○谷口
委員 見てきたところではそうじゃないのです。逆なものが現われてきている。また組合からの要求が出ているのを、私自身聞いて参りました。しかし、そのことは申しません。少なくとも私
どもが見て参りました、また向こうで言われている問題といたしましては逆なんです。労働者の労働の軽減になるどころじゃありません。そうではなくて、全く機械に酷使される労働者という
状態で、おそろしい労働
状態が現われてきているのです。
先ほど郵政大臣がおる間に、皆さんまじめに、まじめにとおっしゃったが、この点をまじめに聞いてもらいたい。これは
一つのテスト・ケースでありますから、今後の問題であります。ここでどういうことが現われるかということにつきましては、十分に客観的につかみませんと、これは事業運営の上からも、労働対策の上からも、まことに重大な失政を行なうことになると思いますから、そういう点をお聞きしたい。こういう
状況です。なるほど通常
郵便物の区分機は、まだ動いておりません。あれは二台備え付けるそうであります。ところで、このキー・パンチャーになる要員を幾ら準備したかと私聞きますと、二台に二十名要員を用意してあるとの答えです。一台に十名です。ところが、この人たちはどういり労働をやるか。オートメ化、
機械化といいますけれ
ども、最も重要なところはやはり人間の頭脳なんです。普通
郵便の区分機を見ますと、皆さん御
承知の
通りです。キーをたたく人間の目の前へ普通の
郵便物――第一種第二種ですが、これが流れてくる。そのときに、大阪とか京都とか
東京とかいう、そこに書かれている現実の住居を、キーをたたく人が頭の中で符号に切りかえてキーをたたく。つまり現実の住所という文字を、異質な記号の上にそれを表現する頭脳労働をやるわけなんです。そうい仕事をそこでやっておりますが、これがなかなか機械的で、非常に緻密な一分間、一秒間も油断できないような流れ作業になっているわけなんです。それは
郵便局の諸君も言っておりましたし、局長も言っておりましたが、またさっきもちょっと問題になりましたが、こういう
機械化の中での新しい労働という新しい経験では、生理的にも心理的にも非常な大きな害を起こし、これが労働者に大きな被害を与えるという結果が生まれます。ところが、これに対してどうするかということにつきましては、一人の継続作業時間もきまっていなければ、またそういう生理的、心理的あるいは肉体的に与えられてくる病的な
影響につきましての、科学的
調査の
機関も
設置されてないのであります。そういう
機関は考慮もされていないのです。どうしますかと聞いたら、郵政省が持っております病院から――つまり逓信病院からお医者さんでも連れてきて、しばらく見てもらうことにしましようか、などとのんきなことを言っております。全然対策をしていないのです。おそらくああいう
状況であれば、初期の間には、精神衰弱の労働者が
相当出てくるのじゃないかというふうに
考えられます。
それから、小包の区分機は動いておりました。ここでの計画を私聞きましたが、経済速度は一分間に四十個だそうです。区分のキーをたたくのは、これも一人の人でやっております。最大速度が一分間に六十個といっております。ところが、現在どういう定員配置になっておるかといいますと、一分間に二十五個区分するというところで定員配置をやっております。定員でやりますから、物が多くなっても、また機械の性能にまで回転を高められても、
予算がないからすぐには人をふやせないのです。従って、これが機械の経済速度という
状況にまで追い込みますと、つまり一分間に四十個という区分をやりますと――あるいは非常に
郵便物、小包が多くなって、急速にやらなければならぬという
状況になりますと、六十個という最大速度まで持っているのですから、今の定員では倍あるいは三倍の働き方をやらなければならなくなり、キーをたたく人はもちろん、小包をそこまで運ぶコンベヤ、区分後の小包を処理するところでの従業員は、それこそ殺人的な労働を機械に強制されることになる。コンベヤといいますけれ
ども、やはり人間がコンベヤに積むのです。そのコンベヤに積んで落ちたものをまたコンベヤに積む。これが反復された秒をもって刻む肉体労働なんです。この労働の面も、二十五個を区分するというその範囲で定員がきまっている。だから、これが四十個になり六十個になったら、大へんな労働強化になる。そういう
状況に置かれている。
それから、時間がないから全部言いませんが、たとえば騒音の点だって大へんです。あの機械が全部動き出したら、職場の中はおそろしい響き、音です。その高さは七十五ホーンといわれております。この
ために、人間の神経に悪
影響を与えるということは、みな言っております。これに対しても何らの
措置も講じておりませんし、また、それがどういう
影響を与えるかということについての科学的な
調査、試験、そういうことについての体制も持っておりません。
それから、新しい労働がたくさんできました。本来、
郵便の区分は、手でやっておりますれば、皆さん御
承知の
通り、初めから
郵便をかかえて、ただ地域に区分していけばいいのですが、一種と二種だけ自動区分機にかける
ために、
郵便の一種から五種までの種類を区分けするという労働がつけ加わってきます。これが流れ作業のコンベヤのベルトをはさんで、十数人の人間で手で区分しているわけですが、これも新しい労働の分野です。こういうようなコンベヤ装置のところでは、すべてコンベヤの速度によって労働者が支配されるという
状況が出てきているのです。ここにも新しい労働形態が行なわれておって、あなたは今、従来の肉体的に肩にかつぐことは要らなくなったとおっしゃいますけれ
ども、かついで歩く必要がないかわりに、今度はコンベヤが落とす、それを次のコンベヤに乗せる、中腰になってそういうことが一日じゅう反復繰り返される。そういう緊密な非人間的な労働が八時間も続く。たから大へんな労働です。そういう労働
状況になるので、労働組合としては、オートメの中では、労働者の労働が軽減するどころじゃなくて、生理的に悪
影響のあるような、そういう労働を強制されるというので大問題になっている。こういう点については、どういう対策を持っておられるのですか。