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1961-10-17 第39回国会 衆議院 法務委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十七日(火曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 河本 敏夫君    理事 稻葉  修君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 林   博君    理事 赤松  勇君 理事 坪野 米男君       池田 清志君    上村千一郎君       唐澤 俊樹君    小金 義照君       馬場 元治君    松本 一郎君       阿部 五郎君    畑   和君       田中幾三郎君    志賀 義雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 植木庚子郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁警備局         長)      三輪 良雄君         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         公安調査庁次長 關   之君  委員外出席者         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木 才藏君         警  視  長         (警視庁警備部         長)      高橋 幹夫君         専  門  員 小木 貞一君     ————————————— 十月十七日  委員片山哲辞任につき、その補欠として田中  幾三郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田中幾三郎辞任につき、その補欠として  片山哲君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月十三日  皇室の尊厳をおかす者を処罰する法律の制定に  関する請願外二件(江崎真澄紹介)(第二八  五号)  同(江崎真澄紹介)(第三七九号)  同外五十件(瀬戸山三男紹介)(第三八〇  号)  同(谷垣專一君紹介)(第四八五号)  同(江崎真澄紹介)(第五三九号)  同(楢橋渡紹介)(第五四〇号)  政治的暴力行為防止法案反対等に関する請願(  島上善五郎紹介)(第三四七号)  同外二十件(川上貫一紹介)(第五四一号)  政治的暴力行為防止法案反対に関する請願(河  野密紹介)(第三七八号)  同外八件(川上貫一紹介)(第五四二号)  同外十二件(志賀義雄紹介)(第五四三号)  同外十一件(谷口善太郎紹介)(第五四四  号)  鹿児島地方家庭裁判所川内支部甲号昇格に  関する請願池田清志紹介)(第四八三号)  同(池田清志紹介)(第五三八号)人事訴訟  手続法等の一部改正に関する請願池田清志君  紹介)(第四八四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件      ————◇—————
  2. 河本敏夫

    河本委員長 これより会議を開きます。  法務行政及び検察行政に関する件について、調査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。坪野米男君。
  3. 坪野米男

    坪野委員 私は法務行政並びに検察行政一般について質問したいと思うのでありますが、問題点が非常にたくさんありますので、時間の関係上、一つ一つしぼってお尋ねしてみたいと考えるわけであります。  最初公安条例、いわゆる各都道府県で施行されております公安条例実施状況、特に公安条例の乱用の事実を指摘して、警察当局、また国家公の安委員会、さらには法務当局にお尋ねしたいと思うわけであります。地方行政委員会の方でも、公安条例の問題についていろいろな角度から質問、追及がなされておりますので、若干重複する点もあるかもしれませんが、また独自の観点から当局見解をただしたいと思うのであります。私は特に東京都の都条例実施状況についてお尋ねしたいと思うのでありますが、国家公安委員長は見えておりませんか。——警視庁責任者はどなたですか。警備部長ですね。公安委員長がおりませんから、警察長官にも随時お答え願いたいと思います。これは都条例ではありますけれども日本の首都の治安を維持するという立場からの条例で、非常に重要な日本国民基本的人権、あるいは政治的活動、ひいては言論集会、結社の自由といったいわゆる言論の自由に重大な関係のある条例でありますから、私はこの都条例の運用について、従来から非常に疑問に思い、また当局見解をただしておきたいと思った点がありますので、ぜひ一つ責任ある御答弁を願いたいと思います。  最初に、都条例が施行されてから、集会集団行進または集団示威運動、こういうように三つに概念区別されているようでありますが、そのうちの集団示威運動、いわゆるデモンストレーションといいますか、集団示威運動許可申請が何件くらい今日までに出されて、それに対して何件くらい許可が与えられ、何件くらい許可せず、却下されたか、その事実を最初にお答え願いたいと思います。
  4. 河本敏夫

    河本委員長 先に坪野君に申し上げますが、国家公安委員長は参議院の予算委員会出席中でございます。
  5. 高橋幹夫

    高橋説明員 詳細な件数については手元に限られた資料しかございませんので、もしも必要であれば後刻全部の件数について提出いたしますが、私のところに現在ございます集団示威運動取り扱い件数は、昭和三十二年度が二百十七件、昭和三十三年度が二百三十四件、昭和三十四年度が四百二十五件、三十五年度が六百四十五件、三十六年度につきましては上半期二百七十四件、合計いたしまして千七百九十五件という実情でございます。  なお、この間における不許可件数でございますが、三十二年が三件、三十三年が二件、以下は不許可件数はございません。
  6. 坪野米男

    坪野委員 今示された不許可というのは、集団示威運動を全面的に許可せずという不許可件数でございましょうか。条件変更して、示威運動は許さないが、集団行進は許す、あるいは集会は許すというような修正をされたものがあるかどうか。
  7. 高橋幹夫

    高橋説明員 ただいま申し上げた件数は、純然たる不許可件数でございます。
  8. 坪野米男

    坪野委員 さきに言われた千七百九十五件、これはいずれも集団示威運動許可申請ですね。
  9. 高橋幹夫

    高橋説明員 そうでございます。
  10. 坪野米男

    坪野委員 それに対して、示威運動は許さないが、集団行進を許すというように、条件変更といいますか、要するに示威運動を許さないという、大衆運動一切許可せずということでなしに、許可申請した集団示威運動を許さないとした件数、そのように変更をされた件数がわかれば、概数でよろしいからお答え願いたい。
  11. 高橋幹夫

    高橋説明員 条件による進路変更処分をいたしましたものが、昭和三十四年に一件、昭和三十六年に一件、計二件でございます。
  12. 坪野米男

    坪野委員 そうしますと、あとの大多数は、条件は別といたしまして、集団示威運動許可しておる、こう聞いてよろしゅうございますか。
  13. 高橋幹夫

    高橋説明員 その通りでございます。
  14. 坪野米男

    坪野委員 それでは、その都条例に基づいて許可申請する件の中に、国会への示威運動あるいは国会周辺本省官庁に対する示威運動申請した件数はどれくらいありましょうか。最初国会だけでよろしい。
  15. 高橋幹夫

    高橋説明員 ちょっと詳細な資料手元にございませんので、これも資料として提出いたしますが、考え方といたしましては、国会閉会中は相当件数がございます。開会中につきましては、集団行進以外は、昭和三十六年度においては全然ございません。
  16. 坪野米男

    坪野委員 申請がないということですね。国会周辺へのデモ行進集団示威運動許可申請が出ないということは、都の公安委員会なり警視庁の方で、国会周辺へのデモ行進許可申請をしても許可しないという明示または黙示の意思表示をされておるというか、あるいは、ある時期に、そういう国会周辺へのデモを一切許さないという公安委員会態度を、大衆運動指導者に対して表示されたから許可申請が出ないのではないかと考えておりますが、そういう点はどうですか。
  17. 高橋幹夫

    高橋説明員 東京都の公安委員会といたしましては、国会周辺における国会開会中のデモに対しましては、原則として各主催者に御自粛を願うという方針を持っておったのであります。従いまして、開会中の国会周辺に対する集団示威運動につきましては、議事堂周辺の静穏と、国会の公正なる審議権の行使と、議員の登院の問題というような点から、原則として禁止しておるわけでございます。
  18. 坪野米男

    坪野委員 それは、いつからそういう方針をとられたのですか。
  19. 高橋幹夫

    高橋説明員 安保以前におきましてはその原則を堅持して参りましたが、安保当時の騒然たる状況におきまして、すべての問題につきまして一応合法のワク内に入れたいという念願をもちまして、一部所要の措置を講じましたが、安保のときの経験不足に照らしまして、自後、私ども公安委員会といたしましては、国会周辺における今申し上げたような点の方針をずっと堅持しておる次第でございます。
  20. 坪野米男

    坪野委員 開会中の国会周辺へのデモ行進デモ運動原則として許可しない方針を堅持しておるということでありますが、それは都条例その他の法令のどういう根拠に基づいてそういう方針を堅持されておるのか、それを一つお答え願いたい。
  21. 高橋幹夫

    高橋説明員 元来公安条例の制定された趣旨というものと、いわゆる国会周辺における今申し上げたような原則の一般的な社会通念の問題が一つございます。さらに具体的に言いますれば、公安条例の三条の一号の、「官公庁の事務妨害防止に関する」というような趣旨からいたしまして、私どもといたしましては、そのような見解をとっております。  さらに、そういう問題につきましては、公安委員会条例取り扱いという点につきましても、昭和三十五年一月八日の東京公安委員会決定の第四項の中に、そういう趣旨をうたっておるわけでございます。
  22. 坪野米男

    坪野委員 少しこまかくなりますが、都条例で、集会集団行進集団示威運動と分けてございますが、集団行進集団示威運動とはどう違うのかということを、一つ具体的に当局有権解釈を伺いたい。
  23. 高橋幹夫

    高橋説明員 集団行進というものは、一つ目的を持ってある場所からある場所行進をしていくということでございまして、代表的なものは、いろいろな祝賀パレードというものが代表的なものであります。集団示威運動というのは、公衆に対して示威的な行為を伴うものが集団示威行進でございます。
  24. 坪野米男

