○青木一男君 私は、各省に
関係ある問題でありますが、主として自治大臣からお答えをいただきたいと思います。
六月の
梅雨前線集中豪雨のときに参議院から見舞のための議員団を派遣されまして、私もその一員となって現地を視察したのでございますが、その惨状はまことに目をおおうものがありまして、われわれは深き同情をこれにささげたわけであります。自来、
政府においてはこの対策に鋭意努力されて、
さきには
災害予算の成立を見、今回この特別立法に関する諸
法案が提出されたのでございます。先年の伊勢湾台風その他のひどい
災害の場合を先例として、また新しいこの
措置法案もできまして、罹災地
関係者の大体においてまあ御満足いただける程度の案が
提案されたと、私は考えておるものでございます。要するに、国の力でやってやらなければ、とうてい立ち上がることのできないということに、この考えの根本が立脚しておるわけでございます。それで今まで治山治水その他の
施設に予防
措置として相当国の
予算も使い、
政府も尽力してこられたのでございますが、今度の
災害を見圧して堤防なり、あるいは砂防その他の治山治水の予防
措置が相当効果を奏しておった所もありました。と同時に、とうていこの自然の大
災害にはそういう予防
措置をもってしても効果がないという点も幾多ございました。それで今後のこういう
災害に対しましては、治山治水の予防
措置を極力やると同時に、予期しない所で発生した大
災害に対しては、国の力を中心にして救済、
復旧復興してやるほかないと、こういう建前になると思うのでございまして、そういう場合に国の乗り出す
限度と申しますか、国の援助の力がこういう形でこの程度いくという先例ができたのではないかと、私は思うものでございます。これは尊い国土保全の上から見て当然そうなると同時に、やはり罹災民その他の、放っておきますれば、もう意気消沈して立ち直る力のない国民に、希望と将来の自信を与えたことになるのでございまして、私は現代政治のやはりよき面が、今後の
災害対策に現われておると確信するものでございます。ただ一点、今度のこの
特別措置法その他、
予算の面で解決されない点について私はお尋ねしたいと思うのでございます。
実は、先ほど申した
災害見舞団の一員として、私は天龍川流域の大鹿村の現地を視察したのでございますが、このときはもう長い間陸路の交通が全部遮断され、われわれはヘリコプターで参ったのでございます。そうしてこういう所に人が住んでおったかと思うような
災害地も見たのでございますが、その後こういう辺地の
災害復旧につきまして原状にこれを
復旧するということがいかにも金がかかる、その割合に効果が小ない。また二度と同じような
災害を受ける危険もあるという
地域が、相当今度の
災害で実例的に証明されたわけでございます。そこで県——天龍川流域については長男県でございますが、県当局あるいは
地方公共団体、あるいは罹災者の方面において、これではまた同じようなことで何回も
災害を受けては困るからして、集団的に部落を移住しよう、そして安全地帯へ移って
生活を建て直したほうがいいという構想でございます。私は、国が救済のために金をかけるならば、やはり効果のある金のかけ方をしたほうがいいのじゃないだろうかと思うものでございまして、こういう考え方が罹災者並びに地方
団体の間に起きた場合におきましては、国はこれに力をかして、その
災害復旧、復興の
経費が生きて働くように、また二度と
災害を受けないという、こういう国の見地から見ましても、そういう新しい構想には私は十分国として考慮を払い、力を入れていっていいんじゃないかと思いますが、今度の
予算措置あるいは立法
措置においては、その問題は解決されておりません。聞くところによりますと、長野県だけでも全部落そろって移住をしたいという希望を申し出ている部落が九つあるようでございまして、その他七割、八割方が賛成して、まとまった移住したいという部落は相当さらに多いわけでございまして、私は、これもまた新しい形態の
災害対策として
政府は十分考慮を払い、同じ金をかけるにしても、生きた金の使い方という見地から力を入れる必要があるんじゃないかと思いますが、これらについて
政府はどういうふうに考えられておるか。また、今後どういうふうな対策をとられるか。その点だけを伺っておきたいと思うものでございます。