運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-10-24 第39回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十四日(火曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     大谷藤之助君    理 事            塩見 俊二君            松村 秀逸君            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委 員            石原幹市郎君            上原 正吉君            木村篤太郎君            下村  定君            一松 定吉君            山本 利壽君            吉江 勝保君            松本治一郎君            横川 正市君            赤松 常子君            高瀬荘太郎君   衆議院議員            内田 常雄君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    農 林 大 臣 河野 一郎君    郵 政 大 臣 迫水 久常君    国 務 大 臣 川島正次郎君   政府委員    行政管理庁行政    管理局長    山口  酉君    行政管理庁行政    監察局長    原田  正君    調達庁長官   林  一夫君    調達庁総務部長 大石 孝章君    調達庁不動産部    長       沼尻 元一君    大蔵大臣官房長 佐藤 一郎君    大蔵省主計局長 石野 信一君    大蔵省主計局給    与課長     平井 迪郎君    農林政務次官  中野 文門君    農林大臣官房長 昌谷  孝君    農林水産技術会    議事務局長   増田  盛君    郵政大臣官房長 金沢 平蔵君    郵政省郵務局長 西村 尚治君    郵政省経理局長 佐方 信博君   事務局側            伊藤  清君   説明員    行政管理庁行政    監察局監察審議    官       井原 敏之君    大蔵省主税局税    関部長     稻益  繁君    郵政事務次官  大塚  茂君    日本国有鉄道管    財部長     山崎  武君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○旧金鵄勲章年金受給者に関する特別  措置法案衆議院送付予備審査) ○農林省設置法の一部を改正する法律  案(第三十八回国会内閣提出、衆議  院送付)(継続案件) ○国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査(郵政事業監察に関  する件) ○大蔵省設置法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○連合国占領軍等行為等による被害  者等に対する給付金の支給に関する  法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) これより内閣委員会を開会いたします。  去る十月十七日、予備審査のため本委員会に付託されました旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案議題といたします。  発議者から提案理由説明を聴取いたします。
  3. 内田常雄

    衆議院議員内田常雄君) 衆議院議員内田常雄でございます。  ただいま議題となりました旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案について、発議者を代表して提案趣旨を御説明いたします。  旧金鵄勲章年金は、昭和十六年に年金令が廃止されました後におきましても、すでに受給権の発生していた人々には、旧令によって下賜されていたのであります。しかるに終戦後、昭和二十一年三月に至りまして、旧金鵄勲章年金は、昭和二十年十二月末を限りといたしまして、一切廃止されることとなって今日に至っておるものであります。  戦後十六年、この間幸いに我が国の経済は順調に再建発展しまして、国民生活も年一年と向上をたどりつつあるのであります。この間にあって、旧金鵄勲章年金受給者におかれては、かつて支給されていました年金は打ち切られ、その経済的期待権を喪失し、経済的また精神的に不遇のうちに老後の日々を送っている人々も多いのでありまして、まことに御同情にたえないものがあります。よって本法律によりまして、これらの人々のうち、特に老齢者に対して特別措置を講じようとするものであります。  本法律案の要旨は、本法施行の日において生存する旧金鵄勲章年金受給者にして、満六十才に達しておられる方々及び今後満六十才に達する方々に対し、旧制の功級による区別なく、特別措置として金七万円の一時金を支給しようとするものであります。その認定は、これを受けようとする者の請求に基づきまして、内閣総理大臣が行うこととしております。  なお、この法律の実施のための手続その他につきましては、政令をもって定めることに規定いたしております。  以上をもちまして提案趣旨説明といたします。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを御願い申し上げます。
  4. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 以上で提案理由説明は終了いたしました。自後の審査は、これを後日に譲ります。   ―――――――――――――
  5. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に続いて質疑を行ないます。  政府側出席方々は、昌谷官房長斎藤振興局長増田農林水産技術会議事務局長、以上の方々でございます。中野政務次官も御出席でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  6. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 前回、各農事試験場の、あるいは今度新しくできます四つ試験場関係について伺って参りましたのですが、食糧庁にあります食糧研究所、これを食糧庁からはずしまして、本省に今回持ってこられるということでございますが、これは食糧農業だ、こういう意味でこっちに持ってこられるのかどうかということと、それから山形新庄にありますところの農村工業指導所、これも今後この食糧研究所支所というふうになるようでありますが、これは食糧研究所とは相当違った内容指導所でありまして、これを支所になさるというのは、支所としての形態をすみやかにおとりになるのかどうかということ。もう一つは、河野農林大臣は盛んに農村工業ということを言われるのでありますが、せっかく新庄農村工業指導所というのがありますので、この際、こういう機関をそういう意味で拡充するというお考えはないのか、せっかくのものを食糧研究所支所という形に切りかえられていいのかどうか、そこら辺の事情を簡単に伺いたいと思います。
  7. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) お答え申し上げます。  第一点の、従来食糧庁に付属しておりました食糧研究所農林本省に移しました趣旨は、御承知のように、食糧研究所でやっております食糧品の貯蔵、加工その他の試験研究でございますが、だんだん食糧品加工、特に蛋白関係あるいはビタミン関係農産物加工といったようなものが高度化要請されるのでありまして、そういった観点から、従来は果樹園芸に関しては振興局あるいは農業試験場の一部と、あるいは水産関係蛋白関係では水産とも関係が出るわけであります。そういう意味合いで、当初食糧庁食糧研究所が設けられた当時の穀物の利用増進というようなねらいから、事実食糧研究所研究内容も、かなり農産物全般に広がっておりますので、この際、そういう新しい加工形態にもっと食糧研究所が本格的に取り組み得るようにするため、一般的な農業との関係を強める意味農林本省に移すことにいたしたわけであります。  それから、新庄農村工業指導所でございますが、これは沿革的には御指摘のような農村工業指導という面で大きな役割を果たして参ったわけでありますが、最近は農村工業と申しましても、食糧品工業がほとんど主でございまして、やっております仕事も、食糧品加工利用研究指導ということにほとんどの力がそこに注がれております。かつ、内容といたましても、今後ますます高次加工、あるいはもっと近代的な加工という点に力を注いでいきませんと、単に農村工業といったようなことだけでは十分に目的を達しませんので、この際、食糧研究所を先ほど申しましたようなふうに機能を積極化いたしますのとあわせまして、農村工業指導という点からもう一歩実質的に踏み込んで、食糧品高度加工研究をそこで本省とつながりを持ってやっていくということにしたほうが、現在の使命あるいは役割からいって適当であるというように考えたわけでございます。
  8. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この新庄にあります農村工業指導所、これを支所とされて今お話のように拡充なさるおつもりなのか、せっかく支所にはなったのだが、支所としての形態を一向整えていないというような形で置いておかれる危険性がないとは言えない。特に、もし食糧研究所のそういうような非常に広範な、あるいは近代化した研究をやられる、それにしては全国にたった支所一つ山形新庄にあるだけだということになりますと、ほっておかれる心配も十分あると思うのですが、急速に拡充されて支所としての形態を整えられるのかどうか。また、ここに勤めておられる方は行政職俸給表(一)に大体なっておると思いますが、今回これは研究職に切りかえられることになるのか、その点をひとつ。
  9. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) とりあえず、現在ございます農村工業指導所を、先ほど申しましたようなことで、ねらいを積極的な食糧利用加工、あるいは高次加工に持っていこうというわけでございます。逐次研究内容、あるいは研究方向つけを具体化して参ります過程において、御指摘のように、要すれば組織人員等についても、今後の情勢に応じて検討して参る必要があろうと思っております。とりあえずは、現在ありますものの内容の充実から手をつけて、しかる後に逐次そういう方向発展することを私どもも内心望んでおるわけでございます。  職員につきましても、研究に従事いたします者については、今後研究職に切りかえるというふうになって参るわけでございます。
  10. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 どうも食糧研究所になりますと、ただいまお話を伺った限りにおきましては、なかなか事態はそう改善されないような印象を非常に強く受けるわけです。しかし、それ以上のお気持がないとすれば、これはせっかく食糧庁から切り離された意味が少いのではないかと思う。抱負も少ないようですし、はなはだ遺憾だというふうに言わざるを得ないのでありますが、しかし、問題はたくさんありますので、次に移りますけれども、次は、以上いろいろ御質問申し上げてきたわけでありますが、その結論として申し上げられますことは、四つ中央農業試験場お作りになるわけでありますけれども、これらはどうも中央農業試験場という形にはなりがたい状況にあるのではないかと思います。もちろん急速にそういう形になるとも思えませんけれども、それにいたしましても、畜産試験場ができましても、しかし、各地域農業試験場にありますところの畜産部なり、そういうものは実際としては支場にはならない。依然として地域農業試験場の中に総合化された部として残る。したがって畜産は、畜産試験場としてできます限り、支場がないという形になりますし、園芸試験場中央にできましたが、これは地域農試の中にあります園芸関係の部が支場になるようであります。そこらも非常に混乱しておるように私は見受けるわけです。さらに、農業土木試験場というものをお作りなり、あるいは茶業試験場お作りになりますが、その実体はまことにお粗末で、従来のものをかき集めて、寄せ集めて作ったような内容と全く変わらない。それに中央農業試験場というような名前をかぶせておられるというだけにすぎないのでありますが、ここら辺は、一体この中央農業試験場という部門別考え方で分けられるのか、あるいは総合農業試験場という形の中にも半分足を突っ込んでおられるのか、そこら辺のところを伺っておきたい。どうも今の試験場のあり方では、従来一応総合農業試験場としての性格を持っておりましたけれども、今回できますところの試験場関係全体を通じて言えますことは、総合農業試験場関係からどうも足を抜けきれない、あるいは部門別試験場関係というシステムにはでき上がっていない、こういうような二重的な、あるいは二元的な構造になっておるように見受けるのですけれども、その辺の見解を承りたいと思います。
  11. 増田盛

    政府委員増田盛君) 試験研究機関組織をどうするかという問題を考えていく場合におきましては、やはり分化総合、この二つの線をどのように調整するかという問題が大事だと思うわけであります。しかも、この分化総合がどのように行なわれるかという点は、やはり試験研究発展段階と、それから産業、すなわち農業からくる要請によってきめられるものだと思うのであります。御承知のように、現体制昭和二十五年に発足いたして約十年間たっておるわけでありますが、その間におきまして、わが国の農業はきわめて著しい変容をとげておりますし、しかも、農業技術はきわめて高度の段階に伸展していることは御了承のとおりであります。そういう場合におきまして、私どもは、やはり試験研究の高度の段階に応じまして、一方におきましては、これを部門別分化させる必要がある。特に、最近におきます農業の長期的な展望といいますか、動向に照らす場合におきましては、部門別分化というものが非常に必要になるわけであります。私どもはこのために、一つ畜産園芸等成長部門重点指導、あるいは部門別研究推進強化、あるいは試験研究機関管理適正化、こういう点からそれぞれ分化を推し進めなければならぬと思うわけであります。しかし、もう一つ観点からいいますと、やはり試験場試験研究総合性という観点も没却するわけにはいかないわけであります。御承知のとおり、十年の間にも、地域農業試験場は、きわめてその総合性において著しい発展をみておるわけでありまして、その点におきまして、現体制長所一つであるのじゃないかと思うのであります。ここで御指摘の、園芸には支場があるけれども畜産にはなぜないのだという問題があり得るわけであります。それぞれ園芸試験場及び畜産試験場で、こういう線で中央機構分化するわけでありますが、これの地方的な組織に対しましては、両者間に若干の考え方の相違はあるわけであります。すなわち、園芸の場合におきましては、これは果樹中心にいたしまして、専用圃場による永年作物、すなわち、樹木を対象にするわけであります。したがって、比較的他の農業部門と切り離し得る性格を持っておるわけであります。これに反しまして、畜産の場合には、どうしても一般的な農業から切り離し得ないのであります。すなわち、飼料作物関係を通じて申し上げますと、これは普通の作物と同様に、輪作体系の中に組み入れまして、それと一体となって畜産研究を完成するわけであります。こういう観点から、畜産試験場のほうは、中央試験場の成立に必要な限度にとどめまして、地域試験場にある畜産部は、これはむしろ従来のまま存置しまして、その地域に特有な問題を研究させたほうがむしろ妥当じゃないかというふうにわれわれは考えておるわけであります。しかし、全体を見まして、私はお尋ねの点で、部門別に縦に割り切るかどうかという点に関しましては、これは全体を縦割りで進むのじゃなしに、やはり縦割りの、長所も生かすと同時に、それから横割り、すなわち、総合性長所も生かすという点を考慮せざるを得ないのではないかと思うわけであります。さらに御質疑にありました、そういう縦割り横割りを編み出した体系というものは、二重論といいますか、二元論ではないかという点でございますけれども、私どもは全体的に見まして、最後におきましては技術会議が全試験研究総合調整をやるわけであります。したがって、横の関係におきましても縦の関係におきましても、技術会議総合調整機能を発揮いたしまして、これを統一したまとまりのある形で運営いたしていきたいというふうに考えているわけでありまして、そういう点におきまして、私は決してこれは二元論にはならないのではないか。たとえば織物を織る場合にも縦糸と横糸があるように、やはりいろいろのものさしによりまして織り出すわけでありますが、全体として統一した運営をしていけばいいのではないかというふうに考えるわけであります。
  12. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、地域農事試験場の、従来ありました総合農業試験場の中にありましても、従来から園芸いいけれども畜産畜産としてのある程度の独立性なり、あるいは悪い言葉でいいますならば、セクト的な考え方というものがあるわけであります。今回これを独立させるということは、さらに一そうそのセクトなり、あるいは狭い視野の研究というほうに追いやってしまう。ですから、これは決して分化といういい言葉でありますけれども、そういったようなものを助長する役割を果たしているのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。しかし、この分化については、もっとあとでもう一回お伺いいたしますが、いずれにいたしましても、そういうような空気を助長するのだ、で、園芸にいたしましても畜産にいたしましても、あるいは農業土木試験にいたしましても、あるいは他の関係にいたしましても、その地域における自然条件なり社会条件なり、農業条件という中で総合的に研究される、こういうほうがより効果的じゃないだろうかと思うのでありますが、ただ、こういうふうに分化されまして、そうしてその総合化の任務は技術会議にお負わせになる、しかし、現場において、現地においてのこれは総合的な、あるいは統一をされた研究というものには大きく差しつかえるのじゃないかと私は思うのです。そこら辺の点についてどういうふうに考えておられるのか、伺いたい。
  13. 増田盛

    政府委員増田盛君) 地域におきます農業研究をまず考える場合におきまして、先ほど申し上げましたような、一般的に農業総合研究といわれる場合におきましてその必要性があることはもちろんであります。しかし、一方において、やはり縦の線で一貫した研究を行なうという線、すなわち、分化の線も必要でございます。これをどういうふうに調和していくかという問題でございまして、従って、いろいろな面、いろいろな段階におきまして調整をはかっていきたいと思うわけでありますが、ただいまお尋ねの、特に地域段階でございまして、県の試験研究機関とも密接な関係にある地域総合試験場におきましては、現在の態勢は、農地畜産を中核にして、そこで総合的な研究を行ない、必要な地方的な園芸に関して研究をしておる。研究を必要とする場合におきましては、特に研究室を残しまして、そこで園芸も含めて、あるいは農業土木をも含めて、地方的な特殊な問題に関して試験研究をするわけであります。しかし、たとえば園芸試験場、あるいは農業土木試験場等支場ができました場合の関係であります。そういう場合の関係であります。そういう場合におきましては、先ほど私から、最終的には技術会議総合調整があるのだというお話を申し上げたのでありますが、もちろん何でもかんでも技術会議がまず総合調整権を振り回して、それでやるという趣旨ではないわけであります。地域的におのおの異なった系統に嘱しております各種支場、そして支所等が、やはり農業試験場中心にいたしましても、十分に連絡調整をする、そうして地域的な農業問題の解決に当たる、このように私ども運営をして参りたい。そういうことによって、私はその協力態勢によって、現下の農業の課題、農業要請に十分に沿い得ると考えておるわけであります。
  14. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題は、こういう分化することによりまして、非常に重要でありますところの総合的な共同的な研究というものが大きなマイナスになるということは否定できないと思うのです。たとえば農業土木試験場というのができますけれども農業土木試験場というものはおそらく土壌との関係、あるいは農作地関係、こういう農地との密接な関係なくしては前進しないものだと思うのです。確かに農業土木技術、あるいは土木そのもの研究というものが尊重されて研究されていくでしょうけれども、しかし、もっと総合的な検討を行なわなければならない段階にきているのに、これを分化し、しかも、できたものは試験場として一体形態をなすのかどうか。農業土木試験場とおっしゃるけれども人数が何人おられるのか、茶業試験場というものができますけれども一体人数は何人おるのか。試験場としての形をなすのかどうかという点も、これは部門別に独立させ、られました弊害が最も現われているところじゃないかと思うのです。畜産は独立する、園芸はこういうふうに試験場として独立する、それじゃおれもだおれもだということで出てきた。私はまことにおそまつなことになっておるように思うのですが、くどくなるようですけれども、もう一ぺん承りたいと思います。
  15. 増田盛

    政府委員増田盛君) 各種中央試験場分化をする必要に迫られているわけでありますが、しからば現在の下級のそれぞれの試験研究というものがどういうふうに行なわれているかということを申し上げますと、一番問題になるのは、やはり農業技術研究所におきまして総合化されているわけでありますが、しかし、この農業技術研究所たるや、実に膨大な機構でありまして、たしか研究室は百十をこすと思うのでありますが、それだけ膨大な研究室、そして研究員を擁しているわけであります。しかも、立地的にそれぞれ各所に散在しておるわけであります。こういう場合に、確かに総合性の必要はあるわけでありますが、しかし、研究運営という面から参りますと、所の所長によってこういう膨大な機構がそれぞれの目的に応じられるように適正に運営されるかどうかという点は、はなはだ疑わしいのでありまして、まあ理由はとにかくといたしまして、過去十年間の運営というものが、実はいろいろ私どもに対して教訓を与えておるわけであります。この際、一方におきましては、先ほど申し上げましたとおり、やはり産業発展、すなわち、農業発展、それからくるこれからの長期的な動向、これが何といってもかなめでございます。そして私どもは、やはり農業成長産業部門別、あるいはさらに一般的に部門別分化して研究したほうが能率が上がるのではないか。むしろこれは確実に現在の要請にこたえるためには、部門別研究させたほうが、部門別研究というものは十分に能率が上がる。この点は諸外国の事例に徴しても明らかであります。まず部門別に分けまして、部門別試験研究を伸ばしていく。ただし、この場合におきまして考えなければならぬことは、どうしても総合調整を強化しなければならぬということであります。御指摘のように、究極におきましては、農業におきます試験研究というものは、農業の場において役に立つ。すなわち、農業と直結した実用研究というものに到達をしなければならない。したがいまして、農業経営総合化という点から考えますと、どうしても最後総合化しなければならない。しかも、出発点におきましても、ばらばらの研究では困りますので、そこで総合調整をする。この総合調整をどこがするかといいますと、私ども技術会議であります。大体そういう構想になっているわけでありますが、御指摘の中にありました農業土木試験場その他が試験場として体をなすのかどうかというお話がありましたけれども、私は、やはり農業土木、あるいは茶業というものは、たとえば蚕糸、あるいはその他いろいろ試験場があるわけでありますが、そういう場合におきます一つ研究部門であるということには間違いないわけであります。しかも、土木試験場は、大体出発点の現在が百名の人員を擁しておる。茶業試験場は百工、三十名の人員を擁しておるわけでありまして、これだけの人員をもってすれば、つまり十分に中央試験場役割を果たし得ると思うのであります。もう少し人数の少ない実は研究所もすでに発足をしておるわけでありまして、人員規模等からいいましては、私は特に問題はないのではないかと考えます。
  16. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あとで伺おうと思っておりましたが、今若干出ておりましたので、ついでに伺っておきますが、今お話農業土木研究所百名というお話ですが、それで中央農業試験場ができておる。支場は全国ただ一つ佐賀県にある。これは干拓部というものができておったのでありますが、干拓部が支揚だという話、あるいは茶の問題でいいますと、これは静岡と鹿児島に二つの試験場ができる。としますと、これはどうしても農業土木関係中央農業試験場としては、はなはだ不十分であることはだれが見ても明らかだと思う。はなはだ不十分である。そうしますと、おそらく拡充をなさらなければならぬのではなかろうかと思う。あるいはまた園芸の場合においてもそうであります。これもどうも支場としても、支場を持った園芸試験場としては、まだまだはなはだ不十分だと思うのです。あるいは畜産関係におきましても同じであります。そうしますと、こういう成長部門試験場というものは拡大なさるでしょう。そのかわりに、農事なり、あるいは基礎研究なりというものは劣ってくるということも想定せざるを得ないと私は思うのです。それらはあとでまた伺いますけれども、次に、これとの関連で伺いたいのでありますが、今度農林水産技術会議の中で、試験研究関係の管理事務を総合化されるというのであります。しかし、その総化合されるにあたりまして、従来各局が持っておりました管理事務――農林経済局、あるいは振興局、あるいは畜産局、あるいは農地局、あるいは食糧庁、こういう各庁なり各局にありました管理事務というものが、今回農林水産技術会議に総合化されるわけでありますが、これは当然総合化されませんとこの趣旨から困るわけですけれども、しかし、総合化されてみましても、これは畜産試験場畜産局、蚕糸試験場と蚕糸局、農業土木試験場農地局というものが、人的にきわめて密接な関係にありますし、今後のまた人事異動等についても、これは一体のものであります。その場合に、従来の各局の管理事務というものが完全に移されるのかどうか。私は今の状況から見まして、各局非常に協力の仕方にアンバランスがある。たとえば食糧庁は、今回食糧庁食糧研究所が一本化されまして、その仕事が技術会議にきますが、食糧庁から人間はただ一人とっておる。それが管理事務をやるんだ、あるいは農地局からはだれも来ないのであります。あるいは試験場畜産試験場、これも大きくなり、独立して試験場ができるのですが、それの管理事務をやる人が一人しか来ない。これは定員の関係もございましょうけれども、しかし、一人で畜産試験場の今まで人事関係なり、あるいはそういう関係をやっておったというふうには見れない。あるいは食糧研究所にいたしましてもそうでありますし、農地研究所にいたしてもそうであります。こういうものから見ますと、どうも蚕糸試験場と、それから農業試験場については、確かに協力態勢というものができておるように思いますけれども、それ以外については、はなはだ協力態勢というものが弱いと、こう思うんです。その点を伺いたいのですが。
  17. 増田盛

