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1961-10-20 第39回国会 衆議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十日(金曜日)    午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 中島 茂喜君    理事 伊能繁次郎君 理事 内田 常雄君    理事 草野一郎平君 理事 飛鳥田一雄君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       内海 安吉君    小笠 公韶君       小澤佐重喜君    大森 玉木君       金子 一平君    島村 一郎君       辻  寛一君    藤原 節夫君       緒方 孝男君    杉山元治郎君       田口 誠治君    山花 秀雄君       受田 新吉君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         行政管理政務次         官       岡崎 英城君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  山口  酉君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  原田  正君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         長)      大石 孝章君         厚生事務官         (保険局長)  森本  潔君  委員外出席者         議     員 内田 常雄君         議     員 纐纈 彌三君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房賞勲部長) 吉田 威雄君          総理府事務官         (行政管理庁長         官官房秘書課         長)      河野 勝彦君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局監察審         議官)     井原 敏之君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 十月十九日  富山県へ自衛隊誘致反対に関する陳情書  (第一〇九号)  内閣青函ずい道建設調査会設置に関する陳情  書(第一六一号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する陳情書  (第一七四号)  同  (第  二四四号)  金鵄勲章賜金支給に関する陳情書  (第二四五号)  防衛庁美保基地拡張反対に関する陳情書  (第二四六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一  部を改正する法律案内閣提出第六八号)  国民祝日に関する法律の一部を改正する法律  案(纐纈彌三君外七名提出衆法第九号)  旧金鵄(し)勲章年金受給者に関する特別措置法  案(内田常雄君外十二名提出衆法第一〇号)  臨時行政調査会設置法案内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 中島茂喜

    中島委員長 これより会議を開きます。  社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。灘尾厚生大臣
  3. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいま議題となりました社会保険審議会及び社会保険医療協議会法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  現在療養担当者保険診療に対する指導監督に関する事項及び社会保険診療報酬に関する事項審議するため、厚生大臣諮問機関として中央社会保険医療協議会が置かれておりますが、この協議会につきましては、御承知のようにここ数年来とかく運営の円滑を欠き、そのために診療報酬改定等の重要問題の取り扱い等に多大の支障を生じているのであります。  先般この問題を含め、社会保険等の適正な診療報酬を定めるためとるべき方途につき、社会保障制度審議会に諮問いたしましたところ、同審議会から中央社会保険医療協議会はその運営円滑化をはかるために、すみやかに改組すべき旨の答申を受けたのであります。政府といたしましてはこの答申趣旨を取り入れまして、中央社会保険医療協議会の円滑な運営に資するため、その所掌事務範囲及び組織を改めることとし、また、地方社会保険医療協議会についても、そのより円滑な運営をはかるため、その所掌事務範囲及び組織を改めることとし、この法律案提案した次第であります。  次に、この法律案の内容について、御説明いたします。  第一点は、社会保障制度審議会答申の線に沿いまして、この協議会所掌事務健康保険船員保険の適正な診療報酬額及びこれと関連の深い療養担当規則に関する事項とし、従前の所掌事務から療養担当者保険診療に対する指導監督に関する事項を除いたことであります。  第二点は、これも社会保障制度審議、会の答申趣旨を取り入れまして、現在保険者利益を代表する委員、被保険者事業主利益を代表する委員医師歯科医師、薬剤師の利益を代表する委員及び公益を代表する委員、各六人合計二十四人の四者構成となっております中央社会保険医療協議会組織を、保険者、被保険者及び事業主を一グループにまとめまして三者構成に改め、公益代表グループ四名、他の二グループ各八名ずつ合計二十人としたことであります。  第三点は、地方社会保険医療協議会所掌事務のうち、療養担当者保険診療に対する指導監督に関する事項は、実情にかんがみ、協議会審議事項から削除したことであります。  第四点は、地方社会保険医療協議会についても、中央社会保険医療協議会と同様の組織とすることが妥当であると考えまして、中央社会保険医療協議会組織に準じてその組織改正いたしたことであります。  以上がこの法律案提出いたしました理由であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  4. 中島茂喜

    中島委員長 国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、提出者より提案理由説明を求めます。纐纈彌三君。     —————————————
  5. 纐纈彌三

    纐纈議員 ただいま提案されました国民祝日に関する法律の一部を改正する法律案趣旨説明をいたします。  現行国民祝日に関しまする法律は、去る昭和二十三年七月二十日法律第百七十八号として第二国会において可決決定を見たものであります。御承知通りこの法律が制定されるにあたりましては、当時の衆参両院文化委員会審議の経緯におきまして明らかのように、広く国民世論に問うて案が作成されたものであります。しかし当時の世論調査において相当重要な祝日候補日もありましたが、それが必ずしも全面的に受け入れられなかったのであります。その理由は今ここに再び申し上げるまでもなく、当時は占領行政下であり、いろいろの事情もありまして、祝日の項目や日付等について相当な異論もあったのでありましたが、結局委員会審議を経て現行法のような決定を見たものであります。自来すでに十四年も経過し、その間わが国平和条約を締結し、国際社会名実とも独立国の一員として参加することになりました。従いまして、その間の社会の進展とともにこの国民祝日についても当時の世論の求めたところに従って、適当な改正をすることは今日において最も至当と存ずる次第であります。  さて本改正法案におきましては、新たに二月十一日を建国記念日に、七月十五日をお盆の日に、十月の第一土曜を体育の日と定めることとして、以上年間を通じまして三日間の国民祝日を加え、さらに日曜日が国民祝日と重なる場合におきましては、その翌日を休日とすることとしております。また国民祝日には国旗を掲げることを明文化したのであります。  建国記念日祝日として新たに定めようとしますことは、国の建設を祝うことはすなおな国民感情にも合致し、また多くの国民のひとしく抱いているところであります。諸外国におきましてもナショナル・ホリディとして祝われておるものもまたこの建国を祝する意味を持っているものであります。この建国記念日を二月十一日と定めましたのは、すでに紀元節として明治初年以来久しく国民の間になじまれ、親しまれていた日を引き継いだのであります。すなわち日本書紀にある神武天皇伝承をそのまま古い民族的な伝承として受け継ぐのが最も自然であり、すなおであると信じたからであります。二月十一日という日もあえて科学的な事実によらずとも、古い伝承や説話のうちにも民族成長の歴史的な息吹があると認めたからであります。  また次に七月十五日をお盆の日と定めましたのも、古くからわが国に伝わって国民生活に溶け込んでいる民俗的な伝承をそのまま祝日と定めたのであります。これら旧来の民俗的な伝承も、今日地方によりましてはいろいろの相違しているところもありますが、これを太陽暦に直し、この日を国民が互いに今日生存している意義を反省するとともに、われわれにこの生存の喜びを与えてくれた祖先や先人に対し感謝の意を捧げたいと思うのであります。  最後体育の日を十月第一土曜に定めましたのは、民主的国家として新生したわが国国民が、明るい生活を営み、その身心を健康にするために健全な体育競技を楽しみ、スポーツの持つ精神を通じて民族の明るい発展に資しようとするものであります。  また本改正法案におきましては、日曜日と国民祝日とが重複した場合、その翌日を休日といたしましたのは、諸外国、たとえばフランスやアメリカにもそのような慣例がありますので、わが国の場合もこれにならって本法案において定めたのであります。  最後にこの国民祝日には国旗を掲げることを特に定めました。戦前にありましては、祝祭日には官公署学校等におきましては必ず国旗を掲揚し、また民間会社個々の家庭におきましてもそれが一般的な慣行となっていたのでありました。ところが戦後この長い慣行が非常に軽んぜられたことははなはだ遺憾と存ずるものでありまして、国旗を尊重する観念国民の間に馴致するために、特にこの法案のうちにうたい込んだのであります。なおこの改正案においては昭和三十七年一月一日より施行することとし、また附則として改正に伴って関連する法律についても所要の一部改正を行なわんとするものであります。  以上をもちまして本法案提出趣旨説明といたします。何とぞ本委員会におかれまして慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望いたします。      ————◇—————
  6. 中島茂喜

    中島委員長 旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案議題とし、提出者より提出理由説明を求めます。内田常雄君。     —————————————
  7. 内田常雄

    内田議員 ただいま議題となりました旧金鵄勲章年金受給者に関する特別措置法案について、提案者を代表して提案趣旨説明いたします。  旧金鵄勲章年金は、昭和十六年に年金令が廃止されました後におきましても、すでに受給権の発生していた人々には旧令によって下賜されていたのであります。しかるに終戦昭和二十一年三月に至りまして、旧金鵄勲章年金は、昭和二十年十二月末を限りといたしまして、一切廃止されることとなって今日に至っておるものであります。  戦後十六年、この間幸いにわが国経済は順調に再建発展しまして、国民生活も年一年と向上をたどりつつあるのであります。この間にあって旧金鵄勲章年金受給者におかれては、かつて支給されていました年金は打ち切られ、その経済的期待権を喪失し、経済的また精神的に不遇のうちに老後の日々を送っている人々も多いのでありまして、まことに御同情にたえないものがあります。よって本法律によりまして、これらの人々のうち特に老齢者に対して特別の措置を講じようとするものであります。  本法律案の要旨は、本法施行の日において生存する旧金鵄勲章年金受給者にして、満六十才に達しておられる方々及び今後満六十才に達する方々に対し、旧制の功級による区別なく、特別措置として金七万円の一時金を支給しようとするものであります。その認定はこれを受けようとする者の請求に基づきまして、内閣総理大臣が行なうこととしております。  なおこの法律の実施のための手続その他につきましては、政令をもって定めることとしております。  以上をもちまして提案趣旨説明といたします。何とぞ御審議の上、御賛同あらんことを御願いいたします。
  8. 中島茂喜

    中島委員長 以上で提案理由説明は終わりました。各案についての質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  9. 中島茂喜

    中島委員長 臨時行政調査会設置法案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  10. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 最初大臣にお伺いしたいことは、行政機構改革目的として今回この臨時行政調査会が作られようとしておるわけですが、本来この行政機構というものはいかにあるべきかというふうに大臣はお考えになっておるか、それから何のために改革が必要なのかということも、これにからめて御説明願いたいと思います。私どもといたしましても、現在の行政機構がこのままの形でよろしいという肯定の立場に立っていないことは言うまでもありません。しかしこれからいろいろ質疑の中で明らかにしていきたいと思っておるのでございますが、いろいろな問題を含んでおりますので、慎重に考えたいと思っておるわけです。そういう立場に立って質問をしたいと思うわけでございますけれども最初に申し上げましたように、行政機構はいかにあるべきか、どのように改革さるべきか、その辺の基本的な考え方からお伺いをしていきたいと思います。
  11. 川島正次郎

