○山中(吾)
委員 部分的
改正、総合的
改正両方考えていきたいという
大臣の御答弁でありましたから、部分的な
改正も頭に入れて御
検討願えるのだと受け取って、一応この問題は時間がないので質問を打ち切ります。
ただ問題は、おそらく著作権行政とかいうふうなものが怠慢になってきておるのは、全体の行政機構にもあると思うのです。
文部省の著作権行政、それから芸術
振興の芸術課があり、著作権裸がある。そういうこれからの芸術
振興をさそうという行政と過去の芸術、文化財を保護する行政と別々にあって創造的な強力な機構になっていない。文化財保護
委員会が別にある。
大臣はそれに責任がないから答弁の限りでないといつも答えられる。そうして
大臣の行政の管轄の中には芸術課がある。著作権課がある。そういうまちまちな分散体系の中に、こういう問題をわれわれが刺激をしないと立ち上がらないというのは、私は根本欠点もあると思うのです。そういうことも含んで、この国会の中で真剣に論議をしてみたい。そうしてもっと新憲法のもとに民主的文化国家という新しい国家理念をうたっておるのでありますから、それに即応した文教行政をやはり重点的に着眼をもって進めていくということが、私は戦後の文部
大臣の重大な責任だと思うのであります。派生的なことばかりでエネルギーを浪費しておるのが
現状なので、国会の中の質疑についてのエネルギーの消費は非常に多い。そういうものをなるたけ少なくして、こういう問題を真剣に論議すべきだという私の心境をも含んで申し上げておるのでありますから、こういうものをあと回しにするというようなことは、戦後の文化国家を理念としておる
日本の文教行政では、私は決して正しい
考え方でないと思っておるので、真剣に御
検討願いたいと思います。
次に、これも簡単に要点だけをお聞きいたしたいと思いますが、
教育人事の運営の不合理について痛感をいたしておるので、今後の問題としてお聞きいたしたいと思うのです。というのは、県
教育委員会において、
教育委員会の事務局職員は大部分現地の
先生から人事交流をやって採用いたしまして、ことに優秀な
教員を抜擢をして、指導主事、あるいは管理主事、あるいは
学校教育課長、あるいは体育
課長というふうに現場の
先生を
教育委員会の事務局職員に採用する。採用することによって、
教員の身分を切り捨てて主事にする。ところが現場にまた返してやるということが前提なので、そういう優秀なものはまた
教育者として一生やっていきたいというような念願があるために、採用するときから、現場の校長に返すという約束ですぐれた人を、私が在職中においても苦心惨たんして採用してきたわけである。ところが
学校長を主事にとったときには給与を下げなければならない。そして主事に切りかえて、今度まだ現場に帰すということから、教諭にしてもとに戻すわけでありますが、その間に経済的に非常にマイナスを与えておるわけであります。ところが、しばしばの恩給法の
改正等によって、優秀な
学校長を教諭に降等し、教諭にしたあと主事に持ってき、そしてまた
学校長に出すという、そういう段階の中で身分が切れたということから一時退職した形になって、退職金をもらい、その当時恩給ももらわざるを得ないというふうな者もある。また選択によってそういうことをわれわれ指導もしたわけでありますが、その結果において、現在
学校長をしておる者もたくさんありますけれども、ベース・アップを含め、いろいろの関係から、同じ旧制師範
学校を卒業した者の中で停年制の五十六才でやめるときは、一人々々のケースは違いますけれども、退職金で百万、二百万の違いがある。また恩給についても年額二十万以上の相違があるというふうな不合理性が出ておるわけであります。採用する
立場に立っておった私のような者からいいますと、最も優秀な者を最も不利にしておる。そんなことで
教育人事はできない。
教育委員会は教職についた者が半数以上なければ行政はできないのであって、そういうふうなことからいって、同一学年、同一年令、同一経歴の者より不利にするということは、理屈はどんなことがあっても、すべきでないし、そういうことからは
教育行政の
振興はできないと思うのであります。事例をここにたくさん持っておるわけでありますが、この点について政令の一部
改正が必要なら
改正をする、あるいは
公立学校の共済組合法ができれば通算
制度を適用するとか、いろいろ方法はあると思いますけれども、
文部省においても形式的な理屈でなしに、こういうすぐれた現物の教師から、
教育行政に従事し、そして非常に苦労しておる、今度は一たん事務局員になりますと、当局の
立場で非常に苦心惨たんして、そして現場に帰っておるわけであって、そういう人々の救済を真剣に考えてもらわなければならぬ。一々例をいわなくても、内藤局長はよくわかっておると思うのですが、その点について
文部省のお考えをお聞きいたしたいと思います。