    坪野委員 その示威的な行為というのは、どういうことですか。集団行進一定目的を持って一定場所から一定場所集団的に移動する。その一定目的とは何ぞや。「学生、生徒その他の遠足、修学旅行、体育、競技」、こういったものははずされています。それから「冠婚葬祭等慣例による行事」、こういったものははずされております。そうしますと、公安条例が意図しているところのものは、主としては政治的な集会政治的な集団行進政治的な意図を持った示威運動規制の対象になっている。これは常識であろうと思うのです。もちろん法律でありますから、政治と限定したものではない。今言われた商人がいわゆる営業宣伝川のパレードをやるということも、この都条例規制に入るのかどうか。解釈によって入るとも行えましょうし、法の趣旨からいって入らないという解釈も成り立つと思いますが、私は、都条例のねらいは、やはり憲法で保障された言論の自由、表現の自由を、公共の福祉という観点から——もちろん憲法違反の疑義をわれわれは持っておりますが、懇意に、この法の目的からすれば、今言ったような政治的な集団行進政治的な集会といったものを規制しようというところにねらいがあると思うわけであります。従って、今の集団行進一定目的を持ってただ集団的に行進をするという行為、それもその目的政治的なものであれば、その集団行進自体が、集団行進によって何らかの意思表示をしているのだ。それは一つ自分たち政治的目的、要求を、市民あるいは国民あるいは為政者に訴えているというような示威要素が含まれてきていると思う。ですから、集団行進集団示威運動あるいは集団示威行進とを概念的にどう区別するかということは、非常に微妙な問題があると思う。ですから、そういう一定目的を持った集団行進区別して集団示威運動という以上、その示威という概念は、ここに書いてある示威をただ示威的というのでは、これは解釈にならないわけです。もう少し概念の内容を具体化して、どういう示威なのか、どういうデモというか、あるいは威勢を示す行為というか、もう少し示威運動集団行進区別を具体的にできるような解釈の基準を一つ明らかにしてもらいたいと思います。
  25. 高橋幹夫

    高橋説明員 集団示威運動と申しますのは、多数の者が一走の目的を持って公衆に対して気勢を示す共同の行動というものが集団示威運動でございます。従いまして、その中におけるところの示威ということは、不特定の多数の者に対して影響を与えるように威力を示すということであって、そういう点が示威であるというふうに私ども解釈いたしております。
  26. 坪野米男

    坪野委員 言葉だけで言うと、特定目的を持って集団行進をやって公衆気勢を示す、これが集団行進で、一方特定目的で不特定多数の者に威力を示す、この気勢威力とどう区別するのですか。気勢を示すのもデモなのですか。私が聞き違えですか。どちらもそれがデモ行進ですか。
  27. 高橋幹夫

    高橋説明員 集団示威運動の場合は、一定目的を持って公衆に対し気勢を示す集団示威運動でございます。
  28. 坪野米男

    坪野委員 そうすると、一定目的を持って、ただ複数人が歩くというこの集団行進というのは、気勢を示さない行進を言うのですか。
  29. 高橋幹夫

    高橋説明員 原則としてそうでございます。
  30. 坪野米男

    坪野委員 そうすると、この都条例の第一条で何のためにこういう規定が必要なのかという場合に、葬式行列、これはまあ差しつかえない、お嫁入りの行列をいなかでやる、これも差しつかえないということのようですが、どういう一定目的を持ってするか知らないけれども、不特定多数人に対する気勢を示す、あるいは威力を誇示するといった要素の全然ない葬式行列に準ずるような集団行進、そういうものをわざわざ公安条例を作って規制する必要がどこにあるのか、およそ無意味だと思うのです。言論の自由というものは、政治的な言論の自由、時の権力に対して反対をする、あるいは政府の政策に反対をする言論の自由である。月を見る権利、こういうものではないのです。これは権利じゃない、当然の自由にすぎないのだ。だから集団行進あるいは歩く自由、こういうものは権利でも自由でもないはずなんです。ここで公安条例規制する以上は、やはり一定政治的目的を持った集会一定目的を持った集団的な行進を、公安維持立場から規制する必要があるというところにねらいがあるわけなんです。従って、集団行進はただ歩くだけだ、しかし隊伍を組んで歩けば、それ自身一つ目的を持って歩いている以上は、——目的で歩く集団行進というものは、烏合の衆であれば、これは何ら意味を示さない。しかしながら、特定目的を持って複数人が歩くということであれば、これは私はけっこう示威行進といって差しつかえないと思うのです。ですから私が今質問したいのは、集団行進というのはただ歩くだけだ、ものを言ってはいけないのだ、歌を歌っちゃいけないのだ、あるいは旗を持って歩いちゃいけないのだ、そう言いたいのだろうと思う。しかし、ここで集団行進をわざわざ公安委員会許可をもらわなければ歩けないのだ、こういうきびしい憲法違反の疑いのある規定を作る以上は、ただ歩くということの許可を求めるということに私は理解できない。一定目的を持って、複数人隊伍を組んで、一定意思表示をして歩くという以上は、それは示威なんです。そういう行進旗ざおを持って歩く、あるいはプラカードを掲げて歩く、そういったことは、私は集団行進に当然含まれておる行為だと思うのです。ところが、あなた方の解釈では、それは示威だ、旗を持って歩けば示威だ、デモだ、こう言いたいのだろうと思う。しかし、それなら旗ざおを持たない、ものを言っちゃいけないというような集団行進をここで規制する必要がどうしてあるのか。法の精神に照らして、道路その他公共場所における集会規制する必要、あるいは道路集団行進する者を規制する必要、それは政治的にもあるいは法的にも目的があるはずなんです。示威を伴わない集団行進——ここは集団示威行進とは書いていないのですよ。集団示威運動とあるのですよ。ですから私は、集団行進集団示威運動の一形態だと理解しているわけなんです。集団示威行進と導いてあれば別ですが、集団示威運動とあるのです。そうして二番目に集団行進——集団行進をお葬式のように黙って、そうしててんでんばらばらに、それでも一集団と見られる場合もあり得ましょう。そういう場合は、全然無意味な、無価値な集団行進である。しかし、四列縦隊隊伍を組んでものを言わずに歩いても、私はその目的が外部に表示されておれば示威行進だと思う。しかし、そういうものは集団行進としての許可だけじゃいけないのだ、示威行進許可が要るんだ、こういう解釈になるとすれば、私は非常に不合理だと思う。そういう意味で、示威運動というものは、集団行進集団示威運動とを一応概念的に非常に抽象的に区別をされたけれども、具体的に言って、旗を一本あるいはプラカード一本を集団行進の先頭に掲げてある、あるいはパレードの場合にでも同様、商用のパレードの場合にでも、あるいはその中に政治的目的も入るかもしれない。物品税を減税せよ、あるいは酒の税を減税せよというような政治的な目的が入れば、それは一つ示威になるかもしれないが、そういうプラカードを掲げるとか旗ざおを掲げるという行為は、それ自体示威ということで集団示威運動概念の中に包括されるというお考えかどうか、それをもう一度確かめたいと思います。
  31. 高橋幹夫

    高橋説明員 集団示威運動集団行進につきまして申し上げた私の見解は、先ほど坪野委員から示された見解とは相違しているように思いますので、この点について重ねて私の方は、今申し上げた私のような見解警視庁並びに公安委員会は持っておるわけでございます。ただしかし、今申し上げたように、集団行進の中に一本旗があったらどうか云々というのはやはり社会的通念とその当時の状況に照らしてみなければわからないことでございます。そういう点だけ……。
  32. 坪野米男

    坪野委員 抽象的にそういう答弁をされても、だれがそれを社会通念に従って公安条例実施するか、あるいは運用するかということになれば、警備部長、あなたではなしに、あなたの部下警察署長クラスが少なくとも指揮者になって実施しておるわけなんです。公安条例に違反しておるかどうかというこの法解釈に基づく法の執行は、警察署長以下の警察官によって執行されておるのです。あなたが言われるほど良識を持って、社会通念に照らして公安条例解釈、特に集団示威運動なりや、単なる集団行進なりや、あるいは集団行進と言えるかどうか、それも疑わしい、三々五々に近い行進、そういったものを社会通念良識に照らして判断しておるかどうかということは、きわめてこれは疑問なんです。  私は一つ例をあげて、今の高橋警備部長答弁では現実に警視庁管内警察官良識を持って、社会通念に照らして公安条例解釈、運用しておらないという事実を指摘したいと思う。それは、私自身が直接経験したことでありますが、ことしの四月七日に新島基地反対闘争実情調査に私が参ったわけであります。四月七日の午後一時過ぎでありましたか、新島の港に着いたわけであります。東京地方を中心とした新島基地反対闘争に参加する人たち四、五十名だったと思いますが、桟橋におりて、そうして、その港から基地反対同盟宿舎本部のあるところまで、約二、三町はあったかと思いますが、その間を、それらのオルグに派遣された人たち、そして私たちのように調査に行った者を含めて、三々五々その道を歩き出したわけであります。途中で、細い一本道でありますから、大体四列縦隊くらいになっている。あるいは三々五々で歩くとかえって交通のじゃまになる、トラックその他の通行の妨害になるから、大体四列くらいに並んで左側を通っていきましょうということで、四列縦隊くらいで進んでいったわけであります。これは集団行進と言えば集団行進と言えるでありましょう。しかしながら、何も都条例に従って許可申請も何もしておらない。そして、その中に反対同盟本部から出迎えに来た連中が二、三人、旗ざおを持っておった。その連中も一緒に四列縦隊に加わって、宿舎まで行進をしたわけでありますが、旗ざおを立てて歩いておるという事実だけでもって、警視庁の、当時あれは二機の隊長——何という名前か忘れましたが、あとでお尋ねしましょう。それから新島署長の、これも名前は失念いたしましたが、それがおって、旗を巻いてくれ、こう言う。それから、だれかが歌を歌っておったら、歌はやめてくれ。さらには、集団行進は許されてないのだから、三々五々で行ってくれ、こういうことを言うわけであります。しかし私は、これは常識として、港へ着いて、宿舎へ二、三町歩いて、そこで皆が勢ぞろいして、それからいろいろな集団行動に移るのですが、一定政治的目的を持っていることは明らかでありますけれども、そこへ行くまでの数町の間、人家があるでない、そういうところを、三々五々歩けば交通妨害になるから集団行進をする、一々許可が要る、そういうばかげた法律はないと思う。公安条例でわざわざ罰則をもって規制するという以上は、もっと公安維持のために常識的に規制の必要のある、そういう場合の規制であるべきだと思う。そして、持ってきた連中が、旗を二本、三本持ってその列の中に加わっておっても、それはなるほど形の上では集団行進になっておる、また、だれかが歌を歌えばデモをやっておる、示威になっておるということにはなりましょうけれども、その程度に歌を歌っておる、全部が歌っているわけじゃない、五、六人の連中が列のどこかで歌っておるという状況では、これは集団行進、しかも非常に短期間集まって、そしてこれから目的地へ着いて、そこからほんとうの行動に移ろうという際の集団行進、こういうものが公安条例規制にはまると私はとうてい考えられない。ところが、その警視庁機動隊長はそれを実力をもって排除しておるのです。私と現場でずいぶん言い争いましたけれども、問答無用だ、こういうことです。法律解釈はわれわれがやるんだと言う。お前たち国会で勝手にやれ、こういうむちゃなことを言うのですが、あなたの部下は、決してそんな良識を持って社会通念で法を運用しておらない。だからわれわれは今問題にしておるわけなんです。旗ざお一本あればもうそれで集団行進でなくなるのだ、デモ行進になるのだ、これが警視庁見解のようです。それならそれではっきり一つ言ってもらえぱ、われわれは今後の対策を考える。旗ざお一木でも立てて歩けば、これはただの集団行進ではなく、示威行進だ、こういう解釈警視庁統一見解としてとっておるのではないか、その点重ねて一つお答えを願いたい。
  33. 高橋幹夫

