○
説明員(大橋八郎君) 加入者債券の価格維持ということにつきましては、一昨年臨時措置法ができましたときに、特に附帯決議として、両院ともに附帯決議がつきまして、幾つかの附帯決議の中の
一つとして、加入者債券の維持、安定をはかるべしということが、実は決議されております。私どもごもっともと
考えまして、実は今日まで、できるだけのことは
考えて参ったのでありまして、どうもなかなかむずかしい問題でありまして、はなはだ残念なことでありますけれども、まだあまり
効果が現われておりません。元来価格維持の方策の基本といたしましては、引き受け債券の所持者がこれを売却――市場に現われさえしなければ値が下がらないのでありますから、できるだけ市場に現われることを、引受人の売却をできるだけ抑制するということが根本であろうかと思います。それとまた、売却された債券の需給を、できるだけ上手に円滑に調整していくという二つの点が根本だろうと思うのでございます。そのほかにもなおこまかいことはいろいろありますが、こういう
趣旨で、私ども今日まですでに実施いたしたものもありますし、目下
関係方面にお願いしていることもございます。
すでにしたものとして、最近御
承知の、正式市場に上場されるということが、ようやく今月の十七日から実施されて、きょうが三日目でございます。これが今後需給調節を円滑ならしめる最も大きな礎石であろうかと
考えます。今後どの程度にこれが
効果を現わしますか、今後のことと思いますけれども、これなども私ども、もう
昭和二十八年以来、すでに
政府その他の
関係方面にお願いしておったものが、ようやく今日現われてきたということでございます。そのほかに引受者の売却を抑制する
方法としては、引き受け債券というものが、有利なものであるということを、十分
認識してもらいたいというわけでございます。現在の引き受け債、では七分二厘の利息がついております。これはいわゆる電電債券、
政府保証付の電電債券は七分五毛でありますから、この加入者引き受けは七分二厘ということになっておりますので、この公募債よりも、よほど有利なことになっているわけであります。これらの点も
一般の人々にはなかなか関心が薄いのでありまして、私どもとしては、あらゆる機会にこの有利なことをPRして、なるべく手放さないで持っていてもらいたいということを常にPRすることに努めておるのでありますが、どうもこれが私どもまだ十分行き届かない点もございまして、十分浸透しない点も多々あるかと思います。今後もこの点について、相当力を入れていきたい、かように
考えております。
それからいま
一つ、これも御
承知のことでありますが、昨年から十五万円の、
東京でいうと十五万円の債券を、一時にそろえるということは、人によってはなかなか困難ということで、どこかから借金してやらなければならない。そういう場合に、あるいは高利の金を借りたり、あるいはその他の悪質な者にかかって、何かいろいろ引っかからないようにという
意味で、中央の銀行、地方銀行、その他の金融機関にお話をしまして、月賦金融の
方法を設けたのであります。これもどっちかというと、売却を抑制する
一つに、相当役立っていると思うのでありまして、高利の金をもしほかの者から借りれば、債券を受け取って、すぐ、できるだけ早くこれを売却してしまうということになりますが、月賦金融の制度になりますと、半年なり、あるいはそれ以上の間に、月々一部分ずつ払っていくということになりますから、自然的にこれが市場に出るときがあるということが少なくなる。大体今日までの状況を見ますと、市場に売るのは、たいてい一年以内に売る人は売ってしまう。もう二年目からは、ほとんどこれは古いものは市場に出てこないのであります。したがって、この一年間をなるべく押えることができれば、よほど買いささえには役立つのではなかろうかと、かように
考えているわけであります。
それから、こまかいことでありますけれども、現在の引き受け債券は、実は小額の債券でありまして、一万円とか五万円、十万円とかいうようなものであります。したがって、これを資産運用の面から買おうというような人にとっては非常にめんどうくさいのであります。そこで私どもとしては、債券を併合して、大券を発行するという制度をとっておりますし、現在百万円とか五百万円とかいうような併合の
方法を認めて、すでにやっております。それから、目下なおそのほかに、各
関係方面にお願いしている事柄といたしましては、この引き受け債券を、日銀の担保適格債に
一つ指定していただきたいということも、日銀の方面に御依頼しているわけでありますが、まだ今日までこれの実現を見ておりませんが、今後もこの
方法を引き続いてお願いをするつもりであります。そのほか、この引き受け債券を各種の保証金の代用証券に指定してもらう、これも各方面で、もしこれが御採用になりますれば、相当証券の買いささえに役立つことと
考えております。
それから、現在の電電債は、
一般の原則に従って、公示催告の制度が認められているわけであります。これがために、どうも
一般の市場の流通性というものが、だいぶ阻害されているのであります。私どもとしては、この公示催告の制度をやめていただきたいということをお願いしているのでありますが、これはまだ実現の運びになっておりません。それから、これはこまかいことでありますが、債券のできるなら私は保護預りということをひとつ何とかの機関でやっていただきたい。つまり十万円なり、五万円なりという小額のものは、十年間なり各家庭で持っているということは、なかなかとかく紛失したり忘れたりするおそれがあります。これは何か確実な金融機関その他で、保護預りの制度をやっていただくことになりますれば、よほど所持者のおためになるのじゃないかと、こういうようなことを
考えているのでありますが、しかし、そのほかには、なお根本的には、相当
法律などを
改正して参ることとか、根本的な
方法はほかにあると思いますけれども、このことについてはなお考究中の状態であります。