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1961-10-20 第39回国会 衆議院 農林水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十日(金曜日)     午後一時十七分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       安倍晋太郎君    飯塚 定輔君       金子 岩三君    仮谷 忠男君       草野一郎平君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂田 英一君       谷垣 專一君    綱島 正興君       寺島隆太郎君    内藤  隆君       中山 榮一君    藤田 義光君       本名  武君    松浦 東介君       八木 徹雄君    米山 恒治君       足鹿  覺君    川俣 清音君       東海林 稔君    西村 関一君       山田 長司君    湯山  勇君       稲富 稜人君    玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君  委員外出席者         参  考  人         (東都水産株式         会社社長)   田口 達三君         参  考  人         (江東青果株式         会社社長東京青         果卸売会社協会         副会長)    増田伝三郎君         参  考  人         (元東京中央         卸売市場長)  荒木  孟君         専  門  員 岩隈  博君     ――――――――――――― 十月十九日  委員仮谷忠男君及び米山恒治辞任につき、そ  の補欠として渡邊良夫君及び岸本義廣君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員岸本義廣君及び渡邊良夫辞任につき、そ  の補欠として米山恒治君及び仮谷忠男君が議長  の指名委員に選任された。 同月二十日  委員北山愛郎辞任につき、その補欠として川  俣清音君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川俣清音辞任につき、その補欠として北  山愛郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十月十九日  農業基本法関連法案早期成立に関する陳情書  (第一三〇号)  食糧管理制度存続に関する陳情書  (第一三一  号)  等外米等政府買入に関する陳情書  (第一三二号)  農地金庫設立に関する陳情書外三件  (第一三三号)  兵庫県八鹿町に営林署誘致に関する陳情書  (第  一五四号)  木材価格安定対策確立等に関する陳情書  (第一五五号)  昭和三十六年度干害応急対策事業助成措置等  に関する陳情書  (第一五六号)  食糧管理制度存続に関する陳情書  (第一  六六号)  含蜜糖の生産規制措置に関する陳情書  (第二〇九号)  農業金融制度改善に関する陳情書  (第二一〇号)  農業委員会組織改正に関する陳情書  (第二一一号)  有明海沿岸漁業被害対策確立に関する陳情書  (第二一二号)  土地改良法改正等に関する陳情書  (第二一三号)  新庄市に雪害調査研究機関設置に関する陳情書  (第二一七号)  同  (第二四二号)  農林漁業振興対策確立等に関する陳情書  (第二三五号)  北陸地方農業生産基盤整備に関する陳情書  (第三〇一号)  農業生産基盤整備に関する陳情書  (第三〇二号)  小麦作等転換農家奨励金交付等に関する陳  情書(第三〇三  号)  農業基本政策確立に関する陳情書  (第三〇四号)  農業近代化促進に関する陳情書  (第三〇五号)  農業近代化資金金利負担軽減に関する陳情書  (第三〇六号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中央卸売市場法の一部を改正する法律案内閣  提出第二三号)      ――――◇―――――
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央卸売市場法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  本案審査のため御出席をいただいております参考人は、東都水産社長田口達三君、江東青果社長東京青果卸売会社協会会長増田伝三郎君及び元東京中央卸売市場長荒木孟君でございます。なお、地方卸売市場関係の方にも参考人としての御出席を交渉いたしましたのでありますが、所用のため出席できないとのことでございますので、御了承願います。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございました。中央卸売市場問題について深い御識見と御経験を有せられる参考人各位より、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本案審査の貴重な参考に供したいと存ずる次第でございます。  参考人各位には、最初委員長指名順に御意見をお述べいただき、あとで委員の質疑に応じていただきたいと存じます。  それでは、田口参考人よりお願いいたします。田口参考人
  3. 田口達三

    田口参考人 ただいま委員長から御指名ございましたが、本日は委員会にお呼び下さいまして、ありがとうございます。  私どもといたしましては、この法案につきまして、何か御質問がございましたら、それに応じてお答え申し上げたい、こう存じております。  ただ、非常に困っておりますことは、今の中央市場がちょうど三十年前に計画されたものでありまして、もう三十年近くもたっておりますので、その時分の人口から考えますと、もう三倍も四倍にもなっておりますものですからして、非常に狭隘を感じておりまして、どうすることもできないよう状態になっておりますのでございまして、市場の拡張、改善ということに格段の御配慮をお願い申し上げたいと存ずるのでございます。特にお願い申し上げたいことは、混雑を緩和するよう一つ何か御配慮をお願いしたいことを切にお願いする次第でございます。  大体以上であります。
  4. 野原正勝