    高橋説明員 私の考えていることと末端の幹部並びに警察官の考えていることが相違しておると申されましたが、私どもといたしましては、いろいろの集団行動に対するわれわれとしての態度といたしましては、常時、事前において警備会議あるいはその他の必要な会議をいたしまして、できるだけ私どもの考えている警視庁方針というものが末端にまで徹底するような措置を講じている次第であります。  なお御指摘になりましたところの新島における四月七日でございますかの事件につきましては、私ども直ちに報告を受けて、詳細承知いたしております。ただ私が当時その現場におらなかったので、報告を基礎にして申し上げるわけでございますが、当時の新島における状況というものは、御承知の通り、賛成、反対派の対立があり、多数のオルグ団が入島をし、また同時に右翼がこれにも入島するというような、一つの客観的な条件がございます。従いまして、私どもといたしましては、当時新島におけるところの、今御指摘になったような集団行動につきましては、厳格に規制するという方針を下部に指示いたしておる次第であります。従いまして、当時の状況といたしましては、御指摘のようなことがございましたことにつきましては、やはり気勢をはり、あるいは旗を持ち、集団行動の形態をなすということについては、できるだけ御遠慮を願うというのが当時の私ども方針でございまして、従いまして、そういう措置を二機の隊長並びに五機の隊長がとったものと考えております。
  34. 坪野米男

    坪野委員 四月七日当時の二機の隊長は、名前は何といいましたか。それから署長の名前は……。
  35. 高橋幹夫

    高橋説明員 二機の隊長は外川隊長、それから署長は高野署長。
  36. 坪野米男

    坪野委員 ついでに五機の隊長は……。
  37. 高橋幹夫

    高橋説明員 五機の隊長は、当時、末松……。
  38. 坪野米男

    坪野委員 さっき私は二機の隊長と言いましたが、ちょうど二機が引き上げて五機にかわったときであります。末松という隊長は、国会周辺デモ取り締まりでもなかなか活躍をしておる、近藤勇のような隊長でありますが、少し知性に欠くるところがあるというか、教養に欠くるところがあるんじゃないかと思われるほど、法匪といってもいいぐらいに、公安条例を形式的に解釈しているという率直な感じを私は受けたんですが、今の場合、当時の状況がどうあっても、出迎えに来ておるのは、反対派連中がわずかばかりで、宿舎へ着いてからの後の行動は、お互いに山の中で相当緊迫した状況はありましたけれども、その二、三町の間の宿舎へ着くまでの行進をそういう形で規制するということは、公安条例の精神からいっても行き過ぎではないかと私は考えておるわけですが、その点については一応この程度にとどめておきます。  そこで、先ほど問題にしました国会周辺でのデモ規制する根拠でありますが、私は公安条例に違反していると思う。そういう警視庁あるいは都の公安委員会方針は、公安条例規定に違反している。公安条例自体が憲法違反だという解釈をわれわれはとっておりますけれども、都の条例規定にも私は違反していると思うわけであります。今の警備部長の説明の中でも、集団行進集団示威運動区別を、気勢をはる行為はすべて示威運動だ、良識云々はありますけれども、ほとんどは示威運動だということになるなら、国会の周辺での集団行進は、平穏な請願を行なうための集団行進許可されておるということは聞いておりますが、国政の中心である国会に対して政治的な要求をもって示威をする、こういう示威運動は、憲法言論の自由、表現の自由という立場からいっても、私は当然許されてしかるべきだと思う。国会に対して集団的に示威を行なうという行為は、それ自体は何ら規制する必要はない。ただ、凶器を準備する、あるいは暴力的な行為に及ぶおそれがあるということを最小限度規制するということの必要は認めますけれども、国権の最高機関である国会に対して国民政治的な要求を掲げて請願をする、また請願だけでなしに、反対の意思、賛成の意思を表明するために示威運動を行なう、示威をやるという行為自体を規制することは、憲法上もできないし、また都条例立場からもそれはできない。都条例の第三条にも「集会集団行進又は集団示威運動実施公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合の外は、これを許可しなければならない。」こう書いてある。国会の周辺にデモをするといいましても、多数が隊伍を組んで堂々と行進をする、これは私はデモだと思う。集団行進であると同時にデモンストレーションだと思います。プラカードを掲げる、旗ざおを掲げる、これも私はデモンストレーションだと思う。しかし、旗ざおを持ち、あるいはプラカード自分たちの要求項目を掲げる、こういう言論表現の自由を用いて行なうデモが、なぜ公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすということになるのか、私は考えられないことだと思うのです。官公庁の事務妨害防止に関する事項を条件としてつけることができる、官公庁あるいは国会事務妨害、ここでシェプレヒコールをやって国会をゆるがすというほどの大きな声が出れば、事務妨害ということにもなりましょう。けれども、旗ざを持って行進する、そうしてそこで政防法反対安保反対という気勢を上げる程度が直ちに事務妨害になるという解釈は、私は出てこないと思うのです。国会の周辺にデモをかけるといいましても、旗ざおプラカードを持ってデモ行進をする、それもデモだという解釈のもとにそれを禁止し、それを不許可にしなければならない理由というものは、出てこないと思うのです。ですから、この三条のいろいろな許可条件良識に従って最小限度の制限として考える場合に、原則として開会中の国会周辺でのデモンストレーション、それがどんなに非暴力的な、あるいはデモでありますから平穏とはいわないけれども、比較的平穏な姿であって、少なくとも公共の安寧を脅かすおそれのない示威運動も、それがなぜ許されないのか。示威であれば何もかもいけない、示威であれば開会中は国会周辺は一切いけないという法的の根拠を、この三条の規定から具体的に一つお答えを願いたいと思います。
  39. 高橋幹夫

    高橋説明員 その点につきましては先ほど申し上げた通りでございまして、重ねて申し上げますれば、七月四日に都公安委員会が決定をいたしましたいわゆる「集会集団行進及び集団示威運動に関する条例の取扱いについて」の第四項にございます「直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合のほか、」云々の中の第二号で、そういう点についての都としての考え方の根拠といたしたわけでございます。
  40. 坪野米男

    坪野委員 今の第二号といいますと、どういうことですか。
  41. 高橋幹夫

    高橋説明員 第四項第二号は「実施の時間、場所または方法により国会審議権の行使、裁判所の公判その他官公庁の事務(外国公館の執務を含む。)が著しく阻害されることが明らかなとき」ということであります。
  42. 坪野米男

    坪野委員 その規則を私は今見ておりませんが、今聞いただけでも、その規定を適用してどうして開会中の国会周辺での示威運動がすべて禁止されなければならないのか、不許可にしなければならないという結論が出てくるのか、私はきわめて疑わしいと思うのです。警視庁見解では、示威運動といえば非常に広範な概念になっておる。旗ざお一本とはいわないにしても、一本でもやられる。けれども旗ざおを掲げ、またはプラカードを掲げてものを言わずに行進するという場合に、それでもいけないのでしょうか。それでも示威運動になるのですか。どうですか。それが審議権妨害するとはどういうことでありますか。その点だけ一つお答え願います。
  43. 高橋幹夫

    高橋説明員 集団示威運動の私ども解釈というのは、先ほど申した通りであります。過去の経験則に照らしましても、十二月二十一日あるいは六月十五日というような経験を私どもは持っておるわけであります。従いまして、そういうものにつきましては、今申したような見解でやっているのであります。
  44. 坪野米男

