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1961-10-05 第39回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月五日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 野原 正勝君    理事 秋山 利恭君 理事 大野 市郎君    理事 小山 長規君 理事 田口長治郎君    理事 丹羽 兵助君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 芳賀  貢君       飯塚 定輔君    金子 岩三君       仮谷 忠男君    倉成  正君       小枝 一雄君    坂田 英一君       田邉 國男君    谷垣 專一君       綱島 正興君    寺島隆太郎君       内藤  隆君    中山 榮一君       藤田 義光君    本名  武君       松浦 東介君    八木 徹雄君       米山 恒治君    片島  港君       東海林 稔君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    西村 関一君       湯山  勇君    稲富 稜一君       玉置 一徳君  出席政府委員         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         食糧庁長官   安田善一郎君  委員外出席者         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中西 一郎君         専  門  員 岩隈  博君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農林水産物の価  格問題等)      ————◇—————
  2. 野原正勝

    野原委員長 これより会議を開きます。  農林水盤業振興に関する件について調査を進めます。  農産物価格問題等について質疑の通告がありますので、これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 この際農産物価格問題について政府にお尋ねしますが、順序として、第一は、昭和三十五年産大豆に対する政府の行政的な措置がまだ十分進んでいないことは御承知通りです。前国会におきましても、三十五年産大豆については、一応農産物価格安定法を眠らすことにして、政府が行政的に交付金要綱を出して、それに基づいてこれを処理する、その内容の主たるものは、大豆自主共販で集荷してそれを調整保管して農安法による生産者団体である全版連が取り扱った五万トン分について、価格については政府素俵六十キロ当たり三千二百円の基準価格を設定いたしまして、これに全版連が五万トンを処理した一俵当たり平均価格というものを販売後に把握して、その不足金を支払う、そういう方針で進んでおるのでありますが、すでにこの五万トン分というのは販売が完了したというふうにわれわれは承知しておるが、そうなると、結局清算をしなければならぬということになるが、政府からまだその要綱が発表されておらぬ。これは、先に要綱を発表して、法律ができるまではこれでやってくれというのが順序なんで、まだ値段はきまっておるが取り扱い細目要綱がきまっておらぬ、こういう点については非常な不都合が生じるので、どうなっておるか。
  4. 中馬辰猪

    中馬政府委員 ただいまの三十五年産大豆の五万トンの問題につきましては、内閣改造等関係でこれが実施の計画がおくれたことはまことに申しわけがないのでありますが、しかし、ただいま大蔵省折衝をいたしておりますから、大体来週中には決定するものと思います。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 それは何か勘違いじゃないですか。基準価格は三千二百円にきまっているのですよ。あと要綱というのは農林省としてのこれが取り扱い上の要綱ですね。これは大体食糧庁長官の通達でできる権限だと思うのです。そういうわざわざ大蔵省へ持ち込まぬでもいいようなものを慎重を期して持ち込まなければならぬというのは、実力者大臣のもとにある安田長官としてはちょっとふに落ちないやり方じゃないかと思うのですが、これは次官の間違いと認めていいですか。
  6. 安田善一郎

    安田政府委員 芳賀先生の御意見、ごもっともでございまして、その努力をいたしておりますので、結論としましては政務次官が申しました通りでございます。新価格予算できまりまして、予算交付要綱、一俵当たり三千二百円は御承知通りきまっておるのでありますが、その交付要綱は必ずしも農林省だけで出すようにはなっておりませんので、御承知通り補助金等適正化法に基づくものとして、その実施細目として出るわけでございますので、実は正直に申し上げますと、三十五年産大豆でございますので、新大臣、新政務次官、そして、新米の私、来ましたときに、すでに出ておると存じておりました。従いまして、まだ出ておりません本年産菜種について出せば、とりあえずのものについてはその趣旨が徹底される、実現される、こういうふうに思っておりましたが、前国会関係法案を出しまして、それが審議未了に終わりました等も加わりまして、おくれておったことを実はあとで発見したのが率直に申しましての実情でございます。従いまして、事態がはっきりしました以上、さっそく大蔵省と相談いたしまして、あわせて三十六年産見通しも加えまして、取り扱いは三十五年産を切り離しまして、間もなく出る予定でございます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、来週早々にその交付要領を出す、内容については、特に価格等の面については、前国会政府方針をきめてわれわれも大体了承した線ですが、それに基づいてやる、そういうことに間違いないですね。
  8. 中馬辰猪

    中馬政府委員 その通りに間違いございません。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、順序として、今長官もちょっと触れられましたが、三十五年産菜種に対する政府取り扱い方針。これは前回の委員会理事会中西第二部長から一応の説明は聞いたのですが、それはまだ非常に内容が経過的にも未熟の段階でありましたので、この際政府としての方針をできるだけ明らかに述べてもらいたい。
  10. 安田善一郎