    政府委員増田盛君) まず最初にお尋ねの、各局の管理事務が完全に移されるかどうかという点でございますが、これは各局の所管事務は全部技術会議に移されるわけであります。ただし、お考えのように、各原局というものとそれぞれの試験研究機関というものは、いろいろな面で非常に密接な関係があるわけであります。したがいまして、私どもは必要ある場合に、各局がそれぞれ試験研究機関に対して必要な連絡をするという点に関しましては、これは各局がそれぞれの行政の立場からおやりになっていいんじゃないか。しかし、やはり重要な事項に関しましては、その場合におきましても、技術会議調整した形で試験研究機関との間の橋渡しをするということになろうかと思うわけであります。  それから次に、新しい技術会議ができるにあたって、各局のそれぞれの人員の振り割りがあるわけであります。これは先ほどの御指摘のように、いろいろ各局によって人事があるわけでありますが、これをどういうふうにきめるかというものさしを探す場合に、従来各局にはそれぞれ試験研究の企画等に関する事務といたしまして、予算上の定員があるわけであります。これを一つのものさしにいたしまして、しかし、予算定員と実際の要員とは、やはり若干の食い違いがございます。したがいまして、このものさしを中心にしまして各局とそれぞれ協議いたしまして、それによって技術会議に対する移管人員をきめたわけであります。で、私どもこれをさらに内部的に運営する場合におきましても、やはり差し出した人間の多寡に応じて事務を扱わせるというわけにも参りませんので、全体の人員の中で、新しい任務に従ってそれぞれ適正な人員を割り出して、それによって運営に支障のないようにやって参りたいと思うわけであります。非常に人員は節約しながら能率を上げるというのが眼目だろうと思うわけであります。私どもはこれだけの人間で十分やっていけるというふうに考えております。
  18. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 以上、試験場関係についていろいろ伺って参りましたが、これを取りまとめまして私の見解を申し上げて、意見をひとつ承りたいと思うのでありますが、ただいま私指摘いたしましたように、試験研究機関の管理事務というものは、すべて技術会議へ持ってこられるということですけれども、しかし、これは種々協力の仕方に強弱があるようにはっきり見受けられるわけであります。したがって、試験研究所に勤めておる人たちと、たとえば畜産局、畜産試験場、それから園芸試験場は新しくできます園芸局、あるいは農地局と農業土木試験場というような関係については、人的な結びつきというものは、どうにもならない形で残ると思う。残らざるを得ないんですが、これは非常に強い形で残るというふうに思いますし、さらに、また成長産業といわれます畜産関係でいいますと、畜産局に残っておったほうが、畜産局に結びついておったほうがいいんじゃないかという意見だって相当強い。あるいは園芸試験でありますと園芸局、新しくできる園芸局というところにひとつ結びついておったほうが、予算の関係なりその他についていいんじゃないかという考え方だってある。農地局でいいますと、農地試験場農地局に結びついておったほうが、公共事業関係等の関係もあって、経費その他もいいんじゃないか、さらに人的結びつき等からいいましても、農地局のほうがいいんじゃないかという考え方がある。ですから、それぞれ感じといたしましては、原局に一つという考え方は否定できないじゃないだろうかと思うのです。むしろ今回の再編成は、そういうものを非常にあおっておるというように私は思うんです。それぞれ独立操作して、独立の試験場を作ってその点をあおっておる傾向が強い。さらに農林水産技術会議は水も林も入っておりますけれども、林野庁にありますところの林業試験場、あるいは水産庁にありますところの水産研究所、こういうものも統一をする力は私はないと思う。非常に困難である。できがたいという情勢がはっきりしてくるんじゃないだろうかというふうに思います。そうしますと、農林省の試験研究機関はばらばらの形に置かれる。林業試験場がそうだ、水産研究所がそうだということになりますと、この一、二年のうちに各原局につきたいという気持が、さらに一そう助長されるんじゃないかというように思いますし、また、今度の試験研究機関の編成がえの大前提になっておりますところの農林水産技術会議、これは種々問題があります。疑問もありますし、こういう点と、内部から攻撃されました場合は、おそらく非常な困難に農林水産技術会議は逢着するんじゃないだろうかと思うんです。このような諸条件について考えますというと、原局につくという形が、一、二年のうちに、あるいは二、三年のうちにはっきりしてくるんじゃないだろうか。これではせっかくの再編成も全くおだぶつになってしまう。まあ場合によれば農業総合試験場にかえる、そして現在の農業技術会議、現在の総合試験場関係にかえるということも可能性はないともいえないと思いますが、その可能性と、二、三年の後に畜産研究所は畜産局に、園芸試験場園芸局に、こういう形にならないかどうか。私は三つの理由をあげて申し上げたんですが、ならないという確信がありますかどうか、伺っておきたいと思います。
  19. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ごもっともな御意見と私は拝聴いたしました。しかし、私は五年前に農林大臣をいたしましたときに、御承知のとおり、今お話のような状態で戦前から参りましたものが、戦後非常に試験場組織能率が上がらぬというふうに考えまして、そうして現行の制度を私は立てたのでございます。戦前に長いこと畜産畜産局に、蚕糸は蚕糸局にということでやって参りましたが、どうもまあ具体的に申しますと、局長が試験場を一ぺん在任中に見たことがあるか、試験場で何をやっているかわかっているというような具体的な事実をあげて考えましても、どうも試験場と原局との間に連絡があまり見られない。予算等の場合にも、どうも試験場予算があとまわしになるというようなことを私は考えまして、そうして農林行政は、どこまでも技術の裏づけの上に盛り立てていくべきものだ、したがって、技術をもう一歩前進させる必要がある。しいて申せば、試験場長と局長とは対等の立場に置くぐらいにする必要があるということが一点。さらにこれを前進いたしまして、それぞれ畜産といい蚕糸といい、もしくは果樹園芸といい米麦といい、いろいろ従来部門別に非常に局部的にやって参りましたこの試験研究を、同じ農業の部門の中で総合的にこれを持っていくことはどうなんだろうかと、そういうふうに持っていって、そこに新しいものを生み出すということ、もしくは共通のものをそこに見出すことというようなことはどうだろうかというので、現行の制度は、私は実は五年前にとったのでございます。ところが、今回再び農林大臣になりまして、東畑博士の意見によりますと、君の考えも今日までやってきてみたが、もう少し基礎的に勉強してもらって、そうして畜産畜産、蚕糸は蚕糸、それぞれの部門において基礎的にもっとりっぱな学者、りっぱな設備というものをまず作って、それができた上で総合的なことを考えることはいいけれども、今日の段階では、まだ総合的に今やっておることは少し飛躍し過ぎておるというきらいがあるので、この際、基礎的にそれぞれの部門を充実し、勉強してもらうという制度に直すことは適当であるというお話でございましたので、私もこれはなるほどと、それはその点が私も間違っておったという考えから、今回の改正案に私も引き続きそのままお願いを申し上げて、そしてこのひとつ新しく直した、つまり畜産畜産、養蚕は養蚕、それぞれやって参るということにいたしたのでございます。で、今お話のように、それぞれが蚕糸は蚕糸、畜産畜産果樹園芸果樹園芸に非常な執着も持ち、魅力も持って、その間につながりが深いというお話もごもっともでございます。それはそうあらねばならぬと思うのでございますが、それと同時に、技術陣の――どういう言葉が適当であるか、格上げをしまして、そうしてそれぞれの所管の局長のところで予算をということでなしに、技術陣は技術陣、しまでお互いに技術会議の理解ある予算の編成の案を作ってもらって、それを直接持って大臣のところへ来るようにというような考え方も実は私はいたしまして、そうして今お話しの点がございましたが、これでひとつ大いに技術陣を高揚しよう。明年度の予算編成にあたりましても、実は今申し上げましたような意味において、試験場の予算については、私は大幅に増額した要求を実はいたしておると同時に、ぜひこれを大蔵当局に了解を求めて、いずれ皆さんに御審議願うようにいたしたいと、こう考えておるのでございまして、決してそれぞれ今まであった局で予算を弔う一ぺん考え直して、そうして予算化に持って出るということよりも、このほうが私は農業技術の向上の上に適当である、こう考えておるわけでございますから、どうかその点はしばらくひとつこれでやらしていただきたい。お話しのように、技術のことでございますから、技術の上昇もしくは新しい総合的な問題を検討する段階になりますれば、またそういうふうな、今お話しのように、時期もあるかと思いますけれども、今私が申し上げましたように、当分は各それぞれの専門部によって、そうしてそれぞれの場において、責任を持って内容を充実して研究の深度を深めていくということにいたしたい、こういうことでございますから、御了承いただきたいと思います。
  20. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 別の問題に移りたいと思いますけれども、これは試験研究、あるいは科学技術の振興ということが非常に強く叫ばれておるわけでありますが、その場合に、やはり設備の近代化なり、あるいは設備の高度化、あるいは研究費の増額というようなものが、どうも農林省関係におきましても、あるいは政府全般についてもそうだと思いますが、なかなか思うように前進をしない。しかし、情勢は、農業だけとって見ましても、たいへんな移り変わりを示しつつあるという段階にあって、試験研究機関が進む方向としまして、ややもしますと、設備の近代化なり高度化なり、あるいは研究費の増額という方向は二の次にして、試験研究機関を再編成をするというような形にすりかわる、そういう傾向が見られるようにも思うのであります。どうもこの農林省の今回の試験研究機関の再編成を見ましても、そういうようなものが、そういう傾向はやはり否定できないのじゃないだろうか。つまり研究管理統制という面に強みが向けられてきているのじゃないだろうか。もっと詳細に申し上げてもいいのでありますが、簡単に言いますとそういうような気持がするわけです。その点についてひとつ官房長なり、あるいは事務局長に伺いたいと思います。
  21. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、十日ほど前になりますか、全国の試験場長責任者に私はお集まりいただきまして、そこでもはっきり各試験場長諸君と私は懇談をいたしたのでございます。今お話しのようなことは、全然およそ逆な方向に私は考えておるのでございまして、そういう意思は事務当局にも絶対持たさぬように、また、私自身もそうでなしに、あくまでも技術尊重という面でいこうという考えでございまして、試験場長諸君も私の意のあるところを十分御了解願いまして、相当に自信を持って帰られたというふうに私は考えておりますから、その点は私は全然逆に考えております。
  22. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 技術会議の権限をさらに強化拡大されまして、それによります総合調整、さらに管理的な面というものが強化されるということは、これは疑うことができないというように思います。さらに非常に大きな地域、あるいは総合農業試験場をこういうふうにこまかく割りまして分断をして、そうして場長を置かれるという形になりますが、これもやはり管理事務というものの観点から見ますと、やはり研究管理の統制という、管理というようなものがもっと強く出てくるのじゃないだろうか。したがって、技術会議の権限強化、あるいは小さく試験場を分断をするということ、この二つから見まして、やはりそういった傾向というものがはっきり出てくるんじゃないかというふうに思っております。私は、試験研究をやる人たちが最も必要なこと、あるいは生命としなければならぬことは、研究の自分の目標というものを、要するにビジョンというものをしっかり持つということ、それが農業なり農民との接触、あるいは密着の中から自分の目標というものを持つということ、それが全体の試験研究の中で妥当性を持つということ、そういうことが最も試験研究発展さしていく道ではないか、基本的な問題じゃないか。その場合に、今のこういうような何か研究管理を強化する、統制するという面が強く出てきますことは、これは当面します一年二年の農業技術のその発展なり効果はあるかもしれませんですが、十年なり、長い技術発展研究発展を見る場合には、これは逆じゃないかという気がしておるわけです。そこらについて伺いたいと思います。
  23. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ただいま申し上げましたとおりに、私も同じような考えを実は持っておるのであります。初めは総合的にそれぞれ大きい分野の中で自由に研究していただいて、そこに新しい技術を生み出すということが必要だろうというので、五年前に私はいたしました。ところが、やってみると、実際やってみられた責任者たる東畑博士の意見によると、まず基礎的にみんなに勉強してもらうことが必要だ、君の考えも悪いとは思わぬけれども、今の農林技術の中においては、基本的に、基礎的にもう少し整備し、設備し、そうして勉強してもらう、それが一段落できたあとで考えられることだというお話しがございましたので、私はなるほどと思ってこの案に賛成して審議をお願い申し上げておるわけでありまして、十年先、五年先には、なるべく早い機会に私はそういうふうに改めて、もう一ぺん総合的に、広い分野でひとつお互いの間から新しい技術が生れるようになることを私は期待いたしております。しかし、さしあたりは畜産畜産、養蚕は養蚕の中に十分魂を込めてやっていただく。それから人事権その他で非常に管理とか統制とか強化されるのではないかというような御心配でございますけれども、これも私がここで申し上げるより、実情はよく御承知のとおりだと思います。私は、今日一番私が心配いたしますのは、若い世代の諸君が、一体今の農林関係試験場に志して来るだろうか、今のままではたして興味を持って来るだろうかというところに私は疑問を持っているということを、この前も試験場会議で私は申したのであります。もう少し若い人が進んでここへ入ってきて、ここで勉強に打ち込もうという気持になるような設備と制度が必要だということを私は強く意識いたしておるのでありますが、そういう意味からいたしますと、どうも今のままではそうありにくいのじゃないか。もう少しまあ人的にあるのか機構にあるのか、どうも今のままではありにくいのじゃないかという気がいたしますので、もっと若い人が進んで入ってくる。そうして若い人の意見がどんどん入れられるというような、きめのこまかなものにしていく必要があるんじゃないかというようなことも実は考えないわけじゃないのでありまして、それは決して管理統制していくというようなことは、少なくとも私は毛頭考えておりません。そうしてりっぱな試験場研究所を作りたいということでございますから、まあ今後もいろいろ御注意をいただきまして、ひとつ間違いないようにやりたいと思っております。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣のお気持なりお考えはわかったわけですが、今私が御質問いたしておりますのは、非常に技術的な面を含んでおりますので、事務局長にひとつ御答弁いただきたい。今の研究の問題につきまして、農林水産技術会議の権限強化ということは、つまり傾向として研究管理という形にやはり踏み出したものと見なければならない。それは気持はわかります。農業がたいへんな変化を遂げているわけでありますから、その場合に、それに間に合わせようという行政的な気持もわかりますが、そういう意味の管理というものが強く出てきているのじゃないか。さらにもう一つは、試験場をこまかく割るという形の中で、これは統制しやすいことはあたりまえの話です、割りますと。原則ですから、分割支配ということは。原則でありますから、当面して研究、管理というものを分断するといいますか、こまかく独立させることによって非常にやりいい。これは指摘できる。そういう二つの立場からいって、研究、管理、統制という問題が相当強く出てくるのじゃないだろうか。事実、もうすでに水稲や麦はほどほどにしたほうがいいのじゃないか、こういう意見すら試験場関係においては、これは部長あたりがそういう話もする。もう水稲とか麦とかはほどほどがいい。いつまでもそんなものにかかわっているとえらいことになるぞ、こういう考え方すら一般化しつつあるという情勢なんです。実際研究に従事している人たちが、そういう気持を今度の機構改革によって受けているという点、それらの点についてどういうふうにお考えになるのか。私は、試験研究を卒業したような人たちが、これは今非常に激しい技術発展農業発展の中で、研究、管理を強化していくということはマイナスであるというふうに思っているわけです、弊害に過ぎないのですから。今の管理事務に当たられるような研究、あるいは試験を卒業したような人たちは、今の激しい変化の中で一体できるのかどうか。それはマイナスこそあれ、いい面がないのじゃないか、いい点もありましょうかね。そういう心配をしているのですけれども、事務局長のひとつ御答弁を願
  25. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 私から先によろしうございますか。  おっしゃることはよくわかります。私も、もしこの運用を誤れば御指摘のようにならないとも限らんという心配もこれはいたしております。そういう点も十分承知の上で私は運用していくべきだ、こういう考えでございまして、まあそれぞれ研究を遂げられ、しいていえば、今お話しのような方々には、その方々に向いたことをやっていただく。そうして若手の大いにこれからあるいは勉強しょうというような諸君に、ほんとうに責任を持ってやってもらうというようなふうにしていかなければならんのじゃなかろうかということも、よく心得て実はやるつもりでございますから、どうかその点はひとつ十分御注意のほどを承って、間違いのないようにやるつもりでございますから、御了承いただきたいと思います。
  26. 増田盛

    政府委員増田盛君) ただいまの大臣のお話の中にございましたように、上から押しつけの管理あるいは統制、こういうことは毛頭考えてはおりません。結局試験研究というものは、私は、根本は研究者が自主性を持ち、そうして独創性を持って研究する、研究に向かうということだろうと思うわけでありますが、ただこの際に、研究者の自主性というものを考える場合に、やはり一つ農事試験場における、農業における試験研究というものは、やはり大学の試験研究のように、奔放なものとは一つは違うわけであります。それから農林省といたしましては、産業省としての立場から、試験研究機関に対してもやはり目的があるわけであります。したがって、勝手気ままにばらばらに研究を行なうということではなしに、どうしてもやはりこういう独創力とか自主性を十分に生かしながら、しかも、最近非常に必要になってきております試験研究組織化といいますか、共同化といいますか、こういう方向がやりやすくなるように考えていかなければならぬと思うわけであります。こういう関係から、私どもは、実は従来行政部局が行なっておりました研究機関の事務というものを行政部局から切り離して、技術会議もこれをやるのではなくして、試験研究機関に委譲したわけであります。そうして技術会議は、やはり大きな農業の流れに応じまして、研究目標を設定する。そうしてこの研究目標の設定の場合には、十分に農民の声をこれに反映させる。すなわち、農業方向づけという点を考えながら、農民の市を正しく研究目標に盛り込んでいく、こういうことにならなければならぬと思うわけであります。先ほど御指摘のように、私は、研究者が農業あるいは農民の場から直接に課題を選定していくと、こういう態度は非常に正しい態度だと思うわけであります。こういう点に関しまして必要な部費に関しましても、私どもは増額に努力をいたしておるわけであります。したがいまして、全体的に研究統制の強化というような上からの押しつけをやる考え方は、全然私どもは考えていないわけであります。
  27. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 しかし、現実問題といたしまして、こういうふうに部門別にお分けになりますと、畜産は、酪農の前進というようなことで、畜産試験場関係というものはいい面も出てきましょうし、あるいは園芸試験場というものは、園芸というもので立てている政策の中で前進もいたしましょうが、今度は残った農事関係が冷遇視されるということは否定できないと思うのですが、そういうことはありませんですか。先ほど私は申し上げたのですが、水稲なんというものはもうほどほとにしたほうがいいと――私は水稲の研究こそ、今こそ水稲というものはやるべきだと思うのです。そうして少ない面積からよけいとれるということであって、それを畜産に回していくとか園芸に回していくとかいう政策がとらるべきだと思うのです。ところが、もう水稲はほどほどにした方がいいぞ、あるいは基礎的研究もというような考え方、それが襲ってくるのではないかという心配をしているわけですが、そういう点は農林大臣ありませんか。
  28. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) おおよそ逆じゃないでしょうか。現に、今のままだと、水稲方面がとにかく人的にも強力過ぎて、ほかのものが下積みになり過ぎてどうにもならぬのが現状である、そこで、それを直せといったってなかなか直らぬから、打ちあけた話を申し上げるので、内緒の話ではございませんが、やはり畜産は前どおりに畜産の部ということで分けて、そこに一つ部を立ててやらせたほうが畜産に身が入るだろう、畜産の連中を集めて研究をやらせたほうがいいだろう。果樹園芸というものも新興農業で、これもひとつ立てさせたほうが、そこにまとまって、期待にこたえることができるだろうということでございまして、どうにかこのくらいにしたならば幾らか日の目を見るだろうという程度であって、この二つがばかにのさばり出ちゃって、米や麦はどっかに消えてなくなるのではないかというのは、およそ逆ではないかと思うのであります。さればといって、基本的な考え方はただいまお話のとおりであります。私も、とにかく米については、もっともっとひとつ良質多収ということを目途にして、そして全体の米価を維持すると同時に、生産費を下げ、能率を向上さすというところに農家経営の安定化を期するという目標を持っていかなければならぬのでありますから、今日決して満足しているわけではないのでございまして、いいところにはずいぶんいっておりますけれども、これを比較的低収穫のところにも及ぼしていくということにまだまだ努力をしなければならぬ面がたくさんあるというふうに考えております。決して農産物の中核をなしまする米麦について手を抜いてよろしいというようなことは毛頭考えておりません。今後の運営につきましても、十分注意をしてやるつもりであります。
  29. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あと二問ほどです。  第一問は、これはこの間大臣がお見えになりません委員会で、試験研究機関の旅費の問題を論議したわけであります。これは御存じないかもしれませんが、四国の農事試験場の旅費が問題になりまして、これが人事院に行政措置要求が出されまして、その判定が出たわけでありますが、その中で、やはり長期にわたって――三年有余にわたりまして、旅費の内規による節約をしたということは、これはやはり旅費が不足しているからだ、したがって、関係当局においてこれが増額について努力をされる必要があるというような判定が出ておるわけでありまするが、これは四国の農事試験場だけではなくて、全体の農事試験場に共通する問題だというふうに思っております。この間事務局長にその点について伺いましたところ、三十四年当時から、逐次試験研究機関の旅費もふえて参っておるようであります。そうして三十五年度が一億一千万円程度になって参っておるようでありますが、さらに三十七年度、明年度におきまして、本年の大体八割程度の増額の要求を出しておるというようなお話でありますが、この来年度の試験研究機関の旅費につきまして、ぜひ八割増しの増加について、大臣の努力によってこれが実を結ぶように要望いたしたいと思っているのですが、これはもう試験研究所は、どこへ行きましても四国の農事試験場みたいなものです。ひどいものです。旅費の足りない点は漸次改善されておるのも事実ですが、農林省の各機関の中で、一番旅費の関係が少ない。これは当然普通の工業試験場と違いまして、日本の広い地域にわたりまして、ブロックならブロックの広い地域にわたりまして、農民との接触、農地との接触、あるいは農業との接触の中から農業技術発展というものをはからなければならぬわけでありまして、そういう旅費の足りないという点が最も目立っておりまして、ようやく前進しかかっておるわけでありますが、三十七年度について大臣の御努力を要望したいと思うのでありますが、ひとつお考えを伺いたいと思います。
  30. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) もちろん御期待に沿うように努力をするつもりでございますが、何分こういう試験場の予算なんですが、実は私は、明年度の予算の編成にあたっては、試験研究費は、省内におきましては、原局から出たものをそのままひとつも手をつけずに大蔵省に持って行け、なおそれでも――実はあまり内輪の話を申し上げては恐縮ですが、私の見たところ少ないから、もっとふやせというので、ほかの予算と別に、しばらく時日を経過して大蔵省に増額して持って行ったのでございます。これはぜひ大蔵省にも、維持しようと考えております一つの部門なんですが、相当の増額を実はいたして、もっと多ければもっと多くてもよいというつもりで実はおったのですが、一応各試験場から要求があったものをそのまま大蔵省に持って行っておるというような実情でございます。また、将来におきましても、そういうことで私自身が技術研究の高揚刷新ということを期待いたしておりますから、そこに日本農業の将来を見出す以外にない。狭い土地にどうしていくかといえば、新しい技術、新しい試験研究の結果というものでこれを補っていきたいというものを一つの目標にいたしておりますから、これには金が幾らかかってもかまわないというつもりでおりますので、せっかく御協力いただきたいと思います。
  31. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つありますのは、これは問題が違いまして、官房の調査企画の機能を拡大をするというのでありますが、これについて一点ほど伺っておきたいと思います。これは官房の企画調査機能を強化するということにつきまして、私はそういうようなやり方はやはりどうも集権的、統制的な機能を強化するのじゃないかという感じを抱いておったのでありますが、当初この法案が出ましたときに、通常国会に出ましたときの農林省の考え方と今日とは違うようでありまして、当初はたしか四課設けられ、構造課とか価格課とか調査課というような話でありましたのですが、今の案を見てみますと、課はできないで、班という形で処理されるようでありますが、これは前のよりは好ましい案だというふうに思います。ですが、どうもやはり統制的な、あるいは集権的な機能というものをやっぱりはらんでおるというような気持がするわけです。ですが、前の案よりは好ましくなってきたというふうに思っております。ただ、今度統計調査部にありました農林畜産農業畜産水産、林業関係の予測事業、これを官房に移しまして、官房がおやりになるわけでありますが、そうしますと、従来ありました予測事業というものはなくなって、そうして農業基本法に基づきます年次報告という形になるのじゃないかと思うわけです。これは私、はなはだ残念に思うわけでありますが、農林、水産畜産関係につきましての統計調査部が、ある意味で純技術的、純統計的に予測事業をやっておったわけですが、これがなくなって官房にいくというのは、どうも政治的な、あるいは政策的なそういう予測事業になるのじゃないだろうか。二つも三つも四つもベールをかぶったような予測事業というものになってしまって、どうも今後ほんとうにある意味で純統計的な予測事業というものこそ大切じゃないだろうか。それがこの世の中から消えてなくなってしまう、そうして政策的な、政治的な年次報告というものにすり変わってしまうということは、どうも残念でしょうがないと思うわけですが、その辺をひとつ伺っておきたい。
  32. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 従来の統計のほうでやっておりました今御指摘の統計もしくは予想、これらのことは従来どおりいたすことにいたしておるそうであります。ただ、年次報告の関係で、その取りまとめをするものを官房に移すと、こういうことにいたしておりますので、今お話の点と多少違う。詳細は事務当局からお答えさせたいと思います。
  33. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) 官房に統計調査部の一課であります調査課の機能の相当部分を移すことになっております。これはただいま大臣からお答えがありましたように、基本法に基づきます年次報告等の事務を官房でやり、あわせて農林行政の基礎的な調査をやりたいという意味で移すわけであります。これは御承知のように、できました統計の何と申しますか、分析、解析を手がけるわけでありまして、従前とも企画室でもそういった事務をやっておりまして、企画室と統計調査部の調整課と二カ所に別れてやるより能率的であろうということで、官房にその事務を一本でやることにいたしました。御懸念の農業観測につきましては、引き続き従前どおり続けます。これは官房の調査課において、引き続き従前どおり続ける予定で考えております。御懸念のようなことはないかと思います。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、官房に持っていかれて、同じ審議官の下で、そして年次報告とからみ合っての農業観測事業というものは、これはまあ統計調査部にあってもいろいろ行政的なものが加わりますけれども、それでも、まだある意味で統計的な観測が行なわれるわけですけれども、まあ政策的にこれはならざるを得ない。どうも残念に思いますが、しかし、その点、農業観測事業というものはやられるけれども、予測事業はおやりになりますけれども、それはどうも政策的になってしまって、ベールがかぶさっているという気がするわけですね。
  35. 昌谷孝

