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1961-11-30 第39回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月三十日(木曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 草野一郎平君    理事 堀内 一雄君 理事 宮澤 胤勇君    理事 飛鳥田一雄君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       内海 安吉君    小笠 公韶君       大森 玉木君    辻  寛一君       藤原 節夫君    緒方 孝男君       勝間田清一君    杉山元治郎君       田口 誠治君    矢尾喜三郎君       山内  広君    山花 秀雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 藤枝 泉介君  委員外出席者         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁労務部         長)      小里  玲君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十一月三十日  委員原茂君及び柳田秀一辞任につき、その補  欠として矢尾喜三郎君及び勝間田清一君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員勝間田清一君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として柳田秀一君及び原茂君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十月三十一日  一、国民の祝日に関する法律の一部を改正する   法律案(纐纈彌三君外七名提出衆法第九   号)  二、旧金鵄(し)勲章年金受給者に関する特別   措置法案内田常雄君外十二名提出衆法第   一〇号)  三、行政機構並びにその運営に関する件  四、恩給及び法制一般に関する件  五、国の防衛に関する件  六、公務員制度及び給与に関する件  七、栄典制度調査並びに栄典法案起草に関する   件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件      ――――◇―――――
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣お尋ねいたしたいのですが、十分に御承知通り、今駐留軍関係労働者賃金引き上げの問題で非常に紛争が起きておるわけでありまして、第三波のストライキ通告政府側に出されておると思うのでございます。この問題に関連いたしまして、特に私、防衛庁長官お尋ねをしておきたい、また要望しておきたいと思うことがあるわけであります。と申しますのは、昨日調達庁長官から全駐労の委員長回答がなされておるのでございますが、この回答によりますと、全然従業員側組合側意見が通っておらないそれはすなわち調達庁が従来日本政府を代表して主張しておりました点も全面的に通っていないということと通ずると思うのです。言葉をかえて言えば、管理者側の一方である米軍の意のままに今度の改定が行なわれようとしておる。すなわち日本政府はこれに追随しようとしておる。そういう態勢の中で今月中に調印を完了し、十一月稼動に対する給与支払いは新ベースによって実施する方針を決定した次第である、というような一方的な通告組合になされておるようでありますが、私はもってのほかだと思うわけです。過去においても調達庁長官米軍参謀次長ですかの間で話し合いがどうしてもまとまらないという段階においては、司令官長官との間のハイクラスにおける交渉もなされておるのですが、今回はそういうことが全然行なわれないままに、しかも米軍の言いなりに調印を完了しようとしておるのでございますが、これでは労務者といたしましても組合側といたしましても納得できないのが私は当然だと思うわけです。そこで、こまかいことはもう十分に御承知思いますから、あとで若干私はお尋ねはしたいと思いますけれども、基本的な態度として、もう少し長官みずから米軍司令官と折衝して、こちらが長い間調達庁ががんばってきた基本線をもう一回押してみて、そうしてから最終的な調印に入るべきではないかと思いますので、その意思がおありかどうか、この点をまず御確認しておきたいと思います。
  4. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 駐留軍労務者ベースアップにつきまして、いろいろの問題点があります。だんだんに解決をいたした分もありますが、いまだに組合側の納得の至らない点等もありまして、こうした事態になったことははなはだ残念でございます。しかしいろいろな経緯を考えてみまして、現在特に要望されているような問題につきましては、契約上もはっきりいたしておりまして、もちろん前例はあることではございますけれども契約上もはっきりしておりますことでありまして、このベースアップに関連いたしまして、私と米軍司令官との間の話し合いを持ちましても、この問題を解決するのは困難というよりも、むしろ不可能に近い問題ではないかという判断に実は立っておるわけでございます。ただ非常にお気の毒な立場の方々もありまして、そうしたものを根本的に解決するという努力は、私としましてもどうしてもやらなければならないことだと考えておりまして、このベースアップそのものではなくて、いろいろな給与体系でありますとか、あるいはワク外凍結の問題でありますとか、そういう問題を根本的に解決するための努力は、私としましても今後十分にやって参りたいという考え方をもっておる次第でございます。
  5. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 その今後というのが問題なんです。私が今申し上げているのは、ぜひ調印前に大臣交渉を持っていただきたいそうして従業員がそこまで政府側がやってくれたのかという気持になれるように、一つしてもらいたいというところに主眼があるわけです。今中心になっております問題点の中には、確かに契約の中にうたわれておるものが一つあることは私も知っております。しかしこの点は、過去において調達庁なりあるいは担当大臣なりの努力によって、新契約が発効した以後においても、必ずしも拘束を受けていないわけなんです。いわゆる契約以上のことが確保されておるわけです。三度目の今になって契約云々ということ自体問題があるし、そのことに従来の大臣努力してくれたから、契約以上のものを確保することができたのに、今度の大臣は何もしないから、契約々々と突っぱねられるのだという見方に連なってくるわけです。だからこの際ぜひ調印前に、司令官との交渉を持っていただきたい特に昨年の場合も、西村防衛庁長官バーンズ中将との段階相当前進を見ておる面もあるわけですから、この辺だけはぜひ御確認願いたいと思うわけです。
  6. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 繰り返すようで恐縮でございますが、できるだけ十二月は新ベース支払いたいという一つ前提をもちまして、また従来の各種の米軍側との交渉の経過にかんがみまして、ベースアップについて私がただいま米側との交渉を持ちましても、満足な結論は得られないのではないかという見通しに立ちまして、このベースアップとは別問題と申しますか、今後こういうことのないように、根本的な問題の解決に努めることの方が、将来にわたってよろしいのではないかという気持を実は持っておるのでございます。もちろんこの問題に関連いたしましてストライキが起こるとか、その他の事態というものはまことに残念でございます。しかしそうかといって、私がここ何日かの間にこのベースアップに関連して交渉を持ちましても、満足な結果にならないのではないかという判断に立っておるわけでございます。
  7. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 すでに第三波のストライキ通告をしておる段階にあることは御承知通りですが、そういうかまえの中で大臣がとにかく会って説得してみようという気がまえを持つことによって、あるいはストが回避できるかもしれないという段階にあるのに、なお回避しようとするのは、ちょっと無責任ではないかと思うのです。それは調達庁がどういう報告をしているか知りませんけれども、私も調達庁の労を多とすることはやぶさかではございません。しかし文句を言えば、長官が新しいから、よく理解できない面もあろうかと思うけれども、完全に日本自主性というものをふんまえて交渉したと思えない面もたくさんあるのです。特に末端従業員にしてみれば、従来の調達庁努力というものと比べた場合に、新長官になってからどうも足りないのじゃないかという感じも率直に受けておるのです。そういう中でストライキ通告もしておるわけです。希望を大臣交渉というものに今寄せているわけです。大臣がそこまでやってくれて、なおかつむずかしいならばという気持になる面もあるかもしれない。そこまで来ておるときに、努力を一切やらないで、調達庁でやってできないからもうだめなんだというふうにお考えになることは、ちょっとおかしいのじゃないか。特に申し上げたいのですけれども最後に煮詰まってきた問題点というのは、横浜で八日に開かれた基地問題を協議するための渉外知事会議、ここでも決議されておる内容なんですね。たとえば労務問題に関する決議文として、長官も受け取っておられると思いますけれども給与凍結者も同列に上昇されたい、最低額標準額最高額同一に上昇されたい、低額職種について高率に上昇させるとともに、給与体系変更の際に初任給引き上げられたい。これは知事会議で決議しておられるのです。実際に末端において直接労務管理を担当しておる人たち意見を集約したものが、この知事会議に反映しておると思う。労務管理上この程度のものはやってもらわなくちゃ困るということが知事会議でも確認されておるし、従来また調達庁としてもこの意見は正しいとして米軍主張し続けてきている。私はその努力を多とするというのですが、これが全然いれられていない。いわば百パーセント米軍にけられておるのに、なおかつ追随して調印しようとしておるわけですよ。この最後のところに問題があるわけです。調達庁ではこれ以上できませんから、一つ大臣やってみて下さい、こう言わなければならぬはずなのに、われわれもできないのだから大臣もおよしなさい、あなたが出ていったってだめですよ、そんな答弁の仕方がありますか。第一、新安保条約になってから保守党内閣は何と言っておりますか。これで日本自主性なり双務性なりが確保されるのだ、完全に対等の立場に立ち得るのだ、こういう説明国民にもしておるはずです。駐留軍労働者にしてもそういう受け取り方をしております。ところがこの労務管理の面で、従来の旧安保条約の時代よりも新安保条約になってから、何か自主性を確保するようなことでもありましたか。かえって向こうの方が高姿勢じゃありませんか。これは調達庁能力が低下したとかなんとかの問題なら別ですけれども、そうじゃないと思う。そうすると池田内閣も、新安保条約以後は旧安保の当時よりも日本自主性というのは高まったのだ、いわゆる平等になったのだという立場をとっておられるはずです。それが現実はそうではないじゃないですか。この労務管理の面を見ても、全然こちらの意見は通らない。百パーセント向こう主張に押しまくられておる。従来のベースアップの時期における取り扱い方と比べてみた場合に、今が一番後退しておるじゃありませんか。それからこの間の箱根会談の際にも、日本の低賃金というものが向こうから持ち出されたといわれておりますが、私も率直にこの日本の低賃金というものは認めますけれども日本政府は認めないという立場をとられたはずです。アメリカが日本の低賃金を云々するなら、まず自分が使っている日本人の労務者のことを考えろと言いたい。おこがましいですよ。百パーセント日本の低賃金を利用しているのは米軍じゃないですか。大臣も知っておられると思う。この知事会議で決議した最低職種賃金引き上げろという問題、KPなどの給与は、十年勤めても最高一万三千六百八十円ですよ。こんなものでいいとお思いにならないでしょう。しかもこれが凍結者であれば一銭も上がらない。公務員給与が上がっても、最高までいっている人なら、十年勤めておっても上がらない。こんなものでいいとはお思いにならないでしょう。調達庁も思わないから交渉してきたはずです。それをなおかつ米軍ががんとして聞かない。あなたはさかねじを食らわせればいいじゃないですか。低賃金々々々と日本労働者のことを言うけれども、その日本労働者の低賃金を百パーセント、フルに使っているのはあなたたちじゃないかと大臣は言えないのですか。私は、そういう主張の上に立って今交渉されれば、全然前進がないとは思えません。かりに前進がなくても大臣がそこまでやってくれたのだったら、よし次の段階でまたこれは考えてもらうとして、今度の場合はわれわれも一歩後退しようというふうに考えてくれるかもしれない。われわれもまた駐留軍労働組合労働者にもそういうふうな説明をすることができる。それをもやらずして、やってもだめでしょうと言って逃げておったのでは、これはストをやれと言ったのと一緒ですよ。私はこの点だけはぜひもう一度御再考願いたい。そうしなければあとの質問をしたって意味がないわけですよ。最低職種引き上げ問題一つをとってみても、日本側として米軍側に十分交渉する根拠があるのですから、この際ぜひ一つ、去年西村防衛庁長官もやったことですから、調印の前にハイクラス交渉を、防衛庁長官スマート中将との交渉をぜひやって、そのあと調印の運びにまで持っていっていただきたい。このことを重ねてお願いいたしたいと思うのであります。
  8. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 まあ考え方としましては私が先ほど申し上げた通りでございます。ただ全体としての現在の駐留軍労務者給与そのものが、決して十分どころではなく、非常に不満足なものであることは私も認めておりまして、そういう意味で今後米側との折衝を十分重ねるための準備を進めさせておるわけであります。ただ私別に逃げるわけでも何でもないのでありまして、現段階においてこのベースアップについて会談を持ちましても、満足した結果が得られないのではないか、むしろそうした根本の問題を解決するための努力をした方がいいのではないかという観点に立って、お答え申し上げておるわけであります。従いまして事態のいかんによりましては、私も十分考慮をする段階があるものと考えておるわけでございます。
  9. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 日本側がねばるということと、早く新しいベース給与支払いをしてやりたいということとは、確かに矛盾するわけですね。しかしこの点も長い間の慣例を確保しておきさえすれば問題ないわけなんですよ。従来は公務員給与引き上げ同時同率ということを、米軍自身も再三言ってきたわけです。労働者スト通告をやったら、公務員引き上げの時期に同じ率で上げてやるのだから、そんなことはおよしなさいと米軍自身が言ってきておったわけですね。過去においては確かにそういうふうに同一の時期に公務員と同じ率あるいは額で引き上げをやってきた。しかし今度の場合はその点も確保されておらないわけですね。特に退職者の分などについては、もう完全に付属協定調印以後というふうな形にずらされてしまっておる。これなども後退の一つですよ。大臣が言おうとしておることが私はわからないのですが、適当な時期というのはどういうことですか。今みんなが望んでおることは、調印前にとにかく会ってくれということなんですよ。調印前に会って工合の悪いことがあるのですか。おれが会ったってもう全然何も聞いてくれやしないから、そういう気持があるわけなんですか。調達庁はそういう補佐の仕方をしておるのですか。大臣もうおよしなさい、あなたが会ったって何も出てきませんよ、それをあなたは真に受けてやめようということなんですか。何か会ったら工合の悪いことでもあるのですか。それではみなが納得できるような理由をお述べ下さい。
  10. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 先ほども申しましたし、石橋さんも十分御承知通りに、この早く新ベース支払いたいという前提に立ちまして、今明日の交渉だけで今懸案になっておるものが解決することは、非常に困難ではないかという気持を私申し上げておる次第でございます。
  11. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今調印が二、三日、かりに四、五日延びてみたところで、そう大勢に影響ございませんですよ。そんな一日、二日を争うという事態ではないはずです。大臣最高司令官と会って、何らかの進展が見られるかどうかは別として、その時間が惜しい、それを待てないと言っておるものはどこですか。そんなものはないですよ。とにかく一日を争って調印しなければならぬという事態にありませんですよ。だから会ったって何も出ないのだ、もう調達庁が受け合います、ああそうかといって長官がもうやらないというなら、それはわれわれが納得するしないは別として、一つ理屈にはなりましょうけれども、しかし今大臣最高司令官と会うということで時間を食う、その時間が惜しいという状況には全然ありません。かりにそれが四、五日かかったってかまわないですよ。そこまで大臣が一生懸命やってくれる、それで若干時間が延びたというのなら、だれも不服は言わないはずです。不服があるとすれば調達庁ぐらいなものですよ。おれたちが一生懸命やって、いるのに、今さら大臣に出てもらわなくてもけっこうだ、そういう根性で事務当局がおるとするなら、それならまたそれで理屈はわかりますけれども、まさかそんなことは考えられるはずがない。過去においてもやっているのですよ。私はこの際、調達庁が逆に大臣出馬を願うくらいの気持を表示すべきだと思う。林さんは自分が百パーセント能力を発揮したつもりかもしれませんけれども下部の大衆はそう見ておりませんよ。あなたもまだふなれだし、なかなか言いたい点も言い尽くせないのだろう、率直に言ってそういう気持で見ております。だから、自分の足らないところはこの際大臣にもう一ふんばりやってもらおうという気持に、あなたが積極的になるべきですよ。丸山さんのように練達の人だって、自分でどうもいかないときには、西村防衛庁長官にやらしているじゃありませんか。まだ十分にのみ込んでおらないあなたの場合なら、なおさらだと私は思う。なぜそんなに大臣が出ることを固執されるのですか。私はそれでは調達庁長官に聞きますよ。大臣にあなたから要請すべきじゃないですか。われわれの能力ではここまでしかできない、あと一ふんばり大臣やって下さいとなぜ言えないのですか。調達庁は言えない理由があったらそれを聞かして下さい。
  12. 林一夫

