○佐藤国務大臣 だいぶん時間がない結果か、盛りだくさんでございましたが、あるいはもし落ちておりましたら追加させていただきます。
第一に、設備投資抑制、これが自由化に対処する場合にうまくいくかどうかという御指摘であったと
思いますが、申すまでもなく、設備投資の抑制にあたりましては、私
ども直接生産に
関係ある部門はあとにするつもりでおります。先ほど
総理との
お話の間にもありましたように、まずこの際に拡大するというような点は抑制をいたしますが、いわゆる設備投資のうちにも、直接生産に直結しない部分も相当あるわけであります。たとえば社屋の建設等、こういうものがまず第一に抑制の対象になってくる。今日まで鉄鋼業界その他の業界と話し合いを進めておりますが、今予定されております一割削減というか、そういうことには各界の協力を得つつあるように
思います。また、この設備投資の場合に、私
どもが特に気をつけなければならないと
思いますのは、中小企業の部門において、産業の近代化等、これには設備投資が十分効果を上げ得るように、抑制もそういう点で実態を十分把握していきたい、かように実は
考えておるわけでありまして、この指導もただいまそれぞれ軌道に乗りつつあるように
考えます。また、エネルギーの面におきましても、設備投資の面では、私
どもが特別に工夫を要するように
考えております。
第二の
お尋ねの、差別待遇をしている国に対してはいかなる処置をとっていくかということでございます。もちろん貿易の基本的な原則は相互
主義であるということが、これはあらゆる場合に
主張され得ることでありますし、もうこれは
国際上の大原則でございます。従いまして、当方といたしまして差別待遇を受けておりますものに対して、相互
主義の原則に立って話し合いを進めてみたい、かように思っております。当初予定いたしました十月一日から実施する自由化の品目のうち、すでに欧州等差別待遇をしておる国に対して、これに対応する処置をとろう、かように
考えましたが、
新聞記事等であるいは報復の処置というような記事が出まして、これは大へんまずいことで、私
ども、報復じゃなくて相互
主義に立つということでございまして、これらの
国々とは外務省が交渉を始めまして、十、十一月の二カ月の間に、相互
主義の原則に立つ、そういう解決の方法でただいま交渉することにいたしております。従って、十月に予定した自由化の品目のうち、一部は十二月一日まで実施をおくらした、かような
状態になっております。これも御了承いただきたいと
思います。
また、
アメリカの、バイ・
アメリカンあるいはシップ・
アメリカンの問題でございますが、これな
ども、相互
主義の原則に立って貿易を拡大するという立場になりますと、いろいろの議論があり、
アメリカ政府自身も、ドル防衛の当初に申した点からは相当後退しておるようにも見受けております。従いまして、十一月に開催されます日米合同
委員会等におきましては、これらの点についてもさらに懇談を続けていくつもりでございます。
また、自由化と、かように申しますと、関税も、あるいは数量の制限等も一切やらないかのように一部で
考えておりますが、特別な品種のものにつきまして、関税なりあるいは数量制限等の
考え方、これはもちろん
わが国産業の育成の見地から必要なことだと
思いますので、具体的に対処して参るつもりでございます。
また舶来品にかえて国産品愛用の
運動を展開してはという
お話でございますが、これはPRを十分にすることによりまして、
国民の協力を得ることが必要だと
思います。ことに高級品は舶来品だというような
考え方は、今日の
状態においては私
ども納得がいかないのであります。ことに、御指摘になりましたように、国産機械の優秀性、これは特に私
どもが
国民の間にも呼びかけたいし、今後の輸出の品目といたしましても、機械類の輸出に特に力を入れるつもりでございます。ただ
お話がございましたように、国産愛用についての法律を用意してはどうかという御指摘でございましたが、ただいまの段階では、そこまでは参っておりません。各団体等の協力を得まして、十分国産愛用の効果が上がり、外国品にとってかわる、こういうような
状態を作りたい、かように実は思っておる次第であります。
また自由化について、中小企業についての特別な配慮は、先ほどちょっと触れましたが、同時に私
どもが特に自由化の際に気をつけなければならないものは、石炭の問題であります。石炭の問題につきましては、過去におきましても、石炭産業に対する特別対策を樹立いたしまして、今回はその内容を充実することによりまして、ある程度対処できるのではないか、こういう
考え方もございますが、どうも急激に、しかも非常に短期間の間に効果のあるような処置をとる、そのためには
政府全体がこれと取り組むことが必要であろう、かように
考えまして、
政府部内に石炭
関係閣僚
会議を設けることにいたしまして、そうして基本的対策について十分検討を続けて参る。さらに、その内容の充実をはかっていきたい、かように
考えております。今日までとりました大綱なるものは、申すまでもなく、ただいま御指摘になりましたように、三十八年度以降五千五百万トンの数量、これは絶対に確保する。その場合に千二百円の炭価の引き下げ、この基本線は守り抜いていく。業界におきましても、この点においては一応御了承を得ておるようであります。ただ最近の物価変動、あるいは炭価形成の各条件等が相当悪化いたしておりまするから、経営者側においてもさらに合理化を進めないと、千二百円の炭価引き下げはなかなか実現が困難ではないかと
思います。そういう場合の基本の
考え方として、スクラップ・アンド・ビルドと申しますか、非能率炭鉱の廃止等の計画の実施を進めて参りまするし、また長期にわたっての石炭の引き取り契約、これは行政指導でいたすつもりでございますが、大体石炭の七割程度を電力その他で引き取らす長期契約を実施いたしたい、かように
考えております。
また当然に予想されます離職者対策、しかも今回の離職者は中高年層であるだろう、かように
考えますと、これについても特別な方途を
考えなくてはならない。あるいは産炭地振興についての事業団等も計画いたしておりますが、これももちろん
政府部内でさらに十分検討を要する問題のように
思います。
また石油と石炭との問題でございますが、この基本的な
考え方では、
総理も本
会議で表明されましたように、安い石油と、また炭価を引き下げるといたしましても、これと比較すれば高い石炭、それをそのままの姿で競争さすということは、私
どもも必ずしも適当でもないと
思いますが、安いものは安くあり、また高いものは高くあっても、総合的にエネルギーを使用することによって、双方でコスト・ダウンも可能ではないか、石炭のコスト・ダウンも可能ではないか、こういう総合的対策を樹立したい、かように
考えております。
また、石油の問題につきまして、特に国産石油、
国内の石油あるいはアラビア石油、スマトラ石油等の
民族資本によるものと、外資系との調整の問題、これは今後の私
どもが取り組む大きな課題になっております。この点につきましても、自由化計画の
一つとして、来年の十月を目途にして計画をいたしておりますが、これに対処する場合に、関税その他と結び合わして
考えていきたい、かように
考えます。