    政府委員昌谷孝君) その点で、私どももそういうふうに、まあ何と申しますか、評価されることも心配でございますので、官房に、特に企画室のほかに、調査課という課を一課だけ新設をさしていただいて、そこでもっぱら調査事務をやる。従前も、官房に数年前まで調査課というのがあった時代がございます。その当時と、業務の内容的には、今申しましたようなことで、若干新しい業務が加わりますけれども、企画室のやります統計の解析、それから調査課のやります統計の解析と、おのずから仕切りをつけるために、その事務だけは調査課ということにして、企画室の外に置いたという配慮を払ったわけでございます。
  36. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ほど来の農林大臣と鶴園委員の質疑応答で大体了解するのでありまするが、今回の農林省設置法の改正案の内容試験場の統廃合でありますけれども、これは前大臣のときにできた。その後河野大臣ができてから、園芸局設置の構想であるとか、あるいはまた河野大臣は、新農村の構造改革というようなことについての思い切った構想を持っておられるように思うのでありますが、それらのいわゆる河野構想と、今回の試験場の統廃合を中心とする改正案について、これでいいのか、あるいは河野構想を強く押していくについて、またすぐ改正をやらなければならぬようなことであれば、またじっくりとかまえてやっていかれたらいいのではなかろうか、こういう考えにつきまして、もう一回ひとつ伺っておきたいと思います。
  37. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、今お話のように、私大臣に就任いたしましてから、この設置法について、その責任の衝にあられます東畑博士と懇談をいたしました。懇談をいたしました結果、私はこの設置法改正をお願いをいたしておりますものをすみやかにひとつ御審議をいただいて、そしてこの試験研究機関の充実をはかり、時宜に適したようにしていくべきだという結論に立ったわけでございます。もちろん、いずれ明年度予算編成と関連いたしまして、新たに農林省の内部の局課の取り扱いにつきましては、明年度予算編成と同時に、いずれまたお願いをする機会があると思いますけれども、とにかく試験研究につきましては、今お願いいたしておりますものを一日も早く成立をお願いいたしまして、そしてスタートをいたしたいというふうに考えて、実はこれはこれという意味でお願いをいたしておるものでございますから、どうかその意味で御了承いただきたいと思います。
  38. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 次に、河野構想としていろいろ言っておられます今回の園芸局の設置についての河野大臣の大体の考え方ですね、これをこの機会に承っておきたいと思います。それは先般果樹農業振興特別措置法ができましたが、これは御承知のように、融資法のような性格のものでありまして、実体的内容を持っておるものではないと思います。それで、これからの新農政の大きな方向としては、農林省でいわれておる果樹とか、あるいは畜産に重点を置くというやり方のようでありますが、その後の果樹園芸に対する農林省の打ち出し方ですね、今回園芸局という構想を打ち出されておりまするが、どうもあまりまとまったものをきめていない。果樹園芸の先進地におきましては、これから果樹が二倍あるいは三倍にされる、果樹が非常に重んぜられて、いわゆる農林行政の表座敷に上がってきたということについては、歓迎の意を表しておりますけれども、今ですらすでにもう果実の価格は頭打ちになっておる、あるいはあとでもう一点聞きたいと思いまするが、自由化の関係とかいろいろ心配しまして、くだものの価格は暴落するのじゃないか、そこへもってきて果樹が二倍にも三倍にもなるということでは、せっかくの新農政の大きな動向が、かえって農村に混乱を来たすようなことになるのじゃないかといって心配しておる向きがあるのであります。そういう意味で、園芸局というものに対する大臣の構想をこの機会に承れれば幸いだと思います。
  39. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) まだ結論を得ておるわけじゃございませんが、おおむね私の考えを申し上げておきたいと思います。第一は、今の果樹類でも相当に飽和状態にあるのじゃないかという考え方でございます。ところが、これはわが国のくだものというものは一体どういうふうなことになっておるか、これを欧米先進国に比べるとどういうふうになっているかということについて、少し掘り下げてみますと、第一は、わが国の果樹類の一人当たりの消費量というのは非常に少ないのでございます。もちろんこれをイタリアとかドイツ、フランス、イギリス、アメリカに比べますと、その中でも一番少ないイタリアに比べて、約半分くらいの一人当たりの消費量になっているということだそうでございます。したがって、現在のくだものの生産がこれで頭打ちであるという考え方は、これを全然変えて、そうして消費を思い切って増大するようにいたしていきたい。それには値段が高過ぎるということ、最終消費者の価格が高過ぎるということだと思うのであります。今はくだもの類を、極端に申せば貴重品扱いしておる。それで非常にぜいたく品のような感じで受け取っておる。したがって、これが生産者から消費者に渡るまでの段階において、非常に中間の経費が高くかかり過ぎておる。これらをいかに合理化するか、取引を改善し、これらを合理化して、中間経費をもっと少なくして、そうして生産と消費者との間の経費をいかにして減すかという点で相当大幅な消費価格を切り詰めることができるのじゃなかろうか、値段を安くすれば、それで消費はそれだけ増すのじゃなかろうか、こういうふうに思うのでございまして、それらの行政が実は全然ないわけでございます。そこで私は、こういったものを取り上げて、そうしてこれから今考えておりまする農村の構造改善をいたします場合に、一体全国でどの程度の果樹園芸、蔬菜というものを経営の規模に入れる農村をどの程度作っていくか、養蚕地帯をどういうふうにするか、畜産地帯をどういうふうにするかというものを米、麦等とどういうふうに組み合わしていくかというような政策を立てまして、その中に今申し上げる果樹園芸、蔬菜というものをどういうふうに取り入れていくかというような企画をしていきたい。行政を担当する者が、現に耕地の面から申しましても、桑畑の面積よりも面積が広いくらいのものが利用されているというこれらの果樹園芸、蔬菜でございますから、これに対してひとつ行政指導を強化していきたいという意味において果樹園芸局を作りたい。当初蚕糸と一緒にしたらどうだという意見もございましたけれども、私は、蚕糸は蚕糸として新しい分野を一つ開いて、そうして先日も蚕糸の試験場長から話を聞いたのでございますが、新しく非常に進んだ養蚕の経営の新たなものも見出されているというような点から参りまして、もっと繭の生産費が下がるというようなこともありますので、そういう面において、古い農業の中に新しい経営というものは生まれてくるというようなことを取り上げてひとつやって参りたいというような意味で、従来どおり、蚕糸は蚕糸としてこれは大いに指導奨励をする、その間に、果樹園芸、蔬菜というものをまた取り入れて、それと畜産という三つの特殊農業を、これを米麦作の中に組み合わせて、そうして新しい農業経営を打ち立っていきたいというように考えて、せっかく勉強しているところでございます。
  40. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 ただいま言われました、生産を合理化して、生産費を下げ、安くしていいものを作る、そうして消費を宣伝していく、これは私も非常に同感であります。言い古されたことでありますが、農林省の今までの行政が、どうもやはり生産とか技術、こういう点にウエートがかかり過ぎまして、消費宣伝あるいは流通対策、それから今大臣はもちろん考えられていると思うのでありまするが、これからの果樹の将来については、加工、こういろ面にもっともっと力を入れていただかなければならないと思うのであります。そういう意味で、今度考えておられます園芸局には、生産とか、技術とか、それはもちろん必要でありまするが、消費流通対策、あるいは加工というような面についてうんと力を入れたひとつ新しい構想の園芸局というものを考える、これは他の畜産局あるいは蚕糸局、こういう面に同じく通ずる問題であると思いますけれども、そういうことをひとつお願いをしておきたい。  それからもう一つは、貿易の自由化と関連した問題でありまするが、先般の貿易自由化促進閣僚会議で決定されました貿易為替自由化促進計画というものを見てみますというと、畜産物については、相当何だかやはり将来関税率を検討して云々とかいうようなことも入っているんですけれども、果実については、全くそういうことは一言も触れていなくて、一部は三十六年十月一日に自由化し、残された果実及び果実加工品の一部は、おおむね三十七年十月一日までに自由化さす、果実についてはどうも何らの配慮がないんです。ところが、現実の問題としては、先般バナナが、台湾であるとか、あるいは中南米等から非常に入ってきた際に、リンゴ、それから夏ミカン、こういうものの価格に非常に大きな影響を与えて、ぐっと値段が下がっている、こういうことが歴然としてあるのですが、果実についてはほかのほうでも心配があるのに、自由化の問題について果実だけは何らの配慮もなしに、一般農産物については非常に配慮をされているのに、果実だけには何らの配慮がないということについては、少し考え直していただいていいのじゃないかと思うんですが、この点についてはどうでしょうか。
  41. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) ただいま申し上げましたように、試験場等とも十分に勉強いたしまして、日本のくだものが高過ぎるという実は私は観点に立っておるのでございます。その高いというのは畑で高いのじゃない、中間で高い、もしくは包装、運送で商いということでございますから、それらをいつまでも今申し上げるように保護片々ということで保護しておりますと、なかなかそれが勉強されないというような意味で、十分その間に勉強してもらおうという、私は実は言葉が適当でないかもしれぬけれども、刺激を持ってもらいたい、こういう気持なんであります。しかし、実際それが非常に悪影響を及ぼすようであれば、もちろんそこには何て書いてあろうとも、実は私は農村のために不適当であるということであれば、自由化の延長も考慮します。関税の措置をすることもけっこうでございます。それに必要な指示はむろんとるつもりでおりますが、ただ、申し上げたように、消費価格が非常に高いものですから、そこで今影響がある。たとえばレモンが今非常に問題になっておりますが、技術者の方面、試験場の方面に意見を徴しますと、自由化してもけっこう、ミカンを作るよりも、まだまだレモンを作ったほうがけっこうでございますから、レモンのほうは一向困らないだろうということを試験場の責任者は申しておるわけであります。そういうふうに、非常に国内のこういったものは割高になり過ぎておる。それはしかも、生産者の面においても多少商いかもしれませんけれども、中間経費が非常に高くついておるというようなことでございますから、全面的に私は先ほど来申し上げましたように、くだものについては一般に考えを変えて、そして安いものをたくさん食べていただくということにしていくべきではないか、そして生産を増していくということにいくほうがいいのではないかというふうに考えて、実は今の自由化の問題についてもそういう配慮をいたしておりますけれども、重ねて申し上げますように、それが農村に非常に打撃を与えるというようなことであれば、いつでも私は必要な指示はとるという所存で実はおるわけであります。
  42. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、大臣の考え方方向としては、これは全く同感でございますが、しかし、ただいまの現実の問題として、いかに農林大臣が敏腕を振われても、急に果実の生産費が下がったり、値段を安くするということはすぐにはできないと思います。ところが、新しい農政の方向として、果樹畜産に重点を置いて、果樹を二倍三倍にする、畜産も二倍三倍にするというこの政策が打ち出されておるときに、果実の値段が、むしろ今よりも輸入果実によって非常な影響を受けて下がるというような、こういう事態になれば、いわゆる新農政の方向とちょっとマッチしないように思うのでありまして、農林大臣の考え方、目標には私は全く同感でありまするけれども、現実の措置としては、やはり自由化の果実に対する部分についても、少なくとも関税率を考慮していろいろやるとか、畜産物についてとっておられるぐらいの考え方を入れてもいいんじゃないか。先般経済企画庁の係官がわれわれの調査会で説明したときに、その点も突いてみたのでありまするが、どうもこれは専門外でありまするから、明確な答弁を得ることはできなかった。重ねて果実の自由化についても検討してみるとか、大臣にもう一回ひとつお伺いしておきたい。
  43. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) もちろん検討することはいくらでも検討いたしますが、基本の方針として、くだものの値段をもっと下げたらいいのじゃないか。下げなければ消費が増してこないと私は思うのです。そこで、消費を増すということをまずすることが必要である。安いバナナが入ってくるということを非常に心配されますが、安いバナナけっこう、大いに食べてもらったらよろしい。そしてくだものを食べるという癖をもっとつけなければだめだ。くだものといえば何か貴重品のような、食後のくだものという感じを持たせておくことはよろしくない。そこで、少なくとも皆が牛乳を飲み出して、どんどん牛乳の消費がふえた、消費がふえてそこに畜産発展があったように、くだものの値をもっと下げて、そうして消費を思い切って増大してくだものの生産を上げていく。その間に取引の合理化をはかるということでありませんと、現状の値段であっては、やはり所得の方面ももっとどんどんふえていけば、それは今のくだものの値段でも食べるでしょうけれども、何といっても、リンゴ食べるにしても、何かやっぱりあめ玉しゃぶるというような気持にはならないということであって、もっとリンゴにしても、御承知のように、福島のリンゴが東京まできて市場に出るときは、おそらく倍ぐらいの値段になるというような姿が一体いいだろうか。これはもっとそこに刺戟を受けて、そうして取引する人も合理化することを考え、輸送の関係においても、一体日本のように、ああいうきれいなリンゴでなければ売れないということはおかしいじゃないか。食べるのは中身を食べるのだから、中身がよければいいんだというような、外国のくだもののような感じにする必要がある。それには一苦労しなければいかぬじゃなかろうかというような気持が実はいたすのであります。そういうことを言ったらしかられるかもしれませんが、どうも何か刺戟がありませんと、幾ら宣伝しても指導しても、なかなかいきにくいということもありますから、今そういうことを言っておりますが、いよいよ詰めてきて、そこでいけなければまた戻してもいいと、まあこんなことを言うちゃ話になりませんけれども、実はそういうわけで、元来私は自由化には、御承知のとおり、あまり賛成の男じゃないのでございます。賛成の男じゃないのでございますが、とりわけ農産物につきましては、自由化とは全然――これはわが国の事情でいたすべきものだ、これを自由化の波に流されてやるということは絶対考えておりません。それは考えておりませんけれども、今申し上げたようなくだものについては、やっぱりアメリカに対してレモンの輸入は認めよう、そのかわり日本のミカンを買いなさいということでいく、それからバナナについてもそういう考え方を持つというように……。それからパイナップルの缶詰が非常に問題になっております。これは沖繩の六万ケースか十万ケースのパイナップルの缶詰のために非常にやかましい問題になっておりますが、どの程度関税をかければこれが伸びていけるかということを今せっかく勉強しております。そうしてこれに対してひとつその研究の結果、遅滞なく対処しようというつもりでいるのでありますから、まあ決して負けないようにやりますから、どうぞひとつ……。
  44. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 農林大臣の果実に対する奨励の将来の方向、これは全く同感なんで、私非常によくわかるのでありまするが、ただし、現実の問題は、今果樹を二倍三倍にしようという政策がとられている。そこへくだものが二倍にも三倍にもなってきた、自由化によってまたいろいろ外国の果実がどんどん入る。そうすると、現状でさえも、非常に先行きも、相当果実がふえてきておりますから、心配しているところへ、さらにそういう方向であるということになれば、せっかく農林省で打ち出されるあれやこれや、農林省ばかりではない、われわれも将来そうあらねばならぬと思っている果樹畜産、ことに果樹について出鼻をくじかれてしまうことになって、その新政策がなかなか浸透しないのじゃないかということを私は心配するのであって、そういう意味で、やはり農林大臣の方向としては全く賛成でありまするけれども、果実のこういう問題、自由化とかいう問題に関連して、米麦、主食糧については非常にはっきりしたことを言っておられるわけであります。果実も主食糧に次ぐようなものになろうとしているのでありまするから、果樹農業者を安心さす意味において、やはり私は、農林大臣にもう一回ひとつ打ち出して置いていただきたい。
  45. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御心配の点、承りましたから、そういうことのないようにいたします。ただし――まあ、ただしと言うては悪いかもしれませんが、輸出する農業、ことに東南アジア向けに輸出して参る農業といえば、まず第一に、私はくだもの、リンゴなんというものは第一に言うべきものだと思うのであります。これは御承知のとおり、東南アジアはくだものが非常に豊富でありますから、なかなかむずかしいと思いますが、それにしてもこれにしても、そういう意味を持ちつつ指導していかなければならんじゃなかろうかということを懸念いたしまして申し上げておるのでありますが、御心配の点、十分承りまして善処いたします。
  46. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから、もう一点は、ひとつ簡単に承っておきたいと思うのでありまするが、タバコですね、タバコは、まあ農業経営で、県によりましては非常に大きな部分、神奈川県の一部でもそうであろうと思うのでありまするが、タバコに対する行政は、もういうまでもなく、大蔵省にタバコ試験場なんかも設けられておりますが、このタバコ試験場あたりの行き方と、今度の農林省のいろいろの試験研究機関とは現在どういう接触があるのか、あるいはこれからまたどういう接触を考えておられるのかというようなことについて、おわかりの範囲でひとつ。
  47. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 御承知のとおり、直接はございませんが、私も、これは長年の懸案でございます。御指摘のように、農業経営の相当な部面になっているのでございますし、また、今タバコ耕作者が、葉タバコの買い上げ価格等について常に問題になっております。で、これはやはり農業経営全般を担当いたしておりまする農林省の所管に移してやることが私は適当じゃないかと考えますので、ひとつよく大蔵大臣その他内閣におきまして相談いたしまして、との機会にひとつ善処いたしたいと思います。
  48. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 最後にもう一つお尋ねいたしますが、農林省には農林水産技術会議という特殊の機構があって、技術者の意向が非常に反映する組織もあるようでありまするが、私は、農林行政では、やはり農業技術者という技術者ですね、技術者が非常に重い立場に相当なきゃならんと、こう思うのであります。建設省、あるいは厚生省、運輸省、こういうところの機構を見まするというと、技術官が相当内局の局長等のポストを占めているわけであります。まあ農林省では林野庁がそうでありまするが、やはり技術者の局長のポストが一つぐらい内局にあってもいいのじゃないかということを前々から私思うのでありますけれども、そういうことについて大臣のお考えを最後に伺いたいと思います。
  49. 河野一郎

    ○国務大臣(河野一郎君) 実は、私全く同感でございまして、以前に、畜産局長に技術者を充てたことも実はあるのでございます。ところが、どういうものか、技術者の局長をせっかく作っても、あとが続かないということで、行政的になかなかその困難性があるのでございます。現に林野庁さえ、なかなか技術者を充てることが、時に問題になるというようなことで、前回私農林大臣のときに、絶対林野庁では技術者をもって充てるんだということを強く言いまして、そうして今日まで至っておるわけでございますが、御指摘の点、私農林大臣になりましてから、機会あるごとに、事務系統、技術系統、両方一堂に集めまして、そうして今お話しのような点を強く主張いたしておるのであります。まあ技術者の諸君も相当に奮発しておられると思いますが、要は、適当な人物が出てくるかどうかということでございまして、事務系統の方は初めから局長までいく、次官までなるというようなことで回っておりますし、技術系統の方はなかなかそうはできないというようなことから、適当な人が得にいくというようなことで、今日そういうことになっておりませんが、私も全く同感であります。そうありたいものだと考えておるのであります。
  50. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。塩見君から、委員長の手元に修正案が提出されております。本修正の御意見は討論中にお述べを願います。  なお、御意見のおありの方は、原案並びに修正案に対する賛否を明らかにしてお述べを願います。
  52. 塩見俊二

