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1961-10-27 第39回国会 参議院 建設、地方行政、社会労働、農林水産、商工委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十七日(金曜日)    午後一時二十六分開会    ———————————  委員氏名   建設委員    委員長     後藤 義隆君    理 事     田中 清一君    理 事     武藤 常介君    理 事     村上 春藏君    理 事     内村 清次君            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            小山邦太郎君            紅露 みつ君            西川甚五郎君            米田 正文君            木下 友敬君            田中  一君            武内 五郎君            藤田  進君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君            野坂 参三君   地方行政委員    委員長     小幡 治和君    理 事     小林 武治君    理 事     西田 信一君    理 事     秋山 長造君    理 事     基  政七君            小柳 牧衞君            郡  祐一君            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            鍋島 直紹君            西田 隆男君            湯澤三千男君            占部 秀男君            江田 三郎君           小笠原二三男君            鈴木  壽君            松永 忠二君            中尾 辰義君            杉山 昌作君   社会労働委員    委員長     谷口弥三郎君    理 事     鹿島 俊雄君    理 事     村山 道雄君    理 事     坂本  昭君    理 事     藤田藤太郎君            泉山 三六君            勝俣  稔君            佐藤 芳男君            高野 一夫君            徳永 正利君            山本  杉君            吉武 恵市君            横山 フク君            相澤 重明君            久保  等君            小柳  勇君            藤原 道子君            相馬 助治君            村尾 重雄君            石田 次男君   農林水産委員    委員長     仲原 善一君    理 事     石谷 憲男君    理 事     櫻井 志郎君    理 事     安田 敏雄君    理 事     東   隆君    理 事     森 八三一君            青田源太郎君            秋山俊一郎君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            柴田  栄君            田中 啓一君            高橋  衛君            藤野 繁雄君            大河原一次君            北村  暢君            清澤 俊英君            小林 孝平君            近藤 信一君            高田なほ子君            棚橋 小虎君            千田  正君            北條 雋八君   商工委員    委員長     山本 米治君    理 事     川上 為治君    理 事     剱木 亨弘君    理 事     椿  繁夫君    理 事     牛田  寛君            赤間 文三君            上原 正吉君            大泉 寛三君            岸田 幸雄君            古池 信三君            小林 英三君            鈴木 万平君            高橋進太郎君            阿具根 登君            阿部 竹松君            岡  三郎君            中田 吉雄君            吉田 法晴君            向井 長年君            加藤 正人君 —————————————————————  出席者は左の通り。   建設委員    委員長     後藤 義隆君    理 事            田中 清一君            武藤 常介君            村上 春藏君            内村 清次君    委 員            稲浦 鹿藏君            岩沢 忠恭君            小沢久太郎君            紅露 みつ君            西川甚五郎君            米田 正文君            田中  一君            藤田  進君            田上 松衞君            小平 芳平君            村上 義一君   地方行政委員    委員長     小幡 治和君    理 事            小林 武治君            西田 信一君            秋山 長造君    委 員            小柳 牧衞君            西郷吉之助君            館  哲二君            津島 壽一君            鍋島 直紹君            湯澤三千男君   社会労働委員    委員長     谷口弥三郎君    理 事            鹿島 俊雄君            村山 道雄君            藤田藤太郎君    委 員            佐藤 芳男君            久保  等君            小柳  勇君   農林水産委員    委員長     仲原 善一君    理 事            櫻井 志郎君            安田 敏雄君            東   隆君    委 員            青田源太郎君            岡村文四郎君            重政 庸徳君            柴田  栄君            田中 啓一君            藤野 繁雄君            大河原一次君            北村  暢君            北條 雋八君   商工委員    委員長     山本 米治君    理 事            川上 為治君            剱木 亨弘君            椿  繁夫君            牛田  寛君    委員            赤間 文三君            上原 正吉君            阿具根 登君            中田 吉雄君            吉田 法晴君   国務大臣    建 設 大 臣 中村 梅吉君    国 務 大 臣 藤山愛一郎君   政府委員    経済企画政務次    官       菅  太郎君    経済企画庁総合    開発局長    曾田  忠君    厚生省環境衛生    局長      五十嵐義明君    通商産業省企業    局長      佐橋  滋君    建設省河川局長 山内 一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       増本 甲吉君    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    農林省農地局参    事官      富谷 彰介君    通商産業省企業    局次長     伊藤 三郎君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○水資源開発促進法案内閣提出、衆  議院送付) ○水資源開発公団法案内閣提出、衆  議院送付)    ———————————   〔建設委員長後藤義隆委員長席   に着く〕
  2. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) ただいまから建設地方行政社会労働農林水産商工委員会連合審査会を開催いたします。  前例によりまして、私が委員長の職務を行ないます。  水資源開発促進法案水資源開発公団法案、両案について質疑を行ないます。  連合審査会の運びにつきましては、関係委員会のおよその質疑時間を、答弁を含めて四十分とすることといたしまして、委員会順に、一人ずつ通告者の方から質疑をしていただきまして、なお時間がございますれば、質疑をしていただくことにいたしたいと存じます。  政府出席者は、経済企画庁長官藤山愛一郎君、建設大臣中村梅吉君、経済企画政務次官骨太郎君、総合開発局長曾田忠君、建設省河川局長山内一郎君、同次長鮎川幸雄君、厚生省国立公園部長木村又雄君、農林省農地局参事官富谷彰介君、自治省行政局行政課長岸昌君、以上でございます。  それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、御発言をお願いいたします。
  3. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、この法律ができますと、工業用水——大都市または都市工業用水を初めといたしまして、水が高度に利用される、またしよう、というのが、この法律の中心をなしておるものと思うのであります。しかし、この法律が今日まで来るのには、たとえば水利権の問題や治山治水関係の問題、要するに、その河川沿線住民の問題、そういうことで、この法律が、実際に水だけは都市利用するけれども、そこらの手当が十分にできるのかどうか、こういう心配をいたしておるわけでございます。  そういう立場から二、三質問をしたいと思うのでありまするが、一番最初に、この法律ができたときに、知事会と申しましょうか、知事皆さん方が非常に反対をされておったという工合に、私は理解をいたしております。今、この関係知事の方々は、どういう意向にあるか。それを聞くまでに、この法案で第一に手をつけられるのはどこかということを聞かなければならんわけでありますけれども、そういうのを含めて、大体、予定される河川地域と、それから知事会知事意見は、今どういう状態にあるか、これをお聞かせ願いたい。
  4. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この促進法が施行されまして、まず予定されております河川というのは、利根川水系及び淀川水系、二つがまず予定されておりますが、しかし北九州地方なり、あるいは四国の吉野川等のことにつきましても、将来、これが本法律目的充足のために必要な地域だとわれわれも考えておりまして、さしあたり今のような程度にお考えをいただきたい。これは全部の河川にすぐ適用するというものではござません。  また知事会等意向につきまして、最初に、これができましたときには、若干誤解もあったかとも思いますが、この法律は、広域的な水を必要とする、地域その水系に対して、合理的に水を確保して参りまして、そして将来の産業発展にも資していくということでございますので、その目的のためには、水を十分に合理的に培養させるものは培養するし、また培養された水が、十分に合理的に活用される、しかも既存の必要とする水の権益を侵すわけではないわけでありまして、したがって、いわゆる現在の水を必要とする地方の以外の上流府県、あるいは通過府県と申しますか、そういう府県において、そういうものが確保され、そして十分な治山治水対策等ともあわせて、この計画考慮されて参りますれば、この法律の適用に対して、できるだけの協力をするということでありまして、そういう点が、ないがしろにされやしないかということを非常に心配されたことだと思います。
  5. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、その知事会または知事の今日、この法案に対する意向はどうかと聞いている。
  6. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) したがいまして、先般商工委員会等において、関係知事の方がおいでになりましたときの口述を伺いましても、滋賀県知事は、琵琶湖周辺の水に対する過去の権益と、また将来にわたっての方策が立つならば、自分は、そういうことが立つことによって、下流にある大阪方面の水が、そういうことで、政府で十分な対策をとられた上でならば、積極的に反対することはないということであります。
  7. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 その他の知事は……。
  8. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私は、一一の知事意見承知しておりませんから、代表的に滋賀県のことを申し上げたわけでありまして、事務当局あるいは自治省のほうから、お請いただくことが適当かと思います。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それじゃ、あとでいいです。  水の水源地上流地域にある知事立場からすれば、私は一番心配するのは、水だけを持っていかれて、洪水に対する処置も、この法律からいって、第一条の目的の中に、都市の水、その他について利用するということで、基本計画の中を見ますと、治山治水の問題は十分に考慮が払われていなければならない、こういうことにはなっております。しかし、この考慮が払われるというのは、どの限界までそれじゃ考慮が払われるのかという面の心配が私はあると思うのです。  ですから、そういう点が、将来のこの運営について間違いがないということを、ここでお聞かせ願いたい、こう思う。どういう手続で、それじゃ基本計画を立てるときには、その治山治水関係を、どういう形で具体的にやっていくのだということをお聞かせ願いたい。
  10. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 御承知のとおりこの基本計画を立てますときには、むろんただいまお話のございましたような趣旨を体していかなければならぬのでありまして、特に水を合理化するということは、やはり水を十分に、水源を涵養するということも、水を合理的に利用する一つの道でございます。したがいまして治山治水の問題も、水を確保するために洪水等になっては相ならぬことは当然でありまして、そのために河川が荒れるということでは、水の確保もできませんし、合理的な利用もできないのであります。でありますから、むろん基本計画を立てますときには、十分そういう面を考慮いたしますとともに、過去における農業用水その他の確保、あるいは過去における電源開発計画等について支障のないようにして参らなければならぬのでありまして、それにつきましては、政府としては、農業につきましては農林大臣、あるいは電力等については通産大臣等協議をいたしまして、各省の協議を十分にいたすわけであります。  また地方問題等につきましては、自治省を通じて、その意見を出されると思いますが、なお都道府県知事等意見も聞くことになっておりますので、そういう点から見まして、万遺漏なきを期し得られるのじゃないか、こう思っております。
  11. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、一つの実例を申し上げたいと思うのであります。今、藤山長官は、予定されている河川利根川水系淀川水系だと、こう言われている。私は京都ですから、淀川の問題について少し申し上げたいと思うのです。  御承知のように琶琵湖からくる水系一つ、それから奈良の奥からくる木津川の水系一つ、それから要するに桂川水系、これら三つが京都の橋本という最後の所で一体になって淀川になっているのであります。ところが問題は、宇治川は琵琶湖南郷堰で調整が行なわれて、滋賀県知事の先ほどおっしゃったことも、そのとおりであります。住民福祉というものを無視してもらっちゃ困る、これは当然な意見だと思います。  ところが、桂川一つの例をとって見ると、あそこで一緒になるときに、洪水時の水というのは二千七百八十トンだというわけです。ところが亀岡地区になりますと、洪水時には四千トンからの水が流れて来る、嵐峡の中には、二千トンも水が下流に流れないで、亀岡地方のあの平野部の八〇%が全部浸水し、山陰線亀岡駅の屋根の上まで水がつかる、これは雨が降るたびに、そういうことが行なわれているわけです。それがぼつぼつ一滴ずつたまった水が、何時間、何十時間の間に狭いところから下がってくる。これを切り開いて一ぺんに水を流せば、高いところから低いところへ水が流れるのは自然の法則でございますけれども、それを流せば、下の淀川ももたなければ、淀川に入るまでの河川改修が十分できていないからもたないという一つの問題がございましょう。ところが、表に出ているのは、その下の洪水時の水が二千七百八十トンだということだけで表示されて、上のほうの川の沿線が、雨が降るたびに、水がごっそり堤防も橋も何もない湖のようになってつかってしまう、こういう状態なんであります。で、大阪、阪神間が守られているわけですけれども、そういう事実が今日あるわけです。何とか早くしなければならぬ人道上の重大な問題になってきていると思う。  しかし、この法案だけ見て、基本計画の、第三項ですかの中で考慮するということだけで、水は常時、上のほうから順次流れてくるわけですから、その水を、どういう工合利用するかという問題になってくると、私は、水資源利用するのだから、水の流れている沿線住民福祉というものは、水のつかないように、たとえばダムを作るとか、いろいろな配慮が払われるか、または、それだけの水がきたら、下の河川改修をやって、そこに何千万トンという水がたまらないように措置するか、いずれかの方法によって、高度に水を利用するということが考えられなければならないと思うのです。しかし、現実にそれが何年毛続いておる。最近の例でも、二十四水から二十八水、三十四水、三十五年、昨年も同じように水がついているわけであります。  そういう根本的な問題を手をつけないで、水だけをひとつ利用しようなんて、平時、一年を通じてでしょうが、そういうところを考えますとへほんとうに水資源利用するなら、治山治水のそのような関係というものを政府は根本的に考えて、法の目的の第一条に、都市に水を利用するといろなら、そのような問題も、法の目的の第一条に加えてやるということが出てこなければ、われわれは今のような状態、水だけは利用するけれども、不安な状態沿線ずっと続くという以外に私はないと思う。  そういう点で心配してお伺いしているわけでありますから、御所見を承りたい。
  12. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまお話のございましたようなケースというものは、非常に重要な問題だと思います。これは御指摘のような桂川だけでなくて、全国の河川にも相当あるだろうと思います。  この公団ができまして、水を合理的に利用するということを考えて、法も、公団も設立されるわけでございますが、当然、そういうような水の調節というようなことは、ダムを作るなり、あるいは水路を作るなりして、そうしてただいまお話のような、水没地帯が毎年できるというようなことを避けて参ることが、これは水の高度的な利用、そういう水を、どっかにためておいて、渇水時に使えば、なおいいのでありますが、そういうことが、技術的にできるかどうかということは、私もすぐ答弁いたしかねますけれども、そういうような考え方でもって、これを運営するのがいいのだ。したがって、そういう意味では、建設省河川管理の御意見等も十分伺いますし、また、建設省の御意見に、そういうものもあわせて、今回の場合には、いわゆる指定された水系について、水を高度に利用するということについては、当然そういう観念のもとに仕事をしていくわけでございます。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ですから、私は水資源利用するったって、淀川利根川というたって、淀川の三本の河川一つ沿線が、そういう状態に置かれていて、水だけを利用するなんということは非常に問題があるのではないか、大いに水を利用することはよろしいけれども、そういうところにも、やはり強力な手をつけて、沿線が、そういう被害を起こさない、そういう、ずっと甘からといってはなんですけれども、雨が降るたびに、そういう犠牲を払っておるという、この桂川の水も、水資源としては重要な資源でございます。しかし、水は利用するけれども、そういう問題については、筋が入っていないという格好で、この法律が歩き出せば、たいへんなことだと思う。  だから、この問題は、知事水利権の問題との重要な関係が出てくるわけであります。だから、この知事と、それから新しくできる公団との関係は、どういう工合に調整されていくか、これも今に、関連して出てくるわけであります。それからまた、建設省河川の今後の計画の問題もあろうと思いますから、ぜひお聞かせ願いたいと思います。
  14. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) この水資源開発は、もちろん洪水調節等の、いわゆる従来の多目的ダム精神をあくまで貫いて、水も総合的に高度利用をいたしますが、あわせて、それはあくまで洪水調節等の役目も和備えた災害の防除ということに力を注いでいかなければならない点であるかと思います。  この点につきましては、公団ができまして事業を実施いたします場合には、施行の計画について、主務大臣として建設大臣が指揮をする権能法律上基礎を置いておりますから、われわれとしましては、その権能に基づきまして、遺憾のないように指示をして実行さしていくようにいたしたいと思います。  同時に、都道府県知事立場から申しますと、御承知河川法第十八条によって知事水利権許可をする権利を持っておるわけでございます。この河川法十八条は、従来どおり、手をつけておりませんので、やはり都道府県知事は、河川法による水利権許可権というものは、従前どおり持っておるわけでございますから、水資源開発によりまして、水の利用をいたします場合に、知事の意思というものは、そこにくさびが入っておりまして、このくさびもととして知事意見が尊重され、また知事意見が要れられなければ、実行ができないことになりますので、したがって他の部分において知事意見を聞き、あるいは協議をするという段階がしばしば出て参りますが、これらも同意という——動きのつかない、くきづけの事柄よりは——この意見を聞く、あるいは協議をするという方法でございましても、最大限に知事意見が尊重されなければ、知事水利権については、基本的な権利を引き続き持っておりますから、知事意見は、このくさびもとにして、十分要れられるものである、また要れなければ、この水資源開発事業というものは進行できない筋合いでございますから、私どもとしましては、知事意見も十分取り入れ、またしたがって、地元の、そういった水害とか災害に関連をするようなことにつきましては、十分な配慮が加えられなければ、実施すべきでもないし、できない筋合いである、さようなことを考慮に入れて、水資源を高度に開発し、総合的に合理的に利用をはかっていきたいというのが、本二法の精神であると心得ております。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 建設大臣、その知事との関係は、河川法の十八条の水利権の問題のお話がございました。しかし具体的に利根川淀川というものを第一に開発するのですから、この桂川の今の洪水時の沿線被害、この問題を、水を利用しようとすれば、この問題を、ます第一に手をつけなければいかぬのじゃないですか、建設省は、どう考えておられますか。
  16. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) もちろん水資源開発によりまして、一そう災害を従来よりも防ぎ得るような態勢に、われわれとしては、万事を進めていく心がまえでおります。
  17. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、淀川水利治山治水というもの、特に、桂川の今のような状態を解消して、そうして水資源利用する、こういう格好で、この法律精神はあるわけですか。
  18. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘のとおりでございます。  そこで、公団事業としましても今申し上げたように、洪水調節等を十分考慮に入れて進めさせるように、われわれ主務大臣としての責任は果たして参りますということと、あわせて治水十カ年計画によりまして、諸般の河川計画あるいは洪水防御の政策を立てまして、これと並行をして遺憾のないようにやっていきたいと、こう思っているわけでございます。
  19. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 もう一言聞いておきたいのですが、この水資源法律ができようと、できるまいと、今のような状態は置いておくべきではないと私は思う。それが、今まで同じ状態で置かれているということですから、建設省は独自の立場からでも、その今の桂川洪水時の非常に膨大な被害について、どういう措置をされようとしておられるのか、これも関連して伺っておきたい。
  20. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 桂川は確かに問題の河川でございまして、この桂川にございます既存のダム等の関係もございまして、われわれとしましては、すみやかにこういった御指摘のような状態を解決したいということで、いろいろ検討いたしている段階でございます。
  21. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 検討だけじゃなしに、いつじゅうから、どういう計画で、この状態を解消するということになっているのかということを聞いておきたい。
  22. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 桂川が、最近非常に災害が連続、激甚でございまして、何とかその地方の水害を防ごう、こういうことで、建設省としては一生懸命になっているところでございます。方法は、いろいろあると思いますけれども、保津峡でございますか、狭窄部を切り開くということをやれば、亀岡付近はよくなりますけれども、下流のほうの被害がかえって激増するのではないかということも考えられますし、何とか、そういうことはないように上流のほうで適当な洪水調節ダムを作って、そこで調節をしたらどうか、現在、そういう方向でダム地点の調査を実施している段階でございます。  したがって、そのダムの調査が完了いたしまして、多目的ダム——洪水調節を含んだ、いわゆる多目的ダム建設できれば、亀岡付近の水害は救われる、こういう確信を持っております。  なおそれ以外に、やはり砂防の問題がございます。なお支川の中小河川の改良問題もございます。また、桂川、本川の堤防の改修もございまして、それらを総合的に現在の十カ年計画というものをできるだけ促進をしまして、亀岡付近を中心といたしました災害を今後なくするように、こういうふうに現在考えております。  それで、ちょっとつけ加えて申しますと、水資源公団ができました場合に、現在考えておりますのは、木津川の水系の多目的ダム、それから琵琶湖開発、それから淀川の河口にございます長柄の可動堰、こういうものを中心に考えておりまして、桂川水系の水の開発について、洪水調節を考えないで、水だけのダムを作るということも、計画としては成り立ちますけれども、ただいま、先生の御指摘がございましたように、やはり治水というものを解決しないで水資源開発するということは、まことに不適当なことでございますので、先ほど申し上げましたような防災的の計画を中心にして、桂川の水害を解決したい、こういうように進んでおります。
  23. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いつから。
  24. 山内一郎

