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1961-11-10 第39回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月十日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 山中 貞則君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君       飯塚 定輔君    江崎 眞澄君       大野 市郎君    岡田 修一君       金子 一平君    小枝 一雄君       坂田 英一君    田邉 國男君       高橋  等君    舘林三喜男君       谷垣 專一君    藤田 義光君       吉田 重延君    米山 恒治君       足鹿  覺君    北山 愛郎君       西宮  弘君    山田 長司君  委員外出席者         総理府事務官         (特別地域連         絡 局 長)  大竹 民陟君         外務事務官         (アジア局外         務調査官)   高島 省三君         農林事務官         (農林経済局         参 事 官)  松岡  亮君         農林事務官         (振興局長)  斎藤  誠君         通商産業事務         官         (通商局次長) 山本 重信君         専 門 員   岩隅  博君     ————————————— 十一月十日  委員安倍晋太郎君、田邉國男君、綱島正興君、  中山榮一君、福永一臣松浦東介君及び楢崎弥  之助君辞任につき、その補欠として江崎真澄君、  岡田修一君、吉田重延君、高橋等舘林三喜男  君、金子一平君及び西宮弘君が、議長指名で  委員に選任された。 同日  委員江崎真澄君、岡田修一君、金子一平君、高  橋等君、舘林三喜男君、吉田重延君及び、西宮  弘君辞任につき、その補欠として安倍晋太郎君、  田邉國男君、松浦東介君、中山榮一君、福永一  臣君、綱島正興君及び楢崎弥之助君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農産物輸入問  題)  沖繩産パイナップルかん詰輸入に関する件     ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中(貞)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  沖繩パイナップルカン詰輸入に関する問題について質疑の通告があります。  本問題は、果樹農業、特に桃あるいは桃カン詰生産関連を有するものでありますので、特に本委員会におきましてもこの角度から検討を進めることにいたします。  足鹿覺君の質疑を許します。足鹿君。
  3. 足鹿覺

    足鹿委員 琉球パイナップルの問題について政府に伺いたいのでありますが、現在、沖繩は、主権は確かにわが日本にあるわけでありますが、施政権については御存じのようにアメリカによって握られておるのであります。このような状態の中にあって現在、沖繩島民諸君は、非常に苦しい生活の中に、また膨大な軍事施設重圧下にあって、しかも常々として産業発展努力をしておるのであります。なかんずく、農業生産の面において、またその加工の面において、最近沖繩におけるパイン産業沖繩立法院等努力によって計画的な育成政策がとられ、わが日本内地農業並みにその価格面においても特恵措置等を講じて今日に至った。その結果、パイン産業沖繩輸出貿易高のうち二二%を占めるという大きな成果をあげておるのであります。われわれは、沖繩日本であり、当然施政権を即時返還せられまして、お互い同胞としてともに発展をしていかなければならぬ立場にあるのでありますが、現在、外務省あるいは特別地域連絡事務局の方としては、この沖繩産業開発、これを通じての島民の生活安定、なかんずくパイン産業についてどのような方針のもとにアメリカ政府連絡をとられ、そして、特に、今問題になっておりますパイン産業育成上大きな難関が貿易自由化の問題に関連をして生じ、また特恵措置も来年度九月には期限が切れるという状態にあって、どのように措置されようとしておりますか。今日までとられた対策なり今後とろうとしておる施策について御所信をこの際承っておきたいと思います。  これはきわめて重要な問題でありますので、関係大臣の御出席を要求したのでありますが、いろいろなお差しつかえのために御出席がありませんので、少なくとも政府考え方として責任ある御答弁をこの際承っておきたいと思います。
  4. 大竹民陟

    大竹説明員 おくれて参りましてお話の最初の方伺っておりませんので、お答えが幾らかちぐはぐするかと思いますが、沖繩パイン産業に対しまして日本政府としてどういう措置をとってきたかという点でございます。御承知のように、日本政府としては沖繩に対しましては面接に仕事をやっておらないわけでございます。沖繩との関係におきましては、沖繩産業をできるだけ保護していこうということでございます。一つは、沖繩原産物資につきましては関税を免除するというふうな方法をとっております。沖繩原産物資に限るわけでございますが、一番恩恵を受けておりますのは砂糖とパイナップル関係でございます。さらに、このパインにつきましては、特定物資輸入に関します臨時措置法によりましても特別な扱いをいたしておりまして、価格差益徴収というようなことを免除いたしております。この両方の保護措置によりまして、沖繩パイン産業は近年非常に大きく発展をしてきた、こういうふうな格好になっております。
  5. 足鹿覺

    足鹿委員 これは通産当局にもあわせて伺いたいと思っておりますが、まず、どちらからでもけっこうですから御答弁願いたいのでありますが、貿易自由化の問題が現在起きておるわけであります。日本政府が各物資について貿易自由化に踏み切り、すでに農産物においても大豆自由化実施されて今日に至っておるのでありますが、われわれはもちろんこれには了承いたしがたい立場に立っておるものでありますが、ともかく大豆政府の責任において自由化が行なわれた。続いて農産物関係についても自由化品目決定また実施の時期等について現在いろいろと検討中と聞いておりますが、先般も、アメリカ首脳部日本へ見えられまして日米合同経済委員会が持たれるというような経済問題中心の両国の会談等もあり、もともと、アメリカの圧力とでも言いますか、この貿易自由化問題は、今日に至った経過から見ましてもうかがえますように、農産物自由化を急速に行なうということで、すでに行ないつつある、こういう情勢のもとに、せっかく一九五九年に沖繩においてパイナップル産業振興法制定して、先刻述べましたように輸出高の二二%を占めるところにまで発展をし、島民の生活安定のために大きく貢献をしておるときにおいて、十六品目世間に伝えられておりますものの中に果実というものがあるやに聞いております。もちろん、果実となります場合においては、当然これはパイナップルをも含んでおると私どもは一応常識的に考えるのでありますが、通産農林当局はこの果実の中にパインを含んでおると解して検討しておられるのであるか、その間のいきさつを御説明願いたい。
  6. 松岡亮

    松岡説明員 果実自由化計画でございますが、これは九月二十六日に決定を見ました貿易為替自由化促進計画におきまして、その中にパイナップルカン詰を含めております。ただ、その自由化に関しましては、慎重を期して、もし自由化するとしましても関税率を再検討する、また、一応は来年の十月一日を目途としておりますが、その間になお慎重に検討を加えたい、こういう考えでございます。
  7. 足鹿覺

    足鹿委員 パイナップルカン詰及び果汁、ジュースはこれを含んでおると解していいのですね。
  8. 松岡亮

    松岡説明員 果汁は、ただいまのところ、自由化促進計画におきましては具体的にまだ含めておりませんが、先ほど御指摘のありましたアメリカ側が要求している自由化品目としては、向こうは入れております。
  9. 足鹿覺

    足鹿委員 これは通産当局にお尋ねいたしますが、この間の日米経済委員会等においては、そういった点についてもいろいろ話し合いが行なわれたのではないかというふうにわれわれは想像するのであります。たとえばこの果実の問題についても強くアメリカ側がその自由化を迫っておるのかどうか。とするならば、それはどういうものに対してそういう態度をとっておるのか。特に沖繩パイン産業は、アメリカ施政権のもとにおいて今成長をしておる沖繩新興産業である。そういう点から見ましても、これはお互い日本人として非常に重大な関心を持たざるを得ない。いわんや、これがマラヤその他の方面から自由化によって日本輸入されるということになりますとと、日本果実、その関連産業等に及ぼす影響は甚大なものがあろうと思うのであります。そういう点について、過般の経済合同委員会等においてどのような話し合いをされたか。また、アメリカ側はもともと貿易自由化を迫ったその中心立場に立っておるのでありますから、当然これらの問題についても意見の交換が行なわれたものだと私ども考えるのでありますが、その間の経緯はいかがでございますか。
  10. 山本重信

