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国務大臣(
水田三喜男君)
資本の
蓄積に役立つた点もあるでしょうが、やはり根本的にはおくれている
日本の
合理化投資をここで進めなければならぬという緊要な要請にやはり基づいているものでございますので、私
どもは前にあったいろいろな
特別措置は、やめるものはやめるし、内容をだんだん変えて
合理化をやってきました。今
年度においても相当
特別措置についてのいろいろな改廃を行なっておりますが、今残っているものを見ますというと、その
対象になっている
重要機械その他は、やはり今進められている
為替自由化の線に沿って必要とされている
合理化投資に
関係するものがやはり大部分でございますし、一方、今まではこの恩恵を受けるものが大企業というふうにいわれておりましたが、最近のこの
日本の
設備投資の
行き過ぎとかいろいろいわれております中には、大企業だけじゃなくて、
中小企業の
設備投資意欲が非常に強い。
中小企業がやはり
自由化を前にして、ここで必要な
合理化投資をやらなければならぬという気分が旺盛のために、この
特別措置は、ひとり大企業だけじゃなくて、
中小企業のそういう
合理化にみな適用されている問題でございますし、ことに
中小企業にだけ厚く適用している
特別措置もございます。そういう点を
考えますと、
国際収支の問題から
設備投資をわれわれ押えなければならぬという矛盾にぶつかっているわけでございますが、もし
国際収支のこういう問題がなかったら、私
どもとしましては今こそ
自由化を前にして
日本の
合理化投資というものをもっと進めなければならぬ。しかも、
中小企業部門にこれを浸透させなければならぬという
一つの要請があるわけなのでございますので、ほんとうならそれを進めるのが筋でございますが、それをやりながら一方
国際収支の問題にぶつかって、ここでとめなければ、これをある
程度押えなければならぬという、矛盾した二つのことを同時に今やっておるときでございますので、そこらを勘案しますというと、これを停止してしまうということにも本質的な問題があるというのが私
どもの
考えで、ずいぶんこれは検討いたしましたが、今回はこのままにしておくということにいたしました。
イギリスあたりでやった
措置を見ますというと、
イギリスでも今後、
国際収支の
改善のためにああいう引き締め
措置をとるが、
イギリスの必要な
合理化投資はさせなければならぬ、
イギリス経済をもっと伸ばさなければならぬというのが
イギリスの立場でございますので、今回はこういう
特別措置の停止を
イギリス自身も行なっていないというようなことでございまして、私
どもも
行き過ぎを押えるためにはやるべきだという議論もわかりますが、しかし、基本的には
日本は、そういう
外貨の制約がなかったら、ある
程度合理化は進めなければいかぬという必要にぶつかっているわけでございますので、そこらを
考えて、私
どもは今回の場合は一応これをとらぬという
措置をとったわけでございまして、矛盾した
政策を実際はやっておるんですから、この勘案で、なかなかむずかしい問題だと思います。