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1961-10-27 第39回国会 参議院 地方行政委員会 第8号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十六年十月二十七日(金曜日) 午後四時二十一分開会
———————————
委員
の
異動
本日
委員堀本
宜実君、
小山邦太郎
君及
び棚橋
小虎君辞任につき、その
補欠
と して
鍋島直紹君
、
小柳牧衞
君及び
基政
七君を議長において指名した。
———————————
出席者
は左の通り。
委員長
小幡
治和君 理 事
小林
武治
君
西田
信一
君 秋山 長造君 委 員
小柳
牧衞
君 郡 祐一君
西郷吉之助
君 館 哲二君
湯澤三千男
君 松永 忠二君 杉山 昌作君
衆議院議員
渡海元三郎
君
国務大臣
自 治 大 臣
安井
謙君
政府委員
消防庁次長
川合 武君
事務局側
常任委員会専門
員
福永与一郎
君
———————————
本日の
会議
に付した案件 ○
理事
の
補欠互選
の件 ○
災害対策基本法案
(
内閣提出
、衆議
院送付
)
———————————
小幡治和
1
○
委員長
(
小幡治和
君) ただいまから
委員会
を開会いたします。
委員
の
異動
について報告いたします。 本日付をもって
委員棚橋
小虎君が辞任され、その
補欠
として
基政
七君が
委員
に選任されました。
———————————
小幡治和
2
○
委員長
(
小幡治和
君)
理事
の
補欠互選
についてお諮りいたします。 ただいま御報告のとおり、
理事基政
七君が一
たん委員
を辞任せられましたことにより
理事
一名が欠員となっておりましたところ、暴君が再び
委員
に選任せられましたので、この際再び基君を
理事
に指名いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
小幡治和
3
○
委員長
(
小幡治和
君) 御
異議
ないと認め、さよう決しました。
———————————
小幡治和
4
○
委員長
(
小幡治和
君)
災害対策基本法案
を
議題
といたします。 まず、
衆議院
における
修正点
について
説明
を聴取いたします。
渡海元三郎
5
○
衆議院議員
(
渡海元三郎
君) ただいま
議題
となりました
災害対策基本法案
に対する
衆議院
における
修正
の
趣旨
を御
説明
申し上げます。 この
修正
は自由民主党、
日本社会党
及び
民主社会党
の三
党共同提案
にかかる
修正
でありますから、三党を代表して便宜私から
提案
の
理由
及びその
内容
の
概要
について御
説明
申し上げます。 御承知のとおり、わが国は世界に類例を見ない
災害国
でありますが、今日までこれに対応する一貫した
体制
の
整備
を欠いていたため、
国民
は累年甚大な
被害
を受けて参ったのでありまして
防災体制
のすみやかな
確立
こそは、朝野をあげての悲願でさえあったのであります。今回、
政府
は
災害対策基本法案
を提出し、
防災体制
の
確立
に力強い第一歩を踏み出そうとしたのでありまして、その
措置
は、ややおそきに失したうらみがあるとは申せ、まことに時宜を得たものと言わなければなりません。しかしながら、
衆議院
における審査の結果は、本
法案
の
趣旨
を実現せしめるためには、なお若干の
修正
を必要とすることが明らかとなったのでありまして、ここに
必要最小限度
の
修正
を行ない本
法案
を成立せしめ、一日も早く
国民
の
要望
にこたえんとするものであります。これが本
修正案
を提出した
理由
であります。 次に、
修正
の
内容
の
概要
について申し上げます。 まず、
修正
の第一点は、第三条の国の
責務
に関する
規定
の冒頭に一項を加えて、
国土
並びに
国民
の
生命
、
身体
及び
財産
を
災害
から保護することが国の本来の
使命
であること、及びこの
使命
にかんがみて、国はその全
機能
を結集して
防災
に関し万全の
措置
をとる
責務
を持つものであることを宣明したことであります。
原案
においても国の
責務
が
規定
されているのでありますが、きわめて
事務
的に表現されており、このことが
基本法
としての格調を弱めていることは争えないところであります。そこで、国は
使命
として
防災
の任務に対処するものであるという大きな前提を置くことによって、
国民
が本
法案
に対して寄せている強い
要望
にこたえようとするものであります。 第二の点は、第八条第三項で、国及び
