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1961-10-24 第39回国会 参議院 文教委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十四日(火曜日)   午前十時四十二分開会   —————————————   委員異動 本日委員野上進君、村山道雄君、上林 忠次君及び豊瀬禎一君辞任につき、そ の補欠として青柳秀夫君、堀本宜実 君、加藤武徳君及び江田三郎君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平林  剛君    理事            安部 清美君            北畠 教真君            野本 品吉君            豊瀬 禎一君    委員            加藤 武徳君            下條 康麿君            杉浦 武雄君            千葉千代世君            矢嶋 三義君            米田  勲君            柏原 ヤス君            常岡 一郎君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査  (当面の文教政策に関する件) ○学校教育法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 平林剛

    委員長平林剛君) ただいまより文教委員会開会いたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。  本日、野上進君、村山道雄君及び上林委員を辞任され、その補欠として青柳秀夫君、堀本宜実君及び加藤武徳君がそれぞれ委員に選任されました。以上であります。   —————————————
  3. 平林剛

    委員長平林剛君) 次に、本日の委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。  開会前、理事会を開き協議いたしました結果、本日は、まず、当面の文教政策に関する調査を進め、次いで、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題にし審査を行なうことに活定を見ました。  以上、理事会決定の順序に従い、本日の委員会を運営いたして参りたいと存じますが、御異議こざいませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平林剛