    川島国務大臣 行政機構は、国家目的達成のために適切なる機構を整備することが必要でございまして、国家目的達成のためにはいろいろな手段が必要でありますが、特に国民に対する奉仕観念に徹しまして、国民が総意をあげて国家社会のために尽くすというふうに仕向けることも必要なのでありまして、そういう観点から行政機構というものを整備いたしたい、かように考えております。現在の行政機構は必ずしもその目的に沿っておらぬのでありまして、今回私ども行政機構改革を意図しました根本の理由はそこにございます。
  12. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 現在の行政機構国民へのサービスという面で非常に欠けるものがある。そういう見方について、私も必ずしもこれを否定するものではございません。もっと端的におっしゃっていいくらいじゃないかと思っております。この間、朝日新聞行政改革川島構想というのが出ておりましたが、この中では大臣もずいぶん端的におっしゃっておるようです。お役所仕事というのが相変わらず非能率の代名詞に使われておる、社会の進歩に取り残されておる、こういうものはどうしてもこの際改革しなくちゃならぬと思うのだという大臣気持を訴えておられたようでございますが、もっともだと思われる節もあるわけです。しかし思っただけで、これが実行できるかということになると、非常に問題が出てくると思う。従来の歴代内閣におきましても、ずいぶん行政機構改革は取り上げられました。しかしほとんどこれは失敗に終わったと言っていいのじゃないかと私たち考えております。それほど難事業なんです。だれが考えても、このお役所仕事という言葉で表現されておる複雑にして非能率な現在の行政機構を、正さなくちゃならぬという気持においては一致しておりながら、いざこれに取り組もうとすれば、何か大きな壁にぶつかって遂行ができない。一体その壁というのは何だ。ここのところをしっかり把握しなければ、成果を上げることはできないのではないかと思う。調査会を作るとか作らないとかいう問題で、問題が解決されるというふうには思いませんし、また解決への一歩を踏み出したとも思えないのではないかと思う。過去において審議会とか調査会とか一ぱいできたが、その結果がはっきり現われている現在、ほかにもっと探究し、取り組まなければならぬ問題があるのではないだろうかという感じを率直に受けているわけですが、まずそういうことを明らかにしていくためにも、この行政機構改革の困難な理由は一体何だ、この辺から明らかにしたいと思いますが、大臣は、その困難性の大なる原因は那辺にあるとお考えになっておられるか、これを一つお聞かせ願いたいと思います。
  13. 川島正次郎

    川島国務大臣 戦後行政機構改革がしばしば企てられまして、行政管理庁内においても幾回か改革委員会が設けられたのであります。その結果は必ずしも初めに企図した通り成果を上げたとは言えませんけれども個々の問題については個々に解決している事案も多いのであります。ただ遺憾ながら従来の行政機構改革考え方が、今まである行政機構のワクの範囲内で考えている。根本的な行政機構改革が今まで検討されておりません。終戦国家発展に従いまして、行政機構はきわめて膨大になりました。従って複雑多岐になっております。終戦後十六年たちましたただいまから見まして、この際抜本塞源的な改革をする必要がある。そしてもっと行政機構というものを簡素化して、国民の利便をはかる必要があるということを私ども痛感しまして、実はこの臨時行政調査会というものは前大臣考え方事務引き継ぎを受けたのでありますが、単にそれだけでなしに、私はかつて三十年近く国会生活をいたしておりまして、各行政部門と接触した自分の感触から申し上げても、ぜひ改革したいという考えをかねて持っておりましたときに、ちょうど行政管理庁長官になりまして、前大臣から引き継ぎを受けました。そこで前大臣以上の意欲を持ちましてこの問題には取り組んでおるのでありまして、これはぜひ一つ成功させたいと考えております。  そこで石橋さんは、従来こういうことがしばしば企てられたけれども、あまり成功しなかった理由はどこにあるのかということでありますが、これはいろいろありましょうけれども、最も大きな原因は、現在は各省がみな割拠主義で、自分仕事の中に固執している。大体現在の行政機構というものは、縦割主義であって、横の連絡がないというところに、いろいろの弊害があるのであります。さらにこれを掘り下げていえば、各省官僚機構抵抗が強いから、成功しなかったと言えるのでありまして、私どもは皆さんと協力いたしまして、国会とわれわれと一緒になって、この官僚機構の壁を打ち破って、ほんとう国家目的に沿うような、国民に便宜を与えるような行政機構を打ち立てたい、こういう考えを持っておるわけであります。
  14. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 まさに大臣のおっしゃる通りだと思います。先ほども申し上げたように、調査会を作って、どこにメスを加えなくちゃならないかということを検討することももちろん必要です。しかしそのことは過去においても幾たびか繰り返されておる。ここにも資料が出されておりますが、戦後大体十四の調査会機構改革審議会委員会改革本部というようなものが持たれて、幾多の答申が出され、私はもう大体問題点は出尽くしておるのじゃないかという感じさえ持っている。能率化合理化を妨げている原因がどこにあるかというようなことは、これは大部分洗い出されているのではないか。だから私は今度調査会を作って、またそれを洗い出さなければならぬということに、そうウエートを置いて考える必要はないと思う。今大臣がおっしゃったあとの方の問題にどう取り組むかということに、われわれは思いをめぐらせばいいのではないかと思っております。大体その点は、行政機構改革必要性を認めておる一つといえば、もうほとんど今大臣がおっしゃったと同じような理由を見出しております。たとえば東大の辻教授にいたしましても、こういうふうに言っておられます。「夫々の官庁によって自己の閉鎖的ななわ張りを固執した官僚制的勢力が、その既得の権限と領域に何らかの変改を加えようとする合理的再編成に対して絶えず執拗な反対を試みてきたことが、行政機構改革を妨げてきた最大原因である。」こういう考え方は一貫してほかのいろいろな問題提起の中で出てきております。たとえば、先ほど私ちょっと引用いたしました十月十三日の朝日新聞行政改革川島構想という中でも、同じようなことが書かれておる。なわ張りを固守しようとかかった官僚の根強い抵抗にあった、これが大きな原因だ。あるいはまた読売の十月十六日の社説においても、官僚と、そしてこれにつながる国会議員抵抗によるものだ、こういうふうな見方も書かれております。私はいずれも大体正しいのじゃないか、これをどうするかということに思いをめぐらさない限り、またもや堂々めぐりの繰り返し、今までやったことをもう一回やろうとする、そういうことに終わってしまうと思うのです。ここに何とか重点を置いていく方法考え出さなくてはならないのじゃないかと私は考えるわけですが、これはあとでまた触れたいと思います。  そういう考え方の上に立ってみますときに、一体臨時行政調査会というものが、はたして今度は特効薬となり得るのかという疑問を、当然私たちとしても持たざるを得ません。繕り返しにならないという保証が一体どこから出てくるのか。現に行政審議会というのもあるわけです。そうするとここに屋上屋を重ねる感がどうしても出てくるのでございますが、なぜ、それほど熱意をお持ちになっておられるならば、現在の行政審議会背景にして現在の行政管理庁が取り組まないのか。もうメスを加えなくちゃならないところははっきりしている。それに対して抵抗しているものが何ものであるかということもわかっている。そういうときに、今の行政審議会背景にした行政管理庁では取り組めないほど無力なのかどうか。川島大臣実力者のお一人でございますが、その実力者をもってしても、今のままではどうにもならぬ、こういうことなのだろうかという疑問を持つわけなんですが、いかがでしょう。
  15. 川島正次郎

    川島国務大臣 今お話通り行政機構改革国民全部が認めておるところでありまして、これをいかに実現するかということについてのお尋ねでありますが、今回御審議を願っておりまする臨時行政調査会が幸いに御協賛を得られまして成立しますれば、まずその委員の人選、きわめて学識経験の高いりっぱな人を選ぶということが第一である。それからその調査会でできました案を実現する熱意総理大臣初め内閣全体にあるということ、もう一つは、国会議員方々政府党並びに反対党方々の御協力と御支援、この三つが完璧になりますれば、今お話のような、いわゆる官僚機構の壁も破れるのではないか。官僚諸君といえどもやはり国家観念には燃えておるのでありますからして、私どもはそういうしっかりした態勢を作って取り組めば、必ずや成功するのではないか、こう考えておるのでありまして、ただ今までのような行政審議会程度では、これはマンネリズムになっておりますし、ことに行政審議会行政管理庁の中にある機関でありまするが、今回のは内閣に置きまして、総理大臣が任命する機関でありまして、内閣全体の意図のもとに置く調査会でありまして、従来の審議会とは全く性格が違っておるのです。こういう審議会調査会に直すということも、結局はいかにして抵抗を破るかという一つ方法でもあるのでございまして、どうか一つ石橋さんその他有力なる議員方々もわれわれに御協力、御鞭撻願いまして、所期の目的が達成するように願いたいと思うのでございます。
  16. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今の御答弁の中で、内閣の中にできるのだとおっしゃいましたが、そうではないですね。総理府の中にできるというふうに私どもは御説明をいただいておると思います。ほんとうに強力にやるならば、この点にも問題があると思う。今も大臣も、内閣にできるのだ、だから非常に強力なんだとおっしゃったが、実際は総理府にできておる。これは問題が非常に簡単のように見えて、取り組み方の意欲の問題として私は簡単ではないと思う。私たちといたしましてもできるだけの御協力をするにやぶさかではございません。しかしこれが必ずしも最大効果を表わす唯一の方法だろうかという点で、まだ疑問を持っているわけです。なるほどこれならいけそうだということになれば、全面的に取り組む用意は十分に持っております。ただ先ほどから申し上げますように疑問を持っておる。そのまず第一の取り組み方なんです。川島大臣熱意を大いに燃やしておられるようでございますが、内閣自体としての取り組み方、熱意の持ち方、はたしてこれがわれわれにひしひしと迫ってくるような激しいものであるか、国民に訴える強いものを持っておるかどうか。まずここですよ。いかに川島長官が一人でがんばろうたって、過去の例からいってできないわけです。それがわかってきた。広川弘禅という人がやはり実力者であったときに、行政管理庁長官になった。鳩山内閣のときには河野さんもなられた。それぞれ熱意を持って取り組んだが、やはり私どもに言わせれば成功していない。そうすると内閣がよほど結束を固めて、この問題に体当たりでぶつかっていかなければ、これはむずかしいということはわかっておる。そうすると現在の池田内閣に、はたしてこの行政機構改革にそれほどの情熱があると私どもは思わないのですが、いかがですか。あるのですか。
  17. 川島正次郎

    川島国務大臣 広川君の時代、河野君の時代にもある程度の行政機構改革は成功いたしておりますが、根本的な問題が解決いたしていないのであります。今回の臨時行政調査会は、先ほど私は言い誤りましたが、内閣ではなくて、内閣総理大臣の諮問に応じて活動するのであります。現在ある審議会行政管理庁長官諮問機関でありまするけれども、今回のは特に内閣総理大臣の諮問に応じる、こうなっておるのであります。臨時行政調査会が前内閣によりまして小澤大臣時代に発案され、提案されました動機は、行政審議会の意見に基づきまして、当時の小澤大臣並びに池田総理大臣がこれを取り上げまして、特に池田総理大臣が非常に熱意を持っているというので、こういう案ができて、前国会提案したいきさつもありました。今回私は再びこれを提案するにつきましては、池田総理大臣と十分話をいたしまして、実は行政管理庁長官というのはひまな役でありまして、何もしなくて済む役なのでありますが、私がなった以上は、一つこれと取り組むがどうかと言ったら、池田総理大臣が、ぜひやってもらいたいのだ、内閣一つまとめてやるからという。こういう池田総理大臣の意向もあったので、私はこれを提案する決意になったのでありまして、内閣全体が行政機構改革には非常に熱意を持っていることだけは、ここにはっきり申し上げることができるのであります。
  18. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 総理を中心とした内閣が一体となって、この問題に取り組む姿勢を見せても、なおかつ困難性はなかなか克服できないというのが過去の例です。そういう中にあって、私どもは何かしら池田さんに一体熱意があるのだろうかという疑問を持つような現在の雰囲気なのです。ここにやはり問題があるような気がいたします。そこで過去の各種行政審議会の推移というようなものを振り返ってみたいと思うのですが、事務当局でけっこうです。一体戦後どの程度の数の類似審議会ができておるか、どの程度の数の勧告、答申が出されたか、そういうようなことをちょっとお示し願いたいと思うのです。
  19. 山口酉

