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1961-12-07 第39回国会 衆議院 農林水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月七日(木曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 小山 長規君    理事 田口長治郎君 理事 丹羽 兵助君    理事 山中 貞則君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       大野 市郎君    仮谷 忠男君       小枝 一雄君    坂田 英一君       谷垣 專一君    内藤  隆君       中山 榮一君    藤田 義光君       本名  武君    松浦 東介君       米山 恒治君    足鹿  覺君       北山 愛郎君    東海林 稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西村 関一君    山田 長司君       湯山  勇君    玉置 一徳君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     石田  朗君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (振興局参事         官)      橘  武夫君         食糧庁長官   安田善一郎君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         農 林 技 官 田村 金一君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十二月一日  委員藤田義光辞任につき、その補欠として高  橋等君が議長指名委員に選任された。 同日  委員高橋等辞任につき、その補欠として藤田  義光君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(甘味資源問題、  大豆価格問題等)  てん菜栽培等実情に関し派遣委員より報告聴  取      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  去る十一月九日の委員会において大野市郎君の理事辞任の件をお諮りいたしました際に、自由民主党から理事大野市郎君の理事辞任の件について申し出がありました旨を委員長から申し上げたのでありますが、理専大野市朗君から辞任申し出があったと訂正いたしたいと存じます。右御了承願います。      ————◇—————
  3. 野原正勝

    野原委員長 てん菜栽培等実情調査のため過日本委員会より現地委員を派遣いたしましたが、この際派遣委員より報告を聴取することにいたします。丹羽兵助君。
  4. 丹羽兵助

    ○丹羽(兵)委員 去る十一月十二日から十八日まで閉会中の国政調査派遣委員として、岡山、大分、熊本、福岡及び長崎の五県にわたり、暖地におけるビート栽培事情を中心に各地の農業事情について調査を行ないましたので、この際その報告を申し上げます。  報告の内容といたしましては、今回の調査の主目的であります暖地におけるビート及びビート糖業の振興問題に重点を置き、その調査結果の概要を申し上げ、次に本件以外の調査事項について簡単に触れることといたします。  以上ご了承いただきまして、まず暖地におけるビート及びビート糖業の振興問題について申し上げたいと思うのでありますが、本論に入るに先だち、われわれが本件について特に現地調査を行なうに至った経緯と目的について簡単に申し上げることといたします。  わが国におけるビート栽培は従来北海道に限定されておりましたことはあらためて申し上げるまでもないことでありまするが、近年、水稲早期栽培あと作対策、大・はだか麦の転換対策畑作改善対策あるいは有害営農確立上における飼料自給度向上対策国内甘味資源自給度向上対策等国家的要請を背景として、暖地におけるビート導入の気運がとみに醸成され、これにこたえ、昭和三十年ごろから暖地各地農業試験場を中心に本格的な試験研究が始められ、その後試作の段階を経て、今日では、すでに二、三の県において企業化を前提とした工場の建設が行なわれ、いよいよ本格的なビート栽培奨励が行なわれるという段階に相なっているわけであります。しかして、このような客観情勢の推移に対応し、農林省としても、暖地におけるビート導入及び製糖事業の育成に関する基本方針を決定する必要を認め、かねてから日本てん菜振興会等を通ずる品種試験栽培技術の研究を進めるとともに、あわせて農業経営あるいはビート糖企業化に伴う経済上の諸問題の検討に着手し、本年度に入っては特に二回にわたり暖地ビート栽培先進国であるイタリア調査団を派遣する等、事態の処理にあたってはきわめて慎重な態度を持しつつも、漸次木腰を入れた調査研究の体制をもって対策の樹立にあたっているのであります。当委員会といたしましても、暖地におけるビートの導入が営農の改善や農業生産選択的拡大等農政の伸展の上に大きな意義を持つとともに、国内の甘味資源自給度向上のみ地からも重要な課題であるので、その本格的な導入の可否について的確な見通しを得べく、さきに甘味資源に関する調査小委員会を設け、鋭意調査を進めて参ったのでありまするが、たまたま、時限法たるてん菜生産振興臨時措置法が明年三月末日をもって失効することと相なっており、次の通常国会においては、その時限延長問題と関連して、暖地ビートに関しどのような対策を購ずべきかを具体的に決定する時期が近まり、ここに当委員会としてこれが審議の参考に資するため現地調査を行なうこととせられたのであります。  以上調査の趣旨について申し上げましたが、この趣旨に従い、われわれは、暖地ビート栽培先進地域である岡山、大分、熊木の三県下の実情を調査したのであります。われわれは、これらの各県において、県当局試験研究機関製糖企業者ビート栽培農民等、でき得るだけ広い範囲の人々から時間の許す限り詳細に事情を聴取することとし、岡山県では、県立岡山農業試験場横浜精糖株式会社岡山事業所及び賀茂町大勝地区における栽培現地、大分県では、県立大分農業試験場新光甜菜糖株式会社大分事業所及び鶴崎市新田地区における栽培現地、熊本県では、日本てん菜振興会てん菜研究所支所及び三楽酒造株式会社八代工場等を調査の対象に取り上げることといたしました。  申し上げるまでもなく、これらの三県は、いち早く、てん菜の導入が農業経営にもたらす影響に着目し、県当局を中心に、試験研究機関農業団体、農民、製糖企業者等が一体となって暖地ビート導入をめぐる問題点の解決に当たっており、いわばこの道の先駆者として、数年間にわたる試験研究、試作の段階を経、いよいよ普及態勢に入ろうとしており、一方、また、岡山、大分両県には民間資本による本格的な操業を目ざしての企業化を前提とした原料処理能力六百トンの工場もそれぞれ建設されておるのであります。われわれといたしましては、本問題に関し、種々の角度から視察、調査を行なうことができ、啓発されるところも多かったのでありますが、時間の都合もありますので、詳細にわたる報告はこの際割愛させていただき、今回の調査の結果から得られました若干の重要な問題点のみを集約的に申し上げ、責任を果たしたいと思います。  第一に申し上げたいことは、数年前、暖地におけるビートの導入が一般の話題に上るようになりました際、第一の疑問点とされましたことは、暖地におけるビート栽培が技術的に可能かどうかという点にあったのであります。ところが、実際われわれが夏まきまたは初秋まきビート試験圃場について見ましたところによりましても、わずか数年間の日時を経過したのみであるにもかかわらず、試験研究者を中心とした関係者の熱心な努力の結果、予想以上の成績をあげていることが判明したのであります。すなわち、それぞれの地域における気象条件土地条件等についての品種の特性を考慮の上、それに適合した播種期を中心とした耕種基準を設定し普及することと、適格優良品種を選定すること、及び肥培管理の面において深耕、堆厩肥の多投、適期における間引きと病虫害防除微量成分投与等を適切に行なうこと等、つまり、やろうと思えばやれる技術を用いることにより、暖地においても、品質、収量両面において寒地ないしは諸外国と比較してさして見劣りのない生産をあげ得ることが実証され、すでに当初懸念された栽培技術上の問題点は本質的には解消しておると言ってよいのであります。岡山、大分の県立農業試験場、熊本の日本てん菜振興会てん菜研究所支所試験圃場においては反収四トンないし五トン程度の収量を示しており、また、収量とともに重要な点であります品質についても、ブリックスまたは根中糖分等の諸指標から比較検討いたしましても、標準畑栽培された暖地ビートは寒地のものに比べ決して劣るものでないことが証明されているのであります。ビート品種改良は北欧または北米において行なわれましたが、元来その原産地は暖地であることから言いますれば、このことは当然であると申せましょう。また、栽培農家の圃場について見ましても、すでに栽培について経験を積んだものにあっては北海道に匹敵する成育状況を示しておるのであります。ただし、栽培農家の段階における全体の実績となりますると、各県ともその反収はずっと下がり、平均して二トン程度となっておりまして、この点、アメリカの二・五トン−五トン、ドイツの三−四トン、イタリアの二・五トン−三トン、北海道の二・五トンと比較いたしますと、まだまだ低い水準にとどまっているように見受けたのであります。しかしながら、このように末端における低収量のゆえをもって直ちに暖地ビートそのものが低収量であるということにはならないことはもとよりでありまして、さきにも述べましたように、二年、三年と栽培の経験を積んだ農家は、ならして三トン程度の反収をあげており、たとえば岡山県におけるビート共進会入賞者のうちには五トンから最高六トン以上の収量をあげているものもあるのであります。  しこうして、このように試験岡場における成積と栽培農家の段階における実積との間において大きな懸隔を生じている理由にはいろいろなことが考えられまするが、われわれの見聞した範囲では、その主なる原因は次の通りであります。すなわち、ビートは新しい作物であるため、農家が一般に栽培にふなれであること、また、普及段階でありますので、農家が自家の圃場のうちの条件のよい熟畑または良畑に栽培するとは限っていないこと、農業改良普及員が新しい作物に対する普及知識に乏しく、普及にいまだ消極的であること、現在ビート栽培する農家は必ずしもこれを有畜営農と結びつけておらないため堆肥の投下量が一般に少ないこと、熊本県等では播種期に干天が続き、播種適期を逸したこと、大型農機具が十分に普及していないため深耕が十分に行なわれていないこと、飼料不足のため未成熟のまま自家用飼料に使用した農家が相当数に上ったこと等であります。  これを要しまするに、暖地ビート導入を阻害するがごとき栽培技術上の難点はほとんど存在しないと言ってよく、今後の発展を期するには、試験研究ないしは試作の段階において逐次明らかにされつつある適品種に対応する栽培技術上の注意事項をいかにして実際に栽培する農家に着実に普及浸透させるかに問題がかかっていると申して差しつかえなかろうかと存ずるのであります。  昭和三十五年の栽培面積は、岡山県においては約一千ヘクタール、大分県においては六百ヘクタール、その収穫高はそれぞれおよそ二万二千トン及び一万三千トン程度であって、六百トン工場をフルに稼動するにはそれぞれ九万トン程度の原料を必要といたしますので、原料処理能力から言えば、現在のところ到達目標の一・五割または二・五割程度にすぎないわけであります。従いまして、暖地ビート一般農家に普及するにはなお相当の努力を必要とするわけでありますが、国としては栽培技術の面において今後いかなる点に着眼して研究を続行し普及奨励を強化すべきか、若干の事項を要約して申し述べておきたいと存じます。  すなわち、一、今後最も生産の伸びを期待されるのは早期水稲あと作としてのビートでありまするが、今後、これらについての育種、病理、栽培方法等に対する国立農試県立農試及び振興会研究所支所等試験研究体制を拡充強化するとともに、これら試験研究機関連絡協力体制を早急に確立すること。二、農業改良普及員に対するビート栽培技術についての教育、特技普及員増員等普及指導体制を強化拡充すること。三、ビート振興有畜農業と表裏一体をなし不可分の関係にあるため、家畜の導入、畜舎、サイロの設置等有畜営農との結びつきを積極的に考慮すること。四、栽培集団化共同化をはかること。五、国有の深耕用大型トラクター並びに付属機具貸付等について積極的施策を講ずること。六、病虫害に対する防除体制を確立するとともに、ビート導入地帯に対するネマトーダ対策を積極的に行なうこと。七、土壌酸度の矯正、灌漑施設、農道の整備等生産基盤の整備を行なうこと。八、種子対策を強力に推進すること、すなわち、暖地ビート用原々種、原種について、これがすべて国産でまかなえるよう育種、採種体制を早急に整備するとともに、当面、輸入種子の購入に対し国から助成排置を講ずること。  次に申し上げたい点は、暖地ビート振興のため、経済的側面ないしは予算上、法制上の措置についてであります。暖地におけるてん菜導入技術的可能性が証明された以上、今後それが産業として発展するかいなかは、てん菜栽培がはたして農家にとって経済的に引き合うかどうかという点に問題はしぼられてくるわけであります。しかして、この問題は、てん菜生産並びにてん菜種業保護育成のため政府が示す熱意のいかんにかかると言ってもよいのであります。今日、二、三の県において暖地ビート本格的栽培可能性について曙光を見るに至りましたのは、県、農民あるいは企業行の負担する犠牲の上においてであります。暖地ビート栽培問題がここまで発展した以上、政府はいたずらに遅疑逡巡することを許されないと思うものであります。現在のてん菜生産振興臨時措置法は、御承知の通り、昭和二十八年、現在われわれの委員長である野原正勝議員外四十一名の議員提案によって成立したものでありますが、当時を回顧いたしますると、農林省の方針は必ずしも積極的であったとは申しがたいのであります。しこうして、議員立法が行なわれました後、法律に基づいて各秤の保護育成措置が講ぜられることとなった結果、北海道ビートは目ざましい発展を示し、今や北海道における安定作物として不動の地位を確保し、農家経済の向上、ひいては国民経済の安定に大きく貢献しているのであります。農林省は今日振興法の失効に備え同法の改正措置について種々検討を逃めていると聞きまするが、先述のごとく、すでに試験研究試作段階を経て導入に対する技術問題もおおむね解明された段階においては、暖地ビート振興策をも十分に織り込み、英断をもって同法の抜本改正を準備されるよう特に要望いたすものでありまするが、以下私はこの場合において政府の配慮すべき若干の点を申し述べ、御参考に供するものであります。  まず価格対策であります。すなわち、府県産ビートについても、北海道産と同様、生産者価格の支持を含むビート糖適正価格による政府買い入れ措置を講ずることであります。現在、ビート生産者価格は、北海道産のものは振興法に基づいて支持されており、二十九年以降三十六年までトン当たり五千二百五十円となっておることはご承知の通りでありまして、府県産ビートもこれに準ずる取り扱いを受けることとなってはおりますが、この支持価格については、すでに北海道の農民より改定要求が出ておりますことは、これまた御承知の通りであります。暖地ビートにつきましては、カンショ等競合作物収益性との関係もあり、なお一そうこの程度の価格では生産農民栽培意欲を盛り上げるに足らないので、生産者に対する支持価格算定方式について再検討を加えると同時に、暖地においては、前作との関係もあって、早期に、でき得れば三十七年産ビート原料価格については三十六年中に方針を内定することが必要であると認めます。  次に、ビート工場の建設について、現在は農地法に基づく農地転用にからませてその規制を行なっているのでありますが、今日までの経験に照らし、これでは不十分な点があり、府県産ビートについてはすでに群雄割拠の徴候も見えておりますので、てん菜糖政府買い入れを受けようとするものについては、工場を新設する場合農林大臣の許可ないしは承認を受ける等、所要の規制措置を設けるとともに、原料集荷について農林大臣が必要な調整ができるよう、あらかじめ所要の措置を講じておくことが必要であります。  次に、岡山県においても、大分県においても、現在建設せられているビート工場は二、三十億円の建設費を要しておりますが、暖地ビート産業のごとき国家的に有益な先駆的企業に対しては、ブドウ糖や酪農に対すると同様の方法で、低利長期資金融通措置を講ずるよう検討することが肝要だと存じます。  しこうして、以上の栽培上、経済上の諸対策に要する財源を確保するため、砂糖消費税に相当する税収入は当分の間ビート振興対策のための経費として還元する等の方途を検討するとともに、原糖輸入に対する外貨割当制度に伴う精糖業者超過利潤は、当然主として国内ビート振興のために活用することがこの際ぜひとも必要であると確信するものであります。  なお、砂糖の輸入由化に対する農民の懸念が、暖地、寒地を通じてビート生産の伸びを阻害している実情もあるやにうかがわれますので、当分の間砂糖自由化はこれを行なわない方針をこの際あらためて明確にする必要がありましょう。  以上、今回の調査の目的であります暖地におけるビート及びビート糖業の振興問題についての調査の概要を申し上げましたが、われわれは、本件のほか、酵素糖化法による精製ブドウ糖工場である岡山市の林原産業株式会社、大村市の長崎農産化工株式会社、熊本県阿蘇郡阿蘇町びんかき開拓地営農概要、福岡県三瀦郡三瀦町における水田裏作大型機械化実験集落、福岡県山門郡山川町における福岡みかん共同撰果所、長崎県諫早干拓、長府大干拓、長崎県総合農林センター西彼杵総合開発における機械開墾地等についても調査を行なったのでありますが、それらについての報告は省略させていただき、ただ、びんかき用拓地において、農地造成階段工事事業の完遂、開拓道路及び農道の新設と維持補修畑地灌漑施設の整備及び飲用水施設整備等について切なる要望のありましたこと、長崎大干拓について、三十七年度から着工できるよう予算措置を講じてもらいたい旨の要望のありましたことのみを特に申し上げ、私の報告を終わることといたします。(拍手)
  5. 野原正勝

