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1961-12-08 第39回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月八日(金曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————   委員の異動 十一月九日委員基政七君辞任につき、 その補欠として赤松常子君を議長にお いて指名した。 本日委員松本治一郎辞任につき、そ の補欠として安田敏雄君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     大谷藤之助君    理 事            鶴園 哲夫君            山本伊三郎君    委 員            石原幹市郎君            上原 正吉君            木村篤太郎君            下村  定君            中野 文門君            一松 定吉君            山本 利壽君            吉江 勝保君            伊藤 顕道君            千葉  信君            松本治一郎君            横川 正市君            安田 敏雄君            赤松 常子君            高瀬荘太郎君   国務大臣      国務大臣  藤枝 泉介君   説明員      人事院総裁 入江誠一郎君     人事院事務総     局給与局長  滝本 忠男君    総理府恩給局長 八巻淳輔君      調達庁長官 林  一夫君       調達庁不       動産部長 沼尻 元一君      大蔵省主計      局給与課長 平井 迪郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等  に関する調査  (恩給に関する件)  (公務員暫定手当に関する件) ○国の防衛に関する調査  (太田大泉飛行場の返還に関する件)  (北富士演習場補償に関する件)     —————————————
  2. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) これより内閣委員会を開会いたします。  まず、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、恩給に関する件の調査を進めます。政府側出席の方は、八巻恩給局長でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。——委員の方に御質疑がなければ、私より若干質疑をいたします。先般この当委員会で、通常国会恩給増額に関連した附帯決議がなされておるわけですが、その附帯決議に対しまして、その後当局のほうはどういうような検討なりあるいは準備を進められておるか、お伺いしたいと思います。
  3. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 旧軍人恩給並びに退職公務員恩給につきましては、現在の給与ベースといいますか、恩給給与ベースというものは、御承知のとおり、昭和二十九年の一月一日から実施なりました一万五千円ベースというところまで、古い戦前の旧軍人方々、あるいはその後おやめになった方々でも、古い前のベース時代方々でも、とにかく昭和二十九年の一月一日に実施されました給与体系におけるベースまでずっと持ち上げてくるというふうなことをやったわけであります。これは昭和三十三年の法律百二十四号というものによりまして、その増額実施したわけであります。ところで、その昭和二十九年一月以後、公務員給与ベースというものは、三十二年の四月の俸給の切りかえと申しますか、新しい給与体系になって実質的な改善が加えられた以後におきましても、三十四年の十月にもまた給与体系が変わっておりまするし、また、去年の十月にもいわゆる二万四千円ベースなりましたし、今年の十月にはいわゆる二万七千円ベースと言いますか、二万六千何百円というベースになってきておるわけであります。そこで、従来の考え方といたしましても、必ずしもこの恩給の、旧退職者基礎俸給というものを現職者にリンクさせるという考え方はとっておりませんけれども現職公務員給与ベースが上がったということは、やはりそれだけ物価水準なり生活水準が上がったということの結果であるということを考えまするというと、やはり恩給受給者恩給基礎になっておる俸給額というものを見直していく、手直ししていく、こういう必要があるだろうと思うのです。これらの観点からいたしまして、どの辺まで手直しするか。すなわち国家財政なりいろいろ諸般の要素考えまして、どこまで手直しするかというようなことにつきまして、この春以来検討を重ねて参りまして、目下政府部内でもお互いに検討し合っている。そしてまた、その時期方法というものにつきましても、目下検討中でございまして、私ども恩給局立場といたしましては、できるだけ恩給改善という方向に実を結ぶように努力して参りたい、こう思っております。
  4. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 昭和三十七年度予算編成も、いろいろ新聞その他でいっておりますところ、あるいはその他のいろいろ政府機関のいうところを総合しますと、十二月いっぱいには大体予算編成を終わりたいと、こういうふうに私ども見ておるわけですが、少なくともその予算編成には、先般参議院でやりましたこの附帯決議の線に沿って、ただいまの発言の線に沿って、具体的に措置されると考えてよろしゅうございますか。
  5. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) その結果につきましては、今私が希望的観測を申し上げるわけにいかないのでありますが、政府部内でもいろいろ議論がございまして、われわれの考えておるところまで実を結ぶかどうかということについては非常に問題がありましょうけれども、まあ私どもとしてはできるだけ努力して、この改善が実を結ぶようにして参りたい、こう思っております。
  6. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 今の恩給改善あるいは増額という言葉を、もう少し掘り下げてみますと、いろいろ恩給受給者に関連した共通の問題がございますね。たとえばベースアップと、これに対応してということになると、各受給者それぞれ共通した問題がある。それからもう一つは、そういう共通の問題でなくて、あるいは遺族扶助なら遺族扶助をもらっている立場もある。あるいは生存軍人方々恩給の問題、あるいは文官退職公務員恩給の問題、それぞれ個々の問題について、内部的には不均衡なりあるいは不合理という問題があるわけですが、それは両方ともひとつ是正を考えておられるのか、あるいは共通の問題を取り上げるのがまず行き方としては妥当かどうか、そういう点についてはどういうようなお考えをいたしておられますか。
  7. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 思給の内部における恩給相互間のいろいろ不均衡というような問題につきましては、大体解消しているのではなかろうかと私は考えております。もちろん個々恩給受給者そのグループごと考えますというと、現在よりも実質的に処遇を向上してもらいたいという意味でいろいろな御要求があるわけでございまするけれども、やはりその中でも最大公約数としての問題というものは、恩給というものは退職当時の俸給というものを基礎にして、それと在職年数あるいは退職したときの公務であるとか非公務であるとかいうふうな事由、そういうものを要素といたしておりますので、やはりの根っこになる俸給というものをどう見直していくか、基本俸給というものをどう見直していくかということが、一番まんべんなく全体の二百二十五万恩給受給者全体に行きわたる問題でございまして、その問題がまず解決されないことには、自余の問題というものは、いろいろ問題がございましょうけれども、それよりもどちらが先かということになりますると、全体を通じた問題というものがやはり優先するというか、それを先に取り上げなければならぬ、こう思っております。
  8. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 今の御発言に関連してですが、私も今の当面の問題としては、やはり共通するこのベースに対する改善の問題、これは共通の問題としてまた当面の改善の一番中心の問題として、できるだけ早く、そうしてひとつ現行ベースにも合わせるというような線で、ひとつ思い切った改善をやってもらいたい、またやるのが筋だ、こういうふうに考えておりますが、同時にその恩給の中のこのベースアップに関連して、個々の特定の問題は、いろいろ拾いますとたくさんありますけれども、今までの経過から見ると、特に恩給受給者の中でも一番困っている人、いわゆる遺族関係扶助料、あるいは所掌外ですけれども遺族年金に関連した、この遺族関連立場においては、最近特に非常に要望の強い戦没未亡人特別加給ですね、これも当然ベースアップに関連して、いわゆるベース改善進捗度とにらみ合わせて、別のものとして私は当然考えるべき筋だと思っておりますけれども恩給局長どう考えておられますか。
  9. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 今お話のございましたように、受給者グループそれぞれの御要望というものの一つといたしまして、遺族の中でも未亡人処遇改善という意味で、ほかの戦没者の御両親であるとか、あるいは遺児であるとかいうものとは別に、未亡人については特別に何らかの措置を加えるべきである、こういうような御要望もございます。しかしながら、これは、退職年金制度あるいは公務災害補償制度というもの全般を通じまして、遺族の中で特に未亡人だけを特別な扱いをするという制度を全体としてとっておりませんものでありまするから、戦争未亡人方々だけにつきましてそうした体系をはずれてものを考えるということはなかなかむずかしゅうございます。したがいまして、今後とも十分検討はいたしまするけれども、現段階におきましては、それをどうすべきであるというような結論にはまだなっておるわけでございません。
  10. 下村定

    下村定君 関連質問。ただいまの恩給局長お話し了承いたしましたが、現在の恩給法範囲内でも、だれが考えてもこれはこぼれておるというふうな問題があるのではないかと思う。たとえて申しますと、沖繩における戦時加算の問題、これなんかは法律を変えなくても政令か何かでいくことじゃないか、そういう方面に対しての恩給局としての今後のお考えを念のために伺っておきたい。
  11. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) ことしの法律百三十九号によりまして、旧軍人戦務加算というものを認めまして、それによって、恩給年限に達する方々につきましては、普通恩給あるいは遺族に対しましては普通扶助料を支給する、こういう法律が出たわけであります。これはすでに戦前既裁定のある人、戦前加算がついて恩給証書を握っている人、これは軍人恩給が復活いたしましたときにそれは権利として認め、年額を支給しておるわけでありますけれども、これに反しまして、いわゆる未裁定方々、この人たちについては認めない、こういうアンバランスがあったのでございまして、これを解決するというために、法律百三十九号では既裁定者と同じように昔の制度にのっとって加算がつくならば恩給が給せられる、恩給年限に達する、こういう人たちに対してもやはり未裁定であっても恩給を支給しよう、こういう法律であります。したがいまして、昔の制度というものの中には沖繩という地域加算対象にならなかったのであります。したがいまして、沖繩地域であるとかその他の地域を新しくここに設定して参るということになりますというと、既裁定者と未裁定者とのアンバランスの解消というものをこえて、新しくそこに加算地域を設定するということになるわけでございます。この問題は百三十九号の精神から相当一歩前進した形のものになるわけでありまして、こういうことをやっていいかどうかという問題は今後の政策問題となるわけでありまして、必ずしもそれが単に政令でできるとかなんとかいう問題でない、やはり法律事項として今後の政策問題だ、こういうふうに考えております。
  12. 下村定

    下村定君 今の御説明はよくわかるのであります。沖繩は御承知のとおり、あれほど苛烈な戦争をやったので、あれが戦中加算範囲外にあるということはどうしても理屈の通らぬものだと私は思う。いろいろ手続上の問題、法律上の問題もありましょうが、これはぜひ継続してひとつ御検討、御推進を願いたいと存じます。これは要望でございます。
  13. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと恩給局長に尋ねますが、資料を、これは軍人並びに文官一括した数字ですか。
  14. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) これは軍人恩給並びに文官恩給令部一括した数字でございます。
  15. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 お話を聞いておると、仮定俸給の改訂がもうすでに一つ腹案があって、予算要求したように聞いておるのですが、そうですか、その点。
  16. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 打算要求という正式な形ではやっておりません。私ともの予算、こうあるべきではなかろうかということにつきましての事務当局としてのいろいろ考えを持っておる、こういうことでございます。
  17. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その仮定恩給、いわゆるベースアップとの腹案というものはまだ発表できませんか。
  18. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) その辺はまだ公式の席上で権威なもって申し上げる、こういう段階にないわけであります。
  19. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それは恩給局のほうで大体そういう一つの作業をしておって、もうすでに予算政府のほうできめられようとしておりますね。今委員長が直接質問されておるんだが、恩給局としては来年度からこれを実施したいという考えでやっておられると思うのですが、その間の恩給局としてはそういう要求を出すという方針はきまっておるのですか。
  20. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) これは予算編成と申しますか、折衝と申しますか、それの方法論の問題でございまして、正式要求という形になるか、あるいはそれに至らないで実質的に予算編成される、こちら側の要望をいれて予算編成をされるということになるか、これは個々の問題だと思うのでありますが、いずれにいたしましても、政府部内でわれわれの意見も、反映させながら検討していただいている、こういうことでございます。
  21. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ここの「将来3ヶ年間における受給者人員及び見込額」という、この総額の中には三十七年度の千百八十八億の中には今言われたようなものが見積もられた金額であるか、それとも今の現在のままの実績であるか、これをちょっと。
  22. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) これは現在何らかの改善を加えないで推移すれば千百八十八億になる、こういう数字でございます。見積もられておらないということでございます。
  23. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、そこまで聞くとどうかと思いますが、これは将来国費の、予算関係もあるので、ちょっと聞いておきますが、もしそういうものが見積もられた場合にはこの数字より相当上がると思うのですが、どの程度、何割ぐらい上がるのですか、その点資料に関連して。
  24. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) これはこの前の昭和三十三年の法律百二十四号のときも一万二千円ベースから一万五千円ベースベースアップをいたしまして、その際公務扶助料なんかにつきましては二七・五という倍率を三五・五という倍率に平年につきましては改めたという関係もございますが、とにかく平年で一挙に実施すると三百億かかる、そのうち恩給費は二百七十億前後だったろうと思いますが、そういう措置であったわけでありますが、それを三十三年度から四十年度予算的には三十三年度、三十六年度の四カ年にまたがって実施した。したがって、三百億がなしくずしに実施されたわけでございまして、初年度にそう響かないような形を取ったわけであります。したがいまして、今後一万二千円ベースから二万円ベースあるいはそれ以上のべースに上がるといたしました場合に、二百億あるいは三百億経費がかかる、こういたしましても、そのやり方というものにつきましては、過去において行ないましたような増額と同じように、三カ年計画で三カ年の期間計画実施するというふうなことになるといたしますれば、三十七年度では出だしは四、五十億で、その次の年度が百五十億、その次の年度が二百億というふうにだんだん逓増していくというふうな予算の組み方もできるわけでございます。したがいまして、三十七年度で千百八十八億というものが、そこへいって、まあ四十億なり五十億とか、あるいは三十億なりというものがふえましても、それほど前年に対しましては響かないような形も取り得るわけであります。
  25. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いや、僕の聞いているのは、年々現在のままであれば減額、減っていくということは、これはわかるのですね。三十五年度予算編成のときに僕はこの国家公務員共済組合法に関連して質問したのですが、将来恩給改善するとしても、いわゆる現在より総体の額が上がるということは避けたい、その範囲内において改善ということもあり得るというような意味答弁があったと思う。これをこの数字を見ると、大体そういう考え方で三十九年度までいって推移しているのですが、今の答弁からみると、相当また仮定俸給の大幅なベースアップになると、相当僕は増額になるのじゃないかという懸念から一応質問したのですが、その点についてちょっとあなたの答弁はそれでいいのかどうか知らぬが、僕はちょっと納得しがたい、その点もう一回。
  26. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 御質問のポイントは、たとえば三十六年度で千二百三十億、本年度千二百三十億といたしまして、それから三十九年度までの間に、約これでいきますというと九十億落ちるわけですね。したがいまして、九十億の幅ならば増額はしていいというふうに考えるか、九十億よりもふえて増額してもいいと考えるかという問題だと思うのです。私は恩給局という狭い立場から申し上げるのですが、三十六年度国家財政に対して恩給費に占める割合というものは六・三%くらいです。で、国家財政も伸びるわけでありまして、相対的には財政に対するパーセンテージというものは、その中の受給人員というものが減るわけですから、もちろん落ちるわけだと思うのです。したがって、六・三%は逐次〇・二%か、三%か、落ちていくわけだと思う。したがって、三十九年度においてはあるいは五%台に落ちるだろう、国家財政に対して。五%台に落ちたときに国家財政というものは伸びておるわけですから、それに対する五%台というものの数字が絶対額として千二百三十億を上回ったとして、これは別に御迷惑をかけるということではないのじゃないかというふうに考えておるわけです。したがって、絶対額として千二百三十億というものが一文も上に上がってはいけないというふうにも考える必要はないのじゃないか。これは私ども恩給局だけの狭い考え方かもしれませんが、そういうふうに考えております。
  27. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もうこれ一問でおいておきますが、恩給に対して国民の考え方いろいろあると思うのです。国家財政からいくと、こういうものに対しては、国家財政全般の原則的な考え方からいうと、これは押えていかなければならない。しかし、個々に見ると、先ほど委員長も御発言しておったが、私、仮定俸給なんかをずっと調べて見ても、一律に何割のアップということには私は異議がある。ある計画所得差というものですか、そういうものに対して見なければならぬ要素が多分にあると思う。それは国家公務員に対して別の意向があるけれども軍人文官は別にしても、総括的に考えてやはりそういうきらいがあるので、今言われたような、そういう財源措置考えるにしても、有効なそういう方法考えてもらわなければ、今の時代に合わないと思うのです。この点はひとつ、希望でありますが、なおひとつ、局長のこの際見解を聞いておきたい。
  28. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) 私どもも全く先生の御意見に同感でございまして、同じ金を使うならば、社会的な必要がある面にできるだけ重点的に使いたい、こういうような考え方を盛り込むつもりでおります。このことは、すでに昭和三十三年の百二十四号でも、傷病恩給であるとか、旧軍人戦没者遺族であるとか、老齢者で一あるとか、そういう方々について厚く先にする、優先的に考えていくというふうな考え方でもって増額実施して参ったわけでありますが、今後やるといたしましても、私はそういうふうな考え方で社会的必要の多い面に先にやっていくというふうな考え方はとっていきたい、こう思っております。
  29. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 恩給局長に伺いますけれども、先ほど、話は返りますけれども、いわゆる戦没未亡人特別加納というような問題について御見解を聞いたわけですけれども恩給局のいわゆる恩給の建前からの従来の考え方からいうと、恩給局長の言われるような点もあるということも十分納得しておるわけですが、しかし、一歩進めまして、もう少し掘り下げてもらうと、必ずしも現在の恩給制度のワク内において戦没未亡人という立場を特別に考えることが行き過ぎであり、あるいは不出であるというふうにも私は考えていないわけなんですが、そういう点では検討されておられるようですから、もう一歩突っ込んで、実態の状況もよく把握しておられることですし、ひとつ検討を積み重ねていただきたいと思います。これ以上この問題についてはこの場では掘り下げようと思いませんけれども、そういう単なる、ベースアップをやるなら因る人から先にして、ひとつこの年は年寄りをやるなりあるいは戦没未亡人をやっていく、これは次にやる、というようなこそく的な考え方でなくて、やはり別の柱として、そういう観点からひとつこの問題を検討してもらうということが大事であろうと思いますから、これはひとつお願いをしておきたいと思います。  ついでに、山本委員からも資料についての問題が出ましたから、私も関連してこの資料だけを済ましておきたいと思います。今手元にちょうだいいたしましたこの資料の中で、どうも恩給減耗状況と言いますというと、これは恩給の中には扶助料もあれば一般の軍人恩給もあれば、あるいは退職公務員のあれも含まれているということで、総括的にはこの資料でわかりますが、その中で、あるいは恩給とは言うけれども恩給の中の大部分を占めておるのは現在では遺族扶助料、その部分が大部分なわけです。しかもこれは減る一方という実情にあるわけですが、この資料の中で、大体いわゆる扶助料の占める額はいかなる額であるか、資料がなければ御説明していただきたいと思います。その意味は、遺族扶助料の占める額と、遺族扶助料のこの対象人員と、それのあるいは増減、減耗状況をひとつ御説明を願いたいと思いますが、資料がなければひとつ……。
  30. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) ここにこまかい資料を持って参りませんので、概念的に申し上げますというと、恩給費がずっと減って参りまするけれども、その大きなファクターといたしましては、公務扶助料を支給している戦没軍人遺族、こういう方々失権率と言いますか、それが大きい要素になっているということでございます。大体三%から四%ぐらいその失権がある、こういうふうに考えていいと思います。したがって、百五十万の戦没軍人遺族というものに対して約五万人くらいの者がだんだん失権していく、こういうふうに考えていいと思います。この表の中で、人数の上ではどんどんふえているように見えるわけでありますが、これは先ほども説明申し上げましたように、ことしの法律百三十九号で軍人恩給加算実施ということをいたしますために、そのとき御説明申し上げましたように、七十五万の対象者という者か年令の向上とともに逐次毎年ふえて支給対象として上がってくるという関係で、人数の上ではふえていきます。しかし、金融の上では公務扶助料一に対してその四分の一ぐらいの金額でございまするから、金額の面ではずっと落ちていく、こういうふうな現状になるわけであります。
  31. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 具体的に今資料出ませんか。たとえばこの表に合わせて三十四年度扶助料人員金額、三十五年度、三十六年度、過去三年、向こう三年間の遺族扶助料対象人員、それの失権者、同時に金額予算の減る状況、これの数字ありませんか。
  32. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) ちょっと今手元にこまかい資料を持っておりませんので……。
  33. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) それじゃまたできるだけ早い機会にその資料をひとつお出しを願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。今の資料をひとつできるだけ四、五日中に提出をお願いしたいと思います。  続いて先ほどの問題に返りますけれども、いわゆるベースアップに関連しましていろいろ改善の策を考えておられる、増額について検討しておられるということでありますが、これはひとつ念のために申し上げておきたいと思いますが、前回の三年前にこのべース・アップに見合うような増額をやったわけでありますが、その時分に実は増額については、たとえば遺族扶助料の問題でありますけれども、初めてこういうことが出てきたわけでありますが、六十才以上の両親でなければ、両親が六十才以上でなければ増額をしない。こういう年令制限は初めて加味して参ったわけですね。  それから同時に、あの場合においては中尉以上に対して増額の、いわゆる制限を加えておるわけですが、今度増額をかりに考える、検討されるとするならば、かような不合理な点をひとつ是正してもらいたいと私はかように考えておりますけれども局長どうお考えですか。
  34. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) この前の百二十四号という法律案では六十才以上の年令制限、六十才以上になりました方々についてこの増額案を実施するこうやったのであります。また、階級制限という言葉がございましたが、これは一万二千円ベースを一万五千円べースに引き上げる際に、尉官以上の方々につきましては段階的に制限していく。将官クラスにおきましては一万二千円ベースから一万五千円ベースへの増額を全然均霑させないで一万二千円ベースに据え置くという措置をとったわけであります。これらの制限につきましては、やはり年令制限の点は遺族方々のほとんど大部分、九八%くらいまでが六十才以上の父母でございますから、これらの実態的に六十才制限ということも私はそう不合理なことではなかろうかとこう思っております。もう一方、階級制限の問題でございますけれども、これはいろいろその当時の財政等の関係がございまして、そういう押え方をいたしたわけでございますけれども、やはり恩給というものは身分に応じての給与処遇というふうなことを筋といたしておりまするから、これらの点につきましては、その当時の内閣委員会附帯決議のような形で改善要求のございましたことも考え合わせまして、今後こういうふうな恩給の本質からはずれた制限と申しますか、そういうものはできるだけ手直しして参りたい、こう思っておるわけです。この時期方法につきましては十分検討して参りたいと思っております。
  35. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 次に、これは資料請求でお願いしてあったと思いますが、どうもいろいろ計算なり考え方なりによって違うので、そう違うはずはないのですが、この点ひとつ資料が出ておりませんから、口頭でも、御検討していただいておると思いますから、例をあげて恩給局見解を聞いておきたいと思いますが、かりに今ベースアップに従って増額をやるということになりますと、一番低い兵長というか、一番低い恩給受納者の仮定俸給、これが総体ではいろいろ中身は取り込まれておりますけれども、五万三千二百円というこの数字が過去の二万円ベースあるいは二万四千円ベースあるいは約二万七千円ベース、これに引き直すというと、大体どういう額に当てはまるか、何か資料がありましたら御説明願いたいと思います。
  36. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) ベースというのはなかなかむずかしいのでありますけれども、私ども考えておる九万円というのは、一万五千円ベースで兵の仮定俸給九万円というのは昭和二十九年一月一日当時に実施されておりました俸給体系の中で、九万円というところに位置づけていくわけでありますが、それがその後の給与体系の切かえに伴ってどういうふうに変遷していくかということをたどっていくわけであります。それを基礎にしてはじいていく、こういうことにいたしますと、たとえば一万五千円ベースの九万円のときに公務扶助料は五万二千二百円でございます。そこで三十四年十月という恩給から共済に切りかわったあの時点における給与ベースというものがあるわけです。その給与体系というものがあるわけです。その給与体系に乗せて九万円をスライドさして参りますと、それが十万八千二百四十円ということになります。それを基礎にして公務扶助料をはじきますと、六万四千四十二円ということになります。さらに昨年の十月にいわゆる二万四千円ベースから二万五千円ですか、そのベースなりまして、そのときの給与体系に乗せると九万円は十二万二千四百円になる。十二万二千四百円を基礎にして公務扶助料をはじきますと、七万二千四百二十円ということになるわけであります。それからさらにことしの十月に給与体系が切りかわりましたが、これに乗せますというと、過去の一万五千円ベース時代の九万円というのは十三万六千八百円ということになります。これを基礎にして公務扶助料をはじきますと、八万九百四十円というふうに計算されるわけです。したがいまして、一万五千円ベースの五万三千二百円というのは、三十年の十月のときの給与体系に乗せますと約二割アップ、三十五年の十月のときの給与体系に乗せますと約三割六分アップ、さらにことしの十月の給与体系に乗せますと約五割アップ、こういうふうな五割以上のアップになると思いますが、そういう見当になると思うわけであります。
  37. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) その問題はそれでおきまして、次はこの問題についてひとつ検討をしておいてもらいたいと思いますが、今のいわゆるこの俸給による体系の最低の兵長なら兵長の仮定額と同時にいわゆる最高の大将ですか、中将ですか、その俸給の仮定額、この間の各階級というのですか、階級のいわゆる格差というものが、現行のやはりいわゆる年金受給者給与体系、年金の体系の、このそれぞれ相当するところでバランスの点でポストがあるわけですが、それを一体どういう格差になっておるか、検討されておるだろうと思いますが、概念的に言って非常な違いがあるのでありまして、あるいは同じような格差をもってその部分がやってあるのか、あるいはそうでないのか。内容の数字についてはおそらくお持もちになっていないと思いますが、概念的にでも何か聞けることがありましたらひとつお尋ねいたしたい。
  38. 八巻淳之輔

