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1961-10-24 第39回国会 衆議院 農林水産委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十四日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       仮谷 忠男君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂田 英一君       舘林三喜男君    谷垣 專一君       綱島 正興君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    八木 徹雄君       米山 恒治君    足鹿  覺君       片島  港君    川俣 清音君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       西村 関一君    山田 長司君       湯山  勇君    稲富 稜人君       玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (大臣官房長) 昌谷  孝君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君  委員外出席者         農林事務官         (農林経済局参         事官)     松岡  亮君         農林事務官         (農林経済局企         業市場課長)  鈴木 一美君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 十月二十四日  委員綱島正興君、福永一臣君及び北山愛郎君辞  任につき、その補欠として亀岡高夫君舘林三  喜男君及び川俣清音君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員亀岡高夫君及び川俣清音君辞任につき、そ  の補欠として綱島正興君及び北山愛郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 十月二十一日  沿岸漁業振興法案角屋堅次郎君外十二名提出、  衆法第一四号)  水産業改良助長法案角屋堅次郎君外十二名提  出、衆法第一六号) 同月二十三日  水産物の価格安定等に関する法律案角屋堅  次郎君外十二名提出衆法第一五号) 同日  かすみ網猟法の解禁及びつぐみ等狩猟鳥追加  に関する請願唐澤俊樹紹介)(第六四八  号)  同(松平忠久紹介)(第六四九号)  同(井出一太郎紹介)(第七四二号)  同(下平正一紹介)(第七四三号)  同(中島巖紹介)(第七四四号)  同(増田甲子七君紹介)(第七四五号)  同(中澤茂一紹介)(第八一四号)  同(原茂紹介)(第八一五号)  果樹共同利用施設等融資制度に関する請願  (唐澤俊樹紹介)(第六五〇号)  同(松平忠久紹介)(第六五一号)  同(井出一太郎紹介)(第七四六号)  同(下平正一紹介)(第七四七号)  同(中島巖紹介)(第七四八号)  同(増田甲子七君紹介)(第七四九号)  同(中澤茂一紹介)(第八一六号)  同(原茂紹介)(第八一七号)  分収造林収益分収割合改訂に関する請願(唐  澤俊樹紹介)(第六五二号)  同(松平忠久紹介)(第六五三号)  同(井出一太郎紹介)(第七五〇号)  同(下平正一紹介)(第七五一号)  同(中島巖紹介)(第七五二号)  同(増田甲子七君紹介)(第七五三号)  同(中澤茂一紹介)(第八一八号)  同(原茂紹介)(第八一九号)  果樹植栽資金貸付利率引下げ及び資金わく拡  大に関する請願唐澤俊樹紹介)(第六五四  号)  同(松平忠久紹介)(第六五五号)  同(井出一太郎紹介)(第七五四号)  同(下平正一紹介)(第七五五号)  同(中島巖紹介)(第七五六号)  同(増田甲子七君紹介)(第七五七号)  同(中澤茂一紹介)(第八二〇号)  同(原茂紹介)(第八二一号)  農林水産企業合理化試験研究費の増額に関する  請願唐澤俊樹紹介)(第六五六号)  同(松平忠久紹介)(第六五七号)  同(井出一太郎紹介)(第七五八号)  同(下平正一紹介)(第七五九号)  同(中島巖紹介)(第七六〇号)  同(増田甲子七君紹介)(第七六一号)  同(中澤茂一紹介)(第八二二号)  同(原茂紹介)(第八二三号)  建物共済農協一元化に関する請願外二件(井原  岸高紹介)(第六五八号)  同(小笠公韶君紹介)(第六五九号)  同外六件(木村守江紹介)(第六六〇号)  同外六件(八田貞義紹介)(第六六一号)  同外二件(相川勝六紹介)(第七二一号)  同外五件(飯塚定輔紹介)(第七二二号)  同(風見章紹介)(第七二三号)  同外二件(中村英男紹介)(第七二四号)  同外十六件(岡田修一紹介)(第八二四号)  同(笹本一雄紹介)(第八二五号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第九〇七号)  同外十六件(中村寅太紹介)(第九〇八号)  同外四件(穗積七郎紹介)(第九〇九号)  愛知川総合開発事業促進に関する請願堤康次  郎君外一名紹介)(第六六九号)  中央卸売市場法の一部を改正する法律案に関す  る請願久野忠治紹介)(第七二五号)  同(山口六郎次紹介)(第八二七号)  大豆かす自動承認制による輸入方式即時実  施に関する請願河本敏夫紹介)(第七二八  号)  地方卸売市場法の制定に関する請願楢崎弥之  助君紹介)(第八五一号)  米の統制撤廃反対等に関する請願外三十六件(  片島港君紹介)(第八五二号)  現行食糧管理制度の堅持に関する請願藤田義  光君外一名紹介)(第九一〇号)  同(木村守江紹介)(第九一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中央卸売市場法の一部を改正する法律案(内閣  提出第二三号)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。西村関一君。
  3. 西村関一

    西村(関)委員 中央卸売市場法につきましては、青果物、魚介類肉類等、いわゆる生鮮食料品の適正かつ円滑な流通をはかって、生産者の所得の向上並びに一般消費者の利益を増進する、こういうことが目的であることは申すまでもございませんが、このための中央卸売市場なのでありますから、この中央卸売市場機能が十分に発揮されないということでありますならば、これは何もならないということだと思うのであります。そこで、現在、中央卸売市場を通して物資がどのように集散されておるか、どのように流通過程を通って円滑な操作がなされておるかというような点につきまして、公共的な使命が完全に果たされるということが最も大切なことだと思うのでありますが、その点について今度の法の改正が試みられておると思うのであります。  そこで、これらの生鮮食料品卸売価格小売価格の問題についてお尋ねしたいと思いますけれども、これは関係政府委員が見えておりませんし、また、他の委員からの御質問もあるようでございますから、その点につきましては私はあとの質疑にいたしたいと思うのであります。  そこで、中央卸売市場開設及び整備計画についてお伺いをいたしたいと思いますが、人口十五万以上の都市六十八団体に対して中央卸売市場開設及び整備十カ年計画というものが立てられておるわけでございますが、これに対して、政府は、この十カ年間に、どういう内容をもって、どのくらいの予算をもってこの市場開設及び整備計画をしようとしておられますか、まずその点からお伺いをいたしたいと思います。
  4. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り中央卸売市場使命生鮮食料品流通上非常に重要なものでございますが、現在中央卸売市場開設されておりますのは、六大都市を入れまして十九都市でございます。この状況をさらに推進いたしますために、今後十カ年間に、もう少し、全国通流上大事な都市につきまして、中央卸売市場開設を促進しようということを考えておるわけでございます。そこで、一応の目安といたしましては十五万以上の都市を大体対象にして考えるわけでございますが、十五万以上の都市につきまして新しく開設をしたらどうかというふうな目安を立てておりますのは、大体三十二都市。それにつきまして、今後、もちろんこれは強制的にというわけに参らぬと思いますけれども地方実情に応じまして開設を促進して参りたいと考えておるわけでございます。その他既設市場につきましても、既設市場には老朽化しているものとかあるいは工合が悪いものがありますので、そういうものにつきましても整備をしていったらどうか、こういうふうに考えておるわけでございまして、それを合わせますと、一応の目安といたしましては、全体の事業費が十カ年間に二百八十二億、こういうことになるのでございまして、それを対象といたしまして、基幹施設につきましての補助考えたらどうか、こういうことを考えておるわけでございます。そこで、そのうち、補助金といたしましては、一応の現在の考え方は、新設の分につきましては基幹施設の三分の一の補助、それから既設の分につきましては五分の一の補助、こういう計画で進めたらどうかというふうに考えておるわけでございます。従いまして、これに要しまする経費は、補助金といたしまして既設新設を合せて今後十カ年間に二十五億、それから、もちろん、これに伴いまして、地方債、いわゆる起債があるのでございますが、この分が大体二百五十七億というような内容に一応の目安としては持っているわけでございます。三十六年度は九千万円の補助金を計上いたしておりまして、起債ワクといたしましては三十六年度十二億というものが計上されておりますわけでございます。
  5. 西村関一

    西村(関)委員 ただいま局長お答えになりました補助金並び起債ワクにつきましては、大蔵省自治省等とすでに具体的な交渉を進めておられるのでございますか。
  6. 坂村吉正

    坂村政府委員 三十六年度につきましてはただいま申し上げました通りでございますが、今後の十カ年計画で進めて参りますものにつきましては、全体の計画といたしましても大蔵省自治省とも話をいたしておりまするし、また、毎年々々の予算折衝におきましてその必要なものを確保して参りたいということで話をいたしております。
  7. 西村関一

    西村(関)委員 東京卸売市場状態をこの前視察をいたしましたが、あの状態から見ましても、市場の現況は非常に狭隘を告げておる。あのままではとうてい今後の発展を期することもできないし、生鮮食料品流通の適切を期することもなかなかむずかしい。早晩あの施設については拡大をし、整備をし、充実をしていかなければならぬと思うのであります。また、内部の狭隘を告げておるというだけでなしに、食料品の運搬の状態にいたしましても、あるいは食料品が並べられておるところの場所の状態からしましても、きわめて非近代的な、非能率的な状態であるし、かつまた非衛生的な状態である。たとえば、マグロは板も置かないでそのまま地面の上にほうってある、こういったようなことがそのままになされておるのをわれわれ見たのでありますが、そういう状態ではこれはいけないと思うのでありますが、農林省としては、こういったような点についても十分に整備をし、そしてまた内容をよくしていくという努力をしなければならぬと思うのでありますが、それにはやはり予算がどうしてもついて回る。東京中央卸売市場の問題だけをとってみましても幾多の問題があると思うのでありますが、全国中火卸売市場地方卸売市場の問題も含めまして相当な予算がやはり要ると思う。こういう点について、ただいま局長から責任のある御答弁がございましたけれども、今言われた点については昭和三十七年度においては大蔵省並び自治省との間においては相当なはっきりとした話し合いがついているかどうか、重ねてお伺いをいたしたいと思います。
  8. 坂村吉正

    坂村政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、三十七年度の予算につきましては、現在、大蔵省折衝といいますか、提出をしている段階でございまして、三十七年度の予算編成方針その他もまだ政府部内できまっておりませんし、まだ最終的にはきまったものはございません。しかし、全体の計画につきましても大蔵省にも理解をいただいておりまするし、今後その年年におきまして全力を尽くして予算を確保いたしたいというふうに考えております。
  9. 西村関一

    西村(関)委員 建設費につきましては一坪当たり官庁規則によると一万七千円ということになると思いますが、現在のような資材の値上がりをいたしておりますときに、一万七千円の建築といったようなものはとうてい考えられぬと思うのであります。そのような補助額算定基礎となるものの要因の検討と申しますか、こういう点についてどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。補助金が五分の一と申しましても、実際の補助額は十分の一ぐらいになってしまう、こういうようなことが考えられると思うのでありますが、実際の坪当たり単価補助をしなければ意味をなさぬと思うのであります。そういう点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  10. 坂村吉正

    坂村政府委員 予算の組み方でございまするので、この単価につきましては一応の基準が必要であろうと思うのでございまするが、この予算は、一応官庁営繕審議会できめまするいわゆる官庁営繕単価をこの基準にいたして考えておるのでございまして、その官庁営繕単価の一割増しということを採用いたしておるのでございます。ですから、従いまして、一例を申し上げますると、たとえば市場卸売場というようなものを考えました場合には、これは、官庁営繕単価基準といたしまして考えておりまするのは、一平方メートル当たり二万二千円ということで一応組んでおるのでございまして、現状を見ますると、この単価は今年の六月に改訂されておりますが、そういう関係で、たとえば、今年も補助金を配りまして事業をやっておるところもございまするけれども、大体この程度単価でやっていけるようでございます。横浜等におきましてもこれより低い単価でやっておるところもございまするし、また、地方都市におきましては、さらに低い単価でやっておるところもございます。大体この程度でやれるのではないか。必要に応じましてまたこれは官庁営繕単価でございますから修正することもございます。
  11. 西村関一

    西村(関)委員 官庁営繕の一割増しということで見積もってある、地方状態によってはまたさらにこれをふやすことも考えられるというような御答弁のようでありますが、事実やれるような見通しのある予算でないというと、実際は補助額基準からずっと下回るような結果になるということでありますから、その点につきましてはなお格段の御留意を願いたいと思うのであります。  次に、卸売業者兼業の制限の問題であります。これは、先日の参考人の公述にもございましたが、この法律改正案についての一つ問題点であろうかと思うのでありますが、兼業ということは、どんな種類の仕事兼業でやっておりますかどうか、どういう業種の兼業をやっておりますかどうか、それからまた、その兼業卸売業者兼業をやっておるためにどういう弊害が具体的に起こっておりますかどうか、また、若干の弊害があってもどうしても兼業をやらなければならないというような事情が卸売業者の中にあるとお考えになりまするかどうか、その現状分析について農林省のお考え伺いたい。
  12. 坂村吉正

    坂村政府委員 卸売業者兼業状況を申し上げますると、十九都市卸売業者全体で百九十三人ございます。その中で兼業をやっておりますものが三十六ございまして、一番おもなものは冷蔵庫業でございます。これは、たとえば水産業卸売人につきましては非常に関係の深い仕事でございます。そのほか、運送業漁業製氷業製造加工業、貿易、販売業、そういうようなものもございます。おもなもので申し上げますとそういうような状況でございます。一番多い冷蔵庫業が十六ございます。それから、漁業はいろいろ問題もございますが、大体三人でございます。  経営状況を見ますると、兼業をやっておりますことによって非常に工合が悪いんだというようなことが端的に言えるというような状況でもございません。しかし、実際調べてみますると、中には赤字経営になっているものもございますし、ところによっては兼業をやっているものの方が幾らか出荷者に対する代金の支払いが一、二日おくれているというようなところもございます。もちろん、これは卸売人自体経営状況にもよるのでございまして、兼業をやっていないものでもそういうものがあるのでございますが、兼業をやっているものの中にもそういうふうなものが見られるわけでございます。三十四年三月の状況で見ますと、赤字経営になっているものが水産会社で三社ございます。最近これは直っております。青果の会社で五社ございます。これはだいぶ最近は改善されておりますが、この数字がどのくらいになっておりますか、まだ最近の調査がございませんが、そういう状況でございます。
  13. 西村関一