    野原委員長 それでは、次に増田参考人にお願いいたします。
  5. 増田伝三郎

    増田参考人 私ども青果卸売人全国団体意見につきましては、過去数回にわたって請願、陳情の形でお手元に意見書提出してありますが、その趣意について、ここにさらに申し上げてみたいと存じます。  今回の改正案中に卸売人に対する各種の規制が強く打ち出されておりますが、この種強化をあえて実施するならば、まず、その前提として、中央卸売市場公益性についてその法意を明確にし、あわせてこれが健全経営助長方施策をとり、しかる後に市場機構統制に及ぶべきが妥当であると存じます。現在のように、類似市場自由開設生産地消費地機関の直接取引など、中央卸売市場機能を阻害するがごとき幾多の事態について何らの法的規制を講じ得ない状況下において、ひとり卸売人業務のみに強い規制を加えても、その効果はきわめて薄く、偏向な施策たるのそしりを免れないと存ずる次第であります。  さて、次に申し上げたいことは、今回の改正案が、かの市場調査会の答申の趣意に基づいてなされたとのことでありますが、はなはだ遺憾に存じますことは、当局の監督措置のみに重点が置かれて、私ども市場当事者の切なる要望事項が全く無視されているところに、私どもは痛く不満を表明するものであります。  もちろん、私どもは、卸売市場公共性については十分に自覚・反省いたしておりまして、かつて、中央卸売市場開設にあたりましては、父祖伝来のいわゆる腕次第、もうけほうだいという自由な個人問屋営業を、何らの補償もなく、みずから進んで中央市場に収容されて、今日の卸売人となったのであります。しかして、あらゆる法的規制に甘んじて今日に及んでいるのであります。しかしながら、一方においては、中央卸売市場指定地域内において、特にはなはだしきは中央市場と軒を連ねて類似市場が放置されており、なおかつ、類似市場開設は自由であり、しかも類似市場は何ら法的取り締まりを受けることなく自由営業をしているという現実について、私どもは何としても納得ができないのであります。中央卸売市場における公正取引健全経営の原動力となる要因は、実にこの問題の明確な解決にあると断言してあえてはばからないと存ずるのでございます。  このような観点から、私どもは、本案第二十三条ノ二のいわゆる指定地域周辺市場云々の項は全く無意味であると存ずる次第でございます。すなわち、指定地域内の類似市場を放置しておりながら、指定地域外市場について云々するがごときは、本末転倒もはなはだしく、むしろこっけい千万であると存ずるものでございます。まず指定地域内の市場について厳重に措置することこそ緊急案件であると存ずる次第であります。  要するに、今回の一部改正案のごときは、卸売市場大局の上に何ら益することなく、このよう改正を急ぎ行なうよりも、むしろ、なお若干の時日を要しても、現行法不備欠陥について慎重に再検討をいたしまして、現実に即して抜本的全面改正を強く要請する次第でございます。  次に、補足的に申し上げたいと存じます。先ほど田口先輩からもお話がありましたが、現行法は全く時代にずれている。これは大正十二年の立法にかかるものでございまして、すでに三十八年何カ月というものを経過しております。この間、わが国状況は、御承知のごとく、一カ月が十年に匹敵するというくらいの急テンポの変化を見まして、社会事情、人間の生活事情、あらゆる点が全く変わっております。先ほども現地で申し上げましたごとく、何かやってもらおうとすれば、法律に明記してあることが憲法に触れるのだ、ああだと、全くわれわれといたしましてはどこによりどころを得ていいかわからないというようなことでございます。これは御一考を願いたいと存ずるのでございます。  次に、現在の卸売人業務の内容は、立法当時の構想と大いに異なりまして、単純な販売機関ではなくなったのであります。つまり、まず産地に対しましては多額の金銭その他の応援をいたしております。金銭的応援でも、過去五年間の平均は、おそらく卸売人資本金の何倍かになっておることと愚考いたす次第であります。なお、そのほか、生産指導、あるいは荷作り梱包指導等、一々われわれが呼び出されまして御参考に供さしていただいておる次第でおります。このように、現代の卸売人はいろいろな面から社会公共に奉仕しておるのでありまして、単純な、物を売るという機関ではないのでございます。このように、現在の卸売人卸売市場公共性のみが強く要請されて強い規制措置がとられているが、その反面何らの保護助成施策が講ぜられてないのであります。また、地方のことはわかりませんが、東京におきましては、おそらく全部の資本金の何倍かの金が産地前渡金から回収不能に陥っておるのであります。私どもあたり産地には一銭の貸金もありませんが、開拓移民、あれらまで、県庁の役人や県会議員がついてきて、もう十年近い前に、百何十万円かの、これもやむを得ないでしょうがというふうでございまして、先ほど申し上げましたが、まず私ども産地における前渡金の未回収はおそらく資本命の何倍かになっておると考えております。どうか、その点も、皆様方のお力によりまして、産地整備その他あらゆる方法で、われわれに過当な犠牲をしいませんように、一つ御協力をお願いする次第であります。  次に、自由市場実例を申し上げます。札幌東京大阪は何十となくございます。大阪の場合は、中央市場と五十に及ぶ類似市場との取り扱い高はほとんど同額であります。これは、私も行って見ましたが、大きな農林大臣公認という看板を掲げまして、もちろん封筒にも便箋にもそれが印刷してあります。そうしてやっている。そうして、その取り扱い高中央市場と同じに及んでいる。なぜこういう結果が出るかというと、われわれはあらゆる問題で規制を受けておる。ところが彼らは自由です。まず、昔やっていた通り、腕がよければ十円のものでも二十円の仕切りを書く。よそはみな相場が十円だけれども、うんと売りたいと思えば、十円のものでも二十円の仕切りを書く。荷主は二十円の方がいいからうんとやってくる。われわれは一銭でも見つかるごとに罰則を課せられます。従業員にしてもそうなんです。われわれは約三割に近い二割何分かのものは公共性のために使っていく。これは何であるかというと、産地への業務を離れた特別のいろいろな連絡費用です。統計なんというものは彼らにはない。それから、帳簿におきましても、税務所だけならごまかしようもあるのですが、東京都が監査する、農林省が監査する、それで税務署が監査する。これは三つとも目的が違うのです。一冊の帳面が目的の違う人に三回監査されるのですから、これはもう何もできない。片方は何でもできるというところにある。しかもわれわれは高い使用料を払っている。私は江東市場ですが、あれは幾らかの金でやったのですけれども使用料の問題であのときも大騒ぎだったのですが、あれはたしか十八年か十九年で償却になってしまった。今日あれは百億近い財産ですね。幾らか金利があったでしょうけれども、十年もたてば済んでしまいます。要するに、あれはわれわれが働いて東京都に寄付をしたようなものです。さよう類似市場というものはなっております。  それから、類似市場というものは、遠くにあれば差しつかえないのですけれども、ところが、遠くにあったのではお客が来ない。なぜかというと、品物がそろっていないからです。彼らのねらいは、ここにりっぱな整備された市場があれば、その隣りに来て営業をする。御承知通り青物口銭は一割だ。近在の青物などを売れば一割は口銭がはっきりとれる。ところが、遠くのものを呼んでくるという場合には、その間にいろいろな來雑物があって、その費用というものは莫大もないくらいだ。おそらく、青物は一割、果実は八分の口銭をとりますが、しかもその費用たる人件費が六割になります。それで、おそらく、百分の五の純益を上げている会社は、私の知っている限りでは日本中にないと思います。とにかく、そういう困難な経営をしているわれわれのところへ来て、もうかるものだけ売る。商人はここへ来れば何でも間に合うから買います。そしてこれは必ずもうかる。どんなばかがやってもこれはもうかるのです。しかも、一品少なくてもわれわれはやられるわけです。どうした、お前ら中央市場卸売責任者としてこんなことで責任が済むのかといって、八百屋が寄ってきてえらいけんまくで騒ぎ立てる。ところが、やつらは一品でもいいのです。一番もうかるもの一品持っていっても、それでいいのです。  私のところなど、一部の御熱心な農林委員会の方がおいで下さいまして写真などもおとり下さいましたが、たんぽの中を埋めて東京都が市場を建てたものです。ところが、隣のたんぼを買って埋めて、またここへ類似市場ができた。こういう極端な実例もあります。それから、一つのはなはだしい例としては札幌なんです。札幌におきましては、中央市場ができたが、それに不平な者、またはそれをいい機会だとした者、あるいはそこをやめて出ていった者、あるいは中央市場に就職されている人の妻子、弟妹などによって、中央市場の隣へ相当面積の広い青物市場ができたわけです。その結果がどうかというと、隣の類似業の方はふところ工合がいいものだから莫大もない売り上げを得ている。札幌中央市場地方の小市場としては全国でも相当大きい方の中央市場なんですが、その中央市場取り扱い高よりもその類似市場取り扱い高の方がはるかに多いのです。とにかく、その隣の類似業というのは勝手ほうだいなんですから、この力が取り扱い高が多くて、出初における中央市場予定取り扱い高を突破しており、中央市場の方はてんで少ない、こういう状態であります。  それから、もう一つは、類似業のおかげで混乱に陥ったという例もあります。やはりこれも北海道でありますが、北海道には道条例というものが確実に行なわれておりまして、知事の認可を得なければ卸売市場などの類似業をすることができないという状態にあるのであります。これはぜひ北海道から出てきてなまのところを言っていただきたかったのでありますが、ところが、ここに、札幌地区中央卸売市場法というものが実施された。ただいま申し上げた中央市場でありますが、その結果がどうであるかといえば、中央市場法指定範囲内においては地方条例より中央市場法が優先いたしました。地方条例は効力を失ってしまったのであります。そうしたら、雨後のタケノコのごとく類似業が出てきて、まことに取引が混乱している、そういう実例があります。  ただいま申し上げましたような諸問題が明確に解決されるよう改正がなされない限り、市場法は実質的に効果が薄弱でございます。法の権威が地に落ちるという言葉がございますが、まことにわれわれはこれを嘆かわしく思っております。法治国であるわが国において、みんなが法律を守らないということになれば、これはまことにゆゆしい問題でありまして、すでに中央市場においては守れば憲法に触れるという先ほど申し上げましたような問題もあるのに、今回のよう改正をあえてすれば、なお多くのこういう問題を惹起いたしまして、シナの哲人が「機多くして罪多し」と申しましたことも、まことにむべなるかなと思わざるを得ません。今回の改正案を見ますと、これは私たちに対してじゃないのです、国家に対しても国民に対しても、生産者に対しても消費者に対しても、もっと親切な、緻密な、正確にして精密な法律を立案していただきたい、かように存ずる次第であります。  先ほども申し上げました通り、すれば憲法に触れるなどというのは極端ですが、実際われわれが実行しているものを、あんなことは実行することはできないなんと言う卸売会社も相当数あります。ということは、法律に無理があるのか、あるいはその人たちの心がまえが悪いのか、これは別といたしまして、ともかく、われわれの社会というものは、バナナで見ればわかりますように、バナナはことしからは利益がごく少ないのですが、実績と称するものによって得ている利益が一億九千八百六十四万七千五百五十円、これはあたりまえに出ている。ところが、あれはFOBですから、岸壁に上がるまでに腐っている分はキャンセルになるわけです。これは腐っているものは腐ったまま入っている。その分はただで向こうから来るわけです。そうすると、原価も運賃も税金もみんなただなんです。これがごく低い程度に見積もっても四千万円くらいある。ところが、今まではこんなものじゃなかった。これは一かご千五百円くらいの計算ですから、この二倍も三倍ももうかっている計算なんです。バナナ実績はどうしてできたかと申しますと、これはきわめて複雑怪奇でありまして、かつて、小説家獅子文六氏が、「バナナ」という小説を書きたいから、バナナ輸入について何か聞かしてくれ、小説の材料にしたい、こういうことを言ってバナナ団体に申し込んだ。ところが、それはだめだ、そんなことをやられては大へんだからといって断わられたということなんです。それで、私にもその話がありましたから、おもしろいからみんな教えてやろうかと思ったけれども、私も自分の近親にバナナをやっている専業者もありますので、私がわざわざばらすこともないと思ってがまんをした。バナナは、金はこれだけですが、実際にはこのほか一かご二百円という手数料を取っている。それだって二千何百万くらいになるわけです。しかも、それを持っているやつは、設備もなければ技術もなければ何もないやつばかりなんです。それで、われわれが仲買人や小売人要望によってバナナをやるには、まことに苦心惨たんをいたしまして、値段は幾らでもかまわない、相手が幾らもうけてもいいから間に合わせてくれということでやるわけです。ところが、実績の上にあぐらをかいて、年々、多い年にはおそらく何十億、そのけたをどうかというくらい、何もしないやつがもうかっておる。これは私いつも主張いたすのでありますが、人口に比例して、中央市場のあるところは中央市場卸売人輸入権を持たすとか、そのほかは、組合なら組合を作らして、その地方々々に輸入させるとか、あるいは、それが悪ければ、一番いいのは、今みたいな状態ならむしろ国バナナを買って競売するのです。これなら、ほしい人は高く買えるのだから、公平に物が分配される。このよう方法自由化ということになれば最も好ましいことでありますが、御承知通りバナナ原価は半分以上は不自然な金でありまして、自由化によって吸い上げ金がなくなれば、まず一本十五円くらいでは相当いいバナナが売れるようになると思います。そうなれば多少内地の果実の需要を圧迫するおそれがあると思うのでありまして、この点は一考を要すると考える次第であります。  あまり詳しく申し上げますと当たりさわりがありますので、ごく概要のわかったようなわからないようお話で、はなはだ申しわけありませんでした。ことに、私、昨晩以来高熱でありまして、実はけさまでにもう死んでいたかと思ったのであります。十時半にやっと意識が戻って、今薬を飲んでお話をしておる次第で、言葉がはなはだ前後いたしまして徹底を欠くというようなことがあったと思いますが、お気づきの点がありましたら、後ほど十分お話を願いたいと思います。
  6. 野原正勝

