○天田勝正君 私は、
埼玉銀行の問題につきましては、もし
委員長がきょうこの程度でおやめになるお考えならば、次の
機会でもよろしゅうございますから、これはきょうで終わったということでなしにしておいていただきたい、これは要望しておきます。
それから、
銀行局長見えられましたから、二点だけお伺いしておきたいのですが、お許し願いたいと思います。
さっき
大月局長は
野溝さんの
質問に対する答えで、
銀行の業務というのはあまりに
監査をするとかえって逆な面も出てくるから、事後に、あるいは二年おきに
監査をする、こういうようなことにしておるのだ、こういう
お話でありました。ところが、当
委員会におきまして、従来
銀行に関する、特に
市中銀行どころか
政府資金によって存立しておりまする
銀行の資料でも、なかなかこれを提出してくれない。先般私が台湾、朝鮮両
銀行の資料を要求いたしましても、よほどたってから、これは
個人資料であるともったいをつけながら、中身を見るというと、貸借対照表なぞは見たこともないような人に出すような、人をばかにしたような資料である。これが実情であります。そうすると、
銀行が、不正とはにわかに言いませんけれども、少なくとも不当の
融資をしておるという場合に、どこでこれに
注意を与えるのか。国会はできない。それで、
大蔵当局のほうは、今申し上げたように二年にもならなければ
監査をいたさない。二年もたっては——このごろ三年もたてば国際情勢までがくるっと変わってしまうような世の中で、このスピード時代に、二年目くらいに
監査をしておったのでは、とても、これは不当不正の
融資なぞというものはもう解消してしまう時分になる、こういうことになるのですがね。これで、
銀行局長、よろしいのですか。これが第一問でございます。
それから、埼銀につきましては、なるほど当時御存じなかった、こうおっしゃるけれども、私は埼銀なぞは特に
大蔵当局が御存じになれる
銀行だと、こう思っておる。それはなぜかといいますけれども、埼銀の悪い
うわさについては、かねがね、埼玉でありますから、私は二年も前から聞いておる。だんだん、先般問題になりました武鉄の問題が耳に入ってきますし、それで調査方を依頼いたしたわけであります。この点についてはきょう深く言いません。過日、私の調査依頼を十分そのとおり受け取りかねたのでということで、大蔵大臣も謝罪されましたので、また私の方も名前を言い違えたりなぞして、あとで訂正したりした経緯もありますから、いいのですが、どっちにしても、非常に埼銀は
大蔵当局からすれば手に取るようにわかる
銀行であります。それは副頭取が秋元順朝君で、秋元君は専売局の長官をされて、それからまあ私の言葉でいえば、埼銀に天下っていった。これはいい面から
判断しますと、
大蔵当局が、大きな
銀行で、地方
銀行からもう抜け出ておる、こういうことからお目付役としてやったのだろう、こう私は
判断しておる。何せ六十四地方
銀行のうちでは、資本金も
融資力もトップでありますとともに、十一大
銀行の中に入れましても、大和
銀行の次です。神戸
銀行なんかより上だ。これは御
承知のとおりです。何せ
市中銀行の一番上は富士
銀行でありますけれども、ここの
融資力が七千六百億。それに対して二千四百六十三億円という金をかかえておるのですから、いかに力が強いか、日本一の
銀行の三分の一だけあるのですから、こういう
銀行でございます。それだから、私はまあ秋元君を——この人は埼玉には別に縁もゆかりもない群馬県の人で、館林の昔の藩主。縁もゆかりもない者がぽこんと行った。悪くいえば天下り人事だけれども、よくいえばお目付役。ですから、これがあの不正
融資を知らないはずがない。だから、これは
銀行局のほうでは、秋元君もあの事情を知らなかった、
銀行局も知らなかった、これにはあぜんたらざるを得ない。私は、言いにくい面もあってお答えにならないのだろうと思うけれども、あれだけの
事件が起きたら、それはかかる調査をしましたということを言うのがしかるべきだと思うのですが、この点どうなんでしょうか。これが第二点であります。
特に申し添えておきますことは、過日の本会議で指摘することができないで、今もここに資料を持ってきておるわけじゃありませんけれども、三十三年の十二月二十九日、
埼玉銀行東京支店、あなたのほうの帳簿ではそうなっております。ところが、御
承知のとおり、あそこは東京本部と称している。これは珍しい
銀行の
制度だと思う。その三十三年十二月二十九日に、沿線の市町村長を全部集めて、頭取が出て、本院議員も出ております、そうして三菱
銀行の重役も来ている、そういうところで協力会を作って、途中で手を引いたなんと言っているけれども、そういう
銀行は、鉄道のかつての最高地位にある人、そういう人が研究した結果であるということが報告されておりますから、そこで秩父地方をあげて、草木もなびくがごとくで、武鉄ということになっちゃった。みんな手を引いたからといっても、そのほうは私らが手を引きましたからみんなも手を引いてくれと、こうやれば、これは親切だ。しかし、そういうことはやらない。そんなことまでしておるのを、どうして
