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田中一君 去る十月の十九日に、私、偶然所用があって広島へ参ったのであります。そうすると、その日に、私のところへ電話があって、今、郷川の事務所へ総務部長、河川部長、その他各課長九名が来て、郷川の労働
組合の
幹部を呼んで、今まで、前の事務所長と
組合の間に取りかわしてあったところの労働協約というものは白紙に房すという、一方的な宣言を行なった。そこで私に、これは重大だから来てくれというので、おそく八時ごろか、向こうへ着きまして、一応
事情を聴取してみました。とても言葉じゃいかぬから、資料として全部書けといって、書かして私はみんな持っております。
翌日朝、私から谷九名の
諸君にお目にかかろうといって事務所で待っていただいて、行って、今までの経緯を質問してみました。「そのとおりでございます。局長の命令でございます」という答弁でした。それじゃ何を言ってもしようがないから、局長に会おうというので、局長に電話をして待ってもらった。その日の翌日の昼ごろに局長に会ったのでずが、命令したというのです。どういう立場であるかというと、この郷川の前所長と労働
組合との間で、九カ条の、こういう労働協約がございます。これもひとつ、そのまま引き継ぐから受け取ってくれと言ったときに、現在の所長はそれを、承知しました、全部引き継ぎます、こういう事務引き継が終わって、そのことを
組合にも答弁しているわけです。
そこで、この
内容というのは、ちょっと読み上げますと、こういうことです。「一、人事異動協議に関する件、二、庁舎諸設備、新設改善に関する協議、三、補助員年次有給休暇二十日とする協議、四、補助員、一カ月二十五日稼働完全補償に関する協議、五、補助員の宿日直、職員と同等に
実施する件、六、補助員の産前産後、職員と同等にする件、七、運転手事故補償に関する協議、八、来客の際、寮母割増しに関する協議、九、
組合大会、
委員会の旅費補助に関する協議」この九項目が了解事項として成り立っています。そしてそのほかに、超勤に関しては
組合と協議をするということが、附則として加わっておりまして、こういう労働協約をもって、円満に相互信頼の上に立って、事務所を今日まで持ってきたというのが
現状であったのにかかわらず、問題になった点は、和里田君に聞いてみると、一の「人事異動協議に関する件」に引っかかったそうです。
というのは、係長を任免するという際に、一応所長から話があったそうです、
組合に。一人係長がいるんだそうです。どこかへ行くんだそうです。転任するのだそうです。係長がかわるんだそうです。郷川の事務所には、資格のある、係長らしき資格がある、また資格があると認められている職員がおるそうです。
組合に話があったから、どうかその人を係長にしてほしいという申し出をしたそうです。これは、もちろん協議といっても、人事権というものは、所長なり局長なりあるいは
大臣なりが持っておりますから、それについては、私は苦情を言っているのではない。一応
組合に相談があったときに、もう辞令がきてしまった。それから所長に聞くと、おれの知らぬうちに、これを出した、こう言っていたそうです。それから局長、総務部長に聞いてみると、ずっと前に、だれがよかろうということの相談はしたというのです。しかし、辞令を出す出さんの問題は、全然知らなかったというのが所長の言い分だそうです。これは僕は所長に聞きました。
これに端を発して、九月三十日に、この問題については、相談したそうです。所長交渉を持ったそうです。ところが、双方の
意見が
一致しないままに、辞令が一方的に出てきた。それで係長が就任すると同時に、所長は休んでしまって、全然出てこない。これはだれもかれも知っている
通り、任免権は
組合にあるわけではないのですから、これは認めましたというのです、
組合としては。自分のほうの
意見を言ったけれ
ども、これは取り上げられなかった。これは認めます。これは当然です。
組合も、総務部長の前でも、はっきり言っておりました、認めますと。しかし人事その他の協議に関しては、事前協議というものを、今までやってきたのだから、少し自分たちの
意見も、それは通るものとは思っておらぬが、聞いてもらいたい。また聞いて、今日まできたというところに問題があったわけです。
そうしているうちに、局長に聞いてみると、もたもたやっているものだから、河川部長に行ってこいといって、河川部長が来て、いろいろ労務管理等についても、くちばしを入れたそうです。ところが、これも、もう話し合いにならない。そこで局長が、郷川二級国道昇格の促進協議会を作るという
