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1961-10-31 第39回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十一日(火曜日)    午後三時一九分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     大竹平八郎君    理事            上林 忠次君            佐野  廣君            成瀬 幡治君            市川 房枝君    委員            青木 一男君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            岡崎 真一君            梶原 茂嘉君            木暮武太夫君            林屋亀次郎君            堀  末治君            前田 久吉君            木村禧八郎君            戸叶  武君            野溝  勝君            天田 勝正君            須藤 五郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君   政府委員    大蔵政務次官  堀本 宜実君    大蔵省主計局法    規課長     上林 英男君    大蔵省主税局長 村山 達雄君    大蔵省銀行局長 大月  高君    大蔵省為替局長 福田 久男君    林野庁長官   吉村 清英君   事務局側    常任委員会専門    員       木村常次郎君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○農業近代化助成資金設置に関する  法律案内閣提出衆議院送付) ○日本輸出入銀行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○しよう脳事業転廃業者に対する転業  補償の請願(第三八号)(第二四〇  号)(第三九二号) ○合成清酒名称変更等反対に関する  請願(第五〇号)(第八〇号)(第  八一号)(第八二号)(第八三号)  (第九二号)(第九三号)(第九四  号)(第九五号)(第九六号)(第  九七号)(第九八号)(第九九号)  (第一〇〇号)(第一〇一号)(第  一〇二号)(第一〇三号)(第一〇  四号)(第一〇五号)(第一〇六  号)(第一〇七号)(第一〇八号)  (第一〇九号)(第一一〇号)(第  一一一号)(第一一二号)(第一一  三号)(第一一四号)(第一六九  号)(第一七〇号)(第一七一号)  (第一七二号)(第一七三号)(第  一七四号)(第一七五号)(第一七  六号)(第一七七号)(第一七八  号)(第一七九号)(第一八〇号)  (第一八一号)(第一八二号)(第 一八三号)(第一八四号)(第一八五  号)(第一八六号)(第一八七号)  (第一八八号)(第一八九号)(第  一九三号)(第二〇八号)(第二〇  九号)(第二一〇号)(第二一一  号)(第二一二号)(第二一三号)  (第二一四号)(第二一五号)(第  二一六号)(第二一七号)(第二一  八号)(第二一九号)(二  二〇号)(第二二一号)(第二二七  号)(第二二八号)(第二二九号)  (第二三〇号)(第二三一号)(第  二三二号)(第二三三号)(第二三  七号)(第二四一号)(第二四二  号)(第二四三号)(第二四四号)  (第二四五号)(第二四七号)(第  二四八号)(第二四九号)(第二五  〇号)(第二五一号)(第二五二  号)(第二五三号)(第二五四号)  (第二五五号)(第二五六号)(第  二五七号)(第二五八号)(第二八  六号)(第二八七号)(第二八八  号)(第二八九号)(第三二六号)  (第三三九号)(第三六二号)(第  三七四号)(第三七五号)(第三七  六号)(第三七七号)(第三七八  号)(第三七九号)(第三八〇号)  (第三八一号)(第四四二号)(第  四四三号)(第四四四号) ○葉たばこ収納価格引上げ等に関する  請願(第二〇七号)(第二三六号) ○定年退職者等退職金に対する課税  免除の請願(第三三四号) ○教育費所得控除対象とするの請  願(第三三五号) ○基準販売価格改定による酒類小売マ  ージン引上げに関する請願(第三三  七号)(第三八八号)(第四四一  号) ○身辺用細貨類物品税制改正に関す  る請願(第三六三号)(第四〇二  号)(第四二六号) ○合成清酒名称変更等に関する請願  (第五八九号)(第七一〇号)(第  七一一号)(第七六八号)(第七七  三号) ○たばこ販売手数料引上げに関する請  願(第六一四号)(第七〇八号) ○大蔵行政における部落解放政策樹立  に関する請願(第六九二号)(第六  九三号)(第八六四号) ○宮崎県都城市に国民金融公庫支所設  置の請願(第七〇七号) ○陶磁器の物品税撤廃に関する請願  (第七六五号)(第七六六号)(第  八七一号)(第九八一号)(第一〇  九三号) ○銀製品物品税撤廃に関する請願  (第七六七号) ○松川葉収納価格適正価格引上げ  の請願(第八五七号) ○写真機フイルム等物品税軽減に  関する請願(第一〇〇四号) ○所得税等減免等に関する請願(第一  〇三五号) ○預貯金利子引上げに関する請願(第  一〇三六号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣要求に関する件    ——————————
  2. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) ただいまから委員会を開きます。  農業近代化助成資金設置に関する法律案日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はまず大蔵大臣に伺いたいのですが、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案に関連してお伺いするのです。  この法案は、提案理由には輸出振興のための一連の施策として提案されてきていることは大蔵大臣も御承知のとおりですが、それで、政府がすでに国際収支大幅赤字改善のために改善対策というものを打ち出しているわけですが、この対策にはいろいろあるわけですが、この輸出入銀行法の一部改正案もその一つだと思うのですが、そこでこの際伺っておきたいのは、国際収支の問題に関連しまして、最近の国際収支が、ききに政府改訂案を出しましたが、その改訂案とまた非常に情勢が違ってきているわけです。改訂案では、三十六年度末、つまり来年の三月末の外貨保有高は十四億四千万ドル推定されておるわけです。ところが、すでに十四億ドルを割ってしまっておるわけですね。そういうことになってくると、たいへんな見通しの違いになっているわけです。それも、わずかばかりの違いではありません。そこで、この際伺いたいのは、この調子でいけば、本年度末、来年三月末における外貨保有高はどのくらいになるお見通しか。それから、最近において改訂案よりもさらに大幅に外貨保有見通しが狂ってきている、その原因は一体どこにあるか、まずこの点についてお伺いしたいのです。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今度のいろいろな措置をとることによって、大体こういうことになるだろうという一応の推定をしておったのでございますが、これがどういうふうに変化してくるかは、まだ今のところでは何ともいえないと思います。九月の情勢を見ますというと、すでにこの引き締め政策効果というものは相当出かかっているということに、はっきりしております。設備投資の抑制問題も、御承知のように、この六月調査し、またもう一ぺん調査した結果によりますと、すでに自主的に約八%程度のものが実際繰り延べられておるという計画になっておりますし、今後の金融情勢そのほかを見ますというと、当初予定したとおり、一〇%前後の設備の繰り延べということは私どもは可能だと今思っているときでございますし、それから卸売物価がもうすでに九月から下がり始めてきておる。生産の伸びというものも、九月末においてすでに鈍化して、今後ある程度横ばい傾向にいくのではないかというような動きが出てきております。現実輸出伸びているということはございませんので、私どもが今一番心配しておるのはその点で、今後さらに輸出を伸ばすためにはいろいろ手を尽くすつもりで、ございますが、信用状関係にはすでに八月から現われておりまして、貿易収支だけで見ますというと、八月から黒字がだんだん出ておる。この十月あたりも、たとえばきのう現在の信用状収支状態を見ますというと、輸出が二億九千百万ドル輸入が二億四千九百万ドル収支で初めて四千二百万ドルというような黒字信用状収支には現われております。八、九、十と、順々にこの黒字は上がってきているというようなことでございますので、これがもう少し先にいけば、赤字幅が相当狭まってくるということははっきりしていますし、今日現在までのところで、どれだけあのときの予定が狂うかどうかということは、今のところまだ正確に何とも言えない状態ではないか。もう一、二カ月の推移を見なければわからないという気がいたします。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今大蔵大臣から、これまでの、たとえば設備投資の一割抑制等々の影響が現われつつあるから、そう心配はないのではないか、そういう、言葉ははっきりそういうふうには言いませんけれども、そういうような御趣旨の御答弁だった。今まで政府見通しはいつでも違ってきたのです。それから、甘いです。これはいろいろな事情があって、意識的に今までの政策の破綻の責任をなるべく負いたくないという点もあって、それで実際よりは何となく、きびしく、正しく現実を見ないで、甘く甘く見ていると思うのです。それで私は伺ったのですが、今お話しのようにたとえば信用状収支において多少好転が出てきたといっても、これからの外貨保有減少の大きな原因は、短期資金減少にあると思うのです。これが非常に重大だと思うのです。そこで最近の、たとえばユーロ・ダラーとか、あるいは円資金、あるいはユーザンスの決済の問題もあります。そういう短期資金の移動についてどういうふうにお考えか。それで、大体年度末の外貨保有をどのくらいにお見込みですか。私は、下手をすると十二億ドルはもちろん割り、十億ドルになる危険さえあるのではないかと思う、このままでいったら。どうですか、その点。短期資金がどんどん流出したらどうなりますか。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 短期資金は最近少し減少しております。これはイギリスの金利が上がったことについて、一たん出たものが戻っているというような関係からの現象がある程度あるのではないかと思っておりますが、よく外貨危機線ということがいわれておりますが、この、どれだけなければいかぬというような問題は、むろん貿易規模とも関係いたしますが、それだけではなくて、やはり短期債務がどのくらいあるかというような問題とも関係して論ぜられていることでございますので、短期債務が減ってくるということになりますと、外貨のぎりぎりのいわゆる必要線といわれているようなものは、相対的に下がってもいいというようなことになりますので、これがどれだけ、どうなければいかぬということはむずかしい問題でございますが、しかし、私どもは、問題は、国際収支がとにかく回復する方向に持っていく、その方向がはっきり出てきて、大体いつごろ回復できるだろうというめどが立つことが、政策上一番本質的な問題であって、今それに努力しているのですが、その中途で外貨資金繰りがどうなるかというような問題は、これは私はまた別の問題だと思いますが、過日予算委員会でも申しましたように、外貨は必要に応じては私どもは借り入れもいたします。そうでなくって、逐次外貨についての信用を設定すれば、現実には外貨保有は今までどおりでも済むという手もございましょうし、この点は今も政府として十分考えております。  問題は、計画どおり国際収支回復ができるかできないかというところにあるんでございまして、そういうための本筋のいろいろ手を踏んでいるときでございます。その効果が今現に出てきておることは事実でございますので、今後どういう形で効果が現われてくるかということは、今のところまだはっきりと推定ができない状態でございますので、できるだけ早く所期の目的を達成するようにやっておりますが、私は今の調子でいったら相当この問題は、来年の三月ごろまでには最初考えておったような好転方向をとるだろうと今でも考えております。