    坪野委員 ちょっと答弁にならないでしょう。集団示威運動解釈を非常に拡大して広く解釈しておられる、不当に拡大解釈しておられる、そう私は先ほどからの見解から承ったのです。一方、国会審議権妨害しないようにという配慮から——裁判所も同様でありましょう。——開会国会周辺における示威運動は一切許さないという場合に、具体的にその示威運動の中には、国会周辺、構内に入り込んで相当激しい示威をする場合も過去にありました。そういったものが審議権を脅かすかどうかという判断が一つありましょう。けれども、あなたの言われたように、集団行進とは、ただ葬式行列だけをいうのだ、それに準ずるものだけをいうのだということに、極端にいえばなるのです。そしてあとはほとんど示威運動になる。ところが、そのような国会周辺で軽微な、ただ、プラカードを掲げて行進するというその行為でも示威運動になります。法律解釈としてはそうなる。その示威運動審議権を著しく妨害するという解釈は、どこから出てくるのか。派生して審議権妨害するような、さくを越えて乗り込んで来る、そういったようなことがあればいけないという条件をつけることはあり得ても、デモ行進示威運動それ自体を禁止する、不許可にするという根拠、その基準にははまらないと思うのです。どうですか。そういう解釈通りますか、日本の裁判所に通用する法解釈として。あなた方は警視庁の高級官僚だから法律を勉強されたのでしょうけれど、ただ官僚に都合のいいような有権解釈は、あなた方が運用される面では通用しても、日本の国の法律一つであります。その法律解釈の最終的な有権解釈は最高裁判所にあるわけですが、裁判所で通用する法律論としてどうか。法律解釈として今言われたようなデモはこういうものだと、非常に広汎な概念でする。これは抽象的、一般的規定でありますが、国会審議権に対して、国会議員として、社会党、自民党を問わず、あそこをプラカードを掲げて行進しておる姿を見て、審議権妨害されるというようなことを感ずる国会議員は一人もいないと思う。それが国民の世論である。多数の世論であるか、あるいは一部の声であるかは別として、とにかく国民が要求しておるという姿を見て、審議権妨害されるというようなばかげたことを考える代議士は一人もいないと思う。あなたはその点理論的にも混淆を来たしておると思う。国会審議権妨害するような、デモというものを安保闘争の際にあったようなああいうものを想定しておいて、デモはいけないという。そうして一方デモとは何ぞやということになれば、今度はデモとは旗ざおを持って歩くのは気勢を示す行為なんだという。それを理屈づければ、国会周辺に対しては、どのような平穏な集団行進さえも、事実上禁止されるということになるのです。政防法で労働組合あるいは広範な大衆が請願行動をやっております。あれはデモ許可しておらない、集団行進だけだ。ところが人間は自然発生的にものを言う。国会の周辺に出てわれわれがそこで迎えておれば、社会党がんばれ、こういう声が自然発生的に出る。それはデモだ、公安条例違反だということで、責任者に対する警告が発せられておる。まさにこれは警察国家だと思う。公安条例を乱用するもはなはだしいと思う。集団行進それ自体が元来デモなんです。それは許可されておる。社会通念に従ってそれが許されるかどうかということ、この際はデモは困るんだ、集団行進だけにしてほしいということで許される場合でも、常識的には限界があると思う。国会周辺で、旗ざおは全部取り上げてしまって、そうしてあそこでかけ足をする、それも、走ってはいけません、歩いて下さい、何々署長であります、こういうばかげたことを言っておる。人間は、自然発生的に、お互いに政治的な要求を持っているわけなんです。そこで、自分たちの意思を表明する集団行進の場において表明して、それが示威運動だとやられたら、事実上国会周辺では何ら、葬式行列以外の集団行進は許されないということになるのです、あなたの見解では。あなたというよりは、警視庁が事実上国会周辺への集団行進を禁止しておる。しかし、それは公安条例の命ずるところではないと思う。何らそういうおそれのない示威運動一切を禁止するということになる。とういう不合理をあなた方は考えられたことないのかどうか。これは公安委員長がおれば公安委員長見解をただしたいと思いますが、警察庁長官どうですか。現在の都条例の運用について、今私が問題点指摘しましたが、国会周辺への示威運動がすべていけないということは、公安条例規定のどこから出てくるかということです。一定の形態の示威運動規制、これは必要であるかもしれない。しかし、示威運動自体がいけないという解釈、しかもその示威運動とは、今警備部長が言ったような、非常に広範な概念規定になっておる。事実プラカード一本持って歩くことも許されない、旗ざお一本持って歩くことも許されない、そういう公安委員会の禁止あるいはそれを補佐しておるといいますか、実質的に関与しておる警視庁のそういう法運用は、私はこれは明らかに公安条例に違反し、憲法に違反しておると思うが、警察庁長官、いかがですか。
  45. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 東京都の公安委員会におかれまして、ただいま高橋警備部長から申し上げましたような方針をとっておるわけでございますが、もともと国会というものは国権の最高の機関でありまして、この中における審議がきわめて平静に行なわれるということは、これは国民の大多数の要望であろうと私は思うのであります。昨年、国会周辺におきましてああした不祥事態を生じたのも、初めからああいう事件を起こそうという意図を持った者もあるかもしれませんけれども示威運動が許されるということがだんだん高じて、ああいう形に発展していったというふうに見るべきではないかと思うのでありまして、やはり国会の周辺においては、示威的な行為というものは極力自粛してもらうという都公安委員会方針は、私は正しいものであるというふうに考えておるのであります。  また、一方におきまして、先ほど来、坪野さんのお話の中にありましたように、国民の要求というものを国会に反映するということにつきましては、請願法に基づいて、平穏な請願が法的に許されておるわけでございますので、やはり国民国会に対する意思表示というものは、国会議員を通じて行なわれる、また国民から国会に対するものは請願としての形において行なわれるということが、法律も期待しておるところであろうと思います。直ちにそのことが非常に平穏なデモまで取り締まるのはどうかというお話で、極端なところに話を持っていっておられるようでございまするけれども、そういうものがたび重なることによって、事態を非常に紛糾させる因子にもなるわけでございますので、公安委員会としてそういうことを未然に防止するという意味において、国民からの意思表示請願によってもらう、国会周辺において国会に直接威力を示して意思表示をするということは避けてもらいたいという方針は、私は納得できるものと考えておるのであります。
  46. 坪野米男