    ○山口(酉)政府委員 戦後、行政機構改革につきましては、累次審議会を設けております。これは非常に客観情勢が変わって参りまして、戦争体制の切りかえもございますし、さらに戦後の経済混乱に伴った特殊の経済統制に関する行政もございますし、それからさらにその次には占領行政、占領軍がおるということを前提にしておったものが改革しなければならない状況になった。あるいは占領軍の日本に対する十分なる認識なしにできたいろいろの機構で、日本にふさわしくないものを改める必要があるというようなことで、それぞれその場合々々によって非常に違った意味を持っておりますので、数は相当多くなっております。御承知思いますけれども、二十三年に臨時行政機構改革審議会、二十四年に行政機構刷新審議会、二十四年の後半に行政制度審議会、それからこれはいわば総理の諮問的なものでございましたが、政令改正諮問のための委員会、俗に政令委員会と言っております。これは二十六年にできております。それから行政管理庁行政審議会が置かれるようになりまして、二十八年から五次にわたりまして審議会が開かれております。  御指摘のように、答申の数も非常にたくさんございまして、その間百パーセント実現したかというと、これはそうは申し上げられませんけれども、かなりの程度に実現しております。これは個々に申し上げると非常に時間もかかりますが、大体部局の数で申し上げますと、二十四年の六月と二十七年に大きなものをやっております。二十四年の改革の前から見ますと、委員会につきましては、これは行政委員会でございますが、現在まで通算いたしますと、行政委員会は五つの減でございます。それから外局につきましては八つ減っております。それから部局につきましては、通算現在までで九十減じております。その間出入りはございますけれども、現在までの効果で見ますと、その程度の効果になっております。もちろんこれで十分ではございませんので、またこの姿が現在の行政を能率的に運営していく上に一番適切かどうかということになりますと、なお問題が多方面からあると思います。  全般的に通じまして、従来各審議会等で指摘されました状況は、おおむね抽象的な方向を示されておるものが多いのでございます。従来、行政管理庁がそれを具体的に扱って参りました経験から申しまして、実現が非常に困難をするということの最大原因はどういうところにあるかといいますと、従来の審議会等は割合短期間に、半年か、せいぜい一年くらいの間にやるのでございますが、これは出て参ります委員方々もほとんど月に一ぺんとか、せいぜい月に二回くらいしか出られない方で、人数も相当多いものですから、それがそろわれるのに非常に困難をするというような事情もございまして、なかなか審議が思うようにいきません。さらに審議の状況が、大体諮問機関でございますので、みずから調査をするという体制は従来とっていない。今度の行政調査会はその点におきまして自分で調査をする。これは従来なかった構想でございます。従来の欠点を申しますと、ですから大体結論が抽象的になって、各省にこれを当てた場合に、その反論が非常に多く出るのです。問題を具体的に取り上げて、そうして改善の方策が具体的になっていない。たとえば常に各審議会を通じていわれておりますことは、責任体制の明確化であるとか、あるいはめくら判行政とか、言葉をかえていえば稟議制度の弊害でございますが、そういうふうなことが常に通じていわれておる。しかし行政機関仕事というのは非常に複雑でございますので、抽象的にそういうことを言われましても、どこにもそういうものが当てはまるかどうかというと、それをいろいろな形態のところに当てはめて、そしてこういう形態の場合にはこういうふうに持っていくべきだ。責任体制の明確化であれば、こういう業態においてはいかに明確化するかというようなことを、理論的に研究がまだ十分できておりません。私どもの経験ではこういうふうなところを詰めていきませんと、幾らでも反対論が出てくる。今度ねらっておりますところは、特に調査会という名前からして、従来の審議会でなく調査をみずからするというところに力点を置いて、それに相当りっぱな——まお通常の役所の機構で一般職で置かれます職員というのは、これは大体政府部内から集まっておるわけでございますが、やはり一つのとらわれた、政府部内だけしかわからない、いわば井戸の中のカワズのような関係もございますが、外から広く識見を持った人を特にお願いをして、民間の事情もよくわかっておるというような方々にお願いをして、専門的に一つ手下も使って行政部内の実態を調べていただいて、それにふさわしい最も妥当した具体的に改善をすべき案を作っていただく。そういうことであれば、従来抽象論に終わっておった弊害が救われるのではないか、こういう点に非常に希望を持っておるわけであります。初めての試みでございますので、これをぜひ一つ活用して何とか改革を推進いたしたい、かように考えております。
  20. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 事務当局に質問すると答弁が長くなるのはやむを得ませんけれども、あまり一ぺんに何もかもしゃべらずに、聞いていることだけを一つお答えを願いたいと思います。今の答弁の中には非常にいろいろな問題を含んでおります。それに私はあとで聞こうと思っていたことが入っておりますので、御注意願いたいと思います。  要するに私は、過去に戦後たくさんの審議会などができて、答申、勧告が次から次と出されてきておるが、あまり効果は上がっていないのじゃないかということを立証したいがために、どの程度の数の審議会委員会ができたか、どんなにたくさんの勧告、答申が出されたかということをお聞きしたわけです。よそ行きの答弁はあろうかと思いますけれども、歴代の大臣もこの問題に取り組んだお方は、みんな効果は上がっていないことはお認めになっておるわけです。小澤前大臣も「政府の窓」という政府のPR雑誌の中で座談会をやっておられますが、この中でもはっきり十分な成果を上げていないということを認めております。それから行政審議会の第五次答申の中でもはっきり書かれておる。過去幾たびか政府に対して意見を具申したところであるが、まだ所期の成果を上げるに至っていないことははなはだ遺憾である、これはだれでも認めておるのですよ。よそ行きの答弁も必要かもしれませんけれども成果は上がっていない。だから今度作ろうとしておる調査会なるものが、どのようにあなた方が熱意を持っておろうとも、また同じことになる可能性も含んでおるわけなんです。私たちはそれを克服していきたいわけです。同じ繰り返しならおよしなさい。むだな金、ひまをかけてやるのはおよしなさいと言いたい。ほんとう成果が上がる可能性があるものならば、全面的にわれわれも協力いたしましょう。そういう立場に立って実はお伺いしておるわけです。  そこで肝心の行管自体の意気込みというのも、大いに今度はやるのだやるのだとおっしゃるが、率直にいって私は疑問を持っております。どういうことかというと、行政機構改革を本気で今度こそやろうといって、前国会からこの調査会の設置法を国会提案しておりながら、片一方ではどんどん部局の新設をなぜお認めになるのですか。一貫しておらぬじゃないですか。この間でも小澤前大臣のときに、臨時行政調査会設置法が国会に出されてきた。片一方では各省設置法の改正案がごっそり出されてきておる。局も四つ、部も幾つですか、どんどん新設を認めてくれといって、国会に出されてきておる。こういうことをやっておるのでは、本気で取り組むのだとおっしゃっても、どうも私たちとしてはふに落ちないものを感ずるわけです。それは多少、片一方減るものがあれば、片一方拡大強化され、新設される機構もありましょう。しかしこれから先に本気で検討しようとするときに、新設の方だけ先に認めていくということになると、これは問題ですよ。過去において現実に出された答申、勧告の中からでも、新設、拡大の方だけちゃんととって実行して、縮小の方だけは知らぬふりしておる例が一ぱいあるじゃありませんか。勧告、答申が出されておっても、なおかつそういうことが行なわれておる。これははっきりしている。そういう危険性は多分にある。広がる方だけを勧告の中でのんでいる。都合のいいところだけとって、縮小される、権限の弱まるような方向は知らぬふりしておるということが、過去においても行なわれている。  そういうことから判断いたしまして、どうも私どもはこの点に釈然としない。川島さんのお考えの中にもその片鱗がうかがわれているわけです。先ほど引用いたしました行政改革川島構想というこの記事の中で長官が、おそらく談話として発表されたと思うのですけれども、事務能率向上のために場合によっては行政機構の新設付加もやむを得ない、こういうことを言わざるを得ないということなのですね。それは私も公平に行政機構をながめて検討を加えていったときに、全部縮小されるものだとは思いません。しかし早くもこういう予防線を張らなくちゃならないような意気込みでは、私は問題にならぬと思う。はたして効果が上がるだろうかという疑問を、こういうところから私たちは持ち出すわけなのですけれども、また来年度予算編成にからんで、各省から部局の新設がたくさん要求が出ておるようです。一体幾つ出ておりますか。その中からまた必要なものは、これは特別だからといってまた幾つかお認めになる腹ですか。そういうことは私どもは行管の熱意なるもの、意欲なるものをそうそう大きく評価するわけには参らぬのでございますけれども、一体いかがなものです、大臣にお答え願いたい。
  21. 川島正次郎

    川島国務大臣 世間の進運につれまして新しい機構の必要なこと、これは当然でありまして、どうしても必要と認めるのは、これは認めざるを得ないのでありますが、一面において必要のなくなった機構というものは、これを廃止、縮小すること、またこれは当然であります。ところが今石橋さんのお話のように、従来拡張の方だけが認められて縮小の方はやらないのだ、不都合ではないかということ、その通りであります。そこにやはり官僚の強い壁があるので、これを打ち破る必要があるからこそ、こういう調査会が必要なのです。むしろ従来縮小はどんどんやれるのだ、行政管理庁だけの力でやれるのだというのであれば、あるいはこういう調査会を用いないでも、ある程度の改革はできたのでありましょうけれども、それができなかったところに調査会を置く一つ理由があるのでございます。今後はぜひ一つ不必要になったものはこれを廃止し、改廃いたしまして、むだを排除して、その反面においては必要なる機構は認めるようにしたい、こう考えております。従来のやり方は石橋さんの指摘の通りであります。できなかった原因というものはよくわかっておりますから、これを排除することに努力いたしたい。その一つの現われがこの調査会だ、こういうふうにお考え願いたいと思います。
  22. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこでかりにこの調査会がスタートを切るというふうなことになりましたら、これから本格的にメスを入れて、新設拡大するものはそのようにする、縮小するものはする。今本気で取り組んでいる最中だから、とにかく新設するのはその結論が出るまでちょっと待て、これくらいのところは最小限度、意図としてお持ちになっておらなければ、私はまたもやこれは失敗を繰り返すのではないかと思うのです。大臣と、そして池田さんもそれだけの熱意を持っているとおっしゃるならば、総理大臣協力して、新しく、出てくるそういった要求をさしあたりぴしゃっと押えるくらいの力を、この際お見ぜになっていただきたいと思うわけなんです。その点はいかがですか。
  23. 川島正次郎