  7. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そこが問題なんですが、これまで大蔵大臣に、この委員会でも何回も国際収支について御質問したんですが、大蔵大臣見通しでも違っているのです。それで、何も鬼面人を驚かすように、悲観論を唱えて危機危機だと強調することばかりが能じゃないです。そんなことを言っても、プラスにならないのであります。しかし、事態をもっと私は正しく、きびしくやはり見ることによって、対策もおのずから正しい対策が出てくると思いますが、で、私は今の程度対策で、そしてまあ好転しつつあるといいますけれども、私はどうも好転するとは見られないんですね。一時政府が予想したよりまた悪くなっているんですよ、最近。その点をまあ質問しているんですがね、その点を。
  8. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はまだそうなっていると断定はできないと思います。で、原材料在庫を見ましても、この在庫率ははっきり高くなって参りましたし、そうしますというと、この輸入担保率の引き上げというようなものがほんとに影いてくるのは今後であって、今でも輸入は押えられる傾向にずうっとなって参りますし、来年度金融情勢、いろいろなものに対応して、間に合う原料はおそらく買わなくても済みますし、在庫が非常に多くなっているということは、そのことによって国際収支がどうなるかということはわかりません。案外輸入減という現象が出てくるんではないかという期待も今されておるときでございますので、その辺を見きわめないと、この国際収支状態はわからないというのですが、そういう要素も含んでおりますので、私は今の政策をずっと押していったら、相当、最初の目的どうりの効果は期待できるというふうにまだ考えております。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは私もう時間がないんですが、これから具体的に大蔵大臣として、国際収支総合対策として今までは抽象的にいろいろ発表されておるだけなんですが、どういう手をこれから打っていかれようとしているか、どこに一番重点を置いて国際収支改善の手を打っていかれようとしているか、この点お伺いしたい。
  10. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 内需を押える、あるいは設備投資を押える、輸入を押えるというための措置としては、私は今程度措置でけっこう効果が期待できると思っております。ですから、これはこれとして、問題は積極的に輸出を伸ばすことに全力をあげるべきだと考えています。で、明日から開かれる日米合同委員会議題もそれを中心とした問題になるでございましょうし、また一方、私どもアメリカだけの市場に依存することもできませんので、東南アジア、中南米、その他開発のおくれている、外貨の少ない国に対する輸出政策というものも、ここで相当強力に考えなければならぬという必要がございますので、延べ払い輸出というようなものについても、従来私どもがとっておったものよりはもっと弾力的な措置をとるということを関係省できめましたので、これによって懸案として今までつかえておった輸出問題も、一億ドル以上の懸案を持っておりましたので、こういうものも逐次片づけていくという態勢ができましたので、これによってある程度そういう輸出伸びるんではないかと思いますし、輸出相手国としては何といっても今のところは米国が一番の市場でございますので、いろいろ合同委員会の成果も、その後においてこれはある程度見られると思いますし、米国景気回復というものにからんで、私ども輸出問題もいろいろ障害を除いてもっと積極的にやりたいと思っておりますし、一方内需が抑制されるという効果が出ましたら、当然これは輸出ムードになって現われるべき問題でございますので、そういう傾向とあわせて、今から来年度へかけた輸出対策というものを十分にやることが、やはり一番の重要な課題じゃないかと思いますので、その方向でやりたいと思います。  で、輸出入銀行資金の問題も、これはほかには関係がなく、もっぱら延べ払い輸出を進めるという場合に必要となってくる資金でございますので、こういう点も今度の予算委員会にお願いいたしましたが、これを追加いたしましたし、とにかく輸出ももう一歩力を入れたいという考えであります。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは輸出輸入、総合的に対策を立てなければなりませんし、大蔵大臣の言われました輸出に非常に力を入れていくという、そういう点は、かなり私も重要だと思います。その際、これは中田君も本会議で質問しましたが、対米貿易の最近の状況ですね、私はこれを基本的に直していかなければ一それは輸出入銀行の出資を多くして、延べ払いを少し多くして、貿易改善することも決してむだじゃない。やらなければなりません。しかし、その程度でこの今の当面の国際収支赤字改善の問題がすぐに解決はなかなかできません。一番重要なのは対米貿易です。  大蔵省から資料を私いただきましたが、本年の一−八月の対米貿易を見ますと、全貿易輸入超が十億八千四百万ドル、このうち対米の輸入超過七億三千万ドルですね。昨年の対米の入超は三億一千八万ドル。倍以上対米入超がふえているんです。また、輸出を見ますと、本年の一−八月の輸出が六億四千八百万ドル、対米輸出が昨年は七億二千七百万ドルで、絶対額として減っているんですよ、対米輸出が。そうして対米輸入は、昨年の十億四千五百万ドルが、本年度は十三億七千四百万ドルにふえておる。アメリカよりの輸入がうんとふえて、輸出伸び率が減っているどころじゃないのです、絶対額として減っているのですね。それで、アメリカは、いろんな資本収支としてはアメリカは入っているでしょう。しかし、一番基本的になる貿易においてものすごい対米入超なんです。これは高度成長政策によってアメリカから自由化の名のもとにどんどん合理化機械を買って高度成長やったわけです。ですから、アメリカドル防衛に協力したわけでありますが、他面、アメリカドル防衛日本からの輸出に対しては非常な制限を設けてきた。今度の日米合同委員会でこの点を、どこまで本気になって政府アメリカにこの調整を要求できるかにかかっていると思うんです、当面の問題としては。それは総合的にはいろいろあると思うのですが、いろいろやらなければならぬ。もちろん、われわれはアメリカにこんなに依存していることが、これが今の赤字の大きな原因なんです。当面としてはこれを何とかして解決しなきゃ当面の解決にならぬですよ。  それと同時に、やはり共産圏貿易ですね。これは長期契約が可能になってきている、最近できているようですから、もっと積極的に、安定性があるのですから、ソ連とも、あるいは中国とも、あるいは東南アジアとも貿易をもっと拡大すべきでありましょう。しかし、ヨーロツパに対する輸出重点を置いて、OECDに参加して、そしてふやそうと思っても、これは非常な私は困難だと思うのです。当面アメリカに対してこの逆調。前はアメリカ日本からたくさん品物を買っているんだから、それでもっと自由化をしろということをアメリカは強く言ってきたですね。それで、アメリカドル危機が直ると日本が今度は円の危機になって、アメリカかぜがなおると日本かぜを引いた、こういうことになって、かぜをうつされたという格好になっておるわけですね。時間がございませんから……。この点について、ただ話し合いというだけじゃだめだと思うのですよ。強力にアメリカに対してこの点を一体どうするのか、この点を具体的にどういうふうにお話し合いをするか、この点が一番重要じゃないかと思うのです、具体的な当面の問題としては。その点ひとつ。
  12. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それはもうそのとおりでございますので、今度の委員会もこの問題を中心にした自由討議が当然活発に行なわれる予定でございますし、今度の会議で、じゃ、ここをこうしようという具体的なものはお互いにきめないということになって、基礎的なそういう問題を、関係大臣は向こうからみんな来ますので、全部そろってそういう問題を自由に討議して両方の理解を深めようと、会議目的をそういうふうにしておりますので、この会議でそういう問題が討議されて、その後においていろいろ具体的な私どもは折衝が始まると思っておりますので、その基礎的な会合をするということでございますから、この委員会の意義というものを非常に今私ども重視しておるつもりでございますので、そういう問題の解決のためにこそ持たれる委員会だというふうに理解しております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ほかの委員の質問がありますから、私は最後に一点だけ、もう一つお伺いしたい。それは、租税特別措置法に関連して、予算委員会でも質問したのですが、時間がないので十分大蔵大臣の御意見を伺えなかったのですが、租税特別措置法景気対策として活用する考えがあるか。これまで租税特別措置によって資本蓄積を非常に助けてきたわけですね。私はその資料もいただきました。この租税特別措置、たとえば減価償却についても近代化のための特別措置とか、その他法人あるいは個人に対して配当控除とか、その他預金利子の面とか、至れり尽くせりの優遇措置を講じて、そうして資本蓄積を促してきたわけです。それが最近の設備投資を盛んにならしめた、全部じゃありませんが、非常な大きな要因だと思う。それがこういう設備投資行き過ぎている場合も、なおかつ、こういう資本蓄積を促進するための租税特別措置というものを依然として存続しておく必要があるかどうか。私は大体昭和三十一年ごろまででもうたくさんだと思ったのですが、ものすごく法人はもうけてきているのですね。その上にさらに税制面から非常な恩恵を与えて、この資本蓄積を促してきた。それがまた設備投資行き過ぎに拍車をかけたのですね。ですからそういう際には、イギリスでもやっておるのでありますから、この租税特別措置を停止したらどうか。私は廃止すべきだと考えておりますけれども、一応その前提として、まず、減価償却とか特別償却とか、そういう設備投資行き過ぎを非常に促進した特別措置について、この際適用を停止したらどうか。それによって設備過剰投資を抑制する。イギリスでもやっておりますが、それを実行される意思があるかどうか、この点を伺いたいのです。  それで、設備投資行き過ぎ金融面から、金融をうんと引き締めることによって押える場合は、これは全般的に影響が来て、中小企業その他みんな非常な影響を受けるわけです。特別措置を通して特に設備投資行き過ぎたところに対してこれを停止するということは、私は非常に合理的に投資行き過ぎを調整できるのじゃないか。もちろん、金融引き締めも無意味であるとは言いませんが、いわゆるこの租税特別措置の停止ですね、そういうお考えは持っていないか。私はこれは慎重に検討して、これは実行に移すべきじゃないか。この答申にも、あるわけです。主税局長も言われたように、この答申にもあるわけですね。ある。各国の例も書いてあります。税制調査会答申にもあるのですから、これをほんとうに実施する意思を持って検討するお考えがあるがどうか、伺いたいのです、この点、大蔵大臣に。