    安田政府委員 政務次官にかわりまして答弁をさせていただきます。  菜種につきましては、三十六年産菜種でございますが、出回りが始まる前に出したいと思いまして、菜種につきましては、農安法もありますが、先ほども申し上げました大豆なたねの新法律案が前国会審議未了になりました際に、その後に閣議で、精神を言いますと、農業基本法あるいは自由化に伴いまする国産油糧原料の重要なものは保護政策を加えました趣旨取り扱いをするという閣議の了解がございましたので、当然のことでございますが、その趣旨で、価格幾らにするということと、交付金交付要綱をいかにするということ、両方にわたりまして大蔵省と、これは実は新米でございますがすぐ気づきまして、折衝を始めました。この予算を三十億、三十六年度に御承知通り組んでありますが、このうち菜種約五億を予定しております。概算でございます。残りは大豆でございます。そこで、三十五年産についてただいまお話がありましたような大豆のきめ方に準じたような取り扱いをすべきものといたしまして、菜種値段そのものを、交付金込み値段ということでございますが、案を具しまして、大蔵省と打ち合わせをしておりましたものが、予算単価をもって、すなわち俵三千二十円でございますが、これで実行するというような話の沿革が一部あったということなどもありまして、その他はそれを突き破りまして、農林原案を通します際に論争がなお続いて今日に延びておりますが、おおむね農林省考えておりますこと、すなわち昨年産大豆でとりました方法と同じ方法考えるということについて話が詰まって参りました。しかし、出回りが始まりました際には、農家の方々や農協その他の集荷団体方方等に非常に御迷惑になりますので、話を交付金要綱の分とその他と切り離しまして、交付金要綱は先に出そうじゃないか、それで、これによりまして農協その他は概算払いができるように、そして農林省からは交付金予算があって出るということをはっきりさせようじゃないかというので、先般これを決定して公表をしたのであります。価格が、実は、今はっきり申しますと、俵二十円ばかり差がまだございまして、参議院の農林委員会でも御質問がございました際に、旧農安法——農安法ですが、新立法案を出そうとしておるのであるけれども大豆について同様の趣旨を加味してきめるものじゃなかろうか。そこで、現行農安法は六月三十日までに価格をきめるべしという規定があるけれども、一、二日おくれても農林省がんばれと、これは与野党通じて応援するからその点は了承するから、当衆議院農林委員会ではございませんが、そういうお話もございましたので、大臣折衝も実はしてもらいまして、そのあたりまで今来た段階であります。もう一ふんばりしてぜひ農林案を通すか、まあ過去三年ないし四年というところをどんなふうに見るかというところで、過去三年ということが基準でございますが、三年のとり方もありますので、それらのことや、法律所定方式を適用する場合のこと、閣議決定方針のことを入れて折衝中で、ぜひとも数日間には決定をいたしたい段階でございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、ちょうど今中間段階になっておって、農安法でやるわけにいかぬ。農安法の場合には別に自由化というものを考慮に入れてできた法律じゃないですし、国内における対象農産物最低価格を支持するという構想の上に立っておったので、これを七月一日に自由化実施に踏み切った品目に当てはめても、これは意味をなさぬということはわれわれも同様の考えを持っております。そうかといって、それにかわる法制化がまだ行なわれたわけでもないということになれば、今長官の言った通り、これは法律違反という問題も出てくるが、しかし、漫然として何もやらぬということから言えばある程度善意に理解する点もないわけでもないが、行政的に過渡的にこれを熱意を持って行なおうとすれば、われわれが満足するような、よくやったという程度の態度をきめ、それで進んでいかぬと後刻問題が出ると思うのです。  それで、大豆にしても、菜種にしても、政府が無理やり成立させた農業基本法から見ると、明らかにこれは選択的拡大拡大品目であることは否定できないと思う。そうなれば、これらの農産物に対しては、まず生産の確保を政府が助長するような措置が必要になりますが、菜種にしても、大豆にしても、非常に単位生産が低い状態に置かれておるので、品種改良とかいろいろな措置によって生産拡大措置をはかるということも施策の中に出てくる。所得を増大させて、それによって生産を刺激するということになれば、価格決定の面においても相当積極的な配慮が必要であると思うわけです。それには、前提措置として、前国会で、関税定率法改正等の中において、これらの品目関税率引き上げ等も行なわれておるわけですが、その引き上げ分というのは、すなわち、自由化によって今までよりも大豆菜種についても輸入量がふえる、ですから、関税の増収というものが明らかになってくるわけですから、それを直接この保護対策に回せないとしても、明らかに国庫の収益がこれによってふえるということになりますので、それらのものは、それだけでは十分ではありませんけれども、ほとんどこうした拡大すべき農産物保護政策に財源として振り向ける、こういう一貫性があってしかるべきじゃないかとわれわれは考えておるわけです。ですから、そういう前提に立って考えた場合には、この農林省案といわれるこの菜種六十キロ三千百八十円というそのものは、基準価格としては非常に安過ぎるじゃないかという批判が当然出てくるのです。一方においては、農業団体は三千四百六十円程度価格を要請しておることも御承知通りです。今度の最終的価格をきめる場合も、農安法精神をある面においては受け継いで、調整保管分については生産者団体にまかせて、その分だけを対象にした交付金をやるということになれば、当然、価格決定の場合にも、農安法にきめられておる生産者団体等の意向を徴し、またそれを尊重して政府価格というものをきめるということが至当であると思う。ですから、この際、大蔵省が三十六年度予算大豆菜種も三千二十円ということにはしてあるが、これは前国会においても大蔵大臣農林大臣もその予算価格には決してこだわるものでないということを明らかにしておる経過もあるので、それには触れないで、とにかく農林省の三千百八十円の根拠生産者団体の主張する三千四百六十円の根拠、これらを比較して、この際妥当性がどこにあるかということを委員会としても検討する必要があると思うわけです。そういう意味で、この価格面に対する説明をしてもらいたいと思う。
  12. 安田善一郎

