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1961-10-20 第39回国会 衆議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十日(金曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       小澤 太郎君    大竹 作摩君       亀岡 高夫君    久保田円次君       津島 文治君    前田 義雄君       佐野 憲治君    二宮 武夫君       松井  誠君    山口 鶴男君       門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         気象庁長官   和達 清夫君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君         消防庁次長   川合  武君 委員外出席者         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君         労働基準監督官         (労働基準局監         督課長)    上原誠之輔君         建 設 技 官         (河川局防災課         長)      畑谷 正実君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 十月十九日  委員伊藤幟君、宇野宗佑君及び前田義雄辞任  につき、その補欠として大橋武夫君、佐伯宗義  君及び加藤鐐五郎君が議長指名委員選任  された。 同日  委員大橋武夫君、加藤鐐五郎君及び佐伯宗義君  辞任につき、その補欠として伊藤幟君、前田義  雄君及び宇野宗佑君が議長指名委員選任  された。     ――――――――――――― 十月十九日  地方公務員定年制実施に関する陳情書  (第一一〇号)  基準財政需要額消防費増額に関する陳情書  (第一三九号)  火災予防宣伝費国庫補助に関する陳情書  (第一四〇号)  消防施設強化促進法による国庫補助増額に関す  る陳情書  (第一四一号)  非常勤消防団員退職報償制度法制化に関する  陳情書  (第一四二号)  奄美群島復興計画改訂に関する陳情書  (第一七五号)  国、県道改修土木事業費地元負担軽減等に関  する陳情書  (第一七七号)  町村財政自主性強化に関する陳情書  (第二二四号)  新町村建設促進に関する陳情書  (第二二五号)  県が行なう道路改修事業費地元負担免除に関  する陳情書  (第二二六号)  公立学校教職員退職年金制度実施促進に関す  る陳情書  (第二三〇  号)  定時制高等学校施設県移管に関する陳情書  (第二三一号)  交通秩序確立に関する陳情書  (第二四七号)  地方交付税に関する陳情書  (第  二四八号)  地方債の運用に関する陳情書  (  第二四九号)  都市財政確立強化に関する陳情書  (第二五〇号)  未開発所得地域に対する財政援助に関する陳  情書  (第三〇九号)  後進地域開発に関する公共事業に係る国の負  担割合の特例に関する法律の一部改正に関する  陳情書(第三  一一号)  市道の整備促進に関する陳情書  (第三一八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策基本法案内閣提出第四九号)      ――――◇―――――
  2. 園田直

    園田委員長 これより会議を開きます。  災害対策基本法案を議題といたします。  質疑を続行いたします。二宮武夫君。
  3. 二宮武夫

    二宮委員 基本的な問題、それから財政問題等につきましては後ほど質問いたすことにいたしまして、参議院の予算委員会との関係がございますので、労働省関係でまず質問をいたしたいと思います。  この法案を読んでみまして、まず心配になります問題は、労働省関係といたしましては、百十二条の第三号に示されておりますところの、非常事態宣言をすると、「金銭債務支払延期及び権利の保存期間の延長」ということになる。こういうような問題については、これを要求してならないという項目があるわけなのでございます。労務者が一応仕事をやっておる、そうして災害によって非常事態宣言が行なわれた、そういう場合に、労働基準法が第二十五条に明確にしてありますように、災害にあいました際には、労務者は事前の労務に対する当然の報酬として災害に必要な賃金支払い要求することができる、こういうような条文があるわけでございますけれども非常事態宣言が布告されますと、この場合にはそういう権限も一応剥奪されるという状況になるのではないか。特にまたその項目の第二項には、もしこれを要求いたしました際には、二年以下の懲役、禁錮、あるいは十万円以下の罰金、科料、あるいはこれを両方ともあわせて科することができる、こういうような罰則規定さえも設けられてあるわけなのであります。そこで、こういうような規定は相反する情勢になるのではないかという心配がいたしますので、その辺の解釈をどのようにお考えになっておるか、労働省立場から一つ御解明をいただきたいと思うわけです。
  4. 上原誠之輔

    上原説明員 ただいまのお尋ねの件でございますが、賃金労働者生活を確保いたします上におきましての唯一の基礎でございまして、従いまして、基準法上では、賃金支払いにつきまして厳格な規制を行なっておるわけであります。すなわち基準法の二十四条では、賃金につきましては全額を一定期日に払わなければならぬ、こういう規定を置いておるわけであります。従いまして、この「金銭債務支払」の金銭債務の中に賃金債務が入るといたしますならば、この法律規定によりまして、二十四条の規定がその限りにおいて働かない、こういうことになるわけであります。そういたしますと、労働者生活の保護の確保の上におきまして、非常に問題だと思いますので、私どもといたしましては、金銭債務の中で、賃金関係につきましてはこれを除外するということで、政令段階におきましては処理をいたしたい、こういうふうに考えております。
  5. 二宮武夫

    二宮委員 そうしますと、この法文そのものの第百十二条の三号の問題は、法文自体としては私は不備ではないかと思うのです。政令でこれを除外するというような項目は、その法文の中にはないのです。今の出ておる法案の中にはないのです。従って、これを正直に解釈いたしますと、私が今心配をいたしましたような問題でも、これはとりようによっては、一方側から、お前がここで賃金要求をした、それはこの災害基本法の第百十二条の第三号に該当するではないか、こう言われてきました際には、あなた方はそういう心づもりでおるかもしれませんけれども法文の体裁の上から申しますと、これを押える手はないのじゃないかと思うのです。これは行政局長お尋ねいたしますが、この法文そのもの考え方はどうですか。今労働省の言われたような考え方とすれば、この第百十二条の第三号というものは、ちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  6. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 形式的に申しますと、金銭債務という中には、今の賃金というようなものも入ることには相なると思うのであります。ただこの緊急事態というものの性質、あるいは緊急事態に際しまして、必要最小限度措置として政令を出せるという精神、あるいは政令自体もそのままずっと効力を持っていくわけでなくて、いろいろの担保措置でもって有効期限というものも限定的に効果が発生するように相なっておるわけであります。そういう建前から申し上げましても、この規定内容あるいは政令に盛り込むべき事項というものについては、最小限度のものにとどめていくという立場がとられることは当然であろうと思うのであります。そういう趣旨から申しますると、今労働省の方からお話がございましたように、賃金というのは、これはそれをもって生活のかてに当てておるという基本的な問題でございまして、このようなものをここでもって延期をするというようなことは考えられないというふうにわれわれとしても解釈をいたしておるのでありまして、その点につきましてはただいま監督課長がお答えになりました通りに、われわれとしても理解をいたしておる次第でございます。
  7. 二宮武夫

