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1961-11-01 第39回国会 参議院 建設委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月一日(水曜日)   午前十時三十四分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     後藤 義隆君    理事            田中 清一君            内村 清次君    委員            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            小山邦太郎君            紅露 みつ君            西川甚五郎君            米田 正文君            木下 友敬君            田中  一君            武内 五郎君            藤田  進君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設事務次官  山本 三郎君    建設大臣官房長 鬼丸 勝之君    建設省計画局長 関盛 吉雄君    建設省都市局    都市総務課長  吉兼 三郎君   参考人    東京首都整備    局都市計画部長 大河原春雄君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査  (市街地改造事業実施状況に関す  る件)  (全建労組の労働関係問題に関する  件) ○参考人出席要求に関する件    ——————————
  2. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  建設事業並びに建設計画に関する調査といたしまして、初めに市街地改造卒業に関する調査を行ないます。本件につきまして東京首都整備局都市計画部長大河原春雄君から参考人として御意見並びに御説明を伺いたいと存じます。さよう決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) それでは御質疑の方は御発言下さい。
  4. 田中一

    田中一君 これは計一画局に聞くのが妥当かどうかわからないけれども、今までの関係があるのだから一ぺん聞いておきます。われわれが前国会市街地改造法案審議する過程において具体的な例を数多くお示しになりました。したがって、あの法案審議にあたってはいろいろお示しになった地区を想定しながら審議したことは、私ばかりではなくおそらく同僚の各委員も同様だと思うのです。したがって、これがどういう形で今日推移しておるかという点については一応四つの地区、いわゆる大阪駅前駅前といっても電車道をこえた駅前、それから三軒茶屋地区渋谷上通り、それから新橋東西地区の現段階進捗状態を伺いたい。
  5. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 本日、私新しく設置法の改正によりできました計画局のほうに参ることになりました。従前とも計画局長という名前は変わりませんけれども従前の局が都市局ということになりましたので、都市関係仕事は直接私の仕事ではなくなったわけでございますが、今後ともひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。  ただいまお尋ねのございました市街地改造法の御審議の際におきまして、市街地改造事業実施すべき候補地といたしまして、今先生からお尋ねのございました候補地は確かにそのとおりでございまして、大阪地区につきましては、すでに大臣から市街地改造事業を行なうべきことについての都市計画審議会に対する付議をいたしまして、その付議の結果審議会が開催されまして、その行なうべき旨の答申がありました。近く市街地改造事業都市計画決定を行なうその告示の手続を一両日中に終わる、こういう段階でございます。したがって、これは市街地改造事業実施すべき第一号ということになるわけでございます。  東京につきましては、ただいまお話が出ましたように、法律の制定当時から放射四号線に沿う三軒茶屋地区あるいは上通り地区等が、一番あの法律の要件を具備する、またそういうことで公共施設の整理をやる候補地といたしまして想定をし、東京都におきましてもいろいろな方向から検討を進められておって今日まできております。ただ途中の過程におきましてむしろ裏側方々、現在の道路に面している方々よりは裏側にある方々が、新しく道路がつけば前面に出るような地域に存する権利者方々が、市街地改造事業についてのむしろ反対意見を持っておられるような空気が相当出ておりますので、東京都におかれましても、両地区とも当初の考え方について根本的に変わったわけではございませんけれども、いかにこれを調整するかということについて、われわれも法律のほう並びに実施の上から見まして、最も緊急にしてかつ重要な地区だと考えておりますので、その実施のめどを早く住民の方々と相協力してでき得るような内容検討してもらいたいということも数次申し入れておりますが、今日までまだその成案を得ていないというのが現状でございます。  それから新橋駅前につきましては、これはむしろ地元方々が熱心に駅前広場及び関係街路の築造に伴って、市街地改造事業実施すべきことの要望が強いのでございまして、都市計画審議会においてあの市街地広場並びに街路を決定する際におきましても、審議会においてその整備の手法は市街地改造法によってやるべきことを全会一致要望せられておるような次第でございます。したがってこのほうは、東京都においてはむしろ事務的には地元の問題よりは計画内容をよく立案をする、ということのほうに中心があろうと思いますが、まだ大阪のような都市計画決定内容が固まっておるという段階ではない、というのが今日の現況でございます。  なお東京都におきましても、この仕事を整理するために市街地改造に関する新しい課を作りまして、目下その指導並びに審査を進めておられるということをつけ加えて経過の説明にかえさせていただきたいと思います。
  6. 田中一

    田中一君 三軒茶屋上通り裏側反対のために計画が行き悩みになっておるというのが現状だというんですね、そうですが。
  7. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) ただいまお尋ねのように、むしろ裏側方々反対が強いということで、計画内容をいろいろな角度から検討しておるというのが現状でございます。
  8. 田中一

    田中一君 大河原参考人に伺います。あなたのほうでは、最近上通りに対して地元を集めて、道路拡張のための市街地改造法適用、または単独道路拡張のための土地買収等について、一応打診をしているというように聞いておりますが、そういう事実はございますか。
  9. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 上通りにつきましては、数カ月前に一度市街地改造法はどういう法律であるか説明をしてもらいたいという地元要望がございましたので、私が参りまして市街地改造法法律内容を御説明申し上げたことはございます。それに対していろいろ質問もございましたが、さらにいろいろお話をしたわけでございますが、その際に今関盛局長からお話のございましたように、裏側の方が非常にそれによって迷惑をするというのでいろいろ陳情をされているのは事実でございます。それからそれと別個に現在東京都といたしましては、この前国会で可決をいただきました特別措置法に基づく説明会を、現在放射四号及び環状七号についてやっている現状でございます。それで池尻とかあるいは新橋その他上通りにつきましては、十月三十日にその説明会をやっているというのが現状でございます。以上であります。
  10. 田中一

    田中一君 そうすると、市街地改造法説明会数カ月前に開いた、用地取得に関する特別措置法説明会を十月三十日に開いたということですね。特別措置法市街地改造法適用されますか、されませんか、関盛君。
  11. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 公共用地取得に関する特別措置法、これは特定公共事業適用されるわけでございまして、特定公共事業には市街地改造事業は含まれておりません。
  12. 田中一

    田中一君 市街地改造法に含まれておらないけれども公共用地取得に関する特別措置法の中には、二十メートルだったか以上の道路拡幅には適用されるということになっております。したがって市街地改造法という法律の中で大きなワクの中でする場合と、市街地改造法施行区域として指定した区域の中の道路拡幅のためのその敷地に対しては、この特別措置法適用されないんですか、されるんですか。
  13. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 市街地改造事業法律にもありますように、公共施設整備建築敷地整備建築物整備、この三つの事業が一体となった事業をいうわけでございます。したがいまして市街地改造事業実施することにつきましては特別措置法特定公共事業にはなっておらない、むしろ都市計画で決定されておりますいわゆる公共施設特定公共事業にそれが該当する特定街路事業でありましても、それをその街路事業として実施するという場合におきましては、もとより特定公共事業の対象になるわけでございます。したがって市街地改造事業というものそのものとして、新しく都市計画事業法律上創設いたしましたので、その点に関しては特定公共事業の取り扱いはいたしておらないということでございます。
  14. 田中一