    安田政府委員 菜種につきましては、大豆と同様に、自由化に対する保護精神も加え、かつまた、御提案申し上げました前国会法律案が通らなかったけれども、事の筋合い上、そういう趣旨価格についても成長農産物部門として取り扱いをすべきであるということについて、私どもは全く同感でございます。ただ、気がつきました際には、これは申していいかどうかわかりませんが、三千二十円で実行するような考え事務当局同士の話ではあったそうでございまして、私は、そういうことは問題にならぬ、それは予算積算単価であって、ものをきめるときには、筋合いが立てば当然話し合いをしてわれわれは提案をするし、実行するのだ。ただ、むげに一方的に実施するということも、特に交付金につきましては予算実施ということがございますから、そこでよく協議はする。かたがたもちまして悩みましたことは、新法律案国会通りませんでしたものですから、農産物価格安定法が生きておるわけでございます。そこで、今お話もありましたように、農安法でも、法を適用してかつそういうふうになるということもなかろうかということを考えまして、あるいは目的を行政措置に移しまして農安法を広く解釈すれば適当な価格として取り扱えるのではないか、法についても適法であるじゃないかということをも添えて言い得るということも考えたのでございますが、そのことを入れることは、いずれ解釈はあと回しといたしまして、先生のおっしゃる意味と同様の趣旨で、三十一年から三十三年までの実際の販売価格農家手取り価格平均と見るべきものを一つの案といたしまして、また、三十二年から三十四年までのものについてどう見るか。これは最初は三十二年から三十四年の間のものを基準とするような案でございましたが、その結果は趣旨に反する。そこで、そこまでは大蔵省も折れてくれましたが、もう一点重要な点で、反収の増とか近代化、あるいは端的に申しまして生産費の低減が見受けられる、こういう点をいつの場合でも加味すべし、特にこの場合でも加味してもらったらいいじゃなかろうか、自由化があれば、保護するばかりでなしに、合理化も進めるということが当然ではなかろうかという趣旨もございましたが、実はこれをおんりさせるのに非常に時間がかかったわけでございます。そこで、今、その三十一年から三十四年までの間についての基準とり方について約二十円の差が出ておる現状でございまして、当初の三千二十円をやる、合理化の係数とでもいうべきものはなかなかむずかしいのでございますが、その趣旨価格に加味することはやめさせる、そういう共通の議論の広場を作るところまでいきまして、額のやや少ない差を折衝中で、これも数日中にはぜひきめたいと思っております。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 そういう考え方がおかしいと思うのです。自由化を行なう、これは決して農民希望でも国民の希望でもないのです。政府と自民党の意思で自由化を無理やりやったのですから、だから、今後の保護措置というものは、無理やり自由化を行なって、その事前に行なうべき体制というものが何ら確立されないままにいきなり自由化に入ったわけですから、この自由化の圧迫あるいは弊害から国内農業を知るということになれば、特にその競争対象になる農産物保護するということになれば、自由化に入る前の一番近い距離の時限のたとえば大豆菜種国内市場価格がどういうような水準に置かれておったのか、そういうものを把握して、その上に、自由化が行なわれた場合においてもこの取引価格市場価格よりも下回らないようにするというのが自由化に対する価格面保護措置だと思うのです。それを、ずっともう昭和三十一年から三十四年までの平均をとる、その後の反収の伸びについてはそれをむしろ価格引き下げ要素に使うというようなことになると、これは全く冷酷きわまるやり方ということになると思うのです。ですから、そうなれば、やはり当然、昨年、三十五年度の菜種大豆実勢価格というものはどういう状態であったのか、こういうものが中心にならなければいかぬと思うのです。そうして、去年のその水準価格を把握して、その後一年間の物価値上がりとかあるいは労賃の値上がりとか、そういう要素というものを、たとえばパリティ方式等によって加味して価格を算定するということになれば、当然これは、私は無条件で生産者団体の主張を支持するわけではないが、少なくとも今長官が言われた三千百八十円よりは数百円上のものが出てくると思うのです。これは長官もまじめに答えてもらいたいと思うのです、抽象論のごまかしでなく。あなたはおそらく理論に弱いと思うのだが、その点を少しまじめな説明として述べてもらいたい。
  14. 安田善一郎

    安田政府委員 すべてまじめに、非常に実は苦労をいたしております。とるべき方法は、農安法があるということが一つと、これは考えようでございますから、あと先生と同趣旨だ、こういうことを申し上げたのであります。先方は最近時の値段を基礎にして予算単価を組んだつもりで、予算単価とはいうもののあれで実行するという話し合いをした沿革があるらしいので、私は、そういうことは話にならぬ、それで、それを一つ破る。それから、第二は、生産性の向上というのを加味することをやめる。彼は主張しておりますが、私どもはやめさせる。その次は、先生がお聞きのことでございますが、最近時の値段をとりますと合理的なように見えますが、それは、自由化をしたときのやや無準備に近い、全く無準備というわけでもないかと思いますが、十分な準備がない、そして新しい法律案提案をしたのがうまくいかなかったわけでございますが、はっきり申しまして、私ども調査によりますと、これは統計調査部物質調査でございますが、三十一年を入れると高くなる。三十五年を入れると安くなってくるわけであります。そこで、先生の御議論のように最近時を入れると下がりぎみになりますので、三十一年を入れるように努力しながら、三十五年を入れないように苦労をしておる。やや事務的といえば事務的でございますが、農安法できめた場合にも過去三年間のものを基準にしてというような明確なこともございますので、また、その前に御質問のありました、三十五年産大豆をきめた方式が、ちょうど他の競争農産物についても大体同様の趣旨取り扱いなものでございますので、そこで、三十一年は入れ、三十五年を除くように苦労をいたして、そこまで来たところが今申し上げたことです。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、三十五年の価格はどうなっていますか。安いから除いたということですが。
  16. 安田善一郎

