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説明員(稲益繁君) やはり仕事の面としましては、両面あるわけなんでありますが、いわゆる管理的な仕事と、それから企画と申しますか、政策的な仕事、最初に申し上げたのでありますが、この為替管理法あるいは貿易管理、こういうものを行なっておりますと、これは関税率というものは、実は直接そういうもので
産業が保護されるわけです。したがいまして、かつて
昭和二十六年に全面改正も行なっておりますが、これも実のところ、関税率の高いか低いかによって、直接国の
産業が、鉱工業、
農業が保護されるという
機能がほとんど発揮されておらなかったのでございます。したがいまして、為替管理なり貿易管理が行なわれておりました間は、為替、関税率についての検討も、それほど真剣な問題として取り上げられなかった。ところが、だんだん自由化が進んで参りまして、そういう直接統制がはずれますと、これは実に大きな問題になって参るわけでございます。凡百の品物が入って参るわけでございます。また、対応するような国内にいろいろな
産業があるわけでございます。何も大企業の製品だけでなしに、中小企業の製品も、万年筆一本であれ、ボールペン一本であれ、こういうふうなものが自由化されますと、非常な打撃を受けるわけでございます。こういうものが、一方におきましては、国際的ないわゆる日本はガットにも加入しておりまして、なかなか引き上げということは……。また、日本の基本的な立場におきましても、世界的に貿易を大きく伸ばしていく、この恩恵に一番大きくあずかるのは日本だという建前にあるわけであります。この間の
調整が、国内の
産業の保護という
観点のみにとらわれますと、とかく引き上げの予想が出てくるわけでございます。そういう方面から、極力引き上げ、引き下げ両面の
要請を
調整していくということになりますと、私のわずかな経験をもっていたしましても、非常にたいへんな作業なんです。国内の
産業の実態、これはもちろん、
関係各省が相当な資料を提供するわけであります。通産、農林、厚生、いろんな物資につきまして、そういう
産業の
動向あるいは物品の輸出入の
動向、海外における市況、それから国内における需給闘係、そういったものを絶えず調べておかなければいけない。それから、昨年の改正で実は新しく制度的にも設けたわけでありますが、実は貿易が自由化されて参りますると、非常に関税率に対する機動的な運用というものが
要請されて参るわけであります。このために、緊急関税制度といったようなものを設けたわけなんでありますが、つまり海外の価格が、
技術の革新だとか、そういったものによりまして、急激に価格が低下するというようなことがございますと、関税率の改正が、通常でありますれば、国会の御
審議を願いましてやる以外に改正の方法がないわけであります。そういたしますると、海外のそういった市況が急激に変化して参ったというよらな場合に対応する
措置がないわけであります。国内の
産業が非常な脅威にさらされる、あるいは倒産も起こってくるというような事態も予想されまして、したがいまして、各国でも、そういった緊急関税の
措置をある程度行政府が、非常な制約のもとではありますが、
条件を付して認められるというような制度が各国でとられているわけであります。私
どもとしましても、この制度を今回導入したわけであります、関税法の改正によりまして。そういたしますると、こういった緊急関税の発動といったような問題は、非常に機動的に運用しなければならないので、絶えずいろんな資料を整えておかなければならないといったような面もあるわけであります。したがいまして、従来の税関行政の大体の重点と申しますか、ここ数年前まででありますると、いわゆる国税で申し上げますると、税務署なり国税局を指揮監督すると申しますか、管理する面で国税庁というものがありますように、全国で八つの税関があるわけでありますが、この税関に、現揚の税関のあらゆる税関行政運用というものを管理
指導していくという面に大体重点があった。したがいまして、当時におきましては、業務課、監査課、調査統計課という三つの課で構成されておったわけでありますが、この業務課というものは、ほとんど現場の密輸の取り締まりなり、あるいは通関業務の円滑化なり、そういった面で、また日々いろんな法の解釈上の問題が発生しているわけでございます。こういうものの管理事務を主としてやっています。それから六千人からの職員がおりまするので、この
関係の管理面の仕事が、御
承知のように、非常にたくさんあるわけであります。人事上の問題、宿舎の問題、いろんな点で、ボリュームとしましてもかなり大きな仕事があったわけであります。そして今回、こういうふうに関税率の改正、あるいは関税率の機動的な
運営といった政策面の仕事が、自由化とともに表面に出て参った。この仕事が非常に私
どもとしましては重要な仕事でもあり、またかなりな人手も要ります。また、これを
運営して参ります上に、ただいま官房長から話がありましたように、やはり独立した
機構で円滑にこれを処理して参るということが必要になってくる。大体そういうことであります。