    ○塩見俊二君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっております農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案を提出いたします。修正案を申し述べます。    農林省設置法の一部を改正する    法律案に対する修正案   農林省設置法の一部を改正する法  律案の一部を次のように修正する。   附則中「昭和三十六年十月一日」を  「昭和三十六年十二月一日」に改め  る。  修正の理由を申し述べます。この法律案の附則に一おきましては、一部の規定は昭和三十六年十月一日から施行することになっておりまするが、十月一日はすでに経過をいたしておりますので、この施行期日について修正を行なう必要がございます。よって、ここに修正案を提出する次第でございます。  右修正部分を除く原案に賛成いたしまして、私の討論を終わります。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題になっております農林省設置法の一部を改正する法律案に対して、以下に述べる理由により、反対の意見を表明するものであります。  第一は、農林省関係試験研究機関の統一と再編成の大前提であります農林水産技術会議の権限強化につきましては、行政組織上疑義があり、実質的には行政部局的でありますが、形式上はまあ明確に付属機関であります。さればこそ、日本の行政組織の中では唯一の変わった機関であります。これが成立をいたすならば、続々試験研究機関を多く持っておる各省も、この種の機関を作る形勢にあるようでありますが、行政組織上疑義のある機関が続々生まれることは容認できがたいのであります。政府は、緊急に重要であります科学技術研究の立場から、試験研究機関の強化、総合機関を、むしろこの際すみやかに根本的に検討し、妥当なる組織を定むべきであると思います。  第二は、農林水産技術会議の中央集権的権限強化と、小さく分化孤立した中央農業試験場を数多く作り出しますことは、両方相まって試験研究の管理強化の方向を示すものであります。一、二年の試験研究ならともかく、根本的、十年の試験研究発展については賛成できがたいのであります。  第三に、農業の国民経済社会に占める地位は急速に低下しつつあります。農業生産物の国民生産物価格に占める割合は一〇%を割ろうとしています。ただ、重要性を持っていました農業者が、国民有業者の三八%を占めていた地位も、急速に下降しつつあります。このような中で、試験研究機関はますますその重要性を増すにかかわらず、逆に、農業試験研究機関は軽視されるような非常識論が横行するだろうと思います。このような中で、内容は全く変わらないにかかわらず、四つ中央農業試験場を作り、試験場だけが今を花盛りの印象を強く与えることは、農業試験研究機関研究機構を守る上に、はなはだ危険でありますし、また、分化し、独立させるということは、抵抗力を著しく弱めるものであります。  第四に、官房の企画調査機能強化の方向は、集権的、統制的機能の強化のきざしと思われます。なお、統計調査部の行なってきました統計的農業観測を官房に移しまして、政策的、行政的に変えることは是認できません。  第五に、これらの機構改革が、農業基本法二十三条に基づく第二次、第三次機構改革の第一次にあたるものであることも賛成いたしかねる一つであります。  なお、この法案には、植物防疫部の名古屋支所を本所に昇格するという賛成の意を表するものも入っていることを付加しますが、以上五つの理由によりまして、本法案に反対の意を表明するものであります。
  54. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御與議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。  それではこれより農林省設置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。  討論中にありました塩見君提出の修正案を問題に供します。塩見君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  56. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 多数でございます。よって塩見君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  57. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 多数でございます。よって本案は、多数をもって修正すべきものと議決せられました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 御異議ないと認めます。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  59. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。  午後は一時十分に再開することにし、これにて暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩   ―――――・―――――    午後一時四十九分開会
  60. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) これより内閣委員会を再開いたします。  国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、郵政事業監察に関する件の調査を進めます。  政府側出席方々は、金沢郵政大臣官房長、西村郵務局長、田中監察局長、長田人事部長、大塚事務次官、以上の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  61. 横川正市

    ○横川正市君 それでは郵政関係で、先般行政管理庁から、本年八月、郵政事業経営監査に関する行管設置法二条十一号に基づいて勧告が出されておるわけですが、この取り扱いについては、同じ設置法の四条七項に基づいて報告を受けることになっておるわけです。もちろんこの内容が非常に多岐にわたっておりますので、勧告を受けた郵政省としては、おそらく検討の段階ではないかと思うのでありますけれども、いつごろに大体その内容について報告をすることができるか、その段取りについてまずお伺いしたいと思います。
  62. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 今鋭意検討いたしておりまして、大体今月中くらいに郵政省としての回答を出したいというふうに考えております。
  63. 横川正市

    ○横川正市君 大臣が来たので、さっそくひとつ大臣にお伺いをいたしたいと思います。さきに行政管理庁の監察局から、行管設置法の二条十一号に基づきまして、郵政事業の経営監査の結果、勧告が出されております。この勧告に基づいて、実は行管長官と郵政大臣に、それぞれこの内容についてただしたいと思いましたが、行政管理庁長官が出席しておりませんので、郵政大臣に、その勧告の中の個々の問題とは別でありますけれども、大体根本になる問題で少しお尋ねいたしたいと思う。ことに時間がないようですから、善処をしているとか研究中であるとか、こういったことはできるだけ抜きにしていただきまして、はっきりしたひとつ考えをお聞きいたしたいと思うのです。  まず第一点は、私はこの勧告と同じように、郵政大臣の諮問二十四号で、事業改善に関する答申書が出ております。この二つの根底にあるものとして、当然この行政機構上考える必要があるのではないかという点で質問をし、さらにこの機構上の問題もさることながら、予算の問題と関係してくることですから、そういった点から解決する方法としては、郵政大臣としてどう考えるか、こういう点でお聞きしたいと思う。ですから、あまりこまごました、あれはどうしたこれはどうしたというやつは聞きませんから。  まず、一番先にお伺いいたしたいのでありますが、確かに旅先の談話だったと思うのですけれども、新聞で私は大臣就任後の談話を聞きました。そのときに、たまたま指摘事項の中にもあるわけですが、経営者側はいたずらに九十年の伝統を墨守して、革新的な管理方式とか技術とかを取り入れるに怠っておったのだ、こういう一節があり、さらに大臣は、大体他企業と郵政事業との格差について、これは当面問題になっているから、それを解決するのにはすぐはできないけれども、少し時間をかけてやりたいのだ、こういう大臣談話を実は見たわけです。そういう点から、私は一つとして、昭和二十四年の六月に、逓信省という企業官庁が、郵政と電気通信官庁に分離をされたわけだ。この事業が分離をした結果、私は、郵政事業には、今指摘をされているような、非常に他企業に劣った状態が見受けられる。それから電電企業には、他企業よりか一歩進んだ状態が生れてきた、このことは、言いかえますと、その指摘事項にもあるわけですが、郵便事業の経営形態組織機構、財務会計制度、サービスの問題、こういった点の今までの取り上げ方の大きな違いがこの点に出てきたんじゃないか。もちろん逓信省が二本化されたということについては、当時もいろいろ論議されたことでありまして、私は、この電信電話事業が他企業よりか非常に進んだ企業形態を作らなければならないという一般的な要請がある。同時に、郵政事業にも同じ要請がこれは当然あったのだと考えているわけであります。分離した結果、郵政事業に出てきている現在の企業形態というものが非常に劣ってきたということに対して、私は一面的に言えば、これは今言ったような四つの問題が関係しているけれども、同時に、分離したことに原因するのじゃないか。外国の郵便事業を見ますと、アメリカあたりでは、大体年間に四千億ぐらい一般会計から繰り入れて企業経営を行なっているようであります。郵政の場合には独立採算制ということでまかなわざるを得ないという現状でございます。この一般のいわゆる成長経済の中で、非常に微々たる利用者負担によるところの料金にたよって独立採算制をとるというところに問題があるわけであります。もしそれがやむを得ない状態とするならば、これは私は電電公社と郵政省とは分離したのが間違いであったという結論が出てくるのじゃないか、こういうように思われるわけであります。ことに諸外国の例を見ますと、欧州大体先進国といわれるところでは、電信と郵便を分けて企業経営をしているところはないわけです。アメリカだけが別に経営をしている。そうすると日本の場合には、占領下で分離をさせられたという事情もあるわけでありますが、もしこの経営上、結果がまずかったということならば、これは当然一本化の方向にいって企業経営をするということのほうが正しいのじゃないかと私は思っているわけなんですが、この点について大臣の見解をこの際お聞きしたいと思います。
  64. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 諸外国の例を見ましても、なるほど郵便と電信電話とは大体共通でありまして、いわば諸外国でも電信電話の収入利益をもって郵便のほうを補っているということが多いように聞いております。わが国ではそれを占領下に分けてしまったのでありますが、分けたほうがよかったかどうかという問題は、いろいろな見方もあるでしょうが、これは近代的な産業経営にはどうしても欠くことのできない電話の発達というものについては、分けたほうがよかったのじゃないかなと実は私は思っているのでありまして、もしそれが一緒ですと、電話のほうにあれだけ金が回らずに、郵便の赤のほうに回ってきて、ついにせんだってお願いしてお許しを得た郵便料金の値上げなんということもできなかったのじゃないかと思うのであります。この点はむしろ分けたほうがよかったのじゃないか、今後も分けていくほうがいいのじゃないかという私は感想を持っております。ただその結果、郵便事業のほうは非常に窮屈になってきたことは事実なんでございまして、独立採算でやっていくという建前を堅持して参りますというと、労働賃金は、大体八〇%は人件費でありますから、この人件費がふえてくるに従いまして、場合によっては今すぐというわけではもちろんありません。二、三年の後には、また料金の改定という問題が起こってくる可能性ということは非常に考えられるのであります。そういうような段階になってきてどう考えるべきかということは、重大な一つの問題だとは思います。しかし、私としては、この郵便事業というものは、やはり独立採算制度であるということがいいことだと思っているのでして、その昔、特別会計にならない前は、郵便事業――郵便、電信電話ですけれども、そのもうけというものを一般会計がとっていた時代もあるのでして、そういうことを考えて、これを特別会計として独立したことは非常にいいことで、要するに、独立採算制である、特別会計であるということをフルに利用することによって、そういうような形をとったほうが、むしろ将来のためによいのではなかろうか、一般会計から金をもらってどうこうということは、これはいろいろ考えなければならぬし、そのときの事情等にもよるのですけれども、今の立場で私は考えるというと、独立採算制のほうがいい、こういうように実は思っております。
  65. 横川正市

    ○横川正市君 当面の問題としては、私はこの点おそらくそういう答弁しかできないのだと思うのです。ただ私は、四十七年に電電関係の第三次五カ年計画を遂行し、全国即時化の問題とか、それから三十八年までに料金の均一化とか、そういったものがやられて、事実上設備投資の段階としては終わる。そうすれば次に起こってくるのは、通話料の値下げの問題等も私は当然起こってくると思うのです。歴史的に見て、やはり郵便事業というのは、電話事業からの繰り入れ金で相当長期間まかなわれてきたという事実もあります。これを分離した結果、先ほどいいましたように、郵政事業は、ほかの企業から比べると、ずっと水準が下がってきた。ところが、電電企業だけはほかの水準よりはぐっと抜けて企業が発展した。このことを私は悪いというわけではない。悪いというわけではないけれども、そういう一緒にしておいたほうが、将来起こってくるいわゆる料金改定その他めんどうな問題があるわけですが、それをしなくても、なおかつ、企業というものが経営していけるのではないか、こういう見通しを一応立てて、当面は現行どおり経営していってもいいだろう。しかし、将来は郵政と電通とは一本化して、前のように逓信省的な形態にすべきではないかという私は考え方なわけです。ことに、その時期は昭和四十七年までに大体第三次五カ年計画は終わるわけですが、四十二、三年ごろには企業統一の方向に向かっても、私は電話のサービス改善がそれに従って速度が落ちるということはないと思うのですよ。そういう点で、郵政事業の劣っている点を大幅にカバーしていくこの機構上の改正ということになれば、一本化にすることのほうが非常に近道だ、こういうふうに思うわけですが、料金改定を大幅にして、収入を独立採算制でやれる程度に持っていくならば、これはまた別の意味がありましょうし、さらに、また公共事業の赤字に対して政府が一般会計から負担するというなら、これはまたいいと思う。もしそれができないならば、企業が一本化するほうが最も合理的じゃないか。しかも、他に例を見ない、二本建ての経営というものはないわけですから、そういうふうにしたらどうかという考え方なのです。簡単でいいですから、もう一回お願いいたします。
  66. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私は、横川さんのお話を聞きますと、聞いているうちは全くそのとおりだと私もそういうような感じになってくるのですが、もう少しそれは根本問題として勉強させていただきたいと思います。四十七年度から先のことは、ちょっと頭の中にビジョンが今出てこない状態です。非常に理想的な考え方だし、よく勉強させていただきたいと思います。
  67. 横川正市

    ○横川正市君 第二番目の問題なんですが、これもまた大臣の談話の中からなんでありますが、根本問題でありますので、この際お聞きいたしておきたいと思いますが、それは郵政企業の中に、企業的に進んでおるとかおくれておるとかいうのではなくて、非常にマンネリズムになって、発展のしない部門として残されておるものに私は特定局制度というものがあると思う。大臣の談話によると、自由任用とか局舎の私有ということは非常にいい方法なんだから、ぜひこれは存続していきたいという意味の談話があったわけなんです。私は、郵政事業が他企業から見て劣っておる最大の原因というのは、そういうような依存的な考え方で経営をしておるところに問題があるのではないか。もちろんこれには二つの反対する理由があるわけなんであります。一つは、企業的に残っておる封建制を打破して近代的にしたいということもありますし、私はその点については逓信委員会で論議済みだと思いますから触れたくない。第二番目は、この個人の能力というのは、昔の資産家、名望家というものにたよって特定局を建てさせて、それを局舎にして経営をするということはだんだんむずかしくなってきておるのが現状じゃないかと思うのです。一例を言いますと、山形県のある特定局は、最近百七十五万円出して局舎を建てたというのですね、私で。これはいわゆる私有局舎、借り上げ局舎です。それを普通の預金利子を加えていって、そうして木造家屋ですから、二十五年間の耐久年数でいきますと、私の計算したのでは、少なくとも借り上げ料金では十年間で元が返ることにはなっております。ところが、木造局舎は、これは十年間でいたむことになる。銀行に預けて十年間いますと、大体倍くらいな利子がつくわけですよ。そうなってくると、今個人の局長で、少しくらい金利の問題で頭の働く者は、これは私の資材を投入して局舎を建てようとしないで、やはり国営局舎を必要とするという格好に変わってきておるわけです。何が残っておるかというと、むすこを局長にしようじゃないか、あるいはこういうのはおそらく初めて聞くだろうと思うのですが、年金をもらうのと同じ形で、年金プラス局舎料でおれは老後安泰な生活を送りたいという、そういう意味でもこの局舎新築の考え方というものがあるようです、投資の考え方で。そこで、今度は局舎は二十五年の木造のものが、これは四十年たっても五十年たっても改築されない、こういう状態というものが今出てきておるわけなんです。ですから、私は木造というのが、年次計画の中で、たとえば十年で元利合計決済がつくというなら、十年計画を立てて国営で全部やるという方向を出すことのほうが理論にかなった方向なのではないか、形としてはそう思っておるわけなんです。  それからもう一つは、これは普通の状態のところでありますけれども、東京都内なんかは坪当たり六十万も七十万もするようなところの局舎を見てごらんなさい。たとえば新宿の伊勢丹の横にある局舎なんというものは、五時過ぎて行ったら青物屋さんの倉庫みたいになっておる。青物が全部並んでおって、そうして郵便の切手やなんかの売り出しは、ポストがあるから、これは昼間は郵便局舎だなと思うわけです。これほど局舎の改善のおくれておる企業というものは他の官庁には見られないので、こういう場合に、これはもう国がやる以外には、個人の協力を待って局舎を建てるなんということは全然できないと思う。だから、そういう意味からいけば、大臣の言われるように、個人に依存をする形態、特定局制度というのはいいんだ、こういうようなことはだんだん成長経済の中でむずかしくなってきておる。これはやはり郵政省が直轄で、国営で建てていかなければいけないんだという方向に変わりつつあるんだと私は言うべきではないかと思うのですが、大臣は依然としてこの前の新聞の談話を支持されるのか、そういうような事態に対してどう対処されますか、この際お聞きいたしておきたいと思います。
  68. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 私も郵政大臣になりましてから、特定局の制度というものを少し勉強したわけです。それで、郵便局というのは国が建てているものだとばかり実は思って、私は郵政大臣になったところが、個人の建てたものがあるということを聞きました。だんだん研究してみるというと、なるほど家を建てるのには相当の金が要るわけでして、それを簡易保険とかそういうようなところからの借入金ばかりでまかなうのでは、やはり手が回らない。そこで、個人から金を借りて家を建てて、個人がお金を出すという意思があるならば、それに家を建てさしてそれを借りるということは、郵便局舎を整備をしていく上の一つのいい方法だと、簡便な方法だと、私はそういうふうに思いました。それで今の特定局の制度も、運用の仕方いかんによってはなかなかおもしろい制度だと思っております。ただ御指摘のように、局舎の改築がいろいろおくれている。まあ地方的にいって、その土地の人に建てる希望者がない。しかし、国はどうしても郵便局が要るという場合には、もちろん国が建てるわけですけれども、特定局の制度、そういう組織、そういうやり方が、あながち悪いとは思わない。なかなかこれでも運用の仕方によっては妙味のあるやり方だなあというふうに今は感じております。
  69. 横川正市

    ○横川正市君 これはまあ簡単にはちょっと判断のつかない問題で、あなたが地方へ出張されたときに特定局をちょっとのぞいて見て、この局舎は何年たったのだ、借り上げで幾ら金をもらっているのだ、あるいは新しく建てかえた局舎がある、これは一体私有の借り上げ局舎で、一カ月どれくらい借り上げ料をもらっているのか聞いてみれば、観念としては、大体新しい局舎は十年で局長は元をとることになっている。それならば国が十年計画で建てられないわけがないわけです。それから、四十年も五十年もたって、もう暗い、全く全然問題にならない局舎がある、建てかえられないわけだ。そういう事情というものを見て、一体この制度がいいかどうかということを考えていただけば、ほんとうに実感としては、これはどうもというふうに私はなるのじゃないかと思う。ことに都市の特定局舎の問題については、ますます私は問題が出てくると思うのです。ことに郵便局舎が、他の金融機関と勘案して比較してごらんなさい。同じ金を扱っているのに、この窓口で、やはり国がバックだから信用するだけであって、あれが個人なら、はなも引っかけないと思う。そういう状態に置かれているのを一体どうするか。結局企業がおくれているのは、九十年の伝統に何か依存し過ぎてしまって、そうして改善をしなかったところに、大きな理由がそういうところに私はあると思うのですよ、指摘事項としては。だから、これはまず課題としてぜひ検討していただきたいと思います。  それからもう一つ散見されることは、役所と役所の問題です。ことに郵便の送達は国鉄に今大きく依存しているわけです。国鉄とどういうふうに事業連係をしているかということは、これは私どもは逓送の一つのかなめだと思う。もちろん国鉄は乗客や貨物を輸送するのが主でございまして、郵便物は従である、こういうようなことになっているのか。それとも、輸送料が非常に安過ぎるので、不平たらたらでやっているのか。いずれにしても、私が見たところでは、ここにこういう問題がある。国鉄の庁舎、それから国鉄が貸して、いわゆる民衆駅と称してデパート式のものを建てる、あるいは同一国鉄敷地内にサービス業を持ってくる、こういう場合には、国鉄は案外スペースを出すのです。ところが、どういうものか、鉄道郵便局の局舎の敷地、それから局舎の内容ということになると、いい例が青森の鉄道郵便局ですが、私がこの間行ったら、計画はたしか鉄筋コンクリートだったはずです、郵政省は。それが木造の二階建てに変わっているわけです。なぜ変わったのだと言ったら、実は敷地内に鉄筋コンクリートの建物を建てさせないのだ、これはもうまさに役所間の連係不十分もはなはだしいと思ったわけでありまして、鉄筋コンクリート建てのものがなぜ許されないかという問題よりか前に、私はこんなことがあっていいとはちょっと考えられないわけなんです。きょう国鉄の関係の方も来てもらっているはずなんですが、あとでこの方には質問したいと思いますが、大臣から、大体役所間の問題として、これはどういうふうに今まで処理してきたか、今までの処理は今言ったような状態です。だから今後どういうふうにされるかだけ大臣から御答弁いただきたい。
  70. 迫水久常

    ○国務大臣(迫水久常君) 横川さんの御質問に対して今私が言えますことは、将来できるだけ運輸省とも国鉄とも協調してやるように努力いたしますと、こう申し上げる以外に、ちょっとほかに答弁のしようがないように思うのです。私は、今お話を聞きましたようなことは、はなはだ申しわけありませんが、今初めて聞いたような点でありますので、よくその実態をきわめて、事務当局にも勉強してもらって、できるだけ協調するようにやります。
  71. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 政府側出席の方を追加申し上げます。川島行政管理庁長官のほかに、山口行政管理局長、原田行政監察局長、山崎日本国有鉄道管財部長、森旅客課長、以上の方々でございます。
  72. 横川正市

    ○横川正市君 大臣は忙しいようですから、もういいです。  続いて行政管理庁長官にお尋ねをいたしたいのですが、先般監察局から、企業に対して非常に懇切な監査の結果が勧告されたようであります。この勧告は、私は、組織法の十一条一項で、当然の行政管理庁の仕事としてやられたことですから、実は相当権威を持って、このことは郵政省に当然実施をしていただくと、こういうことで出されたものだと思うのでありますが、非常にあたりまえなことを聞くようでありますけれども、最初その点について長官の御意見をひとつお伺いしておきたいと思います。
  73. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 今回郵政省に対しました勧告もとよりでありますが、すべて行政管理庁の監査しました勧告につきましては、当該官庁に通達をしまして、勧告案を実施することを励行するように期待をいたしますし、また、そういう措置をとっております。今度の郵政問題につきましても同じでございます。
  74. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、ちょっと私、長官に、この際ですから、お聞きいたしておきたいと思うのですが、この監査勧告文の二ページの上段から六行目の中ほどから、「局長をして後顧の憂なからしめるためには、郵政局等上部よりの支援体制総合一本化するとともに、局内においても、局をあげて支援する態勢をつくる必要がある。」、郵政省は、御案内のように、現業官庁でありまして、「支援する」とか「後顧の憂なからしめる」というのは、これは非常に時代がかった言い回しなのでありまして、ちょっと私は判断に苦しむ内容だと思うのですが、この意味をちょっとお聞きいたしたいと思うのです。
  75. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 私は、この勧告をいたしますときに、一応勧告文は見たのでありますが、これはまあ報告です。勧告文じゃないのですが、報告書ですから、まあこういうつもりでやったのですが、各第一線の郵便局長がいろいろな問題で孤立されまして仕事をしていくのじゃ円満にいかないから、郵政省、郵政局一体になって仕事に当たる、こういう意味に私はとっておるわけなんですが、もし「後顧」という文字について、何かこれを特に書いた事例があれば、事例については別に御説明申し上げます。
  76. 横川正市

    ○横川正市君 郵政省は、御案内のように、現業官庁であります。仕事をしなければいけない。ですから、その仕事がいろいろな意味で停滞をしたり何かしているという事情をお調べになってこのまあ報告書ができたと思う。そこで、いろいろ言い回しはあると思うのでありますけれども、まあ局長の骨は拾ってやるぞという体制を郵政局や本省が持ちなさい、まあ「後顧の憂なからしめる」ということはこういうことじゃないかと思うのですね。それほど現業官庁に重大な問題がありと行政管理庁は見たのかどうか。すなわち、局長が局長業務をするには、本省や郵政局が骨を拾ってやるぞというくらい支援体制をやらなければ局内業務がどうもいかぬと、こういうふうに監察された結果お考えになったんですかと、ころいうふうに思われる文章だと私は思うのですが、私の考え方が間違っていれば指摘していただきたいと思う。私は何回も読みますが、「局長をして後顧の憂なからしめるためには、郵政局等上部よりの支援体制総合一本化する」ようにしてと、いかにも現業官庁の中に仕事を遂行するにはたいへんな問題があって、もう局長は命を的にしてやっている、あれじゃあかわいそうだ、だから何とか骨を拾ってやるような体制が必要じゃないかと、こういうふうに監察の結果判断されたのですかと、こう私はこの文章から受け取るものですからお聞きしているわけです。
  77. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 「後顧の憂」という意味は、将来骨を拾ってやるからしっかりやれと、こういう意味じゃなくて、当面の問題を処置するに、局長一人じゃなしに、関係の郵政局の上役であるとか、あるいは郵政省の上官、あるいはその下の人間が一体となって助けてやる、こういう意味でありまして、当面の問題を処理するところの意味で、将来永久にお前は飯の食えるようにしてやるということを意味しているのじゃないんでありまして、おそらくこの全体を読みますと、そういう個所が出てくるんじゃないかと思うのです。
  78. 横川正市

