運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-10-26 第39回国会 参議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十六日(木曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————   委員の異動  本日委員岩沢忠恭辞任につき、そ  の補欠として米田正文君を議長にお  いて指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     一松 定吉君    理事            赤間 文三君            稲浦 鹿藏君            米田 正文君            武内 五郎君            中田 吉雄君    委員            青木 一男君            古池 信三君            小柳 牧衞君            紅露 みつ君            塩見 俊二君            重政 庸徳君            下條 康麿君            高橋  衛君            西田 信一君            堀木 鎌三君            前田佳都男君            荒木正三郎君            小酒井義男君            椿  繁夫君            松永 忠二君            松浦 清一君            牛田  寛君   国務大臣    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君    農 林 大 臣 河野 一郎君    通商産業大臣  佐藤 榮作君    建 設 大 臣 中村 梅吉君   政府委員    厚生政務次官  森田重次郎君    厚生省公衆衛生    局長      尾村 偉久君    厚生省社会局長 太宰 博邦君    厚生省児童局長 大山  正君    林野庁長官   吉村 清英君    水産庁長官   伊東 正義君    通商産業政務次    官       大川 光三君    通商産業大臣官    房長      塚本 敏夫君    通商産業省公益    事業局長    樋詰 誠明君    中小企業庁長官 大堀  弘君    気象庁長官   和達 清夫君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省河川局長 山内 一郎君    建設省住宅局長 斎藤 常勝君   説明員    科学技術庁振興    局長      前田 陽吉君     —————————————  本日の会議に付した案件昭和三十六年六月、七月及び八月の 水害又は同年九月の風水害を受けた  中小企業者に対する資金融通に関  する特別措置法案内閣提出、衆議  院送付) ○昭和三十六年六月及び八月の豪雨に  よる堆積土砂並びに同年六月、七月  及び八月の豪雨による湛水の排除に  関する特別措置法案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十六年五月の風害若しくは水  害、同年六月及び十月の水害、同年  七月、八月及び九月の水害若しくは  風水害又は同年八月の北美濃地震に  よる災害を受けた地方公共団体の起  債の特例等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害若しくは水  害、同年六月及び十月の水害、同年  七月、八月及び九月の水害若しくは  風水害又は同年八月の北美濃地震に  よる災害を受けた農林水産業施設の  災害復旧事業等に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び七月の水害又  は同年九月の風水害を受けた私立学  校施設災害復旧に関する特別措置  法案内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害、同年六月  及び七月の水害又は同年九月の風水  害を受けた公立の学校等建物等の  災害復旧に関する特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月二十九日及び三十  日の強風に際し発生した火災、同年  六月の水害、同年九月の風水害又は  同年十月百鹿児島市に発生した火  災に伴う公営住宅法特例等に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び十月の水害、  同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地  震による災害を受けた公共土木施設  等の災害復旧等に関する特別措置法  案(内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月、六月、七月、八  月及び九月の天災についての天災に  よる被害農林漁業者等に対する資金  の融通に関する暫定措置法の適用の  特例に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた漁業者共同利用  に供する小型の漁船の建造に関する  特別措置法案内閣提出衆議院送  付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた地域における伝染  病予防費に関する特別措置法案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年九月の第二室戸台風に  よる災害を受けた社会福祉事業施設  の災害復旧費に関する特別措置法案  (内閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年六月及び八月の水害又  は同年九月の風水害を受けた都道府  県に対する母子福祉資金に関する国  の貸付けの特例に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○昭和三十六年五月の風害、同年六  月、七月及び八月の水害又は同年九  月の風水害に伴う中小企業信用保険  法の特例に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○理事辞任及び補欠互選の件     —————————————
  2. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ただいまより災害対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員の変更について御報告申し上げます。本日、岩沢忠恭耕辞任されましたので、米田正文君が後任として選任せられました。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 議事進行——貴重な時間でたいへん恐縮ですが、昨日中村大臣のとられました態度は申し上げると、たいへん恐縮ですが、われわれ非常に不本意に思っています。一松委員長におかれましては、この委員会に非常な情熱を傾けられ、災害復旧とその根本対策について異常な熱意を傾けられている点については、私たち深く敬意を表しているものであります。社会党としましては法案の性質上、与野党いろいろ問題をしぼりまして、高潮の問題あるいは果樹対策、気象の観測等の問題を残しましては、多く意見の一致を見まして、できるだけ私たち罹災地罹災民要望に早くこたえたいという気持を持っているものであります。そして会期末のことでございますから、昨日午後一時から総括質問をやり、わが党としましても、椿、松永の二名にこれをしぼって大いに協力を申し上げ、他は次官、局部長等十分審議促進協力したい、こういう考えを持ち、昨日は万間違いのありませんようにということで、早くから予告をいたしておった次第であります。しかも中村大臣は、昨日は衆議院修正されました案件提案理由説明をされて、当委員会がどうなっているかについては、つぶさに御案内のはずであります。いろいろな案件が重なりました際に、政治家として最も必要なことは何を選んでいくかということであります。今回は災害国会でありまして、衆議院が通ったらそれでいいじゃないかというふうにとれるような節のあったことは、私たちはなはだ遺憾に思う次第であります。日本の議会は二院制度でありますから、そういう点、十分私たち会期末ですからかれこれ錯綜することについては、十分やりくり協力しなくてはならぬと思っている次第であります。私たちは三十一日までに災害関係法案全部を上げることに全力をあげて協力をいたすことを了解いたしていますが、それはあくまで了解事項で、不測の事態が起こりましても、それは一に建設大臣のこれまでとられたことに対する態度、今後の国会対策いかんにあろうと思う次第であります。わが党としましては一言申し上げて弁明を求める次第であります。
  4. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいままことに恐縮をしながら御意見を拝聴いたしておった次第であります。実は、昨日は非常にあいにくの時間的な繰り合せになりまして、当委員会に参りまして修正案の御説明を申し上げてから、衆議院の本会議に入りまして、衆議院の本会議は私ども所管法案が数件かかりました。ことに、そのうちには災害関係法案が議決される議案でございましたので、午後四時ごろまで本会議におりました。そのあと直ちに当委員会に参るべきであったのでありますが、総理大臣会長をいたしております国土縦貫自動車道審議会がございまして、総理大臣の御都合がつきませんので、建設大臣総理大臣会長代理の指名を受けておりましたので、その会議議長を勤めなければなりません関係で、その会議に出席いたしておりましたわけで、こちらのほうの事情を承りましたので、その会議を中止いたしまして、本日午前九時からの続開といたしまして、かけつけたのでございますが、すでに時おそしで、まことに遺憾にたえなかった次第であります。この点、私としても最善を尽くすつもりではおりましたが、時間の繰り合わせ上まことに相済まない結果に相なりました次第であります。この点心から恐縮に存じておる次第でございます。ここに遺憾の意を表しまして御了解を得たいと思います。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は、数日前に連絡してあるのにああいう委員会組み方は、おそらく昨日ごろ通って法案が回ってくるということは、すでに主管の建設省とされてはわかっておるはずなんです。そういうときに他の委員会、外の委員会を招集されておくということ、私はそういうところに非常に問題があると思うわけであります。いろいろ御多忙なことは了承しますが、私は、やはり長い間党人としてやられ、折り目の正しいと聞いておる中村大臣がああいう態度をとられましたことは、はなはだ遺憾に思う。今後は、やはり会期末ですし、外の委員会日程を組まれる際には、これはあらゆる各省に通ずることと思うのですが、そういう競合のないような組み方をされておくことが——そういう心がまえがつまり私は非常に問題だと思うのであります。答弁は求めませんが、そういう点、中村大臣がどちらに行っていいかわからぬような、そういう日程やりくりになった根本はそこにあると思うので、一言その点申し上げ、再び少なくとも当委員会においてはそういうことのありませんように、重ねて申し上げておく次第であります。
  6. 一松定吉

    委員長一松定吉君) これより審議に入ります。昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案外十三件を一括して議題といたします。  昨日に引き続き質疑を行ないます。
  7. 椿繁夫

    椿繁夫君 七月以来の重なる災害についての関係法律案がたくさん付託されておるわけでありますが、私は、昭和九年の室戸台風からこの間の第二室戸台風に至りますまでの間に、私自身床上浸水六回の経験を持っておりますので、主として大阪の問題が中心になりますが、御了解を得ておきたいと思います。通産大臣日程がつまっておりまして退席される時間が早いようでございますから、詳細なことは後日の委員会に譲りまして、きょうは要点だけ一つお尋ねをいたしたいと思います。今度の二十四号台風東京に来なくて非常に幸いでした。過般の伊勢湾台風といい、今回の第二室戸台風といい、災害をひどくいたしております原因が、大きな工業都市、しかもそれが地盤沈下のために非常に災害を大きくしておるということについては政府はお認めになりますか。それとも、それ以外に災害をひどくしたものとしての原因が他にあるとお考えになりますか。
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろ原因があるだろうと思いますが、大阪付近地盤沈下のはなはだしい所におきましては、他においては避けられるような暴風雨でも甚大な損害をしばしばこうむっておる、かように私も感じております。
  9. 椿繁夫

    椿繁夫君 この問題は建設大臣からも一つお答えをいただきたい。
  10. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに地盤沈下災害を大きくしている重要な質素の一つであると、私ども考えております。
  11. 椿繁夫

    椿繁夫君 そこでお尋ねをいたしますが、起こった災害をいかにして救済をするか、あるいは今後どういうふうな対策をもってこの予防措置を講ずるか、ということが私は災害対策根本でなければならぬと思います。そこで、この地盤沈下原因は一体どこにあるか、建設大臣から一つ
  12. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 地盤沈下問題が起こりまして以来、いろいろな研究あるいは調査が続けられてきておりますが、どうも地下水使用というものが大きな原因であるということは間違いない事実であるという結論になってきでおりますし、私どももそう信じております。したがいまして、用水使用規制ということは、この段階になりましてどうしてもしなければならない。同時に、用水使用規制をいたしまするのには、工業用水その他ビル用水にいたしましても、用水を充実するいわゆる水資源開発、ただいま御審議をいただいておりまするような水資源開発ということは国家的な使命として重要な仕事で、この二つを合わせて、何とか地盤沈下を食いとめる道を講じなければならない、かように考えてせっかく努力中でございます。
  13. 椿繁夫

    椿繁夫君 建設大臣は、地下水過度のくみ上げということが地盤沈下の重要な原因ということをお述べになりましたが、私も同じように考えております。ところがこの地下水保全管理ということについてずっと法律を見ましても工業用水関係二つ法律、わずかにこれは新しく井戸を掘ろうとする者に対して規制を加えておるに過ぎませんために、工業用水二法が公布されましてからでも、依然としてこういう工業地帯におきましては地盤沈下が続いておるのであります。そこで、今度の水資源開発関係二つ法律災害対策基本法どもこの国会に出されておるのでありますけれども、いずれも災害を大きくする原因地盤沈下、この沈下を防止するための法律としては不十分であります。そこで政府は、これらの法律修正考えるか、それとも地下水保全管理ということについて、従来の法律で足らざる部分についての補正といいますか、補完の法律についてお考えになっていませんか。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ビル用水につきましてはいろいろ権利関係、あるいは現状の施設との関係もございまして、法制上むずかしい点もございますが、何とか立法化をいたしたいということで、目下立案作業を続けているような次第で、次の通常国会には地下水使用規制措置を講じたい、こう思っております。かたがた工業用水につきましては、どうしてもこれは他に水を供給する道を講じていくということが先決問題でございますから、法律の改正ということも必要であるかもしれませんが、水の充足を期するということが非常に大事だと思います。東京都の江東地区のような地域につきましては、これは都と国とがいろいろ研究を続けて参りまして、汚水処理場の水を浄化して、工業用水に使う道はないかという研究をいたしました結果、これが完成をいたしまして、すでに予算づけもいたして、汚水処理場施設改良着手をいたしております。これができますと、まあ完全にまでは間に合わないかもしれませんが、あの江東地区地盤沈下地帯に供給する工業用水の間に合う程度の水もできますしいたしますので、そういう措置も講じております。制度上の問題はございますが、他の行政上の諸施策も活発に進めていく必要があろうかと、私は考えております。
  15. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御指摘のとおり地下水地盤沈下の大きな原因だということで、すでに皆様方の御協賛を得まして、工業用水法ができております。したがいまして、非常に地盤沈下のはなはだしいところでは、新規のくみ上げは一切許可しない、こういう措置をとっております。このことは、同時に工業産業発展に非常に甚大な影響があることでございますから、この地盤沈下から新産業を守るということ、同時にこれが発展に必要な工業用水の確保、そういう意味工業用水道整備についても助成方策をあわせてとっているわけであります。また、いろいろ工夫をいたしまして、水によっては、海水使用ができないか、あるいはまた一度使った水を二度、三度と、これを引き続いて使う、こういう方法はできないか、いろいろ工場を指導しております。だから順次こういうことも行政指導で徹底して参るだろうと思いますが、一面、相対的には堅牢な防潮堤を作るということも絶対これは必要でごいざましょう。そういうものとあわせて、この地盤沈下対策、やはり一面産業の発達を阻害しないように、消極の面、積極の面あわせて政策を進めて参る、かような立場にあります。
  16. 椿繁夫

    椿繁夫君 建設大臣は何か新しい、地下水のくみ上げが過度にわたらないように、法律の準備を進めておられるということでありますが、建物冷房用地下水くみ上げ、これだけをお考えになるのではなくて、工業用水といえども地下水のくみ上げについては地域指定はもちろん必要だと思いますが、全面的に禁止をする、やむを得ざる所のみを許可主義でやっていく、こういうようなことに立法の構想をお考えになっておりますか。
  17. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘のように、全面的禁止方向にいきたいという考えは持っているわけでございますが、全面的禁止をいたしまするということは、他の補給の道が開かれない限り、日本産業に重大な影響があると思いますので、地盤沈下の問題も重大でございますが、そのにらみ合いが非常に必要ではないか。かような意味から、少なくとも地盤沈下地帯に供給いたしまする水資源開発だけでは——幸い水資源開発制度が、促進法及び公団法等衆議院で通過いたしましたが、われわれといたしましては、最も早く着手をすべき急を要する仕事である、かように考えているわけでございます。これらとのにらみ合いに基づいて十分強化をしていく制度上のことも考えて参りたいと思っております。
  18. 椿繁夫

    椿繁夫君 それでは通産大臣にちょっとお尋ねをいたしますが、今お話しのように、立法することによって、制度上の問題として、地下水過度のくみ上げにならないように、建設大臣考えておるということでございますが、同時に、工業用水道が並行して行なわれなければ、産業の上に重大な影響のあることは、これはもうお説のとおりであります。ところが、最近、政府のやっておられるなにを見ますと、工業用水道の工事に対する国庫補助が、去年まで四分の一でありましたものが、ことしは五分の一に減っておる。こういうことがあっちゃならぬと私思いまして、五月以来、このことを通産省に特にやかましく言って、考えを変えてもらうようにやっておったのですが、こういう方法——補助率を減らすような方法をとっておられましたのでは、どうしても需用家が使います際の水道使用料といろものが高くなりますから、地下水をどうしてもくみ上げていくということにこれはなるのであります。こういう点について通産大臣ひとつお考えを承りたい。
  19. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この工業用水道国庫負担率というものは、なかなか議論のあるところであります。私どもは、ただいま、工業用水道整備を全国的に早急に進めたい、かように実は考えておりますが、そういうことになりますと、限られた予算でできるだけのものを作りたいとなりますと、ただいま御指摘のとおり、補助率を下げてでも地方要望にこたえるというような処置をとらざるを得ないのであります。その結果は、ただいま御指摘になりますように、必ず高いものになるだろう、こういう御指摘があるわけであります。そういう場合に、地方自治体の負掛分なり、これは財政状態等も勘案して参るわけでございますし、またそれらの工業用水を、水道から工業用水を受けるところの採算性など、それなども一応計算いたしまして、いわゆる抽象的に安いほうがいいということだけではなしに、可能な範囲にただいまのところやっていく、こういうことでございます。事実、御指摘のとおり、工業用水でございますから、これはもう安いに越したことはございません。ございませんが、なかなか、最近できます愛知用水にいたしましても、工業用水のものは相当高くなる。あるいは大阪付近で建設しております堺のものにいたしましても、必ず相当のものになる、かように思いますが、需用家その他等から見まして、まずやむを得ないという処置で、ただいま量をふやす、こういう方面に特に力をいたしたいというふうに考えております。
  20. 椿繁夫

    椿繁夫君 どうも、今の佐藤大臣の御答弁を伺ったのですが、全国に工業用水を補給する、これは政府としてお考えになることは当然であります。当然でありますけれども、今回の災害などを見ましても、私は工業用水道とか、建築冷房用地下水のくみ上げのごときは、これをやるために、それを規制することができなかったために、地盤沈下し、そのために災害がひどくなっておることが明らかなのでありますから、災害対策の一環として立法措置を講ぜられ、さらに工業用水道などの急速な拡張のために、私はお考えになることが災害対策根本だと思うのですが、建設大臣と両大臣からひとつ御答弁を承りたい。
  21. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私はやはり防潮堤整備することが第一じゃないかと思います。地盤沈下は、速度程度は順次緩慢になということもあろうかと思いますが、すでに外国等におきましても、非常に低い所でもこれを海水から守っておる例は幾つもあるわけであります。順次そういう方向にも進むだろう。しかしながら、みずから好んで非常に多額の出費を要する防潮堤整備ばかりじゃなしに、やはり地盤沈下速度もおそくし、その程度もとめるように、ただいまも工業用水のくみ上げの抑制、こういうことになっておると、かように私は理解し、そういう意味においての整備を進めていく。だから、ただいま確かに地盤沈下がある。これは工合が悪いですから、地盤沈下に対する対策としては、これをもし高く上げることができれば一番けっこうですが、そういう方法はとれない。そうすると、今の下がっていくことをできるだけおそい速度にし、程度をとめるという方法をとる。これは非常に消極的なものだと思います。それが地下水のくみしげの規制の問題だと思います。これを思い切ってやれば、産業は壊滅するということにもなりますから、そこにはおのずから限度がある。しかし、まわりの防潮堤整備されれば、必ずこれは防護できる。そういうものとあわせて進んでいくべきじゃないか。だから積極面工業用水道整備、こういうことはございますが、地下水をくみ上げるためだからと申しましても、大阪地帯自身今のような状態では、私は高潮対策としては非常に危険なんじゃないかと思います。そういう意味で、今日大阪湾の沿岸の防潮堤かさ上げ等を急速に進めている。これはもう緊急な処置であり、また根本的な対策だと、かように考えております。
  22. 椿繁夫