    山本説明員 通産省は、パイナップルカン詰につきましては、ほかの物資と同様に、物資輸入割当をいたします関係で関与しておるわけでございますが、琉球パイナップル産業につきましては、取り扱う昔の気持といたしましては、国内産業と同じ考え方で従来扱ってきてあるのであります。実際に輸入外貨割当をいたします際にも、数量は琉球パイカン輸入は自由でありまして、それ以外のものを割当制度にして制限をしていく。その場合も、従来のところは台湾マラヤの三国だけに限定をいたしております。そうして、割当の時期も、沖繩パイカン輸入されてこないで大体さばける時期を見届けまして、いわばその端境期という時期に台湾マラヤ割当をするというやり方をして参っておりまして、ほかの物資に比べましても、ある意味ではさらに行き届いた配慮を配ってもらってやっておるつもりでございます。  そこで、今度の自由化にあたりまして、去る九月の自由化促進閣僚会議において、パイカン自由化は一応来年の十月一日を目途にして自由化するということになっているわけでございますが、その実施につきましては、これは主として農林省の方が所管しておられるわけであります。逸雄省も従来その輸入割当を通じて関係がございましたので、いろいろ農林省と御相談をして、この実施が円滑にいくようにというふうに考えておるわけでございます。  なお、ただいま御質問アメリカからの要請の問題でございますが、アメリカからの要請は、いわゆる十六品目ということで、伝えられておりますように、パイカンのほかに、乗用車とか、電気機械とか、産業機械とか、いろいろなものについて非公式に自由化促進要請があったのでございます。その当時から、政府としては、一貫いたしまして、アメリカ自由化関心を持っている品目が何であるかということは理解いたしますけれども、それぞれの品目についてはまた日本国内産業事情がございますので、自由化は自主的な立場から判断をしてやって参りますということで、従来一貫して応酬して参っているわけであります。通産省の固有の物資といたしましても、たとえば乗用車とか、大型の電気機械等は、急速に自由化をいたしますと国内産業に重大な影響を与えますので、自由化はしばらくなお見送るという態度で了承いたしております。今回の日米合同委員会におきましては、あるいは先方から自由化促進についていろいろ具体的な話があるかもしれないという予想も一部にあったのでございますが、現実にはそうした話し合いは全然ございません。一般論としての自由化促進の要望はございましたけれども、それに対して、こちらとしては、国内情勢考えて、できる範囲自由化促進するという一般的の考え方を述べたにとどまりまして、特に具体的な品目についての応酬は全然ございません。
  11. 足鹿覺

    足鹿委員 特に農産物関係をわれわれは重視しておるのでありまして、一般のものについては、他の委員会等においてもいろいろと論議されると思いますので、あえて申し上げません。そういう見地から申し上げておるのですが、農林省も今お聞きのように、この果実なら果実というもの、なかんずくその中の問題になるであろうパインカン詰というものに対しては特段の要請もなかった、自主的な判断によって日本がこれを処置すればいいというふうな話であったように私は今理解したわけでありますが、何か一般世間では、もう果実等輸入は時期の問題だというふうにも流布されて、業界その他関係生産者の方としましても絶対反対の大きな運動を起こしておることは農林省もすでによく御存じ通りであろうと思う。先般も、果実生産者大会のごとき、まれに見る大会も持たれて、意思表示も行なわれておる。こういう中にあって、先ほど松岡さんのお話によりますと、慎重に検討しておるということでありますが、その検討しておるということは、一応十六品日中の果実としてこれを認めて、他にかわるべき保護政策を樹立していくという方向検討しておられるのか。今の農産物事情から見まして、これを自由化いたしましたならば、この間の国会で、大豆、なたねの措置法は成立したものの、これらの措置法によってはとうてい防ぎ切れない重大な事態が起きてくると思う。つまり、果実にしましても、畜産にしましても、成長部門としてこれを伸ばしていくというやさきに、とうてい競争にならない果実を初め、農産物自由化によってなだれを打って入ってくるということになった場合には日本関係産業というものはどうなるか。こういう立場に立ったならば自由化については私どもは先ほど述べた通り態度を持っておるわけでありますけれども農産物関係から見た場合においては特にこれから除外していく、こういう方向によって検討し、そして折衝すべき点は折衝していくという方向でなければならぬと思うのであります。でない限り、ただ慎重に検討しておるということでは私どもは納得することができないのでありますが、その態度は全通商局お話にもあったわけでありますけれども、そういう関連において、いま少し——斎藤振興局長おいでになっておりますが、国内農業との関係、特に成長部門として伸ばしていくという段階に、どのような態度をもって臨もうとしておられるのか。この際、これは沖繩パイン産業日本として、先ほども連絡局長が申されたように、今日まで保護育成をしてくる措置を十分とってきたということであり、通産当局通産当局立場に立ってそれぞれの保護措置を講じてきた、こういうことでありまして、これはからめての話でありますが、どのように今後対処されるか。今私が言ったような点についてもっと掘り下げたあなたの態度を御発表願いたいと思います。
  12. 斎藤誠

    斎藤説明員 ただいま足鹿委員の御質問の中には二点含まれておりまして、一つは、一般自由化に対応する結果に対しての方針がどういうことであるか、その中で第二点として、特に沖繩パイカンについてはどういう態度で臨んでおるのか、こういうように拝聴いたしたわけでございます。  第一点の自由化に対する今後の果樹産業をどういうふうに考えておるかという点でございます。私から自由化政策そのものについてお答えする資格は持ちませんけれども果樹農業振興するという見地からこの問題を考えてみます場合におきましては、当然今御指摘になりましたような点を十分頭に入れて対処すべきであるということは言うまでもないことでございます。  〔山中(貞)委員長代理退席、  田口(長)委員長代理着席〕 ただ、くだものの中におきましても、すでに日本くだもの自身には相当世界的にも優秀な品質が認められてどんどん海外に出ておるというようなものもあるわけでございます。例をあげれば、たとえばミカンであるとかあるいはミカンカン詰のごときはその最たるものでございますが、一方において、日本果樹をどんどん伸ばして対外的に輸出するというようなものにつきましては、当然、外から入ってくるものでありましょうとも、これは関税によって十分対抗できるものであるというようなことで対処すべきであろうと考えるわけでございます。従って、おのおののものによりまして、自由化によってどういうふうな影響があるのか、あるいは逆にわが方から果樹振興によりまして海外的に輸出振興をはかれるようなものにつきましては、むしろ自由化の波に乗って対外的に出していく、こういう配慮も必要であろうと考えるわけでございます。従ってそういうようなおのおの品目につきまして、生果についてはどうであるか、その生果についても、どういうくだものについてはどういうふうな影響があるか、それから、今後の振興策とをどう関係づけて考えていくべきか、カン詰についてはどうであるか、あるいは果実についてはどうであるかというように、きめこまかく、われわれの方といたしましては、今お話しになりましたような考え方をもちまして検討いたし、また対処いたしておるようなわけでございす。  沖繩パイカンにつきましては、そういう見地から言いますと、若干角度が違いまして、つまり、国内的な農産物果樹振興ということよりも、端的にはやはり琉球パイカン産業的な意味が、御指摘通り輸出額の二二%も占めており、この琉球が、大部分の市場として日本に当て込まれておったものが、日本自由化政策によって日本市場が失われるおそれがあるということに問題があるわけでございまして国内果実自身についての取り扱いとは若干その間異にするものであるわけでございます。しかし、御指摘のように、琉球自身産業育成については、われわれとしても十分関心を持つべきでございますので、パイカン自身についての沖繩産業重要性、さらに日本の今後の取り扱いいかんによる影響等も十分考える必要があることは言うまでございません。そういう見地から、先ほど松岡参事官から述べましたように、現在のわれわれの考え方といたしましては、まず第一に関税改正——現在は御承知のように二五%の関税がかかっておるわけでございます。それに特定物資差益率が約三〇%かかっておるわけでございますが、そういうようなことを頭に置きまして、今後の価格考え関税率改正ということによって、ある程度の保護を加えていくということが必要ではなかろうかというようなことで、関税率検討をし、それとにらみ合わせて、今後の沖繩からの自由化考えて参りたい、こういうような基本的な考え方をとっておるわけでございます。
  13. 足鹿覺

