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1961-10-28 第39回国会 参議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十八日(土曜日)    午前十時四十二分開会    ———————————   委員の異動 本日委員下條康麿君辞任につき、その 補欠として前田佳都男君を議長におい て指名した。    ———————————  出席者は左の通り。    委員長     一松 定吉君    理事            赤間 文三君            柴田  栄君            米田 正文君            武内 五郎君            中田 吉雄君            村尾 重雄君    委員            青木 一男君            上林 忠次君            古池 信三君            高橋  衞君            西田 信一君            前田佳都男君            荒木正三郎君            椿  繁夫君            藤田藤太郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    運 輸 大 臣 斎藤  昇君    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    警察庁警備局長 三輪 良雄君    文部省管理局長 福田  繁君    気象庁長官   和達 清夫君    建設省計画局長 關盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 齋藤 常勝君   説明員    気象庁予報部長 肥沼 寛一君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年六月、七月及び八月の  水害又は同年九月の風水害を受けた  中小企業者に対する資金融通に関  する特別措置法案内閣提出、衆議  院送付) ○昭和三十六年六月及び八月の豪雨に  よる堆積土砂並びに同年六月、七月  及び八月の豪雨による湛水の排除に  関する特別措置法案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十六年五月の風害若しくは水  害、同年六月及び十月の水害、同年  七月、八月及び九月の水害若しくは  風水害又は同年八月の北美濃地震に  よる災害を受けた地方公共団体の起  債の特例等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害若しくは水  害、同年六月及び十月の水害、同年  七月、八月及び九月の水害若しくは  風水害又は同年八月の北美濃地震に  よる災害を受けた農林水産業施設の  災害復旧事業等に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び七月の水害又  は同年九月の風水害を受けた私立学  校施設災害復旧に関する特別措置  法案内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害、同年六月  及び七月の水害又は同年九月の風水  害を受けた公立学校等建物等の  災害復旧に関する特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月二十九日及び三十  日の強風に際し発生した火災、同年  六月の水害、同年九月の風水害又は  同年十月二日鹿児島市に発生した火  災に伴う公営住宅法特例等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び十月の水害、  同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地  震による災害を受けた公共土木施設  等の災害復旧等に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月、六月、七月、八  月及び九月の天災についての天災に  よる被害農林漁業者等に対する資金  の融通に関する暫定措置法の適用の  特例に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた漁業者共同利用  に供する小型の漁船の建造に関する  特別措置法案内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた地域における伝染  病予防費に関する特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた社会福祉事業施設  の災害復旧費に関する特別措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び八月の水害又  は同年九月の風水害を受けた都道府  県に対する母子福祉資金に関する国  の貸付けの特例に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害、同年六月、  七月及び八月の水害又は同年九月の  風水害に伴う中小企業信用保険法の  特例に関する法律案内閣提出、衆  議院送付)    ———————————
  2. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ただいまより災害対策特別委員会を開会いたします。  これより内閣提出災害関係法律案十四件を一括して議題とし、文部省関係自治省関係並び建設省関係について質疑を行ないます。  質疑の通告がございますので、順次御発言を願います。荒木正三郎君。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大蔵大臣高潮対策の問題について質問をいたします。  この問題については本委員会においても質問がありましたので、私からは簡単にお尋ねをしたいと思います。  第一は、高潮対策は関係するところが多方面にわたっておると思うのです。一つ建設省関係、あるいは通産省関係、そういうふうに各省間にまたがっている問題でございますので、この問題の対策を立てる場合にはどうしても一貫性を持った総合的な立場からこれを考えなければ、各省まちまちの対策では十分成果を上げることができない、かように私は考えるのです。建設大臣は、次の通常国会地下水のくみ上げについて強力なる規制をする立法措置をしたい、こういうふうに答弁をされておるわけなんです。これはこれでけっこうです。しかし地下水くみ上げだけの規制高潮対策というものは成果を上げることができない。工業用水の問題、あるいは防潮堤の問題、これらが総合的に考究され、そうして対策を立てるということでなければ、その成果を上げることができない。こういう見地から立てば、これは私はむしろ総理大臣にすべき質問だろうと思うのですが、しかし、そういうことに関連をして、非常に市要お尋ね大蔵大臣にするわけです。こういうものを総合的に対策を樹立してやっていこうとするのかどうかですね、そういう点をまずお伺いしたいと思います。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 地盤沈下対策をどうするかということは、これはまた地盤沈下対策で別の問題だと思います。ですから、これに対する対策関係省がやることになっておりますが、もし地盤沈下が行なわれれば、せっかくの防潮堤もそれだけ下がってくるわけでございますから、そのかさ上げとか何とかというものをしなければ、この災害を防ぐ役目をしないということになりますので、その点においては施策が関連してきますので、総合計画でやるべきものだと思いますが、御承知のように、今この公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法という法律の中にきめている災害というものは、異常な天然現象に基づくものということになっておりまして、今まで地盤沈下ということはこの国庫負担法における災害というものの中には入っておりませんので、したがって、この地盤沈下に対する防災はどうするかというものと、こういう台風被害というものが起こったときのこの災害復旧をどうするかというものは、今まではこれは別々のものになっておって関連しておりませんでした。しかし今後は、こういうものを当然関連させて総合計画を立っていくという必要が当然あろうと思います。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大蔵大臣答弁趣旨は、総合的な対策を考究する必要があると、こういう点で私もその答弁に対して満足をいたしますが、現実の問題として、地盤沈下がいわゆるこういう災害対策復旧一貫として今まで入っておらなかったという点はこれは早急に改める、そしてできれば今次災害からこれを範囲内に含めて復旧をやってもらいたいと、私はそういうふうに考えておるのですが、特に今度の大阪における第二室戸台風災害は何といってもやっぱり高潮被害が非常に大きかった。その観潮被害の起こった理由は、私から申し上げるまでもなく、防潮堤が間に合わなかった。これには地盤沈下等のいろいろの理由がありますが、いずれにしても防潮堤があまりにも低かった。そうして実際、その防潮堤を越えて水が入っていく、そのために大きな被害を受けておる、こういう実情。これは大蔵大臣も御承知のとおりであります。そこで私は、この災害復旧については、災害復旧対策としては、防潮堤としては低かったので、それを乗り越えて水が入って災害を与えたのであるから、この防潮堤復旧、いわゆる改善については、当然災害復旧として考える必要があるというと、大蔵大臣原形があるのだから、災害復旧として考える必要はない。こういうお考えのようですが、現に低かったために災害を与えておるのですから、それを被害のない程度にまで、防潮堤を乗り越えて——その足りなかった分だけ、今次災害でも改良復旧という建前をとっておりますから、その足りなかった分は、災害復旧として、私は当然考えるべき問題でないか、こういうように思う。そういう点について大蔵大臣は、そういう見方はできないのだ、こう言われる点が私ども納得しがたい、そういう点をもう一度聞きたい。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 防潮堤はこわれなかったが、これが低かったから水が入って災害があったといいますというと、これは背後被害であって、とれに対しては、これはまた別の被害対策というものが持たれるというのならかまいませんが、施設そのもの被害というものはないのですから、施設復旧というものについて、この災害と関連させる方法というものはなかろうと思います。で、低かったからというんでしたら、今度これを高くするというのは防災のことでございまして、災害によって防潮堤がつぶれたわけでもないのですから、公共施設災害というものは現にないのですから、問題は公共施設災害復旧をどうするかという問題とは別であって、背後にいろいろな被害があったとすれば、これは公共施設災害ではなくて、そちらは一般の災害であって、それと関連して防潮堤を、ここで災害復旧ということでどうこうしろということとは、これは少し筋が違うだろうと思います。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはちょっと水かけ論のような格好になって、議論を続けても、大蔵大臣相当忙しいようですから、私はこの程度でこの問題を打ち切りますが、私は大蔵大臣説明では納得できないということだけは申し上げておきたいと思います。あれだけの大きな——防潮堤が低かったために起こった災害、その防潮堤改良復旧することができない、災害復旧として防潮堤のかきしげをやることができないと、こういう考え方は、私はどうしても理解できない。もしこれに法的な根拠がないというならば、これは法的な改正をして、そういろ措置をとるべきであるという意見を申し述べて、一応大蔵大臣に対する質問は終わります。  続いて、文部大臣に、私は文教関係災害復旧について質問をいたしたい、かように思います。今度の六月以来の一連風水害によって、文教関係被害が非常に大きかった。これは文部省の資料にも明らかに示されておるのでありますが、全壊半壊、大破以上の被害を受けた学校数が一万をこえておる。これはいかに今度の災害が大きかったかというととを物語っておると思いますが、これが復旧対策でございますが、特に第二室戸台風における被害に対する復旧、この問題については政府の方でもいろいろ努力をされて、伊勢湾台風の例に準じてやっていこう、こういう方針立法措置法案も出されております。そういう点については、文部当局努力に対して私は敬意を払います。ただ、しかしその中で二、三私は問題にしたい点がありますので、そういう点に限って質問をしたいと思うのですが、非常に大きな被害を受けて、学校が倒れた、あるいは半壊した、あるいは大破した、こういう学校に対する復旧でございますが、激甚地指定を受けたところは、これは高率な補助があり、それから改良復旧も認められる。相当私は復旧について成果が期待できると思う。しかし、激甚地指定されない区域における被害ですね、これは相当開きがあるという点ですね。これは元来開きがあってはならないというふうな、私考え方を持っておるわけなんです。で、そういう点について、なお検討を要する問題があるのじゃないかというふうに私は考えておる。で、元来ならば、これは、台風による被害あるいは集中豪雨による被害、そういうものがほとんど年々歳々あるわけです。そのつど特別立法をしてその災害復旧に当たっておられるのですが、根本的にはこれを恒久立法化する必要がある。そのつど立法措置をするというのではなしに、恒久的な立法をして、そして災害復旧については対処していく、こういう方針をとるべきではないか。私は第一にそういうことを考えているわけです。で、この点から、ひとつ、大臣所見を伺っておきたい。
  8. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お答え申し上げます。お説のとおり、不幸なことではありますが、台風を初めとして災害は毎年恒例のごとく起こる状況であります。そういうことを前提として考えました場合に、年々歳々起こるであろうところの災害対策について、そのつど主義でいくということは、どうも——たとえば復旧予算を要求する側に立っただけの見地から申しましても、めんどくさくて仕方がない。何とかきちんとお説のようなことができるならば望ましいことだと、かねがね思っておるわけであります。まあ諸般の事情でいまだにそうなっておりませんが、何とかそういう方向一つ確立したいものだと存じております。検討させていただきます。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大臣も、この恒久立法化の必要ということを考えておられるようであります。その点について私も同意見でありますので、この問題は、私はできるだけ早い機会に恒久立法ができるような方向に御努力を願いたいという希望を申し上げておきます。  それで、私はさっきの質問の内容に入るわけですが、この激甚地に対しては、今度の特別措置によりまして四分の三の補助、それからいわゆる改良復旧を認める、それから原形復旧を認める、こういう点について非常によくできておるわけなんですが、しかし問題は、激甚地指定を受けない地域ですね、これは相当大きな開きがある。先ほど文部大臣は、恒久的な立法をしたい、そういう考えを持っておられるという御答弁でした。で、その考えから参りますと、この激甚地指定された所と、されていない所に格段の開きがあるというふうなことでは、私は恒久立法をするという趣旨に合致しないのじゃないか、ころいうふうに考えるわけです。そういろ点について大臣所見を伺っておきたいと思います。
  10. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) まあ恒久立法念頭に置いて考えます場合、御指摘のような課題もあわせて検討されるべき懸案事項であることは、私も同感でございます。ただ、現実の問題としますと、お説のとおり激甚地指定を受けた所と受けない所とは、まあいわば道一つ隔てて隣り合わせである。しかるに一方は補助率も違う、さらには改良復旧も認められる。そうでない所は補助率が低いし、改良復旧なるものが一般的には受けられないという開きがあることは、私も承知しておりまして、その形だけ見ますと、まさしくお説のとおり妥当でないと私も思います。これは、この恒久立法をしますときも、同じ悩みがつきまとうと思いますが、国の財政地方財政との相関関係でもって地方公共団体も暮らしを立てておるわけですが、その場合に、地方自治体それ自体の財政状態一つの目安となってけじめをつけるという考え方に立って特別立法も行なわれておるわけでありますが、その根本的な考え方としての地方財政貧富といろ条件を無視していいかどうかということにもからみますので、にわかに申し上げかねるわけであります。検討せざるを得ない問題として残るわけでございますが、現状としてはそういうことを念頭において定める建前である以上はやむを得ないのじゃないか、こう思います。ただ実際の処置としましては、激甚地指定を受けないところでも、もしそれが大破しておる、応急修理をしてやることでは相当命もかかる、しかも、その対象がたとえば学校ならば危険校舎であり老朽校舎であった。それが大破したというときには、実際上危険校舎ないしは老朽校舎としての立場から改良復旧と申しますか、新築するような考え方処置をするということで、従来もそういう考え方に立って実際上は処置しております。今度の場合も優先的にそういう考え方で御指摘のような不合理というか、格差をなくする気持処置いたしたいと思います。繰り返し申し上げますが、激甚地指定と、そうでなかったところの、今のものの考え方からくるはなはだしき差別の結果になりますことは望ましいことじゃございませんから、一体どういうふうに考え直して恒久立法的な処置をしたらいいかということも、あわせて検討したいと思います。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、私ども現地に参りまして現地意見を聞く際に、最も強く意見として出される問題は木造建物が倒壊する、破損をする。それで今度建てる場合はどうしても鉄筋で建てたい、鉄筋校舎を建てたい、こういう希望が非常に強いんです。激甚地指定を受けた地域内の学校であれば、これは今度それを見ておるわけなんですから、改良復旧を見ておるわけですから、それはできます。しかし、激甚地指定を受けていないところは原則として改良復旧は認めない、こういう方針になっておるわけなんです。補助率の問題もこれは問題であります。しかし、それ以上に現地希望としては、激甚地指定を受けない地域においても改良復旧を認めてもらいたい、こういう希望があるわけなんです。私もそれはもっともな希望であると思います。ですから、改良復旧激僅地以外地域においても実際上、行政上これを認めてやっていくということが不可能であるのか、あるいはそろいうことが行政上やっていけるものであるかどうか、そういう点をひとつ伺っておきたいと思います。
  12. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) その点は先ほど申し上げましたような、すなわち、危険校舎ないしは老朽校舎でたまたまあった場合には、御指摘のようなことが可能でございます。一般的にはできないことはこれまたお説のとおりでありまして、その点の悩み現地からも訴えられまして、実情としてはもっともなことだと感じてはおりますけれども現状のものの考え方からは、事実上困難であることを遺憾といたします。今後の検討を要する課題とさっき申し上げた部数に入ると思います。  ただ、別のことを申し上げておそれ入りますが、大体、小学校、中学校生徒増が三十七年度で御承知のとおり終わります。ピークは高等学校に移って参りますが、そういうことで、新増築というのは、義務教育学校におきましては原則としては社会増等は別といたしまして、一般的にはそうであります。ですから、まあ一つの潮どきとも思われる時期でございますから、三十七年度の予算要求態度といたしましても、今後は小中学校の新設ないしは改築校舎原則はことごとく鉄筋にするということで、そういう態度で臨みたいものと思っておるわけであります。これがもし実現しまして、そういうかまえでもって来年度以降やり得るとしますれば、長い目で見た場合には、一応の風水害等には耐え得る校舎原則として全国的に実施できる。数十年を実際は要しましょうけれども立法においてそういうかまえをすると同時に、当面、一挙にそうならない残されていきますものが、当然相当数あるわけですから、それに対しては恒久立法をするという考え方十分検討をいたしたいと思うわけであります。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、激甚地指定区域を設ける——公立学校復旧について激甚地指定区域を殺げるということに反対なんです。これについては文部大臣はいわゆる財政能力の差があるものだから、その点を考慮せざるを得ない、こういう考え方——これも一応私は筋が通っていると思います。けれども問題は、公共文教施設に対する復旧につきまして、これは先年、例は違いますけれども、いわゆる義務教育国庫半額負担法の際に、富裕府県については半額負担しないのだという法案国会に出されたことがあります。その際に、富裕府県であるために義務教育半額国庫負担をしない、こういうことはよろしくない。政府が提案をしましたけれども国会内の空気としてはそれはよろしくない、こういうことで、その法案は成立を見なかったわけです。私はこの災害復旧についても全く同様な見解がとられてしかるべきではないかと思うのです。少なくとも文教施設については、特に公立小学校について激甚地指定を撤廃して、そうしてその被害に応じて復旧をする、一律に復旧をしていく、こういう考え方に立つべきであると私は思うのです。これはまあ今後の問題でありますから、私はそういう意見をここで明らかにしておいて、ひとつ検討をしてもらいたいと思います。それはそれとして、この激甚地指定を受けない、特に大阪の場合は私も、先ほど文部省の方からどのくらいの程度激甚地指定を受けるか、受ける予想がつくかということについてお尋ねをいたしておったのでございますが、これは非常に僅少です、大阪の場合は。そういたしますと、この特別立法の恩恵というものが文教施設については非常に少ないということになるわけです。そういう点で非常に私も心配しておるわけなんですが、あまりに差があるというのは、改良復旧を認めないということです、一つは。改良復旧を認めるというふうな行政措置ができるならば、相当私は緩和ざれると思うのです。大臣老朽危険校舎についてはそういう道があるけれども、その他には方法がないというような答弁であったわけなんです。そういう点について、これは若干そういう道があるのじゃないかと私も考えるのですが、この点は事務当局からでもよろしいです、そういう点。
  14. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 先刻お答えしましたことが全部の場合を尽くしていませんようでして、私の答弁が十分でなかったと思います。危険校舎老朽校舎の場合のほかに全壊半壊以上のものは改良復旧現実に認めるという態度で臨んでおりますから、大半の場合は救えると思います。ただ先刻来応答いたしておりますように、財政的な面では当該公共団体負担相当重みがかかるというような点はございますけれども、そういう場合もございますけれども、これはどうも今の制度の考え方からいたしますと、残念ながらいたし方ない。先刻、意見だけを述べられると申されまして、お答えする限りではありませんが、私ども文教施設改良復旧という態度のみに立って考えます場合、あなたと同じ気持でございます。激甚地であろうとなかろうと、本来義務教育として憲法に根ざして、ずっと一連一貫した立て方でいっております義務教育施設に関する限りは、貧富の差というものは本来念頭にないはずだ。したがって、地方財政貧富の差などは、こと文教施設に関する限りは一応除いて考えて、公平にやるという建前であるべきだと思います。しかしながら、現実問題としては申し上げるまでもないことですが、先刻も触れましたように、大蔵省の、納税者側と申しますか、なるたけ金を使わないで有効にというものの考え方と、できるだけ完備したいという私どもの側との力関係と申しましょうか、双方それぞれそういう考え方は当然あり得るわけですから、沿革的に今日の段階にまでしか至っていないことを、一方において残念に思いながら、極力そういう理想の状態のほうへ近づける努力をすることとして、われわれは残された問題と取り組まねばなるまいと、かように思っておるわけでございますから、気持だけをついでながら申し上げて御了解を得たいと思います。
  15. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまの御質問に対しまして、大臣からお答えがございましたとおりでございますが、ちょっと事務的に補足させていただきたいと思います。激甚地指定されました地域では、特例法によりまして改良復旧は相当大幅に取り入れられることが従来の例でございます。ところで、激甚地指定されていないわゆる一般災害法律の適用区域におきましては、全く改良復旧はできないというのじゃなくて、原形復旧が困難な場合あるいは不適当というような場合には、その個々の学校実情に応じまして、あるいは地域実情というものを考えて、従来実際査定の場合に、これは改良復旧する必要があるというような認定が行なわれれば、それに従って改良復旧をできるだけ取り入れていくと、こういうような態度行政的にはやっておるわけでございます。したがって、先ほど大臣がお述べになりましたように、将来学校建築をできる限り鉄筋化していきたいというような趣旨でございますので、最近のいろいろの災害の場合にも、できる限り現地学校実情に即して、とれを改良復旧で見ていくということでございますが、ただしこれは全壊半壊等の場合でございますので、今回の場合におきましても、大阪府下の市町村につきましても、全壊半壊のところで、そういうところがあれば、具体的な個々の学校の問題としてわれわれとしては考えていきたい、かように考えておるわけであります。
  16. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、そういう行政的な措置によって問題が解決されるように、一つ努力を要請しておきたいと思うのですが、しかしこの改良復旧については、なお問題があると思うのです。それは激甚地指定されている地域であれば、いわゆる原形復旧ということは認められておるわけです。ところが激甚地指定以外の地域において改良復旧する場合に、基準坪数というのがあって、それに引っかかって原形復旧できない、原形の坪数を確保することができない、こういう問題があるわけなんです。これも市町村の悩みの種であります。そういう点については、これを救う道がないのか、どうか。
  17. 福田繁

