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加藤シヅエ君 関連。今、森
委員から、五十メガトンの
核実験があったらしきニュースにつきまして、いろいろ
政府御当局の御意見を承っております。そうして小坂外務
大臣を初め、
国連においてたいへんな
努力をして今まで戦っていらっしたこともよくわかります。しかし
日本は、何と申しましても、広島と長崎で実際に被爆した国であるという、そういう
世界にただ
一つしかない特殊な立場を持っている国としてのその立場をもっと強くこの際利用して、
国連で
核実験禁止のために戦っていただかなくちゃならないし、また戦っていただける立場に
日本があると思うのでございます。にもかかわらず、批判するのはやさしいかもしれませんけれども、どう見ましても、まだその訴え方が、何かこうすっきりしたものが欠けているように思いますし、力も非常に弱いように思います。ことに、けさこの
実験があったというニュースを聞いた者は、もうほんとうにふるえ上がるほどおそろしく思いました。そうして同時に、
日本が七カ国
決議案を提唱しているにもかかわらず、それが、まだ何かいろいろもたもたしているうちに、
決議がきまらないうちに、もう先を越してやられてしまったということは、返す返すも残念であったと思います。それで私として、小坂外務
大臣に御意向を伺い、さらに強い確信を持っていただきたいのは、今の森
委員に対する御答弁の中でも、こういう問題は、
ソ連のような実際に力を持って
実験をしようとしつつある国の反省を求めなければならないとおっしゃっていらっしゃる。それは、確かにそのとおりに反省を求めなければならないのですけれども、その反省を求めるような戦いが、何か
日本は
アメリカに追従しているというような印象がいつでもつきまとって、そうして先ほどの、特に特定の国の名をあけないほうがいいという結論に到達なすって、それをお削りになったのかもしれませんけれども、こういうような問題は、もっとそのものずばりで
日本はやってもよろしいのじゃないかと思っております。そういうようなときに、どうも何か、いつもこう遠慮したり、それから、そこらをじっと見回しながら、少し静観主義をとって、それからまた、こうそろそろと動くというような、そういうような
態度をしていたのでは、とてもこの人類全体の大きは問題に対して、
ソ連あるいは
アメリカを反省させるというような力はそこから生み出てこないのではないか。私は、非常にそのことを歯がゆく思うのでございます。
日本がこんないい立場をなぜもっと有効に使っていただけないものか。その点につきましては、私ども社会党としても反省しなければならぬ点があると思います。私どもは、あくまでも
世界平和のためには、中立外交というものをこのアジアの一角から、しかも経済的にも相当力を持っているし、持っていると認められている
日本が、積極的な中立的な立場をとりながら、両方の力の外交をやろうとする国に対して、正しい言葉を率直に進呈する、
国連の九十八カ国に対してもアッピールするというような
態度に出ていかなくちゃならない。その積極的な中立外交という面では、社会党も、ややもすれば反米親ソ的な中立外交であるという御批判を世間から受けておりました。このことは、私も非常に遺憾と思っております。今度のような問題に対しましては、社会党としては、私は社会党の同志たちにも訴えて、率先して
ソ連大使館に押しかけて、こういうような無暴なことをするということに対して厳重な
抗議をしなきゃならないし、また、社会党を支持している労働組合その他の方々も、それには非常に
賛成して、そういう大衆運動も起こさなければならないと考えるだろうと思いますし、また、そういうふうに私は党内にあって働きかけ、純粋な
意味の積極中立外交というものを社会党としてもやって参りたい。これに対しましては、
アメリカのある外交評論家として非常に価値を認められている方々が、アジアの国で一番信頼のできる国はインドだ。インドのネールさんにやはり何かといえば相談して、そうして仲介の、調停の役目をとってもらうのだというようなことがある評論に出ていたのを見ましたときに、ネールさんにやってもらうことが、
日本がやらないということを、非常に私は残念に思っております。今は、経済的な力、あるいは地理的な条件その他からいっても、
日本がもっともっと働かなくちゃならない。それで私は、社会党がややもすれば反米親ソのような印象を世間の方々に与えていたことに対しては、この際ほんとうに反省して、あくまでも人類全体の平和ということを考える中立外交であるということを私どもも反省したいと思いますけれども、
政府におきましても、ややもすれば
アメリカにくっついて歩いているのだというような印象から、せっかくの被爆国であるただ
一つのよい立場を十分に利用なさっていらっしゃらないことを私は非常に残念に思いますので、小坂外務
大臣は、もう少しそのものずばりと今後
国連で
発言なさることをおできにならないでしょうか。また、そういう覚悟をお持ちになっていらっしゃるかどうか。この際伺いたいと思います。