    委員長平林剛君) 御異議ないと認め、さよう運営いたしまして参ります。  それでは、当面の文教政策に関する調査を進めます。  質疑の通告がありますので発言を許します。豊瀬禎一君。
  5. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 学カテスト期日が明後日に迫っておりますし、この問題につきましては、今日まで当委員会におきまして同僚議員から、種々法的な根拠あるいは教育効果の上からいろいろと今日までただして参りました。私はこの問題につきまして本日までの審議を大体まとめまして、さらに大臣にただしたいと思っております。  なお、昨日私が言及いたしました資料の問題ですが、内藤局長は、要求された資料は大体出しておるかのごとき言辞を弄しておりましたけれども、私が具体的に説明しまして昨日数部の資料が届きましたし、また、米田委員が追及したところの、諸外国の学力テスト状況に関する諸学者の意見、教育界反響等については、今日に至るまでまだ資料提出が行なわれず、ただ状況報告書だけが出されております。このように資料要求につきましては、たびたび当委員会にきまして、文教委員長からも強く文部知に要望しておったはずでありますが、今回の資料提出並びに資料内容はきわめてずさんであり、提出の時期もおくれたことをあらためて明言して、今後大臣の善処をお願いしておきたいと思うのです。  まず第一番に私が質問いたしたいと思っておるのは、教育基本法に対する大臣の所見であります。御承知のように、教育基本法の第十条には、「教育行政」という見出しのもとに、「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」「教育行政は、この自覚のものに、教育目的を遂行するに必要な諸条件整備確立を目標として行われなければならない。」という教育行政あり方と、教育が不当の支配に服することを排除する定めをあげております。この不当の支配の中で、団体とか政党とか、あるいは個人とか、いろいろな態様があると思いますが、私は、この定め精神は、不当の支配の中で最も排除さるべきものは国家権力による支配であると判断いたしますが、大臣見解をお尋ねいたします。
  6. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 教育基本法第十条は、不当な支配に服してはならないと御指摘のように規定しておることを承知しますが、それの主たるねらいは、戦前、御案内のとおり、教育のことは、あげて天皇大権事項として取り扱われ、教育勅語を初めとして、教育に関する制度はことごとく勅令をもって定めるということになっておったと思います。憲法がかわって主権在民になった。したがって、主権在民憲法に基づく支配は当然としても、その他の支配力は及ぶべからずということが建前であると私は理解いたします。国家権力介入することのみを特に重点を置いて排除しておるというお説でございますが、国家権力といえども法律に違反して介入することは不当な介入だから厳に戒めねばならないところですが、主権在民制度のもとに、国会の議決を経た法律に基づいて国家権力が及ぶことは、むしろ教育基本法第十条の予定するところであると理解しております。
  7. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 たびたびこれも本委員会で私どもが苦言を呈したところですが、審議の効果的な促進のためにも、質問した事項について直接的な御回答をお願いいたします。  私は、教育基本法第十条は、国家権力のみを特定した、こういう言い方はいたしておりません。具体的に例示したように、いろいろあるけれども、その中で最も警戒さるべきものは国家権力の不当な支配であり、干渉である、このように判断するが、大臣見解はどうか、こういう質問です。再度お答えをお願いいたします。
  8. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 主権在民憲法のもとに、国権最高機関として規定づけられた国会定め法律に基づいての国家権力介入は当然のことであって、法律が守られる限りにおいては、国家権力が不当に介入するはずはないという意味において、教育基本法第十条の予定しておりますことは、おっしゃるようなことが主眼ではないと理解しております。
  9. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 それでは、不当な支配というねらいは、何を主眼にしておりますか。私が質問をしておるのは、法律制定され、その法に基づいて執行するという内容意味しておりません。不当な支配という、したがって、それは法に基づかない、干渉すべからざる支配、これは当然この本法趣旨であります。この中の支配の中で、国家権力がそういうことを行なうのが最も否定さるべきであるという精神ではないか、こういう質問をしておるわけです。大臣の、不当な支配の最も排除さるべき具体的な態様は、それは何ですか。
  10. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 教育基本法は、あくまでも宣言的な内容を主としておると思いますが、憲法趣旨に基づいて制定したという前置きがあるとおり、憲法が基本的に、根本的に変わった、その新憲法趣旨に基づいて、不当な支配に屈することはできないんだということを官一言しておるのが主眼であると私は理解します。したがって、先刻も申し上げたとおり、法治主義を特色とする民主政治のもとにおいて、国家権力が不当に支配することはあり得ない、物理的にあり得べからざることですから、そのことを教育基本法でうたうはずがない。むしろ、さっき申し上げたような、戦前における、主権在民でない、天皇主権のもとにおいて慣行され来たったようなことが起こってはならないということを厳に戒めるという趣旨であると理解します。
  11. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 堺枯川先生だったかと思いますが、治安維持法ができて、警察が常に尾行するので、君は何でおれのあとをついてくるか、こう言ったら、警察官は、お前は何で人の前ばかり歩くのか、こういう反論をしたというのは有名な話で、大臣も御承知のとおりです。大臣の答弁を聞いておりますと、全くそのとおりの見方です。  そこで、私は話を次に進めていきますが、日本の戦後の教育体制が、アメリカのミッション・レポートによって方向づけられたことは、大臣承知のとおりであります。これも大臣が就任されて以来、一応は読まれておると思いますが、日本現行教育体系の中で、教育基本法を初め学校教育法の中で非常に重要な改正が行なわれましたけれども、その中で最も大きく排除されたのは、この教育基本法審議の際にも国会で論議されましたように、国家権力教育に関する不当干渉を厳に戒しめておるのであります。大臣は、現在の国家権力はそういう愚かなことをするはずはないとおっしゃっておるけれども、今回の学力テストは、現行学校教育法並び教育行政組織法等、現在のあらゆる諸法規に照らしても、文部省という権力機構教育委員会権限を侵し、現場教育権限を侵している、言いかえますると、国家権力が不当に介入しておる最も顕著な例でございまして、大臣言葉を逆にとれば、現在の文部省、現在の荒木文部大臣は、みずから否定された条項を白昼堂々とやってのけておると言わざるを得ません。  次に話を進めますが、戦後の民主教育の中で重要な柱が幾つかあると思います。この柱の中で、文部省設置法、あるいは基本法学校教育法教育行政組織法等、すべての法規を通じて主張し得る一つは、それぞれの権限が分離され、自主性が確立され、いわゆる教育本質に沿った体系がつけられておる。文部省文部省独自の権限責任を持ち、地方教育委員会はそれぞれ文部省が侵すことのできない権限自主性を持ち、現場教育もまたしかり、こういうそれぞれの権限責任を明確に分離し、それぞれの創意工夫、創造、責任というものを十分に果たしているところに民主教育一つの柱があると私は判断しますが、大臣の御見解を伺います。
  12. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) そのとおりと思います。
  13. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうだとしまするならば、米田委員がたびたび追及いたしましたように、文部省は今回の学力テスト根拠行政組織法の五十四条の二項に置いておられるようです。しかし、常識ある者がこの法文を読むならば、むしろ、今回の学力テスト法的根拠を主張している文部省立場に立つならば、調査権として明記されておる五十三条を適用すべきでありましょう。「必要な調査を行うことができる。」それをしも、あえて五十四条にしたのは、やはり文部省が五十三条に踏み切り得なかったところに、今回の学力テストに対する法的な欠陥を自覚しておると私は思うのであります。もし五十四条二項によって、現場教師に対して何時間日にこういうテストを行ないなさいという権限文部省にあるとするならば、戦前に行なわれたように、文部省が企画をすれば、教員思想調査も、文部省法解釈では可能であるし、具体的な性行調査、現在の勤評以上の調査も、具体的な項目を指示して地方教育委員会に行なわせることができます。私は百歩譲って、五十三条を主張して立論されるならば、まだまだ法的な一つのよりどころに譲歩する余裕があるけれども、五十四条の、委員会が当然調査、あるいは持っておるべき資料提出を求めるという内容を、調査内容まで規制してやらせるというがごときは、明らかに文部省地方教育委員会権限を侵し、さらに文部省みずから定めたところの指導要領、あるいはその他の規則をじゅうりんしたものと判断していいと思います。なぜ大臣は五十三条の調査権を発動せず、教育委員会自主的裁量の余裕ありと解釈されておる五十四条の二項を適用するの愚をなされたのか、御見解を承りたいと思います。
  14. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 五十四条の二項は、いわば文部省教育委員会との相互関係に立って、文部大臣教育委員会調査報告を求める権限を持っておるぞという規定だと理解します。  そこで、今度の一斉学力調査の実体的な法律上の根拠は、いわばその相互関係の手続的な規定本質があるのでなくて、もっとそれ以前の、学校教育法第二十条によって文部大臣に留保され、文部大臣の専属の権限、裏を返せば、国民に対する責任と思いますが、教科に関する事項文部大臣がこれを定めるということから、教科について、国民に対して全責任を持たされておるのであります。それは申し上げるまでもなく、義務教育であるがゆえに、全国、都道府県どこだということでなしに、全国的に全義務教育課程にある学童に対し、またその親に対して責任を持つ立場から、文部大臣定めねばならないという事柄だと理解いたしますが、それだけの責任を持って教育内容それ自体豊瀬さんの言われる国家権力介入定めねばならないぞと法律定めておる、そのことを、その責任国民に向かって完璧に果たしますためには、その定めました教育内容それ自体がどの程度に到達しておるかを知り、そして改善すべき余地があるならば、この調査を通じて改善をするということを当然予定した内容学校教育法第二十条だと思います。したがって、その責任を果たします手段として、しからば合法的に何があるかという段階において、今御指摘地方教育行政法の五十四条二項、すなわち先刻も申し上げたとおり、文部大臣教育委員会に対して必要なる調査報告を求めることができるという権限、その必要なるということはむろん法律に基づいて文部大臣権限として固有のもの、もしくは客観的に妥当性を持った、何人が考えても今御指摘のような教育基本法趣旨を念頭に置いて当然なすべき範囲だと思われることについて調査報告を求める権限があるのだ、必要なるという意味はそういうふうに私は理解いたしまして、学校教育法第二十条と地方教育行政法の五十四条二項、これを合わせて読みまして、一斉学力調査文部省しかできない、文部省以外のものではなし得ない、そのことを文部省でやりまして先刻申した国民に対する責任を果たそう、こういうことであります。したがって、五十四条二項によって要求されました教育委員会がみずから持っておる権限を行使いたしまして、その調査報告要求にこたえねばならない義務が生じ、その義務に立脚して今度の労力調査教育委員会実施せんとしておる、そういう相互関係に立っておると理解しております。
  15. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣学校教育法二十条の定めだけを根拠にし、百六条の定めについては言及されないのですが、学校教育法制定された際には「監督庁が、これを定める。」——なるほどお説のとおりであります。しかし百六条には、監督庁とは「当分の間、これを文部大臣とする。但し、文部大臣は、政令の定めるところにより、その権限を他の監督庁に委任することができる。」この制定精神は二十条で文部省として定めずに、百六条で「当分の問、これを文部大臣とする。」という定め精神は、これは当然大臣承知だと思いますが、やがてはこの権限を分権されたところの地方教育委員会に委譲すべき精神定められたものであります。この法制定精神に目をおおい、文部大臣教育に関する事項はこれという権限で、末端の具体的な試験内容まで調査し得るというがごときは針小棒大もはなはだしいのであります。特にたびたび大臣根拠としておられる指導要領のごときもこれも大臣承知のとおり、当初は教育一つの基準というものを行政権規定することに対して、教育学者の中にも非常な大きな異論があり、指導要領文部省の単なる資料として配付された、それを三十三年施行規則を作る際に文部大臣は、当時の文部省はこれを公示するという制度に改めたのであります。これは、しかし、一歩譲るとしても指導要領の中には教科課程編成学校がこれを行なうということを明記しております。この基本法から、教育行政組織法、さらに指導要領に関する定め教育委員会規則等本法から実定法、実定規則に至るまですべて冒頭に申し上げたようにそれぞれの権限を尊重するところに、自主性を持たせるところに民主教育のかなめがあります上に、大きなワクとしての基本的な権限文部省に与えておるから、その権限を振り回して最終的な責任として委譲されておるところの教科課程編成、あるいは何月何日に何の授業を行なうかということに対してまで文部省が具体的に指示し得るかのごとき言辞を弄することは、特にあなたが国家権力の代表であるだけに、行政庁の長であるだけに私は最も教育基本法十条に違反しておる言動であると断ぜざるを得ないのであります。この法的な根拠につきましては、たびたび米田議員から詳細にわたって反論いたしておりますので、これ以上追及はいたしませんが、私の言わんとするところは、民主教育一つの筋金というものは基本的な権限が、文部省教育委員会にゆだねられておるがゆえをもって、具体的な法規則定められておる末端の実際のあるいは学校権限をも法規を改正せずして強制命令をしていくという学力テスト実施体制は明らかに法規に違反すると同時に、民主教育基本精神に反するものであると私は思うのですが、大臣には、法的な見解は別にして、今回のような地方教育委員会指導要領にも書きません、これはけしからぬことだと言って、学校長が、そういう時間には社会科をやるべき時間であって、学力テストはできないという見解を持っておっても、業務命令措置要求等で脅迫しながらこれを強行するというその精神は、民主教育基本精神に全く相反するものであると思いますが、大臣にはそういう反省を今日をもなおお持ちになりませんか。
  16. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 反省するという内容一つもないと思います。それはおっしゃるとおり、民主教育なるがゆえに法律定められたことを忠実に実行するという責任が私どもにはあると思うのでありまして、先ほど引例されました学校教育法第二十条、教科に関することは当分の間、なるほど監督庁とあるが、当分の間、文部大臣だという意味は、暫定的な意味が別途うたわれておる趣旨はわかります。しかし、いかなる法規といえども現にあるものが法規であって、暫定的であろうと、それに従わないことはむしろ法律違反であり、反民主的であり、共産党を初めとする、悪法は法にあらずという論が通れば別ですけれども、私ども立法論的立場において異存があろうとも、現に国権最高機関定められた法律があるならば、それが法律であって、民主的手続を経て改正されるまでは厳にその法律に従っていくというのが民主的なあり方だと理解いたしますから、先ほど申し上げましたような地方教育行政法との関係におきまして、法律どおり内容を忠実に実行するということをやらんとしておる。したがって、反省などということは、そういうことに関しまする限りは考えておりません。
  17. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私が言ったのは、学校教育法二十条、これを受けた百六条の定めというのは、当時まだ教育委員会が安定していないから、当分の間、大臣を充てる、やがては教育委員会にこれを付与すべき精神定められた。これを、なるほど現在は文部大臣にある。しかし、その法に文部大臣とするという、文部大臣に与えた精神というものは、あなたがただいまおっしゃったような、これを振りかざして、先ほど私が指摘したような、具体的な教育現場活動に対する実施権まで与えたのではなくして、地方教育委員会に委譲すべき精神を当分の間、大臣に与えると同時に、具体的には先ほど指摘しましたように、指導要録の作成にしても、具体的な教科課程編成権学校に与えておるのであります。こういう法の精神を無視しながら、先ほど何度も指摘しますように、基本的な指導助言権が与えられておるから、それを法律強制し得るがごとき強制解釈をしながら実施しておるところに問題が私はあると思うのであります。  次に私がお尋ねいたしたいのは、先ほど尋ねましたところのあなたのただいまのお答え、具体的な法律にこう定められておるから、これをそのままやるのが正しいのだ、この言葉は私が何度も指摘しておりますように、具体的な実施権限、あるいは教育活動の分野については、末端委員会規則、あるいは学校管理規則等定めておるわけです。これを大臣学力テストであるからといって、五十三条適用できるという形ですべて強制していくという、その精神が私は民主教育に反するものである、こういう立場をとるのであります。  次に、文部省は、今回の学力テストの主たる目的教育課程改善とか、あるいは教育条件整備とか、特殊教育の充実とか、育英事業とか、学習指導改善等まことにりっぱな項目があげられております。しかしながら、私がここで指摘し得ることは、昨日も申し上げましたように、三十一年から今日まで学力テストを数回繰り返して、文部省資料の中にも僻地振興法となって出ましたとか、育英制度予算が増額しましたとかいったようなきわめてずさんな資料が出ておりますが、そういうことではなくして、学力テスト実施して、今、私が読み上げた文部省目的を完成できると、把握できるという考え方は、まことに教育を知らないもはなはだしいことであります。前回も申し上げましたように、その地域において教科書の異なり、家庭環境の違い、経済条件も違い、特に施設設備充足度合いも異なるものに画一的な統一した期日学力テストをやる。五点と出る、六点と出る。これでたとえば福岡県のA小学校の結果が一つ出た場合に、教育施設あるいは設備というもののどこをどう改善しようとするか、あるいは学習指導改善のごときも、これは現場教師が具体的な一人々々の生徒を長期観察することによって、しかも社会家庭、諸環境をつぶさに診断した後にどうあるべきかということを判断することが教育であります。これを全く条件の異なっておる全国を画一的にやることによって把握できるものは、点数の結果だけであります。その証拠は、きょうお見えになっておると思いますが、文部省調査局を呼んで尋ねましても、私が言うがごとき学力テストによってその学校施設設備の諸条件教員組織とか、そういうものの診断をし、この県のここにはこういう設備を充実すべきである、こういう予算が必要である、ここの教員組織をこう改善すべきであるという資料は、文部省の能力ではできませんと答えている。全く正直な答えであります。これができるはずはありません。ただ、こういう項目を掲げたのは、予算審議の際に文部省の某局長が直接私に言った、今回の学力テスト高校入試弊害を除去するためには、学力テスト実施して、文部省が統一的に問題を作成しなければ、入学試験弊害は排除されませんから協力して下さいと、こう言ったそのことが世論の批判を浴びたとみて、けっこうな題目を掲げておりますけれども、決してどれ一つとして今回のような学力テストの結果から教育条件の具体的な欠陥、現状とか、そういったものは把握できないのであります。真のねらいは、私が冒頭にも指摘したように、文部省が日にちをきめて問題を作って学力調査というものを強行するそのことによって、全国六十万の教師戦前描いたような、一糸乱れずその趣旨に従わせることに対する興味というか、意図というか、これが一つ文部省のねらいであると言わざるを得ません。このことは、今日まで個人攻撃はしたくありませんから私は申し上げませんけれども新聞投書にもたびたび出ておるように、一国の大臣ともあろう者が、道徳教育に反するようなばかたれとか、そういった使用すべからざる用語を使って、テレビ、ラジオ等で言ってもらいたくないという父兄の訴え、こういうことを無視してたびたび放言、失言をやっておられる大臣には十分理解しがたいことかもしれません。問題は今指摘しましたように、あなた方の意図の中に、私が先ほど読み上げた四つの目的ほんとうに把握できて、そして具体的にそれぞれの県、それぞれの学校に対して手当をすべきものはこういうことであるという状況を、五点とか、四点とか出てくる、あるいは百点とか出てくる、その点数によってほんとう診断できるという自信を大臣は持っておられますか。まず、このことを端的にお答え願いたいと思います。
  18. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今度の学力調査を通じて、結果を分析し、解明しまして導き出し得る限度内においては、予定しておる目的を果たすにふさわしい効果があろうと思っております。
  19. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 どうあなたが強弁しようとも、文部省が出しておる官報の資料によるところの学力調査の結果報告を読みましても、教育白書を見ても、あなた方の能力というよりも、これはあなた方の個人差でなくて、文部省という一つの行政機関が、今私が指摘したような具体的なことを、一斉学力テストというようなことき性格のもので把握できないことは統計上からも当然の常識であります。これを把握し得るとおっしゃっても、四カ年も五カ年もやってきても、今日まで何一つ、私が期待し、希望しておるような諸条件改善の具体策とか、あるいは学習指導改善とか、こういったものができていないじゃないですか。強弁もはなはだしいと思います。  次に、米田委員質問に対して、大臣が中学の予備校化は、現状やむを得ないという趣旨の答弁をし、後日改められたことについては了といたしますが、これもたびたび同僚議員指摘しましたように、今回のごとき性質の学力調査を行なうことは、端的に申し上げると、現在の学校教育制度を根本的に実態として破壊していく危険性を持っております。大臣教育現場を御存じないから、学力テストをやっても、そのテストにいい点数をとるような教育をするとは思いませんと、こう言っておる。これは現状を知らないというか、教育を機械的に考えているもの、度がひど過ぎます。父兄にしても子供にしても、一つテストがあれば、それに対して優秀な成績をとりたいというのは、人間の善意の本能であります。これを否定することは人間の本質を把握しないことであります。したがって、抽象的な論議は別にして、文部省が毎年これをやっていけば、すでに前委員会等でも指摘したように、文部省学力テスト用の問題集がすでに発行されておる。この傾向は今日、私は声を大にして大臣に警告しておきますが、単に数冊のこういうパンフレットじゃなくして、この傾向は非常に広がっていくと思います。そうして、こういった教育界のマイナスに対しては、大臣は何らの法的な、これを抑制する権限を持ちません。心配をし得ることはあっても、指導、助言等の措置をやっても業界が出版する書物に対しての干渉権は持ちません。したがって、あなたがその傾向を好むと好まざるとにかかわらず、また助長しようという意図がなくとも、今回のごとき学力調査実施するということは、中学校の予備校化を必然的に推進していく。すでに東京都内でも、私のところの大名小学校という市内の中心校も、小学校二、三年になると家庭教師を雇って、あるいは学校の先生に頼んで家庭指導をしてもらって、高等学校にいかに入学するかと苦労をしております。こういう予備校化という、現行の教育教科課程のすべてにわたった推進が行なわれないで、文部省学力テストに関する成績を上げるという教育に勢い偏向していく危険性を持っております。このことに対して、もし大臣がそういう傾向が起こり得るだろうと判断するならば、これに対する予備策、あるいは対策というものを当然予定しておると思いますが、こういう計画はありますか。
  20. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) もともとこの学力調査は、毎度申し上げておりますように、全国共通的に画一的な問題を出して、義務教育の到達度を、文部省しかやれない、文部省がまたやらねばならない範囲について調査しようということですから、あくまでもそのための試験勉強を、基礎勉強をやるという必要がない。日常の教育活動が真剣に行なわれておる限りにおいては、むしろそのままの姿が現われることを期待もし、それでまた十分であることをねらいとしておるわけでございまして、お話のとおり、店頭に、ひともうけしようと思っておるのか何か知りませんけれども、本屋さんが今度のテスト目当ての参考書みたいなのを出していることを聞いております。これは欲の皮の突っぱった連中が事々にやることでありまして、それ自体はどうということはできませんが、そんな本を出しても何にもならなかったということは、一ぺんでわかる。来年からはああいうばかなことはしまいと思うであろうように、問題の出し方も考え、そしてまた、そういうものですよということを、父兄にも、学校の先生にも、教育委員会にもわかってもらう、一般国民にも理解してもらうということをPRすること以外の対策というものは、本来なかろうと思っております。そういう意味では、今日まで機会あるごとにその点に触れて一般に申し上げておるので、一応十分じゃなかろうかと1中にはむろん理解できないために、必要以上の無用の試験勉強的なものをする向きが絶無とはむろん言えませんでしょうけれども、一般的に申し上げれば、ねらいはそういうところであり、そういう常識が普遍化すれば、本来問題にはならないものじゃなかろうか、こう思っております。
  21. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大臣は、米田君の質問に対して、テストの結果が、あるいは学力が、全部均等になり、しかも、最高の点数になることが望ましい、こういう表現をしたと思います。学力というもの——あるいは能力と言った方がいいと思いますが、これが均等になるということは不可能なことであり、これを均等化しないのが教育基本法精神であります。そのことは別にして、大臣は、別に試験勉強をしなくても、学力テストがやれるかのような言い方をしておりますが、平常の学校教育自体一つの基準に従って勉強を均等に教えておるわけであります。しかし、何か試験はあすしますよ、こう言うと、今まで習ったことを一生懸命に復習して、それに合うように子供たちは努力する、これは当然の作用であります。したがって、たとえ問題が普遍的あるいは基準性のあるものであろうとも、指導要録につけて、ついて持って回るような性格を強制してみたり、そうでなくても、文部省学力テストの何番目であったか、こういう結果があればよい成績をとるように努力するのは当然であります。こういう傾向を欲の皮の突っぱった者が勝手にやっておるという薄ぎたない言葉であなたは業者を非難してありますが、それは一つテストが行なわれる、それにできるだけよい結果をしようとするのは、運動であれ、テストであれ、すべての分野にわたってよい結果をとろうとすることを否定して教育が成り立ちますか。あなたは全く教育の実態というものを無視しながら、抽象的な理論をもてあそんでおるにすぎません。小学校一年生でさえもテストがあるといえば、何とかして似たような問題、いい成績をとろうと努力するのは普通のことですよ。したがって、大臣が失言された中学校の予備校化、特に学力テスト五科目についての学校教育は偏向しなくとも生徒はよい点数をとりたいと願い、特によい点数をとる一つ教育活動の方法として問題集が出てくるし、その問題集に剽作が行なわれていくというのはだれでも予見し得る常道であります。私はこのことによって六・三制の最もうま味であるところの人格の形成という面が、文部省のこの措置によって次第に薄らいでいく、いわゆる頭でっかちというか、五科目専門の勉強、教育が行なわれ、学校体系上からも、子供の全人格の完成の上からもきわめて憂うべき事態が生じているということを今日はっきり大臣に警告いたしておきます。  次に、昨日も矢嶋委員指摘しましたし、私も米田君の関連質問指摘した問題ですが、米田君の質問に対して、学力テストの結果がついて回るようなことはさせませんと大臣は言った。私はこの言葉の中に文部大臣のファッショ的な思想が端的に現われておる、指導要録というものは校長が作成し、米田君が読み上げたように、その校長が、進学をした場合には抄本写し等を送付しなければならない義務を持っておる、させませんということは大臣にどこに権限がありますか。することは望ましいとか、望ましくないという言い方ならばまだまだ許せます。あなたの権限でない、しかも指導要録というものに書かれたものは、それを持っていくようにちゃんとしてある、就職の際、結婚の際尋ねてくれば、ちゃんと身元がわかっておれば、秘密親展として渡すことになっておる、させませんというあなたの趣旨は明らかに現行法規尊重の思想でなくして、あなたに万能の権限があるかのごとき錯覚を持つ言辞であります。この一言が私は学カテストを貫いておるところのあなたの考えである、そしてあなたが意図するとしないとにかかわらず、アメリカのバロンがボリティックス・アンド・フューテュア・オブ・デモクラティック・オブ・ジャパンといった中に書いておるように、日本にとって奇妙な現象は、社会主義者や進歩的な分子が現行法規を守ることを主張して、しかも反米的であり、現行憲法、諸法規を逆行させようとする人々が親米的なのはきわめて重大な事態であるということを言っておりますが、今日までの教育法規の改正された国会における足跡をたどってみると、昭和二十四年以来今日に至るまで、最初の教育基本法審議の際の精神教育二法となり、委員会法の改正となり、指導要領の改悪となり、何一つ憲法教育基本法精神を前進させるものでなくして、むしろブレーキをかけていく方向に制定されてきたいきさつを見ますときに、あなたの言ったそういうことはさせませんという、権限のないものを、あたかも自分に権限のあるかのごとき錯覚を持った教育行政を推進しようとする、その考え方と全く一致しておると私は断定して差しつかえないと思います。今日もなお文部大臣は、指導要録に書くか書かないかは、あなたがさせるかさせないか、その権限があると考えていますか、それとも学校教育法施行規則第十二条の三に、「校長は、その学校に在学する」云々というように、当然学校教師の、何を判断して書くかは責任であり権限であると私は思っておりますが、今日もなおあなたは、そのことをあなたがさせる、文部省がさせるかさせないかという権限を持っておると考えておりますか、このことが現行民主教育一つのコアをつぶすものであるという証拠には、神奈川県教委は指導要録には書かせませんと言った、ほかの幾つかの学力テストを円満にやろうと現場でまとまった県は、この問題を一つ大きな問題としておるところにおいても、文部大臣指導要録に書かせるか書かせないかという判定あるいは指示権はなく、そのことは現場教師にゆだねられた固有の権限である。こういうふうに判断すべきと思いますが、大臣、今日に至ってもなおあなたにあるとお考えですか、教師にあるとお考えですか、前向きにしてぴしゃりと答えて下さい。
  22. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 最後の御質問だけにお答えすればいいかと思いますが、その前に、いろいろ申されましたことについでながら申さしていただきます。そうさせないということをまさに申し上げましたが、それは上級学校に対する入学のときの内申書には、こういうものを書くんだということは文部省令で定められていると記憶しますが、それには、現在の制度としては指導要録に標準検査に関する事項として書く欄が設けてある、そこに要録に記載されておりましょうとも、それを当然内申書に書くということにはなってないと承知いたしますが、したがって、今度の一斉学力調査の結果が指導要録に書かるべき筋道のものと思いますが、書いたとしても、それを内申書に書いて出すようにしようとは思っていないということは、そうさせませんということであります。現在の制度以上のことを、ことさら一生につきまとうような形で改正までしてやろうとは思っておりませんという趣旨で申し上げたことをこの際お答えいたしておきます。  それから、今後の学力一斉調査の結果、指導要録に書くか書かないということですが、これは今おっしゃったように指導要録のひな形、こういうひな形の、中身はこういうものを書きなさいということは、学校教育法にもとを発しまして、その施行規則に基づいて文部省の通達でその実行を要求しておることであります。むろん標準検査に関する事項のところに、信頼性のあるものは正確に実行した以上はこれに書くんだという注釈が加えられてあると承知しますが、今度の一斉学力調査は最も信憑性のある調査だから当然書かるべき筋合いのもの、そういうふうに考えております。したがって、ある県なら県で教育委員会指導要録の標準検査に関する事項欄に、今度のやつを書かないようにするという指示をしたとしますれば、それは適切じゃない。適正を欠くものとして、書くように指導しなさいということを文部省として言わねばならない内容を持っておると思います。さりとて、それが直接法律違反だという意味ではない。適正を欠く意味において、すなわち民間テストといえども信頼性ありと思ったらば書きなさいという内容のところですから、部分的な民間の責任において編さんされたテスト内容が信頼性ありと判断されたときに書くべきものならば、国が法律に基づいて全国民責任を果たす角度から良心的にやろうとしておる今度の調査の結果は最も信憑性のある一つの事柄であると信じます。したがって、そういう意味で標準検査に関する事項欄にこれを書きなさいと教育委員会は指示することこそ当然であると考えておるのであります。
  23. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 何度お尋ねしても、文部大臣または教育委員会指導要録記載を規制し得る権限があるとはお答えになれない。同時に、指導要録に何を書くかという判断の権限がある、あるいは責任教師自身にあるともお答えにならない。ただ、おっしゃることは何かの一つ覚えみたいに民間のやつも信憑性があるものは書きなさいとなっておるから、文部省がやるのですから信憑性があります、これは大臣の判断の中に指導要録に何を書くかという基準性をすでに明記してある。したがって、具体的な事実の中のどれを判断して書くかということは、教師自身の判断にまかされておるということを百もあなたは承知だから、どちらに権限があるかという質問を何度繰り返しても、どちらにあるんだという御答弁ができない。もしあなたが指導要録に何を書くかの権限教師にないといえば、これは重大な問題になることを十分御承知のはずです。言葉を返すならば、指導要録に書くべき基準は示されておる。その基準に従って具体的に何事を書くかということは教師の判断力にまかされておる。この教師の責務を今日まであなた方は教育委員会のしりをたたいてぜひさせろ、こう言ってあるねらいは何か、私はたびたび資料要求したけれども、まだ不十分な資料しか出ておりませんけれども大臣は昨年秋ごろ出たところの教育訓練小委員会報告もごらんになって、文部省の当局者は人的能力部会はそれぞれの調査項目にわたって一つ資料を出したのです。見解ではありませんといっている。しかし、教育訓練小委員会あるいはマン・パワーに関する各省のいろいろのデータの収集等教育に関する事項を見てみると、その中に一貫して流れておるものは、所得倍増計画によるところの技能者の数を把握したい、各県では四点が何人だ、その中にはこういう工場を発展させ、こういう産業構造に切りかえていく、ここにこういう経済機構を作り上げていく、その計画なくしては所得倍増計画は空中楼閣だ。矢嶋委員質問にもあったように、七二%はおろか、これから中学卒業者の全員は高等学校に入りたい、またそれ以上に進んでいきたいという方向をたどることは、これは火を見るよりも明らかなことです。その中において中学卒業生のいわゆる徒弟的な技能者を把握し、それによって今後の人材開発あるいは所得倍増計画の一つの積み上げの基礎にする、この資料を把握したいというのが、文部省というよりも政府の一貫した、今私が言いましたように教育訓練小委員会その他のあらゆる資料を流れておるところの精神であります。こういう点については具体的に口をつぐんで、先ほど申しました四項目の、できもしない言葉を並べ立てております。これがあるがゆえにあなたは権限もないところの指導要録点数を記載するということは、どうしても書く書かないかは教師にまかさるべき問題であるとお答えになれないのである。私はこういうふうに判断しますが、大臣見解はどうですか。
  24. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 指導要録に記載するかいないかとずいぶんいろいろとむずかしくお考えの御質問のようでございますが、私どもはきわめて簡単に、あっさり考えております。すでにして民間のテストすらもが信憑性のあるものは標準検査に関する事項欄に書いて、そうして児童生徒本人の学習指導の参考にしなさいとなっております。すでにしてそうであるのに、さらに信憑性のあることが常識的に私は明瞭だと思いますが、今度の学力調査の結果をなぜ、そう書かないと言わねばならないかという理由が私どもにはわからない。今までの民間調査ないしは抽出調査に自発的に加わったテストすらもが、全部じゃないにしましても実施しまして、校長が信憑性ありと判断したらば、本人の学習指導に役立つと考えたればこそ記入することになるのでしょうが、それにまさる信憑性を持っていることが常識的に、だれしもそう考えるべきであろう成果が出たのに、その一斉学力調査の結果だけをなぜとことんまで記入することを反対と言わねばならないかという理由が私どもには理解できないのであります。したがって、すでにして指導要録にはこういう内容のことを記入しなさいという指示を文部大臣権限責任のもとにおいて指示いたしております。その中の標準検査に関する事項、いかなるものが適切であるかの判断もまた文部大臣みずからにもあると思うのです。民間のものこそ自発的に実施するわけですから、その学校長みずからの判断でないならば、物理的にだれも判断する立場にないことは当然といたしまして、国が法律に基づいて権限を与えられた責任を負わされておるその範囲内のことについて、文部省しかやれないテストを、信憑性のあるテストをしました成果を記入することは常識上当然のことである。したがって、もしこれを書かないでよろしいと教育委員会が判断して、その指令を管下の学校にやったとするならば、まさしくこれは適正を欠く措置と判断せざるを得ないと思っておるのであります。
  25. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 なぜ反対するか、その根拠がわからないとおっしゃるところに大臣学力テストに対するかまえが如実に現われている。反対を私はしておるのではない。その権限教師の判断にゆだねらるべき問題であって、書くか書かないかは教師にまかせられるのが当然の現行教育関係法規定めである。これを押し破るところに大臣教育国家統制の片りんがある、こういうことを申し上げておるのです。たとえば文部省責任で作っておる小学校学習指導要領の第一の教育課程の一般方針の中にはこれこれを編成するという言葉の次に、各学校においては教育基本法学校教育法及び施行規則、小学校学習指導要領教育委員会規則等に示すところに従って地域や学校の実態を考慮し児童の発達段階や経験に即応して編成することになっているが、これが文部省で判断できますか、できないから各学校においては地域や学校の実態を考慮し、児童の発達段階や経験に即応して適切な教育課程編成しなさいと書いてある。十月二十六日の木曜日の第一時間目は自分の学校の地域や生徒の発達段階や経験に即応して理科をやります、社会科をやりますという編成をしておる。文部省自体が作った指導要領の具体的な定めをじゃうりんして、今日このときにやりなさいという、その考え方では、書くことがよいかどうかじゃなくて、書くことを強制する権限がないという私の質問が御理解できないのは当然のことでありましょう。今までいろいろな角度から前者の質問等を総合しながら、学力テストの問題について質問を続けてきたのですが、私は当委員会においてもたびたび要望したように、思想やイデオロギーの相違、それは個人の自由であります。しかし、行政権を掌握しておるもの、特に文部行政の衝にある人は、まず第一番に考えていただきたいのは、ばかたれとか、そういったあなた方が推進しておる道徳教育に相反するような言辞をもって、職員団体として登録されておる団体を罵倒するということは、これは決して許さるべき言辞ではありません。さらに幾つかにわたって指摘しましたように、今回の学力テストは、文部省みずから定めたところの指導要領学校教育法施行規則、あるいはその他の諸法律を受けて制定されておる教育委員会規則とか、あるいは教育行政の組織及び運営に関する法律等、すべての実定法として定められておる幾つかの具体的な末端の独立した機関の権限文部省強制という形でじゅうりんしながら強化しょうとしておる。まことに法を犯すものは大臣が好んで罵倒される団体というべきでなくて、文部大臣そのものが学力テスト実施によってこのことを実践しておるという実態を私は大臣に対して強く指摘しておきます。  次には、たびたび申し上げましたように、このことは文部省の揚げておる四つの項目をどの角度から教育的に診断しても達成できるものではありません。これは教育学者の反対の意見をごらんになればよくおわかりになるはずであります。中にはいろいろな見解を持って賛成しておる人もあります。しかし、少なくとも現場に携わっておる教師の信頼を得ている多くの学者学力テストには反対であるか、大きな問題があると指摘し、このことが民主教育の基本的な精神を破壊し、教育の国家統制の傾向をたどる危険性を強く訴えております。こういう大きな法的民主教育に逆行する学力テストを、しかも教育委員会規則や管理規則あるいは指導要領の具体的な定めをじゅうりんして強行されるがゆえに前回も混乱が起こりましたし、今回も混乱が起ころうとしておる。福岡県の某郡の小学校には草刈りがまを持った父兄がやってきて、このかまは草ばかりを切るんじゃないぞと、こういう様相を前回は呈しました。私はこの父兄の態度がいいか悪いかというとことではなくして、少なくとも生徒の教育の具体的な内容に関する事項教師の全面的賛成協力を求めずして強行しようとするあなたの民主教育に対する基本的な逆行性を強く指摘したいのであります。この自分の教育的な良心、生徒に対する教育活動の確信を文部大臣から剥奪された際に教師が怒らずしていつ怒りますか。それを怒り得なかったからこそ大東亜戦争というものを惹起したのじゃないですか。あなたはそれを暴力だと言っている。子供を現行の学校教育制度法律のワクの中で守りたいという作用が措置となって現われているのではありませんか。おそらく私はここで口をきわめて教育の重要性を唱えてもあなたは学力テストを撤回する意思はないでしょう。しかし、戦前から戦後にわたる教育あり方、そうして教育というものは、ほんとうに河をねらっておるのか静かに胸に手を当てて考えてごらんなさい。決して学力テストというものは教育にはプラスになるという結論は出て参りません。なるほど幾つかの取り柄はあるでしょう。しかし、そのことのために民主教育の中核をじゅうりんするがごときは、決して教育百年の大計からも許されるべきではありません。この際私は、最後に、こうした種類の教育行政権が教育内容に土足で踏み込んでくるというがごとき施策は十分に反省していただき、必要があるならば、問題の一つ一つに対しても、あるいは実施の方法に対しても教育学者あるいは現場教師、こういった者と数年かかって十分に論議し合い、父兄も生徒も先生も喜んでこの方向に向くように経過措置をとることこそが教育基本法十条に定められた、あなたに要求されておる精神ではないですか。どうか乗りかかった船だというような愚策をとられることなく、十分に検討していただき、二十六日に予想される混乱を解消するように、文部大臣としては学力テストを中止延期するように強く要望して私の質問を終わります。
  26. 平林剛

