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1961-10-27 第39回国会 衆議院 本会議 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十七日(金曜日)     —————————————   昭和三十六年十月二十七日    午後二時二十分 本会議     —————————————  〇本日の会議に付した案件  日本放送協会経営委員会委員任命につき事後の   同意を求めるの件  国家公安委員会委員任命につき事後承認を求   めるの件  運輸審議会委員任命につき事後承認を求める   の件  労働保険審査会委員任命につき事後承認を求   めるの件  公正取引委員会委員任命につき事後承認を求   めるの件  社会保険審査会委員任命につき事後承認を求   めるの件  科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件  日韓会談再開に関する緊急質問松本七郎君提   出)  株価対策に関する緊急質問春日一幸提出)  株式市場混乱とその対策に関する緊急質問(平   岡忠次郎提出)  臨時行政調査会設置法案内閣提出)  災害対策基本法案内閣提出)  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する   法律案塚原俊郎君外三十六名提出)  積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関   する特別措置法の一部を改正する法律案(建   設委員長提出)  畜産物価格安定等に関する法律案内閣提   出)  大豆なたね交付金暫定措置法案内閣提出)    午後二時三十七分開議
  2. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) この際、御紹介申し上げます。ただいまカナダ首相ジョンGディーフェンベイカー氏及び同夫人が貴賓席にお見えになりました。(拍手)本院に御夫妻をお迎えいたしましたことは、まことに喜びにたえません。ここに、諸君とともに心から歓迎の意を表します。(拍手)      ————◇—————  日本放送協会経営委員会委員任命  につき事後同意を求めるの件  国家公安委員会委員任命につき事後承認を求めるの件  運輸審議会委員任命につき事後承認を求めるの件  労働保険審査会委員任命につき事後承認を求めるの件  公正取引委員会委員任命につき事後承認を求めるの件  社会保険審査会委員任命につき事後承認を求めるの件
  4. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) お諮りいたします。内閣から、日本放送協会経営委員会委員岩木正樹君、岡田禎子君、勝沼精藏君、濱田成徳君、国家公安委員会委員に小汀利得君、運輸審議会委員相良千明君、労働保険審査会委員百田正弘君、公正取引委員会委員鈴木憲三君、社会保険審査会委員赤松金雄君を任命したので、それぞれその事後同意または承認を得たいとの申し出があります。右各件はいずれもその申し出通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、その通り決しました。      ————◇—————  科学技術会議議員任命につき同意を求めるの件
  6. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) さらに、科学技術会議議員田代茂樹君、丹羽周夫君を任命したいので、科学技術会議設置法第七条第一項の規定により本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出通り同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日韓会談再開に関する緊急質問   (松本七郎提出
  8. 田邉國男

    田邉國男君 緊急質問許可に関する動議提出いたします。  すなわち、この際、松本七郎提出日韓会談再開に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  9. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  日韓会談再開に関する緊急質問を許可いたします。松本七郎君。   〔松本七郎登壇
  11. 松本七郎