    西村(関)委員 私の伺っておりますのは、兼業をやっておるために卸売人としての機能が十分に発揮できてないというところから法の改正がなされて参ったと思いますが、今局長の話ですと、さしたる弊害が起こっているとは思われないということで、どうもその点納得がいかないと思うのですが、もう一度お答えを願いたい。
  14. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り兼業をやることによって卸売業務自体影響するようなことが起こりますと、これは非常に重大問題になるのでございますけれども、そういう点で現在の状況では非常に重大な問題が起こっているという状況ではないということを申し上げたわけでございますが、もちろん、兼業経営いかんによって卸売業務自体影響がないわけではないのでございますから、そういう点をできるだけ防止をいたしまして健全な卸売業務をやっていってもらうということのために、今度の法律におきましても、そういう兼業実態十分把握をいたしまして、これに対して十分な監督あるいは指導ができますように、そういうようなことで届出制ということで法律改正考えたわけでございます。
  15. 西村関一

    西村(関)委員 兼業をやっているということによって、本来の卸売業支障を来たすのではなくて、むしろ関係のある仕事をやっているし、また金融その他の操作の面においてもむしろ本来の卸売業務に対してプラスになるような面もあるためにやっておるというような向きがあるのではないか、あるいは兼業をやっていることのために本来の卸売業務に対して欠くるところができてきているんじゃないか、こういう二つの相反する面がそれぞれあると思うのであります。そういう点の分析がやはり必要だと思うのであります。この法の改正は、届出制とはいえ何らかの規制を行なうことでありますから、むしろ弊害の方に重点が置かれておる。現在さしたる弊害がなくても、将来弊害が起こるであろうということが予想されてこういう法の改正が行なわれると思うのでありますが、そういう点に対して、今の局長の御答弁では私はまだもう一つ納得がいかない。もしそういう弊害が起こり得るという可能性があるならば、ただ兼業規制を与えるというだけじゃなくて、むしろ本来の卸売業務に対して安んじてその業務に従事できるような法によるところの保護を与えるとか、あるいは何らかの奨励の措置をとるとかいうようなことの方が必要じゃないかと思うのです。その点重ねてお答えを願いたい。
  16. 坂村吉正

    坂村政府委員 仰せの通りでございます。ですから、そういう観点に立ちまして、私ども今度法律改正考えましたのは、届出によって兼業実態を十分に把握し、それから、検査をし、状況によりて本来の卸売業務影響を与えるような状況でありますれば、これに対しては改善措置命令を出しまして、改善措置命令に従わない場合には、あるいは役員解任命令もございますし、業務停止というような非常に強硬な罰則規定もあるのでございまして、そういうことで十分一つ監督を厳重にして参りたいということを考えておるわけでございます。兼業業務によって本来の業務が阻害されるというようなことがありませんように十分一つやって参りたい、そういう工合考えておるわけでございます。
  17. 西村関一

    西村(関)委員 兼業業務によって本来の業務支障を来たさせるようなことが将来あり得るだろうということから届出制というものが考えられたと思うのであります。その点については、届出制によって、大臣行政指導によって円滑を期していく、そういう弊害の芽をつんでいくのだ、こういうお考えのようでございますが、もう一つつっ込んで言うと、兼業禁止してしまうというお考え根本に横たわっているのであるかどうか。ただ、そこまでいくといろいろ問題があるから、禁止まではいかないが、届出制によってある程度規制をし、行政的な指導によって、本来の業務支障を来たすようなことのないように兼業の問題を解決していくのだ、こういうお考えであろうと思うのでありますが、根本には禁止してしまった方がいい、本来の業務一木に専念すべきだというお考えがあるのかどうか、その点を伺いたい。
  18. 坂村吉正

    坂村政府委員 兼業業務につきましての問題でございますが、卸売業務に専念させるという意味から申しますれば、御指摘のように兼業禁止ということも考られると思うのでございます。しかし、それは、実際問題といたしまして、現に従来も今申し上げましたように三十幾つかの兼業もございます。こういうようなものが現にほんとうに本来の卸売業務支障を与えていないという状況でございますれば、これを法律で画一的に禁止をしてしまいますことは、非常に経済にも混乱が起こってくることがあろうと思います。従いまして、そういう点を十分実情に即してやっていく、こういうような意味におきまして、届出制実態把握し、これに対しまして、大臣指導と申されましたけれども大臣指導ではございませんで、工合の悪い場合には行政措置命令という法的な措置を講じまして、その命令に従わない場合には非常に厳重な役員解任であるとかあるいは業務停止だとかいう措置が講じられる。これは十八条にも業務停止ということが書かれておりますので、そういうことまでできる、こういう内容になっておるのでございまして、この問題は私どもも非常に重要に考えておるわけでございます。
  19. 西村関一

    西村(関)委員 現行法によりまして従来そういう弊害については行政的な措置がとられなかったというお考えなんですか。やはり、届出制を復活させないとどうも工合が悪いということからこうなってきたんですか。
  20. 坂村吉正

    坂村政府委員 従来は全然兼業業務についての規制がございません。従いまして、兼業業務等についての検査であるとかそういうようなことも、なかなか十分にはいかないような状況でございまして、卸売業務については検査も十分できますけれども、そういう状況でございますから、届出できちんと把握をしておきまして、そうして、検査もし、場合によっては兼業業務と本来の卸売業務との経理区分をやらせる。そういう指導をして、それでなおかつ非常に卸売業務支障を与えるというような場合には、これは法律規定に基づきまして大臣改善措置命令なりあるいはその他の監督措置が講じられる、こういう工合にして参ったのでございまして、現在の実情を非常に混乱に陥れないような姿において十分な厳重な監督をしていきたい、こういうようなことで考えたわけでございます。
  21. 西村関一

    西村(関)委員 この届出制をやるということについては、本来の中央卸売市場の性格から言って当然なことだと私は思うのでありますが、先日川俣委員が指摘せられたような、兼業にパチンコ屋をやっているようなものを、今日まで規制する方法がないからそのままに放置されておったというようなことでは、これはやはり本来の業務支障を来たすということを言われても仕方がないと思うのです。本来の業務関係のある仕事で、支障を来たすようなことがないというような点については、今後も届出制によっていろいろ指導をし規制をしていく、あるいは監督をしていくということがよりよくできると思いますが、従来の、現行法にいたしましても、そういう目に余るようなものがあるということに対して何ら手を打つことができなかったということも、やはり、行政監督指導の責任にある農林省としては少しどうかと私は思うのですが、その点、従来とても調査はできなかったと言われますけれども、常識的に考えてもこれはできるはずだと思うのですが、そういう点、いかがですか。
  22. 坂村吉正

    坂村政府委員 パチンコ屋をやっていたものが卸売人の名義でやっていたかどうか、つまびらかではありませんけれども、従来におきまして、ともすればそういう点があったかと思うのでございまして、こういう点が、やはり、いろいろ指導をいたしましても、何といたしましても法律の根拠も必要なものでございますから、そこで、今度法律改正もお願いしまして、届出制という根拠を持ちまして、それに伴ういろいろな措置を講じたい、こういうふうに考えております。法律を通していただきました暁には、御趣旨の通り非常に厳重な検査監督をやって参りたいというふうに考えておるのであります。
  23. 西村関一

    西村(関)委員 この臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会の、生鮮食料品卸売市場についての対策に関する諮問に対する答申というのが三十五年の三月五日に出ておりますね。この答申の中に、卸売人の財務の安定をはかり健全経営を維持せしめるよう税制その他諸般の措置を講ずべきである、という一項があり、卸売人兼業規制するということも必要であるということは今の御答弁により了解がつくのでございますが、しかし、同時に、先ほども私が申し上げましたように、卸売人の財務の安定をはかるということでないと、どうしてもやはり兼業して財政的な面の不足を補っていかなければならないということが起こってくるわけであります。そういう見地からこの答申が出たと思うのでありますが、卸売人が健全な経営を維持して参りますためには、たとえば税制その他の諸般の措置を講ずるということでありますが、この答申に対して、政府卸売人に対してどのような措置を講じられたか、また、講じようとしておられるか、そういう点を伺いたい。
  24. 坂村吉正

    坂村政府委員 卸売人の財務の健全をはかることは、大きく申し上げますと、現在の手数料の範囲内で、——たとえば、蔬菜については全国平均で一割、生果は八分、水産物は六分という手数料をとっておるのでありますが、現在普通の業態であれば手数料の範囲内で健全な経営ができるという観点に立っております。そういうようなことで、いろいろ乱立をいたしまして過当競争がございますと、そのためにひびが入るような問題もございますので、いつでも単数とは申し上げませんが、できるだけ数を少なくして健全な経営をやって、いわゆる過当競争が起こらないようにという指導をやって参っておるのであります。そういうような意味におきまして、それが健全経営一つの大きな筋であろうと思いますので、私どもといたしましては、営業上のいろいろの税制の問題よりも、まっ先に、合併の場合の税制上の特別な是正措置を講じたいということを考えたわけでありまして、合併については独禁法の除外規定も設けてありますが、合併の場合に清算所得に対する課税の減免を行なう、そういうことで本年の通常国会におきまして租税特別措置法の改正をお願いして通過いたしております。
  25. 西村関一

    西村(関)委員 次は、卸売業者の合併の問題でありますが、現行法によりまして、中央卸売市場内の卸売業者の合併もしくは業務の譲渡につきましては独禁法の適用除外の規定がございますが、それをさらに今回は拡大をして、類似市場との間における卸売業者の合併・譲渡の場合にも独禁法の適用除外をしよう、こういう改正のようでありますが、ここで問題になりますのは、やはり類似市場の問題だと思います。どういうことで類似市場というものができてきたか、類似市場というものはどういう性格を持っておるか、しかもこれは中央卸売市場の周辺にあるところの類似市場のことが一番問題になると思うのでありますが、この類似市場が現在どういう性格を持って、どのくらいの取り扱い数量、取り扱い金額の業務を行なっておるか、それが中央卸売市場業務にどういう影響を与えておるか、こういうような点についてお伺いいたしたい。
  26. 坂村吉正

    坂村政府委員 類似市場の問題は非常にむずかしい問題でございまして、中央卸売市場法におきましても、中央市場開設のときには類似市場の閉鎖を命ずることができるという規定があるのでございますが、中央卸売市場の性格そのものが、実はこういう生鮮食料品は国民が日常絶対欠くことのできないものでございますので、これを非常に限定的に考えるというものではございませんで、どちらかといいますれば助長的な性格のものでございます。ですから、中央卸売市場といいますものは、これをりっぱな設備を作りまして、ここで大量の集中取引をやって、そこで公正な取引ができるようにして、それが一つの模範になって、大体そこに青果物が集まるような、そういうような施設を積極的に作っていく、そしてそこにひとりでにみんな取引が集まるように、こういう性格の法律でございますので、その後中央卸売市場開設しましてからあとでまわりにできます市場禁止するというようなことは、現在の法律でも予定してないわけでございます。ですから、そういうようなことで、実際問題としては非常に問題にはなりますけれども、ただ、中央卸売市場に対しますところの制度あるいはその他の措置が十分に行き渡りますれば、その類似市場の問題はだんだんと解消するのではないかというふうに考えておるわけでございます。現状におきましても、大体全国中央卸売市場の取引高が二千億から三千億でございます。そのうち類似市場で扱っているものは百億と見ていいんじゃないかというふうに考えております。その程度でございますので、国民生活を考えました場合に、たとえば東京を例にとりましても、大部分のものが小売屋には中央市場から行っております。そういう状況でございまして、現在の類似市場があるから、そのために中央市場が非常に問題が起こっているというようなことは、そう大きな問題は起こっていないんじゃないかというふうに私ども考えておるのでございます。しかし、今後、中央市場施設を十分整備し、取引を改善することによりまして、そういうものもだんだんなくしていこう、そのためには、一つの援助措置といたしまして、類似市場や中央市場卸売人を合併します場合にも、独禁法の特例を設けて、これの合併が容易に進むように、こういうことを今度法律案では考えましたわけでございます。
  27. 西村関一

    西村(関)委員 中央卸売市場の取り扱い高が二千数百億か三千億に対して、類似市場の取り扱い高がわずかに百億だからそう大した影響はない、こういう御答弁でありました。この間の本委員会におきます参考人の公述を聞いておりますと、中央卸売市場卸売人の代表である参考人が申されたところによりますというと、この類似市場を放任して規制をしないで、中央卸売市場卸売人の立場が著しく阻害されるような状態をそのままにしておいて、中央卸売市場機能を十分に発揮するということはできないのじゃないか、つまり、農林省公認という旗をたれて、やみの白タクが運輸省公認という旗をたれて走っているのと同じじゃないかというのです。農林省公認という看板を出している市場が営業をやっているということに対して、非常な強い言葉で参考人が供述をしておられましたのを聞きましたが、今の三千億に対して百億というような金額から申しまして大した影響はないと言われる点と、先日の参考人の供述とがあまりにも何か食い違っているような感じを受けるのですが、その点どういうふうにお考えですか。
  28. 坂村吉正

