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1961-10-17 第39回国会 参議院 建設委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十六年十月十七日(火曜日) 午前十時三十四分開会 ――――――――――
委員
の移動 十月十三日
委員徳永正利
君、
青田源太
郎君及び
井川伊平
君辞任につき、その 補欠として
小沢久太郎
君、
村松久義
君 及び
太田正孝
君を議長において指名し た。 ――――――――――
出席者
は左の
通り
。
委員長
後藤
義隆
君
理事
田中
清一君 武藤 常介君
村上
春藏
君 内村 清次君
委員
稲浦
鹿藏
君 岩沢
忠恭
君
太田
正孝君 米田 正文君
田中
一君 武内 五郎君
田上
松衞
君 小平 芳平君
村上
義一君 国務大臣 建 設 大 臣 中村 梅吉君
政府委員
建設省住宅局長
齋藤
常勝
君
事務局側
常任委員会専門
員 武井 篤君 ―――――――――― 本日の会議に付した案件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
宅地造成等規制法案
(
内閣送付
、予 備審査) ――――――――――
後藤義隆
1
○
委員長
(
後藤義隆
君) ただいまから
建設委員会
を開会いたします。 初めに、先刻の
委員長
及び
理事打合会
の結果について御報告いたします。まず、本日の
委員会
についてでありますが、
宅地造成等規制法案
の
逐条説明
の
聴取
、続いて
質疑
を行ないたいと存じます。 ――――――――――
後藤義隆
2
○
委員長
(
後藤義隆
君) 次に、
参考人
の
出席要求
についてお諮りいたします。
宅地造成等規制法案
につきまして、来る二十四日、
参考人
の
意見
の
聴取
をいたしたいと存じますが、さよう決することに御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
後藤義隆
3
○
委員長
(
後藤義隆
君) 御
異議
がないと認めます。それでは、
参考人
の
人選等
につきましては
委員長
に御一任願います。 ――――――――――
後藤義隆
4
○
委員長
(
後藤義隆
君)
宅地造成等規成法案
を
議題
にいたします。逐条的に
補足説明
をお願いいたします。
齋藤常勝
5
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) ただいま
議題
となりました
宅地造成等規制法案
につきまして
逐条説明
を申し上げます。 第一章総則といたしましては、第一条は、この
法律
の
目的
を定めたものでございます。
市街地
または
市街地
となろうとする
土地
の
区域
内において、
宅地造成
に伴い、がけくずれ又は
土砂
の
流出
による
災害
の
発生
することを
防止
することを
目的
とし、その
目的
を達成するため、
宅地造成
に関する
工事等
について、
災害
の
防止
のため必要な
規制
を行なうための
規定
を定めることといたしております。 第二条は、この
法律
において使用している特別の用語の定義を掲げてございます。 第一号は、
宅地
について定めてございます。
宅地
とは、農地、
採草放牧地
及び森林並びに道路、公園、河川その他
政令
で定める
公共施設
の用に供せられている
土地
以外の
土地
をいうことといたしております。 第二号は、
宅地造成
について定めてございます。
宅地造成
とは、
宅地
以外の
土地
を
宅地
にするため、又は
宅地
において行なう
土地
の
形質
の
変更
で
政令
で定めるものをいうことといたしております。 第三号は、
災害
について定めてございます。この
法律
でいう
災害
とは、がけくずれまたは
土砂
の
流出
による
災害
に限定いたしております。 第四号は、
設計
について定めてございます。
設計
とは、その者の
責任
において、
宅地造成
に関する
工事
を実施するために必要な
図面
及び
仕様書
を作成することをいうことといたしております。 第五号は、
造成主
について定めてございます。
造成主
とは、
宅地造成
に関する
工事
の
請負契約
の
注文者
、または
請負契約
によらないでみずからその
工事
を
施行
する者をいうことといたしております。 第六号は、
工事施行者
について定めてございます。
工事施行者
とは、
宅地造成
に関する
工事
の
請負人
、または
請負契約
によらないでみずからその
工事
をする者をいうことといたしております。後者の場合においては、第五号の
造成主
と
工事施行者
とを兼ねることになるわけでございます。 第二章は
宅地造成工事規制区域
についての
規定
でございます。 第三条は、
宅地造成工事規制区域
、以下
規制区域
と略称して申し上げますが、その
区域
の
指定
の要件及びその
手続
について定めてございます。 第一項は、
建設大臣
が
規制区域
として
指定
することができる
土地
の具備すべき
条件
、及びその
手続
きを定めたものでございます。この
法律
は、
宅地造成
に伴い生ずる
災害
を
防止
することを
目的
といたしておりますから、そのような
災害
の生ずるおそれの著しい
市街地
または
市街地
となろうとする
土地
の
区域
を
規制区域
として
指定
することといたしております。その
指定
は、
関係都道府県
の
申出
によることとし、
地方自治法
第二百五十二条の十九第一項の
指定都市
、いわゆる
五大市
でございますが、その
指定都市
におきましては、その
指定都市
の
申出
によることと定めてございます。以下
都道府県
または
都道府県知事
と申したときは同様でございます。その
申出
の際には、あらかじめ
市町村
の長の
意見
を聞かなければならないこととして、
市町村
の
意見
を十分に反映させることといたしてございます。 第二項は、
前項
の
指定
は、
規制区域
内の
土地
の
形質
の
変更
が制限されるなどの私権の制限を伴うものでございますので、
規制区域
の
指定
は、この
法律
の
目的
を達成するため
必要最小限度
のものとしなければならない旨を定めたものでございます。 第三項は、
規制区域
の
指定
は官報に告示することによって行なうことを定めてございます。 次に第四条は、
規制区域
の
指定
またはその
申出
のため、
測量
または
調査
を行なう必要がある場合には、
建設大臣
もしくは
都道府県知事等
が、
他人
の占有する
土地
に立ち入ることができること、及びその
手続
について定めてございます。
住宅地区改良法
、
地すべり等防止法等
にほぼ同一の
規定
がございます。 第五条は、
測量
または
調査
を行なうにあたって、必要な
障害物
の伐除及び
試掘等
を行なう場合には、
市町村長等
の
許可
を要すること及びその他所要の
手続
を定めてございます。前条と同じく、
住宅地区改良法等
と同様の
規定
であります。 第六条は、
他人
の占有する
土地
に立ち入る場合、または
障害物
の伐除もしくは
試掘等
を行なう場合に携帯すべき
身分証明書
または
許可証
について定めてございます。 第七条は、
測量
及び
調査
に必要な立ち入り、
障害物
の伐
除等
に伴う損失の
補償
について定めてございます。 第三章は
宅地造成
に関する
工事等
の
規制
でございまして、第八条は、
規制区域
内において
宅地造成
に関する
工事
を行なおうとする
造成主
は、
都道府県知事
の
許可
を受けなければならないことを定めてございます。 第二項は、
都道府県知事
は、
許可
の
申請