    椿繁夫君 通産大臣がお帰りを急がれるものですから、工業用水道質問がちょっと先になったのですが、私が申し上げようとしておりますことは、高潮対策として、昭和二十六年以来、大阪では、大きい、六メートル五十から、市内のほうへ入ります河川の護岸におきましては、四メートル五十程度防潮堤政府補助をいただきまして作ったのであります。おかげで今回の台風におきましては、一メートル以上下がってはおりますけれども防潮堤がございますために、それをこえた水が損害を与えた、被害を与えたということになったのでありまして、水量が非常に少なかったものですから、比較的被害程度を少なく済ますことができたのであります。そこで、この防潮堤を二十五年当時設計いたしましたように復旧をいたしますことが、もとの原形に復旧いたしますことが、当面大きな問題であることは申すまでもありません。ところがこれを上げましても、ふたたびまた十年後には今日沈下しておりますように一メートル二十ないしは一メートル五十も下がるというようなことになっては、さいの川原の石積みと同じことになりますから、どうしても地盤沈下原因である地下水過度のくみ上げの強力な規制ということをやる必要がある。そのためには工業用水道を早急に普及しなければならない、こういうことを申し上げようといたしておるのでありますが、防潮堤の話が出ましたので大蔵大臣建設大臣お尋ねをいたしますが、今大阪湾岸の防潮堤の問題について通産大臣から、急速にこれは進めなければならぬというお話もございまして、非常にわが意を得たりというところでございますが、昭和二十六年から先ほど申しまするように六メートル五十ないしは四メートル五十に防潮堤を作っていただいたのですが、残念ながらこの十年間に一メートル以上の沈下をいたしました。そこでこれを二十六年の計画の当時のようにいたしますことは原形の復旧だと私は思いますが、今度たくさんの法律が出ておりますが、原形復旧か改良復旧かというような言葉が至るところにございますので、原形復旧ということについてお尋ねをするのですが、高潮対策としての防潮堤でございますから、二十六年に計画をいたしましたときの状態にするということが原形復旧だと私は思うのでございますが、政府のお考え一つ承りたいと思います。
  23. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 地盤沈下一つ災害でございますから、私も同じように考えております。
  24. 椿繁夫

    椿繁夫君 大蔵大臣にお答えを願います。
  25. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 私はそれが原形復旧かどうかよくわかりませんが、問題は今回あの程度防潮堤を作っておいたためにある程度被害を免れたが、しかしあれでもなお潮が越しておるのでございますから、もうちょっと高潮が来た場合には、今回より大きい災害をこうむったであろうということは今回の災害ではっきりいたしましたので、したがって、地盤沈下に伴うもう一歩のかさ上げというものが大阪防潮堤では必要だということが現在はっきりしておりますので、それではこの防災措置として、今後この災害の結果から見て、大阪防潮堤をどういうふうに急速に必要なかさ上げをし、必要な速度でこの事業を繰り上げるか、繰り上げ工事をするかということが現実に今大阪では問題になっておりますので、私どもとしましてもこの問題を政府部内でやっておりまして、当面本年度においても少し工事を急ごう、こういう方向で今話をきめておるところでございます。ですから原形復旧といっても意味がなくて、ここまであったら安全だということをやはり計画して、今後それを何年間にどういうふうにやるかということをきめることが、私は急務じゃないかと思っでおります。
  26. 椿繁夫

    椿繁夫君 大蔵大臣から御答弁をいただいたのですが、大阪防潮堤をとにかく早く、しかも完全なものを作らせるようにして、政府としてもせっかく今相談中ということでございますが、これはちょうど三十四年度の伊勢湾台風の際に、この名古屋のほうに、られたような意味特別措置を考究中というふうに理解してよろしゅうございますか。
  27. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) そうではございませんで、すでにできておった防潮堤が全部災害によって破壊されたというようなときには、災害対策でとられる特例法によって処置するというのでありますが、大阪の場合はこれはこわされてしまった損害復旧とかということではございませんで、今度の経験から見て、もう一歩の対策が必要だという問題でございますから、これは災害立法とは別に防災措置としてどういう措置をとるかということで対処すべきものだろうと思います。そういう意味におきまして今、大阪防潮堤を至急繰り上げ工事をするとか、その場合国としては起債をどう見てやるかとか、補助をどう見てやるかとかというような、災害とは別の問題としてこれを取り上げて今研究中であるところでございます。
  28. 椿繁夫

    椿繁夫君 地盤沈下災害であるから、私も同様に考えておるという建設大臣の御答弁のあとで、大蔵大臣から災害とは別だと、こういう御答弁をいただいたのですが、私も災害というのは、台風であろうと、高潮であろうと、地震であろうと、地盤沈下であろうと同じことだと私は思う。ただ短い時間にどっとこう来る災害と、地盤沈下のほうは長い時間かかって、そうして現にこれは一メートル以上も沈下いたしておるのでありますから、時間が短いか、長いかというだけのことでありますから、地盤沈下建設大臣の申されますように、私は災害としてお考えいただかなければならないように思いますので、重ねて大蔵大臣からお答えを願います。
  29. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 地盤沈下災害でございますが、地盤沈下に対する災害はどうするかというのはまた別問題でございます。  今回の災害にも御承知のとおり、災害立法をするのならひとり台風でなくていい、この際台風被害に便乗して、たとえば浅間山が爆発して、灰で野菜を傷つけておるからこれをここへ入れろ、桜島もそうだ、どこもそうだといって、日本じゅうほかの理由による災害が皆これに便乗してきていろいろ問題を起こして参りますが、これはこういう各種の災害に対する対処策というものはまた別個に研究されてもいいのですが、今回のものは集中豪雨室戸台風による災害に対する措置でございますので、これは、これと切り離して研究しようということになっておりますから、したがって、地盤沈下の問題も一つ災害でございますが、この災害にどうするか、この災害を起こさないような防災対策を今後どうするかという問題は一応切り離して考えなければ、これは措置としては、それこそおかしいことになりますので、私どもは、分けてこれは対処策は考えたいと思っております。
  30. 椿繁夫

    椿繁夫君 大蔵大臣のお話のように分けていただいてけっこうなんです。私も一緒にしてもらおうと思ってはおりませんし、すでに補正予算も可決いたしたわけでございますから、政府の御方針として、来たるべき通常国会にでも特別にお考えいただけますかということを、実はお伺いをしたのであります。
  31. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 通常国会においてはもちろん考えますが、私は今回の経験によって、大阪だけは特別に通常国会を待たなくて、今すぐ今年度の計画の繰り上げということを考えて、予算的な措置もできるだけのことをしたい、今年度中もそうしたいということを考えております。
  32. 椿繁夫

    椿繁夫君 今年度も考えていただく、さらに来年も考えていただく。そこで、先ほど建設大臣から御答弁のありました地下水保全管理という問題と、それによる地盤沈下を防止する方法を講ずるとともに、大阪湾岸及び河川に付属いたしますところの高潮対策としての防潮堤を、一つのものとして、政府としてお考えいただけますかということを、重ねてお尋ねをいたします。
  33. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今の、一つのものとしてという意味がいろいろとれると思いますが、私どもとしましては、いずれも防災的見地に立ってやって参りたい。ですから防災的見地という意味からいえば、一つのものということになると思いますが、問題はやはり細分しますと別々でございますから、見方によっては別の問題とも言えるかもしれませんが、とにかく考え方としましては、防災的見地に立って総合的に進めて参りたいと考えております。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちょっと関連して。先ほど椿委員質問に対する大蔵大臣答弁について私は十分理解できなかったので、ちょっと御質問をしたい。  今度の大阪被害高潮による被害、これが非常に多かったわけだ。そこで大蔵大臣はその対策考える場合に、災害対策として考えない、一般の防災対策として考える、こういうお話であります。これは私はちょっと理解しにくいと思います。あの第二室戸台風高潮によって大阪は甚大な被害を受けているわけなんです。したがって、当然これは災害対策として防潮堤の問題を考える必要がある。防潮堤が低かったためにああいう大きな災害を受けた。したがって、これは災害対策として、早急に、私は少なくともこの国会政府はやるべきだったと思う。少なくとも伊勢湾台風と同様な考えに立って、この対策を樹立すべきである、こういうふうに考えておるわけです。それを政府はしないで、今日において先ほどの質問に対して、防災としてやる、こういうことです。これは現実に起こった災害を回避しようという考えがあるのじゃないか、こういうふうに私は受け取れるわけです。私はもっと積極的にいって、伊勢湾台風と同様ないわゆる特別立法をして、そうして早急にその対策を樹立するということが本筋であると思うのです。それを災害対策として考えない、現実にああいう大きな災害防潮堤が低いために起こっておるということを無視するというふうな考え方は理解しがたい、この点を重ねて質問したいと思います。
  35. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 防潮堤が低いために災害が起こっているとすれば、その災害に対する対策はこれは別でございます。問題は今大阪においてこの防潮堤をどうするかということが今後の対策として一番大きい問題になっておりますので、この防潮堤が今次災害を受けて全部こわされてしまったというようなことでしたら、これを一挙に復旧するということはなかなか財政的にもむずかしい問題でございますから、それは伊勢湾のときにとったような処置をとるべきかもしれませんが、問題はこの防潮堤がこわされたのじゃなくて、今度の経験から見ると、あれがあそこまでできておったために、非常に災害もあったが、あれがなかったらたいへんだったという結果が出ておりますので、それから見ますと大阪にはこのごろしばしばこういう事例があるから、ここで防潮堤のかさ上げとか、必要な工事もするし、この速度を今までよりはもっと早めて急速にやらないといけないという問題が今出てきたのでございますから、それに対する対処策を至急大阪については政府としても考えたいというのでありまして、こわされてしまって、これをあしたからすぐに元に戻すということでは大工事で、これは伊勢湾のような措置をとられるでしょうが、今回のような大阪防潮堤の問題はそれとは別でございまして、別の対策をわれわれは立てたいということであります。
  36. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、そういう災害対策として見ないという考え方には承服しがたい。これはいつまで議論しても——後日議論する機会があると思いますので保留しておいてもよろしいが、もっと突込んで話をすれば、防潮堤のかさ上げと言っても、これは大蔵大臣御承知のように、莫大な予算が要るわけです。伊勢湾の場合には実質的に言えばこれは膨大な費用である。しかし国が八割まで補助をして、その結果あれが着々と進行している。大阪の場合にも災害対策としてやれば、伊勢湾と同様な考えに立ってやれば、これはかさ上げについても莫大な予算が要るけれども、これは国が相当大きな援助をすることになる。それをやらないということは、これは国の負担を軽減する、そういう立場からのみ大蔵大臣考えているのじゃないか、というように私は思うのです。だからこの際、実質的に工事が進捗するように、そういう特別立法を作らなくても、実質において伊勢湾と同じように国が大きな負担をするのだ、こういうことであれば先ほど大蔵大臣が言ったように、工事を進捗させるということもできますが、でないと、国の補助は非常に少ない。そうして工事を進捗させると言っても、実際できないと思いますが、そういう点をもう少し具体的に話をしてもらわないと——私は形式にこだわるのじゃない、実際に防潮堤のかさ上げがどしどし進捗して、そうしてもう心配ないという程度に進捗することを希望しているわけでございます。それで工事を進捗させると言うが、実際問題としてどれだけ国は力を入れて補助をしていくのか、こういう点をはっきりさせないと、われわれは実際問題として理解しがたいということであります。
  37. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まだこの工事の具体的な問題については、各省間の完全な事務的な計画ができておりませんから、はっきりとは申し上げられませんが、大阪側の要望するところは今年度九億円ぐらいの事業量をここで促進したいということでございますが、大阪災害がございましたし、大阪の財政も私ども考えまして、その九億円の工事促進を今年度中やるとしますれば、大阪の負担する負担は、その起債と政府補助、両方いろいろ考えて、この半分以下の負担で大阪は今年度中の特別の分だけやれるような措置考えたいという方向で今相談中でございます。
  38. 椿繁夫

    椿繁夫君 荒木委員からも言われましたように、大阪災害は、ちょうど御存じのように満潮時から台風の来ましたのが二時間あまりずれておりましたために、あの程度被害で済んだと思います。今後、満潮時と台風の来るのと一致することも考えて、高潮対策というものをお考えいただかなければならぬのであります。ことに、今度は予報が非常に正確で、第二室戸の場合予報が非常に正確でありましたために、九月十四日から防潮堤を破損いたしますような原因となる木材の整理、あるいは小型船舶の避難、大型船舶の港外への分散などを十五日中に完了いたしまして、そしてこの十六日の台風となったために、防潮堤などの破損もなくて済ますことができたのであります。で、大蔵大臣は、こわれていないのだからとこう言われますけれども、こわれておれば高率の補助、こわれていないからそれ以下であってもいいじゃないかというふうにとれる御答弁なんで、はなはだこれは不満足でありますが、高潮と満潮と台風の来襲とが同時であった場合のことを考えますと、よほど充実した防潮堤にしなければならぬというふうに私ども考えておるわけであります。それについて、一体政府伊勢湾台風並みの補助大阪にはできぬのだというふうにとれるような御答弁なので、はなはだ不満足なんですが、もう一度重ねて大蔵大臣からお答えをいただきたいのです。
  39. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) うしろに都市住民というものをたくさん控えておるというような都市については、これはもう防災対策としてそういう一連の高潮対策などはすべきものでございます。したがって、政府では、特に東京大阪という大都市を対象にしまして、この二つの都市に特別の防潮計画を立てて、事業計画を立てて、これを早めようじゃないかということになりまして、それぞれ国の補助もきめるし、この五カ年間にやる計画もきめてもう出発しております。ですから、この計画をどんどん進めることが当面必要でございますので、東京もその計画どおりにやっておりますし、大阪も計画どおりにやっております。ですから、大阪大阪として今の計画をどんどん進めるのだ、計画をまたあらためて繰り上げたいというのでしたら、これはけっこうでございますので、運輸省、建設省も、じゃどういう計画でこれを繰りしげるかという検討の中へ、今入っているということでございます。ですから、私どもも繰り上げをやるということはけっこうで、その計画に基づいて大阪東京そのほかの都市もこういう繰り上げ計画をやるかもしれませんが、その場合に国がどれだけ見るかということは、これは各県ともみな財政力というものは違うものでございますので、これは均衡をとって、東京大阪は国としてこの程度のめんどうを見てやるから、独自にどんどんその工事をやりなさいということになりましょうし、地方において財政力のない県は、もう少し国が見てやらなければいかぬという問題も出てきましょうし、これは均衡をとったやはり全国計画でいくべきものだろうと思います。  そういう意味からすでに東京大阪はこういうふうに出発するんだということがもうきまって、計画が立って目下実施三年目に入っておるのですから、これはこの計画をどんどん促進すればいいということになろうと思います。だから、それでいいようなものですが、今回大阪もいろいろな出資をして、事前にずいぶん災害を防ぐ金をかけておるのでありますから、大阪については今度は特別の起債充当率というものを政府考えよう、そうすれば当面の地元負担というものは割合に軽く済みますので、どの程度の特別な起債措置を見てやったらいいか、補助率はどうしようかというところまで今入っている次第でございまして、これはもう私も国の仕事として見てやるべきでございまするが、まず、これだけの住民を持っている都市としましたら、地方行政としても、この計画を自分のものとしてどう早めるかというものをこれは考えるべきでございまして、国がみんな見てくれなければわれわれのほうはやれないというような性質のものではこれはございませんので、両方がどれだけの負担でこれを急ごうかという、要するにこの問題が解決すればいい問題だと私は思っております。
  40. 椿繁夫

    椿繁夫君 だいぶ理解ある態度を示していただいておりますが、あの高潮対策防潮堤の工事につきましては、国の補助はたしか三割だったですね、いただいておりますのが。で、ただいま大阪の府知事なり政府のほうでいろいろ御相談をいただいておるのは、補助率もそれ以上に考える、また起債のワクについても、従来計画しておったものをずっと年度を繰り上げて工事施行ができるように配慮をする、こういうことが大臣の御答弁でうかがえるのですけれども、その額を今ここで明らかにする時期にない、こういうわけでございましょうか。
  41. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今のところは大体事業量は、大阪要望によって今年度繰り上げ施行する分は九億円というのが要望でございますので、私どもは御要望のとおりの工事ができるような措置をとりたい、このことは大体きまっております。で、補助率は今おっしゃられるとおり従来から三割でございます。この補助率はそのまま変えませんが、この起債の充当率はここで大幅に考えようということで、大体今までよりも二割充当率を上げる程度のことを考えております。
  42. 椿繁夫

    椿繁夫君 先ほどは補助率を上げることなどについても話し中だということでございましたが、重ねてお尋ねをいたしましたら、補助率は動かさぬけれども、起債の充当率、起債のワクを広げることに実は協力しようというふうに今伺ったのですが、そういう無慈悲な態度ですか。
  43. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今年度の分について、とりあえずそういう措置をとっておいて、今後はこれは大阪の問題は当然考えますが、一緒に関連して同じような計画を立てているところもほかにございますので、こういうものは統一していろいろ考えなければならり問題でございますので、今後の問題は別個の問題として考えましょうという今態度でございます。
  44. 椿繁夫