    坂村政府委員 非常に申し上げにくいことでございますけれども、中央市場の中の卸売人の立場としては非常に強く言葉が出ると思うのであります。といいますのは、まわりでそういうことをやられたのでは卸売人としての営業に非常に影響があるのではないか、こういう感じが非常にするのではないかと思いまするが、私どもの見ておりますところによっては、全体の流通量といたしまして見ました場合にそういうようなことになるのでございますので、全体の流通量としてはそういう工合考えていいのじゃないかというふうに考えているのでございます。また、かりにそれでは東京都なら東京都の中央市場以外で全部この取引を禁止をするということをやりました場合に、中央市場整備そのものが十分に行なわれません場合におきましては、なかなかそれは現実問題としてできないのではないか、こういう感じもいたすのでございまして、私どもは、そういう意味におきまして、できるだけ助長的に中央市場整備をやっていきたい。そこに持っていきさえすれば一番確実で安全であるという姿にできるだけ早く持っていきたい、こういうことを考えておるわけでございます。
  29. 西村関一

    西村(関)委員 類似市場中央卸売市場補助的な機関であるというようなことがありましたが、政府としてはむしろこの類似市場があった方がいいとお考えになっておられるのか。ただいまの局長の御答弁ですと、中央卸売市場機能が十分に発揮されるようになってくれば自然に流通面においては全部中央卸売市場を通すようになってくるから類似市場などは存在の意義を失ってしまう、こういうようなお言葉でございました。ですから、補助的な機関だというふうにして放任しておく、助長させるということはなくてもむしろそのままにしておくというお考えなのであるか、むしろそれはなくなっていってしまった方がいいというふうにお考えになっていらっしゃるのであるか。その点、現行法の二十一条には類似市場届出規定がございます。二十三条には改善命令を出すという規定がございますが、従来から類似市場に対して改善命令を出された事例がございますかどうですか、その点を含めてお答えをいただきたいと思います。
  30. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り、類似市場といいますのは、今の中央市場の段階におきましてこれはあるのでございまして、私どもの感じから申し上げますれば、中央市場補助的機関だということはこれは一言も申し上げたことはございません。結局必要なる悪だ、これはなくなってしまった方がいいんじゃないかという感じは根本的には考えております。そういう工合に持っていかなければいかぬというつもりではおりますけれども現状におきましては、どうしてもこれはやはりある程度残っておってもやむを得ないのではないかという、現実問題としてそういう感じがするのでございます。従いまして、各開設者におきましても、それから農林省におきましても、できるだけその類似市場をなくしていく、こういう方向でいろいろ指導はいたしております。  二十二条、二十三条の本法の条文は、これは三十一年の改正でございますけれども、ただほうっておきますると、やはり、どういう状態になっておるか、そういう点がわからないで非常に困るからという意味で、一応いろいろこれに対する措置を講ずるもとといたしまして、届出をさせた、こういうことになっておるのでございますが、将来の方向としては、私どもも、なくなった方がいいということを前から考えておるわけでございます。
  31. 西村関一

    西村(関)委員 もう一つ、改善命令を出された事例がありますか。
  32. 坂村吉正

    坂村政府委員 今まで改善命令を出した例はございません。
  33. 西村関一

    西村(関)委員 どうも、今の御答弁を聞いておりますと、理想としてはなくした方がいいけれども現状としては、自然発生的にこういうものはできてきているのだから、これをできるだけ規制をして、本来の中央卸売市場業務支障を来たすようなことのないように、流通面において欠くるところがないようにしていかなければならない、こういうことでございますが、先般の参考人の供述を聞いておりますと、法の改正の意図しておりまするところの合併あるいはその業務の譲渡を中央卸売市場卸売人がやろうとした場合にやりやすいようにするというところにあるようでございますが、現在の雰囲気、現在の実情から言って、たとい法の改正ができましても、お互いに、敵対関係と申しますか、商売がたきと申しますか、そういうような気持が解消されておらぬ現状においては、この改正が意図しておりますような措置が行なわれるというふうには考えられないのであります。そして、また、従来から改善命令が出されていないということは、類似市場についてそう大した問題が起こってないというふうにも考えられるわけで、現状のままでもいいというような意味にもとられると思うのでありますが、そういう点については、お見込みとしてはどうでございますか。
  34. 坂村吉正

    坂村政府委員 私どもも、類似市場が現在のままでいいとは決して思っておらないわけでございます。従いまして、類似市場が中央市場卸売人とできるだけ合併していくように、そういう面を促進し指導して今までも参りましたし、今度こういう法律改正によってそういう便宜をはかろうと考えておるわけであります。また、一面、非常に地理的にその地帯に市場が必要だというような場合におきましては、そういうものをできるだけ組合いたしまして中央市場を設立する、そういう方向に持っていきまして、監督が厳重にできますような市場を作っていく方向で指導して参りたいと思っております。
  35. 西村関一

    西村(関)委員 現行法においてもそうでございますが、今度の法律改正によりまして、私的独禁法の適用の除外を受けるについては、公取との関係はどういうふうになりますか。
  36. 坂村吉正

    坂村政府委員 この点は、公正取引委員会とも十分連絡をとっておりまして、公正取引委員会におきましても問題はございません。
  37. 西村関一

    西村(関)委員 次に、売買の方法についての改正点でございますが、現行法ではせり売りを原則としております。特別の事情のあるときには業務規程で規定をするならば入札、定価売り、相対売りもできるというのを改めて、入札もせり売りと同じように法的な根拠を与えてやらせようというお考えのようでございますが、入札とせり売りとは同じウエートにお考えになっていらっしゃるのですか。
  38. 坂村吉正

    坂村政府委員 現行法におきましては、おっしゃる通り、せりを原則としておるのでございますが、実際問題といたしまして、いろいろ地方実情によりまして、あるいは土地の慣習等によりまして、入札を行なっておるものもあるのでございます。そういうような状況でございますので、結局、問題は、生鮮食料品についての価格の決定方法を一番公正にすればいいのでありますから、せりといい、あるいは入札といい、いわゆる競争に基づいて価格をきめるということについては差がないのでございますので、そういう意味におきまして、入札もせりも同じように扱っていったらどうかというふうに考えておるわけでございます。
  39. 西村関一

    西村(関)委員 特別の事情というのは、たとえばどういうことをさすのでございますか。
  40. 坂村吉正

    坂村政府委員 現行法の特別の事情でございますか、それとも新しく改正をいたしました場合の特別の事情でございますか。
  41. 西村関一

    西村(関)委員 両方です。
  42. 坂村吉正

    坂村政府委員 現行法におきましては、原則はせり売りといたしまして、あとは業務方法書で特別の事情があるということで入札とかその他の方法をきめておるわけでございますが、それは、先ほど申し上げましたように、その土地々々の事情により、あるいはその土地の商慣習等によりまして、入札を採用することも行なわれております。また、ものによりましては相対売りをやった方が適当じゃないかというものがその地方によってございますので、そういうものを相対売りというふうにやっておるものもあるのであります。そういうことでございまして、そこら辺が非常に明確でございませんので、改正法案におきましては、せりと入札を原則といたしまして、その他のものにつきましては業務方法書ではっきりときめさせよう、それから売買の方法をきめさせよう、こういうことを考えておるのでございます。その際の特別の事情といいますのは、災害が起こってせりをするのに非常に適当でないとか、あるいは、非常に品が少なくて、せりにかけても問題にならないような状況であるとか、いろいろそういうような事情があるのでございますので、そういう場合に特別の相対売りの方法とかその他のものがやれるようなことをきめさせておいたらどうかというふうに考えておるわけであります。
  43. 西村関一

    西村(関)委員 せりと入札と同じウエートを置こうという考えなんでしょうか。あるいは、現行法のように、せりが中心で入札もということなのか。従来もそれはやれぬことはなかった。業務規程で規定すればそれはできたんだけれども、今度はそれに法的な基礎を与えようというのであって、やはり現行法と同じようにせりが中心であるということなんでしょうか。たとえば、塩乾物ならば、せりでやらなくても入札の方がいいという、品種によって入札の方がやりいいということもあると思いますが、その点は各地方地方実情にもよりましょうし、また、取り扱いの品目にもよると思いますが、私の伺っておりますのは、今度の法律改正では、ウエートをせりに置くのか、あるいはせりと同じように入札にも置くのか、その点どうなんでしょうか。
  44. 坂村吉正

    坂村政府委員 せりといい、入札といいましても、いずれにおきましても価格を競争的に公開できめるという方法でございます。常識的に申し上げますと、せりの場合には、大体、口頭で値段を申し出て、最高のところにせり上げていく、こういうことでございますが、入札の場合におきましては、普通一般的には札を入れるという方法でやりまして、最高のところに落ちる、こういうことでございます。いずれにいたしましても、運用の問題や地方実情の問題であろうと思いますが、せりというものがある程度機械化されてくることになって参りますと、どちらかといいますと性格としては入札に近いようなものが非常にふえて参ることがあろうと思うのでございます。そういう意味からいたしまして、現状で両方平等だということは言えないと思いますけれども、原則としては両方同じ建前で平等に取り扱っていっていいのじゃないかと考えております。
  45. 西村関一

    西村(関)委員 次にお尋ねしたいのは、地方卸売市場の取り扱いの問題でありますが、中央卸売市場は公共性のゆえに一面手厚い保護を受けております。また、他面各種の規制を受けておる。ところが、中央卸売市場の区域外にあるところの地方卸売市場につきましても、その流通面において果たしますところの役割の公共性は、やはり中央卸売市場とは何ら変わらないものを持っておると思います。ところが、現在の状態から見ますと、地方卸売市場というものが乱立されておる。そして、そのために、過当競争のために共倒れの状態が起こっているところもある。こういう点に対して、現在地方卸売市場がどういう状態に分布されているか、どういう現況にあるかという点をお示し願いたいと思います。
  46. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り中央卸売市場でないその他の地方卸売市場におきましては、現在待に法律があって、これを監督するというものはございません。県におきましては条例によってこれを規制しておるものもございます。それは、県で、三十一都道府県におきまして、条例を作っておる状況でございます。しかし、なかなかこれは十分に監督し、それから指導をして参るということはできない状況でございますので、この法律の立案の基礎になりました調査会におきましてもいろいろ議論も出ましたし、それから地方からもそういう要請は多いのでございます。何とかこれについての措置考えてほしいという要請が多いのでございます。しかし、この前の調査会におきましても地方卸売市場の問題についてまで具体的な検討が進みませんものでしたから、この際中央卸売市場法改正に関連をいたしまして何とかその点の措置も講ぜられるようにしたいということでいろいろ考えましたのが、この中央卸売市場の周辺地区についての取り扱い、周辺市場についての取り扱いの問題でございます。ですから、この中央卸売市場業務と非常に密接な関連を持ちますところの周辺の地区におきまして、そこにおける卸売市場につきまして農林大臣が必要な改善措置命令等が出せる、こういう規定を今度新たに設けようというふうに考えたわけでございます。そういうようなことで考えて参りますと、たとえば東京なら東京中央卸売市場の周辺地区と申しますと、これは関東あるいはその他のその外までも広がりを持つのでございますので、そういうようなことで考えて参りますと、大体これでほとんど全国カバーできるのじゃないかというふうなことで考えておるのでございます。とりあえずの問題といたしましては、この措置地方卸売市場に対しまする改善措置を講じて参りたいというふうに考えておるわけでございます。
  47. 西村関一

    西村(関)委員 この地方卸売市場中央卸売市場でないところの、市場の中の地方卸売市場に対する規制が従来なかったために乱立される、しかも、内容的にきわめて不完全なものができまして、お互いに競争をし合って、出荷者に対する出荷代金の回収も十分にできなければ、消費面においては非常に劣悪な不良な品物を高価に売るというような好ましくない状態が各地に起こってきているのであります。こういう点については、従来は国の何らの規制がありませんから、道府県及び市町村の条例によって規制されていると今お答えになったわけでございますが、なぜ従来からこういうものに対して国が規制をしなかったのであるか。今度は中央卸売市場の周辺地区にあるところの地方卸売市場に対して国が勧告をする、勧告に従って改善をさせるということになって、それで大体全体をカバーできるというわけでございますが、そのような措置だけではたして今までの弊害が除去されるであろうか、こういう点についてもう少し政府のはっきりとしたお考えを出していただきたいと思うのであります。この地方卸売市場開設者は、従来一般の商人であり、一般の卸売業者自体が開設しておる、こういう点がありまして、これが規制はなかなかむずかしい問題があると思いますけれども、この点については、今度の法律改正によりますところの勧告することができる、中火卸売市場に悪影響を及ぼすような地方市場があったと認められた場合に、地方市場の改善について国は勧告することができるということでありますが、それだけではたしてこの弊害が除去されるのでございましょうか。その点、もう一度お答えを願いたい。
  48. 坂村吉正

    坂村政府委員 御指摘の通り、この措置だけで十分であるとは考えておりません。とりあえずの措置として、中央市場法に関連をいたしまして実施しようとしておるのでございますので、今後の問題といたしましては、地方市場につきましての全般的な規制といいますか、助長といいますか、そういう問題を一つ法的にも研究をして参りたいと思っております。従来地方市場が非常に無視されて参りましたのは、私、率直な感じを申し上げますと、各都道府県が市場という問題につきまして関心は全般的にはそう強くなかったと思うのでございますが、だんだん生鮮食料品流通という問題が非常に大きなウエートを持って参りますと、各府県におきましても非常に真剣にこの問題を考えておるのでございますので、できるだけ早い機会に、各県の実情等もよく調査をし、あるいは検討をいたしまして、そういう問題に入って参りたいというふうに考えております。
  49. 西村関一

