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1961-10-19 第39回国会 参議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十九日(木曜日)    午前十時四十八分開会    ——————————  出席者は左の通り。    理事            田中 清一君            武藤 常介君            村上 春藏君            内村 清次君    委員            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            太田 正孝君            村松 久義君            木下 友敬君            武内 五郎君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   衆議院議員    木村 守江君   国務大臣    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁総合    開発局長    曾田  忠君    建設省住宅局長 齋藤 常勝君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○水資源開発促進法案内閣提出、衆  議院送付) ○水資源開発公団法案内閣提出、衆  議院送付) ○宅地造成等規制法案内閣送付、予  備審査)    ——————————
  2. 武藤常介

    理事武藤常介君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  初めに先刻の委員長及び理事打合会の結果について報告いたします。  本日の委員会におきましては、水資源法案説明聴取及び宅地造成等規制法案の質疑を行ないます。  来週以降の審査日程につきましては、二十四日にあらためて協議することにいたします。    ——————————
  3. 武藤常介

    理事武藤常介君) 次に水資源法案審査につきましては、来たる二十六日参考人を招致したいと思うのですが、ただいま理事会の結果は滋賀県知事茨城県知事及び学識経験者といたしましては委員長に一任というわけでありますが、この方面の経験のある鈴木雅治氏を一つお願いしたいと思うのでございます。さよう決することに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 武藤常介

    理事武藤常介君) 御異議がないようでありますから決定いたします。    ——————————
  5. 武藤常介

    理事武藤常介君) 次に水資源開発促進法案水資源開発公団法案、両案を一括して議題といたします。  まず政府から提案理由説明をお願いいたします。
  6. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 水資源開発促進法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近における産業の著しい発展人口増大都市への集中及び生活水準向上等により、わが国重要産業地帯では、各種の用水に対する需要が激増してきており、この傾向は今後ますます強まるものと考えられるのであります。  一方、わが国主要河川は、国土の気象上及び地形上の特色からして、年間流出量が莫大な量に達するにもかかわらず、豊水と渇水の差が激しいため、河川水利用率はきわめて低く、利根川を例にとりましても、全流出量のわずか一二%程度が利用されているにすぎない状態であります。  したがって、緊迫した水不足の事態に対処いたしますためには、積極的に水資源開発し、かつ水の合理的な使用をはからなければならないのであります。このため、水系を一貫して総合的に水資源開発利用をはかるための計画を樹立いたすことが、何よりも必要であると思うのであります。これがこの法律案を提出した理由であります。  次にこの法律案要旨を申し上げます。  第一点は、内閣総理大臣は、産業発展及び都市人口増加に伴い、水の需要の著しい増大が見られる地域に水の供給確保するため必要があるときは、水資源の総合的な開発及び利用合理化を促進すべき河川水系水資源開発水系として指定することであります。この指定については内閣総理大臣関係行政機関の長に協議し、かつ都道府県知事及び水資源開発審議会意見を聞き、なお閣議決定を経ることといたしております。  第二点は、内閣総理大臣は、指定された水資源開発水系について、水資源開発基本計画を作成するものとしたことであります。この基本計画についても関係行政機関の長に協議し、関係都道府県知事及び水資源開発審議会意見を聞き、かつ閣議決定を経ることといたしております。  第三点は、内閣総理大臣の諮問に応じ、水資源開発水系指定及び水資源開発基本計画に関する重要事項調査審議するため、総理府学識経験者をもって組織する水資源開発審議会を置くことであります。  第四点は、水資源開発基本計画と、国土総合開発計画または電源開発基本計画との調整の必要が考えられるので、この調整については、内閣総理大臣国土総合開発審議会または電源開発調整審議会意見を聞いて行なうものといたしております。  第五点は、基本計画に基づく事業は、国、地方公共団体水資源開発公団、その他の者が実施することといたしております。  第六点は、政府は、基本計画を実施するために要する経費については、必要な資金確保その他の措置を講ずることに努めるものとしたことであります。  第七点は、基本計画を実施する者は、その事業により損失を受ける者に対する措置が、公平かつ適正であるように努めるものとしたことであります。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さいますようお順いいたします。  次に、水資源開発公団法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近の川水需要増加は著しいものがあり、特に大工業地帯におきましては、産業発展都市人口増加に伴い、水に対する需要の著しい増大が見られるのでありまして、これらの地域に対する川水供給確保するためには、総合的な計画のもとに水資源開発または利用のための事業を総合的に施行するとともに、開発施設建設早期完成をはかることが肝要であると思うのであります。  本法案は、水資源開発促進法案による水資源開発基本計画に基づいて、これらの事業を総合的かつ効率的に施行する事業主体として、独立の法人格を有する特別法人水資源開発公団を設立せんとするものでございます。  以下本法律案要旨を御説明いたします。  第一に、公団目的でありますが、公団は、水資源開発促進法規定による水資源開発基本計画に基づく、水資源開発または利用のための事業を実施すること等により、経済の成長及び国民生活向上に寄与することをその目的といたしております。  第二に、公団役員として総裁、副総裁理事及び監事を置くこととし、その任期は、それぞれ四年といたしております。  第三に、公団業務でありますが、水資源開発基本計画に基づきまして、ダム、水路その他の水資源開発利用のための施設建設管理を行なうことが公団中心的業務であります。公団水資源開発施設建設を行なうにあたりましては、事業実施計画を定め、関係都道府県知事に協議するとともに、主務大臣認可を受けなければならないこととしておりますが、この下業実施計画基本となるべき事項につきましては、各主務大臣関係行政機関の長に協議するとともに、関係都道府県知事意見を聞いた上、これを事業実施方針として定め、公団に指示することにいたしております。  第四に、公団が行なう建設工事のうち、洪水防禦等のいわゆる治水目的をも有する特定施設工事についてでありますが、これにつきましては、公団は、河川法にいう河川に関する工事を行なうことができることとして、河川法第七条の原則に対する特例を設けておりますほか、特定施設建設が完了したときは、建設費用負担者等の同感を得て、建設大臣がこれを河川付属物に認定することができるようにするとともに、この場合、公団政令で定めるところにより、河川法規定に基づく地方行政庁権限の一部を行なうことができることとしているのであります。  第五に、公団施設建設に必要な費用についてでありますが、治水関係分につきましては、国と都道府県負担し、これを公団交付することになっております。  それ以外につきましては、水資源開発施設利用して、流水水道もしくは工業用水道の用に供する者、又はこの流水灌漑の用に供する農業者の組織する土地改良区が特定された場合には、これらの者が負担することにしております。なお、このいわゆる利水関係分建設に必要な費用につきましては、公団は、政府または都道府県から補助金交付または負担金の納付を受け、また必要な資金借り入れ等を行なうことができることとなっております。  第六に、公団の財務及び会計でありますが、公団予算資金計画、財務諸表、借入金、水資源開発債券等につきましては、内閣総理大臣認可または承認を受けることを要するものといたしております。  第七に、公団監督は、主務大臣がこれを行なうこととし、公団業務に関し監督上必要な命令を発し、公団事務所に対し、立ち入り検査を行ない得るようにするほか、内閣総理大臣は、主務大臣監督につき所要調整を行なうことといたしております。  最後に、附則におきまして、本法案施行期日は公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において政令で定めることとしております。  以上がこの法律案提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  7. 武藤常介

    理事武藤常介君) ただいま提案理由説明を聴取いたしました。両案につきましては、それぞれ衆議院において修正議決されておりますので、これより衆議院修正個所につきまして御説明を聴収いたしたいと存じます。
  8. 木村守江

    衆議院議員木村守江君) ただいま御提案の二法案につきまして、衆議院において修正されました点を御説明申し上げます。  水資源開発促進法の一部を次のように修正する。第一条中「産業発展」を「産業開発又は発展」に、「水の需要の著しい増大がみられる地域に対する用水供給」を「用水を必要とする地域に対する水の供給」に、「特定の」を「水源保全かん養と相まって、」に改める。第四条第三項中「及び電源開発」を「電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域開発」に改める。  次に水資源開発公団法案に対する修正であります。水資源開発公団法の一部を次のように修正する。第二十一条中「協議しなければならない。」を「協議するとともに、関係都道府県知事意見をきかなければならない。」に改める。第二十二条中、「作成し、」の下に「関係都道府県知事に協議するとともに、」を加える。  以上でありまするが、簡単に修正に至りました考え方を申し上げて御説明いたしたいと思います。  御承知のように、第一条中におきまして、この法律は、ややもすれば既設工業地帯主眼としたような傾向にありますことをおそれまして、「産業発展」を「産業開発又は発展」といたしたのであります。それから水資源保全涵養ということが最も水資源開発のために重要なることにかんがみまして、この法案中に「水源保全かん養」という文字を挿入した次第であります。それから第四条第三項中の「電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域」、これも第一条中の目的のところにうたわれていなかったおそれがありますので、この「後進地域開発」を挿入した次第であります。  次に水資源開発公団法案に対する修正でありまするが、第二十一条中並びに第二十二条中の修正は、いずれも都道府県知事意見をより一そう尊重しようというのがその主眼であります。  以上御説明申し上げます。
  9. 武藤常介