    政府委員山内一郎君) 今調査をしておりますが、ダム地点の水没地に反対者がございまして、その説得に努めておる最中でございます。それが早急に解決できますれば、調査をできるだけ早く完了して建設にかかりたい、こういうように考えております。
  25. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 それでは、私時間がありませんから、あまり長く続けるわけにいきませんので、この点だけを聞いておきたいと思うのです。特に、この用水の利用については、工業用水、または上水、下水というようなものを、よほどうまく区分して利用しないと私はいけないのではないか。この区分したり適正化をはかるのは、どこではかっていくのかということが一つ。  それから二番目には、費用の問題でございます。費用は、どういう工合にして捻出をしていくのか、これも聞いておきたいと思うわけであります。札当、水を利用しようと思えば、治山治水の問題に本腰を入れてやられない限り、水の利用だけをして、水だけ取っていくというわけには私はいくまい。水利権知事が持っているわけですから、そうしてまた、それについて相当な費用が要ると思いまするが、これは、どういう工合に処置されるのか。まず二つ聞きたいと思います。
  26. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまお話のような点につきましては、つまり既存の水と、上水道、工業用水道というものを、どういうふうにあんばいしていくかというようなことは、基本計画の策定にあたりまして、根本的な問題でございますから、その中に策定をしていきたいと思います。  なお、公団の運営等に関します経費等については、局長からお話を申し上げさせます。
  27. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) 公団の行ないます事業の財源と申しますか、その関係について、お答え申し上げます。  公団水資源開発施設、たとえばダムとかあるいは河口堰、そういうものを建設するわけでございますが、この費用の負担割合といいますものは、現在、たとえば建設省で行なっておりまする多目的ダム等の例に従いまして、いわゆる身がわり妥当支出という計算で、たとえば上水道、あるいは工業用水道、あるいは灌漑用水等、そういうものの受益者から費用の負担をしていただくというのが建前でございます。この場合におきまして、一つ方法といたしましては、費用の受益負担者が工事の始まる前に、はっきりときまっておる、また同時に、その費用も、はっきりときまっておるという場合におきましては、あるいは工事期間中に、先ほど申し上げましたその負担の割合に応じまして、工事に要します費用を公団に納めていただくというのが建前でございまするが、なお具体的に工事の始まります前までに、特定の受益者がきまっていないという場合におきましては、公団といたしましては、取りあえず借入金あるいは公団債等を発行いたしまして、それを財源といたしまして工事を行ないまして、具体的に受益者がきまりました場合におきまして、その負担をしていただくというふうに考えております。
  28. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 受益者負担と国から支出する比率のおよそ予定は、どれくらいを考えておられますか。
  29. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お答えいたします。  今のお尋ね、まあいろいろ公団がやります施設は種類がございます。いわゆる治水目的をあわせ有しまする多目的ダム、そういうものを作ります場合におきましては、費用の負担の方法は、先ほど申し上げましたような、いわゆる身がわり妥当支出という計算で、治水分、灌漑分、水道用水分の費用を出すわけであります。その場合におきましても、治水分が幾らというようなものが当然割り当てられるわけでございます。  で、その割当は、各ダムによっていろいろございまして、具体的な施設について相当の相違がございますので、一がいにどのくらい国が負担するということは申し上げられないと思います。たとえば公団が灌漑用水事業を行ないます場合におきましては、愛知用水公団と同じように、国の補助金というものが出されることになっております。
  30. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そこが一番大事なところじゃないですか。あなたの最初の説明じゃ、利益を受けるものが負担して、これをやっていくんだという説明だったが、そうして一時借り入れておいて、そうしてあとでやるというけれども、利益を受けるというのは、たとえば工業用水なら会社、水道の水なら、もうその地方一帯の人が利益を受ける。そうでしょう。灌漑用水なら、そこの沿線住民の農家が受けるという工合に、いろいろ僕はあると思う。しかし利益を受ける人が、全部負担していくという思想でなしに、今お尋ねすると、愛知用水のように、国が補助金をある程度出してやっていくんだということになると、一番大事なところじゃないですか、そこが。だから、もう少し具体的に、たとえば工費を一時借り入れるけれども、国がどれだけ補助——国庫が負担をして、沿線住民または工場が、どれだけの受益負担をするのか、どういう、大体方向でいくということが、明らかにならなければ、いろいろありますから云々だけじゃ、柱は受益者が負担するということだけなら、どうなるんですか、これは。せっかく政府が大きな計画をお立てになっても、沿線住民によって作る、それを政府が事務的にめんどうを見るだけだということになる、そういうものであっていいんですか。もう少しそこのところを……。
  31. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お答えいたします。  受益者負担といいますものは、この公団事業といたしましては、たとえば上水道、あるいは工業用水道という水を確保するためのダムを作るわけでございますが、その場合におきまして、公団は直接には、最終需要者に、その水を供給するという事業は考えておりませずに、直接には、たとえば上水道事業者であります大阪府なら大阪府、それから工業用水道でございましても、工業用水道は、大体都道府県がやっておりますが、そういうところを対象として考えております。また灌漑用水につきましては、土地改良区というものを、一応公団の直接に考えております受益者負担というふうに考えております。  それから、今のアロケーションの問題でございますが、治水を含みます施設におきまして、ダムによりまして、どの程度の投資をしたら妥当であるかということを前提といたしまして、それに対応して、どの程度治水分として、ダムの費用を負担したらいいかという計算をやります。  それから、同じように上水道におきましても、これは、いろいろまたやり方があるわけでございますが、たとえば上水道一立方メートル当たりの価格を出しまして、それがペイできる程度の投資額は幾らかというようなことを出しまして、そういうもので、そのダムに要します建設費用の、それぞれの割合を出すわけでございます。そうしまして、まあたとえば治水分が出るわけでございます。  治水分につきましては、一般の河川事業と同じように、国が三分の二負担する、都道府県が三分の一を負担すると、その額を、公団に交付金として交付するというふうになっております。  それから、そういうような同じような計算で、灌漑用水分の投資額が出るわけでございます。それにつきましては、土地改良法によりまして——これは詳細に私も存じませんけれども、大体国が五〇%、それから都道府県が三〇%、土地改良区が二〇%負担すると、そういうようなことになっております。
  32. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そうすると、大筋のダムをこしらえるときには、国と地方との負担によってダムはこしらえる、その利用する段階において、受益者にどれだけあとの費用を負担してもらうかというような配分をきめていく、こういうことになるわけですね。  それならそれで、それなりに私もわかるのだけれども、いわゆる資源利用の根本から、受益者が負担していくのだというようなことじゃ、それはあなた、たいへんなことだということになるわけです。もっと詳しい、やはりどういう工合に、淀川水系利根川水系はどういう方向で、どう大体なっていくのだと、それがまあ調査して、きまらなければできませんけれども、大筋の、アウト・ラインくらいは、資料でやはり出してもらって、それで大筋は、こういう方向に進むのだなという工合に、われわれもやはりつかんで、それでこの問題を審議しなければいかぬのじゃないか。まあ、きょうは連合審査でありますから、いずれおやりになると思います、建設関係で、そういう具体的な資料をお出しになると思いますが、きょうの連合審査に参加した委員にも、大まかなそういう方向の資料だけはいただきたいと思います。時間がありませんからやめます。
  33. 北村暢

    北村暢君 私は、まずお伺いいたしますのは、先ほどの藤田君の質問に対しまして、水資源開発水系の指定が、今のところ利根川水系淀川水系、この二つである、こういうことのようでございますが、これについて、まず私は、どうも水資源開発促進法案、こういうことであれば、この指定がこの二水系に限られておる、将来、どういう計画を持っておるか、まずその点をお伺いいたしたいと思いますが、そのほかにも、この目的からいたしますというと、私は指定をしなければならない水系というのは、まだ相当あるのじゃないかと思うのです。そういう点について将来の見通しは、どのようにお考えになっておるか。この二つで終わってしまうつもりでおるのかどうなのか、まずこの点をお伺いいたしたいと思います。
  34. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 先ほど、とりあえずどこを対象にするかというお話がございましたから、一応、今日の現状から申しまして、利根川淀川は、まずまっ先に問題になるところだろうということを申し上げたのでありまして、そのほかにお話のとおり、北九州工業地帯をカバーする一帯の水系、あるいは中部と申しますか、濃尾平野におきます水の問題、並びに四国方面の吉野川を中心にした水の問題というような、いろいろすでに話には、われわれとしても検討の対象にはいたしております。  しかし、大きな計画でございますから、まず、とりあえず、どこを考えているかといえば、まあ今申し上げたような利根川淀川ということに申し上げたわけでございます。
  35. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いしたいのは、まあ今度の促進法によりましても、基本計画が立てられて、それが国、地方公共団体、あるいは公団その他の事業の実施の分担をまあきめることになっておるようです。したがって、この指定の問題は、私はやはり何かしら、この二つの問題、あるいは今、長官が示された北九州、あるいは吉野川、こういう問題が出ているわけでございますが、これらの問題に限定するということになると、それ以外にも、やはり多目的ダムというのは、多目的ダムの法による、いろいろあるわけですが、総合的にやはり開発していくという点からいえば、まだあるんじゃないかと思うのです。ところが、それに限られて出ているというのは、何かしら、このあとで出てくる公団と何か関連させて出ているように思います。  したがって、一体、この水資源開発公団というものの構成でありますが、とりあえず発足する場合に、どの程度の公団の構成といいますか、規模といいますか、人員等、それから相当のダム工事もやるわけでありますから、それに要する装備ですか、機械とか、まあ相当大きな機械も使うんだろうと思うのですが、そういうものの、あらかたなことを御説明を願いたいと思うのです。  と申しますのは、この公団というのは、私は、やはりできる性格からいって、この指定する点も、内閣総理大臣がやる、まあこういうことになっておりますから、そういうような点からいって、少なくとも、今度できる公団というものは、私は、従来の各省のなわ張り争い的なもので出てくるということは、これは望ましくないと思う。したがって、従来、この水の問題については、各省なわ張りがあって、建設省、通産省、農林省、いろいろあるわけでございます。まあ総合開発といえば電源開発と、こういうようなくらい、なかなか思うように行かなかった問題で、行政的にいっても、非常にまあむずかしい問題があったと思うのですが、したがって、今度できる公団には、私は、やはりそういうものを克服した、ほんとうの意味における水資源開発をする公団であってほしい、こういう希望があるわけなんですが、そこで、まず今、構成をお伺いしているのは、大体、各省からの公務員もおそらく行くんじゃないかと思います。それで、各省からどのくらい行って、民間からどのくらいになる、こういうようなことも、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  36. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この公団を作りましたのは、要するに、各省のなわ張り争いをする場として作ったわけでございませんで、各省が協力をする場として作ったわけでございますから、精神としては、そういう形で構成をして参らなければならぬ。むろん、各省の知識と経験とを十分にかりますことは、これは必要でございますから、そういうつもりでやっております。  なお、人員等につきましては、事務当局から御説明申し上げます。
  37. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お答えいたします。  公団の機構等につきましてのお尋ねでございますが、現在、私たちといたしましては、まあ今後行ないます公団事業等を慎重に検討しておるわけでございます。その事業の内容によりまして、公団の人員その他の機構も、おのずからきまってくるわけでございます。  目下検討中でございますが、現在考えております構成といたしましては、大体今、建設省がやられておりまする、たとえば利根川で申し上げますと、矢木沢ダムあるいは下久保ダム、そういうものを引き継いで行なう考えでございますが、そういう人員等を含めまして、大体四百人程度じゃないかというように考えておりますが、なお、まだ目下検討中でございます。
  38. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  39. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 速記をつけて。
  40. 北村暢