    西村(関)委員 国の勧告に従って改善をやった場合には、当然地方卸売市場といえども国庫補助対象になるわけであると思いますが、そういう場合に、普通の商人の営業行為に対して、それが公共性があるからといっても、いわば営利事業としてやっているところの事業に対して県や国の費用を注ぎ込むということが、補助金であれ何であれ、そういう形でやるということがはたして妥当であるかという問題がからんでくると思うのでございます。むしろ、地方卸売市場は、町村、自治体の経営に移すことの方が合理的ではないかと思うのであります。あるいはまた、県条例等によりまして、農業協同組合、漁業協同組合等がやる、あるいは特殊な法人を作って、その法人にやらせる。一個人の業者にやらせるということでなしに、県、市町村あるいは農協その他の団体あるいは特別な法人を作ってやらせるということの方が、むしろ地方卸売市場を育成していく場合において合理的ではなかろうかと思うのであります。これは一般の商人の恣意にまかせてそのままにしておくというお考えのようにとれますけれども、そういう点についてはどのようにお考えになっておられますか。
  50. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通り改善措置命令を出しました場合におきまして国で援助するという問題がございまするが、今のところ予算上そういうような措置はさしあたりは考えておりません。この点は、できるだけ都道府県等ともよく連絡をとりまして、県内の市場でございまするから、そういうふうなことで改善措置あるいは勧告等をいたしまする場合には、その必要な施設等につきましては都道府県においても何か援助の措置ができるようなことを一つ考えて参りたいというふうに考えておりまするが、そこで、その経営主体あるいは開設者というものをどういう工合にするかということが今後も問題が残ろうと思うのでございます。現在におきましても、あるいは市町村というようなものが開設をいたしておりまして、あるいは業者がそこに入って仕事をやっているというようなものもございまするし、市町村が直営で市場をやっておるものもございます。それから、協同組合、農業協同組合とか漁業協同組合というようなものが市場開設までいたして、これが卸売業務もやっておるというものもございます。そういうような形態がございますので、今後の問題といたしましては、その施設そのものを持って市場を開くというものは、なるべくこれは公の機関がやった方がいいのではないかというふうな感じはいたしまするけれども、まだそこまで検討いたしておりませんので、はっきりした方向をお答え申し上げるわけには参りませんけれども、十分一つ検討して参りたいと思っております。
  51. 西村関一

    西村(関)委員 次に、審議会の規定であります。当然この審議会が置かれることは望ましいことでありますけれども業務関係のある者は審議会の委員にしないということでありますが、しかし、全然業務関係のある人の意見を聞かないでは、審議会が十分な目的を達することはむずかしいと思うのです。そういう場合には、この専門委員の中には業者の代表などを入れるというお考えがあるのでしょうか、どうですか。
  52. 坂村吉正

    坂村政府委員 御趣旨の通り、専門の事項等につきましては、当然業務に精通しておる者の意見を聞くということが必要であろうと思いますので、当然考えて参りたいと思います。
  53. 西村関一

    西村(関)委員 前国会におきまして審議未了になった法案でありますが、そのときに附帯決議がつけられました。あの附帯決議の条項につきましては、局長はもちろんそれを尊重せられることは言うまでもありませんけれども、具体的にこの附帯決議の条項に対してどのような措置を講じていこうというふうにお考えになりますか。
  54. 坂村吉正

    坂村政府委員 前国会の附帯決議につきましては、その御趣旨はしごくごもっともなことでございますので、私どもは、その御趣旨の通りに、十分に御趣旨をくんでやって参りたいというふうに考えております。具体的な問題といたしましては、ここに検査の強化というのがございまするので、検査費等につきましても、十分三十七年度の予算におきましては全力を尽くして充実をさせたいというふうに考えております。
  55. 西村関一

    西村(関)委員 検査の強化の点について、具体的に定例として年に何回ぐらい市場検査をやられますか。
  56. 坂村吉正

    坂村政府委員 現在のところ、員数、経費等の関係で十分に行なわれているとは申し上げられないのでございまするが、六大都市につきましては、一年に一回は検査をいたしております。それから、その他の地方都市につきましては、二年に一回という計画検査をいたしております。
  57. 西村関一

    西村(関)委員 どうも、六大都市で年一回、その他の地方都市は二年に一回、この社会情勢の非常な急速なテンポで移り変わっているときに、そんななまぬるいことでは、なかなか流通の適正化をはかるということはできないと思うのです。附帯決議の趣旨もやはりそういうところにあると思うのです。予算が足りなければ、やはり必要な予算は要求せられて、適正な運営がなされるよう指導監督をする上においても、もっと回数をふやして、あるいは検査をする人員をふやして十分な検査をして、運営の適正を期していくということが必要だと思います。その点はいかがですか。
  58. 坂村吉正

    坂村政府委員 おっしゃる通りでございまして、非常に十分な検査ができておりませんことはまことに遺憾でございますので、三十七年度におきましては検査費の充実をはかるように全力を尽くしたいと思っております。
  59. 西村関一

    西村(関)委員 十分な検査が行なわれていないために、先ほど指摘いたしましたような市場内の整理整頓あるいは衛生的な配慮というものが十分でないと思うのです。これはやはり国民の重要な食糧資源の流通を担当するところの非常に大事な部面でございますから、そういう点に対して十分な上にも十分な配慮がなされなければならないと思うのです。この衛生的な配慮については、厚生省の所管であろうと思いますから、厚生省の担当官から伺いたいと思いますけれども、そういう点に対しても、中央卸売市場監督の責任にあるところの農林省としては、これはなおざりにすることはできない問題だと思うのです。こういう点に対して非常に不完全だと私は思うのです。そういう点についても前国会の附帯決議の趣旨もあると思うのです。次官が今おられないですから、局長からその点について、一つ大臣、次官にかわって最後にお伺いしたいと思うのです。
  60. 坂村吉正

    坂村政府委員 新しい法律改正案通りますれば、いろいろな検査その他の仕事につきましても、それからその他の関係仕事につきましても、心機一転をいたしまして、一つ十分国会の御意思が反映いたしますように最善の努力をいたしたいと思います。      ————◇—————
  61. 野原正勝

    野原委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま審査中の、内閣提出、畜産物の価格安定等に関する法律案、及び、芳賀貢君外十一名提出、畜産物価格安定法案、並びに、内閣提出、大豆なたね交付金暫定措置法案について、それぞれ参考人の出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、それぞれの参考人の出頭日時、人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  本会議散会後再開することといたしまして、暫時休憩いたします。    午後零時二十八分休憩      ————◇—————    午後二時五十八分開議
  64. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対する質疑を続行いたします。石田宥全君。
  65. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 経済企画庁長官にお伺いしたいと思うのですが、最近の青果物の値上がりが激しいものがありまして、一般国民の間に非常な関心を持たれておるわけであります。先般の経済企画庁での国民生活に関する不満調査によりますと、野菜、鮮魚、肉、牛乳、卵などの生鮮食料品の値段が高い、鮮度が落ちておる、品質が悪い等々の不満が現われておるようであります。この問題は根本的にはいろいろ問題があろうかと思うのでありますけれども、今日諸物価の値上がりしておる中で特に生鮮食料品の値上がりの比率が大きいことについては、大臣もすでによくお聞き及びのことであろうと思うのでありますが、この問題に対して経済企画庁としては今後いかなる措置をおとりになろうとしておられるか、お考えを承りたいと思います。
  66. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 本年夏季、六月以降、生鮮食料品が値上がりしておりますことは、十分でないかもしれませんけれども存じております。それらに対してどういうふうな措置を今後とっていくかということでございますが、企画庁として、むろん、物価を安定させますために、生鮮食料品あるいはその他の耐久消費財あるいは公共料金等について、十分物価が上がりませんように全体として措置して参ることは当然でございますけれども、ただ、一々の対策になりますと、それぞれ主管官庁の方々に信頼して、そして協力申し上げながら問題を解決していく、そういうことで考えております。
  67. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 特に、この点は、労働賃金の問題とか、あるいは農民の所得の問題とか、いろいろ関係がございますので、そういう点について経済企画庁として十分御配慮を願わなければならないと思うのであります。そこに並べてありますように、実は方々買い集めてみたのでありますが、一番安そうなところでそういうふうな状況である。今までの値上がりの比率についてはいろいろ資料もございますが、こまかなことをここに申し上げようとは存じません。しかし、これはきのうの東京のある新聞の夕刊でありますが、これを見ますと、卸値段で去年とことしの比較が出ております。昨年同期と比べてみると、大根が昨年のキロ当たり五円が十七円と三倍になっておる。カブは五円から二十二円と四倍、ゴボウは三十円から七十円、こういうふうな値上がりの状況であります。ところが、これが国民生活にどう及ぶかというと、これは実は新潟日報という新聞にたまたま出ておるわけでありますが、ある主婦の談話がここに出ておるわけです。これを読んでみますと、「ことしの七月までは、厚生省の示した成人男子の栄養基準量をとるために一人一日最低八五円かかりました。ところが、いまではどうしても一〇三円必要、まずまずの食事には二二〇円です。一人一カ月約四千円はかかる計算。この増加分のほとんどは野菜の値上がりです。ところが、ハデ好きの時代について行くにはエンゲル係数はせいぜい四〇%止まり。かりに夫婦と子供三人なら、食費は成人男子の四倍、一万六千円は必要。すると生活費は四万円になる計算。月に四万円かけられる階層はどのくらいでしょう?結局、食費を切りつめるしかありません。これでは腹が減って思い切り働くことも、スポーツをやることもできません。政府はいったい何を考えているのでしょうかね。」、こういう談話が出ておるわけです。私はこの通りだと思うのです。そこで、生産面のことについてはあとで河野農林大臣伺いたいと思うのでありますが、やはり、国民経済全体の見地から見て、こういう状態に対して何らかの対策が必要だと思う。この談話の中にも出ておりますように、厚生省の最低基準量というものを示してあるので、その基準量に従って生活をしていくというと、野菜の値上がり分だけでこういうふうに莫大なものになる。こういうことになると、将来の見通しについてはどうお考えになるのか、また、それに対しては、厚生省との関係、それから農林省との関係、同時にまた労働賃金との関係、こういうものが総合的に対策が立てられなければならないと思いますが、これに対する長官の見解を承りたいと思います。
  68. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 生鮮食料品価格の問題は、御指摘のように、消費者の生活に非常に大きな影響があることはむろんでございまして、従って、消費者としては安いほどいいということが言われると思います。ただ、これらの野菜類を生産する農家の所得状況、あるいはこれを生産するコストその他から言いまして、どの辺がいいかということになりますと、非常なむずかしい問題が私は起こってくるのではないかと思います。ことに、天候関係その他でもって非常な豊凶の差ができて参りまして、できたときには非常に安くなって、農家がせっかく作っても労力にも合わないというような値段に落ちる場合もありましょうし、また、逆の場合には、消費者がとうていこれではお示しのような厚生省のカロリーすら一定ワク内における金額では得られないというようなことになると思いますので、そういう点は非常にむずかしい農林行政の問題だと思います。しかし、全体の物価を預かっております者として、やはり十分な関心を持ってこの問題は見守って参らなければならぬと思います。ただ、将来の問題として、やはり農家の生産に対して十分報いた上で、大きく言えば、できるだけ流通過程の経費を節約する。また、同時に、生鮮食料品にいたしましても、必ずしもフレッシュのままで食べなくとも、ビタミンを阻害しないで、カン詰その他乾燥野菜等にしてある時期保存する、一般に生鮮食料品というものは保存のしにくいものでありますが、そういうような方策をある程度農村の方々も考え、消費者もこれに協力することによって、乾燥する方法あるいはカン詰等にする方法、その他いろいろあるかと思うのであります。そういう面に十分な注意をして、日本の産業の今後の行き道においても、農村工業とタイアップすると申しますか、農村工業のそういう面におけるある程度の発達を支持して、非常な豊作のときでも、必ずしも安くしなくとも、そういうものを保存して将来に若干の時期でも持ち越していける、あるいは、高いときでも、そういうようなカン詰類になったもので補給するというような、何かそういうようなことを大きな面で考えていくことが必要ではないかと思っておりますが、そういう点について農林大臣のいろいろな御苦心の点があるのではないかと私は思っております。  なお、一定カロリーをとるというような問題について、われわれとしても十分配慮して参らなければなりませんし、特に、肉類等の問題につきましては、かりに、日本において非常に高くなれば、緊急輸入の方策をとって、そうして、一定量のカロリーを確保するように、一定価格を確保できるようにできるだけやって参らなければ、物価政策としてはならぬのではないかと考えております。
  69. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 いろいろこまかなことは農林省の方に伺うといたしまして、実は、ことしの春、池田総理は、本会議の野党の質問、物価が値上がりして困るじゃないかという趣旨の質問に対しまして、野菜などは値下がりしておるのではないかといって、何か値下がりすることを好ましいことのような発言が行なわれておる。最近の野菜ものの値上がりは、引き続く災害が影響はしておると思いますけれども、やはり、農民の、ことに蔬菜栽培農業を営んでおる農民の敏感な感覚で、何か総理大臣が蔬菜ものが値下がりしておるのは好ましいことのような発言をしておることが大きな影響をもたらしておると思うのです。ことに、将来の、農業基本法の中にいうところの転換作物かあるいは成長作物かというような論争の中で、畜産物とか果樹に対しては大きな農業を見込みながら、蔬菜の面についてはほとんど考えられておらないような感じを与えておるのであります。そういうことがやはりこういう影響をもたらすものではないか。元来、蔬菜ものは、ちょっと豊作でありますとすぐ暴落をする。暴落すると作付を手控えてしまって品薄れになる。また暴騰する。暴騰するとまた一斉に作り出す。これをいつでも繰り返しておるというのが日本の蔬菜や園芸作物の現状なんです。ですから、これに対してはやはり一定の需給関係と見合ったところの一つ計画的なものが必要なんじゃないか。よその国でやっておるところがあるようでありますが、たとえば、人口十万程度都市では蔬菜の供給圏というものは大体どの範囲、あるいは五十万程度都市には大体どの程度の範囲、中にも洋菜類のようなものとか根菜類のようなもので運搬が遠くからでも可能なものであるとか、そういう関係で、これは河野農林大臣が主産地形成などということを言っておられまして、あとで伺いたいと思うのでありますが、何か少し計画性を持たせて、同時にまた暴落した場合には政府がそれに対して若干の補償をするというような、安心して蔬菜や園芸作物に従事することができるような、そういう一つの方向を定むべきではないのかということを考えるのであります。これらについて、やはり経済企画庁で具体的ないろいろな資料はすでに出ておるわけでありますから、ただ農林省の立場だけでなしに、経済企画庁という高い立場から総合的な一つの政策を打ち出すべきであろうと考えるのでありますが、いかがでありましょうか。
  70. 藤山愛一郎