    林説明員 特にこの賃金凍結者ベースアップのことにつきましては、再三再四参謀長に会って協議し、討議したのですが、結局賃金凍結者ベースアップということは、契約上これは禁止されておるという点もありまして、なかなか理論的には弱い点もあります。こういうような点からして、私ども調達庁見通しは、これ以上交渉しても解決は困難であるというような見通しをつけております。しかも十二月の賃金支払いはぜひ支払いをしたい、ベースアップによる賃金支払いをしたいというような強い念願のもとに、なるべく早く調印をしたいというようなこともありまして、話をここまで持ってきたわけでございます。もちろんそういうような事情は大臣にも申し上げておったのでありますが、私ども考えとしましては、先ほど大臣から申し上げたように、この非常に見通しの困難な賃金凍結者ベースアップということを、この際これでもって交渉するというよりも、むしろ時期的にいって、今後の問題としてこのような特定職種賃金ワク、その他これに関係ある全般的な問題について不合理な点があれば、一つその点を是正してもらいたい、もらうように一つ大臣ぜひ折衝していただきたいということで、大臣にはお願いしておったわけであります。やはり全般的な不合理の問題について、この際大臣から向こう司令官に強く要望していただきたいというような考えのもとに、大臣には私の意見は申し上げておったわけであります。
  13. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それがおかしいというのですよ。わざわざベースアップの時期を切り離す必要はありませんよ、そうするとまた期限がなくなってくるのだから。あなたは今できないと言ったけれども、過去においても、去年でもやっているじゃありませんか。あなたの前任者丸山長官のときに、藤枝大臣前任者西村大臣のときに、同じ契約のもとですよ、やっておるのじゃ、ありませんか、凍結者に対する賃上げを。凍結者だって、物価引き上げというものは生計費にぴんと響いてくるわけですよ。物価値上げ凍結者には影響はありませんか。調達庁長官給与を定めるときに、生計費なり民間給与なり公務員給与なりを参酌してきめることになっているじゃありませんか。お前は凍結者だからベースアップする必要はない、あなたは自信を持ってそんなことが、言えますか。同じ契約のもとにおいても、去年の場合はやっておるじゃないですか。それ々あなたの代になったらできなくなってきたのですよ。それが向こうが間違いだ何だと言おうとも、とにかく去年もやったことだし、ことしもやって下さいと押すべきじゃありませんか。これだけ物価がどんどん上がっておる時期に、一銭も給与が上がらない人があって、あなたはいいとお思いになりますか。思わないはずですよ。思わなければ最後まで努力すべきですよ。十二月九日の支払いに間に合わない。かりにそれが十一日の月曜になっても、あなた方努力した結果、その一日、二日おくれたからといって、文句を言う人はおらないじゃないですか。従来においては年末ぎりぎりで支払いを行なったことだって何回もありますよ、戦後十数年の間には。それは計算する人たちの労をあなたたちが心配する気持もわかります。しかしもう少し努力していただきたいですよ。みんなが給与が上がるときに、一銭も上がらない人がおる。それをこれからあと交渉にしょう、そんなことを言ってのほほんとしておられるはずはありません。それはあなたたちベースアップの分は要らぬ、そういう気持にでもなっておるのですか。みんなが上がるときに一銭も上がらない人がおるということは、あなたたちにしても労務背任者として耐えがたい思いであろうと思う。自分ができなければ、大臣出馬を願っていいじゃないのですか。これはあとでやる問題ではございません。賃上げにからんだ問題ではありませんか。凍結者の問題もそうです。それから低額職種の人々の問題もそうです。だれが考えたって、十年勤めて一方三千六百八十円でくぎづけ、一銭も上がらぬなんという、そういうやり方がよろしいと思う人は、気違いでない限りおらないはずですよ。あなたが自分の力でできなければ、このチャンスに大臣にぜひ出て下さいとなぜ言わないのですか。今の説明ではこれは説明になりません。十二月の九日で払ってやりたい、それだけでは理由になりません。従業員が二日や三日待てないはずはない。大臣に出てもらいたくないなら、もっと端的にわれわれが納得できる理由を言いなさい。ただ十二月九日  の支払いは新ベースでやりたい、そのためには困難だという理由だけでは納得できません。私も知っておりますけれども、これが二、三日おくれたって、九日に間に合いますよ、電報一本打てば。かりに二、三日おくれても、下部職員に無理してもらえば、九日にだって間に合うだろう。そんな無理ができないというなら、日曜日が十日ですから、だから九日の土曜日に払うのを、十一日の月曜日に負けてくれ、こういう交渉をやってみたらどうですか。あなたたちがそこまで努力して、そしておくれたという場合に、それを納得しないという者はおらないはずだと思う。私はきょうじゅうに調印しなくちゃならぬという理由がどうしても納得できません。きょうさっそく大臣に行っていただいて、話してもらうということでもいいはずです。これが賃上げ関係ない問題ですか。凍結者の問題も、低額職種人たち給与特別扱いの問題も、何で賃上げ関係ありませんか。賃上げとからめて今交渉する一番いいチャンスじゃないですか。いま一回調達庁長官、答弁して下さい。
  14. 林一夫

