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1961-10-26 第39回国会 参議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十六日(木曜日)    午前十一時十九分開会    ———————————   委員の異動 十月二十五日委員鳥畠徳次郎君辞任に つき、その補欠として大野木秀次郎君 を議長において指名した。    ———————————  出席者は左の通り。    委員長     前田佳都男君    理事            天埜 良吉君            金丸 冨夫君            谷口 慶吉君            大倉 精一君    委員            井野 碩哉君           大野木秀次郎君            重宗 雄三君            野上  進君            平島 敏夫君            三木與吉郎君            小酒井義男君            中村 順造君            大和 与一君            松浦 清一君            白木義一郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 齋藤  昇君   政府委員    総理府総務長官 小平 久雄君    運輸大臣官房長 広瀬 真一君    運輸省船員局長 若狭 得治君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君   事務局側     常任委員会専     門員     古谷 善亮君   説明員    大蔵省理財局国    庫課長     稲村 光一君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道経    理局長     豊原廉次郎君    ———————————   本日の会議に付した案件 ○日本国有鉄道法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○踏切道改良促進法案内閣提出、衆  議院送付) ○船舶職員法の一部を改正する法律  案(内閣提出) ○運輸事情等に関する調査(都市交通  に関する件)    ———————————
  2. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまより委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  昨二十五日、鳥畠徳次郎君が辞任され、大野木秀次郎君が選任されました。    ———————————
  3. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 中村順造

    中村順造君 大蔵省関係でお伺いいたしますが、国鉄国庫預託ですがね、これに関連して、この前、第三十八国会国鉄運賃値上げが行なわれる際に、いろいろ本委員会で論議をしましたが、その際に、大蔵大臣にわれわれは、当時の預託制度については、やはりこれは不合理な面がある。いわば四十億まで無利子だ。しかも、その残りについては日歩八厘、こういうことになれば、大体二分九厘の利息をつけるのだ。しかし、国鉄がいろいろ債券だとか、あるいは国鉄が借り入れる場合には七分前後の利子をとるのだ。これはやはり不合理じゃないか、こういうことを大蔵大臣にわれわれがその面をお尋ねしたときに、大蔵大臣は、そういう面から見れば、やはり国鉄資金運用等を含めて、大蔵大臣言葉は、診断をしてみよう、そうして不合理な面は直すということで答弁をされております。今度の日本国有鉄道法の一部改正も、この面の改正に通じておるわけですが、しかし、この程度改正では、まだまだ診断をした結果これを改正をしたというふうな考え方にはほど遠いものがあると思います。こういう点について一体どういうふうな考え方を持っておられるのか、その点をまずお聞きしたいと思います。
  5. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいまの御質問でございますが、私のほうといたしましては、国鉄余裕金国庫預託制度というものは、国鉄の非常に公共的性格の強いという性格からいたしまして、それから予算等につきましてもすべて国会の議決を経なければならないということに関連いたしまして、やはり余裕金につきましても、全面的に国庫預託という格好の現在の制度が最も合理的ではないかというふうに考えております。ただ、それにつきまして、ただいまも御指摘のありましたように若干の国債保有とか、資金適用部への預託というような面での運用の道を開きまして、そして資金の効率を向上させるということも必要であるということを考えまして、今回のような改正案を御審議願っておるわけであります。
  6. 中村順造

    中村順造君 私が申し上げるまでもなく、国鉄というのは、一方では非常に公共性を強調されて、さらにやはり企業性ということも常に非常に考えなければならぬ。まあ一つ企業体ですから。そういう公共性企業性調和ということが非常にむずかしい。しかも私は本会議総理大臣質問した際も、総理大臣は、その公共性企業性との調和をどこに求めるのか、一体どっちが優先するのかということを尋ねた場合に、総理大臣答弁は、本会議答弁ですからきわめて簡単でしたけれども、いわゆる独立採算でうまくやっていくのだ、こういう答弁をされているわけです。そうしますと、独立採算ということを一方で強調して、しかも内容的には公共性というものを非常に強くしいて、いわゆる赤字線区なんかも、みずから経営すれば赤字になるということはわかり切っていても、国鉄なるがゆえにやらなければならない。運賃割引にしてもしかり、いわゆる五百億に加えるところの公共性なるがゆえの運賃割引をしなければならぬという、そういう企業内容であって、しかも余裕金というか、資金運用について、それは国庫預託という制度そのものを私はとやかく言っているのではないが、少なくとも通俗的に考えた場合に、一方で預けた金は二分九厘だ、借りるほうの金は七分だということはあまりに通りが悪いじゃないか。一体八厘というのは、どういうところに根拠があるのですか。四十億をこえた分について、まあ四十億をこえた分についても問題がある。たとえば四十億が適正な額かどうかという点についても問題があるのですが、私はその点についてはあまりきょうは触れたくないと思うのです。時間もないのですが、八厘というのは一体どういう根拠なんですか。
  7. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 今御指摘にございましたとおり、四十億といいます限度につきましては、これは一つ企業としての当座預金的なものであるということで無利子ということにいたしておるわけでありますが、それをこえる分につきましては八厘と申しますのは、同時に国鉄のほうには、資金にその不足を来たしました場合に国庫金を一時使用することができるという規定がございます。そのほうの利率も八厘でございまして、これと見合っているわけでございます。つまり国鉄は、先ほども申し上げましたとおり、非常に公共的性格の強いものでございますから、したがって、その何といいますか、資金不足の場合には国庫余裕金を一時使用することができるという制度にしてございます。いわば有無相通ずると申しますか、両面のあれになっておるわけでございまして、それで、そちらのほうとあれを合わせまして、そして日歩八厘ということになっております。
  8. 中村順造

    中村順造君 その預託という、これは国鉄、だけじゃない。いろいろそういう制度はほかにもあると思うのですが、全体でどのくらいあるのですか、これ。一日残という預託金の残ですね。国全体としてどの程度あるのですか。
  9. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 今の御質問でございますが、国鉄につきましては、最近非常に預託金が、資金余裕がございまして、国庫預託金が非常にたくさんございます。その他につきましては、ただいま調べましてお答え申し上げます。
  10. 中村順造

    中村順造君 私も結局この前の委員会でもお話をしたのですが、国鉄の場合は、最近まあ非常にふえておると言われるが、大体、三十五年度二百五十億、これは三十五年度ですから本年度はさらにふえていると思うのですが、私の知りたいのは、二百五十億というのは、今の預託制度の中でどのくらいの割合を占めているのか。全体の額を知りたいのですよ。わかりませんか、それは。
  11. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいま手元資料がございませんですが、いま調べまして……。
  12. 中村順造

    中村順造君 大まかでもわからぬですか。
  13. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいま手元資料がございませんのですが、国鉄預託金電電公社預託が、公社関係預託としては現在のところ大きなウエートを占めております。その他は公団等がございますが、これはいわば性格が違いますので、中には全面的な国庫預託という義務のないものもございます。そういう政府機関以外のものと申しますと、国鉄電信電話公社が最も政府に近いということで、全面的に国庫預託という制度になっております。この二つ預託金が非常にウエートを多く占めております。
  14. 中村順造

    中村順造君 専売公社もあるでしょう。専売公社はどうなんです。電電公社専売公社はどうなんです。ほかの公社は。
  15. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 専売公社につきましては、たばこが一種の何といいますか、たばこ専売益金収入と申しますのは自動的に入って参りますが、しかし、これは益金納付関係で、年度の当初にはむしろマイナスになるという面もございます。と申しますのは、益金年度末でなくて、概算でどんどん納付しておりますから、したがいまして、これはそう大きな額の預託ということにはならないと思います。数字につきましては調べましてあとでお答えいたします。
  16. 中村順造

    中村順造君 大蔵省のほうは、それで詳しいことを数字的にはわからぬとおっしゃるのですから、仕方がないんですがね。結論的にこの運賃値上げの際に、先ほど申し上げたように、大蔵大臣は、そういう不合理な面は診断をして直す、こういう前提答弁をされておるわけですよ。で国鉄としてもやはり結局今の公共企業体のあり方では、全部が国会で最終的な決定をされるし、大蔵大臣のいわゆる許可も必要だということも非常に中にあるわけなんですね。そういうところは大蔵大臣——大臣が来ておられないから、私はとやかく言いませんけれどもね、やはり大蔵大臣答弁のその精神を生かすとするならば、この程度のやはり国債保有だとか、資金運用部への預託なんていうのは、考え方としてはまことに手ぬるい。もう少しまだまだ国鉄監査委員会なんかが指摘をしているように、大幅なやはり運用を認めてもいいじゃないかという、大蔵大臣気持をそのまま法律案に生かすとするならば、そういう気がするわけですよ。で、もちろん、これは一つ前進だから、私どもは反対をしておるわけじゃないんですけれどもね。むしろ前進というよりか、これは非常になまぬるいと、こういう程度改正では、こういう気がするわけですよ。まあ課長さんだからそういうふうな高度な政治性のある話を今したって仕方がないと思うのですがね。国鉄もいろいろ大蔵大臣に対しては要求もあると思いますし、運輸大臣を通じてこの前の委員会でも、運輸大臣はそういう気持であるということをはっきり答弁をされておるわけだから、両大臣の中で十分連絡をして、そういう点はまだまだ前進がされると思うのですけれども、国鉄のほうにお尋ねしますが、そういう面の要請は常にされておると思うのですが、国鉄のほうはどうなんですか。
  17. 十河信二

    説明員十河信二君) 私のほうは、できるだけ入るものは多く、出るものはできるだけ少なく、非常に財政が困っておりますから、そういうふうにいつもお願いいたしておるのでありまして、さっきからお話のように、企業性公共性、いろいろな問題がありますので、この程度でもできるだけ早くひとつ前進させていただきたいと希望いたしておる次第でございます。
  18. 中村順造

    中村順造君 最後に、大臣にひとつお願いなんですが、要望しておきますが、この前ちょうどそういう話で、この前の委員会で私もお話を申し上げ、大臣からもお答えをいただいておるわけですが、国鉄総裁も今そういう内容で、なるべく幅のある運用のしやすいようにということが、これは前から議論されておるわけです、本委員会で。それから大蔵大臣も、やはり三十八国会運賃値上げの際に、われわれの要望しておるような趣旨に沿うという前提で、そういうお答えをされておるわけです。運輸大臣もひとつそういう考え方に立って、今後やはり国鉄経営というものは、やはり一方で公共性を非常に強調する、しかも企業については独立採算制を強調するということになれば、こういうような法律によって厳重な規制を加える面は排除してやらなければならぬ。そのことを通じて、国鉄企業が健全な企業になるということを通じなければ、どうしても問題になっている輸送力の増強、あるいは新しい五カ年計画の完全な達成というものは、やはり困難だと思うのです。この点につきまして大臣のひとつ御所見を承りまして、私の質問を終わります。
  19. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) ただいま中村委員の御意見と全く同意見でございます。今後とも十分努力いたしたいと思います。
  20. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私は、本年の通常国会でやはりこの問題を取り上げて、大蔵大臣からお答えをいただいているわけですが、善処するということでお答えをいただいているわけでありますが、今度できた法案については、今言うような国債保有と、それから資金運用部への預託、この二つが取り上げられているわけであります。おそらく、われわれの考え方としては、一般の銀行の取り扱い等も、若干制限はあっても、認められるのじゃないかという期待を持っておりましたが、これは本法案には出ておらないわけですが、これはひとつ将来の問題として、この法案が一歩前進するという意味において賛成をいたしますが、ひとつ問題は、四十億までの無利子の問題、これは国鉄について四十億ということになれば、国鉄の取り扱う預託金総額から考えて、若干これもふえているわけですから、また、世帯も大きくなっているから、それを四十億にとどめたという理論も成り立つのだと思うのですけれども、今の電電公社あたりは、たしか私は、やはり二十億ということで、そのままなっているのじゃないですか、そういうことになれば、電電公社預託金全体と二十億との関係、それから四十億、こちらが、国有鉄道が三十五年度においては二百五十四億という額に達し、五カ年平均が百四十四億か、そういうことになっておりますが、それとのバランスで、この四十億というものをもう少し縮小するという結論は出なかったわけですか、それをひとつ伺いたい。
  21. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいまの御質問の点、四十億の問題でございますが、これは四十億と申しますのは、昭和二十九年度からずっと四十億でございまして、当時は、先ほども申しましたとおり、一つ当座預金的なものという考えからしまして、大体国鉄としての資金状況からいたしまして、大体年間平均いたしまして一週間分くらいの支払金額は、常時当座預金として持っていなければいかぬじゃないかというところから、大体そういうことで四十億というのを計算したわけでございます。その後、国鉄資金規模と申しますか、毎年ふえておりまして、ただいま同じ基準をもって計算いたしますと、約倍ぐらいになるわけでございます。しかし、その点につきましては、私たちのほうでは、そういうところからするならば、今むしろ四十億をふやすべきではないかという議論も出るわけでございます。これにつきましては、まだ現在もなお検討しておりますが、電電公社との関係につきましても、やはり現在の預託額幾らあるか、その何割というようなことではなくて、やはり今のような計算でやっておりますので、たとえば現在の預託金総額が、そのときの資金状況によりまして、非常に多くなっている、あるいは少なくなっているということによって、今の無利子限度の額をどうするかということには、直接つながらないのではないかといとふうに考えております。
  22. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 しかし、少なくとも同じ政府でもって預託金について扱う二つの場合においては、バランスということについてはお考えになっておると思うのですが、そういうことになると、電電公社預託総額一体なんぼになるのですか。今二十億になっていれば、それは今はどういうことの規模に拡大して、どういうことになるのか、その点を伺いたい。
  23. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 電電公社預託金は現在三十億でございます。それで無利子限度でございます。これはやはり同じような原則で計算をいたしておるわけでございまして、この点に国鉄電電公社との相違はないわけでございます。
  24. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 扱いの規模はわかりませんか。
  25. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 預託金の最近の状況では、先月の平均残高で、国鉄のほうが五百八十八億、電電公社は三百三十四億です。
  26. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そういうことになると、やはり国鉄が同じ預託金全体——ここに表がありますが、三十五年度預託金が二百五十四億に相当する部分幾らになるのですか。今の五百八十八億というのは、財政規模ですか、資金規模ですか。
  27. 稲村光一