    政府委員福田繁君) その点につきましては、現行法では、この復旧事業を行ないます際に、生徒一人当たり幾らという基準があります。したがって、その原形が、その基準を上回る場合におきましては、一応原形でなくて、その基準までの面積を復旧すると、こういう建前になっておるわけであります。したがって、原形と基準で算定した坪数との差が出る場合がございまするが、しかし学校によりまして、今申し上げましたように改良復旧もできるようになっております。特に特別の事情のある場合におきましては、特認という制度がございまして、特認によってその基準以上を上回ってこれを復旧することができるようになっておりますので、救済方法としては道があると考えております。
  18. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 激甚地指定区域以外の復旧について、改良復旧の道もある、それから原形の坪数を確保する方法もないではない、こういう答弁があった、そこでこれらの方途を十分生かしていただきたいと思う。問題は、これを十分生かして、その地方の要請にこたえて実施できるかどうかという点にあると思うわけです。これは大蔵省当局の査定によって、かなり私は困難が予想されるのじゃないかと思うのです。私は、文部当局がみずから遊んでこれを押えようという考えはない。むしろ、できるだけよいように、もっていきたいというお考えがあることはよくわかりました。けれども、大蔵省関係の査定等があって、実際問題としてはなかなかむずかしいのじゃないか、こういう点を考えるわけなんです。ですから、これは文部大臣におかれても、この点は十分私は御努力を願いたい。こういうふうに考えますので、強く要望をしておきたいと思うのです。  それから、もう一つの問題は、応急工事に対する補助の問題です。今度の法案を見ますと、応急工事に対する補助ということは考えられていないわけです。しかし今度の第二室戸台風は、これは水の被害と同時に、学校等では非常にかわらがたくさん飛んだ。かわらが確保できないということが大きな問題になっておりましたが、そのために各学校では応急にトタン板を張ったり、いろいろの工夫をしておりました。こういうものに対する補助というものが考えられていないという点ですね。私は当然これらは考慮さるべき問題のように思うのです。この点をひとつ……。
  19. 福田繁

    政府委員福田繁君) 事務的な点でございましたので、私からお答え申し上げます。おっしゃるように、今回の台風は風の台風でございますので、屋根を損傷した学校が非常に多いのでございます。したがって、放置しておきますと、そこから雨漏りが来まして被害がますます大きくなるというようなことがございますので、文部省としても、各府県の教育委員会あるいは市町村の教育委員会に対しまして、応急復旧工事について指導いたしましたのでございますが、今まで一般的には応急工事費は補助の対象になっておりません。したがって、それについていろいろ大蔵省とも折衝したわけでございますが、具体的には、各省で応急復旧工事をやった所とやらない所とあるわけでございますが、そういった具体的な応急工事をやった内容あるいはその経費等につきまして、査定の際に、十分これを現地で勘案する、こういうようなことで、具体的には今おっしゃるような屋根の応急工事というようなものは、今回の査定の際に取り入れていくという方向で大体話を進めておるわけであります。現在各学校の査定を実施中でございます。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の答弁で、大体応急工事についても査定の際にこれを認めていこう、こういう方針であれば私はそれはけっこうであると思います。これはひとつぜひやってもらいたいと思うのです。  あまり質問が長くなるといけませんので、要点だけを申し上げますが、私立学校の場合は、激甚地指定された区域学校の損害に対する復旧については、二分の一をみよう、こういうことになっております。しかし激甚地指定されていない地域については何もみない。これは公立学校の場合は、激甚地指定されているところは四分の三、指定されていないところは三分の二、こういう補助率です。ところが私立学校の場合は、二分の一とゼロ、こういうことになっておるわけです。これはどうもあまり極端ではないか、こういうふうに私は考えるが。
  21. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 御指摘のとおりで一見酷であるように見えますけれども、基本的なものの考え方が、私学というのは、経営上の財政措置についてもみずから自主的にやるというのが建前だと了解されて、今日まできております。ただ激甚地のごときは、公共性を持った学校施設が一挙にして被害を受けたのだから、ほんとうの特例として、公立の場合よりは率は低いのですけれども、国家的な援助の手を差し伸べよう、例外的なものとして取り扱うという概念で参っておるわけであります。したがって、国の助成という角度からはゼロでありますが、もちろん私学振興会を通じての復旧のための資金の融資ということは考えられるわけでございます。形だけを見ればまさしく御指摘のとおりで、そう言えると思いますけれども、根本的なものの考え方を変えてかからない限りは、当面いたしかたのないことだ。これまた恒久立法的に考えます場合には、災害の場合に限り特別の考慮を——公立、私立との基本的な相違がありましても、災害なるがゆえに共通概念として取り上げるという考慮があってしかるべきではなかろうかと、私は思っておりますが、思っておるだけでございまして、今後の課題として検討さしていただきたいと思います。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 公立の場合と私立の場合とでは、復旧対策が異なってくる、こういうことは私も了解できます。しかし私立についても災害復旧について国のほうでめんどうをみていこう、こういう方針になってきているのですから、そしてこの特別立法では、二分の一の補助をしよう、こういうところまで進んできているわけです。そういう考え方から言えば二分の一とゼロということはあまりひどいじゃないか、私はこう思っておるわけです。この点は、なお私は検討してもらいたいと思うのです。その他に、融資等によって復旧考えているのだ、こういうお話ですが、しかし私学振興会に対する融資の原資となる金、これは当然ふやさなければならぬと思います、こういう災害があったのですから。それの特別な融資が必要になってくると思います。そういう関係から私学振興会に対する融資の原資となるべき金融、私学振興会にそういう金をやはり対策用として若干でも考慮すべきである、今度の場合は全然なされていない、そういう点どうでしょうか。
  23. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) お説のようなことは内部では一応検討はしてみましたが、運用上は一応支障がないと、こう考えまして、特別の資金増額等は措置いたしておりません。実際問題としては間に合うようであります。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部大臣のおっしゃることであれば将来実際実施してみて必要があれば、そのことは考慮される。こういうふうにとってよろしいですか。
  25. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) そのとおり御了解いただいてよろしいと思います。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 次に、国立大学の問題について若干御質問いたしますが、京都大学それから大阪大学等において相当の被害があった。特に大阪大学においては重要な実験施設が地下にあった。そのために浸水をして非常な損害を受けた。こういう事例があったのですが、この問題については私は、大学当局の意見はまだ聞いておりませんけれども、そういう水害を受ける危険なような地下に重要な実験施設を置いておくということは避けたほうがいいのじゃないかと思うのです、私の考えでは。多少の水害があっても安全な場所に重要な実験施設というものを作っておく  この被害を受けた際にそういう考え方はできないかどうか。私はそうすべきであるというふうに考えるわけなんですが、どうでしょうか。
  27. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 今後の問題としては一つのお説だと思います。具体的に今度の第二室戸台風に関連して考えれば、これは一般の施設と同じような考え方になりますが、先刻お話が出ておりましたように防潮堤が十分高潮被害を防いでくれるであろうということに依存しておったがゆえとは思いますけれども、そういう重要な施設を地下に置いておったならば、地下に高潮が入ってこないようにということが設備的に一応考えられておるとするならば、大した経費をかけないで、できておったであろうというふうに、まあ想定されるわけでありまして、これはまあ防潮堤施設をどうするかということと相関関係ではございますが、それほどまで眼光紙背に徹して——起こるかもしれない高潮被害に対するあらゆる対策は、実際は考え得られなかったとは思いますけれども防潮堤の今後の改善とあわせて、再び同じことが起こらないようにすることは、ちょっとした方策をもって可能ではないかと想定されるわけであります。まあこれは、しろうとの想定でありまして、いささか行き過ぎの点があるだろうと、自分で思いながら申し上げているわけでありますが、差し向きの現実の問題としてはそういうことも一応連想される。さらに今後としてはお説のようなことも配慮されてしかるべきではないか。一つのお説であると拝聴いたします。
  28. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これはひとつ、まあ大学当局の考え方もあると思うのですが、多少お金がかかってもこういう恒久的な施設ですね、これはぜひひとつ、今の問題を検討してもらいたいということを要望しておきますが、同時にその復旧については授業に差しつかえる、研究に差しつかえる、こういう問題が起こってくるのでありますから、復旧計画というものはひとつできるだけ短い期間に完成できるようにしてもらいたいと思うのですが、こういう点についてどういう計画になっておるか。
  29. 福田繁

    政府委員福田繁君) 大阪大学の被害についてでございますが、当初非常にこの被霊の金額の査定等に大学当局も戸惑ったくらいに大きい金額でございましたが、要するに建物はそう大きな金額に上っておりせんけれども、おっしゃるように病院の地下の各種の設備、あるいは理学部の非常に貴重な設備、こういったようなものは相当やられておりますので、これについては至急できる限り完全な復旧をやらなければならないと考えているわけですが、それにつきまして大学当局といろいろ打ち合わせをしておりまして、十月の六日ごろから現地査定をやりまして、大学当局の希望も十分聞いたのでございますが、大学としては、この理学部関係のいわゆるサイクロトロンその他低温関係のいろいろな設備等は、これは相当復旧につきまして、日本でできないようなものがございますので、相当日にちがかかるというようなことも言っておりました。大体この理学部あるいは病院の設備の中で、至急とりあえず復旧しなければならないものと、そうでない相当日数のかかるものとえり分けまして、そして三十六年度と三十七年度にわたって、これをできる限りすみやかにやりたい、こういう計画で話し合っている最中でございます。
  30. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 大学関係はこれでやめておきます。  もう一点、今次の災害で児童、生徒、学生等に死傷者が相当数出ておりますが、この児童の負傷等については、学校安全会法でこれに対する措置がとられているわけです。しかし、これは学校教育に関係のある場合に適用されるので、今度のような風水害については、自宅においてそういう負傷、死亡等の事故があった、こういうことについてはほとんど何ら救済の道がない。やはり学校安全会法の趣旨から言えば、こういう風水害において犠牲になった児童、生徒等についても、私は何らか考慮する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけなんです。この点、文部当局として、どういう考えをもっておられますか。
  31. 荒木萬壽夫