  14. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 資本蓄積に役立つた点もあるでしょうが、やはり根本的にはおくれている日本合理化投資をここで進めなければならぬという緊要な要請にやはり基づいているものでございますので、私どもは前にあったいろいろな特別措置は、やめるものはやめるし、内容をだんだん変えて合理化をやってきました。今年度においても相当特別措置についてのいろいろな改廃を行なっておりますが、今残っているものを見ますというと、その対象になっている重要機械その他は、やはり今進められている為替自由化の線に沿って必要とされている合理化投資関係するものがやはり大部分でございますし、一方、今まではこの恩恵を受けるものが大企業というふうにいわれておりましたが、最近のこの日本設備投資行き過ぎとかいろいろいわれております中には、大企業だけじゃなくて、中小企業設備投資意欲が非常に強い。中小企業がやはり自由化を前にして、ここで必要な合理化投資をやらなければならぬという気分が旺盛のために、この特別措置は、ひとり大企業だけじゃなくて、中小企業のそういう合理化にみな適用されている問題でございますし、ことに中小企業にだけ厚く適用している特別措置もございます。そういう点を考えますと、国際収支の問題から設備投資をわれわれ押えなければならぬという矛盾にぶつかっているわけでございますが、もし国際収支のこういう問題がなかったら、私どもとしましては今こそ自由化を前にして日本合理化投資というものをもっと進めなければならぬ。しかも、中小企業部門にこれを浸透させなければならぬという一つの要請があるわけなのでございますので、ほんとうならそれを進めるのが筋でございますが、それをやりながら一方国際収支の問題にぶつかって、ここでとめなければ、これをある程度押えなければならぬという、矛盾した二つのことを同時に今やっておるときでございますので、そこらを勘案しますというと、これを停止してしまうということにも本質的な問題があるというのが私ども考えで、ずいぶんこれは検討いたしましたが、今回はこのままにしておくということにいたしました。  イギリスあたりでやった措置を見ますというと、イギリスでも今後、国際収支改善のためにああいう引き締め措置をとるが、イギリスの必要な合理化投資はさせなければならぬ、イギリス経済をもっと伸ばさなければならぬというのがイギリスの立場でございますので、今回はこういう特別措置の停止をイギリス自身も行なっていないというようなことでございまして、私ども行き過ぎを押えるためにはやるべきだという議論もわかりますが、しかし、基本的には日本は、そういう外貨の制約がなかったら、ある程度合理化は進めなければいかぬという必要にぶつかっているわけでございますので、そこらを考えて、私どもは今回の場合は一応これをとらぬという措置をとったわけでございまして、矛盾した政策を実際はやっておるんですから、この勘案で、なかなかむずかしい問題だと思います。
  15. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 委員長から申し上げますが、委員長理事の打ち合わせによりまして、質疑は時間をなるべく御厳守願いたいと思います。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 他の御質問者もありますから、私はたくさん質問が残っていますが、この辺で、終わっておきます。
  17. 野溝勝

    ○野溝勝君 今委員長からお話がありましたごとく、理事会で申し合わせたということでございますから、それを尊重いたしまして、質問を簡単にいたしたいと思います。でありますから、御答弁のほうも要点だけでけっこうでございます。  先ほど、同僚木村委員から質問ございました国際収支の問題でございますが、今社会では国際収支危機なんということよりは外貨危機を叫ばれておるわけです。前国会におきましても、大蔵大臣に私がこの点を注意しながら質疑した際、大臣は七月、八月になればアメリカの決算期も終わるから好転するというような御意見でございました。それが見通しがはずれたと思うのです。でありますから、大蔵大臣の楽観居士もけっこうでございますが、現実の経済事情から見て非常に心配をしている点がありますので、この点については、国際的影響のあることで、国内経済だけでどうすることもできない問題ですから、あまり深く私は申し述べませんが、ひとつ慎重に検討してほしい。特に、野に遺賢ありというわけではありませんが、国民全体が不安にかられている問題ですから。特にラスク長官が明後日来ることになっておりますが、日米経済合同委員会で努力すると言われておりますが、最近の情勢を見ると、貿易自由化以来急激に日本ドル不足が来ているわけです。今、大蔵大臣が真剣に交渉なり折衝なりをするという話でございます。そういう点を十分腹に置いて、極力善処方を願いたいのでございます。
  18. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この会議のおもしろいところは、お互いに両国政府の方針や意見をきめて臨むということをしないで、各閣僚が全くばらばらで自分の考えをお互いに述べ合うというところに、将来のためのいい成果の基礎を作ろうじゃないか、こういうことになっておりますので、各省とも今この委員会に臨んで言うことをばらばらできめておりますが、しかし私どもが、意見は意見としても、一応連絡は持っておりますので、その内容を見ますと、相当この委員会に出られる日本側の委員の態度も、大きい問題に触れながらみな真剣な態度で臨むという態勢になっておりますので、この点は、今おっしゃられたように、十分私どもも慎重にやりたいと考えております。
  19. 野溝勝

    ○野溝勝君 次に、お伺いしたいことは、農業近代化助成金の法律案の問題ですが、三百億が予算に組まれておりますが、大体農家六百万戸といたしまして、これを平均に割り当てるというと一戸五千円に、なるのでございますが、この五千円くらいで何を近代化するのでございますか。簡単でよろしゅうございますから、お答え願いたいと思います。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 三百億、六百万戸と言われますが、今まで農業系統のこの種資金というものは、非常にコストが高く、したがって利子も高いために、農業自身にこの金が使われていなかったというところに、いろいろ欠陥があったろうと思います。今度は農業から集まってきている金を農業にできるだけこの金を動員して、還元融資的なものにしたいということから、今度初めてこういう制度を考えたわけでございまして、これによって今まで農業に使われなかった金が三百億動員されるということは、これは私はむしろ画期的なことではないかと思います。今後、これをさらに三百億、何百億というふうにだんだん広げていきたいと思いますが、そこで前国会でも私どもが、お願いしておったことですが、この農業系統資金を活用していくというために、国が一般会計で利子を多くどんどん負担すれば、それでこの活用範囲は、広まっていくのだ。だから、もっと一般会計で多く利子を持ったらいいのじゃないかという御意見がございますが、これはある程度どもも踏み切って一般会計から利子を持つということにしたのです。  問題は、この農業系統資金のコストが非常に高い、協同組合を経て、県信連を経て、また農林中金というような形の今の形でいったら、農業資金というものがほとんど農業に使う余地がないのじゃないかということを私どもは心配しておりますので、この資金のコストを下げることをまずやってもらいたい。この農業系統の金融機関の合理化ということをやることによって相当コストは下がるであろうし、それに政府もお手伝いをするという形なら、この金がもっと多く農業に使われるだろうと思いますが、今のままでおって、ただ政府の一般資金だけを使ってこの金を活用しようというのは私は無理だというので、農林省にもこの問題を課題としてお願いしてございますが、そういう方向の努力がなされたら、私は今の資金どころでなく、もっと何倍かこの系統資金が活用されるだろうと思う。政府は、最初の踏み切りを私どもがつけたというように私ども考えておりますので、今後これが合理的にもっと多くなることを私ども希望しております。
  21. 野溝勝

    ○野溝勝君 この問題については、大臣も批判しているように、農林金融の運営は実際耕作農民に対し今日までたいした役立ちをしていない。意見もあり、問題もあった点ですが、その点は今大臣が強調しておるようですが、そのほかに、たとえば農業基本法を促進されるために、この資金がややともすれば零細農には回らないで、いわば大きな農業ないしは資本農業というようなものにこれが使われるのではないかというような意見も出ておりますから、この点は十分留意されまして善処を願いたいと思います。これは意見ですから。  次に、私の申し上げたいと思うことは、これで私の資問なり意見は終わるのですが、この際、資源問題について要望したい。六月五日、三十八国会で商工委員会においては三党の決議をもって天然ガスの開発促進に万全を期することの決議があったわけです。このガス資源については、特に学者専門家等の調査意見によりますと、日本には三億キロリットルの石油の埋蔵量があり、さらに天然ガスはその五百倍、六千億立方メートルの埋蔵量が日本にある。この未開発の唯一の資源が日本にある。これを開発することは日本外貨流出防止の点におきましても、日本経済は大飛躍することは言うまでもなく、産業的に、あるいは雇用労働の関係におきましても、あらゆる面からも絶対に必要なことが強く叫ばれておるわけです。特に通産省におきましても、これらの意見をまとめ、その目的達成を承認されておるように聞いております。これについては労働組合も経営者と一体となり強力に推進しておるようであります。特に国際収支の問題を置えるときに、外貨保有ということは絶対必要な至上命令である、こういう点から見ても、あるいは日本唯一の最大資源開発の点から見ても、全く日本としては朝野を問わず天然ガスは開発の実現に邁進されんことを望んでやまないのである。大蔵当局におきましてもさような点を十分考慮されまして、善処方を強く私は要望し、大臣の見解をこの際お伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  22. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 政策的にも重要な問題でございますし、本年度においても政府は相当予算的に配慮をしたつもりでありますが、今後これは十分考えたいと思います。
  23. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 輸銀法の一部改正法に関連して少し質問をしたいと思います。前国会でも輸銀法の改正法が出たわけです。ところが、今度の改正案では二百億円の追加資金増額にすぎないように一応見えておりますが、前国会と今国会との間には、世界の政治経済情勢に大きな変化が起こっていると考えるわけです。そこで、世界の資本主義の混乱はますます増大していく、また日本資本主義の環境のむずかしさは増加していると、そういうふうに思われます。その意味で、同じ輸銀法の改正でも、前国会と今国会とでは性格が違っているように思われるわけです。  この点は漸次質問の中で明らかにしていくといたしまして、まず第一にお聞きすることは、東南アジアと総称しておりますが、ここでいわれている東南アジアとはどの範囲をさすのか、大臣の見解をお聞きしておきたいと思うのです。
  24. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 具体的問題になりますので、銀行局長から……。
  25. 大月高

    政府委員(大月高君) 統計上、日本輸出入銀行東南アジアと申しておりますのは、フィリピン、南ベトナム、タイ、マラヤ連邦、シンガポール、インドネシア、ビルマ、インド、セイロン、パキスタン、ポルトガル領ゴア、これだけでございます。
  26. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在の東南アジアの地重は一体どうなっておりますか。それはどうなっておるのか。それから、その比重がますます増大し重要となっていくと考えておるか、その点を伺います。
  27. 大月高

    政府委員(大月高君) 現在、全体の輸銀の融資におきましては、東南アジアに対しましては二九%を占めております。輸銀の対象といたしております船舶その他設備延べ払い輸出につきましては、主として相手国が未開発地域でございますので、東南アジア、南米とか、そういう方面は主力を占めておるわけでございます。そういう意味におきまして、今後における比重につきましても、東南アジアはますます重要性を帯びておる、こういうふうに考ております。