    説明員稲村光一君) 今のは預託金の額でございます。三十五年度の二百何億と仰せられましたのに相当するものでございます。
  28. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そうなりますと、電電公社でも三百三十四億ですね。それに三十億ですか。そういうことになれば、もう少し国鉄あたりならば、もっと減していいということにならぬですかね。
  29. 稲村光一

    説明員稲村光一君) むしろ、先ほども申し上げましたとおり、全体のバランスの中で、何割くらいを無利子とするということから申しますと、むしろもっと上げるべきだということになるかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、この無利子限度趣旨と申しますか、それは、年間の大体を平均いたしまして、支払いがすぐ起こりそうだというものに備えての金額当座預金的なものというふうに考えておりますので、預託金総額幾らにふえるか減るかということは、これはそのときの状況で非常に変わって参るわけでございます。しかし、そういうことのいかんにかかわらず、その当座預金的な部分というのは変わらない。むしろそのほうが筋が通っているのではなかろうかと感じるわけでございます。むしろこういうことでございます。つまり預託金の無利子限度というものは、当座預金的なものである。それ以上の部分につきましては、別途の運用の道を開くという趣旨でございます。それ以上と申しますのは、若干補足させていただきますと、この法案にもございますとおり、いわば当座預金的なものは、これは全く無利子としている、それ以上の分につきましては、その中から余裕のあるものについて、国債なり資金運用部への預託という格好で別途の運用をする、こういう考えでございます。
  30. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 今のお話からすれば、国鉄のほうは、私は預託金総額から見まして、大体当座資金繰りというものの範囲というものがきまると思いまして、それから考えれば、国鉄必ずしも倍にふやさなければならぬ理屈がちょっと出ないと思うのですが、ただ、しかし電電公社あたりでも、おそらく国鉄一口の使用資金というもの、それは七日分なら七日分というものは、これは電電公社あたりも、相当最近の事業拡張から考えれば大きいのじゃないですか。やっぱりそうなれば四十億というものをもう少し下げてもいいという理屈にならぬですか。同じ政府機関預託令制度範囲内において甲乙あってはならないと、その点の調和というか、それは十分におとりになっておることでしょうと思いますが、いかがですか。
  31. 稲村光一

    説明員稲村光一君) ただいま御指摘の点につきましては、実は十分に考えまして、電電公社国鉄と同じ目でながめて検討をいたしておるところでございます。現在は四十億でございますが、一応先ほども申し上げましたとおり、その四十億というのがきまりましたときの計算方式を、ただいま適用いたしますと、それが約倍ぐらいになるということでございます。その適用方式自体をどうすべきかということは現在検討いたしております。しかし、検討にあたりましては、もちろん国鉄だけをどうするということでなくて、同じような性格のものでございますから、むろん電電公社の分につきましても甲乙ないように検討いたすつもりでおります。
  32. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それではまあ私詳しく実際の数字をお聞きをできないと思うものですから、その点にとどめておきますが、国鉄にお伺いしたいのですが、この四十億は無利子だと、反対に今度は足らない場合には借りるという場合がありますね。それから余った場合には八厘で預けなければならぬということなんですか、預けるほうばかりで——借りる額もいつもバランスがとれておって、初めてバランスがとれるのであって、いつも預けるのが多ということであるならば、これはバランスがとれぬということになるのだが、これは実績はどうなっておりますか、ちょっとお伺いしたいのです。
  33. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) 最近におきましては、国庫余裕金の一時使用ということはお願いしたことはないのでございます。昨年、三十五年度からゼロというふうに……。
  34. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それはやはり結局今の四十億をこすということの基準の問題と、それからこの利子問題等についても、今中村委員お話もありましたように、要はわれわれがこういうことを主張するゆえんは、国鉄公共企業体である。しかも民間とほとんど同一経営方式によって収支をまかなってやらせようという公共企業体の性質から考えて、できるだけ無理のないようにということで経常全般にわたって考えるということから出発していると思うのですが、まあその意味において、この法案自体は私はよろしいと思いますけれども、できるだけ運用の際における、今度は新しいこの法律によって、国債保有とか資金運用部への預託というような問題については、私はスムーズな運用を、あまりあなたのほうで、ほかに大蔵省で横やりを入れないようにひとつやって、とりあえず、これをやっていただくということにすべきであろう、こういうふうに考えます。将来の問題としては、国鉄自体の純理というものに、できるだけあたたかい気持を持って、大蔵省も当たっていただくということにしなければ、また再び問題が起こると思うのです。預けることばかりで、そうして借りるときはないということであるならば、八厘なんて安いということになる。だから、ひとつその点を希望いたしまして、質問を終えます。
  35. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 別に御質疑もなければ、これをもって質疑を終局し、討論に入ることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。ほかに御発言もなければ、本案の採決を行ないます。  本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  37. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 全会一致と認めます。よって本案全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、報告書等の作成は、委員長に御一任願います。    ———————————
  38. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、踏切道改良促進法案内閣提出衆議院送付)を議題といたします。  御質疑のある方は順次御発言願います。
  39. 大和与一

    大和与一君 一番初め、促進法案というのですが、そうすると、これがどの程度政府としてがっちり組んで、そうして五年なら五年間に完遂する、こういう決意がどうもこの法案からは見られぬじゃないか。そうするとやっぱり一般からいうと、どうも促進法案なんて、何か気合いが入っていないというか、意気込みが足りぬというか、そういう感じを受けるのですが、一体促進という言葉だけでなくて、内容全体について政府決意というか、具体的な内容の推進についてお伺いしたいと思います。
  40. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) その法案の名称は踏切道改良促進法案ということで、改良を促進するということになっておるが、内容を見ると、そういう点があまり感じられない、こういうお話でございますが、実は踏切改良につきましては、それぞれ事業者の自主的な意思に基づいて改良をしておるというのが従来の実情でございます。もちろん、監督官庁といたしまして、問題の重要性にかんがみまして、いろいろ指導はいたしておりますけれども、そういう格好でやっておりましたが、そういうことではなかなか促進できないであろうということで、具体的に基準を作りまして、その基準に合致するものは改良しなければならぬということで指定するわけでございます。そういたしますと、指定せられた個所は、すみやかにこれを改善しなければならないという義務が生ずるわけでございまして、この面から非常に促進されるというふうに考えております。  それから五カ年間に大体どれくらいの計画を持っておるかというお話でございますが、ただいま運輸省で考えておりまする案を申し上げてみますと、立体交差化すべき踏切道は、国鉄三百四十カ所、私鉄六十カ所、計四百カ所程度でございます。これに要する費用といたしましては、国鉄関係では、全体で三百八十億円、私鉄関係では約二百六十億円で、合計六百四十億円くらいかかるであろうというふうに考えます。それから保安設備の整備は、国鉄約三千二百カ所、私鉄約千四百カ所の踏切道についてその必要性を認めておりまして、経費はそれぞれ国鉄が三十五億、私鉄が十三億円程度の工事費を要するというふうに見込んでおります。
  41. 大和与一

    大和与一君 そうしますと、その促進という言葉を使っているけれども、改良法案であって、きめられたことは、たとえば期限付で、それができない場合には、制裁措置というと言葉がちょっと適当でないかもしれませんが、そういうことでもこれはお考えになって、やはりきちんとさせる、こういう内容を持つ法案である、こう考えていいんですか。
  42. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございます。
  43. 大和与一

    大和与一君 それから次は、この法律案の性質ですが、これは道路法による道路の兼用工作物と思われるけれども、また一方鉄道施設の一部でもある、こういうふうになっているんですけれども、一体これはどういうふうに……。
  44. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 仰せのように、道路法ではこの踏切道というものは兼用工作物として把握されております。鉄道事業のほうから見れば、これは鉄道線路でございますけれども、しかし同時にこれは路用をも兼ねている、こういうふうに見るべきであろうかと存じます。
  45. 大和与一

    大和与一君 そうすると、これは甲乙がないというか、取り扱い上非常にどっちが重いとか軽いとか、こういうことがなくて、いつもこれは一つになってやっていくんだ。その場合に運輸省なり建設省の意見が、今までもほとんどちぐはぐになったことはあるかないか、あるいはまた、そういう法律上の取り扱いとしては、いつも意見が一致してきておったのですか、そういう点はどうですか。
  46. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 法律上の取り扱いでいろいろ意見がまちまちになっておったということはございません。実際上の運用といたしましては、道路法にもございますように、維持管理等につきましては、両者で協議してきめておりまして、そうたいして問題は生じていないというふうに考えております。
  47. 大和与一

    大和与一君 そうすると、改良とか、補修とかする場合に、金銭的、財政的な問題でのみ意見の一致を見ないことはたびたびあった、こういうふうに考えていいんですか。
  48. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この従来の例によりますと、踏切道の維持管理は両者の協議でやっておりまして、たとえば国鉄の場合で申し上げますと、これは全面的に国鉄の責任において、あるいはその経費負担において維持管理をやっております。大体私鉄におきましてもそのようにやっているのが通例ではないかと考えておりまするが、維持管理については別に問題はないように考えております。
  49. 大和与一

    大和与一君 その次に、今度踏切道の構造という言葉があるんですが、これは一体どういうことなんですか。
  50. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 構造と申しますのは、たとえば現在の法律によりますと、地方鉄道建設規程に「踏切道ト線路トノ交角ハ三十度ヨリ小ナルコトヲ得ス」というふうな規定がございます。つまり踏切と線路とが交差する角度を言っておりますが、そういうことも構造の一つに入ろうかと存じます。それから踏切道自体の舗装の改良の問題であるとか、あるいは道路と踏切道の幅員が違うとか、あるいはまた勾配もございましょう。そういうことを改良といっているのでございます。
  51. 大和与一