    国務大臣荒木萬壽夫君) 特別に具体的に、今の御指摘の点について考え、結論を持っているわけではございません。まあ即席の答弁弁でおそれ入りますが、学校安全会の趣旨学校教育に関して御指摘のとおり設けられた制度だと思いますので、学校教育と目されない、家庭の責任に帰すべき事情のもとにおいて、災害が起こったときにまで学校安全会が保障するということは、制度論としてはいかがであろうかと一応考えるわけであります。ただお話のとおり災害のときに限りどうするかという問題は、検討すべき課題も幾分含んでいると想像されます。そういう天災地変、災害等の場合には、当然学校に行くべかりし者が学校の指令によって家におれと言われた場合もございましょうし、その他類似の事例は想像すればいろいろとあり得ると思いますから、家庭にいる、学校にいるということは、安全だ、危険だという角度からのみ一応見れば同じだと判定さるべき場合もないではなかろうと、一応想像するわけでありまして、そういう意味でどういう関連を持つであろう。制度論として合理的な、そういう場合を救い得るはっきりした限界線が作れるかどうかということを中心に検討してみたいと思います。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まあ以上で、大体文教関係に対する質問を終わりたいと思うのですが、事、教育に関する問題ですから、この災害復旧はできるだけ迅速に非常な努力を願って教育に支障のないように、文部大臣の格段の御努力を要請して、文部当局に対する質問を一応これで終わります。  運輸大臣、見えていますか——気象関係について運輸大臣質問したい、こう考えているのですが、気象情報の入手の問題です。われわれが欄いておるところでは、まあ外国関係からの援助としてはアメリカの航空隊、航空機による情報を得ておる、こういうお話です。その他は日本の内地のレーダー、あるいは船等によってそれを得ている。日本の台風の場合は大体と言っても、全部が南方に発生している、しかも遠隔の地に発生しておる、こういう点からアメリカの航空機に頼るのもいいと思いますが、しかし南方地域に所在している国々との間に、こういう台風情報の交換というと、まあ適当ではないと思うのですが、入手の方法について実際上どういうことになっているのか、こういう点を承りたいと思います。
  33. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 南方諸国との気象関係の通報の状況につきましては、気象庁長官から詳しく御説明申し上げます。
  34. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お答え申し上げます。国際的の気象情報の交換は世界気象機関のきめるところによって行なわれております。日本は世界各国、少なくとも世界気象機関に加盟しておる国の資料は全部入手できるわけでございます。御指摘の南方諸国は、ほとんど全部世界気象機関に加盟しておりますので、支障なく入手できております。ついででございますが、世界気象機関に加盟しておらない中国大陸等も現在は支障なく入手できておる状態でございます。
  35. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の答弁でありますと、大体気象関係の情報については十分な情報が入手できると、こういう状態にあるというふうに考えてよろしいかどうか。そういう点明らかにしておいてもらいたいと思いますが、その次に内地におけるレーダー綱ですね、私はこれは新聞等で見たのですが、室戸に設置されているレーダーは非常に性能がいい、高性能、こういうふうに書いてあります。レーダー網の性能の問題ですが、どの程度の性能のものが日本には配置されておるのか、こういう点についてあわせてひとつ。
  36. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お答え申し上げます。現在施設されておりますレーダーは全国で七つでございまして、本年度建設中のものが二カ所でございます。これらを通じて大多数のものは、その波長が五・七センチメートルでございまして、大阪のものが三・二センチメートル、室戸岬のものが一〇・九センチメートルであります。この波長を、どういうのを使うのがよろしいかということは、目的次第でございます。近年のレーダーの技術の発達では、割合に波長が長いほうが有効であることがわかって参りました。したがって、大阪の三・二センチメートルが少し短いのではないか、室戸岬は特に台風のために設置いたしまして、長い、一〇・九センチメートルの波長を使いましたのですが、これは非常にその結果においてよろしかった次第であります。なお到達距離は、これらを通じまして三百キロメートルないし四百キロメートルでございます。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは運輸大臣、なんですね、災害で非常に莫大な被害をこうむっておるのに、レーダー網の整備等に要する予算、こういう費用は少なくしてはいけないと思うのですが、まだ今お話を聞くと、レーダー網の設置についてもまだ十分でない。性能についても、だいぶ劣っているものもある、こういう現状ですね。これは一つ早急に整備してもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
  38. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) レーダーの機能も年々科学技術の進歩でよくなって参っております。したがいまして、当初に設置いたしましたものよりも、だんだん新しいものほどいいものができるという状況になって参っております。ただいま気象庁長官が申し述べましたように、本年度二カ所設置をいたす予定になっておりますし、来年度予算におきましても、さらに三カ所予定をいたしておるわけでございます。これで大体日本全国の台風とか、あるいは長距離を見通すレーダー網の設置が完備し得るわけでございます。そのあとは地区的の狭い範囲をキャッチできるレーダーを設置して参りたい、こう考えておる次第であります。これにつきましては、相当の予算を要しますが、大蔵省に対して十分努力をして獲得をいたしたいと、こう考えております。
  39. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 台風が発生した場合に、非常に遠い所において発生をしておりますが、比較的早く報道されるわけです。近い、真上に来てからの報道が、ときによって狂うという場合がある。これは近距離のレーダーについての設備が不十分であるというところから来ているのでしょうか。
  40. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 近くに来ますと、少しの進路の違いも非常に前夫なことになって参りますので、近いほうが精度はよろしいのではございますけれども、要求の精度のほうがそれに上回って高い精度を要求されるために、近い所は非常に結局むずかしいということになるのでございます。それで、それをうまくやりますには、ただいま申しましたレーダーが主要な役目をいたしておりますが、レーダーはときによりまして雨が強く降りますと、速くが見えにくいとか、いろいろ条件がありますので、できれば二重三重にこういう施設をしていきたいということが一つございます。もう一つは、レーダーは万能ではもちろんございませんので、台風が近くに近づきますと、しばしばくずれることがございまして、この点は機械の性能をよくする一方、別のたとえば気象観測機を合わせ用いる。また、その方面のレーダーの観測をいかに使うかという学問的の進歩というものと、あわせ考えなければならないと思います。  また、おそれ入りますが、先ほどの南方の資料のことを少し繰り返さしていただきます。先ほどのお答えは、現在観測している資料は、資料を十分入手していると申し上げたのでありますが、わが国の台風に対しましては、南方の資料をもっとほしいわけでありまして、この点につきましては南方の資料を獲得する方法については極力努力いたして参りたいと思います。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは運輸大臣からひとつ外務大臣にも話をしてもらって、十分な資料、情報を得るように、これは政府としても考えておいてもらいたい、希望を申します。  それから私は、これは常々考えて、しろうと考えですが、気象庁長官は学者だったと思うのですが、専門的な方で情報を入手し、それに対策を講ずる、これが必要なことは言うまでもありません。しかし台風そのものに対する研究ですね、これが行なわれているかどうか。ということは、夢のような考えかもしれませんが、台風それ自体をなんとか——全部でなくても幾分でもこの勢力を減殺するとか、そういう方面の科学的な研究、これが必要でないかというふうに、しろうと考えに思っているわけです。私は、かつて文教委員をしておりましたときに、文教委員の諸君の間にも、年々歳々の莫大な損害を受けている台風、これについて科学研究が十分行なわれていないのではないか、こういう議論がありましたが、私も大賛成です。このために相当な研究施設をして、やっていくということがむだかどうか。私はむだでないと思うのです。台風自体に対する研究というものが、その予算においても設備においても、ほとんど行なわれていないのではないか。極端なことを言えば、自衛隊を作るよりも大事だと思う。相当な予算をかけて、との研究をしていただいていいのじゃないかという考えを従来から持っているわけです。そういう点について長官の専門的な立場からの意見を承っておきたいと思います。これは率直な見解を承っておきたいと思います。
  42. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在の科学の進歩から申せば、台風に対して、何か人工的に調節と申すとなんでございますが、手を加えるということは可能であると私は考えております。伊勢湾台風のあとにも、そのことが真剣に討議されまして、気象庁の気象研究所におきまして台風研究部というのができまして、そこにおいてそういうような研究を手始めにいたしております。しかし、この問題は何分にも大きな自然現象に対して人力がいかに作用するかという問題であります。そのために可能性はありましても、そう急にこれをどうするという段階には——十分なる研究を積み、試験を行なって達成するものでありますので、その基礎からいたさなければなりませんので、現在基礎の調査をいたしておる段階でございます。なお災害基本法の案にも、その点につきまして研究を大いに進めるべきであるというようなことが書かれておったと思います。なお現在のその方面の世界における研究につきましては、私の知る範囲では、米国においても三回ばかり直接台風に対して試験を試みております。その方法は人工降雨に使ったのと同じ原理によりまして雨の降り方を変えます。そして台風がどういうふうに形を変えるかという部分的の試みをいたしておるのでありますが、三回ばかりやりまして、一回はその影響を認められるというような報告を受けております。
  43. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今、長官から研究の次第によってはなんらかの効果を上げることが不可能ではない、こういう意見が述べられましたが、これについて運輸大臣にも私は予算の方面から協力をしてもらい、そして、そういう研究が十分できるように、ひとつ配慮を願いたいと思うのです。これだけの大きな被害を受けておるのに、その予算はまことに微々たるものであります。まあ気象関係に従事する人々の労働条件等、私はいろいろ言いたいことがありますけれども、この際、一括して、もう少しこの問題と取り組む努力をしてもらうように関係大臣である運輸大臣にひとつ要望をしておきたいと思うのです。これで、気象関係についてはまだ質問の方もございますから、私その点だけを質問をして、私としては一応終わります。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この気象の関係の問題について運輸省、気象庁の長官にお尋ねをしたい。先日、私が要求いたしました資料をここへいただいたのでございます。大体、最大瞬間風速と最大風速統計が全国的にこう出ているわけでありますから、これはこれで正確なものだと私は理解をするわけであります。問題は、私は、たとえば建物の場合ですね、これは建設関係の立場からおやりになるのかどうかわかりませんけれども、私は気象の関係であると思ってお尋ねするわけですけれども、たとえば木造建築の場合、どの程度の風が吹いたら倒れるか、これはなかなかはかるのがむずかしければ、たとえば鉄塔なんか、東京タワーは何メートルの風に耐え得るか、高圧電線のあの鉄塔というものは何メートルの風速に耐え得るか、電車の両側に立っている架線の鉄塔というものは何メートルに耐え得るかということは、おのずから私はある程度の風速に耐え得るということによって立っているものだと、私はそう思うのです。だから気象庁はそういうことをお調べになっているか、お聞きしたい。
  45. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 私どもは自然現象をはかることを任務といたしております。もちろん、それがどういう災害を起こすかということも関連して任務と考えておりますが、それらの施設がどういう風速に対して計画され、行なわれているということは、それぞれの施設がそういう計画において厳密なる設計をいたして立っておるものでありまして、それぞれの施設が瞬間あるいは平均風速に対して計画されておるものと思います。
  46. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういたしますと、気象庁のほうではおのおのの建造物に対する風速に耐え得る限界というような問題は所掌外であるからわからぬ。これはそうすると建設省になるわけでしょう、建設大臣、それじゃどうも何ですが、たとえば今私がお話を申し上げておりましたように、建造物の、または鉄塔その他の風速に耐え得る限界というものをどの程度見ているか、たとえば東京タワーですね、ここにあるテレビ塔、それから高圧電線の鉄塔、それから電車のたとえば、鉄塔、木造のやつはのけますが、これがどの程度の風までは耐え得るということで作ってあるかということをお聞きしたいと思います。
  47. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 専門的な計数等私よく存じませんが、大体予想される暴風、洪水等に対応できるだけの計算をいたしました設計でなければ、ものによって許可をする権利者、あるいは管理者が違いますが、許可官庁においては許可をしないはずであると思います。計数等につきましては必要に応じて事務当局から御説明を申し上げます。
  48. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 事務当局からお願いします。
  49. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) ただいま担当の住宅局長が、今いたんですが、何か用事のために出たようでありますが、すぐに参りますから、後刻適当な機会に申し上げたいと思います。  ただこれは、建設物につきましては、建築基準法がございますから、この基準法にのっとってやらしておりますので、危険はないようにできておると私どもは確信をいたしております。ただ、どのくらいの風速を最大限の算定基準にしているかということにつきましては、後刻御説明を申し上げます。
  50. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ後刻聞くことにいたします。  私の聞いている、教えられている風速に耐え得るというのは、おのずから歴史的な限界がある、たとえば第一室戸台風昭和九年のときには六十メートルの最大風速を記録して、あとは風速計が飛んでおったという——大体同じコースでありますけれども、紀伊水道から入って大阪から京都に抜けた。そのときに、それじゃ何が持ったかというと、大阪、京都の例を見てみますと、あのときには、一番目に立ってひどかったのは、大阪における鉄塔がみな倒れた。それから京都のあの山の木が全滅した。沿線は申すに及ばない状態である。だから、その風に耐え得るという格好で、たとえば電車の鉄塔をこしらえる、または高圧電気の鉄塔がこしらえられる。東京タワーもそういうものを限界にしてこしらえられたと私は思う。だから、それが何の基準もなしに建築許可がされているというなら問題だと私は思うわけです。そこで今度の風は、最大風速を見ましても、大阪で五十メーターですね、京都に至っては、この京都気象庁が出しているのは瞬間風速三十四メーターと書いてある。特別に添書が出て参っておりますが、一番高いときには、風速東北東の風三四・三メーターと書いてあります。これを気象庁長官お尋ねしたいのですが、この風速計というものは実際に限られた所にある、学校なんかに風速計は教科用に使っておられるところがあるのですけれども、しかし京都の南、あの盆地に吹いた風というのは、電車の鉄塔がみな横になっている、みなとは言いませんが、横になっている。それから高圧鉄塔が十何本飛んでしまっておる、根こそぎに。だから三十四メーターの風では私は飛ばないと思う。ところが京都の風速は三十四メーター、だからその中心がどこを通って、中心から周囲がどういう工合になっていったかという問題、こういうことを考えますと、私は、気象庁は、台風というものは、私もしろうとだからわかりませんけれども、大体大阪で五十メーターで入ったら、少しその気圧が下がるか上がるかしても、大体の風は、そのような風で、ずっと流れていくという工合にわれわれ常識的にはそう考える。ところが事実はそうでない、今のような現象が起きている、調べようがないということですね。京都の気象庁は北の端ぐらいのところにありまして、今度の風から見ればむしろ中心よりか風の進む方向に向かって左のほうの中心ぐらいになっていたんじゃないか。だからそういう意味で風がないところで、京都の風はこうなんだということで——それじゃその風のよってきている奈良——ずっと盆地が続いているわけですから、奈良のほうに向かってどうかというと、奈良の平野はそう痛められていない、京都も京都市内のところまでくるとほとんどそんな風はない。むろんかわらが飛んでいることは、三十メーターや四十メーターの風ですからそれはありますけれども、その一角だけに非常にひどい風が吹いているわけですね。だから台風の概念として、こういうことがあり得るかどうかということを気象庁長官にお聞きいたします。
  51. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) お答え申し上げます。風というものは地形によって非常に差異を起こすものでございまして、この風があらゆる場所においてどういうふうに吹いていくかということを測ろうとするならば、実にたくさんの観測所を必要とするわけであります。現在気象庁におきましては、気象台、測候所あるいは特別に作られたそういう観測所以外の資料がございませんので、そういうような複雑な風の分布に対しては十分なる資料を得ることができないのがはなはだ残念であります。なお台風というものは中心ほど大体風が強くなっておるんでありますが、その中心にいきますと目というものがありまして、風のないところがある、そういうような複雑な構造をしておりますために、京都が少なかったのはよく調べてみないとわかりませんけれども、一種の目のような、風の少ないところに当たっておったと解釈されるんじゃないかと思います。その証拠には、奈良のほうへ行きますとまた強くなっている、その途中において一番強いところがあったということも十分考えられるところでありますし、それに地形が加わりますれば、相当強い風が吹いたであろうということも想像されるのであります。なお風は地形と申す上に、高さによって非常に強さがまた違っておりまして、室戸岬で平均風速七十四メートル、瞬間八十四メートル以上吹いている、これはまだ十分、あまり強いので機械その他を検討しておりますけれども、ともかくもこういう値いが出たということは、われわれ今まで一度も観測したことがなかったほどでございます。もちろん室戸岬はその場所そのものの地形と、この風力計の置いてある位置がまた非常に高いということから相当強い風の吹くことは考えられますが、要するに強い風というと御承知のように息をしておりまして、この風の息というものの詳しい構造を測るということがまた一つの問題でありまして、その息の中に非常に強い風もまざり得ることもございますし、またその息によってただ風速何メートルというのではなくて、どういう風が吹いたりやんだり、あるいは瞬間的に吹いたというようなことで、建物との相関関係がございまして、簡単に何メートルの風だからこの建物がどうだということではなくて、そういう建物を建てるときに設計者が非常に考えておるところであります。一方そういう強い風に対するこまかい構造を知るということがわれわれの任務でありまして、私どもその点十分にまだその測り方から初めまして、観測網を十分にするということにつきましては目下大いに研究もし、できるだけ早く一般の方に役に立つような観測をいたしたいと思っている次第であります。
  52. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 昭和九年の室戸台風のときの調査されたものがございますか、地域的に、日本は開聞以来の風が吹いたのですから。
  53. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 室戸台風のこの前の台風でありますが、このときにはそのときの調査の及ぶ限りの詳しい報告書が出ておりますし、また被害を受けた方々のほうからも報告書が出ております。そのときに、先ほど御指摘ございましたように、大阪気象台は鉄塔が倒れまして、この鉄塔が運悪く観測の塔の上に倒れたために、最大風速は瞬間六十メートルぐらいであろうというところで観測が終わっているわけであります。その当時はまだ機械も発達しておらず、なかなかその当時の記録からは、平均風速のほうはまだ見当がつきますけれども、瞬間風速に至っては、六十メートル以上であろうというだけで、詳しいことがわからないのは非常に残念であります。
  54. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこでお尋ねしたいのですけれども、たとえば京都ではそういうことをはかっておりませんが、大阪では第一室戸のときには九百五十何ミリバール、第二室戸のときは九百三十四ミリバール、むしろ気圧が今度のほうが低い、風はこの前のほうが強かった、私は、ここらあたりは気象庁に十分にこれから検討していただかなければならぬ問題ではなかろうかと思うのです。あの一貫した流れの風の通ったところに、十分な気象観測というものができていないというところに、私は問題があるのではないかと、こう思うわけであります。だからたとえば九百五十何ミリバールで大阪の堺からあそこらの電車の、がんじょうな鉄のなにが倒れているわけですね、今度は倒れないで、京都の盆地の一角だけが倒れている、これは不思議な現象だと私は思うのであります。しかし、世の中に発表される問題は、京都は大したことはなかったのだということで、事がもう済んでいるわけですね、私はこれでいいのかどうか、こういうのが政治のうまみとは私は考えられないと思うのです。だから当時大阪、京都の風の通らなかった家でも、みんなぐらぐらで建て直さなきゃ住めぬという状態です。京都の南の今度の状態も私は同じような状態——今のところ個人災守に対してめんどうみるというところまで、全体では踏み切られていない。結局、家へ入ってみても住めないから、どんどん建てかえるという現象が至るところにございます。ところが京都は風は大したことはなかったのだ、三十四メートルということだけで事が済んでしまうわけです。気象学的にいって、私はこれでいいのかどうかということを、非常に不安に思っているわけであります。それは今長官が言われたように、私は第一室戸と第二室戸の関係をみていただいて、十分な、きめのこまかい検討をされて、風がどの程度、どう来たときにはこう、こういう場合はこうである、こういう場合はこうであったというようなことを、私はでき得る限り国民に知らせてあげるという処置をとらなければいかんのではないか、こう思うわけです。東京タワーは何メートルに耐えるかしりませんけれども、もしも、あれが倒れたら、あの周囲どちらに倒れるにいたしましても、相当な被害になると私は思うのであります。密集地になるほどそういう被害がある。今度の風で——高圧線の鉄塔というのは何メートルぐらいありますか、高いのは百メートルぐらいあると思う。それが根こそぎ十何本二列に、関西電力の電線が四本ある中に、ぴしゃっと倒れてしまった。むろん山林は根こそぎいっております、その風に当たっているところは。そういうことであるのに何ら処置がされていない。家がぐらついていても、トタン屋根でもかわらのかわりに張っておけば、これで終わりだということなんであります。それはそれで済んだことでありますから。しかし今後の気象通報の国の処置でございますけれども、私はこういう風、風によって、また地域やそれから立地条件によって風が強うなったり弱うなったりするという経験もだいぶあることですから、もしも東京にあれぐらいの嵐が吹いたとしたらどうなるかというと、私はたいへんなことになるんじゃないか。高潮対策、これもたいへんなことでありますけれども、立っているものがああいうふうにして、次から次へ倒れていくということになれば、これまたたいへんなことではないか。そういう意味で、私は全体の気象通報がずっと来ることは外国の協力を得たり、それから海上でうまくとらえて速報されることも大事でございましょうけれども、その風がどの程度来たら、どういう風が吹くんだ、どういう工合になるんだという経験なんかは十分にきめのこまかい調べ方をしていただいて、私は住民に知らしていただきたい。単に紀伊水道から京都、大阪だけの風だとは言えないと思うのです、これはどこでも風が吹くのですから。だから、そういう点は十分やっていただかないと住民の不満というものは非常なものでございます。しかし、これも処置のない問題なんだとわれわれあきらめません。将来、こういうひどい被害を受けた所は何とか政治の面で直していかなければならぬと思いますが、気象庁は、単に、京都のあの盆地で、京都のあの北のほうの気象台で調べておったら事足りるんだということでは、私は話にならぬのじゃないか、こう思う。だから将来、今までの経験や歴史からいって、やはりそういう風速計を持って対策を立てられるお考えがあるのかどうか。これはひとつ予算上の問題として大臣からも御意見を承っておきたいと思います。
