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政府委員(齋藤常勝君) 前回の
委員会におきまして資料の提出の御要求がございましたので、お手元に二部ずつ配布申し上げたのでありますが、これらの資料について簡単に御
説明申し上げます。
まず薄い方の宅地造成等規制法施行令案
要旨というのがございます。これは本法に
規定しておりまして、
政令に委任をしている
事項について、どういうような内容になるかということを、まだ検討中の点も多々ございますけれども、一応ここに列挙してみたわけでございます。
第一は、公共の用に供する
施設というのは、どういうものかということにつきましては、一般自動車道、砂防設備、鉄道、軌道等というようなものを列挙いたしたい、かように考えております。
第二の宅地造成の定義に関しまして、土地の形質の変更で
政令で定めるものというのがございますが、その内容はこの第二に書いてございますように一から四まで、その規模とか性質とかというものによりまして、このようなものを形質の変更として許可の対象にする、こういうことにしております。
それから第三の宅地造成
工事規制区域の縦覧の
規定でございます。この縦覧は、
都道府県知事におきましては、当該区域を示す図書を当該区域の存する市町村の役場において、公衆の縦覧に供さなければならないというようにしようと考えております。
第四の裁決申請でございますが、これは立ち入り
調査をいたしますときに
損失の補償の問題がある。しかしながら協議がととのわないという場合におきましては、土地収用
委員会に裁決の申請をするわけでございますが、その場合に
建設省令で定める様式に従って、裁決申請書を収用
委員会に提出するということを
規定しようということでございます。
二章は、
法律の第九条第一項で許可をいたします場合の技術的な基準でございますが、これについて、擁壁の
設置あるいは擁壁の構造、擁壁を作る場合の排水をどうするかというようなことをこまかく
規定いたします。さらに土圧等の計算につきましては、こういうふうにしなければならぬ、特に
都道府県知事が規則で土質に応じて定めた数値をきめてよろしい、こういうことで規則にも委任するというようなことをきめております。さらに地盤の安全につきましては、地盤のゆるみや崩壊を引き起こさないようにするというようなことの
規定でありますとか、あるいはまたさらに排水
施設につきましては、排水
施設についてどういうような
設置をしなければならないか、その規模はどのようでなければならないとか、その場合の構造あるいは材料というふうなものをどうしなければならないかということを、ここにこまごまと書いたわけでございます。一々
説明いたしますと長くなりますので、簡単に御
説明申し上げます。
それから、第三章の設計者等と書いてありますのは、これは特に規模の大きなもの、あるいはまた性質上むずかしいものというようなものにつきましては、一定の資格を有する設計者が設計しなければならぬという
法律がございますが、その場合の対象になります
工事、これを第十五というところで、次のようなものがその対象になるんだということを書いてみたわけでございます。たとえば高さ二メートル以上の擁壁を
設置する
工事でありますとか、斜面の補強
工事とか、あるいはまた面積が非常に広い宅地についての排水
施設の
工事とか、こういうようなものを対象にいたしております。しかもその場合に設計者の資格の要件になりますことは、第十六条で列挙してございますが、これは学歴と
経験年数とを大学、短期大学、あるいは高等学校というように分けまして、その両方組み合わせて一定の資格にしよう。しかしながらそれでも漏れる場合がございますので、これに準ずる者を第四号で「
建設大臣が前各号と同等以上の知識及び技能を有すると認めたもの」というもので救っていこうというように考えております。
その次は聴聞の
手続でございますが、この聴聞の
手続につきましては、
法律の第十三条で
監督処分をいたします場合に、聴聞をしなければならないということになっております。したがいまして、
政令におきましては「
建設省令で定める様式の通知書を聴聞を行なおうとする日の七日前までに聴聞に係る者に送付」しておかなければならないということだけをきめまして、その他の点につきましては後ほど御
説明申し上げますが、府県の規則において詳細に
手続をきめるように指導いたしたい、かように考えておる次第でございます。
それから第十八の公告でございますが、これは
監督処分をやりましたときの代執行の場合に、こうこうこういう行為をいたさなければならぬ、その
手続につきまして
都道府県の公報に掲載すると同時に、市町村の役場にも掲示して行なうのだということを
規定いたしております。
それから第十九は
法律の十四条第二項によりまして、届出を必要とする
工事につきましては、一から四に掲げましたような大規模なもの、こういうものを届出の対象にしようというわけでございます。
それから二十、二十一、二十二につきましては、これは手数料の問題でございます。手数料につきましては、面積に応じて手数料の額をきめていきたいということが第一点でございます。
第二点は手数料についての減免の
規定を設けてございます。それが第二十一に書いてございます。
それから節三点は納入方法につきまして、これは
都道府県の規則で定めるものとする、こういうようなことを書いてございます。
以上簡単でございまするけれども、一応現在検討しております
政令案の
要旨を御
説明申し上げました。
次にもう一冊の方の資料がございます、厚い方でございます。これにつきましては第一には聴聞についてどういうふうに考えているかという観点から資料を出せというお話でございましたので、ここに
法律第十三条第四号の聴聞につきまして
関係のある事柄を書いてみたわけでございます。
第一点は市街地改造法においてどうなっているかということでございます。市街地改造法におきましては、聴聞の
手続については何らの
法令上の
規定はございません。
それから第二点の建築基準法におきましては、聴聞に関するこまかい
規定がございまして、これは聴聞に対する請求がありましたときに、
特定行政庁が期日をきめまして、場所もきめて、そうして公開による聴聞を行なうということが、こまかく