    理事武藤常介君) 次に両案につきまして逐条的に説明を願いたいと存じます。
  10. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) ただいま議題となりました水資源開発促進法案につきまして、逐条御説明申し上げます。  第一条はこの法律目的を定めたものであります。  最近における産業発展及び郡市人口増加に伴いまして、大都市等地域におきましては、急激な水の需要増大、深刻な用水の不足の事態を生じつつあるのであります。この法律は、このような傾向に対処いたしまして、別に提出いたしております水資源開発公団法案とともに、特定河川水系における水資源の総合的な開発及び利用合理化を強力に推進することをその目的とするものであります。  第二条におきましては、この法律を実施するため必要な基礎調査は、政府みずからが行なうべき旨を明確にするとともに、経済企画庁長官がその調査統一性を保つための調整に当たることといたしております。  第三条は水資源開発水系指定の要件と手続を定めております。  すなわち、内閣総理大臣は、水の需要の著しい増大が見られる地域について広域的な用水対策を緊急に実施するため、必要かつ適切な河川水系水資源開発水系として指定することといたしました。そしてその指定につきましては、関係行政機関の長との協議、関係都道府県知事及び水資源開発審議会意見聴取閣議決定等手続を経ることとしたのであります。  第四条及び第五条は水資源開発基本計画に関する規定であります。  内閣総理大臣は、水資源開発水系指定をいたしましたときは、その指定手続に準じまして、当該水資源開発水系について水資源開発基本計画決定することといたしました。そしてその基本計画におきましては、水道工業用水道灌漑等の用途別の水の需要見通し及び供給目標のほか、その供給目標を達成するために必要な施設建設に関する基本的事項等を記載することとしたのであります。  なお、治山治水及び電源開発につきましては、これらは第一条の目的に照らしまして水資源開発基本計画自体の内容とはなり得ないのでありますが、これらと水資源開発とが計画及び事業実施の上で、きわめて密接な関係に立つという事実にかんがみまして、水資源開発基本計画の作成の段階において、これらに対し十分の考慮を払うべき旨を規定したのであります。  第六条から第十条までは、総理府付属機関として設置される水資源開発審議会に関する規定であります。  この審議会学識経験者委員で組織することといたしておりますが、関係行政機関の長は自由にその会議に出席して意見を述べることができることといたしました。  第十一条におきましては、この法律による水資源開発基本計画と、国土総合開発計画または電源開発基本計画とが相互に関連し、または影響し合う点が多いと予想されますので、特に内閣総理大臣関係審議会意見を聞いてその間の調整を行なうこととしたのであります。  第十二条におきましては、水資源開発基本計画に基づく事業は、当該事業に関する法令に従いまして、国地方公共団体水資源開発公団その他が実施すべき旨を規定しております。  第十三条は、水資源開発基本計画を遂行するため、政府は必要な資金確保等措置を講じなければならないとする規定であります。  第十四条は、水資源開発基本計画に基づく事業を実施する者は、当該事業により損失を受ける者に対する措置が、公平かつ適正なものであるよう努めるべきものと定めたのであります。  なお、附則におきましては、この法律施行期日並びに総理府設置法及び経済企画庁設置法の一部一改正について、所要規定を置くことといたしました。  以上、水資源開発促進法案につきまして、条をおって御説明申し上げた次第であります。  次に水資源開発公団法案条文説明を簡単に申上げます。  第一章は、公団目的法人格事務所等に関する事項規定しております。  第一条は本公団目的規定しております。  最近の用水需要増加は著しく、特に大工業地帯におきましては、産業発展都市人口増加に伴い、水に対する需要の著しい増大が見られるのでありましで、これらの地域に対する用水供給確保するためには総合的な計画の下に、水資源開発または利用のための事業を施行するとともに、施設建設早期完成をはかることが肝要であると思うのであります。  このため、水資源開発促進法案による水資源開発基本計画に基づいて、これらの事業を総合的かつ効率的に施行する事業主体として、新たに水資源開発公団を設立することとしたのであります。  第二条は公団法人格に関する規定であります。  第三条は公団事務所設置について定めた規定であります。  第四条は公団の登記に関する規定であります。  第五条は公団でない者に対して水資源開発公団という名称を明いることを禁止する旨の規定で、取引の安全と公衆の保護をはかるための規定であります。  第六条は法人不法行為能力及び法人の住所に関する民法の規定公団に準用する旨の規定であります。  節二卓は公団役員及び職員に関する事項を定めております。  第七条は公団に置く役員の数について定めております。公団役員として、総裁一人、副総裁一人、理事八人以内及び監事二人以内を置くことにいたしております。  第八条は役員職務及び権限について定めた規定であります。  第九条は役員任命に関する規定であります。総裁及び監事は、内閣総理大臣任命することにいたし、副総裁及び理事は、内閣総理大臣認可を受けて総裁任命することにいたしております。  節十条は役員任期について定めた条文でありまして、役員任期は四年といたしております。  第十一条は役員欠格条項について規定してあります。  第十二条は役員を解任する場合について定めたものであります。  第十三条は役員兼職禁止規定であります。  第十四条は総裁及び副総裁代表権に対する制限を設けた規定でありまして、公団総裁または副総裁との利益が相反する一項については、これらの役員代表権はないものとし、最も公平な立場にある監事公団を代表することにいたしたのであります。  第十五条は代理人の選任に関する規定であります。  公団の従たる事務所業務に関し、代理人を必要とする場合が考えられますので、この規定を設けた次第であります。  第十六条は公団職員任命に関しての規定で、公団職員総裁任命することにいたしております。  第十七条は、役員及び職員の地位、職務公的性格から考えまして、刑法その他の判則適用については、法令により公務に従事する職員とみなし、涜職罪等適用を受けることにいたしたものであります。  第三章は、公団業務範囲公団に対する事業実施方針の指示、公団事業実施計画施設管理規程その他について定めております。  第十八条は公団の行なう業務範囲を定めた規定であり、次の業務を行なうことにいたしております。  第一に、公団基本的業務であります水資源開発または利用のための施設建設及び管理であります。  第二に、前記の施設についての災害復旧工事を行なうことになっております。  第三に、これらの業務に附帯する業務を行なうことになっております。  第四に、委託業務であります。業務の遂行の妨げにならない範囲内で、委託を受けて、水資源開発または利用に関する調査、測量、設計、試験及び研究を行ない、またダム等施設のうち発電にかかる部分につき電気事業者から委託を受けて建設管理災害復旧工事等を行なうことができることといたしております。  その他、内閣総理大臣認可を受けて、委託により、水資源開発または利用のための施設建設管理を行なうことができることになっております。  第十九条は、公団基本的な業務である水資源開発施設建設に関し、主務大臣事業実施方針を定め、内閣総理大臣を経て、これを公団に指示する旨の規定であります。なお主務大臣がこの事業実施方針を定めようとするときは、関係行政機関の長に協議し、関係都道府県知事意見をも聞かなければならないことにいたしております。  第二十条は公団事業実施計画に関する規定であります。  第一項においては、事業実施計画公団工事の細部にわたる計画であり、関係都道府県においても特に関心を有するものでありますので、関係都道府県知事に協議し、主務大臣認可を受けなければならないことにいたしております。  第二項は、実施計画について費用負担者意見を聞くとともに、費用負担について同意を得なければならないこととしております。  第三項は、土地改良区が前項の同意を与える場合に、総会の議決を経、かつ受益する者の三分の二以上の同窓を得なければならないものとしております。  第二十一条は、公団施設管理業務について、主務大臣は、あらかじめ、関係行政機関の長に協議して施設管理方針を定め、公団に指示できる旨の規定であります。  第二十二条は、公団施設管理規定を作成し、主務大臣認可を受けなければならないこととしております。  第二十三条は河川法特例について規定してあります。本条では公団が行なう難役工事のうち、治水目的を有する特定施設工事については、公団が、河川法にいう河川に関する工事を行なうことができる、という河川法第七条の原則に対する特例を設けておりますほか、特定施設建設が完了したときは、建設費用負担者等同意を得て、建設大臣がこれを河川付属物に認定することができるようにするとともに、この場合、公団は、政令で定めるところにより、河川法規定に基づく地方行政庁権限の一部を行なうことができることにいたしております。  第二十四条は、治水目的を有する特定施設操作に関し、洪水を防ぐため緊急の必要がある時の建設大臣指揮権について規定しております。  第二十四条は、水資源開発施設操作によって生ずる危害防止のための公団通知義務に関する規定であります。  