    坪野委員 国民の要求を、請願法に基づいて平穏に請願する、そういう方法で行使することももちろんけっこうであります。しかし私は、国民の世論を反映させる方法、あるいは国政に反映させ、あるいは要求する方法は、請願だけが許されたものだ、唯一のものだとは考えないわけです。平穏な請願を通じて積極的な要求をする、これもけっこうでありましょう。しかし、また同時に、国民は何も選挙のときだけの主権者でないわけであります。国民の要求するところを直接言論機関に訴えて、賛成し、反対するという形を通じても、私は要求ができると思う、演説会その他の方法でも。また今言った集団行進あるいは集団示威運動という形態をもって——示威の場合は、政府方針反対する場合が多いでしょう。賛成で示威をすることも時たまありますけれども政府の反動的な政策、あるいは国民権利を侵害する政策に反対する強い意思表示の、言論表現の形態として、憲法示威運動を、デモンストレーションの権利を、保障しておるわけです、表現の自由として。そうして一定の制限のもとに、公安条例も許しておるわけなんです。ですから、国会は国権の最高機関だからここでは示威は許されないのだ、平穏な請願だけやれというなら、それじゃ示威はどこへ行ってやるのだ。山の中へ行って示威運動をやるのか、銀座のまん中でやれば、今度は道交法で交通妨害になるからだめだということになる。不特定多数の大衆に対して示威をする、それも示威一つの方法でありましょう。従って街頭に出て示威をやる。同時に、自分たちが今政治的要求を掲げている対象に向かって示威をする。これが暴力的な行動に出るということであれば、当然法の取り締まりを受けるでありましょうけれども公安条例許可され、また法の許す範囲で示威を行なうということは、国政の最高機関であるがゆえに、国民の直接的な要望、要求あるいは反対の声、そういったものを聞かなければ、世論政治、民主政治というものは成り立たない。言論の自由の保障があり、その言論の自由が政府に反映される世論を聞く政治、これが私は民主政治であると思う。議会政治であると思う。ですから、そういう意味で、今言われた平穏な請願だけやってもらいたいということは、私はそう望ましい。政治が正しく行なわれておればそうあるでありましょう。けれども政治にゆがみが出てくれば、国民は四年に一度の選挙を待っておれない。直接政府に対して請願をやる、あるいは抗議の意思表示を行なう、そのための示威運動はあり得ると思う。それは、公安条例一定条件が付加されれば、私は許されてしかるべきだと思う。私が極端な場合を言っておると言うが、極端な場合を想定して一切国会周辺へのデモ開会中禁止しておるのは警視庁なんです。都の公安委員会なんだ。そういう極端な場合だけを想定した禁止規定は、私は憲法違反だと思う。そこが問題なんです。またあとで触れますけれども、簡単に言えば、道路交通法の規定は、元来は交通取り締まりがその本来の趣旨なんだ。ところが、この道交法を乱用してデモ規制をやろうとしておる。今度の通常国会、第三十八通常国会の終末で、政防法の請願行動隊があった。その際に国会の南門の入口でありましたか、歩道に若い女の人が四、五人立ちどまって集団行進を見ておった。その見物人と申しますか、もとは集団行進に参加した人かもしれない、あるいは国会の職員であったかもしれない、とにかく女の人が四、五人歩道に立って集団行進を見ておる。それに対して、私は麹町署長であります、交通妨害になりますから立ちどまらないで下さい、こう言う。天下の大道でありますよ。天下の大道を、歩こうと、とまろうと、交通妨害にならない程度なら、私は自由だと思う。道は歩くためにある。同時に、立ちどまったって、交通妨害にならなければかまわない。歩道は人間が歩くところなんだ。自動車が通るところじゃない。交通妨害といっても、その四、五人がとまっておっても、あとは幾らでも道があいておる。むしろ車道で集団行進が許されておって、一般の車馬の交通が今制限を受けておる、そういう状態で、道交法の、立ちどまって交通の妨げになるような行為をしてはならないという規定をとらえて、交通妨害になりますからすみやかに立ちのいて下さいと言う。これは何事ですか。こういう解釈警察署長はするんだ。法律も何もあったものじゃないですよ。無知と言おうか、恥知らずと言おうか、とにかくこういうばかげた解釈はないですよ。私だけじゃない。そこにいた社会党の代議士が全部目撃しておった事実なんです。もしそれがうそだと思うならば次の集団行動の際に実験してみせますから。絶えずそういう警告を発していますよ。マイクで大声でわめき散らしている。そういうばかげたことがありますかね。歩道に立ちどまって見物している者が、道路交通法違反だなど、非常識きわまると私は思うのです。そういう解釈が道交法の乱用の形で行なわれておりますが、今の公安条例は、私はデモ禁法が昨年の安保国会の次の臨時国会で流れてしまったその代用品として、この都条例解釈の乱用によって事実上の示威運動デモ運動を一切国会周辺においては禁止しようという非常に悪質な意図を持って、今警視庁あるいは都の公安委員会はこの条例を乱用しているといわざるを得ない。ですから、警察庁長官にしても、あるいは警視庁当局にしても、そういう統一見解をとっておられるようだが、これは政府方針なのか。形式的にはなるほど都の公安委員会の権限事項になっておるようですが、警察庁長官もそれに賛意を表しておられるのか。法務省も法務大臣も、あるいは自民党の政府も、そのような統一見解でこの都条例の運用を支持して、国会周辺への一切の平穏な、あるいはどのような形態であっても示威的な行為を一切許さないという、そういう不合理な方針政府方針として是認しておられるのかどうか。植木法務大臣に一つお答えを願いたいと思います。
  47. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 先ほど来るる御意見を拝聴いたしましたが、都条例の運用の問題につきましていろいろ御意見がございました。その御意見の中にもありましたように、いわゆる平穏裡に法秩序を守って示威運動が行なわれるとか、あるいは集団行進が行なわれるという分においては、その取り締まりなり、運用の仕方が行き過ぎではないかということも、御意見として成り立つと思います。しかしながら、過去数年間における実例に徴しまして、日本のいわゆるこうした場合における集団行進あるいは集団示威運動は、ややもすれば行き過ぎが多くあります。なぜ行き過ぎが起こるかといえば、それは先ほど坪野委員も仰せになりましたように、自然発生的に、時には、たとえば三人なり五人なりの者が若干歌を歌っておったってかまわないじゃないかというお話でありますが、それが自然群集心理から、二、三の者が歌っておるのが全体に及んでいく、そうしてそれが喧噪耐えがたいようなもので事務に支障を及ぼすような事例が今までひんぴんとしてありました。こういうような状態において法律の運用を考えますと、やはりまだ日本のこうした行進に参加される方々の教養と言っては失礼かもしれませんが、どうも時には逸脱した行動が行なわれる例を見るのであります。これが最近頻発しておった状況から、やはり仰せのように、非常に平穏裏に、交通に支障を与えないで行進される分にはあるいは仕方がないかもしれませんし、あるいは示威運動にいたしましても、それがほんとうに平穏裏にやられればよいのかもしれませんが、時にはどうも行き過ぎが起こる。それがえてしてちょうど御意見のお言葉の中にあるように、時には自然発生的に起こるかもしれないとおっしゃったのでありますが、それがどうも群集心理の関係から、ときどきああしたことが起こりますので、現在における政治状況といいますか、あるいは一般の政治思想といいますか、あるいはそうした場合における団体行動の慣習がまだ十分成り立っておらない。ときどきは行き過ぎがあって非常に迷惑するというようなことがあるから、やむを得ずただいまのような運用をしておられるように私は考えるのであります。こうした意味から考えますと、少なくとも現状においては、やむを得ない取り扱いであり、それがおのずから今の取り扱いになっておる。一番望ましいことは、坪野さんもお認めになります通り、やはり国会に対する意見の開陳の方法としては、総選挙のときに選挙権を通じてこれを行使される、あるいは請願権によって平穏裏にやっていただく、これが一番望ましい。しかし時にはなるほど仰せのような集団行進集団示威運動等があってもやむを得ないかと思いますが、それの最近における実情から照らして、今日の取り締まりは実情に即したやむを得ぬ措置だ、かように私は考える次第であります。
  48. 坪野米男

    坪野委員 法務大臣の見解見解といたしまして、それでは政府も大体そういう方針を是認し支持しておると伺ってよろしゅうございますか。
  49. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 われわれ法務当局といたしましては、第一線取り締まりの責任は警察当局公安委員会当局においておやりになっておるのでありまして、われわれは、その第二線部隊とでも申しますか、治安を守り、法秩序を守る立場にあるわけでありますから、その意味におきまして、現在のあの運用の仕方については、警察当局が一応全責任を持ってやっておる。われわれとしては、また法の解釈について一応の私の見解は申し上げましたが、私が今お答えしたことが全部そのまま政府の意見ではないということだけは申し上げておきます。
  50. 坪野米男

    坪野委員 今、法務大臣の答弁の中にありましたように、国会周辺へのデモを全面的に禁止するというような現状ではないと私は思うわけです。法務大臣もその点お認めだと思います。一定の秩序立った平穏なデモということはあり得ないとしても、いわゆる公共の安寧に直接危険を及ぼすというところまでいかない、またそういう大衆の声を当然政治家が聞かなければならない、そういう形の集団示威運動というものは私はあり得ると思うし、現に行なわれているわけです。ですから、この国会周辺デモが許せない、集団行進だといって、その集団行進のもとに旗ざおを持ち、あるいはプラカードを掲げてきておるその行為が、示威だからいけないということにはならないと私は思う。集団行進だという解釈をすれば、集団行進示威の一形態でありましょうが、いわんや国会の周辺へ来てシュプレヒコールをやるという、その程度の集団行進あるいはその程度の示威運動が全面的に禁止されるいわれはない、これはもうたびたび私が繰り返す通りでありますが、そういう意味で、昨年の安保闘争でこりたという経験にかんがみてということでありますが、私は都条例の運用の現実が、憲法で保障された言論の自由、表現の自由あるいはデモの自由というものに対して著しく制限、禁止がなされておる、乱用されておる事実あるいはこの法の趣旨が忠実に実行されておらないという現実を、私は法務大臣を通じて政府の諸公も十分認識してもらいたいと思う。第一線々々々と言われるが、なるほど法を運用するのは都の公安委員会であり警視庁でありましょう、けれども、行政の最高責任はやはり政府にあるわけであります。またそういう立場から都の公安条例の運用の実態を十分調査されて、行き過ぎの点をやはり是正するような指導なり助言なり適切な措置を、私は政府当局としてもこれはぜひとっていただきたいと思うわけです。全国的にも公安条例の改正が問題になって事件が起こっているようでありますけれども、本質的にこの公安条例の持つ違憲性、そういうものは憲法違反の疑いがある、しかもその運用の面で今私が指摘したように、それに輪をかけて国民の基本的権利が侵害をされ、制限を受けておるという現実からこのような問題が起こっておるのだということを、十分政府当局も御認識をいただきたいと思うわけであります。警視庁なりあるいは警察当局に対しては、そういう解釈は誤りだ——もちろんあなた方は法の解釈は裁判所にあるということで、自分の有権解釈を押しつけて、最終的に最高裁判所の判決が確定するまではこれでいいんだという見解を強行して今までも来ておるし、これからもされるだろうと思いますけれども、もう少し私はこの法の精神ということからその運用を考え直してもらいたい。今まであなた方も第一線に立っておらないかと思いますが、第一線に立って実際その公安条例が法の精神に従って運用されておるかどうかということを一度視察し、実見してもらいたいと思う。現実には乱用されておるのです。許可段階で、公安委員会の段階でも乱用されておりますし、それの違反だということで検挙しておる。第一線の警察官、署長以下の警察官においてもこれが乱用され、悪用されておるという事実を調査し、これはぜひ実見してもらいたいと思うわけであります。  公安条例の問題についてまだお尋ねしたい点もありますが、時間がありませんので、法務大臣が見えているので、問題をかえて一点だけお尋ねしておきたいと思うわけであります。  それは、刑事訴訟法改正を考慮中であるということを法務大臣が検察庁の検事正会同ですかの席上で言われたのですが、その意図するところですね、どういうねらいで刑訴法の改正を指示されたのか、これを一つお答え願いたいと思います。
  51. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 御承知のように、現行の刑事訴訟法ができましてから、その運用の面におきまして、いろいろと問題が起こる場合があるのであります。御承知のように、現行の刑事訴訟法は、大陸法案の手続の上に乗っかっておりまして、それに訴訟理念としましては、英米法系の訴訟理念のもとに現在の法制の仕組みがなっていると思います。それが施行後もはや十年になりましたが、この十年間のいろいろな事案の状況事務処理上の状況を考えてみますと、いろいろと問題がございます。たとえば、裁判所側からもこういう問題についてはもう少し改善したらどうかというような意見が出ている場合もあります。あるいはまた検察側といたしましても、実際の運用の面でいろいろ不都合な場合があるのでありまして、こういう場合がどういう実情にあるだろうかということをもう少し秩序立てて、そして現行法の不備があるかないかということをよく調べてみたいということを考えております。また、在野法曹側からも、いろいろ現行の刑事訴訟法についての改正的な御意見が出ている部分があるのでありまして、こういう部分を十分一つ研究してみようという程度で、この間、せっかく長官会同をやりましたから、その場合に、こういうことについてみんなの実情を持ち寄って、また今後もそれぞれの担当の事務を通じて、こうした意見を、だんだんと直していく方がさらに適切ではないかというようなことから、今回の指示をしたわけであります。この問題については、今直ちにそれじゃこういう点とこういう点をぜひ直そうじゃないかというほど具体的にはっきりと問題をつかんでおるわけではありません。幾つかの、裁判所側、検察側あるいは在野法曹側からの御意見等を十分一つもっと念査をしてみて、そしてその意見がはたして法改正に値するものかどうか、またぜひ改正しなければならぬかどうか、あるいは運用の上でそれはもっとがまんしていける、運用をうまくやればその支障を取りのぞけるという程度のものであるか、こういうことをよく研究しようという段階で、一応の指図をいたしまして、その場でもいろいろ研究をし、今後も研究を続ける、こういうことにしておる程度でございます。
  52. 坪野米男