    二宮委員 これは、前の国会の際に、地方公務員一般給与体系並びに給与是正問題等についてどのような実態であるかということの資料要求をいたしましたところが、公務員課の方では市町村公務員についてはなかなかその資料が集まらない、がまんしてくれないかという話が私に実は非公式にあったわけなんです。ところが今回のこの基本法を見ますと、市町村公務員、もちろん国家公務員都道府県公務員も同様でございますけれども市町村公務員も、非常事態である、災害事態であるということによって、あるいは派遣をされたりあるいはいろいろな業務につかなければならないという義務づけがされておるわけなんです。そうなりますと、私は第一に聞いておきたいことは、これは財政局長の方にお聞きしますが、特に市町村公務員は、労務管理地方首長の方にゆだねられている関係から、公平委員会等がありましても、実際問題としてはなかなかうまくいっておらないというのが実態でございます。そこで、現状において市町村公務員に対する超過勤務支払い実態は一体どのようになっているか、これはあなたではちょっと御無理かもしれませんが、公務員課長かあるいは行政局長の方でもいいですが、一応この現段階を私はお聞きしておきたいと思うのです。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 地方公務員、なかんずく小さい町村あたりについて見ますると、その労務管理なり人事管理というものが、必ずしも満足にいってない。ときによりましては、きわめてルーズに行なわれておる事例があることは、私たちも認めざるを得ないと思うのであります。そういうような点につきましては、累次機会がありまするごとに注意も促し、改善ということには努力をいたしておるわけでございますけれども、なお十分の成果が上がっておらない部面があることは、これは事実でございます。しかし、給与の問題を含めまして給与制度改善その他人事管理全般の問題につきましては、昨年一般的にこまかい事項規定した通牒を発しまして、これに基づいて個々具体的に指導の完璧を期するようにいたしておるわけでございますが、なお今後ともその点については努力を重ねて参りたい、かように考えております。その一環といたしまして、超過勤務等の問題でございますが、これは、大体においては最近は軌道に乗って、払うべきものは払うという格好になってきておると思います。その点は、財政計画その他におきましても当然織り込んでおるわけでありまして、そういうことをやれる建前、またやるべきであるという建前にいたしておりますので、漸次軌道には乗ってきておると思いますけれども、なお個別の町村等に見ますると、それらの点がはっきりと行なわれておらないという部面のあることも、これは事実でございます。
  9. 二宮武夫

    二宮委員 そこで、今度の災害対策基本法では、災害であるということのゆえをもって、公務員派遣の要請あるいはあっせん、それから防災計画防災業務実施あるいは復旧計画復旧事業、こういうようなことで、地方公務員がそういう仕事に非常に強制的——と言ってはおかしいが、法的に義務づけられる面がたくさん出てくるわけなんですね。現在の状況でさえも、超過勤務そのほかについては、今あなたがおっしゃいましたように——あなたのなさった答弁は、実態から考えますと、私はまだ多少甘いと思うのです。それは、超過勤務というようなものは、地方市町村がなかなか支払いがしにくいという実情も私も承知しております。しかしながら、法的にきめられておる以上、これは地方財政計画にも入っておりまする関係上、支払わなければならぬと思うのです。それが、今度の災害基本法におきましては、特に、災害である、皆のために奉仕しなければならないぞという道義的な概念が非常に基本をなしておる。そういうような義務づけが今後とも強くやってくるのじゃないか、私はこういう心配をするわけなんですけれども、そうしますと、今あたがおっしゃいましたように、日ごろの超過勤務でさえもなかなか困難である、これは基本的にあとから財政局長大臣お尋ねしますけれども市町村財政なりあるいは都道府県の自治体の財政確立あるいはこの法によって地方財政にプラスするという面が大きくない限り、この問題はどうしても基本的に解決できないと思うのです。法の建前から申しまして、今私が申しましたように、地方の顔と顔をつき合わせる市町村人々の中では、やはり地方公務員市町村公務員などというものは、あまりそういうえげつないことを言わずに一つがんばってくれやという気持で、労働が強制されるという問題が多分に起こってくるのじゃないかという心配をするわけなんです。そういう条項は、この条項を拾ってみましても、ずいぶんだくさんあります。こうやらなければならない——あなたが先ほどおっしゃったところの、支払うべきであるという言葉ですけれども、今回の災害対策基本法では、こうしなければならないという義務づけが各所に見受けられるわけです。そういたしますと、その置かれた立地条件、人情的な気持、そういうものをも踏み越えて、やはり十分にこれらに対する報酬そのほかが支払われるという実態がないというと、この基本法というものは、私はいたずらに公務員労働強化をしているというような格好になるおそれがあるのじゃないかという心配をするわけなんです。そこで、この基本法が制定をされて実施をされるという段階になった場合に、この超過勤務そのほかの当然受けるべき給与というものに対してどのような格好になるであろうかということを私は心配するわけなんです。  そこで、これは特に労働省に、労働者を擁護するという立場から見解を承っておきたいと思うのですが、この法文を作ります場合には、当然労働省もこの労働者に関する問題については相当な発言をし、立案の中に入っておられたと思うのですけれども、今申し上げましたような地方公務員に対する超勤そのほかの。この基本法によって強制されるものに対する財政的な裏づけあるいはこれが行なわれないような実態というものの具体的な場合を想定されて、いろいろと検討されたと思うのですが、その点はどのようにお考えですか。
  10. 上原誠之輔

    上原説明員 私、地方公務員における時間外手当支給状況をつまびらかに承知いたしておりませんが、地方公務員につきましては、原則として労働基準法が適用になるわけでございます。従いまして、事のいかんを問わず、所定時間外に労働が命ぜられるということになりました場合には、基準法解釈としては、当然時間外労働手当支払われなければならぬ、こういうふうに考えております。
  11. 二宮武夫

    二宮委員 それは当然のことでございますが、それがこの基本法全体を——これは関連法案が来国会そのほかに提案をされませんと、なかなか明快な答弁ができないと思うのですけれども、現在出ておりますこういう基本法体系の中では、あなたがおっしゃるようなことが十分に行なわれるというようにお考えになりますか、どうですか。
  12. 上原誠之輔

    上原説明員 私といたしましては、地方公務員につきまして業務の命令がなされます場合に、それぞれ所定の法規に従いまして支給すべき時間外労働手当というものは、当然支払われなければならないし、また支払われるように期待をいたしたいと思います。
  13. 二宮武夫