    説明員八巻淳輔君) これは非常に、文官の場合の恩給の序列と軍人の場合の序列をそう結びつけて考えるのはむずかしゅうございまして、やはりこの前の昭和二十八年、二十九年当時と申しますか、昭和三十二年のあの等級号俸の切りかえ前の通し号俸、すなわち八十二号の通し号俸の中で、兵長から大将までの俸級をどこにランクするかという階級序列です。それと判任官というと昔ですが、一般の公務員、一般文官の場合の序列をどうするかということは、やはり、これは別な問題と考えていいんじゃないか。ある程度の横の結びつきというものは、過去の制度というものを考えながら結びつきは考えておりますけれども、やはりそう密接に、文官の課長クラスで、今でいいます三等級の何号という方々が大佐のあれとぴったりするというふうに横に結びつけるというのはなかなかむずかしいのじゃなかろうか、こう思っております。やはり軍人の場合は軍人としてその給与の序列というものを形作っていっていいんじゃないか、こう思っているのす。
  39. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 今の問題はこういう角度からひとつ検討を願っておきたいと思います。ぴったり横につないでバランスを取ってものを考えてもらわぬでもけっこうですが、概念的にはそれぞれ対応する分野が下と上では限界点がきまっているわけですから、大体対応する点が取れるだろうと思いますが、そういう意味で私はひとつその炎を持ってきて御説明してもかまわぬと思いますけれども、その辺も十分にらみ合わせられぬというと、今の単なる制限なら制限の解除とか、あるいは仮定俸給に見合うベースアップとか、あるいはまた、いろいろな制限を加えるとかいうような問題が非常にアンバランスな、一見したところで非常に不合理な点が見受けられるわけですが、まあ、そういう点もひとつ今度の改善には参議院から出した附帯決議も、その辺にも問題があると思いますから、その点ひとつ十分お考え、御検討願いまして、また一つの結果が出ますれば機会をあらためてお伺いしたいと思います。大体私の質問はそれで終わりたいと思いますが、いずれまあ近くあの線に沿って、附帯決議の線に沿って改善をしようというまあ意気込みでおいでいただいておるようでありますし、当面する、またベースアップに見合う問題については十分ひとつやっていただきたいと思いますが、先ほど申し上げたような、あるいは年令制限だとか、年令制限を、みな大体六十才以上になっておるからこれをやったところでこの実害はなかろうから、むしろ六十才の年令制限を置いたほうがいいじゃないかというふうに私は話を受け取ったわけです。六十才の年令制限を貫いておかぬでも実害がなければ、さような不当な制限を最近加えた恩給法の建前からいえば、おかしな制限であって、旧来の考え方を出ないとすれば、むしろ置かないほうが当然なわけですね。実害もなければむしろかような制限はないほうが、また、趣旨の上からいってもそういう点はむしろ改めてもらったほうがよろしい。そういうようなまあ問題。それから仮俸給について一部の制限を加えておるような点もすっかりこれは従来のフラットな形に直していただきたい、そうしてやはり増額問題というものを検討されなければ、増額をしても名目だけであって、何らその恩典に浴しないということであっては、これは増額しても増額にならぬ、かように思うわけであります。まあそういう点を十分ひとつ御考慮に入れていただいて、ひとつ検討を進めてもらいたいし、同時に、なるべく年度末の予算に間に合うようにやってもらえればけっこうだと思います。同時に、先ほど申しました戦没未亡人の問題については、もう一歩よく検討をひとつ重ねていただきますようにお願いをしておきます。以上で終わります。  他に御発言もなければ本件はこの程度にとどめます。     —————————————
  40. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 次は、国の防衛に関する調査を議題とし、群馬県太田大泉飛行場の返還に関する件及び北富士演習場補償に関する件の調査を進めます。  政府側出席方々は、藤枝防衛庁長官、林調達庁長官、沼尻不動産部長、以上の方々であります。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  41. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 太田大泉米軍飛行場返還問題について防衛庁、調達庁、それぞれの長官に二、三お伺いしたいと思います。  まず藤枝長官にお伺いいたします。あなたは去る十一月二十二日、自衛隊相馬ヶ原駐屯部隊を巡視されたようですが、その際県庁で記者団に会見されて、この太田大泉飛行場返還については、その返還の見通しがほぼ確実になったという意味の意思表示をされておりますが、このことは具体的にはどういうことなのか、まずこのことからお伺いしたいと思います。     —————————————
  42. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) ちょっと委員長のほうから御報告申し上げます。  この際、委員の異動について御報貰いたします。  ただいま松本治一郎君が辞任され、安田敏雄君が選任されました。     —————————————
  43. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 太田飛行場の返還の問題については、かねがね当委員会においても御質問がありますし、その必要性も非常に強く感じまして、御承知のように、代替地の問題が中心でございまして、数カ所の代替地を選定をいたしまして、そうしてこれを日米双方において共同調査等を行ない、さらにまた、降下部隊あるいは飛行部隊等の将校をまじえて技術的な検討をさせておるような段階でございます。そうしてその候補地が地形的にあるいは飛行機の操縦等について技術的に適しているかどうかという点について、今米側でそれに基づいて研究をいたしておるという段階でございます。もっとも、前にも当委員会で申し上げましたように、日本の地形上非常に理想的なところというわけにもいかぬと思います。それらの条件の緩和等については、さらに日本側から米側に申し入れているという段階でございます。そういうことをやっていることを基礎にいたしまして、返還に努力をしておることを地元の記者諸君にお話しをしたということでございます。
  44. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なおこういうふうにも言っておられるのですが、日米合同委員会施設委員会で代替地について相当突っ込んだ話し合いが行なわれておるので、大体年度内にはほぼ返還の見通しがつくと思うと、こういう意味のことを語っておられるのですが、明生二月まで、年度内といいますと明年三月までという意味だと思いますが、こういう見通しはあるのかないのか、この点についてお伺いします。
  45. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) ただいまのような現実の事態を基礎にいたしまして、せっかく努力をいたしておる。自分としてもできるだけ早くその見通しをつける。現実にその返還になりまするについては、これはいろいろの手続の問題その他がございますから、なかなかすぐ、いつまでということは言えないけれども、少なくとも見通しはそうした辺を頭に入れながらやっておるということを申し上げたのでございます。
  46. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 その当時の各新聞みんな目を通したわけですが、私はその会談に立ち会ったわけじゃない、あらゆる新聞がみな同じように歩調を合わせてそういう意味のことがとにかく出ておるということは、一つ二つの新聞なら信頼できませんけれども、ほとんどそういう三月までにはという見通しについては具体的に出ておるわけですね。それとなかなかこういう問題は、手続その他で簡単には行かない。それはわかります。しかし、この問題はきのうきょう始まった問題じゃないわけです。もう同じことを繰り返しませんが、一昨年の赤城長官時代からの足かけ三年の問題ですね。したがって、その多くについては語りませんが、きのうきょうの問題ではないわけです。相当年数をかけておる問題です。そこで、郷里にお帰りになると選挙民の喜びそうな表現で明るい見通しなどを語られるわけですけれども、当内閣委員会で私の質問に対しては、目下検討中というような答弁を繰り返されてきたわけです。これはちょっと不可解だと思うのです。いまだかつてこの委員会で、私に対して見通しはこのくらいだとか、明るい見通しについては一言も口を緘して語っておられぬわけですね。しかし、郷里に帰られるとがぜん明るい方向が打ち出される、この点については不可解だと思うのですが、これはどういうわけですか。
  47. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 私は事実を率直に記者諸君に語っただけでございまして、明るいとか明るくないとかいうことを言ってはおりません。これはもう当委員会で伊藤さんにお答えしたと同じことを言っておるわけです。ただ、一体いつごろ、たとえば三十七年度以内には返還になるかというような質問がございましたから、三十七年度の間に返還になるというようなことは申し上げられない。それはたとえ、この日米両方の合意に達してもそれから地元との関係その他もあるので、そういうものは言えないが、できるだけ早いということで、見通しは早く立てたいのだということを申し上げたわけでございまして、内容につきまして事実につきましては、もうむしろこの委員会で伊藤さんに申し上げたほうが詳しく申し上げているつもりでございます。
  48. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお七月二十九日の日ですね、長官が新町の陸上自衛隊駐屯部隊を巡視されたことがあったと思います。その際も見通しについては明るいようなことを言っておられるので、太田大泉飛行場返還問題も明るいということで進めておりますのか、その後の内閣委員会でお伺いしてもこのような表現は使っておられないわけです。言葉じりをとやかく言う、そういう意思は毛頭ないわけですが、そこにはっきりと群馬に帰られたときには明るい見通しが何らかの表現で打ち出されて、いまだかつてこの内閣委員会では長官就任以来なかなか口がかたくて、赤城さんから、西村長官、江崎長官のようには具体的にいつごろということはなかなか触れられないわけですが、そこで、群馬に行かれてそういう表現をされる以上は、何か根拠があってのことだと思うのですが、具体的に相当進んでいないとそういうことは言えないと思うのですが、何かここでは具体的には言えないけれども、相当具体的に進んでいる面がある、そうでなくしてはそういう発言はできないと思うのですが、その辺はいかがですか。
  49. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほどもお答え申し上げましたように、日米双方でその候補地の数カ所について実地の調査をいたし、あるいはまた、投下部隊あるいは飛行機の操縦関係の部隊の将校等も調査に行き、そうして両方がこの問題を積極的に解決しようとして協力をしておる、こういう事実でございまして、私はこの結果が一日も早くよい方向に出ることを望んで、調達庁を督励しておるというようなことでございます。したがいまして、明るいとか暗いとかいう問題ではなくして、今申し上げたような事実を申し上げて、そうしてその結果がよき方向に出るように調達庁に督励をいたしておるということでございます。
  50. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 問題は代林地にしぼられてきたわけです。そこはわかるわけですが、長官はこうも言っておられる。当初既設基地について物色したが、しかし、これはなかなか適当なものが見つからないので新設する考えだ、こういう意味のことも言っておられたおけですね。そうだとすると、ずいぶんスローモーな話で、この代替地の問題は江崎前々長官のころから代林地について検討しておるということは、もうすでにそのころから発言があったわけです。今日こういうことがまだ、しかもそういう問題を討議してこれは林調達庁長官が直接出席される日米合同委員会施設委員会は、御承知のように、隔週の火曜日に持たれているわけです、ずいぶん機会があったわけです、その間に足かけ三年の間ずいぶん長い期間、隔週に持たれたわけですから、ずいぶんそういう問題について追及、交渉の機会があったと思うのですが、ただ機会があっただけで発言しなければ意味がない、そういうことでどうも私ども怠慢のそしりを免かれないというふうにしか考えられない、あまりに長い期間に、同じことが繰り返されて一歩も前進しないということ、こういう点がどうも納得できないのですが、これはどういうわけですか、そのつどはあまり交渉しておられないのですか。
  51. 林一夫