    椿繁夫君 別個の問題といわれますが、私どもこの大阪高潮対策災害対策の一環として政府にお考えを願いたい。その意思がございますかということでいろいろお尋ねをいたしておるわけでありますから、災害のなかった以前に立てられた計画の年度の繰り上げ、実施計画の繰り上げというようなことだけで政府でお考えだということであれば、これは私どもまた別の方法考えて参らなければならぬのでありますが、さしあたり本年度は、この九億の要望もあったから、それを満たすことにした。で、来年のことは、これは一つ今話し中だから、この額のことは言えないが、従来の補助率よりも引き上げていこう、起債についても何とか考えてやろう、こういうふうに大臣は言われておって、何かそこにお立ちになると話がぼけるのですが、ことしはまあとにかく九億でしんぼうせい、来年のことは補助率についても、また起債のワクについても考えておる、今その額は明らかにする時期ではない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  45. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体そうでございます。ことしはそれでことしの問題として対処しますが、来年からは、今五年でやるという計画を持っているのを、これを三年でやろうというようなことになりますれば、その方針で建設省、運輸省みんな一緒にこれをどういうふうにやるかということを検討しなければなりませんし、そういうものがきまった場合には、同時に、従来と違った起債のやり方をするか、補助をどういうふうに考えてやるかというようなものも伴って当然出てくると思いますので、こういうものは一括来年度の以降の問題は別に相談してきめようということで、とりあえず本年度大阪だけは、これだけ繰り上げが必要だと要望されているものをできるようにする措置だけとりたい、こういうことでございます。
  46. 椿繁夫

    椿繁夫君 建設大臣に先ほどの地盤沈下対策の問題でお尋ねをいたしますが、既存の施設についての地下水のくみ上げを法律によって規制することは、何かこう私権の侵害とか、他の法律に触れるようななにもあるので、いろいろ考えておるというお話がございましたが、どういう法律にかかるのでございましょうか。
  47. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 別段法律に抵触するという具体的なことはございませんが、土地の所有権というものは一体どこまで及ぶのかというような議論も理論上あり得るかと思います。しかしそれと、この地下でつながって一体をなしておる地下水とは別であるという、実は私たち考え方を持っております。まあしかし、そういう点が一つの論点になるのじゃないかということが予想されまするのと、なお、ほかにすでにそういう既成の事実を持っておる、また、それを使用することによってビル冷房をするというような、地下水使用することを前提とした冷房施設をすでにしておる。こういうものを変えさせないと、この規制ができません。この既成の事実をどういうふうにして停止をさせ改善をさせ、地下水を使わないように改造させるかというようなことにつきましては、法制上いろいろ専門に検討しておる者から見ますと、さばくのにむずかしい点があるようでございます。しかしながら、これはさばき切って、何とか次の通常国会に早く間に合うように立法措置をいたしたいというのが現段階でございます。
  48. 椿繁夫

    椿繁夫君 通産大臣おいでになりませんので、ただいまの建設大臣のお考えだと私は満足いたしますけれども、通産省のどなたかおられますか、工業用水関係……。
  49. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 今おりませんが。
  50. 椿繁夫

    椿繁夫君 建設大臣法律上の問題で、地上権を持っておる者の権利が地下水にまで支配権が及ぶというような議論が、この五月にも通産省にございました。私もちょっと調べてみたのですが、その心配は幾多の判例によってない。だから、地下水は公有物であるという考えの上に立っていろいろ規制法律をお考えいただいて私はけっこうだと思うのです。これは理屈がましくなりますから、判例など読み上げませんけれども、私の調査ではそういうふうに相なっております。そこで、今お話になりましたように、地下水規制を行なう法律を次の通常国会には出すと理解してよろしゅうございますか。
  51. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) いろいろ関連をします問題のあること、問題点を想定いたしまして目下検討いたしておりますが、これらの関連した問題点をさばき切って、さばき抜いて次の通常国会には、ぜひ、その関係法律を提案をする運びにいたしたいと思っております。
  52. 椿繁夫

    椿繁夫君 その際は、建設省所管の建物が井戸を掘ってくみ上げる地下水規制だけではなく、工業用水として過度のくみ上げをやっておりますものも、同様に規制をするつもりでございますか。
  53. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これについても、もちろん今後研究をして対処していく必要がある三思います。ただ、工業用水につきましては、先ほどもお話が出ましたように、かわるべき水の補給方法というものをどうしても考えてやらなければなりませんので、これをどう解決をするかという問題と関連をして、そのにらみ合いにおいて解決の道を講ずる必要があるというように私ども考えております。さような角度で、できるだけ急速にそういう措置も実現されるようにいたしたいと、こういうのが目下の考えでございます。
  54. 椿繁夫

    椿繁夫君 用途が別であるからというので、建設省所管の地下水規制工業用水のほうはまた別の役所が所管しておるから工業用水法工業用水事業法という法で規制をしていくということでなく、大きな災害原因となっておる地下水に対しては私は政府のお考えがやはり一本になって、地下水というものをどうして保全し、それをすることによって国土を守っていくかということに通ずるのでございますから、建設省としてはその建物の井戸を規制する、通産省のほうは工業用水規制をするというのではなくて、水資源開発の二法案が出ていますが、地上を流れておる水は一石といえども使う場合でも捨てる場合でも大臣なり知事の認可が要ることになっておりますのに、同じように流れておる地下水保全管理ということについては、一つ考えがないということは私ははなはだ遺憾に思うのです。ですから工業用水であろうと建物用水であろうと、これはやはり一本にして規制する措置考えると同時に、工業用水道というものを考える。また何とかタワー、クーリング・タワーですか、これへの施設の転換を助成するような措置を同時に考えていくというようになってこそ、初めて私は地盤沈下対策として全きを期することができるというふうに考えますので、建設省だけの考えじゃなくて、政府が水のことについて非常に熱心にお考えいただいておるのですから、地下水についても同様の私は考えを持っていただくことを望むのですが、重ねて建設大臣答弁を求めます。
  55. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 現在の制度としては今御指摘のございましたように、用途によりまして役所の所管が違っておるのでございます。しかし、これは内閣一体、全体の建前に基づきまして、われわれといたしましてはできるだけ横の連絡を十分にとりまして、遺憾のないような運営を現段階ではしていく必要がある、こう思っております。ただ御指摘のように河川の水が公水であるからということで一貫した河川管理をいたしておるというのと比較をして考えますと、地下水もやはり地下においては相当広域にわたりまして一本の水系をなしておりますので、これも公水であるという建前をとれば、また別の角度から立法上、制度上、理論上の問題点があると思います。こういう点は確かに地下水の取り扱い上から見て今後の研究課題であると思いますので、私どももそういうような点についても今後検討を進めて参りたいと思っております。
  56. 椿繁夫

    椿繁夫君 本年の春、国連の理事会において地下水は公有物である、公水であるという考えに基づいて、加盟の各国に対してそのような勧告をするということが外電で報ぜられたことがございますが、国連でさえそういう考えを持っておるなということで私も意を強うしたのでありますが、その後の国連の動き等について、地下水は公有物である、そういう考えに基づいて立法をお考えになる御意思はございますか。
  57. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) そういう点を含めまして今後研究をいたしたいと思っております。
  58. 椿繁夫

    椿繁夫君 研究をされて来通常国会に御提案になる用意がございますか。
  59. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) その点は他の省とも関係がございますので、明確にいたしかねるわけでございますが、重要な課題として検討を進めて参りたいと考えております。
  60. 椿繁夫

    椿繁夫君 他の省との関係で来国会に出せるかどうかということは明らかでないが、建設省所管の法律については、地下水規制について立法の用意をしておる、また提案する、こういうわけなんでございますか。それなら私は、政府がこの地上の河川水を公水として扱っておられるように、地下水を同様に私はお考えになって、そして役所が違うからということではなくて、ひとつ十分お話し合いをいただいて、通常国会にぜひ提案されるように望みますが、重ねてひとつ大臣の御答弁を求めます。
  61. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) さて、その点は来通常国会に間に合うかどうかわかりませんが、私どもとしては、御指摘のように地下水の性質から見て公有物として、その前提に立って今後いろいろな施策を進める必要のあることを感じておりますので、そういうものとして目下のところはできるだけ研究検討を熱心に進めていくということで御了察をいただきたいと思います。
  62. 椿繁夫

    椿繁夫君 いずれ——次の審議日程がきまっておるようでありますから次回に譲りますが、淀川、大和川の堤防が非常に今度のあれで荒れておることについては、御視察をいただいてよく御存じのはずでありますが、ただいま取りあえずの復旧を急いでおるようでありますが、淀川の堤防だけは心配するな、大阪安心せい、こういうふうに建設大臣。いつになったら言うていただけますか。
  63. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今、目下のところ応急復旧を急いでやっておりますが、これは堤防の侵食をされました分につきましては単なる復旧でなく、十分改良復旧を行ないまして、心配のないようにいたしたいと思っております。
  64. 椿繁夫

    椿繁夫君 予算はどのくらいで、予想される淀川の水位に対してどのくらいの年で安心せいということが言えますか。
  65. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 専門的な部分にわたりますので、むしろ政府委員からお答えをさせるようにいたしたいと思います。
  66. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 大阪地区の高潮対策事業につきましては、大阪市内につきましては、先ほどいろいろここでお話がございましたように、緊急計画を作りまして促進をして参りたい。しかし、それと同じ区域に関係のあります淀川と大和川の堤防、これもあわせて緊急計画を作ってやりませんと、ほんとうの効果が出てこない。従って大阪地区高潮対策として直轄の淀川、大和川、それから大阪市内の防潮堤の工事を、これを全部あわせて現在緊急計画というものを進めつつある段階でございます。従って、金額はまだはっきりいたしませんが、大阪市内同様に直轄の分もあわせて仕事をやって参りたい、こういうふうに考えております。
  67. 椿繁夫

    椿繁夫君 いや、それはわかっておる、今局長からお答えをいただいたようなことは。高潮対策防潮堤のかさ上げと同様にやらなければならぬということはわかっておるのですが、一体、大和川と淀川の予想される水位で、堺とか大阪という両岸一帯は今度相当荒されておりますが、応急復旧だけじゃなくて改良工事をやると大臣は言われましたが、それを期待するわけですが、一体来年度の予算にはどのくらい要求するつもりで、何年たてば予想される水位に対して改良復旧ができると、安心せいというふうになりますかということを伺いたいのであります。
  68. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 数字につきましてはただいま計画立案中でございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、現在検討いたしました段階では淀川、大和川につきまして約三十五億の計画を実施すれば安心できる、こういうふうに考えております。これは約でございますので、まだ変更はあると思いますが、それを何年でやるかという問題につきましては、先ほどの大阪市内の緊急計画というものをやる年次と合わせまして仕事を並行的に進めて参りたい、こういうふうに考えております。
  69. 椿繁夫

    椿繁夫君 私は本日はこの程度で終わりますが、重ねて建設大臣要望をいたしますが、地下水規制立法について建設省としては非常に熱心に準備をしておるようですけれども、私は、工業用水法があるから今度は建物のほうの関係だけを考えればいいというお考えではなくて、その地下水は公水である、公有物という考え方の上に立って早急にひとつ制度立法化されることを強く望んでおきます。     —————————————
  70. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 次に松永委員
  71. 松永忠二

    松永忠二君 質問を始める前に、農林大臣に出席を求めていますが、ひとつ出ていただきたい。出てくるまで建設大臣質問をしておりますから。
  72. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 今農林大臣に通告しましたから。
  73. 松永忠二

    松永忠二君 建設大臣お尋ねをいたしますが、きょうの新聞を見ても、政府は治水十カ年計画の練り直しをやろう、今質問に出ている高潮対策については緊急三カ年計画でひとつ充実をしていこう、こういうことが出ておるわけであります。治水十カ年計画を練り直していくという段階において、特に私は治水十カ年計画は非常に総額においても不足しておるのではないか、そういうふうなことを考えておるわけです。これについては私がここで申し上げるまでもないわけでありますが、台風災害対策に関する総合監察結果報告書が行政管理庁の行政監察局から出ているわけでありますが、これはまあ治山と治水に関係をして出ておるわけでありますが、この文章の中には、「これらの未改修河川その他危険箇所と、これに対応ずる財政上の限界を考察する場合、水の危険を完全に排除することは、不可能に属する。」、こういうふうに書かれている。あるいは「上記計画によっても、なお文字通り、百年河清を待つの感がある。」、こういうふうに明確に指摘をしているわけです。そういうふうな意味かういうと、これは治山十カ年計画もそうでありますけれども、少なくも昭和二十八年の治山治水の基本対策要綱できめられている総額というふうなものがあるわけで、それをまあ今の価額に換算をしてみれば、今ある治水十カ年計画というものは非常に低いということは具体的にわかるわけです。しかも昭和二十八年に治山治水計画の要綱にあったものすらも、実は昭和三十五年の治水十カ年計画にはそれを満足に満たしてなかった。その後経済の成長というものもこういうふうになっているし、物価等の比率から考えてみても相当大幅な総額における増額というものが必要だというふうに私たち考えるわけです。一体政府のほうでは、建設大臣としては、治水十カ年計画を練り直す場合に、どのくらいな総額を持った十カ年計画に練り直していこうというような考えを持たれているのか、その点をまずお聞きしたいわけです。
  74. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) まだどのくらいの総額に改訂をすべきかというめどは、はっきりついておらないわけでございますが、いずれにいたしましても、三十五年に作りました総額九千二百億円の治水十カ年計画では、現在の防災的な見地で考えますと、十分でないということを痛感いたしております。そこで、実はそれならば改訂を早くした方がいいじゃないかということも考えられるわけでございますが、もうすでに来年度予算編成を前にして、今改訂を論じておりまするよりは、まだ十カ年計画のワク内の経費が相当ございますから、とりあえず三十七年度としましては、極力繰り上げ使用をいたしまして、その上で今御指摘のありましたような根本的な基礎調査をいたしまして、十分な改訂策を作り出していきたい。目下さように考えておりまして、すでに昭和三十七年度の予算概算要求もずっと前に時期が参りまして、することになりましたので、この予算概算要求をする前にも省議を開きまして、省内の意見もとりまとめた結果、今申し上げたような方向で、来年度は一つ治山治水事業につきましては、防災の建前から極力先行投資と申しますか、繰り上げ使用をしていくことにいたしたい、こういう方針をきめているようなわけでございます。長期計画を改訂することになりますと、建設省だけの考え方にも参りませんし、財政当局を初め各関係方面に連絡をとりまして時日を要さなければなりませんので、基礎的な検討をするだけでも相当期間を要しますので、目下のところさように実は考えておるような次第でございます。
  75. 松永忠二

    松永忠二君 新聞の記事等を見ると、ほとんど治水十カ年計画の中に含まれておる高潮対策だけをはずして、そして治水十カ年計画の練り直しというようなことが出されておるわけです。で、今総額はどのくらいになるだろうというようなことではなしに、そういうことではなくて、やはり高潮対策を別個にはずすと一緒に、治水計画そのものの総ワクをも増額をしていくという、そういうふうな考え方であるのか、なおそれについては少なくも昭和二十八年当時の治水計画を上回るというようなことについてはもちろんのことだというふうに考えておられるのか。そうして、一体治水十カ年計画はいつごろをめどにして作られるのか。そう長くおやりになっておるわけでもないけれども、また将来昭和三十八年をめどにするものを今から言って、それを言いわけにしてやっていくということは、まことにおかしな話だと思うのです。昭和三十八年から作るものについてということを言って、まあ一つの言いわけにしていくということもおかしなことなので、大体総ワクとしては昭和二十八年を上回るとか、あるいは別個にこういうふうな問題についてはもう少し充実をしていくような考え方を持って検討をしていくのだ、こういうふうな意見があってしかるべきだと思うわけであります。今年度の問題についてはまた後刻御質問したいと思うのでありますから、その基本的なことについて、どういう点が一体不備だから、こういうふうにとにかく基本的には直したいというふうに考えられているのか、その辺の構想を明確に話していただきたいと思うわけであります。
  76. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 高潮対策事業は今長期計画としてきめられております治山治水十カ年計画のワクの外として、緊急対策を早く立てまして、防潮堤事業の重要性にかんがみまして進めて参りたいということが一点。  それからその他の治山治水事業につきましても、もちろん来年度の予算増額の限度というものは国全体の財政規模の上からでございますけれども、われわれとしましては、砂防、河川等の事業が災害防止のための基本でございますので、そういう防災的な役割を果たして参りまするためには、従来の年度割りの予定よりもよほど繰り上げて事業を進めて参りたい。  二十八年との比較はどうか、上回るのかどうかというお話でございましたが、もちろん上回ることになると思っております。
  77. 松永忠二

    松永忠二君 昭和二十八年の治水事業費が一兆二千四百八十四億で、昭和三十四年にそれを換算すると一兆四千四十二億と、こう計算をされておる。事実上昭和三十五年に治水事業としてきめられておるワクというのは九千二百億なんですから、今あなたのおっしゃったようなことが、具体的に今換算をされた価額で昭和二十八年を上回るというようなことになれば、私は画期的な治水計画だと思うわけなんであります。そういうふうなことで一つこれを早急に樹立をする努力をされることを要望するわけです。その中で特に検討を要することについては、後ほどお伺いをするわけでありますが、明年のことについては、今きまっている治水十カ年計画の実施を大幅に繰り上げをして実施していきたいと、こういうふうにお考えのようであります。今までの十カ年計画の実施の進捗率は約一三%といわれているわけです。で、大蔵省はあとの進捗率は九・八%でいいのではないかということを言って、この点については、必ずしも意見が一致をしていないように私たちは聞いているわけです。建設省としては、一体この大幅な繰り上げということを考えておられるというお話ですけれども、具体的に治水十カ年計画の何パーセントの実施率になるように引き上げを考えておられるのか。ただ大幅々々とこうおつしゃっても、これははっきりいたさないわけです。したがって、今まで十カ年計画で実施していた一三%の比率と同様あるいはそれ以上の具体的なものを考えておるという、そういうことを大臣から面接お聞きしたいわけです。
  78. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいまの考え方に立っての数字の点につきましては、河川局長からお答えさせます。
  79. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 治水十カ年計画は御承知のように三十五年度からスタートいたしまして、三十六年度が終わりますと、大体三四%の進捗率に相なるわけでございます。現在の五カ年計画のワクを今後どういうスピードでやって参れば五カ年のワクが達成されるかといいますと、ただいまお話がございましたように約一割、毎年一割増でいけば五カ年のワクは達成できる。したがって治水五カ年計画は完遂できる、こういうようなことでございますが、一割くらいの増では昨今のような非常な大災害に対処することはできないということで先ほど大臣が言われましたように、来年度の事業は、十カ年計画のワク内におきましてできるだけ後年度の分も前年度に繰り上げてやりたい、こういうような意向でただいま予算の折衝をしている段階でございます。
  80. 松永忠二