にかかる
宅地造成
に関する
工事
の計画が次条の
規定
に適合しないと認めるときは、
許可
してはならないことを定めてございます。 第三項は、
都道府県知事
は、
宅地造成
に関する
工事
の
許可
をする際には、
災害
を
防止
するため
工事
中の安全
措置
等必要な
条件
を附することができることを定めてございます。 第九条は、
規制区域
内で行なわれる
宅地造成
に関する
工事
は、
政令
で定める
技術的基準
に従い、
擁壁
、
排水施設
の
設置等災害
を
防止
するため必要な
措置
が講ぜられたものでなければならない旨を定めてございます。なお、
政令
でその
技術的基準
のうち
都道府県
の
規則
に委任した事項に関しまして、
都道府県知事
が
規則
を定めたときは、その
規則
に従ったものでなければならないことと定めてございます。 第二項は、
前項
の
規定
により講ずべきものとされる
措置
のうち、大
規模
でむつかしいものは、
一定
の
資格
を有する舌の
設計
によらなければならないことと定めて、
工事
の
安全性
を確保しようといたしてございます。なお、
設計者
の
資格
については
政令
で定めることといたしてございます。 第十条は、
宅地造成
に関する
工事
の
許可
の
申請
があった場合における
都道府県知事
のなすべき
処分
及び通知の方法について定めてございます。 第十一条は、国または
都道府県
が
規制区域
内でみずから
宅地造成
に関する
工事
を行なう場合の特例について定めてございます。 第十二条は、
許可
にかかる
工事
が完了した
造成主
は、
都道府県知事
から
工事完了
の
検査
を受けなければならないことを定めてございます。 第二項は、
検査
に合格していると認めたときは、
検査済証
を交付すべきことを定めてございます。 第十三条は、
都道府県知事
が行なう
監督処分
について定めてございます。 第一項は、
都道府県知事
は、偽りその他不正な手段により
宅地造成
に関する
工事
の
許可
を受けた者またはその
許可
に附した
条件
に違反した者に対して、その
許可
を取り消すことができることを定めてございます。 第二項は、
都道府県知事
は、
宅地造成工事規制区域
内で行なわれている
宅地造成
に関する
工事
で、
許可
を受けないもの、
許可
に附した
条件
に違反したもの、及び
宅地造成
に伴う
災害
を
防止
するため必要な
措置
の講ぜられてないものについては
当該造成主
、
当該工事
の
請負人
または
現場管理者
に対して、
工事
の
施行
の停止を命じ、または
擁壁
もしくは
排水施設
の
設置
、その他
宅地造成
に伴う
災害
の
防止
のため必要な
措置
をとることを命ずることができることを定めてございます。 第三項は、
宅地造成
に関する
工事
が完了した
宅地
で、
都道府県知事
の
許可
もしくは
検査
を受けなかったもの、または
宅地造成
に伴う
災害
の
防止
のため必要な
措置
の講ぜられていないものについては、
都道府県知事
は、その
宅地
の
所有者
、
管理者
もしくは
占有者
または
造成主
に対して、
当該宅地
の使用を禁止し、もしくは制限し、または
擁壁
もしくは
排水施設
の
設置
その他
宅地造成
に伴う
災害
の
防止
のため、必要な
措置
をとることを命ずることができることを定めてございます。 第四項は、
都道府県知事
が、前三項の
処分
または
命令
を行なおうとする場合においては、
聴聞
を行なわなければならないことを定めてございます。 第六項は、
都道府県知事
が
措置命令
を発する者を確知できない場合における代
執行
について定めてございます。 第十四条は、
宅地
や
宅地造成
に関する
工事
の実情を把握しておくため、
規制区域
内の
宅地
において、
規制区域指定
の際、現に行なわれている
宅地造成
に関する
工事
の
造成工
、及び
擁壁
または
排水施設
に関する
工事
その他
政令
で定める
工事
を行なおうとする者、並びに
宅地
以外の
土地
を
宅地
に転用した者は、それぞれ
一定
の
期間
内に、
都道府県知事
にその旨を届け出なければならないことを定めてございます。 第十五条は、
規制区域
内の
宅地
の
所者等
は、
宅地造成
に伴う
災害
が生でないよう、その
宅地
を常時安全な
状態
に維持するように努めなければならないこと、及び
都道府県知事
は、
規則区域
内の
宅地
について、
宅地造成
に伴なう
災害
の
防止
のため必要があると認める場合は、その
宅地
の
所有者等
に対して、
宅地造成
に伴なう
災害
を
防止
するため、必要な
措置
をとることを勧告をすることができることを定めてございます。 第十六条は、すでに造成された
宅地
に対する
改善命令
について定めたものでございます。 すなわち、第一項におきまして、
都道府県知事
は、
規制区域
内の
宅地
で、
宅地造成
に伴なう
災害
の
防止
のため必要な
擁壁
または
排水施設
が
設置
されていないか、またはきわめて不完全であるため、これを放置しておけば、
災害
の
発生
のおそれが著しいものについて、その著しいおそれを除去するため、必要であり、かつ
土地
の
利用状況等
からみて、相当な
限度
で
宅地所有者等
に対して、
擁壁
もしくは
排水施設
の
設置等
の
工事
をすることを命ずることができることとして、危険な
状態
を放置すれば
災害
の生ずることが明らかな
宅地
について、安全を確保する
措置
を講ずることができることといたしております。 第二項は、
前項
の場合において、
都道府県知事
は、
宅地所有者等
以外の者の
行為
、たとえば隣地における
土地
の
形質変更等
により、
宅地造成
に伴なう
災害
の
発生
の著しいおそれが生じたことが明らかな
宅地
について、その
行為
をした者に
工事
をさせることについて、その
宅地所有者等
に
異議
がないときには、その
行為
をした者に対して必要な
措置
をとらせることができることとして、その
行為
をしない
宅地
の
所有者等
に過重の負担をかけることのないように、均衡をはかることといたしてございます。 第三項は、
前項
の場合における
聴聞
及び代
執行
について定めてございます。 第十七条は、
都道府県知事
またはその命じた者、もしくは委任した者が、
許可
、
監督権限等
の
権限
を行なうために必要な
限度
で、
規制区域
内の
宅地
に立ち入り、
当該宅地
または
当該宅地
で行なわれている
宅地造成
に関する
工事
の
状況
を
検査
することができる旨、及びその
手続等
について定めてございます。 第十八条は、
都道府県知事
が、
規制区域
内の
宅地所有者等
から、
当該宅地
又は
当該宅地
において行なわれている
工事
の
状況
について、報告を求めることができることを定めてございます。 第四章は雑則でございますが、そのうちの第十九条は、第八条第一項の
許可
の
申請
をしようとする者は、三万円をこえない金額の
範囲
内において、
政令
で定める額の
手数料
を納めなければならないことといたしております。 第二十条は、
市町村
が、
都道府県知事
に
規制区域
内の
宅地造成
に伴う
災害
の
防止
に関し
意見
を申し出ることができることとして、
市町村
の
意見
が
都道府県知事
に反映することとしてございます。 第二十一条は、
都道府県知事
のした
処分
または
命令
に対する訴願について定めてございます。 第二十二条は、この
法律
の実施のため必要な
規定
を
政令
で定めることができる旨を定めてございます。 第五章は、罰則について定めてございます。 附則につきましては、第一項は、この