    大和与一君 この立体交差をする場合は、これはまあ全体的な問題で、全部そうなれば文句はないのです。それができないところに「構造の改良」という言葉を使っていると思うのですね。その「構造の改良」の内容が、今おっしゃるように、幅広く解釈する場合と狭く解釈する場合とあって、狭く解釈する場合は、ほとんど鉄道がまず直接踏切関係あって、いろいろな手直しをする、こういう形になると思うのですよ。それを道路の幅を広げる、こういうことになってくると、建設省とのいろいろな話し合いが起こってくる。あるいはその金の出し方について割合があるとか、こういうことが起こってくると思うのですがね。それはそういうことも含めて「構造の改良」といっているのですか。
  52. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 道路法なり、あるいは現在建設省と国有鉄道の間に協定を作っておりますが、そういった協定の基本的な考え方というものは原因者負担主義ということでございます。つまり、鉄道線路が先にできまして、あとから道路ができて、そのために踏切道をつけなければならない。あるいは交通量が非常に多いと想定せられる所ではこれを交体交差にしなければならない。そのために要する経費は、そういった工事を必要とならしめる原因を起こしたほうに全面的に責任があるというふうに解釈いたしまして、経費もしたがって全部負担する、こういう建前でございます。ただそのために、たとえば、立体交差の場合を考えてみますと、鉄道事業者踏切道がなくなって踏切警手を置く必要もなくなって、あるいは警報機を置く必要もなくなったということになりますと、受益が出て参るわけでございまして、その受益の限度においては事業者側も負担する、こういう建前になっております。
  53. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の答弁に関連をして確かめておきたいのですが、やはりあれですか、原因者負担という建前は貫いていくという、そういうように私はお聞きしたのですが、そうでございますか。
  54. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございます。原因者負担ということにつきましては、これは一貫して貫いていきたい。つまり、この法律は、立体交差につきましても、あるいは構造改良につきましても、協議してきめるということになっておりますが、その協議して定めるということは現実に行なわれておるわけなんです。今申し上げましたように、国有鉄道におきましては、建設省との間に協定を結びまして、その協議を一般的な方式化しておりまして、具体的な個々の問題について、その協定方式を当てはめて、すぐ答えが出せるような建前にするわけでございます。
  55. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう一点、保安整備計画ですね。平面交差の踏切の格上げに関する費用は、これは鉄道事業者の負担にするということになっておりますな。それと、その原因者負担というものの関連ですね、こういうものはどうお考えになっておるのでしょうか。
  56. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) これは御承知のように、現在の法令では、国有鉄道におきましても、あるいは地方鉄道におきましても、それぞれ建設規程がございまして、「交通頻繁ナル踏切道ニ対シテハ門扉其ノ他相当ノ保安設備ヲ為スコトヲ要ス」ということで、ちゃんと義務づけられておるわけでございます。ただ、「交通繁頻ナル」とはどういう基準で判断するかということにつきましては、自主的な判断によってやっておりますが、もちろん、われわれのほうといたしましても、行政指導はやっておりますが、まず自主的な判断によってぼつぼつ整備しておるというのが現状でございます。で、こういうことから、いわゆる危険な動力車を運行して事業を営んでおるものといたしましては、やはり社会一般に迷惑をかけない、危険を及ぼすおそれのある場合には、その防止措置を講ずることは、企業としての社会責任であるというふうな考え方から、この六条にございますように、鉄道事業者の負担というふうに割り切ったわけでございます。ただし、これは前から当委員会にも申し上げたことがあるかと存じますけれども、運輸省といたしましては、社会的責任であることは認めるけれども、しかし同時に、その保安設備をしなければならぬ原因が、道路通行の激増、特に高速度の自動車交通量がふえたことにも多大の原因があるんだから、道路管理者側が道路交通の安全を期する責務がある立場からいいますと、私は道路通行者に対しての何らかの保安設備を考える当然の責務があるんだ。こういった踏切の危険防止のための踏切保安設備につきましては、相当の負担をしていいんではないかというふうなことを主張して参りましたのでございますが、本法案を提出するにつきまして、政府の統一的な見解としては、企業の社会的責任であるというふうに割り切ったわけでございます。
  57. 小酒井義男

    小酒井義男君 また後刻私は統計的にお尋ねをしますから……。
  58. 大和与一

    大和与一君 立体交差は別として、構造の改良ということは技術的なことだけでなくて、今言われたいろいろな要素があると思うのです。それで私は、やっぱりわかりやすく言えば、縄張り争いによって、当然やらなくちゃならぬ——交通の安全のためにですよ、やらなくちゃならぬ義務的なことを、心では考えておりながら実際はやらない。あるいはまた、政府がたびたびそれについては当然やるべきものであって、注意をしたがやらない。やろうと思うけれども、どうも縄張り争いで発言がまとまらぬでやれない、やらない。こういうふうなことは実際にあるんじゃないか。もしそういうことがないとすれば、それでは一体政府は、その踏切道についてたびたび十分の注意を、十二分の注意をされておるのかどうか。一般的な話ですね。そういうことをしておるにかかわらず、しない。しからば、どういうふうな措置をされておるか、こういうことをちょっと例をあげて言ってもらいたいと思う。
  59. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 従来この踏切道の改善につきましては、道路管理者側と事業者との間が、うまく連絡協調ができないで、なかなか改善ができなくておくれておったということは事実でございます。そのおもなる原因は、たとえば立体交差の問題について申し上げてみますと、立体交差すべき個所についての見解が必ずしも両者一致しておらないのでございます。つまり道路管理者側からいいますと、都心の交通ひんぱんな踏切道というものの改良そのものよりか、むしろ都市の外側を通過しまして、そこを立体交差にして、そういう交通の障害を除くという方針を主としてとっておりますが、鉄道事業者側は、踏切自体を除却してもらうことが最大の願いであるわけなんでございます。そういうわけで、道路管理者側はバイパス的な方法によって解決したいという行き方をとっておる。それから鉄道事業者側は、それでは踏切が依然として残るんだから困る、踏切自体を除却する方法をとってもらいたい。こういうことが常に問題になっておったわけでございます。それからもう一つの大きな問題は、立体交差化につきましては特にそうでありますが、非常に経費がかかるということでございます。しかも、それが事業の収益に直接つながる問題であれば別でございますけれども、そうでないということから、なかなか経費の問題については悩みを持っておったわけでございます。で、道路管理者側におきましても、国においては、最近道路五カ年計画というものを、必要性が高く評価されておりますので、だいぶ予算も大幅について参りましたが、地方道以下につきましては依然として悩みがあるのではないか。たとえば鉄道側で立体交差を提案いたしましても、地方道以下におきましては財政上の関係からなかなかその相談に乗れない。こういうことで実際問題といたしまして、踏切道の改善がなかなかできない。なお平面交差の場合でございますが、これは主として鉄道事業者がその全面的な責任と経費負担においてやってきたわけでございますけれども、先ほど小酒井先生のお尋ねがございましたように、保安設備を整備しなければならぬ原因が道路通行側にあるという考え方が相当支配的でありまして、鉄道事業者のみが何も全責任を負う、あるいは全経費を負担してまでやる必要がないという根本的な考え方があるものですから、どうも踏切保安設備の改善について熱意がないというふうな点が、まあネックになっておるんじゃないかというふうに見ております。そこでこの法案が、御承知のようにまず建設省と運輸省が協議いたしましてきめます基準というものを作り上げまして、その基準の定めるところによって指定いたしますから、その段階においては建設省と運輸省の考え方というものが一致してくるわけでございますので、そういう基準というものができ上がれば、どこを立体交差にすべきかということについていろいろ迷う、意見の相違があるということは取り除かれるであろうと見込まれます。それから経費の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、踏切道が社会的に見ましても非常に問題化しておりますので、それぞれ自覚が進みまして、たとえば国有鉄道におきましても、新五カ年計画におきましては二百五十億円を投入するということになっておりますし、私鉄におきましても先般運賃値上げに関連した運輸審議会の職権公聴会におきまして、積極的に踏切改良するという意見を述べておりますように、だいぶ自覚が進んで参りまして経費の問題は大体問題ないんじゃないか。ただ弱小鉄道につきましては、財政的な負担が多過ぎるというきらいもございますので、第七条にございますように、国としても補助金を支出しよう、あるいは地方公共団体としても補助金を出して援助の手を差しのべよう、こういう建前にいたしたわけでございまして、大体従来のネックと思われる点に対しても手当ができたようにわれわれ考えております。
  60. 大和与一

    大和与一君 立体交差の場合を今聞いているんじゃなくて、平面交差の場合のことを聞いておる。この法案が大体そうなんですが、立体交差に全部するというなら問題ないが、そうじゃなくて構造を改良するのであるというけれども、どうもわからないのです。さっき言った経営者が何とかいうことじゃなくて、社会性がある、現実にいろいろの内容を持っているものをひとつ基準を作る。その内容を聞こうとしておる。その基準をあなた方のほうできめて、指定するとかやらせるというわけでしょう。それじゃその基準というものは一体どういうことなんですか。たとえば国鉄でも私鉄でも大体こういうことはわかっていることだと思うのです。それをまとめればいいんでしょう。いまさら新しく研究することじゃないと思う。そこでさっきも言ったように、そうだったら当然あなたのほうで注意してやらなくちゃならぬことを国鉄も私鉄もやっていない。これは比較的に言えば、国鉄公共性があるからやや私鉄よりもやったということは一般的に言えると思う。私鉄は会社企業的なものを持っているから若干弱い。だからあなたの言うように、自覚して私鉄経営者協会でも決意してやろうとしておるというこういうお話があったんですが、そうすると、今までは当然やらなければならない、一般大衆の生命なりあるいは財産なりその他を保護するための措置を、自発的にやらなくちゃならぬやつをやってなかった。それを今度あまりやらぬから政府として見るに見かねて、国鉄を含めて今度ひとつ基準を作って必ず順序をつけてやらせる、こういう法案内容だと、こう考えていいのですか。
  61. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 今まで全然やっておらなかったということをおっしゃいましたけれども、それは行き過ぎであろうかと思います。やはり企業体として当然やるべきこととして年々やってきておったことは事実でございます。ただ、そういったいろいろな原因がございまして、必ずしも政府の期待するような急速な整備が進んでおらないというのが実情でございますので、それを促進しようというのが本法案のねらいでございます。
  62. 大和与一

    大和与一君 やはりまだ構造というのがわからぬから、もう一ぺん、さっき言ったような、ただ技術的なというかそんな意味じゃなくて、政府がねらっている構造というのはこういうことなんだ。立体交差化はいいが、平面交差の中で構造を変えるということはこういうことなんだということをもう少し説明して下さい。
  63. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 先ほど申し上げましたように、踏切道の舗装がでこぼこでありますと、非常にこれは障害のもとになりますからそういうものを改良するとか、それから道路と踏切道の幅員が違っているところが相当たくさんあるのでございます。一例を申しますと、国鉄では道路と踏切道との幅員の違うところは、五十センチ以上あるところを調べてみますと一万六千個所あるのです。そういうことでは困る、こういうことでございまして、それを一致させようということが構造の改良になります。それから取り付け道路の勾配の変更というような場合も構造改良の中に含まれております。それから先ほども申し上げましたように、見通しの悪い踏切道について、道路との交差の角度でございますね、こういったものも直していかなければならぬ、こういうことを構造改良というふうに観念いたしております。
  64. 大和与一

    大和与一君 そうすると、その前段のたとえば踏切道がでこぼこになっている。こんなこと、法律を作らなければやらないのですか、国鉄や私鉄で。そんなこと、事実今でこぼこになっているのですから。あるいは第二段として道路と踏切道が合ってない。これは一万なんぼある。うんと大きいところは別です。たいへん金かかるところは別だけれども、そうでないところを法律を作らなければやらぬのですか。ほったらかしているのですか。そんなものはちょっとさわればできるじゃないですか。そういうことにこの法律を必要とするのですか。あなたのほうで注意されて、早く直してもらいたい、こういうことは言っていると思うけれども、あるいは建設省と話をすれば相当この法律をまたずに、安全のためにやらなくちゃならぬことでやれることがあると思うのです。そういう点の状況はどうなんですか。
  65. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 一万六千個所もあり、私鉄については一万一千個所もあるということは、これはわれわれの行政指導、あるいは監督行政が足りなかったという点も当然認めなければなりませんけれども、そういう現実の問題として整備されていないということでございますから、踏切道の改良促進法案としては構造改良も当然含めてやるべきであろうと考えます。
  66. 大和与一

    大和与一君 それから第七条の補助の条文ですね。二種の政令が出るというのですが、これの内容をちょっと簡単に言って下さい。
  67. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この政令の内容は、まずどういう事業者に補助金を交付するか、対象をどういうふうにきめるかということ、それからどういう工事に対して補助金を出すか、こういう工事のワクと申しますか、対象と申しますか、これをきめよう、こういうわけでございます。それから補助金の割合でございます。
  68. 大和与一

    大和与一君 工事の内容には非常にたくさんやることがあるのだから、そこを取りまとめる。それが基準になるのですか。さっき言われた基準をきめてということは、そのことも含まれると思うのですが、幾つかあるのですか。さっき言った基準ということはこれと関連があるのかないのか。あるいは基準というものの一番大きな問題としてはどこなんですか。
  69. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 第三条の基準というのが非常に重要でございまして、つまりこれは主として道路交通量、それからたとえば踏切の遮断町分、こういったものが大きな要素となりまして、この基準表にあてはまるようなところであれば立体交差しなければならない、こういうふうなことになるわけでございます。保安設備も当然そういう交通量が基準になりましょう。その基準と第七条とは関係ございません。つまり基準に従って指定を受けてそれを改良しなければならないという場合に、通常の鉄道業者であれば踏切、保安設備があるならば、みずからの経費において設備すべきでありますが、特定の、つまり自分からの能力では負担し切れないという部分もございますので、そういったものに対しては国なりあるいは地方公共団体なりが補助金を出して援助の手を差し伸べる、こういうわけでございます。
  70. 大和与一

    大和与一君 その場合優先順位についてはどのようにお考えになっておりますか。陳情が来たからやるというのじゃないでしょうからね。そうすると同じようなケースがずいぶん数が多いと思うのです。その辺の一体公平な配分ということはどういうところを目安にしてお考えになっているのですか。
  71. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) つまりこの法案に書いてございますように、第三条でこの基準を作りまして、その基準に合致したものは全部指定するわけでございますから、優先順序は出て参りませんです。
  72. 大和与一