    松永忠二君 そのお話はわかるわけですが、大体どういうふうなめどで繰り上げをしていくのか、具体的なことを。もうすでに予算の折衝の段階でもあるし、この点をやはり明確にしてもらいたいわけです。
  81. 山内一郎

    政府委員(山内一郎君) 繰り上げで大蔵省と折衝しておりますが、その額は達成できると思いまして、その後普通の順調な伸びで参りますと、十年の分のワクというものは、八年くらいでやってしまう、こういうことになるので、そういうことで来年度の分を要求しているわけでございます。大体事業としては、約一千億の治水費の予算を獲得したい、こういうことで現在大蔵省と折衝いたしております。
  82. 松永忠二

    松永忠二君 大臣お尋ねいたしますが、特にその治水十カ年計画の練り直し、あるいは明年度繰り上げの実施という場合において、重点的にその努力をしてもらわなければできない問題について私たちは砂防費の問題があるというふうに考えているわけです。これは昭和二十八年の基本対策要綱できめられた砂防の金額というものが、昭和三十五年の治水事業計画、今問題になっている治水事業計画のときにはなはだ低くきめられているわけです。追加事業というものがほかのものに多く認められて、砂防に多く認められなかった。そういう関係で、昭和二十八年に三千八百三十八億であったものが、三十五年度が千七百七十億に引き下がっているという状態にあるわけです。今度の砂防の非常に充実をしていなかったというようなことから出てくる天龍川の流域水系における被害というものは、ここに資料として出していただいたけれども、非常な被害を見せているわけです。したがって、この砂防については、特に十カ年計画を実施をする場合、繰り上げの場合に、重点的にこれを考えていくべきだと思う。ただ重点的に考えていくという御答弁でなしに、その点について、具体的なやはり一体砂防について現在の十カ年計画の中における砂防費をどういうふうに考えておられるか、また、特に来年度の繰り上げにあたっては、砂防費について具体的にどういうふうに一体しようとしているのか、大臣からひとつその点を明確に御答弁を願いたいと思うわけです。
  83. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 明年度としましては、御指摘のように、砂防及び中小河川整備に重点を置いて、できるだけ繰り上げ使用をして事業の推進をはかりたいと考えております。もちろん直轄河川等の大河川がまだ完全に整備されたとは申しかねるのでございますが、大体主要の地点については相当に整備されてきておりますので、近来災害の現状を見ましても、大河川災害が少なくて、むしろ中小河川あるいは砂防関係災害のほうが激甚をきわめておるというのが現状でございますから、重点としましては、砂防及び中小河川整備に力を注いで参りたいと思うわけでございます。昭和三十六年度の予算編成の際にも、私ども砂防の重要性を考えまして、極力努力をいたしましたわけで、他の治水事業費に比較しますと、砂防関係の伸び率は一番伸びておると思うのでありますが、しかし、基本が今御指摘のように、低いところからスタートしている、もっと高いレベルからスタートすべきではなかったか、この点は確かに私どもも同感の感じを持っておるわけでございます。したがいまして、来年度におきましてもそういう角度で予算編成に臨んで参りたいと思います。ただ比率及び金額等につきましては、必要に応じて事務当局からお答えさせるようにいたします。
  84. 松永忠二

    松永忠二君 委員長、農林大臣の出席をひとつ要求して下さい。
  85. 一松定吉

    委員長一松定吉君) ただいま要求しておりますから。
  86. 松永忠二

    松永忠二君 関係をしてこのときに聞いておかなければ。  再度お尋ねをいたしますが、基本が低くかったというようなことをおっしゃったわけです。したがって、三十五年の治水事業計画の中における砂防の基本の金額というものは少なかったということを大臣自身もお認めになっておられると思うのだが、その点はいかがですか。
  87. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 最近の災害の現状等から考えまして、私どもも全くそのように考えております。もっと砂防事業には力を入れるべきである。また地域的にも、天龍川水系のようにいわゆる中央構造線に該当するようなところは、非常にそういった災害が激甚をきわめる地域でございますので、なお事業実施の面におきましては、そういうような地勢の関係等も考慮いたしまして、最善を期して参りたいと思っておるようなわけでございます。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 砂防のことについて、少し農林省の関係のことを実は関連をして——というよりもむしろこの問題について建設省と農林省の考え方を一本にする必要があるのではないかというようなことを考えておるわけなんです。そういう点で出席を要求しておるわけなんですが、まだ見えないようでありますが、審議協力をするという意味で、ほかのほうへいって、来ましたらひとつまだ返りたいと思うのでありますが……。
  89. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 松永委員に申し上げますが、農林大臣、厚生大臣は間もなく見えますから、ほかのほうへひとつ進んで下さい。
  90. 松永忠二

    松永忠二君 建設大臣お尋ねをいたしますが、今度の天龍川の河系のダムと洪水の関係ということについてはいろいろ言われているわけであります。美和ダムの操作の誤まりを指摘をするものもあるし、あるいは泰阜ダムについては河床が上昇したというようなことが被害を大きくさせた原因であるし、特にそうなったことについては、砂防の不十分を指摘をするということもあるわけです。あるいは佐久間ダムと秋葉ダムについても、この操作について相当な大きな問題があって、これに関連した被害も出てきているわけなんです。で、ダムによって河床が上昇する、あるいは河状が変化をする、あるいはダム操作の問題というようなこと、河川の工作物の河川に対する影響というようなことについて、やはり統一的な一つの見解を持っていることが必要だと思う。私もいろいろなものを見ても、これについてあまり具体的に今まで被害を統計的に調査をしたものもなければ、あるいは建設省が持っておる建築研究所とかあるいは土木研究所、あるいは地理調査所がこれを研究していたという事実も私たちは寡聞にして承知していないわけであります。そういうふうなことから考えてみて、今お話が出てきている水資源の問題等からみ合わせて、この際河川工作物の河川に対する影響、特にダムの問題については、この際ひとつ徹底して結論を出して善処をする必要があるのではないか。そのために河川法を改正するとか、あるいは堰堤操作規則を改正するとかいうような問題が明らかに出てくるというふうに私たちは思うわけです。これについて大臣は一体どういうふうな形でこの問題を防災という見地から結論づけようとしておるのか。ただばく然とそういうことを考えるということではなくて、ある程度時期をも、めどをもつけながらひとつこの問題について、どういうふうに基本的に大臣考えておられるのか、その点をはっきりさしていただきたいと思います。
  91. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実はダムの操作につきましては、いろいろ世間にも意見がございますので、私ども先般の災害現地の視察その他を通じまして、すみやかにダムの操作規定についても研究をする必要があるということを痛感をいたしましたので、目下建設省、通産省、経済企画庁等の関係機関、特にそのほうの専門的知識を持った者に一つ委員会を構成してもらって、ダムの操作規定の再検討を開始をしておるようなわけでございます。  なお、そのほかに考えられますことは、昔の古い発電専用ダムは三十年くらいを経過しておるのでありますが、そのころの発電の必要性から起きた発電専用ダムというようなものが、今日は時勢が非常に変わってきまして、そういうような利水専用というよりは、むしろ多目的な洪水調節、その他工業用水関係やら農業用水関係やら、あるいは発電の関係やら非常に多くの目的を持ったダムを建設するという方向に時勢が変わってきておるわけでございます。したがって、ダムの問題について、私は総合的な研究をする必要があるのではないだろうか。これはひとり建設省だけで研究をしましても、他の省に、利水三省とよくいいますが、利水三省には重要な利害関係のある問題でありますから、もっと高いレベルの調査会か審議会のようなものを設けて、そこに専門委員等を作りまして、根本的に調査研究をして、現在の時勢に適するような態勢を整えたらどうかということを実は内々考えておるようなわけでございます。さような角度に立ちまして、官房長官等ともどういう仕組みでやったらいいかということを内相談をしておるというのが現状の段階でございます。何とか私としては、話が建設省だけでございますと、ほかのほうとの関連が解決できませんから、他の関係省の方々にも御参加を願ったような、このレベルの高い何かの機関をほしいということを今日考えておるわけでございまして、熟するのを待って実現の運びにいたしたいものであると思っておるような次第でございます。
  92. 松永忠二

    松永忠二君 二つに分けて考えられておられるようでありますが、ダム操作の問題について特に緊急に、いわゆる関係者で慎重な結論を出したい、同時にその水、特に河川の水の利用というような問題をからめて、もう少し高い審議会のものを持ちたい、こういうお話だと思うわけです。けっこうなことであるけれども、具体的に一体ダム操作の問題についてはいつごろまでに結論を出されるおつもりなのか、あるいは審議会については、その構想を一体通常国会までにまとめられるのか。ただあなたが非常に御熱心にお考えになって、事実私は、具体的に建設大臣がいろいろ法律についても立法されておることについては私たちも承知をしておる。むしろ非常によく言われることは実際に御実行になると私たち考えているわけなんです。今度のいろいろな法律についても、私はやはりそういう感じを実は受けているわけなんです。したがって、今あなたのおっしゃったことについては、お考えのとおり私たちも賛成だ。ただ問題は、言っておるだけではどうにもならないので、その二つに分けた、とにかく一応関係する省でいわゆる技術的なものを集めてのダム操作の問題の結論、それと別個に離した高い段階における審議会というようなものについて、一体通常国会なら通常国会という一つのめどをもって検討されて実現をしていくという決意を持っておるのかどうか、その点を最後にお聞きしたいわけです。
  93. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実はダムの操作規定の再検討につきましては、さようなことを考えまして、関係当局に命じまして進めておるわけでございますが、御承知のとおり、国会が開会の準備に入り、開会され、国会が開かれておりますと、各省とも関係官が予定がつきませんので、今聞きますと、国会が終わりましたら至急にまた会合をして検討を進めて参りたいということでございまして、あいにくこの国会の都合もございまして、目下のところ休まざるを得ないというのが現状のようでございます。しかしながら、臨時国会が終わりましたら至急に関係当局の専門的な知識を持った関係官を督励いたしまして、できるだけすみやかに結論を得るようにいたしたいと考えております。  なお基本的な、先ほど申し上げた調査会、別の審議会か何かの形のものにつきましては、政府部内で相談をいたしまして、できるだけ私といたしましてはすみやかに成案を得るようにいたしたいと思っておりますので、これもいつまでと期限を今申し上げかねるのでございますが、私としましては念頭を離さずに努力をしていきたいと思っております。
  94. 松永忠二

    松永忠二君 なお、このダムが設置されたことによって上流の河床がどういうふうに変化するかというようなことについては、ある程度ダムそのものも調査をされている。ただそれを外部へ発表しないわけです。河床の上昇が明確になっていれば、どのくらいな雨量があれば、今までの被害があった所よりもいわゆる計画洪水位というのがどこになるのかということもはっきりしてくるし、あるいは買収線についても、あらためて買収をし直さなければできぬということもあるはずです。ダムの河床が上昇するということは明らかになっておりながら、河床が上昇したために前の買収線と変化しても買収はしていない。あるいはまたそれを明確に発表しないで、それによる被害の予想というものを計画することができないという現状だと思う。こういうことについては、やはり特に発電関係の会社に責任もあるし、あるいは多目的ダムについては、国がやはり責任を負うという点もあるわけです。それからまたダムの放水による護岸というようなものについても、これはたとえば一万トン放水にたえるということを明確に言っておいて、その後準用河川なり直轄河川で国が承知の上で工事をさせておいて、それが六千トン放水してもぶつ倒れてしまうという、こういうふうな無責任な護岸工事の責任というようなものもある。こういうことについては、単にダム操作の問題を検討するというようななまぬるい問題では私はないと思う。電源開発株式会社にやはりこういう護岸について責任を持たせ、政府はまたその護岸工事について責任をもって監督をする。と同時に、また今ダムの河床の上昇についてはこれを明確に発表をして、そうして買収線とか、あるいは計画洪水位というようなものを明確にしておくということが必要だと思う。これは今あなたのおっしゃったような、そういうなまぬるいことを言っていては片づかない問題だと思うのでありますが、この問題について、具体的に一体どういった対処をしていこうとしておるのですか、この点を一つお聞きしたいわけです。
  95. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘のように、欠点なり変化なりがわかりましても、まあ建設省だけとしてできますことは、それに対応するように堤防を強化するとか、かさ上げをするとか、あるいは場所によっては用地を買収しまして引き堤をするとかいうようなことでございますが、しかし関係方面は電源、電力関係の会社を初め、いろいろな方面にあるわけでございまして、そういった変化なりあるいは欠点なりを生じておりまするものを解決するのに、はたして河川関係だけの国費でよろしいかどうかといえば、私はそれは適当でないと、国費も投ずるのが当然でございますが、同時に電力会社その他にも経費の負担を願うべきが筋合いではないだろうか。そういった問題を解決して参りますのには、ひとり建設省だけの知識なり力なりでは、欠点に気がつきましても解決ができませんので、さような問題をさばいていく上からも、一つレベルの高いところに何かの機関を持ちたいというのが実は私の最近気づいておりまする点で、そういう角度に立ちまして、私としては政府部内の相談を進めていきたいと、こう思っておるわけで、まあ、気はついてもお前考え方がなまぬるいじゃないかとおっしゃられるかもしれませんが、関係する省も幾つかになりますので、なかなか思ったからすぐに実行できるというわけにも参りませんので、できるだけ早く、私としてはそういった方向に進めていきたいということを考えておるのが現状の段階でございます。
  96. 松永忠二

    松永忠二君 私の言うのは、そのあとです。そういうことではなくて、そのダムの河床が上昇したということについては記録的にもわかるわけです。もうすでに資料を持っているわけなんです。そのために、最初ダムを作ったときの買収線というのをもっと上がったところを買収しなきゃできないことになるわけです。またそれが、河床が上昇したために降雨量による洪水位というものも、大体危険な場所がはっきりしてくるわけです。だから、少なくもダム上床の変化についてはやはりそれを外側に発表する。同時に、買収線が変化したものについては買収をし直す。それからまた同時に、電発の責任においてやらなきゃできない護岸の工事については、明確に今後の工事について責任を負わせてやらせるという、そのことをやるのは、今言う専門的な省内に作るそのものを早く結論を出さなければ、そういうこともできないのではないか。それからまた、そういうことを必ず実現できるような方向に、ひとつ省内における結論を出していくというような点について、大臣意見を聞いているわけです。あとの基本的な問題についてのことを私は言っているのじゃない。そういうことは、緊急どうしてもすぐに解決をしなきゃできない問題だから、それはある意味では私は委員会を持たないでもすぐできることではないかと思うくらいの緊急な問題でもあるわけだから、その点はどうかと私は聞いているわけです。
  97. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 建設省としましては、各河川ごと、あるいはダムについて現状の調査をいたしております。ことに、ことしの洪水期を迎えるにあたりましても、危険個所の調査というものを私命じまして、その危険個所というものの応急の処置をするために、予備費からも経費を支出を願いまして、洪水期を迎える前の態勢整備というものを実は私はやったわけでございますが、ただそういう河床が上昇した状態とか、その他データを発表したらいいじゃないかということでございましたが、これはなるほど、一応の調査は常に怠らずやっておるつもりでございますが、建設者の見方だけでこれはデータを発表するということになりますと、よって影響を与える方面は非常に多いわけでございます。したがって、できればこれも私は一段高いレベルの機関を作りまして、そこに専門委員なら専門委員というものの制度を作って、これが総合的に調査をしたものが、あらゆる方面にかれこれの議論を言わせずに納得をさせる資料としてやっていく工夫をしたほうがいいんではないかということを私自身としては現在考えておるわけでございます。建設省だけの独自の見方で物事を公表いたしまするということが、人心に及ぼす影響その他関係するところが非常に影響が多いと思いますので、さような方法を考慮したらどうかというように考えておるわけでございます。
  98. 松永忠二

    松永忠二君 考え方はわかりました。そうなれば、ますますひとつ早くしていただかないと、そういうことを具体的に解決できないわけです。それだけの慎重な配意も必要な問題とは私たちも思いますので、それならばそれだけに、今言った審議会あるいは専門の討議の機関を明確にひとつ早くしてやっていただかなければできないと思うわけです。  そこで、関連で厚生大臣も出ておられますが、農林大臣にひとつお聞きしたいわけですが、政府建設省で治水十カ年計画の練り直しということを考えているわけです。で、農林省も御承知のように治山十カ年計画というものを持っているわけです。ところが治山十カ年計画というものそのものが、これまた昭和三十五年のものが非常に少ない。私はまあ治水についても申し上げたわけですが、昭和二十八年の治山事業費というものが二千四百八十五億である。それがかりに昭和三十四年の物価の価頻にこれを換算してみると、昭和三十四年では二千七百億程度の金額になる。ところが、昭和三十五年の治山計画というのは千三百億しか計上されていない。金額として考えていないわけです。したがって、たとえば荒廃山地の復旧というような問題についても、現にある荒廃地、新しくできる荒廃地を含めて十カ年計画を完全に実施をしても、七割しかこれが復旧できない。そういう計画が昭和三十五年の計画であるわけです。しかも、その中のまたその五カ年五カ年をとってみると、最初の五カ年がまた非常に率が悪いわけです。だから七割の中のまたその一部が五カ年で行なわれるというようなことになってきて、はなはだしくその治山計画というのは計画のワクが低過ぎる。経済も成長し、いろいろなことを考えてみて、やはりこの治水十カ年計画を練り直すならば、治山十カ年計画も当然練り直すべきであると私たち考えているわけであります。農林大臣は一体こういう点についてどういうふうな考え方を持たれておられるのか、その点まずお聞きしたいわけであります。
  99. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 私も従来山に対する行政が、農林省として多少おくれていると申しますか、金のかけ方が少ない、もう少し山全体に対して、植林の面におきましても、林道の面におきましても、ただいまの砂防の面におきましても、国土保全という意味からもう少し徹底的に金をかける必要があるということを痛感いたしております。御指摘のとおり、今の十カ年計画につきましては、物価の点ももちろんございますし、計画そのものにつきましても練り直して、もうちっと思い切ってやっていきたいと考えております。
  100. 松永忠二