第四章は、水資源開発施設新築改築及び管理に要する費用並びに水資源開発施設についての災害復旧工事に要する費用につきまして、その負担者及び費担方法等規定しております。  第二十六条及び第二十七条は、政令で定めるところにより、国が特定施設に関する費用の一部を交付金として公団交付すること、及び都道府県は国の当該交付金の一部を負担しなければならないこと等を定めております。  特定施設は、前述いたしましたように、洪水防御の機能の増進等をその設置目的に含む施設でありまして、従来、このような流水関係施設に関する工事につきましては、河川法規定により、国及び都道府県がその費用を分担してきたのであります。しかるに、この公団は、第二十三条の規定により、特定施設新築または改築について、河川法にいう河川に関する工事を行なうことといたしておりますので、当該特定施設新築または改築のうち洪水調節等にかかる部分工事費用は、従来どおり国及び都道府県において分担することが適当であると考えたのであります。  なお、特定施設についての災害復旧工事に要する費用につきましては、第二十七条第五項におきまして、関係都道府県に対する公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法適用上、これを同法の災害復旧事業費の総額の中に含ましめることといたしました。  第二十八条は、従来、特定多目的ダム建設工事灌漑にかかる部分が含まれる場合においては、受益者負担分都道府県知事が徴収し、これを国庫に納付するという制度が行なわれているので、公団が行なう特定施設新築または改築にあたっても、この従来の制度をおおむね踏襲しようとしているのであります。  第二十九条は、水資源開発施設利用する者に、政令で定めるところにより、当該水資源開発施設に関する費用負担させるものとする規定であります。  ここに水資源開発施設利用する者とは、流水水道もしくは工業用水道の用に供する者、または流水灌漑の用に供する者の組織する土地改良区であります。  第三十条は、公団が行なう灌漑排水にかかる事業についての都道府具の負担金に関する規定であります。  灌漑排水にかかる事業は、従来、土地改良法規定により、国営または都道府県営の灌漑排水事業に対して、都道府県がその費用の一部を負担してきたいきさつがあり、第三十条は、公団が行なう灌漑排水事業を従来の国労または都道府県営に相当するものと考えて、従来の都道府県負担制度をここに移したのであります。  第三十一条は受益者負担金規定であります。  受益者負担金は、水資源開発施設新築または改築によって著しく利益を受けた者から徴収する負担金でありまして、この例といたしましては、公団ダム新築または改築をしたことにより、その下流にある発電所の出力が著しく増加した場合等が考えられます。  第三十二条は、この章の各条に規定いたします負担金の強制徴収に関する規定であります。  第三十三条は、第二十九条の規定によって土地改良区が水資源開発施設に関する費用負担する場合、当該土地改良区がさらに最終の受益者たる組合員からその質掛金相当額を徴収し得るよう、当該負担金について土地改良法規定適用するものであります。  第五章は、公団事業年度、収支予算、決算、財務諸表、借入金及び水資源開発債券、補助金その他公団の財務及び会計に関して規定しております。  第三十四条は公団事業年度を定めております。  第三十五条は公団の予算等の認可に関する規定であります。公団は、毎事業年度、収支予算、専業計画及び資金計画を作成して内閣総理大臣認可を受けなければならないことにいたしております。  内閣総理大臣認可を受けるのは事業年度の開始前でありますが、最初の事業年度については、附則の第八条により経過規定を設けまして、公団成立後、遅滞なく作成して内閣総理大臣認可を受けることにいたしたのであります。  第三十六条は公団の決算について規定しております。  第三十七条は財務諸表に関する規定であります。  公団は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成して内閣総理大臣の承認を受けることにいたしております。  第三十八条は、公団の経常上の利益及び損失の処理の仕方について定めた規定であります。  第三十九条は、公団の借入金及び公団の発行する水資源開発債券に関する規定であります。  公団は、内閣総理大臣認可を受けて、長期または短期の借入金をし、あるいは水資源開発債券を発行することができることにいたしております。  第二項及び第三項は短期借入金の借りかえに関する規定であります。第四項以下においては、水資源開発債券に関して、債権者の保護規定、発行事務の委託政令への委任を定めております。  第四十条は、公団に対しての政府による資金の貸付及び水資源開発債券の引受に関する規定であります。  第四十一条は、政府水資源開発債券について債券保証ができることを定めた規定であります。  第四十二条は、公団の借入金及び水資源開発債券の償還計画に関する規定であります。  この償還計画は内閣総珊大臣の認可を受けなければならないことにいたしております。  第四十三条は公団に対する補助金について定めております。  政府は、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、公団に対し、施設建設費または災害復旧費の一部を補助することができることにいたしております。  第四十四条は公団業務上の余裕金の運用に関する規定であります。  第四十五条は公団の財産の処分等の制限に関する規定であります。  第四十六条は、公団の役職員の給与及び退職手当の支給の基準に関する規定であります。  第四十七条は、この法律及びこれに基く政令規定するもののほか、公団の財務及び会計に関し必要な事項は、総理府令へゆだねることにいたしたものであります。  第六章は公団に対する監督について規定しております。  第四十八条は、公団に対する主務大臣監督及び監督上の命令について定めております。  なお、本公団主務大臣は第五十五条に規定されているように内閣総理大臣、厚生大臣、農林大臣、通商産業大臣及び建設大臣となっておりますので、第三項におきまして内閣総理大臣所要調整を行ない得ることといたしております。  第四十九条は、公団に対する主務大臣の報告請求及び検査について規定しております。  第七章は、公団の解散、訴願、協議、主務大臣内閣総理大臣権限の委任及び公団に関する不動産登記法等の準用について規定しております。  第五十条は公団の解放についての規定であります。  第五十一条は訴願についての規定であります。  第五十二条、第五十三条及び第五十四条は内閣総理大臣とその他の主務大臣内閣総理大臣と大蔵大臣との協議事項について定めております。  第五十五条は主務大臣権限を定めた規定でありまして、第一に、役職員、財務会計その他管理業務に関する事項については、内閣総理大臣、第二に、洪水防御の機能または流水の正常な機能の維持と増進をその設置目的に含む多目的ダム、河口堰、湖沼水位調節施設その他の水資源開発または利用のための施設であって、政令で定めるものの建設管理等については建設大臣、第三に、前述の多目的ダム利用にかかる多目的用水路で政令で定めるものの建設管理等については建設大臣、第四に、前述の施設以外のダム、堰、水路その他の水資源開発または利用のための施設、これらの施設には多目的なものも含んでおるのでありますが、これらの建設管理については、政令で定めるところにより厚生大臣、農林大臣、通商産業大臣は建設大臣といたしております。  第五十六条は内閣総理大臣権限委任に関する規定でありますが、役員に関すること、監督命令に関すること等重要事項を除き、財務会計等の権限経済企画庁長官に委任することを予定しております。  第五十七条は、不動産登記法その他の法令については、公団を国の行政機関とみなして準用するという規定であります。  第八章は、罰則の規定でありまして、第五十八条から第六十一条までに、違反行為をした公団役員及び職員その他の者に対して必要な罰則を定めたものであります。  次に附則について御説明いたします。  附則第一条においては、この法律は公布の日から起算して六カ月をこえない範囲内において、政令で定める日から施行することにしております。  附則第二条から第五条までは公団の設立手続に関する規定であります。  すなわち、内閣総理大臣は、この法律施行の後設立委員任命し、公団の設立に関する事務を処理させることにいたしております。  設立委員は、設立の準備を完了したときは、別に内閣総理大臣により指名された総裁となるべき者に事務を引き継ぐものとしております。総裁となるべき者は、引き継ぎを受けた後設立の登記をし、公団は設立の登記の日をもって成立することになります。  附則第六条においては、本則第五条の規定による水資源開発公団という名称使用の制限に関する規定を、六カ月間を限り適用しないものとしております。  附則第七条及び第八条では最初の事業年度についての特例を定めております。  第九条から第十三条までは公団の非課税の規定であります。  第十四条以降は、公団法施行により、必要となります関連法律の一部改正に関する規定でありまして、特に第十八条において、後進地域開発に関する公共事業にかかる国の負担割合の特例に関する法律の一部を改正しまして、公団の行なう治水工事についての都道府県負担分を、補助率計算の際の事業費に算入できることといたしました。  以上をもちまして水資源開発公団法案の逐条説明を終わります。
  11. 武藤常介