    ○藤山国務大臣 企画庁として、国土開発計画を預かり、あるいは今後低開発地の振興でありますとかあるいは新産業都市というような構想をやって参ります場合には、どうしても都市周辺の農業の形態というものをある程度都市の需要に応じたような形に持っていきますことは望ましいことだと思います。これは、むろん、土壌の関係もありますし、あるいは風、雨、その他天然の条件がございますから、単に都市周辺だからといって野菜に適するということは言いかねると思いますけれども、しかしながら、相当な、かりに百万都市というものをここに新しく打ち出すとしますれば、その都市におきます住民の食生活あるいは環境の衛生というような問題は、新しく都市を作り出しますときに非常に重要な問題だと私は思います。そういう点から考えまして十分配意して参ることが必要でありまして、そういう意味から言いますと、都市自体は必ずしも直接農業の問題に関係いたしておりませんけれども、農林行政との間に大きなつながりがあるわけであります。農林省の御意見、あるいはわれわれの意見を農林省に聞いていただくというような緊密な連絡がなければ、今申し上げたような新都市の構想であるとかあるいは国土開発の総合的な見地に立った計画というのは推進できないと思いますので、そういう点については十分今後のわれわれの計画の上で配慮して参りたい、こう存じております。
  71. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 経済企画庁の関係ではその程度にいたしまして、次に農林大臣伺います。  今中央卸売市場法を審議中でありますが、ただいま申し上げたように青果物が非常な暴騰を示しております。こまかな資料はずいぶんありますけれども申し上げませんけれども、特に中央卸売市場との関係につきましてお尋ねをしたい。  まず最初に、先般当委員会中央卸売市場法について参考人を呼んでいろいろ話を聞いたわけです。ところが、その参考人の陳述の中に、卸売業者の利益は年間通じて五%以上という卸商はまずない、こういうことを言っておる。もっとも、卸売市場法の中には公共性と公益性というものが明確になっておりませんけれども、やはり、先ほど経済企画庁長官にいろいろ伺っておりますように、これは法律の中にその目的を明らかにして公共性と公益性を明らかにしなければならない問題ではないか。これが一点。  それから、公共事業などについては適正利潤ということがよく言われます。この適正利潤というものについてはかって通産大臣といろいろ議論をしたことがありますが、通産省では、適正利潤とは大よそ二〇%だ、うち一〇%は税金その他に見て、二〇%を適正利潤だと、こう言っておる、とにかく、いろいろ考え方も見方もありましょうけれども、通産省では公共事業などでは利潤というものは二〇%が適正だ、こう言っておる。ところが、目的の中に公共性と公益性というものを明らかにはしておりませんけれども、これは、やはり、多分に公共性と公益性を持たせられなければならないところの中央卸売市場法に基づく市場卸売人が五%にも満たない利益では、これは私はどこかに問題があろうと思うのです。そういう点から見て、その目的の中にその点を明らかにし、同時に、やはり、適正利潤を確保できるような体制を監督官庁である農林省は考慮してやらなければならないのではないか。それを考えないで、その兼業禁止しろとかいろいろ言ってみても、問題にならないのではないか。やはり、そういう点を総合的に見て、事業が成り立っていけるように、利潤も見ていけるような体制というものがやはり根本的に考えられなければならないのではないかと思うのですが、どうですか。
  72. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまの御質問でございますが、公共性と申しましても、業種によって違うのではないか。たとえば、交通、運輸というような投下資本が非常に多いというようなものの場合、何と言いますか、収入の方は割合に金額は張らない。ただいまのお話の中央卸売市場におきまして問屋、卸という人の利潤が五%に満たないというのは、その点私よく理解しにくうございますが、何の五%になるのでございましょう。
  73. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは年間の利益をさしておるわけです。
  74. 河野一郎

    ○河野国務大臣 年間の利益というのは、投下資本に対してですか、それとも取り扱い金額に対してですか。
  75. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 経営利潤です。
  76. 河野一郎

    ○河野国務大臣 そこらの点は、調査をいたしたのではございませんけれども、業者の発表が多少正確を欠いている点があるのじゃないかと私は思うのです。たとえば、取り扱いに対してどのくらいの利益率になるか、これは問屋口銭できまっております。それから、経費が、人により、ところによって、非常にかかる場合と比較的かからぬ場合とある。と申しますのは、集荷に非常な経費がかかる、もしくは支払い貸付金の収入が不確定である場合があるというようなこと等がございますから、一律にはなかなか考えにくい業種だと私は思うのであります。そういう点で、今御指摘のような、五%に満たないということでは完全に育っていかないのじゃないか、不安定な中で取り扱いがされていることは適当でないじゃないかという御主張は、私はごもっともと思います。もしその通りでありますならば、われわれとしても考えなければならない問題ですが、十分調査をいたしまして、これらに対して適当な考え方をいたさなければならない、こう思っております。
  77. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは大臣でなくとも事務官の方でもけっこうです。それは、あの施設東京都のものです。都の施設の上に立って営業をやっておるわけですから、経営利潤というものははっきり計算できるわけです。そこで、ほかのものと違って、農林省監督監査をし、東京都も監督監査をしている。これは、参考人の陳述の中で、わずらわしいほどそれを受けると言っておられる。そうならば、大臣は直接おわかりにならなくとも、その経理の内容というものは事務当局は明らかだと思いますから、そういう点を一つ事務当局でけっこうですから明らかにしていただきたい。
  78. 松岡亮

    ○松岡説明員 今御指摘になりましたのは、この間参考人の方からあげられたことでありますが、どうも言われた趣旨が実ははっきりしなかったのでございます。ただ、私どもの方で調査しておりますところから言いますと、やはりこれは取り扱い量の多寡によってかなり収益率は違っております。従って、取り扱い量の多いものは、資本に対してもかなりの収益はある。しかし、あまり実績のあがらないものは割合に利益が少ないというような実情でありまして、大体、現在基準としております取り扱い手数料は、野菜の場合が一〇%、くだものの場合が八%、魚の場合が六%でありますが、これによって相当の収益をあげているものと、それほどあげてないものと両方ある、こう申し上げていいかと思います。
  79. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そんなことを聞いておるのではないのですよ。そんなのはわかりきっておる。手数料の率なんてわかりきっておるので、会社の経理の内容がよくおわかりでしょうから、会社が年間の利益が五%にも満たないものが大部分だと言っておるのだから、そういう経理の内容はどうか、こう言っておるのです。ですから、その手数料を聞いておるのではないですよ。
  80. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいま申し上げましたように、相当の業績をあげているものとあげてないものとございますが、今ちょっと数字で申し上げますけれども、売上高に対しまして純益が総合して六・九%になっております。これは全体の総合でございます。
  81. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、総合的にその数字はけっこうですが、大体、一番大きな利益をあげておるところはどの程度、一番少ないところはどの程度、そういうふうに一つ示してもらいたいと思います。
  82. 松岡亮

    ○松岡説明員 青果物の取り扱いをやっております会社のうちで、年間三十億以上の売り上げをあげている会社の利益率は八・四%でございます。これが高い方に属します。低い方は、取り扱い高が五億円未満の場合でありますが、この九社の平均は二・六%という状況でございます。
  83. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、大臣伺いますが、この間の参考人の意見を聞きますと、卸売業者が荷物を集めるのに産地まで出かけていって荷作り包装や出荷の指導までして、その経費は全部自分の指導したものは卸売業者が負担をして、さらに年間相当荷物を集めるためには前渡金を出すが、その前渡金が未収になっておるものが非常に多い。私どもは、包装や出荷の指導は当然出産者団体なりあるいはまた農林省なり府県なりが指導すべきもので、そういうところまで卸売業者がやって下さることはありがたい話だけれども、それによってまた別の面に生産者が不利益をこうむることも考えられなければならないのであって、そういう点については当然農林省が別の面から指導をすべきものであろうと思いますが、どうでしょう。
  84. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私もその通り考えます。その点について従来十分手の回っていなかったことをはなはだ遺憾に思うのでございます。これは、今日、果樹、蔬菜、園芸等について行政面を強化し、中間経費を省き、取引を改善するということに十二分の努力をいたさなければならぬときに立ち至っておる、こう考えておるわけであります。
  85. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それはぜひ一つおやり願いたい。さっきちょっと触れたわけですが、前渡金の未収が非常に多くて困っておるという開陳があったわけです。これも私は大臣答弁を求めようとは思いませんが、事務当局でけっこうですが、そんなに業者がお困りになるほど前渡金の未収があるとすれば、これもどこかに欠陥があるのではないかと思いますので、東京卸売市場だけでもけっこうですが、未収金というものはどの程度の金額に上っておるのか。
  86. 松岡亮

    ○松岡説明員 ただいま未収金の数字を申し上げますが、その前に、前渡金の未収というお話がちょっと理解に苦しむのでございますが、前渡金は生産者の方に出すわけで、代金の一部の前払いとして出しておるわけです。未収を生ずるのは、むしろ仲買人からの代金の回収の場合に生ずるわけでございますから、その点……。  それで、数字を申し上げますと、前渡金の交付日数は、平均して五・一六日になっております。
  87. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 その前渡金というのは、どうしてもある一定の荷物を市場に入れなければならないから前渡しをしてきたけれども、品物が来ないというものですよ。そこで、参考人が非常にそれでお困りになるというなら、一体どの程度あるか、これも会社ごとにとこまかいことは申しませんけれども、やはり、最高はどの程度、最低はどの程度あるかということを明らかにしてもらいたいのです。
  88. 松岡亮

    ○松岡説明員 最高が、大阪の場合五社でございますが、大体扱い高にして平均八・四日分、それから、最低が呉でございますが、——ちょっと資料が場所別になっておりまして恐縮ですが、約一日分でございます。
  89. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それから、こまかなことはほかの委員からも質疑があろうと思いますし、大臣がせっかく見えておりますから、大臣伺いたいと思いますが、この間参考人を呼んだときに、実は朝早く出かけて取引の状況を見てきたわけです。私ども前にも見ておりますけれども、最近はよほど施設などが面目を一新しておるであろうと期待をしておったわけです。ところが、数年前と少しも変わっていない。あとで参考人の陳述の中にもありましたが、今回の法改正というものはやってもやらなくても同じようなことだ、あの程度改正ならば行政措置でも十分やれるのだ、こういう開陳があった。私は、まことにもっとも千万だと思ったわけです。ああいう大混雑施設の中で行なわれておるわけですが、少なくとも、ああいう混乱の中を車を引っぱって歩く、全く前近代的なものです。なぜ一体ベルト・コンベアくらい入れないのか。われわれが二十人か三十人であそこを歩くにも大へんなことです。ベルト・コンベアで整然とあれを動かすことができるならば、もっときちっとした取引ができるわけです。ああいう状況であるから、毎日盗難が非常に多い。これも問題の一つですが、そういうこまかいことは抜きにして、少なくとも、行政的に農林省東京都を督励されて、もう少し近代的な施設に変えるべきではないか。そういうことから来るところの混乱もあり、あるいは盗難もあり、また、業者がいろいろ兼業もしなければならないというような問題を引き起こしているのではないか。問題は、やはり施設の近代化、こう思いますが、大臣はこれに対してどのようにお考えになっているか。
  90. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私も最近蔬菜の非常な値上がりを見聞して、実は、ここへ参ります前に、神田市場と打ち合わせをしまして、明朝神田市場に参る約束をして参ったのでございます。行きまして別に何をどうするわけではございませんが、私自身も行って拝見しまして、そうしてしかるべく何か一つ考えたい、こう思っておるのでありまして、ただいま御指摘になりましたことは、十分検討したいと思います。
  91. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは、大臣一つ相当決意をしてもらいませんと、——実は私ども例の芝浦の問題を見ているわけですが、農林省東京都に対し肉畜の取引についてもっと明朗なせり売りまたは入札によるべきであるということをしばしば勧告し、東京都知事名をもってそういたしますという一札を取っているわけです。その一札を取ってから三年余になっておりますが、いまだに改まっていない。こういう点から見ると、やはり、中央卸売市場というものも、東京都と農林省との関係、それから東京都と業界との関係、これは一通りなものではなかろうと思うので、この点は相当な決意で一つ臨んでいただきたいと思います。  次に、これも大臣よく御承知ないかもしれないと思うのですが、これは鮮魚でも蔬菜でもそうでありますが、私どもせり売りの状況を見ておりますと、しろうとでは全くわけがわからない。言葉は早いし、ちょいちょい手を上げたりいろいろやっているので、わからないような状況です。参考人の意見も聞き、また現場で説明を聞いたのでありますが、あのせり人というもののいわゆるさじかげんが相当に考えられるので、当然弊害も起きる。そこで、あのせり人というものは、あまり長く使わぬ、長く置くといろいろ弊害が生ずるからと、こういうことを言っておりました。そこで、農林省は、あのせり人というものが長く続かないとすればなおさらのことでありますが、そのせり人にする前の身分、それからあとの身分そのものはよく御承知だと思いますが、どういう人たちがせり人になっておりますか。
  92. 松岡亮

    ○松岡説明員 大体、従来卸売会社におりまして、その方面に熟練した人がやっているわけでございます。
  93. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これは実はせり人というものの処理のいかんで非常に問題がある。私どもの聞いたところでは、これは大漁業会社またはその傍系会社の社員が圧倒的に多い、こういうことを言っておる。それがために、そういう会社、大漁業会社の社員である人たちがこのせり人に当たっておりますと、大会社の品物については一定の最低価格を示される、そうしてその最低価格以下に売らないように努力することを命ぜられて、一定の価格を堅持する、そのかわり、そうでない漁業組合等の小さな漁業者の出荷したものは逆に今度買いたたいて、埋め合わせをさせられるようにできておるということを聞いておるわけです。これは仲買人の大部分が異口同音に言っておるわけです。私は時間を節約する意味でまとめて申し上げておるわけだけれども、そういう事実は御承知あるのかないのか。
  94. 松岡亮