地方団体
の
努力目標
として、施設の
復旧
と
災害
からの復興を
規定
しているのでありますが、これに
被災者
の
援護
を加えたことであります。申すまでもなく、
現行
の
災害救助法
におきましても、
被災者援護
に対して
各般
の
措置
を
規定
してありますが、
基本法
たる
本法
において、そのことが
災害対策
の大きな眼目であり、国の当然の
責務
であることを強く表明すべきであると
考え
たからにほかなりません。 第三点は、第九条に一項を加えて、この
法律
の
目的達成
のため、
政府
は広く
法制
上、財政上及び
金融
上の
措置
を講ずる
義務
のあることを
規定
しようとするものであります。これは第三条の
修正条項
を受けて、国の
責務
の
内容
を明示するとともに、章を追って随所に
規定
されている
法制
上、
財制
上、
金融
上行なわれるべきそれぞれの
措置
に対しまず
原則
を立てることによって、国の行なうべき個々の
施策
につきその指針を示そうとするものであります。 最後に、第
八章
災害緊急事態
に関する各条文につきましては、
章名
を除き、これを全部削除することといたしました。本章に関する各法条につきまして、われわれはいずれもこのような場合において何らかの
措置
が必要であることを認めるものでありますが、ただ、
政府提案
にかかる
関係規定
は、
各般
の立場から慎重に
審議
すべきものと
考え
るのでありまして、
衆議院地方行政委員会
におきまして、連日慎重かつ熱心に
審議
がなされたのでありますが、時日の
関係
からなお
審議
を尽くすに至らず、他方、今
国会
の会期はすでに残り少なく、このままの状態において推移するにおいては、
関連法案
の
整備
も
予算措置
もすべて遅延することとなり、
現下
最も緊急を要すべき
防災体制
の
確立
が著しく遷延せざるを得ないのであります。このような
関係
を彼此勘案した結果、第
八章
については、来たるべき
通常国会
において別途
審議
を尽くし、必要な
規定
の
整備
をはかることとし、第
八章
を除く
部分
は、前に申しました
修正
を加えた上これを成立せしめ、一日も早く
防災体制
の
確立
をはかることといたしたのであります。 以上が
修正内容
の
概要
であります。何とぞよろしく御
審議
の上、御賛成あらんことをお願いいたします。
小幡治和
6
○
委員長
(
小幡治和
君) 御質疑の方は順次御発言をお願いいたします。
西田信一
7
○
西田信一
君 ただいま
渡海衆議院議員
から、本
法案
に対する
修正
に対して御
説明
をいただきましたわけでありますが、この
衆議院修正
に対しまして、
政府
はどのような所見をお持ちでございますか、
大臣
から承りたいと思います。
安井謙
8
○
国務大臣
(
安井謙
君)
衆議院
におきまして、
法案
の一部を御
修正
をいただいたわけでありますが、院議で
決定
をいたしました以上、この
内容
につきまして、私どもはその実現をはかるように
努力
をしていきたいと思います。別に格別の
異議
はないと心得ております。
西田信一
9
○
西田信一
君
修正
されましたその第一点でございますが、「国は、
国土
並びに
国民
の
生命
、
身体
及び
財産
を
災害
から保護する
使命
を有するとにかんがみ、
組織
及び
機能
のすべてをあげて
防災
に関し万全の
措置
を講ずる
責務
を有する。」、こういうふうに
修正
がございまして、国の
責任
が一そう重くなったわけでありますが、この
国土
並びに
国民
の
生命
、
身体
、
財産
を
災害
から保護する
使命
を有するというこのことは、この
規定
は、すなわち
災害
に対する
国家賠償
を法定するものである、こういうふうな
意味
でございましょうか。
渡海元三郎
10
○
衆議院議員
(
渡海元三郎
君) この
規定
をもちまして
国家賠償
を直ちに
規定
するものである、こうは
考え
ておりません。
西田信一
11
○
西田信一
君
国家賠償
を直ちに
意味
するものではないという
お答え
でありますが、ただこの
修正
の
趣旨
は、国の
責任
を明らかにすると同時に、
組織
及び
機能
のすべてをあげて万全を期するようにという
意味
を強める、国の
責任
をさらに明確にするということを
意味
するものでございますか。
渡海元三郎
12
○
衆議院議員
(
渡海元三郎
君) 仰せのとおりであります。
西田信一
13
○
西田信一
君
大臣
にひとつお伺いいたしますが、この第二条に、との
法律
に
規定