    野原委員長 午後一時より再開することとし、この際休憩いたします。   午前十一時十六分休憩      ————◇—————   午後一時三十三分開議
  6. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際農林省当局より南部イタリアてん菜生産事情調査中間報告を聴収することにいたします。農林技官田村金一君。
  7. 田村金一

    田村説明員 それでは、お手元にお配りしてございますイタリアてん菜事情調査中間報告をもとにいたしまして、簡単に御報告をいたします。  調査団は三名で編成されまして、日本てん菜振興会暖地支所長嵐嘉一さん、栽培部長桑原武司さんと私の三人は、去る九月の下旬から十月の下旬までの約一カ月間、南部イタリアてん菜栽培事情調査して参りました。その事情につきまして、この報告の順序に従いまして簡単に御報告をいたします。  まず、第一番目の、南部イタリアにおけるてん菜栽培の現状と政府のとっております方針でございますが、イタリアにおきますてん菜作付面積は約二十三万町歩でございまして、砂糖生産量にいたしましておおむね百万トンでございます。これで自給自足の状態にございます。ところが、一九五九年に至りまして作付面積が非常に増加いたしまして、ちょうどその年は天候にも恵まれましたために生産過剰を来たすに至りまして、政府はこの翌年から国内砂糖需給を安定させるために作付制限を行なうことになりました。その制限につきましては、北部イタリアにおきます生産を押えて南部地域を伸ばす方向をとりまして、今後における砂糖消費の増加する分はすべて南部において生産するという方針をとっておるようでございます。  次に、二番目の、南部イタリアにおけるてん菜栽培の実想でございます。最初に気象条件栽培型について御報告をいたしますと、イタリアにおけるビート栽培型には、春まき型と秋まき型とがあります。春まき型というのは、三月ごろに播種をいたしまして、八、九月ごろ収穫する型でございます。秋まきと申しますのは、十月半ばごろから十一月にかけて播種をいたしまして、翌年七、八月ごろ収穫をする型でございます。南部イタリアにおける気象条件降水量北部に比べて特に少ないために、春まき栽培をいたしますと、その生育期間あるいは登熟期間降水量が非常に少なくなっております。従いまして、南部におきましては、春まき裁培というのは水不足のために作柄が非常に悪くて、北部に比べて不利な立場に置かれておったわけでございます。ところが、降水量を一年間のうちで見てみますと、十月から二月の間には北部よりもむしろ多くの降水量がございまして、この期間てん菜播種いたしますと生育に非常に好適な条件であることがわかり、十年くらい前から秋まき栽培試験研究が開始されまして、その試作にも成功し、一九五六年ごろから本格的にこの秋まき栽培普及し始めまして、今後もますます普及する傾向にあるようでございます。  次に、収量と根中糖分でございます。  まず第一の収量について見ますと、単位面積当たり収量は、南部イタリアにおきまする春まき北部に比べてやや少ないようでございますが、南部イタリアで今後主体になるであろうと思われる秋まき栽培のものは北部に近い収量をあげております。農林省あるいは試験場等で聞き取り調査をしてみましたところ、ヘクタール当たり収量は、北部春まきは三十から四十五トンくらいでありまして、南部イタリア春まきは、これは非常に少なくて、十五トンから二十トン、秋まきにつきましては二十トンから三十五トン。それから、南部イタリアで、春まきでも秋まきでも同じでございますが、灌漑をいたしますと、三十五トンから四十五トンの収量をあげておるようであります。  次に、根中糖分についてでございますが、根中糖分は、北部イタリアのものに比べまして、南部イタリアのものが著しく高くなっております。その理由を考えてみますと、登熟する期間に乾燥しておること、それから、日照時間が非常に長いということ、あるいは褐斑病の発生が少ないということに原因があるものと考えられます。この根中糖分につきまして農林省試験場で聞き取り調査をいたしますと、北部春まきのものは一五%から一六%、それから、南部春まきのものは一五%から二〇%、秋まきにつきましては一八%から二二%となっております。  次は、南部イタリアにおきますてん菜栽培農業経営との関係でございます。  南部イタリアにおきます農業経営規模につきましては十分な調査ができませんでございましたが、フオッジャというところの農林省出先機関におきまして聞き取りをしたところによりますと、てん菜栽培しておる農家経営面積は六町歩から七町歩くらいでありまして、そのうち、てん菜作付をしている面積は一ヘクタールから二ヘクタールというふうになっておるようでございます。  輪作の体系は、麦、ソラマメ、麦という型と、それから、麦、麦、ソラマメ、麦というふうな型、あるいは麦の連作、こういう輪作体系でございましたが、てん菜導入されてからは、主として、麦、てん菜、麦、その次がまたてん菜というふうな型に変わってきているようでございます。  それから、てん菜を作りますことによります収益性でございますが、てん菜と競合しておる作物といいますと、南部イタリアでは小麦とトウモロコシとソラマメというものがおもでございまして、これらの作物収益性は非常に低いために、てん菜を作ることが農家の収益を非常に増して、てん菜栽培が有利であるということを示しております。  それから、四番目に、原料損耗のことでございますが、南部イタリアにおきましては、七月から九月ごろ収穫をするという関係上、収穫をいたしますと、おそくとも一両日中には工場に運びまして精糖にしておるわけでございます。そのために、原料が損耗するとかあるいは根中糖分が低下をするということはほとんど生じていないようでございます。  五番目は、てん菜糖工場の現状でございますが、イタリアにおきますてん菜糖工場は八十工場ございまして、その一日当たりの原料処理能力は平均二千トンでございます。そうして、操業日数は、北部でおおむね四十日、南部ではおおむね六十日くらいになっております。それから、一工場当たりのてん菜作付面積及び生産量は、大体三千ヘクタールで、十万トンというのが平均になっております。  次に、南部イタリアにおきますてん菜栽培の将来につきまして、てん菜関係者であります農林省だとか全国てん菜耕作者組合連合会、それから試験場等において意見を聞きましたところ、それらの人はすべて南部てん菜栽培というのは有望性があるということを強調しておりました。その理由は、南部イタリアてん菜栽培に風土的に適性があるのだということ、それから、導入する可能面積が非常に広いということ、それから、政策的に見ても、てん菜を入れることによりまして農業を機械化し、そして農民教育によって技術改善していくのだという政策的の意図からも、南部ビートは伸ばすべきであるし、伸び可能性が十分あるということを言っておりました。  以上、きわめて簡単でありましたが、御報告にかえます。     —————————————
  8. 野原正勝

    野原委員長 大豆の価格問題及び甘味資源問題について質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  9. 芳賀貢

    ○芳賀委員 午前中に委員会派遣の調査報告丹羽委員より行なわれたわけでありますが、これに関連する問題もありますので、政府に対して質問を行ないたいと思うわけです。  第一に、暖地ビートの問題について当委員会として初めての調査を行なったわけでありますが、私たちが現地工場事情あるいは栽培事情等を調査した結果、今日まで国が責任を持つべき暖地ビート育成あるいは長期計画の確立等の問題については全く無感心であったということが強く感じられたわけでありますが、既往の問題は触れないとしても、今後たとえば国の甘味資源十カ年計画の達成を取り上げて考えても、てん菜糖については、北海道三十万トン、暖地十万トンの一応の計画が作られておるわけであります。三十七年度の政府予算編成の時期にも当面しておるわけでありますが、特に府県ビートの問題について、具体的にどのような国としての方針を立てて、さらに財政的・予算的な措置としては農林省としてどういうような方針を立てて今後臨もうとしておるのか、その点について概要の説明を願いたいと思います。
  10. 安田善一郎