    坪野委員 そうしますと、刑訴法の改正の動きというものは、法務当局の中で、従来から刑訴法の不合理な点を是正しようという動きで提案されたという程度であって、具体的に今の政防法案が継続審議という形の中で、刑訴法を全面的に旧刑訴のような、ああいったものに改正しようというような反動的な意図を持って提案されたということではない、こう聞いてよろしゅうございますね。
  53. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 もちろん仰せの通りでございまして、現在の法運用の上で、単にわれわれ検察側の意見のみならず、裁判所側からもあるいは在野法曹側からも、重ねて申しますが、いろいろ御意見が出ておりますので、そうした御意見を十分研究してみよう、平素から現行法の不備欠陥ありやなしやを十分研究していこう、そして少しでもよい制度にしたい、こうした気持からであります。何ら具体的に、今新聞に伝えられたごとく準備会を作ってどうこうという、それほどの深い具体的な手続に入っておるわけではないのであります。
  54. 坪野米男

    坪野委員 その点について私は法務大臣に要望しておきたいと思うのですが、刑訴法が施行されて十二年でありますが、いわゆる日本の大陸法系の中へ英米法糸の手続法が入ってきて、当初しばらくはこの刑訴法の運用について検察当局も、また裁判所も、また弁護士の方でも戸惑って、運用になれなかった点はあったかと思いますが、今日ではこの現行刑訴法のもとで各訴訟当事者が大体軌道に乗ってやっておるわけでありますから、ただ実体法が大陸法系で、そしてそれとの調整ということでもって、旧刑訴法へのあこがれというか、憲法改正の動きも出ておる今日、検察当局の権限強化あるいは捜査の段階でもっと思い切った、いわゆる人権尊重ということを顧慮することなしに、従来のような検察庁の権限を強化したいという意図を持った改正の方向であれば、われわれは絶対反対だということを言い、そして、技術的に、あるいはほんとうの訴訟運営上の不合理な点の検討ということであれば、検討することは大いにけっこうでありますが、改正の方向というものは、私は一部の動きとしてあるような逆行的な改正には、どうしてもこれは反対をしなければならないという立場から、この問題は慎重に取り扱っていただきたいということを要望しておきます。  なお、ちょうど私の持ち時間が切れましたので、質問はまだございますけれども、留保いたしまして、一応これで終わることにいたします。
  55. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 誤解を起こすといけませんから、念のためにさらにつけ加えておきますが、決してただいま仰せになったようなことをねらって考えているのではありません。もちろん検察当局といたしましては、現行の訴訟法の、真実発見のための捜査上非常に不便があるという点もございます。そういう点について要望も出ておりますが、一方、在野法曹側から出ておりますところの意見等としましては、被疑者との間の接見交通をもっと自由にしろとか、あるいは検察側が持っております証拠の提示等の問題についても、もっともっと、新しい、現行の法律の精神以上に、むしろ旧時代のようなふうに出せというような御意見等もあります。こうした意見等もやはり十分参酌していかなければなりません。また裁判所側としましても、最近だんだんと問題になっております判決前捜査制度というのですか、いわゆる判決前の調査制度という制度を取り入れたらどうか、こういうような強い要望もあります。こうした、いろいろ各方面の実務に携わっておる者たちの意見を十分そしゃくし、さらにその是非を検討するのみならず、学界はもちろん、いよいよとなれば、もちろん国会にも十分な御審議を仰ぐ考えでおりますから、初めから一方的に、ただ検察陣の強化だけというような、その便利だけというようなことを考えておるのではないということを重ねて申し加えておきます。
  56. 河本敏夫

  57. 志賀義雄

    志賀(義)委員 先ほど坪野委員が質問されたことに関連したことでありますが、坪野委員は、最近の請願その他の行進についての不当な警察の制限について言われましたが、どうも法務大臣も当局の方も、その前のことを言われておるのじゃないか。どうも最近の取り締まりで——現にここに写真があります。こういうふうに、逮捕されかけているのが私自身ですからね。私服刑事が——こういう事件が行進について起こっているわけです。——私に間違いないでしょう。これは去る十月十一日の衆議院及び参議院に対する政防法反対請願のときに、そこの参議院の議員面会所の前から向こうへ渡るところがあります。これは板べいでありますが、ここの板べい——関東建設とか何とかというところの工事現場であります。その中に十六ミリを据え付けて撮影していた者があります。それを尋ねましたら、こういうふうに突然顔を隠すんですね。だれかと誰何したら、こういうふうに顔を隠しているわけです。結局、私が誰何したところ、警視庁の者だ、こういうわけです。そして逃げかけたわけです。そうしたら、今の私服並びに制服警官が来て、私を逮捕しろと、こういうわけです。そこの制服警官が手に持っているでしょう、法務大臣、あまりごらんになったことがないかもしれませんが、それが手錠というものであります。私に手錠をかけようとしたものであります。こういうことが現に行なわれている。  警察庁長官に伺います。警視庁の者だけれども、警視総監がおられませんので、警察庁長官に伺いますが、一体こういう十六ミリなんかで撮影することは——そのときに、逮捕すると言った連中が、法律のどこに警察が写真を写して悪いという規定があるか、悪いと思うならば、そういう法律を作ってから来たらよろしい、こういうあいさつであります。これは一体どういうことですか。
  58. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 今お話の写真をとっておったというのは、これは警視庁として従来からやっておるのでございまして、たとえば祝田橋の交差点等において交通が非常に輻湊をするというようなのを幹部がよく承知して、これに対して適当な指示を与えるためにやっておるとか、あるいはデモ等の際に、非常に混雑するというようなおそれのある個所に据えて、直接指揮官が——現場の指揮官でない、もっと高い指揮官が、現場に出ないでも指示ができるようなことを考えるとか、またこの前ミコヤン副首相が見えましたときも、同じようにテレビのカメラによって、テレビを上の指揮官が見えるところに有線でつなぎまして、不穏なことが起こらないように措置をいたしたわけでありまして、これはいわゆるテレビカメラでとって、そして最高指揮官と申しますか、現場の指揮官をさらに指揮する者が状況を見るというためにとっておったのでありまして、今顔を隠したというのは、何か悪いことをしていて顔を隠したような印象でございますが、そういう顔を隠す必要のない者が隠しているのですが、これはどういうことで顔を隠しているのか知りませんが、悪いことだという考え方があってはならない性質のものだと思います。
  59. 志賀義雄

    志賀(義)委員 あるから困る、そんなことを言ったって。警察法第二条、第三条によって、警察はすべて行動をなさるのでしょう。先ほどの東京都の場合でも、集会集団行進及び集団示威運動に関する条例の中で、第六条には「この条例の各規定は、第一条に定めた集会集団行進又は集団示威運動以外に集会を行う権利を禁止し、若しくは制限し、又は集会政治運動を監督し」云々となっておる。そういう権限を職員に与えるものと解釈してはならないというふうになっていますね。あなたのおっしゃるのは、有線テレビのことをおっしゃっていたのですが、あそこのは十六ミリであって、有線テレビでも何でもないのですよ。フィルムにとっておさめておるのですね。何のためにそういうものをとられるのでしょうか。後日何のために……。
  60. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 警視庁からお答えした方が適当かと思いますが、長官へのお尋ねに私がかわってお答えをいたします。  ただいま、十六ミリであって、何のために写すんだというお言葉でございますが、これは有線テレビカメラでございまして、現物をごらんいただけばわかりますように、有線で、その写したものが警視庁内の警備本部に映像されるようになっておるわけであります。先ほど長官が申しましたように、交通ひんぱんなところとか、あるいはもう一つの例をあげましたが、ソ連見本市に不穏な情報がありましたので、それであれをとりまして、それを警視庁で写す、こういうことでございます。それはフィルムに写して焼付をするという措置ではございません。
  61. 志賀義雄

    志賀(義)委員 非常に混雑する祝田橋のような例を出されました。それからミコヤン副首相のときの例も出されました。ミコヤン副首相のときは、右翼がどうこうというようなことも、警視庁の方からもうわさされましたから、やられたんでしょう。ここにごらんの通り、別に紛争の状態にもなく、不穏な状態にもないところをなぜこういうふうにとられるのか。しかも私どもの方で注意をすると今のように顔を隠す、逃げていこうとする、こういう状態があったわけです。そしてあげくのはては、私を逮捕しよう、こういう場面にもなっているわけなんです。この私服刑事が現に私の手首をつかんでいるでしょう。どうしてこんなばかなことをされるのですか。そうすると、あなた方は、有線中継テレビだからこれは写真でないとか、写真をとるのが十六ミリのカメラなら悪いが有線テレビなら差しつかえない、こういうふうにおっしゃるのですか。
  62. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 必要に応じてカメラでとるということも警察の仕事の中でやるわけでございまして、テレビ写真だからよろしい、その他の写真はとってならないということにはなっておりません。
  63. 志賀義雄