    安田政府委員 三十一年が三千五百三十九円、三十四年が三千四百八円、その中間の三十二年、三十三年が三千四十八円と三千九百六十九円、最近時の三十五年は三千三百四円、だから、入れるとちょっと下がってしまうわけでございます。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 それなら三十四年、三十五年を平均してもいいじゃないですか。三十四年が三千四百円でしょう。三十五年が長官の言うように三千三百円としても、この最近時の二カ年間の平均をとっても三千三百五十円くらいになるのじゃないですか。特に三十五年は安いというのは、これは一体統計上三十五年の各月別価格というのはちゃんとそちらで用意してあるのですか。
  18. 安田善一郎

    安田政府委員 三十五年につきましては、先生よく御承知と思いますが、国産大豆処理の問題で、すなわち、この価格低落がひどくでました、また出そうであったということに対処しまして、大量の輸入予定のものの発券停止をしまして、低落可能なことが目に見えましたことと、乱暴にと言ってもいいほど輸入停止をいたしまして、その結果、大豆かすが、先生も御指摘になりましたが、大暴騰をいたしました。そのときの両様の性格を持っておりまして、自由化対策をしっかりした制度なしに入れた低落時の前半と、つり上げ過ぎた混乱の時期がまざりました月別のわかる範囲をならしたものでございまして、やはり、これは、三十一年、三十四年を加味した方が高くなるわけであります。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 昨年の三十五年は、自由化気配によって、それの不安というものが市場にただよって、大豆にしても菜種にしても低落傾向をたどっておる。それを大豆等については外貨の特別割当によって相当無理な価格操作をやってきたことは事実であります。そういった悪い材料が含まっておったとしても、長官説明によっても三千三百幾らということになるわけですね。その前年の三十四年というのは、自由化気配とかそういう不安の材料というものが加味されないで市場価格が形成されておるわけです。そうなれば、やはり三十四年の三千四百円台というものを中心にして今度の基準価格決定するということは少しも不当性はないと思う。今後所得倍増生産拡大に期待するということであれば、いつまでも昔の安い価格にこれを抑えつけていくということは不当だと思うわけです。だから、こういう点についてはやはり積極的な価格支持対策というものが出ないと、今までの農安法等最低支持価格であったが、今度の不足払い方式でいく場合の価格はこれは最高価格なんです。市場にこれが実現できないような価格基準にきめて、そしてその市場価格との差額を国が負担して相当長い期間保護しなければならぬということになれば、やはり上位に価格を設定するということになれば三十四年程度。これは農安法から言うとこの当時の値段というものは三千円以下でしょう。ことしの予算価格というものは、農安法の三千二十円というものを大豆菜種にとったのですが、これは大蔵省も論拠はない。そういうばかな予算価格を作ったということは農林省もけしからぬと思うのですね。ですから、あくまでも、われわれとしては、三十四年を基準として、その後のパリティ上昇分を加味する方針をとるか、あるいは、三十四年、三十五年の平均価格基準にして、それに物価とか賃金の上昇分、さらに政策的な生産拡大を刺激する要素というものを価格に加味するということがやはり価格形成上の要素となると思うわけですが、そういうことでこれから作業を進めたらいかがですか。
  20. 安田善一郎

    安田政府委員 御趣旨を全部貫徹できるかどうかわかりませんが、その意気と気持といい方法を発見しまして御趣旨に沿いたいと思って努力をしておるので、しばらくお待ちを願います。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、三千百八十円を固執して、三千百八十円になれば大成功という意味じゃないでしょう。新たなる角度でさらに奮起してやるという意味だと思うのですが、いかがですか。
  22. 安田善一郎

    安田政府委員 そこで、価格見通しもございますが、私は、およそ現行法があります場合に、自由化政策が行なわれたことは当然加味すべきことでございますが、それに対する保護措置考えることでございますが、政府提案しようとしました法律が事由のいかんを問わず通らなかったときに、その法律を無視することもいかがかという気がいたしております。しかし、価格処理というのは、生産費所得補償方式も三様あるではないかという質問がきのうの予算委員会でも出ましたが、おのずから精心を持って解釈して適正なところを発見するところに妙味もあるわけで、加うるに農民実情ということがございます。国内のその物資あるいは競争代替商品農産物関係等も当然考慮しなければいけません。需給関係も背後には考慮いたさなければなりませんが、それらを考えまして努力をしたいと思っております。先生と同じ金額になるか、三千百八十円か、そこで上の方で成功したのか下の力で成功したのか、私は、農民の手取りとして、支持価格でない価格としてまあ適当でないかという説を一応とっておるわけであります。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 それじゃ、これはきょうここで結論が出るわけじゃないですから、ただ農林省案といわれる三千百八十円というものは妥当な価格でない、特に、自由化実施を先にやって、その後に価格政策をとるというような逆な順序で行なう場合においてなおさらこれは問題が多いわけですから、この点だけを明らかにして、必要があれば後刻委員長にも御相談して委員会としての意思表示をやってもらう必要があるかもしれぬが、とにかく、現実は、昨年は三千三百円台、一昨年は三千四百円台で菜種国内価格は取引が行なわれておるわけですから、その後に政府が政策的に自由化を行なって、さらに保護すべき最高の基準というものが昨年、一昨年の市場価格よりも数百円下回るようなことで制度化をやるということについては大きな疑問があるという点だけを政務次官に指摘して、また後刻大臣にもこの問題はただしますが、きょうは菜種問題はこの程度にして保留しておきます。  その次には、きょうの主要議題になる三十六年産のこれこそ農安法に基づくイモ類、澱粉類の価格決定の時期は、本来からいうと九月末までということになっておるが、この点に対して政府の具体的な作業の実態を説明してもらいたい。
  24. 中馬辰猪