しております用語の意義が定めてございます。この本
法案
に出て参ります
非常災害
ということは、別に定義としては、これには載っておりませんが、
非常災害
というのは、具体的にどういうことをさすのでございますか、
非常災害発生
の場合、
非常災害
というのは具体的にどういうことですか。
安井謙
14
○
国務大臣
(
安井謙
君)
非常災害
と申しますと、具体的に例をあげますと、
伊勢湾台風
であるとか、第二室
戸台風
というような相当大きな
影響
を
国民
に与える
災害
をおおむねさしておるつもりでございます。
西田信一
15
○
西田信一
君 そうしますと、
災害
の規模が非常に大きくて、相当広範にわたっておるということをさしておると思いますが、この
法律
の適用する
非常災害
の認定は
政府
がやることになるわけですか。
安井謙
16
○
国務大臣
(
安井謙
君) さようでございます。
西田信一
17
○
西田信一
君 今度の
衆議院
の議決に対しまして
附帯決議
が付されておりますが、この
附帯決議
にもございますように、
災害
の
原因
を根絶するために
抜本的施策
を講ずるようにということがございますが、この
附帯決議
の
趣旨
に沿って
抜本的施策
を講ずることについて、
政府
としてはどの省がこういうことに対する
責任
を持たれるのであるか、イニシアチブをとられるのであるかということについてお伺いいたします。
安井謙
18
○
国務大臣
(
安井謙
君)
災害対策
あるいは
防災
の
責任省
といたしましては、
政府
の各機構をあげて、あげてと申しますか、それぞれに
責任部門
を持っておるわけでございます。
本法
によりまして、そういった
責任部門
を網羅いたしまして、
内閣総理大臣
のもとに
中央防災会議
というものを置きまして、
政府
の
防災関係機関
をあげて一丸となってこの
防災
の
予防
あるいは
応急対策
その他
事後処理
に当たる、こういうつもりでございます。
西田信一
19
○
西田信一
君 このたびの
修正
で
被災者個人
に、
被害
を受けた方に対しまする
援護
について、
修正
が行なわれておりますが、この
個人
の
被災
の
援護
ということについて、
政府
はどういうお
考え
なり
対策
なりを用意しておりますか。
安井謙
20
○
国務大臣
(
安井謙
君)
災害
によって
被害
を受けられました各
個人
につきましても、その立ち上がりに対しまして、でき得る限り
国家
は救済なり御援助すべきである、こういう
建前
からその
建前
をうたっておるわけであります。これは、
先ほど
衆議院
の
渡海議員
からも
お話
がありましたとおり、そのこと自身がいわゆる
国家
の
賠償
というものと同じ
意味
というものじゃないわけでございます。
西田信一
21
○
西田信一
君
渡海衆議院議員
に
お尋ね
いたしますが、この
被災者
の
援護
をはかるという
修正
の中には、いわゆる
法人
、
企業会社等
を含めておられるのでございましょうか。
渡海元三郎
22
○
衆議院議員
(
渡海元三郎
君)
被災者
の
援護
に対しましては、
災害救助法
によります
法律
のほかに、あるいは
金融措置
その他も行なわれるのでございまして、当然それらの
措置
につきましては、
法人等
も必要とあらば対象となる、かように
考え
ております。
西田信一
23
○
西田信一
君
先ほど
の
修正
の御
説明
で大体わかったのでありますが、この第
八章
の
修正
はちょっと異例のことのように
考え
ますけれども、
先ほど
の
説明
で
趣旨
は大体了承いたしましたが、これを削除されました真の
理由
というものを、もう少し御
説明
願えれば……。
渡海元三郎
24
○
衆議院議員
(
渡海元三郎
君) ただいま
趣旨説明
の中で申しましたように、
非常災害
、
緊急事態
のような場合におきましては、そういった何らかの
措置
が必要であるということは、
趣旨説明
でも申しましたとおり、いずれもこれを認めるところでございます。しかしながら、そこに掲げてありますところの法文というのは、
国民生活
に広範にわたる
影響
を及ぼすのでございまして、
慎重審議
されるべきものである、かように
考え
ます。私たちも連日
審議
を加えて参ったのでございますが、なお
審議
を十分に尽くすに至らなかったのでございます。しかしながら、一方
防災体制
の
確立
ということは、
現下
一日もゆるがせにすることのできない
緊急事
でございますので、とりあえず削除するこの分については、
通常国会
でなお
慎重審議