    松本七郎君 私は、日本社会党を代表して、日韓会談に関する緊急質問を行なわんとするものであります。本日は時間も少のうございますし、いずれ近く、あらためて外務委員会において詳細に質問を行なう約束になっておりまするので、ここでは基本的な大筋についてのみ、池田首相所信をただすことにいたします。総理においては、今後の審議のためにも、国民疑惑にこたえるためにも、いいかげんなごまかしでなく、誠実にして明快な答弁をされるよう特に要望しておきます。そもそも、日韓会談は戦後処理のためのものであります。そこで、日本朝鮮との間における戦後処理で最も大切なことは何かと申しますならば、言うまでもなく、過去の植民地支配への反省から出発しなければならないということであります。(拍手)しかるに、今までの日韓会談ですら、日朝民族の平和、平等、友好をはかるという真の基盤から遊離したものであったのです。ここに社会党が反対してきた根本の理由があります。  十年前の一九五一年十月に、マッカーサー元帥の指令によって開かれました日韓予備会談以来今日までの経過を顧みて、すべての会談に共通して言えることは何かと申しますならば、それは米国植民地体制危機に際して、アメリカの仲介とその積極的な働きかけによって会談が開かれてきたという点であります。その経過が示す通りに、日韓会談は、米国極東政策に奉仕する性格のものと断言できるのであります。(拍手)特に、今回の会談は、日朝民族間の友好増進というペースで行なわれているのでは断じてありません。韓国反共の壁にしようとする政府自民党の意図が露骨に現われております。ポツダム宣言にいう全朝鮮独立韓国民感情も忘れ去り、アメリカ日本極東における反共のとりでを、韓国民犠牲の上に築こうとしているのが、今次会談性格であることは明瞭であります。(拍手)  このことは、最近の日韓両国首脳発言の中に符節を合わせたように端的に現われております。  まず藤枝防衛庁長官は、金裕澤企画院長官に対しまして、日本防衛計画を作るためにも、韓国実情を知ることが必要であり、招きがあれば自衛隊幹部韓国に派遣したいと言っております。その後、韓国から招きがあったのでございまするが、ちょうどそれが十月一日で、国軍の日に当たっており、台湾、南ベトナムの軍人も招かれておりましたので、これらと一緒では国民感情を刺激してまずいと考えたために、これをやめたのであります。しかし、藤枝氏は、韓国人の記者に対しまして、機会があれば行きたいということをはっきり言明されております。また小坂外務大臣は、今国会外交演説の中で「韓国運命は直ちにわが国運命に影響すると申しても過言ではないのであります。」と強調して、運命共同体論を展開しておるのでございます。池田首相もまた、九月二十九日の本院本会議における成田議員質問に対しまして、「私は、日本韓国との従来からの関係、また、将来も離るべからざる関係でございますので、日韓関係交渉を進めて参りたいと思います。」と答えております。  これら政府高官言動韓国側にはどう受け取られているか。まず注目すべきは、韓国の=首席代表の第一回本会議におけるあいさつです。ここで=首席は、次のような理解のもとに、日本政府首脳言動を賞賛しておるのでございます。すなわち、彼はこう言っております。「韓日両国は、激動する国際情勢もと極東における二つの自由陣営国家として、漸次増大する共産主義の脅威のもとに、お互いに緊密な関係を保つ必要が、いつどのときよりも切実な状態にあります。」と前提いたしまして、これに続いて、「韓日両国政府国民は、こういう緊密な提携の必要性を十分に認識しておりますが、特に、日本指導者方が最近この点を強調しておられることは、韓日両国の将来のために喜ばしいことだと考えざるを得ません。特に、池田首相閣下が去る九月二十九日に行なわれた御発言は、韓国政府国民によき印象を与えました。」このように発言をしております。しかし、=首席にほめられたからといって、池田首相閣下、喜ぶのは早過ぎるのです。すでに、韓国内でさえ、日米動きに深い疑惑を呼んでおります。韓国日報によりますると、「米国日本韓国に臨んでおる態度は、十九世紀から二十世紀初めの帝国主義国市場分割と同じものを感じさせる」と、激しく非難しておるのであります。(拍手韓国政府は、従来日、韓、台を結ぶ軍事同盟の必要を強調して、おりました。しかし、最近は宗首相は、「形式はどうでもよい、韓、日、台が精神的に統一して実質的に同盟すればよいのだ」と言明しております。この発言日本政府発言とを思い合わせてみまするならば、今次会談が、実質的NEATOに通ずるものであることは明瞭であります。(拍手)今、日韓両国政府がこのようなイデオロギーに立って会談を進めようとしていることは、日独伊国同盟時代外交の再現ではないか。いかにリバイバル時代とはいえこればかりは両国民の名において断じて許すわけにはいきません。池田首相がこれを否定されるのならば、われわれの納得いくだけの具体的事実をもって説明されてほしいのであります。  次に、政府は、朴政権をどのように評価されておるのか。池田首相は、朴政権をもってほんとうに韓国民意を代表する相手として交渉を進められるのかどうか、これを明らかにされたいのです。朴政権が何ら民意を代表しないばかりではなく、非合法的全体主義政権であり、しかも、あすも知れぬ不安定政権であることは客観的事実であります。  私は、本日ぜひ池田首相猛省を促すために、米国外交協会で発行しておりまするフォーリン・アフェアーズの十月号に載っておる「南朝鮮における失敗」と題する論文の一部を引用したいのです。フォーリン・アフェアーズと申しますならば、これは岸前首相総理時代渡米直前に、岸首相の書いた論文が掲載されたというので、外務省が小踊りして喜んだ権威のある外交専門誌でございます。ここに引用しようという論文は、現在の大使であるライシャワー氏が教授時代にその下で助教授をしていたハーバード大学のエドワード・W・ワグナー氏の書いたものですから、まさか権威がないとは言われますまい。  まず、ワグナーは冒頭にこう言っております。「米国が協力しているのははっきりした全体主義的な政権である」こう断定して、続いて、「反共を一番やかましく叫んだ政治家米国当局者の支持を得た」とも書いております。さらに経済について、過去の失敗あるいは腐敗ぶりをいろいろと述べた後に、「これからの見通しも、これまでの実績に劣らずわびしいものだ、中でもひどいのは経済問題だ」「南朝鮮経済的奇跡可能性が全然ないことは明瞭である」といっております。こうしてワグナーは、朴政権の実体を次のように的確に評価いたしておるのです。「南朝鮮軍事政権ができてからの実績から見て、南鮮が切望していたような指導が実現するという希望はほとんどない、韓国民主性は事実上廃棄され、行政立法、司法の権限は、すべて国家再建最高会議に集中され、一切の結社と言論の自由は弾圧されている」また続いて「相次ぐ弾圧のもと経済界は不安のため活気を失い、経済活動下降状態にある」と喝破しております。まだまだ多くの手きびしい批判が出ておるのでございますが、時間の関係で省略します。  ただ、こうした批判が間違いではないということは、韓国自身の統計がそれを裏づけておるのです。ことに注目すべきことは、軍事政権成立以来、韓国のインフレの危機が一そう深刻となってきている点であります。その成立以後、通貨発行量は急激に増加して参りまして、八月末には二千七百六十億ホワンとなっております。今年初めに政府が算定いたしました本年末の通貨安定線というものがあるのでございまするが、その線をすでに八月末で大幅に三百三十億ホワンも突破してしまっております。これは重大な事態なのです。このような事態のために、軍事政権が十月以降通貨発行量の報道を禁止したのです。このような事実を、池田首相初め政府・与党の責任者はどう見ているのか。韓国情勢に対する見通しがあまりにも甘過ぎ、将来に大なる禍根を残すものと私は判断するものでございまするが、この点についての首相答弁を求めるのでございます。  また、クーデターによるかかる軍事政権は、明らかに一九四八年十二月の国連総会決議に違反しております。すなわち、軍事政権は、この決議にうたっております「選挙民自由意思の表現」とは何の関係もないのです。また、韓国米国との間の各種条約や協定によりまして、国家予算編成権を初め、軍事経済の一切の主権がアメリカに握られております。従って、韓国政府は、独立国政権とは認められない。これは非合法的な一地方政権にすぎないのです。かくのごとき不法性、非独立性、反民主性を持った政権相手に、日本国民運命にかかわる重大会談を遂げんとする暴挙は直ちに打ち切るべきである。首相責任のあるこの点に関する答弁を求めます。(拍手)  政府が、真に日本国民韓国民利益を考えるならば、この際、韓国余剰農産物処理場と化したアメリカの対韓政策根本的変更をこそ求むべきではないかと思うのです。この会談を妥結させて、韓国民利益を求め得る保証が一体どこにあるのか。ワグナー助教授も指摘しておりますように、米国韓国に対する四十億ドルに上るところの援助は、全くむだであり、失敗であったのです。米国は、自分の失敗に手をあげて、今度は日本にその肩がわりをさせようとしておる。これこそ池田ケネディ会談ではなかったのか。また、十一月二日から開かれる日米貿易経済合同委員会の隠れた主要議題は、韓国に対する日米両国経済援助計画にあるのではないか、これに関連して政府は、韓国実情を一体どのように把握しているのか、十一月二日から開かれる合同委員会には、とのような姿勢で臨もうとしておるのか、この際、明らかにすべきであると思います。  小坂外相は、昨年韓国に行きましたときに、秋にも解決できるというようなことを言っております。そして、張勉政権安定性についても観測を誤っておったのです。自民党訪韓議員団が帰国いたしまして、そうして張勉政権は安定していると語った翌日には、クーデターが起こっておるのでございます。(拍手杉代表を選任したことにつきましても誤りを重ねております。見通しは、こうして次々にはずれておる。このままでは第二のクーデターあるいは第二の杉事件が起こらないとの保証はありません。めくら外交もはなはだしいといわなければならない。今後再びこのような見通し誤りを犯した場合、首相は、国民に対しいかに責任をとるのか、この際、明示すべきであると思います。  政府は、事務折衝と並行して政治折衝をするということが伝えられておるのでございますが、政治折衝とは一体何か、たとえば、請求権問題で具体的根拠ある煮詰め方をしないで、例のベトナム賠償同様に鶏三羽に二百億式の方法をとる動きありと伝えられております。また、漁業問題の解決の熱意が消えたのではないか、このような憂慮が山口、福岡、長崎諸県の漁船員やその家族から起こっておるのです。反共の前に国民具体的利益犠牲にしているといわなければなりません。この際、首相は、李ライン完全撤廃なしには国交正常化はしないと断言できるのかどうか、明確に御答弁をしていただきたい。(拍手)  まだあやしげな動きがいろいろあるようです。朴正煕議長に次ぐ実力者で、秘密警察最高責任者である金鍾泌情報部長初め、外交担当者でもないいろいろな人物が相次いで来日いたしまして、これまた外交筋でもない吉田、岸、石井といった人々と会っております。これは明らかに裏口外交であり、やみ取引であるといわなければなりません。(拍手)このような動きをそのまま放置してよいものか、首相所信を聞きたいのです。  また、このような動きは、懸案の完全解決後に国交正常化をし、その後経済協力という筋も投げ捨ててしまって、なしくずしに日韓反共結び着きを実現しようとねらっているものであります。特に金情報部長動きは、事実上政治折衝に入っていることを示しているのではないか、今回の日韓会談に際しては、国会承認を得ずしていかなる措置もとらないということを、この際はっきり約束すべきであると思います。  池田内閣は、激しい国民的抵抗を予想して、動揺しながらも内外の圧力に屈して会談の推進に踏み出したようでございます。来月一日のラスク長官との会談朴正煕議長の訪米あるいは訪日、これらは日韓国民意思を無視して、強引に反共軍事体制確立のための会談に突進せんとするものであります。池田首相は、今こそ決断をもって外部の圧力を排し、韓国ロビーの陰謀であるといわれておるこの日韓会談を即時取りやめるべきであると思います。もし、このわれわれの警告を無視して強行するようなことがあれば、諸君も御承知のベトナムやあるいは安保闘争にまさる大闘争が展開されるでありましょう。このことを重ねて私は警告し、首相猛省を促して、質問を終わるものでございます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  12. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  御質問の第一点は、東北アジア条約機構NEATOの問題であったと思います。この問題につきましては、具体的な話は何もございません。単なる松本君の想像から出たことと私は考えますので、お答えはいたしません。  第二の、韓国政権性格いかんという問題でございます。御承知通り、一九四八年十二月の国連総会におきまして、今の韓国政府合法的政府と認められておるのであります。従いまして、三十四ヵ国の国連加盟国がこれを承認いたしております。しこうして今の朴政権は、二年間後に文民政府に復帰すると宣言いたしまして、国連憲章の原則を守ることを約束いたしておるのであります。従いまして、われわれは、合法的な政権から次の文民政権に移る暫定政権として、これを相手として交渉しようといたしておるのであります。  次に、今の韓国の現状はどうか。もちろん相当経済的に困難な状態にありまするが、今の軍事政権は、経済建設、民生の安定に積極的努力をあげて、だんだんその効果を見つつあるのであります。従いまして、われわれといたしましては、隣国の韓国国交正常化することは、国民大多数の意見であり、わが国の将来に最も必要であると考えて、交渉を開始しておるのであります。(拍手日韓国交正常化は、外国の圧力に屈してやっておるものでないということをはっきり申し上げておきます。(拍手)  なお、交渉の内容につきましては、せっかく折衝を重ねておりますので、ここで申し上げる段階ではございません。(拍手)      ————◇—————  株価対策に関する緊急質問春日一幸提出
  13. 田邉國男

    田邉國男君 緊急質問許可に関する動議提出いたします。  すなわち、この際、春日一幸提出株価対策に関する緊急質問、及び、平岡忠次郎提出株式市場混乱とその対策に関する緊急質問を逐次許可されんことを望みます。
  14. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  まず、株価対策に関する緊急質問を許可いたします。春日一幸君。   〔春日一幸登壇
  16. 春日一幸