    ○安田説明員 三十四年でありましたが、農林省が、北海道中心に、他の府県も若干考慮を払いまして、御承知の甘味食品総合対策をきめました際には、府県ビートの方は、生産計画にも出ておりますが、その計画自身も、また計画を達成する施策措置におきましても、北海道てん菜糖に匹敵するような心がまえと具体性と重さを持っておらなかったことは芳賀先生のおっしゃる通りだと思います。既往は問わず今後はどうかということでございますが、ただいま申し上げました甘味資源総合対策生産計画、あわせてこれは需要の測定と見合わなくちゃいけませんのですが、精神は、日本の消費量の半分ぐらいは国内産の寒地暖地ビートブドウ糖等を入れまして自給しようという計画でございます。ところが、最終年次の十年後におきます甘味資源の国民消費量が、初年度に近いことしで実は砂糖に換算して百五十万トンすでに実現をしておるのであります。  そこで、まず第一には、ただいま作業いたしておりますのは、ものの基本である生産計画、需要見通し、これを立て直そうと思っております。生産もふえれば消費量ももっとふえるという見込みのものでございます。その中に国内産はどう考えるかということになりまして、国内産のうちに府県てん菜糖はどう考えるかということは、旧計画では、芳賀先生のおっしゃいましたように、寒地ビートは約三十万トン、しかもこれは北海道ですが、暖地ビートは、十万トンを十年計画の最終目標にいたしておるものをさらに強化いたしまして、重要な供給源、資源の開発、食糧自給の方針で打ち出したいと思っております。そうしますると、これの確実性とか、きょうも午前中スライドでも拝見いたしましたし、丹羽先生の御報告もありましたが、まず技術的な試験研究、次いで経済試験、企業化試験、そういうものをすばやくいたしまして、確実にこれならいけるなということで、天然資源的にも経済的にも、目標から見ましてほぼこれを固める、固めたら政府施策を講ずる、こういう段取りになることを予想しておるのでありますが、ただいま田村君が報告されたように、イタリア南部について暖地ビートが成功して、その態様も、砂糖全体の糖値水準が日本より一割安、国内需給は暖地ビート中心にかなり現在及び将来変わり、今では生産過剰ぎみまで来たすほど発達しておるのがイタリアであります。その他の事情、気候風土、農業経営等、ヨーロッパで日本と違いますけれども比較的よく似たところでございますので、調査をしたわけでございますが、化、経済化、経済試験のところが国内でも実は足らず、調査団でも若干足りないところがございましたので、中馬先生を団長といたします次の調査団をただいま派遣をいたしまして、もう間もなく帰ってくるところでございます。しかし、それを待ってから立てるのもどうかと思いますので、現段階にわれわれが考え得ることをまずきめまして、調査団報告をいただき、かつこれを検討しまして、さらにりっぱなものにして、これは次年度、三十七年度以降には役立つように計画もし方針も立てたいと思っておるのが現状でございます。  さらに、そのおおむねの考えは、寒地暖地を通じて、それぞれの特徴及び生産量農業関係作付体系、構造改善、畜産振興、そういうようなものを総合的に考えなければならぬてん菜でございます。九州はカンショ、北海道はバレイショとの関係が重要だと思いますが、計画を立てまする以外に施策の具体化が要りますので、検討中であります。施策とは、法制整備をする、行政措置をする、予算、財政投融資を確保すること、それに重点を置きまして、あとは価格政策のよろしきを得るようにと思っておる。私は、大臣にはまだ詳細申し上げてありませんが、食糧庁内で——まだ発表すべきものではありませんけれども、作業中の内容を申し上げますれば、適地適産、作付体系、農業構造改善に資するように適当なビート生産地を寒地暖地を通じて法文で明定しますか、行政措置でやりますか、そこらあたりは、作付集団化、能率化、生産向上をねらってきめる。そこに中心工場があり、この中心工場生産者団体ならば望ましい。足りないところは、あるいは相当資金が要る事業でございますから、資本会社もけっこう。その民間の工場は、農業生産としてのてん菜糖増産と生産向上努力をしてもらうことを考えなければいけない。てん菜でも一般砂糖でもイタリアの水準までいけばいいじゃないか、日本より一割低い水準、こういうことでございます。しかも手取りは多いということであります。もう一つは、今のてん菜生産振興臨時措置法の体系をここへ吸収させまして、指導価格なり基準価格についても、てん菜そのものに重点を置きまして、含糖率を加味するような価格政策をとる。これを企業化するときは、先に投資が進みますから、日本のてん菜では、開拓地でいきなり初めててん菜糖をたくさん作ればそれでうまくいくという見通しもこれは非常に少ないと思いますので、他の作物とかわっていくということがかなりの部分を占めると思います。そこで、他作物との関係を見ながら、やはり、投資をしたてん菜糖工場の方は四年ないし五年くらいの間に自立経営をしていただく。その間に、生産者ビート販売価格も適正に置くようなことと同時に、てん菜糖砂糖価格及び販売、消費ということも考えなくちゃいけませんので、やはり、政府買い入れ制度を二、三年くらいの範囲内は、操業を始め出した以降制度として置いたらいいじゃないか、そうしますと、一言で申しますと、寒地暖地を通じた適地適産のもとで国際競争に数年間で耐え得る原料生産てん菜糖生産てん菜糖工場企業とを成り立たしめる。その間の農家原料を買う工場側との取引関係をよくする。五年間全部政府買い上げによるのがよいとは私は思っておりません。そこは実情に即しまして適切に考えたい。その中の法令分は法令を作り、行政措置は行政措置予算、財政投融資を確保するところは確保して参る。こういう気持でおります。しかし、中馬先生を団長とされる調査団のお帰りになった報告と、日本流にこれを再分析し研究いたしました結果が田村君の報告のようでない、適当でない分が多い、適当な分は少ないとなれば、今申しましたことをそれに応じて適当にする。拡大をうんとやることがよければ拡大をやる、ある地域に限るならば地域に限ることが必要、こういうことを思っておる。私どもの三十七年度食管会計予算要求には、特に暖地ビート買い上げの数量及びその予算を特別に掲げて要求してありませんが、農算物勘定におきまするてん菜糖部分の予算要求には、予備費といたしまして、今申しました考えのもとの要求が出してあります。  以上でございます。
  11. 芳賀貢

    ○芳賀委員 具体的な点を聞いておるのですが、たとえば北海道中心とした寒地ビートについては、昭和三十五年を起点として四十二年まで八カ年計画というものを政府が発表しておるわけです。従って、これと見合うような意味合いにおいても、府県ビートについても、長期計画というものを早期に立てて、この達成のために必要な施策を強力に進める必要があると思う。すでにわれわれが調査した結果によっても、岡山並びに大分においては、それぞれ新鋭工場建設されて、原料さえ確保されれば正常な操業ができる、そういう体制ができておるわけです。しかし、そういう工場設備はできたが、はたして何カ年後に企業として採算可能な原料確保ができるかということについては、まだ確実な見通しというものはつかないわけです。特に、現地事情は、工場建設した会社の意欲は企業行としての立場から旺盛であることはもちろんであるが、それ以外は、たとえば岡山県、大分県、熊本県等もそうでありますが、県が主体となって府県ビート栽培の問題については試験研究の費用あるいは農家に対する栽培の助長等のそういう施策は相当当核県独自の立場で進めておるが、国としての強力な施策というものはほとんど及んでいないのです。たとえば、県庁に聞いても、各府県に対して農林省の方から府県ビート試験研究の費用としては大体二十万円程度しか交付されていない。二十万円程度は、これは子供の一年の小づかい銭にも匹敵するようなものであって、国策を進めるために府県単位に国が試験研究を大いに助長するというための予算としては、これは国がこうやったということにはならぬわけです。これは食糧庁の関係ではなくて振興局の関係ですが、来年度についても、そういうけちな、ささやかな考えで、府県だけに依存するということで農林省はいくのか。こういう点はやはり農林大臣から明らかにしてもらう点ですが、一体どういう考えを農林大臣は持っておるのか。これは振興局長が来ておりませんのでだれかかわって説明してもらってもいいが、現地暖地ビート栽培を自信を持って拡大していくためには、やはり、その前提としては綿密な試験研究というものが行なわれて、その成果によって農民に対しても自信を与えて十分農業経営の中の有利な栽培作物として積極的に耕作してもらうということにしなければならぬと思いますが、こういう点に対しては一体どう考えておるのですか。
  12. 安田善一郎

    ○安田説明員 芳賀先生の御質問に対するお答えは、農林大臣を待つまでもございません。私からお答えをいたします。しかし、事務当局としましては、御指摘のように振興局の所管の方が多いが、両方共通してやっておるわけであります。私どもは、現在は積極的で大胆な手を府県ビートに向けております。これは、認識が、いまだテスト時代であってなお研究も要する、しかしだんだん技術あるいは農産物の栽培の面においては相当力を入れてやり出してもいいだろうという段階になっておる認識でおります。ただ、御承知通り、企業進出は、政府の施策、考え方がはっきりしないことが基礎にあるかとむ思いますが、岡山の横浜精糖あるいは大分のどこ、そういう現在をとらえましても、五百トン、六百トン工場であります。これはテスト施設を設けて試験的に第一段に作った工場程度でございます。それで、それを例として申し上げたのでございますが、経済試験、企業化試験というものもやはり研究調査しなければいかぬと思うのです。そこで、中馬団長の調査団が行って、いい材料と悪い材料はないか。というのは、イタリアあるいは在外の農務官、農林省が在外に派遣しておるのに、多少うまくいってないという意見が来ておる部分もあるんです。それを早急に検討いたしまして、先ほど私が申し上げましたようにしていく、それは来年度以降に間に合うようにする、そういう考えであります。従いまして、二十万円の子供のお小づかいのお話が出ましたが、私どもは目下五億弱の一般会計予算を大蔵省に要求いたしております。これは、そのほかに、御承知の、原料価格をどうするか、原料を光る方と買うところをどうするか、政府買い入れをどうするか、一般糖価水準はどうするか、糖価水準より高いビート糖もそうですけれども、それを何年くらいで自立せしめていくか、自立目標を国際競争力との関係から見てどのようにするか、こういうことを持ちますのが一つ。それから、ある土地におきますカンショ、北海道におきますバレイショ、大豆、小麦、これはやはり適地適産で農業ですからどっちがいいということはいけませんが、ビートを入れずして、ビートの方がいいのに、カンショ、バレイショ、大豆、菜種、麦というものを作っておるところなんかを、作付体系がいいように、農業所得がふえるように、構造改善になりますようにということを内外を通じて考えまして進めていきたい、そういうふうに思っております。
  13. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今長官が岡山大分の両工場はテスト的な規模の工場だと言われたが、それは認識が足らないのです。実際行ってみれば、これはもう正規な新鋭工場であって、ただ、設備については、先ほども調査団報告があった通り原料の截断施設や規模は、これは、一日千二百トン、それ以下はとにかく最低の規模を一日六百トンということに置いているので、六百トンの操業可能な施設になっております。原料を確保さえできればこれは直ちに千二百トンの工場に設備が充実できるというそういうものであって、従って、これは最近における北海道の新鋭工員と規模においても内容においても匹敵するものであります。従って、設備費についても、それぞれ大体十六億ないし十七億円。そういうことになると、この設備に対する金利とか償却というものを見ると、やはり年間二億五千万くらいはかかるということになるわけです。そういうものは会社が勝手に建てたのだからということだけでは済ませないと思う。従って、私が指摘した点は、現在までのやり方を見ると、会社側においても政府側においても全く無計画な無方針のままにそういう工場建設が行なわれてきた。しかし、問題は今後にかかるのでありますが、たとえば、原料を確保する場合においても、畑地帯における特に初夏まき、一名また梅雨まきとも言いますが、そういうような畑地帯の初夏まきによるところの原料栽培あるいは水田裏作のいわゆる秋まきビート栽培、この二様の方法が考えられるわけですが、しかし、何としても、将来工場中心として広大な平坦地に工場に近接した地域内において原料を確保するということになると、どうしても水田裏作という考え方の上に立った原料栽培というものを相当重要視していかなければ、この達成はなかなか困難ではないか。われわれ調査団の判断ではそのようなことになるわけです。そうなると、結局、あの地方の水田裏作ということになると、主としてこれは麦作でありますが、そうなれば、麦作を今後秋まきビートに転換させるということは、これはやはり農業の選択的拡大の方向から見ても、非常に望ましいことになるわけです。単に麦作の転換とか作付制限をするために先般の国会においても政府が法案を出して、これはつぶれたわけですが、つぶれたというより、われわれがつぶしたわけですが、ああいう考え方の制度を考えるよりも、やはり、麦を転換して、それにかわるべき作物に対する受け入れ態勢というところに国が費用を投入する重点を置いて、これを大きく転換させるということの方が、非常に効果的でないかとわれわれは考えるわけです。まだこの水田裏作の秋まきビートの問題についても十分試験研究の結果というものが安心できるという段階までにはいっていないが、見通しとしては大体可能性があるということが言われるわけでありますから、こういう点についても積極的に施策を進める必要があると思うのです。法律がつぶれたから三十億が要らなくなったということでなくて、そういうことを国が考えて予算を確保しておるのですから、あれをより有効に使うためにはどうするかということを考えて、食管制度の一角をくずすようなそういう野望的なものではなくて、やはり、甘味資源国内自給達成という大きな角度から、三十億円が使えなくて困るのであればこれは有効に使用するようにしたらどうかと考えるわけですが、そういう点についてはどう思っておりますか。
  14. 安田善一郎

    ○安田説明員 多少言葉を簡略にしたりなどして、誤解があるといけませんですが、まず申し上げたいのは、芳賀先生の御意見と私どもの考えと、今では農林省の意見と言ってもいいと思いますが、ほとんど差がない。三十四年二月に甘味食品総合対策をきめられた中には、府県ビートは、先生が御指摘になりますように、北海道てん菜あるいはてん菜糖の問題以外は施策も弱ければ計面性も弱い、この基礎の試験研究も弱かったということと認識をいたしておるのです。しかし、自来、農林省におきましても、新日本ビール協会あるいはその他のビート関係の協会におきましても、外国調査におきましても、だいぶ研究が進みました。ただいままでは暖地ないし府県ビートはテスト段階だと思ったからそうであったと思いますが、しかし、それを脱却しつつある時期でございますから、もう企業化経済化の見通しが立てば、各種の法制定、行政措置予算、財政投融資を、北海道に準ずるといいますか、多少おくれておりますので、相当、それ以上とは言いかねますが、準ずるような措置に持っていって、例を法的体系について申し上げますれば、何も北海道の法律、府県の法律、こんなふうでなくていい時期が来たというふうに考えておる。しかし、それをいつまでほおっておくか、ほおっておいていいかということが問題になりましょうから、来年度からの施策に間に合いますように、判断と努力をいたしたいと、こう申し上げたわけであります。  次に、水田裏作を例にとられました。農業生産物、特にてん菜の選択的拡大については、私は、需要の見通しを持った適地適産、こう思いますが、これは、言うまでもなく、そういう考えと施策を打ち出します場合、計画を立ててこれに必要な措置を講じます場合必要なことでございますから、一歩北海道よりおくれておりますけれども、同様ないしはこれに準ずる施策として強化して参るつもりでおります。大・はだか麦の転換奨励の三十億に関係しての設例がございましたが、私どもは、麦の転換にも三十億を使いたい、てん菜糖増産にもあるいはてん菜糖中心にした作物転換にも使いたい、みな合理的である限りにおいては補助助成政策をとるべきだ、そういうふうに思っております。
  15. 芳賀貢

    ○芳賀委員 もう一点は、特に府県ビートの場合はビートのトップが家畜特に乳牛の飼料として貴重な価値があるということを農家の諸君が考えているわけです。従って、現在ビート栽培している魅力は、原料ビートだけの収益ではそれほど有利だということにはならないわけです。ただ、そのビートのトップを飼料価値として評価した場合、それだけが他作物より畜産と結びつけた場合利点があるという程度であって、これではいけないわけです。現地農家の諸君の価格面に対する希望等を聞いても、現在は一反歩大体二トンないし二トン半程度ですから、反収も低いわけです。少なくともトン当たり原料価格を六千円以上七千円程度にしてもらわなければ、将来経済作物として積極的に耕作する気持にはなれない、そういう素朴な意見等もわれわれは聞いてきているわけです。来年度から府県ビートについても製品の買い上げをやるということを今長官が言明したわけですが、それと同時に、買い上げをする場合は、原料価格の面についても、これは以前から指摘している点でありますが、農家経営上から見ても採算のとれる、所得の向上になり得る原料価格というものをこの際設定して、そして企業面については会社側の企業努力とか適正企業ができ得るような措置を講ずることによって十分前進させる必要があるのではないかというふうに考えるわけでありますが、そういう点についてはどう考えておりますか。
  16. 安田善一郎