するということにいたしまして削除し、残る
部分
を可決成立することによって、
防災体制
の
確立
を期す、こういうふうに
考え
て
修正
したものでございます。
西田信一
25
○
西田信一
君
安井大臣
に伺いますが、次の
通常国会
で
慎重審議
をされるということでありますが、そういたしますと、
災害対策基本法
の一部
改正
という形で
政府
からとの削除された
部分
に対しましては、新たに
提案
が行なわれるというふうに解してよろしいのでございますか。
渡海元三郎
26
○
衆議院議員
(
渡海元三郎
君) さように
考え
ております。
西田信一
27
○
西田信一
君
安井大臣
にお伺いいたしますが、ただいまの御
趣旨
でございまするからして、当然
政府
が
提案
された
内容
そのままのものが
改正
の形で
提案
されるものと
考え
るわけでありますが、特に
内容
について特別の
検討
を加えられて、何分再
提案
される
内容
について特別な
検討
の余地といいますか、そういうものは残っておりますか。
安井謙
28
○
国務大臣
(
安井謙
君)
政府
といたしましては、次の
国会
に
原案
のままでさらに提出いたしまして、
改正
をお願いする
予定
でおります。
西田信一
29
○
西田信一
君 次に
災害復旧
のことについてちょっとお聞きしたいのですが、
災害復旧
あるいはまた
災害関連
という
条項
がこれに見受けられますが、
災害
は
原形復旧
というか、最近は
改良復旧
といいますか、そういうことも若干見受けられるようでございますけれども、
災害
を受けるというには相当そこに
原因
が存在しているようでございまして、少なくとも
相当改良
を加えることによって、将来の
災害
を防止するということがきわめて大切なことであると
考え
るわけでありますが、この
法案
には
改良復旧
というようなことが見受けられないのでありますが、
改良復旧
ということの
原則
をむしろこの
法律
において明確化すべきじゃないかというふうに思うわけでございますが、この点がとられておらないように見受けられるのでありますけれども、この点、いかがでございますか。
安井謙
30
○
国務大臣
(
安井謙
君) 御
趣旨
のことはごもっともでございまして、
本案
におきましても、第八十八条の二項にそういった
趣旨
のことをうたっているつもりでございます。
西田信一
31
○
西田信一
君
行政審議会
がこの
防災
について
政府
に
答申
を行なっております。その
答申
によりますと、
水防
、
消防
の一本化、
広域活動
に便ならしめるような方途を講ずるべきであるということを指摘しているのでありますが、この
法案
にそういう
規定
がなされておらない
理由
はどういうところにございますか。
安井謙
32
○
国務大臣
(
安井謙
君) この
法律
によりまして、
現地
における
災害応急対策
と申しますか、
災害
に際しましてのいろいろな
対策
を講じます際、
消防
の
組織
は現存の
組織
はそのまま生かしておりますが、
活動
に
あたり
ましては、
知事
が
市町村長
を通じて全般的に指示を与える、こういうふうにまとめております。なお
水防
の
関係
におきましても、現状の
組織
はそのまま置きまして、実際の
活動
をそういった
指揮下
に置く、そういう
考え方
でございます。
西田信一
33
○
西田信一
君 よく世間で申すことでありますが、頻発する洪水問題の解決に、川を
人間
から遠ざけるというのじゃなくて、
人間
をそういう
被害
のあるようなところから遠ざける、つまり
人間
を川から遠ざけるべきであるというようなことをよく申すのでありますが、こういう
配慮
、つまり頻発するような
被害
常
襲地域
からは、
人間
を遠ざける
集団移住
というようなことが必要であろうと思うのでありますが、これらについてはどういう
運び
になるのでありましょうか。
安井謙
34
○
国務大臣
(
安井謙
君) たびたび
災害
をこうむる
地域
につきまして、
住民
の
希望
によって
集団移住
をする必要もあろうかと存じます。また、それを示唆する必要もあろうかと思います。その
方法等
につきましては、かねがね
考え
られておるのでございますが、何分新しい形のものでございますし、また
住民
の意思がなかなか統一するといったようなことにも困難な問題がございまして、そういう点を勘案しまして、今後
防災会議等
で十分練る、あるいは、それでは時期的におくれるというような場合には、暫定的に
特例法
というようなものも暫定的に次の
国会等
で考慮もしてみたい、こう