    委員長平林剛君) 岩間委員から関連質問があるから、これを許します。
  27. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は時間がないので、とりあえず質問を二、三の点についてしておきたい。  で、まず第一にお聞きしたいのは、先ほど文部大臣の答弁によりますと、今度の学力テスト法律定められていることを忠実に実施する、その精神でやっておるんだと、こう言ったんでありますが、これは間違いございませんか。
  28. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 間違いございません。
  29. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではあなたのあげておられる根処ですね、これは学校教育法の二十条、小学校教科定めるこの事項、これは文部大臣権限に属しているということですが、しかし、これにははっきり制限があるでしょう。この点は明確だと思う。「第十七条及び第十八条の規定に従い、」というふうにはっきりしているんですが、そうすると第十八条を見ますというと、これは一、二、三、四、五、六、七、八号に及んでいます。その中で、たとえば一号の「学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。」、あるいは第二号の「郷土及び国家の現状と伝統について、正しい理解に導き、進んで国際協調の精神を養うこと。」、第七号の「健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること。」、第八号の「生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸等について、基礎的な理解と技能を養うこと。」、こういうような全部教科文部省定めておるんですね。ところが、あなたは法律定められたそのことを忠実に実施するとなったら、あなたの今の言い分でいえば、当然これらのたとえば芸術教科のごとき、それから私があげた今の四つの項のような問題についてこれは総合的にテストをやらなければならないことになると思うんです。なぜ五つの教科だけ選んだのですか。国語、数学、社会、理科、英語、これだけをピック・アップして、ほかの問題はどこでどうやるんですか。この点はどうなんです。これでは忠実な実施にならないと思う。これはへんぱな実施になると思う。かたわな実施になると思うんです。この点はどうなんですか。
  30. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 御指摘のように定められた全教科について調査をいたしまして、毎度申し上げるように、その調査結果についての改善をはかる責任を持っておるわけでございますが、岩間さん御欠席のときにどなたかの御質問に対しましてお答え申し上げましたように——この委員会で同じことを何度も申し上げますから、その前置きにお断わりをしておるわけでございますが、一、二回お答えしたと思いますが、それはできれば御指摘のような科目につきましても全部同時に調査ができることを望ましいと思っておりますが、ですけれども、今ペーパーテストでもってやる方式としましては、音楽とか体育とかいうものはどちらかといえば、実技中心の科目でもございますから、ペーパーテストに取り上げる自信がない、方法として。かえってそれをやることによって弊害が出てきやせぬかをおそれますから、現在のペーパーテストの到達しておりますやり方を使います限りは、音楽等を除いて五教科がさしあたり適切であろうということでやるのでございまして、ほかのやつを調査上無視しようという意思は毛頭ございません。現実問題としてそれが同時に取り上げ得ない。今後その他も検討を加えまして、全教科にわたって一斉調査ができることを望ましいとは思っております。
  31. 岩間正男

    ○岩間正男君 望ましいなんということじゃなくて、あなたの言い分からいえば、法律定められたことを忠実に実施する、こうさっき言明したわけでしょう。その点からいえば、今言ったような、ペーパープランだけでやる、そういうものだけを取り上げて、しかもその結果はどうかというと、その結果は全部それによって人間を判定するということになるんです。たいへんなことじゃないでしょうか。全くこれは法律のへんぱな、あなたたちの好みによって、あるいは自分たちの都合によって部分的にこれを取り上げて能力をテストするということになる。あなたは自身の答弁の中にはっきりそういうことを認めておるんですね。望ましいなどと言って、しかし、実際は実施できないでしょう。実施できないことを言っておるわけなんです。そうすると、まず第一に私は先ほどの言葉を撤回してもらわなければならぬ。忠実に実施するといって、してないじゃないですか。忠実に実施するなら、そのことについて全能力を、私はテストするというならまだ話はわかる。ところが、実際はこれはできない。そうして最も簡素な、最も身近な、最も目先のきいたものだけ、これだけをテストする。その結果、人間の能力はそれで決定されてしまうんだ、実際は。いつやるんです。やれないじゃないですか。今の組織でやれますか。やれないじゃないですか。そんな都合のいいことだけで、人間の一部分の能力だけ、しかもそれは記憶や詰め込み、そういうものによってきまるような能力だけをテストして、あなたどういうふうにするんです。それは教育と能力のテストにならぬじゃないですか、学力のテストにならぬじゃないですか、いかがです。
  32. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 法律を忠実に守って実施せねばならないとさっき申し上げましたのは取り消す必要はないと思います。法律は不可能をしいるものでもないわけでございますから、五科目以外の科目につきましては、さっきも申し上げたとおりの考え方に立ちます限りやるべきではないと、今としては。今の到達しておるペーパーテストのやり方では実技中心的なものはやるべきじゃないと私どもは判断したのであります。そういう判断に立って、願わくば全科目に及びたいとは思うけれども、同時にはスタートできなかったということであって、この姿もまた法律を忠実に守っておる姿だと心得ます。したがって、取り消せとおっしゃいますが、取り消す考えはございません。さらに三十一年以来やっております抽出テストも、たしか  二科目ぐらい選んでおったと思いますが、一科目といえどもやらないよりはいい。それを抽出して推定できる分析の結果、考え得る改善根拠となる価値がある限りにおいては、一科目でも二科目でも、その価値を認めまして、抽出テストを従来やって参りました。それすらもが自発的な参加校を加えますると、六〇%以上にも及ぶぐらいの現場の先生方も十分その価値を判断しまして協力してもらっておる。さらにそれを五科目に広げてやりますことは、今までよりもベターな方向をたどっておる。法律に忠実に従うという方向に前進しつつある姿だと心得ます。
  33. 岩間正男

    ○岩間正男君 答弁少し長いですから、私は端的に質問しますから端的に答えて下さい。あなたの発言の言葉じりをとる気持はないですけれども、先ほど不可能をしてしるというようなことを言われましたね。音楽とかあるいはいろいろな体育、美術、芸術教科、こういうものは不可能だと判断されておる。あなたたち、そうすると、実際はこれは学校の教授作業の中では不可能などといっておられない。実際やっておるのです。しかもこれは非常に重要なやはり教科です。このことは私は何もつべこべ言う必要はないと思うのですが、あなたは教育基本法精神について明確にされておるのです。これは戦前と戦後をはっきり区別する  一つの明確な性格の相違なのです。そうでしょう。どういうところにあります。戦前教育、その欠陥を補って、そうしてはっきり、これは民主主義国家社会を形成するそういう立場から要請されたところの教育上の理念です。私は人間の全能力を全面的にやはり啓発していく、そうして人格の陶冶をはかる、これが教育の中心であったじゃないですか。基本法精神ははっきりそこにあると思うのです。そうすると、今の学力テスト、こういうことをやったらどういうことになります。実にへんぱな部分的な知識しかわからないことになるのじゃないですか。この点はいかがですか。
  34. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) この調査を通じて教育の場がもっとよくなるというよすがになると思います。
  35. 岩間正男

    ○岩間正男君 よくなんかなりやしません。ここでそのことについて論議しようとは思いませんけれども、よくなりはしない。教育基本法精神、この精神に従って戦後のあの教育弊害というものを矯正する、そしてほんとうにその目的を遂行するという方向にこのテストが運用されるというのなら話はわかるけれども、全くこれは逆な方向になるのは明確でしょう。教育基本法精神に違反すると思う。学力テストの今のやり方をやっておるとそうなるじゃないですか。その点はもう一度確かめておきます。
  36. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 教育基本法精神にかなうものと思います。
  37. 岩間正男

    ○岩間正男君 どういう点です。それを明らかにして下さい。
  38. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先刻もお答えしましたように、この一斉学力調査によりまして、分析の結果に基づいて、教育条件改善あるいは学習指導改善等に役立て得る意味におきまして、教育基本法精神にむしろ合致した、積極的に教育基本法精神に合致せんとする一つの企てと思っております。
  39. 岩間正男

    ○岩間正男君 私が言っている教育基本法目的、それははっきりしているでしょう。人間の能力を全面的に開発する、そうして全人格的な陶冶をやるということにある。ところが、今のようなあなたたちの選ばれた国語、数学、社会科、理科、英語、これだけではその能力をほんとうテストすることもできない。したがって、それによってこれをほんとうに養うことはできない、そういう面がはっきりある。それはあなたの、今の方法ではできないということを言っておる、不可能だと言っておる。不可能なことを強行することは、法律精神にないとかなんとかいう言葉で明確にこのことを語っているでしょう。そうすると、全く人間の一部分の能力だけをテストして、しかもその結果は、これははっきり指導要録に記載するという。そうすると、指導要録に記載されたその結果によって人物の判定ができてしまうのですから、重大なことだと思うのです。これはあなただって認めざるを得ないのじゃないですか。この点からいえば、はっきり教育基本法の指向する精神に違反していますよ。これはあなたもう少し明確に、事理を明らかにしていえば当然そういうことになる。私はここで水かけ論をやる気はないのでありますから、それに関連してなお話を進めたいと思いますが、私はこの前資料要求しました。どういう資料要求したかというと、こういう資料だ、それは戦前の詰め込み教育、そうして予習教育、そういうことによる欠陥というものはどういうふうに文務省はつかんでいるか。戦前教育欠陥、つまり受験教育、予習教育といわれたその欠陥についてどういうふうに把握しているか。しかも戦後において、戦後の教育の改革の中でどういうふうにこれを是正するところの対策をとるか、こういうふうに私は資料要求した。ところが、どうです、あなたたちの出してきた資料では全然そうなってない。これは戦後受験準備教育、予備校化の弊害除去のためにとられた方策いかんというので、これに対する答弁だけで、しかもこれは内容を見ましても、何も私があげたところの戦前欠陥に対してはっきり対決してこれをなくすというそういう方針でとられたんじゃない。ただ、今までやってきたそういうことを羅列しいるにすぎない。こんなものは資料になりませんよ。資料に出されないから私はお聞きするんですが、戦前のあのような予習教育、さらにその前提となる詰め込み教育、いわば人間の画一性と選別性をほんとう要求する。そういうような形で全能力を発揮させることのできなかったかたわな人間を作った。そういう教育欠陥、そういうものをどういうふうに把握しておるか、これは文部大臣にお伺いするんです。ここで資料に出していないから、ここで答えられる準備があるなら答えていただたきたい。
  40. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 純粋な教育用語を使って教育的な見解は述べる能力を持ちません。ただ、戦前教育にもいろいろ欠陥もあったでしょうが、いいところもあったと思われます心戦前教育を受けた者が今、日本の政界であれ経済界であれ、あらゆる学校の先生に至るまでたくさんおりますから、その教育を受け、その指導を受け、その人々の努力によって日本の国力を初めとして日本人の特徴といわれる勤勉だ、正直だといわれる性格も依然として伸びてきておる。全世界の心ある人々がそういう点は推奨しておるということからいきましても長所はあったと思います。教育的にそれをどう表現していいか、私もそのすべを知りませんが、欠陥もむろんあったでございましょう。そういうふうに把握しております。
  41. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの今の答弁、重大ですよ。これは文部大臣としてお考え願いたい。私は戦前教育のいい点なんか言っていやしないですよ。戦前教育欠陥はどこにあったか、どういうふうにあなたは認識されておられるかどうか聞いたのに、全然それには答えない。戦前教育の弁護だけしておる。これは荒木文政の本質じゃないですか。そうじゃないですか。明確にこのことを語っていますよ。あなたはもうそういう反省がないのだ。反省がないのに立って、どうしてまた戦後のこの対策について、しかも今のテストの問題なんか、考える能力がないと言われても仕方がない。  もう一点伺います。戦前教育にも欠点があったかもしれないなどと言われていましたが、はっきりどういうところが欠点だったか言って下さい。その点を明確にして下さい。それが明確でなくて今、文相勤まりますか。
  42. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 教育それ自体について、私も申し上げる能力がございませんが、基本的な点を申し上げれば、最もはっきりしておるのは憲法それ自体が変わった。主権在天皇主権在民になった、ということの違い。また、その長短ということの角度からの考え方において、今の憲法に基づいてわれわれは政治をやり行政をやっておるわけですから。根本的な相違があると思っております。
  43. 岩間正男

