですか、今ので言うなれば一等の支給をしてほしい、するといったような旅費法に違反するような労働慣行、それはどうも旅費法どおりにやってもらわなければ困るという是正とか、何か一週間に一ぺんレクリエーションの日をこしらえてある。それもどうも役人の勤めとして、一週間に幾らひまであってもレクリエーションの日を設けておるというようなことはおかしいじゃないかといったような、法律に違反するような項目についての是正方を申し入れたのに対して、今のような前後十日にわたってのすわり込み、職場放棄と、こういったようなことである。それで調べようとすれば応じない。こういったような具体的な、もっとあるのかもしれませんが、私の今承知しておりますようなことは、そういったようなことがあるのでございますが、そういう事案に対して強制捜査をすることが相当であるかどうかということになりますと、これはまあ第三者がああせい、こうせいという批判はしにくいのでございますけれども強制捜査をしたというこのやり方に対して、それはいけないのだという批判はできないのじゃないか、やはりその事件に即して必要だという判断でやられたことであり、それは私どものほうから見ましても、相当であるというふうに思われるのございます。でございますから、会社側のほうは任意捜査、労組側は強制捜査だと、こう頭からきめてかかるのじゃなくて、事件ごとにその性格に応じて適切な、その場合に適切な捜査方法をとる、これが捜査のあり方でなければならぬ、こういうふうに考えるのでございます。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 まあいろいろおっしゃいますけれども、たとえば清田しめ子の二十円の損害事件だ。ああいうものでも産交という会社告発をすればいち早く調べるのだ。さすがにそれは逮捕までいっていませんけれどもね。それは雲泥の違いですよ。産交労組が訴えている事件について、調べに着手するかどうかで手をやいているのですから、初めから。それから強制、任意の問題にしても、これはまあ長崎事件というのは、もう少し刑事局長のほうでお調べ願いたいわけですがね、労働慣行云々のことを簡単にあなた今そういうことを言われましたが、これはいろいろ問題があるわけなんです。それは旅費の支給にしたって、何も農林省だけではないので、予算の範囲内でいろいろこうやっているわけですね。それは刑事局長もよく御存じでしょう、そんなことは。だから、そういうこともあるわけですし、レクリエーションといっても、何もあなた、休み時間にみんな野球でもして、おらぬようになってしまう、そういう意味のものではなしに、そこは仕事に差しつかえないように、そこの職場に応じたようなことをやっているわけでして、もう少し検討してもらわなければならぬ。結論的には所長はこんなことを言うている。「以上のとおり、私自身の不手際によって、混乱を起したことに対する所長として、あげて行政上の責務は負うべきであり、かかる不充分な考え方によって、一方的に慣行を改廃したことは、不適当であったことを反省し、組合員に対し深くお詫びします。」、まあ全部を読めばよくわかるわけですが、結論的にこれはもうはっきりそう言うているわけです。  それからこまかい慣行上の問題については、これはあらためてあなたのほうでももう少しお調べ願った上でやりたいと思いますが、内容としては、ともかく結論が出ているわけです、こういうふうに。おれが悪かった。だから、その点の取り違えが一つあります、あなたの御答弁に。それともう一つは、幾ら呼び出して心来ないと言うけれども、呼び出しなんか何もないです。二十六日の日曜日に突然捜査、逮捕、それはなるほど二人を逮捕するにあたって、一緒に来てくれということは言うたようです。任意同行を求めたようです。しかし、それは逮捕状を持っての任意同行の要求ですよ。そんな日曜日あたりに任意捜査といったら、そんなもの、わざわざ行く必要はない。みんな衆人環視の前でやったことで、そんなものはいつでも説明すると言うのはあたりまえでしょう。だれだってそう言いますよ。それを逮捕状をふところにしておって、そんなこと口先だけで任意同行を求めたからといって、呼んでも来ないのだ、そんな口先だけで任意同行を求めたからといって、呼んでも出てこないのだと、そんなこと言えますかね。日曜日、しかも早朝。そこをちょっと聞いておきたいのですがね。そんな考えでやられちゃ、それは間違いだと思いますね。
  47. 竹内寿平

    説明員竹内寿平君) これはまあ警察でその最後の段階はやっておるわけでございますけれども検察庁側で承知しております点を私のほうへ報告しておるわけであります。それによりますと、出頭を求めた四名の参考人は、一名を除き三名が出頭に応じなかったという、これは参考人のほうでございまするけれども、そういう事実もありまして、本件捜査に対する労組側の妨害というようなことも察知される状況であるという報告がございますので、先ほどちょっとその点にも触れたわけでございますが、そういうふうな判断を現地ではいたしておるようでございます。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 それは二十六日以後の問題です、今あなたのおっしゃったのは。二十六日にまずぱっとやって、それからあとの問題です、それは。それはあなた、みんな役所勤めですもの、四、五名呼んで一名や二名あとにしてくれと言うのはあたりまえじゃないですか、仕事上差しつかえがあったら。だから、こんなやり方は、それはもう産交事件なんかのやり方に比較したら、全くこれは不公平です。だから、そんなものは、おそらく実際の事情というものをお調べ願えれば、起訴というような問題にはむろん発展しないと思いますが、そのやり方自身でやはり経過というものを考えてもらって検討をしてもらいたいと思うのですね。  どうしますか、委員長岡山の問題を続けてやりますか。
  49. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 続けて下さい。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 ちょっと五分間休憩して下さいませんか。
  51. 松野孝一

    委員長松野孝一君) ちょっと速記を中止して下さい。   〔速記中止〕
  52. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 速記を始めて。  それでは、被疑事件処理状況に関する件を議題にしておりましたが、それに別に御発言もなければ、本件は一応この程度にとどめます。    ——————————
  53. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 次に、検察及び裁判運営等に関する調査中、公安調査庁調査活動に関する件を議題といたします。  本件については、当局側から公安調査庁関次長、公安調査庁総務部長の宮下明義君が出席しております。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 本件岡山の公安調査官の長尾照一、この人が岡山の家庭裁判所の横林良昌、この人にスパイ行為を強要していた。そのことが本人として良心の苛責に耐えかねるということから、今年の五月にみずからそれを明るみに出した、こういう案件でして、勤め先が裁判所でもあり、岡山ではたいへん世人の注目を浴びておる問題です。地元の民主団体からも調査局に抗議などもしておると思いますので、調査庁としても事件のお調べはしておられると思いますが、個々の問題点については、後ほど確かめますが、一応あなたのほうでこの事件に対する概要を明らかにしてほしいと思うのです。
  55. 関之