    ○松岡説明員 私どもの方でも、卸売市場会議を開きまして、あるいは年に一回卸売市場の監査を実施いたしまして、それから、卸売会社状況につきましても、調査報告を求めたりいろいろいたしておりますし、実情はかなり聞いておるのでございますが、今のお話のような点につきましては、実はまだそういうことを耳にいたしておりません。
  95. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、私は先ほど伺ったけれども答弁がないのですが、その身分ですね。入る前の身分、あとの身分、これはお調べになっておるはずだと思う。そうすれば、一体どこの会社の人間であったか、どこのどういう人間であったかということはわかるし、それはわかっていなければならぬ。それを監督、監査しなければ、一体公正な取引が行なわれるはずがないじゃないですか。それはわかっておるでしょう。
  96. 松岡亮

    ○松岡説明員 農林省におきまして直接現在のせり人の前身の調査をいたしておりませんけれども開設者の方におきまして、つまり地方公共団体におきまして、一種の、試験というほどのことではございませんけれども、そういうもので調べまして、せり人の採用を認めておるのでございます。
  97. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこまで監督しないと、これは全く監督はいいかげんなものだと言わざるを得ないのです。  それから、ある会社のものの手数料は安くし、その他のものは高くするというような事実もあると言われておるのでありますが、そういう点もお調べがありませんか。一番重要な点がほとんどわからないということなんですか。
  98. 松岡亮

    ○松岡説明員 そういうことは一般的にはないと思っておりますが、場合によりましては、入荷の時期のズレ等によって多少値段の差をつけるというようなことはあるようでございます。
  99. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 あるようであると言うが、そういうところが中央卸売市場が公正であって信頼を得るに足るかどうかということの標準になるので、それじゃ一体何のために監督、監査をおやりになるのかわからないということになるのです。肝心なことは何にもわからない。そういうことだから、改正してもいいし、しないでもいいし、いいかげんなものだと参考人が言うのは、そういうところにあるのですよ。そうでしょう。だから、そういう実態がわからないでおったのでは、これは困るわけですね。これは一つ大臣どうですか。そういう肝心な点が、もう大問題になって、世間ではもう常識になっておるような一番大きな問題が全然わからない、どうもそうらしいなんというような話では、これは法律改正案をお出しになるにはあまりお粗末千万と言わなければならない。そこまで届かなければしようがないでしょう。どうです、大臣
  100. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御指摘のようなことであるとすれば、非常に不明朗、不公正でございまして、はなはだ遺憾であると申さざるを得ぬのでございますが、私も水産関係市場の方のことならば多少心得ておりますが、今お話しのようなことは、私も寡聞にして耳にしたことはございません。大会社が特別に系統の会社を持っておる場合はございます。さればと言って、全部持っているわけではございません。東京の場合にいたしましても、たとえば日魯、日水、大洋、全部が持っておるかというと、全部が持っておりません。従って、一部の会社が持っておって、今御指摘のようなことがあるとすれば、他の会社から相当の苦情が出るはずだと私は思います。ところが、現にそういう会社を持っていないのでございますから、しかもまた、そういうことをあまり耳にいたしませんので、私は、築地市場についてそういうことはないのじゃないか、こう思います。ただ、お話の中で、地方市場で季節的に非常に魚の少ないとき、市場に来るものの少ないときに、特定のものにということでなしに、集荷の関係等から幾らか歩合を下げるというようなことをやることがあるかもしれぬという今当局からの答弁でしたが、そういう場合は時にあるのじゃないかと私も思いますけれども、今お話しのように、せり人が一定の会社に勤務をしておった者であって、それが特定の会社に利益を与えるようなせりをやるという話は、私耳にいたしませんのでございますが、その点は十分調査いたしまして、もしそういう事実があるとするならば、厳重に取り締まることにいたします。  なお、ただいま後段でお述べの手数料、口銭につきましては、地方実情等もよく調査いたしまして、不公正にわたらざるように厳重に監督いたします。
  101. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 これはおわかりになっておるのだと思うのです。事務当局はここではなかなか言えないのかもしれません。これはあの中に入っている人はみんな知っていることです。これも一つ大臣から特に注意していただきたい。
  102. 河野一郎

    ○河野国務大臣 承知しました。
  103. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 それから、あそこでは、定価品、それからカン詰のような加工品、こういうものまで上場しているわけです。こういうものは卸売市場に上場することが適当であるかどうか、私は問題だと思うのです。なぜこれをやらなければならぬのか。
  104. 松岡亮

    ○松岡説明員 定価品とかあるいは加工品の一部を確かに卸売市場で扱っておるのでございますが、これは、ものによりましては、生鮮品と一緒に売買するのが売手にも買手にも都合のいい場合がございます。そういうこともありまして、ある範囲——あまりそれがはなはだしくない程度におきまして現在取り扱いを認めておるのでございます。
  105. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 そこで、問題になりますのは、ああいう定価売りをするような品物がそこへ出されることによって、そこで郷党業者の方にマージンが取られる。いわゆるトンネル口銭というものがある。これは、私は、中央卸売市場法の趣旨に沿うものではないのではないか、こう考える。ただ卸売業者だということで、実は品物は扱わぬのだけれども、口銭だけ取っておる、こういうことは卸売市場法の趣旨にどうも沿わないと思う。これは大臣どうですか。
  106. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御説、ごもっともと考えますが、しかし、一面、生産者の側から申しますと、それを換金の必要もしくは販売のルートの関係等から、みすみす一定の口銭がかかりつつもなおかつそのルートを通ることが便益であるという場合があるのじゃないかと私は想像するのでございます。定価品のものをわざわざそこを通さなければならぬという理由、ことにまた、いたずらに混雑をするようなこともどうかという御趣旨は全くごもっともと考えますから、よく一つ実情を調査いたします。
  107. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 この問題は次に申し上げる点と関連がございますので伺ったわけでございますが、最近エビの需要が非常に増加したわけです。世界各国から最近大量に輸入しておるわけです。ところが、これはやはり定価売りの品物でありまして、一箱二千八百円ずつでずっと取引されておりました。ところが、仲賢人の諸君が、どうも二千八百円はちょっと不当じゃないか、しかもまた卸売業者に頭をたたかれるのはどうもけしからぬというので、仲買人が協議をいたしまして、相当数の人たちが直接輸入商社に——もちろんそれには大洋とか日冷とか日水とかみんなその商社の中には関係をしておるわけですが、それに直接もらえぬかという話を持ち込んだ。ところが、すぐに卸売業者の方から横やりが入った。しかし、それが、いろいろ話し合いの過程を通じて、輸入商社の方では、二千二百円から二千三百円に、一箱五百円以上も値下げをしてしまった。ところが、一箱について五、六百円も値下げはしたが、同時に卸売の方では三%の六、七百円のピンはねをやるということで話が決着をしておるわけです。こういうふうなことになりますと、多くのいわゆる仲買人という人たちが、ただ卸売業者にサービスをするために仕事をやっているというような面が出てくる。こうなると、やはり本来の卸売市場法の趣旨とはどうもそぐわないものが出てくるのじゃないか。この一点から見ても、どうも大企業、大資本というものが市場を左右しておるのではないかということが考えられるわけです。これはやはりひいては一般の消費者が高いものを買わされるということになるのであります。冷凍品や加工品や、あるいは定価売りをするようなものは、原則としてやはり卸売市場には上場すべきものではないのではないか。あるいは、上場するという場合にも、今のように一定のピンはねをやるために上場するようなことは、これは取り扱いがはなはだまずいのではないか。これらの点をもっと明朗にするために、卸売人と仲買人というものの間にはなかなか一線を画しがたい点も実情としてはあるようでありますけれども、そこらあたりの点についてはもう一度検討をして、いたずらに卸売業者やあるいは大資本にサービスをさせられるような運営というものは根本的に改める必要があるのではないかと私は考えておるわけです。これについては今後大臣が相当な決意でお臨みになるということでありますから、そういう点についての考え方を承っておきたい。
  108. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御指摘の点は、問屋と申しますか、卸売人、ここに金融の中心があると私は考えます。金繰りをいたします場合にそれが非常な力を持っておる。従来、中央卸売市場の問題をやります場合にも、二段階、三段階というような問題が起こりますにつきましても、過去の経過、現状等が相当複雑にいろいろからみ合っておりまして、なかなか一朝一夕にしてこれを打開することは困難の点があるように私は承知いたしております。しかし、どの業者に金融をつけるかという点でございます。これまでの例から参りましても、東京都を通じて東京都の卸の業者に金融をした例もあると私は考えております。そういう場合に仲買人に金融をすることが可能かどうかというような点で、なかなかあの中のことは一朝一夕に改革はむずかしい、筋を通すということはなかなかむずかしい点があるようでございます。十分よく勉強いたしまして、実情をなるべく認めつつ、適切な取引が行なわれますように、そして生産、消費の間になるべくむだを省いていくというような線を出していきたい、こう考えます。いずれにいたしましても、魚の場合だけでなしに、ことに、御承知の通り、神田市場におきましてはなかなか大きな問屋が店じまいしたような例もございます。そして、生産者にも各方面にいろいろ迷惑をかけたという場合もあるわけでございます。そういう実情もあることでございますから、これらを流通過程においてどういうふうに合理化をしていくか、流通過程をどういうふうにしていったらいいかという点については格段の努力をする必要があるだろうと考えますので、できるだけ勉強して御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  109. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 今の金融の問題でありますが、そういう点がありますから、農林省の決意いかんでは運営についてはかなり指導が徹底することができるわけですね。ですから、そういう点でもう少し明朗なまた公正な運営ができるように早急に対策を立てていただきたい。私は、今度の法改正そのものについても実は問題がありますが、法律というよりも、むしろ、農林省の、特に大臣の決意いかんによって、その指導監督がよろしきを得れば必ずしも法改正をしなくてもよろしいのではないかというふうに考える。でありますから、そういう面を通じて十分御配慮を願わなければならぬ。この間の参考人の意見の中には、やはり利権的なものとの関係もかなり露骨に出されております。たとえば、バナナの輸入の問題などについて、自分たちは荷物を集めるために包装や荷作りや出荷についてまで金をかけて飛び回ってやっておるのに、一部の業者はバナナの権利を取って一かごを一万円ずつで取引されておるというような事実もある。一万かごの権利を持っておれば一億ずつふところ手をしてもうけておる人たちがあるのだということのうっぷんを実はばらまいておるのだと私は聞いておりましたが、やはり、そういう点も一つ十分配慮されて、今後相当な決意でやっていただきたい。  きょうは、実はまだ兼業禁止の問題とか類似市場、周辺市場等の問題がございますが、ほかに質問の通告者がございますから、私はごく概要で、これで終わりますけれども、繰り返して申しまするように、大臣の相当な決意で早急に手をつけていただきたいと要望を申し上げて、質問を終わります。
  110. 野原正勝

    野原委員長 足鹿覺君。
  111. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの石田君の御質問でわれわれの言わんとするところも相当言い尽くされた感がありますが、少し角度を変えまして、この際大臣にお尋ねをしておきたいと思います。  先ほども話が出ておりました、流通機構の一環として、生鮮食料品の問題は今後非常に大きな問題になると思うのです。そういう立場から、現行の中央卸売市場法に手を入れられたということ自体については、私ども決して何ら異論を持つものではありませんが、少なくとも、今度の改正は、大臣が先ほど述べられたような流通機構をどうあらしめるかという点については根幹に触れておらない感があるのであります。ですから、当然この点についても抜本的な構想があろうと思うのです。私の見るところでは、ただ単に市場の機構をどうするかということだけではこの問題は解決しない。特に農林省として考えられたければならぬことは、水産物の場合はしばらくおきまして、くだものなり蔬菜の面から見ますと、貿易自由化が行なわれていく過程にあって、さなきだに過剰傾向に拍車をかけてくると思うのです。それらの一般情勢とからんで、生産者団体あるいはその出産者の生産計画ですか、そしてその出荷の調整といいますか、それをやるためには、市況の敏速な伝達と、生産者なり生産者団体、またその擁護の立場に立つ農林省としてはそういう面にもっと政策の手を伸べて、そして、それらと相待って、市場の横暴なことがあるならば、それを未然に防止していく、また、生産者の立場に立ってこれを是正せしめていく、それだけの力を一方において持たない限り、この問題の根本的な解決の一環に手が入ったということは言えないと思う。従来の例を見ますと、戦前は帝国農会が生鮮果物についてあっせん事業をやりまして、市場速報等も各生産者団体に密接な連携を保って、各都道府県の商務官がまたよく連携を保つということで、比較的うまく行っておった時代もあったと思うのです。その後、時代が変わり、戦争を経て今日になりまして、その間の対策が農林省としてはやや手ぬるいではないか、無策とは申しませんが、ほんとうに熱心な対策がとられておらないというところにも、いろいろな、今回問題になっております類似市場の問題等も勢い出てくるのではないか。特に、このごろは地方に、あなた方その方針のようですが、主産地形成という方針によって特色のある青果物が大量生産されて、市場に向けて移出されていく、この移出青果物というものに相当重点が置かれてきておることは御存じの通りでありますが、そういう状態になりますと、特に生産と出荷の調整、敏速な市況の把握、そういったきわめてじみな面に相当積極的な手を講じない限り、結局、生産はされ、特産地の形成はされましても、商品でありますから、農家の手取りはきわめて安いもので引き合わない。運賃を差し引けば手取りはない。ある話に、「リンゴが売れた、金送れ」という電報を神田市場から受けた産地の人の話があったのですが、運賃が足りないから、生産者に逆に金を送れ、こういった事態が数年前にあったわけです。ここに白菜がありますが、白菜にしましても、杉箱代がかろうじて払えるという時代が二、三年前にはあったわけです。そういう点についてまず卸売市場法の改正をめぐっての関連で非常に大きな問題があると思うのですが、これに対して、農林大臣としては、主産地形成を力説される立場においても相当御検討になっておると思いますが、どのような構想を持つか、お示しを願いたい。
  112. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま足鹿さんのおっしゃった通り、主産地を形成して参りますれば、当然その主産地と市場との間に価格の緊密な連絡、出荷時期等についての指導を第一に考えていかなければならぬと考えております。  第二と申しましても現在一番先にやらなければならぬと思いますことは、市場の改革と相並行して、生産地と市場との結びつきがどういうふうになっておるか、それがどこに不合理な点があるか、もしくは包装、輸送等の面において改善すべき点はあるかないか、値段の連絡がどうなっておるかという点について、すみやかに遺憾なきを期するような施策を講ずる必要があるだろうというふうに思いますので、これらにつきましては、一々十分検討いたしまして、すみやかに所要の施策を講じたい、こう考えております。
  113. 足鹿覺