    田中一君 計画内容検討中というこの三軒茶屋上通り地区においてはどういう方向検討が進められておるか、大河原参考人から伺います。
  15. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私どもといたしましては、一例として三軒茶屋を申し上げたいと思います。三軒茶屋につきましては当初市街地改造法適用を考えまして、種々計画とかあるいは地元の方に対する説明等を申し上げた次第でございますが、それに対しまして表の方は非常に賛成をされておりますが、裏側の方と申しますのは、今度道路が広がりますと表側になる方でありますが、その方から相当反対と申しますか検討してもらいたいという陳情が出て参っております。それで回数は忘れましたが数回にわたりまして私ども地元説明をいたし、それから私の部屋へも来ていただきまして両方の代表の方にお話をしたわけでございます。そうしますと途中たしか今から一カ月前だと思いますが、両方の方の一致した意見といたしまして、市街地改造法法律適用じゃなくてそれと同様な精神においてやってもらいたい。一例を申し上げますならば日本住宅公団青山で現在ビルを作っておりますが、ああいう方法でやってもらえないだろうかということでその当時は意見一致を見たわけでございます。それで、ただしその場合に裏の方は表の方が入るためには権利金がほしいんだとか、あるいはまた現在表の方が裏の土地に入る場合に、そういう権利金を出すのは困るので敷金としてもらいたいとか、非常にこまかい話になったわけでございます。それで会合を終わりまして、じゃその次の日はと日を指定いたしまして、その際に意見調整をしてもらいたいということで別れたわけでございますが、たしか今から二週間前だと思いますが、二週間前に約束の日が参りましたので、私の部屋へもう一ぺん来ていただきましてお話をしていただきました結果、どういう関係かわかりませんが、今までのそういう納得されたのが全部御破算になりまして、もう一ぺん検討さしてもらいたいという大きな変換がきたわけでございます。それにつきましてはいろいろ検討いたしまして私どもいろいろ説明したのでありますが、やはり地元の方が市街地改造法そのものの理解というものが少し足りなかったような気がするわけでございます。それで、いろいろ地元もそう具体的になって参りますと相当検当したようでありまして、やはりちょっと考えさしてもらいたいということを言っておるわけでございます。ただ表の方の言うには。私どもはこの道路は非常に重要で早期にやらなければいけないことはわかっておりますから、道路事業そのものに対しては別に反対を言っているわけではございませんから、東京都が指定しているような期日までに表の店舗を立ちのくことは確約をいたします。それはいたしますが、はたして地元に残れるかどうかが非常に疑問であるから、市街地改造法でやってもらいたいということを言うわけであります。それはもっともな理由でございますので、役所があっせんとかその他の方法によりまして、これらの方にお話をして裏に残れるようにしたいということを申すわけでございますが、どうもそれでは信用ができないということを言っているのが現状の姿でございます。その間の調整、それから特に裏の方から権利金とかいろいろな問題がございますので、そういう点を詳しく御説明申し上げる次第でありますが、なかなか一部の方は賛成して一部の方は不賛成というような形になりまして、裏側自体としては調整がつかない。それで、何とかして今年いっぱいには——本年度ではございませんで、今年いっぱいには一応まとめるから、地元説明をしてもらいたいということで、私は地元に行って説明をしている次第でございまして、これは私どもの憶測あるいは期待かわかりませんが、道路そのものには支障はないだろう、はたしてどういうような形で裏に残れるだろうかというのが残された問題ではないかというように、現在の段階では考える次第でございます。  それから、上通りにおきましても同様な問題がございますが、上通りは少し事情が違っているような点がございます。それは道路拡幅の裏の側の人におきましては、どうも鉄筋のビルに入ることがいやだというのが相当強い意見として出ておりますから、三軒茶屋とずいぶん様子が違っておりまして、あるいはそういうふうになって参りますと、市街地改造方式も一例でございますが、あるいはまた単独買収に踏み切らざるを得ないというような事態が出てくるかとも考えております。それは表の現在の商店等の方が裏に相当宅地を持っておるようでありますので、そこに下がればよいというのが相当強い意見になっております。そういうことになるかどうかその点も現在いろいろ折衝しておるという段階でございます。  以上で説明を終わります。
  16. 田中一

    田中一君 関盛君に聞きますが、道路拡幅だけが可能なところは道路拡幅でいくべきことは当然であります。なぜこのように市街地改造法として提案されておるかというと、私どもはまあ社会党に属しておりますからことさらにそれが強く響くのではないかと思うのですが、私なんかの理解するところでは、土地価格というものは利用する側の価値が今の常識では高くなっております。底地権が低いということですね。これは実に正しいことであって、土地価格というものは利用度によって高められるのが当然であります。したがって、そういう常識になっているにかかわらず、今大河原参考人が言うように、背後地前面に押し出されれば非常なる利益があるから反対だというような考え方を、今施行しょうとしているところの公共施設整備に関連する市街地改造に関する法律、これによって一切の権利関係というものは円満に話し合いがつく道を開いたということになっておるわけであります。今大河原参考人は、もう少し時限的なせっぱ詰ったというような、自分のほうの一方的な都合ということは目を閉ざして語っておりませんけれども、かかる事業を遂行するには三年かかろうと五年かかろうと十年かかろうと、じっくり腰をおろして市街地百年の大計を立てるべきであるというのが当然であって、これが三年後にオリンピックがくる、オリンピックがくるためには、それに間に合わなければ市街地改造事業はしないのだというような考え方伏線として持っておりながら、こういう事業を乗り切ろうとしたところに私は大きな間違いがあると思うのです。日本東京に招致しようとするところのオリンピックというものは、これはわれわれは関知しません。オリンピックの招致よりも国民の生活の環境というものがよく整備されるほうが先でございます。大河原部長かあるいは山田整備局長かどちらが発言したかしらぬけれども、今伺ってみると、計画内容検討のねらい方が道路敷買収という形でもって進まざるを得ないのではないか。それならば公共川地取得特別措置法適用すれば、たとえ抵抗があっても三年か三年半ならばいけるだろう。しかし市街地改造事業法でいくならばこれは容易なことではない。放射四号線の道路拡幅ということがオリンピック目あてのものだということは、これは大体常識としてわかっております。しかしながらそれが優先された形でもって出てきて三軒茶屋、五通りというものを法律審議過程にわれわれに想定させながら検討さして、同時にまたこれを成立させました。オリンピックのためにこれらの事業を奉仕するなんということはわれわれは考えられないのです。伏線としてそういうような考え方大河原部長は都の理事者の間に話し合われたこともあるやに聞いておるのですが、その点はどうですか。
  17. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 今田中先生からお話がございました点について、三軒茶屋につきましては単独買収の形になるかと思いますが、市街地改造法的にやはり裏にビルを作って入れると、市街地改造法適用するしないの問題は別といたしまして、それと同様な効果のものができ上がるだろうというように期待をいたしております。  それから上通りにつきましては、そういう方式を非常にきらっている者もございますので、あるいは単独買収に踏み切らざるを得ないのではないかというので、両方がちょっとニュアンスが違った点がございますから、現在の東京都の事業といたしましては、放射四号と環状七号線と両方がメインの道路だというように考えておりますので、これはオリンピックとは一応関係なしに、ぜひ昭和三十八年までに完成をいたしたい。どうせ完成をするならばオリンピックに間に合わせたいのだというのが東京都のほんとうの腹でございます。したがってオリンピックのための道路ではなくて、道路を作るならばオリンピックに間に合わせたいというのがほんとうの腹でございますので、それがオリンピック道路と称されればやむを得ないのでありますが、オリンピックのための道路でないということは私どもの考えといたしましては一致をいたしております。したがってどう申しますか、放射四号につきましては何とかして間に合わせたい。  それから最近の情勢といたしましては、青山通りにつきましても、相当買収が進んでいるのが現状でございます。すでに本年度の現在可決されておる予算では足りないような情勢も出てきておりますので、青山通りその他につきましては単独買収で進んでいくのじゃないだろうかというふうに考えております。ただし三軒茶屋につきましては特殊な事情もございますので、私どもとしてはできるだけ市街地改造法と同様の効果のあるような方法によりまして、単なる道路買収だけでなくてあの辺の市街地改造もあわせてやりたいというのがほんとうのねらいになっております。  以上であります。
  18. 田中一