    野原委員長 次に、荒木参考人にお願いいたします。
  7. 荒木孟

    荒木参考人 中央卸売市場法は、御承知ように、大正十二年の発布で、すでに三十有余年を経過しておりますから、いつも言われるように非常に古い法律でございます。しかし、法律は古いから悪いというものではなくて、むしろ古ければ古いほど実際になずむものでありますから、決して古いから改正を要するわけではないと思います。現行法が制定の当時から、そのねらいは今日でもやはり同じことで、少しも違っていないと思うのでありますが、肝心の点において徹底を欠いておる、あるいは不備である、あるいはやや矛盾したようなことがある、そういうところを改めて、そして中央市場集中統合市場としての本質を強化保障する、また、市場内における業務、問屋仲買い、卸仲買い機構整備確立をして、その流通機能が正確にいくようにする、その点もやはり、現行法において当を得たようになっておりますが非常に明確を欠いておるために、いつも中央市場開設等にあたってそういう点においてごたごたがあります。  具体的に申しますと、今申し上げましたように、中央市場集中統合性という上から考えまして、その地域内にある同種卸売市場、これを中央市場法では類似市場と申しておりますが、これは類似市場ではない。全くの同種市場であります。同じようなものを同じよう方法で同じ地域内で扱っておる市場でありますから、すべてこれは同種市場。その同種市場一つ地域内にばらばらに多数散在することによって、流通調節価格平衡調節ということが乱れてくる。それを一ところに集中して、全体の需給を一緒に統合してやるというのが中央市場本来の性格でございますから、いやしくも農林省中央市場開設区域として指定し、そこに中央市場法にのっとって公共団体中央市場開設するという以上は、その区域内における同種卸売市場はすべて収容または閉鎖してでも統一性を保たなければならぬ。その点において、現行法は、やはり中央市場開設するときにはいわゆる類似市場は閉鎖することができるようにはなっておる。これは一つの条件がついて、市場開設までのうちには閉鎖することができる。開設後にはもうできない。従って、開設後に新しくできる類似市場等については何ら手をつけることができない。これは、現在の法の規定がそうなっておるのみならず、その当時の農商務省の説明がやはりそうだ。新しくできる類似市場には何ともできない、それは地方の条例等で規制するほか道がなかろうというようなことを説明してありますが、こういう点が業界においても常に問題になって、類似市場の統合整理というようなことは、そういうことでは中央市場の完全な骨格が成り立たないのじゃないかというのが多年の問題です。  それから、もう一つは、市場における売買機関、つまり、卸、仲買、これも、その資格、員数、あるいは地位、名称というようなことに対して、いろいろ業界にも疑問もあり希望もあるのでありますが、これも、現行法においては、法の建前では複数原則になっておりますが、あいまいである。一体、単数はいけないのかいいのか、これは法の上であいまいであるのみならず、主務省である農林省においてもしばしばその方針が変わっております。今日は単数奨励というようなことになっておりますが、これは今までの歴史ではあちこちぐるぐる変わっております。そういうことがいつも中央市場開設の際の最大のガンになっておって、せっかく堂々たる建物ができても、業者の収容に何年もかかってペンペン草がはえるということになる。そういう点を根本的にはっきりさせたい。  ところが、これは非常に重大な問題であるだけに、業界その他においても意見が非常に区々に分かれておる。似市場規制というと、今度は類似市場の方からそういうことをやるのは憲法違反だというような論も出る。  しかし、現在の市場法において、既設のものさえ閉鎖することができる、これはあるいは憲法違反かもしれませんが、現行法はちゃんとそうなっておる。いわんや、新しく作るものを、禁止とまでは言わぬのでありますが、自由放任する法はあるまい。これは中央市場もやたらには作れぬのである。従って、類似市場とかあるいはその他の市場でもやたらには作れない、十分にこれは規制して、認可を要するとか許可を要する、また、必要あれば統合する、あるいはどうしてもやむを得ないときには閉鎖もするというような規定がやはり必要ではないか。これは決して類似市場を絶滅するとか禁止するとかいう趣意ではないのであります。一つ地域の中に、中央卸売市場のほかにどうしてもそういう市場が必要であるというなら、それを中央市場にいわば昇格したらいいではないか、あるいは話し合いで収容統合したらいいではないか。これはいろいろ議論もあるところでありますが、そういう点に根本的な適当な改革を加えてもらいたいというのが、われわれの多年中央市場法改正を叫んでおるおもな点であります。  むろん、そのほかに取引方法その他こまかな点にわたればずいぶんたくさんなことがあります。いわゆるそれを全面的の改正と称します。今日まですでに二回にわたって一部改正が行なわれましたが、今申しましたような根本の問題については何らの解決もしていないし、たまたま触るればかえって本来の趣旨に逆行するような方向に向かっておる。今度の改正が三度目でありますが、これも、率直に申して、遺憾ながら前二回と似たようなもので、改正されても大したプラスにもならぬ、また大したマイナスにもならぬという点が多い。私ども個人的の率直な意見を申しますれば、この程度の改正なら、むしろしないで、もっと有意義なほんとうの改正を日をかけてでもやった方がよろしいと思うのでございますが、しかし、この案はいろいろな経過を経て農林省の方々もずいぶん頭を悩まして作られたのでありましょう。業界の一部でも、毒にも薬にもならぬということであきらめた表情もあるのであります。決して私一人がこれをつぶそうのやめようのということを申し上げるわけではないのであります。  なお、各条にわたりまして申し上げるならばもう少し私の申すことが筋が立つかと思いますが、あまり長くしゃべってもどうかと思いますので、御質問がありましたらお答えいたします。
  8. 野原正勝

    野原委員長 これより参考人各位に対して質疑に入るのでありますが、本会議が間もなくございますので、参考人各位に対してはまことに恐縮でございますが、本会議散会まで暫時お待ちを願います。  本会議散会後直ちに再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。    午後一時五十八分休憩      ————◇—————    午後三時二十二分開議
  9. 野原正勝

    野原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより参考人に対する質疑に入ります。西村関一君。
  10. 西村関一

    ○西村(関)委員 参考人皆様方からいろいろ貴重な御意見を承ったのでありますが、皆様方の全体の御意見を通じまして、今度の改正案は可もなく不可もなし、あってもなくてもどうでもよいようなものだ、こういう御意見が多数あったように思うのであります。皆さん方からお聞きいたしたいのでありますけれども、まず荒木参考人からお答えをいただきたいと存じます。  それは、今度の改正案につきまして、具体的に、どの点が御不満であるか、どの点をどういうふうにすべきであるかというような点につきましてお示しをいただきたいと思います。
  11. 荒木孟