    ○岩間正男君 そんな抽象的なことを私は開いておるのではない。あなたは教育的にこれを述べることはできないなどと言っておるが、たいへんなことですよ。その能力なくして文部大臣が勤まりますか。たいへんなことですよ。戦後の教育改革の根本的な理念というものをつかまえないでおいて、今のような教育をやるからこういうことが起こるのです。これを述べることができないというのは、これは私たち見のがすことのできない問題ですよ。しかも擁護までしておる。戦前教育を擁護しておるんだから、賛美しておるんです。あなたはおそらく賛美しておるんだけれども、それに戻したいんでしょう。そういうことになったら、はっきりこのあなたの文政の正体というものは明確になってきておると思う。わからないですか。戦前教育、あれだけ欠点があって、そうしてこれを根本的に変えるということが戦後におけるところの大きな教育改革の目的であったんですよ。そこをあなたはつかんでいられないのですか。それをつかんでない上に立って今の文政を進めておるんですか。私は重大だと思いますので、もう一度これはお聞きします。
  44. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先ほどお答えしたとおりでございます。教育そのものは現場の先生にやってもらっております。戦前教育を受けた先生も教師として現におります。その先生も憲法の違いを念頭に置いて、憲法に基づいて制定せられました教育基本法以下の法律制度定めるところに従って良心的に教えておられるとかたく信じております。そういう意味において根本的な相違点だけを申し上げたのですが、そのほか具体的にその教育現場に即したことを一々あげろとおっしゃっても私にはその能力はございません。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はそんなこまかいことを一々聞いておるわけじゃない。大綱について戦前教育はどういう点で根本的に誤りがあったかということを文部大臣は把握してないで文政にタッチすることは私はできないと思う。ここから一切の混乱が起こっておると私はあえて言ってもいいと思うのです。あなたはそうしてたとえば戦前からの教員が今教育にタッチしておるということを取り上げておりますが、これは戦後において、この戦前教育にタッチした先生は一つの大きな自己改革をやっておるはずです。それは何かといったら、あくまで民主的な教育に徹しよう、あくまで戦争に反対して平和を守ろう、教え子をだから戦場へやるまいとしている。こういうことをはっきりあげることができますが、そしてその反省から立ち上がって戦後の教育改革というものはなされたのです。教員組合を作ったのもその戦いなんです。そういう事態もあなたはわかっておられないようですが、どうです。私はここでくどくど実は戦前教育弊害についてあなたを前にして言う必要もないと思うのですけれども、明確なのはこれは第一に官僚統制の教育だった、天皇中心主義の教育だった。そして上から下へ押しつける教育だったということ、そして知識偏重の教育で、しかもそれは詰め込み主義の教育であったということ。そして子供の能力というものはそういう点だけから測定されてきている。国家権力要求するその要求に最も近視眼的に奉仕する、そうしてそれに迎合するような子供たちはこれは優等生の名をかち取ってきた。ここに根本的に日本のさか立ちがあったわけなのです。そうじゃないですか。そしてそのために予習教育は強化された。だから人間の本質を、全能力を全面的につちかって全人格的な人間を作るという点では著しく欠けていた。これが日本教育欠陥ということができると思う。だから、終戦後の教育改革というものはこれを是正する、そうして新しい憲法に従ってこの教育基本法のですね、これは教育目的ははっきり決定されたのじゃないですか。そしてこの中心は人格をほんとうに陶冶する、全人格というのは人間を作るということにあるわけでしょう。ところが、今のテストのやり方を見ますというと、全くこれは逆になってきている。再びまたあのような体制に戻す、そういう結果を来たすことはこれは先ほどいろいろ質問の中で、また当委員会で何回も同僚委員から繰り返してきたところだと思うのです。この点はどうです。この点についてのあなたの反省をお持ちにならないのですか。この点伺いたいと思います。
  46. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今度のころ一斉学力調査をやったからといって、岩間さんのおっしゃるようにはなるはずがないと思っております。
  47. 平林剛

    委員長平林剛君) 岩間さん、関連質問として許しましたから、なるべくそういうように……。
  48. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はこれを関連して……。これはこの前も問題にしたのですけれども、こういうような学力テストを非常に偏重する教育体制を今の教育体系の中に入れると根本的にこれは混乱せざるを得ないし、さらに準備教育というものは強化されることはこれは当然だと思う。その結果私は起こってくるのは、もう一つの終戦後の教育改革の一つの理念である教育の機会均等というものは、これはまだ完全に今でも実現されていないのでありますが、もっともっとこれはひどくなってくると思うのです。それで予習教育は行なわれている。それから、これの関連のいろいろな印刷物が出されておる。そうしてまた結局それを、今度は学校の能力を問い、先生の能力を問うというようなこのテストはそういうことを上から強制することになりますから、どうしてもそれにこたえるという態勢をとるということになりますというと、どこでも予習教育が行なわれてくる、根本的にこれは教育が破壊されるだけでなくて、ここでもう貧富の差によって貧しい階級はほんとう教育の機会に恵まれなくなってくる、こういう非常に私は教育における格差が今後大きく開いてくる、そうして再び戦前教育体制に返る、こういう危険は十二分にあると思うのです。こういう点について私は特に資料要求したのでありますけれども、なぜ一体文部省はこの点を等閑視して、ことに戦前における予習教育弊害をどういうふうにはっきりつかんでいるか、これを資料として出せというのに対して、ことさらにこういうような問題にならない資料を出したのですか。これは故意ですか、悪意ですか、あるいは偶然にこうなっているのですか、あなたたちのこれはなんですか、これに対する問題の把握が十分でなかった、そういうところからきているのですか、これは資料を出した当局から聞いてみたい。
  49. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 別に悪意でも故意でもございません。岩間さんの質問を速記録によって詳細に検討した結果……。
  50. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうなっているか、速記録は。
  51. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 速記録を読みましたところ、戦前、戦後を通じて入学試験弊害がどういうふうになっているか、こういうことでございまして、弊害の面は戦前も戦後も共通でございました。そこで資料を出したわけでございまして、あの速記録の要旨を見てみますと、戦前教育というよりは、むしろ戦後の教育の中にそれがあって、今でも入学試験準備教育が非常に多い、その弊害をどういうふうに把握しているか、こういうふうに私どもは理解したわけであります。そういう趣旨文部省はこういう通達を出しているのだという御回答を申し上げたわけでございまして、あるいはあなたの真意が私どもに十分に伝わからなかったのかもしれませんが、私どもで十分速記録を検討した結果、あなたの真意はこうであろうというふうに推定したわけでございます。その推定に誤りがありますれば、さらに明確にしていただければ……(「戦前と戦後は質問に違いますよ」と呼ぶ者あり)私速記録を拝見したところが戦前はつけたりでありまして、入学試験弊害が中心になっております。
  52. 岩間正男

    ○岩間正男君 今と関係もあるから、僕はあらためて要求します。戦争前の教育欠陥をどういうふうに把握しているか、ことに詰め込み主義のこの予習教育というものから起こる弊害というものをどういうふうに把握したか、その結果どういうような教育の破壊現象が起こったか、その認識の程度を明確に出してもらいたい。そうして戦後の教育改革の中でこれに対する具体的な対策をどういうふうに打ったか。これは具体的なこれに対する答弁ではありません。ちゃんと私はそういう質問をしているのです。あなた方は非常に都合のいい、自分に都合のいい、速記録を読んで僕の真意というものをあなたの都合のいいように私は理解をして出したとしか思われません。あらためて要求します。これは今すぐ出してもらいたい。すぐ出せると思います。出さなければしょうがない。
  53. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) もう一度私あなたの真意をつかんでおきたいのですが、戦前教育欠陥ということなんですか。速記録を見ますと、入学試験弊害のほうに重点が置かれているのですよ。戦前教育欠陥があって、終戦後それをどういうふうに改革したかとなりますと、教育制度の問題にも全部、全般にわたるわけです。あなたの速記録を見ますと、入学試験弊害だけをあげておられる、どちらに真意があるか私どの資料を出しようがないので、それを明確にしていただきませんと……。
  54. 岩間正男

    ○岩間正男君 速記録を検討するとして、今検討していないから、あらためてその点明確にして下さい。戦前教育、それによって起こった弊害というものをどういうふうに把握しているか、文部省は。それともう一つは、今言った準備、入学試験を中心とした教育、これによってどういう弊害が起こったか、二つに分けましょう。同じ問題だけれども二つに分ける。いいですな。今度間違いないでしょう。大丈夫ですな。
  55. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) はい。
  56. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 豊瀬質問に関連して、一問だけいたします。文部大臣に伺いますが、学力テストは明後日と迫っているわけです。一国の文部大臣として、法律の虫になっているだけでは済まされない私は段階だと思うのです。法理論だけで済まされない。重要な文教の問題が起こりつつあるという把握に立たなければならぬと思うのです。で、あなたは明後日に迫っているテストの問題について、子供を持つ父兄はもちろんのこと、国民一般大衆が、非常に心配されているという認識を持っておられるかどうか。本日の朝刊でも若干の日刊紙で、社説にまで取り上げて論じておられますがね。相当私は重大な深刻な問題だと思う。また一説では、警官の学園への出動要請が用意されつつある。そのテストを予定どおり推進するために、比較的腕力の強い人が学園に出動を要請されている状況があるというようなことが伝えられています。こういうことは、文部大臣としては好ましいこととお考えになっておられるのかどうか。どんなにいいことをやろうとしてもその結果大きなマイナス面として出そうだという現実の段階に立った場合に、政治家、特に一国の文教の最高責任者としては、次善、三善の策を考えられることが当然であり、私は義務だと思うのです。明後日のテストを前にして、今の時点では、荒木文部大臣として次善、三善の方途をみずから考え、またあなたの部下に対して指示されるべき段階にきていると私は考えますが、あなたはそういうことをお考えになっておられないかどうか。もしそれをあなたが今の段階になっても、なお次善、三善の方途というものを、みずからも考えないし、部下にも指示する意思がないというような状況のもとに、かりに明後日に日本教育界に混乱が起こった場合、それは混乱を起こした者が悪いのだと、それだけでは済まされないと思うのです、私は。政治家として、また文部大臣として、混乱を起こした者が悪いのだということだけでは、子供に対しても、主権者である国民に対しても、文部大臣としては済まされない私は責任問題が残ると思うのですね。そういう立場から、あえて豊瀬質問に関連して、この一問をお伺いいたします。
  57. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 私は今度の一斉学力調査は、全国的に見まして、新聞等でいわれているような大騒ぎにはならないと思います。部分的には起こり得るかともむろん想像いたします。それとても、もともと日教組の全国大会で、一斉学力調査には、実力と称する暴力ざたに及んででも、これを阻止するということを団体の方針として、決定して末端に指令を発しているということを考えますと、中にはその指令に従わねばならぬかと思うような人がたまたまあって、そのことを契機として、はしなくも、新聞に報道されるようなことがひょっとしたら起こるかもしれぬけれども全国の教職員の良識は、ああいうむちゃな指令に従わないだろうということを信じますから、格別心配はいたしてもおりません。
  58. 千葉千代世

    千葉千代世君 関連して。暴力とは何ですか、暴力とは。
  59. 平林剛

    委員長平林剛君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  60. 平林剛

    委員長平林剛君) 速記をつけて。  午後は一時三十分より委員会を再開することとして、暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩   —————————————    午後二時五十九分開会
  61. 平林剛

    委員長平林剛君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。ただいま豊瀬禎一君が辞任され、その補欠として江田三郎君が委員に選任されました。  以上であります。   —————————————
  62. 平林剛

    委員長平林剛君) これより学校教育法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際発言を許します。千葉千代世君。
  63. 千葉千代世

    千葉千代世君 私はこの八月下旬に、決算委員会調査に加わりまして富山県に参りました。県の行政についていろいろ報告を受けたわけですが、私その中で、特に富山県の知事が教育に非常に熱心であったということを記憶しているわけですが、僻地の教育の問題とか、教員の定数の問題、あるいは雨天体操の拡張等に非常に財力を稔出して、各学校に拡張工事をしておった。県費でもって施設整備をしている、市町村費でやっておる、PTAの負担をあまり他県に比べてかけていない、そういう点で感心をしたし、また、こまかい問題についても、たとえば養護教員の必置制の問題とか、そういう点について教育委員会当局に実情をただして、違っていればその場でたださせるというような非常に積極的な方であったわけです。ところが、話し合いの最後にこういうことを言われたわけです。三十八国会で非常に熱心に工業教員養成所とか、高等専門学校の問題が話し合いに出たようだけれども、富山県のように、これから工業県として発展していくためには、今すぐ必要な労務者、技術者、しかも初級の技術者が必要だ、そこで、自分の県では各県に先がけて、労働省の管轄だと思いますが、技能訓練所、そういうものを招致して、そして一生懸命やっている、農業とか林業から転業してくる者のために速成に工業の知識をやっていく、それから若い青少年にもそれをやっていく、そういう点で非常に模範であるけれども、文部行政と労働行政、そういう点が円満を欠いているために非常に困るんだ、だから労働省の技能の訓練所のほうを、力を得て、もっとたくさんやってもらうように全力を尽くしているんだと、こういうことを言っていたわけです。私はここに提案されました学校教育法等の一部改正について内容を見ていきますというと、現在、労働省のやっている技能訓練所ですか、訓練施設ですね、名前は私ちょっと失念いたしましたけれども、それと、それから企業内訓練、たとえば大企業の中に訓練所を持って、それを修業した者については、定時制高校とか、通信教育をやっているものの単位の一部にするとかいう、こういう問題が非常に輻湊しているわけなんです。私が今伺いたいのは、現在、労働省がやっている技能訓練施設状況全国的に今どのような実態になっているかを、ごく概括でけっこうですから説明してほしいと思います。
  64. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 労働省が職業訓練法で規定しております中に、二つあるわけでございまして、一つは労働省みずから公共職業訓練所を設置しておるのでございます。それは府県に設置さしている分もございますし、中央で労働省みずからやっているものもある、この関係のものが学校数で申しますと三百三十四ございまして、それで教育訓練を受けております者が五万七千百六十名となっているのでございまして、これは修業期間が六カ月ないし二年ということになっておるのでございます。それから今御指摘になりました事業内におきます訓練施設、これも労働省が援助しているものでございますが、これは企業の性質によりまして、それぞれ自家養成をいたしているわけでございます。それが施設で申しますと八百三十四に上っているのでございまして、生徒数が六万二千百四十一名、これが修業年限は三年または四年というふうになっているのでございます。これは双方とも学校教育ではないのですが、現場の事業に役立つようにというのが趣旨でございます。文部省関係は、この中で取り入れ得るものは、大体修業年限、教育内容教員組織施設設備状況等を見まして、高等学校と同程度のもの、あるいはそれ以上と認定できるものを規定したい、こういうふうに考えているのでございます。これはいずれの施設も該当するのでございます。
  65. 千葉千代世

    千葉千代世君 もう一つは、大阪の高槻市というところで、今全体の雇用主が集まって相談していることは、おもに中小企業なんですけれども、そこで雇われた中学卒業生は原則的に公立の定時制高校に入れてやりたい。こういう希望と、それからその地域に住む地区労働者協議会というのが、これまた話し合ってやはり貧しくて勉学の道を閉ざされた者に対しては、何とかして定時制高校へ通わしたい、いわゆる企業内訓練ということも聞いておるけれども、中小企業の人たちで、そういうことはなかなかできないから、希望に沿うようにしたい、こういう話し合いが進められて、近いうちに実施の方向にいくということを聞いたわけです。私はこの法律を読んでみまして、企業全訓練を認定したりするよりも、中小企業に働いている人も、大企業に働いている人も、この年少労働者を原則的に公立の、あるいは私立でもけこうですが、定時制高校に通わしてやる、五時なら五時に打ち切って、そうして勉強さしてあげる、こういうふうな配慮をするための行政指導なり、法律とか、そういうものこそ必要であって、ここに書かれてありますような、端的に言えば、何か徒弟制度への道も相当あるような内容を含んでおります。そういうふうな点で、この法律そのものよりも、別途な法律でもって、そういう配慮を加えたほうがいいのじゃないかと、こう考えておりますけれども、その点について。
  66. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説のとおり、中小企業に働いておる者も大企業に働いておる者も、ひとしく定時制の教育を受けさせたい、この点は全く同感でございます。ここに何らの差別を考えているわけでございませんが、ただ子供の身になってみますと、相当な施設で技能訓練を受け教育を受け、高等学校教育と同じようなものをやっておりますと、定時制のほうでも。ダブってくるわけなんです。その二重負担を解消しようというだけでございまして、お話のように、すべての者に、中学を卒業した者については、全部に定時制なり通信教育を受けさせたいというお考えについては、私ども全く同感で、そういう指導もいたしておるわけでございます。
  67. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、現行の労働省でやっております技能訓練所ですか、これはそのままずっとやっていく、そうして、この法律の施行に基づいて、政令の定めるところによって認定するとありますが、そういう施設は、そのままでずっといくと、あるところは、タブるわけでしょう、たとえば労働省の訓練所の中で、今説明されたような六カ月とか、二年ではなくて、大体三年程度とかという、そういうような条件に合ったものを認めた場合には、それも認定していく、そうするとタブる部面があるのですね。
  68. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど申しましたように、修業年限三年以上のもので、施設設備教育内容教育組織が、高等学校教育をやっている、あるいはそれと同等以上のものであれば認定するわけでございますが、依然として職業訓練施設であることには間違いないわけでございます。その場合どの程度までを高等学校教育として認めるかという問題があるわけでございます。
  69. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこが問題だと思うのですが、それはあとに回しまして、この法律の四十五条の二でございますね。それに基づいてそれは認定するとあるのですけれども、この四十五条の、施設の指定に関しては必要な事項は政令で定めると、こうございますですね。政令で定めることは、施設の認定だけなのか、あるいはその施設の中で教育を受けている者の認定の権限、それまで定めるのでしょうか、そういう点。
  70. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 施設の指定に関し必要な事項は政令で定めるとなっておりますから、これは条件でございます。たとえば今申しましたように、修業年限の問題とか、あるいは教育内容とか、あるいは教員組織が免許状を持ってる者が半分以上はなければならぬとか、そういう高等学校と同程度の認定ができる程度の事項はこの政令できめるわけでございます。そこで、その次の段階として、それではそこで、施設教育を受けた者が全部高等学校教育とみなすかどうか、これは別の問題でございまして、これはあくまでも校長が認定するもので、私どもは、これはここにも四十五条の二の一項の方に、「文部大臣の指定するものにおいて教育を受けているときは、校長は、文部大臣定めるところにより、当該施設における学習を当該高等学校における教科の一部の履修とみなすことができる。」、ですから具体的にどの教科について何科目の何単位を認めるかという認定の問題は、これは校長の権限でございます。それについては文部省令で規定をいたしたい、こういうふうに考えておるのでございまして、二項の政令で定め事項は、これは指定の条件についてだけ考えておるものでございます。
  71. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと実質的に高等学校程度の教育をしているという認定、それは校長さんがするんですか。
  72. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは文部大臣がするわけです。
  73. 千葉千代世