    ○横川正市君 そうすると、現場の局長というのは、これは局長の職務権限、それから、まあいわば当事者能力と通常いわれている人事権とか管理権とか、それから、局を運営する上において、いろいろなまあ局長としてのポストにふさわしい権限その他があるわけです。それを強化しろというふうにいわれるのか、それとも、まあほかに何か、何といいますか、人によるつっかい棒みたいなものが必要だと、こういうことなんですか。ただ、「後顧の憂」というのは、いろいろな意味で当事者能力がない場合にたくさん出てくるわけですが、この報告書の文案から申しますと、私はそういうふうにとれる。現場の局長には、今のところ、御案内のように、役所は上から下にだんだん権限がおりてくる。現場の局長の権限というのは非常に少ない。たとえば予算といっても、これはすぐいかない、人事権、これもすぐ上司に伺わなければならぬ。自分の裁量でやるものというのは、ほとんどまあ微々たるものしかないと私は思う。そういうものでなくて、もう少し本省とか郵政局とかの持っている権限を下部の局長におろしてやりなさい、そうすることのほうが、かえって業務を運行するのにスムーズにいくのじゃないか、こういうふうにこの文章はとっていいかどうか、この点はどうですか。
  79. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 言うまでもなく、今度は行政管理庁におきまして、郵政事務監察を、最近の郵便物の停頓がどこに一体原因があるかということを探究するためにやったのでありまして、その結果いろいろな事情があった。単一ではないのだ、局舎の狭隘の点もあるし、要員の配置の仕方の悪い点、その一つとして、人事管理についても重大な問題があるのだということが考えられる。直接の管理者と労務者との間が円滑にいっていない、平素。そういうこともあるからして、管理を十分注意して、両者が円滑にいくようにということを主として勧告をいたしておるわけであります。それには管理者として適当な人を選ばなければならぬ。ところが、従来の郵政省、郵政局等の人事のやり方を見ますと、適不適というよりも、ところてん式にだんだんに進んでいくのだ。したがって、比較的適当でないという人が重要な局の管理者になっておるということもあるので、そういう人をすぐに取りかえることができなくても、その人の能力を補ってやるのには、管理者一体となってやる必要があるのじゃないかということを感じておるわけでありまして、特に、今局長の持っておる権限を、さらに法律的に、制度的に強化しなければだめだということは勧告はいたしておりませんし、また、そういうことも考えておりません。
  80. 横川正市

    ○横川正市君 局長が局長業務を行なう場合、予定数量よりか、一時的にでも、郵便物が多くなってきた。それを処理する場合に、既達の定員ではむずかしい、適当に予算があり、あるいは人を雇う権限がある。これは非常に通俗的な例でありますが、そういった場合に、適切な物の処理が局長の持っておる権限範囲でスムーズに行なえる、そのことのほうが実はいいのじゃないか。それを上局に一回々々伺って、上局から調査をして、それならば定員何ぼやろう、こういうことでは非常に行政の運用上まずいのじゃないか。だから、それなら、ある程度の予算の範囲とか、それから大体局幅によってどのくらいのものがくるかわかるわけですから、事前にそういったものを持たせるとか、あるいは採用権を持たせるとか、そういう権限を局長に持たしておいたほうがいいのじゃないかと、行政管理庁の監査の結果お考えになりませんでしたか。
  81. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) ちょっと監査の実情だけを申し上げます。その結果また申し上げますが。
  82. 井原敏之

    説明員(井原敏之君) 郵政の勧告をいたしまして、ここで今、横川先生がお尋ねになっておる点でございますが、結局第一線の局長に人を得なければ、当面の根本問題である遅配がくずせないということを非常に大きく感じたわけでございます。その点で第一線の局長の権限の強化というよりも、そのスタッフを強化するなり、それから支援体制と申しましても、遅配という問題は一局に、そこだけで起こってどうこうという問題じゃございませんので、全国的な態勢で起こるわけでございますから、それを、そういう状況を全部総合してみました上で対策を立てませんと、遅配の解消とか、滞留の解消とかいうことにならないというふうに判断したわけでございます。したがって、そういう問題は、もう一つ上の段階の郵政局なり、あるいは本省なり、総合的な管理体制で現業局長を支援する体制がないと、なかなか遅配問題の解決はできないというふうに考えたわけであります。それには適任者を配置するということも必要でありますし、郵政局からのバックという体制も必要であります。そういうことをまとめて、総合的な体制を強化する、孤立さしてはいけないという意味はそういう意味でございます。
  83. 横川正市

    ○横川正市君 行管が法律に基づいて行政監査をする場合には、もっと私は親切で、あまり普通のことを普通に言うなら、何もそんなものは要らないわけですよ。だから、普通に言わないで、法律に基づいてやるのなら、私はこの点まで触れておいてほしいと思ったのは、人というのは一体何ですか。人に権限を持たせ、予算を持たせて初めてその人は運用ができるので、権限もなければ予算もないのに、人をかえたからといって仕事がスムーズにいきますか。少なくとも、人を得るということはどういうことですか。人を得るというのは、私は、少なくとも郵政の場合であったら、ある程度学校を卒業して相当年限を積んでそうして局長職につくわけですよ。その局長職につく人たちも含めて、今かりに郵政省の大臣が諮問をいたしました郵政大臣諮問第二十四号によれば、企業の運営のできない根本の原因というのは四つに分けて出しています。一つは経営形態、これはだれが責任を持ちますか。大臣以下、これは本省のスタッフじゃないですか。組織機構、これはあなたたちのやはり仕事のうちの分担ですよ。それから財務会計制度、これは電通の会計制度がああいうふうにやってどんどん進んでいくのに、郵政の会計制度が昔のままだから進まないということならば、会計制度にもメスを入れるべきですよ。ところが、入れないで、マンネリズムな、九十年同じような格好でやっているから企業がうまくいかないんだ、こういうことになるわけでしょう。それから、サービスが一体どうなんだ、この問題を考えないで、人を得ないからだめなんだというようなものの言い方というものは、きわめて不親切だと思います、行管の形としては。しかも、これは先ほど事務次官に聞いたら、今月中にあなたのほうに回答を出すというんです、これに対して。そうすると、郵政省は一体どういうふうに行管に回答を出すか、私にとっては、きわめてこれは興味あるものになってしまいます、実際問題として。この点は郵政省の回答を見てから、もう一回ひとつ私は事実上の、実際に適してやってみたいと思うんです。  それから二つ目の問題ですが、これは三ページの上段からずっと説明文になっているわけですが、二ページの下段の説明になると思いますが、三ページの下から九番目です。「服務規律の確保は、労使協調の精神が基調となるものと思われるので、幹部は常に理解と温情をもってのぞみ、良き人間関係の育成助長に努める必要があるが、他方、違法行為等に対しては確固たる信念をもって臨むことが肝要である。」、これは説明書です。これはどういう意味でしょうか。
  84. 原田正

    政府委員(原田正君) お尋ねの問題は、私ども監察いたしました結果の報告書の中に書かれてある言葉についてでございます。長官につきましては、郵政省に対しまする勧告事項につきまして御決裁を得ておるわけでございまして、この報告書の詳細につきまして、実は御説明を十分にいたしておらないのでございます。そういう関係もございますので、ただいまの御質問につきましては、これを担当いたしました。井原審議官から御答弁させたいと存じます。
  85. 井原敏之

    説明員(井原敏之君) 先ほどの問題で、私ちょっと敷衍させていただいて、舌足らずの点を補足させていただきたいと思っております。郵便局長に人を得さえすれば、遅配の問題が全部これは万能薬で解決するというようなことは申しておりません。これは全部の勧告文を御通読いただければよくわかるわけでありまして、その他の管理条件であるとか、予算の問題、庁舎の問題、職場環境の問題、特に職員の処遇で、外勤職員が将来もっと希望を持って仕事に打ち込めるような体制にしたらどうかとか、いろいろなことを総合的に申し上げたつもりでございます。ただ、私の見ました感じで、第一線の局長にはややまあしかられるかもしれませんが、ところてん式な人事があったという感じを持ったので、第一線局長には、やはり適材を持たれるようにということを申し上げたわけでありまして、もとよりこのことは当然のことを言ったわけでございますが、しかし、局長に人さえ得ればこれが万能薬というふうに考えているわけではないのでありまして、あとあとの勧告事項でいろいろな点を申し上げたつもりでございます。  それから、今お尋ねになりました件でありますが、これは私ども、まあその勧告の前文で申しておりますけれども、遅配問題の根本というものをわれわれが見ました範囲では、やはり郵政の労使の関係というものは、過去一年八カ月ぐらいでございますか、非常に円滑を欠いた期間があったように拝見しているわけであります。したがって、何といいましても、まあ機械化の余地等についても一番少ない事業部門ではないかと思うわけでありますが、そういう面において、何としても仕事の能率を上げるのは人であります。したがって、労使の人間関係がうまくいかない限りは、なかなかこの根本問題はくずれないというふうに、私ども問題の核心はそこにあるというふうに見るわけでありまして、その点で、一方では、当然管理の作用としては、職場規律の保持というようなことは当然しっかりやっていただかなければなりませんが、それはそれとして、また労使の関係にあたたかい話し合いの場というものをもっと積極的に持っていただいたらどうかということを申し上げているのが先ほどの報告の要旨でございます。
  86. 横川正市

    ○横川正市君 あまりこの問題でつべこべ言う必要はないと思いますから、長官から一言だけ考え方だけをお聞きしたいと思うのであります。  この遅配問題が起こったので、行政組織上の欠陥その他もあるのではないかということで実際の監査をしてみた。そのときに、この報告書を見ますと、大半が労使関係に触れられておって、機構組織上の問題については、あまり少な過ぎるという感じを私はするわけなんですが、行政管理庁としては、この労使問題に触れることは必要かもわかりませんけれども、それほどウエートをおかなくてよかったのではないか。将来のこともあるわけですからお聞きしたいわけでありますけれども、もっと行政組織上の問題の根本問題に触れて実際上の監査をし、報告をすべきではなかったか、とう思うのでありますけれども、長官の御意見をひとつお聞きしたいと思います。
  87. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 行政管理庁の行政を監査します場合に、行政機構に重点を置くことはもちろんでありますが、同時に、運営の問題、労務関係、人事管理等もあわせて監察をいたしまして、行政機構と一本にして万全を期しているわけであります。行政機構だけでは必ずしも目的を達しられないのでありまして、行政機構はむろんでありますが、あわせて今申し上げたようなことも常に監察いたしております。
  88. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、私はまあそれはそれでいいのです。このウエートの置き方なんですがね、まあ今言ったように、「労使協調の精神が基調となる」云々なんということになると、いささか内容にはたしてそういうようなものが必要なのか必要でないのか、いろいろなまあ異論が差しはさまってくるのではないか、こういうふうに心配をされるものですから、私は、少なくとも業務とか能率とか、それが組織上どういうふうになっているかという点に重点を置いてもらって、あとまあ労使関係については、当面の事実について羅列式にする程度にしてほんとうは報告されることがいいのではないかと私は思うわけです。まあこれは見解が違っていれば別ですけれども、そういうものではないかと思うのですけれどもね。
  89. 川島正次郎

    ○国務大臣(川島正次郎君) 郵便事務は人によることが多いことは言うまでもないのでありますが、今度監察をしましたのは、郵便物の遅配問題を取り上げてやりました。全体の郵政省の行政ではないのでありまして、まあ自然人事の問題がここに取り上げられたわけでありまして、まあ今度の監察の性質上そうなった、こういうふうにひとつお考え願いたいと思います。
  90. 横川正市

    ○横川正市君 そこで、郵政次官にお聞きいたしたいのでありますけれども、おそらくこれは文書で報告をされるでしょうが、ちょっとお聞きいたしておきたいと思うのでありますが、行管の勧告では、「郵便事務の正常運行を確保するためには、管理者の適否が決定的要素となるものと思われる。」これは一ページ上段ですね。それから、「近代的企業管理者としての自信と意識の統一を図る要がある。」と述べていますが、これはどういう具体的な方法をおとりになるのか。まあここで直接お聞きするのは無理かもしれませんけれども、今月内に答弁をされるようですから、この際ひとつお聞きしておきたいと思います。
  91. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 事業の正常運行のために管理者の適否が非常に重要な要素だという点につきましては、私どもも同感でございます。まあそれで郵政省としましても、先般来、郵便正常化対策の重要な事項としまして、この人事管理の問題を取り上げまして、まあ年功序列にかかわらず、適材適所主義をとってやるというような事柄、あるいは管理者教育というものをもっと徹底をさせるというようなことで、本年も二千人ばかりの管理者の訓練をやりましたが、来年もぜひこれを四千人ぐらいまで広げてやりたいというような措置をとっているわけでございます。
  92. 横川正市

    ○横川正市君 私は、今管理者教育の問題が出たわけでありますけれども、ほかの官庁で管理者教育をやっている官庁がありますか。
  93. 山口酉

    政府委員(山口酉君) 管理者の教育といたしましては、これは人事院で管理者の各省を通じました教養をいたしております。しかしながら、特殊のそれぞれの省庁におきまして、その業務と密接に関連を持った研修を別にいたしておりますので、郵政省は特別に研修機関を持っております。そこで管理者に管理者たるべき素養の教養もしているはずであります。それぞれ、あるいは国税でございますとか、あるいは会計事務でありますとか、特殊の業務に関連したものもやっておりますけれども、全般といたしましては、人事院がこれを担当いたしてやっております。
  94. 横川正市

    ○横川正市君 私は、まあ郵政省の人事担当官の人事の采配でこれは行なわれるべきものであって、はずかしいと思うのですよ。他の官庁があまり行なわないことを、局長だけ集めて特別な教育を行なっている。もちろん企業的にもおくれておりますし、労働組合は何かきわめて先鋭的であって、そしてもうとてもそれを御していけないという状態では私はないと思う。少なくとも、企業に精励をし、三十年、四十年と企業に勤めた者を、三十か三十五の若い教師の前に連れていって、一週間とか十日とかカン詰めにして教育したらどういう若返り方があるのです。これは一考を要する問題だと思います。  もう一つは、人事の採用要件の中に、事務員と事務官という制度が現存をいたしております。役付職員を選ぶ場合に、適材適所か人物本位かわかりませんけれども、事務員を事務官よりか先に役職につけるという場合があるようですね。これは私は人事管理としてはきわめてまずい、しかも、人間の本能を無視した、ひいてはそのことが事業に悪影響する人事だと思います。私は、きわめて古くはありませんけれども、もしそういうようなことをとるならば、事務員と事務官とを撤廃すべきである、そういうような制度が何ら現在現存する理由がないのに、それがやはり役所の一つの方式としてあるわけですから、それがあるならば、順当に私はこれは任用していくべきがほんとうじゃないかと思っております。まあこれは答弁は要りませんけれども、ひとつ参考にしていただきたい。  それから第三問としては、局長としてこの後顧の憂いなからしめるために、郵政局の上部から支援体制をやれという問題なんですが、これはどういう具体的な方法がありますか。
  95. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) まあ現業局長は  一人でございますが、その下に課長が何人かいるわけでございますけれども、統率する従業員に対しまして、比率は非常に低いものでございますので、これはやはりできるだけ上部の機関から支援をする必要があるというふうに考えまして、実は調査官というようなものによるパトロール制、あるいは特別に業務運行困難な局に対しましては、臨時に次長を置くというような事柄等を講じまして現在でも助けている、また、郵政局、あるいは本省段階におきましても、それぞれ事業別のラインがございますけれども、その間の連絡を密にいたしまして、力を総合して、一本になって指揮命令等を行ない、そして現業局長に右顧左眄することなく、その命令に従ってやれるというようなやり方というようなものを考えているわけでございます。
  96. 横川正市

    ○横川正市君 実は、問題が非常にあるのに少し時間が急がれておりますから、二問、三問と質問ができませんので、なるべく簡略にやりますけれども、その点はひとつ委員長で御采配いただきたい。  私は、先ほど行管にもお聞きをいたしたのですけれども組織上の問題で臨時的なものが唐突として入ってくることは、系列的に動いている企業に非常に異常な刺激を与えることにならないか。そうではなしに、もっと合理的に、恒久的に考えられた方法というものが企業の中にスムーズに入っていくことの方が企業経営のためには非常にいいのではないか、こういうふうに見るわけなんです。ことに、今の遅配という問題は、施設と人と、それから物と三つの関係であるわけですから、それほどむずかしい問題ではないと思うのです。そこで、もっと合理的な方法で、スムーズに、しかも異様な感じを与えないで入っていくという配慮が必要なんではないかと思っておりますので、この点はひとつ今の方法がいいか悪いかなどの点については、実際上業務成績が上がっているか上がっておらないかに判断があるものと思いますけれども、さらにひとつ検討していただきたい問題として問題を提起いたしておきたいと思います。  それから、この勧告の中に、今私の方で指摘をいたしましたような労使協調精神云々という項目があって、いろいろ行管としての考え方が述べられているわけでありますが、郵政では今監察当局の動員をはかりまして、これはおそらく開闢以来というか、行政機構始まって以来の大できごとであろうと思うのでありますけれども、通称トラック部隊と言われておるわけですが、そういうようなものが現場に入っていくことによって効果が上がっていると判断されていますか。
  97. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) これは都内の局等についても、まあトラック部隊というのは何でありまして、私ども特別考査、あるいは特別監査ということで、特に問題の多い局につきまして、従来の悪い慣行を直すというような場合には、現業局の管理者だけの力では足りぬというときに、そういう組織を活用いたしまして指導しておるというわけでございますが、現在までやりましたところでは、非常に効果を上げておるというふうに私ども考えております。
  98. 横川正市

    ○横川正市君 いつまで続けるのですか。
  99. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) むずかしい問題がなくなるまでやはりやらなければいかぬというふうに考えております。
  100. 横川正市

    ○横川正市君 組織の上に乗っかって、当面国民にサービスを提供する最大の責任があるわけですが、これは前の小金大臣は、逓信委員会では、先に郵便法の改正が行なわれた時期というふうに答弁をしておるようであります。事務次官としてはいつごろまでにということになりますか。
  101. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) なかなか遅配の問題は原因がたくさんございまして、簡単に参りませんので、これがやはり片づくまでは、われわれとしてできるだけの手段を講じて参らなければいかぬというふうに考えておるわけであります。
  102. 横川正市

    ○横川正市君 これは大臣から答弁をいただきたいところでありますけれども、私は、トラック部隊と称する方法というのは効果を上げておらないと思っているのです。あれは一時的に表面上のかさぶたを作る程度のものであって、中のうみはとれていかぬと思う。ほんとうに直すというのならば、これはやはり別の方法があるのではないか、こう思っておりますから、その点はほんとうはもっと触れたいところですが、他に時間を譲りたいと思います。すみやかにこういうようなことが機構上も必要でなくなるようにしていただきたいと思います。  それから、さっきちょっと大臣に質問をいたしましたことなんでありますけれども、国鉄の係官の方にちょっと御質問いたしたいと思います。国鉄では、国鉄所有の用地内の建物について、たとえばサービス上必要とする食堂、それから一時預り、それから一時駐車、その他いろいろ仕事があるのでありますが、そういうものと郵便事業とウエートの置き方としてはどちらを重点にウエートを置いておりますか。
  103. 山崎武

    説明員(山崎武君) どちらにウェートを置くかとおっしゃいますと、私は郵便物の運送の方にやはり重点を置くべきだと思っております。もちろん駅の構内で、旅客、公衆に必要な、いろいろな旅行に必要なある程度の品物を売るということも、これはサービス上非常に重要だと思いますけれども、一般貸付の点から考えますと、郵便物につきましては、郵便物運送委託法がございます。私の方としましては、運送する郵便物の積みおろし、保管、その他取り扱いのために必要な鉄道用地というものにつきましては、使用に供するという法がございまして、当然どういう場所が最も郵便物を積みやすいかという点につきましては、最も便利な所をお話し合いをしてお貸しするようにということは現地の局長に指示してございます。今までその点につきまして、私として、いざこざがあったということはあまり聞いておりませんです。
  104. 横川正市

    ○横川正市君 国鉄さんは、国鉄さんの仕事がきわめて重要なんでありまして、ただそれに付随しているわけではありません。仕事の一部としていろいろなものがあるわけですから、そういう意味では、おそらく今言われたようなことがあなたの方でとっている方針だろうと思う。  そこでお伺いしたいのは、あなたの方の用地内に他の建造物が建てられる場合に、あなたの方の所有以外の建造物は、これは木造建造物でなければならぬという何か方針があるわけですね。
  105. 山崎武

    説明員(山崎武君) 一つ方針がございます。と申しますのは、国鉄の用地は国の用地でございます。現在お貸ししておりますのは、将来事によると国鉄で使用するかもしれない。いわゆる国有財産法におきますところの行政財産に類するものと私は思っております。それで、現在の規定で、国鉄が将来使うかもしらん大事な場所であるけれども、しかし、使用、収益を妨げない範囲においてはお貸しをする。しかし、そのかわり、将来もしうちの線路を敷くとか、あるいは駅舎を作るとかいうふうな場合に、一般改良計画でもって立ちのきを願う場合が非常にあるわけでございます。これは過去三年間に土地、建物、高架下全部合せまして、非常に小さいものも入れますと、約七千件ございます。その場合、立ちのきをする場合には、立ちのきされる方が自分の費用で無償でもって立ちのきされるということになっておるわけでございます。ところが、駅の構内のように非常に重要な場所でございますと、五年、十年先の計画というものはまだはっきりしておりませんですけれども、その場所に堅固な建物を建てていただきますと、そういう改良計画のときにじゃまになるわけでございます。いつでも立ちのきますといいましても、五階、八階の鉄筋コンクリートの建物を直ちにこわしてよそへ移転しますということは、なかなかむずかしいわけでございます。そういうような場所は、私どもの方としましては、いわゆる鉄筋コンクリートを主といたしました永久建造物と申しておるのでございますが、それは建てていただきたくないという方針できております。蛇足かもしれませんけれども、各地方の郵便局にお貸ししております国鉄構内の用地は、全部で百七十件くらいでございますが、ほとんど木造になっております。別にこれは木造とは限っておりません。ブロック建てでもけっこうでございますが、いつでも改良計画のときに移転できるような形にしておいていただきたい。それから、なお、必要でないような土地もございます。これは売却しておこうじゃないか、その売却いたしました土地につきましては、これは八階建てでも十階建てでも、いかように堅固な建物をお建て下さってもかまわない、そういう方針でいっているわけでございます。
  106. 横川正市

    ○横川正市君 必要でないという土地の売却をする場合の国鉄の年次計画というのは、何年程度先を見て年次計画を立てるわけですか。
  107. 山崎武

    説明員(山崎武君) これはなかなかむずかしい御質問だと存じます。私のほうとしましては、五カ年計画とか、あるいは第二次五カ年計画と申しまして、十年、十五年先を見なければならない点もございますが、ただ、これは私もここで申し上げるべきでないと思いますが、私の部でやっているわけではございませんが、いろいろ改良計画とか運転、営業のほうでいろいろ計画を立てているわけでございます。それで、外部の方がこの土地を貸してもらいたいというときに、十年くらい以内に計画があるのかどうかということを協議しているわけでございます。十年先の計画がないのは、これは必要でないんじゃないか、こういう言い方があります。ただ、場所等によりましては、線路と線路の間に建物を建てたいというのもございます。これは十年、十五年先の計画はございませんといたしましても、線路を絶えず直すという場合が出て参ります。それは計画とは関係なしに、土地の大体の模様を見まして、まあお貸しするか売却するかということをきめておるわけでございます。
  108. 横川正市