    春日一幸君 私は、民主社会党を代表し、今回の株価暴落について、政府に対し、緊急を要する諸問題について質問を行ないたいと存じます。(拍手)  株価は、七月の新高値を頂点として、自来、大暴落に陥り、ために、証券業界産業界もとよりのこと、広く大衆投資家は、まさに恐怖的衝撃を受けつつあるのであります。一体、ここ数年来高らかに喧伝されたあのような証券ブームが、かくも急激にくずれ去ったその原因は何であるのか、またその責任の所在はいずこにあるのか、しこうして、この異常事態を収拾するために、池田内閣のとらんとする当面の対策は何か、加えて証券市場に再びかかる波乱を生ぜしめないための恒久的施策は何か、事態の緊急かつ重要性にかんがみ、総理並びに大蔵大臣より、それぞれ責任ある御答弁を願いたいと存じます。(拍手)  まず第一に、株価暴落原因とその緊急対策について伺います。  御承知通り株価は、七月十八日のダウ千八百三十九円の最高値から、この間、若干の起伏はありましたけれども、昨十月二十六日には千三百四十九円四十八銭と、その値下がりは、実に四百八十九円五十二銭、二六・六%の大暴落を演じておるのであります。すなわち、七月十八日の株式時価総額七兆二千六百億円見当のものが、現在は五兆三千三百億円見当値下がりをいたしまして、その差損額は一兆九千三百億円という、まさに本年度のわが国予算総額に匹敵するほどそれは巨額なものであるのであります。  ここに、この値下がり金額株式分布別に区分けいたしますならば、個人所有のもの、三兆二千八百億見当のものが二兆四千億見当と、その値下がり額は八千八百億円、投信所有のものは、七千七百億円見当のものが五千六百億円見当と、その値下がり額は二千一百億円、証券業者所有のものは、二千億円見当のものが一千四百億円見当と、その値下がり額は六百億円と、それぞれ推算されておるのでありますが、このことは、今後わが国国民経済の各般にわたり影響するところ、きわめて甚大なものがあろうと思うのであります。実に、この一兆九千三百億円という国民の資産が、ここ三ヵ月の間に行方も知らず、それは文字通り雲散霧消してしまったのでありまして、当事者たちは、何か異様な災害に見舞われた被災者のように、ただ、ぼう然と立ちすくむばかりであります。  池田総理並びに水田大蔵大臣は、一体この事態を何と見るか。新聞論評を初め世論は、この原因をあまねく論究いたしまして、これを池田暴落と銘を打ち、池田内閣責任を鋭く追及しているところであります。すなわち、所得倍増高度成長政策でそのスピードに拍車をかけておいて、国際収支逆調にあうや、突如として総合引き締めの急ブレーキをかければ、ある者は転倒し、ある者はぶつかり合って、それぞれが大きな傷害を受けることは、けだし当然のことであります。すでにしてその犠牲として気の毒な自殺者すら出たのでありますが、この上、破産、倒産が続出した場合、はたして池田内閣責任はどのようなものでありましょうか。すべからく政府は、自説や行きがかりに固執することなく、われらが当面する国民経済の実相を誤たず認識されて、その主張や抱負がいかがあらんとも、その施策のために一人の生命も縮めるべからず、一個の財産もそこなうべからず、国民尊厳の憲法のもと政府はその分限を忘れずに、今こそ責任をもってその対策を講ずべきであると思うのであります。  政府は、このほど、証拠金率の引き下げ、代用証券の掛目の引き上げ等信用取引規制緩和を中心として、その他二、三の措置をとりはいたしましたが、事態のいよいよ深刻なるにかんがみ、これをもって能事足れりとせず、この際、さらに実効ある総合的対策を即刻に打ち出すべきであると考えるが、政府の御方針はいかがでありますか、大蔵大臣よりその具体策をお示し願いたいと存じます。しこうして、その原因と、この結果を冷厳に見比べられて、総理は、この事態を収拾するためにいかなる御決意をお持ちであるのか、あわせてその所信を表明いたされたいと存じます。(拍手)  なお、今回のこの株価暴落は、直接的には池田内閣政策衝撃によるものとはいえ、同時に、その一半の原因は、現行証券行政の随所に、憂わしきその病根を伏在せしめておることにありと思われるのであります。すなわち、現行証券業界の実態は、証券取引法の目的やその精神からいつしか隔絶し、今や証券取引所の運営は、実質上、一部巨大業者の恣意にゆだねられて、その機能はそこなわれ、その公共的使命ははなはだしくゆがめられるに至りました。これことごとく必要なる立法措置行政措置を怠り、かつ、誤った政府責任でありまして、今回投資家大衆のこうむった損害の大きさにかんがみ、政府のこの過怠は最も強く糾弾されなければ相なりません。私は、証券取引法がいうその目的を達成するためには、しこうして今後このような異様な変動をなからしめるためには、この際、証券行政の各般にわたり、根本的大改革を断行する必要があると思うのであります。  以降、その最も重要なる諸点を指摘して、政府の所見をただしたいと存じます。  まず最初に、証券会社の行なう誇大な宣伝広告の取り締まりについて伺います。  ここに証券業者は、今日までピープルズ・キャピタリズムとかマネービルとか、特に証券貯蓄などをキャッチフレーズにして宣伝力を縦横に駆使して、あの証券ブームの造成に狂奔して参りました。なかんずく四大証券は、あらゆる宣伝のじゅうたん爆撃に加えて、さらに数万人に上るセールスマンの人海戦術を併用して、大衆投資家を誘引し激しくかり立てて参りました。それは、四大証券の決算書が、一社当たり年間宣伝広告費を、少なきといえども六億円、多きは十億円を計上していることが、雄弁にこれを立証するところであります。大衆投資家は、かくのごとくにして、証券貯蓄なる魔性の文句に魅せられて、株式や投信の顧客となったものであります。  今日、全国上場会社の個人株主数は、その実数ほぼ五百万人と推定されておりますが、この個人株主の五五・八%、投信所有者の六三・六%は、年収六十万円未満の中級サラリーマンの家庭人であるといわれておるのであります。ここにこれら善良なる家庭人たちは、証券業者の猛烈なる勧誘に従った結果として、このように甚大なる損失をこうむりました。このことは、明らかに証券業者が、あたかも「株は買えば上がるもの」と大衆を誤認させるほどの、強烈にして印象的な誇大宣伝を行なった結果でありまして、今次の株価の大暴落原因がいかがあれ、かかる誇大広告は、一般大衆の判断を誤たしめる基であって、これは証券業者の重大なる背信行為と申さねば相なりません。まことに証券貯蓄というようなキャッチフレーズは、株式の本質と株価騰落の実績にかんがみるならば、これは不実の表現と断ずべく、本来、株式は貯蓄性のものというより、より多く投機的性向を持つものであることは明瞭であります。すべからく政府は、この種の誇大広告は、今後厳重に取り締まるべきものと考えるが、政府の方針はいかがでありましょうか。  なお、証券業者が注目株、有望株、特選株などといって、大衆投資家に盛んに株を推奨しているが、これには推奨する前に極秘裏にその銘柄を買い集め、その値段を引き上げたところでこれを売りさばくというからくりが介在し得ることを見のがしてはなりません。このようなことは、推奨株の名によってその株を大衆に高値でつかませることにほかなりません。かくのごとき投資家を食いものにするようなおそれある行為は、大衆投資家を保護する立場において、これまた、今後は厳禁すべきであると思うが、政府の見解はいかがでありますか、大蔵大臣よりあわせて御答弁を願います。  次は、証券業者の職能分離の問題について伺います。  現行法上、証券業者は、一定の要件を備えれば、引受業務、分売業務、委託売買業務、自己売買業務のそのことごとくを兼営できる建前になっているのであります。さらに加えて、投信業務は形式上分離されはしたものの、その実体は、証券業者が委託会社の株式を一〇〇%保有することによって、依然として証券業者がこれを牛耳っているのであります。現に四大証券はオールマイティで、これらことごとくの業務を証券百貨店のごとくに兼営し、これによって社債の引受及び売出手数料、投信手数料、委託売買手数料、自己売買益、信用取引関係利益等莫大な利益をおさめ、現にあのようなマンモス的成長を続けているのであります。  かくて、四大証券は、東京証券取引所における株式売買高の七〇%、公社債引き受けの八〇%、累積投資の九〇%を独占しているのであります。このため、四大証券と中小証券との格差は、雪とたどん、マンモスとネズミほどの相違と隔たりを現わして参りました。従って、中小証券は、生きるためにいつしか四大証券の軍門に下って、その自主性はおおむね失われつつあるのであります。現に東京証券取引所の会員業者九十九社のうち、六十五社は四大証券の系列傘下に組み入れられて、四大証券は、これら系列証券を巧みにあやつって、時に裏玉、回し玉の方法により、これを相場操縦のための仮装売買の相手方としてしばしば活用していることは天下周知の事柄であります。かくて、これら系列証券の売買高を含めますならば、四大証券の市場占拠率はおそらく九割以上のものとなりましょう。これ天衣無縫にして不覊奔放、まさに四大証券無拘束状態といっても過言ではないのでありましょう。まことに四大証券とその他の証券業者との間にこのような隔絶した格差があっては、独禁法の企図している公正かつ自由なる競争が行なわれ得る可能性はありません。もとより、独禁法は事業規模が大きいことを禁止するものではないとしても、さりとてこのように事業規模の格差をますます拡大していくような制度をそのまま放置しておくことは、独禁法の精神に反するの最もはなはだしきものと申さねばなりません。  政府は、この際、証券業者の職能を分離することによっておのおのその所を得しめ、これらが総体として公正かつ自由なる競争を行ない得るよう、その基盤を整備すべきであると思うが、政府の御見解はいかがでありますか。  ことに、自己売買業務と委託売買業務との兼営は、自己のためにする業務と、顧客のためにする業務との、この利害相反する業務を同一人格によって行なわしめるものであって、言うならば、ネコとネズミを一つの場所に同居せしめているようなもので、かくのごときは、大衆投資家利益が保護される態勢のものではありません。政府は、この際、証券市場の公正なる運営を確保するために、まず、証券業者の職能分離を断行して、証券取引業の全般について抜本的大改革をはかるの意思はないか。この株価暴落の手痛い経験を禍福転輪の転機に生かされるように、強く政府の決断を求めてやみません。  次は、売買仕法、特にバイカイの是正について伺います。  証券取引所における売買仕法として、さまざまなバイカイ行為が認められているのでありますが、ここに四大証券は、全国の営業網と、その投信を牛耳ることによって、最も多くこれらのバイカイを利用し、かくて取引所取引の五〇%以上が、この四大証券のバイカイ行為によって占められていることは、特に重視されなければなりません。申すまでもなく、本来、取引所は、大量の需要と供給をここに集中せしめ、これをせり売買に付することによって、公正な株価の形成を行なう公的機関でありますのに、かくのごとくにしてバイカイが全取引の五割以上も占めることは、本来のせり売買を狭めることになって、今や、取引所の公的機能はそこなわれ、その意義は大きく失われつつあるのであります。しこうして、昨今の投信の株式保有率は、全上場株数の一割に達し、また、四大証券の自己保有株は、全上場株数の五分ぐらいでありますから、これを合すれば、四大証券の持つ自由操作の株式は、全上場株数の一割五分に達するものであります。ここに、全上場株数のうち、市場に出回る浮動株はその半分程度でありますから、従って、四大証券が自由に操作できる株は、浮動株数の三割を占めるものであります。すなわち、このことは、四大証券が株式市場において、需要と供給の三割を動かす力を持っていることを意味するものであります。かくて、四大証券は、この巨大な力を背景に、このバイカイを巧妙に行なうことによって、実質上相場の形成と相場の操縦について、圧倒的な支配力を持っているものと申さねばなりません。かくて、現在の取引所は、あたかも四大証券がバイカイを振るための場所と化し去って、ために、公正な株価を形成することを著しく阻害しているのであります。断じて看過すべきことではありません。  