    足鹿委員 沖繩パインは、関税定率法による二五%、これは免除される。それから、特定物資輸入措置によって差益金徴収を免除される、これは相当大きな保護であろうと思うのです。聞くところによりますと、私も専門家でありませんのでわかりませんが、輸入臨時措置は、来年六月ですか、六月に一応切れるということになっているわけでありますが、十月には自由化をやるのだ、その中にも含まれるかもしれない、こういうことになりますと、来年六月に期限の切れる輸入臨時措置、これが問題になると思うのです。関税というお話がありますが、これはガットの関係等もありまして、なかなか言うべくして問題が多いと思うのですが、輸入臨時措置の六月切れる点について、来たるべき通常国会等においてこれをどういうふうにお考えになるつもりなのか。これの適用をさらに延長していく、そして、さらに現在の関税定率二五%の免除ということが続けば、これは沖繩島民諸君も問題はない。また、内地果樹産業等におきましても、その方針が貫かれれば、これは、問題はあとに残るでしょうが、当面の問題としては一応それでいい。その点について、通産当局は、輸入措置について期限が切れようとしておることに対する対策はどういうふうにお考えになっておるのか。そして、関税定率の点についても、どういうふうに農林当局国内農業関係保護という面について検討しておいでになりますか。その態度を伺いたい。
  14. 山本重信

    山本説明員 特定物資輸入臨時措置法は、ただいま対象物資といたしまして、パイカンのほかにバナナとイクラ、それからつい最近までは腕時計もその対象になっておったのであります。この法律制定趣旨は、国際収支がまだ日本経済にとって十分でない外貨保有高も十分でないという場合に、国際収支理由から、やむを得ず不要、不急物資輸入制限をいたしました。そういたしますとその結果、需給のアンバランスが生じて、そこに輸入物資に大きな差益が生じる。これは特定輸入業者が私するべきものでないという観点から、その吸収をはかるというのがねらいでございまして、必ずしも国内産業保護という目的ではないわけでございます。もし、国内産業保護ということでしたら、これは関税率を引き上げるという措置でやるべきでございまして、特定物資輸入臨時措置法制定趣旨は、それとは違った国際収支理由ということでございます。それで、前から国際的には特定物資輸入臨時措置法の存在は問題になっておったのでありますが日本国際収支から見て輸入自由化をするのにまだ十分でないという間は、特定物資輸入臨時措置法は続けておられるわけでありますけれども、ことしのIMFとの協議の過程におきまして、来年の十月までに九〇%の自由化をする、そうしてそのとき以降は日本国際収支理由にした輸入制限はしないということを約束いたしておるわけでございまして、そうなりますと、この特定物資輸入臨時措置法のよって立つ根拠、つまり国際収支というその理由が立たなくなるわけであります。従って本法は、これを延長しようといたしましても、国際的に非常にむずかしい、なかなか相手を説得することはできない状況になっておるわけであります。従いまして、私たちといたしましては、特定物資輸入臨時措置法は延長をいたさない、そのかわり、このパイカンの場合は、たまたまそれが結果において国内産業保護目的になっておるのでありますから、必要な範囲関税率の引き上げをしてそれによって特定物資輸入臨時措置法の最近果たしておった役割を振りかえていくということが最も適当な方法ではなかろうかというふうに考えておる次第であります。本件につきましては農林省ともよく相談をいたしまして、そういう措置をとって参っておるわけであります。  それから、なおもう一つ付随して申し上げますと、特定物資輸入臨時措置法は、あくまで国際収支理由によって特定物資輸入制限するということが前提になっておりますので、たとえば、かりにこれは自由化をいたしますと、その自由化された物資は当然もう特定物資法律適用はできないわけでございます。
  15. 足鹿覺

    足鹿委員 パインカンの場合、自由化になった場合を想定しますと、一番問題になるのはマラヤ産のものであると聞いておりますが、大体マラヤ産と台湾産と国内に入ってきて、関税あるいは差益金等を抜きにしまして、自由な形で日本へ来た場合は、一体その価格上の比較はどういうことになるのでありますか。検討しておいでになったらそれをお聞きしたい。
  16. 松岡亮

    松岡説明員 マラヤ産のものも現在若干入っておるのでございますが、これのCIF価格は、最近の状況では五ドル七十二セントでございますが、一方、台湾産のものの日本への到着価格CIF価格は、五ドル四十五セント、これは最近の状況から算出しますとそういうことでございます。  それで、もう一つ申し上げますことは、マラヤのものは欧州向けあるいはイギリス向けとして加工の姿がやや違うようでございます。台湾産のものがスライスというのでございますが、マラヤの方は角型であるというようなことで、その辺にも君子の相違があるようでございまして、現在は、琉球以外のものでは、ほとんど台湾産のものが輸入されておる状況でございます。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 そうしますと、台湾産のものはCIFの五ドル四十五セント……。
  18. 松岡亮

    松岡説明員 数字の欄を間違えてどうも失礼いたしました。日本向けは、台湾産のものは六ドル七十五セントでございます。どうも失礼いたしました。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 マラヤ産が五ドルということになりますと、現在琉球産のものの輸入価格が九ドル九十八セントといわれておるわけでありますが、マラヤ産のものとは四ドル以上の開きがあるわけですね。そうしますと、これを関税でカバーするといいましても、おのずから限界があるではないですか。現在は輸入差益の免除と関税定率による二五%の免除、これを合わせてかろうじてそのバランスがとれて、その特恵措置によって琉球産は日本を専用の輸出地として今日ようやく発展をしており、これからも発展をするというわけでありますから、大きな打撃を受けることは必至ではありませんか。これはおおうべからざる事態ではありませんか。そういうことが明らかであるにもかかわらず、これをやるということになれば、あなた方がいかように関税でやるのだと言われても、それでは対策と言えないではありませんか。沖繩日本本土と同様に考えていくという基本的な立場から、われわれはこの問題を考えていかなければならぬ。特にもしそういう事態が起きたとします場合に、さなきだに沖繩島民状況というものは、たびたび現地の模様も調査されておりますように、非常に内地よりも困っておる。そして今ようやく新しいパイン産業が勃興しておるというところにそういう衝撃を与えた場合においては、直ちに、パイン産業に従事しておる生産者はもちろんのこと、その加工業に使われておる労働者諸君、こういうところへすべてしわが寄ってくるではありませんか。といたしますと、これは非常に大きな問題になると私は思うのです。ただ単に沖繩島民の問題だけではない。日本の、果樹関係、あるいはその加工産業関係にも同様のことが言えるのではないかと思うのです。関税一本やり、差益金制度は本来の趣旨が違うから延長はしない、こういうことで農林省は了承して現在話を進めておられるのでございますか。それでは全く問題にならぬではありませんか。
  20. 斎藤誠