    説明員(関之君) お尋ねの事件につきましては、岡山でお尋ねのとおり相当新聞などをにぎわした次第でありまして、私どもも相当事件の発展経過を重視いたしまして今日まで参ったのであります。事件の概要につきましては、当委員会のほうに一応の経過を書面として提出して参った次第であります。これにつきましてその概要を申し上げてみますると、岡山地方公安調査局の長尾という調査官が横林君に協力をお願いして、そして数年たった。その協力のスタートは、同君が岡山大学の学生であったときの昭和二十九年の夏ごろのことのようでありますが、長尾調査官が、岡山市内の料理店「林ホルモン店」というところで偶然に横林君と知り合いになって、そして話をしているうちに、どうも同君の話しぶりあるいはその態度等から見て当庁の調査に御協力を願う可能性がありそうであるというような判断が出たようであります。そこで、翌日横林君の住んでいる、すなわちお父さんの自宅、−お父さんと一緒におるようでありまして、そこへ参りまして、横林君が二階にいるそうですから、そこへたずねていっていろいろ話をして、そして調査官であるという名前を正しく名乗り、こういうわけで公安調査庁は共産党を調べているわけであるからぜひ御協力をいただけないか。どうも全司法学生の中にも相当共産党の人があるようだからお願いいたしたい、こういうふうに言ったところが、自分のできる範囲でやりましょう、こういうふうに承諾を願ったのであります。それから一週間後に、横林君は長尾君の自宅にたずねて参ったことに相なったのであります。長尾君の自宅はこれは岡山の地方公安調査局の構内にございまして、建物と密接しておりまして、そこへ参りましてそしていろいろお話をして、そして、やりましょう、できるだけのことをして御協力を申し上げましょう、こういうことになりまして、学生の中における日共の党員などの動き、そしてどういう人が党員であるかというような問題について連絡御協力を願ったのであります。ところが、同君が岡山大学を卒業されて岡山の県内の勝山簡易裁判所に赴任され、一応そこで今までの連絡協力関係は切れたようであります。なお、その後一回だか資料が届けられたということになっておりまするが、それだけで、あとはもう長尾調査官と横林君との間の関係は事実上中止されていたのであります。ところが、三十四年の四月、長尾君は山陽新聞紙上で、全司法労組岡山支部というものの定期大会があって、そこで横林君がその支部書記長に当選されたということを新聞で読みまして、これは横林君にまた協力をお願いする可能性があろう、まあ当庁の調べというか、見るところによりますと、全司法内にも相当数の共産党員があそこにおる、その動きが相当活発であるというようなことになっておりまして、その党員の活動だけは、これはどうしても共産党捜査の一環として調査いたさなければならないわけでありまして、その線において長尾調査官は横林君の協力を得られる、こういうふうに考えまして、そうして横林君が岡山に戻ってから、同時にお目にかかってお願いしたところが、これも、まあできるだけやりましょう、こういうお話しになって、それから協力関係がずっと続いて参ったわけけであります。  それから協力をお願いすることになりまして、本年の四月ごろまで毎週一回、きわめて積極的な御協力を願ったということに相なっているのであります。それから問題は、五月に同君が今お話のように、組織にそのことを、こういうことをやっていたと言うて問題が公然化し、御承知のようないろいろ新聞をにぎわすこととなっている次第なのであります。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 今の次長の報告はどういう調査の結果に基づく報告でしょうか。
  57. 関之

    説明員(関之君) これは、事件があのように相当新聞をにぎわし、現地の局にしばしば抗議に見えているようでありまして、当庁においても重要視しまして、係官を派遣してそれぞれの職員に、関係者事情を聞き、また抗議される内容ども伺ってみて、それらの出張した者の報告などを取りまとめて、ここに大体の概要はこういうことでありますというふうにして御報告申し上げる次第であります。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 出張された係官というのはどなたですか、本庁からの。
  59. 関之

    説明員(関之君) 当庁の審理課長の竹内君でございます。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 このお調べにあたってスパイさせられた横林君にはお会いになっていますか。
  61. 関之

    説明員(関之君) 竹内君は会っていないのであります。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 そういうことになりますと、一方的な報告ということにどうしてもこれはなるわけです。新聞にああいうふうに出され、公安調査庁の方が、いや、スパイを強要しました、そんなことはなかなか言えるものでもないわけです。だから、ここを明確にするには、それは結局、長尾と横林両君しかこれは知らぬわけですから、そういうものであるのに、ただあなたの下部のほうの関係だけの意見を中心にして報告をされても、今問題になっておる問題点の解明にはならないと思います。それはどうなんです。
  63. 関之

    説明員(関之君) これは実は、この紛争事件につきましては、今お尋ねのごとくに独断的に、おれのほうはこうなんだといって私どもは実はきめてかかっていないのであります。そういう問題の起きたのは、やはり起こるべくして起きたものである、問題の内容その他いかんによりましては、職員の責任を追及する問題もありましょうし、あるいは場合によっては、破防法四十五条のいわゆる職権濫用罪というものにかかる事態に相なるわけであります。また破防法の二条、三条等の必要の最小限度においてやる、あるいは三条二項の労働組合の活動に介入するとか、いろいろな制約の規定がございますからして、それらをすべて頭の中に入れて、不幸にしてそういうことが起きたからして、その中に何かそういうこちらとして深く考慮すべき問題がありはしないかというような、できるだけ冷静な気持をもって私どもは事態を実は見ているわけであります。また新聞で拝見し、あるいは竹内君などが出張して現地の皆様方の抗議の内容を聞いてみますると、あるいは脅迫があったのではないか、あるいは全司法労組を調べているのではないかとか、あるいはまた活動費その他の問題についても何か不正があったんじゃないかというようなお話が新聞にちらほら出ているわけでありますから、決してそういうことを断々固として一方的にこちらのほうがいいんだというふうに言い切ることは考えていないわけでありまして、この事件に対する態度といたしましては、できるだけ客観的に抗議の内容その他も冷静に見て、そうして一体それはどうなっているかという点も冷静に調べてみて、その事実を明らかにし、とるべき責任はとり、破防法の運用上、遺憾の点は遺憾の意を表明し、改めるべきは改めて、正しくいきたいという考え方でこの事件に対処して今日まで参った次第であります。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 いや、それは幾ら弁明されましても、結局、ほんとうに事情を知っているのはこの二人だけなんだから、その大事な一方のほうを直接お聞きになっておらない。私は、場合によっては、これはみな公務員ですから、対決させてもらったら事情が一番はっきりすると思います。こういう問題はそれは一方だけのことを聞いてれば、それはどうしても自己の立場というものを擁護するような格好になっていきやすい。ですから、そういう調査では納得できないわけで、この第一の問題点は少しこまかく聞きましょう。  昭和二十九年の六月ごろ、当時学生であった横林君に長尾君がスパイを頼むその際に、横林君がちょうど学生で、裁判所のほうの試験を受けてそっちに入りたい、こういう希望を持っていたことを知って、おれの申し込みに応じなければ裁判所に入ることを妨害する、こういう意味のことを言うておどしているわけなんです。で、私お聞きしたいのは、そういう就職等の問題について全然触れてないかどうかということなんです。横林君は脅迫されたとはっきり言うておる。そこで、結論は抜くとして、そういう就職の問題に最初会うたときに触れているかおらぬか、それはどうです。
  65. 関之

    説明員(関之君) お尋ねのその問題も私は重大な一つのポイントと考えまして調べてみたわけでございます。長尾調査官が横林君に協力をお願いしたのは、まだ卒業まで小一年前のことであります。その後、いろいろなことになって裁判所のほうに就職された、そういう事実がある。そこで、その過程において、そういう裁判所の書記になるとかという話はどうも出たようであります。ありまするけれども、それを妨害するとか、おれのほうに協力しなければ、お前さんを裁判所のほうに勤められないようにしてやるぞとかというようなことは、どうも、これは私も慎重に、その点は一つの問題であるから調べるように、よく現地、また竹内君にもその点を示して調べてもらいましたが、そういう点は出てこない、こういうふうに私は承知しております。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、就職の問題は話には出たということまではお認めのようだ。しかし、普通はどのような言い方にしろ、学生と就職というのは非常に微妙な関係にあるわけでして、そういう問題が出れば、それが非常に脅迫的なことに発展しやすいわけですよ。すでに就職してしまっている立場の人なんかよりはうんと違うわけだ、その点。そういう話が出たこと自体は今の答弁で間違いないようであれば、一体どういうふうな話だったのかというところを深めてもらわなければならぬ。それはどういうことなんです。
  67. 関之