    二宮委員 藤井行政局長お尋ねしますが、あなたが先ほど常態における給与の問題についての見解を表明されたわけですが、これをお読みになって、今のようなこういう段階で、この程度の法律で、あなたが期待をしておるような、また私が心配しておるような問題が解決できるというふうにお考えでございますか、どうですか。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 常態勤務の場合におきましても、なお町村等におきましては一般人事管理の体制が十分に整っていない、そういう前提のもとにおきまして、災害非常時ということになった場合に、この基本法におきましては、いろいろ義務づけの部分が多くなっている。そういう場合に、はたしてそれでなくても適正に行なわれておらない部面のある人事管理がさらに乱れてしまって、公務員に対して結果的には不当なしわ寄せが来るのではないかということでございますが、その点につきましては、実は従来も災害がございました場合に、一般の府県並びに市町村につきましても、職員の方々に非常な御苦労を願って、時間外あるいは深夜、夜通しというような御勤務を願っておる事例があるわけでございます。そういう場合に、どさくさにまぎれて超勤その他の支払いというものを、そうでなくても金がたくさんかかるからというような理由でもってこれを不当に抑制をしていくというようなことがないように、それぞれの場合においても、われわれといたしましては指導をいたしてきておるのでございます。今度の場合におきましても、やはり法律建前自身が、超過勤務の場合においては、やはり超過勤務手当を出さなければいかぬのだということになっております。しかもそれが労働基準法明定されているということでありまする限りは、その法の建前というものが貫かれなければならぬことは当然であります。今お話のございましたように、町村に参りますと、給与問題一つにいたしましても、まあ、そうというようなこと、あるいは他の住民の方方なり、あるいは農業関係団体職員との均衡問題、従来の沿革というようなことから、そうきちきちと言わぬでもええじゃないかというような感じがございますけれども現在の市町村自体町村合併で規模がだんだん大きくなってきて、昔たまたま見受けられましたような、片手間で役場仕事もやっているというような実態はなくなってきておるのです。そういう実態でございまするし、それはそれといたしましても、現在の給与体系なり人事管理体系というものが法律ではっきり明定をされておりまする限りは、やはりその線に沿ってやっていただかなければならぬというふうに考えておりまして、それらの点につきましては、さらに指導の徹底と強化を十分に行なって参る所存でございます。
  15. 二宮武夫

    二宮委員 これは先ほど申し上げましたように、基本的に法律自体が非常に卑怯ですよ。表面を見ますと、災害対策基本法というから、ほんとうに地方団体は飛びつきたいような気持になる。ところが、財政の問題については、これは自民党の議員の方も社会党の議員の方も指摘をされましたけれども財政的に見て参りますと、あるいは交付税を早期に支払うとか、それから予算の範囲内においてとか、あるいは政令の定めるところに従いというような逃げを打っている。明確にこれを制定する限り、地方財政に対しては迷惑をかけないのだ、国の責任においてやるのだという点が非常に明確を欠いているのです。従って、知事会市町村会ども、ぜひこれを制定してほしいという声があるのですけれども内容をしさいに検討してみますと、財政的な問題としましては、こういう点が非常に不明確で、言葉は悪いですけれども逃げを打っているような感じが私どもとしてはするわけなんです。従って、今藤井行政局長の、こうあるべきだという考え方はわかりますけれども、この法律自体では、おそらくまことに遺憾であったという状況が出てくるであろうということを指摘せざるを得ないのです。こういう問題は、基本的な地方自治体の財政なりあるいは災害に対する国の責任財政的な面というものが明確にならないと、藤井行政局長立場としては、そういう言い方しかできないであろうと思うのですけれども、これは後ほど財政局長お尋ねすることにいたしまして、労働省の方がお急ぎのようでございますから、少し具体的になりますけれども、ちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。第八十四条に、義務づけをされたところの人々が疾病にかかったりあるいは傷害を受けたり、あるいは死に至らしめたというような問題が起こりました際には、これを補償しなければならないという条項がございます。これは当然のことなんですけれども、こういう際に、私は地方実情を見ておるのですが、これは共済組合法か何かでもって具体的な例を示しておると思うのですが、たとえば脳出血でなくなったという場合に、こういう者に対しては補償をやらないということが慣行として、内規ですか、規程ですか、そういうものできめておるわけなんです。それはしかし原因は非常に過度疲労から出て参りまして、しかも職場で防災計画をやっておる、あるいは災害復旧をやっておる、そういう現場病気が起こったというときでも、なおそういう病気が遺伝的であり、あるいは何らかほかの原因がもとであるというようなことの理由をもって、その人に対しては労働基準法で定められておるところの遺族補償であるとか葬祭料とかいうものを支払わないというようなことが地方であるわけでございます。そこで、お尋ねいたしたいのは、このような非常事態において公務員派遣をし、あるいは業務に従事をさせる、こういう問題を法としてきめておるわけなのでございますが、そういうような場合に、この種の原因が、たとえば脳出血であるとかあるいは心臓麻痺であるとかいうような問題に死因がありました際に、これは大体元来が遺伝なんだから、あるいは元来が個人が持っておる病気のもとが出てきたのだから、こういうような理由をもって補償をやらない、こういうようなことがありはしないかということを私は心配するわけなんです。ここでは具体的にそういうことはきめられておりませんが、「政令で定める基準に従い、条例で定めるところにより、」云々と、こういう表現になっておるわけでございますけれども、そういう点についてはどうですか。たとえば、一例として脳出血、脳溢血というような問題を取り上げまして、非常な過度疲労から、その現場においてその病気が発生をして、なくなった、こういう場合に、八十四条における補償というものに該当するのかしないのか。これは非常に具体的でございますけれども、そういうことについて、どのようにお考えになっておられるか。これは行政局長にもあとから見解をただしたいと思いますが……。
  16. 上原誠之輔

    上原説明員 お尋ねの件でございますが、十四条に関する限り、これは「区域内の住民又は応急措置実施すべき現場にある者」ということでございますので、私の方でお答えする筋合いではないかと思いますが、労働者に関します限りは、今お尋ね脳出血とかそういったぐらいの場合には、業務に基因するかどうかということが、判定がなかなかむずかしい例がございます。私どもといたしましては、その点につきましては、要するに業務に基因したかいなかという点につきまして、しさいに検討をして、その個々具体的な例によって判断をする、こういう態度でおるわけでございます。
  17. 二宮武夫