    荒木参考人 これは各項目にわたっていかなければならないわけでありますが、可もなし不可もなしというのもどうかと思うのでありまして、これはやはり、健全な常識で運営すれば、今度の改正でも、あるいはプラスの面もありましょうし、また、マイナスになる点は防げるわけでありますが、健全なる常識による運営という保証がなかなかないようでございますので、私どもとしては、結局この程度の改正なら可もなし不可もなし程度でおさまるほかはないのでございます。  項目別に申しますと、第一の、市場に関する開設並びに整備についての計画を農林大臣が定める、これは当初の草案では定めなくちゃならぬというふうに伝えられておりましたから、これは大へんなことだと思ったのでありますが、定めることができるというだけならば、予算とそれだけの人員と余裕が農林省のお役所にあれば、やろうと思えばいつでもできるし、できなければやらぬだけのことでありまして、別に、業界の方にどう、開設者の方にどうということはない。  それから、それを勧告すると申しましても、勧告に応ぜぬ場合にはどうするということも何もありませんし、従って、農林大臣がその計画を定めて、これを告示し、勧告しても、それで何人も権利義務で制限束縛を受けることはないのでありますから、やれたらやってよろしいし、やれぬでも何も差しつかえない、こういうわけであります。  それからまた、農林大臣は、地方公共団体が自分の負担と責任において開設する市場の計画を調べて、そのいいところを進め、悪いところがありましたならばそれを直して認可をする立場にあるのです。それが、逆に、みずから先に計画を立てて、そうして開設者の意見を聞いて計画を定める。むしろそれは逆のようなことで、どっちが主であるのか客であるのかも疑わしいというような感じもいたします。それらのことを論じなくても、要するに、これはただ計画を定めることができるというだけのことである。別に農林大臣がそれに縛られるわけでもなければ、またそれに何人も束縛を受けることがないようになっておりますから、これはどちらでもよろしい。  兼業の方は、何で卸会社が兼業ということをやるかといえば、これは会社にそれだけの利益なり余裕があって初めてできることで、本業そのものがあやしいというよう会社は、兼業をやれといってもできるものではない。従って、これはそうやかましく言う必要はない。むしろ兼業をやるような余裕があり資力があるものの方がいいのでありますから、別段禁止するとか承認するとかいう必要もないように思う。ことに、今度の場合、ただ届け出るというだけで、届け出た結果についてどうということもないようでありますから、これもこの程度ならどうでもよろしいというように考えるわけであります。  それから、第三の、卸業に対する勧告、これが農林省の方でも一番ねらいのあるところだろうと思いますが、これは、やはり、中央市場の建前から申して、公共団体中央市場開設をしてみずから卸業務をやるというまでにいけば別でありますが、それをみずからやらないで業者を収容し許可をして営業をやらせる。その営業はやはり普通の物品の売買取引であります。決して統制による配給とか公定価格に基づく価格公定制というものではありませんから、これはやはりなるべくは自由に手腕を発揮させた方がよろしい。しかし、そう自由放任して何でも勝手次第というわけにはいきませんから、必要限度、つまり、公益を保護する上において、また卸業務の権限を確保する上において必要なだけの勧告なり指導をすることは必要でありますが、あまり行き過ぎたことはしない方がむしろよろしいのではないか。たとえば、卸業務の会計並びに業務について改善の命令をするようなこともありますが、これは、やはり、現在でも、公共の利益を害する、あるいは法令に違反するというようなことは、当然にこれは勧告をして指導するわけでありますから、それ以上に積極的に、こうした方が利益である、こうした方がためになるだろうというようなことを命令をもってやる、これも全然間違いのない非常にいいことならばやってもいいかもしれませんが、万一そのためにかえって業態が悪くでもなった場合に、だれが責任をとるか。これは、おそらく、こういう規定があっても、農林大臣もそう軽々しくそういう命令を出されることもあるまいと思いますから、場合によっては命令をするという一つの伝家の宝刀みたいな意味で念のためにこういう規定があっても、健全な常識で指導される場合には差しつかえないのではないかという意味で、私ども必ずしも絶対反対せぬでもいいと思うわけであります。  それから、役員の解任命令については、株式会社の役員を官庁が解任の命令をするなんということはよほど珍しい例でありまして、こういうことまでしなければならぬ必要がはたしてあるか。これは、やはり、法令に違反するとか、あるいは公益を害する行為をやってその会社がとがめられる、あるいは業務停止をくうとか取り消しを受けるとかいうようなことになれば、当然そのことをやった役員としては会社に対しても責任があるし、世間に対しても責任があって、これはもう監督官庁の命令を待つまでもなく辞職とかあるいは退職、株主総会における何かの処分というものがありましょう。ですから、こういうことも必ずしも必要ではないと思いますが、しかしながら、また、多数の場合においては、明らかに責任を感ぜずに居すわるとかいうようなこともありますから、これも、一つの、そうしなければこうしてやるぞというような意味で、そんな規定があることもあるいはいいかもしれぬ。また、これもおそらくは農林大臣がこういう規定をたてにとっていかなる場合もどんどん解任命令を出すようなことはありますまい。また、その必要もおそらくありますまい。ただ、私は、この場合、会社がそういうとがめを受けるような場合に当該役員が責任を負うて辞職するとか解職されれば、あえて会社をとがめない、会社業務を停止するとか取り消すとかいうことは非常に重大なことであるから、その役員に責任を負わせて、会社責任はまた見のがしてやる、あるいは問わないという意味なら、これは一つの非常にいいやり方かとも思うのでありますが、はたして運用がそういうふうにされるのか、会社もとがめられた上にその当人もまた退職命令を受けるのか、これは運用のいかんによることでありますが、この点はいろいろ業界でも議論のあるところでありますが、これまたしいて反対することもない、こう思うわけであります。  それから、審議会の点。これはおそらく私どもの議論をする必要はないところと思います。  それから、順序がちょっと違いますけれども、独禁法除外の規定を類似市場にも及ぼす、これも当然と言えば当然でありましょう。中央市場卸売人同士の間の合併や譲渡について独禁法の除外的の規定を置くというならば、やはり、本場、他市場との間の合併も同様にするということは当然でありましょう。ただ、現在の独禁法除外の規定というのは非常に独特なものでありまして、全然独禁法から適用を除外して、公取委には何らのあいさつもなしにどんどん農林省の御方針なり業者の同意によって進行するなら、これも独禁法除外の規定が非常に生きてくるわけでありますが、現在の規定は、やはり公取委に協議をするという規定は残してあるわけでありますから、あまり大したいい手でもないと思っております。従って、これはこういうふうに改正されてもあえて差しつかえはない。  それから、地方市場規制。これは周辺地ということを新たに指定することになっておりますが、これも、やり方はどうでもよろしいのでありますが、指定地域を広げればそれだけの話。現在ある指定地域というのは、何も地域の指定があったからどういう権利を生ずる、どういう義務を生ずるということはないのでありまして、必要に応じてその指定地域を広げて、類似市場類似市場として規制していけばいい。あえて隣接し近接した類似市場なり周辺地市場というようなややこしい区別を設ける必要はないように思います。  それから、また、現在のよう改正で、中央市場法の中に、類似市場という特定の名称を持った市場、周辺地市場というまた特定の名前を持った市場、そういうものを現在の中央卸売市場の中に織り込むならば、これは中央市場法ではないのです。もう一般的の卸売市場法になってしまったようなものでありましょう。私どもはむしろそういう方向に進むのがいいと思いますから、この点は別に反対ではないのであります。  もう一つ、何か分場のことの規定がありますが、大体今の分場というのは二つの独立の市場でありまして、立法当時の当局の説明でも、分場は本場と全く同一のもので、本場に隷属するものではないということをはっきりと説明しておりまするし、また、実際から見ても、今の実例で言いましても、何も分場、本場という法律改正などは全然関係ないのであります。これは、やはり、原則的に中央市場は一地区市場であるべきものですが、大きな都市においては一地区市場ではどうしても実際上おさまらぬから、結局二つ以上の市場東京で言えば現在は七つの市場でありますが、中央市場一つの集中統合の市場とはいっても、やはり、大きな都市には、その集中の度合いから三つとか四つとかあるいは七つに分けなければならぬという事情に基づいて、中央市場が複数であるわけです。これがなぜ分場、本場というようなことになったかということを推量しますと、やはり、中央卸売市場という名前を特定の市場の固有名詞のように考えております。だから、東京中央卸売市場といえば築地市場そのものをさすのです。そうすると、神田の市場とかその他の市場が同じ名前で東京中央市場では区別も何もつかぬですから、結局そういうものはみた分場という名前になった。ところが、実際は分場でも何でもない。全くの独立した市場であります。これは、中学でもなんでも、幾つもある場合には、第一中学、第二中学あるいは第三中学というわけで、中央市場でも、東京大阪ような大きな都市には、第一中央市場あるいは築地、神田の中央市場があっていいわけで、これを木場、分場というのがむしろおかしいのですから、今度の改正はその点においてはいいと思います。ただし、東京都あたりの実例で申しますと、問題になるのはその点だけではないので、今日は東京都には分場のほかに配給所が十幾つあります。この配給所というのが、実際はこれもほとんど独立の市場みたいな状況になっておって、これは、規定の上で、東京都知事が必要に応じて作る、こういうことになっておる。これがむしろ問題でありますから、この点に触れるならば配給所というようなものをどうするかという点まで触れなければならぬと考えますが、これは農林省の方でもしかるべく御考慮になっておることと思います。  以上のようなことでありますから、いずれも、今度の改正は、さきにも申しましたけれども、われわれが最も必要な根本的の、しか本常に中央市場の既設なり運営について問題になる点にはほとんど触れていないし、たまたま触れても、それはむしろ方向を違ったようにしているきらいがある。しかし、今申しましたように、これは十分いろいろな手を経て審議されたものでありましょうから、しいて私どもが異を立ててこの法案の通過を阻止するような意思は毛頭ございません。このままに通過されても、今申しますように、運営よろしきを得れば、まあ大したプラスもマイナスもないというようなことで、そういう意見であります。
  12. 西村関一

    ○西村(関)委員 次に、増田参考人にお伺いいたしたいと思うのであります。  先ほど増田参考人からの話の中に、今度の改正には全面的な抜本的な改正が行なわれてないという御指摘がございましたが、特に類似市場の問題と関連してどのような抜本的改正をすべきであるとお考えになっておるか、この点をお答え願いたい。
  13. 増田伝三郎