    川島国務大臣 三十七年度の予算に関連して、どういう新設の機構行政管理庁に要求して——またよく聞いておりませんからして存じませんけれども、結論的に申しまして、今回の臨時行政調査会は三年間の間に結論を出そう、こういう趣旨でありまして、もっともそれ以前に案ができますれば片端から実行したい考えもありますけれども、結論的には三カ年の時限立法でありまして、現在かりに各省が要求しておる新規機構のうちに、緊急やむを得ずしてそれまで待てないというものがあれば、これは認めざるを得ないと思うのでありますけれども、時期的に急がぬものは当然これを押えまして、新しい機構ができましてから検討すべきものだ、こう考えております。一がいに全部新機構は認めないとここで言い切るだけの確信を、まだ私は持っておりませんけれども、できるだけ押えるということだけは、はっきり申し上げたいと思うのであります。
  24. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 この行政機構改革に熱情をお持ちになっておられるとするならば、そう信じたいのでありますが、そういうところで十分にその気持が反映するように、ぜひ取り組んでいただきたいことを御希望申し上げておきたいと思うのです。  ところで先ほどから私申し上げておりますように、問題は調査会を作るか作らないかというようなことだけで終わるのではない。また事実調査会を作ったからといって、どうなるものでもないということを申し上げたわけであります。これに対して、今度は意気込みが違うのだ。あるいは行管局長は、問題点は提示されたかもしれぬけれども、非常に抽象的な面が多くて、どの部門にもそれが平均して取り入れられるようなものではないような、勧告、答申がなされておるというようなことを先ほど申しておりましたが、そうそう欲ばって何もかも一ぺんにこの際取り込もうというふうなところにも、無理があるのじゃないかという感じも私は持っておるわけです。ほんとう国民生活に結びついた行政サービスというものをやろうという意欲を持っておられれば、さしあたり望んでおる部門を一つずつ解決していくというような方法もあるのです。何も調査会を作って大幅に全面的に検討を加えてもらって、大規模な答申、勧告を待たなくたって、さしあたり取り組んでいって国民に喜んでもらう、そういう部門も私はたくさんあると思う。たとえば先国会において小澤長官が一つ例示いたしておりましたが、紙の問題という表現を小澤さん使っておりました。私はこれなども確かに重要な問題だと思うのです。これはちょっと問題が違うかもしれません。いわゆる本来の能率化とか簡素化とかいうような問題とは違うかもしれませんけれども、経費の節約というような面からいって、非常に大きな問題ではないかという感じを持ちながら、実は小澤さんの答弁を聞いておりました。各省庁で使用する紙をばらばらに購入している。こういう物品丁消耗品というものを一括して調達することができたら、どれほど経費の節約に寄与するかわからぬというようなことをおっしゃっておったのですけれども、これなどは別に調査会を作って今からどうのこうのという——私は小澤さんが例として出されたのはおかしいと思うのです。問題の提起の仕方は非常にいいのですけれども調査会を作ってこれをどうするというような説明をされたのは、ふに落ちないと思って聞いておったのですが、こういう問題は実は調査会と切り離して、現在内閣がやろうと思えば立ちどころに取り組める問題なんですね。私はそう思いますが、これは大臣がかわっているのでちょっと質問するのがおかしくなったかもしれませんけれども、こういう問題は、これは調査会でどうのこうのという問題ではないのじゃないですか。今からでも、政府がやる気になりさえすれば実行できる問題だと私は思うのですが、その一つの例として私はお伺いしたいのですが、小澤さんも述懐しておられたようなこういう大きな経費節約のできる、国民に喜んでもらえるような仕事ができない原因は一体どこにあるか。こんな問題は調査会と関係なしにやろうと思えばやれるのではないか。こういう私の気持に対して一つ説明を願いたいと思うのです。
  25. 川島正次郎

    川島国務大臣 今お話のように、手近なもので解決すべきものは、必ずしも調査会にかけませんでも、行政管理庁なりその他の関係官庁でもって、相談しながら実行したらよかろうと思います。紙の問題は初めて私お聞きしたのですけれども、これはどんどん実行すべきだと思うのですが、私どもが行政調査会でやりたいと考えているのは、もう少し高度の——何としても今日は各省割拠主義で、自分の権限を一歩も譲らぬ。従って共管事項になりまして、二省、三省にわたる事柄になりますると、認可、許可などが非常におくれまして、国民は大へん迷惑しておるのであります。こういうものを全部整理をして責任体制をはっきりしたい。共管事項になりますと、許可、認可の責任がどこにあるのかということがきわめて不明確であります。そういう点をはっきりすることが一つのねらいでありまするし、さらに進んでは、今日では許可、認可事項があまりに多いのではないか。ある程度は民間にまかせて随意にやらせてもいいのではないか。いたずらに許可、認可の権限を役所で持つがために非常な不便を感じておる、そういうところも十分検討をいたしたいと考えております。石橋さんのお話のように、問題はたくさんあります。たくさんありますが、根本的には、各省の割拠出義というものをどうして排除するかということが一番重点でありまして、実は私が行管の長官になりましてから、監察事項として、特に今命令して調査させておるのでありますが、各省の共管事項、それによる弊害、それによる不便というものを今監査をいたしております。これらも幸いにこの法案が成立をしますれば、調査会に付議する材料として懸命にやっているのでありまして、従来行政改革の一番成功しなかった壁はそこにあろうかと思うのでありまして、それを一つぜひ妥結をいたしまして、責任体制を作っていく。国民のために便利な行政事務をやりたい、こういうことが念願であり、ねらいであります。
  26. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 おっしゃることはまさにその通りだと思うのです。今秋が例示したのは、小澤前大臣がこの調査会の設置にからんで、こういった紙の問題といったような提起のされ方をしたので、私は一面においては、これは解決しなくてはならぬ問題だと思いつつ、調査会とからめて、そういう説明をするのはおかしなという感じを持ったものですから、率直に申し上げたわけです。一つの例として今大臣が申された共管事務、これは確かに問題だと思うのです。これも現にいろいろな面で矛盾を来たして、国民に迷惑をかけております。しかしそれもずいぶん問題点は現われているわけです。専門調査室で過去においてまとめましたものを見ましても、ずいぶん列記されております。共管事務でどういうところをどういう角度から検討しなければならないかということを、たくさんここにまとめて出されております。たとえば一つ、行政機能の統合による経費節約の見地から検討すべきものとして、同一の行政目的を有するのゆえをもって一の省庁に統合するを適当とするものとして、厚生省と農林省で行なっている医薬品等の製造販売の取り締まり事務、農林、通産及び厚生の各省がそれぞれの所管ごとに行なっている輸出品検査事務といったふうに、まとめてずっと列挙いたしております。ずいぶんありますけれども、この中で一つでも二つでも片づけたら、ほんとうにどれだけ国民が喜ぶだろうかと思うようなことが一ぱい載っていますよ。今さら調査会でおやりにならなくったって——ところが、その中で一つでも処理されたものがありますか。それどころか新しくできてくる法律あるいはその他の機構にからんですら、この共管の問題が解決しておらないじゃないですか。水資源の開発の問題でも、閣僚の皆さん方がどれだけ苦慮いたしておりますか。この間本委員会審議されました北方旧漁業権者に対する特別措置のあの法律の問題にしても、主管大臣総理大臣と農林大臣でございます。全くわれわれとしてはふに落ちない。主務大臣が二人並べられているというようなこと、きょうの朝日新聞を見ますと、主務大臣は設けずと大きな見出しが出ている。設けずではなしに、調整ができなくて設けられないのでしょう。現にあるものにメスを加えるどころか、新しくできようとする機構にあたっての調整すらできないのが今の政府内閣のいわゆる実力の程度じゃないかと私どもは疑問を持つわけです。これほど官僚に押しまくられておっていいのかという気持を私どもは持ちます。持ちますが、しかしこの調査会なんか作ってこんなものが解決するとは、その反面いよいよ思わなくなってくるわけです。ほかに方法があるのじゃなかろうか、こう思わざるを得なくなってくる。取り組むとすれば、調査会を作るとか作らないとかという問題ではなしに、もっとほかの角度から、政党人として、政治家としてわれわれは物事を考えなければならないのじゃないか。そういう思いの方がかり立てられるだけで、調査会必要性を痛感するというわけにはいかぬわけです。このことだけは強く私は申し上げておきたいと思う。  今度の調査会は従来のものと違うのでありますというようなうたい文句では、われわれはどうしても納得できないということです。最後に一体どうしたらいいかということは、私なりに考えもありますし、やりたいと思いますけれども、そこに行くまでにもう少しお尋ねしておきたいことが実はあるわけです。というのは、その調査会の従来の審議会とは違うのだということの一つ理由として、調査会の意見または答申の取り扱いについては、内閣総理大臣はこれを十分尊重しなければならないこととするとともに、国会に対して総理大臣から報告する道を開く規定を設けた、これらが従来の審議会などと違うということを説明いたしておりますし、先ほど山口局長も長々とおっしゃっておりましたけれども、これも違うといえば違うかもしれないけれども、各種行政機構に取り組んだ審議会委員会とは違うかもしれないけれども、ほかにそういうものがあるわけです。たとえば人事院の勧告なんかでもそうです。これなどは直接国会内閣総理大臣に報告するということになっておりますけれども、必ずしもこれが百パーセント尊重され、実施されたかというと、そうではない。だからそういうことを法律の中にうたっておきさえすれば、尊重されるのだということはないわけです。そういうことで私たちはこの調査会の権威というものを、幾分高まるかもしれませんけれども、十全なものとして認めるわけには参らない。それから必要があるときは各行政機関については、その運営状況を調査できる規定を設けた、これなども特質だとおっしゃるが、これだって今の行管自体この程度のものは持っているわけでしょう。私はそういうふうに考える。さてそういうふうに見ていくと、違うのはどうやらこの委員の構成が違う。そういうところにウエートがあるのかしらと思わざるを得ない、うたい出しがら見ますと。各界、各層の知能を結集して権威の高い行政診断機関として設けるのだ、アメリカにおけるフーバー委員会の例に見るような超党派的なきわめて権威の高い機関を設けろ、これは答申の中に書かれている言葉でございます。この辺がそれでは今までのとは出遅うということになるのかしらと私は思っているわけです。確かに打ち出しからいうと違うようです。フーバー委員会などというものを持ち出しておりますし、各界、各層の知能を結集し、超党派的というような表現が用いられていることからすると、確かに違うのかなという感じを持つわけでございますが、それでは一体どういう人選をなされるつもりか。抽象的に言えば、各界、各層の知能を結集しとなり、権威の高いとなり、超党派という表現となるかもしれぬが、さて具体的に人を選んでみたら、今までとあまり変わりばえがしないということになるのが落ちではないかという気持を率直に持っているわけですけれども、変わりばえのする、なるほどあの顔ぶれなら何かやれそうだという具体的に何か構想をお持ちなのでございますか。
  27. 川島正次郎