法律
の
施行
の日について定めてございます。 第二項の
建設省設置法
の一部
改正
は、
宅地造成等規制法
の
施行
に関する
事務
を
建設本省
の
所掌軍務
に加えたものでございます。 第三項の
建築基準法
の一部
改正
は、
規制区域
内において、
都道府県知事
の
許可
を受けて
工事
を
施行
する
擁壁
については、
建築基準法
の
確認等
に関する
手続等
の
規定
は適用しないことと改めたものでございます。 以上でこの
法律案
の
逐条ごと
の
説明
を終わりますが、十分御
審議
の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
後藤義隆
6
○
委員長
(
後藤義隆
君) これより
質疑
を行ないます。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
田中一
7
○
田中一
君
政令
ができていますか。できていたら出してほしい。
齋藤常勝
8
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
政令
につきましては、大体の原案は今できておるのですが、まだ検討している点もございます。
田中一
9
○
田中一
君 検討しているなら検討している中の草案でいいから出していただきたい。
齋藤常勝
10
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 提出いたします。
田中一
11
○
田中一
君 それから
委員長
に一任するという
参考人
はどういう
人たち
をどういう観点からお呼びになるのか、ひとつ議事録つけてもつけないでも
説明
していただきたいと思います。
後藤義隆
12
○
委員長
(
後藤義隆
君) ちょっと
速記
とめて。 〔
速記中止
〕
後藤義隆
13
○
委員長
(
後藤義隆
君) それでは
速記
をつけて。
田中一
14
○
田中一
君 それからこの第十三条の4の
聴聞
を行なうということの
範囲
は、これは
政令
できめるわけでも何でもない、何かわからぬ僕には。
聴聞
を行ならというのだが、
聴聞
を受けるのは、いわゆるだれからどういうものを受けるということなのか、これはどういう形で
聴聞会
を設けようとしているのか、それ、一応その考え方があるなら、それも
資料
で出していただきたい。
齋藤常勝
15
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
資料
を提出いたします。
田中一
16
○
田中一
君 それから二条の六、
工事施行者
、これが
請負人
という言葉を使っているけれども、われわれの
通念
として
請負人
というと、
建設業者
というように
通念
を持つのですね。で、それは
建設業法
とのどういう
関係
を持つのか、もしも
建設業法
との関連があるならば、はっきりと
建設業者
と書けばいいのであって、ここに
請負人
とだけと響いている理由が明らかでないから、これも何か根拠があるなら
資料
で出して下さい。現に
建設業法
という
法律
があって
建設業者
というものがきまっているのですが、これは大体
目的
も性格も
範囲
もすっきりきまっているのです。しかしながらここに初めて
工事施行者
としての
工事請負人
ということになっている。従ってこれは新しくどういうものを作ろうとするのか、
業者
を作ろうとするのか、
業者
でないだれでもいいのか、その点が明確でないからこれもひとつ答弁じゃなくて出して下さい。
齋藤常勝
17
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) はい。
田中一
18
○
田中一
君 それから九条の2、「
政令
で定める
資格
を有する者の
設計
」、これもいろいろ
建築
の方の
技術家
の方は
建築士法
とかあるけれども、これは
建設
じゃなくてまあ
通念
として考えられる
土木工事
なんだが、これはそうすると、どういう者を考えて新しいそういう
資格
をきめるということになるのか、そんなことを一方的に
政令
できめるということでいいのか、これはなかなか問題があるのですよ。従って何を脅えているかですね、これも
資料
で出していただきたい、一応。
齋藤常勝
19
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
資料
を提出いたします。
田中一
20
○
田中一
君 それから大体この
法律
は、
許可
の
宅地造成
の
工事
、それから
建築基準
、
技術基準等
はこれはどういうものを出すか、一ぺん拝見しますが、
基準
があると思いますが、これを明らかにしていただくために
資料
を出していただきたい。
齋藤常勝
21
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 提出いたします。
田中一
22
○
田中一
君
建築基準法
では
許可日数
というものがきまっている。届けを出して
許可日数
をきめておる。これはきめておらぬ。これは新しくそういう方向で
許可
というものをきめようとするのか。
建築基準法
では一週間以内とか二週間以内ときめておる。これは一年たっても二年たっても
許可
しないこともすることもあり得ると解釈できるけれども、
政令
に何も委任していないなら、その点は義務づけて下さい、一年も二年もかかっちゃ困る。
齋藤常勝
23
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 本法におきましては、第十条に「
都道府県知事
は、第八条第一項の
許可
の
申請
があった場合においては、
遅滞
なく、
許可
又は不
許可
の
処分
をしなければならない。」という
規定
がありまして、
遅滞
なくやるということになっております。
田中一
24
○
田中一
君
遅滞
なくということは、
図面
上の
条件
さえ合えば
許可
するということなのか、あるいは現在何十万坪という
土地造成
の
申請
があった場合、
遅滞
なくというのは一年か二年かわからぬ。
遅滞
なくというあいまいなことでなく、
建築基準法
では、はっきりこれこれのものは一週間以内、二週間以内、三週間以内とこうなっている。それとこれとの
許可条件
というものは異なっておるから伺っておる。
遅滞
なくというあいまいなことでなくはっきりして下さい。
齋藤常勝
25
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) おっしゃる
通り建築基準法
におきましては二十一日という
期間
がございますけれども、今お話しのございましたように
図面
だけで
許可
するということのできない場合もございます。実地を十分に
調査
した上でなければ
許可
ができないということがございますので、
遅滞
なくというようなことで、できるだけすみやかに
許可
または不
許可
の
処分
をするように考えたわけでございまして、
遅滞
なくと申しますときには、われわれ考えておりますのはすみやかにということよりは若干おくれると思いますけれども、おくれることがないようにというような
程度
の意味でございまして、今申し上げましたように
基準法
では二十一日というふうに
規定
しておりますけれども、二十一日以内に確認できないときには
責任
が不明確になるということを考えまして、本条では期日をきめなかったのでありますが、われわれは大体
建築基準法並み
というようなことで運用して参りたいと、このように考えておるのであります。
田中一
26
○
田中一
君 それから
許可
をされた
土地造成
事業なり、それから
現場
の
監督