政府は、証券市場の公正にして健全なる運営を確立するために、この際、少なくとも職能分離とともに、このバイカイ仕法の是正を断行することは、これまた当面する証券行政上の急務であると思うが、これに対する政府の見解はいかがでありますか、大蔵大臣より明確なる御方針を述べられたいと存じます。  次は、証券金融の強化について伺います。  現在の証券金融三会社は、これは主として信用取引に伴う融資と貸株のためにあるもので、これはむしろ信用取引助成会社とも称すべきていのもので、真の意味の証券金融の機能を果たし得るものではありません。従って、今回の株価暴落の手痛い経験に学び、この際、証券取引の円滑なる運営をはかるためには、何らかの方途を講じて、本質的な証券金融の道を開かねばならぬであろうことは、いよいよ痛感されているところであります。  たとえば、戦前の制度においては、すべての銀行が株券担保による手貸し金融を行なって、これらの要請を満たしては参りましたが、今や、証券取引高の増大と株式への大衆参加の実情にかんがみ、この際、銀行の機能を活用して証券担保金融の復活をはかることは、当面の渋滞を打開するためにも、また、証券金融の基本政策としても、きわめて有効適切な措置であると思うが、大蔵大臣より、これに関する政府の見解をお示し願いたいと存じます。  次は、証券取引審議会の改組と証券行政機構の強化について伺います。  現在の審議会は、大蔵大臣の諮問があって初めて動く受け身のもので、最も肝心なる要務、すなわち、常に証券界の動向を注視し、積極的に意見を政府に建議するような自動的権能を持っておりません。現にわが国証券界には、なおなお幾多の難問題が山積しているのでありますが、これが事に当たるべき現在の証券取引審議会は、あたかも、大蔵省や証券業界の、ただ温良なる御用機関になりすましていることは、私どもの最も遺憾とするところであります。従って、政府は、この際、この証券取引審議会の機能と組織について想を改め、これを強力なブレーンたる第三者機関たらしめるために、これを根本的に改組するの必要があると思うが、これに対する政府の見解はいかがでありますか。  また、政府の証券行政機関は、現在わずかに大蔵省理財局の中の証券二課一室にとどまり、これではあまりに弱小に過ぎて、とうていよくその使命を果たし得てはおりません。要は、その使命の分量に応じて、その行政規模を定めるべきでありましょうが、今日このように成長発展した膨大な証券事業を、かかる弱小規模の執行にゆだねておるととは、あたかも、丸ビルの建設を日雇い大工に請け負わしめておるようなものであって、何らの進展を見せていないことは、むしろ当然のことと申さねばなりません。  政府は、この際、中央、地方を通じて、その行政規模の拡大を断行することとし、ここに大蔵省、経企庁共管の証券庁を設けるか、しからずんば、少なくとも、大蔵省に証券局を設置するは、緊急焦眉の必要事項であると思うが、政府の見解はいかがでありますか、その方針を明らかにいたされたいと思います。  私は、以上、株価暴落に対処するための応急の対策と、かかる事態を将来にわたって防止するための基本対策について、特に目立っている重要なる諸問題について質問いたしました。  思うに、わが国の証券取引を律する諸制度は、欧米諸国のそれに比ぶれば、なお生成の過程にあって、幾多の矛盾と欠陥を包蔵し、勢い弱肉強食と権謀術数を横行せしめ、これが株価をして時に棒高にし、時に暴落せしめるの一大要因となっていると思われるのであります。かくのごときは、政治の盲点と見るべきか、政府の過怠と断ずべきか、いずれにせよ、証券取引の事業が、国民経済のうちに占めるその地位の重大なるにかんがみ、政府は、これが運営と管理にあたっては、いかなる不正も、いかなる悪徳も、みじんといえども介入の余地をなからしめるべきであると思うのであります。厳に政府猛省を求めてやみません。  総理は、かねて、国民の生命財産は双肩にその責めをになうと言われました。もとより、それは当然のことであります。しかしながら、総理のその言明にもかかわらず、現にあなたの政策による衝撃を受けて、ある者はその生命をみずから断ち、多数の者がその財産を大きく喪失したのであります。総理が抱かれている国家への忠誠心や、国民へのその心づかいを疑う者はないとしても、その結果がかくのごとくあまりに明瞭に、その志されたものと違った場合、あなたが選ばれる道は何でありましょう。責任をとって桂冠されるか、もしくは贖罪の何たるかを理解され、身命を賭する思いで局面の転換に献身されるか、道はそのいずれかの一つでありましょう。もし、総理の選択がその後者であるならば、その手段と方法は、その心事の中身にふさわしき、すなわち、それは死中に活をつかみ得るほどの非常のものでなければなりません。  望むらくは、形式的なこの場限りの答弁をもって、問題をさらに将来に内攻せしめるがごときことのありませんように、しこうして、証券取引事業の公共性が確立され、国民経済の基盤がすみやかに磐石の基礎を固め得るように、この際は総理みずからが立って、これら諸問題に対し、厳粛に対処されることをここに強く期待いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  17. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答え申し上げます。  株価の安定については、政府は常に意を用いておるのであります。本年初頭以来、上昇に上昇を重ねて参りましたので、その取引が投機にわたらざるよう、あらゆる措置を講じて参ったのでございます。しかるところ、いわゆる高度成長を越えました超高度成長が実現せられまして、そのための設備投資が非常に旺盛になって参りました。ために、国際収支が不均衡に相なりましたので、金融の引き締めをいたしましたところ、また、これに対応いたしまして非常に増資が行なわれまして、株価の下落を来たしております。政府は、こういう原因をきわめるとともに、今後いろいろ対策を講じまして、株価の安定をはかろうとしておるので、いずれ私も安定し得るものと確信いたしております。  また証券業者につきましては、急激に発達いたしましたために、その行政の規模において、また手続におきまして、遺憾の点がございました。先ほど、取引方法あるいは証券金融に関しまして該博なる御意見を承ったのでございまするが、政府におきましても、今後この面におきまして一そうの努力をいたしまして、経済もとをなしまする株価の安定に万全を尽くしたいと思っておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  18. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 今回の株式下落の特徴は、従来安定株主と見られておった法人筋の換金売りが直接の原因になっておりまして、一般の大衆投資家の不安動揺による投げ売りが見られないということが、今度の株価下落に見られる一つの特徴でございます。  株式投資は、元来、長期の採算の上に立って行なわるべきものでございますので、従って、経済の現状とか、あるいは将来の見通しというものに対する判断が、市場相場を左右する要因であることは当然でございます。そういう意味から申しますと、日本経済の現状及び将来というものに私どもはそう基本的な心配はないと考えております。  先ほど総理から申されましたように、日本経済が私どもの想像する以上の伸び率を示しておる、少し伸び過ぎるということから、設備投資の押えをここでやるためにいろいろな措置をとっております。これらの措置は、そろそろその効果が出て参りましたが、もし、この効果がうまく出ていく場合には、これによって国際収支の均衡が回復されますし、そうすれば日本経済は高度の安定成長ができる。先の長い判断から見ましたら、日本経済に何ら基本的の心配がない以上は、大衆投資家もおそらく動揺することはないと思います。従って、現在大衆投資家に投げ売りが行なわれないということは、日本経済の前途に対する確信があるからだろうと私は考えております。(拍手)  そういたしますと、当面の問題でございますが、当面の問題は、結局、今申しましたように、安定株主と見られておった法人筋の売りである。なぜこういう現象が起こったかと申しますと、これもただいま総理が言われましたように、引き締め政策に関連して見られる一時的な現象であると私どもは考えます。なぜこういう現象が見られるかと申しますと、結局、増資圧迫に対するいろいろな懸念というようなものが存在することだろうと思いますので、私どもは、大衆投資家を保護する立場から株式市場の安定をはかる、そのためには、この増資をどういうふうに時期的に調整して、これを円滑に消化できるようにするかという、この増資調整の問題と、それからさらに社債の流動化、そういうものについて、政府は今後十分配慮するつもりでおりますので、この点は御安心を願いたいと思います。(拍手)  次に、宣伝広告の問題について御質問がございましたが、投資家を保護する見地から、証券業者の行なう広告宣伝には相当私どもは神経過敏でございまして、投機を助長するような誇大宣伝をしてはならぬ、ことに、投資信託に対して誤った考えを起こさせるような広告も一時ございましたので、特に、このことは行政指導をきつくやっておりますし、最近は、業者自体で自主的な規制を行なってくれておりますので、最近はそういう目に余る誇大広告というようなものはございません。今後も十分この点は気をつけて指導するつもりでございます。  その次に、業務の分離の問題でございましたが、証券業者がブローカーとディーラーとアンダーライターの業務を兼ねている、これは分離すべきであるという御意見でございますが、私どもも分離したいという方向で、ただいまいろいろな指導を行なっております。すでに投資信託においては、この分離を着々と行なっておることは、春日さん御承知通りだと思います。しかし、そのほかの業務の兼営につきましては、これは長い間の業界の歴史、慣習がございまして、この分離を強行することがどういう影響を及ぼすかという利害得失については、いろいろ考えなければならぬ点がございまして、これがいいというふうににわかに判断を下せない情勢にございます。流通市場と発行市場の円滑な機能を阻害する問題も考えられますし、いろいろな利害得失がございますので、急にこれを分離するということは、私はできないだろうと思います。この問題は、さらにこれから私どもも検討させていただきたいその一つであると考えております。  それからバイカイの問題でございましたが、バイカイが事実上売買高に占める割合は非常に多いことは事実でございますので、この乱用の起こらないように従来からも指導して参りましたが、しかし、これをいけないといって否定することは現実的ではございません。要するに、これを乱用することのないように指導することが大事だと思いますので、その線に沿ってこれからもやっていきたいと考えております。  それから証券金融会社の問題について御質問がございましたが、金利については、おっしゃる通り、少し高いように思われますが、しかし、これは借り入れの申し込みがあれば簡単にこれに応ずるという仕組みになっておりますので、その点から見ますと、金利が特別に高いとは言えないのではないか、こういう面があろうと思いますが、また、資金量についてもコールの取り入れにワクがございません。必要なら幾らでもコールを引けるということになっておりますので、そういう点でも必要資金は十分供給できる建前になっておりますが、しかし、証券金融の重要性というものにかんがみまして、この金融の機能合理化というような点については、今後十分考えたいと思います。  それから、証券行政は重要であるということは同感でございます。金融行政と並んで最近は証券行政ということが特に重要になって参りましたので、私どもも今できている審議会は十分活用いたしまして、審議会の答申はことごとくこれを実施しているという形で尊重しておりますが、今後さらに審議会の機能を伸ばすようにいたしますとともに、大蔵省における証券行政の機構についても私どもは考えたいと思っております。(拍手)     —————————————  株式市場混乱とその対策に関する   緊急質問平岡忠次郎提出
  19. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 次に、株式市場混乱とその対策に関する緊急質問を許可いたします。平岡忠次郎君。    〔平岡忠次郎登壇
  20. 平岡忠次郎