    千葉千代世君 単位だけ校長さんがするんですか。
  74. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そういうことです。施設の認定は、これは高等学校と同程度以上の教育を行なっているという認定は文部大臣がして、その中でどういう教育をしておるか、そのうちの高等学校教育の一部とみなすことのできる単位ですね。たとえば電気なり機械なりについて何単位をやっておるか、こういうようなことになりますと、今度は校長の認定になるわけでございます。
  75. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、基礎学科と関連学科とみて参りますね。そうすると、八十五単位でしょうか、それを目標にして教育をしていくとすると、そうすると、訓練所で学習した者、これは基礎学科ではなくて関連学科の実習なんでしょうか、その点ちょっと。
  76. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) おっしゃるように、基礎学科の方は認定はいたさないつもりでおります。ここで認定いたしますのは、電気なり機械で、工場でやっておりますので実験実習を伴う、いわば専門教科と申しますか、そういうものを主として認定にしよう、国民教育として大事な、いわゆる基礎教養のものは、これは認定はいたしませんので、その部分については定時制の学校なり、あるいは通信教育で単位をとることにしておるわけでございます。それは認定しない。
  77. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、具体的には単位の二分の一とか、三分の一とか、こういう限定は設けるのでしょうか。それとも設けないで、企業内で実習した個々の施設の実績によってまちまちに認定される場合もあるのでしょうか。その点ちょっと。
  78. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これはまちまちに認定されると思いますけれども、限度はきめておりまして、今のところ三分の一以内を認定する。ですから、三分の一でも個々の施設によって整備状況は違うと思います。極端にいえば五、六単位しか認定できない場合もあるだろうし、その非常にいいところでも大体三十単位くらいが限度になかなろうかと思います。
  79. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、三分の一の認定なんですが、たとえば訓練所の中で実習を受けている場合に、それを教える人が教員の免許状を持っていなくてもいいのかどうか。これはこの前の国会で、たしか米田委員質問したのですね、そういう教員免許状の関・連で。私もこの法律を読んでいってみますと、非常に心配な点が出てきたわけです。御承知のように、免許状を持っていない者は教壇に立てない、したがって、単位になるものは免許を持った先生が教えるものと、こう解釈しておったわけです。それで衆議院の速記録を私読んでみましたら、内藤局長が、大学を卒業した者その他について云々ということがちょっと答弁として述べられているわけです。そうすると、御承知のように、大学を卒業しても教職過程をとらないと教師になれないわけですね、免許状が。そうすると、免許状のない者が教えて、それを校長が認定していく、ちょっとおかしいように思うのですね。ここで教えている人は、大学を卒業したとか、しないとかということはともかく別にして、免許状を持たない者が指導員の名目なり何なりでやっているのでしょう、教えているのでしょう。そうすると、高等学校の校長さんがこの単位を認定する、こういうふうになるのですね。それは政令で定める、こういうわけなんですか。
  80. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説のとおり、組織についてはどの程度でなければならぬということは政令できめたいと思います。先ほどから申しましたように、施設設備教員の組織、教育内容等は高等学校と同等またはこれ以上の者を認定するわけですから、教員につきましても、少なくとも半数以上は教員の免許状を持っている者または同等人以上の学力あるという認定をした者と、こういうふうにいたしておりますから、特に工業課程につきましては、先般の免許法の改正で、教職教養がなくても先生の資格ができたわけですから、大学の工学士も当然教員になれる、教員の資格があるわけです。ですから、大体半数以上が教員の免許状を持っておる者または同等以上の学力あるという条件をつけておりますから、大体これは工業高等学校程度の教育をしておる。しかし、実際これは見なければわかりませんから、それは校長が現場に行きまして、実際の教育、訓練の状況を見、かつ指導助言もいたしまして、場合によったら試験もして、確かに高等学校と同等以上の教育をしたというはっきりした証拠があって、初めて認定というか、単位の認定が行なわれるわけでございます。やったものを無条件に認定するという考えではございません。
  81. 千葉千代世

    千葉千代世君 この間の免許状の改正は、それは特定な科目について教職過程が半分なら半分を免除するとか、全部免除するとかであった。ここにいう人は、そういうような条件にかなって免許状を申請して免許状をもらって、ここで教えていれば、それは免許状を持ったということができるわけです。ただ、大学を卒業したからそれでいいというわけじゃないのです、そうでしょう。特定な学科、たとえば工業の何と何を受け持った者については教職過程は半分とか、こういうような特例を設けてありますけれども、そういう点で結果的には免状を持たない者もいて教えるということもあるわけですね。
  82. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど申し上げましたように、免許状を持っておる者及びこれと同等以上の学力ある者が半数以上あるということが条件を満たしておるわけでございます。先ほどお尋ねの工業につきましては、工業という専門教科につきましては、これは免許法の改正で教職教養が半減できるようになっておりましたのを、この前の改正で、全部、教職教養がなくても教員の資格を付与するという改正が行なわれたわけでございますので、大体、大学を出た工学士なら工業学校の先生の資格があるわけでございます。
  83. 千葉千代世

    千葉千代世君 それはわかります。そのことはわかりますけれども、そういう資格のある人も免許状を申請しなければ免許状をもらえないわけですから、その人が免許状の申請をして資格をもらってここで教えているというなら話はわかる、それは免許状を持った者ですから。私の言うのは、持たない者を同等と認めるということは、たとえばその工場でちゃんと職工長さんを長くやって技術が優秀だ、けれどもこの人は高等学校を卒業していない、昔からずっと鍛え上げてきた専門だ、けれども実際の技術においては、高等工業卒業以上、あるいはその教員と同じように実際にあると認めるときは、これもまたいいわけでしょう。そうすると、非常に問題が出てくるのじゃないか。たとえば定時制の高校あるいは通信教育、そういうものが主であって、そして企業内訓練なら訓練の中の実習というものが従である。従というのは付属といいますか、ごく一部であると、こういうふうな把握と、それから三分の一という膨大な単位をここでまあある程度授けていきますね。そうすると、技能訓練が重視されがちになって、逆の方向にいくのじゃないかと考えるのですが、どうなんでしょう。基礎学課のほうに関連して。
  84. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 基礎学課につきましては、これは技能訓練でやりましても、それは単位に認定しないわけです。これは国民教養という基礎的なものでございますから、定時制なり通信教育でとるのが原則でございます。ただ、この法律では工業等で技能訓練施設というのがございますから、そこでやっておる機械とか電気というような、そういう実験、実習を伴う教科につきましては、これはある程度の特例を認めてもいいのじゃないか。ただ、その特例無制限に認めるのではなくて、教育内容あるいは教員内容を見まして、高等学校と同等、あるいはそれ以上という認定のあるものについてはこれを認めてもいいのじゃないか。しかもそれを全部認るのじゃなくて、三分の一という限度を置いておりますことを、しかもその実態を見て、場合によったら二単位のこともあるし、三単位のこともあるだろう。少なくともそれの部分だけ子供の二重負担はなくなるわけであります。ですから、認定されなくても、定時制高等学校で十分勉学する機会はあるわけですから、認定しなくてもいいわけですけれども、認定の道を開いたほうが子供の二重負担を解消することに役立つのではなかろうか、こういう趣旨でございます。
  85. 千葉千代世

    千葉千代世君 それで企業内訓練所で実習を受けている、教える人は免許状があるなしにかかわらない、ただ免許状を持つ人が半分くらいなら認定する、こういうわけですね。そうすると、ここに企業内訓練所があって、こちらに学校がある。そうすると、ここの校長というものは、訓練所の指導に対して、何か助言とか指導とか、何の権限もなくて、ただこちらから申請してきたものを単位を三分の一以下認めていく、こういうやり方では、これは学校教育体系というものを非常に乱していくのではないかと、こう考えますけれども、その点について伺いたい。
  86. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) その御心配は私どももまことにごもっともだと思っております。ですから、そういうことのないように、ここでは文部大臣の定むるところによって当該施設における学習を教科の一部とみなすことができる、ですから、省令でこのことは明確にいたしたいと思うのです。何単位までやるとか、学校の計画等につきましても、詳細に訓練施設の計画もとり、学習状況も見て、それで場合によったら試験もして、認定ができるかどうかということを校長が確かめる。その際に、認定する以上は、当然学校教育としての立場から、もちろん当該施設に対して指導、助言できることは当然でございますので、この点も省令の中で明記しておきたいと思います。
  87. 千葉千代世

    千葉千代世君 こまかいものですけれども、具体的に省令に明記しますというと、校長が一カ月のうちに訓練所に何回なら何回行って、これこれ指導、助言をしたという指導要録か、何か指導実績簿を書かなければならないでしょう。そういう点なんかも規定しているわけですか。
  88. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 何回行けというようなことは、ちょっと行き過ぎかと思いますけれども、大体校長は、認定を行なう技能教育施設における学習の状況を常に把握するように努めなければならない。校長は、認定にかかる技能教育施設における学習について、当該技能教育施設の設置者に対し、必要な指導、助言を行なうものとする。こういう規定は入れたいと思っております。
  89. 千葉千代世

    千葉千代世君 で、まあ教育の機会均等の精神から、ほんとうに学びたくても勉強ができないという、そういう生徒に対して勉学の道を開くということ、このことは本質的に賛成ですが、即これがこういうやり方でいいということは、私はこのまま全面的には認められない。今のような問題とか、それから高校の全員入学、父母の方が非常に熱心に運動しているわけですね、全員入学の希望ということが、家庭が貧しかったり、いろいろな条件によって行かれない、その子たちが、この企業全訓練所で訓練を受けている。それに、学習によって単位をやるから、これも全員入学と同じような方法ではないか、こういうことで片づけられるという心配もないではないのですが、その点についてお答えをいだきたい。
  90. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 後期中等教育の完成、充実というのはたいへん重大な問題でありますので、私どもも高校急増に際しましては、できるだけ高校の普及率を向上して参りたいと考えておるのでございます。しかし、そうだからと言って、すぐに高等学校義務制はなかなか実現困難だと思います。できるだけ勤労青少年に学習の場を与えたい、定時制なり通信教育を振興しようというのがこの法案のねらいで、一つは通信の高等学校というものを新たに設置できる道を開いた。もう一つは、技能者養成施設との連係をはかりながら、通信教育あるいは定時制教育によって就学する機会を多くしていこう、こういうことによってだんだんと高校の進学率を上げていきたいというのが私たちの気持でございます。
  91. 千葉千代世

    千葉千代世君 高校の別科でとった単位ですね、これは何か単位の編入方法などについて考えたことがございますか。
  92. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 高校の別科についても、単位の換算につきましては今検討いたしまして、そういう方向で善処したいと思っております。
  93. 千葉千代世

    千葉千代世君 それと関連いたしまして、本科の単位に換算する配慮をするとおっしゃったわけですね。配慮をするということは、ごく近い将来にその道を具体的に講じると、こういうわけでございますか。
  94. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございます。なかなか高校の八十五単位が全部終了して、卒業証書は無理かと思いますけれども、少なくとも履修した単位だけは、これは明確にしておきまして、本科への編入に便宜の道を開きたいと思っております。
  95. 千葉千代世

    千葉千代世君 まだ青年学級の中の職業訓練の問題とか、いろいろ問題を含んでおりますが、きょうは質問をこの程度で打ち切ります。
  96. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この法案審議資料として、ごめんどうでしょうが、次の資料を出していただきたいと思います。私は振興をはからなければならない勤労青年を対象とする定時制通信教育は、都道府県によってかなりアンバランスがあるように認識しているのですがね。これは都道府県教育委員会なり、また都道府県知事、議会のお考えとも相関関係であるかと思うのです。それで、出していただきたい資料は、都道府県別に、そして国全体としてもまとめていただきたいのですが、定時制課程、さらに独立の定時制の高等学校が何校あり、生徒数が何名か、それから通信制の課程ですね、これが都道府県別に幾らあり、その生徒数は幾らになっているかという、都道府県別、さらに全国的情勢が把握できる表を出していただきたいと思います。それから特殊学校で幼稚部並びに高等部というものが、これはまた都道府県別にどの程度現在あるか。それからこれの独立をはかるということなんですがね、独立できそうなそういう幼稚部なり高等部どの程度あるかということ。それからただいま千葉委員の質疑に出ておりました問題に関連しますが、事業内訓練施設並びに技能教育施設というものは、現在どの程度日本の事業場内にあるように把握されておるか。この法案の審議に当たって、先国会米田委員からずっと指摘されたのですが、一番議論になったのは、きょうの千葉委員指摘しておりましたが、政令をいかなる内容のものをこしらえるかということは、非常に立法府として審議する場合のポイントになっていると思うのですね。したがって、あなた方としては、この法案は前国会審議未了になり、また出されたのですから、政令案なるものの草案を持っておられると思うのですよ。だから、将来法律が成立した後に行政府の権限で政令を制定することができるわけですがね。それが審議段階において、一方において議論し、確認された線とはずれたような政令が出ては、あと事になりますので、こういう政令の草案を考えているというアウト・ラインでけっこうですが、その程度のものを個条書きにして一つ出していただきたい。そして先ほど申しましたように、この技能教育施設、訓練施設がどの程度あると把握されているかということをお願いしたわけですが、あなた方の予想している政令に照らし合わせて、それにパスする該当訓練施設、技能教育施設がどの程度あるようにつかんでおられるか。おそらく私は事業所あたりから一、二は要望の声もすでにあっているのじゃないかと思いますが、大体あなたのほうでつかんでおられると思いますから、それを承っておきたいと思います。  最後に、資料としては、これから広域の通信教育をやるようにラジオ、テレビの利用をしようという点は画期的な施設だと思います。これはこの法案の中で最も進歩的な新しい分野を開いた点で非常にけっこうなことだと思いますが、NHKを中心にして教育テレビがだんだんやっておりますが、地方への普及度を要望しておいたわけですが、だんだんと普及しつつありますが、今この教育テレビのチャンネルの配当状況ですね、そうしてどの地域は何本くらい聴視でき、どの地域には今のところ配当できていない、近い将来にはどの地域は教育テレビが聴視できるようになるということは、あなたのほうでおわかりになっているはずですから、その一覧表出していただけませんか。それだけの資料を次回まで一つ出していただきたいと思います。お願いをしておきます。
  97. 内藤誉三郎

  98. 平林剛

    委員長平林剛君) 米田委員より、当面の文教政策に関し緊急に質疑いたしたい旨の要望がありますので、この際、発言を許します。
  99. 米田勲

    米田勲君 前のこの委員会で、相当長時間にわたって学力調査の問題をめぐって私は種々の角度から質問をいたし、文部大臣がそれに対して答弁をいたしました。その答弁内容について、私は現在の段階では疑義を持つに至ってきたわけです。それで、この委員会の当初の計画を多少変更してもらって質問さしていただいたわけですが、最初に確認をしたいことは、文部大臣も私の見解と一致した点は、こういうことだったと思うのです。学力調査というのは、子供の教育活動、学習がなされておる一年のうちのたった一日に限られる。しかも、一教科についてはわずかな時間の間に調査される。しかも、この学カテストなるものは、ペーパー・テストの方式がとられるから、このテストの結果をもってしては、正確に生徒の学力、能力を判定することはむずかしい。もしその判定、その評価が子供の学力だ、子供の能力なんだということにでもなりますと、これは非常に危険なあやまちを犯すことになるというふうに私は主張したわけです。文部大臣もこの学力調査の結果で、子供の持っておる能力、学力というものを正確に、客観的に確実に把握することはめんどうだ、困難だと、こういうふうに私と見解が一致したと思いますが、この点は私の理解の仕方が間違っておるかどうか、この点をまずお伺いをします。
  100. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 大体お話の点は、この前の質疑応答で一致しておると私も了解しております。
  101. 米田勲

    米田勲君 というのは、今私が申し上げたような認識は、文部大臣も同感だということですか。
  102. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 念のためにまた申し上げれば、この前も御指摘のとおり、ペーパー・テストに固有のといいますか、随伴する欠陥というものは、これは否定できないものがあるであろうということ、それと三百六十五日小学校六年、中学校三年間、義務教育が行なわれる、そして先生があらゆる教科について一人々々について指導され、教育される。その総合的な判断を待たなければ、児童、生徒、一人一人のほんとうの学力、能力、人間性というものは把握できないという前提に立ちます場合、一回のテストでもってその児童、生徒一人々々のすべての能力を反映したものとは考えられない、そういう意味において一致しておると私は思います。
  103. 米田勲