    二宮委員 基準法にもそういう突発的な死という問題が起こりました際には、それを直ちに医師に見せて診断をさせなければならないという項目がございます。しかし、普通常識的に考えて、その業務に従事しておる間に疲労が重なった上で、あるいはこれは五年先に起こるかもしれませんけれども、そういう場合に、そういう業務命令的なもので、現場で働いておる、こういう事態が起こりました際に、これが病気原因がどうこうだから、病気の性質がどうこうだからこれにはやらないのだ、こういうようなことは、私はこの法律の趣旨からいいますと、考えられないと思うのです。あなたのおっしゃるように、一にかかって医者の診断にあるのだ、こういうことなんですけれども、ここにはっきり法律として第八十四条に出ております際に、これは行く者自体についても、あなた自身がそういう立場に立った場合に、ぜひ派遣をしてもらいたいという要望があって派遣をされた、ところが行ってみたら、大へんな事態だ、そこで夜の目も寝ずにがんばった、そういう事態の中で病気が起こってきたという際に、これを病気の性質がこうこうだから、あるいはお医者の診断がこうこうだから、直接その業務原因をしないのだというようなもし判定をするとすれば、これは私は遺族にとっても大へんな問題であるし、本人にとっては非常な問題だと思うのですが、こういうことに対して、今の答弁よりもいま少し前進をした、突っ込んだ御答弁がいただきたいと思うのです。無理かもしれませんが、一つ行政局長でもいいです。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 労働者については、労働者災害補償公務員については公務災害補償、その他これに類する制度が今実施されているのでありますが、今御指摘になりましたこの八十四条は、市町村の区域内の住民あるいは応急措置実施すべき現場にある者を応急措置業務に従事させるという場合において、その業務に従事した者がそのために死亡したり負傷したりした場合におけるその損害の補償規定でございます。しかしこの点、場合は異なりますけれども、今お話しになっております認定の問題ということになりますと、大体同じ基準でもって考えていくべき筋合いのものであろうというふうには思うわけであります。問題は、これは私の私見にわたる部面があるかもしれませんのですが、結局死亡という事実がありました場合に、その死因ということで初めからきめてかかるということは穏当ではないのじゃないか。脳溢血であるからこれは当たらないのだというような、一方的なきめ方は私は適当でない、むしろ問題はそのためということ、業務に従事させた、あるいは公務に従事したことによって、そのために死亡という事実が起きたかどうかということの認定が大事であろうと思うのであります。その点では、私といたしましても、その直接の死因、あるいは原因ということだけでもって形式的に分類をして認定をするかしないかというふうにきめてかかることは適当でないと思っております。なかんずく、この八十四条のごとき場合は、本人が自発的にやるとかなんとかいうことではなくて、緊急措置をやる場合に、住民なり現場にある者を命令をさせて、いわば強制的にその業務に従事をさせるということでございます。そういうことでございますので、当然それらの状況というものは多分にその認定の要素としては入ってこなければならぬわけであります。ただ、そのためにすべてのものが乱給に陥っていくというようなことでもむろん困りますけれども、あまり形式的な解釈でもってやっていくということは、むしろ慎しむべきことではないかというふうに私は考えております。   〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
  19. 二宮武夫

    二宮委員 時間の関係等から、ささいな問題から入りましたので、労働省の方については、以上申し上げました程度で私の質問は終わりたいと思います。次の方に行かれてけっこうでございます。  ただ要望しておきたいことは、そういう問題について、ただ希望的な観測であるとか、あるいはこうあるべきであるというようなことではなく、少なくとも国が責任を持って法律を制定いたしました以上、労働者に対してそうした不利な条件になったり、あるいはそうこうことによってしわ寄せを受けたりするようなことについては、十分にその監督をして、そういう事態の起こらないように、これは行政局長にもお願いしておきたいと思います。大体地方の自治体の給与実態等についても十分に常日ごろから把握をされまして、こういう法律を作ったために公務員に対するしわ寄せの起こったりすることのないように、あるいはそうあるであろうというような希望的な観測ではなくて、それらにつきましては一つ十分に財政当局とも話し合いをされまして、部内の調整をされました上で行政指導をやっていただきたいというふうに要望いたしておきます。  労働省の方は以上でございます。
  20. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっと関連して。労働省がお帰りになるそうですが、賃金支払いですね、さっきおっしゃったことでよくわかると思うのですよ。けれども災害が起きた場合に、この何条かにきめてありますけれども、いろいろの政令で制限をしなければならない緊急非常事態がある。これは大災害の場合ですね。そういうときには、支払い主もやはりお金に困るでしょう。実際上お金に困って払えない状態が出てくるのです。だから、あなたの方のさっきおっしゃったことは、物資の統制であり、賃金統制であり、あるいは商取引の統制だ、こういう統制事項政令にゆだねてあるわけです。賃金統制の思想が入っている。実際上の経営者は困ってしまいまして、払いたくても払えない。そこで基準法上の取り扱いと現実の矛盾とが出てくるのですが、その際に賃金の最高額の決定などということをなさいますと、全体に賃金を少なく払うという思想が出てくる。今の基準外労働などというものはなかなか認めてくれない。だからそこにおる工場の人たちは、水が入ってきたから水を一生懸命に防いでいたとか、あるいは破壊されてしまった建物の取り片づけをやったような場合さえも、工場の方では、別に工場として頼んだわけではないから、それは工場が払うべきものじゃないという、こういう問題が出てくるでしょう。そうすると、そこで片方の失業手当を払うか払わぬかの問題が出てくる。工場が業務を停止してしまったのですから失業手当を払うべきであると言うと、失業手当の査定の方では、工場の仕事をやっておるじゃないか、土のうを積んだりその辺にぞうきんをかけてみたり、廃材の取り片づけというようなことがあるから、そこにおった以上は何かやっているに違いないから、払うわけにいかぬと言う。こういう失業手当支払いを拒否され、片方の賃金の方は払えないと言う、この相剋、衝突、矛盾が出てくることが非常に多いと思うが、そのときにずばりと何かやるものさしは用意されておりますか。
  21. 上原誠之輔

    上原説明員 災害が起こりました場合に、災害を受けた工場といたしましては、賃金支払いに非常に困窮する、こういう場合が多かろうと思います。私どもといたしましては、基準法の定めによりまして、全額をいつ幾日に支払わなければならぬ、こういう使用者としての義務があるわけでございますが、その義務を履行することにつきまして十分監督指導をして参りたい。ただ、しかしながら、使用者としていかなる努力をしても支払えない、こういう問題が起こっておるわけでございます。そういう場合につきましては、監督指導を通じましてできるだけ円滑に賃金支払いがなされて参りますように、十分指導をして参りたい。  ただ、休業をするという場合に、これは天災地変の場合には休業手当支払いがないわけでございます。休業手当支払いの義務がないということになりますけれども、従来まで大きな災害が起こって参りました場合に、われわれといたしましては行政指導といたしまして、休業手当に類する額の手当支払ってもらいたい、こういう指導を今までやってきておるわけであります。また、その指導に従って、今までの例を見ますと、休業手当に類する額あるいはそれ以上の賃金の全額が支払われているというのが実情でございます。
  22. 太田一夫

    ○太田委員 ちょっとわからないからお尋ねします。その休業手当とか云々という名前のものは会社が支払うのですか、それとも国が失業保険の中から支払うのですか。どっちですか。
  23. 上原誠之輔

    上原説明員 雇用関係にある以上は、失業保険金は支給がなされません。
  24. 太田一夫

    ○太田委員 そうなると、われわれは伊勢湾台風の災害を経験しておりますから、そういう体験の上から申しているのです。あの台風のときは失業保険の特例というので、待期期間なしに払っているでしょう。工場の煙突の煙の絶えたときは仕事のないときです。だからその絶えた日から払う。これが伊勢湾台風のわれわれの教訓でしょう。また体験であり、政治の積み上げですから、それを御破算にするということは、この中に入っているはずがないでしょう。してみれば、いかなる非常事態緊急事態が起きようとも、災害によって工場の煙が絶えたときには、その労働者に対する失業手当、失業保険金の支払いは待期間なしに即日開始されるというのが恒常法化していいと思う。そういうことでないですか。
  25. 上原誠之輔