    増田参考人 お答えいたします。  そもそも、中央市場法立法せられまして、中央市場が設立いたしまして、全国で実は私の市場が一番先にできたわけでございます。そのころは、法の命ずるところによりまして、その周辺にありました類似市場は全部これを併合をいたしまして、そうして理想的な中央市場ができたのでございます。その間、取引も整然といたしまして、みんな安心をして売る方も買う方も取引することができた。私は、日本の中央市場は世界に誇るべきものであるという実は誇りを持っていたわけでございます。ところが、その後だんだんに方々からそれがおかしくなりまして、終戦後のごときは全く混乱に陥ってしまったわけでございます。先ほどもちょっと説明申し上げましたが、取引につきまして中央市場目的は何であるかということになりますと、公正なる取引、円滑な流通、この点にあると思う。それが、どこにもここにも野市のようなものが一ぱい立ちまして、私利私欲のために勝手ほうだいなことをやるということでは、円満なる流通も公正な取引もできないわけであります。おそらく、この中央市場立法の根本は、いわゆる農政の確立、農村及び消費生活の安定にあると考えるのでございます。これがもうめちゃくちゃに混乱していたのでは、これはできない。先ほども申し上げましたが、私の会社だけでも、産地から倒されたものは資本金の何倍かに上っている。これは、要するに、市場もはっきりしていなければ、産地の統制もはっきり行なわれていないということのためなのでありまして、今にわかに産地の統制をはっきりすることが困難であるならば、少なくも市場の統制ははっきりすべきだ。この点におきまして、しかも、今日の状態では、一例を申し上げまするならば、類似業の禁止は憲法違反だということは私ははなはだおかしいと思う。ちょうど自動車が許可営業になっておりまして、タクシーは何か車両一台について三百万円だとか三百五十万円の許可の権利があるそうであります。しかしながら、私は決して一部の人だけがタクシーをやることが妥当であり、それでなければタクシーの営業が潤滑にいかないとは考えていないのでありますが、これも、はっきりと一部の人に許可いたしまして、その他のいわゆる白タクに対しては厳重なる取り締まりをなしているのだ。しかるに、われわれの営業におきましては、中央市場の方は十分なる監督をし、なおかつその上に監督を重ねようとしているのにもかかわらず、いわゆるわれわれの白タクであるところの類似業に対しては何らの制限もない。自動車で申しまするならば、自動車の上に運輸大臣公認白タクという大きな旗を打ち立てて堂々と営業をしているのにひとしいのであります。法制局の方々がいかなる御見解からこれを憲法違反という御見解をおとりになったのか、私にはもちろん専門的知識がないからわからないのでありますが、今の世の中に、われわれの類似業を取り締まるより以上に厳格に取り締まっている許可営業は枚挙にいとまのないほどあると思う。私は、少なくとも類似業その他の営業規制いたしまして、——われわれといえども公共性のある事業をやっていることはずいぶん自覚をしておりますし、われわれ自体も研究をし、衆知を集めあるいは皆様方に御研究を願って十分なる御監督を得た上、それにのっとった行き届いた営業をいたしたい、かようなことは常に考えているのであります。少なくも法律をもって類似業その他は一切禁止すべきであると考えます。しかしながら、これはできない。法律というものは、幾らいいことでも利害がありまして、反対する者が出てきてそれができないということでありますならば、中央市場の厳重な規制を解いて類似業と同じ取り締まりにしていただけば別に異議はないわけでございます。できませんければ類似業と同じ取り締まりをしていただけば一向にわれわれは差しつかえないわけであります。ただ、一方は野放しにして、一方はがんじがらめにするというところに私は疑義を申し上げたいのです。  抜本塞源的なことにつきましては、三十八年何カ月も前に立案する人が外国に行った。外国にもなかなか中央市場というものがなかったそうであります。たしかパリかどこかの図書館へ行って、これに類するものを見てきて、それにいろいろ検討を加えてわが国の実情に合うように直したのが大体の骨をなしたということを聞いているのでございます。そのように、もちろん古くからさかのぼってはおりますが、その時代から見ますと、先ほど申し上げた通り、非常に事情が違うのであります。あってじゃまになるような条項もあれば、どうしてもなくてはならない条項もあるというようなことでございますが、むしろ、理想といたしましては、新しくはっきりと立法目的を当初にうたいましたいわゆる中央市場法、理想的なものを御立法願いまして、今までのものを廃案にする、あるいは、今回の改正案に対しまして農林省の方々の昼夜の御苦心も私はまことに御同情にたえないのでありますが、もう一度御努力を願いまして、もう少し理想的なものにして御立法願いたい、かように考える次第でございます。
  14. 野原正勝

  15. 川俣清音

    川俣委員 委員長にまず先に警告をしたいと思うのです。参考人が自分の責任においていろいろな意見を述べられることは当然な義務だと思う。しかし、放言にわたるようなことは国会の権威の上からも注意しなければならないことだと思います。これから発言されるものは放言にわたるようなことのないように、委員長から注意を与えてほしいと思う。
  16. 野原正勝

    野原委員長 私から申し上げます。できるだけ自由濶達な御意見をお述べいただきたいと思いまして、あえて御注意は申し上げませんでしたが、ただいまお話ような御注意の筋もありますから、一つ御発言に御注意願いたいと思います。
  17. 川俣清音

    川俣委員 一つお尋ねをいたしておきますが、参考人の中で、卸売市場法の一部改正については大したいいことがないようだ、あるいは市場法全体についてこれはやっかいなようだというようなお考え方がるる出ておるようであります。そこで、お尋ねしたいのですが、卸売業者の健全な発達のために私的独占禁止法の除外規定を設けております。これは非常な大きな保護規定だと私は思うのですけれども、こんなものはなくてもよろしいというふうにお考えになっておりますかどうか、これは非常に恩恵的な規定だというふうにお考えになりますかなりませんか、この点について、一人々々、イエスかノーか、これだけでいいですから一つ御返事願いたい。
  18. 野原正勝

    野原委員長 それでは、田口さんからずっとそれぞれ今の質問にお答え願います。
  19. 田口達三

    田口参考人 先ほど荒木さんからも話がありましたが、この中央市場法の一部改正案につきましては、やはり、審議会というものがございまして、これはちょうど私も審議会の一員でございますが、三年間かにわたっていろいろな問題を審議いたしまして、あらゆる意見を申し上げております。認可とか監督とかいうものを受けておる業者として、私どもは魚類部の方でありますが、魚類部全体からいたしますと、もうやむを得ない、だんだん窮屈になってはおりますけれども、これは仕方がない。またこれを長引かして、審議未了であるとか、しょっちゅう改正改正だということでは、仲間はよくわからないものですから、改正されるとどうこうというふうにおびえているような者もありまして何でありますから、この際、何べんも申し上げたことでありますから、この辺できめていただいた方がかえってよろしい。今、独占禁止の除外例のことにつきましてお話がございましたが、これはやはり業者の方にもそういうふうな考え方を持っておる者もおりますし、また農林省の方でもそういうふうに考えておる。というのは、先ほどからいろいろお話がありましたが、単一にするか複数にするか、現在のような複数ではいけないから、一市場卸売人ということにした方がいいというよう意見も業者側にもやはりあります。役所の力の方針としてもその方がいいじゃないかというような話がございまして、もし単一卸売人の話がうまくつくということになりますと、今の独占禁止の排除がおかげでできるというようなことであります。この点につきましてはぜひそうしていただきたいと思っております。  けさほども申し上げましたが、開設当時の中央市場と違いまして、魚類部の方の私どもの立場は、全体から見ますと入荷の四〇%を東京以外のところへ転送しでおります。貿易であるとか、あるいは各県に出るというよう状態でありまして、収容当時の市場とは全然性格が違っております。もとは消費市場であったのでありますが、今日では集散市場というようなことに性格も違ってきておりますから、こういうふうにいろいろなことで御監督を願い、していただくのでありますから、やはり、同時に、もう少し保護育成をしていただくというふうなことで一つやらしていただきたい、こう存じておるのであります。  この法案につきましては、さんざん審議会で申し述べておりますから、別段意見もございませんので、この辺でどららでもおきめを願わないと、いつまでもいつまでも、また改正改正だということでは、業者といたしましては落ちつかないのです。ですから、どちらでもいいからおきめいただいた方がいいという考え方を持っておるのでございます。
  20. 野原正勝

    野原委員長 次は増田参考人でありますが、川俣委員の質問の要旨についてだけでけっこうでございますから、さよう一つお答え願います。
  21. 増田伝三郎

    増田参考人 独占禁止法とわれわれの営業とはあまり関係がないのであります。あるといたしますれば、われわれが類似業その他を買収する、こういう場合には、同業とみなすかみなさないかは別といたしまして、青果の委託販売をいたすという意味においては、これは独占禁止法に触れる場合があるわけであります。  もう一つは、今農林省が、目下の方針としましては市場単一ということをいたしております。つまり、一つ市場の中に数人の卸売人がおりまして、これが競争しておる、これは、われわれが見ても確かに過当競争を呼びまして、内容の悪い会社等が出ますのも、ほか様に御迷惑をかけるような不届者が出ますのも、その大部分の原因がこの過当競争にあると思う。この過当競争を防止いたしますために、農林省市場単一をお唱えになっておることと考えますので、その市場単一をやりよくするために、いわゆる独占禁止法の適用を除外したのではないかと考えられるのです。そのほかにわれわれの関係で独占禁止法に関係のあることはないと思うのであります。  ところが、実際問題におきましては、二つぐらいの市場だと姉妹会社になりまして営業をやっているという実例もあります。だから、市場などを一つにするということになれば、過当競争をよけるには独占禁止法の適用を除外しなければいけないかといえば必ずしもそうではないのでありますが、独占禁止法の除外を受ければ非常にやりよくなる。たとえば、一例を申し上げますが、大阪の青果市場卸売人一つになろうと考えております。これがいいか悪いかは、私の考えとは少し違うのでありますが、なろうと思ったのであります。そのときに、独占禁止法の城壁のためにこれができなかった。大部分の者が一つになりながら、非常に不自然な格好で今日残っているというのは、私、当事者でもございませんし、介入もいたしませんから存じませんが、聞くところによると、独占禁止法のためであると、かように聞いております。  全体的に言いまして、独占禁止法の適用除外は、農林省の方針であるところの市場単一をいたしますのには必要であると考えます。
  22. 野原正勝