考え
ております。
西田信一
35
○
西田信一
君 この問題は、ぜひただいま御
答弁
のように、
恒久立法
もしくは暫定的な処置でも、これはすみやかにその
措置
が必要であると思いますので、ぜひその御
答弁
のような
運び
を願いたいことを
希望
申し上げておきます。 次に、
災害
が起きた場合の
職員
の
派遣
のことでありますが、これは二十九、三十、三十一条
あたり
にございます。そこで、しかも
要請
があった場合には、
職員
の
派遣
にとたえなければならぬという
派遣
の
義務
までも付せられておるわけでございますが、こういうことになりますと、この
職員
を
派遣
するための
準備
、用意というものが必要であると
考え
るわけであります。そういう
派遣職員
はどんなふうにして確保しておくか、
職員
の
プール制
といいますか、そういうことを
考え
る必要はないのか、こういうような点について御見解を伺いたいと思います。
安井謙
36
○
国務大臣
(
安井謙
君) これは将来の問題といたしましては、相当恒久的な
対策
を
考え
なければならないと思っております。したがって、案としては、
防災公団
のような形のもので、いろいろ要員を
考え
るというようなことも一つの案かと思っておりますが、まだこれは現在のところ具体的な形になっておりません。
西田信一
37
○
西田信一
君
災害対策
の
実効
を上げるためには、何と申しましても、戦後の風潮として権利だけを強く主張する、
義務
のほうは忘れておるとは申しませんが、
義務
を軽んずるというふうな
傾向
が非常にあると思います。そのためにいろいろ
災害
が、当然防止できるものが
災害
に至るというようなことが、あるいは
治山治水
、その他いろんな面を通しまして、非常に多くあるように見受けるわけでありまして、これは何といいますか、戦後において
国民
の
考え方
が、とうもそういう
傾向
がそういう
災害
の面にも強く現われているように感じまして、遺憾に思っているわけですが、このことは、やはり起きた
災害
をただ防止するとかという技術的な面だけじゃなくして、やはりもう少し
国民
全体が少なくとも
国民
としての
義務
を感ずるというような工合に改めていく必要があると思います。このためには、少なくとも
学校教育あたり
からそういう
思想
を、そういう
考え方
を涵養していく必要が非常にあるのじゃないかというふうに
考え
られますが、こういう点については、この立法
措置
くと同時に、何かそういうことについての
政府
の
対策
なり、お
考え
なりがございますれば伺っておきたいと思います。
安井謙
38
○
国務大臣
(
安井謙
君)
お話
のように、この
防災思想
を十分普及いたしまして、これはこの
法律
の
修正案
でもさらに明確にされておりなすし、
本案
でも精神としておりますように、
災害
に対する
予防
、
救助等
の
最終的責任
というものは国にある、
政治的責任
は国にあると見なければならぬと思いますが、しかし、それを果たします上からは、国、
地方団体
あるいはそれの
関係機関
及び
住民
、こういうものが三位一体となって対処すべきものだと
考え
ております。第八条におきましても、そういう
趣旨
から、今
お話
の
防災思想
の普及といったような項目もあげてあるわけであります。
西田信一
39
○
西田信一
君 この
防災計画
を立てるなために
防災会議
あるいは
防災
のための
協議会
、こういうものを設置することになっておりますが、これらに要しまする
地方公共団体
が負担すべき
経費
というものは、これはこの性格上、
性質上国
において持ってやる、あるいは負担してやるということが適当ではないかというふうに
考え
るわけでありますが、この点についてどういうふうにお
考え
でございましょうか。
安井謙
40
○
国務大臣
(
安井謙
君)
地方
における
防災会議等
の所要の
経費
の手続につきましては、国として十分めんどう見るべものであろうと心得ております。
西田信一
41
○
西田信一
君 めんどう見るという
お答え
でございますから、まあけっこうと思いますけれども、めんどう見るというその
範囲
がどの
程度
であるかわかりませんが、少なくともそういう
防災計画
を立てるというような
経費そのもの
は国がまるまる負担してやるというくらいの
配慮
があっていいんじゃないかという
意味
で
お尋ね
をしたわけでありまして、めんどう見るということの
範囲
が、どの
程度
のものであるのか、できればそういう
配慮
を願いたいというが
希望