    大和与一君 そうすると、これは予算にあまり関係ないでしょうか、全部指定してしまうということになれば、基準関係のある、かかわりのあるものが一応やれということを指示してしまう、それでもってこの補助を要するものがたくさんあるわけでしょう。それを大体きめるのだろうけれどもその辺はどうですか。
  73. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 指定いたしましても、この全部を一時にやれということは無理でございますので、この法案に書いてございますように、三十六年度以降五カ年間においてやれということでございますので、大体年度割を考えてみまして、この年度割に応じて補助すべき額も算出いたしまして、来年度の予算要求をいたしておるわけでございます。
  74. 大和与一

    大和与一君 それで初め私はくどいほど促進とは何かということを聞いたのです。五年間でできることじゃないけれども、こんなものは全部立体交差にするというのなら話はわかるけれども、たいへんに金がかかるからそう簡単にいかぬ。それで構造の改良も含めてまあ負担による形でここのところを促進していこう、ここはわかるのですよ。わかるのだけれども、だからやはり優先順位というものが要るんじゃないですか。基準をきめて、規格をきめて、それに全部入ったものはやることにしたと、一番から一万まであるのですから、その順位はどういうふうに公平にやるかというのです。
  75. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) そういう意味合いにおいてはおのずから順序が出て参るわけですが、これはやはり同じ指定された個所につきましても交通量の相違がございますから、やはり交通量の非常に多いところからまず手をつけていくということに相なるかと思います。
  76. 大和与一

    大和与一君 そうすると、国鉄では自体でいろいろ計画をしているわけですね。そうすると今お考えになっているお話国鉄の計画というものがそごを来たすと、こういうことは常識的にないのであって、たとえば国鉄でも私鉄でも一番大事なところから直していこうと、こういうふうな一応の考え方、計画があるとすると、それをこれから政府考え方と協議をして、そうしておのずから公平な順位が出てくる、このように考えていいのですか。
  77. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございます。つまり地方鉄道業者といたしましても、先ほど来申し上げておりますように年々改良いたしてきておりますが、その優先順序の基本になっている考え方というものがわれわれの考えておるところよりか相当低いところにあるのではないか、こういうことで政府がきめます基準は相当高いものになるということはあるかと存じます。
  78. 大和与一

    大和与一君 六条の2の「保安設備整備計画の実施に要する費用は、鉄道事業者が負担するものとする。」これはこのとおり読むと全額負担ということになるわけですね。
  79. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございます。
  80. 大和与一

    大和与一君 それと第七条との関係です。「費用の一部を補助することができる。」と書いてあるんですが、そうすると、六条の2との関係は、たとえばここにはっきりと、ちゃんと「負担する」と書いてあるのに、「補助する」というのはこれは何だと、ここら辺に了解できぬ点があるじゃないか、こういう質問が出ると思う。
  81. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 六条の第二項は「鉄道事業者が負担する」という原則をうたっておるわけでございます。しかしながら第七条で、みずから負担する能力のない地方鉄道業者あるいは軌道経営者もあるであろう、そういうものに対してはこれは国が強制してやらせるんだから、しかも大事なことであるので、国あるいは地方公共団体は援助の手を差し伸べよう、こういうわけでございます。
  82. 大和与一

    大和与一君 さっきも言ったように、構造の改良の中で立体交差は別として、たとえば道路を広げたりする場合に、その踏切に直接に関係のある範囲ですね、一番狭い範囲、この程度のものだったら実際に鉄道業者ができるんじゃないですか。一体その辺はどうなっているんですか。その踏切の最小限度の鉄道を中心にした範囲でなくて、たとえばずっと直すわけですからそれの負担も一緒に含めて計算をして、そうして協議をして分担するんですか。そうでなかったら、鉄道関係だけの踏切でいったらでこぼこを直すとか、そんなことは何も補助を受けなくたってできるわけじゃないですか。そうすると、七条はちっとも生きてこないような気がするんですが、具体的にこの補助というのはどういうことなんですか。
  83. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 立体交差とかあるいは構造改良につきましては第六条の一項にあげておりますように、「鉄道事業者及び道路管理者が協議して負担する」ということでございます。第六条の第二項は、保安設備の整備計画、それの実施に要する費用は、鉄道事業者が原則として負担するんだと、だけれども第七条によってみずから負拒する能力のないものに対しては国が援助の手を差し伸べよう、地方公共団体も補助金を出せるようにしよう、こういうことでございます。
  84. 大和与一

    大和与一君 そうすると、この保安設備とは一体どういうことなんですか。
  85. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) これはもうよく御存じのとおりだと思いますけれども、警報機であるとかあるいは踏切遮断機だとかこういったものでございます。
  86. 大和与一

    大和与一君 それはあれですか、そういう程度のものを今までは国が負担をしなかった、で大きなことについては鉄道事業者が負担する二とになっておって、そうして保安設備に限って、たとえば今おっしゃったような程度のことですね、それについて一部補助できるなんというようなことを書いておいて、これはほんとうに補助しますかね。もっと大きな話で困ったことを補助してやるということのほうが建前として僕はいいと思うんです。しかしそのうちの一部分についてそういうことができないでもないと、こういうふうな言い方をしておいて実際に政府はやりますか。あなた方のほうで六条のほうは原則で生きておるわけなんですからね。どうも僕らは七条は弱いと思うんですよ。ほんとうに補助してやるんだったら、ちゃんと補助してやるともっと明確に書いてもらいたいということなんで、六条との関係で、六条は大きな問題について本人が負担して、こんな小さいものはそれは国が補助することができるなんて、実際のことでやらぬじゃないかという気がするんですが、それでは一体それをやる場合の規格なり基準なりというものは何ですか、目安は。
  87. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、第六条の第二項で鉄道事業者が保安設備の整備実施に要する費用は負担するわけです。負担するわけですが、中には負担能力のきわめて低いものもあるであろうからそれに対しては国が援助しよう、地方公共団体も補助金を出せる。こういう道を開くわけでございまして、したがいまして政令で定める「地方鉄道業者又は軌道経営者」というのは、いずれこの政令は大蔵省と相談いたさなければなりませんが、この法案を提案する過程におきましての話し合いでは、赤字欠損を出しておるところの業者、あるいはこれに近い業者というふうに考えております。
  88. 大和与一

    大和与一君 それでこれの大前提が交通安全の確保なんだから、それに対する資金措置を講ずるように努めるものとするとありますね。これはやはり私は、今までたとえばトラック・ターミナルにしても、できるだけ金融措置その他をしてやらなくちゃいかぬというふうに法律に書いてあるけれども、その後の実際の全国の状況を見ると、なかなか政府はそこまで面倒をみていないのですよ。そのときもずいぶん大臣に、こういうはっきり書いてないことについてはほんとうにやるのか、こう聞くと、大臣は必ずやるのだ、こうおっしゃっておるけれども、実際にトラック・ターミナルの一例をあげてもやってないわけです。そうすると今度大臣はこの法律ができて、できるだけやるということを言うのだろうけれども、やはり交通安全が第一ということだからよほど腹をきめてやらなくちゃいかぬと思う。その点、大臣いかがですか。
  89. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 踏切における交通安全が非常に脅かされておりまするので、したがってこの法律の御審議を願っておるわけでございます。したがいまして法律の通過をさせていただきました上は、この精神にのっとりまして最善を期して参りたい。同じことを言うとおっしゃるかわかりませんが、実際にさように考えております。
  90. 大和与一

    大和与一君 それともう一つ、鉄監局長、これをやる場合、今度期限でもつけて、そうして相当これはいい意味において厳しくおやりになるのか、あるいはもしやらない場合はどういうふうに、ぜひやってもらわなくちゃいかぬわけだから、その点をだらだらと延ばしたり、ただ銭だけもらったり、こういうことがないようにしなくちゃいかぬから、そういうことの皆さんのお考えはいかがですか、政府の。
  91. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) できれば期限はつけてみたいと考えております。それからやらなかった場合の罰則と申しますか、違反に対する制裁でございますが、これは地方鉄道法の三十九条でございますが、これによりまして罰金刑というようなこともございますし、あるいは三十七条におきまして取締役その他の役員の解任ということもございます。そういう方法がございますので、やらなかった場合にはどうするかという措置は十分研究いたしておりますが、しかしそういうことよりか、昨今における踏切道の重要問題ということから考えてみて、指定して、それに対してやらないという事業者はまずわれわれとしては考えられない、かように思っております。
  92. 大和与一

    大和与一君 この措置をするまでに、やはり生命財産なんかが脅されておるわけですが、きょうの新聞を見ても警察庁長官も、そんなことは警察だけのもうなわ張りじゃないのだからお手上げだ、こういうことを率直に新聞で言っておりますが、そうすると、これがやや具体化して、きちんとできるまでの生命財産に対する保障というか、そういう対策はどのようにお考えになっておるか。
  93. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) これは現在の道路交通法の建前は、踏切におきましては一たん停止が義務づけられておりまして、これが確実に励行されれば生命財産の危険はないわけでございますが、そういう一たん停止を励行してもらうということに重点を置いてやらざるを得ないと思うのでございます。なるべく早く施設を整備いたしまして障害を取り除くことが根本的なやり方でございましょうけれども、それまでの生命財産の保障というふうなことになりますと、一たん停止を励行してもらう以外にないと、かように考えます。
  94. 大和与一

    大和与一君 第三条の基準をきめる場合、こういうことはお考えになっているのですか。踏切種別の設置基準改正、こういうことも含めてお考えになっておるのですか。全くこれは交通安全のための全体的な展望というか、内容を持たなくちゃならぬと思いますが、十分検討はされておると思いますが、この点はどうですか。あるいは国鉄と私鉄と違うとかいろいろな問題がありますね、そういう点はいかがですか。この法律昭和二十七年の六月に制定されて九年間もそのままになっておるわけです。非常に交通量その他も変わってきておるわけですからその点、どうですか。
  95. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この三条にございますように、指定いたします際に「その改良の方法を定めて、指定するものとする。」とございますので、その改良の方法というのはこの程度のところでは、たとえば踏切警報機を置くけれども、この程度のところでは遮断機を置けとか、いわゆる今おっしゃいましたような国鉄で使っております一種、二種、三種というふうなその改良方法の内容をきめて指定したい、かように考えております。
  96. 大和与一

    大和与一君 そうすると、またそれに関連して非常に列車が多くなってスピードアップされたものだから、国鉄なんかでも第四種をうんとやめてしまった。そうすると人の流れがみな一樹に集まって非常に混雑する。こういう状況が今起こっておる、御存じのはずだと思う。そういう場合にはどうするか。第四種をやめなくてもいいというような指示もされるわけですか。
  97. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 御質問趣旨はよくわかりませんですが、つまり無人踏切というものを整理統合して踏切々廃止しているのだけれども、そのためにそのしわ寄せが残存の踏切に寄ってくる。こういう点については、むしろ四極の踏切を整理統合するということを阻止するかというお尋ねでございましょうか。——われわれが以前鉄道と道路の交差に関する法律案というようなものの基本法を練って参りました際に、踏切の整理統合ということを一つやるべきであるということが大きな主眼の一つになっておったのでございます。つまりいなかに参りますと、いわゆるさくば道と申しますか、無限に多数の小さい踏切がありましてこれが大きなガンになっているから、これをむしろ整理統合して、そうして統合した踏切道の保安設備をよくするということに重点を置いた方がいいだろう、という考え方を持っておったのでございます。そこで基本法を出しますれば、当然その中に整理統合の権限を主務大臣に与えるということをわれわれは考えておったのでございます。現在警察庁におきましても、道路交通法に従いまして、特に警視庁では都内の踏切を整理統合するということを御提案されまして一部実施しておられます。そういうことで、むしろ今大和委員のおっしゃいましたより逆な方向にいくのがむしろ合理的ないき方ではないかという意見が多いように聞いております。
  98. 大和与一

    大和与一君 それでもう一つ強く言えば、やはり場所によっては踏切警手を置く、これが今のところ立体交差以外では一応安全な措置なんだからそういうことまで、これは企業に影響しますけれども、交通の安全のためにはそれほど必要だ、特定の場所にはそれくらいおやりになる気持があるか、その指示もできるのか、あるいはそれに伴って一体踏切警手というものが、やはり鉄道の職員の中で人並みの扱いを受けていない、危険度が多い、お客にはなぐられる、ひどい目に会う、そういう場合に職種別の国鉄、私鉄を含めての、この踏切警手を一人前に扱うという、こういうことを含めての警手の増員というか、あるいは必要な場所に対する配置というか、こういうことまでを考えながら、それも場合によっては指示することができる、したいと思う、こうなのかお尋ねします。
  99. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) もちろんそういう必要が認められる個所につきましては考えてみたいと思いますが、これは最近の傾向で見ますと、御承知のように相当遮断機の上げおろしにいたしましても、まあ人件費を極力節約するという見地から自動化いたしておりますが、そういう傾向もあるのでございますから、人の配置についてはそういう点も十分考えまして、自動化で間に合うところまでも自動化を廃止しなければならぬということは、まあ考えたくないと思っております。
  100. 大和与一