地元の要請にこたえて、祝辞でも述べに行ったときに、おれがみんなに話ししょうというので行った。ところが、だれも集まらなかったというのです、局長のもとには。これには、別に悪意があるわけではなくて、職員の転勤等でもって、手伝いに行ったりして集まることができなかったそうです。
そうこうしているうちに、
地区でも、この争議を聞きつけて、
地区労からもいろいろ応援態勢ができ上がっておった。それで、この人事異動協議に関する件を確認しろという要求をしたところが、それを聞いてくれない。それにもっていって、私が、ちょうど広島に行ったときの十九日に’総務部長、人事課長、専門官など十名が行って、その十九口の朝に、
組合員を集めて、今までの九カ条の労働慣行、労働協約を破棄する、白紙に戻すということを宣言したそうです。そこで初めて衝突が始まったというのが、現在までの動きであります。
和里田局長に、私が
説明しているのは、労働法上の運営については、労働慣行によって大
部分が処理されているのが事実なんです。この労働慣行が、一方的に破棄されることは、これは挑発であり、挑戦であるということ、私が立法考査局のほうで十分調べてもらった
法律的な根拠というものは、労働慣行というものを無視するということになると、これはもう、新しい問題が起きてくるということになるのは当然だということですね。だから、もしも九カ条の労働協約が不十分ならば、破棄しろという宣言を一ぺん白紙に戻して、前所長と松浦所長とが、これらの事務引き継ぎをしたときまでに戻して、むろん転勤その他の問題は、文句ないんです、任免権は上にあるのですから、所長なり局長なりにあるのですから、これはいいと思うんですよ。そうして話し合いをしたらどうかということを言ったんですが、自分の意思は、そういうつもりではなかった、和里田君はね。しかし、その白紙に戻すことはできません。しかし、なおどういう発言をしているか、現地へ行って、現地からみんな帰ってくるから、それによって話し合いをしましようということになって、私は帰ってきたわけなんですよ。
ここで問題になるのは、現在は十月二十三日から二十五日にかけて、局長命令による特別監査
実施、それから事務のおくれの責任を追及されておるそうです。それから設計上、工事上のミスな
ども、管理者の責任を職員それぞれに転嫁しているそうです。最近、これは次官も知っているでしょうが、
東京に、全国の事務所長連絡会議を開いて、労働
組合対策に対して、いろいろ協議をしておるということもあるそうですが、御承知だと思います。こういう形で、労働
組合との間に問題を起こしておるということ、それから労働慣行を白紙に戻すということは、一郷川の問題ばかりでないのです。またこの九つの
内容は、局長の命令で、これを
実施しておるという協議事項もあるわけなんです。それで、もしこれが全部白紙になるということになりますと、中部、中国地建全部の工事現場の労働慣行が破棄されるということにならざるを得ないのです、局長命令ですから。そういたしますと、他の地建の所管内の工事事務所のものにも波及するおそれが多分にあるという危険を感ずるわけですね。これはまあ官房長あたりから出した例の今後の労働管理の問題点についてという、ことしの七月に出したこの書類、資料、人事課から出していますがマル秘ですからね、これは。私借りているわけです。これを労働
関係の学者に、全部詳細に解明してもらいました。大体に、問題点はある。あるけれ
ども、ここでは言いません。しかし、大体において
常識的なものであって、大して問題はないという。ただこの、ことしの三月四日に、局長会議のときに出した資料、いわゆる
建設省における労務管理要領、これは人事課が起草して、三月四日の口の局長会議にこれを出して、この
通り強行せよということになっておる書類であります。これは官房長が、私は知りませんとしらを切ったけれ
ども、がないから、しらを切られてもしようがないけれ
ども、これを今、
検討しています。これは重大な問題が、たくさん含まれているんですね。そのうちの一番大きな問題としては、今後は団体交渉については、従来のゆがめられた慣習を反省して、新しい規律に戻す。いわゆる今までの労働慣行を、悪い労働慣行というけれ
ども、一方的に、いい労働慣行も悪いと認定すれば、悪い慣習になってくるのですから、そういうものを全部やめて、新しい観点から
組合と話をしろという命令が出ている。それから
法律にきめてあるもの以外のものは、一切拒否しろという指令が出ておりますが、これはおのずから、こういう形でもって、今まで運営されたということは、一面、前次官の柴田君が、サーベルを持って、今までずいぶん弾圧したこともある経験から、どうも、そうしたような行き過ぎがあったのではなかろうかということで、非常に同情的に官側は見ているのですが、この問題は、おそらく報告がきていると思います。これに対して、どういう態度で臨もうとしているのか、山本次官に伺っておきたいのです。