    田中一君 青山五丁目辺でやっている住宅公団の中高層的な建築物、これは三軒茶屋諸君が一時賛成したという。これはどういうシステムになっているのですか、計画内容は。
  19. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 申し上げます。これは市街地改造法は御説明を省略いたしまして、日本住宅公団方式と申しますのは実は詳しく分析をいたしますと方法が五通りも考えられるわけでございます。それは骨山でやりましたように、土地はでき上った土地でございますが、その土地裏宅地地主所有をいたしまして、建物は裏と表の両方の方が出資をいたしまして、ある法人を作りまして法人所有にしてみんなで借りるという方式でございます。それから次は土地建物両方とも法人所有にする、あるいはまた土地建物組合で共有するとか、あるいは土地組合で共有し建物個人所有する、その他いろいろな方法が考えられるわけでございます。  それにつきまして初めいろいろ話し合いました結果、どちらかと申しますと、現在青山でやっているような方式、それがどういうような方式かと申しますと、道路拡幅になったのちにおきまして裏宅地地主はそのまま所有いたしまして、建物は各権利者出資をして法人所有にして、各権利者おのおのその分譲を受けるとかあるいは賃貸を受ける、そういうような方式でまとまるのじゃないか、こういうように考えたわけであります。ただその場合に権利金とかそういう点においてある程度一致をしなかったわけでございます。  それで非常に簡潔なもののいい方をいたしますと、表の今度道路にとられる方は何か市街地改造法でやれば非常にいいんだ、法律の保護を受けているのだからわれわれは非常によろしいのだというふうに非常に単純に考えたわけであります。それに対して裏の地主さんにとりますと、何か表の方がいいというなら逆に裏の方が損をするのじゃないか、やはり住宅公団方式でやった方がいいのじゃないかという、まあ抽象的と申しますか、頭の中で考えたような方法住宅公団方式を望むので、私どもはいろいろ御説明を申し上げますといろいろの疑問の点が出て参りました。それで疑問を一々解消したわけでございますが、やはりこちらにおいでになる方は幹部の方だけでございまして、幹部意見が全部の方になかなか浸透するのが困難であるという点がございますので、今盛んに組合と申しますかあるいはまたそういう同盟等を作っておられますが、その方にいろいろお話してもわからない点がありましたら私ども出向きまして御説明をする、こういうので両方とも共同意見がなかなかできかねるというのが現状の姿であります。それでことし中にはそういう意見一致をしまして、現在の状態といたしましては、市街地改造法と同様の効果になります住宅公団方式でやっていく、という形に落ちつくのじゃないだろうかというふうに想像をしている段階でございます。
  20. 田中一

    田中一君 そうすると形としてわれわれが想定するものは、三軒茶屋の東側が約二十五メートルぐらい後退するわけですね。もう少しかな、三十メートルぐらい後退するかな。
  21. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 十五メートル……。
  22. 田中一

    田中一君 現在幾らですかな、三軒茶屋の多摩川の方に向いたところ、あの辺がもっと要るのじゃないですか。
  23. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 十五メートルでございます。
  24. 田中一

    田中一君 そうすると十五メートル取り上げられれば、少なくともその背後地道路で二十メートルか二十五メートルぐらいは、その現在住んでいる諸君が後退するとすると、十五メートルのほかに十五メートルか二十メートルくらいは背後地地主土地を提供して、賃貸か売却かどっちでもいい、提供して、そこに高層げたばき住宅、高層、中高層の住宅を作る、住宅商店併用建物だけを作るのだというような考え方公団住宅の構想ということなんですね、具体的にいうと。
  25. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) それは住宅公団方式と申しますのが、いろいろな方式がございます。
  26. 田中一

    田中一君 権利関係はいいんですよ。
  27. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 権利関係でございませんで、表のほうは全部商店でありますが、裏のほうも住宅とごく一部でありますが商店もございます。そうした場合に、青山方式でやりますと裏の住宅のほうもやはり一、二階の店舗分権利があると、結局裏の方も期待権がございますので、その方も店舗的な形式のものに入り得るというのが青山住宅公団方式でございます。したがって現在の表通り商店の方の上に住宅が乗るという形でございませんで、一、二階の部分に表あるいは裏の方が全部入って、裏が今度の管理処分によりまして、分譲とかその他をするという方式になってくると思います。
  28. 田中一

    田中一君 それは路面に並列して店舗が持てるのじゃなくて、その部分もあるでしょうが、背後に向っての縦の商店ができるということなんですね。
  29. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) もちろん形としてはそういう形でございますが、三軒茶屋は特殊な事情もございまして、各個人々々の店舗というよりも、ある程度共同店舗式と申しますか名店街式と申しますか、そういうような傾向になって、裏の方もその店舗部分にやはり権利を持ちたいという思想が強いようであります。
  30. 田中一

    田中一君 そういう形でおやりになろうとしても、その場合には市街地改造法でやるものと違って、事業の主体というものは住、宅公団に委任をして住宅公団の融資によって行なうことに考えられておるのか。中高層のような市街地改造法の場合には、その事業者が、事業を行なう者が建築をして受け渡すということになっているわけです。それは市街地改造法によらないで実質的に同じものができるのだということなんですか。
  31. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 事実同じものができるわけでございます。ただ問題は建物とかあるいは土地所有権というところにおいて差が出ると思いますが、でき上った形としては同様なものができるというふうに確信いたしております。
  32. 田中一

    田中一君 そうすると防災建築街区と同じように、地区というか地元のものは組合を作って、そこで何を作ってもかまわない、店舗を作ろうが何をしようが一向自由だという形になるわけですね。
  33. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) もちろん自由にはなりますが、ただ住宅公団方式になりますと、違っておりますのが住宅分が三分の二以上必要だという点が違っております。
  34. 田中一

    田中一君 半分じゃないのですか、半分だろう。住宅公団でも住宅金融公庫でも半分のはずだがな。
  35. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 日本住宅公団によりますと、三分の二が住宅公団のものになりますから、したがって店舗とかその他自由になる部分が三分の一であります。それから中高層の融資の場合には住宅部分が二分の一ということになっておりますが、住宅公団が作る場合には三分の二が公団のものでございますから、少し制限が違ってくると思います。
  36. 田中一