    平岡忠次郎君 私は、日本社会党を代表して、株式市場混乱とその対策に関する緊急質問首相並びに関係閣僚にいたさんとするものであります。(拍手)  最近の株式市場暴落は、一般大衆投資家に深刻な打撃を与え、恐怖のどん底に陥れました。東京証券取引所ダウ平均株価は、本年一月の千三百六十六円から七月十八日には千八百二十九円に達し、三一・九%の上昇率を見せたが、二度にわたる公定歩合の引き上げで下向傾向をたどり、十月十九日には千三百十五円と暴落し、二十三日には千三百円の大台を割って、ピーク時比較二八・九%の下げとなったのであります。また、オープン投信の基準価格も連日値下がりを続けまして、二十一日以降は九百円台のオープンは一つもなくなりました。八月末には千円程度の基準価格であったのに比べ、わずか二ヵ月足らずで二百円以上の下げとなりまして、いわゆる恐怖相場によって、町では自殺者まで出るに至ったのであります。  かかる事態大衆投資家を追い込んだのは一体だれの責任であるのか。私は、政府と大証券会社の共同責任と断じてはばかりません。(拍手)賭博で自殺者の一人や二人は仕方がないなどとお考えにならずに、総理大臣以下関係閣僚の真剣なる御答弁を承りたいのであります。  株式市場の組織と運営が正常な形で行なわれている限りにおいては、損しても、もうけても、自殺しても、はたまた欣喜雀躍しても、それは投資家の一切の責任だと言い得ましょう。しかしながら、株式市場がいかさまばくち場と同じ仕組みで大衆を収奪するということになるならば、問題は全く別であります。現に私が緊急質問に立つことを聞き知ってか、投資家から匿名投書が来ていますが、証券会社はうそばかり言って、投資家をぺてんにかけているので追及してくれということでありまして、K証券新宿営業所の販売係とおぼしき者の発行にかかる当人あて念書を同封して参っております。それを読み上げますと、「前略、投信の概念につきましては、すでに御存じのことと思いますが、投信は日本経済の発展をになう優秀な会社、たとえば東芝、日立の株式あるいは割引債券等をわが社K証券の株式専門家と調査部とによって運用いたしますので、一年、二年間投信を持っていただきまして、元本が割れることあり得ませんので、どうぞ御安心してわが社K証券にお預け下さい。昭和三十六年八月二十日、K証券新宿営業所、だれのだれ兵衛、印」となっております。この投書に見られるがごとく、元本保証の行き過ぎの不当宣伝は、ほとんど日常茶飯事のように行なわれていたに違いないのであります。また不当宣伝といえば、最近銀行管理に入ったと強くうわさされている某証券のごときは、今に至るまでテレビ放送で日曜ごとに客をつる宣伝をいたしておるのであります。この会社は、大学新卒採用を一方的にキャンセルして、七十六名中約半数近くを非情にもぶった切ったほど内容窮迫しているくせに、日露戦争の今日小平ではないが、死んでもなおラッパを口から放さないということは、一体どういうことであるのか。  さて、このように百鬼夜行する株式市場を、正常な、本来あるべき姿に引き戻すためには、かかる混乱現象を惹起した原因のより一そうの深い究明がなされねばならないと考えるので、質問の本旨を進めていきたいと存じます。  私は、今日の株価暴落が、複合的な諸原因の累積の結果であると考えておりますので、大きく三つのカテゴリーにこれを分けまして、政府並びに指導的証券業者の責任をこの議場を通じてただしたいと思うのであります。  まず、株価暴落の第一の原因は、池田首相がどうおっしゃろうとも、客観的には、高度成長政策国際収支の面からくずれてきて、その結果が端的に株価暴落に集約されてきていると断ずべきものであります。(拍手)七月十八日の千八百二十九円のピークは、実勢のしからざるのに、高度成長政策が誘導した人為的相場であったと考えます。転じて十月十九日千三百十五円と暴落し、引き続き千三百円の大台を割ったのも、これまた、高度成長政策の破綻をささえ切れずに、日本銀行を通じて金融引き締め政策に転じた政府政策転換のゆえであり、言うなれば、高度成長政策に固執し過ぎた池田内閣責任であります。池田内閣高度成長政策は、まさに暴虎馮河のたぐいでありまして、断じてその名に値する成長政策ではありません。経済成長政策の妥当性は、物価高と国際収支の赤字を招来せざるべきものであることは、首相自身よく御承知のはずであります。この意味におきまして、池田首相は、自殺者まで出した株式市場の混乱に対して、いかなる責任を感じておられるのか、所信をお伺いいたします。また、経済企画庁長官のこれに対する所信もあわせお伺いいたしたいと存じます。  株価暴落の第二の原因は、証券業者、特に四大証券の株価操作と放漫経営に基因すると考えます。ここにいう株価操作とは、投資信託の基準価格競争を過当に行ない、お互いに基準価格を高めようとせり合って、株価を実勢以上につり上げたこと、これであります。さらにこれと並行して、証券業者の一月以来の放漫経営による金詰まりが、暴落に拍車をかけたものであることを指摘しないわけには参りません。すなわち、一月には、政府は政治的に公定歩合を一厘引き下げて、四月の預金金利引き下げの路線を敷いたのでありまするが、四大証券は好機至れりとして、「銀行よさようなら、証券よ今日は」のキャッチフレーズを掲げ、公社債投資信託設定にも狂奔したのであります。その結果、一月には四百六十億円の成果を上げ得たが、無理押しの設定でありますので、二月には三百四十億円、三月には三百二億円、四月には二百七億円と漸減し、十月現在では百億円程度に転落し、募集成績不振のため、証券業者の公社債手持ちが増大し、ために、みずから金詰まりを招いて、相場の惨落を傍観せざるを得なかったのであります。言うなれば、高い山に大衆投資家を追い上げておいて、いきなりこれを谷底に突き落とす暴挙を行なったのであります。  さて、私は、四大証券の証券市場における地位を、この際、まずもってつまびらかにしておく必要があろうと存じます。  取引所を構成する会員の数は、東証において九十九社でありまするが、四大証券は、現在、総商い高の七〇%を壟断いたしておるのであります。三十五年中の総平均によってこれを見れば、四社一日の商い高は、総商い高一億八千万株であるのに対して、一億二千五百万株を占めて、自余の九十五社に君臨する支配的なものであります。中小証券は逐次その系列下に組み入れられ、現在支配下に入った系列証券は六十五社の多きに達し、四社の独占的傾向は日に日に強まるばかりであります。日本株式市場における株式相場が、経済の実勢の反映でなしに、人為的な腕力相場の横行を許す素地がここに牢固として根を張っておるのであります。そして、この事実こそが、株式市場の混乱のすべての根源をなすものであります。されば、大衆投資家保護の要諦は、腕力相場の跳梁を許さざるよう大証券の業務の分断を完璧なものとして、たとえば、当面、ディーラー業務とブローカー業務とを峻別する等の措置を急速に推し進めなければならないと考えますが、現状の不正常状態をそのまま放置しておることは、監督官庁である大蔵省証券行政の怠慢であり、強く責めらるべきであります。大蔵大臣は、その責任についていかにお感じになり、また、いかなる施策を急速にとらんとしておるか、お伺いしたいのであります。  株価暴落の第三の原因は、市場内部の要因に基づくものであります。  その要因の一つは、国際収支の悪化を敏感に反映する売り急ぎによる下落であります。要因の第二は、国際収支の悪化に伴う金融引き締め政策が招来するもの、たとえば、輸入担保率一%から三五%への引き上げによる商社筋の換金投げものや、同じく増資資金調達のための損害保険、生命保険、事業会社筋の株式の放出等々でございます。かかる市場内部の暴落要因は、いずれも池田内閣経済成長政策の破綻によって生じたものでありまするが、所管大臣である大蔵大臣は、事態をいかに把握され、また、いかなる市場対策を用意しておられるのであるか、お伺いしたいのであります。  施策としては、一、投信ワクの撤廃、二、投信のコール運用制限の緩和、三、信用取引証拠金率の再引き下げ、四、増資払い込み資金に対する金融、五、証券業者手持ちの公社債に対する買オペ、六、大型投信の設定、七、増資の抑制等の諸施策が検討せられて、前三者はすでに二十五日より実施せられているが、増資金融と手持ち公社債の買オペに至っては、特に池田内閣がこれからとらんとしている金融政策の根底をゆさぶるものでありますから、容易にこれをとり得ないはずでありまするが、念のため、首相並びに大蔵大臣の御意向那辺にありや、お尋ねをいたします。また、設備投資を所管せられる通産大臣には、増資計画の制限調整をどのように指導するかの点と、増資金融を是とせられるや、非とせられるやにつき、直截にお答えを願いたいのであります。  さらに、大蔵大臣にただしますが、大証券筋において大型株投信の設定意図が強く、政府もこれに同調して許可に踏み切ると流布されていますが、はたしてしかりや、これが設定されても、公社債投信におけるがごとく、募集難に陥り、設定額が漸減し、消滅するおそれはないのであるか、その可能性きわめて濃いものと考えるが、政府においてあえてこれを認可する意思ありとすれば、その理由を明らかにせられたいのであります。  以上が、市場内部の暴落要因に対処するためのものとして、証券業界筋等より政府に要望している施策案件でありますが、これらを通観して感じ取れることは、証券業者や大口投資家はこれによって救われるが、一般投資家は、株価安定の反射的利益を受け得るかもしれないというだけのことであって、大衆投資家保護の立脚点からは、見るべき何ものもないのであり、悪くすると、大証券筋や大口投資家に対するいわばどろぼうに追い銭ということになりかねないものばかりであります。  大衆投資家保護の証券行政のあり方としては、証券市場の組織と運営の正常化があくまで第一条件であるべきだと存じます。すなわち、証券業者の株価操作とか、放漫経営とか、はたまた、過当宣伝等が再び生ずることのないよう、具体的な規制の明示が先行して行なわれるべきだと存じます。この際、いかなる用意があるかを、大蔵大臣から特に明らかにせられたいのであります。  次に、私自身としてもきわめて不本意な質問をいたすわけでありますが、この暴落と混乱の事態において、中小証券が万が一経営に破綻を生じて、一般投資家に不測の損害を与えるがごとき場合は、今回の暴落責任の大半が政府にあるのでありますから、いかに救済するかを明示せられたいのであります。(拍手)これもまた大蔵大臣から御答弁願いたいのであります。  最後に、これは春日君も触れたことでありますが、広義の金融機関として、銀行行政と証券行政を一元的に把握して、適切な施策を遂行するためにも、片や銀行局、片や理財局の中の証券課のごとき、跛行的機構にとどまらしめることなく、銀行局、証券局を包含する金融庁を発足せしめ、証券行政を徹底的に強化する用意ありやいなや、総理大臣、大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。  以上をもって、緊急質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  株価の騰落は、ある程度やむを得ませんが、暴騰、暴落は厳にこれを是正しなければならぬことは当然でございます。今回の暴落あるいは今年初めからの暴騰につきましては、先ほどお答えした通りでございますが、わが国経済の将来には私は不安はない、そうしてただいまの各会社の経理状況、収支状況も、そう変化はないのであります。従いまして、国際収支の均衡をはかりつつ、そうして行き過ぎを是正していくならば、日本株価日本の将来の経済に不安はないと私は考えておるのであります。  また、暴落に対しましての対策についての御質問でございまするが、株価対策の具体的措置は、ここで申し上げることは遠慮させていただきたいと思います。  次に、銀行行政、証券行政を一体としてやることはどうかというお話でございます。私は、研究の価値はありますが、一体よりも、証券行政自体にもっと強化していく点があるのではないかと考えております。(拍手)   〔国務大臣水田三喜男君登壇
  22. 水田三喜男