    ○安田説明員 これもまた、基本的な考え方と、取り扱いと、その時期につきまして、芳賀先生と意見の差がないと私はお答えを申し上げたいと思います。しからばどうするのだということになりますが、しからばどうするのだという第一のお答えは、競合作物といいますか、あるいは転換奨励の転換される方の作物といいますか、自然のままで競争しておるものと施策を講じて転換するものとの間の価格のバランスを得る、これは必要なことであろうと思いますが、成長部門であるから、単にバランスを得るばかりでなしに、若干は有利にしなければならぬであろうという考えでおります。あわせましで、水ばかりたくさん入っておるもので取引されるというのは合理的なことではないと思います。牛乳でも、脂肪率とか、脂肪以外の固形分の含有率で取引するのがいいのではないか、そういう意見も現に一部には行なわれております。また、先般澱粉の価格関係して原料のカンショ、バレイショは澱粉合有率において差をつけることを初めていたしました。本年産のイモ類であります。その考えを生産者消費者と——消費者というのは買い入れ側の砂糖工場ですが、利害相反する場合もあるので、両々相待って、てん菜糖生産を合理的に進める。あるいはその裏には、てん菜砂糖の糖値水準なり企業の経営なり、こういうことも考えなければいけませんので、価格を一言に言うのはなかなかむずかしいのでありますが、そういう意味でお聞き願えればありがたいのでごいざますが、当分は、日本の甘味資源自給計画を相当量推進して参るときには、価格を有利に、政府助成を加えたり、一種の補償制度を整えたり、追い払いの制度をとりましたり、不足払いの制度をとりましたりすることの中から、実情に即した制度を取り上げるようになるだろうと思って、来年度には意見がきまるようにいたしたいと思っております。  そのうち、特に、しからばどうするかということは、ことしのビートてん菜価格でございます。これは、最近七カ年、トン当たり五千二百五十円据え置きになっておりまして、含糖率も加味してありません。これは四月にきまったようでありまして、例を農業パリティ指数の変化にとりますと、四月からは一%ちょっと農業パリティ指数が上がっただけのもので、四月の五千二百五十円をまず是認いたしますと、価格変更をする重要な物価その他の経済上の変化があって価格改定をすべきものとは考えられないのでございますが、私どもは、そうではない。七年間据え置きという農産物価格がありましょうか。特に成長部門にありましょうか。輸入品がたくさん入ってきて供給が余る、国際価格に非常な影響を受ける、こういうことがあれば別ですが、それとても、国内農業の重要なものは保護政策をとる、大豆なたね法案を出しましたような考えでおるわけでございますが、そこで、本年四月にきめたものでありますけれども、工夫のしようもあり、ビート糖工場は四、五年で自立するのだという建前をとらなければこの問題は非常にむずかしいのでございますから、赤字になるから買い受け工場の方は原料てん菜に対しまして適当な価格を実現するために金を払い得ないのだということだけでは済むまいと考えておるのです。そこで、きょう幾らとかいうことを申し上げることをお許し願いたいのでございますが、北海道につきましても生産奨励金をつけ加える。昔の米価で言えば、パリティ指数できめていたときには物価が変動すれば追い払いをするというようなこと、そういう措置で、なかなかむずかしい明快に言えないことですけれども、そこを割り切りまして、農林省で一基準を設ける。一基準を設けることは、あっせんの度が強いもの、奨励金を出し受け取るということについてのあっせんの度の強い方式であると思いますが、そういう方式を出しまして、それを基準に農業団体と買い受け工場の側とが話し合いした額をつけ加えたらどうだ、そういうことを行政指導にしたいと思うのです。あわせまして、来年度のビートの値段を、てん菜価格を早目にきめまして、今年の至らざるところを補う意味もありますし、農家ビート糖工場が計画的に増産して、自主的努力も加えてやって参られるというふうな扱いをいたしたいとも思っております。関係団体とも、支払い側の企業の反対が一番強そうなところから実は接触をいたしまして、私ただいまあっせん中でございます。
  17. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今年度の原料価格の問題についてはあとで触れますが、とにかく、暖地ビートの将来については、国の施策よろしきを得れば、長期計画で期待するところの北海道で三十万トン、内地府県十万トン、そういう計画はむしろ実情に沿わぬものになって、イタリアにならうまでもなく、たとえば水田裏作の麦栽培地帯の水田面積だけを計算してみても、相当これは膨大な面積になるわけです。たとえば全国で北海道と合わせて三十万ヘクタールのてん菜栽培可能地を確保することができれば、ヘクタール当たり砂糖生産量を最低三トンと見ても、優に百万トンのてん菜糖生産というものはわが国においても可能であると言わざるを得ないわけです。そういう長期的展望の上に立ってまじめに国の農政という心のは進められていけば、これはわれわれとしては非常に希望を持った問題の処理になるのではないかと思われるので、十分具体的に熱意のある方策というものを明らかにして、特に来年の三月までで現在のてん菜振興法の時限が切れるわけですからして、その機会に制度の根本的な確立をはかっていくべきではないかと思う。何もちょいちょいイタリアに行って見てこなければわからぬという問題ではないのです。失礼ですが、この程度中間報告というものは現地に行かぬだってわかるんですよ。われわれは国会から派遣されて一九五六年に中南米諸国の移民事情並びに農業事情調査に参りました。自民党の赤城宗徳君が団長でしたが、その機会にわれわれはヨーロッパ諸国の農業事情調査して参りました。当然イタリアや西独におけるてん菜糖実情等も調査したわけですが、あの当時すでにイタリアにおいてはてん菜糖中心とした国内自給が達成できて、もう輸出ができるというところまでいっておったわけです。   〔委員長退席、丹羽(兵)委員長代理着席〕  しかし、そこに至るまでの間、イタリアが第二次大戦で敗戦して経済事情が窮地に陥った、そういうたとえば一九四、九年からそれに至るまでの間、この表によっても、一九四五年にはわずか一万九千トンしかてん菜糖生産されていなかった。それが十年足らずで百万トン達成というところまでいくまでには、この中間報告には何も報告されておらないが、そこに導いたイタリアの国家の政策、政治の内容というものはどういう形で行なわれたかということが何らこれには述べられていないということは、調査されていないということにもなると思うわけです。もう達成した現在だけを見ただけではだめなんです。どうしてこうなったかということを、それを十分に研究調査しなければ、日本のてん菜糖の将来に対する貴重な資料にはならないと思うのです。単に南部がいい北部がいいというようなことだけで国費を使って行って見るまでもないことではないかとわれわれは実は考えているわけですが、そういう意味においても、一つ、これは、政策のいかんによっては達成もできるし、また失敗もするということになるわけですからして、そこは、安田さんは実力者ですから、最も河野農林大臣の信頼を集めておる実力行であるからして、あなたが在任しておるうちに、——何年も先の期待をわれわれは持たないわけです。少なくとも昭和三十七年度を一つの機会にして、強力な方針というものを打ち出すべきでないか、こういうことをわれわれ委員会の立場から指摘しておきたいと思うわけです。  次に二、三お伺いしたい点は、今長官からもお話がありましたが、先般農林大臣が札幌営林局の新庁舎の落成式に北海道へ回ったときに記者団会見をして、もちろん食管制度の問題にも例によって触れたが、たまたまビート問題にも触れて、特に懸案になっておる三十五年産のてん菜糖原料価格の問題については、とにかく精製糖の会社は非常な利益をあげておる、従って、てん菜糖についても、政府として四月初句に公表した原料価格の改定はできないが、政府てん菜糖会社に勧告を行なって、そうして生産奨励金というような形で今年度の原料価格についても告示価格よりも値上げをする方針であるということを札幌で述べておるわけです。ですから、この点については、どれだけ上げるということは言えぬということを長官も言われたが、もう年内と言っても十二月の初句ですから、これは十分会社とも政府は話し合いをして、具体的に現実に、名前はどうあっても、これは生産者にとって政府が告示した価格より上の価格原料取引ができるようなことになるかどうか、その点について明確にしておいてもらいたいと思います。
  18. 安田善一郎

    ○安田説明員 ちょっとお答えがそれるかもしれませんが、第一点の、外国へ行かなくてもわかるじゃないか、自分がほかのことで行ったときに、ほかのことで認識、ヒントを得た、中馬調査団行く要はないじゃないかという点は、私も事務的には関係をいたしておりますし、いたずらなる国費をもって外国旅行をさせたというのも、どうもちょっと心外でありますが、それはそうでございません。例を雨季にとりますと、日本は雨が多いのでありまして、特に入梅があります。これは非常に大きな影響をてん菜糖経済に与えるわけです。一定の原料から砂糖をとることであり、もう一つは、今北海道工場でも百十日ぐらいが操業率の標準で、千五百トン工場でも千トン工場でもそんなところで押えておりますが、イタリアにおきます特徴は、機械技術の日本より大きい進歩と、短期間処理するというところが、同じ原料の中にあります糖分を完全に利用するという点で、そこに非常な差があるように思うのです。幸い、田村君が入りました調査団では、浮き彫りのごとくそこを現地へ行って非常によくつかんできたように思うのですが、まだ助成推進する政府の施策を講ずるには府県ビートはテスト段階を出ない、その城を脱しつつあると思いますけれども、そういうつもりで施策を強化するために調査団を出したことを御了解願いたいと思います。それは年内に帰って参りますから……。  次は、ことしのビート価格につきまして河野農林大臣が札幌営林局に行った際の談話のことのようでありますが、先生が三十五年と言われたのは、きっと三十六年産の間違いだと思うのです。これはすでに行動を始めておりますから、不目きまると思います。それはのんべんだらりとすることではないので、来年産のものを早目に増産奨励が可能なように、企業と良家が適応し得るように価格をきめて、これがおおむね三力前後だと思うのです。そうすると、ことしのものはそれ以前にきめなくてはいけない。私の努力目標としましては、もう一週間くらい、少なくとも年内と心がけております。ただし、法律制度とか、五千二百五十円の価格をかえるのは穏当じゃないだろうと思うのであります。それは四月にきめて実行しておるのですから。その点は芳賀先生も名称や何かの出し方のいかんを問わないで考えたらどうかという御指導があったと思うのです。同様の方式で進めたいと思っておりますから、売る方と買う方との売買当事者の団体交渉といいますか、そういうこともしっかりやって、今のてん菜生産振興臨時措置法も、てん菜価格は最低価格と読むべきだと思います。しかし、とかくその価格そのままずばりの価格だと買い受け側は思うきらいがございますから、合糖率や反当生産費等ももちろん考えまして善処したいと存じます。時期においても年内がいいんだ、しかし、出した価格、公にした五千二百五十円という名目にプラス・アルファ、それは私どもが基準的なものも示してあっせんもいたします。実際の内容、行動は、直接交渉みたいになるかもしれませんが、それを加えまして両当事者も努力してもらう、そういうふうに考えておるわけであります。
  19. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは政府の責任で行なうべきであって、会社と生炭行が団体交渉で行なうべき筋合いじゃないのです。現在の振振興法が現存しておる限り、不当であるとしても政府価格を一応公表しておるのです。四月一日以降経済事情が激変しておらぬといっても、四月一日にきめたその価格それ自体が不当な価格政府がきめたわけです。そのときの理由の一つとして、暖地ビート原料価格との関係があるからして前年据え置きにしましたという答弁が当時政府側から委員会で行なわれておるわけです。だから、今回の場合む、われわれとしては、方法論として、一つは当然政府の責任で価格の改定を行なうべきである、あるいはまた、十八億円の超過利潤の吸収を行なっておるから、それは主として甘味対策のために使うという名目であれば、今年度のようにたとえば企業的に見れば原料の歩どまりが平年よりも若干低下しておるというような時期でもあるとするならば、政府が利益をあげておる精製糖から吸い上げたそういう超過利潤というものを活用する道もあるのではないか。あるいはまた、第三の問題としては、従来政府が決定しておる、たとえば国内の糖価水準、あるいは工場における基準糖価、そういうものの算定というものは現在の時点において相当弾力がある、余裕があるというような判断が行なわれるとするならば、あわせてその会社の企業努力からも生まれておる利潤というものから原料価格に配分する余地があるかないかという点も検討すべきである。だから、方法論としてはわれわれは三点を最初から掲げて、このいずれかを十分検討して方針をきめなさいということをたびたび指摘しておるわけなんです。今長官の言われるのは、会社の利潤の中からことしの原料価格に上積みしてきめるという。そういう点に対して確信があるとすれば、これは早期に——、今は一週間以内ということを言われましたので、私はそれを期待しておりますが、そういう点もなるべく迅速に会社もまた生産者も納得のできる状態の中で政府の責任で方針をきめあるいは実施するようにこれを進めたらどうかというふうに考えるのですが、どうですか。
  20. 安田善一郎