    松永忠二君 で、今建設省の方では、十カ年計画を昭和三十八年からの十カ年計画に練り直しをする。しかしそれを待ってはいられないから、そこで今ある治水十カ年計画の繰り上げ実施ということでやっていきたいということで、具体的に大体十カ年を八年にしていくような割合でひとつ繰り上げを実現していきたいという、まことに明確なものができているわけであります。ところが治山十カ年計画については、私たちはまだそのことを聞いていないわけであります。特に私が申し上げた荒廃林地などは、五カ年で三割しかできないわけであります。つまり今ある荒廃地、これからできる荒廃地を対象にしてその七割しか十カ年でできない。しかもその五カ年では三割しかできないというこんな計画を今やっているわけです。その計画の繰り上げもまだ具体的に明確になっていないし、治山十カ年計画のいわゆる練り直しも何年からやるということを考えておられなくては、あまりにただ言うだけであって、実際に私は信用はできない。あなたの所管されているこの治山十カ年計画は何年から一体練り直しをもとにしてやるのか、繰り上げについては具体的にどういうようなことを考えておられるのか、そこをひとつはっきり大臣からお聞かせ願いたい。
  101. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 実際問題としましては、建設省の計画と歩調を合わせて実施はいたしておるそうでございます。ただ私まだ就任いたしてから日も浅うございますし、明年度予算編成等につきまして、今お答えしましたような意味で実は林政をやっていきたい、こう考えておるわけでございますが、具体的には昭和三十八年から十カ年計画をどうするというところまではまだ詰めておりません。と申しますのは、御承知のとおり山のことは建設省で所管しておりますものと違いまして、国で一切見ていくというようなふうにいたさなければ事業を進められないじゃないか、そういう関係からいたしまして、従来とかく山を植林する、切る、そしてその利益がどうなるというような利用の。面から山を考えておる観念が強うございましたので、それを今御指摘のありましたように、国土保全を基盤にした農林省における林政ということに練り直すことを私は実は前々から主張いたしておるのでございますけれども、なかなかそうまだいっておりません。今度農林大臣になりましたから、ぜひその点は実現いたしたいと思います。せっかく事務当局に命じてその方向研究さしておるというのが現在の段階でございます。すみやかに御期待に沿うようにいたしたいと考えております。
  102. 松永忠二

    松永忠二君 実は農林省は、私はやはりそういう点が少し怠慢だと思うのです。今建設省は治水十カ年計画について、特に砂防とかそういう面についても事実上検討することが必要だということを考えて、そうしてもうすでにこの前も、毎年の、連年の災害で、しかもこのごろ言われていることは、もうこれは治水とか砂防ということよりもっとさかのぼって治山の方から持ってこなければだめじゃないかということも言われているわけです。それをいまだに大臣が明確にこの練り直しの案を持っておられないし、繰り上げについても、一体何割の繰り上げをするかということを明確に言われないという状態に置くということは私はおかしいと思う。そういう点について大臣が前々からもそういうふうに考えていたし、自分もせっかくそういう点については明確にしていきたいというお話でありますから、私はやはりその御答弁を信頼をするというほかにはないと思います。で、その点についてはひとつ、今お話によりますと、大体治水と同じように、治水が三十八年というのならば大体それと同じことには当然考えるべきであるし、繰り上げも措置をしていくことを明確にして、早い時期にそういう点を大臣の責任でひとつ明確にして、やはり一般の国民にもごれを明らかにしてもらたいと思うわけです。こういう点についてはどうですか。
  103. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 御指摘のとおり私全く同感でございますから、その方向ですみやかに善処するようにいたしたいと思います。
  104. 松永忠二

    松永忠二君 そこで今の問題でありますが、実はこの点は大臣が、建設大臣、農林大臣御承知だと思うわけでありますが、特に砂防という問題について、荒廃山地の復旧、防止というような面について、建設省と農林省との問の仕事の分担というものが非常に不明確である。特に農林省で行なっている荒廃山地復旧、防止というものが、いわゆる山腹工事というものを非常に軽視をして、そして堰堤工事というものが非常に側合において多くなってきておるということも指摘されているわけです。いっそこれは砂防という見地から山腹工事を含め、それから堰堤工事を含めて昔のように建設省に一本化しておく方が、いわゆる一つの水系における治水計画ができるのではないか。つまり上流の方の山腹工事から堰堤から河川の護岸ということで、同じ事業が不明確であっても、建設省の中であれば、これは河川局と新たに考えられる砂防局との間で折衝すれば、その事業が明確になってくる。そういうことが従来日本では古く行なわれていたものが途中から二つに分かれたために、その点非常に連絡も不十分であるし、農林者自身の工事も非常にそういう点について妥当を欠くのではないかということを実は言われておるわけなんです。私はここにそういう点についての少し数字も持っておるわけでありますが、たとえば荒廃山地の復旧について、ことしでありますが、ことし山腹工事に使ったのは五二%であります。堰堤工事に使ったのが四八%であります。それから昭和三十五年に山腹工事に使ったのが四八%、それに対して順堤工事に使ったのが五二%であります。もっと、一体農林省というものは山腹工事そのものに力を入れていくべきものであって、順堤工事のようなものについてはこれを建設省にまかせていくというような形、せっかくきまっている予算が山腹の荒廃に重点を置かれないで、堰堤を作ることに予算の半分以上を使っていくというこのやり方も検討を要するというふうに一般の人からも言われているし、私たちも現実の災害を受けたところを見ると、すばらしい堰堤をこしらえておるにかかわらず、そのすぐうしろのところの山腹がくずれてきちゃってどうにもならない。むしろこの堰堤に入れるよりも山腹の工事をやるべきであるのに、それをやらないで堰堤ばかりをやっておったという場所も実は相当出てきておるわけであります。  そこで、私は建設大臣、農林大臣にお聞きしたいのは、むしろそういうことをするよりも治水、治山という面からいって、一つ河川についてのし流から下流までの工事については、これを建設省にまかせるのがいいのではないか、そういう考えを持っておる。農林省はもっぱらこれを山腹工事だけをやるという形にしていくか、あるいは山腹工事も含めて建設省にまかせて、そして農林省としてはいわゆる保安林とか水源の涵養林というようなものについて重点的な施策をするということがよいのではないかということも考えられるわけなんです。こういう問題について一体両大臣はどう考えておられるのか。特に河野大臣には荒廃山地復旧という復旧工専について問題点があるということを御承知なのかどうか、特に順堤工事と山腹工事の割合というものについて問題があるということについてあなたはお聞きになっておられるのか、検討しようということについてどういうお考えを持っておられるのか、これを大臣からは特にその点もあわせてお聞きしたいわけなんです。
  105. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 行政をどこで線を引くかということは、だんだん時代の変化とともに変わってきてしかるべきものであって、それを一ぺんやったものはいつまでもそこに置くべきものだとは私は考えておりません。したがいまして、ただいま御指摘の砂防工事にいたしましても、農林省でやらなければならぬとも私は考えておりません。ただこの点につきましては、すでに私も検討いたしまして、一度は全部建設省にまかしたらどうだということを私は事務当局に示唆をいたしたこともあります。ありますが、これは御無礼になるかもしれませんが、私どもの知るところでは、かつて参議院に席を持っていらっしゃった砂防の大家、これはやはり山林砂防から出た方だと私は記憶します。この山林砂防は決して建設省から発足したわけじゃない。山林砂防というものは、やはり山林から出て、植林の必要上そこに砂防の必要を認め、それがどこまで伸びていくかということからきておる。建設省のほうは、下から上がってきて、山のほうは上からおりてきた、そのおりてくるときに、山のほうの必要性、植林の必要性から砂防というものが起こってきたのが私は経過だと思います。そういう基本的なものはどこまでいっても解消いたしません。農林省が植林しようと思っても、建設省がそこに砂防を入れてくれるかくれぬかということになりますと、やはり建設省は下のほうを固めております。その河川を上ってきて、そこに砂防を入れるということになりますので、連絡は緊密にいたしておりますけれども、その点でどうも植林に支障を来たすという問題があるそうでございます。こういう事務当局の主張は、一がいにこれを阻害するわけに参りませんので私も、もう一ぺん調整をしてみたらどうだ、何もいつも山林と砂防と両方が一緒になって、建設、農林両省が一緒になってやる必要はない、そこらに調整の必要があるし、調整ができぬことはないだろう、という考えは私も同感でございます。同感でございますが、何分そういう問題がありますので、この問題は、両省の事務の連絡の不調整からお互いになわ張りを張っておるということが現実だと思うのであります。したがって、これにつきましては、なおよく——私はもう一向差しつかえないと思っているのでございますけれども、何分今申し上げましたように、仕事の上において植林に支障を来たす。それがやはり山を固めてもらわなければ植林がしていかれない。その際に、建設省のほうでそこのところを——農林省で植林の必要のある所を建設省が砂防をしてくれるか、河原の固めもしてくれるかというと、なかなかそれが、やはり建設省なら建設省のほうの仕事の都合もあって、農林省との問にそこにどうも行き渡らぬ点ができてくるということは、詰めて参りますと、両事務当局の詰めがきかないところになってくるわけであります。しかし事実は、そうは申しましても、その程度のことを詰まらぬことはないだろうということになるので、なおよく一そう研究いたしまして……。
  106. 松永忠二

    松永忠二君 工事の内容について、山腹工事に力を入れないという点。
  107. 河野一郎

    国務大臣(河野一郎君) 山腹のほうは、一方のほうが最近金がかかり過ぎる。それでそのほうの予算をたくざん食うというのが事実でございます。
  108. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) かねてから、そういう両省間の仕事の問題の分野等について議論はあったそうでございますが、以前、両者間に協定ができまして、それが閣議決定をされて基礎ができまして以来は、私もそういう世論がございますから気にいたしまして、たびたび当局の関係者に、一体農林省とは円満にいっているかということを聞いておりますが、近来は大体円満に協調をして、それぞれの工事をやっておるというようでございます。しかし、御指摘のような問題点がまだ絶無ではないと思いますから、一そう両省間で調整をとりまして遺憾のないように進めて参りたいと思っております。要は、結局両省とも金が十分にないということじゃないか。元手が十分にあれば、もっと行き届いてお互いができるものだと思うのでありますが、国の経済、財政の関係もございますから、それらを勘案いたしまして、われわれとしましては、砂防の重要性は、近来の災害の現実から見ましても重要性を十分に考えておりますので、予算措置等につきましても、先ほど申し上げましたように、力を注いでやって参りたいと思っております。
  109. 松永忠二

    松永忠二君 私は、建設省のほうからもっと強硬な意見があってしかるべきだと思うのであって、今農林大臣の言うことは逆であります。内務省がやっていたのでありますから、建設省が所管をしているものを、途中からいわゆる農林省のほうへ一部譲ったわけです。その後、今建設大臣の言われたようなことが、いわゆる申し合せあるいはいろいろな形できまっているけれども、それがまたうまくいっていないから、これはもう行政管理庁あたりで出している報告に、それがうまくいっていないということを指摘しているわけです。だから、実は災害基本法あたりで基本的な計画を立てるには、一つの水系を考えて、水系の上から下までを所管するなり、統一的なことをやらない限りは、真の治水はできない。  それからまた、農林大臣考え方の間違っているのは、山腹の工事をしてそこへ植える木というのは、いわゆる普通の伐採をするような木を植えるわけではないのであって、山腹工事をして、それがくずれぬための植林をするということは、十分建設省でやっていける仕事の事柄だと私は思うわけです。この点については、河野大臣は、いや検討して、何もそれを譲ることについてはどうこう言っているのじゃないという、そういうふうな気持は私はそうあるべきだと思うわけなんです。今後大臣にひとつ特に考えていただきたいことは、今堰堤が費用がかかるからその堰堤の割合が多いのか、それとも山腹工事を怠っているために、堰堤のほうへ費用がたくさん回っていくのかという問題を考えてもらいたい。それからまた堰堤工事の予算のつけ方等についても問題があるということを御承知と思うのであります。建設省の堰堤工事は設計からきちっとしたものをとって設計して工事費をとっているのに、農林省の堰堤というのはコンクリートでどうこうという総量でとっているわけです。そういうやり方も非常にずさんであるという、ある意味ではそういうつけ方をしている大蔵省にも問題があるけれども、そういう点にもひとつ問題がある。むしろここで一本化ということを考えて、建設省あたりは、護岸、そうしてまたそこにあるダム工事、上流の砂防、そうしてまた山腹の荒廃工事というものは、一貫して関連した指針の中で費用をつけていくという形をとっていけば、何とかこの問題も解決するのではないか。やはりこういう問題について、直ちにこの所管を移すということはできないとしても、特にこの問題について建設省も農林省も問題あることに留意されるとともに、農林大臣には特にひとつ荒廃山地の復旧についての施行工事の問題については妥当なのかどうかということを検討していただきたい。そうして災害基本法等もできる機会に、こういう基本計画についてはやはり再度検討してほしいということを要望しておくわけであります。  こまかい点はまたあとでお聞きいたしますが、厚生大臣お尋ねをいたします。  災害救助法の基準が非常に私たちから言うと低いと思うわけなんです。今度もいろいろ引き上げという措置を講ぜられてはおるようでありますけれども、やはりこの点については特に検討を要するのではないかということを考えているわけであります。具体的に、これがどう、あれがどうということは申し上げませんけれども、   〔委員長退席、理事赤間文三君着席〕私たち考え方から言えば、これだけ災害救助法というものが実施において強いワクをつけておく、あるいは低い基準をきめておくということであれば、この全額を国が負担をするということが至当ではないか。また今のように地方にも負担をかけさせるということであるならば、もう少しやはり実際的に基準を高くするという——国が全額責任を持っていかなければできないということであれば、ある程度今の基準でもやむを得ない点があるとしても、もしこれを実際的に即するという今のような分担であるならば、この点をもう少しやはり改善をしていく必要があると思うのですが、この点について厚生大臣はどういうふうにお考えになっておられるか。
  110. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) お答えを申し上げます。災害扶助の基準につきましては、松永さんも御承知のように、災害救助はほんとうにその災害直後の混乱した状態をしのぐ一時のものでございますので、これにつきまして中央で一応の基準を定めまして、それに従って地方で、それぞれ規則を作ってやっておるわけでございますが、最近の実情にかんがみまして、ただいま御指摘にもございましたが、若干の引き上げを行ないましたようなわけでございます。この基準が妥当であるかどうかというような問題につきましては、もっと上げろということをおっしゃるかもしれませんが、その点につきまして、私ども決しておろそかにはいたさないつもりでおるわけでございますから、今回は九月の災害から適用になるのでございますが、幾らかの引き上げを行ないまして、なるべく実情に沿いたい、こういうふうなつもりでやりましたわけでございます。時勢の変化に伴ないまして改訂を必要とする場合には、もちろん改訂することに決してやぶさかではございません。また現実の問題として災害にもいろいろ状況がございますので、一応基準は定め、地方は規則は作っておりましても、これにつきましては実際の運用といたしましては、もっと弾力的な扱いをしてもよろしいのであります。そういう場合も御相談があれば私どもといたしましては、できるだけ御相談に乗るようにいたしたいと思っております。それはそれといたしまして、災害基本法も制定せられ、いろいろな制度整備されるという状況でございますので、災害救助法につきましても、この基本法の制定に伴ないまして若干の改正は行なわなければならないことになっておりますので、かような機会におきましても、あわせて今日の状況等につきましても十分検討を加えまして、不備な点は是正して参りたいと存じております。  また、今お話にもございましたが、地方費と国費との関係でございますが、今度の改正の機会におきましては、この国費負担の方式等につきましても十分検討をいたしまして、少なくとも現状よりも私は国費負担の関係においてはもっと前進さしたい、こういう心持ちで検討を重ねておるような次第であります。
  111. 松永忠二

    松永忠二君 大臣からお話があったわけでありますが、特にその災害救助費が、国で出す補助の割合というものは非常に低い、そのために地方が非常に負担をしなければできぬという状態だと思う。たとえばある県を考えてみると、一億三千八百八方のつまり災害救助費が出た、国のほうの補助は七千二百八十万であるというふうな状況なわけです。結局これは要するに災害救助法の基準が低いために、どうしても出さなければできない費用を地方が救助費として出したけれども国庫負担率が非常に低いために自治体が出さなければできぬということになるわけです。こういう点について今度も三十四年並みの特別措置をされてはおるわけでありますけれども、こういう点について非常に地方の負担になっているということは十分におわかりだと思うわけです。今御答弁の中にあったように、国庫負担の計算のやり方という問題についても、お話のようにひとつ検討を十分にしていただいて、少なくも災害の際に早急に行なう災害救助費が非常に地方の負担にかかってきてしまうということのないように、国がやはり短期間の救助であるということならば、それを責任を持ってやるということについて、特にひとつ配意すべきであるとわれわれも考えるので、この点はただお話のように単なる答弁ということでなしに、十分にひとつ基本法の際に検討していただきたいと思うわけであります。  それからもう一点お尋ねをいたしますが、われわれ社会党のほうでは個人援護法などといういろいろ法律も作っているわけです。今度のときもそうでありますが、個人に対する特別の助成というものが事実上今までないわけであります。ところが、今度出てきている災害基本法の中には、激甚地の場合には個人の特別助成ができるというふうに規定をしているわけです。第九十九条に「激甚災害の発生に伴う被災者に対する特別の助成」ということが出ているわけであります。私は基本法にこれだけ出ているならば、どういう考えを持っておられるのかお聞きをするわけでずが、それならば今度の災害等についても、何らかのやはり臨時措置というようなことも考えて、これは現実化するということが必要じゃないかと思うのですが、基本法で考えている「激甚被害の発生に伴う被災者に対する特別の助成」とは何を考えているのか、その考えていることがどういうわけで今度の災害には適用されないのかということについて、二点についてお伺いをしたいわけであります。
  112. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) ただいまお述べになりました罹災者に対する特別の助成ということでございますが、私はこの条項に含まれております特別の助成というものの範囲はいろいろあると思うのであります。主として考えられますことは、金融というようなことが主として考えられている内容じゃないかと存じますが、それにつきましては、ひとり厚生省だけでなしに、むしろ他の省において十分考えていただかなければならぬ面がたくさんあろうかと存じております。私のほうの関係から申しますと、応急の救助といたしましては、いわゆる災害救助でやるわけでありますが、多少ともその立ち上がりを助けるというふうな意味におきましては、御承知の世帯更生資金でありますとか、あるいは母子福祉資金でありますとか、こういう方面の制度を活用することによりまして、またそれにつきまして、あるいは据置期間を延長するとか、償還期限を延ばすとか、そういったような方法をとりまして、できるだけ罹災者に対する便宜をはかって参りたい。したがって、今申しましたように、災害基本法も制定されることでございますから、災害救助法も改正するというような段階でもございますから、こういうような点につきましても十分われわれといたしましても再検討する時期であるとは考えますが、一応現在行なっております各種の制度を活用することによりまして、どうやらこうやら少なくとも厚生省の関係につきましては、間に合うのじゃなかろうかというふうな考え方をいたしております。
  113. 松永忠二