    中馬政府委員 先ほどの菜種の問題でございますけれども農林大臣は、事務当局がいろいろ数字をあげて案を作る場合においては、A案、B案それぞれあると思いますが、その中においては必ず最も高い案を持ってこい、大臣としては大蔵省に対する折衝あるいは閣議に対する発言等の関係もあるから、A、B、Cそれぞれの案がある場合においては、最も農民の喜ぶような一番高いやつを持ってこい、こういう方針で常に私どもを督励されておることを一つ申し上げておきたいと思います。  なお、ただいまの澱粉の問題でありますけれども法律では十月末日までと相なっておりまして、昨年は十月の十日までに決定をいたしております。ただいまは食糧庁においてそれぞれの案を作り、大蔵省折衝をいたしておる段階でありますけれども、これはただいまのところはなかなか難航をいたしておるようであります。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 難航を聞いているのじゃないです。今までどういう作業をしておるかということなんです。農林省の作業が終わってそれから大蔵省折衝するわけでしょう。何も中身を持たぬで難航々々と言ったってしょうがないので、農林省としてはことしの価格についてどういうような具体的な内容が整ったか、それをお尋ねしているわけです。  それから、時期についても、これは、九月末にしなければならぬということで、過去三カ年は九月末を目標にしてイモ類、澱粉類の価格決定はやっておるわけです。それも御承知だと思います。  それから、先ほどの次官の御答弁の中に、菜種についてはA、B、Cの三案があってその最高を大臣は進めようとしておるということですが、参考までに、A、B、Cの三案の価格がそれぞれどうなっているかということをここで明確にしてもらいたい。
  26. 中馬辰猪

    中馬政府委員 菜種といって明示したわけじゃございませんで、農産物価格農林省決定する場合に、それぞれ事務当局の案があると思うから、その際においては最も高いやつを大臣には持ってきなさい、こういう意味であります。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 その一番高いやつを……。
  28. 安田善一郎

    安田政府委員 政務次官の言われるのはこういうことであります。同時期にA、B、C案を作っておりません。時期を異にして一案ずつあるのが、考え考え努力して、案の数が結果において三案、四案になってくるのであります。過程ごとについて大臣の指示を受けておりますが、低い方と、勘にしろ、あるいは前年の資料とか、その他の皆様方の御意見をそれとなくお聞きになっていらっしゃるようですが、詳しくは私は知りませんが、もっと高く出し得るんじゃないか、こういう督励がある、こういう意味に御了解を願いたいと思います。  それから、農産物安定法の方でございますが、これは、澱粉、あわせてイモでございますが、法律では毎年十月三十一日までにきめるということは御承知通りでございますが、慣例が農林委員会あるいは関係の方とよく御相談するということもあり、できれば何もぎりぎりの十月末でなしに九月中に出した方が、——理論上から言えば、出回り初めの前に、あるいは作況が最終的に近く確定したときにできた方がいいという精神は体してやっておるつもりであります。せっかく作業中で、実はきのうの晩もほとんど半徹夜でやっておるのでございますが、作付面積、反収歩どまり、供給の見通し、これらは例年のように出てくるのであります。そこのところに作付面積の異動がかなりあります。ことに、私は、若干新しい知識を、出すつもりでやっておるわけじゃありません、当然考えるべきだと思っておるのでありますが、従来用途別にどう使われるかというようなことが需要であると見ておった形跡があるのであります。たとえば、飼料用にイモがたくさん作られて豚が非常にふえておる、また、消費経済の動向にかんがみまして水アメ類が相当出てくる、消費される、作られるというようなことであります。政府の在庫の増減もその見方がいろいろあり、カンショ澱粉は減りつつあり、バレイショ澱粉はそう減らない、ふえておるのでありますが、そこで、カンショ澱粉とバレイショ澱粉の代替性などももう少し固めて、いい値段が出ないか。そうでないと、イモについて言いますと、去年の値段ぐらい、あるいはそれを下がるおそれが出るようなケースも実はかなり有力に出るのであります。そこで、もっと他の要素を理論的につけ加えて強く推したい意味で、十月末とは言わなくても、もう少し時間をおかし願って、御趣旨になるべく沿うように実現に努力したいと思っておるわけであります。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 長官にもう少し数字的なことを聞かぬと……。
  30. 安田善一郎

    安田政府委員 数字については、うかうかすると二十五円を割るような数字が出そうなのはいけないと思って努力しておるということが、現段階で申し上げられるところと思って御了承願いたいと思います。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 数字というのは、結論としてのイモの原料価格とか澱粉の数字が幾らになったかということよりも、この現況はやはり当然説明する必要があると思います。ことしの作付とか、出産の事情とか、あるいは消流関係の事情、そんなものとか、特にカン澱については、これは政府農安法に基づいて安売りをやっておる実例もあるでしょう。ですから、政策的にそれがどの程度成功しておるかとか、そういう基礎的なものを一応整理して委員会説明しておくということは、われわれの判断や検討の資料にもなるわけです。その点を言っておるわけです。
  32. 安田善一郎