    理事武藤常介君) 両案につきましての本日の審査はこの程度にいたしたいと存じますが、両案につきまして要求資料がございましたらこの際御要求を願いたいと存じますが、御都合がございましたらば、すみやかに文書によって御要求事項を御提出順いたいと存じます。    ——————————
  12. 武藤常介

    理事武藤常介君) それでは次に宅地造成等規制法案議題といたします。  前回に続きまして質疑を行ないます。質疑のおありになる方は順次御発言を願います。——それでは、宅地造成等規制法施行令案の要旨について御説明を願います。
  13. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 前回の委員会におきまして資料の提出の御要求がございましたので、お手元に二部ずつ配布申し上げたのでありますが、これらの資料について簡単に御説明申し上げます。  まず薄い方の宅地造成等規制法施行令案要旨というのがございます。これは本法に規定しておりまして、政令に委任をしている事項について、どういうような内容になるかということを、まだ検討中の点も多々ございますけれども、一応ここに列挙してみたわけでございます。  第一は、公共の用に供する施設というのは、どういうものかということにつきましては、一般自動車道、砂防設備、鉄道、軌道等というようなものを列挙いたしたい、かように考えております。  第二の宅地造成の定義に関しまして、土地の形質の変更で政令で定めるものというのがございますが、その内容はこの第二に書いてございますように一から四まで、その規模とか性質とかというものによりまして、このようなものを形質の変更として許可の対象にする、こういうことにしております。  それから第三の宅地造成工事規制区域の縦覧の規定でございます。この縦覧は、都道府県知事におきましては、当該区域を示す図書を当該区域の存する市町村の役場において、公衆の縦覧に供さなければならないというようにしようと考えております。  第四の裁決申請でございますが、これは立ち入り調査をいたしますときに損失の補償の問題がある。しかしながら協議がととのわないという場合におきましては、土地収用委員会に裁決の申請をするわけでございますが、その場合に建設省令で定める様式に従って、裁決申請書を収用委員会に提出するということを規定しようということでございます。  二章は、法律の第九条第一項で許可をいたします場合の技術的な基準でございますが、これについて、擁壁の設置あるいは擁壁の構造、擁壁を作る場合の排水をどうするかというようなことをこまかく規定いたします。さらに土圧等の計算につきましては、こういうふうにしなければならぬ、特に都道府県知事が規則で土質に応じて定めた数値をきめてよろしい、こういうことで規則にも委任するというようなことをきめております。さらに地盤の安全につきましては、地盤のゆるみや崩壊を引き起こさないようにするというようなことの規定でありますとか、あるいはまたさらに排水施設につきましては、排水施設についてどういうような設置をしなければならないか、その規模はどのようでなければならないとか、その場合の構造あるいは材料というふうなものをどうしなければならないかということを、ここにこまごまと書いたわけでございます。一々説明いたしますと長くなりますので、簡単に御説明申し上げます。  それから、第三章の設計者等と書いてありますのは、これは特に規模の大きなもの、あるいはまた性質上むずかしいものというようなものにつきましては、一定の資格を有する設計者が設計しなければならぬという法律がございますが、その場合の対象になります工事、これを第十五というところで、次のようなものがその対象になるんだということを書いてみたわけでございます。たとえば高さ二メートル以上の擁壁を設置する工事でありますとか、斜面の補強工事とか、あるいはまた面積が非常に広い宅地についての排水施設工事とか、こういうようなものを対象にいたしております。しかもその場合に設計者の資格の要件になりますことは、第十六条で列挙してございますが、これは学歴と経験年数とを大学、短期大学、あるいは高等学校というように分けまして、その両方組み合わせて一定の資格にしよう。しかしながらそれでも漏れる場合がございますので、これに準ずる者を第四号で「建設大臣が前各号と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの」というもので救っていこうというように考えております。  その次は聴聞の手続でございますが、この聴聞の手続につきましては、法律の第十三条で監督処分をいたします場合に、聴聞をしなければならないということになっております。したがいまして、政令におきましては「建設省令で定める様式の通知書を聴聞を行なおうとする日の七日前までに聴聞に係る者に送付」しておかなければならないということだけをきめまして、その他の点につきましては後ほど御説明申し上げますが、府県の規則において詳細に手続をきめるように指導いたしたい、かように考えておる次第でございます。  それから第十八の公告でございますが、これは監督処分をやりましたときの代執行の場合に、こうこうこういう行為をいたさなければならぬ、その手続につきまして都道府県の公報に掲載すると同時に、市町村の役場にも掲示して行なうのだということを規定いたしております。  それから第十九は法律の十四条第二項によりまして、届出を必要とする工事につきましては、一から四に掲げましたような大規模なもの、こういうものを届出の対象にしようというわけでございます。  それから二十、二十一、二十二につきましては、これは手数料の問題でございます。手数料につきましては、面積に応じて手数料の額をきめていきたいということが第一点でございます。  第二点は手数料についての減免の規定を設けてございます。それが第二十一に書いてございます。  それから節三点は納入方法につきまして、これは都道府県の規則で定めるものとする、こういうようなことを書いてございます。  以上簡単でございまするけれども、一応現在検討しております政令案の要旨を御説明申し上げました。  次にもう一冊の方の資料がございます、厚い方でございます。これにつきましては第一には聴聞についてどういうふうに考えているかという観点から資料を出せというお話でございましたので、ここに法律第十三条第四号の聴聞につきまして関係のある事柄を書いてみたわけでございます。  第一点は市街地改造法においてどうなっているかということでございます。市街地改造法におきましては、聴聞の手続については何らの法令上の規定はございません。  それから第二点の建築基準法におきましては、聴聞に関するこまかい規定がございまして、これは聴聞に対する請求がありましたときに、特定行政庁が期日をきめまして、場所もきめて、そうして公開による聴聞を行なうということが、こまかく規定してあるわけでございます。今回の宅地造成等規制法というものを施行する場合におきましても、このような基準法等の手続を参考にいたしまして、先ほど申し上げましたような通知に関しましては、七日前までに送付するというようなことを政令規定いたしますけれども、それ以外の詳細な手続につきましては、都道府県の規則によって基準法に準じたような手続をきめるように指導をしていきたいと考えております。  次に東京都における聴聞実例をここに詳細に掲げてございます。それから東京都の規則も掲げてございますので、ごらんを願いたいと思います。  それから資料の第二でございますが、これは十一ページでございまして、これは工事施行者、法案の第二条第六号に工事施行者という規定がございますが、工事施行者について建設業者との関係はどうなるのであるかというようなことで、資料を提出しろというようなお話でございましたので、ここに掲げたわけでございます。建築基準法にも施行者の規定がございます。それは第二条の第十八号に書いてありますように、工事施行者とは「建築物、その敷地若しくは第八十八条第一項若しくは第三項に規定する工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者をいう」とこう規定してございます。したがいまして本法案における工事施行者は基準法の場合と同じように、業者だけが対象になるのじゃなくて、みずから宅地造成を行なうという者も包含されるということになると思うのでございます。  なお、第三に書いてございますが、建設業法によりますると、建設業法というものが、建設業者とは登録を受けてこれこれのことをするということになっておりますが、工事施行者が工事の請負人である場合におきましては、建設業者がこれに該当するということになると思うのでございます。民間の宅地業者といわれる者の中には、宅地を新たに造成し、分譲するということを主たる業務としている者もあるわけでございまして、これはそのためにその中には、いわゆる建設業法でいう、今申し上げました建設業者に該当する者と、該当しない者とが出て参ります。  御参考までに昭和三十四年度に当省におきまして実施いたしました民間宅地造成事業実態調査、この表をここに掲げてございますので、これをごらん願いたいと思うのでございますが、一言申し上げますと、これは業種を分けまして、その資本金がどうなっているか、それから規模がどうなっているかということとをにらみ合わせまして表にしたものでございます。この中で土建業というのはいわゆる建設業者でございます。、宅地造成業というのは、この中に一部建設業者が含まってくるということになると思うのであります。まあ念のために申し上げますと、資本金が一千万以上というのは割合に少なうございまして、百万円というようなところが非常に多いわけでございます。それから規模におきましても一万坪以下というのがその大半を占めているというような状況になっております。  資料の第三でございますが、これは国家賠償法における従来の事件で、調査できるものを三件ばかりあげてこいというお話でございました。ここに三つの事案を列記してございます。  第一は目薬に関する事案でございまして、内容を簡単に御説明申し上げますと、厚生大臣の許可を受けて販売されておりましたところの目薬を使ったところが目がはれた。これに対しましてその許可がいけないのではないかということで、損害賠償の請求をしたわけでございます。それに対しまして判決は出ないで結局取り下げということになったわけでございまして、取り下げがどういう理由によって取り下げられたかということはわかりませんけれども、この許可ということは一定の基準に基づいて許可をいたしておりますので、その関係においては国家賠償の対象にならないという観点から、判決を待たず示談になったものと推定されるのでございます。  第二の事案は二十九ページに書いてございますが、資料三の二と書いてある点でございます。この事件は農地調整法の更新拒絶の許可出講にかかるものでございまして、地主が土地を貸しておりましたところが、これに対しまして期間がきましたので、これを更新することを拒絶する、その拒絶について許可申請をしたわけでございます。その場合に原告の主張いたしますことは、この貸借関係が使用貸借であるから拒絶は許可すべきものであるということであったわけでございますが、借りているほうの側からみますると、これは賃貸借であるということで対立したわけでございます。その対立を調整いたしますために、小作官が現地に参りまして事情を聴取し、十分に調査した上でこれは賃貸借である、したがって更新拒絶の許可申請については不許可処分にするということを決定いたしたわけでございます。それに対しまして、この原告がその不許可処分というのは間違いである、十分に調査をしないで賃貸借と認定したことは故意または過失があるのではないかということであったわけでございますが、これに対する判決は十分に調査したことであるから故意、過失は認められない、したがって原告の主張することはこれを棄却するという判決になったわけでございます。  それから第三の事案は三十九ページに書いてございますが、これも簡単に申し上げますと、窃盗事件がございまして、その窃盗の証拠物件といたしまして、自動車を警察官が押収いたしました。押収をしましたときに自動車の主たる部分を取りはずして修理中であったのでありますが、それをそのまま押収をした、そして露天にそのままさらして置いたということになったわけであります。そのために原告が、善良な管理者の注意を警察官が怠ったために、当時十万円の価格のあった自動車がスクラップ同様になって一万円の価値しかない、したがって九万円の損害賠償をすべきであるという主張をしたのでございますが、これに対しましては判決がございまして、善良な管理者の注意というものを怠っている、したがって賠償すべきであるというような判決が出たわけでございます。  以上簡単でございますが、資料の説明を申し上げたわけでございます。  本法案を最も密接な関係を持つ許可の処分につきましては、一番最初に申し上げました目薬の事件だけでございまして、これにつきましても判決がなく取り下げということになっておりますので、事実上判決のあったものはこれまでになかったということでございますので、その点を申し添えておきます。
  14. 武藤常介