    田中一君 関盛君に聞きますが、抵抗があるから一つの目的を持った事業をしない、方針を変えるということがあってはならないと思うのですよ。市街地改造法という法律がなくても今いうとおりできるわけです。これは責任も重大だと思うのだ。ことにわれわれの目を特定のどこかに向けさせておいて、これはいい町作りになればけっこうだと思って考えておる。それがそうでないものができるということはどういうことなんですか。また今、大河原参考人が言っておるように、今のような公団の屋根貸し住宅的なものでやるならば地元が納得する、市街地改造法でやったのでは納得しない、実質的には同じだということになると、市街地改造法という法律に無理があるということになるわけですよ。東京都のほうで市街地改造法によらないで地元が納得するような方法ということになると、今のようなことも可能だということになる。何も法律は必要でない。私は現在今、大河原参考人説明しているようなものより以上によいものが市街地改造法でできるのだという考え方を持っているのです。これには、市街地改造法の中の建設というものが、住宅公団であろうと個人であろうと部分部分命掛してやればいいわけです。ある場合には防災建築街区が乗っかっていいと思うのです、公営住宅が乗っかってもいいと思うのです、場合によれば、もし余裕があるならば。余裕があるように作ろうとするのが市街地改造法建設される部分です。関盛君に聞きますが、今のような方法でやれば納得する、市街地改造法であれば納得しないという、法律内容における、また方式における、計画における問題点はどこどこを指摘されますか。
  37. 関盛吉雄

    説明員関盛吉雄君) 私は、市街地改造法がねらっております内容において、運用上の問題はこれから行なわなければわかりませんけれども、このシステムといたしましては別に欠陥があるというふうには考えておりません。ことにこれが都市のいわゆる再開発、ことに副都心もしくはそれに準ずるような中心街ができますようなところ、あるいは駅前広場等におきましては、まさにこの法律の手法でなければ立体的な土地の高度利用も不可能であろうと思います。ただ、制度といたしましては私はそのようにやはり信じておりますが、運用の面におきましては、いろいろ住民の方々考え方というものに対しても、できるだけねらっております制度に近いものを生かしてやろうという気持が、東京都の行政の中にあるのじゃないかというように考えておりますのが、今の都市計画部長の発言ということになっておるのではないかと思います。しかし、それもやはりこの市街地改造法という法律ができまして、この制度があるということがだんだん理解された結果が、今のような運用上の方法による行き方ということにもなってきておるわけでございまして、ねらいは、やはりこのシステムがうまく理解をされて動けば、現在の関係権利者いずれに対しましても不合理な取り扱いをいたして参りません。東京都が思い切って財政資金を取得することによって、住民が与えられるところの補償金としての権利内容を具現するということで、一番明快に法律的に割り切れる安心のできる制度だと、こういうふうに考えております。
  38. 田中一

    田中一君 大河原君、僕もそう思っておる。とにかく三十八年度には全部完成しなければならないのだという前提があるから、非常に苦しい立場に追い込まれているのではないかと思うのです。君、率直に言いたまえ。何もそんな、僕の前でもってそんなきれいごと言ったってだめだよ。ほんとうにどうなんだ。
  39. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 問題は市街地改造法のいい悪いと申しますか、批判ではございませんが、三軒茶屋がこういうような方式にまとまってきましたのは、私は市街地改造法という法律がなければ、おそらくまとまらなかったろうというふうに考えます。それはどういうことかと申しますと、裏のおそらくどこを考えましても、表通りの方は全部法律に賛成いたしますし、裏側の方は大体不賛成をいうのが普通だろうと考えております。したがって市街地改造法という法律があるから、これによってやるのだということを強く打ち出した結果、三軒茶屋としてはまとまってきたのではないか。これはあるいは法律の悪用かもしれませんが、そういうような方法で非常に効果があったというふうに考えております。  それからもう一つは、東京都では新橋の問題もございますが、新橋は近く都市計画審議会において、市街地改造法適用するという正式な議案として、大臣から付議をしていただくという予定になっております。したがってある程度時限的なものと申しますか、どうしてもこれまでにやらなければならないというものにつきましては、市街地改造法が時限的に間に合うかどうかという点について、われわれとしては一、二疑義がございますのでなかなか踏み切れないというのが現状の姿であります。
  40. 田中一

    田中一君 疑義というのはどういうことですか。
  41. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私ども市街地改造事業をかりにやるといたしまして、いろいろ工程を計画したわけでございます。その工程によりますと、普通にいきまして大体四年ぐらいを要するのじゃないだろうかというふうに考えるわけでございます。これは御存じのように測量その他につきましては別に普通と変わりはございませんが、たとえば審査委員の任命であるとか、あるいは異議の申し立てであるとか、いろいろな買収とかそういうことを全部計算いたしますと、普通にいって大体四年ぐらい要するのじゃないかということで、時限的な問題としては、三軒茶屋等におきましては間に合わないおそれがあるというわけで、それならばやはりこれと同様な効果のあるものをねらって、表と裏と仲よく立体化して町作りをしたほうがよかろうという結論に傾きかけている、というのが現状の姿でございます。
  42. 田中一