    北村暢君 ただいまの構成を聞きますと、今、実施をしておりますダム建設省の多目的ダムで矢木沢ダムとか、これを主体として四百名程度。そうしますと、やはり建設省の公務員が大体四百名程度移っていく、こう見ていいのですか。  というのは、私ども、この公団が発足したならば、前の国会においては、愛知用水等も、実はこの公団に行くのだ、こういう国会答弁が実はあったわけなんです、委員会での質問ですね。ところが、今度、愛知用水というものは、公団ができても行かないことになった。愛知用水は愛知用水、こういうことが言われておるわけでございます。したがって、今後の水資源開発というものについて、やはり私ども心配するのは、なわ張り争い的なもので公団ができるのじゃないというのですけれども、それだったならば、もちろん、電源の問題も出ますし、工業用水の問題も出ますし、水道、上道水の問題も出るし、農業用水の問題も、多目的ダムといいますから出てくるわけですね。今、ダム建設の工事の段階においては、私はそれはそれでいいと思うんです。  しかしながら、これが一たん水路の建設ということに入って参りますと、やはり農業土木をやった人という者も、そういう点では私は必要になってくるんじゃないかと思う。そういうような点からいって、また下流地帯における——利根川水域においても、印旛沼の農業関係の利水事業をやっている者もおる。こういう者とひっくるめて、私は、何かしらこの人員構成というものができなければならないんじゃないか、こういうような気持がするんですがね。将来、どういうふうに考えておられるかわかりませんが、ただいまの説明ですというと、建設省主体の四百名、これでまず発足する、このようでございますから、そういうことが……。なぜ私は、そういうことを言うというと、セクトに陥らないようにするんだするんだというけれども、やはりこの建設省主体のこの多目的ダム建設、いろいろあるわけなんですが、やはりどちらかに片寄る可能性というものは出てくるんじゃないか。そういうことを心配するものですから、お伺いしておるのですが、現在の工事の状態、これをすぐ引き継ぐということになれば、こういうことだと、こういうことなのか。その点を、もう少し詳しく御説明いただきたい。親切にひとつ答弁していただきたい。
  41. 曾田忠

    政府委員(曾田忠君) お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、公団事業といいますものは、促進法に基づきまして、基本計画を策定するわけでございます。その基本計画におきまして、公団の行なう事業というものがきまるわけでございます。したがいまして、現段階におきましては、基本計画もきまっておりません関係上、公団の機構等につきまして、正確に申し上げることは非常に困難でございまして、とりあえずの御答弁といたしまして、先ほど申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げましたのは、建設省がやっておりまするダムの工事を引き継ぎますという前提で、その要員を含めまして、大体四百名程度だということを申し上げたわけでございます。言葉が足りなければ、訂正いたしたいと思います。そのほかに、いろいろ公団事業として、今考えられるわけでございますが、たとえば幹線水路の建設、そういうものがあるいは利根川水系におきましても、当然考えられて参っております。  で、そういう関係につきましては、来年度、どの程度具体的な工事の段階に入るかというようなことが、現在まだはっきりしておりませんので、申し上げかねるわけでございますけれども、少なくとも水路の実施、設計程度の段階には入るのじゃないか。そうなります場合におきましては、それぞれ灌漑関係の問題も起こってきましょうし、あるいは上水道、工業用水道の関係も起こって参ります。当然、それらの関係の方々も、相当数公団の要員にお願いしなけりゃならぬというふうに考えております。
  42. 北村暢

    北村暢君 ただいまの答弁では、どうもはっきりしないのですが、やはり何か、受け取れるのは、やはり当面するこのダム建設の問題が、まず問題になる。その業務を引き継ぐための要員、これが主体のようでございます。  ところが、今度の促進法によりましても、工事をなるべく経済的に、工事期間を短縮して経済効果を上げる、こういうねらいもあるようでございます。  すでに利根川水域のこの多目的ダム計画を見ましても、矢木沢ダムが大体四十年に完成するんだ、あるいは園原、川俣、いずれも三十七年、三十八年、こういう着工してから四年ないし五年くらいでもってダム建設していく、こういうことのようでございます。  そうすれば、これに付随するやはり幹線水路なんというものは、直ちに問題になってくるわけでございますが、その水路の問題別にいたしましても、先ほど私がお伺いしているのは、国または地方公共団体、あるいはこの公団というものの業務分担というものがあるようでございますが、ダム建設はいいが、現在すでに利根川水域全体として考えれば、これは農業の問題で言っても、あるいは農業関係の問題、利水事業、あるいはこの利根川の河口における下流地帯における塩害の問題が、すでに問題になって、これを防ぐための工事が行なわれている。こういうような問題も含めて、利根川水資源開発という問題は、ダム建設だけではもちろんないわけですね。  したがって、この公団というものが、私はやはりこの下流における先ほど来問題になっている洪水の調整なり、あるいは下流における塩害防止なり、こういう問題も含めて、総合的にやられていかなければならないのではないか、このように思うのです。  したがって、当座引き継ぐものは、ダム建設だけであって、そうして下流の方は、従来建設省なり、農林省でやっているものをそのまま、こういうことなのか。そこら辺のところを、私は業務分担が、どういうふうになろうというふうに考えておられるのか。公団というものが建設省なり、農林省なりやっている問題を、現在やっているものも引き継いでやっていくのかどうなのか、こういうようなこともあわせてお伺いしているわけです。  したがって、この公団の人員構成等についても、そういうものまで引き継ぐということになれば、相当な規模でいかなければならないのではないか、こういうふうにも思われまするので、そうでないというと、どうしてもやはり、この水資源開発公団という公団法と、それから、この開発促進法というものが、何かしら促進法公団のために作るという、そういう感じを与えるわけでありますから、それ以外の促進というのは、ほかの地域もあるんだろうが、大体、公団の規模というものが一定しますというと、それ以上、事業を広げようたってできないわけですから、したがって利根川なり、淀川に限定される、その事業が、五年なり六年なりして終わるというと、この次、またほかの地域へいく、こういう問題考えられるのではないかと思うんです。したがって、何かしら公団のために促進法というものが作られた感じがするのですよ。それでは、そういうまた考え方なのかどうなのか。私ども、公団を作る場合に問題になるのは、いつも公団というのは五年なり十年して仕事を終われば、それで終わるはずです。  ところが、愛知用水公団にいたしましても、機械開発公団にいたしましても、これは役所から行っているものですからね。むげに、仕事を終わったから、お前の仕事これで終わりだ、あとは、これで終わりだから首切りだ、こういうわけにはいかないわけです。したがって必ずこの公団ができますと、事業が終われば、次々と仕事を見つけていくような形になる、こういうことからいって、最も経済効果を上げ、最も国家的に見て、合理的な形でいかなければならないものが、どちらかというと、役人の非能率とか、悪いところだけとって、その公団というものが生き延びていく、こういうことであっては私はいかないと思うんです。したがって、この公団というものの将来というものを、とりあえず、これで発足しますとか何とかいうのは、私は非常にいいかげんな答弁であって、いかんと思うのです。  したがって、少なくともこの公団が発足するにあたっては、相当やはり、将来の見通しというものを持っていかなければならないのじゃないか、このように思いまするので、そういう点が、どうも計画的にいってもずさんであるというふうに思われまするので、お伺いしているのです。しかも藤山長官のおっしゃるように、まあセクトではないというのですけれども、でき上ったものを見たところが、建設省だけのなわ張りでできておる。これでは私は、いけないじゃないか。先ほど言ったように、下流における水行政の中に一貫された、しかも能率的なものになる、そういう国民の期待にこたえる公団でなければならない。私はそう思うのです。  したがって、今の答弁は、まことに不満足なんですが、どういう気持で公団というものを発足させ、将来というものを、どのように考えているか。これは建設大臣から、基本的な問題でございますから、お答えいただきたいと思います。
  43. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私どもの考えとしましては、あくまで促進法が基本でございまして、促進法できめた開発水域の指定なり、あるいは基本計画なんというものを実施するのが公団で、公団は、すなわち事業実施機関である、こういうように考えておるわけでございます。  それから、先ほど来人員構成などの予想についてのお尋ねがありまして、企画庁の開発局長からお答えもございましたが、これは発足当時の差し当たりの人員は、どのくらいに考えておるかと……。これしか言えないわけでありますから、その点を、大体四百名程度と申し上げたと思いますが、実は、たとえば矢木沢とか下久保とか、建設省が現に計画をして測量や設計や用地買収に着手をいたしておりますものも、たとえば利根川水系が、本水資源開発の指定水域になりますと、その区域に入りますから、入りまするものは、公団のほうへ引き継ぐのがやむを得ないことであろうと考えておるわけです。したがって、その人員も引き継いで、人員構成の中に入っていただくことになりますが、しかしこれとても、全部とられては困るわけでありまして、建設省としては、利根川水系水資源開発地域になって、そのほうでやるにいたしましても、建設省としては、ほかの区域の河川改修やあるいは多目的ダムや、そういう事業は引き続き活発にやらなければならないわけでありますから、これらの基本的な人員を、そっくりとられたらば建設省の使命達成が行き悩みになりますので、それも困るわけであります。したがって、まあその点、そういう具体的な場合になれば、人員構成等については、十分話し合いまして、双方都合のいいところに落ち着けていく以外に方法はないのではないか。かように考えるわけです。  それから、まあ発足当座は、その程度にいたしましても、差し当たり利根川水系淀川水系というのが指定になりますと、これは将来、だんだん仕事が軌道に乗って来るに従いまして、私は相当膨大な人員になる可能性があると思います。また、相当な陣営にならなければ、活発な水資源開発はできないと思います。  それと、もう一つ申し上げておきますことは、近ごろでは、まあ建設省事業を実施いたします、直轄で行ないます直轄事業にいたしましても、役所の人員というのは、測量、設計及び主として用地の買収の作業に携わる人間でございまして、事業の実施それ自体は、ほとんど請負事業でございます。さらに測量にいたしましても、近ごろでは建設省事業が非常に膨大になりましたので、道路にしても、河川関係にいたしましても、役所の人間が設計をしておったのでは、これだけの事業量の増大に定員数は相変わらずということではできない。最近、幸い民間に、日本でも民間のコンサルタントが非常に発達してきまして、民間のコンサルタントが、役所の設計陣営よりもよほどすぐれたものがたくさんできてきましたので、おもなものは、そのコンサルタントを活用しまして、民間の権威ある機関に設計をしてもらう、こういう方法をいたしておりますから、おそらく水資源開発公団事業を実施するようになりましても、私は、そういう方式でいくようになると思います。  ですから、大部分のものは、基本的なものがきまれば、また、そして用地買収ができれば、あとの建設作業はコンサルタントなり、あるいは請負業者なりにやっていただくということになっていこうかと思っております。  それともう一つ、ついでに申し加えておきますが、先ほど愛知用水公団との関係お話が出ました。これは前国会に並行して国会に提案をいたしましたころには愛知用水公団は、水資源開発公団ができましたならば吸収をしたいというのが建前でございましたが、ところが、水資源開発関係法案が流産をいたしまして、愛知用水に豊川をつけた改正案が成立をいたしました。そこでそのほうは、すでに軌道に乗ってやっておるわけでありますから、今すぐにどうするかということは、私ども考慮の余地があると思いますが、性質は、仕事自体は同じような仕事でございますから、将来やはり、合体をしてやるのが理想ではないか。  一面、愛知用水公団も豊川の改正をいたしましたが、事業が縮小されましたので、人員に過剰があるということも承っております。そこで過剰があれば、この公団ができたら、早く吸収してあげるほうがいいのじゃないかというようなことも考えておるわけでありますが、それらの問題については、今後この法案が成立をいたしましたら、政府部内でも、また愛知用水公団とも、十分協議をいたしまして、遺憾のないようにしていくのが、ほんとうではないだろうか、こう思っておるわけでございます。
  44. 北村暢