    大和与一君 最後にもう一つ。さっきの補助することができるというやつですね、都道府市町村でやるでしょう。この場合にやはりこの法律を見れば、六条が原則としてあるんだから、七条についてはちょっと言ったぐらいではなかなかそういかぬと思うんですよ。その点を、先ほど政府が害われた趣旨が本旨であるならば、やはりそういう要望があった場合に、その府県の人が出せるように、これは大いに協力をしてやらなければ、改良促進法案だから促進をしてやらなければ、私はなかなかそういうものは出さないと思う。そういう点を十分考慮してもらいたいということを要望して、私の質問を終わります。
  101. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 私も全体にわたり質問申し上げたいと思いましたが、今委員質問で大体意を尽くしておるところでありますので、これは省略をいたしまして、一点お伺いしたいと思いますのは、二条でこの法律の施行は現存しておる踏切ということに限定されておるということ、それからまた第三条で、運輸省令または建設省令で定める基準に従いこれを指定するということが規定されております。この内容については先ほど御説明のうちにも、国鉄関係が三千二百、私鉄が千四百というのは、これは、おそらく今必要の限度のごく一部であろうと思うんですが、この点について、今後その後の新しい事情において起こってきた問題については考慮しないのかどうか。それからこれは時限立法として五カ年間ということになっておりますが、その期間中に今申し上げましたように、おそらく予算関係で延びる。その延びるのはやはりこの法律で指定したものはその後においても期限がまたがり、また残ったものについてはやはり指定はされるのかどうか、その点はどういうことになるでしょうか、法律的な問題として。
  102. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 第二条で「この法律の施行の際現に存するもの」に限っておりますが、たとえば踏切道の保安設備などについて考えてみますと、本年の十二月一日現在では、今後作ります基準でございます——基準にマッチしなくても、三十八年ごろになればあるいは基準の交通量に達する場合も出てくるかと思います。そういうものは当然考えられますので、この私鉄につきましては、たとえば千三百六十五カ所と申し上げましたけれども、そういったものを今後加えていきたい、かように考えております。追加指定をいたすわけでございます。それから「五箇年間に」云々とございますが、立体交差というふうな大きな工事になりますと、五カ年間で全部終わるということはあるいは不可能でございまして、指定いたしましても、五カ年の後に一年か二年たって完成するということも考えられるかと存じます。
  103. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 もう一つお伺いしたいのは、やはり六条の第二項で「保安設備計画の実施」という問題が、事業者負担というような工合にはっきり割り切ったように見えるんです。そして第七条の趣旨は、ただいま御説明がありましたように赤字負担会社を予想しておるということで政令が定められるそうでありますが、たとえば従来学校とか団地ができるとか、あるいは区画整理によって、建設省との関係において道路計画等に基づいた保安設備というようなものは、やはり原因者負担主義というようなことで相当やっておったのですが、これはこういうものの特殊の事情のものでも政令でやはり除外せずに指定されることになるのでしょうかどうでしょうか。
  104. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 仰せのように、たとえば新しく団地ができるというような場合に道路ができる。その関連で踏切道を作らなければならない。また相当交通がひんぱんと想定されますような場合には保安設備を作らなければならない。こういう場合に原因者負担主義でいくのでございます。したがいまして道路管理者側、つまり地方道であります場合には、地方公共団体が保安設備の整備に要する費用まで質損してくれるのが通例でございます。それからまた従来関係地方団体が、当該地区の住民の福祉の確保のためには、地方鉄道業者といろいろ相談しまして、ここは非常にあぶないから踏切警報機をつけてくれないか、話によってはわれわれとしても応分の経費の負担はするというふうなことによりまして、踏切保安設備の整備が行なわれておる場合もございます。そういうことを第六条の第二項にいたしましても、第七条にいたしましても、排除するものではございません。
  105. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そうすると、結局六条の第二項保安設備整備計画に限っては鉄道事業者負担ということになりますけれども、結局今のような特殊事情に基づくものは原因者負担主義というものによって調和し得る余地は残っておるわけですね。しかもそれは政令で定める場合に七条の一、二項によってやはり考えられるということに解釈してよろしゅうございますか。それでなければもう六条の二ではっきりしてしまって、従来そういう特殊の事情であっても保安設備、特にその団地とかあるいはまた学校を作るとか区画整理というような、当然その地方公共団体が負担するというような従来の慣例になっておるものまでも、六条の二項によって鉄道事業者が全部負担するというのはちょっと行き過ぎのように思うのですが、この調整はできるのですかどうですか。
  106. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 道路を新設するとかその関連で踏切道が新しくできるというような場合には、これは道路法に帰りまして原因者負担主義で処理できるわけでございます。この法案は現在すでにありますところの踏切道の改良をどうしてやるかということでございまして、今御指摘のような例の場合とは全然違うわけでございます。ただたとえば指定されない踏切道につきましても、地方公共団体によっては非常にこれは子供がしょっちゅう通ってあぶないから踏切警報機をつけてほしい、それについては応分の負担をしてもいいというふうなケースもあるわけでございますが、そういうことは第六条第二項におきましても、第七条におきましても排除するわけではございません。
  107. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 そうすると、今新設がありましたが、これは新設は結局二条との関係で新たに原因者負担でやってよろしい。ところが学校ができたりあるいは道路改良その他の場合でも、必ず道路になるような場合には従来のいわゆる指定されない道というものがおそらくはあるだろうと思う。そうするとそれの保安設備というような場合には、これは原因者負担にかえる、こういう工合に解釈してよろしいわけですか。
  108. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) さようでございます。
  109. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 きょうは私これで質問をやめます。
  110. 小酒井義男

    小酒井義男君 大体やはり皆さんの質問でわかってきたのですが、少しこまかい質問になりますが、第六条の「費用の負担」の「協議」ですね。これはどちらから起こしてもいいのですか。どちらが先に相手に協議を申し込むことになりますか。
  111. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) これは別に法案では指定はいたしておりません。どっちかが指定されますと、どちらかが協議を持ちかけるということになるかと存じます。
  112. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうするとどちらも相手が言ってくるだろうということで、どちらも協議を言い出さなかったら、しばらくそれはそのままになるわけですか、どうなんですか。
  113. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 御指摘のような場合も、それは想像できないことはないと思いますが、これは指定されまして、だれかが言ってくるだろうというふうな、そういうふうなのんびりした考え方のものがあるということはとうてい想像できません。今の踏切道の改善についての重要性から見ますということですね。
  114. 小酒井義男

    小酒井義男君 それなら私はけっこうですが、これは費用の要ることですから、あまり積極的にやりたいという気持が出るかどうかということをちょっと心配したのです。私やること賛成なんですよ。早くやらせるためには、どちらかに、この協議をさせる狂うの主体をきめておくことが必要でないかという気がするのです。
  115. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) いや、そういうことで、従来経費がかかることでありますので、積極的にこれを取り上げるという熱意が足りなかったことが、整備がおくれた原因の一つであるということを先ほど申し上げたのですが、今回はこの法律によりまして指定いたすわけであります。改善すべき個所をこれはどうしてもやれということを指定いたしますから、したがって、協議をどっちから持ち出すかということについてまで心配しなくてもいいのではないかと、かように考えております。
  116. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから費用の負担の協議ですね。これは大体監督局長のお考えではあれですか。心配なしに双方で協議が整うだろうという見通しをお持ちでございますか。
  117. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この第六条の第一項によりまする「協議」は、これは従来どおり協議してきめておりますので、それを踏襲したまでのことでございますから、別に大きな支障はないと思います。たとえば、国有鉄道につきましては、建設省との間に協議を敷衍化した、形式化した協定を結んでおりまして、その協定に従って個々の場合に当てはめていけば、すぐ分担すべき経費が出るような仕組みに相なっておりますので、別に支障はないと考えております。私鉄におきましても大体そういったやり方に右へならえしてやっておりますので、大きな支障はないだろう、かように考えております。
  118. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから第七条の一と二の関連ですが、この国の管理する道路は第七条の本文のほうで、第二項のほうは、これは地方道をさすものであると、こういうふうに理解していいのでしょうか。
  119. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) そういうことではございません。国道、地方道の区別は、第七条第一項では考えておりません。ただ第二項の「都道府県又は市町村は、」とございますので、これは当然この当該都道府県なり市町村が管理しておる道路に限定されることは当然だろうと考えます。
  120. 小酒井義男

    小酒井義男君 先ほど非常に赤字に近いような会社に対しては一部の補助をすると、こういう考えだという説明をお聞きしたのですが、この地方自治体の中でも財政的に非常に弱体な自治体があると思うのですが、そういうところで補助が実際にできないという場合には、それを国が肩がわりをしてそれを見てやるというようなことは考えられるのですか。
  121. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この法案を提案いたしますまでの過程におきまして、自治省も非常に協力的でございまして、できるだけの協力を地方団体をしてさせる、そういうことを言明しております。昨日の委員会におきましても、そういう場合には特別交付税で財源を考えてやりたい、こういうふうなことを申しております。
  122. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは昨日の委員会というと、この委員会ですか、衆議院ですか。
  123. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 衆議院でございます。
  124. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうですか。  それからもう一点、お尋ねをしておきたいのですが、この赤字に近いほど内容の悪い会社ですと、これはもう相当高率の補助がないと実際困ると思うのです。あとにそれがほかの方面にいろいろ圧迫を加えるようなことになっては問題があると思うのですが、赤字に近い、無配であるというところに対する補助率は、全額に近いようなものが出されなければ、実際は困るのではないかと思うのですが、そういう点はどうお考えでしょう。
  125. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) まだ大蔵省と最終的に話し合いが済んでおりませんのですが、われわれの考え方といたしましては、赤字欠損の会社と、それからこれに準ずる会社を考えておるわけでございますが、その準ずる会社はどういう基準考えるかと申しますと、固定資産に対する収益率が五%以下のものを対象にしたらいいのではないかというふうに考えております。それで御承知のように、保安設備の整備に要します費用は、踏切警報機あたりで考えてみますと、大体一機百二十万円前後でございますから、国から三分の一、それから地方公共団体から三分の一というふうに援助をいたしますと、三分の二はまあ補助でまかなえるということになりますので、大体そういう会社でもできるのじゃないかというふうに考えております。
  126. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと二、三。いろいろ質問があったようですけれども、また詳しくは次回にするとして、二、三この際お尋ねしておきます。  第一番に、この五カ年間において実施をさせるということでありますけれども、これは五カ年間の計画というものは、各企業体にまかせるのですか、工事の実施計画というものは。たとえば、まあ極端な例をいいますと、この改良しなければならぬというふうな踏切道を五つぐらい持っている、あるいは三つぐらい持っている企業、これを実質的にきめるというと、これを五カ年間にきめればいいという格好になると思うのですが、五カ年間にきめるというのは、これは政府のほうで指定するのですか、その事業計画というものは。
  127. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 大体この五カ年というふうに考えましたのは、踏切保安設備の整備を要するような個所をわれわれ内々調査してみますと、相当個所あるわけです。これを緊急に整備させるべきだということですが、それにしても、一年ぐらいで全部片づけるということは、経費の関係から見ましてもこれは無理だろう、やはり五年間ぐらいを目標に整備させるべきであるということから五カ年というふうに、まあ時限的に考えたわけでありまして、別にそれ以上に、特にこういう理由があって、こういうふうに五カ年に限ったのだということではございません。
  128. 大倉精一

    ○大倉精一君 質問の筋が、ちょっとおわかりにならぬようですが、この五カ年計画の工事計画というものは、あるいは工事の順序といいますか、こういうのは、各企業ごとにまかせておられるのか、まあ具体的にいうとある地方鉄道が、私鉄が指定された踏切道は一カ所よりない。しかしながら、この一カ所という踏切は、非常に重大な緊急を要するものである。しかしながら五カ年ということを、自主的にまかせて、一カ所の踏切を五年の間にやればいいという、そういう計画を、その企業者はみずから立てるというのか、あるいはこれは、緊急にやるというような指示があるのか、こういう質問なんです。
  129. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 年次別に個所を指定いたしたいと、かように考えております。何々会社については、どこどこの個所を指定するが、これは昭和三十七年度に、これを指定するというふうに、年次別に指定いたしたいと思っております。
  130. 大倉精一