    林説明員 ただいま申し上げたように、この賃金凍結者ベースアップのことにつきましては、米軍と再三再四討議し、協議し、要望したのでありますが、契約上無理であるということがありまして、御要望に沿うことができなかった。全般的に見まして、もちろんいろいろの御不満の点があろうと思うのでありますが、まあこの程度ならというようなことで調印をすることになったのであります。見通しはどこまでもこの賃金凍結者ベースアップということはきわめて困難であるという見通しと、またできるだけ早く給与支払い日に新ベースにより給与支払いたいというようなことで、調印を急いでおるわけであります。この賃金凍結者の問題とかあるいは低額所得者の問題、こういろいろな問題は、やはり全般的に見まして非常に不合理な点も多々あるのであります。こういうようなことは引き続いて米軍と折衝しまして、できるだけ早くそういう不合理の点を直して参りたいという強い念願を持っておるわけであります。そのような意味におきまして、今後大臣にも一つおいで願って、そのような点について強い交渉をして、早くこのような全般的に不合理な点を是正しまして、気持のよい、安んじて仕事のできるような環境を作りたいという考えを持っているわけです。
  15. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 第三波のストライキ通告して、その態勢をとっておるときに、できればそれを回避したい、そういう気持は全然起きないのですか。やりたければやれ、そういう気持ですか。それが一つ。それから凍結者賃上げはできないのだと言うけれども、同じ基本契約のもとにおいて去年もやっておる。この問題はどうなんですか。前任者のときには、あなたができないという同じ契約のもとにおいてやっているのですよ。それを新任のあなたの代になったら、契約をなまのまま向こうが出してきた。それを承服するのですか。それからこの賃上げの問題と切り離して、あとから大臣にやってもらうなんて言っているけれども、これと一緒に、この緊迫したときに大臣に出てもらうべきで、切り離してそういう問題だけを一つ大臣に御出馬願うなんというのはおかしいじゃありませんか。なぜ今出したがらないか。今までに、私どもがこんなことを言わなくたって、大臣に出て下さいと言うべきだったと私は思う。なぜ言わないのですか。その三つをお答え願います。
  16. 林一夫