も含めまして、もう一度
お尋ね
申し上げます。
安井謙
42
○
国務大臣
(
安井謙
君) 国が持つべきものと、
地方
で持つべきものを明確にして、いたずらに
地方
の負担を重くしないということがこの
法案
の
趣旨
でございまして、具体的には計数的な計算が整っておりませんが、そういった新しく国の
命令
に従って行なう
事務
につきましては、当然国がこれに対して費用を見るべきものと
考え
ております。
西田信一
43
○
西田信一
君 この
法律
の
施行
の時期なんですが、「公布の日から起算して一年をこえない
範囲
内において政令で定める」と、こう書いてありますが、
先ほど渡海衆議院議員
からも
修正
の
理由
について御
説明
ありましたように、こういう
災害国会
でこういう
法律
ができるということは、われわれも望ましいことでありますが、少なくともこの
法律
が有効に働くためには、そう
施行
の時期というものは遷延できないのじゃないかというふうに
考え
ます。これはいつごろから
施行
される御
予定
でございますか、伺っておきます。
安井謙
44
○
国務大臣
(
安井謙
君) これは一年以内ということになっておりますが、でき得る限りこの
法案
の
決定
を見ますれば、なるべくすみやかにやりたいと
考え
ております。時期として的確なことは申し上げられませんが、四月なり六月なり、その
あたり
までには全体の
準備
を急いで整えたい。そうしてそれまでの間においても、でき得る限りの
法制化
あるいは
予算化
といったようなものは、次の
通常国会
を通じてもでき得る限りのことはいたしたいと
考え
ております。
西田信一
45
○
西田信一
君 次に、
中央防災会議
が作る
建前
になっておる
防災基本計画
ですね、これはいつごろまでに作られるお
考え
でございましょうか。
安井謙
46
○
国務大臣
(
安井謙
君) これは
中央防災会議
ができ上がってからの問題でございまするが、少なくとも三十八年度の
予算
には、相当な
計画
を織り込み得るような
予定
で進めたいと思っております。
西田信一
47
○
西田信一
君 私は、
お尋ね
をいたしたいと存じましたところは大体
お答え
を願ったわけでございますが、この
基本法
がきわめて重要であるという認識に立って申すわけでありますが、同時に、
先ほど
から御
答弁
の中にございまして、われわれも了とするわけでありますけれども、この
基本法そのもの
は、いわゆる
基本法
でございまして、これを基礎とする、少なくとも来年度の
予算
の上にそれが具現をし、そしてまた、この
基本法
に基づくところの
諸法令
の制定ということも、これは並行して急いでいかなければ、せっかく
基本法そのもの
ができましても、
実効
が上がらないわけでございますから、少なくともそういう点について積極的なひとつ推進をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
小林武治
48
○
小林武治
君 ちょっと伺っておきますが、この
法律
と
自衛隊
の
出動
の
関係
ですか、こういうものはどういうふうになるのですか。
安井謙
49
○
国務大臣
(
安井謙
君) 実は、
自衛隊
の
出動
は、その
災害
時に
あたり
まして、都道府県の
知事
から
要請
をするという形になっておりまして、それは
現地
におきまして
命令系統
は依然として違いますが、相協力して
要請
して
出動
した場合に働くと、こういうふうに
考え
ております。
小林武治
50
○
小林武治
君 そうすると、別段の
規定
はしないで、
現行どおり
でいくと、こういうことになると思いますが、
自衛隊
はその指定の
行政機関
としてそういうものがないと、そういうことですか。
安井謙
51
○
国務大臣
(
安井謙
君) この
中央防災計画
の
会議
のメンバーには、当然
自衛隊
の
責任者
も入っていただく
予定
であります。ただ、
自衛隊
の
指揮監督
という点につきましては、直接の
監督
は、別のそれぞれの
系統
でやっていただくと、こういうことで
考え
ております。
小林武治
52
○
小林武治
君 そうすると、
自衛隊
は独自の
考え方
で行動するということですか。
安井謙
53
○
国務大臣
(
安井謙
君) あらかじめあるべき姿をできるだけ想定いたしまして、
地方
防災会議
でそういった対処すべき場所、
方法等
も、あらかじめ協議されております。大体そういう方針に従って
出動
するその際は、
自衛隊
は直接には
知事
の指揮を受けないでやる、こういうことになるわけであります。