    ○大倉精一君 それから指定の基準を定めるというのですが、この基準について、先ほど大和委員のほうからいろいろ質問があったようですけれども、従来の基準のきめ方については、いわゆる交通量というもの、トラックその他の車両関係に重点を置かれて、人間の交通量というものは、あまり重視されていなかったというような工合に考えるのですが、たとえていうならば、踏切の近所に幼稚園や小学校がある、生徒が毎朝通行する、こういうような場所があっても、トラックや車が通らぬからという理由でもって、保安設備をしないという、こういう踏切もあるように思うのですけれども、その基準という中に、人間の基準というのは、どうなんですか、人間の要素というものは。
  131. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 道路交通量の中には、やはり歩行者も含めまして、交通量算出の一要素といたしております。
  132. 大倉精一

    ○大倉精一君 この交通量という意味は、たとえば今秋は一例を申し上げたように、その付近に幼稚園なり小学校なりがあって、一時的に、交通量がどっとふえていく、これは交通量といえるかどうかわかりませんけれども、こういう場所に対しては、やはり保安設備が必要だと思うのですけれども、こういう具体的な例でいって、どうかと思うのですけれども、そういう場所も、やはり基準の中に入るのですか、指定基準の中に。
  133. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この法案で、ただ交通量だけでなくて、「踏切事故の発生状況その他の事情を考慮して」基準をきめるとございますが、大倉先生のおっしゃいましたことは、まあ特殊事情と申しますか、そういうことで、やはり考慮に加えなければならぬ事情ではないかと考えております。
  134. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ今の御答弁で、そういう場所にも当然、これは保安設備をつけるのだという工合に私は解釈しますが、ともすれば、そういう点が従来抜けておるという工合に思うのですね。ですから、特にそういう点については御注意を願いたいと思う。  それから建設省と運輸省との関係、合同でもって政令等をおきめになるのですけれども、警察関係は、これは仲間に入らぬのですか。
  135. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この法案を今国会に提案する際に、警察庁の方から、意見として警察庁としてこの踏切事故の防止には非常に強い関心を持っておる、また防止方法についても、いろいろ考え方を持っておるから、建設省と運輸省だけでやらないで、警察庁もひとつ加えろという御要求があったわけです。で、それはごもっともでございますが、今の段階で、もう提案するという段階なんで、これをまた変えるということになると、実はその手続に、またひまがかかるというようなことにもなりますので、提案を急いでおりましたので、事実上、われわれが御意見を聞きますということで、そのことを覚書といたしまして、私と保安局長との間に交換いたしております。  で、十分意見は聞きたいと、かように考えております。
  136. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは過去において、たとえばことしの三月の十六日に警視庁の交通部から警視庁として、この踏切の改善の要請がなされておるわけですね。これが運輸省陸運局等の意見と違って、実施に至らなかった、こういう実例があるわけなんですよ。ですから、これから先も、あるいは今の覚書があればいいと思うのですけれども、運輸省の方で指定をしましたが、別に、警察庁の方で別の見解を持って改善を指定する、こういうことがあると、非常に混乱すると思うのですよ。  そういうことは今後ないという工合に考えていいのですか。
  137. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この基準を作ります場合に、十分御意見を拝聴いたしますから、そういう食い違いはないかと存じます。
  138. 大倉精一

    ○大倉精一君 それから第七条と第六条の関係先ほどから、いろいろ質問がありましたが、どうもはっきりせぬところがあるのです。  それで、たとえば能力のないもの、赤字に近いものという、そういう説明でありましたが、これは、どこで否定するのですか、そういうものを査定する窓口は、どこですか。
  139. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 私の方の局でございます。
  140. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは委員会か何か設けるのですか、そうでもないのですか。
  141. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 別に、そういうものは持っておりませんです。
  142. 大倉精一

    ○大倉精一君 実際、これはまあ、こう書いてあるのですけれども、実際に一体どの程度、たとえば赤字のところ、それに近いところ、あるいは非常に弱い企業に対して、工事費は補助するというお考えがあるのですか。
  143. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 来年度予算を要求いたしておりますが、大体総額六千五百三十三万円でございます。その算定の基礎は、補助対象会社約四十九社というふうに考えております。赤字会社が四十社、それから固定資産に対する収益率が五%以下のものが九社、合計四十九社ございます。で、これらの会社で、現に整備を要する踏切道が三百八十七カ所ありまして、これを三十七年、三十八年の二カ年で整備するものといたしまして、三十七年度整備分百九十九カ所の工事費が一億九千六百万円になっておるのであります。  そこで、これに対しまして国の補助率を三分の一と考えますと、先ほど申し上げました六千五百三十三万円になるのでございます。
  144. 大倉精一

    ○大倉精一君 その六千何百万円というのは、大蔵省との了解もできておるのですか、これから予算請求して折衝して取ろうという目標額なんですか、どっちなんです。
  145. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 概算要求をいたしたわけでございます。
  146. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは取れるか取れないかわからぬという金額ですか。
  147. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 法案提出の過程におきまして大蔵省と話しましたところでは、まあ三分の一という線は、大体のんでもらっているのじゃないかというふうな、まあわれわれ受け取り方をしておるのでございまして、問題は赤字会社は、これは別といたしまして、これに準ずる会社を、どの程度まで含めるかということについては、若干意見の相違が出てくるかと存じます。  そこで、大ざっぱに申し上げますと、そういう現実にきまるであろう補助金額とは、大差はないというふうに考えておりますけれども、問題は、大蔵省はそういう算術的に出てくるものに対しまして、すぐ「予算の範囲内で、」とございますので、全般の予算を引き締めなければならぬというようなことで、計算上出てきたものの五〇%しか認めない、あるいは四〇%しか認めないということは、しょっちゅうあり得ることでございまして、そういうわけで、必ずしもこれを全部もらえるということにもならぬかと思います。
  148. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはあとで委員会以外の場所において、もう一ぺんお伺いをしたいと思いますが、それがはっきりしないと、こういう法案を作ってみても、結局これは実効のないものになりはせぬかという気がします。  ですから、あるいはあなたのほうで専門的な立場から、来年度はこれだけ要るのだ、たとえば一億円なら一億円要るのだと言われても、どうも概算要求では、そんなに要求したらまずいから六千万円ぐらいにしておけ、これがまた削られてしまう。そうすると、ここでは五カ年計画をやるというけれども、結局は、赤字企業ないしはこれに近い企業等について、非常に大きな負担をかげながら五カ年でやってしまう。五カ年のワクはきまっており、工事の規模もきまっており、金額もきまっておる。きまっておらないのは補助金だけだということになる。そういうことに疑問がありますから、これは、あとからじっくり聞かしてもらいたいと思います。そうでないと、私鉄経営者が非常に心配しているのは、その辺だろうと思います。衆議院におけるいろいろの経過もあるようですが、この点は非常に問題があると思いますので、これはあとから、またひとつお聞かせ願って、次回にでも、またお尋ねしたいと思います。  それから次には、七条の二項の問題ですけれども、これは都道府県あるいは市町村の予算の範囲内でやる、一部を補助する——これについては、その地方の都道府県の自治体と企業体との自主的な交渉にまかせるのですか、あるいは国として何か世話をするのですか。
  149. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この法案を提出いたします前に、自治省といろいろ話し合いましたが、これにつきましては、自治省のほうから第七条第二項の運用につきまして、地方公共団体、都道府県、市町村に通達を流していただく、こういうふうに打ち合わせができております。
  150. 大倉精一

    ○大倉精一君 通達を流しても、それでもって、一体地方の企業体と自治体にまかしておいてやっていけますか。
  151. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 先ほど申し上げましたように、踏切の改善につきましては、自治省も非常に大きな関心を持っておってくれまして、全面的に応援したいということを申しております。先ほど申し上げましたように、昨日の衆議院の運輸委員会におきましても、その財源描画については特別交付税でみたい、こういうふうなことを言明いたしております。
  152. 大倉精一

    ○大倉精一君 大体、これもどこに何を作るか、どういう企業体が作るかということはきまっておると思いますが、特別交付金の金額は、どのくらいになる予定ですか。
  153. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) その金額は、まだきめておりません。
  154. 大倉精一