    上原説明員 私は実は失業保険の関係を所管いたしておりませんのでお答えできませんが、建前といたしまして、失業保険金の支給は雇用関係がある間はなされないというのが建前でございます。
  26. 太田一夫

    ○太田委員 そのままでこの問答が終わるとまずいのです。今あなたは労働省を代表していらっしゃるという立場から、賃金の問題を二宮委員が質問なさったわけだから、単にここにある何条とかの解釈ということについて、あなたの所管のことだけでお答えいただくのではなくして、総合的に災害と工場と雇用主と労働者という関係を解明していただかなければ、この政令は何を意図しているかということが読めない。あなたがお答えできなければ、内閣総理大臣にかわって藤井行政局長、どうですか。
  27. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 内閣総理大臣にかわるような資格はございませんが、この緊急事態のところで書いてございますのは、賃金の問題であるとかあるいは金銭債務支払い延期ということがなし得るような体制だけを確立をしておきたいということでございまして、この基本法自体におきましては、今お話に出ておりますような点は全然触れておらないのであります。これは労働基準法なりあるいは失業保険の制度の運用の問題あるいは改善の問題につながって参るのではないかと考えるのであります。ただ、それらの点についても、事災害ということに起因していろいろな事態が起きて参ることに相なりますれば、当然基本法自体とも無縁とは言い得ないわけでございまして、それらの点につきましては、またこの法律の精神論になりまして恐縮でございますけれども、その趣旨にのっとって、なお改善を要するものがございますれば、各省所管の法律制度につきましても、なお改善、検討が行なわれることを期待いたしておるのであります。
  28. 二宮武夫

    二宮委員 先ほどちょっと申し上げましたが、今回の法案を通読いたしまして、地方の自治体といたしましては飛びつきたいような表題です。タイトルはまことにいいのです。ところが、前々から指摘をされました議員と同じように、肝心なところで逃げている。継ぎはぎだらけで背骨がないというようなことを小澤君は言われましたが、全く背骨がない、継ぎはぎだらけと申しても言い過ぎではないと思います。それから行政課長も、残念ながらこの法案については一人でもって答弁する自信はだれもないのだという答弁をされたように記憶をいたしております。われわれが考えますのに、国民の立場からもあるいは地方自治体の立場からも、災害を防ぎたいという気持は同様なのであって、この基本法だと、何だか国でもって基本的に問題を解決してくれる法律だ、このようにタイトルだけ見ますと考えるのです。ところが実際問題といたしましては、これは各委員が指摘をしましたから私は重複することを避けますが、何といってもお金です。地方財政を確立すること、あるいは国が財政的に援助すること、これが一番根本問題なんです。ところが、それについては、先ほどちょっと申し上げましたが、あるいは政令で定めるとか、あるいは早期に支給するとかいろいろな言葉逃げておるわけなんです。そこで地方の自治体といたしましては、私ども陳情書をもらいましたが、おそらく奥野さんももらったと思うのです。地方団体から、十月十七日付でもって、こういうことについてはぜひ国で見てもらいたいという要望書がきておると思うのですが、ごらんになりましたか。ごらんにならなければ、私が読み上げてもけっこうですが、少なくともこういうことについてどうですか。これは今後の問題ですが、こういう今後の財政的な問題ができるまで、この法律を早く成立をさして急ぐ必要はないと思うのです。少なくとも基本法というものは、それに関連した法案を準備して、財政的にもこういうふうにするんだという明確な答弁地方にお答えできるような姿においてやるべきだと思うのです。ところが池田さんは、たびたび今度の国会災害対策の臨時国会だから災害基本法は制定をするんだ、いかにも表面づらは合うているのですけれども、実際は先ほど申し上げましたように、この法案自体が財政の問題をすっぽかしている。そこでちょっと読み上げますよ、重復するおそれがありますけれども地方団体から要望のあります問題は、第一として「第四十条、第四十二条、第四十二条及び第四十四条」、これは地方の地域防災計画の作成ということを規定しておる条文でございます。「及びこれらにもとずく第四十七条」、これは防災に関する組織整備の義務づけの条文でございます。「第四十八条」、これは防災訓練をしなければならないという義務づけの条文です。「第四十九条」これは防災に必要な物資及び資材の備蓄をやらなければならないという義務づけの条文です。「の規定による必要な経費については、国庫負担とすること。」これをするかしないか、これがまず地方の六団体としては緊急第一の問題として要望しておる問題でございます。財政局長どうですか、こういう要望についてはあまり財政的に逃げを打たずに、この基本法を定める限り、今回は準備できずに提案はできなかったけれども、これらの問題については当然国が見るんだ、こういう御答弁ができますか、どうですか。
  29. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 法律が制定され、施行されるようになって参りますと、その法律に従いまして所要とされる財政需要につきましては、十分まかなわれるような具体的な措置は当然講じなければならないと思うのです。内容によりましては、基準財政需要額の増額というような措置を講ずる場合もございましょうし、ものによりましては国庫補助負担金の計上というふうなことにもなろうかと思うのでございます。
  30. 二宮武夫

    二宮委員 財政措置は、あるいは補助の増額の問題にしろ、あるいは交付税の増額にしろ、そういう財政措置は行政事務としてあなた方の方でやられたらいいと思うのです。地方はお金がもらえたらいいんです。そこで今の第一の要望であるところの国庫で負担をするということについては、明確に奥野財政局長の御答弁で、私は国が見るという答弁が得られたと思うのです。  従って次に参りますけれども、第二といたしましては、第八十四条の応急措置の義務、これがございます。先ほど私が指摘をいたしましたところのいろいろな義務づけをやって、そこから起こった事故そのほかについては、これをぜひ傷病は傷病、死亡は死亡というような問題について、これを見なければならないという義務づけがあるわけなんですけれども、これらを地方自治体にまかして、お前たちの方でやれやというふうな形にならないように、これもこういう法律を作る以上、国で全額負担をしてもらいたい、こういう御要望があるわけなんですが、これはどうです。
  31. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 内容に基づきまして、当該団体財政需要につきましては、必要な措置を講じなければならないと思います。その財源の与え方としましては、あるいは国からの補助負担金の問題もございましょうし、先ほどもちょっと申し上げましたが、こういうものについては基準財政需要額に算入するということもあるいは困難かもしれません。従いまして、そういうものはそのつど特別交付税の計算に算入していくというような方法を講じた方が妥当である場合もあると思うのであります。いずれにいたしましても、それぞれに適切な方法を工夫して参りたい、かように考えております。
  32. 二宮武夫