を再三再四行なって、大
規模
なものあるいは非常な危険を伴うものは、
基準
どおりいっているかどうかという
現場
の
検査
を何回かするでしょう、重いもの軽いものについて。それでなおかつ崩壊した場合には、これは
損害補償
の
責任
はどこにあるんですか。それで、
行政
上の
責任
あるいは財産上の
責任補償
、それから
不可抗力
的なものはどういう工合に判定するのか。
神戸
のような場合を見ても、はなはだ迷惑な話なんですよ。下で何人か、五人も六人も死んでいる。そんな危険なところにあって再びそこに住めないようになると、大きな
責任
があると思う、その点は明確になっておらぬ。一体、
許可
したということは、その
許可
した者の
責任
になるのか、
損害補償
はそのときどうなるのかという点は、どこで明らかになりますか。
齋藤常勝
27
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) ただいまの御
質問
は、
許可
をいたしまして、その
あと
でがけくずれが起ったという場合に、
許可
しました
都道府県
の
責任
はどうなるのかというような御
質問
と考えます。結論的に申しますと、一般的には
知事
には
責任
がないというふうに考えております。もしかりにありとしますと、どういう場合にあるかということになりますと、
許可
とかあるいは
監督
、
検査
に当たりました
職員
が、
故意
または
過失
によりまして、
法律
上許されていないところの
技術的基準
の
状態
を、否認しまして、それが
原因
となりまして
災害
が起こったという場合におきましては、これは
国家賠償法
の
規定
によりまして、国または
都道府県
が
賠償責任
を負うということが考えられます。この場合におきましても、その
職員
の
故意
または
過失
というものと、起こりました
災害
との
因果関係
というものが問題になりまして、その
因果関係
がきわめて明確であるということが証明された場合におきましては、
国家賠償
の問題が生ずると思うのでございます。なお、国といたしましては、その
職員
に
故意
または
過失
があった場合におきましては、その
職員
に対しまして
求償権
を発動するというような格好になっております。
田中一
28
○
田中一
君
資料
を要求します。
国家賠償法
で
判決
の出た事件の、提訴から
判決
までの判例を十ぐらい出して下さい。
齋藤常勝
29
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) そのような
資料
をもちろん
調査
いたしますが、はたして十あるかどうか、特に
宅地
に関しましてのそういう問題があるかどうかにつきましては、ちょっとこの席では御答弁いたしかねますけれども、御
要望
に沿うようにできるだけ
調査
いたします。
田中一
30
○
田中一
君 御
要望
に浴うようにじゃない。絶対に出さなければこの
審議
は進みませんよ。なぜかというと、考えてごらんなさい。すべてあなた方は
法律
を作って、
不可抗力
的なものだ、
不可抗力
は
不可抗力
だといって逃げちゃうし、それからたとえば
監督
するところが、最高三万
程度
の
手数料
をもらった
行政部門
が、
神戸
のように背後に山をかかえているところが一ぺんに八百件も
申請
があった場合に、一体そんなものは
図面
のほかに、コンクリートを打ったものを堀り返して実際に杭を打っているかどうかということを調べることはできない。そうして受けた
災害
というものは、運が悪いといって片付ける。
国家賠償法
で請求しても、それが一体いつどういう形で解決するかということを考えると、これは無
責任
きわまる立法なんです。それは無論どこに
原因
があるか、裁判してもとうていわかるものじゃないですよ。往々にして異常な
天災地変等
によって
発生
するところの
災害
が多いわけなんです。その異常度というものがある以上は、
国家賠償法
で云々なんていうことを簡単に言うけれども、はなはだ迷惑なのは
国民
です、これによって被害を受けた
国民
なんです。だからあなた方がそう簡単にあっさりと、その場合には
国家賠償法
で請求なさいということを言うと、実際に
国家賠償法
でその
損害
を
補償
されたというものが、どういう形であるかということをあなた
方自身
が知って下さい。
法律
を作るあなた
方自身
が、立案するあなた方がほんとうに知って書きなさい。こういう点ははなはだ不十分ですから一ぺん調べて下さい。
齋藤常勝
31
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 十分
調査
しまして提出いたします。
田中一
32
○
田中一
君 ほかの
質問
は次に譲ります。
田上松衞
33
○
田上松衞
君 こまかいことは
あと
に譲りますけれども、いろいろ善意の了解をしてもらいたいことは、この法案が時代の要求であるのだ。したがってこの法案を提出されたことに対しては賛意を表しておくのだ、この場合だけは一つ申し上げておきたいと思うのです。ただこの案の内容に不明確な点があったり、あるいは不十分な点がたくさんある。十分
あと
時間をかけて
質問
申し上げる機会があろうかとこう考えるわけですが、きょうまずお聞きしておきたいことは逐次申し上げますが、第一に、あくまでこれは
都道府県
の申し出に基づいてこれをやるということなんですが、その申し出がない場合にはどうするか。
齋藤常勝
34
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 原則といたしまして
都道府県
の申し出によって
建設大臣
が
指定
するということを
規定
しておるわけでございまして、申し出がありませんときには、しかも
建設大臣
が必要であるというような場合におきましては、
地方自治法
の
規定
に基づきまして都道府具に対しまして勧告をする、ということもあり得ると考えております。
田上松衞
35
○
田上松衞
君 第二条の一、
宅地
の定義、「農地、
採草放牧地
及び森林並びに道路、公園、河川その他
政令
で定める公共の用に供する施設の用に供せられている
土地
以外の
土地
をいう」。としてある。具体的に申し上げますと学校の庭はどうなのか、いわゆる校庭はどれにはまるか。
齋藤常勝
36
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) だいまの御
質問
の学校の庭は、ここでいう
宅地
に入るというように解釈しております。
田上松衞
37
○
田上松衞
君 「
政令
で定める公共の用に供する施設の用に供せられている
土地
以外の
土地
」と定義してあるのですが、そこでここへこれが入るというのはどういうことなんですか、明確にして下さい。この文章でいうと学校の庭は入らぬということになるのですね。そこへこれが入るとされるというのはどういうことなんですか。
齋藤常勝
38
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) ただいま
政令
の案の中で考えております公共用地というものにつきましては、ここに書いてあります道路、公園、河川その他につきましては、砂防法による砂防設備でありますとか、あるいは運河法による運河の用に供する施設、あるいは日本国有鉄道法または地方鉄道法による地方鉄道もしくは索道で公共の用に供する上地、あるいは軌道法による軌道というようなものを現在予定しておりまして、そういうようなものはここでいう「公共の用に供する施設の用に供せられている
土地
」というように
政令
で
指定
いたしたいというふうに考えております。
田上松衞
39
○
田上松衞