    田中一君 間に合うとか間に合わないとかいうことは、今まで放置された放射四号線が三十八年一ぱいに問に合わなければ、三十九年、四十年に作ったらいいじゃありませんか。こうやくばりのような手術をしないで、ほんとう地区の発展のためには、やはり抜本的な計画が必要なんです。これは大河原君だけを責めるのではないけれども、今までの都の行き方が間違っていたからですよ。あまりに放任し過ぎたというところに問題がある。だから間に合うとか間に合わないということには地元民は関係ないですよ。やはり全体のいい町作りができる、作ろうというところに市街地改造法のねらいがあるのだから、そうして作っていけばいいのですよ。一九六四年でしたか、オリンピックは、それまでに何とかして放射四号線を活用しようという考え方が先行するから間に合わぬという言葉が出るのだけれども、そうして中途半端なものを作るよりも、こういうりっぱな法律があってこの法律に対するお考えがあるならば、おそらく大河原君や山田君あたりがその時限的に間に合わないという前提に立って、これは悪い法律のような印象を与えているのじゃないかな、逆に。そうして三年間で、三年間というか、公共川地の取得に関する特別措置法を悪用いたしまして、そうしてとにかく道路だけは完成させようという考え方を持っているのじゃないか。今まで市街地改造法でもってどうかつし、今度特別措置法でどうかつする、法律はどうかつするためにわれわれ作っているのじゃないのです。国民全部の理解と支持の上に立って、それらの平編と繁栄というものをねらいながら作られているものなんです。それが東京都の諸君のようにどうかつの具に使われるというようなことになれば、これは行政上の一番の欠点で、資格がありませんよ。何がオリンピックですか。われわれの国民生活とオリンピック開催というのは何の関連性があるのですか。一九六五年であろうが一九六六年になろうと、将来を考えるならば、いい町作りのために、いい環境を得るために、また住民の個々の生活をよくするためにも、この市街地改造法内容のよさというものを理解させて、そうしてなおかつ地元のああした隘路になっている、町の隘路ですよ……、あれをいい道作りにするという考え方に立たなければだめなんです。これを市街地改造法仕事が行なわれながら、一九六四年までには交通の面だけは完成させる、という気持を持って計画を立てないと、せっかくいい法律……それからわれわれ反対したけれども、万やむを得ない場合もあるだろうといってとうとう成立したところの、公共川地の取得に関する特別措置法をまたどうかつの具にしてやる、なんという行政は絶対にこれは資格がありません。おそらく公共用地取得に関する特別措置法、この法律でもってやるのだ、だから言うことを聞けということに今度変わってきた、こいつはちょっとたいへんだ、それじゃまあこの辺でもって、先ほど君が説明しているように、道路拡張は表側の人は賛成しています、しかしながら地元に残るようにしていただきたい、というのが条件なんです。賛成せざるを得ないのです。まあ現在の環境を見ても、良心のある者なら、そうしてまた東京都がどうかつの具に使っているところの公共用地取得に関する特別措置法というものの段平を振りかざせば、賛成でございますというのです。しかし残してくれということになると、ただ単にどこまでの範囲を市街地改造法で指定するかの問題が残っておりますけれども、少なくとも全面後退するところの十五メーター、その背後の二十メーターなり二十五メーターというものの連中を集めてお前さんにも店舗を持たしてやろう、権利が高く売れるからそうしたら得じゃないかというような形、特定の者に特定なる利益を与えるような形でもって行政をしちやならないのが、今日本にあるところの諸立法ですよ。特別にだれかの利益になるのだということは考えたくないのです。考えるべきものじゃないのです。事を時限的に、国民に直接関係のない目的のために急ぐ、それならば全部をお買いなさい。まあ計画の最初には平均一坪二十万円くらいといっておりました。一坪八十万でも百万でも出してみんながどこかへ出て行っても新しい環境で生活をできるような買収をなさいよ。金で勝負がつくなら一向さしつかえありません。しかし、そういうことをした場合に、日本の国の公共事業はどうなるかということを考えた場合には、金を余分にやればこの人は出ていく、文句は言わないんだという思想を出すことは、日本の公共事業一切を停止させるという暴挙ですよ。これでは既成市街地における公共事業の遂行ということは非常に困難なことになります。決して、これは旧憲法時代と違って、新しい憲法によって保障されておる国民生活と、あるい旧土地収用法によって土地を取られる場合と新土地収用法によって土地を取られる場合との方法は違っております。かつては収奪法、今日ではもう保護法になっておる。したがって行政をつかさどるもの、事業をやるものはやりにくい点がたくさんあると思う。これはよく理解する。しかしそれが三年間でしなければならぬ、四年かかるからこれはやめるんだということは許されません。私は大河原部長を責めるばかりではない、政府も責めたい。一体政府はなぜオリンピック招致というこの大きな事業東京都知事の一存できめてきて、都議会の協賛もあったかもしれませんけれども、賛成があったかもしれませんけれども、これに対する何ら——何らというか、積極的な支持はしておらぬじゃないですか。私はそもそもオリンピック招致なんということは絶対党内でも反対だったのです。しばしば言っておるように、ああした国際行事をやるべき日本段階ではない、経済力ではない、社会状態ではない。全員だれもかれもがよさそうに賛成するから党としてもこれを踏み切ってしまった。ごらんなさい、こういう状態になるのはあたりまえですよ。今この三軒茶屋あるいは上通りのこの地区がそうでない形で市街地改造法事業を行なうんだという、少し高過ぎる理想かもしれぬけれども、せめてもかくあるべきだというものをわれわれは想定しながら審議をしていた。事業をやるのは東京都だからおれは知らぬという態度ではないだろうけれども、吉兼君、君たちはどういう考えを持ってどういう協力をしておるか。当然この事業を行なうためには、資金面においてもただ都だけの力でできないのはわかっておるはずです。国の相当のバックアップがなければできません。今まで三軒茶屋または上通りに対するどういう援助を政府はしておったか。どういう助言をしておったか。関盛君に聞くのは今日の段階では筋違いになるから、吉兼君、君から言いたまえ。
  43. 吉兼三郎

    説明員(吉兼三郎君) ただいま先生から御指摘の点ごもっともな点ばかりでございます。先ほど関盛局長からお答えがございましたように、私どもこの市街地改造法の成案につきまして努力をして参って、目下関係法令も大体整備を終わりまして、これから大いにひとつこれの事業化についての全国的なPR、そういうふうな方面に努力をして参りたいし、あるいはこの事業の発展のために先ほどちょっと御指摘もあったかと思いますが、財政的な面あるいは場合によっては融資の面、そういう両面からのこの事業に対する援助、こういう制度を将来もどんどん努力してやっていきたい、またそういうことをあわせ実現することがこの事業を伸ばす道であると確信をいたしておりますので、そうやって参りたいと考えておる次第でございます。まだ制度ができまして日が浅うございます。そこへ持ってきて先ほど来話題になっておりますところの放射四号線等につきましては、非常に時期的にも急がれておる事情でございまして、そういう制度ができて間もないということと、事業が非常に急がれているというこの二つの条件が重なりまして、非常に私どもとしましては苦しい立場にあるわけでございます。先ほど東京都からお話がございましたように、できるだけ地元に対しまして市街地改造法の精神をよく説明し、徹底をしていただきますならば、私は究極においては改造法で処理するのが一番安全であり、地元としても地元関係者がお互いに補償を受けるということになるんじゃないかと私は信じております。従来までの地元に対する説明そのものは私どもは直接いたしておりません。東京都に対しまして説明会等もやりましたし、あとは第一線に東京都からいろいろ説明会をやっていただいているわけでございまして、そういうような指令も参っておりますので、私ども自身何も地元に対する説明その他におきまして十分努力をしなかったとか、そういうことはないと思います。今後ともそういう点十分やって参りたいと思います。
  44. 田中一