  28. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この法の中で、経済協力という言葉が使われているわけですが、この経済協力の定義はどんなものか、伺っておきたいと思います。
  29. 大月高

    政府委員(大月高君) 輸出入銀行の融資の対象は、原則として、コマーシャルベースにおきまして個々の商社ないし会社において輸出入契約を結んでおる、そういうものが主力を占めておるわけでございますが、別に国と国との協定によりまして輸出を行なっておる、あるいは輸入を行なっておるというような案件がございます。具体的に申しますと、たとえばインドの借款、タイ、インドの借款、それからユーゴスラビアとの間に経済協力があって、それに基づいて輸出をする、あるいはパキスタンに対しまして繊維、機械の延べ払い輸出をする、その他ございますが、こういうふうに、国と国との経済協力の協定によりまして輸出しておるものを大体において経済協力と、こういうように定義いたしておるわけでございます。
  30. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 経済協力という場合ですね、東南アジアの広域経済圏を想定しておるのか。政府は、東南アジアとの経済協力に成功しない場合、日本資本主義にとって死活の問題になるほどに重要だと考えておるのかどうかですね。つまり、東南アジアの経済協力に政府は運命をかけておるのかどうか、どういうふうに考えられておりますか。これは大臣がお答えになられたらいいんじゃないですか。
  31. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 安定した輸出市場の開拓確保というようなためには、どうしても日本としてまず低開発国の経済援助、経済提携ということをやらなけりゃいかぬというふうに私ども考えておりますが、今のその国際機構の通念から見ますというと、昔は各国がそれぞれそういうことを考えていろいろやっておったが、今後は各国別に自分の市場開拓とかいうような考えでやるべきじゃない、先進国は共同の義務としてこの低開発国の開発援助、そうしてその国民の生活水準を上げるということをやらなければ世界の共同繁栄というものはあり得ないんだ、こういうのが今国際機構の一つの理念でございまして、そういう意味から、一国だけが、特にそういうことをやる必要のある国はやってもかまわないが、できるだけ共同でみなやろうというような思想になっておりますので、それに対して日本も最近東南アジアの開発にもそういう意味で各国とのおつき合いで一緒に入って、共同でやるというような仕事を相当やっておりますが、今後も日本でできる協力はするかわりに、やはり大きいほんとうの経済協力というようなものは日本自身だけではなかなかむずかしい、各国と共同してこの東南アジアの開発にも当たらなけりゃいかぬ、そういう行き方をするんでなかったら、東南アジアの開発というのはなかなかむずかしい仕事だというふうに私ども考えておりますので、日本としても当然日本の義務として、一番近いアジアの開発に力を尽くしますが、日本だけじゃなくて、先進工業国全部と協調して、このアジアの開発に当たるという方針で、今後は私どもももっと積極的な努力をしたいというふうに考えております。
  32. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、現在の池田内閣の外交方針、経済政策では、あなたたちが言っておる東南アジアとの経済協力ですね、それに失敗するんではないかと思うのです。失敗した場合は結局、政府はどういうふうに責任をとられるのかどうか、どういうふうに考えておられるのか、その点を伺っておきたい。
  33. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 失敗した場合というのがはっきりわかりませんが、私どもは今、いい仕事で必要と思うもの、そして日本の力に大体負えるものというようなことで、援助できるものはするということでやっておるものばかりでございますので、その結果がそう失敗すると思われるようなものは今実際にはないような気がしますので、その点、私弁明をいたしておきます。
  34. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは小さい問題になりますが、説明書に、予想されるとか、その実をあげていくものと思われるというような、多分に主観的な期待が強いような言葉が使われておるわけです。これを逆にいうと、多分自信がどうもなさそうな響きもするわけですが、自信があろうがなかろうが、東南アジア市場細分割競争にぜひとも乗り出してやり抜かねばならないというのが政府の立場だろうと考えるわけです。その目的のために国民の税金をできるだけ引き出そうと、こういうのが今度の法案のねらいだと思うのでありますが、見込みのない投機、この中には軍事的な投機もあり、冒険主義も含まれていると思うのですが、この投機にますます国民の血税をつぎ込もうとしておるのだと考えるわけです。  そこで、日経の九月十一日付の経済時評の中で「『指導者経済』で協力を」という標題で、「東南アジア開発の基本態度」、こういう見出しで、北海道炭砿汽船社長の萩原吉太郎氏がこういうことを書いておるわけです。「たしかに、投下資本の安全性を考えることは正しい。しかし投下資本の安全になるまでを待ち、安全になったら投資するというのでは、東南アジア開発の協力にはならない。安全でないからやらないでいいかというに、やらないですむものではない。そこが、東南アジア開発に対する協力なのである。もし、わが国がこれを怠れば外国がやるであろう。」、こういうようなことを書いておるのですが、これに対する大臣の見解を示していただきたいと思います。
  35. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 東南アジア諸国にはまだ治安という点で安定していな国もございますので、したがってなかなかあそこへの投資というようなことはむずかしい問題がございます。しかし、そうかといって、後進国の開発がおくれるということは、これはさっき言いましたような国際機構の理念からいっても困ることでございますので、できるだけ共同の力でこの援助をしようという方向でございますので、そうすれば、かりに若干の危険がございましても、その危険を一国で負わないで済みますし、先進工業国全体と提携してこういうことをやるという方向が私はやはりいいんじゃないか、今後なるべくその方向でやりたいと考えておる次第でございます。今の萩原さんの考え方がどういう考えで言っているのかわかりませんが、私どもは今後の方向はやはりそういう方向がいいと思っております。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間がありませんので、あまり深めることができないのでありますが、東南アジア諸国のうちでソ連、中国、東欧の社会主義国と経済貿易協定を結んでいる国々はどこかという点、またどういう原則で経済協定が結ばれておるかということ、さらに金利、延べ払いの期間はどのくらいになっておるか、そういう点、過去数年間東南アジア諸国と社会主義国との経済協力は著しく進んでいるといわれますが、簡単に現状と見通しを述べていただきたいと思います。
  37. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいまのお話は、対共産圏との貿易協定に基づく各種の条件についてのお尋ねだと存じますが、ソ連との貿易協定につきましては、日本とソビエト社会主義共和国連邦との間の一九六〇年度から一九六二年度までの期間における貿易及び支払いに関する協定というのがございまして、これが一九六〇年の三月二日の調印にかかるものでございます。この協定自体については非常にこまかい条件がきまっておるわけでございますが、六一年度貿易目標額を金額に換算いたしますと、輸出が八千六百万ドル輸入が七千五百万ドル、これだけでございます。輸出のうち千二百万ドル延べ払い分の頭金、また分割弁済分として入金予定、こういう予定になっております。それで、その条件につきましては外部に公表しないということになっておりますので、御了承願いたいと思います。
  38. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今私が伺ったのは、東欧の社会主義国と東南アジア諸国との間で経済貿易協定を結んでいる国はどこかということ、それからどういう原傾で経済協定がこれらの国で結ばれておるのか、それからさらに、金利、延べ払いの期間を知りたいとはどのくらいになっておるかということと思います
  39. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいま持っております資料ではそれはわかりませんので、調査しなければならないかと思いますが、どの程度わかりますか、共産圏の話でございますので、ちょっと自信がございません。
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、このあとでまた伺うことにしましょう。そうすると、その次の、過去数年間東南アジア諸国と社会主義国との経済協力の状態ですね、どういうふうな状態に今日あるかということもおわかりになりませんね。
  41. 大月高

    政府委員(大月高君) ただいまのところ不明でございます。
  42. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 須藤君に申し上げますが、質問の趣意がだいぶ通産省関係が多いようでございますからできるだけ大蔵省に向けてひとつ御質問願います。
  43. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、もう一つ、同じような問題ですが、東南アジアに対する米英西独の経済協力の現状はどうなっておるか、今おわかりになりませんか。
  44. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 政府側に申し上げますが、議事の進行上、わからない点はわからないでけっこうですから……。
  45. 大月高

    政府委員(大月高君) 詳細は判明いたしません。
  46. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、後日おわかりになったら、資料としてお出し願えたらけっこうだと思います。いいですか。  米国の外交政策は、インドの国民会議のいわゆる右派を担ぎ込んでネールの中立政策米国のほうへ引きつけようとしていると思うのです。その政治目的のために経済援助を行なうという側面を持っておりますが、しかし、インド自身が内部で非常な困難をかかえているということは御存じのとおりです。貿易バランスはここ数年来、五億から六億ドル赤字を出しております。保有外貨は三億ドル余りの最低限界に来ております。さらに、インドの責務は金利だけでも毎年一億ドルに達しており、一方英国のOECD加盟によりまして、主要輸出品である綿布、茶ジユートの対英輸出激減価格低下が予想されるわけです。その結果、第三次五カ年計画は限界が見え始めてきました。他方で、インド以外の東南アジア、中近東、アフリカ市場日本の軽工業品と激しくせり合う、こういうことが予想されると思うのです。また、アメリカのバイ・アメリカ政策によりまして、日本製品はどんどん排除されている。以上の点から見ますると、日本の対インド輸出見通しは非常に暗いというふうに私たち考えるわけです。その点、政府の見解をお聞きしたい。  特に、池田内閣の外交方針がアメリカに追従した反社会主義であること、アメリカの新しい集団植民地主義、方針に乗っかってその積極的推進者となっている以上、うまくいくはずがないと思うわけです。五月初めにベルグラードの中立諸国首脳会議で平和共存、中立主義の堅持、新しい集団植民地支配体制に反対する態度をとったことを政府はどういうふうに考えておられるか、これは大臣にひとつお聞きしたいと思います。