    説明員(関之君) いろいろその点を確かめて、これはいろいろその後の小一年の間に何回かお会いしておりまするから、何回どうだと言ってもどうも記憶上、正確に申し上げてもこれは事実に沿わないと思いますが、要するに結論的な要旨というものは、まあ大学も終わるし、裁判所へ勤めたい、行く行くは司法試験も受けたいというような話が出たようであります。それはしっかりやりなさい、長尾君としては、大いにしっかりひとつ勉強してみっちりやりなさい、こういう話があった。ただ私が申し上げたいのは、公安調査庁裁判所の職員の御採用に容喙するとか、そういうようなことは当然考えられないことでありまして、長尾君自身がそんなことを口に出すということは私としてはあり得ない、こう思うのであります。その点については、長尾君にきつく、いろいろ竹内君あるいは現地の局長をして調べさせましたが、そういうような話で、司法試験まで受けたいと言うから、しっかりやりなさい、こういう話はあった。激励をしてあげた、こういうことはあったが、それ以上の、今の脅迫だというようなことは絶対あり得ない。また脅迫があり得ないと私ども思いますのは、先ほど亀田委員のお話のように、両者、二人の間だけでしか知らないという問題が多かろうと思います。これはあとから見て、こういうふうな事件でありますると、要するに両方の売り言葉、買い言葉のようなものでありまして、冷静を失うことに相なる。ただここで申し上げたいのは、六月に会いまして、そうしてその翌日お父さんの自宅へこちらが出かけた。それから一週間たったら公安調査局の構内にあるうちへ、向こうから出てきて、話がするすると、するするというか、やりましょうと言ってきわめてスムースの間に話が進んできた、こういうような過程から見まして、協力の問題について、長尾君がそういうようなことを言う必要はごうもないし、これを見てもわかるでしょうというふうに彼も主張しますし、また私どもも、長尾、横林両君の間の関係のでき方、そうしてその発展の工合から見て、そういうことを突然に終わりごろになって言うということが、横林君が言っているとしますれば、どうも私はふに落ちかねるのであります。そういうようなことで、私たちとしては、また結果といたしますれば、完全に裁判所に就職されて、しかも、その後は全然関係などが事実上中止になっている、こういう総合的なものから見て、長尾君の言うことが私どもは正しい。何かそこに話はあったろう。あったろうけれども、それが協力関係を強制する、破防法四十五条違反のような、そんな——卒業期を控えた学生に関しては最も重大な問題を振りかざして、そうして協力を要請するというようなことは、とうていなかった。これは結果から見て、私はそういうふうに、全般から見て長尾君の話のほうが、われわれとしてはいろんな客観的事実の中にその言葉を置いて考えてみて、それが正しいものであるというふうに考えている次第であります。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 横林君のほうは、本件が問題になりましてから、岡山の家庭裁判所長あてに、てんまつ書を出しておるわけですがね。そのてんまつ書の中で、明白に長尾から脅迫された、二十九年六月脅迫された。また、その後しばらく縁が切れましたが、三十四年の四月になってから再び長尾がやってきて、もし要求に応じないときは、いかなる不利益をこうむるかもしれないとの、恐怖を起こさせるような言動をとった、こういうことをこれは明確に書いておるのです。自分の上司に出すてんまつ書です。だから、その後も昭和三十六年の四月、ことしですが、関係をこれ以上続けたくない、打ち切りたいということで努力したときにも、そういうことを言うのならば、今までのことを暴露するということで脅迫をされたということを、これは非常に念入りな文章で書いておるわけです。労働組合の人がずうっと集まって、そこで聞いたもののメモといったようなものでなしに、横林君自身がきちっと所長あてに出しておるてんまつ書の中で、三回にわたって脅迫された点を、これははっきりと書いておる。私はこの文章の調子などを見まして、そういう強制したような事実がないとしたら、二回、三回と念を押すようにこんな文章を書くものじゃないと思いますがね。このてんまつ書はごらんになっておるでしょうね。どういうふうにこのてんまつ書をごらんになっておりますか。
  69. 関之

    説明員(関之君) 拝見いたしております。拝見いたしておりまして、実はこの脅迫という言葉が三点ばかり出ておりますが、内容が一体どの程度のことであるのか、まあ、こう書く以上は、あるいは破防法第四十五条の職権濫用、暴行または脅迫ということを筆者も意味さしているものかと、こう一応考えてみまするが、お話をそれで進めてみたいと思いますが、そういうことは私はもう絶対にない。と申しますのは、今冒頭に申しましたように、初めそこで会って、そしてしかも、従来長い間協力を願った横林君の個人的な人格的な問題を、ここでどうこう申し上げるのはたいん恐縮でありますが、御本人はたいへんお酒が好きなようであります。そこで、最初から一ぱい飲んでいた。そうして、次に自宅へ来るときにもだいぶ、調査官がいなくても、留守に来てお酒を飲んでいるというような御性格のようでありまして、そこで、最初のこのスタートが料理店であった。話が出て、御本人の家、しかも、それが下宿でも何でもない、お父さんのおうちへ行って話をした。今度は向こうからたずねてくる。私はこの経過から見て、およそ脅迫などというものが介入する余地がないと思うのです。かりにそんなことであれば、最初からそういうおどすというようなことは考えられませんから、少しきついことだったら、通常の者だったら、たずねていくとか、あるいはその後しばしば会うとか、あるいは調査官の自宅へ行って、調査官が帰っていなくても、奥さんと子供さんだけのところでこちらから求められて一ぱい出させるというようなこともあったようであります。そういう私は性格から見て、この言葉は何らかのその後の御本人の弁解と申しましょうか、何かこういう言葉が使われたものであろう。お立場上無理もない言葉の使い方かと思いますが、さて、本質、実態はどこにあったかということに相なりますと、どうも私どもは長尾君の言うことも聞くが、しかし、現われた、行なわれた外形的な事実からつかんでみて、こういうことは少し言い過ぎの言葉であろう。私どもとしてはこういうことはとうてい考えられない。実はこの問題につきましては、私は実はこう考えておるわけでございまするが、私がここでこう申し上げても御信頼いただけなければやむを得ないわけでございまするが、どうぞ私が言うことを御信頼いただきたいと思うのであります。これはたとえば破防法第四十五条違反になるわけでありまして、私は実はこの点は、ほかの数点もかなり真剣に指揮命令して調査しておりますが、この点だけははたしてそんなことをやったのかどうかというて、かなり厳重に調べてみたわけであります。そこで、その調べた結果として、なるほどその就職の話も出ただろうし、あるいは何か終わりのころの、本年の四、五月ごろでしょうか、このくらいのところでやめてくれとか、もう少し続けてくれとか何とかいうことは出たでしょうが、そこらのところがいわゆる脅迫という段階に行ったかどうかということは、私はそんなことはない、こういうことを確信を持って申し上げたいのであります。ここで実は現地のほうにも、そういう売り言葉に買い言葉で仕方がないから、これはわれわれがいかにこういうことを言っても仕方がない問題である、国家には、それが脅迫に当たるかどうか認定する機関があるのだから、正式に向こうでおかけしたいなら、それはこっちの好むところであるから、脅迫とかなんとかいう話があったらそれでけっこうだ、そこで黒白をつけ、争うなら争ったらよかろう、こういうふうに腹をきめて、また、そういたしてもらいたいと思いましたが、今日まで実はそんなことが行なわれていない。これで、との問題についてはたいへん大上段なことを申し上げましたが、私どもが今日までの調査の集約をいたし、そしていろいろみんなで考え、そうして長尾の言うことも聞き、外形的事実も聞き、抗議の御様子も伺って、みずからの総括的な判断としてこういう考え方で、こういう態度で実は事実に当たっておる次第であります。どうぞひとつ御了承をいただきたいと思います。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 まあ私は理由さえ納得のいくようなことを次長がおっしゃればそれはすぐにでも了解しますがね。今るる説明されたけれども、ちょっとその説明の理由が納得いかぬ点があるわけですね。二つほど今言われましたが、一つは、もしこれが強要しているとすれば、これは破防法の四十五条に該当するわけですが、しておるか、せぬか告発してみよ、そこで勝負しよう、そういうことをあなたがおっしゃったって、ちょうど午前中も、私、労働組合から出した告発事件のことで竹内刑事局長質問しておったが、あんな状態です。労働組合から告発を出して、ほんとうに真剣にやってくれるかという信頼感があるというふうにあなた見ておるのですか。私はそこが問題だと思う。それは労働組合のことばかり聞いてもらわぬでもいい。ともかく公正にやってくれるということなら、私はおそらく告発という事態になっていると思うのです。そこで勝負を決しようと言う。だからですね、これはもうだれがお聞きになったって告発もしておらぬから、したがって、それほどの事実もないということを関係者も認めているのだ、そんな甘いことを考えては、これはもうそういう周囲の人たちの常識とはおよそ反します。これはもうはっきり申し上げておきます。  それからもう一つは、一週間後に長尾の家にみずからたずねていったということを非常に強調されるわけですが、それは、そんなことは特に大した私は理由にならぬと思うのです。脅迫自体は、最初会うたときに仕事の問題を出される。学生としてはよく調査庁と裁判所は関係があると思っていますよ、一般的には。だから、そこでがつんと一本もう参っておるわけだ。まあ一ぱい飲み屋で相当革新的なことも言っておったりしておったのでしょう。そこを聞かれて、そこでもう参ってしまっておる。その時点が大事なんであって、そのあとそこの家に行こうが行くまいが、そんなことはたいした問題じゃないのです。性格上、行かぬという人もおるだろうし、むしろこういうふうに関係してしまったんだから、できるだけひとつむしろそれなら都合のいいようにやってもらおうというふうに考える場合もあるでしょうし、そんな一方的に断定できない問題ですよ。したがって、そうなりますと、事柄が非常に微妙になってくるわけでして、はたの者が告発したとかせぬとか、一週間後なんというのじゃなしに、始まりの状態では一体どうだったんだということを、やはり横林君に直接会ってもらって、あの竹内さんが係官として地元まで行ったんだから、話が合わぬければ両方会ってもらって、そうしてお聞きになって、どうも一方の言うほうが言い過ぎだ、一方はあるいはごまかしているとかいうことならわかりますが、その点は何にもない。先ほどおっしゃったようなあんなこと二つがどうしてそんな大きな理由になるのですか。あなたが何回も一週間後に家に行ったことを強調されるから、私も初めはそれは聞き流しておったわけですが、えらい力を入れますから私は申し上げるわけですが、私としてはちょっとふに落ちぬですな、そんな論理の立て方は。
  71. 関之