    田中一君 これはなんですよ、三年間にできないからあの方法、この方法というとどの法律が一番国民のために考えたらいい法律かということになって、戸惑うわけですよ。比較的法律の、こうした専門の法律の結果というものに対する想定ができにくいような事業に対しては、これは大河原君ばかり責めちゃはなはだ君にしても不満だろうけれども、しかし率直に君が今までにここで答弁したことは、どうしてもオリンピックに間に合わせなければならないのだという至上命令的な制約があって、それに追っつけるのだということにしか聞き取れないのですよ。しかしそういう形でこの市街地改造法というものは作られたのじゃないのです。そうしてまたこの法律を作られたという理由は、やはり公共用地取得に関する特別措置法適用しないでやろうではないかというところにねらいがあるわけなんですよ。あれでもいかぬ、これでもいかぬというふうになって、地元には何を話したって、おそらく都に対する、事業者に対する不信感が増大するばかりで、一人でも反対があればだめだと思うのです。私は地元民に言っている。どんなことをいわれてこようとも、君らが不満の場合には抵抗し得る方法を全部教えてあげます、なに三年どころじゃないというのですよ。全部教えてあげます。僕は矢面に立って教えてあげましょう。どの法律でもやはり権利というものがあり、民法上のいろんな権利を持っているのですね。だから結局端的に露骨に言うならば、損得ということが一番関心が深いわけです。得だということを理解させるように努力すればいいわけなんです。私はあえてこの法律、あなた方のこれら事業に対して、放射四号線の事業に対してじゃましようとは思わぬけれども態度がよくないです。君は率直に言ったんだろうけれども、まあこれがあってこそ初めて地元が納得するようになりました、今度公共用地取得特別措置法、これがあるからいやおうございませんということに発展して、どうしても放射四号線道路を作るのだ、こういうことなんでしょうね。非常にあなたいい人柄だよ。そういうことを率直にいえるだけの、これは信用できますよ。信用していいと思うのだ、その人柄は。しかしだからといってそういうことが行なわれるのを望んでいるかどうか、これは事務次官に一ぺん聞こう——だれに聞いたら……。そういう意味でこの市街地改造法が作られたのではない。また公共用地取得に関する特別措置法も、放射四号線でどしどしこれをどうしても行なうのだという前提でもってできたわけではない。これはひとつ東京都は間違ったというよりも、法をどうかつの具にして都民を苦しめるという行き方に対してはどうお考えになるか。これは率直に言っているのだ、大河原君はこれがあって、法でどうも納得しそうでございます、それが今度の特別措置法でやれば納得も有無も何もない、有無を言わさずにやっちゃおうという腹がまえなんだ。しかしこれだって法律には盲点があります。私は正面切ってけんかしましょう。そういう強引なことをして、納得させたいならば山本君、これは国としても当然かかる事業に対しては援助しなければならないのですよ。オリンピック招致のための放射四号線じゃないはずなんです。だからどういうことか、その今聞いてみると、住宅公団方式でもってやることだってこれは白紙に戻してやる。それからことし一ぱいには何とか地元で相談して結論をまとめたい。これはまとまらないです。どれが正しいのか、どれが得なのかということが明らかになっておらなければ一人でも反対しますよ。やはり最初の計画というものをはく理解さして行なうこと以外にはないと思うのですが、大河原部長でしたか、次官に聞いてもちょっとお答えできないだろうから、都の方、どうですか。
  45. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 結局お言葉返すようでありますが、損得という問題になりますと、でき上った形が一定のものならば、かりに裏の方が得をするということは表の方が損をするのだ、表が得をすることは裏が損をするのだ、こういうふうな先ほども申し上げましたようなそういうことが、三軒茶屋地元としては非常に強いような印象を受けております。それはどういうことかと申しますと、表の方が市街地改造市街地改造といわれますと、裏の方はそれを単に言葉だけをとりまして、そんならば逆に言えば裏が損をするのだ、こういうような印象を受けるわけであります。それから逆な場合、逆な印象を受けます。それで、私どもはそうじゃないのだ、こういうふうな方式とこういうふうな方式で、もちろんでき上った形は一緒でありますが、ただ両方権利関係が少し違うわけであります。その権利関係におきましてやはりそういう損得の問題と、もう一つはやはり私は今までの従来の観念における、どう申しますか、観念はやはり違っているのじゃないかと思います、正直に申しまして。たとえば建物の共有であるとか何とかいわれましても、何かしら現在までの人においてはぴんとこないところがあるのではないかと思います。その点についてやはり不安感がございますので、その不安感を解くようにいろいろ話をしているわけであります。それでそうなりますと三軒茶屋の一例を申し上げますと、裏の土地だけを持っている人もあります。それから表の土地だけを持っている方も、あるいは借りてる方、それから裏と表と両方土地を持っておられる方というように、いろいろ入り乱れております。そういう関係上、全員の意思の一致ということはむずかしいかと思いますが、やはりある程度理解がありませんと、どういう法律適用するにいたしましても、一方的に反対というのでなく、両方で強く反対しておれば、両方うまくいかない。それを解きほぐすには、やはり相当時間がかかりますから、もう少し時間をかしていただきたいということを申し上げておる次第でありまして、両方の方も、そういう点を十分納得されまして、何とか、ことしじゅうにまとめるから、両方法律も研究いたしたいから、もう少し時日をかしてもらいたいというお話がございますので、私どもも、時日をかしましょうと、それから、私ども地元へ行って説明をし、あるいはこちらにおいでを願いますれば、こちらで説明しましょうという段階でございます。  ですから、別に市街地改造法をどうかつの道具に使ったり、あるいは今度の特別措置法をどうかつの道具に使うという意味では決してございませんので、ただ、こういう法律ができたということに対するある程度精神的な、何と申しますか、そういう点は、地元の方は感じておられるのじゃないだろうかということでございまして、これはやるということを強く言ったわけでは、決してございません。やはり精神的な問題としては、地元の方の納得を得るとか、あるいはまた国で、こういう法律を作ったのだから、こういう法律がいいのだという意味において、ある程度の感じは受けておられるのじゃないだろうかということを率直に申し上げた次第でございまして、あるいは私の言い方が足りないかと思いますが、そういう点がありましたら、訂正をいたしたいと考えております。
  46. 田中一

    田中一君 そうすると東京都が望んでおる完成が、いわゆるオリンピックに間に合うように道路整備を早くしたいというねらいに合致するならば、市街地改造法でよい環境に持っていくということも断念するわけではない、こういうわけですね。
  47. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 今のお話のとおりでありまして、私どもは正直に申し上げますと、どの法律適用しようと、結果として、あそこにいい町作りができればよろしいというふうに考えておるわけでございます。  それから同時に、あそこの道路の問題が解決して、両方が目的達成をするについては、市街地改造法だけがいいものではありませんので、いろんな方法がございますが、そのうちの一番いい方法をとって、皆さんが納得されるという方法が一番いいのじゃないだろうか。それで現在の段階としては、そういうことをすることそれ自体については、別に反対ではございませんので、その方法論についての意見一致を見ない段階でございますので、その点は御安心を願いたいというふうに考えております。
  48. 田中一

    田中一君 もう一つ、念を押しておきます。それでは、公共用地取得に関する特別措置法適用いたしませんというふうに理解してよろしいですか、どういう方法でいこうと。
  49. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 別に私から、今直ちに適用しないということを知事のかわりに答弁をいたすのは、ちょっと控えたいと考えております。打ち合わせもしておりませんし、大きな問題でございますので、その点、ちょっと答弁いたしかねるというふうに考えております。御存じのように、かりにこの法律適用すれば、相当年限が要るということは御存じと思います。ただ、この準備として説明会をしたわけでございます。もちろん大臣に対して、この問題につきまして特別措置法適用するという申請もいたしておりませんので、ただ、そういう説明会をしたという段階でございますので、御了解を願いたいと思います。
  50. 田中一

    田中一君 先ほどから言っているように、三年以内に、どうしてもしなければならないのだという要請は、僕らにもわかる、三年あるいは二年半でもってやってほしい、きょうなども、外苑で自衛隊の観閲式かなんかあって、そのために僕らは早く行こうと思っても、なかなか行けない、それで遠回りして、それで青山の六丁目——六木木の間で四十分かかった、遠回りしているのに。だから放射四号線がよくなれば、これはもう非常に国全体としても、国民全体としてもいいわけです。ただ、やすきにつくという考えはいけないということを言いたいのです。  建設次官に要求しておきますが、市街地改造法で、あの地区を腰を下ろしてやるべきである。大阪はどうやら、計画局長の話を聞くと、近く始める段取りになっておるということですが、それは大阪方々は、そろばんをはじくのが早いから、この方が得だということになって始めたと思う。この点は大体、住宅地域でない、商業地域の指定になっている地区だから、そういうことになったと思うが、住宅地区だ、商業地区だという地区の違いばかりでなく、東京都は地元民に理解させるための努力が足らないということです。これは大河原君御承知のように、僕らまで引っぱり出して、新橋だ、赤羽だといって、こういうものに対する理解を深めるための講演会に引っぱり出されている。われわれでもしている。この法律審議のときにおいても、参考人に伺ったんですが、東京都が説明に行くと、どうも何か、自分たちが損をするような気がするということを言っている。何か無理をさせられるのではないかということを言っている。地元ばかりでなく、大々的にあすこを利用する、放射四号線を利用する都民全部にわかるような説明が必要です。  そうして、比較的よいこの法律で、三軒茶屋のあすこを三年以内に、あるいは二年半以内に完成する努力をやって下さい。別にあすこのところは、私は今、大河原君から説明を聞いたから、その説明について、私はそろばんをはじいてみます。実態を調べてみます。どっちが得だかということを考えてみます。  私は市街地改造法、そのほうが得のような気がするこれは、どういう形でやってやるか、住宅公団を呼んで調べてから、君と対決します。得か損かということを。
  51. 大河原春雄