    松永忠二君 厚生大臣はよくそういうことをおっしゃるわけなんですが、私たちは今やられているいろいろな法律が不備だから、いわゆる個人の災害について援護の措置をすべきではないかということを言っているわけだ。確かに世帯更生資金というものもあります。しかし、金額は五万円から三万円程度であって、しかも、低所得者ということではっきり銘打っているわけです。じゃ因ったものは生活保護があるじゃないかといってみたところが、生活保護法の四条には、いろいろな制限を付しているわけだ。実際それじゃ災害を受けた実情を見ると、農業関係の人では天災融資があるといったって、融資の金がいつくるのか、ずいぶんおくれてくる。あるいは中小企業金融公庫で借りられるといってみたところが、すぐそんなに借りられない。また返済の条件というものも出てきてしまう。今お話の母子福祉の母子関係の金も確かにあるけれども、これは母子であって、しかも金額は非常に低い。したがって、災害を受けたものはその当座——後にもお尋ねしておきたいと思っているが、住宅なんかもほとんど金は出てこないで、実際のところ災害を受けたものは非常に実は困るわけです。こういう点については、やはり今の施策の中で抜けているということについてお考えをいただきたい。抜けているということを考えるのは、やはり厚生省の仕事だと思う。厚生大臣が今のいろいろな法律で大体一通りいっているという考え方を持つのか、それとも個人の災害については、いろいろあるけれども十分ではない。特にこれについては重点的にひとつ考えていかなければならぬ問題だ。社会党も要求しているけれども、社会党の要求にも一つの理があるというふうにお考えになって真剣に考えておるか。私どももあなたがおっしゃるように、一通り一通りと言われるけれども、出ておるではないかという考え方では、この問題は前進しないと思う。われわれの政党でも実際具体案を出して、個人の災害についての案を出しているのだから、もう少しわれわれの党の案も検討してもらって、とにかく厚生省が中心になって、個人災害についてはその場でとにかく救済できる方法考えていこうじゃないかということになれば私は前進をすると思う。そういう点について、大臣の初めの災害救助法の問題についての答弁は、一応私たちはわかるのでありますけれども、どうもいつ聞いてみても、個人についての災害救助については、そういう御答弁考え方では私は前進はしないと思うので、もう少しこの点については、今申しました私たち意見について、どう一体考えておられるのか、その点をお聞きしたいわけです。
  114. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 個人の災害に対する援護につきまして、各方面からいろいろな御意見があるわけであります。社会党の方たちのお考えというものも、大体私たちの伺っておりますところでは、現在の制度のほかにあるいは弔慰金あるいは見舞金というようなものを出したらどうか、あるいは生活援護資金というものを創設したらどうである、あるいは全額医療給付をやったらどうである、こういうふうなことが主たる内容をなすもののように実は伺っているわけです。それらの御意見なり御要望なりに対しまして、私どももちろん検討するにやぶさかでございません。できるだけ被災者のためになることなら十分私どもも検討いたしたいと存じておりますが、また、今仰せになりましたように、私の先ほどのお答えの仕方は、いかにも厚生省の仕事に限局したようなお答えの仕方をいたしておりました。これはひとり厚生省だけでなくて、政府全体として考えなければならぬ問題だと思いますので、その意味におきましても、厚生大臣として十分留意して参りたいと思います。ただ今の、社会党の皆さんのおっしゃる個人災害に対する救護の制度をひとつ確立せよ、こういう御意見につきましては、その御意見はもちろん敬意をもって伺うわけでありますけれども、たとえば、弔慰金の制度というふうな問題にいたしましても、いろいろまた現実問題としては問題点を含んでいるのではなかろうかと思うのです。それからたとえばどういう場合に出るのか、どういう程度にするか、一体国がやるのが適当であるかどうか、こういうふうな問題点を含んでいると思うのであります。また、援護資金の問題について言いますれば、厚生省関係でものを考えるとすれば、先ほど申しましたような、現在不十分ではございましょうけれども、一応の制度があるわけであります。これらの制度についてさらに検討するということは、もちろん私決してその労を惜しむものでも何でもございません。十分検討させていただきたいと思うものでございます。  それから医療の問題にいたしましても、とりあえずの医療という問題につきましては、この災害救助法による医療の給付、あるいは低所得者に対する医療貸付金の制度、あるいはお気の毒な世帯に対する生活保護上の医療の給付というような制度がございます。何とかそういうものを活用するということで、当面やっておるわけでございます。御意見のありますところにつきましては、法律改正の際におきまして、さらに十分検討をいたしたいと存じます。
  115. 松永忠二

    松永忠二君 だいぶ長くなりましたので、最後に一つ。厚生大臣のいろいろなお話もありましたが、私たち必ずしもそれに賛成するというわけじゃありませんし、特に私は今度の、三十四年災並みと一言っているけれども、厚生省の関係では福祉年金の支給に関する特別措置とか、共済組合の支給の問題とか、医療費の給付に関する特別措置が出ていないわけなんで、こういう点少し差があるというふうに私ども感じているのですが、ぜひひとつ、今の個人災害の問題については、何といっても厚生省が中心になりますので、十分なおひとつ検討を願いたい。厚生省のほうは私終わりました。  最後に建設大臣お尋ねをするわけですが、今度の災害一つの特徴は、非常に住宅がやられたことであります。そこで、実際に第二室戸台風では二万以上が滅失をしているわけです。私はその資料を出していただいたんですが、一体今までの災害で、災害公営住宅やあるいは災害復興住宅がどのくらい一体被害を受けたものに対して実際の貸付を行なったか、住宅を建てたかという問題について数字を出したものを出してもらったわけなんです。これは、たとえば伊勢湾台風なんかについてここに出ているわけです。これは大臣にもひとつ見ていただきたいわけなんですが、非常に公営住宅のほうも少ないし、それから災害復興住宅も建設の戸数が非常に少ない。極端なことを私申し上げると、住宅対策については、これじゃとても災害者はたまらぬということを私は感ずるわけです。私たち自身も災害についていろいろめんどうを見てきても、住宅については私たちは全く今のままでは困るということを強く感じているわけなんです。こういうことについて、住宅対策について不満がどういろ点にあるのかということを、大臣はどういうふうに考えられているのか、その点をひとつ大臣にお聞きをしたいわけです。一体住宅対策災害における住宅対策についてどういう点に一体罹災者の人たちは不満を持っているのか、どういう点を充実をしていかなければできないというふうに大臣考えられておるのか、まずその点をひとつ大臣から聞きたい。
  116. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 今度の室戸台風で見ますと、割合に前回よりも破損が非常に多かった。破損を早く直してもらいたいという要望が非常に強いようでございます。そこで公営住宅につきましては、大阪府及び大阪市等関係市町村と協議をいたしまして、非常に今度は敏速に修繕をいたしまして、この点は入居者の人たちも喜んでおられるように聞いております。一方、住宅公団の住宅につきましては、破損の完成するまでの間家賃を差し引き、減額をいたしますと同時に、台風状態台風前の状態に復すると同時に、できるだけすみやかに——私も現地を見まして、まだテントをつったりあるいはビニールをかけたりしているところもありましたので、帰りまして直ちに住宅公団に急速な復旧を命じました。報告を聞きますと、間もなく復旧を行ない、また家賃の減額等を行なって、これらの住民の方々も喜んでいただいているということを聞いておりますが、その他の一般の場合におきましては、今度も御審議を願っておりまするように、特例法を出しまして、災害復旧住宅の戸数をふやすこと、及び補助率の引き上げをいたしましてできるだけ罹災者の方々が住宅に因らないようにという努力をいたしているわけでございますが、これはいずれも公営住宅は地元が施行機関になりまして、地元の関係府県及び市町村が施行者になってやるものでありますから、やはり地元としては住宅事情の状態とにらみ合わせて、申請をしてくるものと見えまして、こちらが予想したよりも、結果から見ますと過去の実績等も建設戸数が少ないようでございます。しかしながら特例法で引き上げましただけの補助率及び戸数につきましては、申し出がありさえすればこちらは実施に事欠かないように努めておりまするので、問題は地元関係市町村の熱意と申しますか、需要状態と申しますか、そういうことに関係してきていると思うのであります。かたがた、住宅金融公庫の災害住宅復興資金につきましても、これはワクが一応とってありますが、ワクで縛るわけでありませんので、足りませんければ予備の資金を算段、都合いたしまして、申し込みもあり、またそれが適格者である限りは融通をしていくことにいたしているわけでございます。一方、この貸付の資金でございますが、従来は二十五万円でありましたが、それを三陸の災害の際に引き上げの交渉を大蔵省といたしまして三十二万円ということになりましたが、現在の物価なり世間の状態から見て、三十二万円で復旧住宅を建てろということも、これは無理なのでありますので、現在も大蔵省とこの引き上げについては折衝中でございます。何とか相当分の引き上げが行なわれるようにわれわれは期待をいたしまして、せっかく努力をいたしているような状態でございます。
  117. 松永忠二

    松永忠二君 この公営住宅については、私はまあある程度できていると思うのですが、住宅金融公庫からの災害の復興の住宅、それから一般住宅の中の災害特別貸付というワクがあるわけです。こういうふうなものについて、まず坪数の制限がある、規格の制限がある、金融機関の距離というような問題がある。それから災害の戸数というようなものに問題があるし、今お話のような金額の制限がある。申し込んだ者についてはできるだけやるようにいたしますということをおっしゃっておりますけれども、申し込と承認の数についても非常に差があるということは、どういうことになるか。申し込みの数も少ないし、申し込みとそれから承認の数も差ができてくるというのは、住宅金融公庫が非常にやかましい。たとえば住宅建築の規格というようなものについても非常なやかましいことを言うために、緊急に住宅を復興していよいよ住、宅金融公庫から借りようということになると、この建物では坪数が規格に合わない、この建て方では規格に合わないということで、それを借りることができないという状態になっているわけです。だから実際のところ、まず大臣にお聞き願いたいと思うのは、応急仮設住宅の坪数がまことに狭い。今度の坪数は五坪が基準だ。それから公営の住宅についても、これは農民や漁民とか、いろいろな者が入るに工合が悪いという条件もある。それじゃ今度は住宅金融公庫でということになれば、これも坪数の制限がある。規格の制限がある。そういうことになってくるので、現実には被災者はどういうことになっているかというと、実は中小企業金融公庫から借りた金で住宅の金に回しているというのが現状です。住宅金融公庫のほうからの金はやかましいし、制限があるので借りられぬもんだから、結局ほかのほうから借りた金を住宅のほうに回しているというのが、偽らない、災害の住宅復興の状況だ。それだから、こういうふうに被災の戸数に比べて見て、住宅金融公庫の貸せた災害復興住宅が非常に少ないという率が出てきているわけです。それで一般住宅の災害特別のワクも三割は条件を緩和して貸せると言っているけれども、現実になかなかこれは返済とかという問題も出てきて、非常にやかましいようになってきている。だから滅失、流失したものについて、それを金を借りて復興させたいというものについてはある程度の金額を貸せる、返済について相当な責任を持たし、あるいは持つけれども、そうやかましいことを言わないで金を貸してくれるというようなことになってこなければ——平常のときに住宅資金を借りるについていろいろ制限をすることはいいとしても、災害の際の住宅復興についてはあまりにこれは妥当ではないし、実情に沿わない。だからお調べいただきたいのは、災害で滅失をした人はどこから一体金を借りてきて復興しているのかということなんです。だから、こういう点については、いわゆる市町村あたりの要望の中にもずいぶんそういう点が出てきているわけです。だから大臣にその処置をしていただきたいことは、住宅対策については非常にこういうような点について問題がある。したがってこの条件緩和ということについてもっと検討していただきたいということであります。  それからもう一つの点は、私はこの復興住宅についても、実は風水害の場合には五百戸、それから火災の場合には二百戸という制限があります。あるいは一市町村の一〇%以上の災害でなければ、復興住宅の補修をかねたものには貸せることはできないことになっている。で、一体うちが完全に焼かれた者については、一人であってもこれは本人にとつは絶対的なものだと思うのです。この制限のワクがあるために、集中的な豪雨とかでその市町村の一〇%に満たないとか、あるいは五百戸に満たないために、借りたくても復興住宅も借りられぬという、こういう点も実情に沿わない点がある。だから、こういう点について私は、時間もだいぶおそくなるし、こまかいことでもありますので、特に住宅金融公庫の金融の制限については、この際ひとつ大臣の責任において再検討していただきたい。実情に沿うように再検討していただきたいと私は思うのですが、この考え方について大臣のひとつお考えを聞いて、私は質問を終わりたいと思うのです。
  118. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は、私が豪雨災害のときに現地視察をいたしまして以来、従来の統計や数字等を見ますと、確かに今御指摘のような感じを私も持ったわけでございます。説明を聞きますと、当座はいろいろ申し込みもたくさんいたしますが、そのうち自己資金で調達ができたり、あるいはほかの方法考えたりいたしまして、最初の申し込みは相当数あったが、実際に金融公庫の資金で建設するものの辞退がその後だんだんふえて、辞退者が出て、実数は統計上少なくなっているのだという、こういう関係当局の説明でございましたが、しかしながら災害で困っておる地方にこういう制度があることを知らない人もあるし、また知っても手続がわからない人もあるしするだろうからということで、豪雨災害以来、災害のつどできるだけすみやかに、おそらく三日目、四日目かに現地に行っておりますが、住宅金融公庫から係員をそれぞれ現地に派遣をいたしまして、地区別に座談会をいたし、説明会をいたしまして、説明をさせておるのであります。ですから今年度の災害についてどういう結果が出るか、従来の数字とは違った結果が出れば私はPRの効果があったことになるんではないかと思いますが、まだその結論が——本年の災害については結論に達していないわけでございますけれども、PRには極力努めておるわけでございます。  それともう一つは、条件の問題でございますが、これは確かに条件の規格をあくまで厳寸——やはり係員の仕事に忠実という意味で厳守を求めたんでは、実際の災害の現実に合いませんので、できるだけ緩和をするように、拡張解釈のできるものは拡張解釈をする、あるいはこれに準ずるということで、準ぜられるものは準じて適用していくようにということで、その点も重々住宅金融公庫の者に旨を含めまして、そういう考えで、違法でない限り融通性を持たせて、弾力性のある取り扱いをするようにということを指導いたしまして、現地に参りました。座談会、説明会等においては……、最近の災害ではそういうようにいたしておると思うのでございます。なお十分この点は注意をいたしまして、今後善処して参りたいと思うものでございます。それから金額等につきましても、先ほど申し上げましたように、金額の妥当化をはかるべく財政当局と目下熱心に折衝をいたしておる段階で、大体ある程度増額ができるという見込みを現在持っておるような次第でございます。
  119. 松永忠二

    松永忠二君 もう一つ。いや、それは大臣が聞いているのは違うのであって、申し込みが多いのに、その後よそから資金を借りたので数が少なくなったのではなくて、申し込んでみたところが、これを借りるのにはここに一つの材木を入れなければいけないとか、ここのところを新しくしなければいけないとか、坪数を広げなければいけないということになってしまって、それならまた金を使って補修をしなければできないから、借りても結果的にはそれだけ余分に出すことになってしまうから、そんな金はとても借りられぬというのが実情です。私たちは現実に災害の起こったものを世話をしてみて、そういう制度があるけれども、早急に金を工面して建ってみて、それで復興住宅のほうから金を借りてその借金を早く返したいと思うのだけれども、その借金を返すことが現実にできない。それどころか、借りるにはその金をまた使わなければできないということになるので、結果的には減ってしまうということであるわけです。なお、いろいろ係員をして説明させてどうのこうの、確かに説明というものは迅速におやりになるようであります。ただ問題はワクを広げてとか何とかおっしゃるけれども、政令でちゃんときまっているワクであるわけです。そんなものは拡大解釈なんかできるはずはありません、戸数の制限なんかについては。それからまた貸付の問題なんかについても、係官で融通できるような基準というものは——そう大幅に基準が融通できるようなら、そんな基準はなくてもいいわけです。あなたのおっしゃったようなことには限界があるわけです。だからこの点は、やはりただ事務当局のお話を聞かれるだけではなくて、あなたもいろいろ現地の人たちに直接お聞きになると思うので、私たちも現地の住民の被災者を直接扱ってみて、特に私は住宅対策については、災害の公営住宅といってみたって、山の奥へ公営住宅を作ることはできません。あるいは農民はそんな少ない坪数で家を建てることはできないのであって、やはり今後のいろいろ使う方面も考えて、きめられたような規格で家を建てたのでは商売をやることはできないわけです。だから、もっと現実に即したいわゆる住宅の金融の仕方というものがあると思う。これはいつでもやれと私は言っておるのじゃなくて、災害のあったときにはせめてそういうくらいな金が住宅として融通されてもいいのではないか。さっきの質問じゃありませんけれども、個人災害だってほとんどこれという金が早く来るわけじゃないのです。だから一番先に流れてしまった、こわれてしまったものについては、もっと簡単に金が一応渡って、それで復旧ができるというふうにして、返済については責任を負わせるとしても、そういう措置をとるべきじゃないか。山の奥では金融機関は復興住宅の申し込みすら受け付けないのであります。指定をし直さなければ借りることすらできないのであります。もう少しやはり、この点についてはこまかいことになるので、具体的なことは申し上げませんけれども、私は、こういうような状態災害の住宅復興を現在やっておったのでは、今度あなたは損傷が多いといっておるけれども室戸台風だけでも二万以上やられておるわけです。もう少しこの点については住宅金融公庫の人の説明だけを聞いておるのでなくて、現実に即した対策をひとつこの際、検討願いたいということを特にお願いをして質問を終わりたいと思うのであります。
  120. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘のような点も確かにあると思います。今後一そう注意いたしまして、なお条件等につきましては再検討いたしまして、現実に即するように努力をいたして参りたいと思います。     —————————————
  121. 牛田寛