    川島国務大臣 構想の前に一言申し上げたいのですが、国会に報告するということは、これはきわめて重大な問題でありまして、政治的に政府が責任を負うことになります。もっともお話のように人事院勧告はそのまま実行しない例もあります。時の財政状態等によりまして、全部実行できないこともありますけれども、たとえば、今年の問題といたしましては、%は人事院勧告通りであります。ただ時期が人事院勧告の五月というのを、施行する日の十月からであります。こういう時間的にずれはありますけれども、やはりこれは人事院勧告を尊重して政府措置をとった一つの例でありまして、政治的にはきわめて重大な意義があると思います。私ども調査会ができまして、その結論が出て国会に報告しますれば、国会方々の御協力も得、また政府が責任を感じて実現に移したい、こう強く感じておるわけでございます。  それから委員の人選の問題でありまするが、具体的の人選はまだいたしておりません。ただ今回はきわめて少数の七人の委員会にいたしまして、従来の審議会のように、・きわめて多数の委員ではなしに、国内においても、世間が見て学識経験のきわめて豊かなトップ・レベルの人を七人集めたい、こういうことなのでありまして、人選はこの調査会成果に非常に関係のある問題でありますからして、調査会目的を達成し得るような人を人選したいと考えておりますが、具体的にだれということはまだ考えておりません。これが大体御協賛願えるというめどがつきますれば、さっそく考えたいと思っております。
  28. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私どもが多少なりと調査会なるものに期待を持ち得るとすれば、この人的構成です。どういう顔ぶれか、大臣のおっしゃるトップ・レベルの人が委員になるのか。ここに画期的なものが見られれば、ある程度期待も持てると思う。ところがどうもまたまたいつもの委員族の顔を並べるのではなかろうかという、そういう疑問を持たざるを得ない。たとえば先ほどちょっと引用しましたが、「政府の窓」で「行政の体質を改善したい」という小澤前大臣と小汀利得さんの対談がある。この中で小澤さんが、「今度の臨時行政調査会ども、その点に気をつけて人選をするつもりで、僕は小汀さんなんかにやっていただけるといいがと思っているのですが……。」こういうふうな発言をしておられます。これはおせじならいいです。しかし本気で考えておるとするならば、私はこれだけでもうこんな調査会はお断わりです。はっきり申し上げる。それにちょっと関連してお尋ねいたしておきますが、五月十九日、本委員会において、小澤前大臣はこういう御答弁をなさっておられます。「これはもとより超党派でやるのでありますから、あるいは鈴木さんかどなたか知りませんけれども社会党の代表の人にも私どもは入ってもらいたいと思っております。」こういう答弁を小澤さんはしておられました。すなわち小澤構想なるものは、これは当時新聞に出たのでございますが、会長に吉田茂元総理、委員の中に岸信介前総理、鈴木茂三郎社会党元委員長というような報道がなされて、それに関連してうちの委員が質問をしたのに対して、鈴木さんかどうかは知らぬけれども社会党の代表の人にも入ってもらいたいのだというようなことを小澤さんは答えておられたのですが、この点ちょっと最近の川島大臣の構想は変わってきておるようにも聞いておりますけれども国会議員を入れるのか、それから社会党の代表を入れるのか、この辺のところはいわゆる超党派というのをどういうふうに私ども理解をしたらいいのか、一つ具体的に御説明願いたいと思います。
  29. 川島正次郎

    川島国務大臣 国会議員なり政党関係の人を入れるか入れないかということは、まだきめておりません。おりませんけれども、自由民主党代表とか社会党代表という意味では、これは私は入れることは適当でないと思います。人間として、人物として学識経験の高い、こういうことをお願いするのにりっぱな人を入れるのでありまして、それは決して政党代表の意味ではないのであります。鈴木茂三郎さんもけっこうでありますし、吉田茂さんもけっこうでありますけれども、今そういう人を入れると考えたこともないし、またそういう人にお話ししたこともないししますので、各界の代表という意味ではなしに、個人々々としてりっぱな人を入れたい、こういうことを考えておりまして、そういう見地に立って人選をいたしたいと思っております。吉田茂会長なんということは毛頭考えておりません。
  30. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そこで、委員の構成が出ましたが、私はどういうお方をそれではこの委員にするか。委員とすることに、何といいますか、成功という言葉が当たりますかしら、ここでもうほとんど調査会の効果、意義というものを決定づけてしまうほどの働きを持つのではないかという感じすら持つわけでありますので、もしできるとするならば、この点十分慎重にお扱い方を願いたいと思います。  そこで委員のことが出ましたから、その下に働く専門委員、調査員、職員のことについて若干お尋ねをしておきたいと思うのですが、専門委員は非常勤十五人、うち主任専門委員五人というふうになっておるわけですけれども、これは前大臣がおっしゃったように、専門委員を三人ぐらいずつに分けて、そうして五部門作って、行政診断をやる、こういう構想をそのまま踏襲されておるのでございますか。もしそうだとするならば、その五部門というのは大体どういうふうに分科会的に分けようという構想をお持ちになっておられるのか。
  31. 川島正次郎

    川島国務大臣 今度の調査会の特徴は、下部組織として専門委員、調査員を置きまして、みずから調査する権限があるというところにあるのでございます。従いまして専門委員、調査員にぜひ適当な人を選びたいと考えておりますが、専門委員をどう使うか、また調査員をどう使うかということについては、私はまだはっきりした考えを持っておりません。下部組織が必要であるということだけは認めておりまするけれども、その使い方については、小澤前大臣はどうここで御答弁したか知りませんけれども、私はそういうことをまだ考えておりません。これから十分練りまして、いろいろその点は新たにできる七人委員会とも相談いたしまして、主として七人委員の人がそれを使うのでありますから、その意見も尊重してきめるべきものだ、かように考えております。
  32. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうおっしゃっても、小澤さんが答弁したのは何も自分だけの考えで答弁されたとは思わぬ。というのは、この予算の組み立て方がそういうようになっているようなんですね。主任専門委員五人、そしてその主任専門委員は出席する回数もほかの委員よりも多いのです。普通の委員は会長を含めて週一回出勤するようになっている。ところが主任専門委員は調査員ともども週二回出席するようになっております。こういうふうな予算の組み方になっておるわけですから、やはりこの構想は動かないのではないですか。五人の主任専門委員がおって、その下に二人ずつの専門委員がついて、いわば三人ずつのグループが五つできる、こういう構想は、私は予算の立て方からしても変わらないと思うのですが、どうなんですか。
  33. 川島正次郎

    川島国務大臣 おそらく予算編成をするときには、そういう考えでやったことだと思うのでありますけれども、現実にこれを実施する場合には、七人委員会の意見もありましょうし、五人の主任専門委員というものを五部門に分かつのか、それを三部門に分かつのかというようなことも、実施の段階においてきめるべきものだと考えております。事務当局は事務当局としての考えがあるかもしれませんけれども、私はこういうことは七人委員会が責任を持ってやっていただくのですからして、私どもの方が押しつけてこうするのだというようなことはすべきものでない、そういうことをするのが官僚主義でありますから、そういうことをしないで、どこまでも七人にまかしてやるべきだ、一応の構想はそうでありましょうけれども、実際の運営にあたってはおのずから違ってくるかもしれません。
  34. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それでけっこうでございます。そこで専門委員は非常勤、調査員五十人も非常勤、そこまでは納得できないこともありませんが、その調査員五十人のうち、四十人は他省庁より派遣、結局出向という形になるのではないかと思うのですが、職員二十九人も他省庁より派遣、そういうことになっておりますが、そういうことで仕事が十分にできるという自信をお持ちなのかどうか、この辺ちょっと疑問を持ちましたので伺っておきたいと思います。  それからもう一つ、調査委託費が計上されておりますけれども、何らかのテーマを設けて、これをどこかに委託するというふうな考え方もあるようでございますが、たとえばどういうことをやることを想定しておるのか、その辺も一つ説明願っておきたいと思います。
  35. 川島正次郎

    川島国務大臣 政府委員から7つ答弁いたさせます。
  36. 山口酉

    ○山口(酉)政府委員 調査員につきましては、他省庁から出向することになっておりますが、実際問題としましては、大部分は行政管理庁の職員を予定しております。しかしこれはその中心を、今の構想といたしましては、専門委員、調査員の方の手足として作業的なものをするというふうに考えておりますので、ほんとうの調査の方針であるとか、調査の手法についての中心部分は調査員が握って、その下で作業的に動く、こういう考えでおりますので、実はこれも相当多い方がいいと思うのでございますけれども、初年度の計画といたしましてはこの程度に考えておりまして、そしてその実績を見まして、三年間でございますので、その実績に応じてふやすことも考えております。できるだけむだなくやりたいということで、かような案になっております。
  37. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それからいま一つ、この調査会において人員整理などはやらないのだということを提案理由説明の中でもおっしゃっておりますし、いろいろな機会で言明もされておるわけでございますが、ほんとうに人員整理をやらないで、機構改革を推し進めることができるという確信をお持ちなのかどうか。もう一つ、公務員制度の改革、この問題にも触れるのか触れないのか、その辺をお答え願っておきたいと思います。
  38. 川島正次郎

    川島国務大臣 この目的が人員整理ではないのでありまして、行政機構能率化でありますから、人員整理の考えはございません。かりに簡素能率化のために縮小する部分ができましても、今日の行政機構全体を見ますと非常にアンバランスがありまして、忙しいところできわめて公務員の少ないと思われるところもあり、ひまでありながらよけいなところもあります。こういうことは一官省内でもあるのでありまして、先般私どもが郵便事務の監査をしましたときにも、そういう点が多々現われて参っております。それからもう一つ、年々社会の進歩につれて役人もふえて参りまして、現に三十七年度の予算編成で各省が要求しているのは、四万六千人の増員であります。これは極力押えたいと思っておりますが、当然ふえるのもあります。かりに行政の簡素化によって冗員でもできますれば、当然ふえなければならぬそうしたものは採らないで、整理した人員を回すということもありましょうし、根本的にこの行政調査会の案によりまして人員整理ということは、する必要もなし、する意図もありません。その結果、年々ふえてくる公務員の増加だけは押えるのだ、こういうふうに考えております。
  39. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 もう一つ公務員制度の改革にもお触れになるつもりかどうか、お尋ねしたいのですが……。
  40. 山口酉

    ○山口(酉)政府委員 先ほどもお話がありましたように、非常に広範にわたって行き過ぎるとこの成果にも関係がございますので、公務員制度につきましては、すでにほかの調査会でも審議したことでございますし、今度の調査会は大体行政機構並びにその運営ということに焦点をしぼりまして、実施する考えでおります。
  41. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 公務員諸君にしてみれば、過去の例から見まして、行政機構改革といえばすぐに人員整理とぴんとくるものを持っておるのですよ。やむを得ない——というのは、肝心の改革ができないときにおいてすら、安易に天引き整理なんというものをやっているわけです。各省何割減らせというような調子でですね。そういう経験を持っておりますために、機構改革と聞いただけで人員整理というものを思い浮かべる、これはやむを得ない。私たちも、完全雇用制度というものが確保されておるときならば、また別の観点もあるかもしれませんけれども、整理されれば立ちどころにあしたからの生活に困るという現資本主義社会において、人員整理というものは何が何でも認めるわけにいかぬわけです、飢餓に通じておるわけですから。その点はあくまでもやらないのだというお話でございますけれども、やらないといっても、権威のある調査会というのが、そういう答申を出してくるおそれまでは否定できないのじゃないかと思うのです。その辺の矛盾は一体どういうふうにお考えになっておられますか。
  42. 川島正次郎