  47. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今のは外交政策の問題のようでございますので、これはひとつ外務大臣とでもお話を願いたいと思います。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣、そうじゃないですよ。単に外交問題じゃなく、これは経済がからんでいる問題ですよ。簡単な外交問題じゃないと思うのです。やはり非常に経済に関係の深い問題ですから、大蔵大臣としてこれに対する見解を伺っておきたいと私は考えるわけですが、どうですか。
  49. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私ども日本の経済の実力から見て、低開発団への援助が必要であることは重々承知しておりますが、この援助の限度というものはやはり国の経済力に縛られておる問題でございますので、この範囲内においてできるだけのことをするという方針で今臨んでおりますが、インド、パキスタンのごときは、さっき申しましたように、国際機構内において各国と協力してこの開発援助をするというこの各国の方針を了として、その一員として日本で分担し得る限度内の分担をするということでやっておるだけでございますが、これはやはり日本にとって後進国の開発の必要を認めている以上、各国と協調して援助するという態度がわが国としても正しいことだと思って、これに加わって協力しているわけでございますので、そのやわ方が今言った外交政策の問題とどういう関係にあるかということは別といたしまして、私どもとしては日本の経済力で、できるだけのつき合いをしているということでございます。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大蔵大臣はそういうふうに考えられても、いわゆるAA諸国では非常に日本の方針に疑いを持っておるわけです。だから、オグラードで中立諸国が首脳会議でやはり日本が平和共存の立場に立たない、中立主義の立場に立っていない、いわゆるアメリカに追随した集団植民地主義の立場に立ってこれをやろうとしておるという点で、非常に不信を招いておるということが明らかになっておるわけです。こういう状態で、大蔵大臣がやろうとしていることが実際成功するのかどうかという点について、私たちは非常な危惧の念を持っておるのでこういう質問を大蔵大臣にするわけなんです。
  51. 福田久男

    政府委員(福田久男君) 具体的な事実につきまして、大臣の御答弁を補足さしていただきたいと思います。ことしの春主要国でインドの五カ年計画に対する資金援助を行なうために債権国会議、コンソルシアムが行なわれまして、それによりまして五カ年計画の当初の二カ年につきまして総額二十二億八千六百万ドルをインドに対して借款を与えようということで、その中にもちろん世銀も含まれておりますが、きまりまして、それらの分担に応じて、その中にもちろん日本も、先ほど大臣から御答弁申し上げたように、分に応じた参加をいたしておるわけでございますが、それぞれ各国ともその話し合いに基づきまして、具体的に融資を行なう話し合いを進めて、手続きは進められておるわけでございます。日本も先般、今後二カ年間で融資すべき分担額をインドとの間に話し合いがきまりまして、実行に移っておりますし、それぞれの分担の額に応じて話し合いが進められておるということであります。これが当初の二カ年で、二十二億八千六百万ドルというのは固まったと見ていいわけであります。それが計画どおり行なわれますれば、五カ年計画も着々と軌道に乗るというふうに申し上げてよかろうと思います。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一点、インドネシアについて伺っておきたいのですが、スカルノ大統領は親日的だと非常にいわれておるわけですが、しかし、それは反オランダ、反英、反米の意向が強いので、相対的に日本に好感を持っている程度に私はすぎないと思うのです。日本はその間隙を縫って鉱産物や発電、石油開発に進出しようと、こういうふうにしております。そしてインドネシアは非常に有望だと大いに宣伝をしておると思うのです。しかし、スカルノ大統領は東南アジアとして最も有力な中立政策の擁護者であるということは皆さんも御存じのとおりです。そしてインドネシアでは統一戦線が形成されて、左翼の力は非常に強いところです共産党員は百五十万もインドネシアにはおるわけです。このような非常に左翼の勢力の強いところです。また、中国やソビエトとの結合は東南アジアで一番強いところだと考えます。だから、米国中心の新帝国主義の立場で日本が進出しようとしても、結局は大きな反対と、またその限界にぶつかるだろうと私たちは考えるのです。政府のこれに対する見通し政府東南アジアに対する、いわゆるインドネシアに対する見通しはどうなるか、ひとつ伺っておきたいと思います。大蔵大臣どうですか、今のような方針で……。どうですか、水田大蔵大臣、政治的な問題ですから、大蔵大臣がはっきり所信をお述べになって下さったらいいと思うのですが。
  53. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) どうも申しわけなかったのですが、今他の委員会から呼びにこられたので、情報をちょっと聞いておりまして…。インドネシアに対する方針は今のままでいいかということですか。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一ぺん申しましょうとにかくインドネシアは非常に有望だというふうに今宣伝されているわけですよ、インドネシアに対する。ところが、インドネシアという国は、親米のごとく理解されておるけれども、実際はそう甘いところではないと思うのです。現にインドネシアは中立政策の擁護者です。アジアで最も有力な中立政策の擁護者だ。この点、日本と非常に立場が違うと思うのです。それからもう一つ統一戦線が非常に結成されておる。要するに、あそこには共産党員が百五十万おって、非常な左翼の強いところです。それで、統一戦線が非常に強力に結ばれておるところです。そこに対して今のような甘い考え、今のような政府政策で、はたして成功するものかどうか。米国中心の新帝国主義の立場で進出しようとしても、結局は大きな反対に会い失敗するのではないだろうか、これが私たちの考えていることです。それに対して大臣はどういうふうな見解を持っていらっしゃるか。
  55. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そういう国であればこそ、なかなか開発について協力しようとしても受け入れの態勢にむずかしいところもございますので、したがって、今おっしゃられたインドネシアというふうな国に対しては、各国ともこの援助態勢というものがなかなか進んでいないということでございまして、日本も同様で、この経済協力というべきものの実績というものもインドネシアには現在そう多くございませんし、いろいろそのときどき要望はございましても、具体的の折衝においてほとんど話は進まないというのが実際でございまして、そういう国であればこそ、なかなか援助するほうも形式その他でむずかしい問題がありまして進んでいないというのが、今の遺憾ながら実情であるというふうに思います。
  56. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 須藤君、申し合わせの持ち時間がだいぶ超過いたしましたから。
  57. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは大臣、一方的な考え方だと思うのですよ。インドネシアという国はそういう国柄だから、そこで日本のいわゆる考え方を改めない限り、私はあそこではなかなか困難が多いと思うのですよ。それを、日本考え方を改めないで、インドネシアはそういう国柄、だからうまくいかない、こういうのでは、私は意味がないのじゃないかと思うのです。現にインドネシアじゃソビエトとの間にいろいろな問題で、経済問題でも非常に成功をしておるわけです。だから、インドネシアで皆さんが考えているようなことがりっぱに行なわれるためには、やはり向こうの考えているような中立政策に立ち、平等互恵の立場に立たねばならないと思うのですが、日本政策はそうでないというところに私は問題があると思うのです。それで私は大臣に見解をお伺いしたわけでありますが大臣の話では、インドネシアがそういう国情だからうまくいかないのだ、そういう答弁……。
  58. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いや、そうじゃなくて、インドネシアの実情も私どもは知っておりますから、日本考えを改めなければじゃなくて、それに即応した考えをこちらは最初から持っておるわけでございまして、したがって、なかなか開発の話は具体的には進まないことが多いというのが実情であります。
  59. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はまだまだ質問が残っておるわけです。それで、この質問は後日に譲りまして、きょうはここでお約束どおり私は時間を守りまして、これで質問を打ち切りますが、後日、大臣に質問を要望しておきたいと思います。
  60. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  61. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記を起こして。
  62. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 林業所得の特別措置について御質問したいのですが、この特別措置は、提案理由ですと、木材の需給関係が非常に悪くなっておる。その資料についてはいただいております。それで、結局三十六、七年度の総需要は、三十五年度に対して素材で二千十万立方メートルですか、増加を見込まれる。これに対して、国内で立木で千二百万立方メートル、外材輸入が六百万立方メートル、チップが五百四十万立方メートルの増加をはかる。そこで、国内生産では、立木で国有林が八百万立方メートル、それから民有林が四百万、こうなっておるわけですね。これだけの増伐を期待しておる。この民有林の増伐を円滑に行なわしめるために租税措置を講ずることになったというのが、この提案理由ですね。ところで、今度の特別措置によりまして、山林所得というものの税金は非常に安くなるわけですね。今までも安いのでありますが、これは資料としていただいたのですが、所得金額一千万円の人の例をとると、事業所得の税負担割合は四〇・一%、給与所得者の税負担割合は三九・七%、これに対し山林所得の現行税法による税負担は二三・九%ですね。今度の税制改正によって、これが一九・九%にまた下がるわけです。税の負担割合から見まして、今まででもずいぶん負担の権衡上安くなっておるのですが、今度さらにまた安くなるということになりますと、ほかの所得者との負担の不均衡がひどくなると思うのです。なぜこんなに安くしなければならないか。その目的は、民有林の増伐を期待しているというのですが、これによって四百万立方メートルですか、これだけの増伐が期待できるのかどうか、この点、まずお伺いしたいのです。
  63. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お答え申し上げます。民有林の増伐を二年間に四百万立方メーター期待する計画をいたしておるのでございます。仰せのとおり、私どもといたしましては、今御審議をいただいております税の関係だけで、これが完遂できるというようには考えておらないのでございます。そのほか林道の開設でありますとか、あるいは技術の指導を極力いたしまして、山持ちの人たちに十分この事態と申しますか、木材需給の現況を認識していただきまして、この租税の措置と同時に効果をあらしめたい、かように考えておる次第でございます。で、この二年間には、かような御措置もいただきまして、特に私どもも努力をいたしまして、この四百万立方メートルの増伐は完遂して参りたいというように期待をいたしておる次第でございます。