    参考人大河原春雄君) 私は逆に質問します——非常に失礼な話ですが。得だ損だということは、一体表のほうを言われるのか、裏のほうを言われるのか、事業費が一緒ならば、表が得だと言われるのか、どういう意味の得か、その辺が、ちょっと理解しかねるのですが。
  52. 田中一

    田中一君 お答えいたします。私は、何が得かということは、まず第一に、消防が来ても、消防車が入れないというような細い道を持っておる人たちが、よい環境になるのが得だ、それから全体のものが、特別に、だれも損をする者がございません。しかし特別に得する者もございません。みんなが得になる。この法律は、そういう法律である。したがって、前面道路をとられる、その道路に対する価値というもの、道路敷地に対する価値は、かりに百万円すれば、十五メートルとられて、十六メートル目から、それは百万円の価値になるということはいたしません。だから、背後にある所有者も得がございません、特別に損もしない、そういうものをひっくるめて、みんなよい環境に住んで、自分らみんなに価値というものを均てんされる。だから、特別損はございません、特別、利益を受ける者もない、しかし全体として得でございますよということを、僕はどこへ行っても説明している。どうも大河原君の頭には、裏と表の損得というものにこだわっておるのが、裏と表の損得ではない。裏の人も得をする、表の人も得をする。しいて言えば、地主が一番損をするということを、自分の気持として言っている、表通りを十五メートル道路をとれば、十六メートル目から地主は損をする、地価が上がるとすれば得をする、これは何も人為的ではない、環境によっては上がってくる、しかし、その得も、みんなが得をするということを言っておる。みんなが得だということは、裏も表も、間借人も借家人も、店屋も鳥屋も本屋も、みんな得をするのだということを私は言っておるのだ。だからといって、今あなたの言っておるような、裏のほうの共同便所に寄っておるうちが、急に表の角地にくる云々ということを言っておるのではない。あるがままの権利が、そのまま継承されるのでございますよというふうに、実は説明しているのですが。  だから、今あなたがお尋ねの損得ということについては、全部が利益を受けるのだということを説明しておる。決して損はありませんよ、こう言っているのです。  答弁になったかどうか知らぬが、もし納得できなければ、吉兼君あたりから、十分法の精神並びにわれわれが長い間かかって、当委員会並びに衆議院の委員会で質疑応答いたしました法の運用、精神というものを、ひとつ勉強して——あなたみたいな人に勉強と言っちゃ悪いが、読んで、立法の精神が、どこにあるかということを御理解願って、三カ年以内でやりたいという計画があるならば、三カ年以内でやるようなものを考えて計画を立てる。それに対して私どもは協力を惜しむものではない。喜んで協力しますよ。だから、きょう十一月の最初の委員会にも、こうして協力をしたいから来ていただいて調査しているわけなんです。まあこの辺にしておきましょう、大体、わかってくれたと思うから。これでいけなければこれだぞ、これでいけなければこれだぞという考え方は、悪例と都民に悪い印象を与えますから、これだけは避けるようにして、あとは国の強大なる援助を受けるようにしていただきたい。私どもも協力いたします。この点については、この程度にいたします。
  53. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 大河原参考人、非常に御苦労でありました。  速記をとめて。   〔速記中止〕    ——————————
  54. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 速記をつけて。
  55. 田中一

    田中一君 せっかく山本次官が出席になったので、ひとつ最初に、ごあいさつを願いましょう。
  56. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) この機会にお許しをいただきまして、ごあいさつを申し上げます。  本日付をもちまして、私建設事務次官を拝命したのでございます。従来も、いろいろ御指導いただいたわけでありますが、今後また、一そう御指導いただかなければならぬことが多いと思いますので、よろしくお願いいたします。
  57. 田中一