君 同じく二条の五及び六の両方に関するのですが、
造成主
の場合、
工事施行者
の場合、さっき
田中
委員
もこのことに若干触れておったようですが、「
工事
の
請負契約
の
注文者
又は」その以下の「
請負契約
によらないでみずからその
工事
をする者」を
造成主
というわけですね。それからその次の六の場合でも、同じ文章で「
請負契約
によらないでみずからその
工事
をする者」を
工事施行者
とする。一体この場合は「
請負契約
によらないでみずから
工事
をする者」が
造成主
であったり、
工事施行者
であったり、どっちにもこれははまるという意味なんですか。
齋藤常勝
40
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 総括的に申し上げますと、
宅地造成
をやる場合におきましては、
宅地造成
主は
請負契約
をやりまして、その
工事
だけは
請負人
にやらせるという場合と、それから
工事
につきましても自分でやるという場合と二つあるわけでございます。したがいまして、今御指摘になりました
請負契約
によらないで、みずからその
工事
をする者というのは、
造成主
であると同時に
工事施行者
であるということに相なるわけでございます。これは、その後に
規定
してございます条文の適用において、
造成主
を
規制
する場合と、
工事施行者
を
規制
する場合と両方ございますが、みずからやる場合におきましてはこの二つが同一人になる、こういうことになるわけでございます。
田上松衞
41
○
田上松衞
君 今のに関連するのですが、
工事完了
の
検査
、第十二条に関連する問題ですが、その
検査済証
というものは
造成主
にだけ交付することになっておりますね。十二条の二項です。そうすると、一体、みずから
工事
をやる場合には
工事施行者
であるのだ、この場合に当てはめてみると、どうなんですか、これは。
齋藤常勝
42
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
検査済証
を
造成主
に交付すると申しますのは、
宅地造成
をやる主体はあくまでも
造成主
でございます。したがって
造成主
に
検査済証
を交付するということにいたしたわけでございます。
田上松衞
43
○
田上松衞
君 そこで疑問があるのですが、わざわざ号を別にしまして六号に
工事
施行
名とは何をいうかの定義がある。
工事施行者
とは「……又は
請負契約
によらないでみずからその
工事
をする者をいう」、だからこの場合は完全に
工事施行者
なんですが、逆にお聞きしますけれども、十二条の
規定
の中では、
検査済証
を
造成主
もしくは
工事施行者
に交付しなければならぬとする必要はないのかどうか、こう聞いた方が早道でしようかね。
齋藤常勝
44
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 先ほども申し上げましたように、
宅地造成
をやる主体は
造成主
でございまして、そのときに
工事
をやる者が
請負人
であったり、または自分であったりする場合がございますから、
造成主
に交付をするとなっておりますのは、一切を含むということになっております。
田上松衞
45
○
田上松衞
君 第三条に移ります。
指定都市
と
都道府県
との
意見
が相違する場合、この場合の調整はだれがどういう方法で行なうのですか。
齋藤常勝
46
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 今のダブると申されましたことは……。
田上松衞
47
○
田上松衞
君 ダブるのじゃないのですよ、
意見
が相違する場合ですよ。
齋藤常勝
48
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
意見
が相違する場合におきましては、これは
都道府県知事
の
意見
が優先するということになります。
田上松衞
49
○
田上松衞
君 そうすると、逆にお聞きすると、
指定都市
の方では右だと言う、しかし左にしたいと
都道府県
の方は考えておる。その場合、
都道府県
はあらかじめ
指定都市
の意向を聞かなければならぬことになっておるにかかわらず、聞かない場合には、
都道府県
の意思が優先するということになれば、この条文は一体どうなりますか。これは私の言うことがよくおわかりになっておれば、あなた方のほうよりか僕のほうがよほど条文についてこまかい研究をしちまっているせいかもしれませんよ。この場合
都道府県知事
は、たとえば端的に言うならば、横浜あたりばこれに当てはまるわけですね。神奈川県と横浜市――横浜市は
指定都市
なんです。この場合市長のほうでは右としたいというお考えをお持ちになる、ところが左にしたいという意向を神奈川県
知事
が持っている、その場合においては、神奈川県
知事
はあらかじめこれを申し出をするという場合、横浜市の意向を聞かなければならないと、こう
規定
してある。ところがその
意見
が食い違っちまった、その場合だれかがこれを調整するあれがなければいけないじゃないですか。たとえば、初めに私がお聞きした第三条の場合においては、申し出がなかった場合にはどうするか、それはいろいろ
監督
等によるのだと、それはわかる。だがこの場合申し出をするけれども、
意見
が食い達っちまったという場合において、同じ
資格
を持ち、片っ方はいやだ、片っ方はやろうと、話がちょっときつくなりますけれども、そんな場合だれか調整する者がなければこれはらちがあかぬじゃないか、お手あげになっちまうのじゃないか、こういうことですよ。
齋藤常勝
50
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) はなはだ申しわけなくて、誤解をいたしましたのですが、答弁がそごをいたしまして申しわけございません。ただいまのような
指定都市
の場合におきましては、
指定都市
と都道府興とは
法律
上全く同列の
関係
になります。
指定都市
の
意見
によりまして
建設大臣
は
指定
をするということになります。
田上松衞
51
○
田上松衞
君 念を押しておきますが、
指定都市
の意向が優先するということになるわけでありますか。
齋藤常勝
52
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) そういうことであります。
田上松衞
53
○
田上松衞
君 第四条の一項にも二項にも三項にも出てくるわけですが、
土地
所有者
と、
所有者
ではないけれども借地権者といいますか、こういう場合、この
他人
の占有する
土地
ということについては、
土地
所有者
と借地権者との区別はどうなりますか。
齋藤常勝
54
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
土地
の借地権者は同時に
土地
の
占有者
とみなします。
田上松衞
55
○
田上松衞
君 借地権者を
土地
の
占有者
とされるわけですね。
齋藤常勝
56
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) そうです。
田上松衞
57
○
田上松衞
君 この条項は、
測量
または
調査
のための
土地
への立ち入りに関する場合のことですから、そうしますると、具体的に申し上げますると、立ち入りを拒もうとするということについては、
土地
所有者
はどうでもいい、借地権者がよろしいというならばそれでよろしいと、こういう工合に今の御答弁ではなってくる危険性があると思うのですが、本来ならば、私が非常に心配しますのは、
質問