    説明員(林一夫君) この代替地の選定につきましては、今大臣からもお話がありましたように、大臣の督励を受けましてせっかく努力をいたしておる、現在米軍と共同で現地に調査を行ない、また、向こうの部隊の専門家とともにあらゆる観点からその条件等について検討をいたしておるのであります。一方お尋ねの合同委員会とかあるいは施設委員会を利用しまして、米軍の幹部に対して強くこの点について早く代替地が具体化する、実現するように条件の緩和等についても申し入れをいたしておる次第でございます。
  52. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 藤枝長官、まだこう言っておられるのですが、既設のものについては適当なものが見当たらないので新設する考えだと、こういう意味のことをおっしゃっておるわけですが、この新設については米軍側との話し合いの結果そうなったのか、あるいは一方的にただ防衛庁としての考えだけであるのか、この点はどうですか。
  53. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 多少表現のニュアンスが違うのでありまして、その既設のものばかりでなくて、新設の候補地も考えて数カ所について具体的に共同調査をいたしておるということを申した次第でございます。
  54. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 なお、その新設については現有有力なものについて二カ所ほどある、関東周辺に二カ所ほどある。二カ所も有力な候補地があればもういいかげんできまりそうなものですが、有力な候補ということで表現されていますが、考えてばかりいないで、もういいかげに実現してはいかがかとこうお伺いしたくなる、この点どうですか。
  55. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) こちらとしてこの辺は適当ではないかと思うやつを出しまして、それを先ほど申しましたように、共同調査等をいたして、さらに専門家のいろんな技術上の問題を今米側で検討をいたしておるわけでございまして、そういう意味で私どもは相当有力なものと考えておりますが、さらに技術的にもう少し掘り下げたいというので、その研究の結果を待っておるということでございます。
  56. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 米軍側にもいろいろ希望があると思うのですが、この間のその内容を見ると、調布の米第五空軍基地から百キロメートル以内で交通の発達している地区と、このような具体的な、これで言うと二条件、二つの条件を米軍側が出しておる。これはもし間違いならばこの際米軍側の希望はかくかくだと訂正いただきたいと思うのですが、もしこの前提に立つと、こんな理想的な基地があろうはずがないと私どもも思うし、藤枝長官もこの先日のお答えの中で記者団に対してやはり同じようにそんな理想的な基地が日本に、国内にあろうはずはないと、こういうことを言っておられるのですが、もしそうだとすると、なかなかこれはいつになっても解決しない問題だと思うのですが、この点はどうですか。
  57. 林一夫

    説明員(林一夫君) ただいまおっしゃったようなことはないのでございまして、なるべく基地から近いというような条件はございます。なかなかこの条件もいろいろございまして、そのような条件について各候補地について共同調査に当たってきておるのでありまして、だんだんその候補地もしぼられて参った。もちろんその条件の緩和等につきましては十分協議して強い申し入れをいたしておるわけでございます。
  58. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この米軍の希望として今二つ申し上げたわけですが、そういう理想的な基地はないということを藤枝長官がおっしゃったようです。そこでこの二つの条件については藤枝長官として、これは何か間違いかどうかということを明らかにしていただきたい。米軍はこんなことを考えていないのかいるのか。
  59. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 具体的にその基地から百キロ以内とか、あるいは交通が非常に発達しているとかいうようなことを私は米側から申し入れられているということを調達庁から聞いておりません。ただなるべく基地から近いところ、あるいは山等がなくて飛行が困難でないようなところというようなことは、これは当然言われていると思いますが、その具体的に百キロ以内であるとか、あるいは交通が非常に発達した所とかいうことが条件になっているとは聞いておりません。
  60. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そうすると、新聞記半は間違いだということになるわけですね。各新聞が同じように、こう具体的に出ているのですがね。私は、先ほども言ったように、長官の記者団会見には立ち合っていませんから、その真偽のほどはわからない。ただ、大新聞が、信頼するに十分足りる大新聞が、論調をそろえてこういうことを言っておるわけですね。そうだとすると、これは新聞の間違いだと言わざるを得ないわけですが、ただ何も発言されぬのに、百キロ以内とか交通の便利な所——こういうことになるとまた問題があると思う。ただ、長官のなるべく近い所とかあるいはあまり山の中でないというような表現がこういうことになったと思うのです。もし、そういう発言をされたとしても、そういうことはなるべく米軍の基地に近い所、そうして交通の便利な所ということにもなるわけですがね。山の中じゃ交通不便だからあまり山の中ではない所——言葉をかえせば、なるべく交通の便利な所、こういうことにも裏がえしてみるとなる。もしそうだとすると、交通の便利な所ということになると、これは問題だと思うのですね。交通の便利な所には必ず人間が集まってきますから人口稠密の地区で、ただ単なる飛行訓練でなく物資投下訓練ということで非常に危険なわけです。また、太田大泉周辺でも、御承知のように、ジープを初めとして三回誤投下事件があったわけです。この誤投下事件は、きょうは時間がないので言いませんが、全国的に非常な誤投下が繰り返されておる。最近もあちこちで問題が起きておるわけです。しかし、米軍は、そのつど、あやまちを二度繰り返さない、もうこういう失敗は繰り返さないと、そういうふうに言って次々にまたあやまちが繰り返されておる。こういうのが現在の実情だと言わなければならぬわけです。これだけの問題をとらえただけでも大きな問題だと思う。誤投下事件が次々に繰り返される。こういうことでは——私どもこれは太田大泉が返還さえされれば私どもはそれで満足だと、そういう考えは持っていない。それは日本のいかなる所に移されても、やはり交通の便利な、人口稠密な所で物騒な物資投下訓練が行なわれることには基本的に反対なわけです。したがって、こういう角度からもあまり山の中で、交通の不便でない所——私どもはそれではいかぬと思う。交通の不便な人間の少ない所で危険千万な投下訓練は、むしろやるべきだ。日本の防衛庁長官自体がそういうお考えでは、この問題はなかなか解決しないし、もしかりに太田大泉返還問題が解決しても、第二の太田大泉飛行場問題となると思うのです。  そういう点については、一体、どういうふうにお考えになっているか。
  61. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先ほど申しましたように、私の記憶に誤りなければ、何か条件があるかと言うから、それはあまり基地から遠くない所あるいは山などがあって飛行操縦に非常に困難な所でないというような条件は幾つかあるということを申し上げたわけでありまして、根本的には、それでいろいろ日本のような地形においてなかなか理想的な所はとれないので、条件の緩和も強く要請しておるということを申し上げたのは、ただいま伊藤さんがおあげになりましたように、たとえ太田飛行場が返還になりましても、人家の稠密したようなところに近接して設けられるというようなことによって、再びいろいろな誤投下等の問題が起こるというようことは、極力避けなければならないことでございます。したがいまして、そういうものも含めて候補地の選定等にも、その基地が、訓練場が設けられることによって、付近の住民に非常に迷惑がかかるようなことのないような点をも考慮しつつ、候補地の選定に当たっているような次第でございます。
  62. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 繰り返されておるように、米空軍基地になるべく近い所とか、あるいは、あまりへんぴなところでない所、まあそういうようなことを米軍が希望しているとすると、これはなかなかこのままでは解決容易じゃないと思うのです。そこで先ほども触れましたが、この代林地の問題はもう江崎長官のころからの話なんです、実は。そういう問題を繰り返し繰り返し、今日に及んでいるわけであります。そこでこの問題を解決する基本的な態度としては、やはり米軍に相当の譲歩をしてもらわないと、なかなか向こうが勝手なことを言っておったのでは、この狭い日本の国土内では、なかなかそんな適当な地が見つかるはすがないと思うのですね、したがって問題は、米軍をして譲歩させるということ、ここに重点を置かないと、なかなかもって問題は解決しない、米軍に譲歩させるのには——譲歩させる以外に解決の道がないとすると、今度は譲歩させるにはどうしたらいいかという問題になる、米軍をして譲歩させるためには、今までのような態度ではなかなか軍は譲歩しないと思う。率直に言って米軍は強い態度できていると思う、おそらく。したがって、きぜんたる態度と不退転の決意がなければ、なかなかこの問題は解決する問題じゃないと思うのですが、もう問題はそこまできていると思うのですがね。  そこでお伺いするわけですが、米軍をして譲歩させ得るに足る、それだけの不退転の決意と心がまえが、両長官におありかどうか、こういう問題まできていると思うのです。もう長い長い問題ですからね、江崎長官時代からこの問題は、代替地、代林地で、適当な代替地を目下検討中ということですから、これはそれぞれの立場でみんな専門家がそろっている、適当か適当でないかということは直ちに結論が出るわけです、それはもう繰り返されているわけです、足かけ三年の間繰り返されている。もうこの辺でひとつ、あとは態度で解決する以外にないと思う。その点の決意についてひとつ、承りたいと思う。
  63. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) しばしば繰り返しておりますように、ただいまお話のような条件の緩和ということがどうしても必要でございます。飛行操縦上致命的に欠陥になるようなものはやむを得ませんけれども、そうでない限りにおいては、できるだけこの条件の緩和をやることにつきましては、最善の努力をいたすつもりでございます。そうしてできるだけ早い機会にその結論が出るように努力いたしたいと存じております。
  64. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 この問題については、林調達庁長官は日米合同委員会施設委員会に直接参画されているわけです。したがって、防衛庁長官としての心がまえもきわめて重大でありますけれども、直接当面されている林調達庁長官にまたその決意がないと、この問題は解決しないと思う。直接交渉されるわけですから。そこで林長官の決意のほどを伺いたいと思うのです。なるべく最大限の努力をするとか、検討とか、そういう抽象語はなるべく避けられて、具体的にお答えいただきたいと思う。
  65. 林一夫

    説明員(林一夫君) この代替候補地の選定につきましては、先ほどから申し上げましたように、共同調査を行ない、また、米側の部隊関係者をまじえて討議もし、その際にもちろん条件緩和等につきましては強い申し入れを行ない、また、私ども合同委員会あるいは施設特別委員会におきましても、早くこの代替候補地をきめるためには、この条件の緩和をするということが大事なことであるという立場から、条件の緩和につきましては今までも努力をいたして参ってきておる。もちろん今後もそういうようなことに力を注ぎまして、早く代替地の決定をいたしたい、こういうふうに考えております。
  66. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 そこで、繰り返し申し上げておるように、この狭い日本の国土内、しかも人口稠密、これはどこへ行っても人間がたくさん住んでおるわけですね。そこへただ単なる飛行の訓練だけでなく、空から物を落とそうというまことに物騒きわまる訓練なんですね。したがって、もう足かけ三年の間もこの代替地について検討して米軍が了承しないというのは、結局米軍がいろいろと条件を出しておるからだと思うのです、条件をですね。その条件を満たすに足りる適地がなかなかない。これは藤枝長官もはっきり言っておられる。そういう理想的な適地はない。そうなると、先ほど言ったように米軍をして譲歩させる以外にない、そういうことになろうと思うのですがね。そういう交渉を今までやっておられるのかどうか。それで、この前もお伺いしたのですが、もうどうしてもそういう適地が日本にないとすれば——おそらくないでしょう——米軍はアメリカ本国へ帰れば膨大な土地があって、もう適地が至るところに、随所に見受けられる。だから最終的には、どうしても満足できないときには日本での訓練はあきらめてもらう、物資投下訓練については米本土で訓練をやるように、そのくらいの具体的な決意を持って交渉をされない限り、この太田大泉飛行場返還の問題はすでに足かけ三年、さらに長引くであろうということは、私どもはこの内閣委員会で繰り返し繰り返し、もう何回となく繰り返しても一歩も前進してない。言葉はある程度前述したわけです。赤城長官にしろ江崎長官、それぞれ具体的にいつ幾日までに返還と。しかし、それは何ら信頼するに足りない、国会軽視の発言であって、ただそのつどつどの便宜上の言葉としか考えられない。こういうことでは因るので、こういうふうな事態にきたんだからよほど——ただ重大な決意で、といったところで、そういう具体的な交渉を進めない限りは、この問題は解決し得ないと、こういう決意で、調達庁長官は施設委員会に臨むほんとうの決意があるのかないのか。そういうことが言えなければ蓄えませんとはっきりお答えいただきたいと思います。それで、今までそういう交渉をなさったことがあるのかないのか、そういうことをあわせて明らかにしていただきたいと思います。
  67. 林一夫

    説明員(林一夫君) 合同委員会なりあるいは施設特別委員会におきまして、私から米側にこの代林地のことについて申し出ておることは、中心はやはり条件緩和ということでございます。で、まあこれを裏返して申し上げれば譲歩——もう少し譲歩してもらいたいということで折衝を続けておる、そういうようなことでだんだんと進展して参ってきております。今後もひとつこの条件緩和ということを強く申し入れまして、さらに進展するように決意をいたしております。   〔委員長退席、理事山本伊三郎君   着席〕
  68. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 どうも御答弁、伺っておってもさっぱり、どうひいき目に見ても了承できないのですがね。そういうようなことでは一体——太田大泉飛行場については、現地については重要不可欠の土地なんですが、米軍についてはほとんど今使用していない。この前も触れましたけれども調達庁長官のこの前のお答えでは、相当ひんぱんに使用しておるような答弁でありましたけれども、私は自分の県ですからちょいちょい行っておるのです。しばしば最近も行っております。何回となく行って実情調査をしておる。ほとんど使ってない。あすぐらいはまたおそらく訓練がある。陳情のあったとき、それから私が内閣委員会質問した翌日は、あわてたようにちょこちょこと米軍の訓練がある。そうしてまた長い間訓練してない。そういうことが繰り返されているのが実情です。地元で私は確かめてきたのです。したがって、こんなに長引くなら、まず返還したらどうですか。返還して、代替地についてはもう相当明るい見通しになってきたというのだから、それはそれとして、とりあえず基地を返す。これは群馬県百六十万県民の熱望であり、知事以下、県会でも議決がなされている。そういう県民あげての長い間の要望です。しかもこの前も申し上げたので、詳しく申し上げませんが、こうやっている間にも、大会社はもうあきらめて他へみんな移転してしまう。はかり知れない損害を地元では受けている。計画は全く立たない。こういうことではまことに遺憾のきわみと言わざるを得ないわけです。そこで早急にそういうことをあわせて強い交渉をしない限りは、まだまだこの問題が長引くと思う。ただ国会でお伺いするときには、抽象語で、なるべく具体的な言葉を避けて、見通しについては触れられないで、ただ努力するとか、検討するとかということを繰り返しておる。これでは全く意味がないと思う。もうこの辺でひとつ結論を出すべきだと思う。そういう決意がありますか。その点について特にお伺いしたいと思う。
  69. 林一夫

    説明員(林一夫君) なるべく早く結論を出すように、代替地の選定について努力をいたしておるのであります。そのためには、先ほどから申し上げましたように、いろいろの条件があるのでございますが、そういうような条件の緩和を求め、米側に相当の譲歩を求めて、だんだんとこれを結論に近づけていくということが大切なことと存じますので、そのようなことで、せっかく努力いたしておる次第でございます。
  70. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 最後に一点お伺いしますが、これは大平官房長官にお伺いしたいところなんですが、きょう見えませんから……。そこでこの八月十五日に群馬県の知事以下代表が官房長官に陳情されておる。そのときいろいろお答えがあった中で、官房長官は、今後は閣僚基地問題懇談会を作って、そうしてこれは政府の問題として一挙に解決をはかる、こういう意味のお答えを陳情団に対しているわけです。そこでお伺いするのですが、閣僚帯地問題懇談会は、八月十五日ですから、現在まで大体四カ月たっております。その間にこの太田大泉飛行場返還問題を検討議題とするというふうに大平官房長官はお答えになっておる。そこで官房長官が今見えないので、もしこの閣僚基地問題懇談会が開かれたとすれば、藤枝防衛庁長官は当然にその構成メンバーの御一人であろうと思う。したがって、この太田大泉飛行場返還につきましては、閣僚基地問題懇談会で何回検討議題となり、どういうような結論になったか、こういうことはおそらく官房長官でなくても、防衛庁長官としては、当然御出席があるのでおわかりだと思うので、お伺いしておきたい。
  71. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 基地問題として、閣僚懇談会の正式な会合で、太田飛行場の返還問題について論議をいたしたことは、私の記憶に誤りなければ、ないと思います。ただし、官房長官に地元の知事以下が陳情されまして、官房長官が答えられたことについては、直ちに私に連絡があり、防衛庁、調達庁の全力をあげてこれが返還のために努力するよう要請があると同時に、もしその意味政府部内としてやるべきことがあれば、それはひとつ申し出てほしいということでございます。元来この問題は、防衛庁なり調達庁が責任を持ってやらなければならぬ仕事でございますので、自後も先ほど来申し上げたようなことで全力をあげてやっておるわけでございます。また、外務省にも外交ルートを通じてその点についてはいろいろ努力をいただいておるのでございまして、今後さらにそうした面において関係閣僚の協力を必要といたす場合には十分その協力も求めて、早期の解決に努力をいたすつもりでございます。
  72. 伊藤顕道