  55. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) まことにお話の通りでございまして、要するに観測網のこまかさの問題でございます。現存気象庁におきましては、雨に対しましては非常にこまかいように漸次進みまして、山の中までもそのような設備を持って参ったことは御存じのとおりでありますが、気象庁の仕事が災害には密接に関係づけられまして、今日におきまして、風につきましても地形の影響その他非常に場所によって違うものでございますので、十分実際の災害防止に役立つこまかい観測網を置くことも必要であろうと思う次第であります。なお、風をはかる機械は、強い風になればなるほど非常に複雑で、まあ経費もかかることでございますし、一方また、その扱う人も必ずしも専門家でそれだけいたすととができないかもしれませんので、機械のほうも十分研究しまして、それに適当なるものを考えまして、お話のような直接災害防止に役立つ気象観測ということに専念いたしたいと思います。
  56. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) ただいま気象庁長官から申し上げましたように、私といたしましても、できるだけ気象庁の技術的良心の満足し得るように予算の獲得にあたりたい、こう考えます。
  57. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今私も、これじゃいかぬということで、京都で何とかこれを調べなさいと言っておるわけです。それで具体的には、あそこに精華中学という中学がありまして風速計を持っているんです。それはどういう結果になっているかというと、七十メーターまで刻んで飛んでしまっているんです。ところが、学理的にいうと、そんな機械はだめなんだということらしいのであります。これは今は京都大学の先生が中心に調べておられるそうでありますから、今ここでとやかく申しませんが、日本でひどい風が吹いた、本土に入った非常に強い風というのは第一室戸と第二室戸ではないかと思っております。ほかにも風は来ておりますけれども、極端な風はそうじゃないかと私は思っておるわけですから、ぜひひとつきめのこまかい、第一室戸の風がどういう工合に吹いてどうなったか、第二室戸の風がどういう工合にいってどうなったかということは、気象庁としてひとつ十分にお調べになりまして、早い機会にひとつ発表していただきたい、これをお願いしておきたいわけですが、よろしゅうございますか。
  58. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 第一室戸の報告はすでに出ておりますが、第二室戸に対しましても、第一室戸以上に十分災害防止の対策のためにお役に立つような気象庁の報告を作りたいと思って、現在その準備をいたしております。近く刊行されると思います。
  59. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 第二室戸の調査と、それから今度できたら第一と第二とを対比してよくわかるように、あの沿線の人はみんな被害を受けているのですから、全部風の傾向というものを知っておりますから、だから系統的に、それからまた、科学的な要素がわからないだけで、被害を受けているのですから、どんな風が吹いたかというととをよく知っております。知っておりますが、しかし自分の所だけしか知らないわけですから、それをひとつ系統的に、そういうものを対比して、国民によくわかるようにしていただきたい、こうお願いしておきます。
  60. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 承知いたしました。
  61. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それからもう一つだけ、今度は気象観測の問題ですけれども、今、日本の気象観測はアメリカ軍の飛行機が何か目に入って観測するとかということを伝えられておるのですが、実際上はどういう工合になっているか、台風の観測。それからそういう海上の観測は船を出して観測しておられるそうでありますが、将来、飛行機による観測をやっていくというおつもりがあるのかどうか、より的確につかむために。そういうことについて気象庁の長官の御意見を伺っておきたいと思います。
  62. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在、米空軍の航空機による台風の観測が行なわれ、その資料が気象庁にも参ることは御承知のとおりと思います。航空機による台風の観測は非常に有力なものでございますので、わが国の手においてとれを行なうというととは非常に大切なことだと思い、その実現に対して検討をいたしております。ただ、何ぶんにも技術上の問題及び非常に多くの経費のかかる点等ございまして、現在、気象庁の一般的の基礎的の業務の整備ということを今極力いたしておりますので、との飛行機の観測を今検討いたしておりますが、まだ来年これを行なうというようなふうには今いたしておりませんが、この検討を終わりまして、こういう方法で何とかなるというふうになりましたら、今度は実施に向かって努力いたしたいと思います。
  63. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 要望しておきますが、航空機による観測が非常に効果が上がっていいというなら、日本も技術があるわけですから、日本の運輸省、気象庁の直轄としてそういうものをお作りになったらいいと思います。そういうことをやるほうがいいとお考えなんですか、どうですか。
  64. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在米国空軍でやられておりまして、資料はきておるのでございますけれども、まあ、やはりほしいときに自分の自由にこれをやるという点において差がございます。また米国も長くこれをやるかどうか。もちろん突然やめるということはないように話し合いをしておりますのですけれども——そういう点を考えますと、この飛行機観測は日本の手で行なうべきものと私は思っております。先ほども申し上げましたように、現在の科学の進歩というものは非常に盛んでございまして、そういう観測というものに対する手段がいろいろ出ておることも御承知のとおりであります。また、この飛行機も非常に性能のいいものでございまして、はたして国産でやるかどうか。またそれの技術の問題、安全性の問題もございますし、気象庁の予算に比べますれば、これを完全に行なうことははるかに莫大な経費になるわけであります。それに比べますれば、現在気象庁が非常に悩んでおりまする、まだ基礎的な観測設備、人員の充実、研究を十分にやるというようなことで、まだまだやらなければならないととを、計画を持ってやっておりますので、それを少なくとも優先にいたしまして、飛行機のほうは、今検討して実現をいたしましても、訓練期間その他ございますので、今からいろいろ準備をいたして検討して、そうしてそのときに、なお最善の方法であるということになりますれば、これを実行いたしたいと考えております。
  65. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 長官、お尋ねいたしますが、あなたの今のお話を聞いておりますと、そういう問題をやるまでの基礎的な整備がまだ十分にできていないというお話でございます。そのできていないというのは、何が原因してできていないのでありますか。これは、日本は、昔からアメリカのハリケーンとあわせて、日本の台風というものは、もう今の国民の中で、戦後といいますか、台風というものがおそろしいものであるということ、そういうものは的確にやはり把握して、われわれ難を免れたいという、この希望というものが全国民に私はあると思うのです。ところが、そういう基礎的な条件がまだできていないというなら、私は少し政治上の怠慢ではないか、行政上の怠慢ではないかと、こう思う。結局、予算処置ができていない。十分にないからできないということに帰着するのではないかと思うのですが、どうでございますか。
  66. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 台風の飛行機観測というものは米空軍が行なっておるのみで、なかなかこれはむずかしいものでありまして……。
  67. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや長官、ちょっと待って下さい。私が今申し上げたのは、飛行機の観測の問題はさっきお話がありましたが、それまでに基礎条件を整えることがまだできていないとおっしゃいましたから、気象の把握その他の一般行政、そういう問題です、そういう基礎的な問題も今でもできていないという、その欠陥はどこにあるか。予算処置が足らないかどうかということを申し上げているのです。
  68. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 申し上げます。私ども戦後極力、気象業務を再建いたし、近代的施設を整えて、鋭意やって参ったつもりでございますけれども、何分にも施設につきましても、特に人員につきましても、なかなか十分にこれを整備することができず、五カ年計画をもちまして極力今推進いたしておる次第で、私どもその方面の努力をもっとすべきであったということは、私もここで認めたいと思います。
  69. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 運輸大臣にお聞きいたしますが、大臣、今お話しのとおりでございます。だから、まあ大臣は就任されてからまだそう長く担当しておられないのですから、十分な答弁を求めるのは無理かもわかりませんけれども、私は、毎年日本に台風が来る、その気象の把握や、気象行政の基礎条件すら予算的な措置によって十分でない、その条件をまず整えることが先なんだというお話がありまして、私は非常に残念でございます。だから何とかやはりこれは大臣、池田内閣の力によって、この気象の基礎条件をまず早急にやるというのは、産業経済の基礎ですから、これはどうなんですか。大臣、あなたの決意を聞きたいと思います。
  70. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 気象庁のやりまする気象観測といたしまして、台風のみならず、全般的の、あるいは霜害その他いろいろな気象条件を的確に、しかも各地区的によく把握をするということにつきましては、気象庁長官も申し上げましたように、またすでに御承知のように、まだ必ずしもこれで十分というところには参っておりません。先ほど申しました国内のレーダー綱の整備をするということだけにつきましても、大きな網のレーダー網は来年大体完成さしたいと思っておりますが、しかし各地区々々のこまかい点に至りますると、これは各府県に一つか二つぐらいはやはり必要だ、さように考えます。また人員の面から申しましても非常に不十分でございます。本年度の気象庁の年度間の予算は四十九億、やっと五十億になろうとしておるわけでありますが、来年度は二十億上回る要求をいたしております。工十億の年間予算をさらに二十億ふやすということは相当な問題でございますが、ぜひこれは実現をさしたい、こう思っております。  なお、航空機による飛行機観測につきましては、気象庁長官が申しました意味の中には、そういう全般的なこともやりたい、飛行機観測に全然関係のないものについても二十億ぐらい来年度要求しておりますが、飛行機観測それ自身につきましても、これは日本の手でやるということにつきましては、飛行機観測をやることについてのいろいろな基礎的な調査、あるいは何といいますか、技術の研究ということがまだ必要であると、かように申し述べております。私も防衛庁長官等とよりより話し合って、日本の手でやるという場合にはどういうようにやったらいいか、こういう相談をいたしておりますが、一応の概算の予算といたしまして、基礎的な技術その他が整っておるという前提で今始めるといたしましても、設備費としては約二百億を要して、年間の維持費が約八十億も要するという状態でございます。したがいまして、米軍が今その観測情報を提供してくれておりますので、したがって、どちらが急務かと申しますると、国内の、国内と申しましても、飛行機観測以外の点を一日も早く急速に整備をいたしたい。そうし七飛行機観測の点も基礎的にやれるように基礎準備を整えて参りたい。米軍の航空機観測を今のところ急速に打り切られるということもありません。しかしまた、万一何らかのことでそういうことになりましても、直ちにということには参りますまいから、そういうふうな気配になりました際には、日本側でできるだけの準備は整えておく必要がある。かように思ってやっておるわけであります。
  71. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 金が相当かかるということで、怠るというようなことはないと思いますけれども、熱意を持ってやっていただきたいということをお願いしておきます。  それから建設大臣、先ほどの……。
  72. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 先ほど御質問のありました電纜、あるいは東京タワー、そういうものが、風に対してどの程度の耐久力を持つようにしておるかという御質問でございますが、電纜につきましては、これは電気工作物の関係でございまして、建設省の所管ではございません。東京タワーとか、ああいうようなタワーにつきましては、工作物ということで基準法の適用を受けているわけでございまして、これに対する風の関係はどうなるかと申しますと、基準法の中では、第一室戸台風のときに六十メートルという風連がございましたので、それを基準にいたしまして、それ以上に耐え得るもの、少なくとも六十メートルには耐え得るものということで建築物の確認をいたしておるわけでございます。したがいまして、東京タワーの場合は、六十メートル以上の風速にも耐え得るような設計になっているというように考えておる次第であります。
  73. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 どうも、建設省の管轄でないからと言うが、送電線の鉄塔ですね、あれは通産省の管轄ですか。建造物というのは建設省の管轄ではないのですか。たとえば電車の鉄塔、そとのテレビ塔、それから高圧線の鉄塔、東京タワー、みな鉄の建造物ではないですか。建設省は東京タワーだけを替われたが、あとはどうなっているのですか。
  74. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) お答えいたします。ただいま申しましたように、送電線等につきましては、別の規定がございますので、一般の建築物、工作物というようなことの取り扱いにはなっておりません。
  75. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それで、限界は幾らの風速に耐え得るということでできているかということを聞いているのですよ。手続を聞いているのではない。
  76. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) どれだけの風速ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、第一室戸台風が六十メートルであるということで、六十メートルには少なくとも耐え得るということで、これを基準にいたしまして、それぞれの工作物によってそれ以上の数値が出るように設計等をするということで基準法の確認をしておるわけでございます。
  77. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 建設省で、そんなたよりないことでいいのですか。私はどうも聞いていて、室戸台風が六十メートル以上とおっしゃるけれども、皆さん室戸台風は、大阪の気象台で六十メートルのところまで刻んで倒れて、それ以上ははかれなかったというのが第一室戸台風じゃないですか。それに、室戸台風が六十メートルだから、それ以上に耐え得るといって、科学的にどこまで耐え得るようになっているか。そういうことは建設省でお調べになっておかなければ、建築の認可、許可というものはどうなるのですか。
  78. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 先ほども申し上げましたように、送電線とか、あるいは鉄塔につきましては、電気工作物の関係でございまして、私どものほうで所管をしておるということではないのでございます。風速が幾らかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、六十メートルということを基準にしております。そういうようなことによりまして、一般の建物につきましても、あるいはその他の基準法の適用を受ける工作物につきましても、それによって風圧力というものを計算いたしまして、それぞれのケース・バイ・ケースがあると思いますが、それによって耐え得るような設計をしておる場合は、これを建築基準法で確認をする、こういう格好になっておるわけでございます。
  79. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 至って自信のない答弁ですね。ほんとうにだれが聞いてもわかるように、至って自信のない答弁ですよ。東京タワーは三百三十三メートルあるのですよ。これがどっちかに倒れたら——その三百三十三メートルの区域は、人を通さないぐらいの処置はとれるでしょう。たくさん家があって、人が住んでいるのです。あの高圧線の鉄塔だって、百メートルからありますよ。あの百メートルが倒れるのですよ。六十メートルか、七十メートルか、私は詳しいことは知りませんけれども、高いのは百メートルぐらいある。そういうものが倒れたら、そこに住居しておられる方々はどうなる。建築というものをするためには、最大限住民が犠牲にならない、国民が被害を受けないという最大限安全度を基準にして建築というものは建てなければいけないと思う。だから、そういうことを、あなたたよりない、ほんとうに自信のない答弁だと思うけれども、どうかひとつ資料を出して、第一室戸の風速がいかにあるべきかということを十分に検討されていないようだが、そういうところで、ただそれ以上だというような格好になっています。それでは、私あまりにも怠慢であると思う。だから、ひとつ詳しい資料を出してもらって、ああいう建造物はどういうことで許可しているか。東京には、東京タワーのほかに三つあるわけです。全部その近所は家が詰まって建っておりますよ。あれが倒れたらどうなりますか。どこへ行ってもありますよ。今日大きな都会のまん中に行けば、大きいテレビ増なんがあるわけです。これはどういうことでやっているのか。第一室戸台風くらいの風では倒れないという条件がなければ、私はああいうところに許可して建てさせるべきではないと思う。これは大問題ですよ。そんな自信のない答弁で、自信のない行政をやってもらっておるということは、実際心外だと思う。だから、これは書類をきっちり出してやって下さい。今ここであなたと押し問答してみたって、それ以上の答弁は得られそうもありませんから、ぜひひとつ書類を私が理解できるようなものを出してやっていただきたい。今の話をあなたは聞いておられたかどうか知りませんけれども、京都の盆地の中でも、風速三十四メートルというのだけれども、七十メートルから八十メートルに耐え得るといわれておるあの高圧線の鉄塔が十何本もびしゃっと倒れているのですよ。電車のあんな低いがちっとした鉄柱が倒れているのですよ。そういう事態が起きているのです。そのために家が犠牲になっているところもございます。そういう事態というものを、私は気象庁にお願いして、もっときめのこまかい台風の経路、台風の状況というものを国民に十分知らしていただきたいということをお願いしておる。その問題の建築の基礎の許可が、あなたの行うようなあいまいなことであって、どうするのですか。人命がどうなる。私は非常に納得ができません。だから、詳しくひとつ出していただいて、そうして将来の建築基準というものをりっぱにやってもらわなければ困ると思います。ぜひ資料を出して下さい。
  80. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 和達長官にちょっとお尋ねしますが、年々のたび重なる災害から、気象の関係の諸施設を充実する必要はもう皆よく理解して、その予算措置と、私はそれをになっていくスタッフの充実ということが必要だと思うんですが、なかなか気象関係というような特殊な職業には、最近のような好況では人が集まらぬというような心配をいたしまして、特別なたくさんの優秀なにない手が集まるような実際的な措置をとらにゃいかぬじゃないか。実は私、知った人のむすこさんが昨年大学を出まして、国家公務員の上級試験を優秀な成績で通って、本省に世話をしてくれというので、話をつけて、採用にきまったら、来なかったので、調べてみると、はるかに高給の民間の研究所にいってしまった経験を持っている。私、京都大学におる当時、満州事変が起きまして、号外が配られたりするたびごとに、京都大学の地球物理学といいますか、宇宙物理学の諸君が測量をしまって、また地球上のことかと言って、いろいろなことを超越してああいうことに情熱を打ち込んでおられたのを見て、非常に胸が打たれた思いがしたんですが、なかなか物理学を出ても、気象をやった人でも、最近民間の研究所等が充実して、非常にそういう人に対する雇用のチャンスもふえて、私はどういう待避になっているかしりませんが、裁判官その他特別の待遇をせぬと、予算をふやしても、実際それをになう優秀なスタッフが、生涯を傾け得るようなことをせぬと、なかなか困難じゃないかと思うんですが、そういう次々の人的な補充というものはついておるのかどうかという点。  それから気象庁でやられておるかしりませんが、この農業の災害についてどういうふうになっているかということをこの機会に伺っておきたい。今回でもなかなか農業災害は大きいんですが、しかしこれに対しても対策よろしきを得れば、私はかなり被害を最小限度にすることができるんじゃないか。まあこれまで毎年ありました東北の冷害につきましては、栽培技術の進歩等もあり、ほとんど冷害の被害を克服しておると思うんです。ところが最近は、まあいつも九州とか宮崎とか、台風の銀座通りといわれる地帯は、いつもほとんど常襲災害地帯で、年々農業共済のために百四、五十億も出している。私は、この農業気象学というものが進んでいれば、果物の、あるいは農作物の成熟する——季節的に、わせにするとか、おくてにするとかいうことで、百五十億も跡始末に使うよりか、もっとそういう栽培の構造そのものを大きく変えるようなことをやるほうが、実際的な効果があるんじゃないかと思うんですが、気象庁ではそういうことをやっておられますか。あるいは農事試験場等の分野ですか。そういう点を一つお伺いいたし、それからもう一点最後に、中国等とは気象情報の交換等はどうなっていましょうか。こういうことは、あまり中国の気象情報を縁ることは、日本の気象観測にはそう大して、台風の通路等から影響のないものかどうか、現状はどうなっていますか。二十九年に和達さん等行かれて、いろいろ話をされたようでしたが、どうなっていますか。そういう点を、特に私がお伺いしたい点は以上三点について、時間がありませんので。
  81. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) まず気象庁職員の問題から申し上げます。公務員の給与が低いことはもう御存じのとおりでございまして、特に技術者におきましては、民間と非常に差異がございます。一例をあげますと、本年、気象庁で大学卒業の人をとろうといたしましたが、人事院の試験を通り、気象庁に志願した者は理工系ではたった一名であります。まあこういう事情でございますので、私のほうとしましては、技術者というものの俸給について、これはもちろん一般公務員の問題もございましょうが、格段の御配慮を願いたいと思う次第であります。なお、気象庁に研修所がございまして、そこで高校卒業生を二カ年の教育をいたし、これを気象庁の、まあ中堅と申しますとなんですが、重要な技術者に育て上げたいと思っております。私どもはこういう時勢でもございますから、気象大学というものにそれをいたしまして、そこでもって気象技術者を養成いたしたいと考えておる次第であります。  次に農業気象でございますが、農業と気象が密接なる関係があることは言うまでもないと思います。これに対しまして、一方長期予報、それから凍霜害などの予報というものに大いに努力いたしておりますが、また各地域のそれぞれの地域において気候あるいは気象がどういうふうになっておるかということを詳しく刻々に調べて、そうして農林省関係の方ともよく連絡して、農業災害をできるだけ防ごうという趣旨で農業気象業務というものを開始いたしまして、東北の山形、岩手県、また北海道の一部というように二、三年前からその整備をいたしまして、できればこれを日本全体に広げていきたいという年次計画をもって進んでおる次第でございます。  また、中国の気象資料でございますが、昭和二十九年、私が参りましてそのことを話して参りました。まあその結果かどうかは別といたしまして、その一年余り後から、わが国におきましても、中国大陸の気象資料は日々の気象業務に支障なく使えるようなことになっております。
  82. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 齋藤さんにこれはまあお願いですが、ただいま和達長官の御答弁でも、大学出がたった一人しか入ってこなかったということは、私は非常な重大な問題で、いかに予算をふやしても、相当基礎研究をやった人を十分とはいいませんが、相当採用されねば跡継ぎができぬと思うのです。ですから、ただいまのように、まあ学校は出てないが、将来の可能性を持つ君を教育していくということも必要やむを得ぬと思いますが、私は五十億も予算があっても、たった一人しか後続部隊が入って来ないという、これはやはり何らかの特別の措置をせぬと、その面から日本の気象問題の解決のために私は非常に大きな、まあある意味ではそこに根本的な問題があるじゃないかと思いますので、もうすでに予算折衝に入っておられるかと思いますが、優秀な人材が情熱を傾けてやれるような、たくさんの人材が入り得るような措置について、ひとつ十分御配慮をいただきたいと思う次第であります。その点について、御所見を伺いたい。
  83. 斎藤昇