を申し上げる気持を申し上げておいたほうが早わかりですので、それで申し上げるのですが、借地権者というものと
土地
所有者
との間の何といいますか、感情といいますか、利害というものは、そういうものは必ずしも一致しないと見るべきなんですよ。場合によれば、非常に極端な言葉を使いますけれども、機会があったら、いじめられておるところの借地権者が地主に対して一つ報復手段を講じてやろうという場合すらないではない。ことに、今では若干やっておりますけれども、昔のことを考えますと、借地人組合というものがある。これに対抗して一方には地主組合というものがある。こういう工合にはげしい対立をやっておった。そのあれは今日でもなお完全には払拭されていない。依然としてこの争いはあります。そういう場合になりますと、借地権者は、機会があったならば地主に対して多年にわたるふんまんを一つ返してやろうという気持がないでもない、こういう事情があるわけです。そういう場合に地主はどうでもいい、借地権者さえ承知すればどんどんどんどん立ち入りしちまう。場合によれば、その後になる問題でありますが、
障害物
の伐除であるとか
土地
の試掘であるとかいうようなものについても、この場合に
他人
の占有する
土地
という、占有している借地権者が優先するのだというお考えがありますと、非常な危険な問題がここで危惧されますので、そこでお伺いしているわけなんですがね。
齋藤常勝
58
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) ただいまお話のような点はいろいろあると思います。しかし、この第四条で申しておりますところの立ち入りということは、占有しておる
状況
に対しまして、一時的に侵害をするということに相なります。しかしながら、それが非常に軽微なものであるということに相なりますので、一般の場合におきましては、
所有者
に対しまして一々通知することは必要でない。まあ借地権君がよろしいというならば、それでよろしいというように考えております。
田上松衞
59
○
田上松衞
君 そういう御答弁になりまsuと、私の心配しているあれはますます強くなってしまうのですよ。それでは、この場合明確にしておきたいことは、われわれは借地権者の立場を守るとか、地主の立場を守るということは抜きにいたしまして、法の運営がこういうところでいろいろ厄介なのっぴきならぬ沼に入り込んでしまっては困るということで、これを明確にしておく必要があるという観点で申し上げておるわけですが、この
規定
を見ますると、あくまで
他人
の
土地
を占有するという
占有者
というもの、すなわち借地権者が優先するという、こういう立場でこれは作られてしまっておる。そしてこの四条の五項にもっていって、ここにひっくるめて、今度は
所有者
を「正当な理由がない限り、第一項の
規定
による立ち入りを拒み、又は妨げてはならない。」と、そうすると、ここでは
土地
所有軒はぐうの音も出ない。何の発言も、何のあれも、
土地
所有者
に対しては与えられていないという危険性を見出しちまうわけなんです。私はこのことは公正な立場に立ってみて、借地権者よりかむしろ
土地
所有者
というものがこの種の問題のあることについては、これは必要であり、そしてこれらの協力を求めなければ、法の
目的
は達成されないのではないかということを非常に心配するわけなんですがね。
齋藤常勝
60
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) お話の点まことにごもっともでございまして、私どもといたしましてはそういうことも考えて、第四条の場合と第五条の場合というものを分けて書いておるわけでございます。第四条の場合におきましては、
測量
でありますとか
調査
のための立ち入りでございまするから、先ほど申し上げましたように、一時的に占有
状態
を侵害するという
程度
でございますから、このような
規定
にしたわけでございます。第五条の場合のように、その必要上
障害物
を伐除しますとか、あるいはボーリングをいたすというようなときにおきましては、
所有者
と
占有者
との同意を得てやるというようなことになっておるわけでございまして、御心配の点はないのではないかと考えております。
田上松衞
61
○
田上松衞
君 きょうはこれ以上申し上げるということはちょっと無理だと思いますから、ただそれとなく、まことに口はばったいことを申し上げるようですけれども、何かの暗示、示唆なればという意味で申し上げたのでありますが、まるでここの場合
測量
及び
調査
等のためにする、あるいは
障害物
の伐採、
土地
の
試掘等
に関することにおいては、この事柄はまるで共産主義者が作った法文のような気がしてしようがないという気持だけを申し上げて、何か
あと
でこれに対しての
意見
等は後日に譲ることにいたします。
齋藤常勝
62
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) まあいろいろ御心配の点があると思いますけれども、こういうような条文の立て方と申しますか、法制のし方というものにつきましては、先ほど
逐条説明
のときにも御
説明
申し上げましたように、
住宅地区改良法
、地すべり等
防止
法というようなものにすべて前例がございまして、こういう法制で従来はよろしいということになっておるのでございまして、私の
説明
に不十分の点があるとは存じますけれども御了承いただきたいと思います。
田上松衞
63
○
田上松衞
君
あと
でこの問題については、また十分時間をかけて、しっくりどっちもが心配のないような工合にいきたいとこう考えておるわけであります。 時間の
関係
がありますからずっと飛びまして、十三条の
監督処分
の問題、この中の六項について――一番しまいのところです――
都道府県知事
またはその
命令
、もしくは委任したれがその
措置
を行なうべき旨をあらかじめ公告しなきゃならぬ。これは当然こうでなけりゃならぬと思うのですが、一つ心配になりますのは非常
災害
、あくまでこれは法の建前が
災害
防止
というところから出発しておるわけなのですから、それにかんがみて見ますと、こういう場合はいわゆる緊急非常時の場合というものが相当考慮されておかなきゃならぬと思うのですけれども、ただ文章このままで「あらかじめ公告しなければならない」、公示した上でなければできぬということになると、実際問題としてはずいぶん手おくれをする場合があるのじゃないか。従って緊急非常時の場合においての何か方法が考えられるべきだと思うのだけれども、その条項が発見できないのですが、その点についてはどうお考えになっておりますか。
齋藤常勝
64
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) 緊急な場合というものもあるとは思いますけれども、あくまで代
執行
でございますので、あらかじめ公告するというような掛買をとるのが適当であろうとこういうふうに考えてこういう
規定
をしたわけでございます。
田上松衞
65
○
田上松衞
君 だから通常の場合、平時の場合においてはこれでやってほしい、頭から押し付けるのじゃなくて、あれをするのだからよく納得させる、あらかじめこれを公示しておいてそうしてするんだが、そこで、その者の負担において公告させるようにしなきゃならぬわけですからね。そこはそうだけれども、私が言うのは、この種の問題は、思わないところにさっときた、すぐ手当をしなきゃならぬという場合が
災害
防止
なんですから、これは。法のねらいというものがそうなんですから、私はそのウエートは緊急非常時の場合というものが一番大きく占めるだろうとこう考えておる。その場合についてはあらかじめ公示しなくても、だれが見てもそれはただ
土地