    ○横川正市君 国鉄の永久建築の建物は、これは何年耐久年数を予定にしておりますか。
  109. 山崎武

    説明員(山崎武君) 大体減価償却は、堅固な建物は六十年くらいだと思っておりますが。
  110. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと最初の方針では私もぎくっとしたわけですが、あなたのほうでは十年くらいの計画が立ち、自分のほうでは約六十年の建築物が建てられて、なおかつ、輸送については便宜な所を提供したいという方針があれば、おのずと計画というものはできるんじゃないかと思う。その場合に、国の損失上の問題からいいましても、木造建築がいいか、あるいは鉄筋コンクリートを建てたらいいかということは、これはおそらく鉄筋コンクリート化ということのほうが今とりつつある方針だと思う。実際上、聞いておりますと、つじつまが合わないのでありますけれども、私たち全国あちこち行ってみまして、鉄道用地の中における鉄道郵便の取扱事務所、あるいは郵便局、そういったものの立地条件、それからスペース、施設の局舎、こういった点できわめて狭隘である。いずれをとってみましても、あなたのほうと話し合いをしなければならない問題ばかりのようです。どうもこれは見ていたところは、食堂屋さんよりか郵便局のほうが少し冷遇されているんじゃないか、こういうような感じを受けるような状況が非常に多いのです。  それで、最後にお聞きしたいのは、あなたのほうでは、支社ですか、たとえば本社に対して支社ですね、こういう問題は支社が権限ですか、本社の権限ですか。
  111. 山崎武

    説明員(山崎武君) 権限は差がございます。これは国有鉄道法によりまして、七百坪以上のものは本社に上げることになっております。それから、それ以下のものの貸付につきましては、現地の管理局長がすることになっております。ただ、先ほど御答弁いたしましたような、いわゆる鉄筋コンクリートの永久建造物でございますと、これは本社に対して伺うということになっております。
  112. 横川正市

    ○横川正市君 郵政事務次官にお聞きをいたしますが、今まあ国鉄の係りの方から答弁があったわけでありまして、鉄道郵便局ないし鉄道の施設内における作業場等について、郵政としては、当面あまり不自由を感じておらないですか、それとも、不自由でいろいろ折衝しているのですか、どっちですか。
  113. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) いろいろ御協力を願っておるのではありますが、われわれの立場からいきますと、全部が必ずしも満足というわけには参りませんので、そういう点については、なお緊密な折衝をいたしております。
  114. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  115. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  116. 横川正市

    ○横川正市君 きょうは運輸大臣ではありませんけれども、あなたにちょっとお願いしておきますが、おそらくこれからも各所で今私の言ったような問題でいくと思うのですが、ひとつ窓口ははっきりしておいていただきたいと思うのです。というのは、ある局では、これは管理局だ、これは支社だ、これは本社だといって、行くところ行くところで差し戻しを受けるような状況があるようです。ですから、将来こういうことのないようにひとつお手配いただきたいと思うのです。  それから二つ目は、鉄筋コンクリートの作業場ないしは局舎を建てる場合に、あなたのほうでは年次計画を立てられるわけですから、十年で不要土地については売却するというような考え方を持っているようですから、その点はひとつ協力をしていただいて、今郵便の積みおろしその他は非常に輻湊しておりまして、そのこと自体でも郵便の配送に非常な遅滞状態が出てきているわけです。この点はひとつぜひ協力していただくように、あなたのほうから上司の方にもお伝えいただきたい。どうもありがとうございました。  それから郵政事務次官に、職員の住宅問題でちょっとお聞きしたいと思うのですが、人事の問題と付随して、非常に住宅問題が深刻であることは、終戦以来、ずっと何といいますか、重要問題として出ているわけなんですが、郵政省としては、何か私の聞いたのでは、主事以上は、主任から主事にする場合には、同一局ではしないで、他局に転任させるというような方法をとっているようですが、これはおそらく住宅事情もあって地域的な状況を考慮されていると思うのです。しかし、まあ非常にいい人事をするためには、これは地域的考慮というものがあっては、かえってじゃまになります。ですから、ほんとうに人事をやるとすれば、私は、ある程度住宅問題を解決しておく必要があるのではないか。これがまあ一つ。  それからもう一つは、一般の職員住宅ですが、これまた全体の数からいきますと、きわめて僅少です。もう共済住宅ぶん取り合いというのが起こっているわけです。これも早期に私は解決する必要があるのではないか。このことは、ひいては業務の繁閑に伴って人を異動させることにもつながるわけでありますから、同じ意味で必要な問題だと思うので、この二つの問題について最後にひとつ質問いたしましてきょう私の質問は終わりたいと思います。
  117. 大塚茂

    説明員(大塚茂君) 主事にします場合に、必ずしも転任をさして主事にするということをやっているわけではございませんが、これはやはりできることなら、他の局のやり方等も見るということが、その本人の将来のためでもございますので、できるだけそういうこともやりたいというふうに考えているわけでございます。ただ、おっしゃられますように、住宅が非常に困難でありまして、毎年私どものほうは、官費あるいは共済の資金をもちまして、まあ本年度におきましても、約千二百戸の宿舎を建てておりますが、とにかく希望者が多いので、それに対しましては十分に行き渡らぬという状態が続いているわけでございます。この宿舎は、もちろん役付だけではございませんで、独身者その他の一般職員においても当然入れるということになっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、希望者がとにかく多過ぎて、なかなか順番が回ってこないという状況でございますので、なお私どもとしては、これを増設することに努力をしたいというふうに考えております。
  118. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  119. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 政府側出席の都合によりまして、案件の順序を変更いたしまして、次に、大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  政府側出席方々は、水田大蔵大臣、平井主計局給与課長、稻益税関部長、塩谷総務課長、以上の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは大蔵省設置法に関して、まず関税局昇格の問題でちょっとお伺いしておきたい。  提案理由説明によりますと、関税局昇格の理由の主たるものとして、為替、貿易の自由化により、関税事務が非常にふえておる、こういうことですが、具体的にどういう業務がふえておるのか、それをちょっと伺います。
  121. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 直接貿易の自由化と関連いたしましてふえている業務と申しますと、御承知のように、貿易の自由化によりまして貿易量が全般に伸びているわけでございます。そうしますると、税関での仕事の主たる部分であります輸出入の申告の件数の処理、いわゆる通関事務であります。これが逐年、年率で申告件数で大体一五%くらいふえております。したがいまして、自由化に伴ってますます貿易の量がふえる。これに伴いまして、申告件数の処理もふえて参ります。これが第一点でございます。  いま一点は、自由化に伴いまして、関税の機能の面でありますが、従来、貿易管理、あるいは為替管理によりまして、どちらかといいますと、関税率そのものが産業に与える保護機能というものが隠れておったわけであります。これがだんだん自由化が進みますると、いわゆる国際的にみまして、国内の競争力が弱いといわれるような産業の保護機能というものが関税に大体かかって参ります。かような観点からいたしまして、昨年来、自由化に備えまして、全面的な関税率の再検討をやったわけであります。今後も自由化が進みまするに従いまして、現在も私どものほうで作業をやっておりまするが、そういった面からのいわゆる産業の保護機能としての関税率の改正、あるいは機動的な関税制度の運用といったようなものが非常にひんぱんに出て参る、こういった面のいわゆる関税政策面の仕事が非常に重要になって参ります。仕事のボリュームとしても非常に増加して参る。したがって、自由化と関連いたしましては、現場におけるそういった処理案件がふえておるという点と、政策面での関税保護機能の複雑化と申しますか、重要性にかんがみて政策面の仕事がふえて参る、この二点になります。
  122. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 政府側から佐藤官房長が出席いたしております。
  123. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 今説明を聞きましたが、しろうと考えですが、保護関税と申しますか、今までのように輸出入に対する規制をやっているときよりも、なるほど量的な増加ということ、これはわかるんですが、実質的には、かえって手間が省けるように思うのですが、先ほど政策面において云々ということを非常に理由の第一にあげられましたが、具体的な事務としてどういうものか、ひとつお聞きしたい。
  124. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 先ほど申し上げましたのは、お説のように、自由化が進みますると、いろいろ何と申しますか、貿易の統制、為替管理面の仕事が減って参るわけであります。これは主として、たとえば割当事務といったようなことをやっております通産省のその方面では、その面に関する限りの仕事のボリュームは減るかと思います。税関では、御承知のように、ただいま自由化と申しましても、いわゆる外貨の割当物資がございます。これがAAに変わるという姿で自由化が行なわれるわけであります。自由化が行なおれましても、AAの物資だと、これは御承知のように、外国為替公認銀行令によって輸入の承認書をやはり出して参ります。そうすると、税関の現場におきましては、通関の際に、そういった他の法令によって承認なり何なりが要るというようなものにつきましては、これの確認をするという事務があるわけです。したがいまして、直接輸出入の申告件数が増加いたしますのに対して、そういった面からの仕事の減少は税関では起こって参らないということになるわけであります。  それからいま一点、第二の問題として申し上げました政策面の問題でありまするが、これは主として大蔵本省での仕事になります。現場でも若干影響がございまするが、本省の仕事としまして、昨年来、関税の税率分類というものを作って、非常に近代的な形に、従来九百余りでありましたのを、二千以上の品目に分けるといったようなことで、また、これに対して適正な税率を常に持っていかなければならないといったようなことで、常に産業動向なり、あるいは国際的な商品の取引形態なり価格なりといったようなものの調査が必要になって参るわけであります。そういった面の仕事が重要性を増してくる、かような意味で申し上げたわけであります。
  125. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃひとつ具体的にちょっと聞いておきますが、先ほど量的に年々一五%ずつ程度輸出入の量がふえておる、こういうことですが、ちょっと連絡しておきましたが、輸出入の、これは通関実績でけっこうですが、まず市場別の、三十四年、三十五年、三十六年、これはドル建でけっこうですから、どういう工合に輸出入の市場関係、アメリカとかラテンアメリカ、東南アジア、そういう点で、これは何もこれ自体を調べるわけではないです。通関実績がどうなっておるかを見たいわけですから、大まかな市場別にひとつ数字を示していただきたい。それと同時に、輸出入の品目別に、同様に三十四年、三十五年、三十六年、どういう工合に動いておるか。先ほど一五%実績がふえておるという話ですが、数字的にどうなっておるか。それから、答弁される前に、品目別は、第一次生産品、それから軽工業品とか重化学工業、こういう大きなワクでけっこうですから、わかる程度に……。
  126. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 最初に、詳細な資料は、何でございましたらお手元に差し上げたいと思います。
  127. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体でけっこうです。
  128. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 大体の趨勢だけを申し上げますると、ただいま私が一五%と申しましたのは、いわゆる税関事務としての申告件数の増加割合を言ったわけです。貿易量としましては、それを上回る程度の、額としては上昇を示しております。貿易額で申し上げますると、輸出入の合計で申し上げまして、ここ二、三年でよろしゅうございますか。
  129. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 三十四年から本年まで。三十六年はわかっているところで……。
  130. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 三十四年が、貿易額で二兆五千三百九十七億円であります。円で申し上げております。これは輸出入の合計であります。三十五年が三兆七百七十三億円。ただいま申し上げておりますのは暦年で申し上げております。それから三十六年は一月から六月までの半年間で一兆六千九百九十九億円。  それから地域別、品目別でありますが、ちょっと手元に輸入のほうの数字だけを実は用意して参りましたので、輸入で大体の趨勢を申し上げたいと思いますが、商品別の類別で申し上げますると、これはたいへん恐縮でありますが、一応ドルで出してありますので、金額で申し上げますよりも、大よその伸び工合というもので申し上げますると、食料これが全体の比率の中で一五・一%を三十四年に占めております。これはごく最近の三十六年の一月から八月までをとっておりますが、これで見ますると、食料が二二%というふうに、比率としては下がっております。  それから、いわゆる原料品でありますが、これは三十四年の全体の比率の中で五八・六%、三十六年の一-八月の計で申し上げますると五七・六%、それから、いわゆる半成品でありますが、これが三十四年では全体の中で一〇・三%でありますものが、三十六年一-八月には一二・三%、それから、いわゆる完成品が三十四年で一五・八%、これが三十六年の一-八月では一六・八%、大体この商品類別で申し上げますると、ただいまの数字でおわかりになりますように、食料、原料が若干比率として貿易構成の中では減って参りまして、半成品ないしは完成品の率が伸びておるというような趨勢になっております。  それから次に、これを市場別に見ますると、同じように三十四年とごく最近であります三十六年一―八月、これをながめてみますると、輸入では、東南アジアを含めましたいわゆるアジア地域、アジア州、これが全体の中で三二・五%を占めております。三十四年であります。それから二千六年の一―八月でこれをとりますると二七・五%、アジア地域の比重が落ちておるというような数字になっております。ヨーロッパで申し上げますると、ヨーロッパ市場は三十四年で一〇・一%でありますものが、三十六年の一-八月では一一・二%と、若干伸びております。それから北米でありますが、三十四年で四一・四%、これが三十六年の一-八月では四四・五%、ヨーロッパ同様にふえて参っております。その他は大差はございません。したがいまして、商品の類別と市場別を総合して考えてみますと、食料、原料といったようなものが伸びが落ちておる。これはアジア地域の貿易輸入が減っておるという形になって参ろうかと思います。半成品ないし完成品が伸びておるということは、ヨーロッパないし北米からの輸入がふえている、商品類別、市場別をかみ合わせますと、大体そういう趨勢になります。
  131. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 共産圏のはわかりますか、一括して。
  132. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) ちょっと比率が今ここに出ておりませんが、額で申し上げますと、ソ連邦からの輸入が、三十四年で三千九百四十九万一千ドルでございます。三十五年にはこれが八千七百二万五千ドルというように増加しております。それから三十六年の一―八月で申し上げますと、ソ連邦からの輸入が八千七百三十六万七千ドル、これは一-八月の累計でございます。  それから、いま一つ中国でございますが、中国からの輸入が、三十四年で千八百九十一万七千ドル、これは非常に落ちている時期であります。それから三十五年になりまして二千七十二万九千ドル、三十六年の一-八月で一千七百五十一万ドル、大体共産圏のおもな国でありますソ連、中共関係からの輸入は、大体……。
  133. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは全部輸入実績ですが、輸出はわかりませんか。
  134. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) ただいまの共産圏からの輸出で申し上げますと……。
  135. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、全部。
  136. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 全部でございますか。
  137. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 品目別はいいですから、市場別の輸出。
  138. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 市場別で輸出を申し上げますと……。
  139. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 率直でいい。
  140. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) アジア州の占めます比率が、三十四年で三三・七%、これが三十六年の一-八月でとりますと、三八・九%であります。輸出の全体の中での比重であります。それからヨーロッパ州が三十四年で一〇・八%、三十六年の一-八月では一三・四%であります。  次はアメリカでありますが、三十四年で三六・一%、これがことしの一―八月では二九・五%と、かなり比重が下がっております。
  141. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この関税局の業務は非常に多くなっておるといいますか、複雑になったということで関税局という必要性があると思うのです。出先の関係ですが、出先の機構はもう依然として現在のままでということですか。
  142. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 今回御審議いただいております法案では、出先での変更は、従来税関の機構としまして、官房、監視部、業務部、鑑査部、これだけあったわけでありますが、その官房を今回は総務部制に改めたのであります。
  143. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この輸入墨とか輸出量がいろいろふえてきておるという関係から見ると、もちろん本省関係の関税局の昇格ということもある程度必要だという意味もわかるのですが、むしろ出先の業務というものが非常に多くなると思うのですが、官房を総務部というものに変えただけでいけるのだ、本省のこれだけ関税局に昇格さしてやるのだ、こういうことでは、ちょっと理屈に合わぬような気がする。それはどうですか。
  144. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 先ほど私、自由化の進展に伴って業務のこういう変わり方をするということを申し上げたわけでありますが、その際、主として現場の税関で仕事の増加いたしますことは、いわゆる輸出入の申告件数の処理、そういった現場のいわゆる通関事務になる。これにつきましては、もっぱら人手をふやすということが先決になって参るわけです。機構をいろいろ変えますことよりも、むしろ人手をふやすということに従来とも税関としては努力をして参ったわけであります。仕事の面でも、いろいろ簡素化、合理化をはかっては参るわけなのでありますが、何分にも、先ほど申し上げましたような、非常な仕事の増加ということで、ここ毎年新しい定員増加を認めてもらっておるわけであります。今後も、私どもとしては、どうしてもある程度定員の増加をはかってもらわなければなるまい、かように考えております。
  145. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたのほうからそういうことが出るだろうと予期して質問したのですが、大蔵省ですから、財政を握っておる所ですから、人員をふやすのにはわけないと思うのですが、非常に関税事務でいろいろと渋滞をしておるということを聞くのです。そういう点で、私も実は関税に入って調べたわけじゃないのですが、いろいろ業者から聞くと、非常に問題があるように聞くのです。そういう点で、本年どのくらい、去年からことし、どれくらい人員をふやして、その事務の円滑化をはかられておるか、ちょっとわかったら知らしていただきたい。
  146. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 三十五年度と三十六年度を比較いたしますと、約四百名の増加をいたしております。税関の定員が、大体今のところ、三十六年度で六千六百人ということになっておりまするが、そういう定員の中で、この一年間で四百名の増加を見たということになっております。
  147. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 将来もこれを増加するという、先ほどの答弁のはそういう意味ですか、三十七年も。
  148. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) これは、もちろん予算を必要とする問題でもありますので、私ども税関部としましては、やはり現在のような仕事の増加があります限り、いろいろ事務の簡素化には一方では努めているわけでありますが、どうしてもやはり若干の人員増加を必要とする。かような税関部としての一応の結論を持っております。
  149. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それからもう一つ、参考までに聞いておきたいのですが、密輸入輸出の関係の統計は、この三年間どういうことになっておりますか。
  150. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) いわゆる密輸で検挙されました件数で申し上げますると、密輸出と密輸入と分けまして、密輸出の件数を昭和三十年あたりから申し上げますと、三十年で二百九十一件、三十一年二百六十五件、三十二年三百二十八件、三十三年二百八十八件、三十四年二百六十件、三十五年で二百六十七件、大体、密輸出の件数といたしましては、横ばいのような状態であります。それから密輸入の件数でありますが、同じく三十年からの件数を申し上げますると、三十年が七百八十九件、三十一年で八百十九件、三十二年で千二百三十件、三十三年で九百三十四件、三十四年で千百三十一件、三十五年で千百九十三件、密輸入のほうが、検挙件数は、ここ数年若干件数が増加しているというように見受けられます。
  151. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その密輸出のおもなる品目はどういうものですか。主たるものでけっこうです。
  152. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 密輸出関係の品目別で申し上げますると、一番大きいのが衣類関係であります七そのほかは雑多なものに分かれておりまして、金属、機械器具類あるいは薬品類あるいは繊維製品、主としまして繊維製品、そういう面での密輸出が多いのであります。
  153. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 密輸入の点はどうですか。
  154. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 密輸入では、金額的に申して一番大きいのが時計類であります。時計ないしはその部分品、そのほかで目立ちますものは、統計的には自動車というもの、あるいはその部品というものが出て参りますが、これは主として国内での、何と申しますか、特例法違反による密輸入、それからそのほかでは、飲食物関係、コーヒーとかココアとか、そういったものであります。それから、若干酒類も入っております。
  155. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ、お手間ですが、この密輸出の行き先、密輸入の輸入先、この点を知らせて下さい。
  156. 稻益繁

    説明員(稻益繁君) 件数での割合から申し上げまして、密輸出のほうは、朝鮮向けの密輸出が多いです。
  157. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは南鮮か北鮮か。
  158. 稲益繁