    説明員(関之君) 協力の当時における横林君の心理を現在において推定するには、さまざまな想像が成り立つと私は思うのであります。私どもから見ると、ここに。三カ所脅迫とありますが、確かにこれは私どもの見る目では非常に書き過ぎである、私はこう断定いたすわけでありますが、これ以後、その事実を、これは横林君の立場でありましょう。そこで、私ども長尾君は絶対にそんなことはない、こう言うておるわけであります。それで、まあ実はその立ち会いということも考えられないことではありませんが、こういう二つの平行線を幾らやらしても私は結論は同じであると実は考えておるわけであります。そして、それよりはむしろ当事者でない幹部の者が、冷静に、幹部の趣旨を伺って、そして長尾の言葉を比較検討してどうだという、こういうふうに判断を下す。これは役所の構成上の、私どもの事実を正しく認識する新しい方法であると考えるのであります。  なお私が、横林君が長尾のうちをたずねたということを、その脅迫でない理由と、こう申しますが、私はこれも一つの、横林が長尾のうちをたずねたということも一つの、わずかの間に来て、よしよしと言って、やりましょう、こう言ってくれた。それでなおその前に、長尾君がいかに悪者であったって、おやじのうちまで乗り込んでむすこを脅迫するということは、私には常識的に考えられない。私はどうもこの点は、たとえば私のせがれにだれかが来て、私のうちの二階へ来て、せがれをそんなに脅迫するというようなことは敵陣に乗り込んでやるようなことでありまして、ほんとうに子供の保護者のうちに乗り込んで行って、それでお前はということは、とうてい私は常識で考えられない。そのことだけで、もし長尾がやるということであれば、長尾は見上げたものでありまして、長尾の性格から見て、そんな度胸のある男ではない。そんなことが常識的に考えられるか、これは常識上の判断でありまして、どうぞ亀田委員、えらい変な言葉で表現いたしましたけれども、私どもはどうもそういう点から見まして、この裁判所の横林君の脅迫という言葉は、これはこのまま私どもとしては受け取れない。これは明らかに書き過ぎである。今後この事件が暴露して、そして組織に向かって弁解をしなければならないというそのことでついこういうことになった。その間に何かあったかもしれませんけれども、それが脅迫というようなことは、とうてい私どもは考えられないと、こう思うのであります。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 破防法四十五条に該当するかしないか別として、相当程度の強要的な行動があったことすらもあなたのほうは認めないんですか。そこはどうなんですか。
  73. 関之

    説明員(関之君) その強要ということがなかなかデリケートなことなのであります。それはしいて言えば脅迫にもなりましょうし、要するに別の言葉で申しますと、お願いする。早い話が、火災保険や生命保険が来て廊下に居すわっていろいろなことをやるというようなことも、相手方の承諾を得る一つの方法である。あるいはいろいろな物の販売、すべてこれは御承知のとおりなのであります。私どものほうの調査官も、私はいやです、ああそうですかということで私は帰らないと思います。どうですかと言って、いろいろ自己の職責、その任務、そうして話が、人生観が違えばきっといろいろなところへ話が飛ぶと思います。そうして要するに根気よく相手方にお願いをする。その根気よくお話しをするという程度がここに表現するところまでいっておるかどうか。私は相当根気よく長尾君はやっておったと思いますが、そこまでいっておるかというと、ノーであると私はこういうふうに考えておるわけであります。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 次長の話を聞いておるというと、スパイ行為を積極的に奨励するような人生観があなたの頭の中にちゃんと入っておるようですね。ともかく、スパイ行為を依頼するのに、敵陣にまで乗り込んでいってやられたら、これは見上げたものであるといったような表現であるとか、あるいはただいまの、頼みにいってなかなか応じなくても、そう簡単に引き下がらないほうがいいんだというような意味言葉、私は、スパイ行為といったようなことは、これはいろいろ微妙な問題があるわけでして、こんなものは一ぺん簡単に断わられたらさっと引き下がる指導をしてほしいと思う。こういうことはさっと引き受けたらいいのか——それを私は認めるわけじゃないんですが、ともかく、こういう問題にはあまり度胸のないほうがいいですな。見上げたものだ、そういう考え方で上に立っておる者がおりますれば、やはりそれは以心伝心、伝わっていきまして、どっかでスパイを無理やりにでも一つ作り上げたら、これは一つ点数がふえるというような格好になってしまって、はなはだおもしろくないと思うんですが、あなたのお話を聞いておりまして、公安調査庁全体としての姿勢、あり方をちょっと反省してほしいような今気持がしておるんですが、どうです。どういう考えで一体臨んでおりますかo
  75. 関之

