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中村(重)
委員 地元では
米軍演習場設置
委員会というものが十四日に結成された。そこで初めは寺島水道を
米軍の演習場として指定をするということは単なるうわさだろう、実は県もこう考えておった。県議会はもちろんだった。ところが十四日にそうした
委員会が結成された。条件次第によっては賛成しようじゃないかというような動きが出てきたというので、事の意外に驚いた。長崎県議会といたしましては、これは大へんだ、先ほど太原
委員が指摘しましたように四千五百キロという、長崎県の陸地面積よりも広い演習場を提供しておる。長崎県は御承知の通り李ラインによって締め出されておる。また東シナ海その他国際的にも長崎県は締め出されておる。沿岸漁業は
日本の平均からいたしますと大きく下回る。一本釣の漁船というものはわずかに年間六万八千円
程度の収入しか上げていない。こういう状態で沿岸漁業の振興ということには、県をあげて全力を集中しておるというのが事実であります。そういう中に、またここに寺島水道が演習場として設定をされるということになるならば、長崎県の水産業の振興、沿岸漁業の振興に及ぼす
影響はきわめて甚大だということで、事の発展に非常に憂慮いたしました県当局水産部並びに長崎県議会水産商工
委員会といたしましては、
委員会を開催すると同時に、
地元の
関係の漁協の代表を呼びまして、事の経緯を聞くといったようなことになって参ったのであります。不動産部長は長崎県に参りまして、小松副知事並びに石本水産部長、長崎県議会水産商工
委員長に対して、今まで
地元折衝をやった経過を話しておりますその中に、知事さんが反対をされて、ついにこれを中止しなければならない事態に立ち至ったということ、
米軍が佐世保の
基地に近いところに演習場を設定することを強く望んでおる、こういったことから、どうしても寺島水道を演習場として指定する、こういうことにしなければならぬという考え方からこういうことをやってきたのだというので、そこで正式に八月十六日にこれの実現方に対する協力を申し入れをいたしておるのであります。ここで石本水産商工部長はどう言ったかと申しますと、演習場の設定は沿岸漁業振興の立場からするとマイナスになるので賛成できない、しかし申し入れの内容などは
関係漁協に伝える、こう答えております。なおまた一緒に不動産部長と
話し合いをいたしました県議会の水産商工
委員長は談話を発表いたしまして、寺島水道は、橘湾の中止に立ち至ったことから、これだけはぜひ実現をしたいという強い意思を持っておるという印象を受けた、これは非常に重大なことであるので、この点に対しては
対策を積極的に講じなければならぬということを表明をいたしております。ただいま私が申し上げましたような点からいたしましても、いかに
地元がこの福岡調達局の動きに対して刺激され、不満を持ち、また事態を非常に重視しておるかということを御承知いただけると思うのであります。なおまた、そこで私がただいま申し上げましたこと以上に、福岡調達局が非常に不明朗な不純なやり方をしておるという事実を申し上げてみたいと思うのであります。
その前に、
地元の
関係漁協の動きとしてどういう行動が行なわれたかということを、やはり関連をいたしますので申し上げますが、八月の十九日に、
地元の西彼杵郡の
関係の漁協三十漁協が会合をいたしました。寺島水道の演習場設定は、当該地区の漁業者だけの利害の問題ではないのだ、西彼杵郡全体の漁業に及ぼす
影響は非常に重大である、こういうことで会合をいたしまして、あらゆる角度から
検討いたしました。ここに私は資料として持っておりますが、この資料を読みますと、おそらくどのくらい
地元がこの点に対して心配をしておるかということを知っていただけることになると思いますけれ
ども、時間がございませんので、その点は省略しておきます。
そこで結論としましては、条件次第によっては、補償自体については賛成をしようではないかということを決定をいたしました十三の
地元の漁協といたしましても、初めのそうした申し合わせを撤回をいたしまして、全力をあげて、力をあわせて寺島水道の演習場設定には反対をしようという決議をいたしました。そこでまた長崎県の石本水産部長も出席をいたしまして、零細漁民が
生活が苦しい、こういうことで、十分に補償するからということで賛成をしようということになったのであろうけれ
ども、今までの実績からして補償というものは全く当てにならない、先細りになっておる、そうした補償の実態をその席上で報告しました。それらのことも
関係をいたしまして、ただいま申し上げましたように反対決議ということになりましたが、私があまりにもでたらめなやり方だとして申し上げたことは、その後福岡調達局からまた崎戸を訪れております。そして十九日の三十漁協の会合においてどのような
話し合いがなされ、決定がなされたかという情報を探りに来た。その席上でどういうことを言ったかと申しますと、補償は十年分くらい全部前に出してしまうのだ、十二分の補償をするのだ——金額までも言っておるようでありますが、そういうことを言っておる。そこで崎戸の漁協は、十九日の会合に出席をいたしました
中村漁協長をつるし上げをいたしました。なぜに反対の決議をしたのか、補償は十二分にやると言っておるじゃないか、こういうので、またその場で会合を開きまして、これを
一つ承認をしようじゃないか、こういう決議を申し合わせをするという形になっております。
ただいま
調達庁長官は、全く県を通じて
話し合いをやることが筋だ、こういうことをおっしゃいました。この後は十分改めるとおっしゃいましたが、このように手を変え品を変え——県の態度は総反対と出ておる。県議会の商工水産
委員会も、
委員会を開催して、
地元の
関係漁協の代表を呼んでいろいろと
事情を聴取し、現地
調査をしておる。さらにまたこの漁協
関係だけではなくて、先ほど木原
委員から指摘されましたように、大島、崎戸に水を運ぶ水船の
関係、高島から若松に炭を運搬するその運営
関係の業者、あるいはまた大島、崎戸に毎日々々農家の
人たちが一家総出で魚あるいは野菜を供給をしておる。こういうことが大きな
障害になる。海底電線もはずれるようにはなっているけれ
ども、海のことだからわからぬ。これも大きな
障害を受ける。こういったもろもろの
人たちが、この演習場設定の及ぼす
影響を非常に重大視し、反対運動の動きをやっている。それをしり目に調達局から情報を聞きに行って、そうした三十漁協の会合では反対の結論が出ているにもかかわらず、これをひっくり返すような、補償が少ないなんというのは間違いだ、十二分にするのだと言って、巻き返しをやるというような行動が許されていいかどうか、今からそういうことはさせませんという注意くらいで済むかどうか、どうお考えになりますか。