    国務大臣(斎藤昇君) 全く同感でございます。気象庁のみならず役所におきましても、優秀なる技術者をだんだんとよけい必要とするようになっておりますにもかかわらず、供給のほうはこれに及ばない。他のほうにみな行ってしまうという状況でございます。したがいまして、そういった技術者に喜んで熱意を持って働いてもらえるように、格別の措置考えていかなければならぬと思っております。
  84. 一松定吉

    委員長一松定吉君) これにて暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩    ————————    午後二時四十六分開会
  85. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ただいまより災害対策特別委員会を再開いたします。  この際、台風二十六号による被害状況について御報告を建設大臣にお願いいたします。
  86. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 一昨々日以来の豪雨が九州地方を最初にいたしまして、四国、近畿地方その他に襲って参りまして、各所に相当激しい被害を及ぼしておる現状でございます。まことに遺憾な次第でございますが、現在まだ近畿地方などは豪雨が続いておる現状で、最終的にはわかりませんが、現在までに判明をいたしておりまする状況を御報告申し上げたいと思います。  河川について警戒水位をすでに突破いたしました河川名を申し上げますと、四国地建の管内で、渡川、那賀川、九州地建管内で大野川、番匠川、小丸川、大分川、近畿地建の管内で淀川、紀ノ川、由良川、これらの河川がすでに警戒水位を突破いたしまして、それそれ水防の態勢を実施中でございます。  次に淀川の現状は、すでにきょう正午以前に計画水位を突破いたしまして、現在なお増水中でございます。被害の現況は目下調森中でございますが、公共土木に関する補助災害の各地方からの報告の概略を申し上げますと、九州地方は福岡、大分、宮崎、腰児島。四国地方は徳島、香川、高知、愛媛。中国地方は山口、岡山。近畿地方は滋賀、福井、三重、京都等から被害の報告がございましたが、その中のおもなる所を申し上げますと、現在の被害報告総額は約三十億六千万円ほどになってきております。  激甚なおもな県を申し上げますと、大分県は九億三千九百万円、香川県が二億四千六百万円、福井県が二億五千五百万円に相なっております。なおほかに京都府は十億円くらいに達する見込みであると、こういう報告が参っております。したがいまして、被害報告額は今後さらに増加する現在の見込みでございます。  なお、住宅災害について申し上げますと、全壊、流失等の戸数が二百二戸、半壊戸数が四百三十二戸、床上浸水八千三百七十九戸・床下浸水三万九千百二月という工合になっております。  なお、降雨量の今までわかっておりまする点を河川局長から申し上げることにいたします。
  87. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) それでは雨量のわかっている点を申し上げます。  四国の渡川水系の雨量は、大正という個所におきまして三百九十五ミリ、那賀川水系の富浜において五百五十二ミリ、大野川水系の戸次という所で二百二十八ミリ、番匠川水系の佐伯、これは四百十一ミリ、大丸川水系の高鍋二百六十四ミリ、大分川水系で三百三十四ミリ。それから淀川水系につきましては、まだ詳細入っておりませんが、桂川、木津川各支川とも三百ミリ以上の雨量がなお降っている最中である、こういう情報でございます。なお大台ケ原、これは降雨の多い所でございますが、千ミリの雨量を見ている、こういう状況でございます。
  88. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 以上、報告に対する質疑を行ないます。  通告順によって発言を許します。
  89. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 実は私二十六号台風による豪雨被害を私がきょう午前伺っておる範囲内におきまして、たとえば最も甚大な被害を受けられた大分県並びに宮崎県、その他四国、九州、中国を入れて大体十数県にわたる被害と伺っておりました。なお、また私が今朝来それぞれ関係者から察知いたしました災害の模様については、公共土木災害においても私が伺った数字とはだいぶん被害がその後明らかになってきたのが大きくなっております。そこで私は、実は災害対策に関係されている同僚議員の方々とも相談申し上げまして、実は最も被害の甚大な大分なり宮崎、なお他の福岡県なり、また高知県なり、他の府県におきましても、今われわれが審議いたしております案件と同様に今次特別措置法によるところの災害対策というものの中に含むことについていろいろ御相談申し上げ、また関係大臣の御意見を伺おうと思っておったが、ところが、今報告を伺っただけで、先ほどテレビで私察知して、京都及び三重県の伊賀上野等の被害を見て、非常に甚大であったので、その後どういう様子であるかということを京都府にも電話をかけて、その被害が予想以上に大きいのに驚いております。なおまた滋賀県の被害、ひいてはこれらの水を受ける淀川の増水という毛のが刻々と危険地域になっているということを伺い、今また大臣の報告を伺いますと、私の想像以上に、二十六号台風によるところの集中豪雨による被害というものが想像を越えて非常に大きいので、さてこれに対してどういう処置ということについては、私が考えたこととはだいぶまた範囲が大きく変わって参りますので、私は今ここで最初考えておったことを飛び越えて、ひとつこの二十六号台風について、たとえば今度の補正予算においても臨時費百二十億と聞いておりますが、この臨時費のワク内においてこれらの災害対策に対する応急の処置もこれは不可能だと思うので、この二十六号台風について今日の時点において、まあ中村建設大臣と申し上げるよりか、政府代表としてこれらに対する現在の応急処置についてどうお考えになっているか。あなたの御意見を伺えればけっこうだと、こう思います。
  90. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 応急措置につきましては、七月の豪雨災害のときにもとって参ったのでございますが、これらの公共土木災害復旧及びそれに対する応急措置等につきましては、国から予備費の支出をいたしますと同時に、地方の所要資金につきましては大蔵省に交渉をいたしまして、大蔵省からつなぎ資金を入り用な分だけは十分故障のないように支出をしていただきまして、融通を願いまして、そうしてまあ今日災害関係立法が成立するまで相当の期間があったわけでございますが、法律が成立をして、高率補助のできまする制度が整いましたら、それはつなぎ資金の分については、あとから精算をして解決をすると、こういう建前で今日まで参りました。今次の現在のまだ降りつつありまする災害につきましても、私ども災害の現在わかっておるだけでも相当の激甚な災害になってきておりますので、同様の措置をとりまして、遺憾のないように対処して参らなければならないであろうと、かように実は考えつつあるような状態でございます。
  91. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連で。まだこれから村尾君の質疑が続くわけですけれども、これは気象通報の関係が午前中はそういう事態が入っていない。雨量がどれくらいあってどう、今の現状はどうかというようなことは気象庁の関係が非常に深いと思います。気象庁の関係者をすぐ呼んでもらって、この大分——九州から降ってきた雨、今関西で盛んに降っているという状態がどうなるのか、そういう実情を今の質疑に加えてわれわれに聞かしてほしいと思います。委員長にお願いしておきます。
  92. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 今連絡しますから。
  93. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 いま一点お伺いしたいのですが、先ほどの被害、今のところは十分に実情がつかめてないということですが、私はきょう昼テレビで私が知りました伊賀上野でありますとか、また京都でありますとか、その他の府県にもだいぶ広がっている模様でありますが、こうした降雨による被害の模様については少し無理かと思います。しかし四国なり九州なり、また中国を襲いましたところの台風による豪雨は二十五日の大体午後から二十六日と続いた豪雨による惨禍であります。したがって、これらの豪雨による惨禍は、思ったよりはなはだしい被害でありますので、いま少し早く政府が十分にキャッチされて、これが対策というものが迅速になされなければならないのではないかと、こう思うのであります。そこで私は公共事業関係の被害について先ほど大体三十億六千万円と、その内訳の御報告もあったのですが、私はなお伺いたいのは、たとえば私がニュース等によってけさまでに知りました被害だけにおきましても、たとえば田地の被害です、それから山くずれによる被害、鉄道被害、通信関係被害、材木の流失による被害及び船舶被害、これら被害を受けられた罹災者の世帯数を見ても九千八百五十七と、一万に近い世帯数が明らかに一部にはなっております。たしかだとは申しませんが……。なお罹災者においても四万一千五百六十一人というような通信機関による報告がもたらされておるのであります。私はこうした公共事業費、この中に一部含まれるか知りませんが、事業費関係のたとえば本日のけさ未明からかけての豪雨以外の被害状況というものがおわかりにならないかどうか、ひとつお伺いしたいと思うのです。おわかりなければないでけっこうです。至急にこうした全体の被害についても、やはり相当迅速に政府として対策を樹立するためにも、また国会審議上、また国会としてもこれらの災害に対しても災害全体にわたっての集計を私は早急に願いたいと、こう思うのであります。
  94. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 公共土木災害以外の現に起こりつつあります災害現状につきましては、警察庁が中心になって調査をいたしておりますので、私のほうも連絡をいたしておりますが、できましたら警察庁関係の方を呼んでいただいて、御報告をさせるようにお願いしたいと思います。
  95. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 関連ですが、二十七日の朝日新聞の夕刊の調べですが、大分県だけの被害で罹災者世帯数が六万九千二百三十四です、非常に詳しく出ています。死人四十一人、行方不明三十二人、それから負傷者三十八名、それからあとずっと出ています。これはなぜ大分県にこんなにたくさんあったかというと、安岐町ですか、大分県の国東半島は二十六日の午後三時間で六百ミリの雨が降った、これではとってもたえられないわけですね、家がつぶれてしまった。ああいうのを中心に大分県の被害は、まだこれは二十七日の夕刊ですから十分に調査ができないのでしょうけれども、こういうふうに大分のほうの問題一つとってみても非常に大きな被害です。今関西の昼間の朝九時か十時ころ現在の被害を見ましても、淀川水系の上流は五百ミリ、名張、あの辺では八百ミリというふうに降って、どんどん水がふえて、雨は少し小降りになったようでありますが、やられているという実情だそうでございます。こういう全体の被害は警察庁が調べられるわけですか。気象庁、警察庁ですね、こういうところが調べられるわけですか。建設省としては公共土木の被害がどれだけあったかということに限られるわけですか。そこらあたり建設省の行政区画の範囲内の問題をちょっと聞かしていただきたい、重複して質問してはいけませんから。
  96. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 建設省におきましては、建設省の所管でございます公共土木の被害、それから住宅関係、なお都市災害でございますそういう施設関係の被害、これを集めております。一般被害につきましては、警察庁のほうで刻々集計いたしております。
  97. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 今のところ報告がまだ確認されておりません。その確認されていない二十六号台風被害をわれわれは今日仮定してるる申し上げることは避けたいと思いますけれども、迅速にその被害状況を知らしていただきまして、それが対策政府としても、またわれわれとしても十分に対応したいと、こう考えます。  私はこの機会に中村建設大臣のただいまの報告の中で、淀川の水位が非常に危険水位をこえて危険になっているというお話を伺いました。私はこの報告を受けて、中村さんとしてまた今度の水害——今度の水害という言葉は語弊がございまするが、第二室戸台風の真正面から上陸をみた大阪災害実情を、かなり早い時間において御視察を願いました。その御視察願った中村建設大臣に淀川水域の今日の状況を見て、これが復旧工事につき、ひとつ決意を私促したいと思う。またあなたの決意をお聞きしたいと、こう思うのであります。と申し上げますのは、私はあの第二室戸台風災害において大阪をいち早く御視察願ったとき、たしか私もあなたの御一行の仲間入りをしておった者ですが、出来島地区において水が引いて一日か二日のときだったし、それから関係当局は十分尽くされたのでありましょうが、物資の配給とかいろいろな面において十分でなかった点が多々あったために、とかく普通の心持でなかった罹災者の一部の人たちがあなたに失礼な行為があったことを私は見まして、心から大阪の代表者として、当時の非礼をおわび申し上げるのであります。そこで私は今度の淀川水域が刻々として危険になっているということを考えました場合に、現在の淀川のすなわち堤防があのままで許されないということは、たびたびそれぞれ関係者から政府に陳情を申し上げているところであります。しかもあのまま、危険なままに放置されているというのが今日までの現状であります。もちろん一部下のほうにおいて完全な堤防の建設を願ったことは事実であります。それが今度の第二室戸台風高潮を受けて、これはびくともしなかったほど頑強であったのであります。その他の面において、いまだ十分に補強されておらない淀川右岸、左岸の堤防において、非常に危険な状態のまま放置されているという状況が現状であります。おそらく淀川左岸の淀川大橋、阪神電鉄の間の何メーターに届くか知りませんが、堤防のえぐられた実態を見られたと思います。なおまたうんと下がって大阪ガス会社の西側、すなわち左岸堤防のえぐられた同じような状態を御承知願っておることだと思いますが、私は刻々と今日二十六号台風の影響による豪雨が滋賀県なり京都なり、三毛県なりに降り、これらが集まって放出される水が木津川を通り、その他河川の名前は知りませんが、賀茂川を通り、これが大阪における新淀川の流域へ流れ込んでおる現状考えますとき、実はわれわれとしては安閑としておれないのであります。  そこで、私先ほど来淀川の水域の水はどうだと言って問い合わしたのであります。刻々と増水し、しかも私のおる附近の人たちも、二百人ばかり淀川堤防に配置されて、これが堤防を守るための位置についておるという報告がきたのであります。どうか、この点でいろいろと陳情があり、また私今日これ以上微に入り細に入り申し上げる用意を持っておりません。ただ非常に危険区域にある淀川堤防、これは直轄工裏でありますので、これが完全にその周囲の兵庫県尼ケ崎市なり、また大阪なり、京都なりに住む人たちに十分安心を与えることのできるように、これが改良工事に対してのあなたの決意をひとつ伺いたいと思うのであります。
  98. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 淀川につきましては、私も前回の災害の際に現地を拝見いたしまして、決壊こそいたしませんでしたが、はなはだしく侵食を受けて、えぐられておる現状などを見まして、今度は、したがいまして二度とこういうことが起こりませんように、十分に改良復旧を行ないます。従来は、見ますと、堤防のある程度までが護岸がコンクリートもしくは石作りでできておりますが、上の方は土の堤防でございますので、ああした侵食を受けたわけでございますので、そういうもののないように、完全に鉄筋コンクリートの堤防で完備をするように、目下そういう考え方で進んでおる次第でございます。これは全力を尽くして完全な改良復旧をいたしたいと思っておりますが、さしあたりまだ災害がこないとも限らない。そこで応急復旧として侵食されました部分全域にわたりまして、じゃかご等によって、たとえ同様な事態が起こって参りましても、決壊を起こさないようにしておく必要を痛感いたしまして、帰りまして直ちに事務当局とも相談をいたしまして、実施をして、すでにじゃかご等による応急復旧は完了いたしておるわけでございます。今後の問題としましては、われわれとしては、ああいった重要河川については、ことに淀川については完全な鉄筋コンクリートによる堤防に整備をいたしたいという考えを持ちまして、整備をいたしたいと思っておるわけでございます。
  99. 赤間文三