    足鹿委員 対策を考究するということでありますので、その必要を十分御認識になっておることと思いますから、くどくは申し上げません。  今問題になっております中央卸売市場法の問題ですが、これは、中央卸売市場法があるならば地方卸売市場法もあってはいかがか、こういう連想をすぐするのです。中央にあれば、それと直接関係はないにしましても、地方卸売市場というものはやはり法によっていろいろ指導監督を受けて、その公益性と公共性を保持するということは当然あっていいと思うのですが、この点、調査会では問題にならなかったのですか。
  114. 松岡亮

    ○松岡説明員 地方市場につきましても、調査会においてはある程度の御審議はあったように思います。ただ、水産関係の産地市場の問題が一番この場合問題でございますが、それについては、その際に明確な御答申をいただきませんで、現在水産庁の方で専門家を交えた協議会を設けられまして検討をしておられるのでございます。そのほかの地方市場につきましては、中央卸売市場に準じて都道府県知事が必要な指導監督を加えるように、こういう御答申をいただいております。実は、中央卸売市場法改正法律案を立案いたします際に、その面につきましても検討いたしたのでございますが、さしあたり現在は地方の条例である程度規制が加えられておりますので、これは別途の法体系にもなりまするので、今回の改正では中央卸売市場法改正だけに限ったのでございます。
  115. 足鹿覺

    足鹿委員 この点は今後大いに御検討になる必要があると思うのですが、さっきの話に関連しまして、この流通機構の問題ですが、私ども青果市場の運営を見ておりますと、概して蔬菜の利益というものは、季節的な点もございましょうが、そう市場の運営を左右するような要素ではない、むしろどちらかと申しますと果実類の取扱高がその市場経営を左右するような大きな存在となっておるようであります。必ずしもそれが全部とは断言できませんが、大体そういう傾向にあるように見受けるのであります。ということは、結局、リンゴにいたしましても、ミカン、ナシにいたしましても、産地の生産者の実手取り額と大部市等で店頭で消費者が求める差がものすごく開いておる。とにかく、三分の一手取りでは上の方でありまして、まかり間違えばそれすらも農民手取りにならない、こういうことであります。ここに非常に問題があると私は思うのですが、ただ単にこれは市場のやり方を変えるということだけではない。市場から仲買人を経て小売商の店頭を通して消費者へ行く、その過程に長い間の一つのならわしといいますか、どうにもならないような現状になっておるのじゃないかと思うのです。これを一挙に解決するということは非常にむずかしい問題だとは私思いますが、農村の立場に立って考えました場合でも、また、消費者の立場においてはもちろんですが、少なくとも産地価格の三倍以上にもなるということは正常ではないと思うのです。この欠陥がどこにあるかということについては、われわれがここで軽々に論じ尽くすこともできませんが、少なくとも現存の流通機構に非常に大きな欠陥があるということだけは指摘できる。この問題を解決しない限り、今後、成長部門としての果樹が増産される、あるいは最近流行の洋菜等の栽培が普及する、農村にいろいろな新しい風が吹いておりますが、実際は、何を作っても同じで、結局どこかでうまいところはみな吸われてしまうという結果になりはしないか。従って、この問題を本格的に取り上げて対策を立て、その欠陥を除去していくことが、市場法の改正と相待って非常に大きな問題ではないかと思うのですが、率直に、大臣の見られたところの欠陥はいずこにあるか、また、それに対する対策の根本はどうすればいいかということに対する御見解がありましたならば、一つお示しを願いたいと思います。
  116. 河野一郎

    ○河野国務大臣 私も足鹿さんと全く同じ考えでございまして、また、この流通過程において、どこが制約できる、どこをどうしたならば所期の目的が達するかということにつきましては、非常にむずかしい問題でございます。が、しかし、すみやかにこれを打開しなければ、結論は出ないと思うのでございます。御指摘の通り、リンゴにいたしましても、消費者価格生産者価格との間には、三倍、三分の一というような点まであるんじゃなかろうかと私は思っているのでございます。これが解決策には、輸送の問題もあるでございましょう、包装の問題もあるでございましょう、中間の金利、倉敷の問題もあるでございましょう、売買の手数料の問題もあるでございましょう。いろいろな角度において今日まで積み上げられてきて、しかもそれが消費者の側においても既成の事実のようになって、リンゴは二十円、五十円、六十円というような感じでおられる。そこに私は消費が増進していかない大きな難点もあると思うのでございまして、これは農林行政の中におきましても第一着手としてすみやかにこれが解決に全力をあげて当たっていきたい。ただ、今御指摘のように、お前はどう考えるかということでございますけれども、私も、実は、これから一つこの点と取り組んで、そうしてすみやかに解決策を見出したいと考えておるのであります。一つせっかく御指摘、御協力をちょうだいいたしたいと思うのでございます。
  117. 足鹿覺

    足鹿委員 次の問題は、卸売市場と申しましても、東京のようなマンモス都市地方の中小都市の場合とは趣が全く一変していると思うのです。ですから、一がいには言えませんが、大体のあり方としては、理想のあり方は、生産者から消費者へというのが、これは理論的にも筋が通りますし、そうあることが一番いいのですが、しかし、やはり、こういうマンモス都市になり、あるいは多年の経験を持った流通関係仕事に携わった人は、それだけの経験なり才能、従って研究もしておりますから、これを無理に除外するという考え方ではないわけですが、その持ち場持ち場の能力を十分に発揮させて、正常な運営に努力せしめていくということが必要ではないかと思うのです。それは一つの原則でありますが、地方へ参りますと、生産者団体、農協その他が小さな市場なんかを経営しております。昨年ですか、関西の方を国政調査に行きました際にも、そういう事例を見みまして、そのときに私どもが感じましたことは、もっと農業団体がしっかりして、そして団体の手によってほんとうに公正な市場経営ということがなされたならばということを痛感したわけですが、何しろ立ちおくれておりますから、なかなかそう言うべくしてできないのでありますが、やはり、手数料等も安い。それから、物の取り扱いも、大きいところはなかなかようやっておりませんが、小さいところを見ますと、非常に丁寧であって、非常にうまくいっておる、私はそう見たわけです。やはり、そういう考え方に立って、これは年数をかけて、そして、冒頭に申し上げましたような生産計画、出荷計画、その調整というものとの総合した形において、地方の中小都市においてはそういったことを育成していくということも一つの方法ではないかということを私は考えておるわけであります。それは私の意見にすぎないわけでありまして、そういった面も確かにあるということも御認識になりまして、十分対策を練っていただきたい。少なくとも中央の大都市地方の中小都市との実情というものはよほど違っておる。従って、すみやかに地方卸売市場法といったものができまして、そうしてこれに対しても政府がその健全な育成をはかっていくという立場に立たれることを私は期待しておるわけであります。先ほど審議会でも議論があったという御報告がありましたが、この地方市場の育成、その公正な運営等については、どのような御意見でしょうか。
  118. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまお話がありました、売買の制度というものは現状をそういちずに飛躍しようとは考えていないというお話、私全く同様に考えます。——しかし、公正な取引ということをモットーといたしまして、将来なるべく改善の素地のあるものは改善していくように心がけなければならぬと思うのでございます。ただいまは、中央においてはともかくとして、地方においてはというお話でございましたが、私は、今後の改善には、どこまでも、農業団体自身、生産者団体自身が中央にも進出をいたしまして、そして、現に大阪あたりでやって失敗をした、あまりうまく成績があがっておらぬようでございますけれども、こういうものについて、何らかそこに所期の成果をあげるように努力は重ねていかなければなるまい。ただ、同じ場所で従来経験のあるものとただ競争してもなかなかそういかぬでございましょうけれども、大きな公設市場等に、大都市においても、数カ所の直売所を設けるというような点までは当然出ていっていいのじゃなかろうか、こう思います。地方の場合におきましても、同様のことがかえって販売業者を自粛せしめるゆえんであります。ただ、今日のように、生産者は生産するだけだということでなくて、生産とこれが販売は一番大きな関係にある、そこまでうまく改善することがわれわれ農林省としても一番考えなければならぬ点だということを深く意識いたしまして、そうして将来もやって参りたい。  そこに問題になって参りますのは、これから、論議されております農業団体の問題に私はなるだろうと思うのであります。従来の生産指導の団体が販売の関係においてどういうふうにこれが発展して参るか、共販関係においてどういうふうに育成されていくべきかということが、特殊農業の場合にそれが考えられる点でございまして、すでに、これにつきましては、既存の農業団体の幹部等の間には相当に研究されておるようでございまして、私といたしましても、こういう方面に十分な検討を加えまして、そうして、これら農家の農産物の適正な販売ということに寄与するようにいたしたい、こう考えております。
  119. 足鹿覺

    足鹿委員 地方のみならず中央においてもその必要を認めるという方針でございまして、けっこうだと思いますが、十年ばかり前ですか、東京の神田市場の中に全販連がマルAを創設した。数年おくれて大阪中央卸売市場の中に同じマルAを創設しまして、私も当時若干関係しておりましたので存じておりますが、非常な困難にぶつかった。最近は非常に運営もよく、成果もあがっておるようでありますが、やはり生産から販売して初めて農家の手取りということになるのでありますから、そういう生産者あるいは生産者団体がみずから経営するということは一番いい姿だと私は思うのです。しかし、現在の資本主義の経済機構の中にありまして、それは異常な困難にぶつかるのであります。従って、やはりこれは、相当の決意と、その助長育成という対策がしかも恒久的に行なえない限り、これが農産物価格の維持——たとえば園芸生産物の価格を左右するといってもべらぼうな値上がりをそれによって期そうということではなくて、少なくとも妥当な公正な利益を農家が受けるということにならぬと思うのです。それが私は一番中心だろうと思うのでありますが、そういった点についてもっと突っ込んだ対策ということが必要であろうと思うのです。これは当然現在の経済機構等との関係が出てきますので、非常に困難な問題でありますが、地方においてもすでにそういう立場から一つの実際の姿が出ておるわけでありますから、できないことではない。従って、農林省としては、これは単に一団体のみならず、少なくともその方針に向かって指導をし対策をとられることが当然だと私は思うわけであります。ただいま地方市場の問題に関連して申し上げたわけでありますが、その点は十分御認識になっておるようでありますので、あえてこれ以上申し上げません。  それから、先ほど石田委員から問題になりました市場の運営問題です。先日参考人が非常に長い時間をかけて、包装、出荷、一部には産地の技術指導までやっておる、前渡金も出して、それが回収されてないというような不平がましいようなことを述べておられました。しかし、これは、見方を変えますと、一種の荷引き競争の姿をみずから告白しているものではないかと私は聞いたわけなんです。現在一番弊害があるのは荷引き競争からくる弊害です。これを何とかしなければ、ほんとうの市場の運営というものは正常化しないと思うのです。荷引き競争に多額の金を出す。だれがその経費を負担しておるかというと、結局回り回って生産者が負担しておるということになる。そういうことはもう申し上げるまでもないことだと思います。そのためには、まず分不相応に荷をたくさん取ろうとする場合、あるいは、から人気をその当事者が得ようとする場合等は、いわゆる祝儀取引をやる。そして、べらぼうな値段を出して、本格的な出荷が始まるころにどさんと落とす。こういうやり方が従来はしばしば行なわれてきておる。現在もこの傾向は必ずしも払拭されておらないと私は思うのですが、ごく最近のそういう微妙な運営の実態というものについては、私つまびらかにしておりませんが、こういう傾向は必ずしもきれいになっておらぬと思うのです。これは生産者団体なりあるいは出荷団体というもののあり方とも関連をいたしまして、そういうものに目もくれないで、系統的なそして整然とした出荷体制というものを守っていく、そしてこの一期間における出荷物の平均年産性というようなものを維持することができましたならば、そういう抜けがけの大きなぼろい祝儀取引等によってもうけようという農家の射幸心も勢い消えて、健全な、そして妥当な取引価格の成立を期待するように漸次向かっていくと思うのです。この傾向に対しては、もっと農林省は本格的な対策を講ぜられる必要が私はあるように思います。先年神田市場で大きな問題が起きまして、これもいろいろの原因があったと思いますが、やはり、そういうことがたび重なっていくうちに抜き差しならないようなことになるのも一つの原因ではないかというふうにも想像されるわけであります。そういう点について、農林省は、経済局がこの衝に当たっておられますが、私の見るところによりますと、園芸局を設けろとか、あるいはいろいろな機構が論じられておるようでありますが、この農産物の流通を一手に負うた新しい強力な機構の方がむしろ今日は必要であるのではないかとすら考えておるわけなんです。ただ、問題は、この生産されたものの流通を経て農家がどのような成果を享受するかというところにあるわけであります。問題はそこにあると思うのです。これなくして、現在の社会機構の中にあっては生産の果実をまともに享受することは農民としてはできないわけです。そういう点で、農林省の機構のみを言うわけではありませんが、少なくとも、考えられることは、専門のそうした流通を専管し、それに対して万全の生産者擁護の立場に立った対策というものが必要ではないか、そういうふうに私は見ておるわけでありますが、この点についていかような御所信を持っておられますか。
  120. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ごもっともなお考えでございまして、私も流通過程につきまして十分な努力をいたさなければならぬ考えでおりますが、何分生産と販売というものは一連のものでございまして、やはり、生産を指導監督する者が販売流通関係まで指導監督するということでいった方が適当ではないか。現に、繭、生糸の取引につきましては蚕糸局においてやっております。同様、木材は林野庁、さらに魚は水産庁というふうにやっておりますること等から考えましても、蔬菜、果樹等につきましては、今後その生産と一連の指導行政をやって参りたい、こう考えております。
  121. 足鹿覺