    ○大倉精一君 これもまた、一ぺんよく承って聞かぬと、文章だけ作ってみても、さっぱり実効が上がらぬでは、結局また方々が迷惑するので、これ本また、次回にお尋ねしたいと思います。
  155. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 本件の興野は、この程度にいたします。    ———————————
  156. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、船舶職員法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  157. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 船舶職員法の一部を改正する法律案として、今提案になっておりまする本法については、運輸大臣から説明がございました。特に国際競争力の強化をする、また外貨獲得の一手段等から、国策として船舶増強というようなことを打ち出しておられるようでありまして、その結果、企業強化を業者にもしいるという段階になっておりまするので、その一環として船舶乗組員定員の合理化をやろうというのが、業界における意思のようでもありますし、これを政府が取り上げて、この一部を改正するということは、まことに時宜に適した方法で、特に技術向上と相待って、今日の通信技術というようなものは相当に進んできておるのであります。  また、かりにこの合理化によりまして、若干の乗組員を減員するということになりましても、政府が一方造船計画を進めておるということ、並びに今日の倍増計画その他によっての船舶の動きの活発化しつつある現状において減員をするということは、一方乗組員の減員、乗組員の処置等について、とかくいろいろと問題が起こり、自後の処置というようなものが、最も合理的にしかも妥当にできる時期であると、かように判断されるのでありまして、その意味において、この法案自体は、海運政策と相待って、ぜひやってもらいたい、かようにわれわれも考えておるわけであります。  一、二御質問申し上げたいのは、まず第一点、大臣の御説明の中に、従来やっておった乗組員数というようなものが、太平洋戦争中の特殊事情によって、船舶通信士が増員になったということを申されておりますが、それが今日まで、おおむねその体制が踏襲されておるということでありますが、これは太平洋戦争ということの特殊の事情であるならば、当然に、これが済んだ戦争終結後において、これは是正せられるべきであったと思いますが、それが、どうして是正ができなかったかというのが第一点。  それから太平洋戦争での増員は、従来より、具体的に、——大体一船においてでもいいのですが、何名ぐらいふえたのか。その点をお伺いをしたいと思います。  それから第三には、外国の乗組員と比較して上回わっておるということでありますが、外国関係においては、われわれの知るところをもってしても、簡単な船では一名とかというふうになっているというふうに聞いておりますし、この乗員ということから考えて、現在の技術向上によって外国が進んでおるならば、わが国における状態は、どの程度進んでおると認めておるのか。その結果、この法案にありますように、臨時措置程度をやるならば、十分にわが国の技術向上の設備その他によって遺憾はないというお見込みであるかどうか。  それから第四点には、この合理化によって、大体、こういうことをやることは、結局合理化に貢献しなければいかないのですが、全体として日本船舶で何名くらい減員の見込みか、またその企業に及ぼす利益について、どのくらいの貢献があるか、こういうことを、まずお伺いしたいと思います。
  158. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 船舶における無線通信士の乗り組みにつきましては、大正四年に無線電信法が制定されまして、この法律に基づき私設無線電信電話規則というのが、やはり同年に施行されたわけでございます。これによりまして船舶の無線通信士の乗組員がきめられたわけでございますが、その当時は、遠洋航路の二百名以上の旅客船につきましては三名、それから二百名未満の百名以上の遠洋航路の旅客船及び近海航路の五千トン以上の旅客船については二名、その他は全部一名、つまり貨物船につきましては、その大小を問わず、全部一名ということになっておったわけでございます。  ところが、昭和十六年に船舶保護法という法律が施行されまして、それに基づきまして、海軍省令が出まして、海軍大臣の指定する職員を船舶に乗り組ませるということに、昭和十六年になったわけでございます。したがいまして、それによって船舶の無線通信士の定数が具体的に各船別に示されまして乗っておったわけでございますが、昭和十九年にこの当時の乗り組みの状況にあわせまして、船舶職員法改正いたしまして、同時に船舶通信士を正式の船舶職員として法律上規定したわけであります。その昭和十九年の改正によりまして、三千トン以上の旅客船及び五千五百トン以上の貨物船については三名、それからその他の無線電信設備を強制されている船舶については二名、その他は一名ということになったわけでございまして、現在はそのまま踏襲しているわけでございます。具体的に中しますと、五千五百トン以上の貨物船について、今一番問題になっております貨物船について三名、それから千六百トン以上五千五百トン未満の貨物船につきましては、昭和二十五年に電波法が制定されまして、オート・アラーム——自動警急通信装置というものを設置したものについては一名減員いたしまして二名という状態になっているわけであります。  こういう状態で推移しておるわけでございますけれども、終戦後作戦行動の必要性なりあるいは船団航行なりあるいは機雷の危険その他そういう状態がなくなって、常時貨物船に三名程度の通信士を乗船させる必要がなくなったわけでございますけれども、当時の船員は、すべて船舶運営会に雇用されておりまして、その給与支払いその他は、配乗はすべて船舶運営会が行なっておったわけであります。船舶運営会は御承知のとおり、すべて政府の予算でもって運営されておったわけでございます。そこで当然、この減員の必要が生じたわけでございますけれども、御承知のように、開戦当初六百五十万トン程度ありました船が終戦時には百五十万トン程度になってしまった。外航船に至っては、その半数に満たないという状況でございまして、船舶通信士を直ちに減員することは非常な失業の不安を生じさせるということで、そのまま推移したわけでございます。昭和二十四年に船舶運営会が廃止されまして、民営に還元されまして、船舶通信士も、それぞれの所属会社に帰ったわけでございますけれども、このときには、これが具体的な減員の計画が出るというような状態のときには、すでに電波法も施行されておったというような状態でございまして、それが今日までそのまま推移しておるという状況でございます。  それから御質問の第二点の、外国との比較でございますけれども、これにつきましては、御承知のように国際条約につきましては、人命安全条約におきましても、国際電気通信条約におきましても、一名の定員を要求しておるということでございまして、具体的な各国の例を見てみますと、たとえばイギリスにおきましては二百五十人以上の旅客船については三名それからそれ以外の船舶、旅客船については二名、それから千六百トン以上の貨物船については二名、その他は一名というふうになっておりますけれども、警急自動受信機——オート・アラームを装置した場合には、二百五十人以上の旅客船についても二名、それから貨物船については千六百トン以上の貨物船については一名ということになっておるわけでございます。またアメリカにおきましても、客船は二名でございますけれども、貨物船については千六百トン以上二名でございますが、オート・アラームを設置した場合には一名というふうになっております。  それから、外国の状態は、そういうようなことでございまして、昨年日本へ入って参りました外国船について調査いたしたところでも、貨物船六十八隻のうち六十四隻は一名の乗組員でございます。それから四隻が二名の乗組員というような状態になっております。  それから、御質問の第三点の技術的な不安はないかどうかという問題でございますけれども、これにつきましては、現在オート・アラームについて、いろいろ検討されておりますけれども、すでに昭和二十五年の電波法においてオート・アラームが、この法律にとり入れられて、その後、郵政省においても検討を進められておるところでございますし、また技術的な観点から申しますと、無線機器は、その後急速に発達いたしておりますので、この点についても、国際的に見ても不安はないというふうに、われわれ考えております。  ことに日本で建造いたしております輸出船につきましては、日本の無線設備を積み込んで出しておるわけでございまして、それについて、まだ不平を聞いたことがないというような状況でございます。  それから具体的な減員の見込みでございますけれども、現在問題になっております千六百トン以上の船舶につきまして、この法律によりまして減員するわけでございますが、その法律上の定員は二千七百名でございます。これが暫定措置によりますと千八百名になるわけでございます。したがいまして九百名の減員が見込めるというわけでございます。  これによりまして、海運会社の負担は軽減すると思いますけれども、問題は、その具体的な軽減の経費というよりも、むしろ現実は、需給が非常に逼迫しておりまして、すでに無線の義務船舶でない船につきましては閉局しておるものも相当ございますし、また、遠洋から近海、近海から沿海というふうに航行先を変更いたしまして、無線乗組員の義務を免かれているというものが相当出ているという状況でございます。また現在、所得倍増計画によりまして、相当多数の船舶を今後建造していかなければならないわけでございますが、この設備につきましても、今後の建造にあたりまして、大きな設備を船の中に積み込み、またその運営に要する人員の設備もそこにつけるということは、経済的に非常な不利益でございますので、そういう点をぜひともこの際、早急に直していただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  159. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 今の御説明によりますと、大体、この法案に定められたことによってやっていけば、技術的に、またその減員処置についても、非常に緊迫した、むしろ需要のほうが多いというようなことであるということでございますが、この減員自体について、一つ気がかりなのは、気象関係でございますが、政府は同時に気象関係について、いろいろと船舶に負担をかけておるわけですが、この気象事務ということを入れても、なお政府案で十分だとい5お見込みでございますか。その点をお伺いいたします。
  160. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) 気象関係については、これは運輸省内部で十分検討をいたしたわけでございますけれども、現在の三名乗り組みの貨物船が二名になったという場合におきまして、気象通報につきましては、ほとんど影響はないわけでございます。今後三年後に一名になった場合に、気象通報が相当減って参ります。そういう場合に、どういうふうに処置するかという点は、内部におきまして十分検討いたしておりますけれども、こういう船舶通信、船舶の気象通報に頼ってあくまでいくというような方向でいくか、あるいはまた、別途の方向、たとえば基地のレーダー網の設備その他について、もっと検討を加える、あるいは無電の気象通報をするための船舶を必要な場所に整備するというような点について、これはもう気象庁において、検討を加えられておるところでございまして、少なくともこの三年間については、気象通報については、全然問題はないということでございます。  したがって、その三年の間に、今後の施策について十分検討を加えて、必要な対策を立てたいということでございます。
  161. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 もう時間もありませんので、あまり詳しく質問はやりませんが、次回にでもお伺いしたいのは、いわゆる今の通信事業、言いかえれば通信士の業務量ということですね。気象を含めて、大体、どのくらい貨物船ならば、あるいは大型船ならばどのくらいの通信量があるのかという、そういうことを何か数字がありましたら、ひとつ御提出を願いたい。  それから、その通信の設備等について、外国と同一歩調に行っておるのか、行っていないのか。その行っておるものが、大体どのくらいあって……それが減員は差しつかえないという材料になるわけですが、そういう点の数字、ひとつ数字的に少し資料をいただきたいと思います。  以上、御要求申し上げて、私の本日の質問を終わります。
  162. 松浦清一

    ○松浦清一君 海運問題についての緊急質問を行ないたいので、若干の資料を要求いたしますから、早急にひとつ、御提出を願いたいと思います。ちょっとそこに控えて下さい。全部で八つあります。戦標船の解撤比率について大蔵省と話し合いがまとまった結論、この前の通常国会の予算に基づいて戦標船の解撤新造が計画をされまして、最近、大体適格船主がきまったようですから、その解撤比率についても、大蔵省との打ち合わせの際の結論、これが第一。第二は、解撤新造の応募要領ですれ——船主の応募要領、これは海運業者に配付されているはずでありますから、その分でけっこうです。それから第三には、応募要領が決定されました後、海運局から地方に出張されて、業者を集めて説明をされておりますが、その説明要領。それから第四は、船主選考の基準——つまり適格船主選考の基準、その内容は、解撤船の比率、造船所、船価、資金調達の価格等、参考になると考えられる資料を各項目別に取りまとめて提出を願います。第五番目は、最近に内定をした適格船は一万六千八百四十七トンを解撤して、一万三千トンを建造することに内定をしましたが、残りの戦標船は何隻あって何トンであるか、これを計画造船分と特定船舶整備公団分に区分して詳細な資料を提出してもらいたい。この戦標船の問題は、昨年の通常国会でも、いろいろ問題になりましたように、もはやその船体が非常に老朽をいたしまして、使用に耐えないということで、その検査が強化をされて、そのためにこれを解撤して新造していこうという方針が立てられたわけです。この船は、刻々としてその危険度が高まっておりますので、非常に緊急を要する問題でありますから、その資料の御提出を願いたい。それから第六には、アメリカでボナー法が制定されましたが、これによってわが国海運に及ぼす影響があれば、それに対する具体的な資料。それから第七番目は、通産省が石炭対策として立案をされている石炭専用船についての具体的な資料。第八には、専用船ができた場合、既存の内航海運業に及ぼす影響について海運局として考えられる資料。  これはすべて緊急を要する問題でありますから、この会期中における運輸委員会で全部の時間を私に御提供を願いたいと思います。第六以下の問題は、これはもうすぐに日本の国内航路に影響のある問題です。ボナー法の関係、それから石炭専用船の問題も、来年度予算編成に入る前に運輸関係の当委員会としては、十分その真相を究明して対策を考えておかなければならぬ問題でありますから、会期中に委員会の意思として決定はできないまでも、その真相の究明をなすべき必要があります。まことに緊急度の高い問題でありますから御了承を願いたいと思います。ただし、国会運営の都合等にらみ合わせまして、質問をいたしまするときには、運輸大臣その他関係局長の出席を前日要求いたします。
  163. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 委員長より運輸省の船員局長にお尋ねをいたしまするが、ただいま松浦委員から、幾多の資料の御要求がございましたが、これは運輸省におかれまして準備ができますか、どうですか。
  164. 若狭得治

    政府委員(若狭得治君) できると思います。責任者ではございませんけれども……。
  165. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 大体できると思います。
  166. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) それじゃ、そういうふうにお願いをいたします。  さらにまた、松浦委員に申し上げますが、残されましたる運輸委員会の審議の時間を全部ちょうだいいたしたいというふうな、非常に熱烈な御要望ではありまするが、いろいろこの運輸委員会といたしましても、審議すべき案件がまだ残っておりまして、どういうふうに時間の割当をするかという問題等につきましては、後刻理事会に諮りまして御連絡をいたすことにいたします。
  167. 松浦清一

    ○松浦清一君 ただし、踏切道改良促進法案はよろしいし、それから陳情、請願等の問題は取り扱っていただいてけっこうですし、それまで全部くれとは申しませんから、十分理事会において御審議を願いたいと思います。
  168. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御要望の点は理事会に諮りまして、よく検討することにいたします。
  169. 松浦清一

    ○松浦清一君 それから最後に、一つ質問がありますが、来月の初句に日米貿易経済合同委員会があるのですが、貿易経済といえば輸送の問題を度外視して貿易経済を論ずることはできない、その日本側委員の中に、運輸大臣が入っておられぬという理由についてお心当たりがあれば、運輸大臣からお答弁願います。
  170. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) 日米貿易経済懇談会に出席をいたしまする閣僚は、先般この問題がワシントンで決定をいたしました際に、一応決定をいたしております。  ただ、その決定をいたしました後におきまして、運輸省といたしまして、どうしても重要な問題があり、運輸省の担当する大臣が出席をしなければならぬというような場合には出席のできるようにということを閣議で前大臣が保留をしておられたわけでございます。今度の日米貿易経済懇談会は、大体、日本とアメリカとの経済のあり方、協力のあり方等について話し合うということになっておりまして、個々の具体的な問題について、その問題の解決ということについては、あまり触れない、むしろ抽象的な、方針的な大きな話し合いをしようということでありまして、閣僚の数等にも限度をいたしておりまするので、必ずしも運輸大臣が出なくても、包括的に貿易経済ということで話し合うわけでございまするが、企画庁長官なり、あるいは通産大臣なり、また外務大臣等もおりまするので、大体事欠かぬのではないかというので、運輸大臣といたしましては、ただいまのところ出席はいたす予定にはなっておらぬということでございます。
  171. 松浦清一

    ○松浦清一君 ちょっと速記とめて。
  172. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  173. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記起こして。    ———————————
  174. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題といたします。質疑の通告がございますので、この際、御発言願います。
  175. 大和与一

    大和与一君 総理府長官にお尋ねしますが、交通問題、これはまあ日本として非常事態の一つというくらいに言ってもいいのじゃないかと思うのですよ、けさの新聞を見ると。私は、簡単にきょうはやりますから……。交通対策本部というのが、正しい呼び名だと思ったのですが、新聞に、あれこれ書いてありますが、正式の名称は何ですか。
  176. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 交通対策本部、昨年十二月から、そうなっております。
  177. 大和与一

    大和与一君 運輸大臣の出席率はどうですか。
  178. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 対策本部は、本部長として総務長官が当たります。部員としては、関係各省の次官が当たるということになっております。
  179. 大和与一

    大和与一君 そうでなくて、運輸大臣の今までの出席率、満点か、零点でもないだろうけれども、それを聞いているのです、出席率。
  180. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 今申します通り、本部長は総務長官、部員と申しますかメンバーは関係各省の事務次官、こういうことになっておりますので、大臣はメンバーになっておらないのでございます。
  181. 大和与一