がぶつ壊れるとかなんとかということだけにあらずして、それ以下の影響を受けます下の
他人
への迷惑が次から次に拡大強化されてしまうんですから、そういう場合についてはあらかじめ公示を要せずしてやるようなことが、どこかで考えなければならないのではないか、その配慮が欠けておるのではないか、こういうことを申し上げておるわけですよ。
齋藤常勝
66
○
政府委員
(
齋藤常勝
君)
災害
その他のことにつきまして配慮が欠けるところがあるのではないかというお話でございますけれども、われわれが考えましたときには、たとえて申しまするならば第八条の
許可
をいたします場合の
条件
を付するということがございますが、こういうような
条件
の中身はしからばどういうものだということになりますると、たとえば梅雨どきにかかっておる、したがって
災害
が
工事
中に起るおそれがあるというような場合におきましては、
工事
の
期間
を延ばすなりあるいは繰り上げるなり、そういうような施工中に起こる
災害
を未然に
防止
するための
条件
をつけるというような配慮をいたしておるわけでございます。またその
条件
の中にはたとえば緊急の
災害
の際におきましては、係官の指示に従うべきだというような
条件
も付して、
許可
を与えていくというようなことで、
災害
防止
ということを考えてきた次第でございます。
田上松衞
67
○
田上松衞
君 たくさんのあれがあるんですけれども、もう二つだけお許しいただいておきたいと思うのですが、この
規制
法を適用しない
区域
における場合であっても、これはやはりこうした危険は当然くることなんですが、この場合はどうなりますか。建前はあくまで
宅地造成
規制区域
内においてのみこれを
規定
してありますからね、
区域
外の個々の場合ですね、もっとわかりやすく申し上げまするならば
宅地造成
に伴い、がけくずれまたは
土砂
の
流出
を生ずるおそれの著るしい、
市街地
または
市街地
となろうとする
土地
の
区域
だけを対象としてこれは今考えておるわけです。そうしたおそれの著るしい
市街地
と考えていなかった場所でも、天がやることですから、これは。天があそこだけはひとつ
災害
を持っていこうか、ここは勘弁しておこうかというようなものではないのであって、こういうふうに
区域
から外しておる場所に起りますそのところの造成の
規制
というようなものは、なんか別の方法でおやりになるつもりですかどうですか、これは全然ほうっておけということなんですか。
齋藤常勝
68
○
政府委員
(
齋藤常勝
君) おっしゃるとおりに本法はあくまでも
規制区域
を
指定
いたしまして、その中での
指定
の制限をやっておるわけでございます。で、その
指定
につきましては、今お話のありましたように、その
条件
にかなっているところを最小
限度
に
指定
いたしまして、その中では強力な
指定
にするように、しからば
指定
外になった地域はどうなるかというお話でございますが、これにつきましては
行政
指導を行なうということになるかと思います。また地方公共団体もこの
規制区域
に
指定
されていない地域について、別に条例を作って、もっと軽い
規制
をするというようなことは許されていることでございまして、そのような面から
行政
的な指導によりまして、対象
区域
外における
宅地造成
の
規制
は持っていきたい、かように考えている次第であります。
田上松衞
69
○
田上松衞
君 どうもその点がまだ十分納得しかねるのですよ。これはむしろ
建設大臣
来られましたからお聞きした方がいいと思いますが、申し上げるまでもなく「この
法律
は、
宅地造成
に伴いがけくずれ又は
土砂
の
流出
を生ずるおそれが著しい
市街地
又は
市街地
となろうとする
土地
の
区域
内において」だけ適用しよう、こういうことなんですね。そうしますと、この
区域
外における
宅地造成
丁掛についての
規制
は何か別個のものでされようとしまするのか、ほっとけになるのか、こういうことを今お聞きしておったわけなんです。今住宅局長のお話では、何か指導等をもってというようなこと、あるいはこの後に別個に考えてもいいかのようなふうのことだったのですが、これを一つ明確にお聞きしておきたいと思うのですが。
中村梅吉
70
○国務大臣(中村梅吉君) 実は国土全体に対して網をかけるということになりますと、なかなか実施上、目が届きかねる、結局
法律
の
施行
をいたしましても、
施行
が行き届かないということに相なる危険もございますので、大体
市街地
及び
市街地
となろうという
区域
、そして
宅地造成
をして危険を伴いそうな
区域
、こういうようなものは、地元の
都道府県
において事情に精通した者からみれば、判断が可能でございますから、そういう判断に基づいて必要なやむを得ざる地域にこのような
措置
を講じて、今後造成されます
宅地
の安全を期していきたい、こういう考え方でございます。ただいま住宅局長もお答え申し上げましたように、その他の地域にも、しからば家を建てる人がないことはないし、
災害
がこないこともないし、その他の地域はどうなるのか、こういうお尋ねのようでございますが、これらにつきましては、そういう重要地域について本法の適用が行なわれることになりますれば、地元の府県等が、あるいは
市町村
がそういった
状況
等に照らして条例を作る等、適当な地方公共団体としての
措置
をとっていただくのが適当ではないだろうか、こういうような考え方で、
法律
によって縛って参ります
範囲
を、今申し上げたような角度で実はしぼったわけでございます。
田上松衞
71
○
田上松衞
君 まだ満足しないのですが、一番私が
あと
でいろいろ問題を起こしはしないかと思うあれはほんとうに法のあれをみんな理解し、喜んでこれに協力していくというか、共にこれをやっていくという気分になれば、これはこういう心配をしなくてもいいんですよ。ところが何となくこういうような
規制
法というようなことでいきますと、何かしら頭でわっと取り締まってあるぞというようなにおいがする。日本人というやつはどうもそこがちょっと厄介ないやな点があるわけなんで、不必要なところにも、正当なことであるにもかかわらず、反抗してみたくなっちゃうやつがあるのですね。そうなってする場合に、
法律
の文句は何と書いてあるか、これは
市街地
だけをいっているではないか、しかもその
市街地
でも、そうした非常におそれが著しい
市街地
あるいは
市街地
となろうとしておる
土地
だけに限るというのだ、こうやっていくと、今おっしゃったお気持はよくわかるのですけれども、この言葉にとらわれるとこれは厄介じゃないかと考えますので、ただこれを
市街地
と、こうきめつけないで、
市街地
及び何か必要と認める
土地
だとかいう文句が挿入されることが必要じゃないだろうか、裏から見ればこういう気持で申し上げておるわけですよ。
中村梅吉
72
○国務大臣(中村梅吉君) 大体あぶないところへ造成をして、住宅その他
建設
物を建てようという場合に、まあ本人の不注意で自分がくずれることは、ある
程度
公共の福祉には
関係
はありませんからやむを得ないとしまして、
市街地
の場合は自分がくずれるということは自業自得としましても、よってその周辺に人命上、財産上回復しがたいような
損害
を与える危険性が最もあるのが
市街地
ということになりますので、
市街地
または
市街地
になろうとする
区域
、こういうことでまあ縛っていったら初めてスタートをする
法律
でございますから、よろしいのではないだろうかと実は考えてこういう立案になったわけでございますが、今後
法律
を運用してみまして、運用がなめらかに各
都道府県
とも参りまして、さらに今、
田上
さんの御指摘のような事例が他にも生じて、これは
法律
上の
