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政府委員(
中川融君)
佐藤先生は、
インドネシアのことについて非常にお詳しいので、われわれから申し上げるのもかえってどうかとも思いますけれども、なるほど
インドネシアに入ります
日本のたとえば商売する方々等が、たとえば
インドネシアに滞在する期間が非常に短い、更新も非常にむずかしいと、いろいろそういう問題があったことは、われわれ
承知しておるわけでございますが、これは、必ずしも
日本だからといって
差別待遇の意味でやったのではなくて、要するに、新興独立国として、外国からのいろいろ
勢力が自分の国の中へ入ってくることをいわば警戒するということから起きた現象であるのではないかと思うのでございます。
戦争中のいろいろな悪感情等の問題は、
インドネシアは、
フィリピンあたりと違いまして、もともとそう強くはなかったわけでございますし、むしろ新興独立国としてのいわば心配、懸念ということが先に立ったのじゃないかと思うのでございます。幸いに
賠償協定もできましたし、平和
条約もできまして、だんだんこれがよくなって参りまして、お説のとおり、
通商条約もことしはできるわけでございます。それでは、この
通商条約で非常に
日本人がたくさん入って行き、あそこで商売をたくさんやるかというと、これはそうも必ずしもならないわけでございまして、これはやはり
最恵国待遇ということが基礎になっているわけでございますから、ほかの国と比べて
差別待遇をしないということだけは、
日本は今後間違いなく確保するわけでございますが、やはり
インドネシアの
国内法令に従って
日本人が入って行き、
事業をするということになるわけでございます。その際にやはり心がけなければならないことは、急激に
インドネシアに
進出するというような態勢を作りますことは、
向こうに警戒心を起こさせることになりますので、これはやはり、長い目でだんだんに
関係をよくしていく、
経済的にも文化的にも親善
関係を樹立していくということに心がけなければならぬ。これはまた、そういう方針で
政府としては
インドネシアとの国交親善に努めておるわけでございます。従って、今後のやり方にかかるわけでございますが、そういういわば慎重な長い目で見たやり方でやっていく限り、日イ
関係というものはやはり今後だんだんとよくなる方向にあると思います。もちろんその場合、たとえばこの前のカレル・ドールマン号事件というような、ああいう突発事件が起こることもありますので、そういう問題については、いつも警戒しなければいけないのでございますが、独立国としての
インドネシアの考え方というものを常に
日本側でも理解しながら進んでいけば、日イ
関係というものは今後非常に明るく開けていく方向にある、かように考えております。