    理事武藤常介君) それでは続いて質疑を行ないます。おありの方は順次御発言を願います。
  15. 田上松衞

    ○田上松衞君 さっき御説明いただいた土地造成等規制法施行令案について、第一の「公共の用に供する施設等」の中にうたっております「一般自動車道、砂防設備、鉄道、軌道等」、この「等」という意味は、「軌道等とする」と、こう書いてあるのですが、これは法文でもそうですが、この「等」という意味を御説明していただきたい。
  16. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) この要綱につきましては、最初申し上げましたようにまだ検討中の点もございますので、一応ここに例示的にあげたわけでございまして、政令を公布いたす場合におきましては、全部制限列挙をいたしますので「等」という問題は出て参りません。
  17. 田上松衞

    ○田上松衞君 第三章の「設計者等」の中の「設計者の資格」、この最後の四号のところ、「建設大臣が前各号と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの」この規定ですね、これは建設大臣がこういうものを認定する具体的な方法といいますかね、それを一つ御説明願います。
  18. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 先ほども申し上げましたように、第四号を規定いたしました趣旨は、形式的に一から三までで学歴及び経験年数を数字で規定しておりますので、それでは救われない者があるという考え方から、「前各号と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの」というふうに規定しようと、こう考えておるわけでございまして、これにつきましては、下水道法にもこれと同じような前例があるわけでございます。しからばこの認定に際してどうするかということでございますが、これは一から三までというものが、これが前提になるといいますか、基準になりまして、これと実質上は同じだけれども、形式的にはこれには当たらないというようなものを十分に検討いたしまして認定をしていく、こういうように考えておるわけでございます。
  19. 田上松衞

    ○田上松衞君 そうすると、それはたとえば検定試験みたいなことをやはり別にやるのですか。
  20. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) もう少し詳細に御説明申し上げますと、たとえば一号から三号まででございますると、外国の学校を出たというような者は入って参りません。それから特別に官側が主催するとか、あるいは特定の協会が主催するとかいう、非常に権威のある講習を経た者というようなれもこの場合に入ってこないということが考えられますので、第四号を入れた次第でございます。
  21. 田上松衞

    ○田上松衞君 そこまではわかるのですがね。そうするとそれは今お話になったようなことを、どう言えばいいのかな、そうした書類の上で認定することになるのか、実際には何か機関を設けて認定を行なわれていくのか……、
  22. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) もとより書類の上での認定になるとは思いますが、それを証するようないろいろな書類を取る、あるいはまた現実に聴取をするというようなことを両方考えておるわけでございます。
  23. 田上松衞

    ○田上松衞君 これについてはあとで、さらに、意見を持っているわけですけれども、これは後日に譲りまして、前の法案の定義のうち二条の二号です。その中で、最後のカッコうち(宅地を宅地以外の土地にするために行なうものを除く。)、これの具体的な説明を。
  24. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 第二条の第二号におきまして宅地造成の定義を規定してございますが、その中で、特に(宅地を宅地以外の土地にするために行なうものを除く。)とありますが、これはたとえて申しまするならば、宅地を道路にいたしますとか、あるいは公園にいたしますとか、そういうような場合をさすわけでございます。
  25. 田上松衞

    ○田上松衞君 御説明のとおりであれば、これを除くということが非常に不合理じゃないかと、逆な弊害が考えられるわけですが、その角度から今お尋ねしておるわけですがね。
  26. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) これを除きました理由について御説明を申し上げますと、第二条の第一号におきましても、「道路、公園、河川その他政令で定める公共の用に供する施設の用に供せられている土地」というようになっておりまして、そういうものを除外することになっております。これを除外することにいたしましたのは、公共用地の場合におきましては、管理者が明確にあるということが第一点。第三点は、たとえば道路などを作る場合におきましても、道路構造令等によりまして、施工の基準というものが明確にきまっておる。第三点は、たとえば公園なんかの場合におきましては、公園を損壊するような行為につきましては禁止するというような規定がございますので、行為の制限も行なわれておる。こういうような理由から公共用地につきましては、この法律において規制いたさないでもそれぞれの管理者において十分な規制が行なわれるということを前提にして排除したわけでございます。それと同じ思想が宅地造成の規定の中に出てきたわけでございまして、土地の形質の変更という場合におきましても、たとえば道路にいたすとか、あるいは公園にするというときにおきましては、今申し上げましたような理由で十分な規制が行なわれるから、この本法のごときものにおいてこれを特に規制する必要はない、そういう前提に立ちまして除外したわけでございます。
  27. 田上松衞

    ○田上松衞君 若干意見にわたりますけれども、今のような住宅局長の非常な善意な考え方、認識の上からいくとそれでいいんですよ、実際は。ところが先般の集中豪雨の被害に関しまして、私は横浜に起こった実例を申し上げて、ひとつ十分その内容を検討してもらいたいという注文をつけてあったわけなんです。あのことは御承知かどうか、あるいは前の局長の時代だったかもしれませんけれども、それは大蔵省の土地、物納によって大蔵省に帰属してしまった土地なんです。これをやたらに今までの借地人等にどんどん払い下げちゃったわけですよ、ところがそこへ必然道路ができちゃったわけなんだ。道路といいましてもそれはいろいろ名前のつけ方はございますけれども、事実においてはそれが一般の用に供せられる道路になってしまっています。それをおのおの払い下げを受けたところの住民は自分のところだけはよくやったんだけれども、いわゆる改造したんですけれども、大蔵省は、道路だけが残ってしまったのであるから、そんなところに手入れをしなかったわけです。そこがぶっこわれちゃったために道路の上段にも下段にもたいへんな被官をもたらしてしまった。この解決がいまだに終わっていないのですよ。だから繰り返すようですが、局長の言われるようなことで、他の法令等できちんとできるはずだけれども、そういうような目こぼしができて現実には困難があるので、私はこの機会にこの定義の中で宅地というものと宅地造成とのにらみ合わせにおいて、これはどうこうというような考え方ではなくて、実情に合わしたようなものでなければならぬのではないか。できればこういうようなカッコは削除したほうがいいのじゃないかと思うのでありますが、御意見はいかがでしょうか。
  28. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) ただいまのお話まことにごもっともでございまして、私が申し上げましたのは、法律の中におきましては、こういうような考え方をせざるを得ないということを申し上げたわけでございます。現実の問題といたしましては、まさしくおっしゃるような問題が起こるということは私どもも考えております。しかしながらこれを是正いたしますには、それぞれの分野におきまして是正していくということがやはり賢明なのではないか。特にその点につきましては、たとえば道路等につきましては、これは建設省部内でもこの法案を協議いたしましたときにもそういう点は出たわけでございまして、十分に道路の構造等についても構造令はございますけれども、今後の施工については十分にまた指導監督というものを強化していこうということを言っておるわけでございまして、確かにおっしゃるような点があるわけでございますけれども、その点につきましては、それぞれの分野において解決していく。特に法律の世界と指導行政、そういう面との調整というものを十分に考えながら遺憾のないように進めていくということが必要だと思っております。
  29. 田上松衞