    大和与一君 それでは、この前ね、前長官の藤枝さんにきてもらって、いろいろお話を聞いたんですが、まだ、その緒についたというか、ほとんど内容が具体的に機能が発揮されてないと、こう感じておるのです。  それで私は宿題として、きょうの問題には間に合わぬから、少なくとも通常国会というか、それまでに、この日本の困難な交通問題について、交通対策本部が具体的な案をまとめて、わが委員会にもお示しをいただきたい、これを確約していただきたい。こういうのがきょうのおいでいただいた主眼なんです。それに対して、どうですか。
  182. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 対策本部としましても、数次にわたる対策委員会、あるいは粋事会その他各行との連絡会議、こういうことをやりまして、すでに御承知と存じますが、ダンプカーとか、あるいは砂利トラックとか、そういうものの安全運行の問題であるとか、あるいは踏切事故の問題であるとか、時差出勤の問題であるとか、当面する問題について、従来は、そのつどと申しますか、大体やってきたのでありますが、根本的には、さっき申します通り、ただいまの機構が関係各省の次官で構成されておる、こういうことでございますので、現在行なわれておるもろもろの交通に関する施策、これを総合的に調整し、またきまったことについて、各省でこれを実施してもらっていく、こういう程度であります。  そこで根本的に、将来この交通問題をどういう方針で、具体的にどういう方策を実施していくかということにつきましては、現在の交通対策本部の機構というだけでは、必ずしも適当ではないと、かようにも考えておりますし、また両院等におきましても、従来いろいろの点について御注意なり御要望なり、ちょうだいいたしておりますので、きたるべき通常国会には、法律によりまするところの審議会等もぜひ設けていただいて、より高度の立場から、この交通問題について、将来どう対処すべきかということを学識経験のある皆さんの御審議をひとつ願い、またその御答申もちょうだいする、そういう方向で進みたいと、かように考えておるわけでございます。  今お話の交通対策本部として、どういうことを今後やるかという問題については、大体の、何と申しますか、当面する問題についての対策というものは、ある程度できるかと思いますが、この問題は、単に当面する問題ばかりでなく、ときによってはと申しますか、これは官庁の機構の問題にまでも及ばなければならぬといったような性格をも含んでおるかとも思います。  まあいずれにしても、そういう基本的な点につきましては、審議会の設置を待って、ひとつぜひ検討していきたいと、かように考えております。  したがって、当面のことについてのことは、御要望通り提出することにいたしたいと思っております。
  183. 大和与一

    大和与一君 運輸大臣一つ聞きますから、それを聞いたら帰っていいですよ。  けさの、警察庁長官の新聞発表がありましたね。あなたは警察におられて、同じような仕事をしておったんですけれども、この交通陣と——警察の取り締まり情報と、警察官とが仲よくいっている場合と、いかぬ場合とあると思うのですよ、それぞれやっぱり警察は警察としての範囲内の仕事がありますから、そうすると、今この新聞をちょっと見ても、警察の人の言うことは、ともすると、まあ鉄道のほうで、いろいろ運輸省でやっておっても、こんなものをやったって、そんなものは本命じゃない。悪い意味でなくて、こんなものはやはり抜本塞源的な提案をし、具体的にしなければだめじゃないか。自分たちは第一線において、非常に人の扱いに苦労しておるという、悲鳴に似た声も聞くのであります。齋藤大臣は、前にそういうことをよく知っておられるはずだから、今度運輸大臣として、今総務長官のお話によると、新しい形ができると、その場合は、次官にまかせっぱなしの会合でないのだから、そうすると運輸大臣が、この交通問題については一番のイニシアチブをとって、積極的に提案をして、その委員会が、やはり権威あらしめるものでなければだめだと思うんですよ。次官会議、そんなもので、日本の交通問題を処理すると、そんなことをやったってだめですから、その点、運輸大臣の過去の経験と、それから現在の立場の中で、どういうふうな積極的な意図を持って、日本のこの大きな交通問上越を処理しようとなさっているのか。その決意を聞いたら、もう帰っていいですよ、長官に、もうちょっと聞くから……。
  184. 斎藤昇

    国務大臣齋藤昇君) なかなかむずかしい問題で、とっさの答弁をちょっとできかねますが、警察庁長官の談話というのを、私は見出しだけを見たのでありますが、まず第一に、やはり国民全体の協力を得なければならぬ。警察官には、おのずから限りがあるのだから、したがって、大衆の国民の方々の協力を得る。結局これば、よく法律を守ってもらうということだと私は思うのです。  そのほかに、それはいろいろ設備の問題、道路の問題、あるいは運輸省において、なすべき問題等ももちろんあると思います。そういう意味から、関係各省が寄りまして、各省の分担において、先ほど御審議をいただいておりました踏切道の改良促進も、またその一つでありますが、そういう問題がたくさんあるわけであります。大きく言えば、まだまだ施設の問題といたしましては、路面電車の問題、道路の広さの問題、あるいはここを通っている車の数量の問題、また、大量を輸送するのに、今のようなバスを主体にした都市交通でよろしいか、ラッシュ・アワーの際においては、むしろ大童を運び得る鉄道軌道の地下鉄あるいは高架線に変えていくというような、根本的な問題があるわけであります。これらにつきましては、都市交通審議会等において審議をいたしておるわけであります。したがいまして、ただいま総務長官のおっしゃいました交通対策というものについて、どこまで——その施設の面にまで一本の交通計画、運輸計画というところまで入っていくかどうかというところに関係をしてくるだろうと私は思います。大きく言えば、そこまで入るのが適当であろうと思いまするが、さようになりますると、またこれは他の輸送その他との関係をもちまして、交通という面も、交通危需の阻止という而も持ちますが、輸送の問題というものが根本的に入ってくるわけであります。したがいまして、なかなか機構として、あるいは審議会等のあり方といたしましても、非常にむずかしい問題であろうと思いますが、ただいま、次官を中心にして関係各省の集まりの組織を持っておられますか、総務長官とも、よく御相談を申し上げまして、次官のところでは不足であるということであれば、十分検討いたしたい、かように思います。大きな問題になって参りまするならば、関係閣僚が集まって、そして協議をするということも適当であろう、かように考えます。
  185. 大和与一

    大和与一君 もう大臣、けっこうです。  長官にお尋ねしますか、今大臣が、当面はこの程度でやむを得なかった、しかし将来は閣僚会議でも開いてもやるという——もう私は、やっぱり現在そこまで来ているのであって、警察庁長官が、とてもこれは人命、財産に関係あるから、なるべく早く設置したいというのが、私たちの念願なんです。もう警察のほうで先に赤旗をあげちゃって、お手上げだ、これじゃ、本命である運輸大臣なり交通関係の皆さんが、やっぱりそれに応じて、その先を越すように、やっぱり具体的な施策がなされなくちゃならぬと思うのです。  そういう意味で、さっきも一応お願いをしたのですか、前の長官の藤枝さんも、話をすれば、全くごもっともしごくであるということで、ちっとも反抗しないわけです。それで何ができたかというと、今までは、形はあったけれども、極端に言えば、何もできなかった、しなかったというよりできなかったと思うのですね。そう言うだけの話なんだから、委員会でも、われわれ自身も、そのことに対して常に具体的にいろいろ心配をして、協力できることはしておる、したいというふうな気持はあるのですけれども、それを今度総理府でまとめるというところに、もしも意義があるとすれば、あらしめるとすれば、本来であれば、政府自体が、運輸省でやっているだろうし、あるいは関係委員会でやっているだろうし、それをやっているけれども、まだ手が回らない。そこに代表的に、政府が統合して全体にまとまった視野に立って、もっとも適切な試案を出そうというわけなんで、それが屋上屋を架して、ただいたずらに委員会ばかり持ったってだめだから、やっぱりさっきもお話通り、諮問委員会か何か知らぬけれども、その委員会たるものは、内閣が、ほんとうにやってくれる人、ただ名前だけ、何とか教授じゃ困るので、ほんとうにできる人を何人か並べて、それがやはり主になって、軸になって動くという、こういうものを作ってもらわなければならぬと思うのです。  それだから私はちょっと無理、を言うようだけれども、大体、一体今お考えになっている一つの案というものは、いつごろにまとまるものか、まとめたいのか、それは必ず通常国会には一応原案の、案としても、そういう構想は、当然出さるべきものだと思うのですが、その辺のお見通しなり、あなたも非常な御苦労があることは百も承知だけれども、ぜひまとめてもらいたいから、やっぱりその問題、その提案を軸にして、国民全体の問題あるいは運輸関係の全体の問題として、ぜひこれはやらなければ、ほんとうに、安全週間に、去年よりも事故が多いなんという、こんなことばかり繰り返していても、これは何もせぬと同じことなんだから、政府においても、十分責任をお感じになってやってもらいたいと思うのですが、これに対して、長官の御意見を聞きたいのです。
  186. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) 審議会のことでございますが、これは先ほども申し上げましたか、来たるべき通常国会には提案をぜひいたしたい、かように考えております。提出の時期等は、またはっきりいたしませんが、いずれにしても、ひとつ成立さしていただくように提出いたしたい、かように考えております。  また、この審議会のメンバーというものについても、もちろん、まだ具体的に何ら考慮いたしておりませんが、お話のとおり十分権威のあるものでたければならぬということは、私ども、そのとおりと承知いたしておりますし、特にただいまのところ考えておりますのでは、この審議会が、単にときどき集まって相談する、審議するというだけでは、なかなかこの重大問題につきましては事足りぬだろう、こう思いますので、ぜひ相当のスタッフを擁した事務局等もひとつ設けてやっていく、こういうことにいたしたいと、今のところ考えておるわけでございます。  また、その審議の対象事項等につきましても、まだ固まった考えはできておりませんが、これらの点につきましても、十分各方面の意向等も聞きまして、この行き詰まった交通問題でございますから、何とか権威のある方策を立てていただけるような、名実兼ね備えた審議会ができるようにということで苦心をしているところでございます。
  187. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 関連して。総務長官にお伺いしますが、私、この二月に通常国会で、前総務長官に御要望申し上げておいたのですが、今のお話と、大体関連しておりますけれども、現在の小通の行き詰まりにつきまして、いろいろと首都圏の問題、あるいは道路の問題、そういう方面で、だいぶ動き出していることは非常にうれしいと思うのですが、もうすでに現実は行き詰まってしまっておる。特に東京都あたりは行き詰まっておるという状況になっておりますので、これは基本的に打開するという方向を、やはり強く政府が取り上げて、総合的に、何か大きい問題については決定する機関が、実はほしい、交通に関してですね、ということを申し上げておったのですが、今の審議会のお考えでは、たとえば都市交通審議会とかというようなものでなしに、全国の問題であろうと思うのですが、それに間違いないでしょうか。  それからもう一つは、かような場合の選考、特に最近は、委員の選考等につきましては、私は希望を申し上げておきますが、それは、すでに行き詰まったものを根本的に打開するというだけでも、何年もかかるということでありまするが、現実に行き詰まっておる、そういう場合には、すでに警察庁長官が音を上げたというようなこと、これは当然なことで、当時から私は申し上げておきましたのですが、この規制についても、もう少し、各省次官とかという問題ではなしに、都市交通審議会委員の選考になるかと思いますが、今度、委員のあれがあると思いますが、東京都の例で……。そういう場合でも、たいした、いわゆる実力者というものが入っておらぬ。  たとえばバスであるとか、ハイヤーであるとか、あるいはトラックであるとか、自家用車であるとかいうようなものについて、現状を十分に知っている方は、だれもおりはしない。それは学識経験というけれども、その経験のほうに入っているものは、私あまりお目にかからない。理屈は言えるかもしれないけれども、現状が、どうなっているかという問題を知らない人が非常に多い。だから、そういうことで、いやしくも規制に入るということになると、非常に無理ができるのです。また、つまらないところに力こぶを入れる結果にもなる。だからこの場合には、民間の実際の実力者というものを若干、ぜひ加えて、規制の問題等をやっていただきませんと、せっかく警察庁、あるいはまた警視庁あたりを通じて、あるいは運輸省を通じておやりになることが、ちぐはぐになって、結局生きないことになる。  ですから、このメンバーの選考については、ぜひひとつ業界の実力者を、とにかくこの方面の実力者を数名ぜひ入れていただきたい、こう申し上げたいのですが、これに対する御意見はいかがでしょうか。
  188. 小平久雄

    政府委員(小平久雄君) まず考慮中の審議会の性格と申しますか、検討範囲が、都市に限るのか、全国なのか。こういうことでございますが、従来ありました対策本部は、主として都市交通というものを中心に、当面の問題を取り扱って参ったのでございますが、最近におきましては、これを単に東京、大阪といったような大都市ばかりでなく、地方についても、逐次同じような問題が出て参っておりますので、そういう関係で、地方にも交通対策の協議会といったようなもの、答申をするものを、県別に、あるいは地方別に作ってもらうように、今手配をいたしておるのでございます。  したがって、こういういきさつからしましても、これも、まだ正確には今決定ではございませんが、交通の問題が、大都市の内部だけのことでは、なかなか解決せぬ面が非常に多いと思っています。したがって、将来できまする審議会におきましては、当然全国的な規模において御検討をいただくのが、むしろ適当であろう、今のところ、さように考えております。  なお、委員の選考等につきましては、先に申しましたとおり、具体的にまだ、そういうことを考慮する段階に至っておりませんが、今お話のありましたような点につきましては、十分御意見を尊重して、今後対処して参りたい、かように考える次第でございます。
  189. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ほかに御発言もなければ、本日は、これをもって散会いたします。    午後二時八分散会    ————————