    米田勲君 私はそういう学力調査の性格を前提としていろいろお聞きをしたわけですが、そのお聞きした中に、こういうことがあったはずです。この一回の学力調査の評価の結果が子供の一生について回るようなことではきわめて問題がある。それは純客観的にそのことが子供の全能力を評価しているということは考えられないから、子供の一生にそんな評価がついて回って、子供の一生を支配するようなことでは非常に危険だというようなことから、そういう質問をしたところが、文部大臣は、この学力調査の評価が子供の一生について回るようなことはいけないことだし、そういうことはさせないと、こういうふうに答弁がありました。私はこの答弁の範囲ではわかるのうすが、文部大臣は、その子供の一生にこの評価がつきまとっていくようなことはさせないということを具体的にはどういうふうに措置をするのか、きわめてあのときも疑問であったし、今もまた疑問である。なぜかというと、指導要録には、何が何でもこの評価を記入せなければならぬという文部大臣の考え方、そうしますと、あのおりにも私は言いましたが、学校教育法には指導要録について、法律上ちゃんと扱い方がきまっている。文部大臣がつきまとわせないと言ったところで、現行法規の中では、指導要録というものは進学のときに抄本が上級学校にいく、これはついて回ることになるのだが、この法律を改正しようというような具体的なことを条件にして、つきまどわせないという答弁があったのかどうか、きわめて私は疑問に思いますので、この点を一つ
  104. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 現行の法令を改正しない意味において、つきまとわせないと申し上げたのであります。具体的に申し上げますと、上級学校に進みます場合、内申書が、提出される。内申書の中に、指導要録に記入するであろうところの今度のテストの結果を書かせるためには省令を改正しなければならない、施行規則を改正しなければならぬと思いますが、そういう改正をする意思はない、そういう意味であります。ですから、上級学校へいきましたならば、入りました後に指導要録の抄本を送付せなきゃならぬとかいうふうなことは現在すでにございます。それをいじくろうという考えは毛頭ないという意味も含んで申し上げたつもりであります。ですから、その抄本が上級学校に入るときには送らねばならないことになっているんだから、一生つきまとうと申しますか、児童、生徒の進学に応じてその部分はつきまとっていくということについては、つきまとうのは現状どおりであります。現状を改めて、入学のときの内申書に、指導要録に書いたであろうものを、今申し上げるように、内申書に書くように施行規則を変えようという意思はない、こういうことであります。
  105. 米田勲

    米田勲君 そうしますと、今度行なわれるこの学力調査の評価というものは、高校進学とは全く無関係に扱われるということに理解していいですか。
  106. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) そのとおりでございます。
  107. 米田勲

    米田勲君 それではお聞きをしますが、この前、同僚の豊瀬君からも、私からも、資料として提出を求めたものがあるのですが、この学力調査実施に関していろいろ教育委員会に指示をした、その指示をした——どんな指示をしたか、一つ資料として出してくれ、こういうことで了解されて出してもらった。これは、私のいただいたこの資料はこれで全部なのかどうか、まだ出さないものがあるのじゃないか、僕らに。そういうものはないのかどうか、その点をお尋ねします。
  108. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 文部省が出した資料はこれで全部でございます。
  109. 米田勲

    米田勲君 私は、それではお伺いしますが、文部省がマル秘の扱いにして教育委員会に指示をしている調査の表があります。そのうちのC表というのは特にマル秘になっている。このC表の内容は僕らに提出した資料の中に入っておりますから。
  110. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 通達はこれで全部でございますが、分析の仕方についての資料が出ているわけでございます。これはあとで、この調査をしたあとで分析するためにいろいろなこまかい表がございます。その中にこういうのが一つ入っておるのでございます。今お話のC表というのは、「教科別得点と個人条件に関する生徒個票」というのがマル秘になっております。このマル秘というのは、本人以外に見せたいということでございまして、特に秘密扱いをいたしましたのは、これである一定の得点を取った者が何人おるか、そのうち生活保護法及び……。
  111. 米田勲

    米田勲君 いや、いや、その内容を聞いているのじゃないのです。内藤さん、内容を聞いているのじゃなくて、調査した、実施するために指導をした、その資料の中に——そのC表を出してくれたかどうかと、それだけ聞いているのです。
  112. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これにつきましては、今先ほど申しましたように、分析表の関係のものは全部出ておりません。これは通達した資料は全部出しております。
  113. 米田勲

    米田勲君 文部大臣は、教育委員会に指示をしたこのC表の内容を覚えていますか、見たことありますか。
  114. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 見たことございません。
  115. 米田勲

    米田勲君 ない。——文部大臣に私はお尋ねをします。この学力調査は高校進学と全く無関係だと大臣は言っている。しかし、文部当局が教育委員会に指示をしたこの調査の処理の仕方のC表は、文部大臣の答弁とは全く逆である。明らかに高校進学と結びついて、この調査の結果が処理されるようになっておる。内藤さん、ちょっと文部大臣の独自の判断を今もらいたいのだから、あまり横から言わんでくれ。見たことがないと言っている大臣は。じゃまをしないで下さい。このC表を隣からもらって内容をごらんになって下さい。そして、なおかつ高校進学とは全く無関係なんだ、そういうものには関係をさせないのだ、こういうことを再び答弁するかどうかを伺います。
  116. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先刻お答え申し上げました進学と関係ないということとは矛盾しないと心得ます。
  117. 米田勲

    米田勲君 それではお聞きいたしますが、このC表の中で私は特に問題にしたいのは、b項の調査、「家庭の経済的条件」という欄の中に、1は「全日制高校へ進むに支障のない見込」、これを判定するわけです。2は、「全日制高校へ進むことが困難の見込」、(1)、(2)があります。一体この学力テストの結果の整理の際に、高校進学と何ら関係がない、関係を持たせない、こういうことを言い切る限り、何がゆえに、家庭の経済的条件の欄の中に全日制高校へ進むのに支障があるかないか、こういうことがこの評価の整理に何がゆえに必要なのか。私はこの欄を起こして整理をさせる以上、この学力調査は高校進学と直接的に結ぼうとしているものだ。もし結ばないということなら、こういう欄は必要がないはずだ。特に全日制高校云々とうたって、こういうことの判定を下させようと、これはまず第一に文部大臣の答弁と食い違っておる。食い違いがあるばかりでなくて、逆である。なぜこういう調査欄を、判定欄を設けさせたか、この点一つ文部大臣見解を伺いたい。
  118. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) これは高等学校に進学することと概念的に関係はございます。概念的に関係はございますが、このC表を調べたその結果によって、それが進学をきめる条件になるという意味においては使う意思はないということでは、先刻の答弁といささかも食い違っておりません。このC表なるものを特に分析する資料といたしましたゆえんは、むろんさっき申し上げたように、そのものを私は見ませんけれども文部省としての方針が進学に関係させないということは、これば既定のことでありますから、その範囲内において必要なことを処理しようという意図をもって事務当局で作ったものと存じますが、これはとりもなおさず児童、生徒一人々々の家庭状況を知ること、そうして一応成績、学力というものも、あるレベル以上であるかないかということを知ること、それが全国的に、あるいは都道府県別に分析計上をされまして、育英奨学制度が、御承知のように高等学校につきましても、特別奨学制度も特に設けてもらったわけですが、そういうものを大蔵省に予算要求するにいたしましても、たぶんこれくらい要るであろうという推定の数字を根拠に、あるいは厚生省が持っております要保護、準要保護児童がどのくらいであろうという根拠資料等を、いわば推定資料根拠にいたしまして今までやっておるわけですが、それよりももっと直接的な、現にいる学童そのものの家庭条件なり学力の状況なりを、大数的に観察するという資料になし得るならば、もっともっと的確な根拠に基づいての育英奨学制度改善資料として、私は文部省以外に対して、根拠資料として主張し得る有力な合理的資料一つであると考えるわけですが、そういう資料としても価値づけたい、活用したいという、そのためのC表であって、C表の調査そのものをもって、今申し上げるように、その個人、児童、生徒その人の進学の条件資料とするというわけでは毛頭ないのであります。
  119. 米田勲

    米田勲君 これは事務的にはどういうことになるのか。このC表は一体分析して記入されたものはどこに保存されるのか。
  120. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは数を出すだけでございまして、これで一体何人全国でおるのか。一定の得点以上取った者が何人おって、そのうち育英資金で見なければならない、今特別奨学生制度が一万二千人になっておりますけれども、私どもは一万二千人では不十分だと思っております。そこで、この数が集計されました暁に、二万人あるいは二万五千という数字が出ますれば、それを根拠に今の特別奨学生のワクを広げたいというのがねらいでございまして、これは都道府県で全部まとめて、集計表を文部省に持ってくるわけでございます。
  121. 米田勲

    米田勲君 文部大臣、今このC表は高校進学などのこととは全く無関係に扱われるものだ。そして育英制度を充実拡充するための基礎資料にしたい。こういうお考えのようですが、そうであったら、ほんとうに純粋にその答弁どおりであったら、この調査は総数がわかればいいのじゃないですか。何でこのC表は個人別に記入させなければならぬのか。ほんとうに育英施設の充実拡充のために、これだけの全日制高校に進学する子供が現におるということを知るのだったら、個人別にこのC表を作る必要は私はないと思う。個人別にこういうものを作って教育委員会に残す限り、これは別途の目的があるのじゃないか、そう思われてもやむを得ないのじゃないか、何も個人別の名前まで育英施設の拡充のためには必要がない。国全体でどれくらいいるかということがつかめればいい、正確に。それなのになぜこのC表で、個人別にこういうものを書き込ませるのです。私はそのやり方と言っていることに矛盾があると思う。大臣どうですか。
  122. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今のお尋ねに、詳しいお答えはできそうにもありませんが、ごく常識的に考えまして、個人に確認したほうが、根拠としては一そう信頼性があるということは少なくともいえると思います。そこで、その論議を一応別にさしてもらいますならば、上級進学のための資料にする意図があると断定されますけれども、最初お答えしましたように、そうしますためには、学校教育法施行規則を改正しないことには、そうはできないと私は理解します。そういう意図は全然持っておりませんということで信用していただけそうに思いますが。
  123. 米田勲

    米田勲君 大臣の御答弁では私は納得できないのです。ほんとうにこの一人一人の生徒の家庭経済条件まで判定させるような、そういうものが、個人別にC表は作られていくというこの調査の仕方、整理の仕方と、育英施設の充実拡充のために予算要求をする科学的な根拠資料がほしいのだという考えとは一致していませんよ、理論的には。そういう資料であれば、個人別の家庭条件の、こういう問題まで判定をする必要はないはずだ。私は文部大臣の御答弁は納得ができない。大臣は高校進学とは関係させない、させないと言っていても、こういう個人別の経済条件まで対象にして判定をさせるというやり方はどうも疑義がある。すなおには受け取れない。何でこういうことが必要なのか、私はこれこれの累計が握りたいというのなら話はわかるのですよ。こういう調査資料のC表を残すということは、大体その目的と合致しないのじゃないですか。こんなことのいい悪いは別として、その論議はあとです。各学校からこの判定したものが何人ということを県で累計して、大体こういうような全体としては数字だということがわかればいいのであって、何のたれべえのうちは、経済的な条件と全日制高校に行く条件で見込みがあるとか、支障があるとか、支障がないとかいう判定を何のためにさせたければならぬか。希望ならわかるのですよ。経済的な条件が非常に悪いが、上級学校の進学を希望している者の数を調査するならばわかるのですよ。進学に支障があるとかないとかいう判定をしなくちゃならない。これはどうもこのC表の調査文部大臣の御答弁とは一致していない。御答弁のごとくであれば、こういうC表の内容であるべきはずはないと私はそう思う。念のために言うが、非常に疑義のある調査の仕方である。すなおには御答弁は受け取れない。どうですか。
  124. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 委員長……。
  125. 米田勲

    米田勲君 いや、文部大臣に。文部大臣が答弁したことがすなおに受け取れないのです、私は。
  126. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この調査趣旨を、もうちょっと御説明したほうがいいのじゃないかと思ったのですが。
  127. 米田勲

    米田勲君 いや、文部大臣は、この調査資料を見ておらぬのだから。
  128. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 見ておりません。見る必要のない程度の事務的な処理様式でありますから見ておりませんが、見てみましても、先刻お答えしましたように、個人々々の実態把握に立って資料が基礎づけられることが、より信憑性があることだけは確かだと私はいえると思います。(「秘密にせんでいいじゃないか」と呼ぶ者あり)さらに、その個人家庭条件にも関係しますから、秘密にするのが当然だと思います。教育委員会学校長は、親にかわって児童の生活実態までも把握する立場にありますから、特にそれを念を押す意味において秘扱いにすることもこれまで当然しごくのこと。その資料があるから進学の材料にするんじゃないかという推定をなさいますが、それがあるからといって、進学材料にそのままでは、なせば違法だと思います。それをそうするためには、先刻も申し上げましたように、学校教育法施行規則を改正しないことには使えないはずでございます。だからこそ使っちゃいけないという意思を含めてマル秘に事務当局はしていることと推定いたします。その省令、施行規則改正などということは毛頭考えておりません。なお、私の説明で不十分な点がありますれば、政府委員から補足的に申し上げます。
  129. 米田勲

    米田勲君 それでは、文部大臣、この調査言葉がおかしいじゃないですか。「全日制高校へ進むに支障のない見込」、「全日制高校へ進むことが困難の見込」、こういう調査の仕方というのは、文部大臣目的と合っていますか。あなたのねらいというのは、先ほど言ったことをすなおに受け取るとすれば、育英施設の拡充強化のために予算要求をするときの科学的資料にしたいということでしょう。そういう立場であるなら、こういう文言の調査になるんですか。支障があるとかないとかいう判定でなく、経済的な条件が非常に悪いけれども高校なり上級学校の進学を希望している者の数と、こういうなら私は文字どおり答弁は受け取れるんですよ。家庭条件は経済的に悪いが高校の進学を親も子供も希望しているその者の数というなら。何もあれでしょう、「全日制高校へ進むに支障のない見込」の数など何が必要なんですか、育英施設の拡充強化の予算要求のときに、この欄は何か役に立つんですか。こんな欄は必要のないことでしょう、文部大臣の言うとおりなら。経済的な条件が上級学校に進学するのに何らさしつかえない数まで何で調べなきゃいかぬのです。上級学校に進学をする希望を持っておるが家庭の生活条件は非常に悪いと、そういうものの数が全体で何ぽかという調査なら、文字どおり私は理解できる。何でこの一のほうなんというものがこの欄に必要なんですか。支障のない見込みの数まで判定している。これは、何か僕らに真実を言わないことがあるんじゃないですか。私は、この前の質問にも文部大臣にこういうことをちょっと言ったら、文部大臣は否定しておったが、教育訓練小委員会から出てきているまとめたものの中に、この学力調査文部省をしてやらせるということが書いてある。これは中学卒業生、高校卒業生、大学卒業生等の労働力を配分するための資料が必要であるという見地に立って、学力調査というのを教育訓練小委員会文部省をしてやらせるときめて答申しておる。それは載ってますよ。何ぼ首を横に振ったてだめですよ。明らかに載っておる。証拠がある。内藤さんが何ぼ首を振ったってだめだ。証拠がある。あんたらのところだけにこの問題があるんじゃない。学力調査実施するということをまとめ上げているこの教育訓練小委員会は、その目的は労働力の配分のために必要だという立場に立って学力調査というものを考えておる。そのとおり文部大臣が考えているかいないかは別ですよ。そういうことが片方に考えられている。それと無関係でないのではないかという疑惑を持つんです。それは、こういうC表を取り上げてみると、どうもそこで考えられた計画と、文部大臣学力調査というのは、このC表を中心にしてみると明らかに関連がある。だから、われわれに答弁をしておる目的なるものともっと違う目的がこのC表の中にあるという理解がどうしてもわれわれの立場とすれば起こってくる。文部大臣、官僚の言うことを一一すなおに聞いてもらっては困るです。私の言っておることをよく文部大臣自身で判断してもらいたい。文部大臣の考えていることと違うことをやっておるという僕は感じがするんですよ。文部大臣はうそを僕らに答弁されておると思わない。しかし、文部大臣の知らない間にこういうC表が飛び出してきて、そうしてC表の内容を見ると、この教育訓練小委員会の結論のために必要であるような資料内容になっておるから、文部大臣意図のとおりでないのでないか。答弁がそれは正当でないのでないか。文部大臣はその実情を知らないで答弁したとしても、その答弁は正確な真実の答弁ではないのではないか、善意悪意の問題を別で。いかがですか。
  130. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今御指摘の何とか小委員会というものを私は知りませんが、経済企画庁か何かでやっておるということを今ひそひそ話で聞きましたけれども、かりにそういうことがあったとしましても、そういうよその官庁の支配は受けませんから、文部省文部省としての責任において良心的にやりますから、C表がかりに今おっしゃるような関連がありと推定せられるとしても、そういうことには利用させません。させないだけの権限責任が私にあると思います。また、事務当局が私をつんぼさじきに置いて、そういうおっしゃるようなことをもくろむ人間がおろうとも思いません。そういうことは許しません。
  131. 米田勲