小林武治
54
○
小林武治
君 そうすると、
対策
本部長というものができるのだが、その本部長あるいは
知事
等の指示とか、勧告とか、そういうものは受けないわけですか。
安井謙
55
○
国務大臣
(
安井謙
君) そのとおりでございます。
小林武治
56
○
小林武治
君 これは従来もある問題ですが、
自衛隊
が
出動
するために相当の
経費
を要しておりまするが、その
経費
は、今までどういうふうな扱いになっておりますか。
安井謙
57
○
国務大臣
(
安井謙
君) ちょっと正確なことは後ほどまた調べて
お答え
いたしたいと存じますが、今まで
自衛隊
が
出動
いたしました場合、それ自身に関する
経費
は
自衛隊
自身の負担であろうと思っております。
小林武治
58
○
小林武治
君 こういうものが出れば、また当然
消防
団あるいはその他の人の
防災
活動
を促すと、こういうことになりますが、その給与、手当というようなものについては、従来あまり明確でなかったと、実際に非常な労力を要し、時間を使う、こういうことに対して、何らか手当をするというふうなことを定める必要があるのじゃないかと思いますが、その点はどうですか。
安井謙
59
○
国務大臣
(
安井謙
君) それは
自衛隊
に対してでございますか。
小林武治
60
○
小林武治
君 いや、一般の
消防
の……。
安井謙
61
○
国務大臣
(
安井謙
君) 一般の
防災
活動
に
消防
団員等が
活動
しました場合、一応一定の
出動
手当というものは、基準はつけてありますが、市町村の状況によりまして非常にまちまちになっております。金額も非常に少ないと存じます。その点につきましては、今後できるだけ
配慮
をいたしまして、相当な基準のものは必ず出し得るようにひとつ十分指導していきたいと思っております。
小林武治
62
○
小林武治
君 今のように非常にまちまちで、また、ほとんど財政上の
理由
で出せないと、こういうような実情でありまするが、これらをある
程度
国で
考え
てやる、あるいは財政
計画
に入れてやる、あるいは特別交付税の問題にするというふうな必要があると思うのですが、そういうふうなことをこの中にも入れる必要がありゃせぬかと思いますが、どうですか。
安井謙
63
○
国務大臣
(
安井謙
君)
消防
団員あるいは
消防
職員
の費用、
出動
手当、あるいは経常
経費
につきましては、基準財政需要額で当然見ておるわけでございますが、この見方がまだ不十分だという点もあります。あるいはまた、見ただけのものが有効に使われてないといったような実情も確かにあると思うのでありまして、そういう点はさらに合理的なものにいたしたい。さらに突発的な事情によって、そういう
経費
がかさんだ場合には、特別交付税等でさらに補給をするということも
考え
ております。
小林武治
64
○
小林武治
君
防災
活動
をする、あるいはそれに
出動
すると、こういうことについては、特定の人に特別な負担をかけると、こういうことでありますが、従来はとかくこれが義侠的と申しまするか、ただ非常な犠牲をしいるというふうな結果になっておりまするが、やはりこういう
災害対策
というようなものをはっきりさせるためには、そういうものに対しては、ひとつきまった待遇等について、全国的な基準をきめてやると、それについてある
程度
政府
も
責任
を持つと、こういうふうな態勢をとってもらいたいと思いまするが、そういうことをするには、やっぱりある
程度
法規を必要とするのじゃないかと思いまするが、そういうことをこれからやってくれるかどうかですね。
安井謙
65
○
国務大臣
(
安井謙
君)
消防
団に対しまして、
災害
のときの
出動
もお説のとおりでございまするが、それ以外に対しましても、いろいろと不均等なものがあるように私ども心得ております。でき得る限り来年度の
予算
には、そういった不均等を直しまして、そうしてさらに
出動
等に
あたり
特に犠牲になったような場合には、それに対する特別報賞の制度といったようなものも法的にも十分
考え
たいというふうに目下思って
検討
をいたしておるわけであります。
小林武治
66
○
小林武治
君 ぜひひとつ、
基本法
というものができる機会にそういうものを整理してもらいたいということを
希望
しておきます。
小幡治和
67
○
委員長
(
小幡治和
君) 残余の質疑は次回に譲ることといたします。 次回は三十日午前十時より開くこととし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会 ————・————