    安田政府委員 結論を簡単に申し上げますと、きょうでなくお願いを申し上げたいのであります。それもそう先のことじゃなくお願いを申し上げたいと思います。と申しますのは、特にカンショの方において作付面積の減が出ておったり、逆にバレイショの方においては作付増も出ておりますが、この需要の点に相当な問題があると思うのです。この調査統計の整理、あるいは一応の関係当局、御指導を願います先生方に価格をきめる要素としてこれだと取り出すのに適切であり、かつ有利である、そういうところを出すのに非常に苦労をいたしておる最中でございますので、御了承を願いたいと思います。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 実は、きょう委員会を開く場合は、特に澱粉関係の問題についての政府の資料が整って、ある程度具体的な説明ができる、そういう場合に委員会を開いて審議するという理事会方針になっておるわけです。われわれとしては、そういう用意ができたから、きょう委員長委員会をお開きになったと考えておるわけですね。何もできてないなら、これは委員長に最初から申し出て、きょうは委員会を開かないなら開かないということにしてもらった方が実はよかったわけです。そういう連絡は政府として委員長につけてないのでしょうか。そのために番頭役の政務次官がおるじゃないですか。何も不用意で委員長委員会を開かして、実は何もありませんでは、これは少し失礼にならぬですか。どうですか。
  34. 安田善一郎

    安田政府委員 私が申し上げて失礼でございますが、私の方へ伝わっておりますことだけについて申し上げたいと思います。出し得る資料が実はここにないわけではございませんが、私がこの点で数字を御参考になるとしてこれだと言って申し上げるのには、需要その他にまだ弱さがある。そこで、期日も、例年の慣習も尊重し、委員会とも相談し、そうしてきめるという方向でぜひ進みたいし、進むべきである、こういうことを申し上げたのもその趣旨でございますが、最終きめるべき日までに、きょうでなくちゃならぬというような意味の非常に厳格な御連絡をいただいたのでございませんので、与党と野党と委員会と分けてやる場合もあり、一緒にやる場合もあり、どちらでもいいことでございますが、その点は私ども準備に時間がかからぬように努めますから、御了承願いたいと思います。
  35. 中馬辰猪

    中馬政府委員 私どもも鋭意督励いたしまして、なるべく早く澱粉価格決定するように努力いたしておりますけれども、ただいまの段階では、今長官が申した程度でございまして、今しばらく一つ御勘弁を願いたいと考えております。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 そういうことであれば、事前に委員長に申し出て、きょう何も委員会を開く必要はないんですよ。政府の澱粉価格等に対する農林省としての具体的な資料や対案が整った時期を見はからって、委員会においてこれを審議検討する、そういう方針が先般立てられておるわけですから、きょう農産物関係委員会委員長が開かれるということになれば、当然政府準備が整ったというふうにわれわれは考えて出席しておるわけです。それが、肝心の問題に触れると、何もできておらぬから待ってくれというようなことは、これは、きょうはやむを得ぬですよ。しかし、今後もあることですから、十分その点は気をつけてもらいたい。政務次官の係というのは委員会政府の連絡係ということにあるんですよ。何も大臣の代理でもなんでもないんですからね。われわれはそう考えておらぬのだ。だから、国会政府との間を十分円満に円滑に連絡や何かを進めるということができれば、これはりっぱな政務次官としての役割が勤まる、われわれはそういうふうに常識的にお互いに考えておるのですから、政務次官も二人おるのですから、特に中馬さんはもとをただせば農林出身ということにもなるわけですから、そういう点は十分委員長と連絡を緊急にして能率を上げてもらいたいと思うのです。
  37. 中馬辰猪

    中馬政府委員 今後はよく注意をいたします。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 最後にもう一点だけ。  てん菜の原料価格について、実は昨日当委員会生産者団体から陳情がありましたが、これは別の機会にまた十分質疑したいと思うが、てん菜振興法に基づくと、政府は毎年四月にてん菜糖の原料価格決定を行なってこれを公表するということになっておるわけです。ことしの原料価格は御承知通り一トンについて五千二百五十円ということになっておるが、最近、これは不当に安過ぎる、ですから、収穫、搬入期を控えて、この際適切に原料価格農林省として改定してもらいたいという現地の声が非常に強いわけなんです。しかも、最近のてん菜耕作の実情は、昨年度の作付面積に比べて、北海道においては作付が減少しておるわけです。八カ年計画は、御承知通り三十五年から四十二年までの八ヵ年で基準年の倍に生産を上げるということになっておるが、全然作付が伸びていないわけです。だから、もう出発から八カ年計画というものは失敗しておるわけですね。その失敗の一つの理由としては、原料価格昭和二十九年以降ずっと五千二百五十円で据え置きになっておるということにも問題があるわけです。ですから、ことしだけの問題でなくて、明年以降、国内甘味資源の増産のために、その中心になるてん菜糖の生産拡大をやる場合においては、やはり農家生産意欲というものを十分刺激するような原料価格にしなければ、これはビート糖の増産はできないわけです。そういう長期計画との関連の上に立って、特に諸物価や賃金が上がる今日の状態の中において、もう八年間も同一価格ということは不合理だとわれわれも考えるわけです。ですから、この機会に、農林省として、本年四月に公表した価格というものを速急に再検討して、農林省として価格改定に乗り出す意思があるかどうか、そういう点だけをこの際明らかにしてもらいたい。
  39. 安田善一郎