    ○牛田寛君 このたび、本年度の各種の災害復旧対策について、本委員会に十八の法案が提出されておりますが、私は毎年起こってくるこの災害に対して、もちろん復旧及び救助に対する措置が急速に実施されて、そして被害者、困窮者に政府の力が行き届くように、その強力な施策を期待するものでございますけれども、問題は、毎年襲ってくる災害をどうして防いでいくか。最小限にいかにして食いとめるかというところにわれわれの努力がなされていかなければならないと思うものであります。いろいろ問題が広範にわたるわけでございますけれども、今言ったような立場から、ごく問題をしぼって二、三の点について建設大臣を中心に関係各省に伺いたいと思うわけであります。  初めに厚生大臣がおいでになっておりますので、ごく小ざい問題でございますが、一点大切だと思いますので、ひとつお伺いしておきたい。それは、ことしの六月の集中豪雨被害で、北海道の都市でございますが、母子寮、身体障害者寮がかなり大規模にできております。そこが全面的に被害を受けておる。現地に行ってみますと、どう見てもこれは水害の起こり得る場所であるという所に建っておるわけであります。まあ身体障害者寮はかなりりっぱな寮でありますけれども、それが窓ワク以上までつかっておる。そういう住宅を建設する場合に、当然立地条件を考えなければならないのであるけれども、そういう点に手落ちがあった。まあ結果的にはそう考えられる。特に母子寮は水際の最も低い場所に建っておりまして、これは屋根までつかっておる。ただでさえも不幸なそういう人たちが、また災害にあう可能性のある場所にいられるということは、非常にわれわれとして考えなければならない。これは私は一つの事件を取り上げたわけでありますけれども、そういうふうな立地条件ということを考えますと、これからもそういう場所が多くできていくのではないかという懸念がありますので、その点について厚生大臣からお考えを承りたい。
  122. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 非常に適切な御注意だと伺ったのであります。今回の災害につきまして、今お話になりました寮そのものは、私よく承知いたしておりませんので、その点についてこまかく申し上げる何もないのでございますが、一般的に申しまして、ことに母子寮なんかには古い施設を転用して使っておるというものもかなりある。実は毎年そういう古い施設の改修というようなことには、多少なりとも国庫補助を出してやっておるようなわけでありまして、今御指摘になりました土地の選定等につきましては、あるいは従来そういう点について十分な配慮がなされなかったということが必ずしもなかったとも申し上げかねるわけでございます。今後、土地の選定等につきましては、本省といたしましても、十分気をつけて参りたいと存じますが、非常にいい御注意を受けたと私、存じております。
  123. 牛田寛

    ○牛田寛君 厚生大臣のお答えでございましたが、まあ、こういう施設は全国に及んでいると思う。したがいまして、合そういう条件について厚生大臣御存じないということでございましたけれども災害が起こる場合には、いつでもそういう関係にも影響が及ぶということが考えられます。厚生省もやはり災害が起こった場合には、建設省の責任ということになさらないで、やはり災害が起こった場合には、厚生省関係の、そういうふうな不幸な人たちにも災害影響がどう起こっているかということを、もう少し敏速的確につかむだけの熱意を持った施策を推進していただきたいと、こういうふうに思うわけでございますが、この点について一言だけ、大臣のお考えを承っておきたい。
  124. 灘尾弘吉

    国務大臣灘尾弘吉君) 十分今後注意して参りたいと思います。
  125. 牛田寛

    ○牛田寛君 次に、建設大臣に伺いたいと思いますが、高潮災害伊勢湾台風で非常に大きな災害を受けました。高潮対策については、総合的な、恒久的な対策を行なうということは、政府がたびたび言明されておったわけでございまして、私どもも、二度とこういうことは起こらないことをまあ期待しておったわけでございますけれども、このたびは、第二室戸台風によりまして、大阪あるいは大阪湾沿岸について高潮被害が起こったのであります。で、伊勢湾台風の経験に基づいて、まあいろいろと施策が行なわれたはずでございますが、このたびも、やはり同じような被害を繰り返されたということについて、今までの対策がどの程度実行に移されたか、また、将来どの程度具体化されていくかということについて問題があると思う。まあ大阪は、大阪市は幸いにして比較的僅少な被害だったと思いますが、これがまあ東京湾に同じような高潮が襲ってくれば、また大きな被害があるということは考えられるわけでありますし、それから大阪湾の沿岸地帯は、やはりかなり問題があるように思います。その点について、まず大臣の総括的なお考えを承っておきたい。
  126. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに、標準水位から見てゼロメートルあるいはマイナスの所に居住するということ自体に相当無理があるわけでございますが、しかしながら、日本の国情から見ますと、国土を高度利用いたしまして、住める限りの所は住み、活用できる限りの所は活用せねばならない国柄にあるわけでございますから、私は、このゼロメートル以下のような所は、災害の受けやすいような地域に住むことが無理だと言うことはできないと思います。そこで、問題は、さような地域につきましても防潮堤整備する、その他、諸方策を講じまして、災害を防ぐ努力を国がする、公共の力をもってするということは当然でございます。さような角度に立ちまして、伊勢湾の場合は、伊勢湾台風を契機といたしまして、大規模な改良復旧を行ないましたが、あの規模の大災害が来ましても、今度は絶対に大丈夫であると私どもも自信を持っておるわけでございます。しかしながら、いまだ伊勢湾と同じ痛い思いをしない大阪湾東京湾等は、伊勢湾台風程度台風のことを思い出せば戦慄するような気持で私ども考えておるわけで、極力、この防潮堤整備については努力をいたしておる次第でございます。すでに五カ年整備計画を立てまして進んでおる最中に、今度の第二室戸台風災害を受けたわけであります。したがいまして、この五カ年の計画をさらに緊急実施いたしまして、大いに繰り上げて施工するように運びたい、こう思っておるわけでございますが、なお、これに関連しまして申し上げたいと思いますことは、こういう低い地帯におきましては、防潮堤を幾ら整備しましても、豪雨等、あるいは、今度の第二室戸台風は割合に雨を伴わなかったのでありますが、雨を伴った台風でも参りますと、はなはだしい浸水をせざるを得ない地勢的な状態にあるわけであります。ですから、浸水それ自体はやむを得ないとしても、せめて浸水したものは急速にこれを排出をするという大規模の排水施設整備する、このことが非常に重要であると思います。かような角度に立ちまして、来年度予算編成にあたりましても、私どもは、公共事業としての堅固な排水施設整備、これに向かって予算措置等も講じていきたいと思っておるわけでございます。ややもすれば、この排水施設が下水の排水であったり、あるいは農業排水であったり、都市排水でありまして、浸水いたしますと、排水ポンプ自体が、モーターが水につかってしまうというような状態が各所に起きますので、そういうことのないように、浸水しても水につからない堅固な、強力なモーターの排水施設整備する。もう一点は、今年の春の国会で御審議をいただいて成立いたしました防災建築街区造成法でございますが、これを、せっかく法律も成立いたしましたので、極力、推進を各地方公共団体と協議をいたしまして進めて参りたいと思います。低湿地帯におきましては浸水することはやむを得ない。しかし一階のぼろ家では、これは浸水したらもう全くどうにも動きがつかない。人命にも影響があるというような状態を起こしますから、できるだけ不燃建築の、堅牢な建築の二階建以上に、そういう街区を指定しまして整備していく。これができていけば、まあ一階は水につかりましても、貴重品を持って二階、三階に上がってしまう。水の引く一日なり二日なりはそこでしんぼうはできるし、財産も失わずに済むし、人命にも影響なくて済む、こういうことにできるわけでございますので、この防災建築街区造成法が制定をされましたので、ぜひ防災建築街区造成法に基づく防災街区の造成ということに向かって、これは地方公共団体にまず熱意を示していただかなければなりませんが、これに対して、法律上定められた助成の道を国としていたしまして、極力そういうこともあわせて、今後、とにかく災害の多い日本の国柄としては災害を防ぐということに、防災的見地に立ってあらゆる施策を強力に進めていかなければならないということを痛感いたしておるような次第でございます。
  127. 牛田寛

    ○牛田寛君 ただいま低湿地帯のお話がございましたが、この点についてはまた別の機会に申し上げたいと思うんですが、防潮堤が伊勢湾については堅固なものができた。しかし大阪湾についてはまだ堅固でなかったために災害が発生したと、こういう結果になっておると思います。で、伊勢湾の場合でも、建設省の直轄工事の分と、あるいは農林省関係の分、あるいは地方公共団体の分というようにいろいろありまして、その欠陥が現われたということが言われておるわけであります。また、事実そういう結果が出ておるわけであります。で、今度の大阪湾の堺、あるいは和歌山方面にかけてかなり防潮堤被害が出ているように伝えられておりますけれども、その被害の状況はどのように御承知になっておりますか。
  128. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私も、わずかな時間でございましたから十分とは参りませんが、要所々々防潮堤の破壊されましたような個所を見聞をいたして参ったのでございます。これらは古い時代にできた防潮堤でございますので、今後復旧をいたしまする場合には、単なる原状復旧でなしに、相当な改良復旧を加えまして、また一カ所だけ直しましても、隣りがまた次の災害でやられては何にもなりませんから、そういうのは関連工事としてできるだけ整備をするようにいたしたいと思っております。いずれにいたしましても、大阪湾高潮防御だけでなしに、紀州一帯というものは申すまでもなく、いわゆる台風常襲地帯といわれる地域でございますから、一そう力を入れて復旧及び関連事業、改良復旧ということに努力をせなければならないと思って、せっかく今後努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  129. 牛田寛

    ○牛田寛君 関連あるいは復旧整備をするというお話でございましたが、伊勢湾台風の経験からも、いろいろな欠陥に対する経験を得たのであります。その点について、あるいは復旧事業で三分の二とか、あるいは四分の三とかいうような補助と、そういうことで、はたして根本的な防潮堤——かなり大規模の台風に対して高潮災害の予防できる確信のあるものが作り得るかどうかということに対して、私どもは疑問に思うわけであります。それは何回も繰り返されている災害でありますから、もう少し政府が常に言われている恒久的、総合的対策というものに対して、具体的にこのようにするという方法を打ち出される必要があるのじゃないか、そういうふうに考えるのでありますが、その点についてもう少し突っ込んだお考えを承りたいと思うのであります。
  130. 中村梅吉

    ○国務大君(中村梅吉君) 現に災害で破壊をされず、被害をこうむらなかった地域につきましても、一般の海岸事業としてできるだけ早く整備することが必要であることは申すまでもありません。ただまあ、これにつきましては、国全体の財政事情というものと関係がございますので、われわれその仕事だけを担当している者から見ますと、心はやたけにはやるような気持でおりますけれども、国全体の財政事情等を常に勘案して進めて参らなければなりませんので、予算意のごとくには参りませんが、極力力を尽くして、将来の災害の起こらないように努力をして参りたいと思っているわけでございます。
  131. 牛田寛

    ○牛田寛君 今度の防潮堤被害も、やはり水産庁関係の漁港、あるいは直轄事業の部門、そういうふうな境目が破られているということが再び起こっているわけであります。この点について、復旧あるいは関連の工事をこれから施行される場合に、この欠陥をどういう方法で除いておいでになるか、それをお伺いしたい。
  132. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 現在の行政組織のもとにおきましては、努めて関係各省と連絡をとりまして、私ども遺憾のないようにして参りたいと思っております。伊勢湾の復旧につきましても、世間でどうも運輸省のやっている海岸堤防と建設省のやっている海岸堤防と方式が違うので、方式の違うもの同士が結びついている、こういう個所があるというようなことも聞いております。こういう点につきまして、遺憾のないように十分関係省で連絡をとりまして努力をしていきたいと考えております。
  133. 牛田寛

    ○牛田寛君 建設省と運輸省の堤防の様式が違うというようなお話が出て参りました。衆議院でもお話が出たようでありますが、鉄筋の入っていない堤防がこわれている。それが家の中へ飛び込んで、これは人災であるというような評判があるというような問題も出ているわけであります。で、防潮堤は結局高潮の力に対して防止する機能を果たしていかなければならない。これはもちろんでございますが、したがって、その構造が建設省とか、水産庁とか、農林省とか、そういうふうな管轄によってあまり設計が違ったり、あるいは鉄筋が入ったり入らなかったりというようなことは、これは問題だ。で、これは構造上、力学しの問題でありますから、むしろ、こういうふうな防潮堤については、設計基準なり、施工基準なりを統一して、どこの管轄においても、その土地、その場所に応じて、その機能を十分果たせるような設計基準、規格なりをきめて、それを実施するということが私は必要ではないかと思うわけであります。現在の行き方でありますと予算のワクはきめられてございますけれども、その予算のワクに従って施工するということになれば、したがって、その予算のワクに制約されて、結局設計が弱くなるということになりやすい。どうしてもこれは基本的な設計基準というものを設ける必要があるのではないか。あらゆる災害を起こす危険性のある構造物なり、あるいは機械器具にいたしましても、すべて危険を防止するための設計基準というものを設けられておるのが、それは常識であります。ところが最も大きな災害を引き起こす可能性のある防潮堤が、そのような設計基準があるように伺っておらないということは、これは根本的な欠陥ではないかと私は考えるわけであります。その点について、どのようにこれから対策をお立てになるか、御意見を伺いたいと思います。
  134. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 海岸堤防の強度あるいは耐久力、こういうものにつきましてはもちろん建設省所管の土太研究所で技術的な検討を常にいたし、また抵抗力等も試験をいたしまして資料を持っておりますから、できるだけ今後は一応海岸法に基準は書いてありますけれども、なおこういった新しい研究の資料を、漁港にいたしましても運輸省の港湾にいたしましても、連絡をいたしまして、各省とも統一のとれたやり方をやっていくようにいたしたいと思います。私が拝見しましたところでも、最近作りました海岸堤防は泉州海岸なぞを見ましたが、びくともいたしておりません。おもに破損をいたしました箇所は古い時代にいたしましたものが多いようで、それは鉄筋も入っていない、こういうような状態でございますが、今度復旧する場合には、最近の技術なり設計なりに従いまして鉄筋の入った堅固なものを改良復旧として施しまするわけでございます。   〔理事赤間文三君退席、委員長着   席〕  確かに私も現地を見ましたが、たとえば和歌山湾の港内の、これは港湾堤防でありますか、まあ運輸省の所管でございますが、破損をいたしましたのを見ましたら鉄筋の入らないコンクリートで、これがずたずたに波浪のためにやられておるというような状態を見まして、これは近ごろではそういうものはどこの省でやるにいたしましても、いたしておりませんが、古い時代のものでございますから——今度はそういうことの二度とないようなものを、まあどの省がやるにいたしましてもやっていくものと考えます。また、そうするようにわれわれとしましても土木研究所をかかえておる建設省としましては、関係各省にもそういった規格を実行していただくように連絡をしてやっていきたいと思います。
  135. 牛田寛

    ○牛田寛君 建設省でそのような設計基準をお持ちであるというのであれば、今までも大分その設計基準が利用されておったらそういう災害が防げたのではないかと、こう考えるのですが、どうも各省との間の連絡が悪いということから、やはりその欠陥が今まで現われてきたのではないかと、こう懸念しております。したがって、ただその各省間の連絡だけでそういうふうな懸念が除かれるかどうかということについては、私どもは疑問に思っているわけであります。もう少し強力な、いわゆる防潮堤についてはこうだという一つの法的な規制が必要なのではないかと、こう考えるわけでありますけれども、その点について建設大臣のお考えを伺いたい。
  136. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御承知のとおり、海岸法ができましたのが昭和三十一年でございまして、この海岸法の定めるところによって一応の基礎はできておるわけでございまして、あとは私ども関係省で十分連絡をとってやっていけば遺憾のないことを期することができると思っております。ただ今度の災害あたりでやられました所を見ますと、みんなもっと古い時代のもののようであります。こういうものは災害がございませんでも、国の力とにらみ合わせて、できれば先行投資で改善をしていくべきものだということを、私は現場を見まして痛感をいたしましたような次第でございます。今後やるものについては遺憾のないように三十一年にできました海岸法に基づきまして、また最近の設計技術等の上に立って今後作ったもの、最近作ったものは波浪や津波のためにやられることのないようにしていきたい、私どももそれを念じておるわけでございます。
  137. 牛田寛