    二宮委員 そのほかの条文といたしましても、この法案が制定されて参りますると、地方においては財政支出の問題で相当重荷を負わなければならぬ問題が起こって参ると思うのです。しかしながら、災害を国民全部の力で、国の力で守ろうという基本的な考え方から参りますると、地方団体が要望しておりまするように、国の方で財政措置の方途というものを講じなければいけない、このように考えるわけでありますが、今例として一、二をあげましたけれども、そのほかにも国が見てもらいたい問題が相当にあると思うのです。そこでこれらは、やがてもし法律が制定されました後においては、地方の防災会議、中央の防災会議において計画は樹立されると思うわけでありますが、そういう問題についてはこれを国の力において財政的にも実施をしていく。こういう方向でぜひ御推進をいただきたい、こういうように考えるわけですが、大臣お見えでございますが、大臣、そういう点についてはよろしゅうございますか。
  33. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話しの通りでございまして、これを国、地方をあげて総力で防災態勢を作っていこうということでございますから、国としてもできるだけの配慮をいたしたい、こう考えております。
  34. 二宮武夫

    二宮委員 藩閥大臣答弁というのがあるのです。というのは、どっちにもとれる答弁が、大臣答弁という言葉の言い現わし方です。今あなたがおっしゃられた、できるだけやって参りたい。これは聞き方によると、大そううれしいような、また一面ずいぶん逃げ道のたくさんある答弁なんです。そこで私は、基本的に防災という問題については、従来日本の国が置かれた地層的あるいは地形的な条件、そのほかいろいろありましょうけれども、予防にしろ復旧にしろ、あるいはそれらの計画にしろ、当然国が責任を持ってやるべき問題であるというように考えるのです。できるだけのことをやるんだというようないわゆる大臣答弁でなく、この前から言われておるような、あるときには積極性を出してみたり、あるときには多少引っ込んでみたりするようなことでなく、明確に御答弁をいただきたいと思うのです。
  35. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話しの通りでありまして、決していいかげんな、あいまいな答弁のつもりではないので、これはこの条章の中にも国で持つべきものについてははっきり区分をして、国で持つべし、こういうふうに条章でも明らかにうたっておるのでございます。これは国で十分の措置をいたすという前提のもとに、この法案考えております。
  36. 二宮武夫

    二宮委員 それでは本会議における川村議員の質問に対する水田大蔵大臣答弁を官報で読み上げますと、あなたのおっしゃるのとうらはらというか、あなたよりもやや消極的な答弁なんです。財政的な問題はぼけているじゃないかという質問に対して、それがために第七章を作ったんだ、第七章に財政金融措置という条章を作っておるじゃないか、だからいいじゃないかと、端的にいえばそういうことなんです。そこで第七章の財政金融措置という条項を見て参りますと、これがまたまことにいいかげんな条項なんです。先ほどから申し上げておりますように、予算の範囲内において云々とか、あるいは繰りかえてどうこうだとか、あるいは起債計画の範囲内において云々とかいうような言葉でもって、これは現時点といたしましてはやむを得ない答弁かもしれませんけれども、聞く方としては、まことにたよりない第七章なんです。第七章が設けられたからもういいではないかということでは答弁にならぬと私は思うのです。従って、第七章を一々分析して参りますと、やはりぼかし方が国の責任であるかのごとく、あるいはできそうでできないという問題もずいぶんたくさんございますし、これらはやがて水田大蔵大臣答弁のように、特別立法で措置した問題を恒久立法として検討して準備をして次の国会に出したいと思うのだ、大蔵大臣答弁を要約いたしますと、こういうことなんですよ。従って、こういう法案が出た限り、国としては当然見るべきものは見るのだというようなことでは、答弁としてはまことに不満足だと私は思うのです。そこでこの災害対策基本法というものに出します際には、第七章を作って財政融資の問題を措置したから法文的に体裁が整ったという意味ではなくて、いま少し実質的に、これらに関係した具体的な法案を準備して同時に提案をしてくるという行き方でなければ、国の誠意は認められないと私は思うのです。そういうものが出るまでは、これはほんの足がかりになる程度のものであって、ほんとうの意味においては絵にかいたもちみたいなものだ。先日来のだれかの答弁で、一歩前進だからいいじゃないかという答弁がありましたけれども、この基本法という名前に対しては、私が申し上げましたような具体的な立法措置というものをして、やはり農業基本法のよしあしにかかわらず、農業基本法というものを作ったら、それの近代化資金の措置についてはこうするのだ、あるいは転作の場合はこうするのだという財政的な問題を添えて、それを立法化して同時に提案をしてくるというのが、単なる答弁でなくてほんとうに誠意ある政府の災害対策の基本な態度ではないか、このように思うのですが、どうです。
  37. 安井謙

    ○安井国務大臣 大蔵大臣がどこかの委員会でどういうように答弁されたか知りませんが、本会議における答弁につきましては、私どもと十分打ち合わせをされました結果、この基本法が通ることによって今後——たとえば六月以降のいろいろな災害法にいたしましても、非常に時間と手間を食って、三カ月も四カ月も対策が基本的にきまらないということじゃ非常に困るというようなことから、今後はそういうものに対する一つ基準立法を作って迅速にこれが処置できるようにやりたい、こういうことを大蔵大臣も意思表示をしております。従いまして、そういった打ち合わせに基づいて、本会議におきましては、この法案が通ればそれに対応するそういう立法は次の国会をめどに自分もやるつもりであるということを大蔵大臣も言明しておることは御存じの通りであろうと思います。  なお、国の今の責務につきましても、お話は私どもごもっともだと思います。第三条でも、国の責務のところにおきまして、すでに国がやるべき仕事については明確に責任をとらなければいかぬ、こういう条章をうたっておるわけでありまして、さらに今の第七章でございますか、そこではいろいろと細目的なうたい方をしているわけでありますが、建前は、こういうように第三条におきましても国の責務を明らかにする、こういう点もうたっておりますので、そういう意味からは、二宮さんのこのお気持といいますか、御主張にさからって法律じゃなかろう、私はこう思っております。  なお、農業基本法において相当具体的なものがあるから、あれと同じような形でなぜ作らなかったか、これは私は程度の問題だろうと思います。いろいろお考え方もあろうかと思いますが、御承知のように、農業基本法におきましても、二十何本の付帯法律案ができなければほんとうの実のある法律にならないということになっておることは御承知の通りだと思います。しかもあれは農林省だけでいろいろとやっていける問題なんであります。今度の災害防止対策というものは各省、各機関をあげてそれをまとめていかなければならない、そのまとめていく足がかりをまず作っていこう、こういう意味でございまして、その意味での一歩なり十歩なりの前進なのでございまして、決して後退をしておるというところはどこにもなかろうという確信を持っているわけでございます。どうか一つそういったような点につきましても御了承を賜わりまして、ぜひ慎重御審議の上、御成立をお願いする次第であります。
  38. 二宮武夫