    北村暢君 大体わかったのですが、ただ、当座は四百名ぐらいで発足するが、将来、やはり吉野川なり筑後川なり木曽川水系なり問題が出てくる。そうしますと、相当やはり人員がふくらむのじゃないか、こういうことをおっしゃられましたが、大体、私ども促進法でもって、そういう地域ばかりでなしに、比較的多目的ダムとしてまだ開発する余地のあるものは、それだけの問題ではない、全国的に見て、それだけではないと思います。したがって、継続してやっていかれる点については希望するものですが、しかし、限度があるでしょうから、問題は、私がお伺いしているのは、これはもう、必ずと言っていいくらい整理なり何なりの問題が出てくるわけです。公団が解散するときの問題が出てきます。したがって、これは仕事が、今必要だからといって膨大に抱えてしまうというと、解散するときには非常に困難をきたすわけです。しかしながら、事業が減っていくのに、膨大な人間を抱えておることはできない。これで必ず、人員の整理の問題に頭を悩ますわけですね。これは従来の公団の経験からいって、そうなんです。  したがって私は、先ほどお伺いしておる将来の公団の長い見通しというものをお伺いしたのですが、まあ、事業がふくらむだろうから、人間がふえるだろうくらいのことではなしに、やはり今、話題にちょっと出ている程度の水系における開発が終わったならば、この公団は解散するのか、あるいは促進法が相当長い期間にわたって、しかも公団というものの将来性というものが約束されるのかどうなのか、そうでないというと、そこへ行くものは、実際は身分的に不安なんですよ。五年、十年ならいいです。それぐらいの間なら、若干給与もよくなるから、進んで行く人もいるかもしれない。しかしながら、五年で終わって、それじゃ建設省へ帰るというときに、引き取ってくれるのかどうか、身分上の問題が、必ずつきまとうわけでございますから、それで、しつこくお伺いしておるのですから、私は、この公団を発足する場合に、必ずこの将来の身分というものも考えた中で運営していってもらいたい、これはもう当然のことで、大臣も考えておられるだろうと思うのですが、この点がありますから、実は公団の規模や事業の将来性というものをしつこくお伺いしておったわけです。  これは、あとからつけ加えて御答弁いただきたいと思いますが、次に、御質問申し上げたいのは、指定水系が、利根川淀川ということでございまするので、とりあえず利根川の問題に関連をいたしまして、農業的な農業水利事業、こういうものに関連をしてお尋ねいたしたいと思うのでございますが、まず利根川水域におきます、流域におきます農耕地の面積が、大体五十一万町歩——五十一万ヘクタールというふうにいわれております。その流域の面積におきます農耕地の率は、今の五十一万町歩が、大体耕地率からいくというと三〇%に達しておる。そういう点からいって、日本の国土の一七%が農耕地でございますから、そういう点からいえば、利根川における三〇%の農耕地というのは、全国的な規模からいっても、相当高い比率を示しているわけでございます。したがってこの利根川の水開発という問題と農業利水というものは、私は切っても切れない縁を持っておる、このように思うのであります。  この半面、東京都の上水あるいは工業用水、千葉地区を含めて、そういう要求が非常に強く今日出てきて、この開発促進法ということになっておる、このこともわかるのでございますが、今度の多目的ダムの矢木沢ダムなり下久保ですか、それから園原、川俣ダムが、大体多目的ダムとして、これが直ちに公団に引き継がれるかどうか知りませんけれども、そういう構想が、すでに調査等されておるわけですね。その灌漑面積を見ますというと、園原の場合はちょっとわかりませんが、この三つのダムの灌漑面積が、大体五万ヘクタール程度であるという計画になっているようでございます。数字的には、あまりはっきりいたしませんけれども、私の調べたところでは、そういうようになっているようでございます。先ほど申し上げました耕地面積の五十万町歩のうち、約三十万町歩というものは畑地であるわけでございます。二十何万町歩が水田、こういうことになっておるわけです。しかもこの関東における利根川水系における利水の関係からいきまして、年々早魃にあうという問題が実は出ているのであります。それと、今申しました過半を占めるところの畑地というものは、今後相当灌漑を必要とする、こういうふうに思われるのであります。  ところが今申しましたように、この多目的ダムの灌漑面積が約三つで五万町歩程度でございますから、まだまだこれは灌漑という点からいけば問題が出てくるのじゃないか、このように思われます。したがって多目的ダムの点からいって、これらの農業以外のほかの工業、上水道その他の用途もあるのでしょうが、これらの点からいくというと、まだ私は利根川水域における農業利水というものは非常に重要な問題を含んでおるのじゃないか、このように思うのです。  したがって、お伺いしたいのは、ここでダム建設がなされまして、開発促進ということでいくのでありますけれども、この多目的ダムということでもって、これが中心で仕事は終わるということになりますというと、灌漑面における他の恩恵を受けない点が、なおざりになってくるんじゃないかというふうに思われるのです。これは農林関係からも御答弁いただきたいと思うのですが、そこで、この多目的ダムができるために農林省の規模が、この利根川水系における規模が、当然縮小される、こういうことが考えられます。そうしますというと一部のむので、これは終わってしまうんではないか、こういう心配があるわけです。したがって、どちらかというと、今度の開発促進というものは、電源なりあるいは工業用水なり、こういうものに重点がいって、農業開発という面においては、後退をするのではないか、こういう心配があるのです。これはひが目かもしれませんけれども、そういう心配がある。  これは、そういうことは一体、ないのかどうなのか、そういう面の総合的な計画というものは、どのようになっておるのか、この点をひとつ、御説明いただきたいと思う。
  45. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) 農林省の農地局の関係でございます。  ただいま御質問のございました利根川水系で、この水資源開発公団が発足いたしまして、農林省関係の専業といたしまして、早速着手いたしたいと考えておりますのは、群馬県の群馬用水、これが、先ほど先生御指摘がございました畑地地帯の受益面積が約一万町歩、半分が開田、半分が畑地関係という計画で、三十五年度から農林省が実施設計を行なっております。現在まだ実施設計の段階でございます。公団が発足いたしましたならば着工に持っていけるであろう、この事業水源は、建設省が現在おやりになっております多目的ダムの矢木沢ダム水源利用するということで計画をいたしております。  なお、そのほかに埼玉合口と申しまして、埼玉県から東京都の一部に至る非常に大きな現在すでにあります用水路がございますが、これの改修、あわせて若干の水の節減をいたしまして、これを上水道なり工業用水なりに持っていきたいという計画も、これは三十六年度から調査費をつけまして、現在約一千万円で調査をやっておる段階でございます。  この二つが、とりあえず現在、利根川水系として考えておる事業でございます。
  46. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) ただいまの御質問に対しまして、若干補足して申し上げたいと存じますが、利根川の今の水系で年間百三十五億トンの水が流れておりますが、御承知のように、現在有効に利用しておりますのが一二%でございます。この基本計画ができまして、きわめて総合的、効率的な計画ができ、公団が主力になって、だんだん開発利用、合理化をやっていきますと、将来、これは数理の計算でございますから、そのとおりいきますかどうかわかりませんが、昭和五十年ごろには一二%は、その約三倍の三〇数%か、できますれば四〇%近い水を利用するようにやりたい。こういう考えでございますので、つまり新しい水源開発によりまして、利用すべき水資源は相当ふえるのでございまして、したがいまして、この多量の工業用水、上水用の水を取りましても、まだ相当余裕がございますから、どんどんそういうものに使いますために農業利水が非常に犠牲になるんじゃないかという点は、まあそういうことのないように、むしろ農業利水も、どんどんふやしていくというように考えておるのでございます。  なお、膨大な利根川の全流域におきます耕作地域も、この公団の水路による農業利水以外に、従来の利水で十分に間に合う部分も、相当あるわけでございます。従来の利水では、とてもできない部分を、今申しましたように、豊富に増していきまして、この水でうるおしていきたいという考え方でございますので、こういうふうに御了解願いたいと思う次第でございます。  なお、さっき御質問の公団の存続期間の問題でございますが、利根川淀川は、なかなかこれは大きな仕事になりまして、そう簡単に、実際上は片づきません。あとには、まだ木曾、長良、揖斐の三水系の総合開発の問題もありますし、北九州地区の遠賀川、筑後川、四国の吉野川の問題もございます。  それから御承知のごとく、いよいよ近く新産業都市建設にかかりまして、四大工業センターに続きまする工業地帯の開発が、これからどんどん行なわれますが、また、そういう地域に供給する水の問題も、また登場して参りまして、今申し上げたうち五大水系以外の水系もまた、指定、基本計画の策定なんかが次々出て参りますので、少し語弊はあるかもしれませんが、この公団の存続は、半永久的とお考えをいただいていいんじゃないか、なるべくこの事業壁が大きくなったり、小さくなったりしないように適当に計画をして存続して、したがって水利問題もなるべく起こらないようにやっていきたいと、こう考えておる次第でございます。
  47. 北村暢

    北村暢君 次にお伺いいたしたいのは、利根川水系だけでも、水田が先ほど申し上げましたように大体二十三万町歩ありまして、これに対する三千二百カ所くらいの水の取り入れ口があるようでございます。したがって、これらの農業用の利水事業——利水というものは従来やって参りまして、相当農業水利も近代化してくるという方向をたどってはおるのでありますけれども、まだまだ電源のための水、あるいは上水道、これらと比較いたしますというと、農業水利というのは、圧倒的に慣行水利権というものがあるわけでございます。したがってこの慣行水利権というのは、農民は、いろいろこの水のための団体なりを作っておりますけれども、とにかくそれが、権利関係がはっきりしない、こういうことで非常におくれた形で、今日取り残されているわけでございます。  ところが今度、公団ができまして、水路建設をやる、そういうことになりますというと、水そのものが非常に近代化されまして、いわゆるその施設は、公営企業財産となるわけです。その維持管理のために、当然公団は水を売る、いわゆる売水をするということが出てくるわけでございます。そこで、水道なりあるいは工業用水なりというものは、これは水曜によって、料金を払うわけだろうと思います。  したがって、まことに権利関係からいって、近代化されていいわけなんでありますが、ところが農業関係は、今申したように、圧倒的に慣行水利権というものが、まだ近代化されていない。水は天下のもらい水で、水は金を出してもらうものでないという考えでいるわけでございます。そういうものが、今度公団ができまして、企業財産としての管理をやるために、売水ということが起こってくる。そうしますと、従来農業用水というものは、これは金を出してもらうというようなことになっていなかったものが、水の使用料というものを払わなければならなくなってくる。そのために、水も節約しましょうし、合理化もされるのでしょうけれども、近代化も進むのでしょうけれども、ここにやはり慣行水利権というものの既得権というものを剥脱する問題が出てくるだろうと思うのです。  こういう点について、一体対策としてどのように考えておられるか、この点をお伺いいたしたいと思うのです。
  48. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいま水利権についてのお話がございましたが、もちろん既得の水利権、慣行水利権等は、絶対に尊重されるべきでございまして、われわれとしましても、その考え方で臨んで参りたいと思います。衆議院におきましても慣行水利権の尊重すべき旨の附帯決議を付されておりますので、私どもは、その精神をあくまで厳守して参りたいと思います。
  49. 北村暢

    北村暢君 それで、精神はわかったのでございますが、実際問題として、むずかしい問題が出てくるというのは、従来は、国営事業でやっている、これは直営でやる、それから県営でやる、それから末端水路においては、土地改良の団体でやる、こういうことで、まあ団体でやる分については、この水利用の点からいって、これはまあ自分が自分で使う水の水路を作るのですから、その費用の負担ということは当然でございます。  しかしながら、そういう点からいって、今までの国営事業というものは、これは公共財産でありますから、そのための経費というものは、負担する必要がなかったわけです。ところが、今言ったように公団になりますというと、企業財産になりますから、企業財産を管理運営していくために、当然、これの経費というものは、その公団が生み出していかなければならない。  そこで、先ほど言ったように、売水という問題が起こるのですが、その慣行水利権というものを尊重していくということは、いろんな場合が実は出てくるわけですね。もうその畑地等において、今まで水のなかったところに水がいく場合には、これは農民として、当然受益者負担というものをするのはあたりまえだ。これは当然でございます。ところが、私の言っているのは、今までの施設であれば、取水口その他において、従来水がきておったところが、水路が変わったために、くるべき水がこなくなってしまう。そこで慣行水利権が、既得権というものを剥奪される問題が実は出てくるわけでございますね。そういう場合に、水路を建設し、末端の水路へいく場合に、従来よりは便利になったという問題が出てくるわけでございますね。しかも、水が、早魃その他において心配のないようになった。ここで起こってくる受益者の既得権の問題、それからそれに付加される利益の問題、こういう問題が出て参ります。そこで、受益者の負担という問題で、必ずこれは問題が出てくるというふうに思うのです。  ところが、農業政策上の問題として、水利事業をやった場合に、国または公共団体でやる場合には、これは農業の負担として見るべきでない。そういうことで、国の政策上として見られたもの、そういうものは、農民の負担にならない場合が、従来の国営事業なり県営事業の中にずいぶんあるわけでございます。ところが、今度公団になりますというと、そういうものが、すべて受益者ということによって、従来農業政策上負担しなくてもよかったものが、負担しなければならない、こういう問題が実は出てくるのではないかということが想像できるのであります。  そういう点からいって、一体、ここら辺のところが、どのように調整せられるものか。先ほどの建設大臣の御答弁のように、慣行水利権というものは尊重するという立場に立って、農民には絶体迷惑をかけないようにするんだと、こういうようなことであるようでございますが、この農業政策上の農民負担にならない分というものの評定というものは非常にむずかしい問題だと思うのですがね。したがって、そういうものまで考えられて、農民の負担というものがなされていかない。こういうふうに理解していいのかどうなのか。  この点について、これは非常にむずかしい問題なんですが、一応、お伺いしておきたいと思うわけでございます。
  50. 富谷彰介

    説明員富谷彰介君) ただいまの御指摘の問題でございますが、愛知用水公団建設いたしました施設は、これは公団の所有の施設でございます。この管理をどういうふうにしているかということを申し上げますと、今度の水資源公団が行ないます、その前例になるかと思いますので、御参考になるかと思いますから申し上げますが、愛知用水公団の場合には、従来の国営事業に類します幹線施設、それから県営事業に類します支線、それから団体営その他のこまかいものがありますけれども、これを一括公団が施行いたしまして、そのうち、国営に相当いたします部分につきましては、施設の管理費、これは、人件費も含むのでございますが、これにつきまして、国から半分の補助を受けるということになったわけでございます。  これは三十六年度から、そういう予算がついておるわけでございます。御参考までに申し上げます。
  51. 北村暢

    北村暢君 時間が過ぎましたから、あと、しつこく申し上げませんが、今の答弁では、ちょっとやはりはっきりしないのですよ、私の聞いたことと……。したがって、公団の、国の政策に付随するものは、二分の一、国で、国費でもって補うから、政策面において、その幹線水路なり何なりの分については、農民の負担にならないと、こういう御答弁だと思うのです。それは簡単に、それだけではいかない問題でございますが、今後については、慣行水利権の保護の問題と関連して出て参ります問題でありますから、この受益者負担の問題については、やはり私どもは、どうしても農業政策上の問題を十分考慮してやっていただきたいということです。  というのは、愛知用水で知多半島に水がきまして、非常に喜んだのでありますけれども、その水が高いために、農業政策上引き合わないという問題が出てくるわけです。水がきて非常にありがたいが、その水が使えない、農業経営の実態からいって使えないという場合が出てくる。こういう場合があるのでございますから、私は、今申している点は、そういう問題まで、十分考慮された、いわゆる農業が、上水道なりあるいは工業用水なり、電源用水なり、こういう量によって料金を払うというようなところまで近代化されておりませんし、農業そのものが、劣性産業である、こういうことを勘案して、今後の公団の水開発というものは、十分農民の立場というものを考えて、この受益者負担なり何なりというものが考えられるべきである、こういうふうな主張を持っているわけです。  したがって、そういう点からいたしまして、今後の公団の運営にあたって、十分その点をひとつ、考慮に入れていただきたい、こういうことを要望いたしまして、終わります。
  52. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 速記を始めて。
  54. 小柳勇