    ○安田説明員 質疑の中の前半あたりにちょっと私と意見が違うところがありますが、結論的に申されましたことは、ありがたく指導的な意見として拝聴しまして実施に移します。ただ、会社の負担で出されることばかり考えないで、一般砂糖超過利潤、——超過利潤というのはわかりにくいものですから価格差益金と言った方がいいと思いますが、あるいは糖価水準をキロ百二十二円でなしにもうちょっと動く幅のあるものと見ればいいじゃないか、こういう点なども御指摘かと思いますが、他に財源があってそれを出せばいいというと、支払うべき原料買い受けの砂糖会社が行なうべきことをやめる方に働いていくと思うのです。そこは、まず先にどれをやって、それで足らないところはどれをやるというように区別をしてやるのがいいじゃないか、こう思っております。  それから、五千二百五十円が四月にきまった際に、暖地ビートのことも考えて七年目の据え置きをしたということがありましたが、私は七月二十日以降しか知りませんし、その前に引き継ぎを受けましたが、率直に申しまして明瞭でございませんでした。そこで、暖地ビートの方とのバランスをとったり、それを考えた価格と理解したくないのです。  もう一つは、ちょっと意見が違いますと申し上げましたことは、ともかく五千二百五十円という値段で四月から出回り期の終わりに近づきつつある今日まで行なわれてしまっておることでございますから、今最低価格を示す五千二百五十円を法律に基づく金額として改定するのはかえって効果がなかろう、それから適当でない。マル公の値段を政府がきめた場合に随時変わるのはいけないのだ。——変える規定もあります。それは経済事情が非常に変化を来たしたときということでございますが、そこで、それを変えないで、変えてもそれにはプラス・バック・ペイとか奨励金というようなものを加えることがあるぞ、しかしその奨励金は何円だぞというようなことも必要じゃない、適当でないと思うのです。ホクレンという、生産者側のことをまさによく考えるべき企業者があって、割合に採算の悪い台糖というのがあります。この二つについて、農民のためにホクレンは考えなくちゃいかぬじゃないか、そういうことを抑えて台糖をきめますと、その他の工場、会社は中間にあるわけでございます。とかくこういうものは一律になることもあると思うのです。会社なり工場は差が実際にあっても、一律になる傾向がある。それでも水準が保たれて追い払いができればいいじゃないかと思っておるのであります。  三つの方法をおっしゃいましたけれども、私は内容にさわりませんが、とるべき手段とか、価格を変えるとか変えぬとか、一つをやって足りぬところを二でやる、そういうふうにすべきである、こういう点だけ違うわけでございます。
  21. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体安川さんの意向はわかるわけですが、それは、てん菜企業というものを甲に工場だけに限定しないで、大部分のビート工場は精製糖会社が経営しておる工場であるから、たとえば今年度歩どまりが悪いとして北海道におけるビート工場は採算的に見れば利益があがらぬとしても、利益の膨大にあがる精製糖企業であり、そういうものをあわせた会社経営であるということを考えた場合には、こっちの方でたまたま少しぐらい赤字が出ても、それはやはり、将来の原料確保とか発展ということを考えた場合には、これは資本投下の意味で精製糖の方であげた利潤をここである程度移して、それで告示価格以外の原料価格の追加払いも可能でないか、それを長官は考えているわけでしょう。だから、精製糖企業を中心にしておる会社の場合には、国に納める税金がそれによって少し減るということにもなるわけですね。こっちの方へ五千万円移せば、こっちが赤字が出ておってなお原料価格をこれだけ引き上げたからということで、国に納める税金がその分だけ減るのであって、結局それは会社自体としてみればあまり痛痒を感じないという判断も長官は持っておるでしょう。そうだとすればわれわれは了承できるわけです。  実は、府県ビート調査に行った場合も、岡山大分工場の経営者の人たちも、今ここで十六億、十七億の工場を建てるということは、企業者から見ると毎年二億五千万も赤字が出ることになるが、しかし、過去数カ年間精製糖の企業によってやはり国からむ相当恩恵を受けさせてもらっておる、だから良心的に砂糖企業者が将来を考える場合は、単に輸入原糖だけを溶糖していわゆるクリーニング事業でもうけるだけということではなくて、やはり国内農業生産と直接関連してわれわれもまじめな良心的な企業者として今後努力していきたい、そういう熱意と将来に希望を持って今府県ビート工場建設をやっておる、そういう話もたまたま調査の過程であったわけです。だから、そういう点も長官として十分考えて、この道で行くのだということであれば、われわれもあなたのやり方というものについて期待を持って三十六年の原料価格処理については注目していきたいというふうに実は考えておるわけです。
  22. 安田善一郎

    ○安田説明員 ぜひそのような気持で私も努力いたしますので、応援をお願いしたいと思います。ただ、直接統制をする場合などと違いまして、やはり実現するものと打ち出すものとが若干差がある場合もあるかもしれません。より農家に多く行くということも私は頭の中にありますが、そこのところは少し弾力性を持って考えていただきたい。  もう一つは、超過利潤を発生しがちな、またしておった——今糖値は下がっております。糖価の市価が国の甘味資源対策できめておるキロ百二十二円という糖価水準より下がっておると思いますが、しかし、全体の経営収支を見ますと、もうけの方の多い砂糖会社でございます。それがてん菜糖工場を営んでおるので、そこで出させたらという点でございますが、私は、芳賀先生の御意見と同様であるかどうかについては、イエスともノーとも折衝中は言わない。もっと理由はたくさんあるということでやりたいと思います。
  23. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に尋ねたい点は、北海道工場新設について、七月の下旬に、河野さんが大臣就任早々、三十七年度から新たに二工場操業という、そういう認可方針をきめられたことは、これは言うまでもないことなんです。ところが、十一月の中旬になって、さらに昭和三十九年度に新たに四工場の操業を認める、これは仮決定だとかなんとかいう説が流れておる。この真偽のほどはわからぬが、とにかく三十九年度にさらに四工場建設を行なうというようなことが、河野農林大臣北海道知事の町村君との間において、私的か公的かわからないのですが、とにかく二人が話してそういう相談をまとめたということが、これは伝わっておるだけなんですからして、これを公に取り上ぐべきものかどうかもまだ判じかねるわけですけれども、この機会に、担当の長官として、この四工場問題というのは実はこうなんだという点について率直に説明しておいてもらいたい。
  24. 安田善一郎

    ○安田説明員 大臣がこれはお答えになるといいことだと思うのです。しかし、担当長官として知らないと言うのもまたいけない。事実知っておるんだから。大臣が了承されました前に、北海道知事が私のところに来て、自分の意見も申し述べて、検討をいただきたいし、同意を受けたいということでした。これは承認という制度になっておりますが、他方、目下のところは、農地転用許可を根拠にしておるところもかなりある。自由企業でもあるということでございます。そこで、そういう前提のもとに、食糧庁自務当局は具体的細目をなお検討しておりまして、御指摘の大臣了承の時期についても、その限りにおいての自務当局の意見を申し述べて、それに基づいてやるということで了承されておる。じゃ何を了承したか。これは、北海道知事が、ビート工場新設許可は、——さきに二工場はほんとうに許可しているが、それに次いで、将来の操業を考えた四工場、さらにはもう一工場考慮することがある、考慮する、——これはちょっとにおいが違いますが、その四または五工場、これについて了承したのは、北海道知事の意見を、この問題を処理する方針として了承できる。ただし、さらに細目検討をする。あるいは集荷地域だとか、今後の作付伸び反収伸びが地区によってだいぶ違うようでございます。千五百トンもあれば千トンもある。千トンというようなことが固定的なものかどうか。先生が暖地ビート府県ビートで御指摘のように、今六百トンだけれども、千二百トンに増していくということだということですが、こういうものを段階的にしたらいいだろうということで、千トン工場を選んで、操業日数は約百十日を予定しておる。もう一つ重要なことは、売り出される、あるいはその基礎であるコスト、原価ということだと思う。工場の原値、これらについては、将来の見込みを考えて、先ほど申しましたように、私ども事務当局は、四、五年の間に自立をするように、その間援助する。農家も援助すれば工場も援助する。砂糖製品の政府買い上げなんかまさに援助と思っておるのです。そういう上におきまして、この問題は、北海道ではもっとてん菜ができる、三十四年の総合自給対策とそれに基づく計画でも、あらましのことであってもそれをねらっておる。自給化増産をねらっておる。そこで、どこが穏当かという手探りと、工場許可の方針を、個別の許可の最終的決定でありませんから、方針を出すことは、その付近の農家てん菜増産に、またあわせててん菜増産増産に企業自身も努力をするし、農家に対して企業が努力をしてもらう、工場農家の方へ努力してもらう、農業生産努力してもらう、こういうことにあまりやり過ぎては、監督して弊害を除去しなくてはいけないから、そういう方面においては早目に詐可をした方がいいだろう。しかし、これは、てん菜糖は計画通りふえないかもしれない。網走と十勝は計画以上に出ておりますが、ほかのところは計画以下、八七%くらいとも見える。従って、最終決定の行政措置である決定を行なった、たとえば農地転用許可を行なった来年度どうなるかわかりませんが、御指導いただきまして、もっと総合的なてん菜及びてん菜糖振興法案のような制度を設けたいと思っておりますけれども、そういう法案ができるまでのことといたしまして行政措置でやることで、本来は自由企業でありますから、そこで、効果があるように、過当競争にならないように、——過当競争は生産費を不当に上げますから。そういう性質のものでございます。従いまして、今後も、それが最終決定される場合に、いいか悪いかということは再検討するかもしれません。また、はっきりしないものは許可いたしません。
  25. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは長官の言った通りのことをわれわれとして委員会で聞いたということでおくことにしますが、われわれとしても、何も工場がふえるのはいかないとかなんということを言っているのではなくて、たとえば、八カ年計面がその通り順調に伸びて、原料が非常に多量に確保されれば、そのために必然的に工場の増設ということが必要になってくるわけだが、ことし一年だけの例をとっても、前年度より作付面積は約八百ヘクタール減少しておるわけですね。八カ年計画に比べるとこれは四千五百ヘクタール今年度評面との間にそごができているわけです。ですから、明年度以降施策のよろしきを得なければ、来年度はさらに一万ヘクタール以上生産計画と現実との食い違いが出るんじゃないかということも今から危惧されるわけです。そういう事情承知しながら、三十九年度に一ぺんに四工場なんというばかげたことを、一国の農林大臣北海道の行政を担当しておる知事なる者が二人で私的に話し合いをして、農林省の事務当局も知らぬ間にそういうことがきまったがごときことを外部に流すということは、これは不謹慎もきわまりないことだと思う。ここでそういうことをわれわれが指摘しても、大臣がいないんだからきょうはその機会でないが、今長官が言われた通り、これは政治的にだけ扱う問題でないのです。そういうふうな扱いをすると、何か会社と権力者が利権か何かで問題を処理しているというような誤解も受ける。これが誤解の程度であればいいが、そういうことをやっておるということになれば、これは許せぬことになるわけで、その点はやはり行政官の立場で良心を貫いて長期的に問題を正しく処理するということでぜひこれは進めてもらいたい。そういうことをわれわれはあなたに期待しておるわけです。
  26. 安田善一郎

    ○安田説明員 新聞に出ましたのは、農林大臣を含めまして農林省から一つも出しておりません。近の知事が何か談話を出されたか、全部の新聞に出ておりませんので、その点はちょっと違うと思います。しかし、世間の誤解を招くというようなこととか、行政庁はしっかりやれ、これは全く同じ意見でございます。御同情を賜わりましたが、決して悪くない公務員の行政庁のようにやりますから、御了承願います。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次に、育成ブドウ糖の問題について、これも岡山の林原産業あるいは長崎県の長崎農産等の施設とか操業内容をわれわれは調査してきたのでありますが、ここで指摘したい点は、政府としても方針をきめまして、育成方針を定めて、たとえば政府の手持ちのカンショ澱粉の安売りあるいは輸入糖の割当を行なって、そして急速にこれを企業化するために努力されてきたわけですが、われわれが説明だけを聞くと、これは甘味資源十カ年計面の速度よりも相当テンポを上げておるように見えるが、事実の問題として、一体、政府は、安売りをしたり、それからリンク制によって相当の資金的な財政的な援助をしておるのですが、これが数量的に期待したように製品化されて確実に消流されておるかどうかという内要については、どの程度正確な内容を把握しておられるのか、ぜひこれを明らかにしておいてもらいたいと思うんです。
  28. 安田善一郎