    ○赤間文三君 ただいまの建設大臣のお答えを承りまして、いち早く御視察を願って、現地をつぶさに見ていただいて、適当な措置を講じてもらって非常にありがたいと思っております。御承知のように、大臣ごらん願いました伝法大橋の下流が一里ぐらいの間がすでに二メートルぐらいは沈下して低いのであります。御承知のように淀川右岸はできておりますが、左はこういうふうなもののかさ上げ等も非常に心配でならない、その他右岸、左岸につきましても、枚方大橋のあの辺から、また対岸その他調べてみると、相当危険と思われる点がございますので、抜かりもございますまいが、特に淀川につきましては、仰せのようにできるだけすみやかにこれが恒久的な措置もやっていただくよう、特に私はお願い申し上げておきます。なおまた、今度の二十六号台風は、刻々にくる情報はもう大へんなものと考える。適切な処置をひとつ次々と時期におくれぬようにやっていただきますよう、特にお願いを申し上げておきます。  ———————————
  100. 一松定吉

    委員長一松定吉君) この際、委員変更について御報告いたします。  本日下條康麿君が辞任されて、前田佳都男君が選任されました。    ———————————
  101. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 赤間委員も御承知のとおりですが、私どもとしましては、下流地区のかさ上げも含めまして、十分に改良復旧を施して、今後心配のないようにいたしたいと思っておるわけでございます。
  102. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 淀川の問題ですが、たしかきのうの政府答弁では、淀川、大和川については心配がない、心配のないような政府では対策を立てているというお話で、われわれも一応そういう政府対策について安心をしているわけですが、しかし今赤間委員指摘されたように、相当危険な場所もなおあるわけです。危険な場所というよりも、危険水位が非常に高まってくれば、今後随所にそういう危険な個所が起こってくる心配もあると思う。淀川が一たび大水のために決壊するというような事態になれば、これは国家全体としても取りかえしのつかない事態だと私は思うのです。そういう意味から、政府の方では心配がないというふうな答弁でありましたけれども、われわれとしても、どうもそれだけでは安心しにくい面があるというふうに考えるわけです。そういう点ひとつ重ねて、もう少し具体的に心配がないならないという点をはっきり示していただかないと、抽象的に心配がないということだけでは安心ができないと、こう思うのですが、その点いかがでしょうか。
  103. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 昨日心配がないということを建設省の当局でお答えしたようでございますが、これは先般の災害のあとを大急ぎでじゃかご等によって、従来の土堤よりも堅固なくらいに応急復旧をいたしました。そういう意味においては心配ないというわけでございますが、現在の降雨状態を見ておりますと、すでに警戒水位を突破いたしまして、さらにいわゆる計画水位、淀川として最高の今までの計画水位をさらに突破しておるようでございます。したがって私も心配でございますので、河川の専門家、ことに河川局の者を初め、山本技監等も河川の専門家でございますから、先刻来も休憩中に山本技監を叫びまして、危険の度合い等について念を押して聞いておったんでございますが、風で波が起こって、波でひどく洗われない限りは、流れるだけならば、堤防を越すような水量にならない限りは大丈夫であるという話を聞いておるのでございますが、問題はこれからの水量の問題でございますが、そういう点から言えば非常に心配になりますので、私もじっとしておれないような気持で刻々と状況の変化を聞き取っておるようなわけでございます。何とかして堤防を越えないような範囲でおさまってくれることを心から祈っておるようなわけでございます。一応復旧としましては、従前の土堤よりも堅固なくらいに手直しはして、安全の状態にはしたわけでございますか、しかしながら、豪雨状態から見て水量の関係をわれわれ気に病んで心配をしておるというのが現在の実情でございます。
  104. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、従来から問題になっておったのは淀川の支流ですね。支流等においてダムを建設しておる、そうしてにわかな増水を緩和する。これは琵琶湖、それから桂川とか木津川とか、そういう支流も含めて淀川のいわゆる対策、そういうものを離れては十分でないと思うんです。ただ護岸工事ということだけでは、これはとうてい防ぎ切れない事態というものもやはりあらかじめ考えておかなければならぬと思うんです。そういう面についてもなかなか思うように進捗をしていない。こういう事情から、私はこの際もう少し広範な淀川水域全体、言いかえれば琵琶湖を含めた、支流等をも含めた全体としての対策、これを進めてもらうということが、これは万一の場合を考えた場合に、これは当然しなければならぬ問題になってくるんじゃないかと思うんです。そういう点について、まあきょうは建設大臣の所信だけ伺ってやめます。
  105. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 実は建設省としましては、今仰せのとおり堤防の整備だけでなしに、上流の各関係河川に洪水調節を兼ねたダムの建設等の検討をいたしまして、企画を持っておるわけでございますが、ただこれらの洪水調節を目的としたダム等の建設は、年度の予算で縛られる建設省の治水事業だけではなかなか速度が早く参りかねる状況も過去の例に照らしてございますので、われわれとしましては、年度の予算に縛られないで公団債を発行し、あるいは財政投融資の資金によって活発にそういうものの作業のできる手段として、今国会にも水資源開発関係の法案を提案いたしまして御審議願っている次第でございますが、何とかわれわれとしましては、年度の予算で縛られる治水事業だけでなしに、公団のような機構によりまして、こういった重要な地帯につきましては、すみやかに大量の資金を投入して、そういった施設が完備されることを期待いたしておる次第で、私どもとしましては全力を尽くしてこういう方向に進めて参りたいと、実は考えておるようなわけでございます。
  106. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、今近畿地方に雨がひどう降っておるといいますから、淀川の危険水位、計画水位ということを言われておりますけれども、上流にどれだけの雨が降ったからどれだけの水が流れてくるんだ、たとえば宇治川のリミットは幾らだ、何トンだ、木津川のリミットは幾らだ、桂川はどうなんだ、それ以上今度の雨が降っておるのかどうかというようなことの説明をされれば、淀川の堤防が危険かどうかということはすぐ皆さん方専門家だからお出しになることができるのではないか。ただ、ばくとして計画水位とか危険水位ということだけでは今のような議論が出てくるのではないかと思うのです。だからそれをひとつ聞かして下さい。
  107. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) では河川局長から。
  108. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 現在淀川は枚方という地点におきまして計画高水位を越えて出水中でございますが、今後の問題といたしまして、きょうの五時前後が最高水位になる、一番危険であろう、上流の雨の降り方からこういう推定をいたしまして、そういう見込みを立てております。その場合に水位はどのくらいであろうか。これも過去の従来からのいろいろな記録から推定をするわけでございますが、計画高水位に対しまして五十センチからあと多少ふえてとまるのではなかろうか。そういうような推定をいたしておる次第でございます。
  109. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 今度の雨ですか。
  110. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 今度の雨です。
  111. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 計画は。
  112. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 計画は枚方におきまして六メートル三六でございます。それに対しまして現在の降雨の状況から大体六メートル八〇から多少ふえる見込み、こういうふうに今推定をいたしております。したがって提防の高さよりはこの水位は多少ではございますが、まだ低い、溢水はしないであろう、こういう見込みを立てております。
  113. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 堤防の上まで何ぼですか。
  114. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 枚方のはっきりした堤防の高さは、今ここに資料の手持ちはございませんけれども、約八メートルから少しあるのではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  115. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 枚方の計画水位が六メートル三六というのですが、今これを越えておるわけですね。それでは今までの増水の関係で一番高い水位は何メートルまで行っておりますか。枚方でけっこうです。
  116. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) これもただいま資料は手持ちはございませんけれども、過去の最大の記録といいますか、それは大体六メートル八〇前後ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  117. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 六メートル八〇あとさきというくらいのところでは、堤防一ばい水が来たら切れるというわけではないのであって、堤防の上一メートル、一メートル半余っていても堤防が切れる場合もあるわけですね。だから必ずしも六メートル八〇、堤防までまだ一メートル幾らあるから切れないという理屈は成り立たないと私は思う。しかし今までの予想から言って、今度の経験から言って、大体特別越さぬ限りは切れぬであろうというお考えかと思うのです。そこで問題は三川合流の点があぶない。三川合流の点で水がよどんで、今までの歴史的に見てみますと、淀川の水系を見ますと、淀川を守ってきたのはいわゆる三川合流点で水がよどんで、あのどこかが切れる。どこかが切れることによって淀川が守られてきた。流水仙帯があの京都の盆地でどこか破れることによって淀川が守られてきたというのが大体の歴史なんです。ですから、六メートル八十という最高の水位のときに、どこかわかりませんが、小椋池あたりが切れたような心配があるのです。そういう問題について、資料が今なければあとでけっこうですけれども、資料があれば話していただきたいと思う。京都のあの一角の状況はどうですか。
  118. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 京都の三川合流付近の計画の点はのちほど資料で御説明をしたいと思いますが、淀川の出水につきましてただいま報告がございまして、午後二時四十五分が六メートル九十六、とれで最高になっております。これ以後下降中で、水位がだんだん下がりつつある、こういう報告でございます。
  119. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 宇治川ですね。
  120. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 淀川でございます。
  121. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 枚方ですね。
  122. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) そうです。それでのり崩れ、それから増水の報告は現在のところございません。洪水は下がりつつある、こういう状況でございます。
  123. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 京都のほうは。
  124. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 三川合流付近の点はさらに状況を聴取いたしまして、あとから報告したいと思います。
  125. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これを見ると、木津川の水が一番大きいのではなかろうかと思うのですが、この木津川の水、淀川によってあの付近の逆流は京都市まで逆流するわけですからね、桂川は。だからあの辺の堤防が、宇治川と桂川が木津川にせきとめられて逆流しておると思うのです。これだけの水なら。そうするとあの辺の被害はまだ情報は入っていませんか。
  126. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 現在まだ入っておりませんので、報告の入り次第あらためて報告したいと思います。
  127. 米田正文