    安田政府委員 私が食糧庁長官を拝命しまして以降、関係方面の御意見はこれから聞くことでございますが、アイデアとして持っておりますことは、てん菜栽培の長期計画を再検討するという考えが基本にあります。しかし、案ができないうちにそれを価格に適用しようとは思っておりません。それで、先般も北海道の道知事と会いまして、簡単に表現いたしますと、十年後には、百五十万トンの甘味資源、——砂糖、ブドウ糖、結晶ブトウ糖、てん菜糖、その他の甘味資源のうち半分ぐらいを国内で自給しようというのが立っておるわけであります。価格の点に限ってまず申し上げますと、やはり、それらの輸入原糖による砂糖、てん菜糖、ブドウ糖、澱粉、イモ、これは非常にバランスをよくとる必要があるものであろうと思います。従来ともそう扱われておったわけであります。それを、原糖輸入の精糖基準費について百二十二円ベースで、あれは基準と言っておりますが、超過利潤を取るのだ、今百十何円台になると低落するのだ、こういうような問題が出ておりましたり、ブドウ糖、てん菜糖を育成しなくちゃいかぬ。イモの需要は、先ほど私が申し上げましたように需要の変化が相当あろう、これはむしろ成長農産物扱いも適地適産の主産地形成をするような観点からやるべきものである。これはバレイショは北海道においてはまさにその適例であろうと思います。てん菜においても北の方はほんとうの主産地で適地であろう。これらの関係を見まして、そうして、最近御指摘のてん菜作付面積が減少しておって計画通りにいかないというのは、単作地帯で三、四種類の作物を作って、増反が割合少なくて作物を食い合って、てん菜がふえる過程においてこれをどう考えるかということなどは非常に重要なことのように思います。計画は、御指摘の通り、線で言えば上昇線をたどっても、ある所から急激に年度途中から上昇するようにできております。私は、十年間を見通せば、国民所得倍増計画における農業部門の、概算でありますが、全体が立ててある趨向を見ましても、もう少しなだらかにふえていくが、生産の効果があがれば、終わりの方はやや弓なりに、上昇が逆に急激に上がらないで鈍化して伸びていく、そういうことも考えた方が適切である。それがてん菜でなくても他の作物は植わるわけであります。大豆とかその他小麦が植わるわけであります。それらの点を考えようと思っておりますが、価格そのものについてはすぐは適用するまでまだ間に合いません。それで、両方を並行してやらせておるわけであります。そのうちに要望、陳情が現地から出て参っておる。その際は、てん菜の値段をきめましたのは昨年産について本年の四月だそうでございます。私はその時期も将来多少問題があろうと思いますが、それらのパリティ指数の上昇は一%ちょっと切れるくらいでございます。約一%であります。そこで、法律を勘案いたしますと、一たんきめた価段を需給その他の経済条件が大きく変動した場合は改定することがあるということでございますが、一%のパリティ指数の上昇のような場合に動かすべきかどうかという点が一つ。バレイショの価格は、三十二年だったと思いますが、ずっと据え置きになっておる。これらの点を勘案しまして、目下は変えない方がいいんじゃないだろうか。しかし、原料の購買者側、すなわちてん菜糖工場から見ますと、新設工場である場合は政府が一年間は製品を買うということがございます。これが本年はございません。そこで、政府が買い入れる値段で刺激するということの問題は、制度として一律に行なう方法はとらないことになっておるのであります。これは天下に事前に周知してあるわけであります。制度となっておるわけでありますから、これは尊重しよう。そうしますと、上げない方が今はいいのではないかと思いますが、個別に企業を見ると、てん菜糖工場は大企業が多いわけでありますので、これを今調べさせましたが、かなり赤字工場あり、黒字工場あり、買い上げどころか納付金を納める工場ありということで、成長農産物農業生産であるてん菜生産も上昇させ、関連産業であるてん菜糖工場もことしすでに二工場増設になった等を考えますと、一律にてん菜価格を御陳情、御要望のように直すのはどうかと思いますので、現地の農業団体と各関係の工場、また必要に応ずれば道庁副知事の上京を求めておりますが、詳しく説明に参ると言っておりますが、私どもの方も道庁を待たずして別途研究をいたさせておりまして、自主的活動による相互交渉、そこへ道なり農林省が入って、奨励金交付——今でも百円の奨励金交付等が行なわれておるそうでございますが、これを個々に片づける方式が妥当ではないかとただいまは思っておるわけでございますが、なお、芳賀先生お詳しい上にただいま御指導的の御意見もございましたので、私の方は見解を申し述べますが、なおさらに一つのいい検討の要素をいただくといたしまして、早急に検討いたしたいと思います。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 これはむしろ農林大臣から意見を聞いた方がいいですが、問題は非常に複雑になっておるわけです。国内糖と輸入糖との競合関係があって、これは、一昨年のビート関係の制度改正のときに、いわゆる砂糖の基本価格というものを設けて、今長官が言った通り一キロ百二十二円で、これを基準として、てん菜糖の場合には工場価格を一ピクル当たり五千三百十四円、一斤にすれば五十三円十四銭ですか、この工場の基準糖価というものが一応きまっておるわけです。この基準糖価の範囲内において原料価格というものを設定されておるわけですから、原料価格だけを引き上げた場合の影響というものは糖価の面に現われるということも予想されますので、この際農林省として検討すべき点は、現在の基準糖価の範囲内において原料価格というものを上げる余地があるかどうかという問題です。これは十分検討の余地があると思うわけです。それが可能であるとすれば、やはり早急に本年度の原料価格というものを改定する必要がある。価格的に分析しても、今の原料を上げればこの基準糖価に影響がある。影響があるということは、それ以上のコストになるということで、それは政府の買上発動の対象にもなる。そういう積極的な踏み切りができるかどうかという問題にもなる。  もう一つは、この基準糖価に影響を与えないで、製造業者の企業内努力で原料価格を上げる余地がないとすれば、これは別途何か考える必要があるのではないか。一つ方法としては、これはまだ十分熟しない案ではありますが、たとえば、先般の委員会農林大臣が、精製糖の超過利潤の吸収は必ずこれを行なうということを言明したわけですが、これが行なわれるとすれば、そういうような超過利潤の吸収分を政策的にビートの原料価格の上に振り向けるようなことをやれば、やはり生産を刺激して国内の甘味資源が伸びる方向に向かうということにもなると思うわけですが、これはやはり農林省自体がそういう政策面を十分検討しなければ結論は出ないと思うのですが、その点に対する検討を早急に進めて何らかの結論を出してもらいたいと思います。ただ、今後の問題としては、現在の程度の原料価格では、来年もまた反別が減るし、再来年も減るということは、これはもう農林省もそこは見抜いておると思うのです。そうなると、北海道を中心として、あるいは暖地ビートもそうであるけれども、てん菜糖を中心とした甘味資源の国内増産というものはできないと思う。これはもうだれが見ても明らかです。そういう見通しの上に立って、今長官も言われるように、北海道庁が立ててこれを農林省が承認した八カ年計画というものは全く実情に沿わない。三十五年は合っているというが、三十五年はまきつけが終わってからその実績を把握して立てた計画だから、これは合うのがあたりまえであって、合わないはずはない。それが六年度にはもう大きくくずれておるわけですから、これは当然長期計画も再検討をやる必要があると思う。これはもう当然なことだと思うわけです。  それから、もう一つは、これも政策的な問題であるが、今年農林大臣就任直後に二工場の新設の許可が出たのですが、そうなると、現在の七工場に二工場ふえて、来年からは九工場の操業ということになるが、現在の推移でいくと、面積が伸びないから原料も伸びない。そういう原料の状態の中で工場の数だけがふえた場合において、一体、結果として、生産された砂糖の製品コストというものはどうなるか。これもやはり糖価政策上重要な問題となると思うわけです。われわれの考えから言うと、原料がふえないで工場がふえるということは、結局工場の単位当たりの操業度を極端に下げなければならぬ。その結果は製品コストというものは異常に高くなる。そういうことが国全体の砂糖政策上好ましいやり方であるかどうかということに当然なると思うわけであって、この点は、特に工場の今後の新設等の問題については、これもやはり長官の言われた通り、根本的に生産計画の立て直しとあわせて検討する必要があるとわれわれは考えておりますので、その点はどうか。特に、最近また北海道庁あたりは、先般決定した以外にさらに新工場の設置をきめてもらいたい、そういう無謀な要請を農林省に行なっていると聞くが、こういうことを政治的にみだりに進めた場合においては、これはもう全部生産者の方にしわ寄せが来て、結果的には北海道ではてん菜はもう作らぬということになって、既存の工場もペンペン草が生えるということに当然なるので、それをわれわれは心配するわけです。工場だけ建って、それで利権をあさる連中は別ですが、真剣に農政というものを考えた場合には、これは非常に重大な点だと思うわけであります。これは当然農林大臣から答弁を求めるべきですが、きょうは出席がないので、この機会に担当の事務当局の実力者である安田さんから見解を明らかにしてもらいたい。
  41. 安田善一郎