    国務大臣(水田三喜男君) 証券業者の業務分離については、先ほどお答えした通りでございます。  それから、大型株の投信の問題が御質問の一つでございましたが、基幹産業の大型株を中心に運用する投資信託を開始したいという業界からの意向は、現在出ております。今、基幹産業の資金調達ということが、金融界、証券界に一つの圧力となっていることは事実でございますので、こういう面における資金調達の円滑化ということは、今の場合私は意義があると考えておりますので、この方向でただいま検討しているところでございます。  それから、金融引き締めと今のいろいろな市場安定策が矛盾を起こさないかということでございましたが、資本市場が産業資金の供給機能を円滑に果たして、大衆投資家に不必要な動揺を与えないというためのいろいろな施策は、時により必要でございまして、そういう意味から、たとえば増資の調整とか、あるいは社債の流動化とか、いろいろの今後の問題を考えることは、決して金融引き締め政策というものとは私は矛盾しないものだと考えております。  証券金融と一般金融との問題を一元的に把握して運用する機構を考えないかという御質問でございましたが、これは先ほどお答え申しました通り、私どもは検討したいと思っております。(拍手)   〔国務大臣佐藤榮作君登壇
  23. 佐藤榮作

    国務大臣(佐藤榮作君) 株式による資金の調達は、本来企業の自己資本を充実するものでございまして、この意味では歓迎さるべきものだと思います。しかしながら、お話にありましたように、市中金融難、その肩がわりとしてのいわゆるかけ込み増資、こういうようなものにつきましては、これが過度にわたりますと、金融あるいは証券市場に無用の混乱を引き起こすおそれがあったり、あるいは調整の効果を減殺するおそれがございます。従いまして、今後の増資にあたりましては、いわゆる緊急調整策としてとっております設備投資調整の線に沿いまして増資が行なわれるように指導して参りたい、かように考えております。なお、時期的な調整の問題につきましては、関係省で十分検討して対処したい、かように考えております。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  24. 藤山愛一郎

    国務大臣(藤山愛一郎君) 自由主義経済社会におきます株式というものは、民間経済活動の総合的な指標として現われてくるわけでありまして、政府施策をどう受け取っておるかという一つの見方が、株価の上に反映してくると思います。従いまして、われわれといたしましては、株価の騰落というものに対しては、民間経済活動がどう動きつつあるかということを終始十分注意をして参らなければならず、それによって、ある場合には押えても参らなければなりませんし、また、沈滞した場合には刺激を与えていかなければならぬのでありまして、安定的に株価が進んで参ることが一番大事なことだと思います。私どもは、今回の事態に対して緊急的な金融措置をいたしましたので、株価が急激に下落いたしたことはまことに遺憾でございますし、また同時に、そのために、今日大衆化されております株式投資家——戦前とだいぶん違っておりますので、そういう人に迷惑をかけたことに対しては、はなはだ遺憾でございますが、今後これらの問題について十分政府としては対処して、経済政策の万全を期して参りたいと存じております。(拍手)      ————◇—————  臨時行政調査会設置法案内閣提出
  25. 田邉國男

    田邉國男君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際・内閣提出臨時行政調査会設置法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  26. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  臨時行政調査会設置法案を議題といたします。     —————————————   臨時行政調査会設置法案  右  国会提出する。   昭和三十六年九月二十五日     内閣総理大臣池田勇人     —————————————    臨時行政調査会設置法   (設置)  第一条 総理府に、附属機関として、臨時行政調査会(以下「調査会」という。)を置く。   (所掌事務)  第二条 調査会は、行政を改善し、行政国民に対する奉仕の向上を図るため、行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議する。  2 調査会は、前項に掲げる事項に関して、内閣総理大臣に意見を述べ、又は内閣総理大臣の諮問に答申する。  3 調査会は、前項の意見又は答申を、内閣総理大臣から国会に報告するように、内閣総理大臣に申し出ることができる。   (意見等の尊重)  第三条 内閣総理大臣は、前条第二項の意見若しくは答申又は同条第三項の申出を受けたときは、これを尊重しなければならない。一   (組織)  第四条 調査会は、委員七人をもつて組織する。   (委員)  第五条 委員は、行政の改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。  2 前項の場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず、委員を任命することができる。  3 前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の承認を得なければならない。この場合において、両議院の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。  4 内閣総理大臣は、委員が身心の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。  5 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職務を退いた後も同様とする。  6 委員は、非常勤とする。   (会長)  第六条 調査会に、会長一人を置き、委員のうちから、内閣総理大臣が指名する。  2 会長は、会務を総理する。  3 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。   (専門委員)  第七条 調査会に、専門の事項を調査審議させるため、専門委員を置く。  2 専門委員は、学識経験のある者のうちから、会長の推薦により、内閣総理大臣が任命する。  3 専門委員は、当該専門の事項に関する調査審議が終了したときは、解任されるものとする。  4 専門委員は、非常勤とする。   (調査員)  第八条 調査会に、調査員を置く。  2 調査員は、学識経験のある者及び行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。  3 調査員は、専門委員を補佐して調査に従事する。  4 調査員は、非常勤とする。   (資料提出の要求等)  第九条 調査会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関、地方公共団体及び公共企業体(公共企業体等労働関係法(昭和二十三年法律第二百五十七号)第二条第一項第一号に掲げる公共企業体をいう。)その他これに類する政令で定める団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。  2 調査会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、各行政機関の運営状況を調査し、又は委員若しくは専門委員にこれを調査させることができる。  3 調査会は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは・第一項に掲げる者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。   (事務局)  第十条 調査会の事務を処理させるため、調査会に、事務局を置く。  2 事務局に、事務局長のほか、所  要の職員を置く。  3 事務局長は、行政管理事務次官をもって充てる。  4 事務局長は、会長の命を受けて、局務を掌理する。   (委任規定)  第十一条 この法律で定めるもののほか、調査会に関し必要な事項は、政令で定める。     附 則   (施行期日)  1 この法律は、公布の日から施行する。   (行政管理庁設置法の一部改正)  2 行政管理庁設置法(昭和二十三年法律第七十七号)の一部を次のように改正する。    附則第三項の次に次の一項を加える。  4 長官は、臨時行政調査会設置法(昭和三十六年法律第  号)第二条第一項の規定に基づき臨時行政調査会が調査審議することを適当とする事項については、同調査会が置かれている間は、行政審議会に諮問しないものとする。   (総理府設置法の一部改正)  3 総理府設置法(昭和二十四年法律第百二十七号)の一部を次のように改正する。    第十五条第一項の表中町名地番制度審議会の項の次に次のように加える。   (特別職の職員の給与に関する法律の一部改正)  4 特別職の職員の給与に関する法律(昭和二十四年法律第二百五十二号)の一部を次のように改正する。    第一条第十九号の四の次に次の一号を加える。    十九の五 臨時行政調査会の委員   (この法律の失効)  5 この法律は、昭和三十九年三月三十一日限り、その効力を失う。     …………………………………     理 由   行政を改善し、行政国民に対する奉仕の向上を図るため、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査審議する機関として、総理府に臨時行政調査会を置く必要がある。これが、この法律案提出する理由である。     —————————————
  28. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長中島茂喜君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕   〔中島茂喜君登壇〕     —————————————
  29. 中島茂喜