    ○田上松衞君 もう一点だけ。法案の許可または不許可の通知、第十条、これは先般田中委員が触れられた問題ですけれども、「遅滞なく」という点についていろいろ問題を将来かもすことがあるのではないかと考えるので、せんだっての局長のお気持はもちろんよくわかったのですけれども、これを施行令等で何か期限を付すようなことを一つお考えになったらどうであろうと思いますけれども、どうでしょう。
  30. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) この法案を御心決いただきましてこれを執行する段階におきましては、われわれといたしましても都道府県に対する指導の十全を期さなければならないと考えておる次第であります。その際には今お話のありましたような点が起こらないように十分その指導におきまして考えていきたい、かように考えておる次第であります。
  31. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 この法律は私権を相当制限するのですね。だから地域指定する場合においてはよほど慎重にしなければいかぬと思うのですね。だからあらかじめその基準というものを定めるのは不可能なのですか。ただこういう文章で指定する場合において、災害が起こるであろうというような漫然とした抽象的なことになっておるけれども、将来こういうものは具体的に指定する場合には、指定の基準がまちまちで認定をしてくるということは建設省としてももちろん非常に監督上困るのじゃないか。大体の基準を示す御用意があるのか。
  32. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) お話のようにこれは私権の制限を伴う法律でございまして、公益と私権との調整をどこでやるかということが最大の眼目である法律でございます。したがいまして、私権の制限につきましてははっきりした基準がなければいかぬわけでございまして、それにつきましては、この法律の体系では、技術的基準というものを政令できめる。しかもその技術的基準をきめるに際しまして、われわれが考えておりますのは、先ほど資料で御説明申し上げましたような点をさらにこまかく検討いたしまして明確に数値を出していく。これはそれぞれの専門家、技術家というものの御意見によってこれまでも検討を進めておりますけれども、さらにそれを一そう進めまして、技術的に見て、これだけの基準がなければ公害は防げないという最小限度のところをきめていきたい。それを明確にしていく。それとまたもう一つは、地方の実情といいますか風土的な相違が各地区においてありますので、そういう点を考えまして、政令ではその地区々々の土質でありますとか地形でありますとか、そういうような点を考えて、規則において実情に合った事項を付加していく、あるいはまたさらに制限を加えていくというようなことも、都道府県知事権限においてやれるように政令の中で明示していきたい、かように考えております。
  33. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 それからこれは、地域を規制した場合において、地主を対象にするのか借地人はどうなるのか、そういう大きな工事を、道路上から土砂の流出するおそれのあるような施設をするという場合における規制の対象は、地主であるのかあるいは借地人であるのか、こういうことはどういう見解をとっておられますか。
  34. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) この規制をいたします場合の対象となります点につきましては、その事項につきましていろいろ違って参りますけれども、まあ第一には、宅地造成を行なうところの造成地、それは宅地造成の工事を行なう場合におきましては、宅地造成というものが対象になる。それからたとえて言いますならば、現在の宅地が、ただいま申し上げましたような基準に準じて考えてみましても、適当でないような管理状況になっているというような場合に、改善命令を出すというような場合におきましては、これはもう造成地から手が離れている場合でございますので、所有者でありますとか、あるいは現在それを占有しております借地人でありますとか、そういう者に対してその改善の措置を命じていくというふうに、事項々々によりまして変えていくつもりでございます。
  35. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 今の借地人の問題は結局既設の、宅地造成がすでに終わって、これからのそういうものはどうもあぶないから、そういう命令を出すところで生ずる問題だと思うけれども、全体としてはやはり今後宅地を造成するというような場合においては、地主を対象にしなければならぬ、こういうことですね。  それから僕はもう一つ、あまりやかましいことをやると、基準々々であるいは排水をどうするとかいうようなことで、監督官庁の思うとうり地主なり施工者がやって、そうして絶対的のものじゃないですからね、そこで災害が起きた場合における責任はだれがとるか、どうなんですか。
  36. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 今の御質問の御心配の点はまことにわれわれも法案を作る際にも考えたことでございまして、そこで問題になって参りますのは、災害というものがどういうふうな程度の災害がこの対象になるかというのが根本だと思います。これは異常災害というものを対象にいたしまして、ものごとを考えることになりますと、経済的にもあるいはまた法律的にも過重な負担を個人にかけるということに相なります。そういうようなことを一切防止するというようなことは、また困難であるというような点もございますので、ここで災害と考えておりますのは通常起り得べき災害、十年災害といいますか、二十年災害といいますか、そういうようなものを前提にいたしまして、その起り得べき災害というものを防止するということを前提にして、いろいろな基準を考えていく。こういうわけでございます。したがいまして、今お話がありましたように、私権の制限と公益維持との調整というような問題につきましては、そのような点をかみ合わせて調整をしていくという考えがこの法律の中にありまして、たとえば法律の第十六条に改善命令というのがございすまけれども、これは現在の宅地についてもこういう改善命令を出すわけでございますが、この場合におきましても、きわめてその点を厳格に規定してございまして、その著しいおそれを除去するためと申しまして、これは、災害発生のおそれが著しい場合において、その著しいおそれを除去するため必要であり、かつまた土地の利用状況等から見て相当と認められる限度において、これこれの工事をやらせるというように調整をしておるわけです。しかもその前提としての条件といたしましても、たとえば全然擁壁がないとか、あるいはあっても通常の不完全ではなくて、きわめて不完全であるというようなために、これを放置しておくと災害が発生のおそれが著しいというような場合に限定して、しかも今申し上げましたような限度内において改善命令を出すというように、私権と公益維持というものとの調整はこういう点ではかっていく、こういうふうに考えております。
  37. 岩沢忠恭

    ○岩沢忠恭君 これでは私権のもうなるべく負担を軽くする、私権に対する制限を軽くする。ですからこの規定は極端なことを言えば本当の気休めの法律じゃないか。絶対的のものじゃないんじゃないですか。ただ今まであまり野放しになっておるやつを、こういうような排水をやったりして一応の格好はついた、つかそうとこういうように地主の方がなった場合においては、この法律を作ったところの趣旨とよほどかけ離れた結果になるんじゃないですか。
  38. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) まあお言葉を返すようでまことに申し訳ありませんけれども、単に気休めということには相ならないかと思うのでございます。と申しますのは現在でも市におきまして、あるいは県におきまして条例を作って、条例で規定できる範囲内においてたとえば届け出をさせる、監督をするというようなことをやっておりましても、ある程度の防止はできておるわけでございます。  したがって強い法律を出すことによりまして、まず第一には今後行なわれる宅地造成については、一定の基準によって行なっていきますから、その限度において災害を防止するということは、まあ明らかでございまするし、それから一般的には宅地の保全等につきましても、第十五条等の注意規定がございます。あるいは精神規定ということであると思いますけれども、安全な状態に維持しなければならない。しかもそれに違反するというような場合におきましては、都道府県知事も勧告をする。しかもそれでもきかないときには改善をするというような言葉を書いてあるわけでございまして、そういうようなことをやっておりますと、まあお言葉を返すようでございますが、単純に気休めというだけではないのではないかと考えております。
  39. 小平芳平

    ○小平芳平君 がけくずれや土砂崩壊などで災害を受けたのは、今度の梅雨前線豪雨だけでなしに、神奈川県でも横須賀あるいは横浜あたりでは再三にわたってこういう災害を繰り返してきているわけです。で、そのがけくずれの実際、家が崩壊したような跡を見ましても、まあ私どもしろうとが見ると、こんなところがと思うようなところがくずれていたり、かと思うと非常に危険だなと思うようなところでも、別にくずれてはいなかったりということがよくあるわけですけれども、そういう点、先ほどの岩沢先生の質問に対してお答えになっておられました、非常に科学的な基準があって、そういう点をほんとうに防げるものか、どうなんでしょう。
  40. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 技術的な基準につきましては、これは内部でも再々検討を重ねております。しかも専門家が寄り集まって検討しておりますので、これはできると思っております。しかしながら今お話がございましたように、ここがくずれるであろうというようなところがくずれないで、ここは大丈夫だと思うようなところがくずれているというようなことは、これはやはり土質とか地形とかその他いろいろな条件によって、その土地その土地の性質が違ってくるということがありますので、画一的な基準で全国を規制するということはあやまりであろうと思います。そのために政令に委任をいたしまして、先ほど申し上げましたように、その地域々々の風土と申しますか、地形とか地質とか気象とか、そういうものを勘案いたしまして、そうしてまたこれを強くするとか緩和するとか、あるいはまた付加するとかいうような基準を地方々々によってきめていくということによりまして、これは十全が期せられるのではないかとかように考えておる次第であります。
  41. 小平芳平