    安田政府委員 私は、正しい政治が行政を指導し最終決定をするものと思っております。別に私は事務当局の実力者ではございませんが、食糧庁の事務当局の責任者でございます。その意味におきまして、事務当局は、政治的でなしに、公正な事務当局として見るところは、大臣の作る内閣の指導、指示がない場合でも、必要と思いまする事務当局としての調査、企画、立案、実行、監査、それらをいたすべきものと思いまして、行なっているつもりでございます。先ほど他のものについて申し上げましたのもそういう意味でございますし、てん菜糖を含めた甘味資源の自給計画についての計画上の考えを、新長官単独の意見、アイデアをまじえておるかもしれませんが、申し上げましたのもそういう意味であります。大体において、御意見がありましたことは、少なくとも私及び私のおる食糧庁の事務当局と申しますか、そういうものとは意識を合わせて今作業をいたしております。しかし、てん菜糖価格のことにつきましては、基準価格を一律に設けてそれを北海道にとりましても、各道内の反収が違うところ、道南などのような糖分の少ないところ、企業の内容等、いろいろと違うものでございますから、農業と関連工業とは差をつけなければなりませんが、牛乳等でも若干例がありますように、個別企業とそこへ集荷販売をする農業との間で片づける方法の場合、この二つがあるんじゃないか。両方かみ合わされる場合もあろうと思う。そこのところは、本年度は政府が買い入れるということがない、予算も計上がない、たまたまそういう年でもございますから、基準価格を、パリティも上がりその他も上がるから上げた方がいいじゃないか、こういう点のところに少し見解の差があります。その他の点は、先ほど申し上げました通りでございまして、至急研究をいたしたいと思います。
  42. 野原正勝

    野原委員長 次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会