  64. 村山達雄

    政府委員(村山達雄君) ただいま木村先生のお尋ねで、現行でも山林所得に対する税金は非常に安過ぎはぜぬか、その上に今度の特別措置をとることによって、それがさらにはなはだしい程度に至らないか、こういうお尋ねでございます。現行の租税特別措置は、山林に対する課税のやり方は、簡単に申しますと、われわれこれは租税特別措置的なものとは考えておりません。これはやはり何十年間の資産を一挙に伐採いたしますので、年々の所得に対する累進税率をそのまま適用するということはどうも不適当である。その調整方法として五分五乗をとっているわけでありますが、この五分五乗がそのままいいかどうかということはいろいろございますが、各国とも山林所得に対しましてはそれぞれ調整措置をとっております。したがいまして、この問題は、今後の臨時増伐分に対する実効税率を二分の一にすることが、どの程度軽減になるか、またそれによって一体どのくらい促進になるか、こういう問題だろうと思いますが、ここにお手元に出しましたのは、二割増伐の場合、三割増伐の場合、五割増伐の場合ということで出してございます。それによりますと、五割も増伐いたしますと、だいぶ傾斜はつきますが、林野庁のほうの計画で見ましても、三十六年度の国内生産は四千八百万立米でございますが、そのうち民有林の計画増分は百四十万立米くらいになってございます。で、全体の国内生産に対しましては約三%くらいになってございますので、その程度のものであれば、非常に軽減割合も少ないのではなかろうかというふうに考えております。しかも、それは根っこからでございませんで、増伐分に対して平均実効税率で二分の一にしておるということでございますので、その程度の促進策は必要でもあり、また過度にわたるというふうにはわれわれは考えていないわけでございます。
  65. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の問題について、もう少し具体的にこれから御質問したいのですが、その前に御承知のように、木材価格が近年非常に騰貴しているのですが、木材の需給関係及び価格安定のために、こういう措置を講じようとしているわけなんですけれども、   〔委員長退席、理事上村忠次君着席〕 今後の見通しですね、一体どういうふうになるのか。これは、御承知のように、非常に広範に大きな影響を及ぼしているわけですね。住宅建築、学校、その他ですね。または公共事業その他のものにですね。それで、まあいろいろ対策はあるでしょうが、具体的にたとえばどの程度に木材価格の安定、木材の需給というものが……。ただ、この委員会で御答弁されるだけでなく、実際問題として、今後これは強く要求されているのですよ。非常に重要な問題だ。非常に手抜かりだったと思うのです、今まで。もうほかの物価と比べて著しく高いのですからね。この需給について手を打たなかったということは、確かにこれはもう大きな失敗だと思うのですよね。これまでの失敗を責めてもしようがないのですが、今後に対してほんとうにどういうふうに需給と価格安定を行なうように処置していくお考えであるか、この点。
  66. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 木材価格がどの程度の水準になることが一番適当なのかという、まず、この問題でございいますが、この問題は非常にむずかしゅうございまして、今お説のとおり、木材の需要というものは非常に多岐にわたっております。したがいまして、それに対する価値の判断というものも、それぞれの需要によって変わってくるかと思うのでございます。で、将来の需要構造の見通しというものも立てて参らなければならないのでございます。そういった問題をそれぞれ検討いたしてみましても、なかなか現在の価格がはたしてどの程度のところにいるのかということも、なかなかむずかしくて判断しかねるのでございます。で、一例を見ましても、輸入事情等から見ますと、国際的な価格になってきたというような状態でございます。で、私どもといたしましては、需給のバランスがとれてくることによって木材の価格がすわるべき居どころにすわるというような、現在はまことにばくとした考えでございますが、そういう考え方でこの需給のバランスをとるということに全力をあげて参らなければならないと考えておるのでございます。  それと同時に、この価格の分析につきましては、専門家にも依頼をいたしまして、今検討をいたしておるのでございますが、これはなかなかむずかしい問題かと考えております。しからば、例の閣議の了解は得られました時期から現在に至ってどの程度に価格が動いているかということでございます。大体、あの後漸次横ばいになって参りまして、おもな建築に使われます杉角材料等につきましては、市場価格等を見ますと、大体二〇%前後下がりぎみになっております。で、私どもは一般住宅等のことを考えますと、決してこれで十分であるというようなことは考えておらないのでございまして、さらにこの点には力を尽くして参らなければならない、かように考えておる次第でございます。
  67. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 九月三十日ですね、木材価格安定対策でございますか…。
  68. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 八月十五日でございます。
  69. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その効果として、二歩程度下がったというのは、それは何が一番原因ですか。
  70. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) これは的確に何がということを申し上げかねるのでございますが、一部には木材の小角物がかなり大量に入って参ったということ、それから一部には伐採の傾向がふえて参ったということであります。東京市場にかなり多くを出しております天竜流域等の事情を聞いてみますと、あの地方の伐採はかなり進められまして、あの地方では大体一割程度、杉の素材の価格が下がってきているというようなことを聞いております。
  71. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、今後まあこの木材価格の安定は期待できる、そういうふうにお考えですか。
  72. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 私どもは、さらに力を尽くしまして、この安定対策は遂行いたさなければならないと思っております。
  73. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあいたさなきゃならないと言われますが、それは価格安定対策が実際に効果をあげなければそうならないのですが、その中で、これは実際に今後——まあ輸入の問題があるのでありますが、まあ輸入の点について伺う前に、国有林なり、あるいは民有林ですね、計画どおり伐採できるとそういうふうにお考えですか。
  74. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 民有林のもう四百万立方の点につきましては、たとえば先ほど来申し上げましたとおり、私どもといたしましては、あらゆる施策を尽くしまして伐採を進めて参らなければならないと考えておるのでございますが、国有林につきましては、本年度四百万立方メーター、来年度四百万立方メーター、八百万立方メーターの増伐を計画いたしておりますが、すでに本年度の分につきましては予算措置もできまして、これは予定どおり実行できる見込みでございます。
  75. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、まあ国有林のほうは予定どおりできる。すると、あと、今度は民有林と輸入ですね。輸入の問題になると思うのですが、それで、民有林については、今度はこの減税措置によって増伐をまあ期待するということになっているのです。が、はたしてそのとおりにいくかどうかですね。まあこれまでこういう傾向はなかったですかね。今の税制の立場から山林地主に非常な優遇措置を講じてきた。そのために、大地主の過熱林の温存、いわゆる切り惜しみの傾向を助長したのではないか。で、これが現在の木材価格高騰の一因になっているのではないか、こういうまあ見方があるわけですね。そうしますと、こういう、税金の方でまけたから、すぐに増伐が期待できるというふうに、簡単に考えられない面があるのじゃないか。むしろ、この山林を持っていると、至れり尽くせり、いろいろな一もう少し切らないで待っていると、また優遇措置をしてくれるのじゃないか、あるいはもう少し持っていれば木材価格がもっと上がるのじゃないか、少しばかりまた税金をまけてもらうよりは、温存しておいて木材価格の値上がりを期待した方が得じゃないか、そういういろいろな要素も入ってきますので、今税金まけたからすぐに四百立方メーターの増伐が期待できると簡単に考えられないのじゃないかと思うのですが、こういう点はいかがでしょうかね。
  76. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) お説のような御心配をいただくことになるかと思うのでございますが、大山持ちの中には、そういう気持の人も従来あったかと思うのであります。大山持ちが作っております——大山持ちというと語弊がございますが、山持ちの作っております協議団体がございますが、そういう方面へも、私どもといたしましては、極力この目下の木材事情を十分に認識をしてもらうように努めております。それから、この山林所有者の九六%というものは大体十ヘクタール以下の所有者で、その所有者の大部分というのは農家になっておるかと思うのでございます。そういう多数の小森林の所有者につきましても十分理解を深めてもらいまして、この増産対策に御協力を願うというように心がけたいと思っておるのでございます。
  77. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはまあ一つの国策ですね、これについて十分理解を求めたいと。それはお気持ちはわかるのですが、しかし、これは経済の問題はそう簡単にいくものじゃないのであって、これはもう私よりもあなたのほうがよく御存じだと思うのですが、ことに今お話しの九六%は十ヘクタール以下というのですが、そういう人たちは、聞くところによると、従来非常に協力をしてきたですね。ところが、協力をしない人たちは今まで山林を温存しておって、今度こういう減税措置になると、協力しなかった人が非常に得を、するという、そういう面も出てくるのでしょう。   〔理事上林忠次君退席、委員長着席〕 これなんかも非常に私は不公平だと思う。今まで協力しないでおった人が今度は非常に得をする。今まで一生懸命協力をした人が損をする。損をするというか、そういう弊害も出てくるのでしょう。そういうことを考えると、政府の言うことに従っていたのでは損をするのではないかという気持も出てきますね。そういう点はやはりどういうふうに……。
  78. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) この協力しなかったということが大山林所有者のことになるように存ずるのでございますが、かなり大きい面積を持ちました森林の所有者になりますと、大体計画を立てまして輪伐経営をしているところが多いかと存ずるのでございます。そういう人たちはその例年の伐採用に奮発をして増伐をしていただくということになるわけでございまして、私どもといたしましては、今まで温存していたのがここで役に立つというようなほどには考えておらないのございます。
  79. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この大きい山林地主に過熱林の伐採義務というのを課することはできないのですかね。