    二宮委員 一省でやったからああいうのができて云々という御答弁ですが、各省間にまたがるからわれわれとしては一そう心配なんですよ。各省間にまたがるから、こういうものが一応できるのに相当難産したであろうと思うし、従って、これに基づいての予算措置その他については、まだそのほかにいろいろ問題があるのではないかと思うのです。だから、大臣の御答弁の裏をとるようでございますが、逆に申し上げると、そういうような各省間にまたがる問題であるから、法律というものを一応作って、そうして実質的な肉づけをやって、それを一緒に提案してくるという努力を前もってすることの方が私はいいのではないかという感じがするわけです。水田さんの答弁は「過去何回もの特例法の内容を比較検討いたしますし、また、そのときの特例法がどれだけの効果を上げているか、実績はどうかというような調査をもとにいたしまして、来国会に提出できるということを目途に成案を急いでおるところでございます。」こういう答弁ですね。   〔渡海委員長代理退席、纐纈委員長代理着席〕 ですから、私は先ほど申し上げました考え方からして、あなたの御答弁を聞きましてもなかなか理解ができないのは、この法案自体が各省、各庁間のみんな関係のあるものを、いわゆる最大方約数に制約をしてずらっと並べてしまった。従って、できるまではなかなか難産だったろうが、今度これに水田さんがおっしゃるような特別立法の分の実績を検討して、これをもとにして、これに関連する肉づけの法案を作って、来国会を目途に提案をしてくる、こういう段階になりますと、これは一省でやる問題でないだけに、私は非常な問題があるのではなかろうか、こういうように考えるのです。そうかといって、私どもとしては、私ども自体も災害対策基本法というものを作ること自体については決して反対をしておらないのですよ。ただ、このような形の、肉のない血の通っていない法案では私は困ると思うのです。もう少し肉づけのできた、もう少し国民が安心をし、地方自治体が安心ができるようなものを作って、この災害対策基本法という名にふさわしいようなそういうものを一つぴしっと打ち出してもらう、こういう姿が私は一番望ましいのだというように考えるのです。その点は多少あなたの方は、一つ法案を作っておいて、十歩前進というか——私は十歩前進とは考えませんけれども法案を作っておいて、その法案を足がかりに各省間の予算をまとめて、防災計画を作って、それでもって予算要求を各省でもってやって、それに関係のある法律を作って、次の国会にそういうものを出してくるのだ。こういう行き方では、実際問題として地方団体なり私どももなかなか納得をしかねるのです。なぜこれだけをこんなに急ぐ必要があるのかという感じが実際のところするわけです。あなたの考えでは、これをやれば一つの橋が渡れたのだから、その橋を渡った向こうの景色を展望してみて、その際に具体的な問題を作っていって、それから次の国会に出して漸次進めていこう。こういう行き方のようですけれども、おそらく地方行政委員の皆さんは、私が今申し上げましたようなもう少し肉がつき、血が通ったところの法案であってほしいという希望があるのではないか。同時にまた地方自治体そのほかにおいてもそのような希望を持っておるのではないかと私は思う。なぜ地方の六団体がこれを早く制定してもらいたいということを要望するかというと、この災害対策基本法という名前につられているのではないかと思う。名前につられるということは、私が申し上げましたような肉がついている、血が通っている、地方では財政的にもらえるのだ、そういうことを期待をしてこの問題を要望しておるのじゃないかというような感じがするのです。だから自治大臣が言っているような考え方とは違って少し逆行しているのじゃないか、内容を見てみますと、何だこんなものかという感じが、おそらく内容を検討して参りますと起こってくるのじゃなかろうかというように思うのです。これは私の要望みたいになりますけれども、そういう姿で、もう少し練り直す必要があるのじゃなかろうかというように考えるのですが、どうですか。
  39. 安井謙

    ○安井国務大臣 基本法というものに対するあり方のお考えにつきましても、いろいろ御議論はあろうかと思います。こういった基本法にさらに具体的な肉づけをした方がより早いのじゃないかとか、いいのじゃないかとか、これも私どもごもっともな御意見だと思いますが、今お話しのように、個々の具体的な肉づけというものをやりますには、またそれ相当の手続も要る。それから基本法というものの考え方でございますが、ただ足がかりだけ考えて、あとはこれから具体的な案を練るということだけでもないのでございます。いわゆる基本的にやらなければならぬこの防災会議あるいは防災基本計画、これは今までなかったものなのです。なかったものをぜひこの際基本的なものを作っていくという基本的な考え方がある。それからさらに地方の防災活動を統一的にやる、これも今まできめていなかったものをやる。さらに今までその都度個々にきまっておったものは将来やらなければならない、基準法律というものを作らなければいかぬという義務づけをする。この三つの柱というものが、私は基本法の性格としてそう後退したものとか、あるいは単に足がかりという程度のもの以上のものがこの法律の中にあると思うのであります。ただ法律の体裁どいたしまして、正直に申しまして、現在百幾つもある法律をそれぞれその場で生かしながら、そういう前進をやろうというのでございますから、技術的に相当困難な問題が現実にあるのであります。しかも、これも各省にまたがらなければ、今の防災省とか防災庁というような考え方をして、各省の防災関係の機構を一つにまとめるというのは、これは一つ考え方であろうと思いますが、今日の段階では、やはり建設省なら建設省における防災面をこの基本のあるエージェントから推進をさしていく、それぞれの部署での機能を発揮させる方が、そういうものをみな集めてきて一つの防災庁というものにするよりは、より実際上の効果がいろいろな関係であるだろうという判断に立ちまして、今のところ防災庁あるいは防災省というものではなくて、総合的なエージェントを作って各省の機能を発揮させようという考え方でありますから、いわば民主主義とファッショとの違いのように、なまぬるいところがあるのじゃないかと思いますが、それだけに相当苦労して練っておる点も一つ読んでいただきますと、御理解いただけるのじゃなかろうか、こう思いますので、一つ何分ともそういう趣旨で御了承賜わりたいと思います。
  40. 二宮武夫