    ○伊藤顕道君 大平官房長官がいないのでどうにもならないわけですが、それではいずれ機会を見て近く官房長官にお伺いしたいと思うので、突然お尋ねしてもいかがかと思いますので、近くこの点についてお伺いするからと、よくその点をお伝えいただきたいと思います。長官のお答えでは、ほとんど閣僚基地問題懇談会では太田大泉の問題は検討議題となっていないというように伺っておる。しかし、大平官房長官は、八月十五日の知事以下県会の代表等相当責任者を前にしてはっきりとそういうことを言われておるわけなのです。閣僚基地問題懇談会で太田大泉飛行場の問題を検討議題としたい、そして政府交渉によってこれの解決をはかりたい、こういうことをりっぱに言っておられる。四カ月たって現在まだそれが進んでいないということについてはきわめて遺憾の意を表さざるを得ないわけです。このことをよくお伝えいただいて、そしてはっきりとお答えいただきたいということを伊藤が言っておったということをお伝えいただきたい。  最後に、要望を申し上げて、もう時間もだいぶたちましたから私の質問を終わりたいと思うのですが、繰り返し繰り返しお伺いしておるように、この問題はもう足かけ三年の問題で、もうむしろ当内閣委員会委員の各位もおそらく聞きあきておるわけです。まだやっておるのかという感が強いわけです。皆さんみんなそうだ。これは社会党の委員だけでなく、自民党の委員さんも、そういう声を皆さんから伺っておる。まだやっておるか。そういう問題をいまだに、今後も長い間繰り返すのじゃこれはとてもたまらぬわけです。そこで繰り返し申し上げたように、この問題を解決するのには米軍に相当の譲歩をしてもらう以外にはない。譲歩してもらうには相当の決意でないと、ただなまやさしい態度ではなかなか解決ははかれぬ。そこで不退転の決意で、強い意思表示で、対等の立場で、あくまでも確信と勇気を持ってひとつ折衝に当たって、早急に解決をはかるよう、もうこれ以上この内閣委員会でこの質問をやる必要がないように、そういうふうに早急に当たってもらいたいということを強く要望して、私の質問を終わります。
  73. 下村定

    下村定君 長官にお伺いいたしたいと思います。ただしこの問題は、私は党の国防部会でお伺いしたいと思っておったのでございますが、もう通常国会の開会が明日に迫りましたので、その前に国防部会が開かれそうにありませんので、この席でお伺いいたす次第です。その点御了承願います。  第一点は、仄聞するところによりますと、本年度人事院の勧告によって行なわれました防衛庁職員の給与増額の問題、あれが第二次防衛力整備計画に伴う初年度予算に食い込む憂いがあるというようなことを聞いている。この点につきまして、現状はとういうふうになっておりますか、また、長官の御意図はいかがでありますか。もしそれが事実とすれば、もう防衛力漸増の根本方針がくずれます。したがって、兵器の刷新とかあるいは長期一括計画の問題とか、こういう重要な問題が現在以上に繰り延べになるということがあっては、これはたいへんだと思う。この点をひとつお伺いしたい。
  74. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 本年十月から実施されました給与改訂によりまして、平年度約七十億の増加になりますことは事実であります。しかし、この問題につきましては、第二次防衛計画を決定いたしまする国防会議、その以前にしはしば行なわれました国防会議の議員懇談会等におきましても、こうした問題が出まして、一般的なべース・アップ等の費用は、第二次防衛計画で定められた百九十五億ないし二百十五億の範囲外であるということはしばしば確認されております。もちろん、財政当局のいろいろ考えはあろうかと思いますが、私どもはこの第二次防衛計画というものは、ああいう形で成規の形で決定され、それが閣議で決定をされ、そうしてまた、その過程において問題が確認されているのでございまして、第二次防衛計画はこの給与の改訂によって変更されるものではない、また、そうあってはならないという態度で終始臨むつもりでございます。
  75. 下村定

    下村定君 次の点は、防衛庁を省に昇格する問題でございます。これは、詳しいことは申しませんが、多年の懸案でございまして、いろいろな点から見ましてぜひ促進をしなければならぬ、また、それについて予算増額を伴うものではないということが確認されているわけでございます。  そこで、新聞等によりますと、防衛庁内におきましては、長官の御意図に従って、これに対する法制上の準備その他が着々進んでいるということでございます。ところが、これは新聞報道にすぎませんが、一両目前に、閣議の席上において川島長官が、来年度は省の昇格というようなことは実現しがたいというようなことを述べられたということを承っております。これらの点につきまして、長官の御意図をお伺いしたいと思います。
  76. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 現在の防衛庁の機構あるいは陣容その他から申しまして、省にしていいのではないか。また、そういう強い希望を持つわけでございますが、ただ、こうした問題につきましては、政府与党全体としてどうお考えになるか。これらの点を、さらに私としましては与党なりあるいは政府首脳部の御意見も伺いながら、できるだけわれわれの希望がかなえられるような方向で御相談を申し上げていきたいと考えている次第でございます。
  77. 安田敏雄

    安田敏雄君 私はちょうど防衛庁長官、それから調達庁長官と不動灘部長が来ておりますから、お聞きしたいわけですが、実はこんな問題を聞くのは、私自身がいやなんです。いやなんだけれども、事態が少しも進展していないように承っておりますから、質問をしなければならないということになるわけなんですけれども、九月の十二日に、防衛庁長官と北富士演習場地内の忍野の入会組合の組合長さんとの間に覚書をかわしております。したがって、そのことが、覚書の精神を生かして年内に片づく——まあこれまでにはいろいろの経過があったろうと思いますが、年内中に片づける、こういうことが言明せられるならばあえて私はこれからいやな質問をしたくないのですが、まず、この点についてどういうお考えを持っているかをひとつお聞きしたいと思います。
  78. 林一夫

    説明員(林一夫君) 林野雑産物の補償の適正を早くやるということにつきましては、お説のとおり、本年の九月十二日に覚書を交換した。したがいまして、この補償の適正化をなるべく早くやりまして、そして補償を早くお支払いするというように、今までその準備に努力いたして参ってきておるのであります。そのためには、やはり委託調査等を行ないまして、早くその結果に基づきまして、三十五年度分の補償額を決定いたしたい、こういうふうに考えております。
  79. 安田敏雄

    安田敏雄君 防衛庁長官にお尋ねしますが、九月十二日以降、あの北富士におきまして、米軍が演習を何ら支障もなくやっておるということは、九月十二日の覚書を地元の農民が率直に受けて、そしてこれを政府が責任を持って実行してくれる、こういう期待を持っておるからこそ演習がスムーズに行なわれておるのだと思うわけです。したがって、防衛庁長官がこの覚書について特に責任を持たなければならないと思うわけなのです。ところが、その後、地元と調達庁との交渉においては、まず十月十六日に地元の人たちが林長官にお目にかかって、それからその後、その長官の意思に基づいて、大阪の調達庁に行きました小官山不動産部次長との間において、十一月の初旬に至って、年内中に適正化の問題については解決する、   〔理事山本伊三郎君退席、委員長着   席〕 こういう公約をしたわけです。ところが、この小宮山さんが大阪へ行ってしまって、その後交渉の相手が不動席部長になってきた。ところが、不動席部長のほうは、そういうようなことはできない、こういうことで、今日まで数多くの交渉の中で事態が進展しておらないわけなんです。こういうことでは、結局防衛庁長官の覚書というものが死文化してしまうということに結論としてはなるわけなんです。こういう点について、防衛庁長官は、調達庁の長官や、あるいはまた、不動産部長に対して、あなたは任命権者として監督指揮権もあるわけなんです。また、国家公務員法上の立場、特にあなたが覚書を交換したことは政府を代表しての行為なんですから、そういう点について十分責任を持たなければなりませんが、それがなぜ不動産部長のところで進展しないか。その後の情勢が変化したという理由があったならお伺いいたしたい。特にその責任の所在については、立場を明らかにして問題の解決をはかっていただきたいということでございます。
  80. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 先般の覚書のうち、入会慣行を尊重する、あるいは演習場の早期返還ということにつきましては、目下返還についても相当な進展を見て、日米ようやく合意の点に達しかけておるわけでありまして、近く地元との交渉を持ちたいというふうに考えている次第でございます。さらに林野雑産物等の補償について問題点を再検討して、その適正化をはかるということでありまして、これに関しましては、単なる入会の慣行者とそれから調達庁だけの話し合い以上に、さらに第三者の意見も聞く必要があると考えまして、委託調査等も行ないまして、その結論を待って早急に解決をはかろうということで、調達庁を督励をいたしておるような次第でございます。
  81. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 安田君にちょっと申し上げますが、防衛庁の長官は十二時半からちょっと行かれるところがあるらしいので、できるだけひとつ長官のほうの質問を先にしぼってやっていただきたいと思います。
  82. 安田敏雄

    安田敏雄君 委託調査をして、できるだけ早急に片づけようというようなことでございますけれども、現在忍野その他については、すでにもう委託調査が終わっておるわけであります。そういうことでなくて、地元の人たちがですよ、十一月の十一日から十三日の間に、そこにおいでになる沼尻部長さんに会ったときには、沼尻部長は、北富士演習場対策協議会を通じてのみわれわれはこの問題の処理をするのだ、ですから皆さんがこの北富士演習場対策協議会に入っておらぬからだめだ、ということを言っておるわけです。それでは理由にならぬわけなんですよ。ところが、こういう問題について、過去いろいろ振り返ってみますと、九月の十一日の内閣委員会の速記録を見ましてもわかりますように、調達庁長官はそういうことを言っておりません。山本委員の顧問に対しましても、私の質問に対しましても、そういうことは言っておらぬ。そうしますと、長官の答弁というものは、これは明らかに政府を代表しておる発言であると思うわけなんです。同町にそれは政府の方針なわけです。ですから、その方針と違うところの沼尻部長が単独で発言をするということは、これはまことに不可解なことなわけなんですよ。ですから、そういう内部的な食い違いがあるということについて、やはり防衛庁長官はそこまで気を配って、なぜ処理できないかということを、単に委託調査のみに藉口してできないのだということでは私は納得できないところなんです。こういう点を防衛庁長官から明らかにしてもらいたい。
  83. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 御承知のように、この覚書の問題点を再検討してその適正化をはかるということでございます。したがいまして、これは御承知のように、幾つかの入会組合があるわけでございます。全体に関連するものでございますので、委託調査をいたしまして、その問題点を摘出してもらい、その適正化をはかろうということでやっておるわけであります。したがいまして、また関係の地元である山梨県難局等の意見も十分聞きたいという考え方で進んでおるわけでございまして、そういう点の食い違いがあったのではないかと存じますけれども、あくまで今申し上げたように、全体に関連する適正化の問題でございます。すでにきまった契約によって金を支払うとか支払わぬとかいう問題でなくて、問題点を検討して適正化をはかるということでございますので、これは単に忍野の部落ばかりでなく、他にも関係することでございます。これらを広い視野に立って適正化をはかるのが妥当であるというふうに考えておるわけでございます。
  84. 安田敏雄

    安田敏雄君 広い視野に立って適正化をはかるということでございますけれども、一体山梨県当局と適正化の問題について幾度話し合ったんですか。全然ないのですよ。話しておらぬ。県側でもまた、知事とあなたとの間において覚書を交換しておりますけれども、県側においては、今日の段階では、むしろ忍野の組合が調達庁と交渉して適正化をはかり、早く解決するということについては了承しておるわけなんです。今日の段階で地元の情勢というものは、すでに山中の長池の組合、新屋の組合、それから忍草の組合というものは同じ歩調をとっておる段階で、むしろ過去慣習入会が確定していないところもあるような富士吉田、北富士入会組合だけが協議会に残っており、あとは入会権のない関係市町村とあるいは事業団体である恩賜林組合が入っておるだけなのです。そういうような情勢が出ておって、県当局では忍野が早く適正化の問題を処理することを望んでおる状態になっておる。しかも、調達庁では、少しも県についてこの問題については話し会ったことがない。そういう段階ですから、これは当然九月の十一日のいわば内閣委員会の林長官の政府を代表する発言からいくならば、当然協議会に入らなくても、あなたの覚書の趣旨からいっても、これはもちろん忍野と交換した覚書でございますから、あなたが責任をもって林長官以下に至急にこの問題を処理するように指揮監督することが私は当然じゃないかと思うわけなんです。
  85. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) お話がありましたが、私といたしましてはそういうことでございますので、ことに今御発言の中に山型県も了解しておるんだというようなお話もありましたが、そういう意味で至急に県当局意見も聞き、そうしてこの問題に取り組むように数日来から調達庁を督励をいたしておるような次第でございます。
  86. 安田敏雄

    安田敏雄君 そうしますと、督励するというのはきわめて抽象的なことでございますけれども、年内に片づけさせるということに了解していいんですか。
  87. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 地元のいろいろな御希望もございましょうから、どういうことになりますか。年内と日を切ることはどうかと思いますが、気持としてはそういう気持で解決を急ぐようにさらに督励をいたします。
  88. 安田敏雄

    安田敏雄君 地元のいろいろな問題があるからということでなくて、あなたの覚書は、これは忍草の区長と天野重知さんとの間にかわしたものです。これはあなたが政府を代表してやったわけなんです。ですから、当然これについて責任を持たなきゃならぬ。ほかの協議会が、知事が会長の協議会がどういう立場にあろうとも、この覚書によればあなたが責任を持たなきゃならぬ。ところが、あなたのこの覚書の責任を持つという意思と相反して、調達庁の不動産部のほうでは問題が進展しておらないわけなんです。現にこの適正化の問題については、これはあとで林長官にも申し上げたいと思うわけですが、現実の問題としても、今横浜の調達庁に五人、富士吉田の出張所に二人のいわゆる林野雑産物の補償係がいるわけです。この人たちは四月から何をしているのです。何もしていませんよ。しかも、本庁では、これに関与すべく相当多額の旅費その他の予算も置いておるわけです。ことしは何もしておらぬ。そういう事態の中であなたが責任を持つといったって、それは単に政治的には責任を持つかもしれませんけれども、行政的な指導監督というものは全然行なわれておらぬ。そういう責任を私は明らかにしてほしいと思うわけです。
  89. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) 最初にお断わりいたしますが、地元の関係というのは、たとえば忍草の方々にも適正化についていろいろ御意見があろうと思うんです。これだと私のほうとの意見の合致を見なきゃならぬわけでございます。そういう京で地元の御意見もあろうからということを先ほど申し上げたんで、全体の山梨県がどうということではなかったわけでございますが、その点はひとつ御了解をいただきたいと思います。  それからそういう関係で、私はこの実現が早期にできまするように従来も調達庁を督励して参りましたが、最近に至りましていろいろその間に地元あるいは県、さらに調達庁の間に多少の意思の疎通を欠いているところもあるように私見受けますので、その点も十分に連絡いたすようにさらに強く督励をいたしまして、早期の解決に努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  90. 安田敏雄

    安田敏雄君 実は知事を会長とする、いわゆる北富士演習場対策協議会というのは、内閣の基地問題等閣僚懇談会の北富士処理方針の精神と合致しているものでもないと思うのですよ。たとえばあれは入会権者だけが中心になって作る協議会であって、それに入会権のないような者も入っておるし、入会慣行のない者も入っておるし、あるいは事業団体の恩賜林組合も入っておるし、市町村も入っている、そういう人たちも民生安定の立場のことには入ってもいいだろうけれども、問題が林野雑産物補償というような見地からいけば、これは少し矛盾があるわけなんです。しかもあの処理方針には、知事はあくまでも仲介者、勧告の立場をとるということになっておるにもかかわらず、そういう者を雑多に入れて、みずから一方的な会長になっているということなんだ、これではいわゆる民主国家のあり方の問題として多少疑点がございますけれども、そういうことで忍野組合は入れなかった理由はそこにあるわけです。ですからそういうこともあなたははっきり了承しておるわけでございますから、そのほうの点について別段気を配ることはないと思うのです。あくまでも従来の忍野とあなたの間における公約を調達庁の林長官以下が了解しておるわけですから、あくまでそれをあなたが林長官以下に対しまして、行政監督の責任者といたしまして当然そのことは早く実行するようにというその実行過程における責任をあなたが持たなければいけない、こういうことになろうかと思うわけなのです。
  91. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) その意味でさらに督促をいたしまして、早期の解決をはかるために努力をいたします。
  92. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 防衛庁長官に時間もないようですが、一言だけ。安田委員から相当具体的に言われましたが、私から一言だけ言っておきたいのですが、私は断内閣委員会でやはり信頼してきておるのは防衛庁長官です。防衛庁長官の言を信じて私はもうあれの問題は解決したのだ。ああいういざこざがありましたけれども一応おさまったのだということでおったのですが、最近調達庁長官との話がどうも食い違っている。そうすると、先ほど安田委員から言われましたように、どうも防衛庁長官は調達事務についてはまあ傍系だという方で、責任は持つけれども、あまり内容については僕は十分検討されておられないのじゃないかという気持がするのですが、今の答弁を聞きましても、どうもそういう点があります。それは無理であると思いますから、少なくとも問題の解決のめどだけは防衛庁長官が握っておってもらいたいと思うのです。年末も迫って地元では一応どうあろうともおさまった以上は、関係方々はやはり補償の適正化をしてもらって現実に金をもらいたいという気持があると思うのです。それから来年になってもどうかということは、これは防衛庁長官に責任を追及したいと思うのです。今安田委員に答えられたことを信じておきますから、もうあと二十日ほどしかございませんけれども、この点は責任を持って解決するようにやってもらいたいと思うのですが、これはどうですか。
  93. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) そういう意味もございまして、先ほど来安田さんにお答えしたようなことを申し上げたのでありまして、ただ私調べますと、いろいろ多少の行き違いもあったようでございます。それらを調節して、そうして問題の核心で解決するようにさらに責任を持って督促をいたすつもりでございます。
  94. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 急いでおられるからいいのですが、僕は実は今後林長官に質問することを実はあなたに聞いていてほしかったのです。でないと、あなたが出ていかれると、また変に問題がそうでないと言われても困るので、官房長官はおられるのですか——おられないのですね。  それでは続けますが、僕は調達庁当局を不信だという意味ではないのです。ところが、どうも防衛庁長官が責任を持って答えられたことと、どうもそごを来たしている点があるので、こういうことを言うのですが、それでは一応林長官に言っておきますが、責任だけは持っていただくということだけを十分ひとつ……。
  95. 藤枝泉介