  80. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 過熟林の伐採義務でございますが、これは私ども考えでは、一定の年限がきますと生長量が衰えて参るのでございます。したがいまして、伐採時期というのはそれぞれ適正伐期齢級というのがきめられておりまして、その時期に切りますのが所有者にとっても一番有利な時期であるというように私ども考えて、指導もしておるのでございます。そういう関係で、四十年なら四十年という時期に切りますと、山林所有者にとっても最も有利であるということが山林所有者に十分認識をされない。この点は、私どもも指導の努力が足りないのでございます。そういうことで、かなり長く残っておるものも出てくるかと思うのでございます。今のところでは、伐採の義務を課するということは制度的にはできておらないのでございます。
  81. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際に、税金をまけて、予定計画どおりに民有林の増伐が期待できればいいんですがね。どうも税金はまけた、実際効果はないということになると、全く意味をなさなくなるし、われわれから見れば非常に税負担の均衡を失すると思うわけです。それで、私は実際にそういう経験がないからわからないのですけれども、そういう山持ちの人なんかに端的に聞きますと、今度の措置によってどれだけ利益になるかわからない、必ずしも利益になると思えないというので、積極的に増伐に協力する態度を示していないように思われるんですね。なぜなら、今度木材を切った場合、跡地の造林の場合を考えても、非常に人手がないとか、それから最近は賃金が非常に高いんですね。で、山が荒れちゃう。そを切っても、今度は運ぶのに非常に困難がある。林道等の問題もあるわけですね。そうすると、増伐によってどれだけ効果があるかわからぬ。こういう気持ちを持っている人が、ことに大きな山林地主じゃなく、さっきあなたが指摘されたその十ヘクタール以下、そういう人たちに非常に多いように聞いているんですがね。その辺の事情はどうなんでしょうかね。
  82. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まず、人手不足の問題でございますが、この点につきましては、来年度になりますが、森林組合に対しまして機械化の助成をいたしまして、これによって極力機械化をはかって参るというように考えているのでございます。それと、一般にまだこの措置効果が十分わかっていないというような御指摘でございますが、この点は、御決定をいただきました上で大いにPRをいたしまして、普及をいたしたいと考えている次第でございます。
  83. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは、大いに効果をあげることを考えてもらうことはいいんですが、今具体的に伺っているのは、たとえば林道の問題ですね。切っても運ぶことが困難だ、この問題はどういうように具体的に処理されるのか。あるいは人手不足の問題、これは今機械化ということを言われましたが、賃金も非常に高い。機械化する場合に、それは機械を買って手に入れる、そういう具体的な問題が処理されないと、増伐によって確かに効果があるのだということを山林所有者に納得させられないと思うんですがね。その点は具体的な対策をお持ちになっておるのかどうかですね。
  84. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) まず、林道の問題でございますが、林道は、さしあたり本年度におきまして、既定の計画に上廻りまして百十七キロを計画をいたして予算措置を講じてございます。これによりまして、伐採を可能にできます蓄積が三百万立方メートルくらいあります。さしあたりの三十六年、三十七年度におきましては五十五万立方メートルになるかと考えております。  そのほか人手の問題、賃金の問題、それから機械化の問題、この点につきましては、総合的に検討をいたしまして、生産性を向上し、機械化を進めまして、人手不足を補うと同時に、賃金等の改善もあわせてはかって参られるようにいたさなければならないと考えております。
  85. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 増伐を期待するという場合、この四百万立方メートルですか、これはもう適齢期というのですか、切ってもいい木なんですね。これまで木材の需給関係が非常に逼迫したのは、やっぱりもう少し持っているともっと値上がりするんじゃないかと、こういうあれもずいぶんあったと思うのですね。切り惜しみというものがあったと思うのですよ。さっきあなたが言われたように、一番基本は需給関係にあると思うのですね。それで、だまって持っていても、少しくらい税金をまけてもらうよりも、この際木材の値上がりを期待したほうが得だという気分になれば、これはどうしたって切り惜しみになると思うのですね。根本はやはり需給関係で、たとえば輸入の問題もあると思うのですね。ですから、国内の増伐を期待してなかなか需給関係が調整がとれないような場合は、もっと、これはしろうと考えでわからないのですけれども、もっと思い切って輸入をふやしてみると。そうすると、木材の値上がりを待って切り惜しみしていては損だと、やっぱり適齢期に来たらどんどん切っちゃわなければ損だという、そういう気分を起こさせることが非常に必要じゃないかと思うのですが、そういう点はどうなんですか。税金をまけることよりも、私はむしろそういう対策を講じたほうが、積極的に増伐に協力させる道ではないかと、こう思うのですが、いかがでしょうかね。
  86. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 輸入に対するお説もごもっともでございます。私どもはそれもあわせて実行をしなければならないと考えておりまして、今年度は、三十五年度に対しまして、三十五年度が六百三十万立方メートルの輸入実績でございますが、三十六年度には八百五十万立方にふやす予定でおります。で、さらに三十七年度には一千二十五万立方メートル程度を見込んでおるのでございます。これにつきましては、やはり港湾の整備という問題、この点につきましても運輸省と折衝をいたしまして、輸入に支障のないように対策を講じていただきつつあるわけでございます。私どもといたしましては、この輸入は、仰せのとおり、あわせて大いに進めて参らなければならないと、かように考えております。
  87. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうも私は割り切れないのは、もう需給関係を調整するということは木材価格安定に一番重要であると思うのですが、それには民有林についての、この増伐についてはこういう利益を与えないで、利益誘導というか、切れば得なんだと、こういうことをしないと増伐が期待できない。それからまた、将来黙って持っていればどんどん値上がりするということになると、多少税金をまけたくらいじゃ増伐に協力してもらえないと思うのですよ。それで、一番基本は輸入をふやすということと、やはり政府の官有林ですね、これの増伐に——これは政府ができるのでありますから、これを今まで政府が怠ってきたということはどうもわれわれはわからぬ。これは、山林地主を木材価格をどんどん上げてもうけさせる意図があったからそうしたのじゃないか、こういうようにさえわれわれしろうとは考えます。政府はできることをなぜやらないか。官有林については、やはり一定の今までの成長率との関係で、むやみに切れないということがあると思うのですね。しかし、こういう、極端に値上がりしているんですね、最近は。この重大な影響を広い範囲に与えるということを考えましたら、思い切った施策を講ずるに至らなかったことは非常に私はおかしいと思うのです。需給関係をこのように悪化させてきたということはどうも……。私は、税金をまけたら、そこで需給調整がうまくいき、木材の価格の安定が十分期待できるというなら、賛成してもいいのですけれども、私はこれはやったって効果がないと思う。それはもう末の問題で、もっと需給関係については有効な——輸入の問題と官有林の問題ですよね。これについてもっと抜本的な方策を立てなければならぬ、こう思うのですが、そっちのほうをやらぬ。まあ、やらないわけじゃないでしょうが、ウェートの置き方ですね、政策の。そっちのほうがどうもウェートが置かれていないで、こういう民有林の税金をまけて増伐を期待するというのは、どうも私は末のように思うのですが、その点いかがでしょうか。
  88. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 国有林の伐採につきましては、先生の仰せにもありましたように、将来の保続等の問題もございますし、また国有林が奥地を占めておるというような関係から、国土保全あるいは伐採の搬出の困難性というような面から、なかなか思うように進まない点もあったのでございますが、今回あらゆる検討をいたしまして、八百万立方メートルを二年間に増伐をいたします。ということは、大体平素の二割五分程度まで増伐をするということになったのでございます。  で、この点、しからば将来に危険はないかということでございますが、その面につきましては、造林の新しい技術を大いに取り入れまして、将来における成長量を期待いたしまして、この増伐後も将来に不安のないようにいたした次第でございます。  輸入の問題につきましては、極力可能な範囲を計画をいたしまして、この点若干無理はあるのでございますが、この数量を見込んだのでございます。  で、民有林におきましても、かなり困難性はあるのでございますが、私どもといたしましては、今お話をしております措置のほかにも、各府県に対しましてすでに会議を招集をいたしまして、逐次その計画の徹底をいたしておりますと同時に、今回の措置につきましては、各県におきまして非常に御協力を願っておりまして、この推進も逐次効果が出て参っておるように考えておるのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、さらにその民有林の増伐につきましても力を尽くして参りたいと考えております。
  89. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これまで全体の総合対策というのが非常に欠けていたことが、この木材の需給関係をこのように不均衡ならしめた大きな原因になるのですが、いろいろな点について欠陥があるわけです。たとえば国有林を増伐しても、山林の保続の問題もあり、いろいろあるのですが、そういう問題も解決されていない。輸入するについても、さっき御指摘がありましたが、港湾の問題、特に最近では沖人夫の問題ですね、木材を輸入しても一カ月もあれが積み出しができないのですね。沖に滞貨になっておる。そういうことも欠陥になっているわけですね。高度成長、——高度成長もそれはけっこうなんですが、そういうような、ただ生産設備ばかりどんどん拡張することに重点を置いて、そういう総合対策が忘れられている。しかも一番基礎になる木材の需給関係についてこんなに窮屈ならしめたということは、これは一大失敗ですよ。そういう意味では、港湾の問題もありましょうし、それから人夫の問題もあるのでしょうし、そういう点にこそ重点を置くべきであると思うのです。これはまあ私はしろうとですから、実際業者でありませんから、よく実情はわからないのですけれども、またしろうとはしろうとなりに、おか目八目といいまして、そういうことは見て欠陥も指摘できるのではないかと思うのです。その点について今後、これはここで議論したり御答弁になったりだけじゃ済まない問題ですから、どういうふうにほんとうにこの問題の解決のために努力されるお気持か。それから、あなたのほうもほんとうに真剣になって推進してもらいたいと思うのです。いかがですか、御答弁願いたいと思います。