    ○米田正文君 先ほどから今回の二十六号台風被害について建設省関係のお話、御報告を承りました。質疑等もございましたが、実は建設大臣もここにおられて気が気でなかろうと思うのです。実はもう早く建設省に帰っていただいて、水防及びその後の対策についての措置をしていただきたいと思いますが、そういう趣旨からも一言申し上げておきたいことがございますので、ごく簡単に申し上げます。  大分県の災警報告も先ほど承りましたが、これは死者五十五人、行方不明十八人、合計七十三人ですが、これはおそらく全部死者と見てよかろうと思うのですが、こういう死者を生じており、建設関係の公共土木は九億六千万円になっております。農業関係が十一億四千七百万円になっております。九州地方は御承知のように、稲作はおくて地区でございますから、きょうのテレビを見ましても、稲を刈って、たんぼに干してあったものを水の中から運び出しているような状況がございましたが、そういうような地区でございまして、相当け被害を生じている。今日大分県の集計では総額三十八億八千万円になっておりますが、おそらくこの報告はもっとふえて参るのじゃないかという私ども感じを持っている。この対策については、今後十分な調査をした上で立てていただくことになると思いますが、最近の天候は非常に、異変と申しますか、十月になってこういう台風が来て被害を起こすということは異例のことでございます。おそらくそういう意味から言いますと、地方の人は、もう十月半ばを過ぎたからというような安心をしているところに水害がきたというようなことで、あわてているのではないかと存ずるのでございます。そういう趣旨でございますから、この対策については十分ひとつお考えを願いたいのですが、今回、今提案をいたしております十四の災害関係立法がございます。これは、今回の水害がおそらく私は調査の結果相当になるだろうと思うんですが、そういう場合には、今回の特別立法には入っておりませんが、これはどういう措置をお考えになるか。先ほどもちょっとございましたが、もう一度お伺いをいたしておきたいと思うのでございます。
  128. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 災害復旧及び罹災者等に対する対策等から考えまして、私どもといたしましては、同様の措置を講じなければ、均衡の上からもよろしくないのではないか、こういうように考えております。
  129. 米田正文

    ○米田正文君 そこで、われわれもぜひ今回の災害が調査の結果相当なものである、相当なものというのは、今日の災害立法該当の程度のものであるということですが、そういう場合には、ぜひこの立法を適用するような方向に持っていきたい。のみならず、今度の水害において特異な災害があって、今次の立法では間に合わぬというものがあるかもしれない、そういうものについてもぜひひとつ考えたいと思うんですが、ところが役所でいろいろ災害復旧措置をしていく上において、やはりはっきりと法律で決定をしていないと、取り扱いがなかなかむずかしいことになるので、今からこの次の国会までの間に、次の国会立法するとして、修正の方法によるか何かは別としまして、災害立法をやるとして、その間のつなぎですね、つなぎの措置をどういうふうにおやりになるお考えか、承っておきたいと思います。
  130. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 直ちに明確になっておれば、われわれのほうの役所の建設省の立場としては、非常進めやすいわけでございますが、法律上明確になっておりません場合がありましても、七月の豪雨災害の際にとって参りましたようなつなぎ資金の放出を同じようにやっていけば、やりようはないことはないというふうに考えております。
  131. 米田正文

    ○米田正文君 今までの災害についても特別立法をやる前にいろいろと措置をとられてきておるわけですから、ぜひこの特別立法を適用するという前提のもとにおいて、従前とってきておるような方法によってこの災害に対処するようにお願いを申し上げておきます。  それから最後にお願いをかねて申し上げたいんですけれども、現在すでに刻々と増水をしておる、危険に瀕しておるところがたくさんあるわけです。あるいは今後も起きてくるかもしれませんので、そういうできるだけの次善の措置をひとつとるようにお願いを申し上げておきます。
  132. 一松定吉

    委員長一松定吉君) この際、警察庁三輪警備局長より災害実情報告をしたいとの申し出がございましたから、これを許可いたします。
  133. 三輪良雄

    政府委員(三輪良雄君) ただいままだ状況が終わっておりませんけれども、二十五日から六日にかけまして九州、さらに六日から七日にかけて四国で集中豪雨による災害が起こっておりまするので、本日の午前十時現在というところで御報告をさせていただきたいと存じます。  本邦上空に停滞しておりました前線と低気圧の影響で、九州の中南部の各県では二十五日の正午ごろから二十六日の夕刻にかけまして集中豪雨となったわけでございます。ことに大分県の南部、中部地方では実に三百二十ミリという雨量を記録いたしまして、非常な被害をもたらしましたわけでございます。その後低気圧は東へ移動をいたしまして、先ほど申しましたように、ただいま和歌山、三重あたりに雨が降っておるのでございまして、この御報告の中には和歌山、三重あたりの損害はまだ十分出ておりませんので、今後これがふえるものと心配をいたしておるわけでございます。そこで資料を取り急ぎ持って参りましたので、あるいは部数が足りなかったかも存じませんが、お手元にございまするならばごらんいただきたいと思いますが、第一ページの下から、十時現在の被害状況をとりまとめてございます。なくなりました方が六十四名、行方不明三十名、負傷者八十名ということでございまして、家屋の全半壊は五百四十棟、流失が約百棟、それから床上浸水が八千四百棟でございます。田畑の流失等、そこにございますようなのが、ただいまわかっておりまするごく概要でございますが、罹災された方々は九千五百世帯、三万九千名に及んでおります。先ほど御報告をいたしましたように、特に大分がひどいのでございまして、安岐川、番匠川が欠壊はんらんをいたしましたのを初めといたしまして、小河川、小さな川が至るところでこわれまして、堤防の決壊が約六十個所に及んでおります。また山くずれが続発をいたしまして、御承知のように、別府−大分間の電車が山くずれによりまして埋まりまして、六十七名の乗客を乗せておりました中で、実に三十一名の方がなくなるというような悲惨な事故が起こりまして、そのために同県下でこのためになくなりました方の数は五十三名、行方不明二十一名、負傷された方が四十七名、全半壊、流失いたしました家屋の数が約四百五十棟、浸水をいたしました家屋が二万五千棟に達しておるのでございます。罹災者は五千七百世帯の二万五千名に及んでおると見られるのでございます。このために県では大分及び国東、安岐、武蔵、大南、三重の各町に対しまして災害救助法を適用いたしまして、救助にあたっておる模様でございます。  宮崎県はそれほどではございませんけれども、二十五日正午ごろから夜半にかけまして豪雨になりまして、これが二十六日夕刻まで続いたのでございます。特に県の中央部から北部にかけまして十二メートルという風を伴って、約二百五十ミリの集中豪雨がありまして、これがために百五十個所見当の山くずれ、がけくずれがありましたほか、中小河川がはんらんをいたしまして、堤防決壊は約二十五個所に及んでおります。そのために死者七名、行方不明一名、負傷者十名、倒壊家屋三十棟、浸水家屋が四千棟に及んでおるのでございます。東臼杵郡の北川村ては、北川のはんらんで全村世帯の約一〇%が罹災をいたしました。同県では同村に対しまして災害救助法を適用して救助に当たっておるのでございます。  低気圧は東に進みまして、四国に被警をもたらしましたわけですが、十月の二十六日から降り出しました雨が、二十七日早朝まで豪雨となって、平野部では約百ミリ、山間部では二百ミリになったのでございます。特に小豆島、東讃地方では豪雨が激しくて、これまた小さな河川がはんらんをいたしまして、がけくずれあるいは提防の決壊等が多く起こりまして、人的被害は死者一名、行方不明二名、負傷者十三名でございますが、倒壊家屋九十棟、浸水家屋が五千六百棟に及んでおるのでございます。古川県では小豆島にあります土庄、池田、内海の各町に対しまして災害救助法を適用いたしたということを聞いております。  徳島でも同様の時期に、これはまた中部山岳地帯では五百九十ミリという豪雨を記録をいたしております。二十七日早朝まで続きまして、徳島市内を流れます園瀬川などの小さな川がはんらんをいたしました。同市では市内の約一〇%、小松島市では約二〇%に達します家屋が浸水被害を受けました。県下全部で行方不明三名、負傷された方が二名、倒壊家屋十棟、浸水家屋八千五百棟という被害を受けたのでございます。このために同県では徳島、小松島の各市及び上板町に災害救助法を適用いたしたのでございます。  大分県の電車の被害でございますが、これは定員九十名のところに六十五名、相当に混んだ状態で、午後二時三十分に大分を出まして、別府駅に向かって進行をいたしたわけですが、あのサルで有名な高崎山のところで、海津沿いに非常にせばまっております地点でございますが、そこに差しかかりましたときに、十五メートルの高さ、傾斜約八十度のがけ、これは従来くずれた事例がないそうでございますけれども、これがちょうど、電車の中央部目がけて、幅二十メートルほどで上砂をくずしたわけでございます。電車は三十度ほど傾いたまま土中にうずめられたという状態でございます。パトカーがすぐ発見をいたしまして急報いたしましたために、警察官百二十名、消防団八十名、自衛隊百三十六名、その他お医者さん方と協力をいたしまして、生存者の救出、死体の収容等に当たりましたが、何分にも土量が非常に多うございましたために、午後三時二十分ごろから七時五十分ごろまでこの救助にかかりましたわけでございます。そのために実に三十一名の方がそこでなくなり三十六名が負傷されるという非常な不幸な状態になったわけでございます。ただいまその原因等についてはいろいろ地元でも調べておるようでございます。  今申し上げましたような各県の被害に対しまして、それぞれ各県の警察は災害警備本部を設置をいたしまして、延べ各県で三千八百六十八名の警察官を出動させまして、関係機関と緊密な連係のもとに、人命救助、避難誘導等に当たっておるという報告を受けております。  各県別の今日の午前十時までの被害は別表に書いてございまするけれども、冒頭にお断わりいたしましたように、和歌山、三重につきましては、ただいままだその被害がふえつつある状態ということでございますので、これに加えなければならないというふうに心配いたしておるところでございます。
  134. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は先ほどの米田委員質問に関連をして、建設大臣にひとつ御所見を承っておきたいと思う。で、まあ一般の情報が明らかになってから、この問題の処理をここで相談をしたいと思っておりましたが、米田委員からああいう発言をしていただきましたので、問題は私は今度の災害、九州地方、四国地方、また今近畿に起きている災害、今度の十九の法案で包括していないような問題も含まれているかもしれないと私は思うのです。問題は、私は今度の災害の基本的態度としては、三十四水害のときの災害対策措置を底にして、その他それにできるだけのことをするというのが政府態度だったと私は思うわけであります。ですから、今出ておりまする法案というのは、十月の上旬という工合に切られておりますから、だから、何といっても今大分県を中心にして始まった四国から近畿その他の災害については、私は今日までの伊勢湾台風、要するに三十四水のときの対策までは緊急に処置をする、法律適用もやるということもやっぱり明確にしておいていただきたい。どういう工合に手続的な問題はどうするかということは、理事会やその他を開いて、今後この場所で明確に具体的にやれるような処置はとりますが、やるということだけは建設大臣は明確にしておいていただきたいと思います。
  135. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 私どもとしましては、最善を尽くした措置を講じたいと考えておるわけでございますが、ただ災害につきましては、従来とも、また今回もそうでございますが、政府一存でなしに、できるだけ国会の各勢力、各党派と相談をいたしまして、努めて超党派的に話し合いの上で対処策を講じていくというのが従来のならわしでございますから、今度突発的に起こりましたこの災害につきましても、ごく近々のうちに各国会関係と連絡をいたしまして、できるだけ善処をいたしたいと考えておるわけでございます。
  136. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 たまたま今災害対策委員会が今日開かれておるわけでございますから、建設大臣の決意のほど、お心がまえのほどをここでお聞きをしておいて、われわれはこの委員会で、この問題で与党、野党の争ったことはないわけですから、だから最善を尽くす。そこで建設大臣の決意のほどを、全部含めてやるのだと、今までの水準、今までの手当に含めてやるのだという決意だけをお聞きをしておきたいということだけです、私の質問は。よろしゅうございますか。
  137. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 建設大臣としての私の気持を率直に申し上げますと、問題の解決を今後に残しますよりは、できるならば同時解決をしていくような方向のほうがわれわれとしても災害の処理をいたして参りまするのに都合がいいと考えますが、まだ実は政府部内においても、きょう昼ころから後にだんだん災害の大きいことが判明をいたして参りましたので、相談をいたしておりません。また政党関係とも相談をいたしておりませんので、急遽とくと相談をいたしまして、最善の善処の道を考えていきたいと思っております。
  138. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま九州、四国、さらに近畿地方に及んでおりまするところの集中豪雨被害報告を受けたのでございますが、これが対策につきましては急いで対策を立てていただきたい。したがって、建設大臣は早く役所でまたいろいろその対策の御準備もあろうかと思いますので、実は私はきょう十項目にわたりましていろいろ大臣から親しく御意見をお伺いしたがったのでございまするが、一切ほとんど省略をいたしまして、ただ一点だけにつきましてお尋ねを申し上げたい。私は、建設大臣は同じ党員に対して同じ答えを何べんもされて、何だ、よほど頭の悪いやつだというふうにお考えになるかもしれませんけれども、問題は非常に重要な問題で、地方の一般の民衆が非常に関心を持っておるだけに、あるいはくどいかもしれませんけれども、ひとつお許しいただいてお答えを願いたいと思うのでございます。  わが国のように災害がひんぴんとしてございますと、災害に対する対策というものは一つの型ができ上がっておるように思うのでございます。今般の対策につきましても、あるいは建設、農林、文教その他の対策すべては大体従来のものの加除訂正と申しますか、そういう対策が今回の対策だと思うのでございますが、ことに今回の対策は、概括的に申しまして、伊勢湾並みであるというふうに弄われたように思うのであります。われわれ被災地から選出されておりますところの議員がいろいろ党並びに関係各省の人々といろいろ話をいたしましても、大体伊勢湾並みにするのだというふうな、まあ概括的な御説明であったように思うのでありますが、ただ伊勢湾にあった特別立法の中でないものが一つある。ことに最も大切なものが抜けておる。それは高潮対策に対する特別立法だと思うのでございます。この特別立法が伊勢湾にだけあって、今回の第二室戸台風になぜないのかと、その点をごくわかりやすくお答えを願いたい。まずそれを……。
  139. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) ただいま御指摘の点につきまして、私どもも重大な関心を払いまして、閣内及び党内において議論をして参ったのでございますが、伊勢湾の場合は、御承知のとおり海岸堤防や防潮堤がずたずたに損壊をいたしまして、そのために激しい被害をこうむったわけでございます。今度の大阪の場合につきましては、なるほど地盤沈下に関連をいたしまして、防潮堤を越えて相当の浸水被害はありましたが、堤防自体がずたずたに破られたという姿でないものですから、非常な困難性がございます。できれば私どもとしては、何とかこれについてもいわゆる改良事業を伊勢湾の状態と同じような立法措置をいたしまして、すみやかに将来の災害を再発しないようにいたしたいという気持であったわけでございますが、ただ、大阪の場合は、損壊をされていませんので、復旧あるいは復旧改良というよりは、復旧の分がなくて改良という分だけに相なるわけで、そういう角度からいいますと、類似の地域としては、東京湾の防潮堤工事が現に進められつつありますが、あるいはかさ上げ工事をやっておりますが、これと同じものになるじゃないかと、したがって、やるとすれば大阪も東京も同じ角度の待遇でやるべきで、大阪だけについて特殊の措置を講ずるということは、つり合い上もよくないというような議論が結果的に勝ちをおさめまして、結局、大阪については伊勢湾と同じ待遇ということが、この問題だけについてはとうとうできなかったというのが率直な実情でございます。ただ、しかしながら、大阪地盤沈下の激しいこと及び今次の災害にかんがみましても、何とかして急速に整備をしなければならない。すでに五カ年計画はできておりますから、この五カ年を待ってやっておったのでは、またその間に同様の災害が来るかもしれない。そこで期間を繰り上げた緊急政策なども立て、また伊勢湾と同じ処置は形式的には講じられなかったが、実質的には起債の充当率を引き上げるというような方法によって、資金的にも困らないようにして、早くとにかく初潮堤のかさ上げを完成させるようにしたいというようなことで今は進んでおる段階でございます。したがいまして、さしあたり本年度におきましても、建設省、運輸省関係合わせて九億円ほど既定経費以外に経費の方もかさ上げいたしまして、事業の促進をいたしたいというようなことに相なっておるのが現実状態でございます。
  140. 前田佳都男