    国務大臣(藤枝泉介君) わかりました。
  96. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは林長官に、僕はずっと前からの議事録なんかを見、あなたの答弁を見て調べておるのですが、また、当地元の方々に対するあなたの覚書と申しますか、そういう公約というか、そういうものを総合すると、どうも私自身としてはふに落ちない。私が調達庁長官に個人的に会ったときの問題、そういう問題は一切触れません。公式にあなたが当委員会答弁されたこと、あるいは公式な問題だけ取り上げて、私は質問をいたします。  そこで、いろいろ調達庁当局としては、意見があるようですが、まず最初にただしておきたいのは、地元の協議会を結成されて、それによって交渉の窓口にされたのだが、このことについては、これは法的に何も根拠がない。ただそういうことが好ましいという意味で作ったと、こういうことなんですが、その点について、もう一ぺん確認しておきますが、どうですか、間違いですか。
  97. 林一夫

    説明員(林一夫君) このような協議会を作っていただいて、協議会を通じて補償の問題を処理していくということにつきましては、これはそもそも三十六年八月二十二日の基地問題等閣僚懇談会の了解事項として、こういうような方針でお願いしたいということで、知事さんにお願いし、あるいは関係市町村長さんにお願いしたわけなんです。そういうことで、別にこれは法律的な基礎があってお願いしたわけではないのです。やはり趣旨は、この林野雑難物補償というようなことの適正化をはかるためには、どうしても地元の関係団体の代表者の方々がお集まりになって、お互いに話し合ってきめていくということが、最も合理的な方法であり、適切な方法であるというような考えのもとに、このような方針をとったわけでございます。
  98. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 法的に根拠のない、そういう基地関係の閣僚懇談会の決定と申しますか、そういうことでやられたということは、たびたび聞いておるのだから、それはわれわれわかっておるのですが、それでは次に聞きますが、そうすると、私が文書で政府に対して、実は質問書を出しておる四項目から見ると、あの協議会に参加しておらない人が、ほとんどそれに該当するのであって、現在協議会を通じてやろうと言っておる対象の人で、どれほど第一項から第四項に該当する者があるか、その点を明らかにしてもらいたい。具体的にひとつ話を進めていきましょう。
  99. 林一夫

    説明員(林一夫君) ただいま手元にその資料がございませんから、詳細に申し上げることができないのでございまするが、やはりこの協議会に参加しておる方々は地元の関係団体の代表者である、こういうふうに私どもは信じております。代表であるということは、やはりその入会慣行を持っておる方々の代表でもあるし、あるいはその他の代表の方々でもあると思いますが、これは地元の関係の団体の代表者もお集まりであると私ども考えております。
  100. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は少なくとも調達庁がその政府の機関として、補償する行政機関として、今のような答弁は私は全く何といいますか非常に遺憾と思うのですよ。少なくも補償するというのは国費によって補償するのだから、どの団体にどれだけの補償をする対象があるということを把握しておらなければいけない。私は代表者がおるということは聞いておらない。具体的に言えば、忍草にどれだけおる、それから中野村にはどれだけおる、問題になっておる富士吉田の住民の中にはどれだけの者が該当者になるのだ。それを握って初めて協議会をして解決する対象はどこにあるかということがわかる。それがわからぬと、代表者が来たので話をするということでは、協議会を作った協議会の趣旨、協議会を作ったこと自体が問題をむずかしくする、混乱するもとになると私は思っているのです。そこで聞いておる不動産部長、そういうことわかっておるでしょう。それをはっきりしてもらいたい。
  101. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) その協議会の設置を勧奨をいたしましたのは、旧来の調達庁補償の仕方について各地元の関係者にいろいろ不満がある、そういうことから、まあ調達庁としては、必ずしも私たちのやっていることを公平を欠いているとは思っていないわけでございますが、調達庁補償の仕方が、あるところには厚くて、自分のほうには全然少ない、くれないとか、そういういろいろな御批判がございまして、調達庁補償のやり方のために地元がいろいろ荒れると、そういう気配が見え始めましたので、県当局からも、そういう個々の組合と調達庁が折衝する、そういうやり方はそれはまずい、やはりこの協議会という中に地元の利害関係者が一つになってもらう、その協議会を通じて交渉するということが関係地元全体とうまくいく方法だというようなことで、そういう御意見が大へん強かったので、閣僚懇議会等を通じて協議会の設置を勧奨したわけでございますが、しかし、この協議会はどういう協議会でなければならないということは、別に法律による協議会でもございませんし、やはりこういう点は山梨県その他の関係者にまかせなければならないことでございまして、したがいまして、生まれた協議会は必ずしもこの入会慣行に関する補償ばかりじゃなくて、民生安定とかその他の入会慣行の補償以外のこともいろいろ議論する協議会になっているようでございますが、私たちとしては、こういう協議会が別によいとか悪いとか申す筋合いのものではない。この協議会には民生安定部会とか、補償部会とか、いろいろな各部があるようでございますが、山梨県としては、今後の北富士演習場全体の解決を円滑にする意味において、こういう協議会で全体問題を処理するという考えのようでございますから、別段これに対してよいとか悪いとかいうことは差し控えたいと存じます。ただ、この協議会にこの入会慣行に関する補償部会というのがございまして、そこにおいてこの国との入会慣行に関する補償は、その補償部会を通じて将来交渉するというような考え方のようでございます。そしてこの補償部会には、あるいはある者から見ればどうもちょっと入会慣行を持ってないような者も入っておるようだというようなところで問題があるようでございます。私たちとしてはこれをあんたは慣行がないんだとかあるんだとかいうことを今の段階として言うべきではない。ただ私たちとしてはこれはそういう者と将来交渉する場合に私たちとしてもはっきりした立場を持っていなければなりませんので、過般来先ほどからお話がございましたように、現存調査を委託しまして実施中でございます。これはやはりこういうふうに問題がこんがらがっている場合には、国あるいは県とか、そういうものじゃなくて、公平な立場に立ち得る第三者に調査を委託して、その調査の結果を尊重するという建前をとったほうがよかろうということで、この調査実施するについても、こういう問題が問題であるだけに引き受け手もなかなかなかったわけでございます。非常に苦労してお願いしました結果、公平な第三者に現在調査をしてもらっておるわけでございます。その結果こういう調査が完了しますというと、はたして権利者であると言っている者がどれだけ主張すべき根拠があるのかどうか、そういうこともわれわれにもやがてはっきりしてくる。そこでそういう資料を私たちとしても一応整えた上で将来話し合いを進めていく、このように考えております。
  102. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたにあまり質問せぬです。あなたが言っている協議会の性格、そんなものはあなたに聞いておるんじゃない。閣僚懇議会がきめたのだから、閣僚としてやったのは防衛庁長官に聞いておるのだから、僕が聞いているのは、あなたが事務当局として調達庁の規則第三十七号による林野雑産物損失補償額算定基準というものの基準によって調達庁が少なくとも補償しようとすれば、どこにどういう対象があるかということがわかっておる。それをどこにあるかということをあなたは今まで調査してないなら調査しておりませんと、調査しておるのだったら調査してどこどこにあると——補償を現にしているのだから、調査しておらないとは言えないでしょう。それを聞いておるのです。だから何も協議会がどういう役目を持っておる、そういうことはわかっておるので聞いておらない。しかし、現在問題になっておるのは、富士吉田が非常に問題になっているらしい。主張しておるから、そこの住民ではたして基準に合う農家がどれだけあるか、これだけ報告してもらいたい、答弁してもらいたい、これだけなんです。これ以外のことを言ってもらう必要はない。
  103. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) 現在そういう点を公平な立場に立ち得る第三者を通じて調査中であるということでございます。その結果によって私たちは判断するということでございます。
  104. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 現在、それの調査をするまでは不明なんです。調達庁では不明。不明のものについては、これはもう補償しようともできない。そうでしょう、あなたの今の答弁からいうと。そういう不明なところに重点を置いて、そして協議会の意向を尊重して云々といって、現実に補償を受けてその適正化を要求しておる人が大部分なんです。適正化がいいかどうかは今後話し合いでやられるのですけれども、もうすでにこの私の質問事項の四項に該当する人がはっきりしておる。しかもそれが大部分なんです。協議会に参加しない分が大部分なんです。そういうものを全然考えぬと——まだまだ不明である。教育大の農学部に委嘱して現在やっておるのだから、それをやる対象というのは、現在ほとんどわからないのです。私も二回ほど行って調べておるのです。そういうものを調べるというのは相当むずかしいのです。現実にそういう入会といいますか、慣行を持っておらない、林野雑産物によって生活のかてを今得ている者ではないのです。過去においてあったという主張をしているのです。しかし、私はそういう者をのけろとは言っておらないのですよ。あればそういう者を追加してもいいのだが、現実にもらっておる人についてどうするかということを今私はあなたらに追及しておるのです。それをはっきりしてもらいたい。不明なものをじんぜんわかるまで待ってもらいたい、これは通りますか、実際筋が。私は防衛庁長官にこれを言いたかったのだが、あなたらにこれを計ったって、そうかなと聞いているだけで、これをどうするかということを——林長官、一体もうすでにこの問題は九月の十何日かのあれによって地元ではもうこれがきまったものだと思っているのですよ。それを協議会の名にかりて云々ということは、これは政府のとるべき態度ではないと思うのです。もう一言、言っておきますが、これは安田委員からも言われると思うが、地元の知事側とか、あるいは知事にそういうことを約束をしたのか、知事側ですら早くやってもらいたいということをはっきり言っておるのです。そうするともう調達庁に何かの力がかかっておるかどうか、そんなことを私は憶測しないけれども、そういうのでなければ、これは怠慢ですよ。ちゃんとこういう規則を持って、基準もあってやろうとしたのに、何も手をつけておらぬ。人手不足かというと、先ほど安田委員が言ったように、人手不足じゃないのです。現実に仕事がなくて遊んで待っておるということを聞いておる。これは私は内部は知らない。人手がいつ言われたって、調達庁長官からこうせいと言われたら、いつでも仕事を、事務をとれるだけの態勢にある。それをやっておらない。一体これはだれの責任なんです。調達庁長官、どうです。
  105. 林一夫

    説明員(林一夫君) 林野雑難物の補償の適正化を早くはかるということにつきましては、私ども大臣の督励を受けて努力をいたしておるのでございます。そのために先ほど不動滝部長から説明ありましたように、第三者の学識経験者に調査を委託しまして、適正化のための必要なる資料集めております。そのようなものを参考といたしまして、三十五年度分の補償を決定しまして、地元協議会を通じて処理いたしたい、こういうふうに考えておるのでございます。まあこのようなところで現在調査を急いでおりますし、また、忍草の方々にもぜひひとつ協議会に早くお入りになって、ひとつ協議していこうということをお勧めしておるわけでございます。先ほど県知事がこの補償の適正化を急いでくれというようなお話があったそうでございますが、県のほうといたしましても、もちろんこの補償の適正化を早くはかってもらいたいという希望は申し出ております。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕はあんたに、もうこれ以上言わぬが、僕が聞くことわかっておるのですか、実際問題として。僕は調達庁のやり方については、私は全くそれでは、不信というよりも、調達庁の存在そのものに対しても、僕は別の仕事は別として、この問題に関しては非常にもう僕は疑惑を持っておるのですよ。すでにこういうものをやるという一つ調達庁規則第三十七号、ちゃんと基準がある。基準がいいか悪いかは今後適正化しようという問題だが、その対象の人はもうはっきりわかっておるのです。一部不明な点がある。不明な点というものは、あとからそういうものを主張してきた人があるということを聞いておる。現実に現在はこの林野雑産物によって依存しておらない。だが過去においてそういうものがあるということで主張しておるのです。それは聞いておる。それが大学教授に委託して、そういうものもこの対象にするかどうかという検討をさすのはよろしい。検討さして下さい。しかし、現実にもうすでに、これに該当して、今のやつを、適正でないやつを適正にしてもらいたいという要求があるにしても、現在そういう対象ははっきりしておるのでしょう。現実にやっておるのでしょう。そういうものに対して協議会云々で何ら交渉もしないし積極的に進めていこうともしない。それが、私調達庁として責任があるのじゃないかと、こう言っているのですよ。協議会に入ってもらいたい、勧めておるということはわかります。しかし、私が言っておるのは、少なくとも行政機関としては、やはり規則なり法律なりを準拠して仕事をしておるのでしょう。それを協議会があるということによってそういうものをサボタージュしてやってもいいのかどうか。それを前提に協議会というのは法律的に根拠があるか。ないというのです。法律的根拠がなければそれは一つの政治上の問題だ。そういうものにかこつけてりっぱにある法律に根拠したところの規則があるのだから、それに準拠してやらないのか。それを尋ねておるのです。それをはっきり言ってもらいたい。それをやれないならやれないと言ってもらったらいい。これは防衛庁長官にまた追及する。その点はっきり。
  107. 林一夫

    説明員(林一夫君) 協議会参加ということをたてに、サボタージュをやっておるということは絶対にございませんから、その点はひとつ誤解のないようにお願いしたいと思いますが、先ほどから申し上げましたように、林野雑産物の補償ということは、やはり関係組合相互に関連することでございまして、各組合に関連して適正化をはかるということも大事なことでございます。そういうような意味におきましてこのような関係者の方々の代表者からなる協議会を通じて処理するということが私どもは適切な方法であるというようなことで、地元の方々には早くひとつとの協議会に参加して、みなで関係組合の方々一緒になって協議してきめていこうじゃないかというふうにお勧めしておるわけでございます。できるだけこの補償を早く払わなければならないということは痛切に感じております。そのような考えのもとに調査を進め、また、地元の方々にも早く協議会に参加するようにお勧めしておるわけであります。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ことさら答弁を逃げておると思うが、あなた方相当行政官としては経歴のある人だと思うが、私はそういう希望しておるのに聞いておらない。調査して対象があるかどうかというのは、できてくればそれはまたこの基準に合わせてやったらいいのだから、協議会で話がきまらなければ一切そういう交渉において、これに手をつけない、こういう意味ですか。それをはっきり言って下さい。それだけ聞きましょう。
  109. 林一夫

    説明員(林一夫君) 協議会を通じなければ絶対に話をしないということではございません。これはもちろん法律的な根拠があるわけではないのであります。このような、先ほども申しましたように、林野雑産物補償というようなことの適正化をはかるためには、やはり相互に関連ある組合代表者の方々が集まって協議会を開く。その協議会を通じて話し合っていくということが最も合理的であり、適切な方法考えまして、こういうふうにやったらどうかということでお勧めしておるわけであります。この協議会に現在参加されていないほかの組合の方々は、ぜひひとつ協議会を通じて協議していきたいという気持を持っておられる。そういうようなわけで、全体的にこの入会組合の方々が一緒になって適正化をはかっていくということが今後紛議を起こさない大事な点であろうじゃないかと、こういうふうに私は考えております。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そういうのは矛盾だらけです。今、協議会に現在参加しておる人々についての対象というのは、今不明だと言っておるのでしょう。わからない連中が協議会に入ってやっているというのですね。現実に切実で、すでに決定して適正化を望んでおる人が、不明の人に便乗されて、進まないという状態が出ておる。そこまでいったら、あなた以外の人はみな了解を得ていると思う。そういうもののために、ほとんど九割九分という人は判明しておる。わからないものの作った協議会に入らぬとこれは話が進められない。関係があるから、関係があるというのはわからないから。関係があるといっても、それは逃げ口にすきない。そういうことで地元の人が納得はいたしませんよ。納得しないどころじゃない、調達庁に対する不信というものも、問題にならぬですよ、あなたの答弁では。だから私は言っておるのです。その問題の関係の人々がどれだけおるのかと言ったら、不明だ、と言っているのです、調査部長は。わからない、これが調査をして、大学教授に依頼をして調べないとわからないと言う。わからない者のために、わかったその九割の人が、じんぜんお前は持てということはできるか。しかも一つも手をつけていないのです。適正化について話し合いもしていない。話し合いをする過程において不明なところが判明してくれは、関係があるのだからこれはこうだということで話をするというならわかりますよ。そうじゃないのでしょう。私は結論的に言って、言ったように、この協議会で話ができるまではこれはやらないのだ、これだけ言ってもらったらいいのです。ほかのことは言わない。やれないならやれない、やるならやる、これでいいのです。
  111. 林一夫