    小柳勇君 経済企画庁長官に質問したいのですが、おられませんので、建設大臣に質問いたします。  今までの答弁を聞いておりますと、必要があって、どうしても水の必要があるというところよりも、水資源があるから、これを開発してやればペイするというようなところに重点を置いて、この公団ができる、そういうように私は答弁を聞いて受け取っておりますが、たとえば産炭地地域の水の問題とか、さっき答弁された新産業都市の水の問題などは焦眉の問題であります。非常に急いでいるのにかかわらず、第二次、第三次と、先の方に追いやられている。そういう点で、この発足する水資源公団というのは、いわば愛知用水公団みたいな、水を開発すればもうかるというようなところに重点があって、公団が設置されるように、私は印象を持ったのでありまするが、その点について、もう一回御答弁をいただきたいと思います。
  55. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 日本の国が、だんだんと発展して参りますると、水がますます貴重になりますし、高度に、しかも総合的に合理的な使用をいたさなければならぬという方向になっていくわけでございますが、特に最近地盤沈下等を起こしまして、工業用水初め地下水使用制限を行なうことが焦眉の急務になっておりまする地域につきましては、これはまっ先に、この制度ができましたら、適用地域にいたしまして、水資源開発して、そうして地盤沈下の防止に寄与し、二面、上水道も——人口の過度の集中を防止する態勢をととのえております、そういう方針でおりますけれども  何といいましても、自然の現象として過度の人口集中を来たしまして、集まった人に水道用水を供給することも、絶対の要素でございます。そういうようなことに関連をいたしまして、工業用水、水道用水、あわせて農業用水等の充足をはかる必要のある、緊急性のあるところから手をつけていくと、こういうのが現在の考え方でございます。したがいまして、さしあたり、この法律が成立をいたしまして、まっ先に指定水域にしようという考えはどこかと、決定的には審議会の議を経てきまるわけでございますが、心づもりはどこかと言われれば、先ほど来企画庁長官が申されましたように、利根川水系淀川水系等がまつ先であろうと、こういうようなわけでありますが、第一条に掲げておりますところは、どうも後進地域開発とか、あるいは将来そういう水の需要の起こってくる場所に備える態勢でないではないか、こういう御議論が衆議院の審議段階におきましても、活発に議論をされました。私どもこの点は、第一条の表現につきましては、もっと幅広く、将来この公団ができまして、この制度ができましてからも、発展的にいけるような道を開いておくことがいいのではないかと思っておりましたら、そのような趣旨の修正案が可決をされました。私どもはこの修正を喜んでお受けをいたしまして、そういう精神で今後運営をしていきたいという心がまえでおるわけでございます。
  56. 小柳勇

    小柳勇君 北村委員の質問に対します答弁を聞いておりますと、まだ事業の規模も、予算その他未確定のようであります。そうしますと、たとえば第一次指定、第二次指定などについてもまだ未確定だと存じますが、そうでございましょうか。
  57. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは想定としましては、いろいろこの法案を立案する段階で考えられておるわけでございますが、建前としまして、あくまでも公正な学識経験者の方々にお集まりをいただきまして、ここで十分論議を尽くして、審議会の議を経て内閣総理大臣がきめていく建前でございますから、今のところとしては、あまり立案段階で頭の中に描きましたことを申し上げることは、われわれいかがかと思っておるものでございますが、さしあたり、とにかく法案が成立してスタートすれば、利根川水系淀川水系あたりはまっ先に指定水域にすべき地域である、こう考えておるのが現段階であります。
  58. 小柳勇

    小柳勇君 部分的になりますが、北九州総合開発の中で、筑後川の総合開発や、あるいは滝炭地振興におけるそういう問題、それから豊前平野などの灌漑の問題などで、建設省で現在の筑後川の総合開発については調査研究されておりますが、建設省だけの問題ではございません。したがって、こういう緊急を要する問題こそ、利根川淀川に匹敵する水資源開発の緊急を要する土地だと考えますが、大臣の御見解をお聞きいたします。
  59. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私どもも全く同じように考えております。木曾三山関係につきましても、これはもちろん重要な場所ではあると思いますが、幸い愛知用水公団ができまして、愛知用水公団による開発が一応できておりますから、利根川水系淀川水系に次ぐものが北九州の関係であろう。しかし、おそらくこれも審議会ができまして、世論の要望を伺いつつ進めることになりますから、われわれは遠慮した表現をいたしておりますが、世論のいかんによりましては、同時に指定水域にして開発をすべきだということになるかもしれません。私ども当然この北九州、特に筑後川水系のごときは、洪水調節の上からいいましても、かつて大災害を起こした地域でもございますから、洪水調節をあわせて水資源の総合開発をする緊急性の非常に高いところであると、こういうように考えております。
  60. 小柳勇

    小柳勇君 最後に雇用問題について一言触れておきたいと思いまするが、たとえば失業多発地帯などでこのような事業を起こす場合には、請負人にまかせっ切りでは雇用の促進はあり得ないわけです。しかも、その地域でそういう事業が起こりますると、失業者を吸収しなければならぬ。今私は具体的な例として、たとえば道路公団などで切符を取る職員がおりまするが、若い学校を出たての青年がたくさん雇われている。そういう人は工業用地帯に回していただいて、たとえば身体障害者とか、あるいは退職者とか、そういう人を、中高年以上の就職などを考えるべきであろうという意見を持っております。そういうものも、決算委員会などで、あるいは予算委員会などで発言いたしまするが、なかなか実現しない。それは雇用の問題は、その公団の権限にまかせられておるからであります。したがって、こういうような発足するときに、国全体の雇用政策などは十分に検討して、請負に出すにしても、国が雇用の面についても相当の示唆をするなり、あるいは指導をすることが必要と思うが、たとえば、これができた場合に、さっきの意見によりますると、仕事は一切請負にまかせるようでありますが、国全体の雇用の問題など、そういう問題についても御配慮されているかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  61. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私も、実は有料道路を通るたびごとに、非常に若い、まだ働き盛りの人が、ああいった重労働でない仕事に従事している現状を見まして、折を見たら道路公団のほうにも注意をいたしまして、もっと若い人の職場は職場に転換をいたしまして、適切な雇用政策をやったらどうか、またやるべきであるということを注意いたしたいと思っておりましたやさきでございます。まことにこの点同感でございますが、あわせて、たとえば北九州における筑後川の水資源総合開発をやるようなことになりまして、その方面に過剰労働力があるということになりますれば、現在国直轄の事業におきましても、請負に付したほうが都合のいいところは請負に極力付して、役所の人員をふやさないようにいたしておりますが、あわせて、労働力の関係を見まして、直轄事業で、しかも直営でやっております部分もあるわけでございます。これらも当然、私どもまた、内閣総理大臣の中心の機関ではございますが、われわれも政府部内としましては、それらの点を織り込んでやるべきものであると考えますから、弾力的な迎労をするように進言もし、また自分たちで発言のできる範囲内におきましては、発言をして進めて参りたいと思っております。
  62. 小柳勇

    小柳勇君 終わります。
  63. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  64. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 速記を起こして下さい。
  65. 秋山長造

    秋山長造君 建設大臣にお尋ねいたします。水資源の問題は、先ほど来各委員から質問がありましたとおり、その影響するところ、また関係の部面が非常に大きくて、複雑だということは申すまでもないわけであります。きょうの連合審査にしても、これだけ大規模な連合審査が持たれなければならぬということも、その一つの現われだと思います。法律関係にしましても、従来これに類似した法律がずいぶんすでに出ているわけですね。国土総合開発だとか、あるいは電源開発促進法だとかいうようなものから、さらに議員立法で続々やりましたが、全国各地方に全部それぞれの開発促進法というものができて、すでにそれぞれの開発計画というものを立てて実施に移っております。さらにそのほかに、今度はまた各都道府県それぞれにおいても、その都道府県内の総合開発計画というものが、それぞれ、これまた例外なしに持たれて、それに基づいて、水系開発をも含めた、いわゆる総合計画が立案され、実施されつつあるわけなんですが、その中に、またここでこういう法律を作られるということになりますと、同じような名前の、大体似たり寄ったりな開発計画というものが、大小さまざま、あちこちそこら辺でできることになるのですが、そういうものの総合的な調整といいますか、きれいな言葉で言えば総合的な調整ということになるのでしょうけれども、一体そういう取りまとめというものは、だれがどういうようにしてやっていくのかということを、まずお尋ねしたいと思います。
  66. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 私は、この水資源開発促進法及び公団法は、いわゆる国土総合開発水資源に関することを担当する部門で、国全体の国土総合開発の一部をなすものであると思うのであります。所管としましては、国土総合開発が、内閣総理大臣を中心に経済企画庁が担当いたしておりますので、自然この水資源開発も企画庁に担当していただくことに相なったわけでございます。そこまでの間に、いろいろ世間からも官庁同士がセクト主義であるというような御批判もいただいておりますが、これはやはり農林省は農業用水について、通産省は工業用水について、厚生省としては自分の所管の水道用水について、熱心なことは当然なんでありまして、熱心に自分の担当行政を完全に実施しようとすれば、それぞれ発言権を主張し、中に入らなければならない。そして、自分らの考え方に沿うように進めさせたいということは、私は考え方によっては当然なことであると思います。まあ比較的建設省のごときは、洪水を起こさないように、災害を起こさないようにという立場でございまして、災害を起こさないように、洪水調節ということも十分に加味させながら、水を国のためにたくさん作るように考えればいいという、割合にアンパイヤーのような立場におるわけでございます。しかし、これとても治水、防災ということを熱心に考えるべき役割でございますので、そういった意味から参画をさしていただいておるようなわけでございます。しかし、総括的な取りまとめはあくまで内閣総理大臣を中心にして、その代理者として経済企画庁長官にやっていただく、こういうような考え方が本法案精神でございまして、われわれとしては、各省の立場を調整をして、そして総合的な水の高度開発を行ない、合理的に利用さしていくのには、こういった複雑なようでございますが、こういう機構以外には方法はないのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  67. 秋山長造

    秋山長造君 大臣の御答弁は、まことに御答弁としては整っておるのですけれども、実際にはなかなかそこらの調整が複雑過ぎて、一体地方としてはどちらへ向かっていいのかわからぬというようなことになって、結局は計画倒れというようなことに終わってしまうおそれが多分にあると思います。促進法の十一条には、国土総合開発計画と、この水資源基本計画との調整については云々、それから第二項で、電源開発基本計画とこの法律基本計画との調整は互々、この二つは具体的に書いてある。調整の責任者、方法等書いてあるのですがね。さっき私が申し上げました各地方にある、それぞれの開発促進法における基本計画、あるいは各都道府県がそれぞれに立てております総合開発計画、そういうものとの調整はどこで、だれがするのか。この法案には全然書いてないのですけれども、それはどういうように、どういう方法でそこらの調整はおやりになるのですか。
  68. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) ただいまの点は、ごらんのとおり、各場所で都道府県知事意見を聞き、あるいは協議をするという段階がございます。各府県でもそれぞれ総合開発委員会等を作りまして、地域開発についての研究をされておるわけでございます。したがって、その県のどの場所に、こういう工業地帯を作りたい、それには工業用水がこれだけ要る。あるいは農地の開発をして、畑地を水田化して、畑地灌漑をいたしたいというような計画がございますれば、それらは意見を述べる機会、協議の段階で御主張を願い、そして地元の関係府県知事が納得がいくということが必要なのでありまして、納得がいきませんければ、河川法の三条及び十八条等によって、府県知事河川に関し、あるいは水利権に関して権能を持っておりますから、この権能によって主張をされる。こういうことによって、協議の段階あるいは意見を受ける段階で調整をとる以外にはないのだと思いますが、さような方法によって都道府県との意見の調整というものが、すべて仕事を運行して参りまする一つの中心課題になろうかと、私どもかように考えております。
  69. 秋山長造

    秋山長造君 これはまあ建設大臣にお聞きするよりも、藤山長官へ聞くことかもしれませんが、次官がおられるのだから……。各府県が持っている総合開発計画との調整は、今の大臣のお話によりますと、結局いろんなところに出てきますが、たとえば水系の指定について、関係都道府県知事意見を聞いてとか、あるいは基本計画について関係都道府県知事意見を聞いてというような、意見を聞いて、聞いてというようなことがあちこちに出てきますが、その意見を聞くということで調整をする、こういうお話なんですが、これは政務次官、そういうことなんですか。
  70. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 今具体的に問題になりますのは、おそらく、全国総合開発計画もとにできまする地域計画なり府県計画と、この水系基本計画とが何かこう、どういう関係になるかという御質問だと思うのでございますが、御承知のように、この出発する段階はちぐはぐでございますが、将来の体系から考えますと、全国の総合開発計画は、来年の三月に確定をいたしますと、これがもう全体の総合計画でございまして、その基本方針に合うように府県計画は作らねばならぬのでございまするし、それから特定の地域、たとえば利根川水系計画なども、それを基本として作らねばならぬことになりまするして、それから、この法に基づきまする水資源開発基本計画も、やはり全国総合開発計画の基本方針に従って作りますので、本来、その何といいますか、体系の中にある、大元は一緒でございますが、そうしてなるほど、そうではございますけれども、すでに利根川水系開発計画があり、あるいは当該県の計画がありますときに、ここにこの基本計画を作るということになりますと、この間の調整は実際には話し合わなければならぬわけでございます。すでに、たとえば利根川水系計画があり、調査があり、今度の基本計画を作るためには、両者が寄りまして協議をして、今までの調査を利用する、今までの計画を十分検討して、それを中に取り入れるべきものは取り入れる、あるいはこの際相当強力な審議会ができ、専門委員も入って参りますし、かなり有力な公団の仕組みになっておりますから、従来の県等でお作りになったものはずさんだと認められるときには、その点の修正もしていただきまするし、そうして相互に矛盾しないような基本計画をこれから作っていくわけでございます。その間の調整は、常時連絡をとりながらやっていく、それがまあ総理大臣が府県知事意見を聞くという形で行なわれましょうし、あるいはここに規定されております審議会の審議の際に、いろいろこの地方の代表者の御意見を参考人として聞くこともございましょうし、専門委員でお入りになっておる方もございましょうし、それからその審議会の審議の過程とか、相互の協議の過程とか、そういうものへ合わせるようにしていって、相互に矛盾のないようなものを作ることになると思うのであります。ただ、根本問題として、総合開発計画の全国体制がきまる、府県計画がやがてできる場合は、今日まで、終戦後比較的早くやってきました特定地域開発計画というものがここにありまして、こうたくさん重なっておる体系をどう整理するかという問題が実はあるのでございます。ことに、将来全国総合開発計画の体系内における府県計画ができましたときに、従来の特定地域地域計画というものをどういうふうにするかということが実は懸案でございます。これはまだはっきりと申し上げかねまするけれども、そういうような新しい全国総合開発計画及びその部分としての府県計画ができますときには、おそらく次第にこれは解消して、これに吸収さるべき運命にあるのじゃないかと思うのでございますが、そういう体系のもとに、それではこの基本計画はどうかといいますと、全国総合開発計画及びその部分としての府県計画が総合計画でございますので、その中の特定水域の開発利用の合理化の専門的、特別的な計画としてはその中に入っていく。あくまで全国総合開発計画府県計画というものは、総合開発計画であります。その部分としての具体化したものがその中にちゃんと入り込んで、みんなにマッチするように仕組んでいくと、こういうふうな考え方になるのではないかと、私どもは考えておるのでございます。一番将来の処置をどうするか困りますのは、あの特定地域開発計画というものが、比較的初期にできましたものをどうするかという問題がございますが、そういう体系の整理の問題が残ることは事実でございますが、考え方としてはそういうふうに取り運びたいと思っておる次第でございます。
  71. 秋山長造