    ○安田説明員 ちょっと私の勉強の足りないせいですか御質問の趣旨がよくわかりませんが……。一応それじゃ中西君が直接お答えする前に申し上げますが、甘味資源対策のこまかい制度的なもの、助成施策、さらに数量計画、これは増産計画の長期的なものということになるわけですが、しかも、それは、最終目標だけをあげないで、ことしから来年へ、来年から再来年へという最近時の将来の年次別目標ということでありますが、これらにつきましては、来年度に間に合いますように立て直しするつもりでございます。これは先ほど申し上げた通りでございます。大体の消費量があのブドウ粒を含めた甘味資源対策の最終年次のものともう一緒になっておるということは、計画自体用をなしませんので、あわせまして、施策も、初めてであったものですから、今日まではいろんな手を打ってとにかくやろうという気持はわかりますが、体系的で打つ手が効果を非常に現わすということに私多少疑問を持っているところもございます。運用よろしきを得なければ、また関係業界のまじめな協力がなければ弊害を生ずる場合もあるかもしれぬと思うのであります。それは、たとえば粗糖輸入の切符を渡して砂糖会社へ持っていきまして金をもらう。幾らの金をもらうかわからないんです。総超過利潤十八億、税その他を引かなければ三十六億というやつも、あれは全国べースのわけでございます。キロ当たり十二円の上期もあれば、八円の下期もある。翌年の三十五年は二十円くらい。しかし個々の企業と企業がそれは結びつくリンク制でございますから、そう行ってない場合があり得るのです。また、話し合いで変更でき得るものだと思う。根拠は要領が通達で出してありますけれども、幾らとは出ておらない。そういうことなどを、いい制度だけれども、具体的実施にあたっては業界のまじめな協力がない場合は弊害を生ずる場合もあるというので、一応本年度上期でそれは打ち切ろうと思いまして打ち切っておりますけれども、本来の目的である育成、助成ということは、もっとそれを必要とするということも考えられますので、ここのところは、永久に長く続けるということでございませんで、自立させるまでの道程におきまする一つの方法で、他の方法もありますが、そこのところはもう少し余裕を持ってもいいのじゃないかと思います。しかし、いつまでもやることではないと思います。また、ブドウ糖は、生産面で申しますと、製法その他から御承知のように非常に進歩がはなはだしい。最近は光線を当てるだけで澱粉から砂糖になるものの研究すらあるようでございます。その変化に応じて、固定的な制度を何としても役所が作るときはやりますので、これを、実情に即しまして、あまりごちゃごちゃした制度でなしに、太い数本の効果あって間違いがない制度を作りたい。従来あるものの中から足りないところは新たにつけ加える。これも、幾らおそくても三月まで、ほんとうの私どもの希望的目標から言いますと年内にと、こういうつもりでおります。  そのほかでもっと御質問になったようでございますが、今申しましたことが御質問のお答えになりますれば答えとして御了承願いたいと思います。どうも御質問は違っておったようでございまして、趣旨がよくわかりませんでした。
  29. 芳賀貢

    ○芳賀委員 中西さんからもう少し詳しく……。
  30. 中西一郎

    ○中西説明員 現在のところ、ちょうど澱粉、なま粉の出回り時期がずっと続いたりいたしておりまして、育成用の澱粉の安売りをストップしておった段階でございます。また、長官からお話がありましたように、粗糖のリンク制度も上期で一応ストップいたしております。今後の問題としまして、先生の御指摘になりましたその根っこである精製ブドウ糖なり結晶ブドウ糖なりの生産の実態を確実に把握しまして、それに対して政府の安売りなりリンクをやっていくということで従来の方法をなお検討いたしたいと思っております。従来はどうしておるかといいますと、従来の方法は、各工場に穀物検定協会の方から検査に出向きまして、その検査の確認を組合を通じてわれわれの方にいただいて、それをもとにして、その数字に応じて安売りなりリンクをやっておった、こういうのが実態でございます。
  31. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、結晶ブドウ糖の製品化されたものを農林規格か何かによって穀物検定協会が検査をする、その検査数量に基づいてその製品の数量的確認を政府が行なって、それに原料政府手持ちの安売りを行なうとか、それからいわゆる輸入粒のリンクをやるとか、そういうことで今まではやってきているわけですか。
  32. 中西一郎

    ○中西説明員 その通りでございます。
  33. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで、なお、長官も言われたことだが、リンク制によるリベートといいますか、それは、精製ブドウ糖会社の各社別におおよそどのくらいそれが配分されておるかということは、農林省としてわかるわけですか。
  34. 安田善一郎

    ○安田説明員 それは、実績をとりまして、実に繁雑なものでございますけれども、取引ごとの検定協会の書類をつけて切符を渡しまして、輸入判当券にプレミアムがつく範囲で分けるという制度ではないかと、私は前にきめてあることを弾解しておりますが、キロ八円もあれば十二円もあります。さっき申しましたように、二十円もあれば五円もあればというのを、食品課長の方で、計算が大へんなんですけれども、集計をいたしておるわけであります。
  35. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、混入用ということでは全くなくて、輸入制当券のリベートを取って、それで育成ブドウ糖の経営強化をやる、それが最初からの目的だったのですか。われわれとしては、精製ブドウ糖とこの精糖の混入をすることは過渡的には消流対策にもなるだろう、そういう説明をかつて聞いたこともあるのですが、混入用の割当というのは全然していないわけですね。
  36. 安田善一郎

    ○安田説明員 お答えいたします。  大カン練乳の方に政府が買っててん菜糖を渡す、こんなようなふうに端的に政府が介入することでございません。それから、政府は介入しないで強制的に必ず混入せよということではありません。  もう一つは、輸入券のプレミアムだと理解をいたしますといいましたけれども、実際そう私は理解しておりますが、しかし、砂糖会社の利潤に食い込んでも出せばそれでもいいというような通達要領、制度です。だから、ここらは、計画を立て直す場合、制度をもっと総合的に強化する場合にはきちっとしたものにいたしたいと思っております。
  37. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大体わかりましたが、従来も、原糖の輸入割当を受ければ、一万トンについて二億ないし三億の利潤があるということは、これはもう一つの既成事実のように国民も承知しているわけですが、そういうことだけをいつまでも認めることはいかぬが、そういうところにもやはり、今回の金額の問題は別としても十八億超過利潤吸い上げの根拠もあると思いますが、聞くところによりますと、今後はリンク制はやめるというわけですね。そのかわり超過利潤の吸収した分から育成用に国が助成をするというふうにもわれわれ聞いておるのですが、その関係はどういう方針ですか。
  38. 安田善一郎

    ○安田説明員 行政庁の政策が国会の御審議、指導、監督を受けながら農林大臣が指示して行なわれるわけですが、これはやはり変えるべき点ははっきりすれば変えていく。そうでない場合は行政のつながりがなくてはいけない。従いまして、昭和三十四年と三十五年にブドウ糖を含めまして国内糖の自給生産をやるときに、コスト、価格から見た場合水準が高い、砂糖的なもの、甘味資源的なものの製品のコストが高い。将来はやがて高くなくしていかなくてはいけない。現在は高くしておきませんと自給産業が起こらない。そこで、糖価水準を国際価格並みより高くしている理由がある。それから基づきましてものを考えますので、さっき申しましたように、企業別に四、五年、これは五年といっても決定されたあとはいいと思います。最初の三年間を限度としたようなところで施策を集中して、四年目ぐらいで少し赤字が出るとか少し黒字が出る、五年日は企業として安定する、一般物価とか一般財政政策の影響を受けてのことはこれは別のことでございますが、そういうふうにしていけばいいと思っておるのです。いわば理想を持って目標を立てた。生産向上国内産業消費者に向かいましても生産者に向かいましても合うように。もう一つは、行政庁の施策は、変える理由があって明確に変えること、互いにつながりがあるように。従いまして、輸入粗糖から精製糖を国内で行ないまして、言っておる普通の砂糖でございますが、国内甘味資源育成のために高くて利潤が特別に発生しておるという事態が今後も予想されるわけです。それについては、何億かは別としまして、これはそういう政策のために出てくる超過差益金だと思います。そういうものは国か国にかわるべき公的機関に集めまして、公共事業とか産業育成とかいうものに使う。なるべく関係深いものに使うのがよい。さっき芳賀先生が御指摘になりましたそういうことをやめる気はございません。
  39. 芳賀貢

    ○芳賀委員 リベートの出るようなそういう割当制はやめるというのですから、これはわれわれも賛成ですが、ただ、問題は、原料の安売りとか、そういう特別の資金的な援助とか、精製ブドウ糖は御承知通り消費税の課税対象にはなっていないわけですが、そういう育成措置が続く間は量的にやっているとしても、一体いつ自立できるかということは非常に大事な点だと思うのです。たとえば三年後とか五年後にはこれが完全な企業として自立して安定してやっていけるならいけるという見通しがつかないと、これに関連したカンショとかバレイショの生産とか、あるいは澱粉の消流とか、そういうものにも重大な影響を及ぼすわけですからして、やはり、ちょっとインチキに見えるようなそういう場当り的な援助政策はやめて、長期的な筋の通った育成政集をこの際明確にしていくべきではないか。私たち調査の過程でそう考えております。たとえば、林原産業にしても、日産百五十トンくらいの設備ができておるわけです。二十五日操業しても大体月三千五百トンぐらいは十分生産があがるわけです。一年間に四万トンぐらいの精製ブドウ糖生産が一工場でできると、十カ年計画十五万トンという期待は三万トンないし四万トンの工場が四つないし五つあればそれで十五万トン達成ということにもなるわけであって、その分野に対する期待というものもお互い強く持っておるわけですが、長期的に安定した甘味資源国内自給の大きな期待をされた企業として順調に伸びるように、この際明らかな施策を進める必要があるのではないか。特に、これにあわせて、最近は、イモを原料に乾燥した澱粉にしてそれから精製ブドウ糖にするというような製造工程よりも、これをもっと簡素に、たとえばビート原料から砂糖が出ると同じように、カンショとかバレイショを原料にして最終の工程では砂糖が出てくるというようなことも、現在では国際的に見てもそういう製造が可能だという時期に来ておるわけです。だから、てん菜糖の問題も大事ですが、やはり、精製ブドウ糖の問題についても、そういう一貫した製造工程によって、コストの低い砂糖というものがイモを原料とした分野においても量的に企業化されて生産されるようにするためには、一番先行すべきものは試験研究だと思うのです。こういう点に今まで企業は非常に消極的だったですから、今後もこの精製糖の利益の吸収を考える場合には、やはりそういう試験研究の部面にも吸収した金を有効に活用するようなこともあわせて方針として立てる必要があるというふうにわれわれは考えておるのですが、それはどうでしょう。
  40. 安田善一郎

    ○安田説明員 食糧庁といたしましては全くその通りに考えております。これを、年内でも、おそくとも来年度に間に合うように、来年の年初におきましてはっきり確定してまた御批判を受けたいと思います。たとえば、その中で考えておることを二、三例を申し上げますと御了解願えると思いますが、ブドウ糖育成する場合に、政府が買いました澱粉を特別価格で売るわけでございますが、これは成り立つまでいつまでも特別価格で売るというのもおかしいと思うのです。精製ブドウ糖の中には、普通の砂糖で言えば含みつ糖とみつを取った分みつ糖とがありますので、差もあります。先ほど強制混入のお話がありましたが、普通の砂糖及びてん菜糖と全く同一のものではない違う用途がある。これは消費増進その他をやらなければならない。ブドウ粗の方が適したものもあります。微粉ですから、医薬とか、ジュースとか、チューインガムですか、ああいうものは、普通の砂糖や含みつ糖やてん菜糖よりすぐれておるはずであります。ところが、代替できる部分もあるわけでございます。それを分けながら目標を出していくのも一つの手だと思います。そして、てん菜糖は区別したいのですが、技術進歩の度合いが非常に超スピードで行なわれるようでございますので、それでそう思いますが、てん菜で私が四、五年で自立と言いましたのは、一年は自立に近い状態、その前三年は強い太い線で簡素に効果があるように育成政策、——監督も加わりますが、それをとるとなりますと、ブドウ糖も似たようにやるのがいいのじゃないかと思っておるわけであります。あまり業者に差がないようにということも考えますが、ただ、行政の実想を申し上げますと、てん菜よりまだ実態をよく把握いたしておらない部分があります。これは最近のものでありまして、育成の緒についたところでありまして、技術や製法が御指摘のようになま粉からいきなりブドウ糖ができるという方法もあるわけでございまして、普通の砂糖てん菜糖ブドウ糖、こういうように順序がある程度に、研究、実態把握、将来の展望、消費の見込みの見積もり、こういう点に弱いところがありますから、可及的にやって経験を経るごとに改定をしていったらどうだろう、こういうふうに考えておる次第であります。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 てん菜問題はこの程度にしまして、この機会にあわせてお尋ねしておきたいのは、澱粉の価格維持の問題なんです。  すでに三十六年産のカンショ澱粉並びにバレイショ澱粉は政府の買い上げ価格が公表されたわけですけれども、結果的には、カンショ澱粉は若干買い上げ価格を上げたわけですけれども、バレイショ澱粉の場合には、最初農林省は幾分値上げするようなことを委員会でも言うておったが、発表したのを見ると前年据え置きということになっておるわけですが、最近の取引状態を見ると、特にバレイショ澱粉の場合は支持価格を非常に下回っておるわけです。政府支持価格は四十五キロ単位で精粉が二千七十円ということになっておって、実際取引は二十五キロの袋入りで取引されておって、これは千百五十円がいわゆる支持価格ということになっておりますが、この価格が百円以上下回ておるわけです。年末の事情も一部はあるとしても、食糧庁が調査されてもことしの製品は出回り当初からずっと政府支持価格を下回っておるわけです。ですから、このままの推移でいくと価格維持はなかなか困難ではないかと思うわけですが、これに対しては、当然、農産物価格安定法を根拠として生産行団体の共販による自主調整計画というものを立てて、そして政府の承認を受けて最終的には買い上げ発動ということにもなるわけですが、今の状態を見ると、今年の場合には特に政府として買い上げ発動の方針早期に決定され善処するということでなければ、価格維持はなかなか困難ではないかと思われるわけですが、これに対して、最近の取引状態の実情等についても調査が進んでおると思いますが、現在どういうような判断でおられるか、その点を一つ明らかにしていただきたいと思います。
  42. 安田善一郎