    志賀(義)委員 集会の秩序保持に関する事項で、公安条例について条件書というものがあるのです。集会秩序保持に関する事項条件書、それの第四条に、「警察官あるいはその他の公務員、報道関係者等、何人の写真撮影も妨害しないこと」、集会なんかを許可する場合に、こういう条件書があったわけです。ところが、これについて、最近では警察官あるいはその他の公務員、これが非常に不利益な結果を集会者に与えることをおそれて、われわれの方で抗議して、最近は条件書の中にこれを入れないで出すことになっております。公安委員会でそういうふうに取り扱っているものを、なぜ警察の方ではあえてやられるのか、これはどういうことでしょうか。
  64. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 条件書の中にお話のような点が以前あったが、今はないということはその通りでございます。これは、お言葉にもありましたように、集会に関する条件でございます。それから、表で集団示威行進等をやる場合に警察官が従来も写真をとって、これが肖像権の問題等で問題になったことはございますが、これはたとえば三十一年四月十九日大阪高裁の判決で、公衆の面前に自己の全肢体を現わして集団行進等をしておる者が、これは警察はそれぞれの目的、報道機関はそれぞれ別な目的を持っておりますけれども、そういう写真をとることについて、肖像権を主張するということはない、逆に言いますと、警察の適法な行為であるというふうな判決もあるわけでございます。従って、いついかなるときでも警察官が写真をとるというわけじゃございません。示威運動等が行なわれ、それが不法越軌にわたるおそれのある場合に写真をとるということは、これはあり得ることでございます。ただ今回のものは、写真ならいけないが、テレビならいいのかというお言葉でございますが、事実をテレビだと申し上げたのでございまして、最近の集団願請と申しますか、集団行進による請願というものは、政防法等の経験にかんがみまして、あそこの議面のところの行進の状態が今どういう状態になっておるかということを警視庁の中でその動きを見るということのために、あそこにも通常据えるのでございまして、これはその写真にもございますように、別段それを隠蔽しているわけでもございません。一番都合のいいところからそれを写して、それが警視庁の中に映っているのでございます。
  65. 志賀義雄

    志賀(義)委員 へいの下にいると見えないですね。ちょうどそこを渡るところに焦点が合うように焦点を合わせてやっておるわけです。へいの中です。外ではない。関東建設という工事現場のへいの中でこれを写しておるわけです。そうして今の写真にもちゃんとありますように、こういうふうに顔を隠している。悪いことをする人間でなければ、こんなことはしないですよ。柏村警察庁長官のもとの警察官も、さすがにこれは悪い、これはまずいと思ったから顔を隠しているんでしょう。いいことをしたのなら、こんなことはしませんよ。適法でない悪いことをしたから、こういうことをしている。近ごろは条件書にも省かれるようなことをしているから、こういうことをするわけです。まして警察でそういうことをしていることが、今のお話によって初めてわれわれにもわかりました。ただ単に写真をとるばかりでなく、警視庁のどの部屋か知らないが、われわれの行動のすべてがテレビでも映されているということをきょう初めて三輪局長の口から公式に伺いました。今後は大いにこれを参考にして、われわれも運動をやろうと思うのでありますが、初めてそういうことを聞きました。ますます奇怪至極なことをあなた方はやっておられる。そうしてこれに対して抗議をしたときに、私の身分を告げたところが、これを逮捕しようとした、これはどういうことですか。現に私の手首に手をかけておる。あとでは大へんあわてておったようでありますが、見さかいもつかないことをやっておるのは警察ですよ。こういうことがあっていいことでしょうか、どうでしょう。
  66. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私の聞いておる範囲について申し上げますが、その際、お話の顔を隠したということは、顔を隠す必要がないものを隠したことは、私も非常に遺憾に思うわけでございまして、堂々と、おとりになるならとりなさいという態度をとるべきだったと思うのであります。それからその際ごたごたといたしまして、カメラを取り上げろというような声も聞えたというようなことで、約五分か十分のことであったでしょうが、そういう中に入って、追っかける人を制止するというようなことは、警察官がしたようでございます。また、その間において、警察官として行き過ぎた言動があったということも私はあったように思うのでありまして、その点は非常に遺憾に思う次第でございます。
  67. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そこまであなたが認められればよろしい。ただ、カメラを取り上げろと言ったのは、こちらの報道関係者側なりが言ったことではなくて、報道関係者がそこに入ってきまして、カメラでその場現をすぐにとろうとしておりました。その一人のカメラに対して警察官が言ったことであります。それが別の人から聞くと、あの混雑の中だから、何だか警察のカメラを取り上げろと言ったようにあなたの方に報告した者もあるでしょう。しかし事実は今言った通りです。この問題はきょう初めて警視庁で公然とテレビカメラであらゆる場面をとっておられるということを伺いました。これについては後日また伺うつもりであります。  ですから、法務大臣も、公安委員会とか検察庁あるいは警察から検察庁に対する報告などを通じて判断して、もし行き過ぎがあったらとかなんとかいうとでなくて、デモはこの通り整然とやっておる、警察は顔を隠しておる、私を逮捕しようとしておる、これが最近のデモの現状ですから、そういう点について、ただ報告について先ほど坪野委員にお答えになったようなことを軽々しくおっしゃらないように、一つ気をつけていただきたいと思います。  では、次の問題に移りますが、釜ケ崎の問題であります。  去る十月五日の朝日新聞並びに毎日新聞に、ことしの八月の大阪釜ケ崎事件の被疑者に対する警察の取り調べで、暴行陵虐の罪に問われそうなものが出てきたということでありますが、これについては人権擁護局の方に事実の調査をお願いしておきましたが、結果はどういうことになったでありましょうか。
  68. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 ことしの十月三日午後一時ごろ、大阪府の淡路警察署二階の一室で、刑事二名が一容疑者に対して、なぐる、ける等の暴行をしている状況を目撃した者があるというので、十月五日付の新聞情報に基づきまして、即日大阪の法務局で人権侵犯事件として受理をいたしまして、すでに関係者五名について調査を了しましたけれども、なお引き続き継続調査をする必要があるというので、目下その調査の進行中でございます。従って、断定的なことは言えませんが、問題の暴行事実がある程度あったのではないかという疑いのふしがございますので、慎重に目下なおその調査を進めておる最中でございます。
  69. 志賀義雄

    志賀(義)委員 検察庁の方で何か調べておられるようですが、刑事局長の方から調査の現状を伺いたいと思います。
  70. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ただいま問題になっております大阪府警刑事部捜査第一課に勤務いたしております二人の刑事が、今大臣が申しましたような事情で、取り調べ中に被疑者に罵倒を浴びせ、激高し、その間の事情はよくわかりませんが、要するに両名共謀して、被疑者を足でけったり、手拳で顔面、頸部、腹部などを殴打するというような暴行を加えて、その結果治療五日間を要する傷を負わせたということでございまして、その事実につきまして、去る四日の夕刻、大阪府警察本部刑事部から大阪地方検察庁に申し出がありましたので、検察庁としてもこの事実を知った次第でございます。大阪府警におきましては、非常な慎重な態度をとりまして、あげて検察庁の捜査に一任したいという公明な態度に出て参りましたので、その意向を承知いたしまして、大阪地検におきましては、ただいま関係者を取り調べ中でございます。結論をまだ得るに至っておりませんが、警察官の述べております当時の模様、それから相手方の述べております被害の状況等につきましては、なお食い違いが相当あるようでございまして、目下鋭意真相の究明に努めておる状況でございます。
  71. 志賀義雄

    志賀(義)委員 刑事局長に伺いますが毎日新聞によりますと、淡路署で二人の刑事——この刑事は府警捜査第一課の上原刑事と曾根崎署捜査係の北口刑事の二人でありますが、隣りに淡路メディカル・センターというのがあります、その二階で、つき添い婦——名前は毎日新聞ではAさんとなっております、二十四才の人ですが、「悲鳴と大きな音が聞こえたので、向かいの淡路署二階をみると、二人の刑事が手錠をはめられた容疑者を突き飛ばしているのがみえた。さらにもう一人の刑事が容疑者をけ飛ばし、エリ首をつかんで立ち上がらせてわめいた。こんな暴行が約三十分続いたあと、一人がタタミに頭をすりつけて「あやまれ」と叫んだ。容疑者が力なくすわると、その顔をまた一人がなぐったが、Aさんに気づいたのか、刑事が窓のカーテンをあわてて閉め、間もなく静かになったという。」こういうことになっております。「同署のすぐ向かいにある東淀川区淡路新町一丁目淡路メディカル・センターの患者らが目撃した。」ということになっておりますが、警察庁ではこの目撃君たち状況をお聞きになりましたか、どうでしょうか。今のあなたのおっしゃったのは、そこが抜けているように思いますが……。
  72. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ただいまの目撃証人ももちろん調べておりますし、現場の検証もいたしておるやに聞いております。
  73. 志賀義雄

    志賀(義)委員 釜ケ崎事件というのは非常に有名なことでありますけれども、昨年八月三日ですか、山谷のドヤ街でいわゆるマンモス交番に対する事件が起こりました。それがありましたので、九月になりまして、当法務委員会では、特におそらく山谷以上の大きい事件を引き起こすであろうと考えまして、数名の委員が法務委員会から派遣されて釜ケ崎の視察を行ないました。この予想は違わずに、ことし、昨年山谷で起こったのと同じ日に釜ケ崎に事件が起こってきた。当衆議院法務委員会においても、こういう事件が起こることは予想しておったことであります。ところが、それについて百数十名の容疑者が今検挙されておるわけであります。すでに論告なんかを受けておるものも一部あります。ところが、こういうことが起こってみると、この容疑者たちに対して一体どういうことが行なわれているのか、犯罪事実と称せられるものがこういうことを土台にしてあげられたのでは、大へんなことであります。まして朝日新聞によりますと、こういうことが書いてあります。「釜ケ崎事件の公務執行妨害容疑者が二人の刑事に暴行され、釈放寸前になって「暴行の事実は絶対口外するな」と余罪と取り引きにかたく口止めされた事件が起こった。」こうなっております。この事実については、警察庁の方でお調べになりましたか。
  74. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 私は聞いておりません。
  75. 志賀義雄