    説明員(林一夫君) 御存じのように、この協議会というのは、関係の組合の方々のお集まりの団体でございます。すべての組合が円滑にいくためには、この協議会を中心としてやっていくということが大事なことであります。この協議会の仲介、あっせんの労をとっておるのが知事を代表者とする県でございます。県の意向としましても、なるべく全部この協議会に参加していく、この協議会を通じてやってもらいたいという強い要望が今まであったのであります。そのような点から考えましても、やはり地元、県、われわれお互いが気持を通じ合っていって円満な解決、適正化をはかっていくということが好ましい方法ではないかということで進めておるわけであります。
  112. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうも納得ができないのですがね。過去の経過を見ましても、何か協議会が相互に関連しておるから、協議会を通じて解決するのだというような、いわゆる歩調をそろえるというような印象を受けるのですが、実際今まで支払い事務につきましても、忍野、忍草、山中の長池の組合は三十四年度は解決済みなんです。そこであらゆる組合は、これは今計算中、この三団体は、一番北富士の林野雑産物の入会慣行については関係がある。最も関係の薄い北富士入会組合と明見入会組合、これはまだ三十四年度まで解決は全然していない。こちらの方は三十四年度まで解決して三十五年度を待っているわけです。そういう考え調達庁自身ですらあるわけです。このところに持ってきて協議会云々という昔葉を入れることは、どうしても納得ができない、こういうふうに私は思うわけです。  そこでさらに、この覚書というものは忍草の入会組合の区長さんと防衛庁長官と取りかわしたもの、ですからこれを単に政治的に休戦するというならいいのですよ、それで。しかし、これはおそらく今後実行していこうという趣旨は入っているだろうと思います。また、それを期待しているからこそ、今、日米軍が何の支障もなくあそこで演習ができていることなんです。だから、それを、演習ができているという裏づけをするためには、この取りかわした組合と早急に問題の解決を処理するということが、私はこれは政治的な、いわゆる行政上の責任だろうと思うのです。その行為が全然されていない。過去の経過を申し上げましようか。この適正化の問題につきましては、昭和三十二年の三月八日、当時の調達庁動産部長の松木さんと横浜調達局不動産部長の大竹さんより適正補償についての金井が入っているわけです。それから、三十三年の三月十九日より二十日午前二時三十分まで調達庁において適正化の会議をした。単価及び二割天引き等の問題十一項目について後日協議を約しているわけです。それからその次に、その後引き続いて協議会の再開を請求して参りました。本年に至り、横浜調達局より協議会を二月二十一日に開く旨連絡があり、同日出頭いたしましたが、通知をしておいて不在のまま。本年四月二十四日、村山委員山本委員の両理事より、調達庁不動雄部長に連絡し、四月二十六日、協議会を開くことになった。当日出頭したところ、調達庁は横浜に行けと称し、横浜に行ったところ、長渕不動産部長、担当課長が不在とのことで協議ができない、こういう結果になっておる。そこであのような問題点が、紛争が出てきたわけですよ。そこで九月十二日に、もうせっぱ詰まって、政府側としては米軍にどうしても演習させなければならぬから、結局藤枝防衛庁長官が政府を代表して責任を負って三項目の覚書を交換したわけです。で、十月六日に地元民があなたのところへ行って、あなたと話し合って、その後あなたの趣旨を体して小官山不動滝部次長が地元との間に適正化をするという交渉の中で、十二月中に、年内中に解決するという約束をしたわけだ。ところが、この不動産部次長が大阪のほうへ転勤になってしまって、そして十一月十一日に調達庁へ行ったところが、今度は不動産部長、そこにおいでになる沼尻さんが、小官山不動産部次長と地元民の確約を、しかもこの確約は防衛庁長官のいわゆる覚書と、いわゆるあなたの行政指導といいますか、命令によって行なわれたこの地元民と次長との確約を、今度は不動産部長が前言を翻して、協議会に入っていなければだめだ、こういうことを言っておるわけだ。ですから、問題が出るわけなんです。ところが、協議会に入らなくてもあなたは交渉するということを九月十一日の内閣委員会で言明しておるわけなんです。ですから、いつ、そういうように情勢が変わったか、そこのところを明らかにしてもらいたいと思うわけです。そういう地元と調達庁の適正化の問題については、もうすでに方針はきまっておるわけなんです。ところが、今日それにブレーキをかけているのは、いわゆる地元炎の従来ほとんど依頼勧告があったかないかということは、補償が少ないからということで、知事を中心にして協議会を結成したわけです。私どもは、地元民は民生安定の問題については何にも言っていない。もちろん民生安定の問題については、政府がじかに直接やってもよろしいし、山梨県を通してやってもいいし、地元町村を通してもいい。それは入会慣行者が介入する問題じゃないわけだ。問題は、入会慣行についての入会林野雑産物の損害に対する補償なんです。入会権のことはあまり言いませんけれども、いわゆる個人の権利なんです。それを団体作って、団体をあげて調達庁と今日まで交渉してきているわけです。そういう経過があるにもかかわらず、ここでいつまでも遷延するということは、私はおそらくこのまま遷延したら来年またおそらく演習はできませんよ。ことし以上の大騒動になりますよ。しかも伊地においては実際入会慣行のある人たちが忍草を中心に今度は新屋も一緒になって山中の長池の組合も今度は一緒になってきている。大部分そこに入会関係の人がほとんど一緒になってきた。もちろん補償の問題については、今日山梨県知事が中心になってやっている協議会の影が薄くなってきておる。そういう実態を把握しているからこそ、山梨県知事は当局においても適正化の問題は協議会でなくてもいい、早く調達庁はやってもらいたいという意思をこのごろは持ってきた。ですから不動産部長の沼尻さんがどういうわけでそういうように固執するのか。問題は、もう方針がきまっておるわけです、早く……。しかもあなたは不動産部次長を監督指導する立場にあるわけですよ。小宮山不動産部次長が確約したことを、今度は部長のほうがこれをほごにして、一貫していない、行政指導が……。ですから問題はいろいろあろうかと思いますけれども、とにもかくにも年内に片づけるということを言明したら、私はあえてそういういやらしいような質問をしないわけです。それはお互いのためなんです。御答弁をお願いします。
  113. 林一夫

    説明員(林一夫君) 林野雑産物の資本の適正化をすみやかにやるということは、お説のとおり九月二十六日でございましたか、大臣の覚書にございました。私どもはすみやかにこの適正化をはかるように努力しておる、その意味におきましても、この適正化をはかるために学識ある力に調査を委託して、今その調査を急がしておるので、このような資料を集めて、三十五年度分についての補償について、協議会を通じて処理したい、こういうふうに考えておるのです。先ほど十月に地元の方々が私に会われてのお話でございますが、十月、確かに忍草の組合の代表の方々にお目にかかりました。そのとき私からも、どうかひとつこの適正化を早くするためにも、せっかくできたこの協議会に皆様参加して、みんなの力でこの適正化をはかっていただきたいということを勧めていたわけです。そのときにもう小官山次長は、一緒に聞いておったわけです。そういうようなことで、私どもがこの適正化をすみやかにはかり、そして補償実施するためには、皆様が一緒になって合理的な方法考え出すということが大事であるという方針をとってきておるわけであります。先ほど安田先生のお話では、県知事は最近個別的な折衝でもいいから、早く補償をきめてもらいたいというような意見に傾いておるというようなお話でございますが、私どもはやはりこの県に仲介あっせんの労を依頼しておる関係上、県の御意見を十分聞いてみるのでありまするが、私どもの聞くところによりますと、県としましては、やはり早くこの協議会に参加して、適正化をはかってもらいたいという強い御意見を持っておるようでございます。かれこれほかの組合のことも考えまして、早くこのような全般的な協議機関を通じて適正化をはかりたい、このように考えておるのであります。ひとつ今後とも御協力御指導を願いたい、このように考えておるのであります。
  114. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうも抽象的で了解に苦しむわけなんですが、それではその具体的の問題として、地元民と小宮山不動産部次長と十一月六日にいろいろ話し合った結果、年内に適正化をはかるという約束をしたわけであります。ところが、大阪へ転任以来というもの、今度は不動産部長のほうは、協議会に入らなければ交渉に応じないということを言っておるわけなんです。どういうわけでそういうように変わってきたんですか。そういうところを明らかにしてもらいたいと思うのです。
  115. 沼尻元一

    説明員(沼尻元一君) 小官山前次長と私の間に食い違いがあるようなお話でございますが、小宮山君が申された趣旨は、この問題を円滑に処理するために、やはり早く協議会に入っていただいて、そして年度内にわれわれがこの支払い等ができるように、適正化という問題は調達庁としてもこれは責任をもって処理しなければならないというふうに考えているわけでございます。そういう意味から申しましても、早くその協議会等に加わっていただいて、そういうことによって今年内にはそういう処理をいたしたいと。そういう気持で言われたように聞いておりました。そういう点、私との間にそごがあったわけではございません。こういう重要な問題につきましては、私のほうの部の前次長ともよく日常も話し合って、今後の進め方等についても密接に連絡しておりますので、そういう意味で年内処理をしたいというふうに言われたことを承知しております。
  116. 安田敏雄

    安田敏雄君 それでは協議会云々のことが、よく延期しておる理由として言われておりますけれども、林長官は政府を代表して責任ある発言をしておるわけなんで、そのことはおそらく政府の方針であろうと思うわけです。さらに参考までに、これは速記録の抜き書きでありまするから読んでみますと、九月十一日の内閣委員会で、山本委員質問に答えてあなたはこう言っている。「調達庁の者が、協議会を通じて話し合うというようなことを言ったことを聞いております。その意味は、協議会を通じたものでなければ相談に乗らないとか、あるいは話し合わないという意味ではないのでございます。協議会というものがせっかくできた、みんなで一つ意思の疎通をはかって、その場でもってきまることもあるし、あるいは協議会のあっせんによって、また組合同士で話し合うこともあるというようなことで、いろいろ弾力的な話し合いの方法があると思うのです。協議会を通じてだけとか、あるいは協議会できまったことでなければ話し合いに応じないという意味ではないと私は解釈しております。」とあなたは言明しておるわけなんです。それから私の質問に対しましても同じように「協議会の趣旨は、先ほど申しましたように、県のあっせんによって、みな寄り合って相談をしていくという考えで、それならば政府としましては、協議会できまったものでなければ交渉しないかというと、そういうことではない。」こう言っておるわけなんです。ですからできることならば、その協議会の場が望ましい。しかしながら、協議会というものの性格が、地元民の中でも了解できない問題がたくさんあるわけであります、協議会自体のあり方について。しかも演習地に対して一番利害関係のある組合が、いわば林野雑産物の補償を最ももらう資格のある組合が、その協議会に入らないわけです、いろいろの疑点があって。ですからよけいにこの協議会と一緒に意思を通じて相談し合うという段階に入っておらぬ。しかも今まで調達庁も正当と思われるところの場では、この人たち補償料を三十四年に払ってきた経過もあるわけなんです。ですから、そういう協議会の中に資格があるかないかわらぬようなものがたくさん集まって、協議会を作っておる。それを中心にして林野雑産物の交渉をしようということは、これは少し主客転倒しておるようにも考えられるし、あなたの国会答弁の中からいきましても、これは当然責任ある言葉としてそのことを実施する、行政を行なう上においてあなたが責任をもって部下の職員に指導していかなければならぬ立場だろうと思うわけです。今さら協議会云々、歩調を合わせるというようなことは、少しも私は理由にならぬと思う。しかも学識経験者に、今まであるかないかというような人たちに、——あなたそんなことを一々調べておって、そのほうのいわゆる見通しがつかないうちは、すでにある人たちのやつは、そのままたな上げだというようなことになって、これは不親切もきわまるものだと思うわけです。どうですか、年内中にほんとうにこの覚書でも、地元の入会組合長さんと防衛庁長官の覚書、しかもあなたがその監督指導する責任ある地位なんです。ですから、この趣旨を生かすならば、他の組合のことは、それは学識経験者の調査の結果を待って、順次解決すればいいわけなんですから、やがて三十六年度も支払わなければならぬ、ですから、この三十五年度の支払いにあたっては、至急にその適正化を、いわゆる地元組合との間において協議に入って、そうして問題点は残るかもしれません。しかし、協議に入って、年度中に片づけるという中で、問題を処理をするということが、一番妥当ではないかというように私は判断しておるわけです。御答弁お願いします。
  117. 林一夫

    説明員(林一夫君) 私が、九月でございますか、当委員会において発言したことにつきまして御指摘がありました点でございますが、私がそのとき申し上げた趣旨はこういうことでございます。協議会というものをせっかく作ったんだ、ですからその協議会を作った趣旨を円滑に生かすためには、できるだけすべての組合がこれに参加して、全体のものが一緒になって適正化をはかっていくのが適当ではないかということでございます。ただし、協議会を通じなければ交渉には応じないというようなことは、大体この協議会というものが法的な基礎がある団体ではない。協議会を通じてでなければ交渉には応じないというようなことは、申し上げることはできないのであります。したがいまして、協議会等のあっせんによって、何かほかに交渉する方法があればいたします。あるいは知事が協議会の仲介あっせんの労をとっておられるから、知事から何かほかの交渉の方法を教えていただけばその方法によってもいたします。要するに、協議会というものは、中心になってやっていくという考え方を生かしていかなくちゃならぬ。そうすることが、最も円満に解決する方法であるというような趣旨のもとに申し上げたことでございます。  さらに学識経験者の調査の話が出たのでございまするが、これもやはり補償の適正化を早くやるためには必要な方法考えまして、これは県ともよく相談しまして、このような方法をとって、目下この調査を急いでおるわけであります。これも適正化をはかるためには、大事な要素であろうと私は信じております。さらにこの覚書のすみやかに適正化をはかるということは十分に承知いたしておりまして、目下そのようなことで早くこの適正化をはかって、三十五年度補償を早くお支払いしたいということで、せっかく努力いたしておる次第でございます。
  118. 安田敏雄

    安田敏雄君 林長官、あなたは、私の内閣委員会における発言の趣旨は、ということじゃないのですよ。趣旨はどうでもいいのですよ。あなたの発言の内容をそっくり読めば、これは日本語を解しておる人はだれでも、協議会一本やりで交渉の窓口にしないということははっきり出ておるわけです。文の上で。ですから、そういう、あとで、趣旨の内容はこうだったというようなことを私どもは聞きたくない。発言そのまま速記録を読めば、協議会とも、あるいは地元とも、そうでないのとも交渉するんだということをはっきり言っておるのです。そこでもう一つの問題ですが、学識経験者に適正化の問題を御委嘱して調査しておるといいますけれども、実際には京大の農学部の学生がやっておりますね。私らもそこに行って立ち会っておりますよ。今、現に古田でやっておるのはどうかというと、あなたのところは入会慣行があるかないかということを調査している。北富士入会組合、あすこの入会組合、あの一帯はずっと機屋さんをやっておる。終戦後非常に機屋さんが景気のいい時分に、がちゃんと織ればうんともうかる時分に、わずかに食糧だけは自分でとっていた。自作農でとっていた。そういう人たちが最近の入会組合補償の額が上がってきたため、そこで問題が起きてきたわけです。ですから、今やっておるのは、入会慣行権が、入会慣行のなにがあるかないか調査しておるだけです。そんなもの、いつまで待っておっても問題は解決しません。私は現に立ち会っております、学生がどんなことを言って調べるか。そういうような問題も内容的にはあるわけなんですが、そこで山梨県知事が会長になっておる北富士演習場対策協議会というものだって、これだって閣僚懇談会の処理方針とは趣が変わっておるわけです。知事が、仲介あっせんの労をとるべき知事が、そういう入会慣行があるかないかわからぬような組合の上に立って、一方的に会長になっておるのです。会長になっておれば仲介あっせんの労はとれませんよ。そういう問題だってあるわけです。こういう問題を解決しないからこそ、忍野の人たちも入らないわけです。さらにまた、その入会組合協議会の内容、構成を見ても、非常に不明確な問題がたくさんあるわけです。目的もふぞろいなんです。入会慣行のいわゆる林野雑産物の補償の問題につきまして、富士吉田、忍野の事業団体が入っていたり、協議会に。各関係市長も入っております。民生安定のいわゆる解決をしようとするならば、これはそれでもいいわけです。しかし問題は、あそこの北富士の紛争の中心というものは、いわば早期返還の問題と、演習場の返還の問題と、それからそれができない間は、実害補償について、いわゆる補償してもらいたい、こういう点から紛争が出てきておるわけなんです。ですから、入会慣行のある人たちが、それぞれ忍草であるとか、山中であるとか、新屋とか、そういうところで一番関係の昔からある人たちが結集して、そして団体を作っておる。こっちのほうは相手にしないで、そうでない目的も、資格の点にもきわめて疑点のある人たちを中心とした入会組合のほうを、協議会を知事が会長をやっておるからといって、そのほうは重一点を置いてやるということは、ちょっと了解に苦しんでおる。ですから、新しく上吉田とか北富士入会組合、そういうものが有資格者であるかどうかということの調査をすることは私はいいと思いますが、しかし、そのほうがなかなか調査ができ上がらぬから、片っ方のほうへは、これは補償の支払いを延期しておるのだ、適正化の話し合いをしないのだということでは、ちょっと行政上手落ちがあるのじゃないかと思うのです。御答弁をお願いします。
  119. 林一夫

    説明員(林一夫君) ただいま協議会の構成等について御意見がありましたが、この協議会については、なるほどいろいろの、知事が会長になるとか、あるいは構成の問題につきまして、いろいろ御意見なり御批判があることは伺っております。けれども、この協議会というものは、このような趣旨のものは必要であろうということで閣議了解でもって進めてきたのでございまして、その協議会の構成をどうするとか、どうしたらいいとか、どうせよとか、あるいは会長はどうすべしというようなこまかいことを指示しておるわけではございません。こういう趣旨からいってこういう協議会が必要であるから、こういう協議会をあなた方がお作りになって補償の適正化をはかっていかれたらどうかという趣旨のもとに勧奨しておったわけであります。知事さんが会長になられるとか、あるいは構成がどうあるかということにつきましては、別に政府としては指示しておるわけではございません。地元の方々がお互いに自主的に適当なる考えのもとにこのような協議会をお作りになったと私は判断しております。自主的にお作りになった協議会ができておるのでございますので、やはり、なるべく早くこのような協議会に御参加いただいて、早く補償の適正化をはかっていただくように、私どもは県とも話し、また、念願しておる次第でございます。
  120. 安田敏雄

