○安田説明員 三十四年でありましたが、
農林省が、
北海道を
中心に、他の
府県も若干考慮を払いまして、御
承知の甘味食品総合
対策をきめました際には、
府県ビートの方は、
生産計画にも出ておりますが、その計画自身も、また計画を達成する施策
措置におきましても、
北海道の
てん菜糖に匹敵するような心がまえと具体性と重さを持っておらなかったことは芳賀先生のおっしゃる
通りだと思います。既往は問わず今後はどうかということでございますが、ただいま申し上げました
甘味資源総合
対策の
生産計画、あわせてこれは需要の測定と見合わなくちゃいけませんのですが、精神は、日本の
消費量の半分ぐらいは
国内産の
寒地、
暖地の
ビート、
ブドウ糖等を入れまして自給しようという計画でございます。ところが、最終年次の十年後におきます
甘味資源の国民
消費量が、初年度に近いことしで実は
砂糖に換算して百五十万トンすでに実現をしておるのであります。
そこで、まず第一には、ただいま作業いたしておりますのは、ものの基本である
生産計画、需要見通し、これを立て直そうと思っております。
生産もふえれば
消費量ももっとふえるという見込みのものでございます。その中に
国内産はどう考えるかということになりまして、
国内産のうちに
府県てん菜糖はどう考えるかということは、旧計画では、芳賀先生のおっしゃいましたように、
寒地ビートは約三十万トン、しかもこれは
北海道ですが、
暖地ビートは、十万トンを十年計画の最終目標にいたしておるものをさらに強化いたしまして、重要な供給源、資源の開発、食糧自給の
方針で打ち出したいと思っております。そうしますると、これの確実性とか、きょうも午前中スライドでも拝見いたしましたし、
丹羽先生の御
報告もありましたが、まず
技術的な
試験研究、次いで
経済試験、
企業化試験、そういうものをすばやくいたしまして、確実にこれならいけるなということで、天然資源的にも
経済的にも、目標から見ましてほぼこれを固める、固めたら
政府施策を講ずる、こういう段取りになることを予想しておるのでありますが、ただいま
田村君が
報告されたように、
イタリア南部について
暖地ビートが成功して、その態様も、
砂糖全体の糖値水準が日本より一割安、
国内需給は
暖地ビートを
中心にかなり現在及び将来変わり、今では
生産過剰ぎみまで来たすほど発達しておるのが
イタリアであります。その他の
事情、気候風土、
農業経営等、ヨーロッパで日本と違いますけれども比較的よく似たところでございますので、
調査をしたわけでございますが、化、
経済化、
経済試験のところが
国内でも実は足らず、
調査団でも若干足りないところがございましたので、中馬先生を団長といたします次の
調査団をただいま派遣をいたしまして、もう間もなく帰ってくるところでございます。しかし、それを待ってから立てるのもどうかと思いますので、現
段階にわれわれが考え得ることをまずきめまして、
調査団の
報告をいただき、かつこれを
検討しまして、さらにりっぱなものにして、これは次年度、三十七年度以降には役立つように計画もし
方針も立てたいと思っておるのが現状でございます。
さらに、そのおおむねの考えは、
寒地、
暖地を通じて、それぞれの特徴及び
生産量、
農業関係の
作付体系、構造
改善、畜産
振興、そういうようなものを総合的に考えなければならぬ
てん菜でございます。九州はカンショ、
北海道はバレイショとの
関係が重要だと思いますが、計画を立てまする以外に施策の具体化が要りますので、
検討中であります。施策とは、法制
整備をする、行政
措置をする、
予算、財政投融資を確保すること、それに重点を置きまして、あとは
価格政策のよろしきを得るようにと思っておる。私は、大臣にはまだ詳細申し上げてありませんが、食糧庁内で——まだ発表すべきものではありませんけれども、作業中の内容を申し上げますれば、適地適産、
作付体系、
農業構造
改善に資するように適当な
ビート生産地を
寒地、
暖地を通じて法文で明定しますか、行政
措置でやりますか、そこらあたりは、
作付の
集団化、能率化、
生産性
向上をねらってきめる。そこに
中心工場があり、この
中心工場は
生産者団体ならば望ましい。足りないところは、あるいは
相当資金が要る事業でございますから、資本会社もけっこう。その民間の
工場は、
農業生産としての
てん菜糖増産と
生産性
向上に
努力をしてもらうことを考えなければいけない。
てん菜でも
一般砂糖でも
イタリアの水準までいけばいいじゃないか、日本より一割低い水準、こういうことでございます。しかも手取りは多いということであります。もう一つは、今の
てん菜生産振興臨時措置法の体系をここへ吸収させまして、指導
価格なり基準
価格についても、
てん菜そのものに重点を置きまして、含糖率を加味するような
価格政策をとる。これを
企業化するときは、先に投資が進みますから、日本の
てん菜では、開拓地でいきなり初めて
てん菜糖をたくさん作ればそれでうまくいくという見通しもこれは非常に少ないと思いますので、他の
作物とかわっていくということがかなりの部分を占めると思います。そこで、他
作物との
関係を見ながら、やはり、投資をした
てん菜糖工場の方は四年ないし五年くらいの間に自立経営をしていただく。その間に、
生産者の
ビート販売
価格も適正に置くようなことと同時に、
てん菜糖の
砂糖の
価格及び販売、
消費ということも考えなくちゃいけませんので、やはり、
政府買い入れ制度を二、三年くらいの
範囲内は、操業を始め出した以降制度として置いたらいいじゃないか、そうしますと、一言で申しますと、
寒地、
暖地を通じた適地適産のもとで国際競争に数年間で耐え得る
原料生産、
てん菜糖生産と
てん菜糖工場企業とを成り立たしめる。その間の
農家と
原料を買う
工場側との取引
関係をよくする。五年間全部
政府買い上げによるのがよいとは私は思っておりません。そこは
実情に即しまして適切に考えたい。その中の法令分は法令を作り、行政
措置は行政
措置、
予算、財政投融資を確保するところは確保して参る。こういう気持でおります。しかし、中馬先生を団長とされる
調査団のお帰りになった
報告と、日本流にこれを再分析し
研究いたしました結果が
田村君の
報告のようでない、適当でない分が多い、適当な分は少ないとなれば、今申しましたことをそれに応じて適当にする。拡大をうんとやることがよければ拡大をやる、ある
地域に限るならば
地域に限ることが必要、こういうことを思っておる。私どもの三十七年度食管会計
予算要求には、特に
暖地ビート買い上げの数量及びその
予算を特別に掲げて要求してありませんが、農算物勘定におきまする
てん菜糖部分の
予算要求には、予備費といたしまして、今申しました考えのもとの要求が出してあります。
以上でございます。