○門司
委員 大臣の今の御答弁でございますけれども、国の場合はそれでよろしいかと思います。また地方にも何か
会議を置くようにしてありますが、地方の
会議は国の
会議とはおのずから別でありますから、
災害をどう防止するかということが地方的に行なわれることはいいと私は思います。しかし、国では今の
お話のように、ただ協議だけはするが、
ほんとうのことはみんな各省がそれによって行なうのだということになりますと、地方の引き受ける方は
一つなんです。今、地方の一番困っておるのはそれなんです。厚生省の問題については、厚生省に行かなければ話がつかない。建設省の問題は、建設省に行かなければ話がつかない。運輸の問題は、運輸省に行かなければ話がつかない。学校がどうなったかといえば、文部省に行かなければ話の筋が通らないということで、この
法律ができたら、ことさら地方の自治体はやりにくくなりはしないか。地方の自治体の
要求するのは、少なくとも一本の姿で、
災害が起こったら、厚生省の問題にいたしましても、あるいは教育の問題にしても、何の問題にしても始末がつくといいますか、
処置がとれるのだという問題がやはり地方には一番大事なことであって、国が協議をして、その協議に基づいて行なうのだというなまぬるいことをやっておって、一体
災害がかりに起こったときの
処置としては、私は満足なものではないと思います。われわれがさつき申し上げましたように、何か
一つの国の主管庁をこしらえて、わかるようにしなさいというのは、
災害が起こった場合でもこれを迅速に
処置していくためには、自治体にとってそれが最も必要だと思うのです。一方において伝染病が出てきておる。それについて厚生省が
処置をとっていく。しかし道路の計画の方は、そこにはなかなかいけない。一体道路をどうするかというような問題等がやはりこの中に考えられなければならない。こういう国と地方との
責任の所在といいますか、それを考えてみますと、国はこういうことでやればよろしいかもしれません。協議さえしておればよろしいかもしれません。しかし、地方は協議だけでは済まないのであって、実際にこれを行なっていかなければならない。そうすると国のはっきりしたよりどころがあって、一カ所に行けば、
災害があって、
災害を報告して実態がわかれば、国は、厚生省の
処置も、建設省の
処置も、運輸省の
処置もすべてそこから
処置がとられるという有機的なものがなければならないと私は思う。今日のような各省の
官僚のなわ張り争いが是正できないようでどうするのですか。
災害というのは、
国民にとって一番大きな問題なんです。人為的の
災害なんかありはしない。ほとんど大
部分が自然
災害だと思うのです。それは国の
政治のやり方が悪かったからこういう
被害が起こったという現象的なものはありましょうけれども、形からいけばやはり自然
災害であることには間違いない。その自然
災害に対処していく地方の自治体としても、地方の住民としましても、望んでおるのは、そういう
一つの大きな国の
機構ができるということを望んでおると私は思うのです。そのことは何も書いてない。国の
責任なんというのは、露骨にいえば財政
措置一つ書いてないでしょう。この
法律案を読んでみますと、地方の自治体は非常
災害に対する場合に、財政の積み立てをしなければならないというようなことが
法律案に抜けている。それに対して国はどうするかというと、国のことはちっとも書いてない。ただ、財政
措置をするとかきわめてなまぬるいことでのがれておる。もし地方の自治体にこういう
災害が起こったときの予防
措置として財政上の
規定を設けるなら、国も予算の何割かというものは毎年積み立てて置く。そうして何も補正予算だなんということをしなくても、いつでも金が出せる準備をした方がよろしいと思う。その方が国の
責任がよほど明らかになる。地方もよほどたよれると思う。そういう
処置はちっともとっていない。国の
責任を明らかにしていないところにこの
法律案の一番大きな欠陥があると思う。そういう
処置はとれませんか。たとえば、予算の何%かを必ず積み立てていく。そうして財政的にはちっとも地方に心配をかけないというようなことが明確になる。主管庁はどこで、どこに行けばそういうことは一切わかるのだということがどうしてできないかということなんです。これを自治省の
大臣に聞いても無理だと思うのですよ。私ははっきり言っておきますけれども、自治省としては、これだけの
法律案をまとめられたことはせい一ぱいだ。これ以上は自治省の力ではまとめられなかったと思う。これは審議する方においてははなはだもの足りないのであって、従って審議の過程において総理
大臣に出てきてもらって、そうして国の総元締めである総理
大臣に対してわれわれの意見というものが十分に反映する——という
言葉はどうかと思いますが、わかっていただいて、そうして、もう少し国の
責任の所在が明確になり、地方の自治体や住民が安心してある程度たよれるような
法律案に直す必要がこの際あるのではないか。私は、自治省の
大臣としては、この問題で
議論することははなはだ気の毒だと思っていますけれども、そういうと
大臣は怒るかもしれないけれども、おれの力でやれるのだということになるかもしれませんが、実際はそういうことではありませんか。この点どうなんですか。どうしてもできませんか。
一つの省にするということはできませんか。
災害で少なくとも二千億か三千億の国幣が毎年消耗しているのですよ。それをいかに防止するかということについて、もう少し国が真剣になっていいと思う。各省もそのことを考えるなら、事こういう
防災に関する限りにおいては、やはり
一つの省の施策ではないのであって、国の施策でありますから、
一つの省の
考え方だけでいけるものでは決してないのであります。この間も
お話がありましたように、いかにここで
防災会議できめられましても、おのおのの施行団体がかわってきますと、干拓の場合の防波堤は農林省がやるんだ。築堤の場合の防波堤については建設省がやるんだというようなことになっておったのでは、一貫した仕事はできないのです。だからやはり高潮の来るようなところ、あるいはそういう
被害のありそうな、大体予想されたところは、
一つの
法律で、農林省も建設省も同じような建前でやれる仕組みにしておきませんと、
防災会議でどんなにいろいろきめましたところで、おのおのの省には予算がありますし、おのおのの省にはまた
考え方がございます。だからかりに申し上げて参りますと、干拓事業に対しての農林省の予算というものについては、おのずから制限があると思う。この制限の中から国があるいは
国民が
要求しているような築堤というものができるかどうかということは、予算の
関係で非常にむずかしかろうと思うのです。それが今までの伊勢湾台風のような
弊害を起こしておる原因ではないかと思う。あの伊勢湾台風というものは、どっちがよかったとか悪かったとかいうことを
議論するよりも、皆さんの方がよく御存じです。農林省と建設省の行なった同じ
災害に対する防波堤の築き方というものは、間違っておる。そうして一方はくずれて潮が入ってきたが、一方はくずれずにおった。こういう実例があるのです。これをまとめるのは、どうしても国の
責任の所在をもう少し明確にすることのために、やはり将来でなくて、こういう
法律のできるきっかけに行なっていったらどうか。私はこういうことを考えておりますから、この問題については
一つ総理
大臣に来ていただいて、
ほんとうの
政府の腹を聞きたいと思うのです。そういう点について、
一つ委員長からも、総理
大臣の
出席を促していただきたいと思います。
それで、重ねて聞きますが、そうすると、この
法律によりますと、
防災会議というものは内閣にあって、内閣総理
大臣の諮問に答えることになっております。ところが、従来のこの種の
会議というのは、あまり
政府は言うことを聞かないのです。その年度のやり得る
範囲においては、
政府は案外言うことを聞くのだけれども、予算がどうだとか、あるいは各役所の意見が違うとかいうようなことで、なかなか諮問された
会議の意見がそのまま通らないのです。だから念を押しておきますが、この
法律でいう
防災会議できめられることは、
政府は必ず
責任を持って実行するのだという保障がつけられますか。