    野原委員長 次は荒木参考人に御所見を願います。
  23. 荒木孟

    荒木参考人 卸売人の単複の問題も、いろいろな意見もありまして、単数でなければいけないというのと、複数でなければいけないというのがあって、最大の業界の難問題になっておりますが、卸売業務の性質から考えて、単数でも差しつかえない、あるいは単数の方がかえっていい場合もある、そういう意味ですから、独禁法でいう私的独占というのに中央市場の単一制が当然触れるというようなものではない。ところが、公取あたりの眼から見ると、やはり、市場卸売人一つに固めて単一にするということは、いわゆる私的独占のにおいがするということで、たとえば、今お話がありました大阪の場合でも、その方からの注意があったという例があります。ですから、中央市場の場合は、卸売人の合同とか単一とかいっても、勝手にできるものではないので、ちゃんと農林大臣の認可、許可を要する監督のもとにあるわけですから、別に独禁法による公取の検査と申しますか、意見を入れなくとも、農林大臣が、この場合には単一がよろしい。この合同は大局から見てよろしいと思って認可されれば、それでいいので、もうそれ以上公取に協議なども必要がないというところまで独禁法の除外規定があっていいのではないかと思うのです。現在の独禁法の除外規定は、やはり農林大臣がそのことについては公取に協議をすることになっております。たとえば、最近の福岡の場合でも、やはり、公取が出ていって調査をしてくれば、いいとか悪いとか意見を言われるのですから、適用を除外するなら、もっと徹底してはっきりと除外したらいいじゃないかと思うくらいであります。その意味で、決して私は除外規定が無用だとかいけないと言うのではないのです。むしろ今の除外規定が少しなまぬるいじゃないかという意見でございます。
  24. 川俣清音

    川俣委員 大体御趣旨はわかりました。しかし、これは、従来、中央卸売市場卸売業者の間における合併、あるいは営業の譲渡、または一番問題になりまする取引条件に関する協定、これらが過当競争の防止になるというところから私的独占禁止法の除外規定が設けられた、これがやはり中心だと私は思っておる。それは、恩恵になれて、あまりありがたくないという考え方であれば、その考え方で法律を作り直してもいいと思うのです。そうなった場合には、ここへ来た人は賛成したかもしれませんけれども、あたりから反対が猛烈に起こってくるのじゃないかと懸念を持ちます。  しかしながら、一体、この法律というものは、政府も参考人もそうだと思いますが、大体、誠実な健全な流通機構機関というものは、その行なう商行為、商慣習に基づいて法律ができるのが一番いいことだと思う。健全な商慣習によって法律ができるのが一番いい法律だと思うのです。いい商慣習がなければ、いい法律ができるわけはないのです。いい商慣習があれば、そのままそれを法律化することが、一番こういう流通機構機関としての運用の妙味が発揮できると思うのです。今日、私どもが見ましても、決して健全な誠実な流通機関となっていないというところから、あえて上から法律規制を加えなければならないという欠点か生まれてきているのじゃないかと思うのです。それは一つは兼業の問題です。  兼業などあまりやかましく言わぬ方がいいというお説でございますが、あなたの身の回りはどうか知らないが、全国的に見ますと、卸売業者でパチンコ屋を兼業している人がいる。(笑声)笑うけれども、あるのです。指摘しましょうか。私どもが指摘するよりもあなた方が一つ全国の前業して者を調べてごらんなさい。女房の名前や子供の名前に変えてあるかもしれません。しかしながら、パチンコ自体がいいとか悪いとかは別にして、こういう射倖的なものをやっておるといえば、それ自体は不安定なものです。なかなか銀行等もこれには融資しないが、卸売業者であるという背景をもってパチンコ屋に金融させておる面がありますよ。そういう点について、不安定な要素を持っておるものの兼業を禁止するということは当然なことだと思う。これだけの権利を与えられ、利益を保証されておる機関が射倖的な業務を営まなければ卸売業者として成り立たないというような考え方自体が、私は非常に誤っているのではないかと思う。何でもかんでも、輸送業まで、あるいはそれに関係のないものまで禁止しなければならないとは思いませんけれども、非常に不安定な業務を営んでおる者については、あるいは三親等以内でありますならば厳格な規定を加えることは当然なことだと思う。そういう当然なことをやらないで恩恵を得ようといたしましても、それは無理だ、私はそう思う。こういう点で農林省が少しだらしがなさ過ぎると思う。初め禁止規定を設けながら、業界かだれか知らないが運動されて、届け出制になったなんということはだらしがないと思うが、これは参考人に言ったって仕方がないから、またあとにします。  そこで、もう一つお尋ねしたいのですが、問題になりますのは確かに類似市場だと思う。これは確かに問題です。しかし、私どもは、類似市場をすぐ問題にするのですけれども、ほんとうに中央市場生産者消費者から大きな支持を受けておるとしますならば、自分たち機関としてこれを運営している機構ならば、こういう類似市場というものは大体できてこないのが本体じゃないか、中央市場機能が十分発揮できないからその中にまぎれて類似市場ができるのではないかというふうにも思うのです。そこで、いかにして中央市場というものを健全に発達をさせるか、あるいは生産者からも消費者からも信頼を受けるようなものにするかということになると、卸売業者の責任が非常に重大だと私は思う。なんぼ看板が中央市場でありましても、信頼が置けなければ、類似市場を取り締まることができない状態になると思う。だから、類似市場、これは確かに何とか押えなければなりませんけれども、その前に、中央市場というものの権威を発揮できるよう状態に持っていくことが一番私は正しい行き方だと思う。こういう経済的なものは法律だけによって縛るということはなかなかむずかしいことだと思うのです。そこで、どうしたら中央市場というものがみなから信頼され愛されるよう市場に作られるかということに全力を注いで、それでもなお類似市場をやる者については厳重な処置を講ずるよう改正すべきであると思います。これは私の意見です。時間がかかるから先に言ってしまったのですが、これについて御意見を伺いたい。
  25. 荒木孟

    荒木参考人 類似市場の問題については、大体今の御意見に私どもも同感でございます。私どもも決して類似市場を絶滅しろとか言うのではない。一定の地域中央市場開設する以上は、同種市場はできるだけ全部集中統一するのがいいのですから、既設のものはそういう方針で収容する、どうしてもそれでいかぬ場合には、あるいは除外規定によって閉鎖するということも必要であろうと思います。従って、今の法はそうなっておりませんが、既設のものさえそうやって整理するのですから、中央市場開設後に類似市場というものが自由にやたらに作られるというのでは、中央市場の正意が立たぬ。しかし、中央市場そのものが十分の設備をしない、あるいは市場における卸売人が従来の者だけで業務を独占して、新しい類似市場として進出するような業者を収容することを排斥する、こういう場合に、もし監督官庁としてそこにはどうしても中央市場がなくちゃならぬというのなら許すのもよかろうが、必要がないならやはり許してはいかぬ、そういう意味の規制は少なくともなくちゃならぬ、こう思うのであります。
  26. 野原正勝

    野原委員長 芳賀貢君。
  27. 芳賀貢

    ○芳賀委員 田口さんと荒木さんにお尋ねしますが、御両氏は市場対策調査会の委員をやっておられるわけですね。今回の政府の改正は調査会の答申に基づいて行なったということになっているわけです。皆さんが不満が述べられたのは、せっかくの調査会の努力にもかかわらず、答申の大事な点が改正の上に全然現われておらない、これではせっかく苦労して答申しても意味がないじゃないかという、そこに不満があるのではないかと私たち承知しておるわけです。  そこで、お尋ねしたいのは、この調査会の答申の内容等については私たち十分検討しておるところですが、本日参考人各位が言われた中に、特に類似市場の問題に触れられておるわけです。ところが、この類似市場の問題については、調査会の答申の中において明らかにされていないのです。一番大事な問題であるとすれば、この答申の中に類似市場の問題をいかにすべきかということをもう少し明らかに表現しておくべきであったと思うのですが、これが全然出ておらぬのです。きょうは実は会長の川野氏をお呼びしたのですが、都合で会長出席されないので、これは遺憾ですが、まず、この点について、御両氏から、なぜ答申の中に一番問題になっておる類似市場の問題を明らかに取り上げなかったかという点について、御意見を伺いたいと思います。
  28. 田口達三