    ○牛田寛君 防潮堤は堅固に作ればそれに越したことはないことでございますけれども、無駄な費用をかける必要もない場合もあると思うわけであります。河口の部分であるとか、あるいは海岸線に面した部分であるとか、いろいろ地形が複雑でありますから、その地形に応じた設計が必要になってくると思います。建築においても事故があれば設計責任者が責任を負うのでありますから、現在のところでは、そういうふうな防潮堤の設計の不備ということによる災害に対して責任の所在がはっきりしておらない。これは一つの欠陥ではないかと思うわけです。そういうふうな防潮堤の構造、設計の欠陥についての責任の所在を明確化する、あるいは建設省で責任を負うというように責任の所在を明確化する必要があると私は考えますが、その点について大臣のお考えはいかがでしょうか。
  138. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 海岸法では管理者の責任をきめておるわけでございますが、今あなたのお話は、さらにそれを起工したときの設計責任者というものを明らかにしておく必要があるという御指摘でございまして、この点は従来どうなっておるか、私よくまだ気がついておりませんでしたが、たいへん貴重な御指摘であると思いますので、今度その点についてどのような方法が現在とられており、また将来どうすれば一番いいのか、この点ひとつ検討していきたいと思います。
  139. 小酒井義男

    小酒井義男君 関連して。関連ですから簡単にお答え願えればけっこうですが、私は室戸台風のあとでずっと現地を回ったのですが、徳島へ行って、徳島市の郊外に松茂町というところがある。そこで、これは目測ですからあれですが、大体四、五十メートルの海岸堤防が決壊をして、住家四棟と非住家二棟、六棟流出しているのです。その個所になるまでの片側は農林省が工事をした、その決壊個所の反対側のほうは建設省がやった。その真中の所だけ工事をしていなかった。そとが決壊をして、そういう被害を与えておるのです。これなどもやはり港湾、海岸の二元、三元の行政一つの欠陥じゃないかと思って見てきたのですが、省でおそらく現地の調査をされていると思うのですが、あの決壊した個所はどこが責任の省であるか、そういう点おわかりになりませんか。
  140. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) その場所の所管、まだここですぐにわかりませんが、よく検討いたします。
  141. 小酒井義男

    小酒井義男君 次回にそれをお調、へ願ったときにあらためて質問をしたいと思います。
  142. 牛田寛

    ○牛田寛君 ただいまの建設大臣のお話で、古い防潮堤、危険な場所について改めていきたいというお話がございました。これは至急特に災害の起こる危険性のある場所、大阪湾、紀伊半島あるいは四国であるとか、あるいは東京湾であるとか、そういうふうな災害の起こりやすい場所、そういう区域に対して具体的にどのような予算措置をとられているし、なされるお考えか、それを伺いたいと思うのです。あるいは次の通常国会にどの程度の予算措置をとられるか、お伺いしたいと思います。
  143. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 毎年予算というものは、どうも原局が起案をして希望しておるような工合に、予算編成で目的を達しかねておるわけで、これは国全体の財政経済事情、あるいはその年度の予算規模というものに縛られまして、やはり原局の者からいえば非常に不満足な金額しか計上されないということが、これは建設省だけではない、各省ともそういう傾向が強いと思います。そこで計上されました予算をどう配分するかということになりますと、その緊急度に応じて実施して参りますので、今ここで抽象的にちょっと申し上げかねるわけでございます。全国的にそういう理想的な整備をいたしたいことは山々であり、われわれ大いに意欲に燃えておるところでありますが、計上されました予算規模に従いまして、緊急度を勘案して、われわれは実施をしていく以外にはございませんので、極力危険個所なり、あるいは常襲地帯なりというものを、十分に各現地の地方建設局あたりと連絡をしまして、できるだけ有効な高度利用を、予算の高度利用をしていきたい、こう思っておるようなわけであります。
  144. 牛田寛

    ○牛田寛君 ただいまのお話を伺いますと、これまでの伊勢湾台風あるいは第二室戸台風というような災害を通じまして、現在の防災態勢は非常におくれているという印象を受けるわけであります。ただいまの建設大臣のお話ですと、まだこれからも十分災害を受ける見込みがあると、そういうふうに私ども考えざるを得ないわけであります。この点については災害の起こるたびに、政府が総合施策、恒久施策ということをうたわれておりますけれども、実際にはそれが実行できないという、そういう結果になっているのじゃないか。この点については今後とも国家としての大きな損失のもとでもあるし、尊い人命を失われていくことでもありますし、今までの防災態勢がおくれているということ自体が、政府の怠慢ではないかと思われるわけでありますので、この点についての十分なる強力なる推進を希望して、建設大臣に対しては私はこの程度で終わります。  それから時間もございませんので、気象庁の長官に台風予報の問題について二、三お伺いしたいと思います。  台風の予報は、災害をできるだけ小さくとどめるために、私どもが非常に関心を持つわけであります。台風が来るときには関心はすべて気象庁の予報に集まるわけであります。気象庁の予報のいかんによって災害に対する避難あるいは災害の大小に対して大きな影響を持つわけであります。非常な関心を持つわけであります。その点について災害予報の精度ということについて一般国民の関心があるわけであります。いつでも問題になるわけでありますが、台風が過ぎますと、その精度が問題になって、責任はだいぶ気象庁へ行くわけであります。長官として、これから台風予報の精度を上げていく上に、どういう方向に持っていかなければならないかというお考えがあると思います。その点について長官の確信のあるお考えを承っておきたいと思います。
  145. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 台風に対して台風の予報が非常に重要な地位を占めることを、私どもも十分認識し、全力をあげておる次第でございます。実際におきましては現在の科学の程度を観測される資料の不十分によって、なお改善すべき余地があると思っております。私どもが現在の科学で到達し得る点までには、何とか施設も整えたいと存じまして、一般の気象観測はもちろんといたしまして、特に近年非常に重要性を見せてきました気象用レーダーの観測網を整備いたしたいと存じております。もちろん、台風の予報それ自身とともに、大雨とか高潮とか風とかいうものが災害をもたらしますので、そういうものに対しましても、たとえば山地に雨量ロボットを配置するとか、海岸に高潮を自動的にはかり、予報者に刻々知らせる装置を作るとかいうようなことも考え、そして一方研究所におきましても、あらゆる具体的の科学の結果を研究しまして、その結集を実際の予報あるいは災害防止に使いたいと存じておる次第でございます。
  146. 牛田寛

    ○牛田寛君 重ねてお伺いいたしますが、現在の気象に関する知識を土台にして観測なさるわけでありますが、その観測の手段、方法として、まず台風の進路とそれから速度、位置、そういうようなものをできるだけ正確にするために、こういう方法がきめ手だと、こういう方法が完備してくれば、もっと正確になるという具体的な問題がございましたら伺いたいのですが。
  147. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 陸地に台風が近づきますとレーダーなどが非常に有力になるのであります。海上におきましては、船舶もあまりございませんので、飛行機観測が現在においては有力な手段であります。将来におきましては気象衛星等の利用というような問題も次第に発展して参るかと存じております。
  148. 牛田寛

    ○牛田寛君 今度の台風災害のあとでレーダー観測と飛行機観測が問題になっているわけであります。予算措置の上からどちらを優先するかというようなことが当然問題になってくると思います。現実問題として現在の状況下において最も精度を上げていく上に重点的に必要なものはレーダーあるいは飛行機も同時に整備していかなければならない……この点もお伺いいたします。
  149. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 現在では気象用レーダーが第一に考えられております。飛行機観測につきましては、目下米軍の観測資料が直ちに送られて参りますので、それを使用しております。もっとも飛行機観測をわが国自体においても行なうべくいろいろ検討して参りました。この検討次第によりましては、私どもも自分の手で飛行機観測を行なうことを開始いたしたいと思うのでございますが、何分にも非常に技術上の困難、経費の膨大に要ることから目下検討いたしておる段階でございます。
  150. 牛田寛

    ○牛田寛君 第二室戸台風の場合は非常に観測精度がよかったといわれております。二十四号台風、あのときは東京湾からずれたという結果になっておりまして、先日の衆議院での話だと思いますが、飛行機観測のデータが入ったために、かえって結果を誤るというようなお話があったわけです。レーダー網と飛行機観測の関係で、私はその話を伺いまして、むしろレーダー網をもっと急速に完備した方が現実的に精度が上がるのではないか、こういうふうにしろうと考え考えたわけでありますけれども、問題はいかにして精度を上げるかという現実の問題があるわけであります。気象庁長官として、やはりいくらかでも予算を持って、それで精度を上げるための道具と手段を整備しておくということが必要ではないかと思うので、気象庁長官として最も強力に推進すべきところはこうだ、その方針を伺っておきたいと思うわけであります。本国会ではその点についてまだ十分なお答えを伺っていないようであります。この際、その点についてはっきり伺いたいと思うわけでありますが、伺えたら伺いたいと思います。
  151. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 先ほども申し上げましたように、現在におきましては、第一手段としてはレーダーを完備したいと思っております。そのために三十七年度の予算にも富士山にレーダーを置くことを予定いたしております。もちろん、台風の予報は単なる一つの機械でなくて総合的のものでございます。特に各所に展開しておる観測、またはそれを受け取って処理する著たちの技術の向上と、やはり十分なる人員を置きたいというようなことも考えておる次第でございます。
  152. 牛田寛

    ○牛田寛君 予算規模について伺えたら伺いたいと思います。レーダー網の完備についての予算規模。
  153. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) ただいままでに七カ所設置されておりまして、今年度に二カ所追加されますから、九カ所になるわけでございます。三十七年度におきましては、先ほど申し上げました富士山のほか仙台、札幌にレーダーを据えつけたいと存じている次第であります。
  154. 牛田寛

    ○牛田寛君 予算の規模は大体どの程度が必要か、大体の見当が伺えれば伺いたい。
  155. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象庁企体で申しますと、三十六年度が四十九億でありまして、三十七年度に七十一億を計上いたしております。その中に台風対策、直接の台風対策でございますが、これに十億でございましたか、約その程度計上いたしております。もちろん、この進路は一番基本になるものでございますけれども、発生します災害につきましては、高潮とか雨とか、それぞれの予報がございまして、それらのためにも十分なる施設をいたしたいと思っております。
  156. 牛田寛

    ○牛田寛君 今のお答えの十億は、一般観測に対する予算ではないかと思うのですが……。
  157. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 単に台風と豪雪の対策だけでありまして、そのうちレーダーが三億、没岸防災気象業務が約一億六千万円、水害気象業務が三億九千万円、台風研究の強化が二億となっております。もちろん、これは台風の直接の問題でありまして、防災気象官とかその他電子計算機を使って計算するとか、高層観測をするとか、そういうことは別にただいまの中に入っておりません。
  158. 牛田寛

    ○牛田寛君 少しこまかくお伺いしたわけでありますが、私が日ごろ感じておりますのは、直接気象業務に携わる予報官の人たちの努力であります。特に台風の進路及び位置、その速度については、防災態勢を整える上に、最も私どもが知りたい点でありまして、その点について、やはり精度が悪い場合には、攻撃が集中するのではないかと思います。そういう点についてやはり十分な武器を与えていくことが私たちの責任ではないかと思うわけでありまして、その点についてやはりレーダー網の完備ということが、まず今までのお話からも緊急な問題ではないかと思いますし、予算規模を伺いましても、全体の規模の上からはそれはど多くない。むしろその点について、三十七年度に予算を計上されることは伺っておりますが、もう少し気象庁の長官からその点について重点的に、その予算の配分を推進されたほうがよろしいのではないか、こう考えているわけでありますが、お考えを伺っておきたいと思います。
  159. 和達清夫

    政府委員和達清夫君) 気象庁が防災の仕事をいたしております。もちろん台風がその中の第一でありますけれども豪雨もあり、豪雪もあり、その他いろいろございます。また台風の予報一つに対しましても、ほとんど気象庁全部がそれに直接間接関係しておる次第でございまして、ここに先ほどは台風直接のものを申し上げましたけれども、どこに重点という点になると非常にむずかしい問題になります。私どもは五カ年計画を作って推進いたそうと存じておりますので、それが私ども方向を示したもので、そしてそれに基づいて毎年予算を組んでおるわけでございます。先ほどお尋ねいただきました人員の点が、私ども最も苦労しておる点でございまして、最近の気象庁業務の増加と、二十四時間いつでも自然現象と取り組むという意味におきまして、現在の気象業務に働いておる人が非常に苦労しておる点を見ますと、また一方この気象庁で出します予報、警報がいかに社会に使われるかということが大事であり、その方面のことも勘定されておりませんでして、伊勢湾台風にもわずか二十七人でございましたか、防災気象官というのを認められました。私どもは少なくとも三十七年度の防災気象官八十六名は、ぜひとも、こういう仕事には置くようにしていただきたいと存じておる次第でございます。
  160. 牛田寛

    ○牛田寛君 次に科学技術庁にお伺いしたいと思います。臨時台風科学対策委員会というのが伊勢湾台風のあとで設置されたわけでありますが、中間報告が出されております。で、幾つかその必要な対策というものがうたわれておりますが、そういうものがどの程度各省関係で実行に移されているか、その点についてお伺いしたいと思います。
  161. 前田陽吉

    説明員前田陽吉君) ただいまのお尋ねでございますが、臨時台風科学対策委員会は、昨年の三月に報告を終わりまして廃止されておりますが、この報告の趣旨を体しまして、当庁におきまして、台風科学技術関係の試験研究設備等の防災研究の推進をはかったわけでございます。そのやり方としまして、私どもの科学技術庁では関係各省庁の試験研究機関の経費見積りの方針を調整するという業務がございまするが、その見積り経費の見積り方針の調整、平ったく申しますと関係各省から予算要求が出て参りまして、それにつきまして大蔵省に要求が出るわけでございまするが、当庁におきましてもその資料を当庁で受領いたしまして、それを検討評価いたしまして、大蔵省のほうに対して意見を述べまして強く推進をはかるということでございまするが、そういう方法を通じて推進をはかっておりますことが一つでございまして、その結果、三十五年度の予算におきましては、目ぼしいものだけを申し上げますと、気象研究所には台風研究部が新設されておりまするし、運輸省の運輸技術研究所の港湾水工部には水利実験のための模型が新設されております。なお、建設者の土木研究所におきまして、茨城県の鹿島に水理試験所が新設されております。なお、農林省の農地局の関係では、実験研修室平塚分室というものが新設をみております。これは目ぼしいものだけを拾っておりますが、こういうふうに関係各省庁の試験研究機関の中で、特に防災関係のものにつきましては、広く関係各省にまたがっておる性質上、総合的に私どものほうで検討を加えまして、大蔵省のほうに意見を申し述べるというふうなことをいたしております。なお、そのほか科学技術庁に昨三十五年度から特別研究促進調整費と申しまする研究の予備費のようなものでございまするが、緊急の研究であって、しかも次の年度まで待てないというもののために調整費が予算化されておりまするが、その中で三十五年度には東京湾の高潮防災特別研究のために三千五百万をこの中から支出いたしまして、気象研究所、運輸省の海上保安庁の水路部、農林省の農地局、建設省の土木研究所、こういうところの協力を得まして、総合的な研究を展開しておる次第でございます。
  162. 牛田寛

    ○牛田寛君 今度の災害では、ダムによる災害が大きく問題になって参りました。先ほど御答弁がありましたように、その内容もこまかく検討されたようでございまするけれども、当然ダムによる災害河川を中心にして総合的に、その河川状態を究明していかなければならない問題であるとすれば、科学技術庁としても、当然その河川の問題は取り上げなければならないと思うのですが、その点についてはどういう対策をお考えになっておりますか。
  163. 前田陽吉

    説明員前田陽吉君) ただいまの御質問でございまするが、河川の問題につきましては、建設省の土木研究所が大体主体でございまして、その土木研究所の概算要求も、私どものほうにいただくわけでございますので、それを通じまして、それぞれの項目につきまして、ダムも入っておりまするが、河川関係のいろいろな研究も入っております。それぞれ検討いたしまして、これは非常に推進すべきである、そういうふうな意見を大蔵省のほうに申し述べておる次第でございます。
  164. 牛田寛

    ○牛田寛君 先ほどからお話がありましたように、特に河川の問題については、各省間の関連性が非常に重要になって参ります。調節の問題にいたしましても、砂防の問題にいたしましても、降雨量とそれから計画流量の問題にいたしましても、それが予防との関連性を持って参りますし、その点についての関連性を持った科学的な統一というものが、これからはますます必要になってくると思うのです。その点について、ただ各省の予算を取って、それを配分するということでなしに、むしろ、科学的な方策をもう少し科学技術庁が中心になって進めていくべきではないかと、こう考えるわけでありますが、その点についてどのような考えなり、具体策をお持ちになるか伺っておきたいと思います。
  165. 前田陽吉

    説明員前田陽吉君) ただいま御指摘の点でございまするが、まことにごもっともでございまして、私、先ほどちょっと説明を省略いたしたのでございまするが、予算見積りの方針の調整をいたしますに際しまして、事前に各省から、予算が出る前に関係の各省の方々を、防災と申しましてもたいへん広うございまするけれども、個々の台風の問題でありまするとか、あるいは河川の問題でございまするとか、たくさんの項目にわたりまして、関係省庁の方に集まっていただきまして、それぞれのこまかい問題について明年度の対策についての連絡を、私どもが中心になりましてはかっておる次第でございます。たくさんの連絡会を開催いたしまして、そういう点で意思の疎通をはかっておるわけであります。  それから科学技術庁には資源調査会という諮問機関がございまするが、資源調査会におきましては、防災関係の多数の報告なり、勧告を科学技術庁のほうにいただいてきておりますので、そういう趣旨を尊重いたしまして、私どものほうでは総合的に各省の連絡をはかりつつ研究を推進するというふうに努めておる次第であります。
  166. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 赤間委員の御質問は、きょうはもうよろしいですか。
  167. 赤間文三

    ○赤間文三君 よろしゅうございます。     —————————————
  168. 一松定吉

    委員長一松定吉君) この際、理事辞任についてお諮りいたします。理事稲浦鹿藏君より理事辞任いたしたい旨の申し出がございました。申し出のとおり辞任を許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  次に、欠員となりました理事補欠互選を行ないます。互選は、先例により委員長において指名することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 一松定吉

    委員長一松定吉君) 御異議ないと認めます。それでは理事米田正文君を指名いたします。  本日はこの程度にて散会いたしまして、次回は明日午前十時から開会いたします。    午後二時四十二分散会