    米田勲君 現在の内閣というのは政党内閣ですからね。文部大臣はそんなことをぽつっと言えますか。各省とも相連携して国全体の施策というものは行なわれるのは当然でないですか。よその指図は受けないという気持はわかるですよ。連携がとれているということは当然のことでないですか。何もそれを否定することはないのですか。政党内閣です。人の指図は受けないという言い方はわかりますよ。しかし、連携がとれておるということだけは否定できないことでしょう。その連携がとれていなかったら、その政党内閣の施策というものはおかしいことになる。だから、一方で企画されておることは文部省との間に連携があり、自主的に行なわれるとしても、連携があって、そうしてこの学力調査というものは行なわれると判断して何ら差しつかえないでしょう。それを強く否定することが何だかおかしい、私は。連携があるべきものなんだ、全体として。一方にはそういうことが企画されている。それで文部省学力調査をやる。その学力調査の整理の内容にこのC表を持ち出してきている。文字どおり答弁どおりには受け取れない余分なことがこの調査内容にある。なくてもいいことまで入れてある。そうすると、この小委員会の出しておる結論はどういう理由でその結論を出したかちゃんとうたっているんですから、それと非常に都合のいいマッチする調査資料になっているところに私は疑義がある。そうなると、労働力の計画的な配分を考えるとすれば、これは高校進学、それから直接就職をするというものを選別する一つの全体の企画が国の施策を進める上に必要だという立場もあるのではないか。教育訓練小委員会は、そういう全体の労働力の配分の企画が必要だ、そのために学力調査実施するんだ、すべきなんだと、こういうふうにそっちは書いているわけだ。文部大臣の言う答弁ですと、それを否定しているわけだ。否定しているのだが、このC表の内容を見ると、その小委員会の結論にマッチするように調査内容ができておる。だから、文部大臣が、いやそれは全然そういうこととは無関係だと何ぼ言っても、それだったらこの調査内容を変えなさいと言う——目的に沿うように変えなさいと言う。この調査内容を変えられないということは関連があると見ざるを得ない、私の考えはそうだ。もう少し真実をわれわれに話をしてほしい。いいとか悪いとかの論議はその次だ。われわれは真実を知りたい。
  132. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 真実そのままをお答えしております。今の小委員会等のお話は全然私も知らないわけですが、その小委員会の段階で連絡があったかないかそれは知りませんが、そういう小委員会の答申か何かが出ます過程に事務当局が出席したかしないかも知りませんけれども、よしんばそういうことがございましょうとも、今度の学力調査によって得られましたC表の調査表というものは、さっき申し上げたような大数観察資料として文部省としては活用するわけであります。そのC表そのものが文部省に出てくるわけじゃありません。都道府県段階でとめ置かれるかどうか知りませんが、とめ置かれたとしまして、都道府県が勝手にそれをマル秘に指定されておるのに利用することは許されない。いわんや進学等にこれを利用することは法律違反施行規則違反であることは明瞭であります。そういうことはあるべからざることでございますから、真実そのままを申し上げると同時に、真実そのままを実施いたします。
  133. 米田勲

    米田勲君 今、文部大臣がそういうふうに言い切るのであれば、万一の話だが、私が指摘しているようなことが起これば、文部大臣は、都道府県に対する指導助言の責任を果たし得なかったという責任がありますね。どうですか、それは。
  134. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) マル秘でもって、特に個人の秘密を守り、それを活用すべき範囲をすでに指示しているわけなので、それに違反したことが起こったとすれば、指示違反であり、あるいは学校教育法施行規則違反ですから、措置要求もいたしますし、事後の処理も当然やらねばならぬ。法律を無視し、監督官庁の指示を無視してやるはずはない、万一あった場合どうするかと言えば、これは法規の命ずるところに従って事後処理をする問題が残る。来年やりますときに、あらかじめの指示が十分でなかったから御指摘のようなことが起こったとわかりますれば、来年は絶対そんなことは起こらないようにもっと考えて処置したい。こう思うだけでございます。
  135. 米田勲

    米田勲君 それでは文部大臣にお伺いしますが、一体C表の判定をする人はだれですか、事務当局に聞いた方がいいでしょうが、C表の判定をするものはだれですか。
  136. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 最終的には校長でございまます。
  137. 米田勲

    米田勲君 最終的には校長というのはどういうことですか。最初はどこで判定するのですか。
  138. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは表をごらんいただきますればわかりますように、まず教科別の得点がある一定以上のものが該当するわけでございます。ですから、全部が該当するわけでは。ございません。その一定の得点をとったものの中で、進学のできそうもない家庭的に貧困のものが何人あるのかということを見るわけでございまして、それは受持の、担任の教師の意見を聞いて校長が責任をもって処理するわけでございます。ですから、これは総数を知るためのものでございまして、これは当然破棄される書類でございます。
  139. 米田勲

    米田勲君 今の答弁でまた一つわからなくなってきたのですが、これは学力調査を受けた全員の記入されるものではないということになると、文部大臣のこのC表を作る目的とまた合わなくなってきませんか。全員に対して実態を調べるというならまだわかりますが、しかし、特定の人間しかこういう判定を下さないというなら、一体育英制度強化のための予算要求の科学的基礎資料とするという言い分は、一体どういうことになりますか。全体のうちのある部分的なものだけ判定する。それじゃ文部大臣の答弁と違うじゃないですか。何で全部ではないのですか、食い違っておりませんか。
  140. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 全部やっても差しつかえないのですけれども、やるだけむだでございまして、先ほど来申しております総数を知るための資料です。ですから総数を知るには、一定の点数以上をとったものが何人おって、その中で何人が経済的に貧困で進学ができないかというのを見たいわけなのです。その総数を集めてきますれば、それは二万人になるか、二万五千人になるかわかりませんが、その資料をもって大蔵省に対する予算要求としたい、こういうつもりでございます。
  141. 米田勲

    米田勲君 一定の評価点数をとったもの以上の個人について調査するというのですか、評価点は幾らですか。
  142. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) まだそこまで具体的に集計いたしておりませんから、平均点がどの程度になってくるかまだわかりません。これはいずれあとで換算になりますから、今すぐこれをやる意思はないのであります。
  143. 米田勲

    米田勲君 それは平均点以上のものについて個別調査をするのですか、どうなのですか。あなたの考えでは、何か学力調査を行なったもののうち、ある特定の条件にあるものについて、C表で個別的に判定を下す、こういう言い方でしょう。その特定の条件というものは何ですか、平均点以上とったものという意味ですか、その辺がぼかされている。
  144. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 文部省で知りたいのは、ある特定の点数以上のもので……。
  145. 米田勲

    米田勲君 ある特定の点数というのは。
  146. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それはまだ実施いたしておりませんから、きめるわけには参りません。どういう平均点になるか、六十点になるか、あるいは七十点になるか、それを見ないとわからないわけです。ですから、七十点が平均点とすれば、平均ではちょっと無理かと思いますので、あるいは八十点くらいにするかもしれない。八十点以上の得点があったものが何人あって、しかも経済的に貧困のものは何人あるか、あくまでも先ほどあなたが御指摘のとおり、総数を知る、その総数の基礎資料でございまして、基礎の資料なしに総数をつかむことは私は不可能だと思う。
  147. 米田勲

    米田勲君 文部大臣、先ほど私と見解が一致したのは、ただ一回の学力テストで、その子供の学力や能力を的確に客観性のあるものとし判定するということは困難性がある。これは一致している。その立場に立つなら、この一回の調査のときに、その評価点がこれまでという限界線を引いて、そしてそのものについて個別的に判定をするという、こういうやり方は、やり方自体非常に危険ではないですか、まずやり方自体。こういうことを判定する該当者のグループに入れる入れないかということが、一つ私は問題だと思うそれは純客観的の判定ができないという立場から見ると。それからもう一つ疑問点が出てくるのは、大臣の考えだと、育英制度の拡大強化のため予算要求をする科学的な資料がほしいのだ、こういうことでしょう。そうなれば、たとえばこの学力調査のときに、このペーパー・テストが何らかの理由で評価が悪かった。しかしその子供は、日常の学習活動の中で教師があらゆる角度から判定すれば、その子供は特殊のその日の生理的条件とか、あるいは疲労とか、いろいろの条件で評価が下がっておったけれども、実際はこの子供の評価は、教師立場から言えば高い、こういう場合はたくたんあり得るわけです。そうすると、今、局長の言ったようなことですと、そういう条件にあるものは初めから払われてしまって、一定のそのときの評価で、一つの水準の範囲内にあるものだけについて、このC表で個別的に判定していく。そういうことになると、あなたの考えている育英制度拡充のための科学的な基礎資料がほしいということと矛盾してきていませんか。私はむしろこの評価の結果がどうであろうが、進学を親も子供も強く希望している。しかし家庭は貧困だ、こういうものを調べることによって、将来の育英制度をどのように拡充していくことが適当だという結論が出るのだと思う。テストをやったうちの一部分のものについて、個別的に、しかもそれは内藤局長の言い分だと、相当水準以上の者についてだけ考えているわけです。これは私は、学力調査を絶対的なものとしてその場合判断をしているんじゃないか、もしそれが科学的資料だというならですよ。科学的資料だと断定するなら非常にこの学力調査の評価というものを絶対的なまでに近い考え方によって判定をしていっていると、そういうことになりはせんか。そうなると、文部大臣の言っている育英制度云々のことと、このC表の調査とはどうしても内容が一致しない。文部大臣はそう思いませんか。どうですか、その調査内容がわかったとして。
  148. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 何と申しますか、理想的な学力調査のやり方が別途あれば別ですけれども、当初からお答えしておりますように、ペーパー・テストに伴う欠陥というものは、具体的には私もよくわかりませんけれども、ペーパー・テストなるがゆえに、その児童生徒の全部を知るわけには参らないという、少なくとも抽象的には欠陥はあると思います。あると思いますが、現実にテストしてみようと、大量の者を一斉でなければ意味がないわけですから、やろうとすればペーパー・テストの方式によらざるを得ないというのが今の人間の、日本人の知識の限度だろうと思います。だからこそ就職試験も似たようなことをやる、あるいは上級に進学する入学試験も同じようなことをやるということにとどまっておる。だからペーパー・テスト共通の悩みはむろんあると思いますけれども、しかし、それにしても、まあ次善の策か知りませんが、それを通じて大数観察をするのが今としての最上の手段だということは認めざるを得ない。そういうことを期待をしてテストをやるわけでして、だから、厳密にいって正確であるかないかという批判に立脚して批判されるならば、仰せのとおり、これのみによって育英奨学の制度改善の唯一の資料とするということは、理想状態から見て真相に遠ざかっておるとはむろん思いますけれども、現実問題としては、そういうものをしようとすることさえも今までしていない。だから、相手方を納得させる基本論として賛成させるだけの迫真力がないということに多大の悩みを感ずるわけであります。まあそういうことで、理想的には御批判の余地がむろんあると思いますが、しかし現実問題としては一応是認できる考え方であり、やり方ではなかろうか、こう思っておるわけであります。むろん、今お答えしておりますように、毎年々々やる見込みでございますから、一年心々改善されていって、なるべく真相に近い状態を把握するという努力はむろん別途せなければいけませんけれども、当面、明年度に迫った学力調査としましては、私どもとしては一応ベストのものでなかろうか、こう思うわけでございます。
  149. 平林剛

    委員長平林剛君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  150. 平林剛

    委員長平林剛君) 速記をつけて。
  151. 米田勲

    米田勲君 文部大臣が今答弁をしたとおりだったら、私はいい悪いという論は別にして、学力調査を受けた者全体について数字をはじき出してみることが妥当でないのか。それを、局長のように、八十点以上だとか、平均点以上の者だけでもってそういう調査をするということは、大臣の考えている資料を得るのには適当でないことになりはせんか。学力調査を受けた全員について、家庭は貧困だが、進学を希望しておる、評価はこうであるが、そういうのであればいいけれども、平均点以上だとか八十点以上の者についてだけこういうことを判定するというのは、大臣意図局長の作って出したこのC表とは意図が一致していない疑問がある。私は悪口をもう少し言いたいところだが、疑問があると思いますが、どうですか。
  152. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私からお答えします。これは大臣の意見も同じでございまして、私の説明が悪かったのでございますが、これを一応全部書いていただくわけですが、そのうち、文部省が集計するときにはどの辺の点数からとるか、これは文部省できめたいと思っております。それは育英資金の資料にするためには、平均でとるか、あるいは平均以上でとるか、この辺はまだやってみないと何点が平均になるかわかりませんので、集計する際にはこれはある特定の点数以上の者にしたい。一応この表としては全部とるわけでございます。
  153. 米田勲

    米田勲君 私の疑問としているところをあなた答えていないのですよ。文部大臣の言うがごとき目的資料を得たいというならば、テストを受けた全員について、こういう判定をつけることのいい悪いは別にしてやるべきが至当だ、それを平均点以上の者だけについてやるというのはおかしいじゃないか、ある特定の条件の者だけ、なぜそんなことを調査しなきゃならぬのか。
  154. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私の説明が誤解を招いたのはたいへん遺憾に思いますが、一応全員やるわけでございまして、そのあとで集計する場合に文部省側としては何点の者をどういうふうにとるか、その平均点でとるか、あるいは八十点以上の者をとるか、その辺のところは最終的には文部省できめて育英資金の予算要求資料にしたい、こういうことでございまして、とることは一応全部とるわけでございます。
  155. 米田勲

    米田勲君 全部に今度は調査すると言い出しておる、さっきはそう言っていないのだ、平均点以上とか、八十点以上の、そういう条件の中にある者について個別に発表するのだ、そういう話だった、今の話だと、全員に判定するが、文部省で集計をするのは、どの辺に線が引かれるか知らぬが、平均点が出てからこれ以上の者という限定をする、こういう話でしょう。話がそこは変わっている、どっちがほんとうなのかわからぬ。しかしそれにしても、何で、ある一定の評価をつけた者以上についてだけ集計しようとするのか、目的育英制度云々という科学的資料を得ようとするのに、なぜそのうちの一定の条件以上の者に限るのか、ここはどうしてもあなたの説明ではわかりませんよ、私は。二つ今の答弁からわからなくなってきた。一つは、先ほどは全員にこういう判定をするのでないといっている、今度は全員にやるが集計は一定の水準以上の者だ、そのあとの、水準以上の者だということになれば、文部大臣の言う科学的な資料を得るということには適切でないのではないか、全体の者について調べることがより全体の姿がわかる、数がわかるのじゃないか、目的が、家が貧乏だが進学したい者はどのぐらいおるのか、そうしてそれらの者はこの学カテストによる評価はどんなものなのか。そういうことを見て初めて大臣の答弁のようなことがほんとうにC表でねらわれているということがわかる。その間に非常に食い違いがあるじゃないか。
  156. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) どうも私の説明が悪かったようでざいますが、全部これはC表をとりまして、その中で、おっしゃるように進学希望のものが何人おるかということももちろんとるわけでございます。しかし育英資金のワクが二つございまして、一つは千円で支給している一般のワクと、特別奨学制のワクがある。特別奨学制は三千円支給しておりまして、大学に行きますれば自宅通勤が四千五百円、下宿のものは七千五百円出しておる。その特別奨学制のワクをきめるのに実は非常に困っているので、一般的な育英資金を作る場合もこれを一つの参考資料にいたしますし、三千円の特別奨学制の場合にも資料にしたい。三千円の場合は成績特に優秀で、家庭が非常に困っておる者、こういう二重の条件がかぶっておりますから、それを調べる資料にもしたい。一般の奨学制のワクをふやすのは三%ございますが、これもふやす資料にもいたしたい。先ほど私が主として申し上げましたのは、三千円の特別奨学制のワクを申し上げましたので、多少誤解があったかと思うのでございますが、この点はあらためて訂正しておきます。
  157. 野本品吉

    ○野本品吉君 関連。今までの質疑応答を通じて、私も初めはぼんやりしておったのですが、だんだん聞いているとこういうふうに理解することは間違いですか。つまり全体に対する学力テストを行なう、そして文部省がある水準を設けて、それ以上の数を集めると、これはまあ一応行ないましたテストが正確絶対的なものでないということは今までお話のとおりでわかっておる。そこで高等学校の学習能力というものを一応想定して、正確なものでないけれども一応想定して、その線の上に浮かんでくるものがどれくらいあるか、それを数字的につかみたいと、こういうふうに理解することは間違いですか。どうでしょうか。その点だけお伺いいたします。
  158. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 御説のとおりでございまして、これは概括的に総数を算定するための資料でございます。
  159. 米田勲

    米田勲君 ところが、そういうことを一応了とするとしても、個別にたった二つの条件に判定してしまうわけでしょう、たった二つの条件に。これはイエスかノーかの二つの判定しかない。この一と二はそれをだれが判定するかということを先ほど問題にしたのは、私はその判定をする人がだれであろうと、その子供の親の経済的な条件というものは、われわれ友だち同士つき合っておってもなかなか判定は困難です。人の家の経済事情というものは、それは俸給を何ぼ取っておるということぐらいは調査すればわかりますよ。しかし、経済的な条件が全日制高校に進学するのに支障あり、支障なしと、そういうことまでここで個別に判定をする能力は一体だれが持ち合わせているのか。そうして育英施設云々のことを言うなら、何でこんな二つだけ、類型を二つだけに判定させるのか。それも問題があるのじゃないですか、どう思いますか。判定がイエスかノーかの二つになっておる。そうして経済的な条件、一体、責任をもって判定を下すだけの条件がわかるのかどうか非常にむつかしいことではないか、これは。
  160. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 判定がむつかしいことは私もわかります。わかりますが、何人もむつかしい、むつかしい中でもそのむつかしさを、比較的むつかしいながらもただ一人判定し得る資格のある人は学校長だろうと思います。もちろん担当の先生や何かの協力を得なければ、学校長といえども判定はできないと思いますが、その意味においては学校だろうと思います。そこで二つの類型だけを云々とおっしゃいますが、今の育英制度がもっと変われば別ですが、今の制度を念頭に考えますると、一般奨学の制度と特別奨学の制度と二種類しかございません。ですから、さっきお話しが出ましたように、貧乏ではあるが、進学の意図がある、しかし成績は悪い、このテストで推定したのでは成績は悪い、悪いけれども、あと一年なり二年なり勉強することによって、本人の心がまえなり教師の指導によって、テストによっては悪いが、その後の勉強で、貧乏であるけれども進学の意思が依然としてあって、なおかつ特別奨学を受けるくらいの学力を身につけ得るという可能性のある人もあろうかと思います。それは抜けるじゃないかというおそれは当然に含んでおるわけですが、それまでもこの一回のテストで大数観察をします場合に、じっと待っているわけにはいかないことですから、やむを得ないことじゃなかろうか。今お答えしましたように、全員について調査が行なわれ、その資料は廃棄されるのか保存されるのか知りませんけれども、少なくとも当該学校では指導要録に記入される限りにおいては基本の資料はあるわけですから、仰せのようなもっと綿密な調査資料として役立てたいとするならば、あさってに迫りましたことではできませんけれども、来年、再来年と、その必要に応じて学力調査をもっと綿密、有効に活用する努力目標として残さざるを得ないということと御理解いただいて、今御説明しました一般奨学、特別奨学の役に今度はせめては立てたいということで、この際としては満足せざるを得ない、こういうことかと思います。
  161. 米田勲