銀行局は
監査をしないのか。
特にさっき
優先順位のことが、いろいろ僕が聞いておるとわからないような御答弁がありましたが、どっちにしても、武鉄というものは成立している
会社じゃないのです。それに
融資しておるのが明らかなんです。それは
優先順位のどこに入るのですか。これは白雲観光もしかり。これは頭取
個人の
会社といってよいのです。これは埼栄会というものもなだれ込んでおりますけれども、そういうことなんです。その場所もほとんど、その買収するといっても、自分の山を高く売っているというようなもの。悪い言葉でいえば、そこへ資本金の四十二倍ほど貸しているはずです。二十一億円。こういうのを一体何とお考えになるのか。そうしてそういうものは外貨獲得の観光施設あるいはホテル、こういうようなものであれば、これは
優先順位がいかがであろうと、厚く重く扱うのはしかるべきことでありましょう。しかし、あそこらのなにするのは、結局日本人のふところをねらうだけで、外貨なんというものは
一つも入ってこない。だから、武鉄にせよ、白雲観光にせよ、みんなどっちにしろ
優先順位からすれば下のほうであるべきはずなんです。近ごろ
優先順位があってもなきがごとくになっているらしいのですが、こういうことについて、これは不正とは言わざるまでも、少なくとも不当の
融資じゃないか。これが第三点。
第四点は、具体的な事実があれば十分われわれも
注意をいたしますと、こういう
お話がありましたが、これはどうしても埼栄会という七十六の集団、こういうものを特別に組織を作れば、そちら側に
融資がかたがるのは理の当然です。そういうものを作りながら、一向その
融資もしてもらえないのなら、そんな団体はだれも作りませんよ。特別のめんどうを見てもらえるから、埼栄会なんという団体を作る。それで、中小企業もその中に入っておりますということを言っておるのだけれども、中小企業者のほうの発言権はない。これは七人のさむらいというようなところが、ほとんど支配しているのです、私の調べでは。そういう大きなところにかしがっちゃうものだから、中小企業はおろそかになる。埼玉県の中小企業の集団といえば、昔から川口と行田であって、この行田の地位が近ごろ羽生に移りまして、しかし川口あたりも参っている。継続
融資の約束をしながらばたんととめられてしまう。こういう
銀行が中小企業のめんどうを見るということは、ここで政治論や
法律論を戦わせるのでなしに、きめのこまかい、要するにめんどうを見るということが大切なんだ。だんだん引き締めるということは、これは国の政策もありましょう。けれども、一挙にこれを切られたり、特にそれが材料仕入れ期に
融資をとめられたりということは、これはもう破算ということなんです。具体例をあげろといえば私はあげますけれども、
現実に今中小企業で埼玉あたりで一番いわゆる日が当たっているのは、あんまり業者が少ないからでありますけれども、絹の裏地業で、これはまことにもって日が当たっている。が、一時は悪いことがありました。そのうちの一人に、小川の田口勘造という人がいますが、私はなぜこの人の名前をあげるかというと、私どもや社会党のつながりのある中小企業者では、あるいは信用されない人があるかもしれないから、特に自民党の人をあげたのですけれども、この人は県会議員であります。そうしたところが、継続
融資を約束しておりながら、金を返させてぴたりとめた。この人は破産しました。県会議員も棒にふった。こういう実例がある。だから、中小企業のめんどうを見ないとは、何もわれわれの系統とか知り合いとかのめんどうを見ないのではなくて、中小企業なるがゆえに、大きなところに
融資するがゆえに、自民党の現職の県会議員のところでさえも冷酷に扱われている。こういう事情でございます。それで、それを半年間めんどうを見れば、今申し上げたように、まことにもって類例のないほど日が当たる。そういうことを見ても、これじゃ地方産業、中小企業のめんどうを見るとは言いがたい。
今、
大月さんに申し上げておきますが、お調べ下さればすぐわかります。埼玉県北部における中小企業者がどう取引
銀行を変えているかというと、埼銀から群馬
銀行、足利
銀行、そうして大生相互であります。これに結んだものが、大体地方の中小企業で、どんどん地方にも工場ができておりますが、そういうところが大きくなっているというのは、これは事実です。私は、抽象論を言っているのではない。そういう事実がある。こういうことに対しては、これは四問でありますが、あなたは、あとで調べてお答えしますと、大蔵大臣も言っておりましたが、そこで、今御答弁の御用意がないのならば、ああいう
事態も起きたんでありますから、直ちに調査をされて、適切なる処置をされるおつもりがあるのかどうか、その点だけきょうはお聞きしておきます。