    斎藤説明員 私からお答えいたしたいと思います。  今後入ってきますパイカン価格はどうなるだろうかということによりまして、御指摘のように、関税率をどう形成すべきであるか、これは重要な一つの問題点であろうと思うわけでございます。ただ、現実に即してこれを考えて参ります場合に、台湾からは依然として従来通り一キロ当たり六ドル四十セントでオファーがある、——若干国際競争によってこれが下がってくるということは当然われわれとしても予期しなければならないと思うわけでございます。しかし、台湾価格といいあるいはマラヤ価格といいましても、現状においては、ほとんど大部分というものがみんな欧州向けに輸出されておるわけでございまして、これが一気に全部日本市場に殺到する、その場合において価格がどうなるかというようなことにつきましては、なかなかその予測は困難なわけでございます。そこで、先ほど松岡参事官から申し上げたマラヤからの価格は、これは単なるオファー価格でございまして、まだ現実にそれによって取引されたものではないわけでございます。台湾からの六ドル四十セントは、これは現実に入っておる価格であるわけでございます。そこで、将来マラヤ価格を基礎に置いてかりに関税率だけを考えるということになりますと、非常に高い関税率にいたす、そういうことになりまして、結果においては台湾がそれほど下がらなかったということになると、輸入価格は非常に高い価格になる。われわれは、消費者の方の立場考えて、琉球の将来予想される価格を基礎に置いて関税をここで考えるということによって消費者価格まで上げてそこを考えていくかということも、これはやはり検討すべき点ではなかろうかと思うわけでございます。また、同時に、琉球政府におきましても、当然、将来の競争を予想いたしまして、いろいろの合理化計画を立てておられるわけでございまして、ここ四十年までの五カ年計画でだんだんに価格を下げていくというような合理化計画も立てておられるわけでございます。そこで、われわれといたしましては、今御指摘になりましたような将来の予想価格、さらに琉球政府における今後のパイナップルの合理化計画、それから、御指摘になりました特定物資輸入臨時措置法の廃止に伴う措置、これらを十分織り込みまして、一面においては関税検討し、さらにその後においての事態をもながめながら対処して参りたいということを申し上げたわけでございます。一応の目途といたしましては来年の十月ということを目途といたしておりますけれども関税につきましても、これは各国との交渉にわたる事項にもなるわけでございます。そういう事情にあることを一つ御了承願いたいと思います。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 連絡局長に伺いますが、今お聞きのように、琉球において年次計画を定めてそして合理化を進めていく、それには相当の年月を要すると思うのです。現に、先ほどもお答えがありましたが、特別地域連絡局としては、琉球におけるパイン産業振興計画、それの将来の見通し、それに対する琉球政府対策と、アメリカが現在においては施政権を持っておるわけでありますから、これに対して、日本としては、その生産対策加工対策、そういうものに対して、今斎藤局長の話を聞きますと、合理化をしていくんだから、その面でもある程度緩和できるんだ、こういう話でありますが、はたしてそういうことに対してどのように連絡をされ、どういう方針をもって対処していかれるのでありますか。その見通しははたしてどうなんでありますか。そういうことについて琉球政府、またアメリカ当局等とどのような話をしておられるのでありますか。ただ下がるだろう、五年か十年先にはこれも他の地域並みにある程度コストが下げ得られるんだ、それは、日々進歩する技術の世界でありますから、高くなるようなことは絶対にないでしょう。下げていかなければならぬが、少なくともマラヤ産のものとは五ドル近い開きがあるのですよ。これがはたしてどの程度まで、その土地の状況もありましようが、計画によってコスト・ダウンが可能なのか、なかなか私は問題だと思うのです。この間ハワイに立ち寄ってハワイのパイン産業を見ましたが、あの膨大な近代的な設備を見てわれわれはびっくりした。沖繩は見ておりませんが、おそらくは太刀打ちができないと思うのです。といたしますと、事実、打撃を受けるのは沖繩で、これは今勃興期にあり、しかもまだおそらくそう近代的な装備を整えた生産施設だとは言えますまい。また、ああいう小さな島でありますから、大農方式によってこの生産が合理化されておるというふうにも私どもは想像できないのであります。といたしますと、一体、これは、関税のみに依存し、あるいは輸入措置とあわせ行ないましても、一面、生産面あるいは加工面すべての面に総合的なものが講じられて初めて成果をあげるのではないかと思うわけでありますが、そういう点についてあなた方としては現在どのように話を進めておられますか。その間について御所信があれば一つ承っておきたいと思います。
  22. 大竹民陟

    大竹説明員 沖繩でのパイカンの合理化対策でございますが、近年非常に急速に発展して参った産業でございまして、合理化というふうな見地から見ますと、なお今後相当改善をしていく余地が多いというふうに、地元政府におきましても考えておるようでございます。生産面におきましては、検討の最も中心になっておりますのが、この仕事を始めましてから今日までの経過年数が少のうございますので、開墾その他今までやって参りました事業に対します償却費が非常に多くなっており、生産費の面ての検討中心は、ほかのものに比べまして非常に急速に発展し投資いたして参りました償却費の点に中心があるようでございます。製造の面におきましては、パイナップルカン詰のカンでございまして、現在、原料を日本内地から持って参りまして、向こうで加工してカンを作っておりますが、カンの価格が相当高くつく、これが一つの研究の課題になっておるように承知をいたしております。また、集荷につきましては、生産工場の数、集荷の仕方というふうなことにも問題があるようでございまして、率直に申しますならば、急速に発展いたして参りましたために申しましたような点につきまして、琉球政府としても、従来必ずしも十分な検討をしておらなかったというふうな面もあるようでございまして、琉球政府といたしましても、この際急速に、申しましたような点につきましてそれぞれの対策を立てていきたいということで、鋭意検討をいたしておるわけでございます。私どもといたしましても、関係の各省にお願いをいたしまして、こういう検討につきまして技術的な知恵をかしていただくというふうなことで進んでおるわけでございます。ただいま非常に荒らっぽいものとしてできておりますものを私ども承知いたしております範囲では、最近五カ年の間に、ただいま申しましたような点につきまして合理化を行なって参りますならば、一ドル程度の生産費の減少というふうな点にまでこぎつけることはできるであろうというふうな見方を立てておるようでございます。なお、そういう点につきましては、琉球政府といたしましても検討を始めましたはかりでございまして、今後、十分な研究、それに対する対策の確定ということを必要とする状態になっておるというふうに考えておるわけでございます。そういうふうな点につきまして、私ども、でき得る限り、政府の各関係各省にお願いをいたしまして、検討の御努力を得ていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから。一ドル前後のコスト・ダウンによりまして、マラヤあるいは台湾、そういうふうなものと対抗できるかというふうなことでございます。関税措置だけで対抗できるかということでございますが、ただいま農林省からもお話がございましたように、こういうふうな合理化対策が今後どういうふうに進んでいくかというふうな、さらに確実な見当がつきました際に、沖繩側の希望もよく調査いたしまして聞きまして、実情に合うようなやり方を政府としてやっていっていただきたいというふうに、各省に私どもといたしましてはお願いをいたしたいというふうに考えております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 まだ他にも御質問をなさる方もあるようでございますので、私だけ時間を費やしてもどうかと思いますので、これで終わりますが、要するに、この琉球政府自体が立案をして、現在実施をしておるこの合理化計画というものも無期限ではないようです。ある年限を定めてそれによって自分たちも極力努力していく、しかし、今こういうことになったのではとてもやれないというのが、平たく言えばそういう気持のようです。結局、先ほども通産局次長のお話によって、差益金制度はこれは延長はしないというお話であり、農林省は、関税でやるのだ、連絡局は、いろいろな合理化方面を進めていくのだ、こういうふうなお話でありまして、統一された政府の施策というものは、はっきりしておるのは、現在関税問題が一応問題になっておる、あとはそう積極的に対策としてはとるべきものがないように伺った次第です。差益金制度はやめる、一ドル程度の合理化は可能であるし、それは今後も進めていくのだ、こういうことでこれは問題になりません。少なくとも、この現地の事情というものを考えて、そして、琉球政府が非常な努力を払い、島民努力を求めて、日本政府としてもこれに即応して、今日まで持続した対策というものは何らかの形においてこれは保持されていかなければ、沖繩パイン産業というものは壊滅の事態に遭遇する、こういうことが私は言い得ると思う。言い過ぎではないと思うのです。  従って、今まで私が述べましたような点からして、少なくとも、通産当局としては、外貨の割当制を存続する、こういう一つ立場を堅持していかれることが好ましいし、当然であろうと思いますし、また、農林省自体としましても、これは連絡局等とも十分打ち合わせ、対策を考究されて、はたしてどの程度の年限をもってするならばどの程度の合理化ができ得る、従って関税その他の措置によってこれを総合的に保護が可能であるかということをよく詰めて、そしてやられない限り、これは今あなた方がお考えになっておるような程度では私はとうてい対策にならぬと思います。これは、大きな政策上の問題にも僕達してきますから、いずれ関係大臣と最高責任を持たれる人々から、お聞きしなければならぬと思います。事務当局としては、差益金制度は撤廃するのだ、こう言われましても、大局に立ってみたときに、その形でいくのか、あるいは他にかわるべき方策が講ぜられるのか、そういうことになりますと、大きな政策上の問題にも関連いたしましょう。でありますから、これ以上申し上げませんが、少なくとも外貨割当を存続していく、それから、五カ年間なら五カ年、七カ年間なら七カ年間を定めて、その間におけるところの合理化の成果、また合理化を促進するためのいろいろな援助保護育成、そういう対策、また、関税の問題等を十分総合的に検討されていく必要があろうと思います。いずれこの問題については、通常国会等においてさらによく論議検討していかなければならぬ問題であろうと思います。本日は大臣の出席も得られませんのでこれ以降は申し上げません。他の委員に譲りまして、私の質問はこの程度に終わっておきます。
  24. 田口長治郎