    田中一君 去る十月の十九日に、私、偶然所用があって広島へ参ったのであります。そうすると、その日に、私のところへ電話があって、今、郷川の事務所へ総務部長、河川部長、その他各課長九名が来て、郷川の労働組合幹部を呼んで、今まで、前の事務所長と組合の間に取りかわしてあったところの労働協約というものは白紙に房すという、一方的な宣言を行なった。そこで私に、これは重大だから来てくれというので、おそく八時ごろか、向こうへ着きまして、一応事情を聴取してみました。とても言葉じゃいかぬから、資料として全部書けといって、書かして私はみんな持っております。  翌日朝、私から谷九名の諸君にお目にかかろうといって事務所で待っていただいて、行って、今までの経緯を質問してみました。「そのとおりでございます。局長の命令でございます」という答弁でした。それじゃ何を言ってもしようがないから、局長に会おうというので、局長に電話をして待ってもらった。その日の翌日の昼ごろに局長に会ったのでずが、命令したというのです。どういう立場であるかというと、この郷川の前所長と労働組合との間で、九カ条の、こういう労働協約がございます。これもひとつ、そのまま引き継ぐから受け取ってくれと言ったときに、現在の所長はそれを、承知しました、全部引き継ぎます、こういう事務引き継が終わって、そのことを組合にも答弁しているわけです。  そこで、この内容というのは、ちょっと読み上げますと、こういうことです。「一、人事異動協議に関する件、二、庁舎諸設備、新設改善に関する協議、三、補助員年次有給休暇二十日とする協議、四、補助員、一カ月二十五日稼働完全補償に関する協議、五、補助員の宿日直、職員と同等に実施する件、六、補助員の産前産後、職員と同等にする件、七、運転手事故補償に関する協議、八、来客の際、寮母割増しに関する協議、九、組合大会、委員会の旅費補助に関する協議」この九項目が了解事項として成り立っています。そしてそのほかに、超勤に関しては組合と協議をするということが、附則として加わっておりまして、こういう労働協約をもって、円満に相互信頼の上に立って、事務所を今日まで持ってきたというのが現状であったのにかかわらず、問題になった点は、和里田君に聞いてみると、一の「人事異動協議に関する件」に引っかかったそうです。  というのは、係長を任免するという際に、一応所長から話があったそうです、組合に。一人係長がいるんだそうです。どこかへ行くんだそうです。転任するのだそうです。係長がかわるんだそうです。郷川の事務所には、資格のある、係長らしき資格がある、また資格があると認められている職員がおるそうです。組合に話があったから、どうかその人を係長にしてほしいという申し出をしたそうです。これは、もちろん協議といっても、人事権というものは、所長なり局長なりあるいは大臣なりが持っておりますから、それについては、私は苦情を言っているのではない。一応組合に相談があったときに、もう辞令がきてしまった。それから所長に聞くと、おれの知らぬうちに、これを出した、こう言っていたそうです。それから局長、総務部長に聞いてみると、ずっと前に、だれがよかろうということの相談はしたというのです。しかし、辞令を出す出さんの問題は、全然知らなかったというのが所長の言い分だそうです。これは僕は所長に聞きました。  これに端を発して、九月三十日に、この問題については、相談したそうです。所長交渉を持ったそうです。ところが、双方の意見一致しないままに、辞令が一方的に出てきた。それで係長が就任すると同時に、所長は休んでしまって、全然出てこない。これはだれもかれも知っている通り、任免権は組合にあるわけではないのですから、これは認めましたというのです、組合としては。自分のほうの意見を言ったけれども、これは取り上げられなかった。これは認めます。これは当然です。組合も、総務部長の前でも、はっきり言っておりました、認めますと。しかし人事その他の協議に関しては、事前協議というものを、今までやってきたのだから、少し自分たちの意見も、それは通るものとは思っておらぬが、聞いてもらいたい。また聞いて、今日まできたというところに問題があったわけです。  そうしているうちに、局長に聞いてみると、もたもたやっているものだから、河川部長に行ってこいといって、河川部長が来て、いろいろ労務管理等についても、くちばしを入れたそうです。ところが、これも、もう話し合いにならない。そこで局長が、郷川二級国道昇格の促進協議会を作るという地元の要請にこたえて、祝辞でも述べに行ったときに、おれがみんなに話ししょうというので行った。ところが、だれも集まらなかったというのです、局長のもとには。これには、別に悪意があるわけではなくて、職員の転勤等でもって、手伝いに行ったりして集まることができなかったそうです。  そうこうしているうちに、地区でも、この争議を聞きつけて、地区労からもいろいろ応援態勢ができ上がっておった。それで、この人事異動協議に関する件を確認しろという要求をしたところが、それを聞いてくれない。それにもっていって、私が、ちょうど広島に行ったときの十九日に’総務部長、人事課長、専門官など十名が行って、その十九口の朝に、組合員を集めて、今までの九カ条の労働慣行、労働協約を破棄する、白紙に戻すということを宣言したそうです。そこで初めて衝突が始まったというのが、現在までの動きであります。  和里田局長に、私が説明しているのは、労働法上の運営については、労働慣行によって大部分が処理されているのが事実なんです。この労働慣行が、一方的に破棄されることは、これは挑発であり、挑戦であるということ、私が立法考査局のほうで十分調べてもらった法律的な根拠というものは、労働慣行というものを無視するということになると、これはもう、新しい問題が起きてくるということになるのは当然だということですね。だから、もしも九カ条の労働協約が不十分ならば、破棄しろという宣言を一ぺん白紙に戻して、前所長と松浦所長とが、これらの事務引き継ぎをしたときまでに戻して、むろん転勤その他の問題は、文句ないんです、任免権は上にあるのですから、所長なり局長なりにあるのですから、これはいいと思うんですよ。そうして話し合いをしたらどうかということを言ったんですが、自分の意思は、そういうつもりではなかった、和里田君はね。しかし、その白紙に戻すことはできません。しかし、なおどういう発言をしているか、現地へ行って、現地からみんな帰ってくるから、それによって話し合いをしましようということになって、私は帰ってきたわけなんですよ。  ここで問題になるのは、現在は十月二十三日から二十五日にかけて、局長命令による特別監査実施、それから事務のおくれの責任を追及されておるそうです。それから設計上、工事上のミスなども、管理者の責任を職員それぞれに転嫁しているそうです。最近、これは次官も知っているでしょうが、東京に、全国の事務所長連絡会議を開いて、労働組合対策に対して、いろいろ協議をしておるということもあるそうですが、御承知だと思います。こういう形で、労働組合との間に問題を起こしておるということ、それから労働慣行を白紙に戻すということは、一郷川の問題ばかりでないのです。またこの九つの内容は、局長の命令で、これを実施しておるという協議事項もあるわけなんです。それで、もしこれが全部白紙になるということになりますと、中部、中国地建全部の工事現場の労働慣行が破棄されるということにならざるを得ないのです、局長命令ですから。そういたしますと、他の地建の所管内の工事事務所のものにも波及するおそれが多分にあるという危険を感ずるわけですね。これはまあ官房長あたりから出した例の今後の労働管理の問題点についてという、ことしの七月に出したこの書類、資料、人事課から出していますがマル秘ですからね、これは。私借りているわけです。これを労働関係の学者に、全部詳細に解明してもらいました。大体に、問題点はある。あるけれども、ここでは言いません。しかし、大体において常識的なものであって、大して問題はないという。ただこの、ことしの三月四日に、局長会議のときに出した資料、いわゆる建設省における労務管理要領、これは人事課が起草して、三月四日の口の局長会議にこれを出して、この通り強行せよということになっておる書類であります。これは官房長が、私は知りませんとしらを切ったけれども、がないから、しらを切られてもしようがないけれども、これを今、検討しています。これは重大な問題が、たくさん含まれているんですね。そのうちの一番大きな問題としては、今後は団体交渉については、従来のゆがめられた慣習を反省して、新しい規律に戻す。いわゆる今までの労働慣行を、悪い労働慣行というけれども、一方的に、いい労働慣行も悪いと認定すれば、悪い慣習になってくるのですから、そういうものを全部やめて、新しい観点から組合と話をしろという命令が出ている。それから法律にきめてあるもの以外のものは、一切拒否しろという指令が出ておりますが、これはおのずから、こういう形でもって、今まで運営されたということは、一面、前次官の柴田君が、サーベルを持って、今までずいぶん弾圧したこともある経験から、どうも、そうしたような行き過ぎがあったのではなかろうかということで、非常に同情的に官側は見ているのですが、この問題は、おそらく報告がきていると思います。これに対して、どういう態度で臨もうとしているのか、山本次官に伺っておきたいのです。
  58. 山本三郎

    説明員(山本三郎君) 私も、けさ実は辞令をいただきまして、すぐ飛んできたような状況でございますので、しかし、まあお前も建設省にいたのではないかというお話かと思いますけれども、実は、こういうふうな問題につきましては、まあ主として、事務次官と官房長のほうで通してやっておりましたので、まだ時間的に研究する時間もございませんし、また報告につきましても、まだ聞いている時間ございません。  しかし、まあただいま先生からお伺いいたしたことは、ただいま頭に入りましたので、今後よく調査の上、円満に解決できるようにという方向で努力したいというふうに考えます。
  59. 田中一

    田中一君 官房長、ひとつ私の、今説明したものに間違いがあるか、また間違いがあったら指摘願いたい。  それから、どういう方向にいくかということは、今、事務次官がそう言うのだから、相談されるひまもないでしょうから、官房長の考え方を聞くことのほうが、かえって工合が悪いと思うから聞きません。変な答弁を聞くと、また僕が発言者にならなきゃならないから、これは次回に譲りますが、ひとつ、こういう事態は、問題が波及するばかりなんですよ、他の現場にですね。郷川の事務所が行き過ぎがあるとかいうと、ほかは行き過ぎがない、行き過ぎがないから、労働慣行を尊重するけれども、お前のところは、多少行き過ぎがあるから、あるいは感情的にけしからぬから、もう今までの労働慣行、労働協約を破棄するのだということは、これはあっちゃならぬことなんですよ。和里田君は、今度やめたのじゃないでしょうけれども、ここで追及しても困るから、私が、もし書類がほしいなら写して差し上げます。それで、よく検討して、和里田君も、何とかしたいということは言っておったのですが、行きがかり上、今のようなことになったらしいのですが、これはひとつ、十分に検討していただきた、  きょうは、この辺にしておきます。深く行きますとわからぬ——わからぬという答弁だけじゃ困っちゃいますから、こういう問題があって、これを一日も早く解決したいということを次官も言っておりますから、その点をひとつ、十分に考慮して、なるべく早く、この問題に対する解決——解決ですよ。相手を弾圧する、相手をしめ上げるというのじゃないのですよ。——解決をする方向、そうして、それらの労働慣行破棄というような重大な問題を——これは重大な問題です、こいつは。こういう問題が、破棄されたままでいいかどうかの問題が重要なんですから、よく考慮していただきたいと思います。で、次回は、この問題の答弁を願いますし、私も質問いたします。検討しておいて下さい。
  60. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 建設委員会は、これにて散会いたします。    午後零時十四分散会