    説明員(関之君) 今私が申し上げた、長尾が家へ乗り込んでいったことを、見上げたものだと私が表現いたしました点についておしかり、御注意がございましたが、その点は、実は先に亀田委員がやっぱりおどしがあったではないかというふうにきつくお尋ねがございましたからして、私は通常の常識かある者、とにかく長尾調査官の性格から見て、お父さんのいる自宅まで乗り込んでいって、子供の就職問題、その他いろいろな問題で、いわゆるここに書いてあるような脅迫されというところまでやるような男ではない。また、もちろんそれはお言葉までもなく、もしこの脅迫が文字どおり脅迫であるならば、四十五条違反であり、犯罪であるわけですから、私どもとしては非常に注意しなければならない点なのであります。それで、そういう点に対して、どうぞ御納得をいただきたい意味において、私はやや言葉に異様な冠をかぶせて申し上げた次第でありまして、平素におきましては、もちろん無理をしないという程度において御協力を願うということが、私どもの基本の考え方に相なるわけであります。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 その基本の考え方、ちょっと先ほどのなにを訂正されたような感じがいたしますから、今基本的な問題をやる場所じゃありませんので、その点はその程度にしておきますが、この点はともかく裁判所のほうが判断し、脅迫もされていないとは言っていないのです。裁判所も来てくれというので要請はしておったんですが、何か試験の関係で忙しいらしいが、あまり無理してもなんですから……。裁判所の報告書を見ましても、この点は意見が対立しておって不明である、こう出ているわけです。したがって、あなたの言うように、そんな脅迫がなかった、強要がなかったとは、これは断定もできない。だから、やはりこれは事態を明らかにするには、お二人ちゃんと公平な立場で話を聞くような場というものが作られて、初めて私ははっきりする問題だと思うのです。で、これは物事を調べる場合の常識として、それはそういうこともあなたはお認めになると思うのですが、一方しか聞いておらぬわけですから、直接的には。  それからもう一点は、この労働組合の役員に就任するように長尾君が横林君に話しかけた。二回あるわけですが、こういう事実はどの程度にあなたのほうじゃつかんでおりますか。
  77. 関之

    説明員(関之君) 長尾調査官の話によりますると、役員と申しましょうか、一回は秋田のほうの司法労組への出席の問題と、二回目は松江のほうであったか、ある地位について、そしてそこへ出かけていったというような二つの問題があったようであります。そこで、この問題につきましては、これは要するにそれが私どものほうから見ますると、破防法の二十七条の調査上正しい措置であるかいなかという問題に、結局破防法上の調査でありまするから、問題に相なるわけでありまして、私どもの見るところでは、二十七条の調査と見て、すなわち全司法内における共産党の動きというものの調査から見て根本的には正しいものである、しかし、言葉づかいその他ではどうもやや深入りと言おうか、若干の行き過ぎがあったようにも思いまして、よくその点は注意をいたし、今後注意もいたしたいと、こう思っているわけであります。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 簡単に次長はそのように結論を出されますが、資料を入手するために便利だからということで労働組合の得員につくように要請するということは、これはやはり労働組合運営に影響してくる問題ですわね。これは私は破防法の二条、三条等の精願等から見ても、たとえあなたのほうの立場から見てそのことが便利であっても、労働組合のそういう運営自体に影響するような要求を出していいかどうか、これは重大な関係があると思うのです。これはどういうように見ておるのですか。
  79. 関之

    説明員(関之君) お尋ねの労働組合運営の問題は、松江における全司法の全国大会において、岡山支部の田上という人にかえて代議員に当選しなかった。横林も何とかして代議員になっていってくれというような話が両者にあったという問題かと私は思うのであります。そこでまあこの問題は労働組合の組織の、今のお尋ねのような運営の問題等に、やり方いかんではこれはかかってくる問題だろうと思います。そこで、これはもちろん一つの問題と思いまして、長尾君はどういうふうに話をしてやったのかという点もよく調べてみたところが、結局長尾調査官としましては横林君に、あなたが代議員に落っこってしまったか、残念だ、何とかして代議員にいけば、うまくあなたの力でなってくれればありがたいがなあ、というような話らしいのでありまして、それ以上積極的に、たとえば各種の運動をしてどうこうとか、あるいはほかのほうに働きかけて横林君の当選を策するとか、そういうようなことは毛頭いたしていないのでありまして、まあその場の話といたしまして、そういう話は出たようであります。さあ、その話を出しましたのが、たとえば二条、三条などの建前からしてどうかと申しますと、私はその程度の話は協力関係をお願いする間の二人の話としては、あまり歓迎はしませんけれども、そうかといって、これを根本的にそんな話までしてはいかぬというようなところまで言い切れない問題であろうかと考えているわけであります。特に全般的に長尾調査官と横林君との関係を見てみますと、何だか少し深入りしたような感じを私もいたしております。ですから、その関係で先に小一年、あとで二年ほどいろいろお願いしておりまして、その間の関係でいろいろの面で少し深入りいたしたような点もありまして、協力をお願いする上に注意しなければならぬ場合に、公務員としての横林君に対する関係においては、何だかそんな感にもいたすので、それらの点は十分私どもも注意いたしますが、いやしくも労働組合——全司法という組合運営に影響を及ぼすような行為をしたということは絶対ないようでございます。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 少し行き過ぎている点はお認めになったようだが、その少しが実は少し問題でありまして、たいへんそこの解釈のしようによっていろいろ出てくるわけです。それであなたのほうで、合意の上でスパイにしたという場合に、その方が自分の意思でいろいろなポストについていく、そのついた結果によってあなたのほうはまた便利を得るというのは、これは自然の効果ですね。それを越えて、ともかく中央委員にひとつ出たらどうかとか、あるいは書記長をやめないようにしたらどうかとか、あるいは代議員に出るようにしたらどうかとか、こういうことを言うということは、そのスパイの人と公安調査庁の役人の関係からいいますと、そんなことを言わなければおれは出なかったのだと、もしそういうことが立証されたら、この立証はなかなか微妙ですから、困難な点もありますが、もしこういうことがはっきり因果関係が明確になれば、公安調査庁の意向によって役員構成というものが変わって、たまたまその役員の中で一票くらいの差で問題が決するという場合に、公安調査庁の意見によって問題が決したと、因果関係はなる。だから、こういう労働組合の構成に影響するようなことについての発言なんということは、これは影響力がある立場に立っているわけですから、ちょっと話したというものでない。効果としてはそうなりますよ。そこら辺は若干次長もお認めになっているようですが、私は、こういうことはやはり四十五条の職権濫用の一部になるのではないですか。
  81. 関之

    説明員(関之君) 今の仮定の上に立ってのお話につきましては、どうも事態というものはいろいろの諸条件の上に築かれるものでありまして、ここでお答えいたしかねる次第でありますが、少なくとも本件の上におきましては、そういうような話は当事者間にあったろうが、進んで代議員に出るように、それこそ強く強くやるとか、あるいはほかのいろいろな運動をするというようなことは全然なかった。したがって、たとえば三条の労働組合のいろいろなことに介入するとかいう規定の違反の事実はそこにはない、こういうふうに実は私ども考えておる。むしろ本件は職権濫用というか、四十五条のほうは暴行または脅迫を要件としておりますからしてこの項には当たらない。むしろ三条の二項のほうですか、そちらのほうの問題があろうかと実は私は思っている。一体そこはどうしたんだというふうにして調べてみたんですが、長い何年か協力関係の上で、お互いに言いたいことも言い合うという仲になっているようであります。特にしばしば自宅に来て酒を求められて飲むというような関係になっておったようでありまして、そこらがどうも公務員の横林君を遇するに少し行き過ぎだ。また私は一つのいろいろ考えがありまして、むしろここでこんなことを私も申し上げたくないんですが、横林君はお酒が少し強い。そうして少ししいてお求めになるということが、客観的に見ると、ややどうもそういうお酒その他の問題で深入りに至ったというふうにも考えられるケースでありまして、そういう観点から見て、まあそういうところでそんな話しが出たようでありまして、それ以上進んで、君がこれこれの運動と工作をしてこれこれをどうしろとか、あるいはその他のことをどうしろというような話はどうも出なかったようであります。そういうふうに私どもは長尾調査官の話、あるいはその前後における長尾君の報告を聞いた公安局の者の記憶等を思い起こさせまして、それ自体はそうであるというふうに一応判断している次第であります。
  82. 亀田得治

    亀田得治君 次の問題ですが、長尾君が使っておるスパイ活動費ですね、この横林氏のてんまつ書によりますと、数回にわたって倍額の領収書を書かされておる。事実は三千円程度くれて六千円という領収書か書かされておるようですが、裁判所に出しておる書類の中にも三千円、六千円ということは書いてありませんが、倍額の領収書を書かされたことははっきり明記しておる。これも問題になっておる点ですが、これは一体どういうことなんです。普通から言うと差額というものは長尾君がごましておる、一応こうなるわけですね。
  83. 関之