    説明員(稲益繁君) 大体南鮮が数的には一番多いわけです。それから密輸入は、これは各地域にまたがっておりますが、やはり一番多いのが南西諸島のいわゆる沖繩、それから香港、それから米国、地域的には大体そういうことになっております。
  159. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) ちょっと、質問の途中ですが、大臣に都合して出てもらっておりますから、四時からまた行かれますから、その点をお含みの上御質疑を願います。
  160. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、大臣に聞きたいことがあるのですが、鶴園君がすぐというので、僕の方はあとに回します。
  161. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大蔵大臣に旅費法の問題について伺いたいのです。  この旅費法を改正してもらいたい空気は近年あったのでありますが、特に昨年ごろから非常に強くなりまして、さらに今年に入りまして、非常に全般的な公務員の気持になっておるようです。したがいまして、旅費法をやはりすみやかに変えるべきじゃなかろうか。こういう立場に立ちまして、若干大臣にお伺いをいたしたいわけでありますが、旅費法に対しまする問題点は定額ですね。つまり日当とか宿泊料とか、あるいは移転料あるいは車賃、こういう定額に非常に問題があって、思い切って引き上ぐべきだ、こういう点が大きな点だと思います。これは要するに、三十一年の五月に改訂されましてから今日まで、五年五ヵ月の問据え置かれておるわけですね。ここにやはり一番大きな問題があるように思っております。過去の定額の改訂の工合を見ますと、二十七年の四月に改訂をして、それから約四年たちました三十一年の五月に改訂をしておられる。それから五年五カ月たちました今日に至っておる。この間の消費物価の総合指数、これは、内閣統計局で発表しておるわけですが、これを試みに計算をしてみますと、二十七年の四月改訂をしたわけでありますが、これを百としますと、次に改訂をしました三十一年の五月、この間に一二・二%上がっております。それから、その次の三十一年の五月に改訂をしましたときを百としまして、今日、五年以上たちました三十六年の八月、この間に一六・四%という上がり方です。こういろふうに長い間据え置かれまして、五年五ヵ月が据え置かれて、その間に物価が、非常にやはり長い年月でありますから、上がっておるというところから、日当が低過ぎるとか、あるいは宿泊料が低過ぎる、移転料が少な過ぎる、車賃が少な過ぎる、こういうような問題が出ているのじゃないだろうかと思うわけです。今、総理大臣の日当は幾らか、御存じないだろうと思いますが、総理大臣の日当は五百二十円、それから大蔵大臣の日当は四百七十円、この四百七十円で実は昼飯を食って――昼飯代が半分入っているわけですよ、四百七十円の中に。それから、出張先に行かれまして、回られる車賃がそのまた半分、そしてまた雑費がちょっと、こういうことですが、四百七十円では、これはどれにもならない、常識上。さらに宿泊料でありますが、これは、東京とか大阪とか京都、高知、大臣の場合は二千四百四十円、まあたくさん近代的なデラックス版の大きなホテルができておりますが、一体だれが泊まるのだろうか。総理大臣がお泊まりになるとしましても、総理大臣は二千六百九十円ですから、とても泊まれない。いずれにしましても、非常に額が少なくなっておる。したがって私は、旅費法の定額をすみやかに思い切って引き上げられる措置をとられるべきじゃないだろうかというふうに思うわけです。その点についての大蔵大臣の御見解を承りたいと思います。
  162. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) おっしゃるとおり、旅費は長い間据え置かれておりますので、これは相当実情に合わないものになっておると思いますが、まだ、私のほうから見ますと、据え置かれておるものはこれだけじゃなくて、たとえば外務省の在勤俸については、これは二十七年からですから、十年近く据え置かれておるというような部門がございますので、こういう問題を、今みんな統一的に私どものほうでいろいろな資料を集めて、この検討をやっておりますので、これによって、その後の実情の変化に応じて、新しい規定を作りたいというので、今検討中でございますので、これは、私はやはり訂正したいと思っております。
  163. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) 政府側出席の方を追加申し上げます。佐藤官房長、石野主計局長は先ほどずっと見えておりましたが、災害対策委員会のほうの関係で、席をはずしております。
  164. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 今、大蔵大臣の御見解のように、種々引き上ぐべきものもあろうと思っております。旅費の定額の問題も、全国家公務員の問題でありまして、したがって、及ぼす影響も非常に大きいわけでありますが、今のお話のように、改訂をするという方向で検討をしておられるということでありますが、すみやかに改訂をされるように要望したいわけですが、今度の通常国会にお出しになるお気持があるのか。それを伺いたいと思います。
  165. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) さっき申しました在勤俸の問題も、私どもは、来年度予算で検討しなければならぬ問題だと思っておりますので、したがって、この問題も、そういう方向で今検討しております。
  166. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 俗称旅費法といおれておりますこの国家公務員等の旅費に関する法律、これの附則の第六号を見ますと、「国会閉会中において、外国為替相揚の変動、物価の改訂等の事由に因り緊急に旅費の定額を改訂する必要を生じたときは、最近の国会においてこの法律が改正されるまでの間、政令をもって臨時に旅費の定額を改訂することができる。」こういうふうになっておるわけですが、この趣旨は、つまり、旅費というものは実費というような原則に立っておりますので、できるだけ、かなうだけ弾力性を持たして運営していこうという趣旨だろうと思います。先ほど申し上げましたように、趣旨から少しこれは、この六号は当てはまらないような感じも受ける。たとえば外国為替相揚の変動とか、あるいは物価の改訂、この改訂という言葉を見ますと、そぐわない面もあろうと思いますが、しかし趣旨は、今申し上げたような弾力性を持たして改訂できるというふうにしてあるのじゃなかろうかと思います。ある意味では、五年五カ月の間据え置いたわけですし、その間に物価が一六%も上がっているという状態でありますから、ある意味では、これは緊急に改訂する必要がある、それがまたできるような附則になっているのじゃないだろうか、こういうふうに私は思っております。したがいまして、今、大臣の御答弁の中にありました――これは外国旅費の問題だろうと思いますが、旅費法の中には外国旅費を含んでおりますから、外国の諸事情についての資料等について十分でないという御見解だろうと思いますが、いずれにいたしましても、弾力性を持たして運営するという趣旨だろうと思いますので、すみやかにひとつ今度の通常国会でお出しになるように要望しておきたいと思いますが、ただいま大臣の御答弁だと、どうもこの通常国会にお出しになるお考えのようですが、間違いありませんでしょうか。
  167. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そういう方向で今研究しております。
  168. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そこで、若干この定額の問題につきまして大臣にもちょっと聞いておきたいというふうに思いますが、時間の関係もありますので、簡単に額の問題について申し上げておきますが、この日当は、先ほど総理大臣が四百七十円、国務大臣が四百二十円というふうに申し上げましたが、これは、旅費法によりますと、総理大臣から七等級のところまで、九段階に日当を区分しております。そうして一番下の七等級のところ、八等級のところ、これを計算をいたしまして、これが二百三十円、その上にこの九段階で格差をつけまして積み上げまして、国務大臣が四百七十円、そうして総理大臣が五百二十円と、こういうふうにずっとなっているわけであります。この二百三十円というのは、だれがどう見ましても非常に低過ぎるというふうに思うわけです。二百三十円の内訳は、私の考えでは、百円は昼食費だ、あとの百円は出張先におけるところの車賃、そうして三十円はバット一個だ。雑費としましてね。そういうふうに私は考えているわけです。ほぼそれに類似したものだろうと思うのです。ですから、二百三十円というのはあまりに低過ぎる。少なくとも昼飯は百五十円程度のものは食わすべきではないかと思いますし、ふなれな土地に行きまして、場合によれば局を代表し、場合によれば課を代表して、見知らぬ人たちと非常に神経を緊張しまして話をしたり、調査をしたり、折衝をしたりする。そういう意味で、精一ぱい仕事をしてもらわなければならぬから、昼食にコーヒーの一ぱいぐらい入れたっていいじゃないかというふうに思うのですね。それからまた、出張中は、非常に短い限られた日にちの間に、手一ぱい働かなければならぬということを考えますと、車賃ももっと考えなければならぬじゃないか。バットの一個じゃなくて、いこいの一個ぐらいあってもいいじゃないか、こまかくなりますけれどもね。そういう意味で、二百三十円というものを私は四百五十円程度に引き上げるべきじゃないかと、こう思っているのですがね。前の改訂しましたときは、約三割引き上げているのですよ。調べてみますと、四年据え置まして三割引き上げている。そのときの物価の値上がりは一二%、今回は一六%と上がっておりますが、もっと思い切って引き上げなければ、二百三十円の日当ではどうにもならぬのじゃないか。ひいては大臣の四百七十円、よく国務大臣の出張旅費の話を私聞くのです。そうしますと、大体実費の二分の一だという話ですね。法律で支給するものは実費の二分の一しかない。場合によりますと三分の一だと、こういうのですね。残りはどうしておくのだ、こう聞くわけです。種々やり方はあるようでありますが、しかし、少なくとも法定で支給する日当、宿泊料を見ますと、はなはだ僅少です。国会議員の議員派遣旅費、これは、日当、宿泊を含めまして二千六百円です。これではどうにもならないのですね。昼はどうもやはり懇談の会食をしなければならない。夜はまた懇談の会食をしなければならない。それにしましても、普通大体どこに行きましても、二千五百円程度というのがその宿泊料、朝の食事費を入れますと三千円ということになってしまうのですね。ですから私は、日当というのはどうにも低過ぎる。この点について伺いたいと思うのです。
  169. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 非常にむずかしい問題でございまして、今、公務員の旅費だけの問題じゃございませんので、各部門にたくさん同じようなことがございまして、たとえば、国会で証人として呼んだり公述人として呼ばれますと、一日の時間を、朝呼ばれて晩まで時間を使って、日当六百円と、こういうことで忙しい人を一日引っ張っておくのは何だというような問題が出てきますし、また、政府の審議会の中にも三百円という報酬もございますし、非常に古いときにきめた規定でございまずから、こういうものの改訂をやるとすると、諸方面の均衡というものをやはりとって考えなければならぬという問題が出ようと思います。はなはだしいのは、補助単価の問題ですから、それ自身が必ずしも日当というわけでございませんが、一日人を頼んで六十円というところもございますし、これは、やはり全体をもう一ぺん統一して、見直して、均衡をとりながら考えなければならぬ問題だろうと思いますので、ひとり旅費問題だけではございません。非常にいろいろな各種の手当、ことに簡易裁判所の裁判の問題もありますが、この日当というものも相当低くて、実際には出られないような、出てお茶を飲めばそれで大体日当は終わりというようなものもございますので、こういうものは、やはりこれ一つだけじゃなくて、全体として考えた措置をとらなければならぬと私は思っておりますので、今そういう意味の資料を全部集めて検討しておりますから、この実情から見てそう無理でないというようなものを新しくきめたい、こういうように考えております。
  170. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣の時間が参ったようでありますが、もう一つだけ。  これは、日当が非常に低過ぎる。低いのじゃないか。これは、そのほかの全体のいろいろ政府が出します日当とも相互関係がありますし、均衡をとらなければならないということはわかりますが、日当と同じように、やはり宿泊の問題なり、あるいは車賃の問題なり、移転料の問題なり、同じような低い予算にあるわけです。たとえば車賃でありますと、一キロ四円という金額でありますが、バスを使うにしましても、一キロ四円ではどうにもならぬ。額の問題はいずれにも共通しておりますが、もう一ついずれにも共通して問題がありますのは、日当に格差があるわけですね。、九段階に分かれておりますが、総理大臣から国務大臣、次官、局長、課長というように、九段階に分かれまして格差があります。これは、移転料にも同じような格差がある。それから、宿泊料にも同じように格差をつけております。その格差について、私は大臣に聞いておいていただきたいのでありますが、課長と次官、三等級と一等級との日当の格差ですね。これは四十円です。ところが、四等級と三等級の格差ですね。これは実に五十円なんですね、四等級と三等級の間に五十円の格差がある。それから課長と次官との問に四十円の格差しかないという、どうもこの格差があまりに三等級と四等級との間がひど過ぎやしないかというふうに思いますしね。それから今度は、四等と五等ですね。四等といいますと、班長あるいは課長補佐ですか、それと係長との間の格差、これが四十円なんですね。どうも係長と班長といいますのは同僚的な感じのところなんですが、四十円の格差があって、次官と課長との間が四十円の格差というのでは、四等と五等との間の格差も非常に大き過ぎるというふうに思っておる。この格差は、宿泊料についても移転料につきましても、それからその他についても全く同じ、こういろ格差のつけ方なんですね。これについては、今度改正をされまず場合は、ぜひこの格差をできるだけ縮めて下さい。課長と一番下になっております七等級との間の格差、これは百五十円という格差です。そして課長と総理大臣との間の格差、これが百四十円です。ですから、課というのは、行政機構の中で、行政運営の中核になるわけですね。いろいろな立案をするにいたしましても、あるいは予算なり法律を執行するにいたしましても、行政機闘の中核になる。そして課長を中心にして課員というものがまとまっているわけですね。その場合に、七等級と課長との間に百五十円という格差があって、課長と総理大臣よりもまだ格差が開いているというよろな、こういうやり方では、課の中における融和といいますか、そういうものをとりにくいのじゃないだろうかと思っておりますのですがね。で、給与とこれは違うわけでありますから、実費を原則とした日当であるわけでありますが、その場合に、あまりにも課長と七等級との間に、一体になって動いている、あるいは一緒になって動いている間に、非常に差があり過ぎる。さらに、三等と四等との間の差があまりにもでか過ぎる。四等と五等との間があまりにもでか過ぎる。こういう点をひとつ認識をいただいて、できるだけこの間の格差を縮めるような御努力を願いたいと思っておりますが、その点について伺いたいと思います。
  171. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 格差の問題も、当然検討するときの対象になると思います。
  172. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ大臣に一、二だけ先に尋ねておきたいのですが、今度の主税局から関税局を分離するという、いろいろ先ほども関税部長から聞いたのですが、政府の考え方をちょっとただしておきたいのですが、関税行政のあり方でございますが、これは、もうすでにわれわれの理解をしている点もありますが、念のために聞いておきますが、関税行政というのは、国の財政上の立場から重く考えておられるのか、通商上の問題から大きく考えておられるのか、この点一つ、どういう考え方か。閲税の行政というものが、日本の外国貿易とか、そういう通商上の問題として関税の行政は重きをなしておるのか。日本の財源という問題から重きをなしていると見るのか。この点一つ承っておきたい。
  173. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) これは、無論日本の貿易という立場から考えるべき問題だと思っております。
  174. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、今度の主税局と分離するというのは、そこにも一つ考え方があったのでしょうか。これは全然別であるか。これも念のためにちょっと。
  175. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) それは当然でございまして、さっき関税部長から説明されましたように、税の分類表にしましても、貿易構造というものが変わって、いろいろ高度化してくれば、それに対応して、この品目も、今までの九百品目というものが二千品目というふうになってきますし、今後そういう傾向というものはもっと大きくなるでございましょうし、そういうやはり貿易の実態の変化というものに応じて対応できる機構をとらなければなりませんし、したがって関税の事務と、今度は閥税政策的にそろいうものを常に取り扱っている部局ができないというと支障をきたしますので、そういう意味において今回の機構改革をやったということでございますので、中心はやはり輸出入の実情あるいは増加していくものに対応する措置としての措置でございますので、今度の処置は、十分そういう趣旨を考えた次第でございます。
  176. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つだけ。そらすると、今後関税の改訂その他、やはりその線に沿った方向で考えていくのであるということですか。
  177. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) そういうことでございます。
  178. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大体関税局昇格の大蔵省当局の考え方が一応大づかみにわかったのですが、しかし、われわれとして考えるのに、局を無制限にふやすということは基本的に反対なんです。しかし、理由のあるものまでも、これは反対するわけにいかないのですが、最近部局をふやす各省が非常に多くなってきている。もちろん必要であるからということでありますが、必要だといえば、どれもこれも必要だと思うのですが、先ほどのいろいろの説明を聞きますと、貿易高の増高状態が非常にふえている。いろいろ政策の面も今大臣に聞きましたが、そういう点もあると思うのですが、決して関税部でやれないことも私はないと思うのです。量がふえたら、これは、先ほど言われたように、人さえふやせばこれは解決する問題、政策面にしても、局にしないからといって、そう極端に政策面において障害があるとも思わないのですが、この点、どうも私は納得ができないのです。先ほどからいろいろ聞いておりまするが、この点について、まあ蛇足でありまするが、ここがこうだという、具体的に、これは局にせんと、大蔵省内部の行政上どうしてもいかぬのだというきめ手のようなものがどこにあるのか、政策面と言われても大まかなことであります。どういう点が必要であるかということを、ひとつ簡潔に急所だけぽんと言えませんか。
  179. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 確かにそうで、局をふやすというようなことは、私どももやりたくございませんで、この三十六年度の予算編成では、各省からこういう要望が出ましたので、これを最小限度にしぼるという方針で、私のほうでも、予算編成当局としても意見を述べますし、特にこれは政府側で統一してもらわなければならぬという必要がございましたので、行政管理庁の問題に移して、あすこの審査を経て、どうしても必要と認めるものに限定しようという方針をとりまして、結局四つでしたか、五つでしたかの設置法改正をきめたといういきさつでございますので、まあ実際は、大蔵省も、一番最初は、よそはそうであっても、元締めである大蔵省だけはこのままでやる方法はないかということを私もずいぶん部内で研究させましてやった結果、どうしてもやはりこれが必要だという意見になって、行政管理庁へ出し、行政管理庁もそれを認めて、大蔵それから建設省その他二つぐらいの官庁のこれをきめたといういきさつでございますので、この点は御了承願いたいと思います。じゃ、大蔵省としてなぜ要るのかというのは、官房長からお答えいたさせます。
  180. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 大臣の御説明に補足して私から申し上げます。  一番基本には、ただいま申し上げました、非常に量的な拡大ということと、それからもう一つ、質的には、やはり関税政策というものが税であると同時に通商産業上の有力な手段という色彩がますます濃くなってきておるわけであります。実情を申し上げますと、主税局の中に関税部というのがございます。ございますから、本来のあり方からいいますと、事の大小なく、税関部長の決裁を経ましたものに、主税局長がこれをまた決裁しておるわけです。ところが、御存じのように、主税局長はほとんど内国税にかかりっきりのような、内輪話でございますが、実情でございます。内国税だけにしましても、あれだけの膨大な体系と仕事を持っておりまして、年々租税の改正であるとか、その他税関係だけでも相当大きな膨大な税の仕事をかかえております。しかし、形式上その下に税関部といろのがやはり入っておりますから、相当質的に異なる税関行政で、一応税関部長限りでは決済できませんので、主税局長がまたこれを一々見なければならない。これは、ある仕事の量という段階まではそれで押えてきたわけです。今、大蔵大臣も申されましたが、実は大蔵省の立場もございまして、機構につきましては相当圧縮してきております。過去におきましても、進駐軍が、御承知のように、各国はみんな関税局もしくはそれ以上の機構を持っておりますので、たとえば司令部自体なども、なぜ閲税局にしないかと・言って、相当慫慂されたこともあるのですが、まあ機構の拡充は遠慮しようということで、非常に不便を感じつつ押えてきておったわけであります。今日のように、ますます関税行政の比重が大きくなり、全国に六千人の税官吏を持っておるわけでございます。各省にいたしますれば、地方に下部部局として六千人も持っておりますところで、まだ部というところはとても考えられません。当然局の体裁を整えないと、マネージする上においても非常にやりにくいということで、最近ますますガットその他の関係もございまして、企画面あるいは現場面、両方の面で仕事がふえ、質も転換しつつございますので、もうこの際は、従来のいろいろ考えもございましたけれども、やはり関税局というものを独立いたしまして、関税局長が直接にその判断をして全体の行政のマネージをするという体制に持っていきませんと、こうした事態になかなか対処し切れなくなってきているという感じを持ちまして、今回のような改正法を出したわけでございます。
  181. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、具体的に聞きますが、関税局になって、課の組織は変わるのですか。
  182. 佐藤一郎

    政府委員(佐藤一郎君) 関税局になりますと、従来の組織一つ総務課というのが加わりまして、全体の政策の立案あるいは調整というようなものを行なうように相なります。
  183. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 総務課というのは、それは必要であることは間違いないのですが、特に政策面の変化ということであって、その政策面は今までの課で一応こなせる。それを総合するための総務課だけふやすために関税局だというようにちょっと受け取れるのですが、まあ先ほど大臣も言われたように、官房長も言われたように、いわゆる大蔵省内における行政と申しますか、一々主税局長を通さなければならないという繁雑さをこれによって緩和する、これはわかるのですが、しかし、特に大蔵省が、いつも各省に対して、予算面から局をふやすことを大臣みずからも言われて押えている。その際に、よほど必要性があるということで私はやられたと思うのですが、先ほどから説明を聞いておると、大蔵省が局をふやすということに踏み切ったとしては、こういう点で、為替、貿易の自由化によってこういうものがあるのだという、その点が一つ理解しにくいのですがね。総務課をふやしてというととよりも、どういう仕事がふえてきたか、具体的にちょっと。
  184. 稲益繁

    説明員(稲益繁君) やはり仕事の面としましては、両面あるわけなんでありますが、いわゆる管理的な仕事と、それから企画と申しますか、政策的な仕事、最初に申し上げたのでありますが、この為替管理法あるいは貿易管理、こういうものを行なっておりますと、これは関税率というものは、実は直接そういうもので産業が保護されるわけです。したがいまして、かつて昭和二十六年に全面改正も行なっておりますが、これも実のところ、関税率の高いか低いかによって、直接国の産業が、鉱工業、農業が保護されるという機能がほとんど発揮されておらなかったのでございます。したがいまして、為替管理なり貿易管理が行なわれておりました間は、為替、関税率についての検討も、それほど真剣な問題として取り上げられなかった。ところが、だんだん自由化が進んで参りまして、そういう直接統制がはずれますと、これは実に大きな問題になって参るわけでございます。凡百の品物が入って参るわけでございます。また、対応するような国内にいろいろな産業があるわけでございます。何も大企業の製品だけでなしに、中小企業の製品も、万年筆一本であれ、ボールペン一本であれ、こういうふうなものが自由化されますと、非常な打撃を受けるわけでございます。こういうものが、一方におきましては、国際的ないわゆる日本はガットにも加入しておりまして、なかなか引き上げということは……。また、日本の基本的な立場におきましても、世界的に貿易を大きく伸ばしていく、この恩恵に一番大きくあずかるのは日本だという建前にあるわけであります。この間の調整が、国内の産業の保護という観点のみにとらわれますと、とかく引き上げの予想が出てくるわけでございます。そういう方面から、極力引き上げ、引き下げ両面の要請調整していくということになりますと、私のわずかな経験をもっていたしましても、非常にたいへんな作業なんです。国内の産業の実態、これはもちろん、関係各省が相当な資料を提供するわけであります。通産、農林、厚生、いろんな物資につきまして、そういう産業動向あるいは物品の輸出入の動向、海外における市況、それから国内における需給闘係、そういったものを絶えず調べておかなければいけない。それから、昨年の改正で実は新しく制度的にも設けたわけでありますが、実は貿易が自由化されて参りますると、非常に関税率に対する機動的な運用というものが要請されて参るわけであります。このために、緊急関税制度といったようなものを設けたわけなんでありますが、つまり海外の価格が、技術の革新だとか、そういったものによりまして、急激に価格が低下するというようなことがございますと、関税率の改正が、通常でありますれば、国会の御審議を願いましてやる以外に改正の方法がないわけであります。そういたしますると、海外のそういった市況が急激に変化して参ったというよらな場合に対応する措置がないわけであります。国内の産業が非常な脅威にさらされる、あるいは倒産も起こってくるというような事態も予想されまして、したがいまして、各国でも、そういった緊急関税の措置をある程度行政府が、非常な制約のもとではありますが、条件を付して認められるというような制度が各国でとられているわけであります。私どもとしましても、この制度を今回導入したわけであります、関税法の改正によりまして。そういたしますると、こういった緊急関税の発動といったような問題は、非常に機動的に運用しなければならないので、絶えずいろんな資料を整えておかなければならないといったような面もあるわけであります。したがいまして、従来の税関行政の大体の重点と申しますか、ここ数年前まででありますると、いわゆる国税で申し上げますると、税務署なり国税局を指揮監督すると申しますか、管理する面で国税庁というものがありますように、全国で八つの税関があるわけでありますが、この税関に、現揚の税関のあらゆる税関行政運用というものを管理指導していくという面に大体重点があった。したがいまして、当時におきましては、業務課、監査課、調査統計課という三つの課で構成されておったわけでありますが、この業務課というものは、ほとんど現場の密輸の取り締まりなり、あるいは通関業務の円滑化なり、そういった面で、また日々いろんな法の解釈上の問題が発生しているわけでございます。こういうものの管理事務を主としてやっています。それから六千人からの職員がおりまするので、この関係の管理面の仕事が、御承知のように、非常にたくさんあるわけであります。人事上の問題、宿舎の問題、いろんな点で、ボリュームとしましてもかなり大きな仕事があったわけであります。そして今回、こういうふうに関税率の改正、あるいは関税率の機動的な運営といった政策面の仕事が、自由化とともに表面に出て参った。この仕事が非常に私どもとしましては重要な仕事でもあり、またかなりな人手も要ります。また、これを運営して参ります上に、ただいま官房長から話がありましたように、やはり独立した機構で円滑にこれを処理して参るということが必要になってくる。大体そういうことであります。
  185. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まだいろいろ尋ねたいことはありますが、ちょっと日程の関係で、もう一問だけ、あとは次回に譲りたいと思います。いろいろ説明を聞いて、大体わかりつつあるのですが、今度開かれる委員会までに、先ほど尋ねました輸出入の状況のデータをひとつ出していただきたいということを第一に申し上げておきます。  それともう一点、常識的に考えると、貿易自由化が進むと、密輸入が少なくなるというふうに、われわれは常識的に考えられるのですが、しろうと考えで、ところが、ふえていくような数字が出ておるのですが、これは、当局としてどういう見通しでおられますか。ちょっと聞いておきたい。
  186. 稲益繁