    安田敏雄君 どうも了解ができないのですが、具体的にそちらの調査が完了しないと適正化の問題自体はやらぬというのですか。先ほど防衛庁長官は、私はこの覚書については責任を持ちます。すみやかに調達庁にそう言って解決するようにいたしますと言っておる。だから、私もさっき了解したわけです。ところが、あなたの今のなには、防衛庁長官の意思に反しております。協議会でなければしない、あるいは学識経験者の調査が完了しなければやらぬとか、ずいぶん食い違いがあるわけだ。問題はさっそく地元の、特に入会慣行を、最も林野雑産物についての補償を受ける資格のある組合が山中と、それから忍草、新屋、三つ共同歩調をとっておるわけです。ですから、この三団体と至急に交渉して、できるだけ年内に解決つけるという方針を出して、そのようにやってもらいたいと思うのですがね、いかがでございましょうか。
  121. 林一夫

    説明員(林一夫君) この三十五年度補償につきましては、先ほども申しましたように、現在その適正化をはかるために学者に調査を委託しております。これを早く完了いたしまして早く適正化をはかり、早くお支払いをしたいという強い決意を持っております。そのことは先ほどから申し上げたとおりでございます。ただし、三十五年度分につきましては、やはり適正化というような問題の意味からいっても、この協議会にお入りいただいて協議していただくということが大事なことであろう、こういうふうに考えております。
  122. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  123. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  124. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 さっきから聞いておるのですけれども調査を委託をしてやる、これがまとまって至急という話ですが、もう一つ問題は、協議会にひとつできるだけ入ってもらいたい、一体協議会に入るという見通しはあるのでしょうか。  それから今おっしゃった大学に委託しておられると言うのですが、いつごろできるのですか。これがまとまって、それを検討の上、今度調達庁としての見解を作られるのでしょうか。これはいつまでかかるかわからない、一方協議会にいつ入ってくるかわからない、それでできるだけすみやかに、できるだけすみやかに適正化する、これは覚書は十分承知している、こうおっしゃるのですけれども、どうも私は理解がつかないですね、この話は。本来これは静岡県がこういうことを言った、あるいは閣僚懇談会でこういうものを作った、これは画一主義があまり強過ぎるんじゃないかと思うのですがね。これはうまくまとまりそうにないような協議会、こういう場合には分散処理というのが常道じゃないでしょうかね。画一主義できまったものだから画一主義でどうしても押しつけようとする、まとまりっこないです。この協議会に入るということはないんじゃないですか。そうすると、これはまた来年演習時期も再開します。責任を追及されるように思うのですがね。覚書に、すみやかに適正化するということを十分承知をしているというのです。先ほど防衛庁長官も盛んに調達庁を督促しておるという話です。どういう督促を受けているのか、協議会に入れ、入れというように、そういう進め方をせいというような督促を受けておるのですか。これはちょっと考えを聞きたいですがね。
  125. 林一夫

    説明員(林一夫君) 協議会というような画一主義を捨てて、分散的な交渉をしたらどうかというようなお話でございました。私ども、地元の組合の方々が全部円満にいけば、どういう方法でもけっこうなんです。やはり協議会を作ってやるという趣旨は、地元の入会組合の方々が全部うまくいく、いかせるためにはこれが一番いい方法であるという前提のもとにこの協議会という考え方を編み出した。かりに、そのような考え方を捨てて、単独折衝をやるということになると、ほかの組合はどうなるか、どう出るかという点も考えなくちゃならぬ。全般的な立場からみて、最も円満にいく方法は、現在のところ協議会方式がいいんじゃないか、こういうふうに私ども考えておるのでございます。もちろん、このほかにもっと円満にいく方法がございましたら、別にこれにこだわることはないのです。十分に考えていきたいと思います。  さて、すみやかに適正化をはかれということでございますが、これはすみやかに適正化をはかるために、この委託調査を急がしておるわけでございます。これが完了すれば三十五度年の補償について十分協議して処理したい、こういうふうに考えております。
  126. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その委託調査をしておられるのは、いつごろ一体まとまって、それを検討されて、いつごろ調達庁の方針がきまるのですか。もう一方、協議会のほうはいつごろ協議会にみな入るのですか。それとの関連で、この覚書のすみやかに適正化をはかるという、画一主義にとらわれてしまうと、これは行政責任上の問題ですよ。
  127. 林一夫

    説明員(林一夫君) この委託調査の結果は、来年初めに完了する見通しでございます。しかる上、三十五年度分の補償について円満なる処理をはかりたいと、こういうふうに考えております。協議会の参加の問題でございますが、私どもはこのような円満処理機関ができたならば、どうかひとつこのような協議会にお入りになって、早く適正化をはかっていただきたい、こういうふうにお願いしているわけでございます。
  128. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 お願いや希望や願望はわかるのですが、私の伺っているのは、希望やそういうものを伺っているのじゃなくて、協議会に入らなければおやりにならぬというから、協議会はいつ一体みんな入るのか、現実の問題を伺っているわけです。それからもう一つ、私は協議会に非常にこだわられるのは、どうも本来これは国が利害関係者とやるべき補償の建前というものはあると思うのです。それを地方自治体に、県とかあるいは市町村とか、そういうものに任意の協議会を作って、それで調達庁がおぶさってしまっているような気がしてしようがないのです。本来これは国が利害関係者と直接当たるべき建前のものなんです。そうじゃないですか。それを何か地方行政機関とか知事なり市町村というようなものをまとめて協議会を作る、それに絶対入りっこないという状態です。いろいろ問題もありましょうが、今当面している三十五年度補償の問題について処理するということが、これは今後の協議会の問題もありましょうし、そういう問題を進める前提になるのじゃないでしょうか。あまり画一主義にとらわれて、がんじがらめになっているように、私は同情して見ているのですが、長官どうですか。
  129. 林一夫

    説明員(林一夫君) 先ほども申し上げましたように、私どもは協議会を通じなければ交渉しないとかいうような強制的な措置をしているわけではないのでございます。できますならば、協議会に参加して、円満に進めていただきたいというふうに考えているのであります。先ほども申しましたように、協議会一本やりというわけではないのであります。ほかに関係組合のすべてが円満にいく何かよい方法がございましたら、どういう機関でもよいのでございます。それと相談していくということが全体を円満に運んでいく上において最も適切な方法であろうと、こういうふうに考えております。たとえばこの協議会はこういう方法でいったらいい、こういうふうな行き方でいったらいいかというようなごあっせんをいただければ、そのようなことについても十分考えていきたい、こういうふうに考えております。
  130. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 幾ら繰り返しておっても、長官は、何か理由があるか知らぬが、はっきり言わないのですが、それでは端的に私は言っておきますが、昭和三十六年九月十二日に、藤枝防衛庁長官と地元の人と覚書を取りかわしている、これは読まなくてもわかっていると思います。何回も言われている。だから地元の人はこれでおさめるのだということで、一応おさまっている。これから質問です。地元の人と、この覚書を出した相手方は、これを信じておさめた、その相手方と交渉するのですかどうか、交渉するのであるかないかのような答弁だが、交渉するのかどうか、これだけ聞きます。
  131. 林一夫

    説明員(林一夫君) 私は、先ほどから申し上げておりますのは、個々的に交渉するということは、今の空気から申しまして、あるいは今の地元の各組合のお方々考え方からいっても、かえって混乱を起こすというような心配があるので、できますならば、このような協議会を通じてもらっていただきたい、こういうふうに考えております。
  132. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それでは議事録へ載せておかないといかぬので、はっきり伺っておきます。  それじゃ、交渉しないということですね。
  133. 林一夫

    説明員(林一夫君) 交渉するとか、しないということは、実はどういう意味かわかりませんが、別に、交渉しないと申し上げても、これは法律的な強制力があるわけでもなし、そういう意味においては、これは別に法律的な力を持った協議会でございません。したがいまして、私どもとしましては、もし個々的に交渉するということになれば、皆様方がその方法がよかろうというようにすべての方が御納得していただけるならば、そのような方法で参りたいと思います。
  134. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたの答弁はどうもあいまいなんです。私が聞いておるのは、調達庁の今の態度——法律的にどうではない。私は交渉すべきであると思うが、あなたのほうでは交渉しないのであるか。調達庁長官としてしないならしない、するならする、これだけ聞きたい。ほかのことは聞く必要はない。
  135. 林一夫

    説明員(林一夫君) このような点につきましては、地元の協議会なり、あるいは県当局の強いお考えもあるので、ほかの組合の方々、あるいは県当局とも十分相談をして、交渉してもいい、交渉するほうがいいというようなことであれば交渉いたしたいと思います。
  136. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、こうですね。  この覚書を出した相手方は県知事でもなし、地元の他の団体でもない。忍草の人に——大臣おらぬから非常に残念ですけれども、大臣がこの覚書で解決したその相手方である人と、調達庁側は知事なり地元の了解が得られなければ交渉しないと、こういうことですね。その点。
  137. 林一夫

    説明員(林一夫君) 私が今の地元の実情をこういうふうに見まして、また過去の実情をこういうふうに経過的に見まして、やはり単独交渉すると混乱が起こるおそれが多分にあるのです。やはりなるべく混乱が起こらないような方法で早く適正化をはかるということが私どもとして大切なことではないかと、こういうふうに私は思います。
  138. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そうすると、やはり交渉しないという結論になるのですね。しないという結論になるのですね。現実にやらないのでしょう。かりに、忍草のこの大臣の覚書を持ってあなたのところへ行っても交渉しない、こういうことですね。それだけはっきり。
  139. 林一夫

    説明員(林一夫君) 私は、ただ交渉しないということを申し上げておるのではないのであります。ほかの方々の御了解を得れば、これは十分喜んで交渉いたします。
  140. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 その了解を得るというのは、これは私は法律的に根拠はないと思うのですが、あなたが了解を得るというのはどういう方法で了解を得るのですか。
  141. 林一夫

    説明員(林一夫君) 了解の方法はいろいろございまして、相談してまあそのほうがよかろうというようなことならば、これは喜んで交渉をいたします。
  142. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それはこの覚書を出した大臣の意向をくんであなたはそういうことを言っておるのですね。
  143. 林一夫

    説明員(林一夫君) 大臣の御意向もそのとおりでございます。
  144. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それではあとほかの委員がやるかもしれませんが、そういうことになれば、僕はあなたをそういうことで信じない。この経過から見たら、僕は大臣が、そういう意向でないと思うんだが、そうすれば一ぺん——これは委員長にも言っておきますが、だれとだれとだれと相談するのか。これは私は本委員会に来てもらう関係もあるから。これは当事者としては重大な問題ですよ。自分の覚書で権利を主張しようと思っているのに、他人の関係ない人の了解を得なければ調達庁は交渉しないということは、重要な問題であるから、たとえば天野知事、富士吉田市長なら市長、だれとだれと交渉しなければ、了解が得られなければ話をしないのか、これをはっきり言って下さい。
  145. 林一夫

    説明員(林一夫君) これはやはり地元の忍草の入会組合以外の各組合の代表の方々、また県当局、こういうような方々の御意向を聞きたいと思います。
  146. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 そのもうすでに調査は終わっていると思いますから、忍草以外の代表者というのはどことどことか、はっきりここで言うておいて下さい。
  147. 林一夫

    説明員(林一夫君) やはり私が申しましたのは、地元協議会というものができておりますから、地元協議会に参加しておる方々の御意向、そうして県当局の御意向、このような方々に相談をするということになります。
  148. 安田敏雄

    安田敏雄君 地元の協議会が、あなたもはっきりわかっているだろうと思いますが、入会権慣行があるかないかわからぬというような、はなはだしく補償額の少なかった人たち、それと重要団体である恩賜林組合と、それから市町村長と山梨県当局、入会慣行のある方々は三団体が今日では共同歩調をとっているんですよ、忍草とそれから新屋と山中と。むしろこちらのほうが入会慣行についてはずっと主体なんですよ。主体のものが主体でないほうへ入ったってなかなかこれは容易じゃない。そんな行政指導がどこにありますか。一番対象にある人を相手にしないで、そうでないほうが、山梨県知事が会長だからといって、そっちを対象にするという、そんな行政指導がどこにありますか、転倒しておる。その問題が一つ。  それからもう一つ、離職経験者の調査なんだが、これは全体的にはやりましたけれども、おもに吉田でやっておる。あなたのところは、二十一年の占領当時、あそこのところへ草を刈りに行っておるかおらぬかといういわゆる資格の問題を調査しておる。そんなものは適正化の根拠にならぬですよ。林野雑産物は補償基準というものを厳として調達庁で作ってあるはずです。有資格者であるかないかというような調査、そんなものをいつまでも持っていて、それが適正化の根拠だというのはおかしいですよ、そうでしょう。ですから、そうでなくて、従来長い経過を踏んできておるから、これら三団体と調達庁と当然交渉するのがあたりまえなんです。国の行政の一つなんですよ。これは法律的の根拠のない協議会を対象にしていこう、かえってそのほうが問題が出てくるわけなんだ。今米軍が演習やっておりますよ。おそらくあなたが年内解決しないと、いうならば、とんでもない事態が出てくる。責任負いますか。演習ぐらいすぐ中止することはできる。きょうは皆さんここへ傍聴に来ておりますけれども、きょうのあなたの答弁いかんによっては事態はどうなったってこれはあなたが責任を負うことになるんですよ。あしたから農民が騒いであそこへ入ってごらんなさい。演習は直ちに中止なんです。私どもはそれを憂えるからこそ言っておるわけなんですよ。防衛庁長官ははっきり言っておる、すみやかに解決してと。それを何ぼでも、協議会であるとか、調査とか、そんなことは理由にならぬ。山梨県知事にきょう連絡とってみたらわかる。きょう午後から上京して調達庁へ忍草の適正化の問題については了承するということさえ言っておるわけです。あしたから事態が急変しても責任を持ちますか、今までの答弁で、責任を持つなら持つでいい、はっきり言って下さい。
  149. 林一夫

    説明員(林一夫君) 山梨県知事が他の団体の、他の組合を代表しておるというような立場にありますから、山梨県知事が単独交渉してもいいというような御意向ならば単独交渉してもよろしい。要するに、一つの組合の言うことだけ聞いて、ほかの組合の約束を破ることは、これまた波乱を起こすことになる。だから全般が、全部の組合がうまくいくような方法をお互いに考え合って、円滑に処理していきたいというのが私どもの念願でございます。米軍の演習と私の責任がどういう関係にあるか、ちょっと今ここではわかりませんから、ただいまここで申し上げることはできません。
  150. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう一つだけ最後に。先ほどから言ったように、あなたの御意見取り消さないと思いますが、地元では、もうこの前の速記録は読み直しませんが、あなたの言ったことと政府の覚書と全部違ってきておる。この前の当委員会では、他のそういう代表者、知事を含める代表者の了解を得なければ交渉しないという答弁をしておらない。この覚書に従って地元の人と交渉して適正化をはかるということに了解をした。それが今日あなたはそれをくつがえした。この前の速記には載ってない、くつがえしたことは事実なんです。他の、要するに了解なければ交渉しないということをはっきり言うた。しかもそれは大臣の覚書を、そういう覚書をかわした大臣の意向であるということがはっきりした。その上に立って言いますよ。あなたがそれほどもうすでに食言をして、調達庁の長官という人がそういうことを食言したために、地元の人は、もうあなたの、全然言うことは信じられないということを、地元でどういう事態が起こっても責任はあなたですよ、本委員会において言うたことだけでもくつがえす人なんだから。しかもそれは大臣のことであるとあなたは言った。それは間違いないですね。そのかわり地元でどういうことが起こってもあなたは全部責任取りなさいよ、それだけ言っておきます。私はそれで終わります。
  151. 林一夫

    説明員(林一夫君) 私が食言をしたということははなはだ意外なお言葉だと思っております。もし食言した点があればひとつこの際はっきりおっしゃっていただきたい。
  152. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この前の当委員会で私が協議会のことについて、あなたはその協議会でなければ交渉しないということは言っておらない、それは速記録を読まぬでもあなたはわかると思う。それを今私が尋ねたときにはそれをくつがえして、他の関係者の意向を、了解なければ交渉しないということにあなたは変わっておるんですよ、そのときそれを言っておりませんよ。それはどうなんですか。
  153. 林一夫

    説明員(林一夫君) 先ほど申しましたように、あのときの委員会の私の答弁は、協議会を通じなければ絶対に交渉しないというのではない。協議会でも協議会が他の方法で他の方法をあっせんするならばその方法でも協議しますということなんです。ただ単に単独に交渉するということはしたくないということを申し上げた。
  154. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 もう言わぬでもよろしい、速記に残っておるのだから。これはあとで突き合わして見るならばわかるのだから。ただ問題は、あなたの言っていることと、私は前の答弁とは食い違っているということを私ははっきり認めておる。速記録をあとできたら突き合わして、その上に立って問題を、私は起こると思う。政府のほうがかりにやり、適正化ができるできぬかは別問題。しかし、あなたはやる窓口において否定してしまっておる。こういう段階において地元でどういう問題が起こっても、やはり調達庁長官としての責任はこれははっきりしておると思う。これは答弁要らぬ。あなたはここで抗弁するなら抗弁しておいてもよろしいから、はっきり残ると思うから、それだけ私ははっきり言っておきますよ。だから今後どういう事態が起こっても、あのときはこうだからということを習わないように、その点だけ私は念を押しておきます。
  155. 林一夫