  90. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 港湾のまず滞貨の点でございますが、御指導のように、私どもこの対策に着手しますにあたりまして、港湾の事情を調査をいたしてみますと、水中貯木場等でかなり長く保有をしているものがあるのでございます。これはそれぞれ港湾の管理者に依頼しまして、この港湾貯木場の回転率を早めるように、特に東京、名古屋、大阪のような大輸入港につきましては、この輸入関係の業者の団体によりましてその督励をしてもらうというように措置をいたしておりますが、今後もこの点につきましては特に私ども注意をいたしまして、関係者の協力を得て進めて参りたいと思っております。  それから、作業員の問題でございますが、御指摘のように、山林関係の作業員は逐次減って参っております。どこまでもやはり少ない作業員で能率を上げていくということを考えて参らなければならないのでございますが、幸い国有林の事業の機械化もちょうど軌道に乗って参りまして、この面では大いにこの仕事にも貢献ができるかと思っておるのでございます。いずれにいたしましても、やはり使用者と作業員との間の協調というものが十分にとられて参らなければ、こういう事業はなかなか進まないというように考えておりますので、御指摘、御指導をいただきまして、この点も特に慎重に心がけて参りたいと考えております。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 もう一つ伺いたいのですが、今の作業員については、前にも林野特別会計の際にも質問しまして、非常な低賃金ですし、機械化されたといいましても、最近の機械ですか、あれは非常にからだにも悪い影響を及ぼすというようなこと等も聞いておるわけです。そういう点も十分考慮されたいということと、最後にもう一つ自由化の問題ですね。自由化と価格の関係ですが、これはいつごろ自由化されるわけですか。目途はどのくらいで、それでどうももう私言わないでもおわかりと思うのですが、アラスカ・パルプとかあるいはアメリカのパルプが非常に安く入ってくるというような話も聞くわけです。この点はちょっと需給をむしろ緩和するほうかもしれませんけれども、今度は日本のパルプのほうに非常な影響が来るわけですね。この点どういうふうになっておるのでしょうか、最後にお聞きしたいと思います。
  92. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) パルプの輸入自由化の問題でございますが、これは来年の十月までに完全に終わるような考え方でおります。それまでの間に国内の態勢を固めて、輸入自由化されても差しつかえがないようになると考えておるのでございます。アラスカ・パルプは将来、大体これはこちらへ全部製品を持ってくるような計画になってはおるのでございますが、こちらの市場関係で持ってこられない場合もあるようでございます。したがいまして、アラスカ・パルプの経営の目的はどこまでもパルプをこちらへ持ってくるということでございまして、将来は全量を日本輸入をするという計画で事業を進めておるものと考えております。
  93. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そのアラスカ・パルプだけではなくて、私今ちょっとノートを持ってくるのを忘れましたが、アメリカのパルプ会社が、太平洋岸で、日本に対する輸出を目途として大規模な拡張をしているということを聞いたことがある。名前はちょっと忘れましたがね。そういうことを考えますと、来年十一月までですか、自由化した場合に、日本のパルプ産業はそれによって存立を脅かされるようなことは一体ないのかどうかということですね。
  94. 吉村清英

    政府委員(吉村清英君) 日本のパルプ業界が存立を脅かされるようなところでは、なかなか自由化はできないと思うのでございますが、今のパルプ業界の計画見通しによりますと、大体そのころには態勢ができてくるのではないかというように私どもは予想をしておるのでございます。まあ一言つけ加えますが、私どもといたしましては、やはりパルプにしか使えないような材があるのでございますから、やはりパルプもパルプの輸入自由化によって疲弊をするようでは実は困りますから、その点は十分慎重な注意を払って参りたいと思っております。
  95. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記をつけて。  他に御発言もなければ、これにて三法律案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより討論に入ります。  まず、農業近代化助成資金設置に関する法律案について御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議のないものと認めます。  これより採択に入ります。農業近代化助成資金設置に関する法律案を問題に供します。  本案を原案どおり可決することに賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  99. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。    ——————————  次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案について御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案に簡単に反対の意見を表明したいと思います。  この法律案は、二百億円の追加資金増額という純技術的なもののように一見見えますが、その背景と内容を見ますると、東南アジアに対する独占資本資本輸出の欲求のために国民の税金を湯水のようにくれてやる、あるいは救済資金にまで使用しようという意図を持っております。それだけでなく、この法律案は、アメリカ中心とする新しい世界的な集団植民地主義に日本が冒険的、投機的に乗り出していくための手段となっており、それによって社会主義に敵対しようとするものであります。また同時に、南ベトナム、ラオス、タイのごとく、軍事政権てこ入れのための経済援助も含まれているものであります。そのために、去る九月ベルグラードで開かれたAA諸国会議では、新しい植民地主義に反対する決議さえ行なっておるような次第であります。だから、日本輸出政策は今後ますます大きな壁にぶつかることは当然でありましょう。それにおいて政府輸出振興の呼びかけはますますヒステリックとなり、そのために国民の税金は独占資本の投機と冒険主義にむだ金として使われていくってことは明らかであると思います。政府の根本的な貿易政策転換なくしては、何も本質的には解決されないと思います。私は、政府の根本的政策の転換を要求しまして、本法案に反対をするものであります。
  102. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  104. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。    ——————————  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について御意見ある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  106. 上林忠次

    上林忠次君 私は、自民党を代表して、本案に賛成するものであります。  本案は、木材価格の安定及び国際収支改善並びに産炭地域振興のため、それらの施策の推進奨励に必要な税制上の特別措置を講じようとするもので、税制面そのものより見ますれば、特例ではありますけれども、いずれもその対策のため緊急必要なものと認め賛成するものであります。  しかし、なお林業対策の部分については、緊急伐採後の森林資源の確保、治山治水の機能等を考慮いたしますならば、さらに林業政策の根本的検討を要し、政府にその努力を要望するものであります。ここにお手元に配付いたしましたような附帯決議を付したらいいかと存ずるものであります。朗読は省略させていただきます。  この附帯決議案に皆さんの御賛同を得ますならばお願いいたしまして、私の賛成討論を終わります。
  107. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 他に御意見もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認めます。  これより採決に入ります。租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  109. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 多数でございます。よって、本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました上林君提出の附帯決議案を議題といたします。上林君提出の附帯決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 多数でございます。よって、上林君提出の附帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  なお、諸般の手続等につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたしました。
  112. 堀本宜実

    政府委員(堀本宜実君) ただいま御決議になりました附帯決議案につきましては、十分検討いたしまして、政府といたしましては善処をいたしたいと存じます。    ——————————
  113. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) これより請願の審査に入ります。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 速記を起こして。  請願第三六三号、第四〇二号、第四二六号、第一〇〇四号、第一〇三五号、第六九二号、第六九三号、第八六四号、第七〇七号、第一〇三六号、第二〇七号、第二三六号、第八五七号、第六一四号、第七〇八号、第七〇九号、第七七二号、第七九二号、第九五八号、第三三七号、第三八八号、第四四一号、  右は採択の上議院の会議に付し内閣に送付を要するものと議決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないものと認め、よってさよう決定いたしました。  なお、報告書については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。    ——————————
  117. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) この際、お諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査の継続調査要求等を、本院規則第五十三条により、議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  118. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。    ——————————
  120. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 次に、お諮りいたします。  閉会中における地方の実情調査のため、委員派遣に関しては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 大竹平八郎

    委員長大竹平八郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会    ————・————  〔参照〕   租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は森林造成の長期性にかんがみ、国民生活に重大な関係を有する森林の木材供給力を増大し、国土の保全と治山治水の機能を一層強化し、増伐に伴う跡地造林の万全を期するため造林補助金の増額、低利かつ長期造林融資枠の大巾拡大を計るとともに、森林開発のための林道助成の促進、ならびに林業の恒久対策としての税制の根本的改正ならびに林業金融制度の拡充につき速やかに検討し、その実現を計るべきである。  右決議する。