    ○小平芳平君 この規制区域の指定はここに「最小限度」となっておりますけれども、これを広げてなるべく広く指定しておけば、いざというときに災害に対して安全であろう、あるいは官庁としての責任のがれもできるであろう、たとえばそういうこと言えるかどうか、台風が来そうな場合はなるべく広い範囲のとにかく住民を逃げろ逃げろといって避難させておけば、たとえ来なかったらまあ来なくてよかったということになるし、それから台風が来ればそれも相当用意周到に警報を出したのがよかったように思うわけです。この場合の指定も「最小限度」となっておりますが、どのくらいに指定されるかということがちょっとわれわれ見当つかないわけなんでございますが、ある町によってはもうほとんど町全体が規制区域に指定されはしないかというふうに感ずるのですが、その点どうでしょうか。
  42. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 指定のことにつきましては、ここに書いてございますように、最小必要限度ということにいたしましたのは、私権の制限であるからこれはみだりに乱用してはいけないという考え方から出たわけでございます。しかしながら今お話のように、責任のがれのために広くするというようなことも、これまたあってはいけない、こういうように考えておるわけでございます。その地域々々の具体的な地形、地質等によりまして、第一条に書いてあるような観点から区域をきめていくというわけでございまして、地域によってそれぞれ差は出てくると思いますけれども、たとえば私どもがこの法案を考えましたときに、これをそのまま適用してみると、一体どのような指定地域になるであろうということを、横浜市について地元と連絡をとって検討してみたことがあるわけでございます。しかしながら、これについては最終的なものではございませんから、そのとおりに指定になるかどうかわかりませんけれども、そのときにまあいろいろ相談をし……といいますか、地元の意見等も聞きましたけれども、やはり野放図に広げるということはないように見受けられます。今図面を持ってきておりますから、何でございましたら御説明を申し上げてもよろしゅうございます。この図面で申し上げますと、これは神戸で、こちらが港でございます。そこでこれが市街地でございますけれども、指定されるであろうところは、この上の線に当たります。それからこの赤の線のここまではもう密集しております。これからどんどん発展していくであろうということを予想いたしまして、このあたりが境界線になるだろうというようなことであります。横浜市のもございますが、横浜市の場合におきましては、これが港でございますけれども、この黒いところが既成市街地でございます。赤いところがいわゆる危険地域でございます。そこでここで線を引くとすれば、この赤く、こういうところが規制区域になると、こういうような形になります。この境界は、大体道路等の中心線みたいなところをわかりやすくいたしますためにとってあるというようなことであります。これはまだ最終的なものでございませんので、一応事務的にやってみればこんなところであろうかということでめどをつけたわけであります。
  43. 小平芳平

    ○小平芳平君 よくわかりましたですが、相当広範囲にわたって指定されることになるようですね。それで先ほどもお話のありました改善命令ですけれども、そういう規制区域内の宅地で改善命令を出して、そうしてその建設省の方で最初考えたような災害防止のそういうことができるかどうか、はたしてそれを強制的にやって実現される可能性について、少しあぶない点がありはしないかという点はどうでしょうか。それから特に相当家が密集している地域はともかくとして、たった一軒がけのはたにあるような、そういうような場合はどうなんでしょう。
  44. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 改善命令につきましては、法律上はこういうようなことにいたしたいと、そこで今お話のように、これがほんとうに強制できるものであろうか、法律の建前だけでこれが実施できるものであろうかどうかということは、あらゆる法律の場合に問題になるのだと思いますけれども、特に私ども懸念いたしておりますのは資金の面でございます。資金がそれだけあるかどうかということで、受ける立場においてその命令に従いたいけれども資金がない、それが一番の隘路になるのではないか、こう考えておるわけであります。これにつきましては、われわれもいろいろ検討しておるのでございますが、現在のところではそういうような融資はございません。しかし、それをいろいろ考えまして、三十七年度におきましては新しい施策として宅地の防災改修といいますか、そういうものについての融資の制度を設けたいということで、これは住宅金融公庫から貸すということで、まあ新しい施策として三十七年度に要求をいたしておるわけでございます。そういうようなものの裏づけがありますると、今お話のような懸念が第一に解消されるのではないか、こう私ども考えております。
  45. 小平芳平

    ○小平芳平君 ぜひそういう点を実現していっていただかなきゃならないと思います。  で、がけのはたで危険だとは思いながらも、ほかに土地がない。それから第一がけのはたでも土地があればまだいいほうであって、家を建てたくても土地がないという人がどのくらいあるか。相当の数に上っているんじゃないかと思います。そういう点、こういうようにして規制していくこととともに、もっと住宅政策の中でも特に用地難についてどうこれを打開していくか、という政策の根本的な問題が、同時に解決されていかなきゃならないと思います。いかがでございましょう。
  46. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) まことにおっしゃるとおりでございまして、私どもも、住宅政策というものの中で、特に宅地対策というものについて今後考えていかなければ、こういうような規制だけで一切のものが解決するとは考えておりません。そこで、われわれといたしましては、宅地政策を考える場合におきましては、何としても需要が非常に強いわけでございまするから、需要を規制するということはなかなかにおいて困難である。したがって、供給を大幅にふやしていかなければならないという観点に立ちまして、従来も住宅公団において宅地造成事業をやっておりますし、それから住宅金融公庫においても造成の融資をいたしまして、地方公共団体等でやっております。それからさらに、地方が単独の起債によりまして造成をやっておる。この三つの柱を来年度はさらにこれを伸ばしまして、そうして供給面をふやしていくということを考えていきたい。さらにまた、市街地におきましてもこれを高度に利用するということから、高層化の融資もございますので、あるいは防災街区の事業というのもございます。そういうようなものをあわせて考えていきまして、市街地内における既成宅地の再開発といいますか、高度利用といいますか、そういうものをあわせて伸ばしていきたい、こういうことで宅地政策を進めていきたいと、こう考えております。
  47. 武内五郎

    ○武内五郎君 今小平さんや岩沢さんからいろいろ防災に重点を置いた宅地造成の質問があったのですが、今まで本委員会においてしばしば、規制法の案が立案されない前に、この点に触れて再三質問があったのであります。その際も、いつも答弁は、これを行政的な指導でやっていきたいと、こう言っておりましたが、今までそういう行政的指導をとった事例なんかありますか。
  48. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 行政的指導ということで前にお話し申し上げたとそれは思います。それは、こういう法律を作らないで指導をしていこうとしますると、ひっかかりになりますのは建築基準法だけでございます。建築基準法におきましては建物の敷地ということで、こういうような規制をやるということができるわけでございますけれども、それでは建物が具体的な計画ができているときでないとどうにも指導のしようがない。そういうことで、建築基準法だけによって指導するということは困難であるということで、この法律に踏み切ったわけでございますけれども、この法律ができるまでの間におきましては、われわれも地方に指導通牒を出しまして、建築基準法の趣旨の徹底ということから考えて、その機会をとらえて十分な指導をしてもらうということでやってきているわけであります。
  49. 武内五郎

    ○武内五郎君 この法律ができ上がりまして宅地造成に関する許可申請をする場合に、もちろん設計等が添付されて提出されることになるのですね。その場合に、これはこういう設計でこういう施工をやれば危険だ、あるいは将来災害のおそれがあるというような懸念がある場合は、もちろん訂正または不許可、これは当然ですな。実は今日までの宅地造成を業とするいわゆる民間業者の宅地造成の実態を見ますと、たとえば丘陵をブルドーザーで削ってそのまま流し込んだ傾斜、その上は安全かもしれませんけれども、その傾斜等で分割して売買する。特にもっとひどいのは、宅地の希望者を案内して、ここは二千円から一万円ぐらいとこういって広告を出して、そうしてこれは八千円、これは一万円。二千円の所はどこだといって聞くと、断崖の中腹。いったいこれは宅地として使えるのかどうか。あるいはそれでもいいからほしいと言うと、もうこれは売れてしまいましたなんてでたらめなことを言っておるんですが、そういうような場合に、もちろんこれはもう設計に基づいて許可、不許可が当然出ることになると思いますが、その点はどうですか。
  50. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 今の御質問をもう少し分析して私が考えてみますると、今お話しのような宅地造成が行なわれているところは、この法案における規制区域内である場合と規制区域外である場合とで違ってくると思います。規制区域内にそういうような造成が行なわれる場合におきましては、さきほど申し上げましたように、許可を受けなければならない。しかもその許可を受けるときには、一定の技術的基準に合った設計その他でなければいけないということになっておりまするから、今後規制区域内で行なわれる造成につきましては、基準に合った災害の起こらないような造成が行なわれる。しかもその場合におきましては、完了検査をいたしまして検査済証というものを交付いたします。  したがいまして、一般のかたがこれを買われる場合におきましては、その検査済証を見せてもらうということによって、安心して買えるということになると思います。ところが、この規制区域は、あくまでも災害防止のために設定するものでございまするけれども、それ以外の地域について今お話のような点がいろいろあると思うのでございますが、その点につきましては、いわゆる宅造業者の取り締まりの問題になってくるわけでございます。それと、一般的な宅地造成をやるときに、また新たな一般的な基準というものを法律なりなんなりできめる必要があるだろうという問題になってくると思うのでございます。そこで、その取り締まり法になりますると、現在は宅造業者というものについての登録制もございませんし、ただ、それを売買する場合においては、宅地建物取引業法によりまして不正手段等をやった場合においては罰則があると、こういうような取り締まりをしているわけでございまして、まあ、規制区域内の場合と規制区域外の場合によりましてやはり違ってくる問題でございますが、今後の問題としては大きな問題だと考えておる次第でございます。
  51. 武内五郎

