○
河野国務
大臣 時間に制約がある
委員会でございますから、あまり長話は差し控えまして、これまでも別の
機会にいろいろ申し上げておりますから、ごく要点だけ申し上げて、あとは
質問に答えたいと
思います。
本
年度の米価決定にあたりまして、米価審議会等の議におきまして、いろいろな従来見ない各種各様の意見が述べられ、しかも
委員の有力な方が辞任をされるというような場合に立ち至った、これらを
考えてみますると、食管制度そのものに対していろいろな角度から検討をされ、いろいろな議論が出てきた結果である。別の
言葉で申しますれば、現行食管制度をある
程度変えなければいかぬのではないかという各様の世論、思惑が各
方面に出てきておるという、この事実は否定できないと思うのであります。
そこで、私も
大臣を拝命いたしましてから、どういうふうにしたらいいだろうかということもいろいろ
考えてみました。しかし何さま
国民全体に影響のあるものでございますから、必要の最小限度、しかも全体の諸君が御了解願えることをやることがよろしいということで、あらためて申し上げますれば、第一は、
生産者価格は絶対に現行法
通りに支持すべきものだ、これは私が申し上げるまでもなく、農村
経済の基盤になることでございますから、これはいかなる場合においても変えてはいけない。これは食管法の精神として、一切手をつけてはならぬ。しかもこの米価を維持する上において、
政府は無制限買い上げをする、収納する、この点も食管法の基本的な精神として方向を変えることは絶対に許されない。
第二番には、この法が消費大衆の生活の安定を意図いたしておりますから、その意味において、消費者価格は絶対にこれを法の規定によって変えてはいかぬ。同様に消費大衆の要求する配給は、絶対にこれを維持しなければならぬ。この四点が、現在食管法に
国民諸君が
生産者といい消費者といい期待するところのものであって、この点についてはいやしくも変更を加えることは許されない。この原則をはずして改善する点はないということで
考えるべきだということが、食管法改正の基本的の
考え方であります。
そういう観点に立ちました際に、御承知の
通りやみ取引されておりまする数量がどのくらいあるか、しかも
政府が配給制度を堅持しておりまする際に、これを辞退、もしくは他の
方面、方法で入手しておられる量がどのくらいあるだろうかということを
考えてみまするのに、大体
生産されまする米の数量が八千万石から八千二、三百万石、これはもうだれも議論がない。そこで
政府がこれを取り扱いまする数量がどのくらいか、おおむね三千七、八百万石から最高四千万石ということになりますと、その間に出てくる米はどういう米が出てくるか、その差額は自家消費と、あとはやみに回る米であるということになりますと、自家消費につきましては、これも先輩、同僚諸君の研究の結果、おおむね四割弱という
数字が大体妥当だろうということは、どなたもお認めになる点であります。そういたしますと、自家消費米が三千万石ないし三千二百万石、その差額千万石前後のものは、いずれにしても
政府が、いわゆる食糧管理統制法の対象としておる米と自家消費との差額というものは、これはやみ取引もしくは何と申しますか、そういうルートで流れておる、移動しておる米ということが出てくるわけでございます。そこで、この一千万石以上のものが現に公正ならざる、法の対象になるような
考え方で取引されておるということは非常に遺憾なことでありますし、またくどいようでございますけれ
ども、本法制定の当時から、食糧の不足いたしております当時から、食管法が初期に対象として
考えました足りないものを公平に配るという時代が過ぎて、今日のように、一応食糧が全体の
国民諸君に不足感、不安感というものがなくなって参っております今日の段階におきましては、この
国民諸君が、不足しておるとか不安があるとかいうことのない段階におきましては、今申し上げました一千万石前後の米を、依然として売らなければならない、買わなければならない、しからざれば処罰するという対象にしておく必要はないじゃなかろうかという
考えのもとに、私は食管法にいうところの、農家は
生産したものを全部
政府に売らなければならぬ、消費者は全部
政府から買わなければならないということが必要でない時代に相なっておるのじゃなかろうかということを
考えまして、今申し上げました一千万石前後、一千数百万石のいわゆるやみ米を、
政府が強力に管理統制の対象として処罰するという規定でもって臨んでおりますものから、はずしてもいいじゃないか、そうして、農民諸君に販売の自由選択権を与え、購入される諸君にもまた購入上の自由選択権を与えてもいいじゃないか。そうすることによって、
生産農民が米価の下落が心配なく、また、常に
政府が無条件で無制限に買い入れをするということによって、米価の維持ができるということであるならば、農家
経済の点からは何らの不安がないのみならず、進んでこれが
政府が決定した価格よりも、現在やみ値、将来上値の自由価格でもし
生産者が消費者の要求に応じて売ることができるならば、それだけ農家所得がふえるじゃないか、というような意味合いから、私はこういう点に改善を加えて、そうして実は、現に農村に
生産したものは
自分に販売、処分の選択権がないと規定せられておるもの、消費者もまた購入の選択権がないというようなこの法律の規定を、むしろ逆に、
政府が農民に対して無制限に一定の価格で購入いたしますという、
政府が義務の立場に立ち、また消費者に対しても一定の価格で配給いたしますという、従来の
国民が義務を負い、
政府が権利の立場にあったものを、
国民と
政府との権利義務の観念を入れかえて、そして、むしろ
政府が
生産者にも消費者にも義務を負うという立場に変えることによって、支障がなく所期の目的が達せられるならば、変えた方がいいじゃないかという構想のもとに、せっかく具体案を練っておるというのでございます。ただし、私はこのことたるや、消費者におきましても
生産者におきましても、すべての諸君が理解と協力ということなしには
政策の遂行は困難でございます。そろばんが机の上ではいかに合いましても、それは机の上のそろばんであって、実際これを運用いたします場合には、大衆の協力がなくてはできません。従って、私は、
国民諸君に十分なる御
批判と御検討を賜わりまして、幸いにして大方の諸君の御協力、御理解を得られるならば、実行いたしたいというのが現在の私の心境であり、段階でございます。
なお、その他につきましては午前中に申し上げました。