  25. 山中貞則

    山中(貞)委員 ただいまの問題で、私は政府当局考え方に三つ誤まりがあると思う。その一つは、これは琉球だけの問題ではないということです。それは、奄美大島に、すでに現在の日本の領土内においてパイン産業というものが存在をし、パイン産業にたよる生産農家があり得るわけでありますから、これは、沖繩の問題をかりにアメリカ施政権内のものとしてこれが解決ができないで通過するとしても、国内対策で無視できない点が一つあるのだということ。それから、琉球の対外輸出は、大部分と言われましたが、全量日本市場に供給されておるということ。それから、第三は、消費者の立場考えていかなければならないということでありましたが、これは、砂糖その他の生活必需品に対する考え方と当然ニュアンスを異にして考えなければならぬということであります。すなわち、パイナップルカン詰は国民生活の必需食料品ではないのでありますから、少なくとも、日本国民の農家の特定の部分でありましても、それに依存してその産業に生活の根拠を置いておる人たちの生活というものが重点に考えらるべきである、価格というものはその次の配慮がなされなければならないものであるということであります。私は、この問題について、少し時間をおかりいたしましたので、根本問題に触れたいと思いますが、琉球の農民は軍用地その他で、限られた狭い島の中の耕作農地というものを相当大きく取られました。そのために起こされました琉球の軍用地接収問題の混乱は、われわれ国会においても経験にまだそう遠くないところであります。その残された狭隘なる国土の中の、まして狭隘になってしまった田畑の上に琉球の人たちがつないでおりまする換金作物はたった一つ今まではカンショだけでありましたが、今ここに戦後ニュー・フェースとしてパイナップルが登場し、着々とその成果をあげておる状態であります。そうすると、この問題が自由化をされました暁においてどうなるかという関心は、決して琉球の一部の農民だけの関心であってはならないのでありまして、私たちは、戦後十数年にわたって祖国になお復帰でき得ない琉球の人々の上に愛情を注ぐ実態としても、この問題をないがしろにしてはならぬと考えておるわけであります。そこで、現在保護されておりまする差益金関税との五五%を、かりに引き続き関税差益を振りかえて五五%の関税障壁を設けた場合に、自由化した場合にはたしてどうなるかという問題でありますが、琉球は、現在の九ドル九十八セントを、現存の時点においては自由化された場合には九ドル六十セントまでは何とかできるということを言っておりますが、しかしながら、一方において、現在予想されておりまする台湾生産量において限界があるとしてもマラヤ、こういうものの価格は今後の問題として予測を許さないのであります。なぜならば、自由化されますると、政府が今日まで持っておりました大きなコントロールの手段、すなわち、数量、それから時期並びに第二義的でありますが価格の問題、このすべてのコントロールの手段を失うわけでありますから、台湾の国営的な輸出の管理、あるいはマラヤが極東における新たなる市場としての売り出しをこちらの予測以上の情熱をもってもし行ったといたしますとこれらの三つのコントロール手段を失った日本としては、その予測はなかなか困難であります。従って、おそらくマラヤは一洋に五ドルに下げる、——下げ得るでありましょうし、数量において心配要らないといっても、それにつられて、国営的な管理形式を持っておりまする台湾は、国策としてもこれを五ドルに下げることは可能であり、現実に自由化と同時に六ドルで殺到するであろうことは、もう火を見るよりも明らかであります。そうなった場合に、日本の現在の消費市場の異常なる高さから見まして、このパイナップル等の消費もまたそれらの市場獲得のねらいの格好の的であることを私どもは自覚いたしますので、容易ならぬ事態がそこに起こってくるであろう。そうすると、私どもは、沖繩パイナップル産業、そしてそれに従事する人たち、生産農家の人たちのこれから先の見通しについて、重大なる不安を持たざるを得ないわけであります。  そこで、考えられる方法としては、来年の九月に一応自由化のめどを立てておりまする計画から、一応パイカンをはずすか、第二には、その計画のまま進むとしても、向こう五年間ガットにおいて留保年限をつけて、この五年間をもって沖繩琉球政府が直接に、間接には日本政府が親心を持って、ガットの許す範囲の五年以内において諸外国と自由化になっても太刀打ちできるだけの合理化の直接間接の援助を行なう。第三は、現状のままで、差益関税に振りかえて、関税障壁を五五%に高める。あまり高めることは、たとえば、一つの品物で九〇、一〇〇という関税は感心できませんから、かりに現在のままで振りかえたと仮定をいたしまして、先ほど私の述べましたような、おそらく予想される一極の市場開拓のためのダンピングの中で、それをこらえて立ち上がっていくためには、日本政府が直接の形においてその価格の差を日本国の予算から補給してやる。あるいは、ドルで入って参りますものに対して円建の日本の予算から支出するには諸種の困難が伴いますので、従って、その方式等についてもむずかしい配慮が行なわれなければなりませんし、財政当局とも意見の一致に達するのは非常な困難を伴うであろうと考えられまするが、あえてそのような手段をもって、日本政府の祖国としての万全の措置をとるか、あるいは、いま一そう複雑になりますが、琉球政府自体が、自由化に伴う琉球パイン産業の受ける打撃を、その差額を、パイン産業価格補償金として支出をいたしまして、その支出いたしました金額によって、結局するところ、自由化されても海外の品物なり品質なりあるいは価格なりに太刀打ちできるだけの配慮琉球政府自体が行なったその全金額に対して、アメリカの軍政当局あるいは本国である日本政府と十分連絡協議合意の上、日本政府がまるまるそれを当該年度ごとに決算し、しりぬぐいをしてやる。いずれかの手段しか私は考えられないと思います。従って、その三つの手段を考えるときに出されまする結論は、このままの状態で無条件に単なる差益関税振りかえのみをもってパイナップル自由化することははなはだ困難であろうという結論だけは、事務当局の諸君も十分考えられまして、これから早急に、私のただいま指摘いたしましたような点に配慮を持ちながら、しからば現在の無条件自由化が直ちに困難であるとするならば、他の手段と取りかえて、早急に事務当局は、財政当局とも連絡をもちろんとられるでありましょうが、当局としての対策をお立てになるようにお願いをいたします。そして、いやしくも間違った観測等をもっておやりにならないように、先ほど指摘いたしました点等は十分に配慮をして、私どもは私どもで最高首脳部との間にはまたさらに政治的なあっせん等いたしますので、十分急いでその手段を取りまとめられるよう。そして、琉球の方々が非常に不便な手続を経、高い旅費を払って日本の東京にどんどん陳情に来られなければならない状況をすみやかになくしてあげたいということで、時期的にも急ぎたいと思いますから、私は答弁があるならお聞きしますが、答弁は要りませんから、そういう配慮をもって作業を進めてもらいたいと思います。
  26. 田口長治郎