    米田勲君 どうもしかし大臣の答弁とここに使われてある言葉とは理解が一致させられないんだね、僕は。全日制高校へ進むに支障のない見込みと困難の見込みと二つだけです、判定は。こういう家庭の経済的な条件で、高校進学のことと別にして、あそこのうちは経済的には非常に上だとか、中ぐらいだとかいうことは蓋然的には判定できる、ところがそうでなくて、全日制高校は特殊な学校ですよ、全日制高校へ進むのに支障あり、困難である、こういう判定の仕方をさせている。これはしかし文部大臣の考えていることとこの調査の仕方というものは合っていないんじゃないですか。こういう調査の仕方では、文部大臣の主張しておることとびたっとこの調査がそのとおり生かされていないんじゃないですか、こういう調査では。
  162. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校の先生は進学指導をいたしておりますから、その際に、この子は高校にやったらどうかというお話しが出ると思うし、親のほうは、家庭が貧しいからこれは無理だというようなのは当然出てくるわけです。ですから家庭状況を一々見なくても、これは進学が家庭状況から見て無理だということは受け持ちの先生はよく知っているわけなんです。そこで、その総数をはじき出して育英資金のワクの拡大にしたい、こういうことでございますから、厳密に収入が何ぼあってどうだということをやらなくても総数には私は影響しないと思います。
  163. 米田勲

    米田勲君 私は最終的にはこういう断定を個々の生徒に対して下だすということは不当だという考えなんです。不当ですよ、これは。明確にその家庭の経済状態がつかめもしないのに——他人の家庭経済条件なんというものは、そう簡単にわかるもんではありませんよ。われわれの考えていない、いかにも裕福そうにしているが、借金があって首が回らぬという人だってあるでしょう。人の経済の状態なんというものはなかなかつかみがたいのに、その子供個々について、これは進学には支障があるんだと、経済条件からいって。これは支障がないんだという判定をすることは私は不当だと思うんだが、どうですか、こんな判定をすることは。
  164. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 個々の判定をするならお説のとおり不当ですけれども、これは先ほど来申し上げますように、総数を知るための資料でございますから、これによって個々の進学とか、あるいは育英の制度をきめるなら、御指摘のとり、私どもも不当だと思うのです。そうじゃなくて、あくまでも育英資金のワクを拡大するための一つ資料にしたい、有力な資料にしたいということですから、別に支障ないと思いますし、これは調査が済んだあとでは保存書類でございませんから、当然廃棄になるわけでございます。
  165. 米田勲

    米田勲君 今あなたが最後に言ったことは間違いないのですか。保存書類ではない。直ちに廃棄される。間違いございませんか。これは指示してますか、どこかに。
  166. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 保存資料でないことは明確でございまして、保存資料としては学習指導要録以外にはないわけでございますから、これは当然廃棄されて差しつかえないものでございます。
  167. 米田勲

    米田勲君 それはそのことを確認しておきます。しかし今、局長の言っているようなことだと、個別に一人々々の生徒にこういう判定を下す必要はないんじゃないですか。
  168. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 一人心々から積み上げてこないと総数が出ないんです。それはどうしても出てこないと思います。
  169. 米田勲

    米田勲君 その判定は正しくできると思っているんですか、あなた。
  170. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 確かに私も不十分だと思いますけれども、進学のできるかできないかということは、受け持ちの先生が絶えず親と相談しておりますから、概数としてはつかめると思いますから、その数を根拠にして、文部省としては予算要求資料にしたいといっているのですから、それ以外の私は方法はないんじゃないかと思うのです。
  171. 米田勲

    米田勲君 私は、家庭の経済は貧困だが上級学校に進学を希望しておるというような表現のことならわかるんですよ、それなら。ところが、これは家庭の経済的な条件を見て、全日制高校へ進むのに支障あり、支障なしという制定をしなくちゃならぬ。それが問題だというんです、私は。何で支障があるとかないとかいうことを、だれにやらせるのか知らぬけれども、断定させる、そういうことが一体できるんですか。それは資料がほしいかもしれぬですよ、あなた方の気持としては。しかしそういう無謀な断定を下すということは無理でないですか。
  172. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お説のように無理な点もありますから、ここの欄では主として要保護児童と準保護児童と、それに準ずる者を対象にしているのであって、むずかしいことを決して要求しているわけではないのです。
  173. 米田勲

    米田勲君 今答弁した言葉は、私理解できないのです。この調査は要保護児童を対象にしているんだと言ったのですか、今。
  174. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この家庭の経済的条件の中に二つございまして、全日制高校へ進むに支障のない見込みの者と、そうでない者に分けて、そうでない者は要保護児童と準保護児童というのがございますので、これはまあ要保護と準保護児童は明確に進学が困難じゃなかろうかという想定をしたわけでございます。もちろんできる方もあるかもしれませんが、要保護児童及び準保護児童及びこれに準ずる者とございますから、そう無理なことをいっているわけじゃない。また無理なことをやらせることも私は困難だと思っております。
  175. 米田勲

    米田勲君 一体この要保護児童や準要保護児童が、あなたの考えているような平均点以上、八十点以上の評価が必ずしもできると思っていますか、該当者が相当出ますか。
  176. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ですから、もう一ぺん調査をしてみたいと思って、その結果相当多いかどうかということを調べてみたいのでございます。
  177. 米田勲

    米田勲君 私はその調査目的文部大臣に聞いたことと、今度は事務当局がその調査をする、分析をする、判定をする、そのことがぴたっと一致しないということを結局言っているんですよ、問題は。文部大臣の考えているのは、こういうことと別個に、自分の判断でものを答えているんじゃないか。しかし、事務当局はそれ以外の判断に立ってこの内容をきめているんではないかという疑問がいつでもわくわけなんです。大体全日制高校へ進むことが困難の見込みの者、この個別調査というのはあれでしょう、平均点以上の者にしか使わないんでしょう。あなたの先ほどの答弁だと、平均点、まあそこははっきりしないが、平均点以上の者しか調査を必要としないでしょう、最終的に。
  178. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは先ほど私が御答弁申し上げましたように、育英制度の中に二つございまして、一つは特別奨学生と一般奨学生とございますから、特別奨学生をきめる場合には、少なくとも平均以上なければこれは無理だと思う、三千円やるのは。それから一般奨学生については、これはもう少し考え方をかえていいのじゃなかろうか。ですから、その辺も調査を見た上で、どういう資料で大蔵省に要求するか文部省で検討してみたいと思っておるのでございます。
  179. 米田勲

    米田勲君 僕が頭が悪いのか、非常に先ほどからまちまちの答弁になってくるのだよ。一体この要保護児童や準保護児童たる者、そういう名をつけるような子供が平均点以上になってくるのですか。なってくるのだと、こんな子供じゃないのじゃないですか、どうですか、僕の考え方は間違っていますか。
  180. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これはあなたの考え方はお間違いじゃないかと思うのです。というのは、要保護児童と準保護児童の子供にも非常に優秀な者がいるのでございます。ですから、その中で今の特別奨学生にしたいと思うのです。
  181. 米田勲

    米田勲君 その点はわかりました。しかし私は、先ほどから局長がしきりに説明をしておるけれども、この家庭の経済的条件をもって一と二の判定をするということはいけないことだと思います。こういうことを責任をもってやれない。やらせるほうが不当である。やられて、極秘文書になるとはいっても、個人々々の家庭について断定を下さなければならぬのです。そういうことをやらせることを教育行政立場にあるあなた方が妥当だと考えているものの考え方が僕は納得できない。家庭が比較的貧困だとか何とかいうことであれば、ばく然とした判定なら教師もできます。しかし問題は、高校進学と結んで判定をしなくちゃならぬのですから。高校進学という事実と結んでいいとか悪いとかいう判定をしなければならぬのですから、僕はこうなってくると非常にむずかしい、やらせるほうが無理じゃないか。家庭がやや貧乏だとか、大体中流ぐらいの生活であるとかいう、ただそれだけの調査ならある程度できますよ。しかし、その経済的な条件と高校進学の問題とを結んで、適不適の判定をしなくちゃならぬところに、僕は教育行政立場にあるあなた方がやらせようということは不当ではないかと感ずるのです。そういうことをしなくても、文部大臣が先ほど言ったような、科学的な基礎資料というものは得られるはずである。あえてそういう不当なことまで判定をさせなければ目的を達する科学資料が得られないというものの考え方は、僕は成り立たないと思う。いかがですか、その点は。
  182. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) まあ一つのお説だとはむろん思いますが、現に日本育英会が世話をして、学校長等に協力を得て、家庭的な条件が経済的に恵まれていない、そうして一定の成績の者だと、進学希望ありということを具体的に一人々々に判定をした副申か何かを活用して、育英奨学が何の何がしに支給さるべきかをきめてやっていると思いますが、そのことを、この統計的調査に活用してもらうだけのことだと、ほかに、一人々々の具体人がそれで最終的に決定されて奨学金をもらうかどうかがきまるということでなしに、そういう今の育英制度のもとに奨学金が支給されておるが、それがもっと金が、資金が多かったらできるだろうという推定をしたい、資料を得たいということでありますから、今の米田さんの言われたように、不当呼ばわりをするようなことが出てこないように思うのですが、どうでしょうか。
  183. 米田勲

    米田勲君 文部大臣、実際の問題として、こういう判定を一人々々の子供に下すということは非常に重要な問題になってきませんか、実際問題としては。この子供の高校進学は、あの家庭であると困難だという判定をしたり、支障がないという判定をしなくちゃならぬのですから。私は親の立場から言えば、家庭は貧乏であっても、親はあらゆる努力をして高校進学のための費用を得てやる人だってたくさんおるじゃないですか。ところが、そういうものはこの判定ではばってんになるのですよ。困難だという判定になるじゃないですか。こういう判定をするということ自体非常に僕は不当だと思う。不穏当だと思うのですよ。困難だと勝手にだれかが判定してしまう。家庭は困難でも親は汗水流して働いて、食う物を詰めても高校に上げる。それは場合によったら困難ではないという条件が出てくるのですよ、上げるということについて。それをこの判定は、当然困難であるというばってんがつく。そういう調査をあえて行なうということは、僕は不穏当だという感じがする、不穏当である。そうしてそれをやらなければ、どうしても求める科学的なその資料が得られないかと言ったら、そうでない。そこで、私は猜疑心が深いようにお聞きかもしれんが、文部大臣、これはやはり違う意図がある。選別をしようとしているのではないかと僕は思う。労働力の選別をしようとしておる。教育訓練小委員会目的を、この調査資料で果たそうとしているのではないかという疑問がどうしても出てくる。ほんとう文部大臣の言っているようなものであるならば、そういう不穏当な判定まで加えたようなものでなくてもできるはずのものを、こういう内容のものにしておるということは理解ができない。文部大臣、これは不穏当だと思いませんか。こういう判定を下すことは。
  184. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) どうも不穏当という感じが出て参りませんが、むずかしいことだということはわかります。むずかしいことだが、その家庭が不幸にして貧乏だ。本人の学生、児童、生徒は進学の意思あり、また学力もこのテストを通じて観測した限りにおいては、奨学金をもらうに値する能力を一応持っておるという判定というものは、学校長というか、受け持ちの先生というか、その学校でなければ、何人といえどもできないことでございますから、またその学校が協力してくれないことによって求めんとする資料は事実上得られないわけですから、そこで、学校としては御苦労ですけれども、むずかしい向きもございましょうが、さっきも申し上げたように、現にわずかながら育英奨学の対象を毎年定めております。それと同じ気持で推定してもらったものを集録する材料にしてもらいたいということですから、それ自体不穏当だという感じも私は出ません。めんどうなことであろうことは想像にかたくないですけれども、協力してもらいたいという気持でございます。なお、この何とか小委員会で何かもくろんだことがあるようだから、それに利用するのではないかというお疑いが依然として残っておるようですけれども、かりにそうだといたしましても、その委員会が経済企画庁なら経済企画庁としまして、この結果を利用しようと思うならば、文部省に正式に申し入れをして、その資料そのものをこの小委員会が考えるような用途に使えるような姿で引き渡してもらいたい、もしくは結果を通告してもらいたいという連絡がないことには利用されるはずがないと思うのですが、そういうことはさせませんから、それだけで氷解していただけると私は思います。
  185. 米田勲

    米田勲君 この判定をした個票というのは、これは廃棄されるというような話がさっきあった。しかし、それは私はすなおには受け取れない。この個票というものは相当金がかかるのですよ。そんな、総数をはじき出してしまえばあとは廃棄してしまってもいいような個票であるならば、個人別にあんな個票まで作成する必要はないじゃないか。僕はあれまでのものを金をかけて作らして、個別のものを作らして、直ちに廃棄させるということであるならば、何でそんなむだな金を使うのだという疑問が起こる。大体、文部大臣はこの学力調査をやるのに、末端の市町村で相当額の予算を計上しなければできないような国の予算の見積もり方をしている。そういう、地方に相当財政的な負担をかけておるような現状において、何で総数を把握したいという程度のことで、なぜ、直ちに廃棄するようなものにあんな個票まで作るのかという疑問が起こる。これはどういうわけですか。
  186. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 先ほど来申しますように、これによって育英奨学のワクの拡大をはかっていきたいという趣旨でございまして、それ以外には何らの意図もございませんし、経済企画庁の話が出ましたが、訓練小委員会ではこの問題については何ら結論を出しておりません。ただ、経済企画庁のほうから照合がございまして、文部省関係調査について、どんなものをやっておるかというので、十ばかり、文部省から、こういう調査をやっていますという資料は差し上げましたけれども、そういう結論は私は見たこともございませんし、この点は全然無関係でございますので御了解いただきたいと思います。向こうに出したのは、「職場の学歴の現在と将来」、それから「育英奨学に関する基礎調査」、「産業教育調査」、「卒業後の進路状況調査」、「三十六年度全国学校一斉学力調査」、「市街地青少年の余暇利用と社会教育に関する調査」、「テレビジョンの影響力調査」、「公立学校水泳、プール、体育館設置状況調査」、「学校給食の調査」、こういうような調査関係一覧の資料要求がございましたので出した、この中に入っておるというだけでございまして、訓練小委員会が何か学力調査をやれというような決定をしたということは全然ございませんので、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  187. 米田勲

    米田勲君 内藤局長にお伺いしますがね、今度、二十六日に学力調査を受ける全国の生徒の個票は、このC表の個票は、総額、概算どれくらいになると思いますか。
  188. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 四百四十七万だそうです。
  189. 米田勲

    米田勲君 直ちに、総数が出れば廃棄してしまうような、そういう計算の過程に必要な程度の個票を、莫大もない金をかけて、地方で財政的負担も負わなければならないような状況の中で、なぜ私はああいう個票を金をかけて作らせなければならないのか。しかも聞いてみると、あなたの説明によると、それは総数が出れば要らぬものでしょう、それはどういうものでしょう。
  190. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 調査の問度にいたしましても、約、答案用紙に七千万円くらいかかっているわけでございまして、その中の一部でございまして、先ほど来申しましたように、育英奨学のための基礎資料を得たいというので、これは保存の義務がないから廃棄しても差しつかえないと申したのでございまして、学校で保管したいなら保管されるのもけっこうでございますけれども、決してこれは義務ではございません。指導要録だけが保管義務が省令で規定されておりますが、その他の資料は非常に莫大でございまして、おそらく答案用紙も、あの膨大な資料を保管する場所がないのじゃないかと思うのでありまして、この個票は小さいものでございますから、保管ができますれば保管してもけっこうでございます。これは義務は負わしておりません。
  191. 米田勲

    米田勲君 その個票は、学校に保管するとすれば学校で自主的に保管する。その保管された個票は、いかなる者の指示があっても、見せるか見せたいかは学校側の自由性にある、自主的な判断にまかされる、そういう性格の個票ですか。
  192. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) さようでございまして、これはあくまでも秘でございますから、かりに手元にございましても、外部には一切漏らすべからざる資料でございます。
  193. 米田勲

    米田勲君 それは、学校以外のところに保管されるというようなおそれはありませんか。
  194. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) これは要項の中にも書いておきましたように、県のほうで集計して学校に送り返すことになっておりますから、学校以外の場所にはこれは行くわけはございませんです。
  195. 米田勲

    米田勲君 教育委員会等に保管をされるようなおそれは全くないのですか。
  196. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは全くないと思います。
  197. 米田勲

    米田勲君 文部大臣は、今の内藤局長の答弁をしておることに責任を持ってくれますか。
  198. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 実施要領は事務当局がむろん出したことですけれども文部省の名において出しておる実施要領それ自体に今申しましたような指示をいたしておりますから、それ以外のことが行なわれるはずがない。もしそれ以外のことを行なったら、これこそ指導助言でもって学校に送り返すことをやらせるというこの意味を含みまして責任を持ちます。
  199. 米田勲

    米田勲君 大体時間も相当になりましたので、きょうはこの程度に、この問題については終わります。
  200. 平林剛

    委員長平林剛君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  201. 平林剛

    委員長平林剛君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会