    ○中島茂喜君 ただいま議題となりました臨時行政調査会設置法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、行政の体質を改善し、行政国民に対する奉仕の向上をはかるため、各界各層の知能を結集する権威の高い行政診断機関として、委員七名をもって構成する臨時行政調査会を総理府に設置しようとするものであります。  内容のおもなる点を申し上げますと、委員は、衆参両議院の同意を得て任命され、調査会は、行政の実態に全般的な検討を加え、行政制度及び行政運営の改善に関する基本的事項を調査、審議し、その結論に基づいて内閣総理大臣に意見を述べ、または、内閣総理大臣の諮問に答申することをその任務といたしております。なお、調査会は、右の意見または答申を国会に報告するよう内閣総理大臣に申し出ることができ、一方、内閣総理大臣は、これらの意見、答申または申し出につきましては尊重しなければならないことと相なっております。  本案は、九月二十五日本委員会に付託、十月三日、提案理由の説明を聴取し、慎重な審議が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知を願います。  かくて、十月二十六日質疑を終了し、本日討論の通告もなく、採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決いたしました。  なお、本案に対し、自民、社会、民社の三党共同提案にかかる附帯決議案が提出され、石橋政嗣君より趣旨説明がなされたあと、これまた全会一致をもって議決いたしました。  その要旨を申し上げますと、調査会は、答申を行なう際には、設置の目的が公務員の人員整理、身分変更等にあるものでないという政府言明を十分尊重すること、重要問題については一致を原則とするとと、また、政府は、委員の人選は超党派的に公正に行なうこと等を強く要望したものであります。  以上、御報告を申し上げます。     —————————————
  30. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。  本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。      ————◇—————  災害対策基本法案内閣提出
  32. 田邉國男

    田邉國男君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出災害対策基本法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  33. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  災害対策基本法案を議題といたします。
  35. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員会理事纐纈彌三君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔纐纈彌三君登壇
  36. 纐纈彌三

    ○纐纈彌三君 ただいま議題となりました災害対策基本法案について、地方行政委員会における審議経過並びに結果の概要を御報告申し上げます。  本案は、現行の災害対策の現状にかんがみ、防災に関し、国、地方公共団体その他の公共機関等の責任の所在を明確にするとともに、防災に関する組織を整備し、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策災害復旧及び防災に関する財政金融措置の基本を定め、あわせて災害緊急事態に対処するための緊急措置について定める等、総合的、計画的防災行政の整備及び推進をはからんとするものであります。  本案は、九月三十日本委員会に付託され、十月十日大上政務次官より提案理由の説明を聴取し、自来、連日熱心に審査を行なったのでありますが、審議の詳細は会議録に譲ることといたします。  本二十七日質疑を終了いたしましたところ、自由民主党渡海元三郎君より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案による修正案が提出されました。  修正案の大要を申し上げますると、まず、国の責務を規定した条文に一項を加えて、防災に対する国の使命と責務を強く宣明する規定を置き、また、国、地方団体の災害対策において個人の被災者に対する援護を行なうべきことを明確に規定し、さらに、本法の目的達成のため、政府は、広く法制上、財政上及び金融上の措置を講ずる責任のあることを原則的に明示する規定を加えました。さらに、災害緊急事態に関して規定されておりまする第八章につきましては、審議の日時も不足であり、重大な規定でありまするので、これを次の通常国会の検討に待つこととして全条文を削除いたしました。  次いで、討論を省略して採決を行ないましたところ、修正案及び修正部分を除く原案は全会一致をもって可決、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  その際、本案に対し、日本社会党阪上安太郎君より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議提出され、採決の結果、全会一致をもってこれを付することに決定いたしました。附帯決議を朗読いたします。  一 従来の災害対策根本的欠陥は、災害の未然防止のための恒久的諸施策が整備確立されていないことである。政府は、治山、治水、地すべり地盤沈下海岸しん蝕及び高潮対策その他の国土の保全に関する諸施策に抜本的な検討を加え、長期的、効果的な計画の樹立と推進に努め、災害原因を根絶するよう万全の措置を講ずること。  二 政府は、激甚災害に係る統一的恒久立法を次期国会に提案し、激甚災害に対処して遺憾のない措置を講ずるものとすること。
  37. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案塚原俊郎君外三十六名提出)  積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案(建設委員長提出
  39. 田邉國男

    田邉國男君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、塚原俊郎君外三十六名提出国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案とともに、建設委員長提出積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、委員会の審査を省略して一括議題となし、委員長の報告及び趣旨弁明を求め、その審議を進められんことを望みます。
  40. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————     本案施行に要する経費   本案施行に要する経費としては、約六億五千万円の見込みである。     —————————————
  42. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告及び趣旨弁明を求めます。建設委員長二階堂進君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔二階堂進君登壇
  43. 二階堂進

    ○二階堂進君 ただいま議題となりました国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、わが国幹線道路網整備の一環として、国土を縦貫する高速自動車交通網の整備を促進し、あわせて北陸地方の開発を強力に推進するために、国土開発縦貫自動車道建設法の別表中に、新たに新潟市を起点とし、富山市付近、金沢市付近及び福井市付近を主たる経過地として、終点、大津市に達する北陸自動車道を加えようとするものであります。  本案は、去る十月二十五日本委員会に付託され、十月二十七日塚原俊郎君より提案理由の説明を聴取し、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。  右御報告申し上げます。  次に、ただいま議題となりました積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案は、自由民主党、日本社会党民主社会党の三党の合意に基づき、成案を得て、国会法第五十条の二の規定により、建設委員会の提出にかかる法律案として提出されたものであります。  以下、提案の理由及び内容について申し上げます。  現行法は、去る昭和三十一年四月、議員立法として制定されたものでありますが、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保をさらに推進するために、積雪寒冷特別地域道路交通確保五ヵ年計画に基づいて実施する除雪、防雪または凍雪害の防止にかかる事業に要する費用に対する国の補助率を、現行の「予算の範囲内において三分の二以内」とあるを「三分の二」とするとともに、凍雪害の防止にかかる事業の中に、流雪溝を含めようとするものであります。  なお、本案につきましては、十月二十七日、本委員会におきまして松澤雄藏君より提案理由の説明があり、政府の意見も聴取いたしたのであります。  以上、本案の提案の理由を簡単に御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  44. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) これより採決に入ります。  まず、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告の通り可決いたしました。  次に、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法の一部を改正する法律案につき採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ————◇—————  畜産物価格安定等に関する法律案内閣提出)  大豆なたね交付金暫定措置法案   (内閣提出
  47. 田邉國男

    田邉國男君 議案上程に関する緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出畜産物価格安定等に関する法律案、大豆なたね交付金暫定措置法案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  48. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 田邉國男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。  畜産物価格安定等に関する法律案、大豆なたね交付金暫定措置法案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————   畜産物価格安定等に関する法律案  右
  50. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長野原正勝君。     —————————————   〔報告書は会議録追録に掲載〕     —————————————   〔野原正勝君登壇
  51. 野原正勝