  27. 西宮弘

    西宮委員 委員各位のお許しを得まして、私も一言だけ質問をさしていただきたいのでありますが、ただいま二人の委員からそれぞれ質問あるいは要請等もございましたので、大事な問題はいずれも尽きておると思うのでありますが、私があえてこの際一言述べさしていただきたいと考えまするのは、実は、これは私の個人的な事情でありますけれども、私は戦争前に長く沖繩に居住をいたしまして、沖繩事情はそういう意味においては相当詳しく承知をしておるはずであります。私ども実は社会党といたしましては、沖繩の今日の地位あるいはまた将来の運命というようなことにつきまして重大なる関心を払っておるのでありますが、とりわけ私は、個人的にはそういう経験を持っておりますので、特に深い関心を払わざるを得ないのであります。ただし、パイン産業はごく最近に興った産業でありますので、私はパイン産業それ自身については実は十分の知識を持っておりません。ただ、先刻申しましたような事情で、沖繩の経済的な条件その他については私は十分承知をしておるつもりであります。沖繩は今日非常に貧しい経済状況のもとにあるということは、これは皆さんすでに十分御承知のところでありまして、その際、特に、終戦後沖繩がああいう状況のもとに、特殊な環境のもとに立ちまして、ただいまもお話にありましたように、沖繩の全土の一三%が軍事基地になってしまった。しかも、さらにそのうちの約半数近く、四五%は農地であったという状態であります。従いまして、そういうことになりますと、その農地を追われた人たちが非常に困難な状況に立つことは当然であります。そういう人たちが最後に生きる道として発展をいたしましたのがパイン産業であるわけであります。それがようやく今日日本本土政府育成あるいはまた関係者の努力によりましてここまで築き上げて参ったのであります。もし不幸にしてこれが一朝自由化のあらしの前に立たされるということになれば、全く壊滅的な打撃を受けることは申すまでもないのでありまして、パイン産業が砂糖と並んだ沖繩のいわゆる二大基幹産業として今日までの地位を築いて参りましたのは、いろいろの施策がありましょうが、日本政府の外貨割当制度等の操作によりまして、琉球で作ったパインは全部日本が買い上げる、全景消化するという建前に立って今日まで施策がとられてきたということで、それで初めて沖繩パインは今日まで伸びて参ったのであります。  ですから、私が端的に伺いたいのは、今後も琉球生産されまするパイン日本本土は全量消化する、そういう目標のもとに各種の作業が行なわれるかどうかということにあるわけであります。もしそれが可能でさえあるならば、どういう施策がとられましょうとも、その手段方法についてはあえて問う必要はないと思うのであります。要するに、あくまでもそういう目標のもとに今後日本の各種の作業が行なわれるかどうかということについて端的にまず御質問いたしたいと思いますが、まず連絡事務局長からお答えを願うのが適当かと思います。
  28. 大竹民陟

    大竹説明員 私ども連絡事務をやっておりますが、専門的な知識も持ち合わせませんので、お答えする資格に欠けると思いますが、沖繩に対しましては、ただいま仰せにありました通り政府といたしましても、沖繩の住民の福祉の向上、産業振興ということにつきましては十分な関心を持っておるわけであります。アメリカが直接の施政者でございますけれども政府といたしましても、できるだけこれに協力して、沖繩住民の福祉が達成せられるように努めていこうという考えでございます。これらの基本的な考えからいたしますならば、沖繩パイナップルが現状におきましてほかに輸出の販路を求めることが非常に困難であるという場合におきまして、従来も保護措置をやって参ったわけであります。それに劣らないだけの十分な対策をとり、政府が手を引くことによって沖繩の住民が困ったというふうなことのないようにいたしますことは、総体的に申しまして政府自身の考えであらうというふうに考えます。
  29. 西宮弘

    西宮委員 ただいまの局長の御答弁によりますると、他に市場を求めることの困難な沖繩パインについては、日本本土においてこれを消化するという建前で今後の施策を講じたいというお話のように聞き取れたのでありますがその点について、通産当局考え方も同様であるかどうか。同様と申しますのは、要するに沖繩生産するパインを全量日本で消化をするという御決意があるかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
  30. 山本重信

    山本説明員 通産省といたしましては、従来、パイカン輸入割当につきましては、まず沖繩パインカンが、これは自動承認制でございますから割当は要らないのでありますが沖繩パインカンが大体国内に入ってきて消化された時期を見届けまして、沖繩以外の台湾マラヤパイカン割当をして参ったわけであります。実は、ほかの物資についてはそこまできめのこまかいやり方はして参ってないのでありますが、パインカンについては特にそうした考慮を払って参ったわけであります。今後割当制度が存続される期間は当然同じ考え方でずっとやって参りたいと思います。  なお自由化をいたします場合には、当然割当制度はなくなるわけでございますけれども、その場合に、少なくとも沖繩パインカン産業自由化によって非常にひどい打撃を受けて成り立たなくなるということの絶対ないような対策を十分考えた上で自由化をすべきだというふうに考えております。
  31. 西宮弘

    西宮委員 現有の制度が行なわれておる限り、今のお話のようなきめのこまかい対策がとられておるということは十分に承知をいたしております。問題は、もちろん自由化になってから後の問題で、われわれは自由化には反対であるという立場から申し上げておるのでありますから、根本的には自由化をやらない、自由化からはずすということを言明願えれば一番いいわけでありますけれども、そういうわけにも参りますまい。そういうことになりますと、その際このパインをどういうふうに扱うか、それからはずすかどうかということになるわけでございますが、さらに、今の御答弁だと、自由化になっても絶対に不利にならないような方策を講ずるという御答弁であるのでありますが、その絶対に不利にならないような方法というのはどういうことをお考えでございますか。
  32. 山本重信