    林説明員 スト通告されておりまして、このようなストはできるだけ回避したいというのが私ども気持でございます。このような紛議が避けられるということを望んで、われわれも努力して参っておるのであります。そのような努力にもかかわらず、御要望に沿えないようになったのはまことに残念でございます。  第三の今後大臣に出ていただいて強く要望していただきたいというのは、ただ賃金凍結者の問題というような限られた問題ではなくて、全般的に見まして不合理と考えられる点があるのであります。そういうような点についてよく検討しまして、強くそのような是正を要望するというように参った方が、むしろ全般的な問題としてはいいのではないかというような判断もあって、そのようなことで進んで参ったわけであります。
  17. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣、聞いていただいて、あなた自身だって納得できないと思うのですよ。これは事務当局が面子にこだわって大臣を出すことをいやがっているとするならば、あなたが政治的な感覚で判断を下す以外にないと思います。あなたがこの際乗り出して最後の押しをやってみて、そしてなおかつ前進がない場合があるかもしれない。その場合でも、そこまでやってくれたらという気持従業員がなるかもしれないのですよ。それはすなわちストの回避になるかもしれないのですよ。あなたがその最後の一ふんばりをやってくれなければ、勢いこのままストに突入することになるわけなんです。どうですか、そういう情勢の中にあるときに、よし、政治家としてここで一つやってみよう、そういう気持になっていただけませんか。特に政治家としての立場で言える点がたくさんあると思うのですよ。新安保条約というものがどういうものであったかということ、あなた方の立場というものは、少なくとも双務性というものを確保したということにあったはずです。ところが旧安保時代よりも、労務管理の面においては典型的に押しまくられて、全然日本の発言権はないとひとしいですよ。後退に後退を重ねております。去年の賃上げ、その前というふうに、既得権がどんどん剥奪されていっています。それになすすべがないというのが今の調達庁の状態ですよ。そういう日米の政府間の力とようものが、あなたたち国民説明しておったものと全然違ってきておるという問題が一つ。それから日本の低賃金ということを盛んにアメリカは指摘しておる。これは事実でもある。しかしその低賃金を最もフルに活用しておるのが米軍です。それは従来の間接雇用と直接雇用と比べてみてもわかります。政府雇用の面よりも、軍が直接雇用しておるものがもっと悪いじゃありませんか。大きなことを言うなと、なぜあなた方は言えないのですか。閣僚としてそれぐらいのことを言えませんか。あなたたちこそそれでは率先して、日本労働者賃金引き上げのために努力してくれたらどうだと言えませんか。自分の金を出すとなれば、そんなにけちけちするじゃないかと、私は閣僚としてなら言えると思うのです。この時期に言わずして、いつ言うつもりですか。今まで賃上げのときに片づかなかった問題が、その後において片づいた例がございますか。この際一挙にそういった話を一応しておく。かりに若干の問題が後日にゆだねられるとしても、最高責任者としての大臣が出て、そして後日この問題については、このところはこう話ししようというふうにしておかなければ、絶対片づきませんよ。私は今をおいてないと思う。ぜひ調印前に司令官との交渉を持っていただきたい。そうすることが事態を収拾するただ一つの残された道だ。率直に申し上げて、調達庁に対する信頼感は今までのうちで一番薄いのです。そういうときに、やはり大臣がこの際乗り出していただかなければ、これはどうにもなりません。ぜひお願いします。
  18. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 別に調達庁が私の出ることを拒んでいたり、あるいは面子にこだわっているわけではないのでございまして、先ほどから申し上げたような判断に立っておるわけでございます。ただ私といたしましては、ストライキに突入するというような不幸な事態を避けるための最善の努力はいたしたいと考えておる次第です。
  19. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは、事務当局との意見の調整もやらなければならないと思いますので、私はここでもっと明確に答えろとは申し上げません。しかし今いろいろ私申し上げたような情勢下にある緊迫したこの情勢を回避する残された唯一の道は、もう大臣出馬する以外にない、そういう状況にあるのだから、ぜひ事務当局ともう一度打ち合わせをして、そういう司令官との交渉をぜひ調印前にやっていただくように強く要望いたしまして、この問題についてはきょうさらに深追いをいたしません。ぜひそういうことになりますようにお願い申し上げておきたいと思うのです。  もう一つ、これは調達庁長官お尋ねしておきたいと思うのですが、まことに奇々怪々なことが、今度は出先の基地においてもうすでに行なわれているのですよ。御承知思いますけれども、まだこの調印も終わっていない、従って新ベースがどういうふうになるかも、少なくとも未確定の現在、それを口実に首切りがもう出てきているということです。賃金引き上げなくちゃならぬ、賃金引き上げるためには予算が足らない、だから整理をいたします、こんなばかなことが堂々と行なわれているのですよ。日本政府がいかに無視されているかということの最適例じゃないですか。佐世保の基地です。通告日は十一月二十四日、発効日は一月七日、理由は今申し上げたような理由賃上げをすると予算が増額する、ところがそれに見合う予算がない、だから首を切るといって三十四名の首切りを出してきておる、こんなばかばかしいことは立ちどころに取り消させるという決意をここで表明して下さい。しかも同じ海軍でありながら、これは佐世保だけで出てきているのですよ。横須賀でも、岩国でも、厚木でも、こういう例はございません。とにかくこの労務管理の面では、最近アメリカはますます高姿勢です。政府側もなめられていると言っていいと思うのです。何の相談もなしに行なわれているのですよ。日本政府側には、県側にも何の相談もなしにこういう一方的な、しかもでたらめな、破廉恥な通告を出してきている。責任を持って正しく取り消させますとお答え願いたいと思います。
  20. 林一夫