    説明員(関之君) お尋ねの問題については、ただいま亀田委員の最後の御質問のように、長尾調査官が活動費をごまかしていやしないかという問題に関連した問題であります。そういたしますと、それは公金の横領というようなことに相なるのでありまして、これも本件において一つの重大な問題だと、私ども事件の発生とともに、相手方の抗議にそういうことがあるということを聞きまして、この点などは特に厳重に調査いたしてみたのであります。それで新聞には二十万円とかいうふうなことになっているようでありますが、これは初めの約十カ月とあと二年ほど続いておるようで、その間放置してあとのほうなどにおきましては積極的に御協力をお願いいたしまして、それ相当のお礼をしているわけであります。お礼のつど受け取りをちょうだいしておる。そこで受け取りをちょうだいするにあたって、会うときに自宅で、しばしば自宅に来られる。そこでお話を聞き、あるいは資料をちょうだいする。あるいはそこでお金を渡す。でなければ、酒が好きですから、自宅でも酒を求められれば、酒を出す。そうしてそのうちには、何かその近くにおでん屋なりちょっとした一ぱい屋があるそうです。そこへ必ず行くように例がきまっている。そこへ行かなければ本人がどうせ承知しない。そうしますと、実はそれに金がかかるわけです。その金を含めてある額面の受け取りをいただく。そうかといって、それは全体の一割か、あるいは高くて二割程度のものが確かに横林君の手に渡っていないようでありますが、たとえば千円についているなら二百円程度のもので、これは実は調査官のそれはやっぱり調査活動の一部面でありますからして、自分の私財をそれに投ずるということは私どもはさせてはいないわけでありまして、そういう金はやはり調査活動費の一部として出す。そうしてそれを一緒に含めたものをそのケースの全体にかかった費用として受け取りをもらっている。ですから、横林君が受け取った金と、そうして受け取りをいただいたその金とは一割か二割の差があると、こういうことに相なるわけであります。その点につきましては、私も心配いたしましてよく調べて見ました。私が調べたわけじゃありませんが、竹内君などによくその点は重大な問題であるから調べてくれと言うて調べてみましたが、どうも事柄はそういうようでありまして、まあ、横林君が新聞あるいはこの裁判所に提出された書類などを見てみますると、やや私の説明とそこは違っている点がございまして、今まで私が現地の局長、課長、そうして竹内君などによくいろいろな書類その他を全部見さしたり、あるいは長尾君によくその点を追及いたしましていろいろやったが、そういうような経過でありまして、そこには長尾君に不正がない、こういう私は今結論を持っている次第であります。
  84. 亀田得治

    亀田得治君 よく行かれたというおでん屋は何というおでん屋ですか。
  85. 関之

    説明員(関之君) 名前はどうも今、ちょっと恐縮でありまするが、出て参りませんが、近所の食堂だということであります。その調査局のある近所の食堂ということであります。もとより一カ所ではなかろうかと思います。なお、どこどこと……。
  86. 亀田得治

    亀田得治君 横林君と長尾関係の金銭授受の関係ですね、これは全体としては幾らぐらいになっているのですか。
  87. 関之

    説明員(関之君) 新聞には二十万というふうに出ておりますが、私どもはお尋ねのような一つの問題がございましたからよく一応調べてみまして、報告によると、私の現在の記憶は、先の小一年、あとの二年を通じまして十五万円、こういうふうに考えております。
  88. 亀田得治

    亀田得治君 これは全部岡山調査局には十五万円の内訳がわかるようなふうに帳簿はなっているわけですね。
  89. 関之

    説明員(関之君) 帳簿の整理はついていると思います。
  90. 亀田得治

    亀田得治君 帳簿並びに、たとえば必要なものについての受け取りなり、そういう証憑の書類どもそろっているわけですね。
  91. 関之

    説明員(関之君) 規則に従ってそろっているのであります。
  92. 亀田得治

    亀田得治君 約十五万円と言われましたが、この十五万というのは、横林、長尾関係で長尾が支出した金という意味ですか。それとも、横林が受け取った金額という意味ですか。どっちなんです。
  93. 関之

    説明員(関之君) これは長尾調査官が横林君に渡した金、こういうふうに相なるわけであります。
  94. 亀田得治

    亀田得治君 現実に渡した金ですと、横林、長尾関係の全部の金ということになると、もっとふえてくることになるのですか。
  95. 関之

    説明員(関之君) どうも実際の連絡のほかに、ときどきお酒を要求されていたようでありまして、そういうものはいつどこでどういうふうに、正確などうも記憶がないのであります。そういうものを合しますと、実際の額はもう少しふえる可能性がある。しかし、どうもそれが今になってみますると、どこでどういうふうにということは覚えていないのでありまして、そういうことはあるようでございます。
  96. 亀田得治

    亀田得治君 そういう点は全体的にお調べになったのでし、占うか。この金銭関係が問題になっているようですが、横林、長尾関係のことについて、何回くらい手渡しているのですか、現実には。
  97. 関之

    説明員(関之君) これは全体的に調べてみたのでありまするが、今申し上げたように、道でちょっと会ったときにお酒でも求められて一ぱいというようなところまで記憶がありませんから、まあそれはしようがなかろうということで、あとの点は全般的に見ているわけであります。協力の回数、これはおしまいのころになると一週間に一回くらい、いろいろな御協力をいただいておるのでありまして、それとの関係で、あるときは一ヵ月に一回のときもありましょうし、あるときは二カ月に一回のこともあったかもわかりませんが、大体そういうようなところかと思うのであります。
  98. 亀田得治

    亀田得治君 いや、だから全体として七年間通じて何回くらい手渡しているのですか。
  99. 関之

    説明員(関之君) その何回という回数を正確に今まで覚えておりませんが、私、ここの場合において、この席において、今までの調査のことを基礎にして考えてみますると、二十数回くらいに上るものではなかろうかと、こう考えております。
  100. 亀田得治

    亀田得治君 まあ二十数回の程度でありますれば、これはあとからでも検討してみようと思えばできないことはないと思うのです、その間の間違いがないかどうかということは。だから、これはひとつ私たちのほうでも少し研究したいと思います。  そこで、長尾君はまだほかにも相当情報提供者を使っておるようですね。これは何人くらい使っているのですか。
  101. 関之

    説明員(関之君) 実はその点につきましては、本件にちょっと関係がございませんから、この席ではお答えいたすことはできません。
  102. 亀田得治

    亀田得治君 現われてきたのだけは答える、現われぬやつまではちょっと触れてもらいたくないということのようですが、私たちが組合関係などから聞いているのですが、本件が起きまして、とにかく長尾君関係の人、十人余りあるらしい。大体わかるんじゃないですか、長くやっておれば。その諸君もなかなか良心的にやはり苦しんでいるように——まあ全部が全部どの程度というようなことは、私が一々知らぬわけですから、わかりませんが、そういうことを聞いておるわけですがね。そういうことははなはだ私は適当でないという感じがしておるのですが、こういう事件がたまたま一人について発生したわけですが、それから多少の行き過ぎということはあなたも少しお認めになっておるわけですが、ほかのものについても、そういう無理がないかといったような検討を本件についてされたでしょうか。
  103. 関之

    説明員(関之君) ちょっとお尋ねの趣旨がすぐ私よく理解いたしかねる点がございますが、お尋ねの趣旨は、要するに長尾君はほかの協力者を持っておる。その協力者が本件を見て良心的に悩んでいる。そこで、そこに、やり方が無理がありやしないかという点を、全般的に本庁では検討を加えたかどうか、こういうような御趣旨でございますか。
  104. 亀田得治

