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米田勲君 私は
文部大臣が、どういう事務当局なり官僚の諸君が
教育委員会と懇談の形式かあるいは
質疑応答かあるいは
指導、助言の名において
実施要綱以外に口頭で話したことがあるけれども、
文部大臣はそれを知らないという事実はわかりました。なぜ私がこういうことを断定をしながら言うかというのは
一つの根拠がある。それは最近私の
調査によると、数府県共通の事象が現われておる。はしなくもそれは共通しておる。こういう共通した事象が現われてきておるということは、それが北の方であり南の方であるということを思うと、文部当局と
教育委員会とのどこかの会合で共通して現在現われている事項について口頭で打ち合わせが行なわれたということを推測するにかたくない。さて、私が
一つ具体的に
指摘をいたしますが、私は秋田で
教育委員会がきわめて
教育上思わしくないことを先般の抽出
テストにおいて計画、
実施し、今回の十月二十六日の一斉
テストでこのことを計画、
実施していることを知ったわけです。このことは地方の議会で問題になって、実はこの河北新報に連日掲載されておりますから
文部大臣もごらんになったかと思います。しかし、もし、見ていないおそれがあると困りますから、どんな
内容のことだったかをひとつあなたに聞いていただきたい。「先月二十六日全国一斉に
実施された
学力調査で秋田県中仙町鑓石持、鑓見内小
学校(宮田晋五郎
校長)が同日
学校に「立ち入り禁止」の立て札を立てたことや、県教委南出張所(堀井喜一郎所長)から同町教委に流された「不穏当」な極秘公文書が同町議会の
調査で明るみに出された。この問題を重視した秋田教組は二日中央執行
委員会を開いて対策を協議し、県教委を追及するとともに、問題を県議会や
国会に持ち出して糾明するという態度をとっており、十月二十六日の第二次
学力調査にも微妙な影響を与えている。」という新聞社側の概括的な報道の中にこういうことを載せておる。「先月二十六日の同町議会で
教育民生
委員長鈴木等議員が
学力テストの行なわれた鑓見内小
学校に
テストを視察に行ったところ、
関係者以外立ち入り禁止と書かれた立て札が立てられ、
学校に入ることができなかった。」これは県議会の
教育民生
委員長です。「県教委南出張所から秘密指令がきているためではないか」と
発言し「秘密文書の公開を
要求した。これに対し町教委は同出張所から流された秘密文書のあることを認め、これを読み上げた。文書の
内容は1当日は参観日の名のもとにPTAが若い者を集めておくこと。2カメラは三台以上そなえ、フィルムは奪われないように注意すること。3立ち入り禁止の立て札を立てること、などが細かく
指示されており、マル秘の記号がはいっていたという。鈴木
委員は秘密指令で
教育を
指導するなどは軍閥政治よりも悪質だし、若い者を集めるなどは暴力に守られた
テストというよりほかはないと、これを指令どおり行なった町教委の
責任を激しく追及した。三十日には議会
教育民生
委員会を開いて問題の公文書の再
提出を求めたが、町教委は文書はすでに焼却したと答えた。結局、三十日の
教育民生
委員会は近く公聴会を開いてこの問題の是非をはっきりさせることにして散会した。こうした騒ぎの中で、同町
教育委員長佐々木仁助氏は
責任をとって辞意を表明するなど問題はさらに発展する様相をみせている。」この報道がまず最初に出されました。これによると、県教委から町教委に対して一斉に秘密文書が流されておるということであります。秘密文書の
内容には、今具体的にあげられていることなどがあります。「さらに波紋を投ずる秘密指令」として次のように引き続き報道されております。「渡辺
教育長は二日、中仙町町議会で問題になった
学力調査に関する秘密指令について、県教委の指令によって南出張所が地教委に出したもので、混乱を防止する当然の
措置であると次のように語った。「九月二十六日の
学力調査を秋田教組と高教組が阻止する方針で混乱を予想された、このため九月二十日横手市で南出張所管内の地域
教育長
会議を開き、1混乱防止に万全を期すべきこと。2混乱が起きたときの警察官出動要請の仕方、状況を詳しく記録しておくこと、立ち入り禁止札を立てることなどを
指示した。南出張所はこれに基づいて地区の緊迫した
事情を考え、逆ピケ用の若い者の動員、マイク、テープコーダ、八ミリカメラなどを用意することを秘密文書で指令したものだ。これは県教委の方針に従った最悪事態に備えた
措置で当然のことと思う。秘密文書が公開されたことは遺憾である。」」こういうふうに出ております。さらに次の日には県
教育長の見解が出ておりますが、この秘密文書の
内容を
指示したことは、この彼の発表によって明らかであります。長くなりますから読むのを省略いたします。このような秘密指令です。教職員組合がどういう行動に出るか、これはお互いに当事者でないからわかりません。しかし、阻止しようと彼らが決意しているから相当の混乱が起こると思います。しかし、私はこの
文部省が強引に
学力調査を地教委にやらせようと、県教委にやらせようということから、秋田のこの事件だけでなく、類似の事件が、この秘密文書の流される
内容なども加えて共通した事象が見られるのです。そこで私は——これからあとは私の推測ですが、もう少し
調査を進めないとわかりませんけれども、どうも全国の
教育長か、あるいは
教育委員長などと文部当局が会合した際に、
実施要項以外に口頭で秘密指令をしておるのではないか、または質問という形式で詳細にこういう警官隊出動の問題や、後にいろいろなごたごたがあったときに容疑者を摘発するのに、カメラだとかあるいは撮影機などを準備させたり、あるいは
学力調査が行なわれるように若い屈強な者を集めて逆ピケを張ってやろうという、そういう計画が秘密指令によって流されておる。私はこれを見て、
文部大臣のように一がいに
教員組合が悪いのだと言ってきめつけることは、私は当を得ないと思う。今あなたにこういう秘密指令なりあるいは秘密文書があったのではないかと聞いてみても、関知しないとか、そういう事実はないと思うという御
答弁があるに違いありません。今さらそんなことがあったかもしれないということは言えないと思いますが、私はどうもそういうことがあったように疑われる。そのことが単なる疑いであれば、これは
教育委員会同士で何か打ち合わせておる。一言にしていえば、
教育界の大不祥事が、この二十六日を期して惹起しようとしておるということは大体間違いがない。それは
文部大臣の考えておる以上の混乱が起きますよ。それをこの
段階に来て、あなたはそんなことを大会できめた
教員組合が悪いのだ、そういうことだけでこのことをほおかぶりして、一度きめたのだから強行するのだということは、時宜に適した
教育的な
方法ではないのじゃないか。だから私は、先ほど教職員組合と県教委が自主的に苦労をしながら交渉して話し合いをし、混乱を避けて円満のうちに
学力調査が行なわれるということになるならば、
教育委員会が独自に
学力調査の
内容——それは
文部省がきめたものと
内容は重要な点において異なる点があろうとも、それを許容するだけの態度がなくては、全国的な大混乱を防止する道は今やなくなっているのではないか。このことを
文部大臣に私は
理解をしてもらいたい。そしてこのことを単にだれが悪いとか彼が悪いとかという論議をせずに、
日本の
教育界にそういう不祥事をどうしたらなくすることができるかという一点にしぼって、この場合
文部大臣に配慮してもらいたい。というのは、この論争を続けていてもらちがあきませんので、私はあなたに最終的に腹をきめて混乱をどうして防止してくれるかという見解を聞きたいのです。いかがですか。