    林説明員 おっしゃる通り、この予算上の制限を理由とする人員整理は、基本労務契約上認められておるのでありますが、今回の場合は、給与改定による予算不足を理由に人員整理を行なっておる、このようなことはできるだけ避けるべきことであり、人員整理以外の方法で予算を捻出して、給与改定はできるだけ円満に実施するよう、当方から軍の方に強く要望を申し入れる所存でございます。
  21. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでは先ほど申し上げたように、事態の円満な解決のために、大臣が積極的に乗り出していただくことを期待いたしまして、私、質問を終わりたいと思います。なお結果については、いずれまた次の機会であらためて両長官お尋ねをしたいと思っております。
  22. 中島茂喜

  23. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 調達庁長官、お急ぎのようですから、ごく簡単に二、三伺いたいと思います。  ついせんだって厚木の飛行場から飛び立った米軍機が、横浜の瀬谷というところに墜落をいたしました。この問題について大和、綾瀬、座間、藤沢、海老名、この二市三町で組織している厚木基地対策合同委員会というのがありまして、これが二十九日午後、在日米海軍厚木基地マスターソン司令官に対して質問状を提出した、こういうことがあります。その公開質問状の内容を見ますと、事故原因を詳細に発表されたい、危険な訓練をしていないか、墜落事故を未然に防止できないか、こういったようなことが書いてあるわけでありますが、何もマスターソン司令官に対して公開質問状をあえて出さないでも、調達庁なり、防衛庁の側で、そのことについての詳細な発表を当然なし、そして住民に対して事実を知らせる、こういうことをなさるべきではないか、こう私たちは思うわけです。この点について調達庁はどのような調査をなさって、どういう結果を得られたのか、これを伺いたいと思います。
  24. 林一夫

    林説明員 本日十一時から日米合同委員会がありますので、その席上において、この真相の調査、これに対する措置、その他について厳重なる申し入れをすることになっております。
  25. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 今までにお調べになっていないのですか。
  26. 林一夫

    林説明員 この落下の原因等については、やはり米側にその原因の真相の調査を依頼しておるわけであります。まだその点については回答に接しておりません。本日その点について、さらに正式に合同委員会を通じて真相の究明と、これに対する措置を要求することになっております。
  27. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もう何もきのう落ちたわけではありません。少なくとも落ちてから数日を経ているわけです。それについて何の回答も得ていない、何の事実調査の結果もない。こういうことで一体現実に飛行機が落ちてくる下にいる人々は納得するでしょうか。少なくとも公式であろうと非公式であろうと即座に問い合わせ、一応の見解を発表なさるのが当然ではないだろうか、こう思うわけです。それが本日の日米合同委員会で正式に申し入れをする、こういうようなことでは、あの付近の人たちには、調達庁なり日本の官庁なりが、自分たちの生命の安全について真剣に、誠実に考慮してくれているとは信じられないのじゃないでしょうか。だからこそ現実に司令官に対する公開質問状などという形が、大衆の中から起こってくるのです。なぜもっと早く調べてきちっと言えないのですか。言えば都合の悪いようなことでも出てくるのですか。
  28. 林一夫

    林説明員 このような事故はなるべく早く真相を調査しまして、その結果を公表する必要のあることは痛感しております。今回のことにつきましても、そのようなことで米軍に正式に真相の調査を申し入れている、これがはっきりすれば、直ちに公表するつもりでございます。
  29. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 非常にのろくて、私たちとしては納得できないのですが、まだ事実をつかんでいないとおっしゃる以上、幾らあなたの首を締めてみたところで出てくるはずがありません。従って具体的な問題は次会に伺いますが、しかし一般論として米軍がこの厚木基地といわず、飛行場の周辺、すなわち民家の上空あるいは民有地の上空、こういうものの上において戦闘訓練をやる権利というのは、行政協定の何条にあるのですか。
  30. 林一夫

    林説明員 実は私もまだ不勉強でございまして、行政協定何条によって上空で訓練できるか、はっきり申し上げられないのでありますが、飛行基地を提供している以上は、やはりその飛行基地を中心として訓練できるということは、行政協定二条でございますか、三条に、基地提供の義務があり、それに伴うこれは当然の向こうの権限ではないか、こう思っております。
  31. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それではなぜ二条なり三条なりに出入のために必要な措置を講ずることができるとわざわざ書いてあるのですか。基地を提供している以上、出入をするということは当然の権限に含まれているにきまっている。にもかかわらずきちっとその出入に関して必要な措置を講ずることができる、しかも日本関係法令の範囲内においてと書いてあるはずです。これはすなわち出入についてさえ関係法令の範囲内において必要な、適当な措置を講ずることができるという制限を設けたのであって、それ以外の戦闘訓練ができるなどということを含まないことは明らかじゃないですか。海上で空中演習場などを設定する、こういうことをやっておりますが、これは設定しないでも勝手にやっていいのですか。それなのに陸上で空中演習をやるのに地区に関する何らかの措置を講ぜずして勝手にやれるのですか。その条文的な根拠を示して下さい。
  32. 林一夫