    田口参考人 お尋ねのこの類似市場の問題というのは、もう長年やっておりまして、なかなか、実際に、どういうふうにやっても、——これは魚の方の場合を申し上げておるのでありますが、取り締まりの方法というのはなかなかつかないのです。ですから、結論において法律改正の中に織り込むというところまでいかないのでございます。類似市場類似業者というものとの限界がはっきりしないので、どこまでを市場と見るか、どこまでを業者と見るかというのもいまだにはっきりしないのです。大ぜい集まって市場と同じようなものならこれは類似市場で、同じような業者が五人か六人集まっているものは類似業者だとかというようなことから、類似市場の取り締まりというものは、みんな要望しているのですけれども、なかなかできないのです。ですから、これを出して見たところが、議論はしょっちゅう出ているのですけれども、実際問題としては、われわれの方の場合におきましても、いかに法律を設けても、さしあたっては類似市場の処理ができないというのが皆さんの考え方なんです。もう少し時をおくってからということでこれが除外されておるのではないかと思います。  それから、先ほど附帯事業の問題、兼業のお話が出ましたが、兼業々々というものですから、われわれの方が聞くと、卸売人がたとえばほかの商売を何でもやるのじゃないかというふうに聞こえますが、いかに多角経営だとか多角化だとか育っておりましても、業者の兼業と附帯事業ということははっきりしていませんが、われわれのやっております兼業というのは、冷蔵庫であるとか、関連したつまり集荷の補強の仕事としてやっておるのでありまして、やらなければならない仕事をやっている。これが、ほかの商売、織物屋をやったとかパチンコ屋をやったりするなら兼業でありますが、兼業でも何でもないことでありまして、今やっておりますのは、附帯いたしまして、魚についてなければならない関連した事業だけをやっておるのでございまして、この点、兼業だから位でもやっていいのだという考えも持っておりません。また、やっている者もないのでございます。この点が兼業と附帯事業とについて幾らか違っておる点があるのじゃないかというふうに考えておるのでございます。
  29. 荒木孟

    荒木参考人 私にも御指名がありましたので、お答え申し上げます。  私も調査会の委員になっておるわけでございますが、調査会には四十人近くの委員がありまして、各方面の方がそれぞれ出ておりますから、重要な問題であればあるほど意見の食い違いがあってなかなか帰一するところがございません。それで、結局最後の全体の意見の一致として出された答申案なるものは、いわば非常に困難な問題はほとんど避けたようなことになっております。私どもから勝手に言わしていただければ、今度の調査会の答申そのものによるなら、ほとんど法律改正の必要はないことばかりなんです。法律改正しなくても、あの答申に盛られたようなことは、農林省の行政方針としておやりになればいいことで、別段法律改正の必要はないような、いわば微温的な答申に終わってしまった。そして、たとえば、最も大切なる問題の単複問題なども、調査会あたりではむろん意見がありました。複数論者と単数論者とありまして、最後に各団体あるいは個人の意見として書面をもっておのおのの意見提出したのでありますが、その意見書十二、三通のうち、反対を主張したのはただ二通でありまして、あとはみんな適限複数もしくは単一を含めた複数制、こういうことになっております。しかし、それはただ数の多少でこれを右左にきめることは農林省としてもよほどこれはお考えになったところでございましょう。従って、答申案には、数の多少によって適限複数制というのを持ち出さないで、ただ指導方針として単一になるよう指導しろということになっておりまして、結局法律改正しないで指導方針でそういうことに持っていけということで終わっております。  類似市場のこともそうなんです。やはり、今申し上げたような適限の意見類似市場の代表の方から出ておりますから、なかなか思うようにいかない、それで結局最後の答申にはそのことは取り上げられていなかったのであります。
  30. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは実際は政府に責任があるのです。責任転嫁のためにみだりに調査会法なるものを作って、そして、大体政府の目がねにかなったような学者を中心にして、今度は関係者を委員に加えるということになっておる。これだけに限らないのです。調査会の答申なるものは、今荒木さんが言われた通り、何も役に立たないんですね。たとえば漁業制度の調査会の答申等を見ても、大した大冊が出ておるが、これは全然毒にも薬にもならぬ。そして、その役に立たぬ答申を尊重して法律改正をやるから、国民から見るとこれは毒にも薬にもならぬ法律改正ということになるわけで、結局迷惑するのは私たちで、まじめにこの法律を審議しなければならぬ努力というものは大したむだなことになるので、皆さんに率直な意見を聞かしてもらいたかったわけです。  それで、今参考人からも言われましたが、調査会の答申の中にも、市場対策、卸売対策の中にも単一化と兼業禁止の方向というものが一応現われておるわけです。それで、川俣委員からもお話がありましたが、単一化の方向というものは、企業に公共性を与えて適正な業務をやる場合には単一化が望ましいということが出ておりますし、兼業の問題はやはり真剣に考えて内部的にも努力をしてもらう必要がある点だと思いますが、これに対して、皆さんは、兼業禁止が適当である、至当だというお考えの立場におられるかどうか、この点を聞かしてもらいたいと思います。
  31. 田口達三

    田口参考人 今のお尋ねの単一の問題であります。これは、単一を唱えておる者と反対しておる者とが業者の中に相当ございます。こういうふうに育ってきてしまったものを一つにまとめるということは困難であります。しかし、できれば単一市場、一卸売市場にした方がいいというふうに私どもは従来何十年となく単一を唱えておる者でございますから、できればこれを単一にしてもらいたい。やはり、荷物を集めようとするには競争することになります。競争するということは、生産者側には幾らかいいかもしれませんが、一般の消費者の負担が重くなりますものですから、中にはいろいろな意見があるのですけれども、やはり、役所の方としても、単一か複数かということではまだそこまでいかないのです。やがてはこの次には単一にするか複数にするかということが審議会で問題になろうと思いますが、農林省の方針は単一の方がいいということが言われておるのであります。業者の中にも単一にした方がいいという考えを持っておる者も相当ございますし、今にわかに単一にするというわけにはいかないから、審議会では意見があるものだ、こう考えております。  兼業禁止は、ただいま申し上げましたようなわけで、やはり、兼業といったからといって何でもやるという意味ではございませんでして、仕事の上に、たとえばこういう魚のことでございますから、一ぺんに大漁のことがあったり、まるっ切りとれなかったりするものですから、これらの魚価の調整であるとかあるいは流通の円滑のために冷蔵庫なども絶えず調整するためにやっておりまして、従って、これが関係のない仕事をしておるということは一つもないのであります。関連のこともありますから、こういうことはそんなにやかましく言われるべきでもありませんし、今度は届出しろということになりますから、今後は届出をしてやることになると思っております。これは当然のことだと思っております。
  32. 増田伝三郎

    増田参考人 兼業の問題について申し上げます。大体、われわれの営業は、一つ市場の中で局限されたものを取り扱っておるわけです。年々理想的経営をいたしますには、従業員も順次教育をいたしまして、今、私ども会社の課長級というものは、とうてい私らの及ばない教育も受け、なお会社に入ってからも諸種の講習あるいは講演等に出席いたしましてやっておるのであります。これが青果会社の一課長で終わるということはなかなか忍びないようなところもあるわけであります。事業がだんだん発達をして参ります。資本も蓄積されて参ります。人間の教育も行き届いて、一つ会社の幹部級になる人が相当出てくるとします。こういうことはあり得ると思うのですが、実は、私どもも、貧乏人ばかり寄りまして、株主は働いております役職員だけでございます。今ここのところ一カ月二億五千万か三億しか商売してないのですが、相当長い間荷主には前渡金を払ってやっておりますが、どこの会社にも銀行にも借りはない、いわゆる自己資金の経営もいたしておるわけであります。私どもなんかは貧乏の方で、もっといい会社はうんとあるわけであります。もっとも、私どもの場合は営業ではほとんどもうかりません。土地をうんと持っていますから、土地の値上がりなんかございまして、半端の土地を売ったり、要らなくなった地上権を売ったりしてもうかっているわけであります。ところが、ここのところ営業でも多少利益が出てきている。営業でどんどんもうかってくる、人間も充実する、金も充実するということになると、これはどうしても附帯事業を起こさざるを得ないのではないかと思うのであります。健全なる附帯事業を起こしますれば、資金と人間との問題が両方解決される、かように考えられるのでございます。パチンコをおやりになっている方があるそうで、これはどうも私ども初耳でございまして、お聞きしたこともないのでありますが、先ほど荒木先生も申し上げました通り、いよいよ左前になって苦しくなった、人手も足りないということになりますれば、これはもう兼業どころの騒ぎではない。いよいよいかなければ自分の商売だってやめちゃわなければならないということが実情でございます。私は、健全なる兼業をいたすことをそう抑制する必要はないと思うのであります。もっとも、極端な場合には関係当局から御注意を願い、どうしてもあまりひどいのはそこで考ればいいと思うのです。われわれの営業は、御承知通り農林省東京都も毎日詳細にわたって帳面から伝票まで全部見ております。ですから、さようなパチンコ屋をやる余地はもちろんないわけです。  届出の問題ですが、これは私たちにはにがい経験がございまして、かつて類似業も悪いことをやっておるようにこそこそとやっておりました。ところが、類似業が届出制になって以来ものすごい勢いで一つの事業として勃興して参りました。今後おそらくいわゆる兼業が届出というようなあいまいなことのために非常に盛んになるんじゃないか、かように心配をいたしております。
  33. 荒木孟