規制
を必要とするという
状態
が見受けられますれば、そういう必要性に応じて拡張をしていくということの方が素直ではないだろうか、こういうふうに、実は考えておる次節でございます。どこもかしこも網をかけてしまいますと、非常な私権に対する制限を加えることにもなりますし、それからもう一つは
監督
をいたしまする
都道府県
の目も行き届きかねるというようなことが起こって、
法律
があっても厳守されないという姿は好ましくありませんと思いますので、私どもとしては始めてスタートをしまする
法律
としましては、この
程度
のしぼり方が妥当ではないだろうか、こういうように考えておるわけでございます。
田上松衞
73
○
田上松衞
君 まあこの問題、きょうの短い時間ではあれですが、ただ一つここでお含み願っておきたいことは、この種の一番大きな被害地は、
説明
でもありますように、神奈川県、兵庫県なんですよ。ところがこの場合神奈川県の事情は私一番よくわかっておるわけなんですが、一番私どもが心配しておるのは、今までいう、通例いう市価地という呼び方ですね、それ以外のところにがけくずれが多いわけなんです。そこがどうこれを実施後に適用するだろうかということに対して、非常に不安を持っておりまするので、このことについてはもう少しひとつ、こういったのだからもうこれできめつけるのだというのではなしに、実情に合うようなことでもう少しお考えおきを願っておきたい。これはまあ何か運用面でする手もありましょうし、さっきいわれたような
都道府県知事
あるいは
指定都市
ですね、こういうもの等との
関係
、いろいろあることはよく承知しておりますけれども、私はせっかく作られるこの機会だから、
市街地
と限らないですることがやっぱりいいのじゃないだろうか。こう考えますのでその点ひとつ関心を持っていただきたい、こう申し上げておきます。 それから最後にもう一点だけ。さっき
田中
君からも言っておられたのですが、この
規制
に基づいて造成された
宅地
、言いかえれば
検査済証
をもらった
宅地
が、その後においてがけくずれやあるいは上砂の
流出
等のあった場合に対する、国または
都道府県
の
責任
はどうなるのだということについて、
田中
君もさっき言われた、その
範囲
だけではわかる、ただ、そこで私が聞きたいことは、それは
工事施行者
とか
造成主
とか、それだけの問題にあらずして今度はその他に
損害
を、ここがくずれてしまった
損害
ではなく、ここから下に迷惑をかけるわけだから、これに対して当然いろいろ厄介な
損害
賠償の請求等の事件が起こるわけです、これは。そうした場合にさっき住宅局長が言われました問題は、これに対してだけのことを言われたが、これの下に起こりますあれについては、これほどのことを義務づけてやる限りにおいては、国または
都道府県
あるいは
指定都市
等が、何かこの
損害
に対して何といいますか、補助あるいは損失補てんといいますか、そういうようなことを考慮されることがいいのではないのか。このことはただ
法律
的な問題だけではなくして、この
規制
法をすべての人々が非常に歓迎していく、みんなこうあるべきだといって協力させていく、と言ってもよけいな金を捨てたのではなくして、万一の場合にはこうしてもらえるのだぞという気持を出させて、そのところに、実際の法運営の一番大きな妙味もそこから出てくるのではなかろうか。
法律
を作って押さえつけるのではなくして、喜ばれて歓迎させてするところに法の生きるあれがあるのじゃないか。こう考えますが、それについてどこにも
規定
がないようですが、これは
建設大臣
、その点どういうふうにお考えになっておりますか。
中村梅吉
74
○国務大臣(中村梅吉君) この指示及び
監督
及び完成に対する役所の扱い方としましては、大体傾斜の
状態
とかあるいは土量の問題とかということを技術的に算出をいたしまして、所要の
擁壁
を作らせる、あるいは排水、上に湛水したりあるいは排水が悪いために土量の中に水分を含んで崩壊の危険性がある、こういう所については排水の施設、こういうものを指示してやらせるわけでございます。したがって、その
基準
はあくまで合理的な、技術的な計算の上に立った指示になっていくわけでございますので、大体予想され得る
災害
、豪雨あるいは台風等を想定してそれが算出され、指示が行なわれるわけでございますから、そのとおりに
工事
はやってあっても、なお異常の
災害
が起こって周辺に迷惑を及ぼしたということになれば、これは全く天災ということでいわゆる
不可抗力
ということになっていくと思うのであります。しかし、それが
不可抗力
とまでいかない
災害
であったにかかわらず事故を起こした、結局は指示のやり方が悪かった、
監督
の仕方が悪かったということになりますれば、その
監督
の任に当たりました府県あるいは
指定都市
の
責任
に私は問題としてなると思うのであります。 なお、今のような
不可抗力
によって周辺に迷惑を及ぼしたということが起こりますれば、現在の制度といたしましては、これに対する、本国会でも御
審議
いただいておりますような特別立法等をして、堆積
土砂
の排出に関する特別の補助をいたしますとか、あるいは住宅政策の上で住宅再建資金の融通を住宅金融公庫からするとか、あるいは
災害
公営住宅法によって、
災害
公営住宅で救済するとかということになってくると思うのでありまして、技術的に見てもすべての点から判断して
不可抗力
であった、この
法律
によるとそのとおりの
規制
が行なわれ、そのとおりの義務が守られておったにかかわらずなお起こったということになれば、
不可抗力
という
範囲
に民法上もなっていくのではないだろうか、こう思います。少なくともこの
規制
をすることによって、
責任
の所在が明確になるということだけは明らかだと思うのであります。
田上松衞
75
○
田上松衞
君 さっき住宅局長の御答弁の中で、私が看取した限りにおいては、
田中
君の言われた問題と私はその次の問題、これは付け加えて申し上げておるわけですけれども、いずれの場合にしても、いわゆる
国家賠償法
の
規定
に基づいてやるだけだというふうにとったわけなんですよ。したがって、そこからきますものは、やはりこれに当たったところの
職員
が
故意
または
過失
等によって、そこから生じた
災害
だというふうなことになるならば、
職員
に対する一つの懲戒の方法もあるだろうしというけれども、そういう工合にただ
職員
を懲戒してみたって何したところで、被害者自身というものに対する何かの救済の道がなければ非常に不安だということです。さっき申し上げたように、これは進んでここもこの地域にも適用してもらいたいという空気がどんどん出てこなければ、法の実際のねらいは達成されないだろう。こういうことを考えるときに、
法律
一点張りでなくして、何かそうしたとにかく非常にむずかしい
手続
もやっていくけれども、やってもらえばだれが何と雷ってもこれがいいのだということが言えるような、そういうようなための何といいますか、裏づけといいますか、そういうものがほしいと思って申しておるわけなんです。
建設大臣
のお話でも
不可抗力
等の民法上の問題とおっしゃったけれども、そこの点がなかなか、やはり前に作った
法律
ではまだ非常に不十分なことがいろいろ考えられますので、この機会に何とかそういうことの裏づけがほしい、こう考えておるわけです。しかし、この問題は今ここでしてみても仕方がありませんから、これもひとつ御配慮いただきたいという
要望
の
程度
にしておきまして、時間の
関係
がございますから一応きょうの場合は
質問
を終わっておきます。
後藤義隆
76
○
委員長
(
後藤義隆
君) 本日の
質疑
はこの
程度
にいたしたいと存じます。 これにて散会いたします。 午前十二時散会