    ○安田説明員 問題は二点だと思います。  最初の一点は補足的だったと思いますが、イモ類とそれから出る澱粉で値上げをしそうだったが、カンショは若干上がり、バレイショ関係は据え置きのようじゃないかということですが、ざっと見ればそうであります。それでも、バレイショも、上がるものがある、努力していいものを出すむのは上げるという姓前でありまして、そういうふうに行ないました。いきなり理想的にやるのは、過去と違いまして、初年度でございますから、澱粉含有率を大体上と下の方に、多い方、少ない方に設けるのはよくないじゃないかという意見がありましたことが一つと、てん菜の増産がもっと期待されてもいいという事情があるのに、労働報酬を生産調査に即して見たのですが、バレイショの方が北海道では相当いいような状況でございましたから、これはイモ類を下げるわけにはいかない。しかし、てん菜は四月に告示がございましたから、この際は、据え置き的なもので、いい澱粉含有率のものは上がるのがいい、そういう考えできめましたもので、そのような御意見が出たと思います。来年は、これを、農産物安定法の精神にかんがみまして、農業基本法はもちろんですが、もっと大胆に是正すべきものと思うのです。てん菜価格で申しました通りであります。  第二点は、澱粉関係の流通消費あるいは生産消費の実態はどうかということでございますが、カンショ澱粉は、その用途のせいであるようでございますが、非常に売れ行きがよくて、政府の方へ売りが出て参りません。それから、過去非常にストックがあったという政府管澱粉も、売りさばいて、手持ちがなくなるという見通しがついている状況でありまして、むしろこれは支持価格制という目的を達しておると考えておる。これに反しまして、バレイショ澱粉は、去年から買いましたものがほとんどそのまま政府在庫となっております。それをブドウ糖育成用に特別価格で安くして払い下げ、有効に使っていくということを考えております。しかし、何しろ生産が、あるべき普通の状態の流通消費、それよりは過剰気味でございます。これをむやみと下げて売る気はございません。ございませんが、穏当な調整策をいつかは講ずるべきものだと思います。澱粉は数カ年腐りませんから、政府に在庁があったってちっともかまわないと思っています。なお別の用途で市場開拓のようなふうにして、ちょうど乳製品の学校給食のようにして売る方がいい。そういうことが出て参りますれば、それも研究したいと思う。従いまして、バレイショ及びバレイショ澱粉とカンショ及びカンショ澱粉の差も以上のように考えますと同時に、バレイショ澱粉の政府在庫も、申し上げましたような認識のもとに行政を行なって参りたい。  それから、次年度には、そのおのおのの価格はどうだということでございますが、申し上げた通りでございます。そうすれば、ちょうど御質問の、バレイショ澱粉が支持価格を下回っておる、これはどうだということでございますが、在庫は多いのですけれども、カンショ澱粉の方の在庫はないぐらいの目的を達して、予定しました予算が余っておるわけでございます。ただ、補正予算を三十六年度において行なっていただきました場合に若干修正をいたしました。荷が出てきませんから、カンショの方を削って赤字補てんの方に回した。一般会計からの赤字補てん用の繰り入れをそれだけ現実に行なわないで、食管会計の中でやったということでございますが、当初予算よりも政府貰い上げ澱粉の量がいわば減っておるということでございます。しかし、余裕がないわけではございません。そこで、予算範囲内で大蔵省とよく話をいたしまして、もっと買い上ぐべしという、そういうことがあれば善処するつもりでおります。食糧庁当局にはこの意見が来ておるかもしれませんが、私、直接聞いたり、また部課長からまだ聞いておりませんので、よく調べまして、先生の御意見に沿いますように、必要あらば買い上げる、そういうふうでやっていきたいと思います。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、順序としては、先ほど言った通り、まず生産者団体が調整保管計画を立てて、これを農林大臣が認定して、それで、その調整保管の自主的努力を行なってもなおかつ価格維持ができない場合に政府の買い上げ発動ということになるので、そういう段階を経なければならぬが、われわれの判断するところによると、やはり早期に買い上げ発動の態度を政府がきめて、そうして、年内買い上げができないとしても、少なくとも三十六年度内買い上げというものを迅速にやらないと、せっかく基準価格だけ発表しても、その支持ができないということになるといけないので、これを速急に進める必要があるのではないか。過去の経緯から言うと、バレイショ澱粉の買い上げは、年度を越えて、大体早くて五月ないし六月に行なわれておって、本年度も六月に三十五年度産を約二万四千トン買い上げて、それで大体支持したという実例もあるのですが、今の効果ある措置としては早期買い上げ以外しか方法がないと思うのです。だから、この点については、たとえばカンショ澱粉が買い上げに至らなくて済んだ予算の残り分とか、あるいはバレイショ澱粉等についてもある程度予算の残り分はあるでしょうし、また食管の農産物安定勘定の予備金等も活用すれば、ある程度目的を達成するに足る買い上げ財源というものはあるのじゃないかというようにわれわれも判断しておる。この点の方針はできるだけ年内にきめて、発動については年があけてからということになると思いますが、早期にその実情を把握して方針の決定をすべきじゃないか。  それから、もう一点は、カンショ澱粉の手持ちは育成ブドウ糖用に毎年放出しておるので、ほとんど手持ちがなくなるというような見通しがついておるが、バレイショ澱粉の場合には毎年の買い上げ分が滞貨されておるような状態ですね。すでに十万トンをこえておるのですが、ただ腐らないから持ってもいいということだけでは済まないと思うのですく大体一年間の国が負担すべき金利あるいは倉敷を計算すると、四十五キロ一袋について百四十円くらいの国の負担分がかかっておる、ですから、腐らぬ腐らぬといって五年も六年も持っておるということになると、金利、保管料だけでも一袋について千円もかかるということになるので、これも有効な国費の使用ではないと思うのです。だから、今長官が言われた通り、すでに委員会においても、たとえばバレイショの澱粉についても、政府の手持ち分をあるいは育成ブドウ糖用にするとか、あるいは特別の用途というものを開拓して活用すべきである、そのためにはカンショ澱粉と同じようにある程度の安売り措置もこれはいたすべきである、こういうことで委員会の決議として政府にその実行を要求しておるようなことにもなっておるので、そういう手持ちバ澱の処理ということについても、早期方針を明らかにすれば、それが市況にも好影響を与えるだろうということが予測されるので、この点について政府は積極的にぜひ善処すべきであるというふうに実はわれわれとしては考えております。
  44. 安田善一郎

    ○安田説明員 芳賀先生お詳しいので、実は、新米の私、ブドウ糖澱粉の勉強はまだちょっと足りませんですが、至急勉強いたします。  第一には、政府買い入れはやぶさかでないと申しましたが、その通りであります。大蔵省と相談して予算範囲でと申しましたが、カンショ、バレイショ及び澱粉は大蔵省と十分協議してきめる問題でありますから、農安法という法律がある以上、申し出があったら財政関係の承認を求めて買い上げるということにします。これは大蔵省に異論があるはずがない、あれば間違った異論である。だから、先生の百四十円かどうかちょっとわかりませんが、金利、倉敷をにらみ合わせて早期措置をするということで、すみやかに確定処理します。ただ、関係農業団体とはよく相談したいと思います。それがどうも実は私に届いておりませんので、至急そういうこともよく打ち合わせまして、結論は今先生がおっしゃいますようなふうのことを方針を明示したいと思います。きょう速記がついておりますところで先生の指導的な質疑があって私が答えれば、せん明したようなものだと思いますけれども、それをさらにもっと具体的に詰めまして手を打とうと思います。
  45. 芳賀貢

    ○芳賀委員 カンショ澱粉については、先ほど、カンショ澱粉の出回り期間中は、政府育成ブドウ糖用の安売り措置は、放出はその時期は注意するということでしたが、これはまことに賢明な措置であるからして、ぜひそういうことにしてもらいたいと思う。私たちが九州等を調査した時期がちょうど十一月中旬で、原料カンショの出回り時期でありましたが、取引状想は幸いにして一貫匁二十六円ないし二十七円程度で取引が行なわれておるということを聞きました。いつもでありますと十一月は非常に支持価格より安値で取引されておるのですが、そういうことであったことを当委員会でも報告にかえて発言しておきたいと思います。そういうふうに原料取引は行なわれていて、今度はカンショ澱粉の価格政府の安売りと競合して市況が悪くなるようなことは避ける必要があると考えてきたわけですが、政府農林省の方でもその時期は注意するということで、市況の好転を考えておるとすれば、ぜひそれで進んでいってもらいたいと思うわけであります。  最後にもう一点尋ねておきたい点は、大豆の問題ですが、これを二点に分けて、第一点は、昭和三十五年の国内席大豆についての政府の交付金要領がまだ最終的には決定が行なわれていない。これは臨時国会の当初にあと一週間くらいできまりますというような答弁もあったのですが、その後半年はたたぬが何カ月もたっておる今日においてまだ決定が行なわれていない。もちろん事務的には農林省と大蔵省当局の調整等の作業で延びておると思いますが、少なくとも年内に三十五年算の大豆については清算ができるようにするのが至当でないかと思うわけです。それで、この点については今どういうような作業状態になっておるのか、正式決定というものはいつ行なわれて、そうして政府のこれに見合う交付金というものが流されるのか、この点を三の機会に明らかにしてもらいたい。  第二点は、前国会において修正で成立しました大豆なたねの交付金法についても国会において大幅修正をしましたので、法律に伴う政令並びに省令等についても、修正成立された法案に基づいて策定するということになっているので、当時は間に合わなかったわけですが、現在においては成立した法律に伴う政令並びに省令がすでに整っておると思うわけですが、それはどういうことになっておりますか。  この二点についてお尋ねします。
  46. 安田善一郎

    ○安田説明員 三十五年産大豆についての貿易自由化に伴う国内席保護のためにする交付金の点でございますが、基準価格は三千二百円、これはもう決定いたしております。従いまして、私が申し上げるのはどうかと思いますが、農業団体と打ち合わせてもう実行されておると思っておったのです。ところが、そうでなしに、農業団体には通知をいたし、打ち合わせをいたしまして、向こうも了解しておる。そこで、決定されたものも実行される状態にあるが、まだ実行していないということが現実のようでございます。なぜ実行できないかは、農家手取りであるところの補償的価格、すなわち、大豆なたね法による交付金額とその単価、こういうようなものが流通経費分を差し引かなければなりませんので、協議し研究し合っておりますけれども、まだ実はデータが農協から出てこないのです。それが出てくればすぐ施行すればよろしいのでございまして、たとえば決裁のはんこを押すというのは済んでしまっております。早く作業を急がせます。  第二点のは、大豆なたね法案が国会で修正になりまして、それに伴う政省令はどうかということでございますが、この八日の閣議にかけたいと思って努力しました。法制局、大蔵省と打ち合わせましたものが、実は私事身が少し異論がありましたので、この次の閣議か、あるいはその次の閣議、まあこの次と思っておりますが、間に合うように、もう一ぺん一部数点をやり直させておる。その点はどの点かといいますと、修正があった点であります。修正がない原案のものと、修正があった後の法律の施行のための政令及び省令一はどこがどう変わるということがはっきりしなければならないのであって、パリティ価格を見ます場合に、自由化の影響のない年を選んだ方がいいでしょう。そのほかに考える生産費その他の経済事情はどれを端的に取り上げるのがいいか、物価その他の経済事情というのは、漫然とそうぼうっとしておったんではいかぬ。ただぼうっとしておるだけで財政事情を加味するということは本意ではない。簡単な点でございますが、それらを修正するのと、価格自身実はまだきまっておりません。これは折衝を口頭で始めたところであります。と申しますのは、生産・需要には、生産費はもちろんでありますが、何を取り上げるか。不幸にして、統計調査部の数字は、市価の半分ではありませんが、非常に低いのであります。修正してみましても低いのであります。それは三千二百円につながらなくてはならぬ。その後の物価状況を反映しなければならぬ。そういうことを思っておるので、金額が合わないのであります。しかし、政省令の御質問でございますが、価格を決定する作業と一応精神は同じでも政省令を切り離して出す方法もございますから、その政省令は早く出せばそれだけ効果もありますから、一応切り離してこれは早くやろうと思います。両者を——両者というのは価格と政省令という意味ですが、それを通じまして、できれば年内に処理をしたい、こういう考えでございます。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 政省令の問題は結局基準価格の問題にもつながるわけですから、本来であれば法律審議とあわせて政令、省令案を同時に出して審議の対象にすべきですが、修正したというような関係があって時期がずれたわけですが、法律の精神と違ったようなものをでっち上げる場合もないわけでもないですから、あくまでも、法律のしかもその修正した精神をまげないような政令、省令というものは、これは当然良心的に作られると思うのですが、予測される点ですが、たとえば基準年次の問題等についても、当時委員会で議論した点は、自由化の影響を受けない最も近い年次ということで、昭和三十一年、二年、三年が妥当でないかというような論議もしたわけですから、これがまた大きく変わるということになると、価格決定にも狂いが来るようなことになると思うわけです。ですから、そういう基準年次のきめ方とか、あるいはまた基準価格政府がきめて公表する時期等についても、現在までの農安法によると、なたねについては六月末日まで、大豆については十月末日ということになっておるが、今度の交付金法の場合は、やはり国内における当該なたねとか大豆とかのそれぞれの出回り期の前に政府価格決定をして公表することが一番望ましいことに当然なるわけです。そういうことになると、内地町県の早場地帯等を考慮に入れた場合には、なたねについては農安法では六月末ということにはなっているが、やはりこの場合おそくても四月末日あたりまでにはなたねの基準価格の発表をやるべきではないか。あるいはまた、大豆等についても、出回の早い九州地帯等を考えた場合には、農安法では十月末日だが、交付金法によればやはり七月の末日あたりまでに発表する必要があるだろう、当然こういうことになるわけですねですから、これらの点はこの法律運用上から言っても非常に大事な点になるので、ぜひ政令、省令の決定等についても、こういう大事な点はわれわれ委員会の審議に当たった者の考え方とあまり大きな食い違いがないように処理していってもらいたいというふうに考えております。  なお、三十五年の点については、この交付要領はもう判を押すばかりになっているという意味なのですか、ちょっとわからなかったのですが。
  48. 安田善一郎