    山本説明員 パイカン自由化につきましては、来年の十月一日までに自由化することを目途とするということが先般の閣僚会議決定いたしておるわけでございます。実は、目途とするという表現が用いてありますのは、ほかの若干の物資にもございます。十月一日にすることが確定しておるものはは、十月一日に自由化するということを言い切っておるわけでありまして、そこに含みがございますのは、いろいろ問題もあるでありましょうから、そのと主までに実情をよく調べた上で考えようという余地が、しいて言えば若干残してあるというふうに私たち了解しておるわけであります。その場合にに関税率検討の上ということをはっきり明示してありました。関税率はどのくらいが適当であるかということにつきましては、農林省が大蔵省と連絡されて検討しておられる最中なんでございます。そちらの検討が十分ついて、そして沖繩産業に対する影響も十分に考えて、その見通しがついたところで自由化するということになるわけであります。自由化しました暁におきましては通産省としては輸入をチェックする手段方法はございませんので、やはり、自由化するときまでに必要な対策は十分講じて、その上で自由化することが必要であるというふうに考えておる次第であります。
  33. 西宮弘

    西宮委員 ただいまの御答弁でありますが、私も、先般の九月二十六日の決定において、バナナ、パイナップルカン詰については関税率検討の上三十七年の十月一日を目途自由化するという決定をされておることは十分承知をしております。だから、その際は、関税率を当然検討されるということはわかるわけでありますが、さらに、十月一日はいわゆる目途という表現になっております。従いまして、これは必ずしも十月一日に拘泥をしておらないということもわかるわけであります。従って、先刻来の答弁で、パイカンについては相当な弾力的な考えをもってこれに臨むという政府態度もわれわれにはほぼ了解ができたわけであります。そうであるならば、ぜひこの際その点を明確にして、先ほど他の委員から御意見がありましたように、現在琉球島民は非常な不安にかられておるわけでありまして、先般も多数の皆さんが臨時国会を目ざして上京されたのでありますが、日本のわれわれの旅行と違いまして、いろいろな制限があるために、臨時国会に間に合わないで、臨時国会が終わった面後に多数集まってくるという状況であって、非常な負担をかけておると思うのでありまして、そういう皆さんに対しても直ちに安心をしてもらえる程度に、今の十月一日には必ずしも拘泥しないという点について、さらに明確な意思表示を願いたいと思います。もう少しはっきりその点をお答え願えませんか。
  34. 山本重信

    山本説明員 十月一日までに自由化することを目途とするという言葉が閣僚会議において決定いたしておりますので、いろいろお話し申し上げているところから私たち事務局の気持は御了解いただけたと思うのでありますが、それ以上にこの席で閣僚会議決定されておりますことと通った表現で申し上げることは、ちょっといたしかねますので、以上申し上げたことで一つ御了承いただきたいと思います。
  35. 西宮弘

    西宮委員 もう一つ別な立場で伺いたいのですが、先ほどの臨時措置法の問題であります。あの問題も、法律趣旨は先刻の御説明でよくわかりました。私どももちろんそういうふうに承知しているわけでありますが、この前の昭和三十四年にあの法律の期間が延長になりました際に、国会で附帯決議がされたわけであります。その附帯決議には、もっぱら沖繩におけるパイン産業保護育成ということをねらいにいたしまして、沖繩におけるパイン産業のごとき新興産業について育成措置を講じようということを特に明確にしているわけであります。従って、あの臨時措置法はいろいろな物資を含んでおりますけれども、特に琉球パインについてその大事な点を特に取り上げて国会で附帯決議をしている。従って、われわれは、そういう立場で、この前の臨時措置法と同様ぜひとも延長の線で考えてもらいたいというのがわれわれの強い要請なのでありますが、それはおよそ絶対不可能なことであるか、それとももう少し考究の余地があるかどうか、その点についてもう一言だけお答え願いたいのであります。
  36. 山本重信

    山本説明員 特定物資臨時措置法につきましては、実は事務的にいろいろ私たちも検討してみたのでございます。前回延長したときといろいろ情勢が変わって参っております。その間に特に顕著な影響は、国際的にガットがIMF等の機関において日本の経済の発展を確認されまして、日本はもっぱら国際収支理由にして諸種の輸入制限をする資格はないではないか、従って、自由化促進すべきであるという意見が国際会議においていろいろな機会に日本に対して強い要請として出て参っているわけであります。そして、その最も顕著な事態が、先般のIMFのコンサルテーションにおいて起きたわけでありまして、当初、IMF当局では、ことしの秋の総会において、いわゆる八条国移行の勧告をしようという腹案があったようでありますが、六月末から七月にかけての協議におきまして、日本側が、まだことしは八条国移行の勧告は早過ぎる、もう一年は少なくとも待ってもらいたいということでいろいろ説明いたしました。その過程において、IMF当局の方からの強い要請もあって、しからば来年の十月までに二〇%の自由化をしましょう、これは日本の責任においてやりますから、八条国の勧告を外から出すことはやめてもらいたいという話をしたわけであります。その過程において、来年の十月以降は国際収支理由にした輸入制限はしないということも実は同時に申しているわけでございます。その趣旨は、国際収支理由以外の理由、すなわち、国内産業保護というような理由措置をとるのは、これまた例外になるわけでございます。ところが、この特別物資臨時措置法というのは、本来の性質が、国際収支理由にして、国際収支が十分でないために不要不急物資輸入制限する、その結果生ずる差益を吸収するという建前になっておりましてこの法律のよって立つ根拠が国際収支にありますために、少なくとも来年の十月以降は国際的に主張することがで主ないことになっておるわけでございます。従いまして、六月に期限が切れるわけでありますが、もうすぐに十月にはそういう状態になるというときに延長するということはできませんので、私たちといたしましては、沖繩パイカン産業保護にも役に立っておる法律ではございますけれども、国際的に今後は、全然主張ができない、法律を無理して延長しておいても、国際的に非難をこうむるだけでございますので、この法律の延長をあきらめまして、それで、これにかわるほかの方法考えるべきではないかということで、この法律の延長はしないという前提で、関税の引き上げ等を研究するという道を考えておる次第でございます。
  37. 西宮弘