規定してあるわけでございます。今回の宅地造成等規制法というものを施行する場合におきましても、このような基準法等の
手続を参考にいたしまして、先ほど申し上げましたような通知に関しましては、七日前までに送付するというようなことを
政令で
規定いたしますけれども、それ以外の詳細な
手続につきましては、
都道府県の規則によって基準法に準じたような
手続をきめるように指導をしていきたいと考えております。
次に東京都における聴聞実例をここに詳細に掲げてございます。それから東京都の規則も掲げてございますので、ごらんを願いたいと思います。
それから資料の第二でございますが、これは十一ページでございまして、これは
工事施行者、
法案の第二条第六号に
工事施行者という
規定がございますが、
工事施行者について
建設業者との
関係はどうなるのであるかというようなことで、資料を提出しろというようなお話でございましたので、ここに掲げたわけでございます。建築基準法にも施行者の
規定がございます。それは第二条の第十八号に書いてありますように、
工事施行者とは「建築物、その敷地若しくは第八十八条第一項若しくは第三項に
規定する工作物に関する
工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの
工事をする者をいう」とこう
規定してございます。したがいまして本
法案における
工事施行者は基準法の場合と同じように、業者だけが対象になるのじゃなくて、みずから宅地造成を行なうという者も包含されるということになると思うのでございます。
なお、第三に書いてございますが、
建設業法によりますると、
建設業法というものが、
建設業者とは登録を受けてこれこれのことをするということになっておりますが、
工事施行者が
工事の請負人である場合におきましては、
建設業者がこれに該当するということになると思うのでございます。民間の宅地業者といわれる者の中には、宅地を新たに造成し、分譲するということを主たる
業務としている者もあるわけでございまして、これはそのためにその中には、いわゆる
建設業法でいう、今申し上げました
建設業者に該当する者と、該当しない者とが出て参ります。
御参考までに昭和三十四年度に当省におきまして実施いたしました民間宅地造成
事業実態
調査、この表をここに掲げてございますので、これをごらん願いたいと思うのでございますが、一言申し上げますと、これは業種を分けまして、その資本金がどうなっているか、それから規模がどうなっているかということとをにらみ合わせまして表にしたものでございます。この中で土建業というのはいわゆる
建設業者でございます。、宅地造成業というのは、この中に一部
建設業者が含まってくるということになると思うのであります。まあ念のために申し上げますと、資本金が一千万以上というのは割合に少なうございまして、百万円というようなところが非常に多いわけでございます。それから規模におきましても一万坪以下というのがその大半を占めているというような状況になっております。
資料の第三でございますが、これは国家賠償法における従来の事件で、
調査できるものを三件ばかりあげてこいというお話でございました。ここに三つの事案を列記してございます。
第一は目薬に関する事案でございまして、内容を簡単に御
説明申し上げますと、厚生大臣の許可を受けて販売されておりましたところの目薬を使ったところが目がはれた。これに対しましてその許可がいけないのではないかということで、損害賠償の請求をしたわけでございます。それに対しまして判決は出ないで結局取り下げということになったわけでございまして、取り下げがどういう
理由によって取り下げられたかということはわかりませんけれども、この許可ということは一定の基準に基づいて許可をいたしておりますので、その
関係においては国家賠償の対象にならないという観点から、判決を待たず示談になったものと推定されるのでございます。
第二の事案は二十九ページに書いてございますが、資料三の二と書いてある点でございます。この事件は農地
調整法の更新拒絶の許可出講にかかるものでございまして、地主が土地を貸しておりましたところが、これに対しまして期間がきましたので、これを更新することを拒絶する、その拒絶について許可申請をしたわけでございます。その場合に原告の主張いたしますことは、この貸借
関係が使用貸借であるから拒絶は許可すべきものであるということであったわけでございますが、借りているほうの側からみますると、これは賃貸借であるということで対立したわけでございます。その対立を
調整いたしますために、小作官が現地に参りまして事情を聴取し、十分に
調査した上でこれは賃貸借である、したがって更新拒絶の許可申請については不許可処分にするということを
決定いたしたわけでございます。それに対しまして、この原告がその不許可処分というのは間違いである、十分に
調査をしないで賃貸借と認定したことは故意または過失があるのではないかということであったわけでございますが、これに対する判決は十分に
調査したことであるから故意、過失は認められない、したがって原告の主張することはこれを棄却するという判決になったわけでございます。
それから第三の事案は三十九ページに書いてございますが、これも簡単に申し上げますと、窃盗事件がございまして、その窃盗の証拠物件といたしまして、自動車を警察官が押収いたしました。押収をしましたときに自動車の主たる
部分を取りはずして修理中であったのでありますが、それをそのまま押収をした、そして露天にそのままさらして置いたということになったわけであります。そのために原告が、善良な
管理者の注意を警察官が怠ったために、当時十万円の価格のあった自動車がスクラップ同様になって一万円の価値しかない、したがって九万円の損害賠償をすべきであるという主張をしたのでございますが、これに対しましては判決がございまして、善良な
管理者の注意というものを怠っている、したがって賠償すべきであるというような判決が出たわけでございます。
以上簡単でございますが、資料の
説明を申し上げたわけでございます。
本
法案を最も密接な
関係を持つ許可の処分につきましては、一番最初に申し上げました目薬の事件だけでございまして、これにつきましても判決がなく取り下げということになっておりますので、事実上判決のあったものはこれまでになかったということでございますので、その点を申し添えておきます。