    ○安田説明員 三十五年は、さっき言いましたが、決裁は済んでしまったのです。ただし、食糧庁が農業団体から資料提出を待って、流通経費を出してもらって、それをなるほどいいな、あるいはちょっとふくらみ過ぎてひどいなということを事務当局の事務として決定をすれば、もう決裁は要らないというふうになっております。作業だけ残っているということでございます。  あとの、大豆なたね法案が国会修正になりましたときの趣旨をあまり大きく下がらないようにというお話でございますが、当然私はそう思っておりますし、あまり大きなところが下がらぬようにと思っております。年次について申しますと、三十一年を含めたその後の年についての三カ年、それから三十二年からの三カ年、三十五年を含めたその上の三カ年、それらのことは、法案修正のあった際や、修正のみならず、審議にあたって私どもの答弁した範囲内では、私は二様に答えているわけであります。三十一年からと、一年を省く場合と、二様に答えているようでございます。二様というのは変でございますが、答えました。研究問題があるように思ったからでございます。その他のことも同様なことでございまして、基準とする、再生産を確保することを旨とする、それとあわせて生産費というものを打ち出しておる、需給事情というものを抜いておる、こういうことも、端的に修正案に即して、修正だけの効果があったようにと言うとちょっと失礼でございますが、修正に即しておらなくちゃいけない。そこがそうでない点が若干残っておりますので、そこを抜いた以外はもうありませんので、閣議に間もなく出るのであります。  もう一つは、決定の時期のことでございますが、これもそれとほとんど下がらぬと思われる時期に立案されておりますが、あまり早くやりますと物価上昇期と下降期で農家保護の度合いが述うと思うのです。物価上昇期に早期に決定するということは価格決定時期の額の低い方をとることになると思うのです。パリティ指数価格がそうなりますから。バック・ペイという思想が米で出たことがありますが、そこで、早期の、法案全体の目的を達する時期というような建前でおるわけでございまして、なおそれについては研究いたしますが、四月、八月よりはおそい方がいいと私は思っております。早くきめれば物価上昇期でパリティ指数の低い方をとって、あとは物価は将来はわからないものです。想像はできるけれども、みんな関係各省集まって意見が違うことが出てくるので、それよりは、物価上昇期と踏んだら、そうでない方がいいじゃないか。しかし、下降期もありましょうし、横ばい期もありましょう。いろいろ問題はあると思いますが、もう一、二カ月先生の御意見よりおそいところがいいのじゃないかと思っておりますけれども、研究いたします。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それは、農民の利益も考えてのそういう時期の決定であれば、これは専門的に検討して有利な方法をとってもらえばいいが、たとえばてん菜糖価格に一例をとっても、八カ年も据え置きでずっと来て、もう四月にきまっておって、その後経済の激変がないから直すわけにいかぬということでいけば、そういう筆法でやるなら、いつきめても同じじゃないかということになるのだが、特に農家の利益のために時期を慎重に考えるということであれば、それは長官の措置に期待してもいいです。それで大体案が固まっておるとすれば、なるたけ早い機会に委員会に説明するとか、あるいは資料としてでもやむを得ぬですから、委員会が開かれてない場合にはみんなに配付されたい。その点委員長を通じて要求しておきます。
  50. 安田善一郎

    ○安田説明員 政省令に委任された事項を事実上御提出申し上げて、よりよきものにするということはやぶさかではございませんが、提出する気はございません。きまったあとの方がいいのではないかと思います。ビートは、私はきまったからどうだとせずに上げようと思っておるわけですから、七年間据え置きだったというのは認識が違ったのじゃないかと思います。私の考えはそうでございませんから、そのように努力したいと思います。
  51. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 藤田義光君。
  52. 藤田義光

    藤田委員 簡単にお聞きしたいと思います。  イタリアは大体十カ年計画を立てて一応の成果をおさめておるようですが、その成功した理由はどこにあるのですか。ちょっとお聞きしたい。
  53. 田村金一

    田村説明員 イタリアにおきまして、ビートを奨励するためにとっておる措置の一番重要だと思われましたのは、原料てん菜価格支持のやり方だと思います。これは増産をすればするほど農家の収入がふえるような仕組みの告示価格、公定価格を作っておるために、農民が喜んで作ったのが第一だと思います。そのほかに、工場生産につきましても、日本に比べるとやや合理化されておるのではないかというふうに考えられました。以上です。
  54. 藤田義光

    藤田委員 生産基盤の問題とか、あるいは品種の問題、そういうことはあまり影響はありませんか。
  55. 田村金一

    田村説明員 品種につきましても、イタリアには国立のてん菜試験場がございまして、これでいろいろ研究をして、いい品種を見つけ出しておるようでございます。  それから、生産基盤につきましては、ビート栽培するに適する土地が日本に比べると非常にたくさんあるような気がいたしました。
  56. 藤田義光

    藤田委員 そこで、長官、二回目の調査団を派遣された理由を端的にお話し願いたい。
  57. 安田善一郎

    ○安田説明員 お答え申し上げます。  第一には、調査結果を国の政策に入れることに権威がいる。前の調査団は国の政策を間近にしっかり立てる場合にはやや明瞭を欠くことがある。第二には、日本には、先ほど申しましたように、梅雨季でなくとも雨が非常に多い点に差がある。第三は、経済的な企業化参考になる調査が弱かった。その他にもありますが、以上でございます。
  58. 藤田義光

    藤田委員 これは御本人から確かめていないから正確でありませんが、河野農林大臣暖地ビートに対してやや消極的な態度であるというようなうわさを聞いておりましたところ、イタリアに二回も調査団をやって相当積極的な態度を示しておられるようですが、ただいま田村技官のお話にもありました通りビート振興に関しましては価格政策というものがきわめて重大であると思うのです。価格と金融対策を確立せずんばなかなか今後うまく運営できないと思うのですが、そういう価格金融問題等に関しまして、何か長官として将来構想があれば一つお示し願いたい。
  59. 安田善一郎

    ○安田説明員 芳賀先生の御質問に応じましてかなりお答えしたような気もいたしますが、重複するかもしれませんが、価格政策は、農業基本法の精神によりまして、農業基本問題調査会でも触れておりますように、農産物については、三種類くらいの、差が多少あるかもしれぬという扱いで、その内容を含めながら統一的な総合的な農産物の価格政策を講じませんと、選択的生産拡大とか、他のものに転作をして特定のものが成長部門として成長していく、転換を易からしめる、——価格生産上の効果でございますが、そういうことが少ないと思います。現状はそれがいささかばらばらに過ぎると思うのです。あわせまして、農安法物資等は、かりに土地の生産力を上げましても、反収が増加した、そうすると値段が安くなる算式が出ております。これは、よろしく、価格の形成の仕方をもう少しまとめながら、意味がよく現われるようにして、努力の効果あるいは技術の効果が農民の所得に返らないとだめじゃないか、反収がふえてそれだけ値が安くなるだけでは成長部門の方はいけないと思います。維持部門においてもやはり相当考えらるべきことで、農業基本法の所得格差の是正とか生活水準の格差の是正ということになると思います。はっきりとこれは衰退部門だというものは、自由にまかせるとか、価格程度の差をつけてもいいのではないかという気もするわけでございます。しかし、その価格をきめるとかきめぬとかには、政府ないしはこれに準ずるものかあるいは農業団体が調整保管事業を行なうこととして物を握る場合と、握らずにやる場合と、いろいろあろうかと思います。そうした場合は、追い払いとか何とか、やはり農業基本法に似たような外国の農業法というものの中にもあるようであります。あるいは平坦部農業から山岳農業に、賦課金制度をとって置きかえる、あるいは輸入品からの差益金を国内の生炭に向けるとか、方法はいろいろありましょうが、もう少し考えないといけないのではないか。米価は生産費・所得補償方式だが、ビート価格は七年間据え置きだ、パリティ価格だけだ、こういうのはパリティではありませんので、やはりむずかしいことでございますが、研究をして、早くいい制度に、法律がかりに分かれても思想は農業基本法の思想でいくということが必要だと思っておるのであります。価格について考えますと、その産業部門の供給と消費というものは非常に重要なことであります。中間経費の節減も必要であります。合理化施設も、消費の方に至りますと、生産消費にマッチしなければならない。見積もり方が、価格弾性値はどうだ、所得弾性値はどうだ、いろいろございます。それだけではいけないので、プラスより商次判断も加えないといけないものもありますので、この価格に照応して生産消費対策も要ると思いますが、そこをあまり複雑に理論的に考えると行政になりませんから、簡潔な、そういう精神を具体化して現行法規の欠陥を修正することが最も重要なことだと思っております。御質問にそのままお答えしておらないと思いますが、そこからほかのことは何でも出てくるように思うのであります。
  60. 藤田義光

    藤田委員 三十七年度のビート振興予算としてたしか五億円要求されておるようだが、この程度でどうもこうもしょうがないと思いますが、砂糖消費税とか、先ほど芳賀委員から質問のありました精糖会社の益金処分の問題に関して何か計画はないか、お伺いしたい。
  61. 安田善一郎

    ○安田説明員 ちょっと予算の要求をやり直して大きくしたと申しましたのは、五億弱は振興局と私の方と両方合算したものですが、これは、政府買い入れの経費とか買い入れたものを売り渡す際に生ずる赤字の補てんというものや農林漁業金融公庫によります融資額を含めない、いわば府県ビートの基本的一般行政といいますか、そういう部門でありまして、従って、それらを加えますと、食管会計の売り買いとか一般会計からの補てんとか財政投融資とか入れますと、それはなお強化して要求を出しておりますので、五億というのはそういう意味でございます。
  62. 藤田義光

    藤田委員 暖地ビートで心配しますのは、工場の設置方式、これが北海道みたいな方式でいきますと、やがて製品の集荷等で大混乱を来たすのではないか。現在大分岡山にできておる。青森県の山崎知事も一生懸命やっておるそうでありますが、やがて熊木にもどうしても作りたいという意向もありますので、暖地ビート工場設置方式は、寒地ビートとは違った構想でいくか、大体北海道方式でそのまま惰性でいくかどうか。
  63. 安田善一郎

    ○安田説明員 そこが実は河野農林大臣が最初迷っておられた一つでありまして、もう一つは、経済企業化試験調査の根拠がしっかりしてないということがありまして、熱意がないとかなんとかそういう要点を事務当局がつかれて指摘されたので、弱いという印象を与えたようでありますが、そうでございません。目下のところは、調査の結果を待ってそれをよく分析して立案するよりは、立案しておいて調査結果を待って——外国の調査ですが、国内調査もありますが、待って直せばよろしい、そういう総合立法といいますか、書いてみるとおそらく酪農振興法に似て、ぴしっと抑えるところは押える、財政投融資をつぎ込むところはつぎ込むというふうになるのじゃないか。そこで、ちょうどいい痛い御質問ですけれども、どういう規模、能力、条件かというと、芳賀先生のお話では、北海道と同じで今六百トンだがすぐ千二百トンになるのだということですが、それだけではいけないのじゃないかと思います。年内か通常国会中には明らかにしたいと思います。
  64. 藤田義光

    藤田委員 来年三月末で施行期日が切れるビート振興法、これは、四月以降は現在の法律の改正でいくか、あるいは全面的な新しい立法措置をとるか、長官の腹を伺いたいと思います。
  65. 安田善一郎

    ○安田説明員 私と河野農相と打ち合わせをいたしておりますところには、新しい府県を含めた法的体系、法制度を設けまして、北海道についてある今のてん菜関係法、これは第一条に寒地と書いてありますが、北海道に限らないと思いますが、範囲が限定されるわけです。しかし、数カ月前は、暖地ビートでよくわからぬところがあるから、もう一年研究して、その関係の法律を出して、次の通常国会には現行の期限延長だけを行なうということでございますが、最後にでき上がるものが、時期的な関係もありまして、どれかはいまだ断定できない点はお許し願いたいのですけれども、方向は現行法を吸収した全国的に適用するもの、こういうことを思っております。
  66. 藤田義光

    藤田委員 実は、熊本などにおきましては、大はだか麦の作付転換というような非常に大問題をかかえて、畜産振興の面から暖地ビート栽培ということが非常に真剣な問題になってきておるわけです。飼料対策としてこれが一番早いという結論が出かかっておりますので、寒地ビートに対してはだいぶ農林省も積極的でありましたが、暖地ビートに関しても一つ大いに大臣も激励をして促進をしていただきたい。自由民主党の委員会におきましても実はきょうから小委員会を開いていろいろ対策を練る予定でありましたが、自由民主党のみならず社会党その他の甘味対策の機構と連携をとりながら、第二次調査団が帰ってきたら、政府自体だけでなく、各方面の意見を聞いて、一つなるべく早急に暖地ビート対策をはっきりと打ち立ててもらいたい。これは要望です。  これをもって質問を終わります。
  67. 安田善一郎

    ○安田説明員 その通りにいたします。
  68. 丹羽兵助

    丹羽(兵)委員長代理 私から申し上げますが、先刻芳賀委員の質問中、大豆価格について中間的な説明やら、もしそれができねば資料の御提出が願いたい、委員長を通じて当局にその資料の提出方の要請がございました。九日から国会は開会されますので、適当な時期が委員会においてありますればお話しをいただく、万一そうした適当な時期が得られないときには政府当局において資料を提出されますよう、質問者より委員長を通じて要求がありましたので、私から当局に要求をしておきます。  本日はこれをもって散会いたします。   午後四時十七分散会