○高津
委員 関連して。これは
大臣の学力テストでなくてイデオロギー・テストのように、こう横から聞いておると見えるのでありますが、事は非常に重大だと思います。一国の文教を担当する国務
大臣が、
日本人の
長所をさんざんほめた
あとで、
朝鮮人、
アフリカ土人というように、それに対比するものとして打ち出してある以上は、それは
劣等民族なり、こういうことを言ったと同じことになっておるのであります。私はこの間在外公館で、ある大使の情勢報告を聞いておりましたところ、ベルリン問題に触れて、ソ連の言い分は一つも言わないで、全くアメリカの代弁だけをわれわれに報告されるので、ソ連のこういう言い分ぐらいは入れて何とか言ったらどうですかと言ったところが、一から十までソ連の言い分というものを全部否認するので、私は仕方がないから、こんなのを相手にしてもしょうがない、多数党の保守党が作っておる政府の指令に基づいてあなた方は行動をされるので、野党の一国
会議員が今ここで批評したところであなたの
態度というものは変えられるものではあるまい、それはわかった、しかしあなた方は多くの機会に新興勢力というか、低開発国の外交官とお会いになる場合もあろうから、その際は理解ある
態度で接して、
日本に同情を求めるような、理解を求めるような
態度で臨んでほしい、このぐらいなことは望んでも政府の方針に反するものでもあるまい、こういうことを私が大使に言ったら、その大使は低開発国の外交官に接するのは頭を下げればいい、下手に出ればいい、そんなものじゃありません、こういう戦闘的な答えであったのです。私には、それは外交は専門家にまかせておけという
ニュアンスに受け取れましたよ。ところが外国で一等書記官か参事官を勤めていた人間が今国会に来て随員になっているのです。その人がホテルへ帰る途中体験談を話しました。私は外地にいるときに低開発国の一外交官が帰国する場合に飛行場に見送りに行ったところが、ついてきた諸君も非常に喜んで、
日本語で話しかけてきた。平素は
日本語で
日本の外交官に話すということはないのだが、
日本の大学卒業生が非常に多いので、話せば
日本語が話せる連中なんです。その後彼らだけの集まりに私もときどき招待するので行ったところ、
日本語で肝胆相照らしていろいろ話し合ったのですが、そのときに言いにくそうに、
日本の外交官は非常にいばっておられるように見えてどうも近寄りにくい、こういうことをしゃべったという体験談を私は聞いたのであります。列国議会同盟の
会議に臨んで、ソ連の
代表の団長が
会議がちょっと休憩になったときに、ナイジェリアだとかラオスだとか黒い色の諸君の
代表たちのところへ近寄っていって、いとも軽い身振りで飲みに行こうというのでサロンヘぞろぞろと引っぱっていくのを見たのであります。そのサロンはベルギー政府の好意で、
代表はいつでもそこへ来て軽い飲みものを何でも無料で飲めるのでありますが、そういうように各国の国
会議員といえども、外交官といえども、熱心にいわゆる新興勢力というもの
——国連において多数をだんだんに占めていっておるところの勢力に対して、そのぐらい留意を払っておるのに、
日本の
荒木萬壽夫という一人の国務
大臣が、
日本の
長所をぶちまくって、そしてその対比物として
朝鮮人とか
アフリカ土人ということを持ってくるのは、その大使の
考え方と全く同一であって、世界は動いておるのに、まるで一時代前の感覚で
日本の行政を担当しておるので、
民族の将来にとっても、
日本の国際的な立場を
考えましても、非常に嘆かわしいことであると私は思うのであります。池田総理が渡米してお帰りになりまして、
日本大国論を振り回される、それらが在外公館におる外交官の諸君に
——全部じゃありませんが、古い頭の諸君に一そう拍車をかけるような結果になるのではあるまいか、そういうことまで私は連想したのであります。今同僚
湯山議員の追及はのらりくらり逃げればいいというものじゃなくて、
ほんとうにあなたのイデオロギーはどうしたら直るのか知らぬが、私はやはり政治をやる者として国を憂え、あえてどこもかしこも本質がのぞくその
考え方の根本を何とかしてお改め下さることを切に要望いたします。