    林説明員 陸上において戦闘機の訓練等をやる場合においては、やはり一定の根拠が必要ではないか、こういうふうに考えます。現在厚木付近で戦闘訓練をやっておるということは聞いておりませんが、おそらくそれは出入その他の上空の飛行ではないかと思います。もちろん海上における訓練もやはり一応の根拠がないとできないというふうに思います。
  33. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 トス・ボミングなんかは出入の手段ですか。
  34. 林一夫

    林説明員 トス・ボミングは訓練だと私は考えておりますが、これは厚木飛行場の上空でやっておるとは聞いておりません。
  35. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 現実にやっているのですよ。もし何なら、この次の委員会に厚木の周辺の方を五人でも十人でもここへ証人として御喚問いただいて聞いていただけば明らかですが、トス・ボミング以外にもいろいろな戦闘訓練を現実にやっているのです。出入というのは飛んできて着陸をするということでしょう。出発してどこかへ行くということでしょう。ところが厚木、藤沢、大和、綾瀬、こういう上で猛烈に組んずほぐれつ戦闘訓練をやっているという事実を、写真もできておりますし、地域の住民はみんな知っているのです。知らぬはただひとり防衛庁だけだ、あるいは調達庁だけだなどということで済むでしょうか。  それでは、これも議論になって、時間がありませんから伺いますが、今の段階では戦闘訓練を基地外の上空において行なう場合は違法ですね。それをはっきりしていただければけっこうです。
  36. 林一夫

    林説明員 厚木における場合は、出入はできるということになっております。あの付近で訓練をやるということは、使用条件になければ、これは使用条件違反ということになるわけです。
  37. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは厚木の基地で、基地の使用条件の中に、基地周辺の藤沢、大和、綾瀬、海老名、こういうところで戦闘訓練をやってよろしいという使用条件がありますか。これは使用条件のことですから、あなた一番お詳しいはずです。
  38. 林一夫

    林説明員 使用条件には戦闘訓練ができるということはありません。
  39. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そこで一つ防衛庁長官に伺っておきたいのですが、ただ出入をされるだけならば比較的事故は少ないのです。ところが現実にサイド・ワインダーを積んできたり、あるいは機関砲を積んできたり、そしてその実弾を装備したままで上で訓練をするわけですよ。また装備をはずしてしまって訓練をするわけです。そのためにここ半年の間に被害ひんぴんなんです。この間は、米軍の発表によりますと、何か操縦士が機械にひょっとさわったということで、機関砲か何かが発射されて、住家の屋根を貫いて畳に突き刺さるという事件も出ているわけです。今調達庁長官が言われたように、あの基地周辺の上空において訓練をしてはならぬということですから、これについてははっきりとその履行を向こうに求めていただきたい。なにそうむずかしいことではないのですよ。あの房総の沖に海上演習場が現実にあるのです。厚木から飛び立ってジェット機で行けば、そこまで十分かからないのですから。北海道の飛行機がわざわざ三沢まで行って訓練をしておったという事実もかつてはありました。このごろはないそうですか。三沢まで出かけていきますと、住復三十分かかるわけですよ。そのためにこの前のような大きな事故が起きたのも御存じでしょう。そういうふうにみんな不便を忍んでいるのですよ。ですから五分か十分で行ってやれる安全な――まあ安全かどうか知らないが、ちゃんとした演習揚があるのに、それをやらずに、基地周辺のわれわれの住んでいるアパートの上だとか農家の上で、組んずほぐれつやっておるという、こういうことを許しておいて何が日米対等です。無権限じゃないですか。このことについて明確に申し入れて、基地周辺上空においては絶対に訓練はしない。ただ基地に入り、出ていくだけ、こういうふうにきちっと約束を取りつけていただけるか、こういうことをお願いしたいのですがいかがでしょうか。
  40. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 御承知のように基地を提供する場合には、それの使用条件がございます。従いまして演習場は演習場として、今御指摘になったような演習場の海域あるいは水戸射爆場のようなものを持っておるわけです。従ってそういうのでなく単に出入だけ許されておる基地の周辺において演習されることは、もちろん無権限ではありまするし、また付近住民に非常な迷惑をかけることでございますので、そうした使用条件の履行なり、あるいはさらにはたとい演習場の上空でやるにいたしましても、先般の那珂湊の事件のようなことのないように、事故防止について、原因を十分に究明させ、またそれに対処する事故防止の手段をとらせることは、今後も十分にやって参りたいと思います。
  41. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 よくわかりました。一つぜひ周辺で無権限な行為を行なわないように、念のために一つつけ加えて申し上げておきたいのですが、ボン協定というのをごらんになったと思うのです。ボン協定の中には、米軍ないしはANTO軍が演習をいたします場合には、必ず演習計画をボン政府に提出をし、そしてボン政府は、その演習計画の中で西ドイツ国民に被害を与えると思われるような計画があれば、その是正を要求できるという項目があるわけです。これは日本の新協定、ボン協定、二つ並べたもので御存じの通りだと思います。こういうものを今後当然、新協定を改正するということはむずかしくとも、それに次ぐものとして合同委員会の決定か何かで、きちっととっておおきになるということが必要だと私は思うのですが、この点について、そういう方向をとるお心持があるかどうか、つけ加えて伺っておきたいと思います。
  42. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 要するに基地を提供する義務はございますけれども、その基地がいかなる形で使用されるかということは、十分にいろいろの条件があるわけでございます。従いましてその基地を提供した趣旨に従って、基地を使用するということを励行させるようにいたしたいと思います。
  43. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そこで、一つこまかな解釈的な問題ですが、御存じのように厚木の飛行場には航空母艦からくる飛行機を受け入れる、いわゆる海軍機の基地です。そこで海軍機である以上、当然短い航空母艦の滑走路の中で飛び立ち、そしてそれに飛びおりてくる、こういう訓練が陸軍機に比べて必要になるわけです。従って厚木にやって参りますと、必ず猛烈にエンジンをふかしてばっと飛び上がって基地の外に飛び出してくる、また急旋回をして戻ってきて着陸練習をする、こういうことなんですが、短い滑走距離で無理をして飛び上がって、飛び上がったところで急旋回して戻ってくる。この急旋回のところに主として事故が発生する。相模鉄道にぶつかったとかなんとかいう事故を覚えていらっしゃると思うのですが、これは一体出入の便でしょうか。訓練でしょうか。僕は訓練だと思うのです。なるほど短い滑走路でばっと飛び上がって出て、また帰ってくるのですから、出入だとおっしゃれば出入ですが、しかしこれは明らかに訓練ですよ。と申しますのは、米軍のスケジュールを見てごらんなさい。ちゃんとトレーニングと書いてありますから、これは出入の便ではないのです。訓練です。すなわち基地と基地外の上空、上空というよりも基地外のむしろ低空ですね。その基地外の低空とが一緒になって訓練をなすわけです。これも禁止していただけますね。
  44. 林一夫