    足鹿委員 大臣は急いでおられますし、他にもあるようですから、私はこれで終わります。
  122. 野原正勝

  123. 川俣清音

    川俣委員 私はできるだけ簡潔に質問いたしたいと思います。  この流通機構の問題は、資本主義社会におきましては、自由品目であればあるほど、生産品を買いたたかれて買い取られ、しかもそれが高く売られるというのが普通の取引になっておるわけであります。そこで、そのために起こる弊害、すなわち生産が頭打ちをしなければならぬ、成長を押えられるという結果になるというと、この流通機構というものに何らかの制限を加えなければならぬということになるでありましょう。また、消費者が異常な価格で買い取らなければならないということになりますると、そこに流通機構に対する制限を加えていかなければならないということになるであろうと思う。こういう観点から、何とかこの流通機構を健全なものにしようというのがおそらく法の改正の要点でなければならないと思います。そこで、健全にして誠実な商取引でありまするならば、それを法制化していくというのが普通のやり方であると思うのでありまするけれども、今申し上げたような、生産者の生産意欲を押えるような結果になったり、あるいは消費者の家計に影響を与えて、結局日本の経済に大きなマイナスを与えることのないようにしようということでありますれば、改正の要点は三つに限られるのではないかと思うのです。  今日起こってきている欠陥の一つは類似市場の問題だと思うのです。この類似市場というものは、中央卸売市場の運営がうまくいかないというところに発生する余地ができてくると思うのです。そこで、この類似市場というものが発生するには、中央卸売市場自体に持っている欠陥、すなわち、単数だという卸売市場でありながら、幾つかの分場を持っているという性格が、類似市場をさらに起こす原因にもなっておるのではないか。もう一つは、卸売市場が公正な商品の取引をしないで、あるいは買い出しに参りましてたたいて買うというような前渡金的な買い方をやりますと、その前渡金は受け取るけれども、品物は類似市場に送るというような欠陥が生じてくる。いわゆる前渡金でたたけば、金はほしいからもらうけれども、品物を送らないという欠陥が起こってきて、これが類似市場に流れていくというような結果になるのではないかと思う。すなわち、どうしてこの類似市場の商取引を起こさないように指導していくか、あるいは卸売市場をどう建設していくかということが、何といっても基本にならなければならないと私は思うのですが、農林大臣はおそらく私と同じだと思うけれども……。
  124. 河野一郎

    ○河野国務大臣 川俣さんは通産省におられた当時からこの卸売市場のことにつきましては御造詣が深い方でありますから、われわれと違って万々御検討の上の御発言と考えますが、ただいま御指摘になりました点、私も全く同感でございまして、かつて複数制、単数制で非常に論議いたしました当時からあった問題でございます。しかし、現状の制度で今日まで経過して参りました経緯からかんがみまして、十分に機能を発揮するように、その弊害を除去することに指導監督を十分にいたしまして、所期の目的を達成して参るということではなかろうかと思うのでございまして、せっかく努力いたしたいと思います。
  125. 川俣清音

    川俣委員 この際、やはり、中央市場を強化する上からも、鮮魚の場合は冷蔵庫を持っておりますし、青果物の場合にも完全な保存倉庫を持っておるが、今後ますます成長するであろうところの果樹、園芸などの季節的に大量に出荷されるものを保存する保存倉庫を持たなければ、中央卸売市場としての使命を果たし程ないのではないか。いわゆる場外と申しますか、類似市場はそれらの設備を持たないところに、中央卸売市場の権威を高めて取引を正常化するゆえんがあると思うのですけれども、それはその程度にいたします。  次に、兼業禁止の問題でございますが、農林省の原案は、相当にきつい兼業禁止的な許可制度を考えておられたはずです。その案もあるはずです。急に届出制に変わったのは、どうも解せない点があるのです。これは時間をかけてるる申し述べません。大臣十分御承知の通りなんです。党内の有力な人々からの反対もあったでありましょうし、そのことは別にいたしまして、なぜ一体兼業をもう少し厳重に取り締まらなければならないかという点を二、三点申し上げます。  これは例を出すのはどうかと思いますけれども、名古屋の市場卸売人がパチンコ屋を経営しておる。これは名前は奥さんの名前になっておるかどうか知りませんけれども、こういう射幸的な危険なものを一方にやっておりますれば、卸売業者としての運営は不安定になるのではないか。これは一つの例です。現在どんな兼業をやっておるかということをお調べになっていないのです。調べておれば、こういう兼業をやめるべきだということが出てこなければならないはずなんです。そういう点で、むしろ兼業禁止するような考え方、しかも卸売を業として安定するような方向に持っていって、兼業はできるだけ押えるという方向へ持っていかなければならないのではないか。それには、一々何でも取り締まれということではないのですけれども届出主義というよりも許可主義にしておいて、妥当なものであるならば許可を与えて、一般には与えないのだという規定を設けるのがこの際必要ではないかと思うのだが、これについての見解を承っておきたい。
  126. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御意見は私もごもっともに考えます。しかし、行政の面におきまして十分所期の目的を達成するように指導監督をいたしたい。ただいまお話しの、名古屋においてパチンコ屋をやっておる者があるじゃないかということでございますが、農林省の調べでは、そういう名義で、本人名義でパチンコ屋をやっておる者はない。だれかほかの名義になっておるかどうか知りませんが、パチンコ屋をやっておるという例はございません。そういうわけでございますが、なお一つ、十分この所期の目的を達成するように指導監督をいたしたいと考えております。
  127. 川俣清音

    川俣委員 これは、パチンコ業務であれば銀行の金融の対象にならないために、卸売業者の名前を背景にして金融を受けておることは事実なんです。従って、名義はだれであろうと、保証をしておるのは、卸売業者が借りた格好になっておるのです。実際の運営はパチンコに向いておるが、パチンコには金融はないんですよ。そういう意味で、私は内容はあまり詳しく存じませんので知らないと言った方がいいと思いまするが、かなり影響するところが大きいと思いますからこの程度にいたしますけれども、やはり許可主義をとって、何でも許さないということではなく、妥当なものであればあるいは許すのだ、これでよろしいのじゃないかと思う。届出主義ということになりますると、許されることが一つ条件になっておるようでありまするから、むしろ許可主義であるという建前を貫かれることが適当ではないか。何でもかんでもやらせるなという意味でもないのです。適当なものであるならば許可するんだ、不適当なものは許可しないのだという建前を貫かれることが必要じゃないか。初めはそういう趣旨でできたものを途中で変えなければならなかった理由はどこにあるか。変えなければならぬ理由はないはずなんです。
  128. 河野一郎

    ○河野国務大臣 御意見、ごもっともに考えますが、なお検討いたします。
  129. 川俣清音

    川俣委員 もう一点伺いますが、何といっても、今度の改正の骨子にならなければならないと思いまするのは、先ほど石田委員から問題となりましたせり人の問題。せり人に、もう少し公的な性格と申しますか、公務員的なと申しますか、一定の性格を与える必要があるであろう。身分上の性格を与えて、公正なせり売りをさせるということを原則にしないというと、今までのことは大した影響はないにいたしましても、今後ますますその弊害が出てくる危険性がすでに現われてきておりまするから、このせり人に対する性格の規定を本法の中に設くべきでなかったか。この点も重要な点だと思いますので、一つ大臣から見解を承っておきたいと思う。
  130. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいまお答え申し上げました許可制度と届出制度の問題につきましては、お答えが不適当であったと思いますから訂正させていただきます。将来検討いたしますということに訂正をさせていただきたいと思います。  それから、ただいまのせり人の点につきましては、これも、先ほどお話がございましたが、十分指導監督いたしまして、なおその過程におきまして必要があれば、今御指摘のようにこれを将来研究いたします。
  131. 川俣清音

    川俣委員 もう一点。今のところ生鮮食料品卸売人というふうになっておりますが、最近の生産事情からいたしまして、季節的に大量に生産されたものは、鮮魚の場合でありましても青果物の場合でありましても、できるだけ簡易な加工を加えることによって需給を調節しようという考え方がある。これは生産者の中にも出てきまするし、消費者にとってもそれは好ましいことになると思うのです。そこで、これに対する加工が行なわれる。たとえば、野菜類については、つけ物といった保存のきくようなものに変えていく。あるいは、鮮魚でありまするならば、これをかすづけにする、みそづけにする、あるいは干物にする、あるいは冷凍にするというような加工が加えられておるわけであります。従って、今、牛鮮食料品といいましても、だんだん一次加工、わずかな加工が加えられたものに変わっていく傾向があるのではないか。それにもかかわらず、依然として生鮮食料品であるということで市場指導していかれますることは、必ずしも時代の進運と合っていないのではないか。中にはカン詰等のあれもありまするけれども、カン詰までいくことはどうかと思いますが、これらのものについて、やはり生産指導の役割を流通機構というものはするのでありますから、こういうものも取り扱うなら取り扱う、だめならだめだとはっきりきめて、生産者あるいは消費者に対する役割の限界を明確にすべきじゃないかと思うのですが、この点はもう大臣十分御序じだと思いますから返事は要らないようなものですけれども、御返事を願いたい。賛成だということでも、やらなければこれは何にもならないのです。
  132. 河野一郎

    ○河野国務大臣 お話の点、何分現状におきましては生鮮食料品ということになっておりますが、順次生鮮食料品が、今お話しの通り加工の面が量的にふえて参るということになりますれば、当然またそういうふうに呼称も変わるでございましょうし、いろいろ重点がその方に変わってくるでございましょうから、これは当然考えなければならぬ点でございまして、その変わって参ることがわれわれとしても望ましいことでございますから、市場取引につきましても、そういう望ましい方向に参るように考えていきたい、こう考えております。
  133. 川俣清音

    川俣委員 時間がありますので、もう一点……。
  134. 野原正勝

    野原委員長 ちょっと私からお願いいたします。大臣は五時までですから……。
  135. 川俣清音

    川俣委員 もう一点ですから……。  せり売り人のせり用語が昔から慣例としてあるわけです。あれは簡便でなかなか要を得た用語でありますけれども、かつてはあたりにわからないような業者間の秘密用語であった。今では公正な取引をすればあえて秘密用語を使う必要はないのではないか。昔から発展してきた用語ではありますけれども、あれも日本語のうちに入るものでありましょうけれども、あれはかつては秘密用語でありまして、外部の者にわからないという性質を持ったものでありますが、今日では、公の取引をするということになりますと、あの従来からの秘密用語は必要がなくなってきたのではないか、だんだん公正な取引に変えていくべきではないかと思うのですが、これもおそらく大臣賛成だと思いますけれども、聞いておきたいと思います。
  136. 河野一郎

    ○河野国務大臣 むろん私も同様に考えますけれども、まあ、ああいう機微に属するものでありますから、あえて政府からこうあれあああれと言うわけにもいきにくい。当然あの方面の若い人たちが必要の最小限度に変わって参るであろう、こう考えます。
  137. 野原正勝

    野原委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  138. 野原正勝

    野原委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論もないようでありますから、直ちに本案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  139. 野原正勝

    野原委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  140. 野原正勝

    野原委員長 ただいま議決いたしました中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対し、石田宥全君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者にその趣旨説明を求めます。石田宥全君。
  141. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 ただいま議決せられました中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対しまして附帯決議を付するの動議を提出いたします。  まず案文を朗読いたします。    中央卸売市場法の一部を改正する法律案に対する附帯決議  一、政府中央卸売市場施設の近代化、合理化を強力に推進するため、これに必要な資金の供給、特に起債枠の拡大及び補助金の増額につき格段の措置を講ずべきである。  二、政府は、中央卸売市場卸売業者兼業を営む場合においても、そのことにより、公共的性格の強い本来の業務の適正かつ健全な運営が阻害され、その結果生産者出荷者の保護に欠けることとならないよう、卸売業者に対する検査を強化し、改善措置命令の発動、業務停止措置等についていかんなきを期し、法の運用に厳格な方針をもって臨むべきである。  三、最近、各地において地方卸売市場が濫立し、中央卸売市場との間に、または地方卸売市場相互間に過当競争が行なわれ、生鮮食料品流通秩序をみだし、卸売市場の健全な運営を阻害する面がすくなくない。よって、政府は、地方卸売市場開設業務の運営方法等についても適切な指導規制を行なうことができるよう、速やかに所要の法的措置を講ずべきである。  四、政府は、せり人がせり場において使用する用語を一般人が理解しうるものとするよう指導すること。  右決議する。  本動議の提案は自民、社会、民社三党の共同の提案でございます。  趣旨の説明については先刻来の質疑の中ですでに明らかであり、大臣の言明によってほぼ明らかであると思うのでありまして、さらに所信の表明によって明らかにしていただきたいと思いますが、理由は省略いたしまして、直ちに御可決あらんことを希望いたします。
  142. 野原正勝

    野原委員長 これより採決いたします。  石田宥金君の動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認めます。よって、附帯決議を付することに決しました。  ただいまの附帯決議について政府の所見を求めます。河野農林大臣
  144. 河野一郎

    ○河野国務大臣 ただいま御決議になりました四項目、いずれも、政府といたしましても十分注意をいたし、また、行政指導上もしくは行政措置上最善を尽くして行なわなければならぬ問題と考えます。私といたしましても、御決議の趣旨を体しまして、十分御期待に沿うように善処いたしたいと考えます。     —————————————
  145. 野原正勝

    野原委員長 ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 野原正勝

    野原委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。  次会は明二十五日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会