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坪野委員 国民の要求を、
請願法に基づいて平穏に
請願する、そういう方法で行使することももちろんけっこうであります。しかし私は、
国民の世論を反映させる方法、あるいは国政に反映させ、あるいは要求する方法は、
請願だけが許されたものだ、唯一のものだとは考えないわけです。平穏な
請願を通じて積極的な要求をする、これもけっこうでありましょう。しかし、また同時に、
国民は何も選挙のときだけの主権者でないわけであります。
国民の要求するところを直接
言論機関に訴えて、賛成し、
反対するという形を通じても、私は要求ができると思う、演説会その他の方法でも。また今言った
集団行進あるいは
集団示威運動という形態をもって
——示威の場合は、
政府の
方針に
反対する場合が多いでしょう。賛成で
示威をすることも時たまありますけれ
ども、
政府の反動的な政策、あるいは
国民の
権利を侵害する政策に
反対する強い
意思表示の、
言論表現の形態として、
憲法は
示威運動を、
デモンストレーションの
権利を、保障しておるわけです、表現の自由として。そうして
一定の制限のもとに、
公安条例も許しておるわけなんです。ですから、
国会は国権の最高機関だからここでは
示威は許されないのだ、平穏な
請願だけやれというなら、それじゃ
示威はどこへ行ってやるのだ。山の中へ行って
示威運動をやるのか、銀座のまん中でやれば、今度は道交法で
交通妨害になるからだめだということになる。不
特定多数の大衆に対して
示威をする、それも
示威の
一つの方法でありましょう。従って街頭に出て
示威をやる。同時に、
自分たちが今
政治的要求を掲げている対象に向かって
示威をする。これが暴力的な
行動に出るということであれば、当然法の取り締まりを受けるでありましょうけれ
ども、
公安条例で
許可され、また法の許す範囲で
示威を行なうということは、国政の最高機関であるがゆえに、
国民の直接的な要望、要求あるいは
反対の声、そういったものを聞かなければ、世論
政治、民主
政治というものは成り立たない。
言論の自由の保障があり、その
言論の自由が
政府に反映される世論を聞く
政治、これが私は民主
政治であると思う。議会
政治であると思う。ですから、そういう
意味で、今言われた平穏な
請願だけやってもらいたいということは、私はそう望ましい。
政治が正しく行なわれておればそうあるでありましょう。けれ
ども、
政治にゆがみが出てくれば、
国民は四年に一度の選挙を待っておれない。直接
政府に対して
請願をやる、あるいは抗議の
意思表示を行なう、そのための
示威運動はあり得ると思う。それは、
公安条例で
一定の
条件が付加されれば、私は許されてしかるべきだと思う。私が極端な場合を言っておると言うが、極端な場合を想定して一切
国会周辺への
デモを
開会中禁止しておるのは
警視庁なんです。都の
公安委員会なんだ。そういう極端な場合だけを想定した禁止
規定は、私は
憲法違反だと思う。そこが問題なんです。また
あとで触れますけれ
ども、簡単に言えば、
道路交通法の
規定は、元来は
交通取り締まりがその本来の
趣旨なんだ。ところが、この道交法を乱用して
デモ規制をやろうとしておる。今度の通常
国会、第三十八通常
国会の終末で、政防法の
請願行動隊があった。その際に
国会の南門の入口でありましたか、歩道に若い女の人が四、五人立ちどまって
集団行進を見ておった。その見物人と申しますか、もとは
集団行進に参加した人かもしれない、あるいは
国会の職員であったかもしれない、とにかく女の人が四、五人歩道に立って
集団行進を見ておる。それに対して、私は麹町署長であります、
交通の
妨害になりますから立ちどまらないで下さい、こう言う。天下の大道でありますよ。天下の大道を、歩こうと、とまろうと、
交通の
妨害にならない程度なら、私は自由だと思う。道は歩くためにある。同時に、立ちどまったって、
交通の
妨害にならなければかまわない。歩道は人間が歩くところなんだ。自動車が通るところじゃない。
交通の
妨害といっても、その四、五人がとまっておっても、
あとは幾らでも道があいておる。むしろ車道で
集団行進が許されておって、一般の車馬の
交通が今制限を受けておる、そういう状態で、道交法の、立ちどまって
交通の妨げになるような
行為をしてはならないという
規定をとらえて、
交通の
妨害になりますからすみやかに立ちのいて下さいと言う。これは何事ですか。こういう
解釈を
警察署長はするんだ。
法律も何もあったものじゃないですよ。無知と言おうか、恥知らずと言おうか、とにかくこういうばかげた
解釈はないですよ。私だけじゃない。そこにいた社会党の代議士が全部目撃しておった事実なんです。もしそれがうそだと思うならば次の
集団行動の際に実験してみせますから。絶えずそういう警告を発していますよ。マイクで大声でわめき散らしている。そういうばかげたことがありますかね。歩道に立ちどまって見物している者が、
道路交通法違反だなど、非
常識きわまると私は思うのです。そういう
解釈が道交法の乱用の形で行なわれておりますが、今の
公安条例は、私は
デモ禁法が昨年の
安保国会の次の臨時
国会で流れてしまったその代用品として、この
都条例の
解釈の乱用によって事実上の
示威運動、
デモ運動を一切
国会周辺においては禁止しようという非常に悪質な意図を持って、今
警視庁あるいは都の
公安委員会はこの
条例を乱用しているといわざるを得ない。ですから、
警察庁長官にしても、あるいは
警視庁当局にしても、そういう
統一見解をとっておられるようだが、これは
政府の
方針なのか。形式的にはなるほど都の
公安委員会の権限事項になっておるようですが、
警察庁長官もそれに賛意を表しておられるのか。法務省も法務大臣も、あるいは自民党の
政府も、そのような
統一見解でこの
都条例の運用を支持して、
国会周辺への一切の平穏な、あるいはどのような形態であっても
示威的な
行為を一切許さないという、そういう不合理な
方針を
政府の
方針として是認しておられるのかどうか。植木法務大臣に
一つお答えを願いたいと思います。