    川島国務大臣 調査会の根本方針が人員整理にないことは、今申し上げた通りであります。かりに行政機構の簡素能率化のために人員の縮小を生じるとしましても、それは官庁内の配置転換並びに今後の増員を押えるということで、十分これは整理し得るのでございまして、かりに公務員の諸君が、人員整理をするかもしらぬというので行政機構改革反対だということでありますれば、いつまでたっても行政機構改革はできませんで、むしろ行政機構改革の壁は、官庁のセクショナリズムでなくて、労組にあるとさえ考えられるわけでありますが、そういうことはないのでありますから、われわれも説きますが、労組に関係の深い社会党の諸君にお願いいたしまして、そういうことはないのだということを認識さしていただきたいと思います。これは絶対に考えておらぬのでありますから。もう一つ国会に報告するという事項がありまして、そういう段階にも、これらについては御議論する余地があろうかと考えております。そういう点で、一つこういう点は御信用願いたいと思います。
  43. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それからこの調査会の中で、今自民党の中で盛んに運動が起きております防衛庁の国防省への昇格の問題、あるいは治安機構の強化の問題、そういうものがからみ合って出てくる危険性はないのかどうかという心配を持っておるわけですが、これは全然この調査会とは関係がないのかどうか。それから公社、公団、公庫、事業団というものは、このごろは実に目ざましく、どんどんできておるような状態なんですけれども、こういうものにも一緒にメスを入れるおつもりであるのかどうか。大臣の構想としてお聞かせ願っておきたいと思います。
  44. 川島正次郎

    川島国務大臣 省の昇格につきましては、防衛庁の防衛省、それから建設省関係の国土省、通産省関係の中小企業省なんということが、いろいろ世間に伝わっておりますけれども内閣においてはむろんでありますが、自由民主党の中においても、こういうことがきまっておるのではございません。ただ話としてそういうことが出ておるわけでありまして、私どもはこういうものを取り上げてやる気持は持っておりません。行政の簡素能率化でありますから、行政を複雑にするような仕事は避けるのでありますから、今でも取り上げて調査会でやる気持は毛頭持っておりません。それから公団、公社、事業団等につきましては、むろん調査会の対象になります。最近事業団、公社、公団等がふえて参りまして、これに対して相当世論の批判もあるようでありますから、これも調査会で取り上げまして検討してもらいたい、こういうように私は考えております。
  45. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 だいぶ時間もたちましたから結論を出したいと思うのですが、先ほどから申し上げておりますように私どもは、この調査会を作るということをもって、行政機構改革目的が達せられるわけでもないし、スタートを切ったとすら言えないのが過去の実績だ、そういうように考えております。しかし実のあるものならば、もちろんこの調査会も必要でありましょう。その辺は今の大臣のお答えをも十分参酌いたしまして、私どもなおもう少し時間をかけて、必要であるかどうかということを真剣に検討してみたいと実は考えております。  ところで、このこととは別個に、やはり政治家とし、議会人とし、政党人として、真剣にこの問題には取り組まなくちゃならないのじゃないか、そういう気持だけは持っております。これは調査会を作る作らぬということよりは、もっと大切な問題じゃないかと思う。そういう点で一体われわれは何をやったらいいのか、これは非常に問題だと思います。しかし言えることは、先ほど申し上げたように、私たちがもっと真剣にこの問題を考えて、そうして国民に満足していただかなくちゃならぬのだという責任感を持っておるということだけだ。この行政機構改革を妨げておる官庁の非能率をいつまでも是正できない、この責任は私どもは大きいと思います。それをやるためにはどうしたらいいのか、調査会を作ることも必要かもしれぬが、官僚機構、これが非常に強い。抵抗も強い。だからなかなかできない。これをどうして政党が、議会人が、政治家が完全に掌握し、押えていくかという立場に立って考えてみる必要があるのじゃないか。常任委員会制度というものがややともすると各省とくされ縁を作ってしまって、本来の任務を全うできないというようなことも直さなくちゃいかぬと私は思います。これも指摘されておるがなかなか直らない。私は自分自身議会に席を置く者として、こういうことを言うのはまことに残念でございますけれども、ややともすると常任委員会そのものが各省の出先のような観を呈しておることを全面的に否定できない。こういうことからやはり是正していく必要があるのじゃないか。そうするとこれはどうしたら克服できるのか、こういうふうに物事を考えていきたいと思うわけなんです。たとえばもっと議員立法に重点を移したらどうだという議論が最近出ておりますが、これなども検討してみる価値はあると思います。私はそういうふうになったからといって、この問題が直ちに解決するとは思いませんけれども、ほかにもいわゆる陳情政治というのも、今のような形で続いておる限りこのくされ縁は切れないでしょう。代議士は役所に行って陳情する、そのお礼に役所が出した法律をさっと認めてやる、こういうふうなきらいがなきにしもあらずです。こういう問題も解決しなくちゃならないでしょう。それからこれは小澤さんもちょっと述べておりましたが、大臣の就任期間が非常に短かい。従って官僚そのもの、官僚機構を完全に掌握できないうちにもうやめてしまわなければならぬ。だからあくまでも実権を持っているのは官僚そのものだ、こういう問題も克服しなくちゃならぬでしょう。これなどもやろうと思えばできるのだが、今度の内閣は比較的そういう意味で実力者をそろえた、こう巷間いわれております。それで大いに効果を発揮してもらいたいと思いますけれども、従来のように派閥人事で、何派からはこの次だれというような順番でどんどん出てくるから、早くやめさせて次を大臣にしなければいかぬという、こういう保守党の欠陥がそのまま官僚をのさばらせておる原因にもなっておる。こういう問題に真剣に取り組まなくちゃならぬでしょう。そんなものをみんなほったらかしておいて、調査会を作ったら立ちどころに行政機構改革ができるような、そういう幻想を抱いたり抱かせたりするようなことは罪であるとすら私は思う。もっと取り組まなくちゃならない問題がたくさんあることを私は指摘し、一緒にこういう問題を解決していかなくちゃならぬのだということを主張しておきたいと思います。そのためにも私たち自身、国会自身、委員会自身が、もっと真剣に取り組まなくちゃならぬという感を深くいたしております。過去において、十三回国会ですか、議員提出国家行政運営法案というものが提出されたことがあると聞いております。これは廃案になっておるようでございますが、これもなかなかむずかしい問題だと私も思うのです。こういう行政の簡素化、能率化というものを法律で規定して規制していこうということは、なかなか問題だと思います。しかし取り組もうとした意欲、これだけはとうといものだと私は思う。やはり私たち自身こういうふうな意欲を持ち続け、実を結ばせるようにやっていかなくちゃならぬという感を十分に深めておりますが、大臣立場からも調査会を作ることのほかに、いろいろ大切なことが一ぱいあるのだということは一つ十分に御自覚をされて、今後推進していただくことを希望いたしまして、一応私の質問を終わりたいと思います。
  46. 川島正次郎

    川島国務大臣 石橋さんがいろいろな角度から行政能率向上という点をお話しになりましたが、まことに感謝にたえないのであります。ただ行政管理庁といたしましては、行政審議会ではとうてい目的が達せられない、より高度のものを必要とするので提案したわけでありまして、これさえやらぬということになりますると、行政改革というものは全然進歩をいたしません。ぜひこの法案を成立さして、私ども真剣に取り組んで目的の達成に努力いたしたいと考えております。国会の問題、内閣の閣僚の人選の問題につきましては、従来もいろいろと世間から非難されている点も御指摘になりましたが、まことに同感でありますけれども、ただ私だけでこれは何ともすることができない。そういうものは自然世論によってだんだん直していく以外に仕方がないものだとこういうふうに考えております。ぜひ一つ熱心にこの問題は取り組みますから、石橋さんのこれに対する御鞭達と御支援をお願い申し上げておきます。
  47. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 関連して伺いたいのですが、今石橋さんが最後に述べた意見とからむ問題ですが、この調査会を進めていくのに、一番妨げになるのは何といっても官僚主義だとこうおっしゃったのですが、官僚主義の出てくる原因は幾つかあると思うのです。その中でいわゆる学閥主義、あるいは試験を一ぺん通ってしまえばエスカレーターのように進んでいく試験尊重主義、こういうものもあると思います。しかしこういうものは調査会の中で当然技術的に検討をする対象になるだろうと思いますので、その点については伺いませんが、今石橋さんが述べられたこととほぼ同じことになるかもしれませんが、やはり政党内の派閥、そうしてその派閥の上に乗ってこの議会の中で無理押しに多数横暴で法案を成立さしていくようなものが、実は官僚主義と下の方でかなり深く結びついているのではないだろうか、こう考えざるを得ない点が一つあります。それからもう一つは、予算の編成の仕方というものについて、従来の慣行を相当反省しなければいけないのではないか。今までのような予算の組み方をしていく限り、陳情政治も行なわれるでしょうし、また官庁自身は予算をたくさん取っておけば、あとは何とか使っていくことだけを考えればいいという考え方も出てくるでしょうし、予算をたくさん持っているものが、権限を強く持っているという形も出てくるでしょうし、最終的には大蔵省の非常な威力というものも出てくるわけでしょう。そういう意味で予算編成というものについてもっと抜本的な考え方をなされないと、官僚のセクト主義を打ち破るどころか、行政機関能率を向上させるなどということはほとんど不可能に近いのではないか、こう私たち考えないわけにいかないわけです。またその予算の中には、地方自治体に対する中央集権的な予算の組み方というものが次第々々に強くなって、地方自治体をまるで中央が支配しているような状態さえ出てきています。ここからも非常に数多くの非能率なものが出てきていますし、セクショナリズムも出てきているわけです。中央官僚の支配、地方官僚の従属というような形も出てきているわけです。そういう点を考えてみますと、この調査会をお設けになるのはけっこうだと思うのですが、しかしこれを作っていかに学識経験者に研究をさしておいても、予算編成について多数党であるあなた方が何らかの反省をして、それに即応していくだけの覚悟を持たない限り、二階に上げておいてはしごをとってしまうのと同じじゃないだろうか。今までのいろいろな委員会調査会が、一つ一つはなかなかいいことを答申しながら、それが現実のものとなり得なかったのは、政治のあり方、そうしてそれの集約的に現われている予算編成の仕方というものについて、全然改善が加えられていなかったからです。ですからもとへ戻ってしまうのです。私はフーバー委員会というものはあまりよく知りませんが、アメリカでは予算の組み方というものについて、常に実によく反省をしているようです。そうして組まれた予算がちゃんと最終的に使われていくまで、専門家でなくても、一般市民が予算書をあけてみれば、お金の流れていくルートがちゃんとわかるように仕組まれているという話です。ところが日本では、こっちで組まれたってどこへ消えてしまうかわからない。こういうように予算の編成の仕方にもいろいろあると思いますが、従って予算の編成の仕方という基本方針というものは、これは臨時行政調査会が調査をすべき行政的な技術ではなくして、政治の基本方針にからむわけです。この政治の基本方針というものはそのままほうっておいて、調査だけさせていくといったって、今までのあれと同じようになってしまうのじゃないだろうか。こう考えますので、今石橋さんが、いわゆる行政の能率を上げていくという態度と並行して、基本的に政治のかまえを直すということを言われたわけですが、その中で最も私が基本的だと思う予算編成、こういうものについて、自由民主党あるいは政府は、これに即応するようなどれだけのことを考えていらっしゃるのか、そういう点を伺いたいと思うのです。
  48. 川島正次郎

