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村山委員 次に、これは
内藤さんにお尋ねいたしたい。というのは、あなたのところから
出している「中等
教育資料」の三月号、ナンバー一一五号ですか、これです。これの九十ページのところに、「各
都道府県教育委員会殿」として、「
文部省初等中等教育局長内藤誉三郎、小
学校児童指導要録および
中学校生徒指導要録の改訂について(通達)」とあって、通達が流されている。三十六年二月十三日です。今年の二月十三日ですね。「要録は、児童または
生徒の学籍ならびに指導の過程および結果の要約を記録し、指導および外部に対する証明等のために役だたせるための原簿でありますが、このたびの小
学校および
中学校の
学習指導要領の改訂に伴い、」ここに成案を得ましたのでお知らせをいたします。
実施に遺憾のないようにお願いします。こう書いてある。それで、その前に、これは安達さんが書いたものです、「
生徒指導要録の解説」というものです。この六ページによりますとこう書いてある。指導要録の作成
義務者は校長だが、所管の
教育委員会が指導要録の様式を定めることとし、
都道府県教委が積極的に
基準を示したり指導助言することが望ましい。このたび
文部省から示された指導要録の様式、記入上の注意及び取り扱い上の注意は、上記の
都道府県教育委員会に対する
基準の設定や指導助言のための参考
資料であるという
性格を持っております。こういうようなことで、今年から新たに「標準検査等」という等が入りまして、その欄に「標準検査等の記録」というところに、「なお、この欄は
文部省や
都道府県教育委員会が
全国的または全県的に
実施した
学力調査について、その標準化された結果の記入にも利用できること。」こういうことが書いてある。そういたしますと、ことしの二月十三日に
内藤さんが各
都道府県の
教育委員会に示されました通達の中身から
考えて参りました場合には、当然
全国的な
学力テストをやろうということを頭の中に置いて、将来それを記入し得るのだ。しかしながらそういうようなものは、指導要録の様式や記入上の注意、取り扱い上の注意は、これは参考
資料である、こういうふうにあなた方は明示されておるわけです。ところが今度の
実施要綱の中身を見てみますと、「なお、この
調査結果の利用については、次のような点に留意すること。「
生徒指導要録」の標準検査の記録欄には
調査結果の換算点を記録することとする。」こういうふうに書いてある。これはもう命令形です。こととする。そしてそれをしないものはおかしいということを
文部大臣は神奈川の
テストの問題に関連して参議院で言われている。そういたしますと、前にはあなた方は、これは
資料である、参考のための
資料だ、こういうようなことで通達を流しておられた。であるという
性格を持っているんだということでおりながら、もう何カ月もたたないうちに、これを記入させなければならない、こういうふうに記入しないものは間違いだ、記入すべきだ。こういうことになってきますと、一体指導要録の取り扱いをめぐりましてあなた方がやられようとしていることが、実に矛盾をしている。こういうことから私は次の点についてお尋ねをするわけです。
それは民法の八百二十条——六法全書がなければ読み上げますから。「親権を行う者は、子の監護及び
教育をする権利を有し、
義務を負う。」これは親権者としての親の権利であるし
義務である。これは近代的な国定にありまして、特に自由民主党の方は民主主義を口に標榜され、荒木
文部大臣はその自由民主党から出られた文部行政の最高の
責任者であります。民主主義の徹底を期しておられることは、もうだれが見ても言えると思う。そういうような点から、自由、民主主義という政治の基本概念に立って現在行政が行なわれている
段階にあって、民法の八百二十条に規定するこの親の権利、親権を行なう者の権利——
教育をする権利を持っている。そしてそれが
義務を負うということが書いてあります。この親の権利というのは自然法的な権利であって、そして子供
たちを
義務教育の
段階としては
学校にあげなければならない。それは公の
学校であるところの公立の
学校なり、私立の
学校、いずれに入れてもよろしいわけです。入れてもいいけれども、こういうようなものの
考え方の上に立って子供を
学校に委託をしている、
学校は
教育をしていくわけです。そうした場合に最終年度においてあなた方が要求しておられるところのこの標準
学力テストというものを、これは指導要録の中に記入さしてかまわぬとあなた方はおっしゃる。
大臣もおっしゃっている。高等
学校の入試の材料に使わない、こういうようなことをおっしゃっているが、将来のことについてはおっしゃっていない。高等
学校の入試に使わなくても、会社の場合に、そういうような成績表を
出してくれというときに、それをやめ得るようにするところの、出さないようにするところの
法律的な保護規定は何もない。そういたしますと、そういうような
考え方のもとに親が
学校に
教育を受けさしてもらいたいといって子供
たちを委託をしている。
委任をしているが、
委任をされた
学校側がそういうような子供の将来に
決定的な影響を及ぼすような
条項を記入させることまで委託しているのかどうか。これは民主主義の
教育の
考え方の上に立って、民主政治のあり方の上から、この民法八百二十条の概念をどういうふうに
文部大臣はおとりになって、いらっしゃるのか、その点を承りたい。