    説明員(林一夫君) 調達庁がいかにも窓口で拒否しておるというようなことをおっしゃるのですが、別にそういうことではないのでございまして、先ほどから繰り返し繰り返し申し上げるように、全般の組合が全部円満にいく方法をお互いに相談してやっていこうじゃないかという趣旨のもとにこのような協議会というものを作ったわけであります。ですから、その協議会なりあるいは県当局が、こういう方法がよければこういうふうにやったらどうかというようなことでお話があれば、さらにいい方法があるならば、進んでその方向で交渉いたしてもよろしいということを申し上げておるのであります。
  156. 安田敏雄

    安田敏雄君 幾ら申し上げてもきりがないですから、あなたのほうでも山梨県知事に電話なり照会をして、そこで話があったら、即刻に忍草、山中、新屋の三団体のほうへ連絡して早急に事を解決するように要望しておきます。
  157. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。     —————————————
  158. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員暫定手当に関する件の調査を進めます。  関係当局より出席の方には、入江人事院総裁、滝本給与局長、平井大蔵省主計局給与課長、以上の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言願います。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  159. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 速記を起こして。
  160. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 暫定手当の問題につきまして、十月の三十一日に、この内閣委員会で入江総裁の御答弁がありまして、さらに大蔵大臣、公務員制度担当大臣の見解がありまして、いずれきわめて近い機会に暫定手当についての勧告があるというふうに推定されるわけでありますが、いつごろ勧告なさるのか。趣旨としましては十二月というふうに受け取っておりましたし、また、三十七年度予算に間に合うようにというふうにも私どもとしては受けとめていたわけですけれども、近々だと思いますけれども、どういうふうになっているのか、伺いたいと思います。
  161. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 近く勧告させていただきたいと思っております。
  162. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 近くといいますと、ごく最近ということですか。
  163. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) このごくという意味のいかんでございますが、とにかく近く勧告させていただきたいと思います。
  164. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 年内という意味ですか。
  165. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 年内というと十二月末までとなりますけれども、それほどおそくは考えておりませんです。
  166. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 おそくは考えていない。
  167. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) はあ。
  168. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それから内容については特に伺いません。ぜひ要望だけは申し上げておきますが、三十一日のこの内閣委員会で大蔵大臣も御答弁になっておりますし、それから政府もたびたび公務員制度担当大臣が答弁をいたしておりますから、特定手当を本俸に繰り入れるという趣旨で勧告をなさるように要望いたしておきたいと思っております。  次に、特勤手当でありますが、この特勤手当も何回かこの委員会で問題になりまして、ことしもこれについてのやはり措置がはかられるという段階に参っておると思いますが、これはどういうふうに処理されるのか伺いたいと思います。
  169. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) まあ特勤手当の問題もまあわれわれといたしましてはできるだけ整備に努めたいと思っております。ただ御承知のように、手当の体系というものが従来凍結されておったということでございまして、必ずしもその体系が効率的でない部分があるわけでございます。こういう部分をできるだけ完全な形にしたいということを考えております。しかし、それを、そういうことを考えることは現存ある特勤がすべて合目的であるというふうにも考えていないわけでございまして、この体系を整備をするということはやはり必要なものは見ていくけれども、そうでないものは廃止するという目途を考えたい、ただ廃止するといいましても現存の既得権というような問題もございますので、直ちにそういうことにはすべきではないというように思っております。人事院として給与問題をいろいろ改善をはかりますことを考えます際に、いわゆる勧告事項になりますものと、それから人事院独自の権限でできる問題とあるわけであります。人事院規則できまりまする特勤手当なんかは、まさしくそういうものであります。これは勧告体制にならないわけであります。したがって、これは人事院の努力によりましてこの改正をできるようにしなければならぬという問題があると思います。現在予算時期にも際会しておりますので、われわれとしましては、最大限の努力をいたしまして現存努力中でございまするが、希望としては何とかこの機会に特勤体系の相当の前進をはかりたい、このように考えまして目下努力中でございます。
  170. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あとで寒冷地手当、それから薪炭手当等についても若干伺いたいと思いますが、昨年この特勤手当につきまして、特殊勤務手当につきまして種々問題があって、人事院といたしましても検討されたように承っておりますが、ただ昨年は寒冷地手当と石炭手当等の若干の勧告がありまして、そのために財源が一億幾らだと思いますが、必要だという観点等もあって、この特殊勤務手当がほとんどネグレクトされてしまった、全くネグレクトされてしまった、こういう状態になったわけですが、ことしはこういうふうに暫定手当の勧告がございますし、そういう時期にきております。また、薪炭手当、石炭手当、寒冷地手当についての勧告も迫っているという中で再びこの特殊勤務手当について、そのような、去年と同じような状態になったのでは、昨年来法律が改正されましてからの趣旨というものが生きてこないわけでありますし、その点について大蔵省のほうに伺っておきたいと思いますが、昨年は今申し上げましたように、ネグレクトされておったわけです。ことしはそういうことにならないものかどうか、なってしまうとまずいのですが、大蔵省のほうに伺っておきたいと思います。
  171. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 私昨年おりませんものでしたから、どういう経緯でこまかい点でそういうふうになったか存じておりませんが、少なくとも大蔵省といたしましては、それぞれの問題について性質に従って処理をするという考え方を持っておりまして、Aの問題とBの問題とが内容的にどうであるかこうであるかという議論では処理しておらないというふうに了解いたしております。
  172. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 そういたしますと、今の給与課長の御答弁は、特殊勤務手当について昨年私の承ったところでは、この特殊勤務手当については別の寒冷地手当、石炭手当等との関係でネグレクトされたというふうに承っておるわけですが、ことしはそれぞれの問題についてその性質によってやるというお話ですからして、この特殊勤務手当がネグレクトされる、あるいは無視されるというようなことは毛頭ないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  173. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 特殊勤務手当をどの範四でどういうふうに改正するかというような問題につきましては、検討を要する点でございまして、取り上げるべきものであるならば取り上げるというふうになろうかということでございます。
  174. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 問題は取り上げるものか、取り上げないものかという段階ではなくて、もっと進んでおるのじゃないでしょうか、事態は。すでに人事院と大減れとの間の折衝も本格的に行なわれていると思っています。合そういう段階ではなくて、やはりもっと具体的に御答弁があってしかるべきで、最初の御答かの趣旨からいいますれば、特勤手当というものについてこの際昨年の法律の改正の趣旨に沿って、ここではっきり予算的に処理するというふうな答弁があってしかるべきだと思うのですが、再度お伺いいたします。
  175. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 来年度予算との関連においてというお話でございますならば、今のところ私どもちょっと答弁いたしかねます。
  176. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 なるほどね。しかし、初めの答弁は、それぞれの手当について考えていきたいということだったのですから、そういう趣旨からいえはこの特勤手当についてもほかとの関連において削るとかいうようなことはないと、そのものとして検討していくということだと思いますが、よろしゅうございますか。
  177. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 私先ほど申し上げました趣旨は、AというものとBというものと財源的に考慮して総額で幾らであるから、したがってBの方は差し引かれると、そういう関連ではございませんという趣旨でございます。ただ、特勤手当制度そのものの改正の当否、範囲等につきましては、それぞれの立場において検討して決定していくべきものであろうということでございます。
  178. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 法律は昨年改正になりまして、御存じのように、昨年改正になって、特勤手当というものをひとつはっきり恒久的な手当といたしまして確定をするということになっておりますね。そうしてさらにこの委員会におきましても、その額が千二、三百円ベースのときの額になっております。それは建前として凍結をするという、そういう趣旨でしたから、十数年の閥凍結をしておる。したがって、額はきわめて微々たるものになっておる。片一方、ごく最近できましたのは、大体その当時のベースで、たとえば南極探検のごときは一日大体二千円程度の特勤手当が出る、しかし、それ以外の伝染病関係の危険手当だとか、あるいは放射線関係の特勤手当だとかいうようなものは一日三十円だというような額になっておるので、これらについても是正する必要があるという点がこの委員会においても種々論議になっておる。したがって、この点については人事院の規則でできる建前にもなっておる。しかし、予算にも関係があるので大蔵省との折衝にもなってきておるということでありますから、それらの趣旨を御了承の上に、先ほど給与課長の答弁のように、これとこれとの関係をどうするとか、あるいは全体のワクはどうだとかいうことではなくて、その趣旨に沿って検討してもらうように要望しておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  179. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 御要望の趣旨は、臨時国会の際にも承っておりますし、その線に沿っていろいろと検討をいたしておることは事実でございます。ただ、どのようなことになるかということについて今ここで直ちに申し上げるわけにはいかないということを申し上げておきます。
  180. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、この特勤手当につきまして、大蔵省と折衝されて人事院の規則で出されるわけですが、人事院としてはいつごろ規則で出されるわけですか。
  181. 滝本忠男

    説明員(滝本忠男君) これは、人事院規則というものは人事院が判断しまして法律の許された範囲内で作るべきものではございますが、しかし、事実上予算が伴いませんと実効がないわけであります。これはわれわれも努力して、予算の必要のあるものにつきましては予算を獲律するということが先行するわけであります。したがいまして、実行の見きわめがついてからこれはやりたい、こういうふうに考えております。したがって、ただいままだ大蔵省から内示もない状態でございまして、われわれは極力一方的に努力をしておるという状態でございますので、現在の段階では何とも申し上げかねるわけでございます。
  182. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次に、寒冷地手当の問題とそれから薪炭手当、これらについての勧告が、こないだ十月三十一日の内閣委員会では、暫定手当の勧告が済んだら続いて今のこの勧告についてやりたいという答弁になっておったんですが、これはそのようなふうに理解してよろしゅうございますか、今の段階でも。
  183. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 寒冷地につきましては、暫定手当の勧告が済みました後にいたしたいということは申し上げましたけれども暫定手当の勧告が済みましたら引き続いて勧告をするということは申し上げなかったつもりでございます。実はこの問題につきましては、たびたび当委員会において御要望もございましたし、また私どもも、私どもの率直な見解も申し上げましたので、何か重ねて申し上げるのもいかがかと思いますけれども、しかし、ただいまの御質問とちょっと関連して、御理解を願うためにちょっとつけ加えさしていただきたいと思いますが、国会の御要望の線がありますので、それを尊重いたさなければならぬということは十分心得ております。ただ、人事院といたしましては、なかなか腰だめで増額の勧告をするというわけにも参りません。ところが、一面寒冷地におけるいわゆる暖房増高費と申しますか、そういうものの点から申しますと、必ずしも生計費に対する割合がふえてないとか、いろんな関係がございまして、給与局としても、人事院が勧告をする以上はやはりある程度合理的な線も出す必要がございますので、暫定手当の問題も、ただいま、これはまあ忙しいとかなんとかいうことを申し上げる筋合いじゃないかもしれませんが、給与局としてはそういうものに取り組んでおる状態でございますので、これが済みましてからひとつ検討をするということになりますので、引き続いて勧告するということはなかなか困難ではないかと思っております。
  184. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 内閣委員会で論議されましたのは、やはり三十七年度予算に間に合いまして処理されるというような考え方だったと思うんです。したがいまして、この問題については三十七年度予算に間に合うように、まあ金額が小っちゃいわけですから、大きな額じゃございませんから、処理できるんだろうと思います、三十七年度でも。だろうと思いますが、三十七年度から実施できるんだという建前で勧告をされるおつもりなのかどうか。
  185. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 予算との関係は、これは政府の問題になりまするけれども、見当といたしまして、率直に申しまして、いつかも三十七年度予算に事実上に間に合うようには勧告いたしかねるんじゃないかということも申し上げましたが、現在におきましても、三十七年度予算に間に合うというのは、いつのことかは別といたしまして、そういうふうな一つの常識のもとにおける時間ということを考えた場合には、間に合いかねるんじゃないかと思いますのが率直な気持でございます。
  186. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 ですが、金額的にはそう大きな金額じゃないわけですし、こまかい額ですからして、勧告をなされば三十七年度実施できるというようなふうに解釈してよろしゅうございますか。そういうような気持でおられるのかどうか。
  187. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) この金額がどういうふうになりますか、それを政府がどういうふうに取り扱うか、これはまあ私どもの存じ上げぬところではありますが、先ほども申したとおり、もう人事院の勧告といたしましては、やはりある程度合理的な線は出したい。そういう面から申しまして、なかなかこれは実際問題としてうまい結論が出かねる。しかし、国会のほうの御要望もありますので、それも尊重いたさなきゃならぬというところが、われわれも苦慮しておる点でございまして、そういう点でいろいろ給与局のほうでも検討してもらいたいという問題がありますので、金額がどういうふうになるかは別として、金額の問題だけでも処理できない事実がございますので、若干時間をやはりとらしていただきたいと思っておるのでございます。
  188. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 人事院の考え方としましては、三十七年度にやっぱり実施したいということなのか、三十八年度から実施したいということなのか、その気持を伺っておきたい。
  189. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) まあ三十七年度から実施いたしたいとか、三十八年度から実施いたしたいとか、そういう特別な、ここにお答えを申し上げるほどはっきりいたしたわけではございません。とにかく結論を得てから勧告いたしたい、そういう気持でございます。
  190. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 僕は、入江総裁の答弁を聞いておると、非常に遠慮しがちな答弁だと思うのですがね。寒冷地手当にしても、やはり勧告しなくちゃならぬ義務があると思います。全然ないとは言っておらないのですね。そうすれば、大蔵省の給与課長に来てもらったというのも、やはり政府予算関係を非常に気にしておられるのじゃないかという気持がするのですがね。実際これはまああなたはどうか知りませんが、もう少し——ここまできて、三十七年度、三十八年度、どうなるかということが結論出たって、これはあたりまえなことだと思うのです。結論が出れば、これはいつでも出さなくちゃならぬ、これは人事院の義務があるのですからね。ただ問題は、一つの目標設定ですよ。どうしてもこれをやらなくちゃならぬという人事院の腹であれば、三十七年度にやろうと思ってもやれるし、これを三十八年度に延ばそうと思えば延ばせる、作業のやり方によってね。したがって、私はやはり少なくとも三十七年度、やはり来年度ということが一つの常識だと思うのだがね。しかし、予算折衝とかなんとかやられるかどうか知りませんが、非常にその点で危惧しておるということで、そういう答弁になっておると思うのですがね。ここではっきり言えということは無理かと思いますが、少なくとも今暫定手当の問題については、すでにそういうことではっきり答弁されておるのだから、やはり寒冷地についても引き続いてやはり作業にかかれば三十七年度の間に合わぬというわけでもないと思うのですね。で、かりに予算編成の途上で、すでにそれが時期が過ぎてしまって間に合わなくなっても、私は人事院としての精神もそれでいいと思うのです。また、補正予算が三十七年度も全然ないと限らないのだから、その意味において私は何か入江総裁の答弁については、ちょっと足りない点があるのですがね。やはり目標設定は三十七年度からやるのだという考え方で作業を進めてもらいたい。やる必要がないのだ、こういう考え方があるならば、これは別として、その点どうですか。
  191. 入江誠一郎

    説明員入江誠一郎君) 問題は、ただいま予算の問題といいますか、もっと端的に申せば、大蔵省のほうとのかね合いといいますか、そういう点で、何かこういかにもあいまいな答弁をしておるんじゃないかという御指摘ございましたが、これは率直に申しますと、暫定手当のほうは非常な予算を伴います。寒冷地のほうはこれはどのくらいになりまするか、私見当はつきませんけれども、少なくとも暫地手当ほどの大きな経費の問題じゃございません。むしろこういうことを言うと、すぐ国会の意向をということで、おしかりを受けるかもしれませんが、先ほど申し上げたとおり、寒冷地手当のほうは、実際は、筋といたしますと、どうも寒冷増高費の生計費に対する制令とか、これもいろいろ御議論はございましょうけれども、現業のほうも、現に、寒冷地手当は八〇%ぐらいになっていると思います。そういうようないろいろな関係もございまして、大体、人事院としては、何も現業関係にこだわっているのじゃありませんけれども、しかし、ある程度の筋は立てたい。その点についての結論を出した上で、ひとつやりたいというわけでございます。しかし、そうかといって、決して、国会の御要望もあるわけでございますから、これはやらぬとかなんとかいうことじゃございませんけれども、そこにある程度の日数をお許し願いたいと、こう申しておるわけなんです。
  192. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 あと二つほどですが、旅費の中の定額の改正ですね。これはこの間の内閣委員会で、四月一日から実施するということで、定額を改正したいということでありましたが、定額改正で進んでおられるのかどうか、四月一日ということで。  その点と、もう一つは、この旅費の定額の改正と伴いまして、日額旅費の規定、この定額についても検討するというお話でしたが、いずれも進んでいるのかどうか伺っておきたいと思います。
  193. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 前臨時国会の際に、私なり大臣から御答弁申し上げたと思うのですが、四月一日から改訂という言葉では申し上げなかったと思います。通常国会を目途として検討するというふうに申し上げたと思います。検討を進めております。  それから通常の日当、宿泊料等の改正と関連いたしまして、日額旅費の改正を検討するのかしないのかという御意見でございますが、通常の普通旅費の場合の日額、日当、宿泊料等の改正がございますならば、当然それとの関連において、日額旅費についても、検討はされるものと思います。
  194. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 この旅費の定額を改正するというときに、いつも問題になりますのは、旅費の定額は改正したが、旅費の総額はあまり変わらなかったというような事例があるわけですね。それで、今回せっかく旅費の定額は変わるわけですけれども、そのために——いや、変えたけれども旅費の総額はそう変わらなかったということにならないようにやってもらいたいというふうに思っているのですがね、その点はいかがですか。
  195. 平井迪郎

    説明員(平井迪郎君) 来年度予算の問題でございますので、今のところ、私どもからちょっと答弁をいたしかねます。
  196. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 はい、わかりました。
  197. 大谷藤之助

    委員長大谷藤之助君) 他に御発言もなければ、本件はこの程度にとどめます。  本日は、この程度で散会いたします。    午後二時三十四分散会