    林説明員 そういうような点、いろいろの飛行方法が行なわれておると思うのであります。そういうような点については十分調査しまして、今の使用条件に反するようなことがありましたら、厳重に申し入れましてやめていただきたいと思います。具体的な問題がどういう問題であるか、まだよく存じておりません。なるほどおっしゃる通りあそこは海軍機の訓練でございますから、非常に低空飛行をやる。それが訓練に及ぶというようなことになれば、あるいはこれは使用条件に反するということになります。出入の方法であればこれは認められる。そういう点は十分検討しましてあわせて申し入れたいと思います。
  45. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 出入というのは、よその基地からこっちに来、この基地からよその基地に行く、こういうのを出入と言うのです。飛行場から発進訓練をしてぎゅっと急旋回をして、また自分のところにすぐ戻ってくる。一分か二分ですよ。こういうのは訓練と言うのです。これは米軍のスケジュールをごらんなさい。トレーニングとちゃんと書いてあるのですから、これは今のお説で必ず違法な使用条件ですから、禁止していただけるもの、こう私は考えます。なおよくお調べをいただきたいと思います。それから使用条件の中に日本の航空法をじゅうりんしていい、こういう規定がありますか。
  46. 林一夫

    林説明員 航空法の適用が除外されておるところもございます。そのような場合には適用はないわけです。
  47. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 僕の聞き方が抽象的で失礼でした。日本の航空法を見ますと、飛行機は着陸をする場合に滑走路に向かって十五度の角度以下の低空で進入してきてはいけない、こういう規定があるはずなんですが、これは適用しなくていいということになっていますか。
  48. 林一夫

    林説明員 その点については、航空法の適用はございません。
  49. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そういたしますと、いかなる低空を通って滑走路に入ってきてもいいわけですか。
  50. 林一夫

    林説明員 今の点は、やはり航空法は適用がないので、その基地につきまして、たとえば艦載機については何度、あるいは輸送機については何度というような進入条件というか、規則というようなものに基づいて行なわれておると思います。
  51. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それでは、厚木基地に入ってくる艦載機、いわゆる戦闘艦載機、あるいは爆撃機、普通のプロペラ機、こういうものの進入してくる角度というものについての規定を一つ発表して下さい。
  52. 林一夫

    林説明員 そういうような具体的なことについてはまだ決定しておりません。現在協議中でございます。
  53. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ばかなことを言っちゃいけませんよ。厚木基地は何年前から使っておりますか。あまりなめたことを言わないで下さい。そのことで付近の住民は非常に困っているのですよ。このことはこの一年のみならず、数年前から再々防衛庁にも調達庁にも、いろいろな官庁に陳情しているはずです。そのために建築制限を食ったり、立木を切られたり、いろいろな被害を出しているじゃありませんか。厚木基地は一体何年何月から米軍が使っておりますか。それからお答え願いたいと思います。
  54. 林一夫

    林説明員 厚木基地の使用は、占領当初から使っている。今の進入角度の問題については、まだ何度ということははっきり協定がついていない、こういうわけであります。
  55. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 長官、いかがでしょうか。何かもうむかむかしてきました。四十六歳のこの年になって久しぶりに憤怒を覚えました。厚木のあの付近で問題が起きて、再々陳情書が来ているでしょう。その問題の起きる原因の一つには、飛行場に着陸してくる角度の問題がいつでも含まれているはずです。それに対して林さんはなられたばかりですから無理ないと私は思いますが、別に林さんに怒っているわけではありませんが、調達庁全体のそういう怠慢に対して、ほんとうにどもってしまうほど私はむかむかしてくるのです。住民の生活を守るとか、人権を守るなどとあなたがおっしゃるのは、みんな口頭禅じゃありませんか。このぐらいのことをあらかじめきめておけないで、建物を建てようとすると三階建はいかぬ、立木は切れとよくやられているのですよ。建物を建てたい人だけではなしに、屋根すれすれにジェット機がアフター・バーナをふかして飛ぶのですよ。たまらないですよ。現に気違いになったおばあさんがいるのですよ。騒音でみんな頭が変になっているのですよ。もし七度半のものが十五度の角度にきめられれば、それだけでも幾らか違います。まだうるさいことはうるさいですが、相当違います。そういうことすらせずに、やらせるまま、事故の起こるまま、そのたびにあとから追っかけて遺憾であった遺憾であったということで、日本の政府の顔が立つでしょうか。根本的に伺いますが、航空法のそういう斜入角度を除外するという規定はどこにあるのですか。これはやはり除外規定がなければいけないわけでしょう。関係法令の範囲内でと書いてあるのですから、これは適用しない、こういう規定が何条にあるのですか。僕は不勉強でよく知らないのですが。
  56. 林一夫

    林説明員 航空法の特例に関する法律というものがありまして、それによって除外されております。そして先ほどから飛鳥田先生からいろいろおしかりいただいたのですが、厚木飛行場の基地、まあこれはすべての基地の問題にわたるのでありますが、その飛行の方法とか、あるいは飛行時間だとか、あるいはエンジン・テストの問題だとか、そういうような点につきましては、周辺の方々に迷惑を及ぼさないように、できるだけ迷惑を少なくするようにというような考えのもとに、ようようの点を拾い出して軍には要求をしておるのであります。その中で、たとえば土曜日、日曜日の飛行は緩和するとか、あるいは時間は夜間は少なくするというように、いろいろの要望をいれて、だんだん緩和されつつあるのであります。まだそのような、角度というような点についてははっきり協議が整っていないので申し上げなかったのであります。いろいろな点について緩和策を考えまして強く申し入ればいたしております。
  57. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 この基地は御存じのように、先ほど申し上げたように海軍の基地で、短い甲板の上で発着陸する練習をするところですから、どうしてもアフター・バーナーをふかすわけです。そうしますと騒音というものはほかの基地の数倍になるわけです。従ってこの基地に関する限り斜入の角度、進入の角度とか、低空飛行の限界とか、こういうものはもうとっくに定められていなければならないわけです。そういうことについて全然今までおやりになっていないというのは、はなはだ残念だという気がしておる。早急にこの問題は一つ防衛庁長官、きめていただくようにお約束できますか。もちろん断わっておきますが、僕らはこの基地がないことを望んでいるのですよ。
  58. 藤枝泉介