    西宮委員 関税の引き上げと申しましても、決してそう簡単ではないのでで、ことに、現在の沖繩産のパイカン台湾なりマラヤなどのものと比べると、先ほどもお話がありましたように非常な開きがあるので、もしこれを関税だけでカバーするということになると、これはほとんど不可能に近いと思うのです。ですから、どうしてもそれには別個な対策を必要とするのでありまして、先ほどからお尋ねしているように、これはやはり自由化そのものをおくらせるということが根本対策でありますから、ぜひそれをやってもらいたい。先ほど、この自由化について、アメリカその他との折衝についての経過のお話があったけれども、私どもは簡単に一再で言うならば、そういうアメリカの圧力等によって自由化をしなければならないというために沖繩が犠牲に供されるということには忍びないのであります。しかも、それは金額的にはきわめてわずかなものだと思います。これらが自由化になってもならなくても、天下の大勢にはほとんど影響のないわずかな沖繩パイカンなんです。それが自由化の名のもとに琉球産業が犠牲に供されるということは、われわれとうてい忍び得ないところであります。そういう点は十分の認識をお願いしたいと思います。私も関連質問でありますから長くなることを避けまして終わりにいたしたいと思いますが、その点だけを特に強く認識をしてもらいたいと思うのであります。すでに何べんも話に出ておる通りでありますが、沖繩パイカンは、今日大体砂糖とパイカンで輸出全量の七割を占めて、そのうち砂糖の半分がパイカンなんでありますから、もしこれが自由化ということになるとすれば、全く沖繩産業の死命を制する。しかも、先ほども申しましたように、このパイカン沖繩の農民が飛びついてきたのは、今回の戦争の結果として、沖繩島民の全く欲せざる沖繩全鳥が軍事基地化したということのために、農地を追われた人たちがやむを得ず最後に発見したただ一つの生きる道なんであります。それがもし今後自由化の必要からさらにそのために犠牲に供されるというようなことがあったら、全く文字通り踏んだりけったりだと思うのであります。私はかつて沖繩に住んでおったということを申し上げたのでありますが、あの当時でさえも、私はずいぶん各地にあちらこちら転住いたしましたけれども、おそらく沖繩ほど自然的な条件に恵まれないところはおよそ日本になかった。十地もやせ、毎年きまって来る暴風雨にさらされ、そういう点で実に不幸な経済条件に置かれているる。従って、それを救うために、当時日本では沖繩振興曲という費目を設けて、沖繩から上がってくる税金等ではほとんど問題にならないので、日本政府の責任においてそういう費目を置いて沖繩振興をやっておったわけであります。沖繩振興曲という費目は、県内から上がる税金その他によって行なう施策に数倍する費目を上げておったわけです。終戦後はもちろんそういうものはなくなってしまった。従って、今日沖繩の二大基幹廃業の一つといわれておるパイカンは、まことにあわれなほどに貧弱なる状態で、琉球政府としてはこの基幹産業といわれるパイカン振興費もわずか二万七千ドルを支出しておるにすぎないのであります。こういう実に悲惨な状況なのであります。従って、これはどうしても日本本土から強い支援の手を伸べる以外に手がないのであります。ここまで追い込まれてきたのは全く不幸な戦争の犠牲なのでありますから、それを救う道は当然に日本政府にあると思うのであります。ところが、肝心かなめの連絡局長などの、パインについては専門的な知識がないので十分お答えができないというような御答弁は、まことに私は残念だと思う。沖繩産業振興をするということは、あなたの所管だと思う。まず第一にあなたがその第一線の責任を負うべき人だと思う。それが、専門的知識がないからというような逃げ腰では、とても私はこの問題には取り組めないのではないかと思うのであります。私は、ぜひとも、この自由化は、諸般の事情検討して万全の対策を講ずる、つまり十月一日をめどとするという点について十分深い検討をしてもらうということを特にこの際重ねて強調しておきたいと思うのであります。そして、沖繩も決していつまでも高いものを日本の本土の国民に食ってもらおうと考えていないのであります。これは一刻も早く生産を合理化して安いものを供給したいというのが琉球島民の悲願に相違ないと思う。ですから、その悲願にこたえるためにも、令しばらくの時間をかして、琉球は五年間時間をかしてもらえば完全に他と競争できるような安いものを提供するということを言っておるのでありますから、そのいわゆるめどとするというそのめどは五年間の猶予を与えるということをぜひとも考えてほしいと思うのであります。  最後に、先ほどの連絡局長の御答弁がまことに心もとないので、私は重ねてそのことをお尋ねをしたい。しかも、さっきは、この問題については万全の措置をとる、言葉はちょっと忘れましたが、最初にそういう言葉があったので、それは大へんありがたいと思っておったが、さっぱりその実態がわからないというようなお話で、実は非常に失望したわけであります。最後に、この問題の取り組み方についてどういう心がまえで臨むのか。もう一ぺんさっき申し上げたことを繰り返して申し上げるならば、せっかく沖繩生産されたものが、あなたのお言葉にもあったように、日本本土以外には市場を発見することはできないのであります。これを全部日本で消化をする、そういう建前で、そういう強い意気込みをもってこれに取り組むのかどうかということについて最後にお答えをお願いしたいと思います。
  38. 大竹民陟

    大竹説明員 私ども沖繩問題を所管をいたしておりまして、このパイン問題にどういう態度で特連局として取り組んでいくのかその気持はどうかということでございましたけれども、先ほど申し上げました通り沖繩住民の福祉を向上さしていく、そのためには、直接施政しておりますアメリカ政府に対しまして十分な協力を与えまして、琉球住民の福祉が一日も早く向上していくように仕事を進めていく、これが私どもの基本的な考えでございます。パイン問題につきましても、急速に発展した産業でございまして、これは主として日本政府の側でとっておりました特恵措置によってここまで伸びて参ったわけであります。ここでいろいろな事情が起こりましてその特恵措置がどうなるかということでございますけれども、それにかわりますいろいろな措置を講ずるようにしていただきまして、沖繩の人たちがこのために打撃をこうむるということのないように、私どもといたしましては十分な努力をして参りたいというふうに考えております。
  39. 田口長治郎

    田口(長)委員長代理 沖繩産パイナップルかん詰輸入に関し、足鹿覺君から発言を求められております。これを許します。足鹿寛君。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 動議を提出いたします。  すなわち、沖繩産パイナップルかん詰輸入に関する件について、当委員会において決議をいたしたいのであります。  案文を申し上げます。     沖繩産パイナップルかん詰輸入に関する件   農産物輸入自由化については一般的に慎重な態度をもって臨むべきは当然であるが当面の問題となっている沖繩パイナップル栽培業及び同かん詰製造業に対しては関係方面とも充分な協議を逐げ左記の方針の下に適切なる措置を講じ、もってこれが育成保護にいかんなからしむべきである。       記   (一) パイナップルかん詰の輸入自由化は当分の間これを行なわないこと。   (二) 特定物資輸入臨時措置法期限切れに伴い、それに代る措置により沖繩産のものに対する特恵措置を継続すること。   右決議する。     昭和三十六年十一月十日      衆議院農林水産委員会  以上でございますが、自由化問題その他については大きな問題でありまして、これに関する全般的な論議は別の機会にいたすことといたしまして、直面しております沖繩におけるパイナップル栽培業の育成について当面の必要からこの案を提出しておるわけであります。先ほど特定物資輸入臨時措置法の延長の問題について事務当局方針が明らかにされたわけであります。われわれは、もし延長不可能な場合にかわるべき措置とはどうかという点についてもいろいろ考えがあるわけでありますが、これは関税対策を含む他のたとえば直接補給金の問題とかいろいろ考えられるのでありまして、そういった各般の措置を総合してさしておるというふうに御理解を願いたいと思うのであります。  理由等については多くを申し上げなくても、ただいままでの質疑を通じて明らかになっておりますので、これを省略いたします。
  41. 山中貞則

    山中(貞)委員 ただいまの決議、大体基本的には与野党一致の形でございますが、なお、与党といたしまして付言しておきますことは、この「輸入自由化は当分の間これを行なわないこと。」という第一項と、第二項の具体的措置はともに関連をいたしまして、目的はあくまでも沖繩におけるパイナップル栽培事業を育成保護していこうという趣旨にあるのでありまして、先ほども私が申し上げました通り、固定した弾力のないものでなくて、目的を達成するための諸種の手段を十分に検討するためのものであるということを付言しておきたいと思います。
  42. 田口長治郎

    田口(長)委員長代理 お諮りいたします。  ただいま足鹿覧君から提案されました沖繩産パイナップルかん詰輸入に関する件を本委員会の決議とするに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 田口長治郎

    田口(長)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました決議の関係当局等への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 田口長治郎

    田口(長)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、ただいまの決議に付する政府の所見を求めます。斎藤振興局長
  45. 斎藤誠

    斎藤説明員 ただいま沖繩産パイナップルかん詰輸入に関する件につきまして農林水産委員会から御決議をいただいたわけでございます。本件につきましては、さきに御質疑の過程でも述べたわけでございますが、政府におきましては、貿易為替自由化促進計画というものがきまっておるわけでございます。しかし、また、パイナップル栽培業の沖繩における重要性についても十分認識いたしておるわけでございますので、本決議につきましては、さっそく関係大臣連絡いたしまして慎重に検討いたしたいと思います。
  46. 田口長治郎

    田口(長)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会