    川島国務大臣 予算編成の仕方並びに編成権の所在につきましては、従来いろいろ議論のあるところでありまして、大蔵省の主計局を廃止して内閣に予算局というものを置けという議論も相当考究をされております。この調査会で、予算編成の仕方をどれくらい取り上げるかということは、私はここで断言できないのですが、予算編成権の所在というものを、大蔵省に置くがいいのか、それともこれを内閣に持ってきて、予算局にするがいいかということは、当然取り上げていい問題ではないかと思いまして、これは御質問があったから言うのではございません。私はかねてからそういうことを考えておるのでありまして、当然委員がきまったらまたこういうことを提案してみたい、こう考えております。
  49. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 それは行政の技術として予算編成局を作るとか作らないとかいうことを、この調査会で議論をなさるというのは話がわかります。ですがやはりこれは政治だと思うのです。予算編成をどうあらしめていくかというやり方は、行政の技術ではないと思うのです。従ってそのことに関しては、行政調査会範囲を逸脱しているものですから、当然あなたの方で、政府の方で、政治としてそういうかまえをお示しにならない限り、これはかわいそうですよ。ここへ何でもかんでもみんなぶち込んでしまって、お前よきにはからえという形では、かわいそうです。そういう意味で、政治のかまえとしてあなた方がどう予算編成あるいは予算というものについて考えていくかということを、今ここですぐ御返答を伺うという意味ではありませんが、十分考えていただいて、ほんとうに民主的な能率の高い予算編成方式を考えるかまえを持っていただかない限り、これを作ったって何にもならないじゃないかという印象が私たちにはあるわけです。今までの失敗はみんなそれなんですから、その点調査会で調査をするからとおっしゃらずに、政府なりあるいは自民党なりで、どういうかまえを持つのか、持とうとする意図があるのかどうか、そういうことを伺っているわけです。
  50. 川島正次郎

    川島国務大臣 それは行政機構改革を扱う調査会でありまするから、予算編成権の所在がどこにあるかということは、当然取り上げるべき問題と思う。予算の編成の仕方については、これは直接調査会仕事でありませんけれども、予算編成権の所在によって扱い方も自然違ってくるのではないかということは、これは言い得ると思うのでありまして、そういう意味で先ほどお答え申し上げておるわけであります。飛鳥田さんのお話、私は今よくわかります。わかりますけれども、この調査会におきましては、ただ編成権がどこにあるかという、その所在については検討するということだけを申し上げ得るので、それ以上はここで申し上げ得ないわけであります。
  51. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 最後にもう一つ、今までの行政制度に関するいろいろな委員会ができました。今御報告のありましたように、百近いものができ上がったわけですが、みんなだめだった。まあだめだったというのは非常に無礼な言い方ですが、何かあまり効果を上げなかった。それは同じ次元で委員会を作っていくからじゃないかという印象があるわけです。行政機構改革をやりますために委員会ができる。その委員会自身がまた行政機関であるという次元ですね。自分自分を判断するという形になっていくわけです。そこでむしろ次元を変えて見る必要があるのじゃないか。むしろこの臨時行政調査会のようなものは、行政機関の一部として作らずに、場合によれば、国会も行政調査権を持っているのですから、国会に付置するというような形がとれなかったものだろうか。そういたしますと、次元が違うのでありますから、従ってかなりてきぱきもやれるでしょうし、性質が違うのですからずばりとものが言えるという面も出てくるだろう、こう思われますし、もう一つ次元を同じくする欠点は、ある内閣は非常な熱意を持って一つ委員会を作る。ところが内閣がかわりますと、次の内閣はあまり熱意を示さない。この問題についても、小澤さんから川島さんへと非常な熱意を示していらっしゃいましたが、しかし失礼でありますが、百年のよわいを保たれるわけではございませんから、やがてはおかわりになるでしょう。次の大臣がどれだけの熱意を示すか、こういう点になって参りますと、委員会は、機構的にはありながらも、何となしにぼやっとしてしまう。竜頭蛇尾、こういう場合はしばしばあったわけです。ですから内閣の交代等によってその委員会が影響を受けない、そうしてフルに活用していくという意味でも、次元を異にしておく方がいいのじゃないだろうか。今までの委員会の欠点を見ますと、そこにあります。そういう意味で国会に付置をする、こういうような形をお考えにならなかったものか、国会でありますならば、なるほど選挙というものはありますけれども、しかし永続的に一つの情熱を持って進めていくことができるわけです。また国会議員自身も、行政制度というものが円滑に、国民に十分に奉仕できるようにしなければならないという情熱に燃えておりますことは、今石橋さんからもお話があったような形でして、終始変わらずにいけるじゃないか、こういう感じがするわけです。ことに、変な言い方でありますが、自民党内閣が倒れて、全然次元の違った社会内閣ができる、こういうような場合、双方の持っている政策なり考え方によって、行政機関として置いてありますと相当影響を受けるのじゃないか。これは一朝一夕にすぐ結論の出るものじゃないだろうと私は思うのです。かなりお急ぎになって能率を上げていただけるだろうと思いますが、しかし一朝一夕にはできないだろう、こう私は考えるわけです。そういたしますと、かなり長い時間をかけなければならないものだとするならば、その間における政権交代というものも当然考えていかなければならぬ。こうなりますと、失礼ですが僕らは近い将来いただくつもりですから、そういう点で、できるだけそういうものに影響されない次元に置いておくという点も考えていいのじゃないか、こう思うわけです。第一には行政機関がみずからを判断する、みずからを調査するという同じ次元だという点に、非常な障害が今まであったし、権威のなさもあった。もう一つは政権その他の交代によって、あるときは熱意が入るし、あるときは入らないというようなことのないために、国会に付置したらどうだろうという点、そういう二つの点からして、次元を変えたらどうかという感じが僕はしているのですが、そういうようなことは御議論にならぬものかどうか、御議論になったとすれば、なぜそれをとらなかったのか、こういう点を一つ伺わせていただきたいと思います。
  52. 川島正次郎

    川島国務大臣 今度の調査会は、政府の責任におきまして機構改革をしようというわけであります。従いまして内閣総理大臣諮問機関にいたしたわけであります。ただ私は内閣は当分続くことを確信しております。大臣はかわるかもしれません。かわっても、小澤さんが私になっても内容が変わらぬように、自由民主党内閣であるならば、これに対する熱意は変わらぬと思います。ことにこの委員はりっぱな人なんで、委員さえしっかりしておれば、たとい担当大臣はかわりましても活動力は変わらぬ、こう考えるのであります。国会にというお話でございましたが、これは国会の権限としておやりになることは一向差しつかえないのでありまして、国会みずからそういうことをおやりになるならば、これは全く歓迎すべきことでありますが、この調査会内閣の責任でやる、こういうことでありまして、国会の権限ということとはおのずから別の議論になってくるわけでありまして、そういうふうに御了解願いたいと思います。
  53. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私も国会の中で取り上げた方がより効果が上がるのではないかという感じは率直に持っておったわけです。特に国会の中に行政監察とあわせて、こういうものと真剣に取り組む委員会ができた方がいいのじゃないかという感じは、率直に持っておることを申し上げておきたいと思います。  次に、調達庁の機構の問題についてお尋ねをしてみたいと思うわけです。きょうは参議院の予算委員会防衛庁長官が出席しておられて、こちらの方に来れないようですので、防衛庁長官に対する質問が主になるわけですが、この点は保留いたしておきまして、川島長官と調達庁長官にお尋ねできる部分だけ一つ質問を続けてみたいと思っております。  前々から私たちは、調達庁の将来問題というものを委員会で再三取り上げて参りました。調達庁が特殊な仕事をしておる。その仕事がだんだん減るというようなことも考えた場合に、何とかここで調達庁の機構そのものを立て直すというか、変形する必要があるのではないかという気持を、私たちもずっと持ち続けてきておったわけでございますが、その一つの案として前々から私が言っておりましたのは、先ほど小澤前大臣の発言を私引用いたしましたいわゆる一括調達、各省庁が独自の立場で物品、消耗品その他を調達しておるけれども、これは非常に不経済だから、こういうものを一括して調達した方が非常に能率も上がるし、経費の節減にもなるのではないかという小澤発言、私大賛成なんです。こういうことを調達庁にやらしたらいいじゃないかということを、実は前々から主張いたしておりました。この点行政管理庁の長官としてもう一度考えてみるというようなお気持にならないものかどうか。せっかく調達業務に熟練したたくさんの陣容を持っておりながら、これを徐々に減らして、いわゆる首切りをやって散らしてしまうということは、もったいないような気もするわけでございますが、この点この機会に御検討をしてみる気持はないものかどうか、まず川島大臣にお尋ねをしてみたいと思います。
  54. 川島正次郎

    川島国務大臣 突然の御意見でありまして、私ここではっきりした御返答を申し上げるだけの準備を持っておりません。調達庁をだんだん形を変えて、政府部内一切の調達をする役所に変えたらどうかという御意見のようでありますが、それがはたして適当かどうか、成績が上がるかどうか、各方面から検討しなければならない問題ではないかと思うのでありまして、今ここではっきりしたお答えをするだけの研究も資料も持っておりませんから、御了承願っておきます。なおしかし御意見として承っておいて、今後研究はいたします。
  55. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 大臣がお聞きになるのは初めてかもしれませんが、実は私たち前々からこのことは考えてみたらどうかということを申しておったわけであります。そのことについてのお答えは今までなかったのですけれども、さっき引用いたしましたように臨時行政調査会の設置にからんで、小澤前大臣が一括調達というようなものを実は本委員会で提起されておるのです。そうすると私たちは一括調達に賛成なんです。さしあたり調達庁という機構があるのだから、そういうものを調達庁にやらせるようなことを一つ考えになったらどうだ。せっかくの御提案でもあるわけでありますから、ちょうどいい。われわれの意見と行政管理庁の長官として小澤さんがおっしゃったことと一致するわけでありますから、この辺は研究の価値が十分にあるのではないかと思ってお尋ねしておるわけでありますので、もう少し御研究方をお願いしておきたいと思います。  ところで現在政府部内で進められておるのは、そういった構想とは違った形で調達庁の機構を取り上げておられるように聞いております。防衛施設庁というのですか、実はそういうものを作ろうという動きがあって、大体防衛庁と調達庁の間で、両庁協議会を持って話が煮詰まってきたというふうなうわさを私たちは聞いておるのでありますが、その辺を一つ調達庁長官からでも、あるいは行政管理庁からでも御説明を願いたいと思います。
  56. 山口酉