    藤枝国務大臣 結局軍の基地でございますので、必ずしも航空法によるようなものだけで制限できないので、航空法の除外が認められておるわけであります。しかしながらそれだからといって、非常に付近の住民に被害を大きくしたり、あるいはまた危険を与えるようなことは、できるだけ避けるべきことでございます。進入の角度等についてまだ十分な結論を得ていないようでございます。早急に督励をいたしまして、要するに付近の住民の方々の迷惑を少しでも少なくするような方向で、解決をずるように努力をいたしたいと思います。
  59. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ついでに、何かうわさによりますと、あの基地だけではなしに、その基地の周辺に対して建築制限をするとか、いろいろな所有権行使を何らかの形で制約しようとする、いわゆる地役権の設定のようなものが同委員会の中で議題に上っているという話を聞きますが、何かそういうことが議題に上っておりますか。
  60. 林一夫

    林説明員 議題に上ってはおりません。
  61. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 同じような問題が那珂湊でもしばしば行なわれているわけです。そして茨城県の知事は、あの付近に東海村があることを非常に気になすって、あの移動について、米軍に対してかなり強硬な申し入れをなすったと私たちは伺っておりますが、この問題について政府の態度はどうですか。中曽根君から前に、移動をさせたい、こういう御意見は伺いましたが、その後政府はどのような行動をとっていらっしゃるのか、これを伺っておきたいと思います。被害はますますふえているのですから。
  62. 林一夫

    林説明員 水戸射爆場の返還のことでございますが、これは三十三年でしたかと記憶しておりますが、正式に返還の申し入れを行なっております。その後合同委員会等の会合におきまして、口頭で強く返還を要望しております。それに対する米側の返答は本年六月に書面でありましたが、それによりますと、代替施設の提供があれば返還に応ずるということをはっきり言ってきております。それに基づきまして、私どもはその代替施設を早く求めるように努力をして参ったのでありますが、なかなか適当なところがないので、現在に至っておるわけであります。
  63. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 念を押しますが、三十三年に政府が返還の申し入れをなさり、その後再々合同委員会の中でも口頭で要求をし、そして今年の六月に書面で、返還をしてもよろしい、そのかわり、かわりを寄こせ、こういう要求がきた、こういうことですね。あなた方は代替地を提出することを承諾なすったのですか。
  64. 林一夫

    林説明員 代替地を提出することを承諾すると申しましょうか、代替地の適当な場所を調査しておったわけであります。もちろんそれにはいろいろの条件がありますから、その条件が整えば、正式代替地を提供するとようことになるわけであります。その代替地の調査をやってもらったのであります。
  65. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 その条件というのはどういうのですか。
  66. 林一夫

    林説明員 条件と申しますのは、おもなる条件は、陸上地域何万坪、それに付属する海上地域何万坪というようなこと、またその飛行基地から比較的近いところというような、いろいろのこまかい条件がついておるわけであります。
  67. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 大体政府の見通しとしては、いつごろまでに代替地を作り、水戸の射爆場を返還してもらう、こういう腹つもりを持っていらっしゃるのですか。これは確実な約束としてではなくとも、何かのことをなさる場合に、一つの目標というもの身持ってなさることは当然だろうと思いますので、いつごろまでにやろうか、こういう気持でやっていらっしゃるのですか。
  68. 林一夫

    林説明員 このことはもっぱら代替地の決定ということにかかっておるのであります。代替地を見つけ出すということは、今までの経験から申しますときわめて困難なことでございまして、早急には参らないと思います。またどのくらいの目算でやっているというようなことも、ただいま申し上げかねるのであります。
  69. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 代替地を探していらっしゃる、大体今までどのくらいなところを考えられたのですか。そうして向こう交渉なさったのですか、ここはどうだ、ここはどうだというふうに。そうでなければ問題はちっとも進んでいないわけでしょう。
  70. 林一夫

    林説明員 代替地の具体的な場所はここで申し上げかねるのでありますが、そういうようなことにつきまして……。
  71. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 何ヵ所くらい考えたのですか。
  72. 林一夫

    林説明員 何ヵ所というようなたくさんの場所はないのであります。調査しておる段階でございまして、どこということは具体的に申し上げかねます。
  73. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 どこということをまさかここでおっしゃれないというのは、あなたのお立場として了解はできます。ですから無理にここで口を割ろうとは思いませんが、しかし少なくともあなたのお腹の中には、具体的な目標地というものが現実にあり、それの調査をなさったということ、こういうふうに伺ってよいのですか。
  74. 林一夫

    林説明員 その通りでございます。
  75. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 もうそれでは早急に返還を受けられる、こういうことになると思いますから、そらやかましく言うこともどうかと思いますが、こうした演習場に、たとえばフィリピンのアメリカの第十三師団ですか、こういう飛行機がやってきて練習をする。こういうようなことは使用条件に合っていますか。在日米軍だけでしょう。
  76. 林一夫

    林説明員 その点は重要なことでございますので、十分調査して、あとでお知らせさしていただきます。
  77. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 重要なことだと思いますから、御調査をいただくのはけっこうですが、たとえば水戸の対地爆撃訓練場でもそうですし、三沢の基地もそうですか、フィリピンの第十三航空師団などが来て、現実にあそこで練習をして帰っていく、こういうことはもうしばしば今まであるわけです。私は少なくとも、かりにあなた方のお立場に立ったとしても、これは行政協定なり何なりの違反だと思うわけです。日本へ飛んできたから、それは飛んできて日本の領海へ入ったその瞬間から在日米軍になるのだというお説ならば、これは別ですけれども、そうじゃないはずです。こういうことももっと十分に見て、そして適切に抗議を申し込んでいただかないと、やはり被害がふえるのです。基地を撤廃しようという立場に立つ人と、仕方がないという立場に立つ人とあると思いますが、その立場の違いというものはこういう問題についてはそう出ないはずですよ。だから、あなた方だって仕方がないとお考えになっておる立場にあっても、そういうことについて厳重に調査なすって、住民の被害を最小限度にするという義務はあるはずですから、この点についても十分御検討いただきたいと思います。  まだほかにもたくさん横浜の基地について伺いたいことがありますが、もう十二時ですから仲間の皆さん方に申しわけないですからやめますが、今回答を保留なすったいろいろな問題は、一つ早急に私に御連絡をいただきたいと思います。
  78. 中島茂喜

    中島委員長 次会は明十二月一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十二分散会