    荒木参考人 兼業というのは、今度の改正案によりますと、本業に附帯した専業以外というのですから、本業に附帯した事業はもう当然やっていいので、具体的に申しますと、今田口さんの方でやっておる営業とかその他のことは、これは兼業でないので当然やっていい。附帯しない全然違った意味の兼業は、常識的に、一定の目的を持って成立しておる株式会社が、定款外のこととか、あるいは定款に定めるにしても何でもかんでもやれるような定款はおかしなものですから、事業に関係のないような、たとえば今のようなパチンコみたいなものをやっていけないというのはもちろん常識かもしれません。ですから、そういう関係のないような兼業はやっていかぬ、あるいはやらぬ方がいいというのは当然であります。ただ法律をもってそれを禁止する必要はないだろうと私どもは思います。法律で禁止ということは、やはり、それを禁止しないと非常な弊害を生ずる、黙視できないという場合に初めてやるべきもので、そう何でもかでも、少しよさそうだ悪そうだというので、法律でやれやるなという規定をすることは、法律の性質上私はよろしくないと思うのです。兼業をやってよろしいというのではないので、兼業はやはりみだりにやってはいかぬのだが、これを法律で禁止するなんという必要はない。農林大臣の承認あるいは許可も必要がない。従って、届出も必要ないと思うくらいでありますが、まあ届出となればある程度明らかになりますから、しいて届出も必要ないとは申しません。しかし、これは、不定多数の相手となれば届出がなければわからぬのですけれども市場卸売人はちゃんと限られた者なので、しかもその業務なり経理は絶えず監督官庁が検査しておりますから、兼業しているかいないかというようなことは、届出を待たずともこれはわかることであります。
  34. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは、答申によると、本来の業務卸売業務、それに附帯した事業というのは当然なことです。それ以外の業を兼業するということは、卸売業という業務の安全と財務の健全化から見て、兼業というものは迷惑をかけるわけです。取引関係に迷惑をかける場合があるのです。兼業でうんともうければいいとしても損をする場合もあるから、そういう迷惑をかけないでその業務に専念するために、兼業というものは制限するかあるいは禁止すべきであるというのが答申の趣旨でありますから、それに御賛成であるかどうかということをお尋ねしたわけです。  それから、もう一つ、この答申の中に取引上の問題で出ておりますが、出荷人と卸売人との間において、当然、公益的な市場の性格から見て、差別取り扱いというのはしてはならぬわけなんですが、特に、答申の中で、差別的な取り扱いをしてはいけない、厳重にこれは運営上注意しなければならぬということがうたってあるわけです。この点に対しては、やはり、出荷人に対して、現在の実情は、そういう差別的な取り扱いというものがまま行なわれておるものであるかどうか、いかがでしょう。
  35. 田口達三

    田口参考人 差別的な取り扱いなんということは、どうしてもできないのです。朝荷物が入って参りまして、到着順にせり売りにかけるものでありまして、そして買い人の声によって値段をきめるのでありまして、私どもは、どういう点を差別的と言われておるかがむしろ不思議なくらいでありまして、そういうことは絶対にございません。それは、長い間やっておりますし、差別的なことをやったら、荷主さんにしろ生産者にしろ、その会社には荷物をよこさなくなりますから、それはやりたくてもやれないことになっておりまして、どういう点が差別的ということになるかわかりません。長い間やっておりますけれども、差別的にやったというような例もありませんし、また、生産者からも消費者からも、今まで、そういうことをしてはいかぬじゃないか、これは差別待遇じゃないかということは、言われたこともないのでございます。現在は、ほとんどこちらから幾らに買ってくれというようなことは言えないのです。買い人の声によって、幾らとつけた値段が、生産者にもあまり損害を与えないように、消費者にも負担のできるよう、公正な値段を建てるのが卸売人のほんとうの使命なのでございます。ですから、差別したくてもできない。大ぜい見ておるところでやるのでございますから、そんなことをしたら、とても、買う方でも文句を言いますし、荷主さんが第一承知しません。ですから、決して今後といえども差別ということについては御心配をかけるようなことはないと確信しております。
  36. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の考えでは、そういうせり市に上場した場合の不差別というよりも、たとえば代金の精算の場合だとか、あるいは、マージンも一定のマージンにきまっておったとしても、それ以外の取引上の慣行等によっていわゆる差別的なそういう取引の面があるので、その点も含めて指摘したものでないかというふうに実は理解しておったのです。  最後に、答申の一番終わりに、畜産物、いわゆる食肉とか鳥肉、これらについても青果物あるいは水産物と同じように国民の需要にこたえるために市場開設の必要があるというような答申が出ておるわけでありますが、今度の法案改正にもそういうことは出ておりませんが、現実の問題として、芝浦には枝肉市場がありますが、現在の青果市場中央卸売市場よう経営の中において、畜肉の市場開設というものは、能力から言って、はたしてこれは可能であるかどうか、お伺いしたい。
  37. 田口達三

    田口参考人 畜産物につきましては、審議会でも問題になっておりますし、将来やはりそういうことになるかもわかりませんけれども中央卸売市場の販売の原則としましては大体せりによってやるということにきまっているのでございますから、もしそういうふうな魚類、青果のほかに別な販売方法を規定して収容するならそれは別ですけれども、実際問題として、畜産物などはせり売りでやるべきものじゃないと私は考えるのです。そう言うと、何かはかのものを入れるのをいやがるように思われる。狭いところへまたほかのものが入ってくるというのは迷惑だというように、自分らのために言うのじゃないかというふうにとられるといけませんから、あまり意見は述べませんが、実際に中央市場の取り扱い品目としてはどうかと思っておるのでございます。現在ですらどうにも動きがとれないほど狭いのでございますから、その中へまた入ってくるということはどういうものか。向こうの畜産物の方の業者から考えると、毎日三万だ四万だという人が来るから、そういう人の来る市場へ割り込んでくればよけい物を取り扱えるからというような考え方からかもわかりませんけれども、やはり、ほんとうの公正な中央卸売市場取引の品目としては、畜産物などはせり売りならせり売りにかけるべきものじゃないというように考えております。
  38. 芳賀貢

    ○芳賀委員 荒木さん、どうですか。
  39. 荒木孟

    荒木参考人 これは中央卸売市場の成り立ちにさかのぼるのですが、現在の中央卸売市場法を制定する際に考え方が二つありまして、今までの魚、青物ような腐敗性のもの、耐用性のない軟弱性の物に対する市場というだけに限るのじゃなくて、肉とか、卵とか、鳥とか、あるいは、はなはだしきに至ってはというのですか、日用品の木炭、薪炭、米、みそまでもよろしいというような建前になっておりますが、これはちょっと中央卸売市場の性質から言うと私どもはおかしいと思うのです。しかし、売買取引の便利等から言いまして、魚市場青物市場が一緒になっているそこへ、また肉とか卵とかが来ても一向差しつかえない。これは取り扱い品目の中に入れてあえて差しつかえないと思うのです。ただし、魚や青物は、これは一所に全部集めなければ、適当な需給の調節や適正価格の形成がむずかしいのでありますが、それ以外の食肉とか、卵とか、鳥とか、日用品などは、何も全部現物を一所に集めて短時間のうちに鮮度を云々して取引するようなものではないのです。その意味においては、魚と青物以外は、中央市場の取扱品でなくても一向差しつかえない。別の場所に別の組織で市場を作ってもいいわけです。また、現に中央市場にそれを加えるといっても、必ずしも築地の市場にそれを持っていくという意味じゃない。芝浦の屠場のすぐ隣接したところへ、むしろ肉類部を作るのが適当であります。場所は別でよろしいわけなんで、そういう意味で、中央市場の中にそういう品物があっても差しつかえないのですが、取り扱いの方法は、物の性質によって全然変えなくちゃいけない。今田口さんからもお話がありましたように、なぜせり売りでやるかといえば、無条件委託で、その値段がきまらぬからせり売りでやるのでありまして、ちゃんと原価計算も立って、買い取った品物で、自分の計算において売るという場合には、せり売りでなく相対でけっこうなんですね。ですから、肉などの取り扱いの状況は、詳しく私ども存じませんが、魚や青物は大部分が委託、しかも無条件の委託でありますが、肉類などは大部分が買取り主義、買付け主義、つまり、言うと、肉の方の問屋も仲買人である。ですから、そんなものを一緒にして、中央市場に入れるのだから何でもかんでもせり売りにしなければならぬ、あるいは卸売人を一ところに集めなければならないというようなものではない。現に、東京市場開設当時、肉類というのはやはりこの中に入れました。卸売人は畜産の力は初めから二十人ということに予定されていた。これは卸売人というものが単一に独占したら非常な弊害がある。魚や青物の場合単一でもよろしいというのは、委託品であって、自分の計算でやるものでないから単一でよろしい……。
  40. 芳賀貢

    ○芳賀委員 その辺でいいです。それは、あなた方の調査会の答申の中に出ているから私は聞いたのです。どの委員がどうだったということは克明にわからぬですが、とにかく農林大臣が諮問した中にもそれがあって、それに答えて答申書が出ておるのであって、答申書には、青果物、水産物のほかに、畜肉、鳥肉等についても市場開設の方向に向かうことが望ましい、そういうことがはっきり載っているので、経験者の立場から見た場合、一体そういうことを今どきやるべきかどうかということを、田口さんは長年の経験者ですから参考までにお伺いしたわけで、皆さんの御意見はそれでわかりました。
  41. 野原正勝

    野原委員長 これにて参考人各位に対する質疑は終了いたしました。  参考人の各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は御多用のところ御出席をいただき、長時間にわたってきわめて貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会