    秋山長造君 私がお尋ねしたことと少しお答えの角度が違うのですけれどもね。それは今直ちに、あなた方が予定されておる利根川だとか淀川だとかいうようなものは、これはただ一地方の川という以上に天下の名だたる大きな水系なんでね。こういうものについては、その地域での従来の開発計画、あるいは国で今度やる開発計画にしても、あまり抵触するようなこともないかとも思うのですよ。だけれども、さっき言いましたように、各府県がそれぞれにやっているものは、やはり地域々々での総合的な開発という角度からやっているわけですから、おのずから、今度のこの法律に基づく国がおやりになる場合とは食い違う点が出てくることは考えられる、十分。ですから、そういう場合の矛盾を調整していく具体的な法律上の方法としては、それはもちろん中央だ地方だといったところで、常時不断にいろいろ公的、私的に連絡があることですから、あとで話されて全然別なことをやるということもこれはないけれども、しかし、法律上の保証として、この地方における各都道府県の持っておる総合開発計画と、この促進によるこの計画との上で調整ということは、やはりさっき建設大臣がおっしゃったように、都道府県知事意見を聞いてという言葉でここは保証されているのかどうかと、こういうことを聞いているのですから、それがイエスかノーか言うて下されば、それでいいわけです。
  72. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) 今の点でございますが、その意見を聞くという点、その法律的な方法を非常に活用するわけです。そのとおりでございます。しかし、それのみでなくて、調整のことは、この全国総合開発計画ができますと、既存の府県開発計画などは、今度いよいよ三月に全国計画がすべり出します際には、それとやはり調整をもう一ぺん合わすように、もう一ぺん練り直す必要が当然出て参ると思うのでございまするし、それから、その全国計画に従って今度の河川開発利用の、これはごく専門的な計画ができますと、専門的立場から見れば、かなり権威のあるものでございますから、そのほうに府県計画が歩み寄っていただくことも必要でございますし、あるいは地元の事情がよくわかっている点からいうなら、府県計画のほうが権威があるともいえるかもしれませんから、この開発計画のほうから歩み寄ることがあるかもしれませんし、そういう調整は、今おっしゃいましたように、知事意見を聞くというこの法律的な方法は、それを中央で所管しておられまする各主務大臣の間の協議を、総理大臣が経済企画庁長官を通じて調整されるという、内閣の統一を保持する総理大臣の機能によってそれを調整していくという面もあると思うのでございますが、今の知事意見を聞くという点は、最も有力な調整の方法だと思っております。
  73. 秋山長造

    秋山長造君 時間がたちますから次に進みますが、第三条の水系の指定ですね。この水系の指定というのは、これはもう実に大きな問題だと思うのです。これは国としてもそうでしょうけれども、その関係地域にとっては、これはもうあらゆる面できわめて大きな問題だと思う。したがいまして、こういう計画が、ほんとうにその地域々々の実情なり、あるいはその地域開発というようなことを、この第一条に書いてある言葉どおり忠実にやられるとするならば、まず水系の指定のときに、これはもう地方関係地域住民の意思といいますかね、それから利害関係あるいはその地方々々の特殊事情、そういうものをよほどよくしんしゃくをしておやりになる必要があるのじゃないか。これはもう水利権の問題なんかその最たるものです。そこで、この水系の指定については、私は、ただ、おざなりに都道府県知事意見を聞くというようなことでなしに、もう一歩突っ込んで、たとえば都道府県議会の議決を必要とする、つまり知事意見を言う場合にも、ただ自分が勝手に言うのじゃなしに、都道府県議会の議決を得た上での意見でなきゃならぬ。で、その都道府県議会の議決というところでチェックされることによって、おのずから関係地域住民意向というものがしんしゃくされる、具体的にしんしゃくされる一つの機会になるだろう。この点をなぜおやりにならぬかと思うのです。今手元に資料として配られたこの衆議院の附帯決議ですが、今回のも附帯決議がついていますが、大体同じようなことが書いてありますが、前の国会での附帯決議を読んでみますと、やっぱり衆議院においても、この府県知事意見を非常に重要視されておるようであります。つまりその意味は、ただ形式的に知事意見を聞くというようなことでは不十分じゃないか、不十分じゃないか。もう一歩突っ込んで、やっぱりもっと何か、知事意見を聞いてというのは、これは取りようによっては、意見さえ聞けばいいのじゃないか、こういうことにもなるわけでしてね。だからもう少し突っ込んで、たとえば「関係行政機関の長に協議」すという、この協議という言葉もずいぶん使われていますがね。協議とか、さらに突っ込んで、知事の同意とかね、そういう言葉を使うか、あるいは、今申し上げましたように都道府県の議会の議決を必要とするというところまでいかなければ、これはほんとうにこの水資源開発という事業が、その言葉、この第一条に書いてあるように、その地域地域のやっぱり総合的な開発にまたなっていくという効果が、私はなかなか期待できないのじゃないかというように考えるのです。その点いかがでしょうか。このただ同意というような、「意見をきいて、」というようなことでなしに、都道府県の議会の議決を必要とするというように、もっと強くここのところを規定したらどうかという質問なんです。
  74. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) ただいまの御質問でございますが、実はこの法案を作りまする過程におきましても、ずいぶんこれは考究をいたした問題でございまして、また過去の立法例から申しましても、特定多目的ダムの場合におきましても、知事がこういう協議に応じますときには地方議会の議決を経ることになっております。こういう立法例もございまするし、また、愛知用水公団法の場合、あるいはまた電源開発法の場合のごとく、必ずしも地方議会の議決を経なくてもいい、そこは自由にしてある場合と、両方の建前がございまして、どっちをとるかということでございますが、こういうふうに地方議会の議決を経ることを条件としませなんだ私どもの考えを申し上げますと、これは当該の府県の内部の問題として、知事が、知事の判断によって、議会の議決を経ようと思えば経てもよろしい、あるいはまた、地方自治法によりまして、そういうことを条例にきめたいところはきめてもよろしい。それはむしろ府県の側の御判断にまかせて、府県内部の意思決定をどうしていくかという問題におまかせをすると、決してそれをやらぬという意味でございませんで、それは地方側の御判断にまかせるという意味におきまして、ここには条件としては書かなかったわけでございます。  問題はそれ以上に進みまして、単に意見を聞いてということでなくて、協議ということにしたらどうかという御意見は、これは十分考究をいたした問題でございますが、実は日本の立法例によりますと、中央の主務大臣が、この地方知事意見を尊重します場合に、協議をするという形は使っておりませんで、法制の体係で、意見を聞いてということになっております。このことは、必ずしも地方上下の関係とか何とかいう意味でなくて、つまり中央機関として全国を総括的に見ておるものが、その全国の一部をすべております地方自治行政の首長の意見を尊重します場合の体系としては、意見を聞くという、まあ従来の法制の建前になっておりますから、これを一つは踏襲をいたした次第でございます。したがいまして、公団基本計画を作ります、事業実施計画を作ります際、特に公団は当該の府県知事協議をするという、そういうやはり建前をとっておるわけでございます。実際に意見を聞くといいましても、聞きっぱなしでなくて、もちろん、十分尊重いたしまするし、実際の運営は、協議という文字を使った場合となるべく近い効果をあげていくことが、円満に事が運ぶゆえんと思いますので、この用語の用い方は、従来の日本全体の法制の例によりつつ、実際の効果は、まあ協議にしたとひとしいような円満な運営をいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。同意を得ると、はっきり書くかどうかの問題もございますけれども、まず協議のほうが、すべてこう町方が何もかも打ち割って話し合うという文字にふさわしいと思いますので、公団の場合も協議という文字にいたしたのでございます。ただ同意、不同意で、こうぴしゃっと不同意、それでおしまいだということでなくして、ほんとうにそういう、ひざを交えて協議していくという気持で協議と書きましたのでございますが、同意と書いたらどうかという御意見もずいぶん強うございましたが、また半面、この同意が、つまり上流県、下流県の知事意見などが食い違う場合もございます。この際にはある程度中をとったような案で押し切らねばならぬような場合もあり得るのじゃないかと思うのでございますが、そんなことはめったにないと思いまするし、あくまで協議が相ととのうという姿勢にいきたいと思いますが、同意ということで縛りつけますと、どうにも、にっちもさっちもいかないような最悪の事態があることも考えましたので、そういう意味からも、協議という文字がちょうどふさわしいのじゃないかというので、公団知事との場合は、協議という文字を使いました次第でございます。まあ、この立法の過程で苦心をいたしましたところを申し上げまして、御了承を得たいと思う次第でございます。
  75. 秋山長造

    秋山長造君 この法律は、水資源一般の開発ということになっておりますけれども、まあ先ほどの話しによりますと、とりあえず、利根川淀川というように、幾つかすでに予定されておるわけですが、まあ将来の問題もありますからお尋ねするわけですけれども、実は利根川淀川にしましても、電源開発というようなことがやっぱり主になるだろうと思いますが、やはり二電力会社が電源開発をやるというような場合と、それから国がこの法律によって水資源の総合開発をやるという場合とはだいぶ角度が違わなきゃならぬと思う。にもかかわらずこの法律案を読んでみますと、公団法案のほうでもそうですが、水の開発ということ、あるいは利用ということばっかりで、その前提になる水源の保護だとか涵養というようなことは全然うたわれてないし、それから一番大切なことは、大体ダムなんかを作られるというような地域は、これは地方行政の面から見るといわゆる後進地域なんですね。未開発地域、僻陬地域が非常に多いわけです。そういう方面は非常に工業地帯と比べていろんな面で地域的な格差というものがひどいのです。ますますひどくなりつつある。これをどうするかということはこれは教育の面あるいはその他いろんな面で非常に大きな問題になっていると思う。こういう水資源開発というようなことをやられるならば、当然ただ電力会社がダムを作るというようなことでなしに、もっともっとやっぱり国としていろんな後進地域開発だとか、あるいはその水系に属する地域の「総合的な開発」という「総合」という言葉はそういうことを私は意味していると思うんです。後進地域開発あるいは僻地の開発、こういうようなことがこれはもう当然車の両輪のごとく伴わなければ、何も国が法律まで作って総合開発というような看板でやられる意味はないと思うのです。そういう点の考慮というものがこれはもう全然ないと思うんですね。衆議院の修正でどこかにちょっと「水源の保全かん養」というような文言が挿入されておりますけれども、それはただどっかに一条ですか挿入しただけで、別に、じゃその水源の保全涵養ということを具体的に、たとえば基本計画のどこにどういうようにうたい込むとか何とかいうようなことは何にもないわけですね。やっぱり基本計画を作られる場合にも、基本計画の中の幾つかの項目の一つとして私は当然「水源の保全かん養」はもちろんですけれども、その後進地域開発という意味をどっかに必ずうたい上げておかなければこれはもうただ、いやそういうことも当然の心がけとしてやりますということだけでは、実際にはこれは行なわれぬと思う。特に公団が実際には仕事をやっていくんですから、公団がやっていくということになれば、これはもう今までの公団がすべてそういうことまで配慮してやられてはおらぬのですからね。この水資源公団だけがそういう後進地域開発、僻地の開発というようなことまで、これはとても考えてやるということは期待できぬと思う。そういう「水源の保全かん養」ということ、それから同時にあわせて今非常な大問題になっておる僻地の開発、後進地域開発、こういうふうなものを一体この基本計画のどこに織り込まれるのか。
  76. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) お答えいたします。  もちろんこの法律の主たる目的といたしますところは、第一条に書いてありますように、「産業の発展及び都市人口の増加に伴い」、今度修正された文言で言いますと、「用水を必要とする地域に対する水の供給」ということになっておりまして、主たるやっぱりねらいは今申しますこの流域、特に下流にあります都市の工業用もしくは上水用及びその流域の途中にあります灌漑用水にそれを利用することが主目的でございますので、ことに上流水源地方の後進地域開発ということは、それ自体のもちろん目的には入っておりませんのでございますが、しかし、この格差是正、後進地域開発のやかましい当今の政治情勢下におきまして、こういう法律を作ります際にもそういうことを考慮しないという立案の仕方はないと考えますのであります。したがいまして、ここにこの法案でところどころに御注意をしていただきますると、たとえば第三条に「広域的な用水対策」とあるこの「広域」というような文字を使いましたのは、特にそういう上流水源地帯のことも考えるというような意味をもちまして書きました次第でございまするし、それからことに第四条の三項におきまして「基本計画には、治山治水及び電源開発について十分の考慮が払われていなければならない」といたしました「治山治水」ということの中に、やはりこの水源の涵養、砂防というような問題も十分考慮せなければならぬという意味を含めたわけでございます。  それから、われわれの側から衆議院の修正のことを引き合いに出しては恐縮でございますが、衆議院が改正をされました点なども、私どもが喜んでお受けをしたいと思っております点の第一条の修正も「水源の保全かん養と相まって」、というような文句が入りまして、なおまた今の申し上げました第四条の三項には、衆議院の修正におきましては考慮すべき点として「治山治水」、「電源開発」のほかにもう一つ加えまして「当該水資源開発水系に係る後進地域開発」、これについても「十分の考慮が払われていなければならない」というふうに修正がされました。これらの点を含めますと、やはりこの法案の直接の目的自体は、その流域の後進地域開発を直接の目的にはいたしておりませんけれども、そういう後進地域開発についても十分考慮する。あるいは主として建設省、農林省がお作りになります治山治水十カ年計画等をも十分それを心に入れて、それに適合するようにするという意味は、こういうところにところどころ現われておるわけでございます。  それで、この法律自体では含まれておりませんけれども、政府としましては別の法案をもって山間僻陣地の開発、たとえばいよいよ来年度から自治省がおやりになろうとしております、山間僻地の公共施設の促進に関するいろいろな方法をきめました法律案を出されようとしておりますが、そうそう問題とかいろいろまた後進地域開発対策を講じていく、あるいは補助率のアップでありますとか、いろいろなことがございますから、他の方法においてまたそういう後進地域開発には十分力を入れていくように、政府全般としては考えていくことになっておると思うのでございます。
  77. 秋山長造

    秋山長造君 それならそれで実際にこの計画を実行していくのは公団法の関係になると思うのですがね。たとえば公団の業務として第十八条にずっと書いてありますけれども、そういうものの中に当然先ほど衆議院で修正をされたような水源の保全涵養だとか、あるいは関係地域開発というようなことがこれは考慮されていなければならぬはずじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  78. 菅太郎

    政府委員(菅太郎君) お説のとおりでございまして、公団のやる仕事につきましては、御承知のごとく、これはもう基本計画に基づいてやることになっておりまするし、ことに工事の施行につきましては、実施方針を政府から指示していくことになっておりまするし、また業務の管理方針につきましても政府側から指示することになっておりまして、そういう基本計画なり政府が指示する方針におきまして、やはり付近の後進地域開発とマッチするように、矛盾しないように計画ないし方針を定めるつもりでございます。そういう点におきまして関係知事さんの御意見も十分聞きまするし、審議会でもいろいろな方にお集まり願って、特に審議をいたしておるのでありますから、それから、なおついでに申し上げますと、いろいろな基本計画を作ります際に、将来の後進地域がだんだん次第に開発されてきます際に要するであろう水の点も考慮をしまして、全体の需給計画の中に織り込んでおきまして、将来後進地域が水をだんだん要するようになります場合に支障のないように考えたい。そういう意味で総合的とか広域的とかという言葉を非常に使っておるのでございますが、そういうふうに御了承願いたいと思う次第でございます。
  79. 秋山長造