    ○武内五郎君 その規制地域においてはそういう災害のおそれはもう今後なくなるだろうということなんですが、今ここで資料として提出されておりまする民間業者の調査の表でありますが、これによりますると、専業としている宅地造成業者の数が多いわけです。その他不動産、土建業、公社、協会、私鉄、その他になっておりまするが、割に多いのはやはりわずか資本金百万程度の、五百万円以下の造成業者が多いわけです。そうすると、五百万という程度の会社で、将来これが安全な工事の施行をやれるという実力があるんでしょうかね。こういう点についてのやはり建設省としては何か考えがあるんですか、安全度を確保するための。
  52. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) おっしゃるように、この表におきましては百万のところでも、百五十のうちの五十二ということになっております。この実態調査は非常に抽出率の悪い調査でございまして、推定いたしますると造成業者というものは五百ぐらいあるんじゃないか。ところが、報告をとりましたときには百五十程度しか集まらなかったということで、一つの傾向として見るのには使用できますけれども、厳密な意味で使用することはなかなか困難ではないかと思っておる資料でございます。しかしながら、今お話のありましたように、資本金の少ないようなところが、ここで言うようなむずかしい規制を受けた造成工事をやることができるか、というようにお考えのようでございまするけれども、ここで、先ほど申し上げました技術的な基準ということにつきましては、決して無理なことをあまり言っているわけではございません。たとえば石を積んで練り績みをやる際に厳重にその石と石を結合するようにしなければならぬ、あるいは勾配と高さを考えて、構造計算上当然出てくる数値というようなもので擁壁を作れ。こういうことを言うわけでございますから、これは一般の土木工学的の考え方からいけば、当然の常識的の問題であります。したがって、その程度の工事ができないということはないのではないかというふうに考えております。
  53. 武内五郎

    ○武内五郎君 そこで、御承知のとおり住宅難とそれに伴うまず宅地の取得という点が、一般国民の非常に大きな希望になっているわけです。したがって、どこでもいいからということよりも、安全な住みいい宅地を取得したいというのは、これは当然な考え方です。そうなって参りまして、かりに規制されたる地域で造成されました宅地というものは、規制法に基づいてかくのごとくにりっぱな工事をやった宅地を提供いたしますから、こういうことになると、必然地価の騰貴ということがこれに伴って考えられる。ただでさえ今日まで、たとえば住宅公団が宅地を造成し、あるいはどこかで民間造成業者が宅地を造成をいたしますと、それに伴って附近一帯の地価が上昇して参ります。その点は今日までは規制できなかった。そういうようなことになって参りますると、せっかくの宅地取得の希望もつい困難な状態になるのではないか、相当また苦労して取得する状態になるのではないか。こう考えられるのですが、これはその法律の副産物だと思うのですが、そういう方面についてどういうふうな考え方でこれに対処していくのですか。
  54. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 今お話のございましたように、工事費がかかるからそれだけ地価が上がるではないかということは、そのとおりであろうと思います。しかしながら、この規制区域と申しますのは、あくまでも災害防止のため必要なところを指定していくわけでございまして、まず第一には、その区域内における宅地が安全でなければならない、そういうことを念願する法律でございますので、その点から考えて参りますると、土地を最も経済的に利用するということと、それからさらに安全を確保するための技術と申しますか、工法と申しますか、そういうことがますます進歩するということとかね合わせて考えて参りますと、経済性に乗らないという地域については、これは宅地造成は行なわれないということになってくるだろうと思います。で、それならば未利用地を活用するということで、不経済ではないかという反論もあろうかと思いますけれども、その経済よりさらに上回った公共の福祉といいますか、その災害を防止するという目的を達成することが第一でございますから、その点において経済性を阻却するというようなことがあっても仕方ない。しからば一般の宅地造成についても、もっと積極的にやるべきではないかという御見解もあると思いますけれども、それは先ほど申し上げましたような宅地対策を考えておりますので、そのほうで宅地をさらに広げる、供給増加するということによって、地価の値上がりというものを押えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。直接に地価を押えるということはいろいろこれまでも検討されましたけれども、なかなか困難であるというような見解に立っておりますので、やはり需要に対する供給を伸ばしていくということに主眼をおいて、地価抑制と申しますか、そういうことも考えて参らなければいかぬのじゃないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  55. 武内五郎

    ○武内五郎君 経済学の原則からいったら、供給が豊富であれば、したがってそれだけ価格を押えることができる、また低下させることができるというのが常識なんですけれども、こういうかりに規制を作りますと必然これはどうしても上がってくる。その場合に、たとえば今日宅地の希望者というものは月に三、四万円のところの生活者が一番多い。ところがそういう人たちはそういう今日までの状態では容易に手に入らぬ。ことにこの規制法によって規制された地域等には、これはちょっと入れない状態になってくるのじゃないかと思うのですが、そうなって参りますると何かこういうことは考えられないか。たとえば騰貴されたる部分を補うように、あるいは住宅金融公庫等からそれだけのワクを——今までのワクだけでは私は容易じゃないと思いますので、騰貴されたる部分をプラス・アルファして貸し出しをするというような政策的な考慮が払えないものかどうか。これは建設省だけではもちろんできないと思いますけれども、大蔵省、公庫等の関係があろうと思いますが、その点はどうですか。
  56. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 宅地造成をさらに伸ばしていくための融資の方策というものにつきましては、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、住宅金融公庫においても一定のワクを持ってやっておりますけれども、これはさらに来年度は大幅に伸ばしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。これは造成のため、したがって宅地を供給するための方策でございますが、今のお話の中で私が感じましたことは、やはり低所得者に対する住宅の問題ということに話がなっていくのではないかと、私は思うのでございます。そういうことに対する措置といたしましては、これはやはり宅地を与えて住宅を与えるということが一番いいでありましょうけれども、今のような時代におきましては、やはり賃貸住宅というものを相当に伸ばしていきたい。たとえてみまするならば、公営住宅でありますとか、あるいは公庫の融資による賃貸住宅であるとか、あるいは公団の賃貸住宅、そういうようなものを伸ばすことによりまして、低所得者の一番下の者からある程度の者まですき間のないように供給していくということが、一番いいことだろうとわれわれは考えております。そういう線で今後の住宅対策というものを考え、あわせて宅地難というものをそれによって解消していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  57. 武内五郎

    ○武内五郎君 その公庫の貸し出しのワクの問題はどうですか。たとえば規制されたる地域内の土地を宅地に取得しようとする場合には、それに伴って騰貴されたる部分についてプラス・アルファするとか、あるいは償還期間を延長するというような配慮が必要になってくるのじゃないかと思うのですが、そういう点の考慮はどうなんですか。
  58. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 公庫のいわゆるワクと申しますか、融資額につきましては、三十七年度におきましては取得が八百五十万坪、造成が四百八十万坪ということを考えておるわけでございます。大いに拡大をしよう、こういうわけでございます。
  59. 武内五郎

    ○武内五郎君 どうもそれでは満足できぬと思うのですが、要するに今までの法律ではだめなんです。公庫法ではだめなんです。それで法を改正するなり、あるいはその他の方法によってワクの拡大等が考えられないかどうかをお伺いしたいのです。
  60. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 宅地のいわゆる開発につきましては、現在われわれが検討を続けておりますのは、宅地開発を最も合理的に計画的に大量に、そうしていろいろな阻害する条件を除却していくというようなことで、宅地開発法といったようなものを作る必要があるのではないか、こういうようなことで現在検討をいたしておる次第でございます。
  61. 武内五郎

    ○武内五郎君 その宅地開発法というのは、実は私もねらっておったわけなんです。それで、いつごろそれは提案される見込みなんですか。
  62. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) この開発法の検討につきましては、現在住宅対策審議会の部会にも、いわゆる宅地対策というものについて根本的に、いわゆる民間の学識経験者の視野から新たに……これまでもいろいろ案はありますけれども、検討していただこうということで、現在、住宅対策審議会の宅地部会に諮問をして検討しておるわけでございます。したがいまして、そういうことで結論を得ますると、宅地開発法というものの成案がまとまると思うのでございますが、これがいつまでにできるかということにつきましては、われわれは早く作りたいということで、三十七年度に施行するように考えたいということで、われわれは検討を進めておるのでございますけれども、何分にもいろいろ問題点が累積しておりますので、そう簡単にいきますかどうか、実は内心懸念しておるというような次第でございます。
  63. 武内五郎

    ○武内五郎君 資料の提供を願いたいのですが、宅地造成業者のおもな会社なり、業者の氏名、その資本金、それから今までの施行工事のおもなもの、それから、何といいますか、契約書ですね、請負契約書、どういう内容を持っているか。
  64. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 契約書というのは……。
  65. 武内五郎

    ○武内五郎君 造成主と宅地造成業者との請負契約書です。これをひとつ委員長お願いしたい。
  66. 武藤常介

    理事武藤常介君) ただいまのは資料の御要求ですか。
  67. 武内五郎

    ○武内五郎君 はい。
  68. 武藤常介

    理事武藤常介君) 住宅局長、ただいまの資料の要求はどうです。
  69. 齋藤常勝

    政府委員(齋藤常勝君) 提出いたします。
  70. 武藤常介

    理事武藤常介君) 他にきょうの御質問はありませんですか。  それでは本日の質疑はこの程度にとどめておきまして、散会いたします。    午後一時一分散会