    ○野原正勝君 ただいま議題となりました内閣提出畜産物価格安定等に関する法律案外一件について、農林水産委員会における審査の経過及び結果について御報告申し上げます。  この二案は、第三十八回国会においていずれも審議未了となり、内容を改めて今国会提出されたものであります。  まず、畜産物価格安定等に関する法律案について申し上げます。  本案は、畜産及びその関連産業の健全な発展を促進し、あわせて国民の食生活の改善に資するため、主要な畜産物について価格安定措置等を講じようとして提出された画期的な法律案でありまして、そのおもなる内容は、  第一に、農林大臣は、原料乳、指定乳製品及び指定食肉等について、価格の低落を防止するため、安定下位価格を定めるとともに、指定乳製品及び指定食肉について、価格の騰貴を防止するため、安定上位価格を定めることとし、この場合、それぞれの安定価格は、生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して定めることとしております。  第二に、新たに畜産振興事業団を設け、この事業団は、指定乳製品または指定食肉の価格が低落するときは、安定下位価格で買い入れ、価格が安定上位価格を越えて騰貴するときはこれを売り渡すほか、畜産物の価格安定のために行なう生産者団体等の調整保管に関する計画の実施についての助成、畜産物の需要の増進並びに従来の酪農振興基金の行なってきた乳業者等に対する債務保証等の業務を行なうこととしております。  第三に、生乳、肉畜及び鶏卵等の生産者団体並びに乳業者等は、畜産物の価格安定のため、自主的な生産等の計画を立てて農林大臣の認定を受けることができることとしております。  第四に、農林大臣または都道府県知事は、安定下位価格に達しない乳価を支払う乳業者に対し、価格の引き上げを勧告することができ、また、農林大臣は、生乳生産者団体が指定乳製品の調整保管計画を実施する場合、その委託加工に応ずべき旨を命ずることができ、また、指定乳製品または指定食肉の生産者団体が調整保管した指定乳製品または指定食肉については、事業団はその買い入れを優先的に行なうこととしております。  第五に、農林省に畜産物価格審議会を設け、審議会は、農林大臣の諮問に応じ、牛乳、乳製品、食肉及び鶏卵等の価格の安定に関する事項を調査、審議することとしております。  農林水産委員会におきましては、十月四日政府から提案理由の説明を聞き、二十六日には参考人を招致してその意見を徴する等、慎重に審査いたしました。しこうして、本日、各党協議の結果、本案に対し、農林大臣の定める安定価格について、養畜農民の再生産を確保することを旨として定めること、事業団の借入金にかかる債務について政府保証する規定を設けること等、数点に及ぶ修正を加えることとし、修正案及び修正部分を除く政府原案について、討論を省略し、採決いたしたところ、全会一致をもって本案は修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しまして、生乳生産者団体の指定乳製品の保管計画の円滑な実施に資するため、事業団による買い入れにあたっては、その全量を無制限に買い入れるものとする等、十項目に及ぶ附帯決議を付した次第であります。  次に、大豆なたね交付金暫定措置法案について申し上げます。  本案は、大豆の輸入自由化が実施されたことに伴い、国産の大豆となたねの価格がこうむる影響が大きいことにかんがみ、当分の間国産の大豆となたねについて販売数量及び方法等を調整して、その販売事業を行なう生産者団体等を通じ、その生産者に交付金を交付する措置を講じ、その生産の確保と農家所得の安定に資そうとするものでありまして、そのおもな内容は、  第一に、政府は、農林大臣の承認を受けた調整販売計画等に従って販売事業を行なう生産者団体等に対し交付金を交付することができることといたしております。  第二に、生産者団体等が交付を受ける交付金の金額は、生産者に保証すべき価格水準として農林大臣が定める基準価格から、生産者の実際の販売価格の標準として農林大臣が定める標準販売価格を控除した金額を交付金の単価として定め、これに農林大臣の定める一定数量の範囲内において当該生産者団体等の販売した数量を乗じた金額とすることといたしております。  第三に、政府から交付金の交付を受けようとする生産者団体等は、その販売事業に関する調整販売計画等及び交付金の交付方法を定め、これにつき農林大臣の承認を受けなければならないこととしております。  第四に、政府から交付金の交付を受けた生産者団体等は、その交付を受けた交付金をその系統を通じて生産者に交付しなければならないこととしております。  第五に、大臣及びなたねについては、この法律の施行の間は、農産物価格安定法はこれを適用しないこととしております。  その他、大豆については昭和三十六年産のものから、そしてなたねについては昭和三十七年産のものから適用さること等としております。  本案は、十月九日提出され、十月十二日政府から提案理由の説明を聴取し、十月二十六日には関係団体から参考人を招致して意見を徴する等、慎重審議の末、十月二十七日質疑を終了し、末端の大豆またはなたねの販売業者について新たに登録制度を設けること、交付金の交付対象となる大豆またはなたねは、生産者団体等に売り渡しの委託をしたものに限ることにする等、数点にわたる修正を加え、本案はこれを修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しまして、交付金に要する経費は、標準販売価格及び交付対象数量の決定いかんによって変動するので、交付金予算が不足することのないよう十分な措置を講ずること等、五項目にわたる附帯決議を付したのであります。  以上をもちまして報告を終わります。(拍手)     —————————————  〔参照〕   畜産物価格安定等に関する法律案に対する修正案(委員会修正)  畜産物価格安定等に関する法律案の一部を次のように修正する。   第二条第二項中「脱脂粉乳」の下に「、れん乳(政令で定めるものに限る。)」を加える。   第三条第一項第二号を同項第三号とし、同項第一号中「原料乳、」及び「及び指定食肉」を削り、同号を同項第二号とし、同項に第一号として次の一号を加える。   一 原料乳及び指定食肉の安定基準価格   第三条第三項中「安定下位価格」を「安定基準価格及び安定下位価格」に改め、同条第四項中「、指定乳製品(原料乳を含む。)」を削り、「(当該家畜を含む。)」の下に「については、これら」を加え、「経済事情を考慮して」を「経済事情を考慮し、これらの再生産を確保することを旨とし、指定乳製品については、その生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮して」に改める。   第五条第一項中「安定下位価格」を「安定基準価格」に改める。  第六条に次の一項を加える。  8 農林大臣は、第一項の指定乳製品の生産の委託について模範契約例を定めることができる。第八条第一項中「二十人」を「二十四人」に改める。   第三十九条第二項及び第三項中「安定下位価格」を「安定基準価格」に改める。   第四十三条第一号中「安定下位価格」を「安定基準価格」に改める。   第五十四条に次の一項を加える。  4 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、事業団の債務について保証することができる。     —————————————    大豆なたね交付金暫定措置法案に対する修正案(委員会修正)   大豆なたね交付金暫定措置法案の一部を次のように修正する。第一条中「当分の間、」を削る。   第二条第一項第二号中「生産者から大豆又はなたねの売渡し又は売渡しの委託を受けてその販売を行なうことを業とする者」を「集荷の業務を行なう者」に改める。  第二条第二項各号列記以外の部分中「、当該生産者団体等が」の下に「大豆又はなたねの生産者からのその生産に係る大豆又はなたねの売渡しの委託(当該委託を受けた第四条第一項の都道府県知事の登録を受けて大豆又はなたねの集荷の業務を行なう者からの当該委託に係る大豆又はなたねの売渡しの委託及び当該大豆又はなたねにつき順次される売渡しの委託を含む。)を受けて」を加え、「(当該生産者団体等が同項の交付金の交付を受ける他の生産者団体等から売渡しを受けたものの数量に相当する数量のものその他農林省令で定めるものを除く。)」を削り、「一定数量」を「数量」に改める。   第二条第二項第一号中「並びに」を「及び」に改め、「及び需給事情」を削り、「参酌して」を「参酌し、大豆又はなたねの再生産を確保することを旨として」に改める。   第二条第二項第二号中「大豆にあっては消費地における標準的な取引価格から流通経費を控除した金額を、なたねにあっては生産者団体等の標準的な販売価格から」を「生産者団体等の大豆又はなたねの標準的な販売価格からその」に改める。   第二条第三項中「定数量」を「数量」に、「売渡し又は売渡しの委託」を「前項の売渡しの委託」に改める。第二条第四項中「及び標準販売価格」を「、標準販売価格及び第二項の農林大臣の定める数量」に、「団体」を「生産者団体等」に改める。   第三条第一項中「その売渡し又は売渡しの委託」を「その同条第二項の売渡しの委託」に改め、「(当該生産者団体等が同項の交付金の交付を受ける他の生産者団体等から売渡しを受けるものの数量に相当する数量のものその他農林省令で定めるものを除く。)」を削り、「なたねの売渡し又は売渡しの委託」を「なたねの同項の売渡しの委託」に、「次条第一項」を「第五条第一項」に改め、同条第二項中「次条第一項」を「第五条第一項」に改める。   第五条を第六条とし、第四条第一項中「売渡」又は売渡しの委託をした者」を「同条第二項の売渡しの委託をした者」に、「その売渡し又は」を「その」に改め、「(当該生産者団体等が同項の交付金の交付を受ける他の生産者団体等から売渡しを受けたものの数量に相当する数量のものその他農林省令で定めるものを除く。)」を削り、同条第二項中「で他の者から大豆又はなたねの売渡し及び売渡しの委託を受けなかつたもの」及び「(その者が売渡し又は売渡しの委託をした大豆又はなたねのうちその者が生産した大豆又はなたねに係る部分を除く。)」を削り、「売渡し又は売渡しの委託をした者」を「第二条第二項の売渡しの委託をした者」に改め、同条を第五条とし、第三条の次に次の一条を加える。(生産者の登録集荷業者に対する売渡しの委託等)  第四条大豆又はなたねの生産者で次条の規定による交付金の交付を受けようとするものは、農林省令で定めるところにより、都道府県知事の登録を受けて大豆又はなたねの集荷の業務を行なう者に大豆又はなたねの売渡しの委託をしなければならない。  2 前項の登録に関し必要な事項は、政令で定める。   附則第一項に次のただし書を加える。   ただし、昭和三十六年産の大豆については、第四条の規定は、適用しない。   附則第二項中「第二条第五項」を「この法律」に、「同項中」を『第二条第二項中「当該委託を受けた第四条第一項の都道府県知事の登録を受けて大豆又はなたねの集荷の業務を行なら者」とあるのは「当該委託を受けた者」とし、同条第五項中』に、『、「政令で定める期日」』を『「政令で定める期日」とし、第五条第二項中「大豆又はなたねの生産者」とあるのは「大豆又はなたねの生産者で他の者から大豆又はなたねの売渡しの委託を受けなかつたもの」と、「その交付を受けた金額」とあるのは「その交付を受けた金額(その者が第二条第二項の売渡しの委託をした大豆又はなたねのらちその者が生産した大豆又はなたねに係る部分を除く。)」』柱に改める。     —————————————
  52. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも修正であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————
  54. 清瀬一郎

    議長清瀬一郎君) 本日は、これをもって散会いたします。午後四時二十三分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         法 務 大 臣 植木庚子郎君         外 務 大 臣 小坂善太郎君         大 蔵 大 臣 水田三喜男君         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  佐藤 榮作君         運 輸 大 臣 斎藤  昇君         郵 政 大 臣 迫水 久常君         自 治 大 臣 安井  謙君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 藤枝 泉介君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 三木 武夫君  出席政府委員         法制局次長   高辻 正巳君         総理府総務長官 小高 久雄君      ————◇—————