    秋山長造君 建設大臣にお尋ねしますが、この公団法案の二十四条の関係ですが、洪水のときの建設大臣の指揮権ということがこれできめてあるのですけれども、洪水のときに水防法等の関係知事公団関係はどういうことになりますか。
  80. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 御指摘の二十四条は、洪水等の場合における公団に対する建設大臣の指揮系統を明らかにいたしたものでございまして、公団に対しましては、あくまでこれらの災害関係におきましては国家意思を織り込んで運営するようにさせたい。こういうことでございます。従来の水防法関係都道府県知事権能につきましては、別段関係はございません。
  81. 秋山長造

    秋山長造君 大体水に対する管理権というものは地方自治体が持っているわけでして、ところが公団というものがここにできて、そうしてまことに水利権その他複雑なもののからんでおる水系を、公団地方自治体の何らの制約を受けないで、いわば治外法権のような形で扱っていくことになると思うのですが、そういう場合の地方住民とのいろいろな利害関係の衝突、あるいはいろいろな地方事情との抵触というようなことを、どこかでうまく調整をしていく方法を考えておかなければならぬと思う。ところが主務大臣事業の実施方針を立てるときに都道府県知事意見を聞くことになっている。あるいは施設管理方針をきめる場合には意見を聞く必要がないことになっておりましたが、衆議院の修正でそれも意見を聞くという状態になっておりますけれども、その他には全然それぞれの地域との関係の規制は行なわれておらないわけですね。ですからこの公団の運営については都道府県はもちろんですけれども、関係地方公共団体、関係自治体との連絡といいますか、調整といいますか、そういう点はよほど慎重におやりになる必要があると思う。問題が水という複雑な問題であるだけにね。この点についてはひとつ十分御考慮を促したいと私は思うのです。  それからもう一つ、これは藤山長官がみえたので、最後に水は水でも私がお尋ねするのは海の水のほうですがね。このことについて長官のもしお考えがあったらちょっと参考のために承っておきたい。それは瀬戸内海の問題なんです。瀬戸内海はこれは単なる一地方、一地区の問題じゃないと思います。これはもう全く国が直接取り上げて参る性質のものだと思うのです。一つの例をいえば従来は瀬戸内海は近海漁場としては世界的なものでこれはもう願ってもない天然の漁場だったと思う。ところが瀬戸内海の周辺の臨海地帯に次々に工場ができていく関係があったり、乱獲の関係があったりいろいろあるでしょう、とにかく最近はほとんど魚がいなくなってしまっているということを、私は聞いているのです。いろいろあっちこっち養魚池を作ったり、いろいろなことを国のほうでもあるいは地方団体でもやっておりますけれども、あの瀬戸内海そのものを天然の大規模な養魚池ということに考えれば、これは世界に並ぶもののないりっぱな養魚池ができて、水産資源確保ができるのじゃないかということを考える。それからその他観光だとかあるいはいろいろあらゆる面のいわゆる総合ですか、瀬戸内海そのものの総合開発ということを、ひとつ政府は真剣に雄大な規模をもって取り上げられるお考えはないか、お尋ねします。
  82. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 前段のお話がありました公団の運営にあたりまして、関係都道府県はむろんのこと市町村等の間の円満な話し合い、実際また運営においても円満にいくように処理することにつきましては、私どもも実施にあたって十分注意をいたしまして、そうして誤りなきを期していくようにいたしたいと思います。  瀬戸内海が非常に、ただいま御指摘のございましたいわゆる養魚池として価値もある、また観光資源としての価値もあり、あるいはその周辺が工場地帯としての立地条件も具備しているというような関係から、瀬戸内海を中心にして何か総合的な開発あるいは施策というものが考えられないかというお話のようでございますが、現在国立公園の関係もございまして、そういう面においての観光的な問題がございます。また水質汚濁の防止というような問題についても、今後工業がどんどん進んで参りますれば、これは現状ですでに問題になっておりますので、それらに対してもいろいろな処理方法を考えて参らなければならぬと思うのであります。これを総合的にすべきかすべきでないかというような問題になりますと、四国開発あるいは中国開発との関係もございますし、十分検討をいたしました上で将来研究をいたしてみたいとこう思っております。
  83. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 経済企画庁長官にお尋ねをいたしますが、この水資源開発促進法案公団法案、この二法案の中で、水資源の総合的な開発ということが各所に出ておるのでありますけれども、地下水の保全管理ということについて一項もこり法案の中に出ていないのでありますが、これは地下水というのを一体どういうふうにお考えになっておりますか。経済企画庁の御意見を承りたい。
  84. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この三つの法案における水資源というのは、河川の一水系の水を総括して問題の対象にいたしておるわけでありまして、地下水等の問題はその対象からはずされておるのでございます。
  85. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 人口の過度な集中、産業の発達に水資源がますます必要である、重大であるということで、この法案が提案されておるのであります。そこで、私はこの河川水、湖沼水だけの保全涵養というだけでは、水資源の総合開発という点から不十分ではないか、過度の地下水のくみ揚げ等を行なっておりますために、地盤沈下が新潟、東京、大阪、尼崎等で非常に激甚をきわめておる。今回の災害におきましても、十年前の高潮対策のときに計画をした防潮堤の潮位からの高さがそのまま保たれていたならば、これほどの災害をもたらさないで済んだ。それが地盤沈下に伴い防潮堤も沈下して非常に災害が大きくなったというような、いわゆる国土保全の見地からも地下水というものが河川水と同様に私は重大に考えられなければならぬと思うのでありますが、なるほど大臣がお答えのように、この二法案によりましては河川水、湖沼水の保全涵養ということが主目的であることはわかりますけれども、国として、ただいま海水の問題が出ましたが、地下水の保全涵養ということにつきましても、総合的見地から考えなければならぬ問題ではないかと思いますので、重ねてお尋ねをいたします。
  86. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいまお話の地下水のくみ揚げによります地盤沈下等は、国土保全の上からいいまして申すまでもなく非帯な弊害を与えておりますし、またそのために災害等の場合において非常な損害を起こす原因になっておりますが、この工業用の地下水等につきましてはすでに規制の法律案がございまして、積極的にその対策を打ち立てておられますし、またビル用水等のくみ揚げについては、今後通産省においてそれぞれこれを取り扱います法案の用意をしておられます。ただこの法案には直接積極的な対策は含んでおりませんけれども、消極的にはそういう地下水でもくみ揚げなければならぬような工業地帯に工業用水を持って参ることでありますから、間接的には地下水の保全になるという機能は十分のこの公団の活用によりまして、はかり得ることだと思います。
  87. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 間接的にはなるほどこの公団が発足いたしますれば、工業用水を不自由させないようにというようなことについては、いろいろお考えになることはわかりますけれども、地下水については政府はこれを一体だれのものとするのか、公有物であるのかそれとも地上権を持っておる者の支配が地下水にまで及ぶという見解を持っておられるのか、こういう点をまず明らかにして下さい。
  88. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 地下水は利用の面というよりはもう現在としては国土保全の面で考慮しなければならない段階にきておる、とわれわれ考えておるわけでございます。したがいまして、今企画庁長官からお話がありましたように、工業用水については一応工業用水法がございますが、これとても新たにさく井をしましてくみ揚げることを禁止しておりますが、実情としてくみ揚げている者に対してはまだ強度の規制をしておらないのでありますが、これは要するにこれを完全禁止をいたしますためには、それを補うべき工業用水というものが整備されなければ生きている人間の首を締めるようなことになりますが、したくもできないというのが現状でございます。また大阪のごとくビル地帯がああいった災害をこうおりまして、これらは主として工業用水ではなくしてビル用水のくみ揚げということにあるわけでありますから、これもすみやかに規制をする必要があるといろ見解に立ちまして、目下その規制措置の立法化を準備しておる段階でございます。いずれにいたしましてもこの地下水の使用制限を強化するためには、それにかわるべき施設というものを国としては配慮しなければなりませんので、この水資源開発関係法案にもそういった角度の問題も大きく織り込んでそれらの目的も達成をいたしたい、ということで進めておるようなわけでございます。
  89. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 建設大臣の御答弁はやや私の意見に近いのでございますけれども、別の機会に通産省に工業用水の問題について所見をただしますと、ただいま建設大臣のお答えになることは違いまして、この地上権を持っておる者の支配が地下水にまで及ぶ、というような考えを披瀝されたことがこの五月の国会にございますので、二省にわたって意見が違うような場合には、これを調整して政府の見解を述べる役割を経済企画庁はお持ちではないかと思いますから、重ねて経済企画庁長官の御答弁を求めます。
  90. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私、建設大臣と通産大臣との間に意見が食い違っているとは思わないのでございます。現在ビル地帯の水の規制等につきましては、両大臣緊密な連絡をとりながら法案の作成をしておられるのでありますから。しかしながらもし違いましたら、当然私としても建設大臣意向のように調整をして参りたいと思うのであります。
  91. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 地下水について東京、名古屋、尼崎等の分はあまり正確なデータを私まだいただいておりませんので大阪の例を申し上げるのでありますが、冷房用の地下水をくみ揚げます八月のごときは月一千万トン、年間を通じて一億トンをこえる地下水のくみ揚げをいたしておる工業用水が大部分でございます。御承知大阪市役所のございます中之島でさえ昭和三十五年に十五センチ近くの沈下を見ておるのであります。こういう状態がさらに海岸地帯になりますと、もっとたくさんの沈下を示しておるのであります。したがって国土保全という見地から考えて、さらに工業用水を不自由なく供給することのできるようにいたしますためには、公団の設置あるいは工業用水道の急速な拡張というふうなことが考えられましょうが、これはまあもちろん政府として急がしていただかなければなりませんけれども、工業用水道なりビルの冷房用の施設の転換が行なわれた場合には、地下水の全面的な禁止を法律によって行なうという——もちろん、地域指定は必要でございましょうが、そういう御意見でございますか。
  92. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) お答えいたします。私どもとしましては補給をする道が講じられれば全面禁止をすべき地域があると思います。いかなる地域もそうする必要はないかもしれませんが、特に阪神あるいは京浜地域のごときは、まっ先に完全禁止を行なうべきものである、こう実は考えておるのでございます。先ほどの御質問の趣旨にぴったり沿わないようなお答えをしたことになるわけですが、古い観念では土地の所得権は地上地下に及ぶという概念からきたわけでございますが、今日低湿地帯、ことに地盤沈下地帯について見ますと、地下水というものは自分の所有している土地の下だけの水を吸い上げるのじゃなくて、地下において一帯につながっておる。したがって一カ所で強度の揚水をいたしますと、それが他の方面に影響するという現実から考えますれば、これは公有物であるという観念にだんだん変わるべき時世がきているのじゃないかと私ども思うのです。しかし、それについてもまだ学説的にも議論があるようでございますが、しかし、それが公有物でないにせよあるにせよ、公共の福祉のためには私有権といえども制限ができるわけでございますから、私ども補給の道が講じられて完全禁止をするということは、国会の議決を経て法律でやりますれば、公共の福祉のために差しつかえないことであり、憲法の精神に反するものではない、こういうような見解に立ちまして目下揚水についての規制措置の準備を進めておるような次第でございます。
  93. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 建設大臣は私の意見とだんだん近くなってこられるのであります。私も実はそのことを申し上げようと思っていたのです。あまり理屈がましくなりますから二つばかり持っております。古いこれは判例でございますけれども、大審院の判例が昭和十三年にも出ておりますし、東京地方裁判所にもそういう何がございます。ですから建設大臣のただいまのお考えのようなことで、この地下水のなんといいますか、保全管理をやっていただきますならば、これは別にこの委員会じゃございません、別の委員会で工業用水道の普及拡張ということが、いかに国土保全の見地からも急がれなければならぬし、国としての責任は一体どうなるかというような問題について、これは別の機会に申し上げたいと思うのでありますが、通産省の御意見建設大臣からただいま承るほど進んでいないので、二省間にわたって意見の違う場合、これを調整する官庁がこれは経済企画庁であると私は了承いたしておりますので、経済企画庁長官からひとつ。
  94. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 違っておりましたら調整をいたします、が私も法律には非常に詳しくございませんからあれでございますが、しかし地下水をくみ上げることによって地下水は非常に流動性を持ってくる、常識的に考えて私もそうだと思います。政治の問題は、できるだけ法律の障害のない限りにおいては、常識的な判断によって物事をまとめていくのが適当だと思います。法律との関連を考えながら私は今の建設大臣と同じような考え方を持っております。そういうふうにできるだけ調整をして参りたいと思います。
  95. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 御意見を聞いて得心しただけではこれはいかぬのでありまして、ただいま建設大臣なり経済企画庁長官がお述べになりましたような地下水に対する国の意思がきまっていない。今度の水資源関係法案工業用水法案災害対策基本法案が出ておりますけれども、地下水の規制の強化ということについてはまことに残念ながら微温的であります。吸い上げポンプの大きさを制限したり、そうしてその深さを制限したりする程度の規制でございまして、加うるに従来からの既設の井戸に対する制限というものがございません。こういうものについて一体政府——建設省はこれから建てる新しい建物の地下水くみ上げをやらないように……、そういう願いが出たら建築許可の際に考えるというふうなあるいはお考えかもしれません。けれども一方どんどん工業用水を合わせますと、大阪だけをとってみましても年間一億トンも過度の吸い上げが行なわれておる。そのために中心部において十五セントも沈下している。新潟はもっとひどい、こういう状態では困りますので、建物の地下水吸い上げだけを規制するというだけでなく、既存の井戸に対する規制、制限、それから工業用水をこれ以上くみ上げちゃいかぬ、という地下水保全管理という見地からの法律を一木にして出される用意がございますか。
  96. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 確かに議論の存するところであると思いますが、その方法、程度、こういう問題は非常にむずかしい問題であると思います。問題は、大体用水が整備されておりますれば、もう勇敢に一気に禁止する手はありますけれども、まだ大体用水が整備されていない現状におきまして、どの程度の実効の上がるように制限をすべきか、その調節の度合いというものが私は非常にむずかしいと思います。実は現在立法準備をいたしております段階におきまして、これらの点を苦慮しつつ各般の資料を集め、各方面の意見を聞きましてこのやり方を検討しておる段階で、できるだけ効果のあるように持っていきたい。ただ首をしめるようなことにするわけにも参りませんから、その点の調節の度合いというものを勘案しながら進めて参りたいと思っておりますのが、現在の段階でございます。
  97. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 既存の井戸から過度の地下水の汲み上げが行なわれることによって、多数の人が無形の莫大な損害を受けているということは、これは申すまでもありません。ことに国土が侵食されつつあるということもこれは事実であります。それを原因がわかっているのに、強力な規制措置に対して国が憶病であるということは私は納得ができません。国が憶病であるために、その措置を講ずることがおくれておることのために、どんどん国土が侵食され多数の人が迷惑を受け、しかも大きな産業などが今回の台風によって莫大な損害を受けておるのであります。ですから私はまず国の意思として、こういう地下水の過度の汲み上げが地盤の沈下の原因である、それは九〇%以上の原因であるということをお認めになりますならば、これは思い切った措置をとられる必要があると思うのです。そしてもしそれを禁じた場合に、工業への影響あるいはその他への影響等がございますれば、これこそ地下水を汲み上げておった受益者なり地方団体なり国なりが思い切った考えをもって対処する、という統一的な態度が打ち出されなければ地盤沈下を防止することは私はできない、こう思うのです。で経済企画庁におかれましても、今度の水資源法案関係者は四つも五つもございまして、結局あなたのほうへこれ回ってきたのでありますが、地下水の問題につきましても、私はひとつ建設大臣のお答えにまかしておかれないで、なるほど政府としてお前の言うようなことであるなら、早急にこれは考えにやなるまいという態度を打ち出してもらいたい。しかも実力者の藤山さんです、ひとつ政府を代表して御答弁を私、重ねて求めます。
  98. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まことに国土保全の上から、また企画庁といたしましても総合開発計画として国土の開発保全を考えておりますから、十分御趣旨に沿いますような考え方のもとに今後やって参りたいと思います。
  99. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 社会党はかねてからこのことを心配いたしまして、先国会以来地盤沈下対策に関して独立した法案を出しております。ごらんいただいておると思いますが、この法案に対する建設大臣のお考え、いかがでございましょうか。
  100. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 一応拝見いたしましたが、まだ国会で御審議の機会に接しませんでしたので、なお問題点はあるかと思いますが、大体今企画庁長官がお答え申し上げましたように、私どもとしましても地盤沈下対策に向かいましては、できるだけ勇気をふるって進んで参りたいと考えております。
  101. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この法案に関して御質問をいたしたいと思うのですが、私は今の地下水の保全の問題につきましてはどうかひとつ政府も、どうも通産省と地下水に対する御意見がちょっと違うように思いますので、経済企画庁におかれては、これが御調整の上、政府としての統一した考えを早急に定められることを望んでおきます。  この二法案はさしあたって利根川淀川水域の指定が行なわれるというように伺っておるのでございますが、これは水系を指定されるのと、工業地帯人口の集中状態あるいは産業の発展の状況というふうなものを勘案されて、地域指定とそして水系の指定とをあわせて考えるという御意見はございませんか。
  102. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) さしあたり当面緊急にこうした対策を講ずる地域は、やはり利根川あるいは淀川であろうかと、こういうふうに考えておりますので、その点を申し上げた次第でございます。なおこれは水系を指定いたすわけでありまして、むろんその水系がなぜ指定されるかという背後の理由から申しますれば、それらの地方における関連機構と申しますか、あるいは水系を中心とした公益的な地方の経済的な発展、現在の発展及び将来発展すべきと予想されるという条件を勘案して、そうしてそれに緊急に十分な用水の便を与えていき、合理的なその使用を進めていく、こういうことで考えているわけであります。
  103. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 私が大阪なものですから大阪のことが中心になってはなはだ恐縮でありますが、お許しいただきたいと思います。  この大阪の産業の集中状況、ことに堺における埋め立てを行ないましてコンビナートの計画が進んでおります泉南地方一帯にも、工業の新しい土地の造成が進められております。こうなりますと、たとえば淀川で供給される水だけでは不足するというような事態が起こるのではないか、水系の指定だけでありますれば。これを日本一降雨量の多いといわれる奈良県の例の大台ケ原の水を、淀川の水だけで足りないというふうな場合には、新たに水系指定される地域に指定するというようなお考えで、ただいま淀川だけの指定というふうにお考えになっているのでございましょうか。
  104. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 淀川を中心にして考えておりますけれども、大阪地方ことに泉南関係の工業地帯等の用水状況等もにらみ合わせて、必要があれば他の水系と二つ、これが指定を行なうことも可能でございます。でありますから、それは全く現地の事情でございまして、私も堺の事情は知っておりますので、そういうお話があることはもっともだと思います。
  105. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この淀川を考えます場合、琵琶湖のことを考えぬというわけに参りませんが、琵琶湖総合開発協議会というのがございまして、そこに近畿地方建設局なども顔を出しておられるようでございますが、一体その琵琶湖総合開発協議会と政府との関係、この協議会で策定されました案に対する政府の責任関係というふうなものはどういうことになりましょうか。
  106. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) 実は私もこの問題が起きまして以来琵琶湖の現状を現地視察に参りました。その際近畿地建の建設局長を帯同して参りまして、その際知事及び地元の方々にもお目にかかりまして、琵琶湖総合開発の検討を滋賀県としてもされているようでございますので、地建の局長を初めこちらとしては極力御相談に乗り、研究にも都合のつく限り参画をして、今後琵琶湖総合開発の施策というものに協力態勢をとるようにということを言いつけて帰って参りました。かたがたその機会に大阪知事等にもその後お会いいたしまして、とにかく大阪府なり大阪市としては、いずれ淀川水系の総合開発ということが起こってくれば、琵琶湖というものは非常な恩恵の地になるわけだから、できるだけ機会を見て滋賀県にも訪問をされて、そして大阪もやはり琵琶湖開発に協力してもいいことがあったら、するようにしたらどうかという御進言を申し上げました。その後大阪の左藤知事に聞きますと滋賀県を訪問されたそうでございまして、できるだけですから水源地と水の需要地とは相提携をしまして、お互いに持ちつ持たれつで相互に幸福になれるような施策を進めていくということが非常に肝心だと私ども考えまして、その点は怠らず今後注意して参りたいと思っておるわけでございます。
  107. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この協議会で琵琶湖総合開発計画というものが策定されまして、琵琶湖西岸の堅田町から東岸守山町へ一・五キロくらいで二十メートルくらいのダムを作って、そうして琵琶湖の北側のほうの水位を三十センチ程度低下させまして、そうして淀川の流量というものを将来増加さしていこうというようなことがこの協議会で策定されたということを伺っておりますが、この法案の四条でいいますところの開発基本計画というものは、こういう協議会で作っておりますところの開発計画案というものを引き継ぐことになるのですか。それとも別の総合計画というものを立案するものであるというふうに理解すべきか。いずれかをひとつお聞かせをいただきたい。
  108. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 基本計画を立てますときには地方のそれぞれの計画というものを十分取り入れて参りますことは、その地方知事等とも御協議を申し上げていく関係上当然だと思います。したがってそういう地方的な御意思を十分取り入れ、あるいは設計等技術的な問題については御協議をして若干の変更を加える場合もございましょうけれども、そういうような面について十分趣旨を取り入れていくということは当然のことでございます。
  109. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この法案でいう基本計画の策定というのは近畿地建も参加いたしまして、琵琶湖総合開発協議会ですか、ここで作った案をやはり参考にしていくというのですか。これを取り入れるというのですか。重要な資料にして別個の基本計画を策定するというのが政府の御方針ですか。
  110. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この基本計画を作りますときに、各地にありますそうした計画をそのまま全部取り入れるということは、それは政府の別に何と申しますか、基本計画のために今やっているわけではございませんから……。しかしそういうものがありますればそれを尊重し、それを十分根幹として考えて基本計画を作って参りますことは、これは当然だと思うのでございます。その地方の皆さんがやり、あるいはその地方の地建も参加して作った計画のことでございますから、相当重要な計画だと思いますので、そういうものは尊重されて取り入れられていくということになろうかと思います。
  111. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この協議会が、先ほど申しました守山町——堅田間一・五キロ程度、ここにせきをして二十メートルのダムを作る、こういう計画を出したのに対しまして、地元の滋賀県の方は、これはまた別の案を作っておられるようであります。こういう場合本法案の四条にいう基本計画というのは、いずれの案を尊重することになりますか。
  112. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 基本計画を策定いたしますときには、そのいずれも尊重いたしまして、十分にその地方の実情に適するような基本計画を作りたいと考えております。
  113. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 こうなりますと、総合開発協議会というものの性格を私不敏で承知いたしませんのでお聞きしなければなりませんが、建設省からひとつお答えをいただきたい。
  114. 中村梅吉