    亀田得治君 そうです。
  105. 関之

    説明員(関之君) これは、特に私が本件においてやや深入りし過ぎたと思いますのは、まあ相手は御承知のとおりに公務員、裁判所の職員でございまして、そのほうとの関係で、こういうふうに少し飲食に過ぎたというような点が、どうも公務員の御協力関係上、少し深入りし過ぎたことも、客観的な事実を考えてみますると、どうしても横林君が酒が好きだった。これは御本人もどうも自認しているようですし、非常に酒好きで、学生時代からそういうところに入って飲んでいる。その後においても、むしろ長尾君から見ますると、困るという程度にまでお酒、あるいは自宅に自分が帰っていない、奥さんが一人子供さんといるというようなところに来られて、そこでもお酒を所望されるということで、そんなことが一つのつい少し深入りし過ぎてなれ合いに、横林君の性格からどうもそういうことで起きたのではなかろうか、そう私は考えておるわけです。そこで御協力を願うについての相手方の性格、それから、それでもってどんどんと進んでこられる、そこらの点については、全般的に特に公務員なりの、かりに今後あるといたしますならば、それらの点は十分にこれを教訓にし、一般に学ぶべき一つのケースであろうか、こう考えておるわけであります。
  106. 亀田得治

    亀田得治君 長尾君に対しては、何か注意処分なり何かされたのでしょうか。どうなんでしょうか。
  107. 関之

    説明員(関之君) 今ここで御質問いただき、私からお答え申し上げたような、こういうまあケースなのでありまして、さてそこで、これを全体の公務員の上から見まして、また、私どものほうの調査官の技術の上から見て、さてどうか、こういうふうに相なりまするが、これは事実上の問題として、まあ公務員のそういうことについての飲食とか、こういう問題については、すでに注意はいたしておりますが、さて、それの法規上の問題としては、お前はだめだから注意しろというようなことには私は値しないものと考えておる次第であります。しかし事実上、今のような問題として、相手方からしいて求められ、そこらの場合の態度として、少しどうも深入りいたした点がありはしないかと考えられる。こういう意味調査の実際上のそういうような面に対して注意をしてもらいたい、こういうふうに言っている次第であります。
  108. 亀田得治

    亀田得治君 もう時間もたいへんおそくなりましたのでやめたいと思いますが、まあ公安調査庁では、一年間に調査活動費約五億幾らというのを使うわけですがね、こういう調査活動費の使い方なり、あるいは末端におけるその処理方法等につきましては、これはまたいずれ予算の審議等のときにでも、もう少し掘り下げて聞きたいと思いますし、まあきょうはだいぶあなたのスパイ問題に対する考え方も聞きましたから、関連していろいろなことを聞きたいこともありますが、本日は具体的な問題をやったわけですから、この程度にしたいと思いますが、ただ、最後に一点申し上げておきたいことは、やはり本件については、最終的にあなたが長尾君の法規上の処分をするほどのことはないというふうに、多少の不注意はあっても——そういうふうにおっしゃっているわけですが、これは少し調査が疎漏ではないか。やはりもう少し客観的な調査の上に立ってそういう結論を出されませんと、多少いかぬと思うのです。そういう、ある意味では一種の被害者である岡山の家庭裁判所においても、どうも脅迫の点の真偽は、どちらがほんとうかちょっとわからぬ。ところが、あなたのほうは、もう四十五条にわたるようなことはない、こうきちっと割り切っている。それからスパイさせられたほうは、いや、四十五条に相当するような脅迫を受けたんだと、こう出ているわけでして、しかも、その結論を出すについて、横林君の御意見というものを直接は聞かないでやっているわけですからね。私はやはり公正な立場であなたのほうが処理されると言うなら、もっとそこをはっきりすべきだ。もしどうしても役所のいろいろの関係でできないというのであれば、こういうスパイの強要なんということは非常に重大な問題ですから、法務委員会として、ひとつこれは重要な人権問題、法務委員会としても大事なことでもありまするし、両者を呼んでここで聞かしてもらえば、まあ井川さん初め専門家もおられるわけですから、大体感じというものはわかるわけなんです。そうしませんと、ちょっともうこれで調査終われりというわけには私の気持としてはいかぬわけです。これはいずれ理事会等でひとつ御相談願いたいと思いますが、本日はこの程度で一応質問を中止いたします。
  109. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちょっと最後に一問だけ、もう一ぺん私は確かめておきたいことがありますから、詳しくひとつお願いしたいのです。  結論的に言うと、この日本共産党と公安調査庁の問題で、しかも、それが政治的に解決されてしまうんじゃないか、こういうような成り行き上、私は危惧を持っているわけです。しかし、考えてみれば、これは公安調査庁の仕事であっても、被害者の立場に立つ横林さんの場合は、これは今亀田さんが指摘されたように、ひとつの人権問題だ。で、人権問題でありますればありますほどに、この事実認識というものが最も正しい方法で行なわれなければならないと思うのです。私は別に公安調査庁調査そのものをここで批判しようなどという考えはありませんけれども、そのこと自体が人権問題になっているというこの事実は、私はおおい隠せない問題ではないかと思う。数々の質問の中で、結論的には脅迫の事実がない、使われた費用についてもきわめて公正である、しかも、職権濫用という点については、相互合意の上に行なわれたものであるという認識をお持ちになっているような御答弁があったわけですが、その結論に到達するまでには、あなたからも御回答があったように、客観的な立場に立って事実認識を正しくして、その正しくした結論に基づいて今御回答があったわけです。しかし私は、人権問題の取り上げ方としては、どうもその客観的な事実認識というものが、どういう機関でどういうような方法で行なわれたかという問題については、あなたの御答弁では満足がいかない。すなわち本省から竹内君なるものが派遣せられて、そして公安調査庁側の資料に基づいて調査をせられておいでになったようであります。私どもはここにあまり詳しい資料を持ち合わせておりませんけれども、どうも客観的な事実認識というものを結論づけるような方法がとられていない、妥当ではない、こういうふうに考えるわけなんです。で、先ほどあなたの御答弁の中で、事実認識をする正しい方法はかくかくしかじかで行ないましたという御回答があったのですが、どうも私にはひんと来ない。もう一ぺんあなたとして、以上私が申し上げたような結論に到達した、いわゆる客観的な正しい事実認識というものの出し方の方法を、これをひとつもう一ぺんおっしゃっていただきたいと思います。
  110. 関之