    前田佳都男君 災害後いち早く建設大臣大阪、和歌山地方においでいただいて、現地をつぶさに見ていただいたということは、非常にわれわれ被災地方にとりましては感謝、感激をしております。そして、まず第一に起こった声は、建設大臣がこの現地を見てこられたその結果、必ず防潮堤を作っていただけるであろうということを非常に期待しておりました。われわれの地方、私は紀州地方でありますが、大阪から紀州にかけまして一衣帯水といいまするか、今建設大臣が堤防が伊勢湾の場合はずたずたであったと、しかし紀伊半島から大阪方面にかけてはずたずたでない、状況が違うんだというふうなお話をなさいましたけれども、あるいはそのずたずたの面をごらんにならなかったのではないか。和歌山県方面におきましては相当被害が激甚でございました。田辺に至るまでの間というものは相当ひどい被害を受けております。しかも財政力が非常に貧弱でございますので、これは東京並みというか、金持ち並みにものごとを御判断下さっては非常に困るという問題がございまして、実はこの高潮対策について衆議院でこういう法案がかかっておりますときに、衆議院の諸君がいろいろ交渉されて、衆議院で話がついたとかつかぬとかいう話を聞きまして、私はけしからぬと非常に憤慨をしまして、そういう高潮対策特別立法をわれわれうんと期待しておったのに、そんなものをのんでしまったのか、出さないのに賛成したのかと非常に私は残念に思いましたが、おそらく建設大臣はお立場上大いにがんばっていただいたと私は思うのですが、おそらくこれは財政上の関係でだめになったんだろうと思います。しかし、われわれの考えといたしましては、今後努力をするとか、あるいは起債の面でできるだけ心配をしてやろうというんでは、大体災害のあと興奮をしておりますときは、非常に皆何とかしょうという気があるんでございますが、ちょっと冷静になりますると、まあまあという声が起こって参りまして、そのうちにどうも忘れてしまう。忘れはいたしませんでしょうけれども、つい軽く見られて、次の災害が来るために、次の災害に目を奪われてしまって、前の高潮対策というものが忘れられる、そういうきらいがあると思うのでありまして、とにかく大阪から紀伊半島に至りまするこの紀伊水道は台風のもう常襲地帯であります。常に台風の銀座通りと申しますか、この銀座通りの舗装といいまするか、防潮堤だけは是が非でもひとつやっていただきたい。しかも東京流であるというふうなことをお考えにならずに、ぜひひとつ財政力の貧弱の紀州地方、まことに今回の災害は、ごらんになったと思いまするが、実に惨たんたるものでありまして、貧乏台風といいまするか、沿岸の漁家が壊滅状態で、ほんとうにもう何とも言いようのないような悲惨な状態でございます。その点を特にお考えをいただきまして、何とか特別立法というか——特別立法しないで特別の補助をするという方法がはたしてあるのかどうか、どういう方面で何か特に見てやろうという具体的な方法があるのか、その点この際くどいようでございまするが、もう一度ひとつお答えをお願いいたします。
  141. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 大阪の場合と違いまして、和歌山の県下につきましては、特に私ども重要な問題として論議をいたしたわけであります。私が見ました和歌山港などを見ましても、港内の港湾堤防は全くずたずたにやられておりました。しかも、これは古いころにできたものでございますから、鉄筋の人っていないコンクリートでありますから、波浪のためにめちゃくちゃに破損をされて、跡形もない状態にすらなっておる。あるいは漁港などについても、そういうところがあるように聞いております。そこでこれらにつきましては、今度の立法の中にございまする改良復旧によりまして、従来はまあ単なる復旧原形復旧ということになりますれば、鉄筋の入らないコンクリートということになりますが、改良復旧ということで完全な整備をする。それからまた破損をされたところの復旧改良復旧をいたしますについても、そこだけを改良復旧をいたしましても、その関連周辺が復旧をいたしておりませんと復旧の効果がない。そこでいわゆる関連事業というものをやるわけでございます。この災害関連部につきましては高率適用の特別立法が提案いたしてございますので、これでまあやればよろしいんではないか。しかし、私どもとしてはまだ心配である。従来は関連事業というものは、災害を受けた復旧改良復旧部と一対一という一つの何といいますか、習わしがずっと来ております。一対一で縛られたのではこれは非常な窮屈になりますから、そういうことでないようにする必要があるということを力説いたしまして、大体財政当局もそういう方向で了解が得られましたので、われわれとしてはさような方法によって改良復旧を徹底的にやる。従来の原形復旧でなしに改良復旧をやるということと、関連工率をやりまして、関連工事について高率補助の適用を受けて、できるだけ前よりもいいものにする、こういうことを実施して参るということで折り合わざるを得ない状態で、現在提案をしている衆議院案のような格好になったわけでありまして、この点御了解をいただきたいと思います。
  142. 前田佳都男

    前田佳都男君 ただいま大臣からいろいろ御説明を承りましたからよくわかりました。とにかく大臣も御存じと思いまするが、従来の防潮堤で、鉄筋を入れていないところがその部分だけが、ちょっと手を抜いてあるところだけが壊滅いたしておりまして、鉄筋を入れてあるところはそのまま残っている。その点大臣の御答弁といいまするか、鉄筋を入れてやろうという、そういうお気持には非常にわれわれ感謝をいたします。それからこの災害関連を一対一ではなくて一対幾つにみていただくのか知りませんが、とにかく災害関連をできるだけみてやろうといいまするか、そういう御方針のように承ったのでございますが、まあ、そういうふうにぜひ一対一ではなくて一対一・五ぐらいにできるだけ多くみていただきたいということ、それを特に希望いたしますと同時に、この間ある新聞でありますが、何新聞でしたか私は忘れたのでございまするが、その新聞に、建設省では高潮対策三カ年計画とか五カ年計画というものをお考えになっている。それを三十七年度の予算に要求されるということを新聞でちらっと私は拝見したのでありますが、これは具体的にどういうふうにお考えになっているか、ごく簡単でけっこうでございますから、一言ちょっとその構想だけをお伺いいたしたいと思います。
  143. 中村梅吉

    国務大臣(中村梅吉君) 実は五カ年計画をもって進めているわけでございますが、さらにこれを緊急的に繰り上げて先行投資をいたしたい。そうするのには、一般治水十カ年計画のワク内でやれと言われたのでは、なかなかそのわれわれの目的を達することが困難でございますから、三十七年度予算要求といたしましては、この事業費は治水十カ年計画のワクとは別に別ワクでほしいということを実は要求をいたしているわけでございます。今後予算編成の折衝に臨んで参りまする段階におきまして、なかなか財政当局との間に完全な理解を得るということは非常に困難かと思いますが、われわれとしましては最善を尽くしまして、ぜひそういう姿で、一般治水十カ年計画のワクに入れられてしまって窮屈な困難な作業をやるよりは別の、それとは別にみてもらうようにいたしたいという実は現在方針考えまして、予算要求をいたしておるような次第でございます。
  144. 前田佳都男

    前田佳都男君 もう長くなりましたので、これで私は終わりたいと思いますが、高潮対策につきましては、大臣からいろいろ今お答えを承りまして、よく御趣旨のほどがわかったのでございます。ただ、くどいようでありますが、紀伊水道に面する沿岸ですね、台風常襲地帯、台風の銀座通りはまことに財政力の貧弱なところでございますから、特に今後建設省の施策においても十分御考慮をいただきたい。と同時に、何か紀伊水道に面する沿岸が、伊勢湾のあの沿岸に比較をいたしまして、少し軽く見られておるのじゃないか、そういうふうな気持を多分に今度持っておりまして、特別立法の点について、いろいろそういうことをみんなもやもやと考えておりますので、今後実行の面におきまして、そういうことがさらさらないように今後とも御配慮いただきたいということを特に希望いたしまして、私の質問を終わります。
  145. 一松定吉

    委員長一松定吉君) この際気象庁肥沼予報部長より災害実情報告をしたいとの申し入れがありましたので、これを許可いたします。
  146. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 二十五日の夕刻に、東シナ海と申しましても沖縄の近くでございますが、あの辺に発生しました低気圧、これは非常に発達すると台風になる可能性があるものではございまするが、それほどではなかったので、低気圧という名前にしてございます。これがだんだん北に上りまして、九州の宮崎県あたりから豊後水道に入りまして、そうして大分を中心として非常な雨を降らしました。大体大分付近で降らしましたのは大分市で三百五十三ミリでございます。山のほうがまだ集計ができておりませんが、おそらく五百ミリ、六百ミリという雨が降ったことと思います。この低気圧が四国の上を通りまして、今度南にきて、現在八丈島の付近にございます。そうして九州の雨は少し衰えまして小降りになっておりますが、今近畿地方から東海地方に非常な大雨を降らしております。その辺の雨量について申しますと、高知県の轟というところでは五百二十九ミリ、これは二十七日まででございます。それから徳島が百五十七ミリ、それから奈良県に日出ノ岳という山がございますが、ここでは千二百ミリの雨を降らしております。現在近畿地方では奈良県、大阪府、京都府、三重県、この四カ所には大雨と洪水の警報を発令してございます。それから昨日来関東地方でも降っておりますが、関東地方の雨は、平野では五十ミリないし七十ミリ程度でございますが、山のほうでは三百ミリくらいになっております。で、今のとこる利根川はまだそれほど危険なことはないようでございますが、荒川につきましては建設省の関東地建と共同の洪水注意報——警報ではございません、注意報を発令してございます。  それからこの雨の今後の見通しでございますが、雨を直接降らしているのではありませんけれども台風二十六号が房総の南東七百キロくらいのところにございまして、それが北々東、北でちょっと東に寄った方向に動いております。で、八丈島付近の低気圧は多分その台風の中に巻き込まれてしまうんだろうと思います。そうすると、今後関東地方の雨は今晩が峠でございまして、あすになると小降りになる見込みでございます。しかし、あすになって東北地方が少し雨が強くなるんではないか。これは予想ではございますが、多分九州のような激しいことはないだろうと考えております。そういうことで、あすの東北地方の雨が終われば、この雨は一応おさまるものだとこういうふうに考えております。
  147. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 この風は二十六号台風の影響でないのかどうかということが一つ。  それから沖縄で発生した低気圧が宮崎、大分を通って四国を通って、そうして南下して八丈島というお話でございました。そして雨が近畿、東海に降って、関東にも降って、そういう低気圧の状態がありながら東北に雨が降るとこういうことですね。われわれしろうとでよくわかりませんから、そこらあたりのことを何か帯いたものをいただきたいと思います。低気圧が来て雨が降ったという前段の説明はわかっておるのだけれども、低気圧が大洋のまん中に行ってしまったのに雨が東北の方に残っておるという話になりますと、なおわからなくなりますので、もう少し御説明を願えませんか。
  148. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) ただいまの説明に言葉が足らなかったと思います。台風はさっき北々東の方に行くと言いましたが、沖合いではございますけれども、東北地方の沖合いの方に北に上って行くわけでございます。そうすると台風のほうから、台風は御承知のとおり渦巻でございまして、南東の風で東北地方に吹きつけます。それから東北地方へは日本海を越えてきた大陸の冷い空気がぶつかって参りまして、その両方のぶつかり合いで雨が少し強くなるんじゃないか。こういう意味でございます。それから二十六号台風の直接の雨ではございませんが、その台風が影響して暖い空気、つまり湿気をたくさん持っておる空気を送って来ておることは事実です。しかし直接ではございません。今八丈島にある低気圧のほうがこの雨を直接降らしたものでございます。そしてその逝くの方に台風があって、その台風が渦を巻いております。そこに暖い空気を送ってくる。それが低気圧のところに来て雨を降らすわけであります。
  149. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 ごく技術的なことなんですけれども、こういうふうに台風を号数でいつ呼ぶようになっておりますか。
  150. 肥沼寛一

    説明員肥沼寛一君) 台風はかつてアメリカが進駐しておりましたときに、向こうの慣習に従って人の名前をつけておりました。これは私どもいろいろの投書を受けまして、どうも外国の女の人の名前などはけしからんということで、いろいろ考えました右、その年に出た最初の台風を一号として、ずっと番号でいくということを二十八年から実施しております。
  151. 一松定吉

    委員長一松定吉君) この際暫時休憩いたします。    午後四時十九分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