    国務大臣中村梅吉君) これは関係府県の人たちが自主的にそういう機関を作りまして、熱心な御研究をいただいておるように承知いたしております。それで私も参りました際に琵琶湖のちょうどくくれたところにせきを設ける案であるとか、あるいはそこに橋をかける、その橋は一体そのダムと橋とを合体したものにするか、別のものがいいかというようないろいろな案があるようでございます。しかしまだこれは基礎的な基本調査が進まない上に立ってのまだ総合研究のようでありまして、それに携わっておるかたがたもまだ基礎的調査はしていないのだと、水位の問題なども議論はしておりますけれども、一体水位に変動を来たしたらその周辺にどういう影響があるか、周辺の地下水分布状態とか地質とかいうものを権威者を頼んで測定をする必要がある、というような話も伺って帰ったわけでございまして、今後、先ほど企画庁長官がお答え申し上げましたように、総合的な基本計画を立てて参りまするのには、それらの基礎調査をまず十分にして、どこから見てももっともな成案を得ていかなければならないと思いますから、地元のかたがたがそうして御苦心になっていろいろ研究をされておりますことが、全部そのまま取り入れられるか、あるいは合理的な分だけ取り上げられて、そのほか新たなものがつけ加わるか、それらは今後の基礎調査を待って結論を出すべき事柄ではないだろうか、かように考えております。
  115. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 この公団が発足いたしますと、工業用水を豊富にして安く、地下水をくみ上げぬでもいいように供給するような仕事も公団事業の内容になりますか。
  116. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) この公団目的とするところは、工業用水あるいは環境衛生の立場からの上水道、あるいは農業用灌漑用水の確保ということもむろん目的でございますから、しかし工業用水として新たに十分な確保ができますように調節することが公団の主たる目的であることは申すまでもありません。したがってそういう面について十分御希望が達成せられるような状態に運営されることだと思います。
  117. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 公団は直接事業をやるのじゃなくして、工業用水を豊富に、しかも安く供給できるように、現在では地方団体がこの事業をやっておるわけでありますが、それを援助するという役割を果たすのですか。それとも公団そのものが農業用灌漑用水なり、工業用水というふうなものを、直接需要家に売るための仕事はやらないのですか。
  118. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公団がやりますのは今申し上げたような工業用水等のまず源を確保する、それはダム等を作る場合もございましょうし、いろいろな砂防等によって水の流出を防ぐこともございましょうし、いろいろな処置によってまず水を確保する。そしてそれぞれその地方における上水道でございますれば、都市の要求に応じて分譲していくということをいたすわけでございます。直接その上水道等におきましては需要家までこれを公団が運んでいくというのでなしに、需要家といっても地方自治団体そのものが総括的な需要家と見ればそれはいいわけでありますが、そういうものに供給するという関係になるわけでございます。
  119. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 だいぶ性格がはっきりして参りましたので別のことを伺いますが、先ほど私、地下水のことを申しましたが、海水の利用ということについて、たとえば大阪でありますと土佐堀川などの汚濁しておりますのを、淀川の水を入れまして市内河川の清浄化をはかるために使っておるというようなことがございますが、こういう市内河川の汚濁を清浄にするための水なんというものは、わざわざ淡水を使わなくても海水などでよさそうに思うのですが、すなわち海水の利用について伺いたいことと、それから工業技術院ですか、海水を工業用水に使用できるように海水の淡水化ということの研究が進められておると承りますが、どの程度研究がなされ実用化にはいつごろなるのか、その結果をひとつこの際お知らせをいただきたいと思います。
  120. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 工業技術院でやっておりますが、今までやっておりますのは試験研究の段階でございます。冷凍法あるいはイオン交換膜法というような方法の試験研究をやっている段階でございます。したがいまして、いつ実用化できるかということになりますと、価格と関連しましてなかなか見込みがついておりません。現在冷凍法で一応試験研究をやりました結果から推定いたしまして、大体トン三十円以上になるのじゃなかろうかというふうに聞いております。そういう面からいいまして現在のまま大規模にして実用化しましても、できた水は使いものにならないというような結果になります。さらに研究を継続しまして、できるだけ安い実用できるような方法を把握したいということで研究を進めている段階でございます。
  121. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 とてもトン三十円というようなことに値が出ますと実用には向きませんね。もっと予算がつけば安くなるような研究は進みますか。それともう一つ伺いたいのは、下水処理場によって、ずっと川に最後に放流されます際には相当きれいな水、上水に再び使うこともできるだろうといわれるぐらいのものになるやに伺っているのですが、この方面の実用化ということについての研究はどのように進んでおりますか。
  122. 伊藤三郎

    説明員(伊藤三郎君) 海水の淡水化につきましては先ほど申しましたような状況でございますが、これをさらに大規模に金を入れまして研究をやれば安くなるかという点につきましては、私の承知しております範囲では金をふやしたからといって安くなるということではないようでございます。  もう一つ、下水の利用でございますが、下水を処理いたしましてそれを工業用水に使用するということを計画いたしまして、東京都では一部すでに実施をいたしております。大阪市では下水処理水を工業用水に使用するという計画を持っておりまして、近くその計画が実行に着手されるのではないかというふうに考えております。
  123. 椿繁夫

    ○椿繁夫君 だいぶ時間も経過いたしましたから、琵琶湖の水というものについてはここに西川さんもおられますが、わが国にとっても大切な、しかも最大の水資源であることは申すまでもございません。どうかひとつ建設委員会におかれましても、特に政府におかれましても有効な、しかも淀川下流に大きな工業地帯を持ち、しかも、どんどん発展をしているところに有効にこの水源が活用のできるように、基本的な計画構想というものを立てていただくことを望んで私の質問を打ち切ります。
  124. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連。先ほどの同僚議員の質問に答えて、開発地点のうち筑後川の水を北九州、福岡等の工業用水、飲料用水等に開発をする計画はない、かの答弁があったということですが、これは今までのいきさつで前大臣のときであったかもしれませんが、私ども広範な北九州、福岡の水資源としては、筑後川その他の問題を考える以外にないじゃないかということで、その調査費等の実現について要請をいたしました。考慮をしたいという答弁をもらってきたのがここ何カ月か前の事実でございます。党派をこえて要請をし答えをいただいてきておったのですが、その答えと先ほどの答弁との間には食い違いがあるようでございますから、もう一度お尋ねをいたしたい。
  125. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 北九州の工業地帯に水の供給ということは非常に重要なことでございまして、私どもも決してないがしろにいたしておりません。現在調査のために二百万円ほどの予算を建設省につけておりますので、したがって未確定な場合に例示して利根川及び淀川と申し上げたのでありまして、こういうものが対象にされることは当然だと思います。
  126. 吉田法晴

    吉田法晴君 調査費がわずか二百万円ですけれども、ついておるということで、過去の大臣の言明は努力をしつつあるということであると思いますが、北九州のこれは五市のみならず福岡においても、小さい川の水利ではこれはもう問題にならぬ。したがって、調査はようやく着手されるということになるわけですけれども時日の遷延を許さぬ状態にあります。そうして工業用水にしても、北九州あるいは大きく福岡その他の今後の総合開発の推進のためには大きなネックになっておる。それで具体的にどこでどういう工合に取るかという具体策が早くきめられて、取水その他の計画が立てられなければ、それが調査をして数年の後ということになると、その間で結局立ちおくれをきたす。あるいは日常生活についても、あるいは工業用水についても不足を感じておる実情で、そのことがたとえば他の地域に比べて北九州、福岡の足踏みをしておる原因で、これは人口の点あるいは生産力その他から考えてみて停滞があるわけです。その大きな原因が水にありますだけに、調査を急いで具体的に取水をする計画が早く立つように要望をいたしまして、質問を終わります。
  127. 後藤義隆

    委員長後藤義隆君) 以上によりまして、通告者質疑は全部終わりました。  それでは、連合審査会は終了することにいたします。  これにて散会いたします。    午後五時三分散会