    説明員(関之君) ときどき私どものほうの第一線の調査官が、調査上の問題でいろいろな団体の抗議を受けるような事態が発生しているわけであります。そこで、抗議をされる、われわれ現地の者が弁解をする。そこでこの弁解を、そうかと言って承諾するところは少ないでしょうが、ああそうかというような程度で、あと抗議に来られない。あるいは強く抗議されて、結局それが検察庁のほうに告発される、そして事件になる、そして検察庁処理というようなことが、ごく場合々々における多くの事件の一般的な解決の仕方に相なっておるわけでございます。そこでもちろんお尋ねのごとく、私どもは、調査官の仕事は、すなわち公安調査庁の仕事であり、公安調査庁と私どもは一体といえば一体、法に基づいて調査を推進しているわけであります。そこで、その一体の中の一部分の、幾ら見ても我田引水の意見ではないかというお尋ね、御批判のあることは、私どもも十分に了解もでき、また、そういうふうに御見解になるのも無理もなかろうと思います。そこで、破防法の立案の過程、すなわち二条、三条が国会において挿入いたされました。さらにまた四十五条の問題等が強く取り上げられた。その経過から見まして、少なくとも紛争事件のそういう問題が生じたときには、まあ私どもとしては、できるだけの客観的な態度をもってこの事態に処すると、こういうことに努めているわけです。ただもちろん、だからお前たちは我田引水と言われればそれまででありますが、ただその中において、われわれが最善の努力をしているという善意だけは御信頼をいただきたいと思います。決してえこひいきをして、調査官のために法律運用を曲げるようにすることはありません。もちろん調査官が寝食を忘れて一生懸命やってくれますから、この頭の中では泣きながらも、泣いて馬謖を切るということも一、二回やったわけです。御抗議なされるのに、なるほどごもっともだということで、泣いて馬謖を切るということもあったわけでありまして、そういうような意味で、それを基本的な考え方において、決して同じ穴のムジナというようにお考えいただくことは、どうぞ、私どもの善意の上から見て御容赦いただきたいと思う点であります。  さてそこで、本件は、私は、最近に起きました中で、御抗議される趣旨から見て、非常に大きな問題を生じておる第一点は、脅迫——横林君の言う脅迫の問題であります。第二点は、司法のこの労組というか、職組を調べた、こういう抗議が出てきております。第三点は、活動費の問題、この三点は私どものほうから見ますときわめて重要な問題でありまして、それでその調べ方として、相手方との対決ということがここで取り上げられているわけであります。また、いろんな党の問題のときに、そういうことが取り上げられて参っておるわけであります。  さて、対決の問題でございますが、私はこれは、たとえて申しますと、横林君はこの線をくずさない、裁判所に提出したこの線はくずさないと思うのです。この段階になって、私どもの長尾調査官と対決させてみたところで、要するに平行線である。顔色を見て、どちらがどうだということを見きわめることはなかなか困難なことである。これは一般的に、客観的な事実を見るのにどうかという一つの問題と考えておるのであります。さて、そういうふうに、何がほんとうのことであったかということを私ども見きわめるためには、やはり両方の争いのある程度事実をきめていく。そしてその中に両方の言い分を乗せてみるということ以外に方法はないと考えておるのであります。そういうふうにいたしまして、特に今申し上げた三点などは重大な問題でありますからして、調査官に、また現地責任者に、また竹内君によくその点を指示いたしまして、そして調査をし、その調査をしたすべての報告を聞きまして、私どもが判断をいたしておるのが、以上申し上げておる経過なのでありまして、どうぞ、もちろん同じ公安調査庁の中の幹部的な私ども立場におるわけでありまして、お疑いはごもっともと思いますが、ただ私ども全力を尽くしてこの三点の問題につきましては、役所が、たとえば非常に批判を受けるかどうかという責任問題になりますからいたしておるわけであります。先ほど申し上げたことで、私どもはむしろこの脅迫の問題のごときは、むしろ検察庁なり他の機関で、あるいは人権擁護委員でもけっこうでございます。他の機関でさてどうだとか、その間にそういうことがあったかどうかということについて、あるいは公権的に御認定をいただくほうがよりフェアではないか。私どもは決してそれをいとう者ではありませんし、紛議の途中において抗議された方のほうで告発をするというようなお話もあったように私ども聞いておりますが、それはそれでけっこうだ。事態は、こちらの見るところでは、こちらではこう思う。そんなことはなかったと思っている。相手方はそうだと言っている。平行線で、とかく疑惑の生まれる問題でありますから、もし告発されるなら告発されてけっこうであります。こちらとしては正々堂々と、その場で言うべきことは言うことにしたい、こういうふうに考えて今日まで対処してきた次第であります。
  111. 高田なほ子

    高田なほ子君 時間もおそいですから、私長々とは申し上げませんが、告発するならしてみろというような高姿勢のことを言う前に、私どもはもっと調査する必要があると思うのです。同じ穴のムジナだというような表現は、どうもいい表現ではありませんけれども竹内さんの調査でも、ちっとも横林さんに会ってその事実を聞いてみようとあまりしておらないようです。もう少し、客観的、客観的とおっしゃるなら、もっと客観的にすべきだと思うのです。今御答弁を聞いてもあまり客観的な、具体的な御答弁は何一つなくて、ぐるぐる回りの御答弁をされただけで、私ははなはだ遺憾だと思います。時間がありませんから問題を残してあと回しにさせてもらいます。  それからもう一つ、これはひとつ御調査いただきたいことなのですが、これはちょっと資料をいただいたのですが、長尾調査官が横林さんに、組合の活動の中における共産党の活動をいろいろ調べてくれというような依頼をした中に、労働組合の本部の労働運動に対する「本部指令ならびに指示」、それから「中国地連の指令ならびに指示」、それから「県総評関係の資料」、それから「組合関係のあらゆる機関紙」、それから最後に「日共党員らしいものの活動について」、こういう五項目について依頼されたようなことについては、さっぱりここで御報告がなかったのですけれども、一体、日本共産党の活動は、全司法の中でどういうふうにされるかということを調べるのだと言っておられるけれども、労働組合の本部指令や指示がはたしてどういう関係があるのか。私どもは、労働組合の指示、指令なんというものはきわめて重要なものであるにかかわらず、こういうものを全部入手するべく酒に弱い横林さんをうまく頭をなでながらこういうものを収集しようとしたこの態度については、単に労働組合の運動に若干深入りをし過ぎたということではなくて、むしろ私は破防法の二条、三条の問題について相当な関連を持つものだという考え方を持っているわけです。こういう点についてももう少し御研究いただいて、本部の指令と、それから公安調査庁のなさるお仕事と直接どういう関係があるものか、こういう点についても、大きな危惧を持たざるを得ない。きょう御答弁いただいてもまたやりとりし過ぎるようになりますから、研究しておいて下さいということをお願いしておきます。
  112. 関之

    説明員(関之君) ちょっと申し上げさせていただきますが、横林君が裁判所に出した書類を見ますと、なるほどそういうことが書いてあるのであります。そこで、実はこの点も調査——破防法の二十七条に基づく調査として御指摘の点も一つの問題と私は思っておるわけであります。共産党員の活動、共産党の働きかけということに限定して問題は考うべきであって、ここまで考えるのはどんなものかと私自身も思っているのであります。そしてこの点を調べてみますと、どうもこれもその協力を願った横林の個人的な問題にまでさしあたってここで御報告申し上げるのはいかがかと思いますが、事柄の真相を御理解いただく意味において、私が承知している点を申し上げてみたいと思うのであります。なるほどこういうものをときにもらったようであります。それは横林君としては、書記長や岡山の司法職組のいろいろな役をやられていた。そこに中央からいろいろなものが来るわけであります。それを自分のうしろの箱の中に入れられておって、そしてたくさんたまったものを持ってきて、必要があるのなら持っていって、要らないものは焼いてくれということがあったということが、私どもの長尾の報告になっているわけであります。そこで、何もそんな純粋に司法職組の者をあれだこれだというので言うべき必要はないのであります。その中における、要するに党活動あるいは党の浸透工作という観点から見るべきものである。これが二十七条の正しい姿勢であります。ところが、そういうところがある。それはどういうところを言うかというと、要するに横林君の性格から見て、どうもその間が、冒頭申し上げたように、いろいろな意味で深入りがある。お酒の問題といい、今のようなことといい、深入りがある。そういうことから、こういうものを長尾がいただいたことはいただいたようであります。それは、そういうような経過でありまして、長尾自身も、公安調査庁が二十七条に基づく調査である。調査は、共産党の調査である。それは、左翼とは共産党と朝鮮総連だけが調査の対象になっているわけでありますが、それ以外に調査し得るものはないわけでありまして、おそらく調査する意図もなかったでしょう。ないし、持ってはならない問題であります。ただそういうような経過が、横林君がごそっと持ってきて、要らないものは焼いてくれということだったそうであります。そういう事情があったことを御了解いただいて、この問題は御了承いただきたいと思います。
  113. 高田なほ子

    高田なほ子君 御答弁は了解いたしません。これだけ申し上げて、私は終わります。
  114. 松野孝一

    委員長松野孝一君) 他に御発言もなければ、本件については一応この程度にしてとどめることにいたします。  次回は、明十二月一日午前九時四十分から開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時七分散会