    志賀(義)委員 三輪さん、どうですか。
  76. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 私、所管でありませんので、正確なことはお答えできませんが、取引をしたというような事実はないということを私は聞いておりますけれども、責任のあるお答えはいたしかねます。
  77. 志賀義雄

    志賀(義)委員 刑事局長、その点いかがですか。
  78. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 捜査を待って御報告申し上げたいと思いますが、今日までのところ、今御指摘の事実は私どもとしては報告を受けておりません。
  79. 志賀義雄

    志賀(義)委員 メディカル・センターから道路を隔てて見た場合には、かたく口どめされたとかなんとか、そういう取引のことはおそらく聞えなかったろうと思います。これは新聞記者が、暴行を受けた大阪市西成区西入船町三番地、手伝い業浜田貞夫、二十五歳でありますが、この浜田貞夫に聞いて、暴行の事実は絶対口外するな、そうすれば余罪はこの際もう洗わないことにする、こういう取引が行なわれたということを新聞社の方で確めたのでなければ、朝日新聞ともあろうものが軽々しくこういうことは書かないと思います。この本人の方は検察庁の方でお聞きになりましたか。検察官は田村検事でありますが、田村検事の報告にそういうことがありましたでしょうか。
  80. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 まだ捜査中でございますので、確実なことはまだ報告は来ておらないわけであります。ただ、この浜田という人は、これもなかなかしたたか者のように見受けられます。こういう人が新聞記者にどのようなことを言ったかわかりませんが、新聞の記事もある次第でございますので、そのような事実があったかどうかというようなことは当然検察庁としては詳細に取り調べるはずでございます。  なお、釜ケ崎事件と今のこの事件の二人の刑事との関係でございますけれども、この二人は書類を作るのに関係したとかいうようなことはありますが、捜査には実際には当たっていなかったようでございます。そういうふうに私は聞いております。
  81. 志賀義雄

    志賀(義)委員 捜査に当たらない者にやらして、こういう暴行事件が起こる。これは目撃者があったことでございますから、どうも今の新聞記事から見ますと、本人の口から漏れたのでなくて、朝日、毎日両方の新聞記事によりますと、淡路メディカル・センターの方からこの事件が漏れている。それでびっくりした。それでなければ、普通、警察と方面監察官と検察庁それからまた法務局とかが、その日のうちに動き出すということはまずないことであります。これはおそらく新聞社の方にも知らされて、新聞社の方から聞かれてびっくりぎょうてんして動き出したんだと私は推定しております。そして今お話を伺いますと、本人の方も調べておるはずだ、目撃者の方も調べておるはずだと言われます。ところがこの浜田云々という男についてだけは、その人間像についてあなたはこれはしたたか者だと言った。まだ取り調べ中で、したたか者かどうかわからないんじゃないですか。なぜこの男に対してだけ先にしたたか者だという断定をあなたは下されるのですか。きっとその報告にあるんでしょう、したたか者だと。ちょっと読んで下さい。どうですか。
  82. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 ちょっと私の説明が不十分であったかと思いますが、この容疑事件が今現在取り調べ中であるということは、これはもう疑う余地のない現実の事実でございますが、問題の二人の刑事は、釜ケ崎事件の捜査に専従しておった人たちではなく、書類の編綴だとかそういうような仕事にはタッチしておったようでございますけれども、本格的に被疑者を取り調べて事件の捜査に当たった刑事の方々ではないように報告では私は承知しておるわけでございます。  それから、被疑者の人間像についてということでございますが、被疑者の人となりにつきましては、いろいろ調査されればすぐわかることでございまして、まだ関係者の調べも、志賀委員から仰せになるまでもなく、細密な調査をしておるのでございまして、いずれ真相がはっきりすることと考えております。
  83. 志賀義雄

    志賀(義)委員 この問題について最後に一つ伺いたい。あなたが今言われたことは、つまり捜査には関係してない、書類作成に当たった。こういうふうになりますと、事件の実態について十分把握してない人間が書類作成に当たったためにこういう無理なことが起こった、こういうふうにおっしゃるのでしょうか。どういう意味でそれをおっしゃるのでしょうか。その点を一つ……。
  84. 竹内壽平

    ○竹内政府委員 私の申し上げた趣旨は、こういうことを刑事がみんなやっているのじゃないだろうか、従って、釜ケ崎事件もでっち上げの事件じゃないかというような趣旨のお言葉があったように思いましたので、との二人の刑事は本格的な捜査には関係しておらなかった人のように私は聞いておるということを申し上げたわけでございますが、ほかの事件につきましても、もちろん供述の信憑性、任意性ということは絶えず検事としては細密な注意を払って検討しておるわけであります。
  85. 志賀義雄

    志賀(義)委員 この事件については、まだ目下取り調べ中で、警察の方ではまだよく御存じないようなところもあるようでありますが、どうも怠慢ですね。一つもっと調べていただきたいと思いますが、お調べになりますかどうか。それに続いて法務大臣も、ただいまお聞きになったような状態でありますから、一つ大臣として事件の糾明を促進するというお気持があるならばそれを一つ……。
  86. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察といたしましても、直後に監察官をして調査をさせ、事件としては検察庁に送っておるわけでありまして、私が詳細に承知しておらなかったということは、警察の怠慢で事件を調査しておらなかったということではございませんので、御了承願います。
  87. 植木庚子郎

    ○植木国務大臣 釜ケ崎の事件はまことに残念な事件でありまして、こうした暴力事件を調べなければならない、あるいは検察の手伝いをしている捜査官の中に暴力で云々というようなことがもし事実とするならば、もってのほかの問題だと私も考えます。従いまして、この問題については、検察当局にはもちろんのこと、人権擁護局にも督励いたしまして、事態を明らかにして、責任のあるところは当然責任をつくべきだと考えておりますし、今後こうした事態の起こらないように部下を督励して参りたいと存じます。
  88. 志賀義雄

    志賀(義)委員 最後にちょっと伺いたいのでありますが、材料を出しませんとコンニャク問答になりますから申しますが、「日本主義連合声明」として「政暴法に賛成する日本主義連合の見解——内容は一々読みませんが、項目は、「一、江田社会党書記長に物申す、二、マルクス主義は迷信宗教だ、三、自利の暴力を肯定する被等、四、我々の政暴法に対する見解日本主義連合、松葉会、国粋会、義人党(いろは順)」こういう文書が出ております。きょうは簡単に伺いたいと思いますが、こういう行動を、今言った団体がこういうビラを出して何かやっておるのじゃないでしょうか、警察の方では御存じですか。
  89. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 詳細は承知いたしませんが、政防法には御承知のように非常に強い反対運動をなさる向きもありますが、今日の段階においては、これがぜひ必要だと考える向きもあります。御指摘の団体は、ぜひこれを通すべきであるという主張がありまして、その主張を訴えようということであろうと思いますが、その内容は詳細は承っておりません。
  90. 志賀義雄

    志賀(義)委員 それはいいことを聞きました。ところが、これは自民党の議員立法として出されたものでありますが、社会党はまた別の案を出された。これは決して左翼を取り締まるのではないのだ、やはり浅沼暗殺、中央公論事件なんかから見て、右翼といわれる者も取り締まるのだ、いや、その方に主たるなにがあるのだというようなことが今日までいわれておった。ところが、これを見まして、一体この松葉会、国粋会、義人堂というものは、大まかに分けて右でしょうか左でしょうか、それをおっしゃっていただきたい。
  91. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 右か左かとおっしゃれば、右であります。
  92. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そうすると、右は政防法の今の案に賛成しておるということになりますね。
  93. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 賛成しているいわゆる右といわれる団体もあるようであります。
  94. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そうしますと、ほんとうに右翼取り締まりにこれが出るものならば、まさか今あげられた名前の団体が賛成するはずがなかろう。これは常識でありますね。どうですか、その常識にあなたは賛成なさるか、反対なさるか。
  95. 三輪良雄

    ○三輪政府委員 私の承知しておる限りでは、それに賛成している人たちの意見は、御指摘のように、右翼団体というものにそういうものが適用されるという限りでは、賛成をするはずがない、それは常識だろうと思います。ただ、政防法の中で、国会に乱入する行為を取り締まるとか、いわゆる右翼といわれる、そういうことを主張している人たちの論拠は、右翼のテロというものだけ暴力を取り締まるという観点から責めるけれども、その前提となっておる左翼の集団暴力というものがあって、それによって右翼のテロというものが引き起こされたのである。そこで、その前提となる集団暴力もこれを抑えるという趣旨で出たものであるならば、むしろその趣旨において賛成である、しかも右翼のテロをやるというものは、罪が重いから軽いからというようなことを考えてやるのではないというようなことを言っている向きがあるということを聞いておりますので、おそらくは、その主張される人たちもそういう考え方に基づくのではなかろうか、これは推量でございます。
  96. 志賀義雄

    志賀(義)委員 推量を言われちゃ困る。ちゃんとその理由を最後の「我々の政暴法に対する見解」の中に言っております。こういうふうに右翼とあなたも認められる団体が賛成している。そうなってきますと、政防法というものは一体だれに向けられるものであるかということは、もう私がかれこれ申すまでもなく明らかなことであります。法務大臣も法務委員会に出ておられるのでありますが、今後この法案もまた再び衆議院で問題になるというようなことのないように、一つ法務大臣の方でも努力していただきたいと思います。まだ政防法のことに関しては参議院でも委員会でやっておりません。そのときにあらためていろいろとまた問題があるだろうと思います。  私の質問はこれで終わります。とにかくあなた、さっきの釜ケ崎をよく調べて下さいよ。
  97. 河本敏夫

    河本委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十二分散会