    ○山口(酉)政府委員 防衛庁の外局になっております調達庁と防衛庁の本庁の方との調整問題につきまして、従来からいろいろ御意見もあり、国会でも論議され、政府部内でも研究して参りました。最近防衛庁と調達庁におきまして、かなり具体的な案について研究をされております。私どももその方向につきまして大体賛成の気分を持っておるわけでございますが、これは調達庁と防衛庁の方で、一応一つにまとまった具体案を作っていただいて、それを政府案として検討いたしたい、かような考えでおりますので、来年度を実施の目途と考えております。従って非常に急いでおりますが、まだ詳細な計画案につきまして承っておりません。従来調達庁の職員が非常に不安定な気分を持っておりましたのを、安定した機構にいたしましてそういう気分を一掃したい、かように考え協力いたして参りたいと思います。
  57. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 調達庁の職員の不安を解消するというお気持はけっこうだと思います。しかし今進められております案では、不安が解消されるどころか、逆にその不安が一そう強くなってきておる。ここに問題があると思う。もう少しお伺いをしてみたいと思うのでありますが、今進められております防衛施設庁案なるものは、調達庁を防衛庁機構の中に完全に包括してしまおうとしておるのですか。たとえば防衛庁の建本あたりの中に調達庁の機構をそのまま吸収してしまおうという案で進めておるのか。それとも逆に防衛庁の中で、今調達庁が駐留軍関係の業務をやっておる。それと類似の仕事で自衛隊の中の仕事をやっておる部門を、調達庁の方に持っていこうという考えで進めておられるのか。それともそういうことではなしに、全然切り離して別個の新しい外局を作ろうという考えで進めておるのか、その辺を明らかにしていただきたい。
  58. 林一夫

    ○林(一)政府委員 ただいま機構改正については、防衛庁と調達庁が協議会を持って検討を進めておるのであります。その目的とするところは、御承知通り基地に関する行政事務というものは両庁にまたがっておるわけであります。防衛庁の方は自衛隊の基地の取得、維持管理に関する行政、調達庁の方は米軍関係の基地に関する行政事務というような、同じような種類の行政事務を両庁にわたってやっておるというような関係で、このような共通の事務は一本にして扱った方が事務能率を上げることができる、そのような目的のために機構改正が検討されておるわけでございます。それがどういうような姿に——おっしゃるように調達庁の方に持っていって一本にするのか、防衛庁の方に持っていって一本にするのかというようなことは、まだ成案を得ていないのでございますが、少なくともこのようなものを一本にして能率化をはかるというようなことで、目下検討をしておるわけでございます。
  59. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 来週防衛庁長官にまたあらためてお伺いしたいと思いますので、それまでにできるだけ具体的にお答えできるように用意をしていただきたいと思うのですが、今の段階では大体話が煮詰まってきておる。従ってできれば次の通常国会には、法律案としてまとめて提案するというようなお気持を持っておられるわけですか。
  60. 林一夫

    ○林(一)政府委員 次の通常国会法律案提出したいという目途で、現在検討いたしております。
  61. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それがもしかりに成立するというような場合に、一挙に統合なら統合というものをその年度内で、たとえば三十七年度なら三十七年度中に完了しようというふうな考えを持っていられるのか、それとも数年度にわたって継続して徐々にやっていこう、統合できる業務から統合する、そういうふうに継続的にやっていこうというふうにお考えになっておられるのか、その辺をお答え願いたい。
  62. 林一夫

    ○林(一)政府委員 まだそういうことについての結論は得ていないのであります。どういうふうに持っていけば最も事務能率を上げることができるかというような観点から、現在検討しておるような次第でございます。今のような点についてもまだはっきり成案は得ておりません。
  63. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 とにかくこの問題で職員の各位が非常に心配しておるのは、やはり身分保障の問題だと思うのです。たとえば防衛庁の中の建本と一体になるというようなことになりますと当然、私ども考えてみましても、管理面その他重複するところがあるので、この辺が不必要になってくる。そうすればそれが大量に人員整理となって現われてくるのじゃないか、この点が一番心配の種になっておるわけですね。職員の不安を解消するためにというお題目でありますが、実際にはそうではなしに、逆の方向に行くと私は思っているのです。さしあたり今の構想を進めていきますと、大量の人員整理が出るということが考えられると思うのですけれども、不必要になってくる人員をどの程度に見ておられるわけですか。
  64. 林一夫

    ○林(一)政府委員 この機構改正は、成案をまだ得ていない段階にあります。従いまして人員整理というようなことについても、別にまだ考えてはいないのでございます。この改正の主眼は先ほども申しましたように、行政事務を能率的に推進するというところに目的を置いておるのでございます。人員整理を目的として改正をするというようなことではないのであります。どこまでも行政事務の能率化、あわせて調達庁の職員の身分の安定というようなことを私どもはお願いしておるわけであります。
  65. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 どうも私の聞きたいところがきょうは聞けないわけですが、来週防衛庁長官に来ていただいて、その際にお伺いすることにしますが、もう一つ、職員の諸君が人員整理とともに心配している点は、現在の調達庁の職員は一般職の職員です。防衛庁の職員は特別職の職員です。一般職の職員たる調達庁の職員は、いわゆる職員団体も持つことが許されておる。そういう面である程度自分たちの活動によって、安全を確保する道も保障されておるわけですけれども、これが特別職ということになってしまうと、基本的な権利も剥奪されて、いよいよもってこの不安が増長してくるのじゃないかという気持にあるようでございます。この点などもお聞きしたってどうせお答えできないようでございますから、次の機会にそれでは防衛庁長官に質問することにいたしまして、きょうはこれで終わりたいと思います。
  66. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 川島長官、そうお見えにならぬでしょうから、もう一度石橋君の言いましたことを僕からもお願いしておきたいと思うのです。小澤長官が一括調達ということをおっしゃったことは、非常に外で波紋を描いております。外ではこれに大歓迎の意を表して、かなりそれは私どものところにも来るわけです。と申しますのは、今までの官庁で、ともすれば国民の信頼を失いがちであったものは汚職です。そしてそれは、警察につかまるとかつかまらないとかいうことでなしに、現実にはどこへ行っても、幾らかそでの下を贈らなければだめだというような印象を、国民は持っているわけです。事実あちらでもこちらでも、高級官僚あるいはそういう調達に直接関係をいたしました官吏に対する、下はビール一、二本から、上は相当なものに至るまで、供応接待が行なわれているというのは、否定はできないわけです。そういう汚職をなくすという点でも、そして国民の信頼感を確立するという意味でも、各省庁にばらばらに調達をまかしておかずに、一括して行なうということは非常にいいのじゃないか。そして調達庁にそういうものを一括しておけば、政府の査察、監督というものがここに集中していけばいいわけです。そういう点で、いわゆる官吏の国民に対する信頼感を回復するという点でも、大きな政治的な施策の推進にならぬか、こう思います。ことに会計検査院の仕事も非常に単純化されていくわけです。会計検査院はあの省この省という検査を始終やっているわけですが、調達庁に一括調達ということになりますと、会計検査院の相当な主力をここに向けていけばいいわけですから、会計検査院というものは非常に仕事がやりよくなって、検査院の検査というものが、また行政機構に対する国民の信頼を高めるということになるだろう、そういう意味で汚職をなくすという監督の面でも容易になるし、また会計検査院の仕事もこれによって非常に単純化される、こういう点も出てきます。それからもう一つは、二、三の方から言ってきたのですが、業者の側からすると大歓迎だというのです。悪い言葉ですが、あちらの官庁に食い込んでようやく御用になった、今度はこちらの官庁に食い込んでようやく御用になったという形で、あちらこちらでいろいろな接待、折衝をしなければならぬ。そしてまた省々によって気分も違いますし、やり方も違います。通産省のやり方を覚えた、今度は大蔵省のやり方を覚えた、そして今度は郵政省のやり方を覚えるというような形でなしに、もし調達庁で一括調達をするとなれば、一つのフォームと一つのやり方を覚えればいいわけです。そういう意味で、業者としては非常にありがたい、こう言っているわけです。また一ところに集まりますから、業者の監督も統一してやれるわけです。たとえば何々組が郵政省で仕事をしたときにはこれだけもうけさしてもらいました、通産省で仕事をしたときにはこれだけの利益がありましたというので、アンバランスがあるわけです。同じ政府としての仕事をしながら利益が違うのです。ところが調達庁で一括してやれば、どの業者も政府仕事をするときにはこれだけの利益、そしてこれだけの期間でお金が下がる、こういうような安心感もあるわけです。従って大業者ならばいざ知らず、中小の業者はそういう点によって非常に影響されます。そういう点を考えて参りますと、調達庁が一本になっていれば、あああそこで仕事をすればこのくらいもうかって、このくらい先にはお金が出る、こういう形で非常にスムーズに業務も運営していけるだろう、そういう点で汚職をなくしていく、警察に現われない汚職を現実になくしていくという点でも、一括して監督すれば楽です。会計検査院の業務も非常に単純化される。同時にまた業者の側からいっても一本ですから、各省庁によって違った扱いを受けるという不便がなくなって便利だ、こう言っておるわけです。こういう点なども単なる行政機関の整理統合としてではなしに、政府の政策として考えていただいたらどうだろうか。これは言わでものことでありますが、ある警視庁の刑事とこの間ちょっと話し合いました。もしそうなってくれたら、私たちはとっても楽ですと言っておりました。これは汚職をなくすということにからむわけですが、非常に楽ですと言っていました。警察も楽でしょう。警察にひっかかるような官吏があっては困りますけれども、しかし楽でしょう。いずれの点から言っても楽ではないだろうか。それから一般業者でない市民の立場から言っても、そういう調達の問題にからんでいろいろ問題が出ます。たとえばビルを建てられたので、隣にあった土地が使えなくなってしまったとか、あるいは地盤低下をしてしまったとか、いろいろな問題が出ると思います。そういう問題が起きると、あああれは通産省だからというので通産省にかけ込む、あるいはあああれは郵政省だからというので郵政省にかけ込むというのでは、一般国民もたまらない。だから調達庁のようなところに一括しておいていただけば、そういう問題が起きればというので、ぱっと調達庁へ行けばいいわけですから、国民も非常に便利になるわけです。各官庁は今まで調達のための予算を持っておった。今の時代は予算は権力ですから、従ってそれを手放されるというのは、各官庁のお役人にとっては相当さびしいでしょう。ですがそれは個人のさびしさで、この際思い切ってそういう方向をとる、こういうことを考えていいのじゃないか。僕はそういう意味で小澤長官かそういうことを言われたのは、ここにいらっしゃって恐縮ですが、非常に卓見だと実は思っておるわけです。そうしてまたそれくらいな覚悟で行政機関の整理を始められない以上、単なる能率向上というだけではだめなんです。そういう意味でぜひ一つ、今初めて聞いたとおっしゃいましたが、この問題は真剣に考えていただきたい、こう私は思うのですが、どうぞ一つお願いします。
  67. 川島正次郎

    川島国務大臣 官庁の調達を一括していずれかの部局でやるということ、これは非常に膨大な部局になりまして、言うならば調達省というものを置かなければならぬということになるのではないか。今の調達庁の拡張くらいではとても追いつかぬのでありますが、先ほども申し上げたこの問題は、全く今まで考えておりませんからして、きわめて研究調査に値する問題でありますから、一つやってみます。私が行政管理庁長官になりましてから、公務員の不正不当、汚職行為、どうしてこれを防止するかということは、そうした行為、公務員自体の悪いことはむろんでありますけれども行政機構の上においてそうなるのではないかということに特に留意をいたしまして、今この監査をさしておるわけです。どういうふうに行政機構を直したら不正不当、汚職が少なくなるかということに、特に意を用いて私はやっております。結論としますと、あまりに行政機構が複雑であるということが一番ではないかと思っておるのですが、まだ監査の結果が出ませんけれども、そういう点に留意いたしております。お話の点はよくわかりました。
  68. 中島茂喜

    中島委員長 残余の質疑は後日に譲ります。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会