    説明員(稲益繁君) 為替管理やなんかあります時代の密輸入と申しますのは、もちろん関税を逋脱しようという場合の密輸入もあるわけですが、直接貿易管理、為替管理で、輸入の許可が得られないというようなものが、それをくぐる意味で密輸入するというものがあるわけです。したがいまして、仰せのように、そういう統制がなくなれば減るのじゃないかと、私どももそういうある程度の予想は持っておったのでありますが、貿易が自由化されますと、今度は、関税率のほうで、関税を免れたいという意味の密輸がかなりあるわけです。したがいまして、まあ一ころ特に直接統制を受けておりましたようなものよりも、最近の密輸入で申しますと、時計だとか貴金属類であります。そういった、比較的税率の高いようなものの密輸入がふえておる。若干そこに品目的な変化があるようでございます。
  187. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは、給与課長に、さきの旅費に閲連しまして、三点ほど伺いたいと思うのですが、それは今、一、二等の区別があるわけでありますが、これにつきまして、種々やはり不満の問題がありますので、今度改正にあたりまして、ぜひひとつ検討をいただきたいというふうに思っておるわけです。それで、御存じのように、今、七等級以下が二等運賃になっておるわけです。ところが、これは昭和三十二年に十五級に分かれておりました俸給表が八等級に変わりますときに、七等級以下は二等だというふうになりました。ただし、附帯決議がつきまして、既得権の者、つまり七等級であって、今まで一等をもらっておった者については、本人に限り一等を支給の運営をするというような形に運営がされてきたわけです。ところが、五年たった今日、もうそういう人たちはいなくなりまして、前の人たちがもらっておった号棒と同じところに続々ともうみな来ておるのですけれども、その人たちは締め出されておる。本来ならば、そこの号俸になれば一等になれるのだという期待感が全部あの改正によりまして締め出されるということになりまして、その点についての不満が非常にあるという点が一つ。  それからもう一つは、やはりまあ生活環境なり経済条件というものも、この五年五カ月の間に相当変わって参っているということ、それから、民間の旅費等の場合を見ますというと、これは、日経連がやりました相当大規模な民間の会社の旅費の規定等が出ておりますが、それなんかを見ますと、どうもやはり入社しまして一年たったら一等だと、つまり、会社の体面の問題もあるのだろうと思いますが、入社しまして一年たったら一等だというようなところが多いようであります。したがいまして、私も、この際やはり公務員の場合におきましても、入社をして一年、入所をして 年、国家公務員になって一年たった者は一等を支給するというふうに検討されてはどうだろうかというふうに思っております。  御存じのように、旅費法の四十六条の第二項についての大蔵省の主計局長の通達が出ておりますが、その通達によりますと、三等級以上の者と同行する七等級の者は、一等を支給して行くことができるということになっております。その辺のことを勘案いたしますと、やはりそういうようなこともお考えになってはどうだろうか。実際上、八等級の人が出張するということは、これは一年に一回あるかないかということでしょうし、それから七等級の人たちが出張するということも、これは一年に二回かそこら程度でしょう。実質的には非常にこまかい問題、ただ、その人たちが一年に一回か二回出張する場合に、それは二等だというのでは、やはり気持としてどうもまずいように思うのですが、そこら辺の点を検討なさるお気持はないだろうか。それについて伺っておきたい。
  188. 平井迪郎

    政府委員(平井迪郎君) ただいま御指摘がございました七等級以下の公務員が二等旅費で旅行いたしておる点につきましては、御指摘のような事情があることは、私どもも存じております。ただ、どのクラスまで一等とし、どのクラスから二等とするかにつきましては、一つには旅行要務等の関係もございますし、一つには、公務員の全般的な立場といたしまして、全部が全部一等とするわけにはいかないという事情もございますので、そういった点は、民間会社の事情等も資料を収集いたしまして、十分に検討いたしたいと考えている次第でございます。
  189. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この問題につきましては、先ほど私いろいろの理由を申し上げましたが、三等級以上と同行の場合には、七等級でも一等で行けるというような道も開けておりますし、また、民間等の場合におきましても、先ほど私が申し上げたとおりであります。すでに実態論としても、八等級の人が出張するということは、確かにこれは一年一回あるかないかということでございましょうし、七等級もほぼこれに類似した形でございますから、公務員として一年に一、二回という出張の場合に、やはり会社がとっておられるような形で、入社して、それから入所して、国家公務員になって一年とかというようなことで、あとはひとつ一等で行かせるような措置をとられますように要望を申し上げまして、次に、先ほど申し上げておるように、総理大臣から七等級のところまで、九段階に分かれておりますが、これは、民間の場合等を見ますと、こういう長いのはないのですね。重役、部長、課長、課員というような分け方が多いようであります。大体五段階から六段階というような形になっておりますが、公務員の場合は、それが、総理大臣以下九段階ということになっておりますが、この分け方も、給与と違って、旅費をやはり主体にしておる問題でありますから、もっと縮められるように努力していただきたい。そういう問題についての御検討をなさっておられるかどうか。  もう一点は、日額旅費でありますが、これは業務旅費ともいっておりますが、実際、公務員全体に対する問題としては、この日額旅費が非常に重要な問題になるわけですけれども、この日額旅費がまた、額が非常に少ないのですね。日当七十五円、この七十五円の中の半分が食費で、半分が車賃、そして雑費だ。七十五円、百五円、百三十五円と、三段階に分かれております。宿泊料についても同じようなことがいえるわけですが、この日額旅費につきましては、大蔵省と各省の長が協議をしてこの額がきまるようでありますが、しかし、この額についても、旅費の定額が改正になると同時に、やはり大蔵省と各省の長が協議をして定めるということになると思いますが、これも当然改正されるわけですね。その点を伺います。
  190. 平井迪郎

    政府委員(平井迪郎君) 第一に御指摘の、旅費の日当、宿泊料が九段階、つまり特別職におきまして二段階、一般職におきまして七段階に分かれていることは、御承知のとおりでございますが、これは、三十二年六月の改正の際に、旧制度の十五級制度から引き移しました際に、職務の等級が八等級に改正されましたのに合わせて行ないましたわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のような、民間会社の実情その他等につきましては、必ずしもそのまま対応さして考えておるわけではございません。ただ、民間会社の実情等もいろいろあるようでございまして、私ども、先ほどの事例と同様に、そういった資料等も十分に収集いたしまして、かつまた、公務員の特殊性というようなものも十分念頭に置きながら、いかなる段階区分を作るのが適当であるかというようなことを検討いたしたいと考えております。  それから第二点でございますが、第二の点につきましても、一般的に通常の旅行の場合におきます日当、宿泊料が改正されますならば、当然これに伴う問題として、日額旅費についても検討いたすことに相なるわけでございます。
  191. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは、私から一点だけお伺いいたします。実は、共済組合に対する災害時における付加給付の問題ですが、これは、大蔵省のほうから大体聞いておるのですが、確認する上において課長から一つ聞きたいのですが、実は、チリ津波のときには、付加給付のあれは、行政措置をされておらない。これは、非常に時間がたっておることなんですが、あれは国家公務員だけでなしに、あれを準用する地方公務員についても、それによって拘束されているのですね。したがって、これから遡及してチリ津波の場合はどうなるかという点と、今回の一連の、六月からこちらの災害、第二室戸台風対策におけるこれに対する災害のための措置が、行政措置がとられるかどうか。この点をお聞きします。
  192. 平井迪郎

    政府委員(平井迪郎君) 順序が逆になると思いますが、第二室戸台風を中心といたしました今年度の災害に対して付加給付の措置をとるかどうかといろ問題でございますが、この点につきましては、第二室戸台風による被害がかなりの程度に及ぶものだろうという推定のもとに、ただいま関係各省に、それぞれの被害状況についての調査を御依頼申し上げております。ただ、通信等の関係がございまして、まだ全般的に資料が集まっておりませんが、近日中にこれも集まることと思いますので、その上で、所要の措置が必要であるならば講じたいというふうに考えております。  それから第二点の、チリ津波についての御議論でございますが、私ども、現在の段階では、チリ津波の問題について遡及して何らかの措置を講ずるかいなかということについては、今のところでは考えておりません。そういった御要求が切実であり、かつまた、必要なものでございますならば、検討いたしてみたいと考えておる次第であります。
  193. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この点については、僕らの方もちょっとうかつであったことは事実なんです。と申しますのは、市町村職員共済組合関係のやつは、これだけは、チリ津波の場合も手を打ったのです。これは法律体系が違うから別といたしましても、しかし、一方、市町村の職員の共済組合については特別措置をとっておるのに、県の職員、国家公務員については、チリ津波の場合はとられておらなかった。われわれとしては、当然やられておったと思ったのですが、大蔵省当局に聞いてみると、やっておらない、こういうことなんです。われわれの方も、そのときに追及しなかったことも手落ちであったのですが、当然やられるものだという考えでおったのです、伊勢湾台風のときにとられたものですから。それで、大蔵省の意向をもう一ぺんただしておきたいのですが、なるほど年々の災害の激甚地の広狭の差はあります。伊勢湾台風の場合は、非常に多くの人がありました。しかし、受けた災害は、個人にとってみると、いずれの場合もやはり全壊あるいは全流失ということで、受けた個人は同じ災害ですね。大蔵省の方は、大きいというのは、数的に大きい場合にはそれを適用しよう。数的に少なければ、その場合はやらない、こういう考え方であると、共済組合法の精神からいうと、私は間違いじゃないかと思います。受けた災害者は、個人的に見ると、数が多かろうと少なかろうと、受けた個人は、同じ程度の災害を受けておるのですから、この共済組合法の運用においても、どういう災害でも、やはり適用することが妥当じゃないかと思うのですが、この点どうなんですか。
  194. 平井廸郎

    政府委員(平井廸郎君) 御指摘の点につきましては、事柄の性質としては、まことにそのとおりであると思います。ただ、実際問題といたしましては、各省共済組合におきまして、そういった組合員の声なり、あるいは必要なりというものを反映して、それぞれの場合に御要求なりあるいは措置がされるわけでございまして、そういった点の連絡に従来遺憾の点がございましたとすれば、今後においてこれを十分改めることにいたしたいと思います。
  195. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 運用の機構には、そういう欠陥があったかどうか知りませんが、私、個人的に聞いておる場合には、相当多くから聞いておったのです。しかし、それがあなたのほうの耳に入らなかったということであると、これは運用上の欠陥がどこにあるか、これは調べなければいかんと思いますが、しかし、それを管理する大蔵省としては、そのくらいの親心があってもいいのじゃないかと思うのです。したがって、今度の場合も、先ほどの御答弁を聞いておりますと、各省のいろいろの意見を聞いて、そうしてその上で措置すると言われますが、もらすでに災害の実態はわかっておるのですから、したがって、やはりそういう際には、共済組合法において大蔵省の皆さん方が、権限がどこにあるか知りませんが、やはり総括して管理する大蔵省の給与課としては、そういう点であれば、そういう指導をしなければならぬと思いますが、これは、今度の場合、またはチリ津波の場合も、ぜひそういう方向にひとつ検討してもらいたい。今度の場合は、これはもうはっきりわかっておりますから、この点は、ぜひやってもらいたいのですが、この前聞いても、まだ調査が届かぬというのですが、災害を受けた人は、そう幾日もじんぜん待つという余裕のある人じゃないのですよ。それをお役所仕事かしらぬが、そういうことで、検討しておるということでは、共済組合法の精神からいっても、災害を受けた当人からいっても、非常に不満足だと思うのです。急速な措置が必要だと思うのですが、一体、いつごろそれが決定するか、大体それを聞きたい。
  196. 平井迪郎

    政府委員(平井迪郎君) 御指摘の通りでございまして、近日中には共済組合審議会を開きまして、具体的な措置を考えることはできるであろうと存じております。
  197. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 しつこいですが、運用審議会を開かれるようでございますが、適当な措置を急速に打ってもらいたい。もしそれがやれなければ、やれなかった理由、その点をはっきり知りたいと思いますが、おそらく、私は部内の人に聞くと、やる方向に進んでおられるらしいので、きょうはこれでおきますが、この点については、早急な措置をとってもらいたいということを希望して、私のこれに対する質問を終わります。
  198. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) ほかに御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。   ―――――――――――――
  199. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) 次に、連合国占領軍等行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律案議題といたします。  本案につきましては、衆議院において修正議決されておりますので、まず政府側から、その修正点の説明を聴取いたします。
  200. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 私から説明申し上げるのは適当でないかと存じますが、御指名によりまして説明申し上げます。  本法案の原案につきましては、御承知のことと思いますが、簡単に御説明申し上げます。  原案の要旨は、本邦内における昭和二十年九月二日から昭和二十七年四月二十八日までの間において、連合国占領軍等行為等により負傷し、または疾病にかかった者及び連合国占領軍等行為等により死亡した者等の遣族に対して給付金を支給するということが一つ、その次に、給付金の種類は六種類、一つは療養給付金、次に休業給付金、この休業給付金は、負傷または疾病により業務上の収入が得られなかった者、その内訳は、この法律施行前休業期間が六十日未満の場合は二千円、休業期間六十日以上の場合は五千五百円、この法律施行後休業期間一日につき百二十円を乗じた額ということになっております。次に障害給付金でございますが、身体障害者となった者で、労働基準法の例による障害の等級に応じて定めた額、第一級から第三級までが十七万八千円、第四級から第七級までが十一万円、第八級から第十級までが五万三千円、第十一級から第十四級までが一万八千円、次に遺族給付金でありまするが、死亡した者の遺族に対し定額十五万円、葬祭給付金は、死亡した者の遺族に対し定額五千円、次に打切給付金でございますが、負傷または疾病により療養期闘が三年をこえる者に対し定額十八万円ということになっております。  この原案につきまして、衆議院内閣委員会におきまして、給付金の支給額が、旧行政協定第十八条関係の民事特例法に基づく補償基準に比べて少額であるということ、及び昭和二十年八月十五日から九月一日までの被害者に対しても救済が必要であること等の質疑がなされたのでありまするが、その結果、旧行政協定事案の補償基準の最低額に見合らように、親族給付金の額を二十万円に増額し、休業給付金、障害給付金、打切給付金について、それぞれ所要の増額をいたしますとともに、昭和二十年九月一日以前の被害者に対しても本法を適用することとするという修正案が、三党の共同により提案されたのであります。これに対し政府は、やむを得ない措置と思うという旨の意見を述ぺて、修正どおり議決されたものでございます。その修正案の要旨は、この法律の施行前にかかわる休業給付金の額は、二千円を三千円にし、五千五百円を七千五百円に改める。この法律の施行後にかかわる休業給付金の額一日につき百二十円を百六十円に改める。障害給付金の額十七万八千円を二十三万八千円に、十一万円を十四万七千円に、五万三千円を七万一千円に、一万八千円を二万四千円に改める。遺族給付金の額十五万円を二十万円に改め、打切給付金の額十八万円を二十四万円に改める。もう一つ昭和二十年八月十五日から同年九月一日までの間の被害者に関しても給付金を支給するということ、これが修正案の要旨でございます。
  201. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) 以上で、修正点の説明は終了いたしました。  それでは、これより質疑に入ります。政府側から出席方々は、林調達庁長官、大石総務部長、藤本総務参事官、以上の方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  202. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) 速記を始めて。
  203. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題は切実な問題で、早くからこういう要望が一般、一般といいましても、該当者からあつたと思うのですが、調達庁では、この立法を大体考え出された過程は、いつごろからどういう動機でやったか、それを先に聞いておきたい。
  204. 林一夫

    政府委員(林一夫君) この連合国占領軍等の行為によります被害者に対する給付金のことでございまするが、これは、昭和二十一年の五月に、閣議決定によりまして、見舞金を支給するという措置がまず講ぜられたのであります。これが二十七年の五月になりまして、閣議了解によりまして、追給措置が行なわれたのであります。けれども、その金額は非常に少ないというようなことの理由で、被害者から政府並びに国会に対して、しばしば救済の陳情なり要望が行なわれてきたのであります。そこで、調達庁といたしましては、三十四年におきまして、全国的にこの被害者の実態を調査いたしました結果、どうしてもこのような被害者に対して相当額の給付金を与えなければならないという結論に達しまして、このような法案を提案したような次第であります。
  205. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 私のところに、占領軍関係人身被害者件数の調査、昭和三十五年十一月十五日現在のやつがあるのですが、その後その数字ば変わっておりませんかどうか、その点ちょっとお聞きしておきたい。トータルをちょっと言っておきますが、九千九人です。すべての件数を合わせて。
  206. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 本年の七月三十一日現在の件数を申し上げます。  それによりますと、総数は、九千百七十一件ということになっております。その内訳を申しますと、死亡件数が三千八百八十件、傷害件数が二千二百二十八件、療養件数が三千六十三件、こういうことになっております。
  207. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この若干ふえたというのは、先ほど修正点で言われた、昭和二十年八月十五日から九月二日までの間の人がこれに拡張適用されるということになったためにふえたのか。それとも、その実情調査によってふえたのか。その点ひとつ伺いたい。
  208. 林一夫

    政府委員(林一夫君) それは、調査の結果ふえてきたわけでございます。
  209. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、八月十五日から九月二日までの数はこの中に入っているのですか。どうですか。
  210. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) 八月十五日から九月二日までの件数は、この本調査には入ってございません。
  211. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その調査はできておりますか。
  212. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) 調査はできております。
  213. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その数を知らせて下さい。
  214. 大石孝章

    政府委員(大石孝章君) その数を申し上げますと、二十件でございます。内訳は、死亡十件、負傷等十件、こういう内訳になっております。
  215. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つ聞いておきますが、どうですか。これがもらほとんど確定数字だという見込みですか。将来、まだ調査の結果、これが若干でも出てくるという調達庁の見通しですか。
  216. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 大体この程度と存じますが、あるいは今後の調査によりまして、増加するかも存じません。
  217. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、ふえるとして、大体一万人と見て、大体財源的に見ると、そう大した問題でないというふうに、われわれ類推してわかるのですが、一体これを全部給付するとして、この修正されたやつでやるとして、どれくらいの費用を見積もっておられるのですか。
  218. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 全体の所要額が約七億五千七百四十万円というふうに試算いたしております。
  219. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それで実は、まあいろいろこの点については問題があります。しかし、この法案については、該当者も鶴首して待っておる法案でありますし、われわれとしては、ただすべきことはただしておかなくちゃいかぬと思うのですが、実際占領当時のことですから、非常に何といいますか、しんぼうというよりも、もうあきらめたという形で、非常に押えられておったと思うのですがね。それにしても、見ると、非常にこの法律は、修正はされておりますけれども、先ほどの説明を一覧しましても、非常に給付率が、私は、その該当者の実情から見ると、低いと思うのです。いろいろと個々に当たっていけばいろいろありますが、時間がきょうは早く終わることになっておりますので、一つ言いますと、若干いろいろ増額されておりますが、修正されておりますが、葬祭費は、これは依然五千円ということで、そのままですか。
  220. 林一夫

    政府委員(林一夫君) それは、原案のまま五千円でございます。
  221. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは、その当時葬祭をしたのだから、その当時の貨幣の実態からいうと、五千円で葬式ができた、こういう答弁をされるかもしれませんが、昭和二十七年前に起こった問題としては、いかなる場合でも、五千円で実は葬祭ということは可能でなかった、実態はそうでなかったと思うのですが、調達庁はどう考えておりますか。
  222. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 葬祭給付金と申しましても、私どもは、これは霊前に供える弔慰金というようなことで、この五千円程度が適当であろう、こういうふうに考えたわけでございます。御参考までに申しますと、たとえば、未帰還者留守家族等援護法の規定による葬祭料というものがございますが、これが三千円、また、掛金をかけております国家公務員共済組合法の規定による埋葬料というものが、最低六千円というようなことになっております。ほかの各葬祭料とか、あるいは埋葬料というようなものを勘案しまして、五千円程度が適当であるということで、このようにいたしたのでございます。
  223. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういう例を引かれましたが、この種の死亡者というのは、単なる、今例に引かれたような、普通に死んだわけではないのです。もちろん、死亡の給付打ち切りといいますか、だけれども、その当時は泣きの涙で実際葬式を出したという実情なんです。したがって、先ほど言われました他の共済組合とか、あるいはそういう点の葬祭料と、私は相当意味が違うと思う。われわれは、戦争に負けて、占領軍がやったことだから、もうやむを得ないということで、実は押えておったと思いますが、その当時、慰労金といいますか、見舞金ということで、県からも相当出しているようでございますが、実情は実に気の毒です。私は大阪の出身ですが、東住吉区でもやはりそういう人がありまして、もう実に悲惨です。その当時を振り返ってみると、涙がこぼれる。とにかく進駐軍のあのやり方を見まして、われわれは、もう実に切歯扼腕をしたのですが、占領軍だからやむを得ないということで、その人も泣き寝入りをやっておりました。それは、調達庁長官も実情を聞いておられると思う。そのときの実際の事故を経験した人を私は見ておりますから、そういう感情ではない、実態から見ても、葬祭料五千円で、それでいいのだという。もっと出さなければならぬけれども、財政上こうだという理屈であればわかるが、国の措置として、他の方が六千円、あるいは三千円だから、これは五千円でいいのだという考え方措置することには、この問題は当てはまらないと思うのですが、その点、どう考えておられるか。
  224. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 私どもといたしましても、こういう占領軍等の行為による被害者に対しては、非常に同情いたしておるのであります。いろいろの点から検討いたしまして、五千円程度が適当であろうということで、私どもはこのように立案したのでございます。
  225. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 単に葬祭料だけではないのです。十五万円を二十万円に上げたという、修正された衆議院の事情も私は聞いておりますから、今さらこれをここでどうこうということも言えないと思いますが、これにしましても、二十万円で、これでいいのだという、私はそういう考え方の問題を今追及している。実際問題として、あの敗戦によって、当時、こういうことを言っていいかどうか知りませんが、占領軍が来て、金もうけしているやつがいるのです。それに、命まで取られて、犠牲者というものがここに三千ほどおられる。また、一万人の該当者がおるのですが、こういう人に国が相当手厚い一つのものをやっても、私は財政がどうこうということでないと思うのです。私は、そういう点を実は今言っているのです。この額がこういう工合に少ないから、ここでこうせいということは、衆議院段階で済んでいるのだから、言いませんけれども、そういう考え方があっていいのかと思う。しかも、それがずっと待たされて、講和条約ができてからすでに十年近くなった。それで、ここでこの法律を作ってやろう、こういうのですが、私は、この点が非常に不満なんです。したがって、きょうは、次の次期に譲りますけれども、各条についていろいろ質問したいのを譲りますが、まず、調達庁としてはそういう考え方に立ってもらいたい。その上で、この案を次回にひとつじっくりと審議したいと思いますが、この点については、調達庁はこれをやる役所だと、事務的にものを考えておられると、物事すべてがうまくいかぬと思いますが、調達庁という役所は、やはり国民の駐留軍から受けた損害に対して、国を代表して、あたたかく国民を守るという私は立場にあるのじゃないかと思う。調達庁というものは、ただ与えられた法律だけを施行しておったらいいということでは、問題は私は解決しないと思うのです。その点ひとつ。きょうは、これを最後にしておきましょう。
  226. 林一夫

    政府委員(林一夫君) 調達庁といたしましては、こういうような被害者に対しては、非常に同情を持って考えて、いろいろの思慮のもとに検討して参ったわけであります。その結果、この政府案に盛られておるような金額になった。それを検討するについては、ほんとうに人身被害に対する見舞金支給の実態とか、あるいは人身被害に対する他の法律との均衡というような、いろいろな点から判断しまして、この金額が適当であろう、こういうふうに考えてやってきたわけであります。
  227. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  速記をちょっとやめて。   〔速記中止〕
  228. 大谷藤之助

    委員長(大谷藤之助君) 速記を起こして。  本日は、これにて散会いたします。   午後五時三分散会