    二宮委員 奥野財政局長お尋ねしますが、それぞれ地方自治体では、都道府県を中心にしますが、都道府県単位でそれぞれ防災に対する計画を持っておると思うのです。救助の関係とか、あるいは救助物品の備蓄とか、あるいはまた防災のための一つ会議を持つものとか、こういうものがあると思うのです。この法律でできなくなくてもですね。そういうものについて一番近い最近の都道府県のそういう——これは最初から私この質問を聞いておったのですが、相当従来の行き方にも批判を加えて、従来の行き方に反省を加えた上にこういうものを作り上げたということでございましたからお聞きするのですが、都道府県で防災について予算を計上し、あるいは準備をしておるというようなことについての統計的なことをあなたの方でお待ちですか。
  41. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 防災のために日ごろから準備しているということになりますと、一つは防災のための積立金というような問題があろうかと思います。こういうことにつきましては、災害救助法に基づく積立金が全国で七億円弱程度だったと思うのです。しかし今日のように金融制度が発達しています際には、それほど大きな意味はそういうものにおいては持っていないのじゃないだろうかと思います。なお、災害が起こりました場合に、それぞれの関係機関と連絡をとらなければなりませんし、   〔纐纈委員長代理退席、委員長着席〕 またそれぞれの必要な資材の備蓄もお話のように必要かと思うのであります。資材の備蓄について特に国が援助措置をとっていますのは水防資材関係でしょうが、そういう程度のことであって、それ以外に積極的に国が援助措置をとっているものは、現在のところあまりないように思っております。しかしその場合でも、地方団体としては、いざ災害が起こった場合に、どういう系統の機関を通じて所要の資材を調達するかというようなことにつきましても、ある程度の検討はしているようでございます。災害が起こった場合にそれらの調達をして、配給その他の仕事もやっていくわけでございますけれども、そういう場合に国がどういうような援助をしてくれるのかというようなことが、必ずしも平素から明らかになっていないわけであります。このことが、地方団体が確信を持って防災計画を作り、いざという場合に急速な措置をとっていくというようなことに対します一つの大きな障害になっているのじゃないだろうかという心配を持っておるわけであります。  二宮さんからこの法律につきまして具体的な事項がいろいろ欠けているじゃないかという御指摘がるるあったのでございますけれども、私どもは、やはり積み上げ方式的にいろいろな問題をほぐしていく考え方があるのじゃないかと思うのであります。またそのことを確立することが防災計画をすみやかに立てさせ、いざという場合に迅速な活動ができる基礎になっていくのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。今申し上げたようなことでございまして、災害がありました場合には、それについて一応の対策をとっておりますから、次の場合にはそれが基礎になっていくような仕組みをどの地方団体でも考えているようでございます。しかし、遺憾ながら現状におきましては全地方団体においてそういうような防災の計画とか、いざ災害が起こった場合にどういう措置をとるかというようなことについて、確立した対策が持たれているというような状況には至っていないわけでございます。
  42. 二宮武夫

    二宮委員 私が調査しましたところでは、九州などは台風などの常襲県でございますから、大体かねがね備えがあるわけなんです。私がお聞きしておるのは、皆さん方の方でこういう法律を作る場合に、全国的に、いつやってくるかわからない災害に対して、全く無防備な姿で行政が行なわれておるかどうかということが問題になるのであって、そういうことについて全国的に調査をし、全国的にどのような予算を組み、全国的にどのような態勢を整えておるかというようなことを、自治省は自治省として研究したことがあるのかないのか、研究したことがあるとすれば、どういうような程度の予算をもってこれに対処しておるのか。と同時に、この法律が通れば、それとは違って来年度の地方財政計画の中に盛り込まれる、こういうような態勢がとれるのだというような確信を持っておるのか。そういう具体的な問題をやはり十分基礎にしてこの法律というものが作られなければならぬと思うのです。そういう調査も何もせぬでおって、全く無防備だというような姿で自治省が地方の行政の実態というものを把握しておるのでは、まことに心細い問題だと思うのですが、そういうことを調査なさったことはないですか。
  43. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 むろんこの法案を作成する段階におきまして、あとう限りの調査等はやってみたわけであります。またこの法案作成の基礎には、関係各機関でいろいろ答申案を随時出しております。また行政監察局あたりの詳細な監察結果というようなものも公表されておるわけであります。そういう面から見ますと、むろん県によりまして、災害常襲地帯というようなところと、そうでないところとでは心がまえにも相違があることは、これはやむを得ないかもしれませんが、その点ニュアンスの相違はかなりあるようでございます。全然無防備というような格好ではございませんで、それぞれ県の段階におきましても、ところによって防災課あるいは消防というような関連でその他一般災害対策というようなことも管掌いたしておるような仕組みにも相なっております。また、災害が起こりそうな場合、あるいは発生をいたしました際におきましては、御承知のように災害対策本部というようなものを置きまして、各部内の総合調整をはかる中枢機構としてこれを活用されております。その他平時の場合では、これは御承知でございますように、計画自体も全然ないわけではございませんで、たとえば水防法に基づく水防計画でありますとか、あるいは災害救助法に基づきます救助計画、あるいは消防法に基づく消防計画というようなものをそれぞれ持ってはおります。ただ、それが非常に部門的、局部的事項別でございまして、全体の脈絡、全体の防災としての位置づけというものがきわめて不足しておる。これは私はまぎれもない事実ではないかというふうに考えるのであります。  従いまして、災害関係予算というものにつきましても、一般的にいって、災害対策関係費というような計上の仕方をやっておる向きはほとんどないわけでありまして、それぞれの部門別に所要の経費を計上してやっておるいとうことでございます。遺憾ながらこれは十分なものではございません。災害関係といいましても、災害が起こった際に災害復旧費その他として目立ったものが見えるのでありまして、その他は国土の保全というような見地から、治山治水の関係も防災に関する経費として分類分けはできると思うのでありますが、全体としてそれがりっぱに完備し、十分であるというような体制からほど遠い状況に相なっておるのであります。  そういうことで、随時申し上げ、また大臣からも御説明申し上げておりますように、現在の災害対策の根本的な欠陥でございます総合性に欠けておるという点、なお計画性に欠けておる点、そういう点を中心にして、全体的な体制というものをここに確固としたものに打ち立てていきたいということが最も重要なねらいというふうに考えて、本法案の構成をいたした次第でございます。
  44. 二宮武夫

    二宮委員 消防庁の方にお聞きいたしますが、消防組織法によりますと、これはいろいろ私が文句を申し上げるよりも、あなたの方で実態を御報告いただきたいのですが、実は私はことしでしたか、雪害の調査に北陸から全部回ってきたのですけれども地方の消防の活動について、これは今回の法案を作る前に、消防庁として、従来の行き方についての反省あるいは自己批判というものをやっておるのではないかと思うのですが、雪害についての地方の消防の活動の仕方について、地方で相当に非難を聞いて参ったのですけれども、そういうことについて、何か従来のいわゆる消防組織法に基づくところの活動状況について、理屈じゃなくて、そういう具体的なことで、何か話の出たことございませんか。
  45. 川合武

    ○川合政府委員 御注意の点が、ちょっといかなる点の御指摘か、あるいはピントがはずれておりましたらまた御指摘いただきたいのでありますが、消防は元来現地におきまして、消防機関が火災の点につきましては、まあお家芸と申すといかがかと思いますが、従来の経験においてこなしてきて努力しておるわけでございます。しかし、その他の災害につきましては、まだ不十分な点が多々あると思いまして、計画におきましても、従来火災防御の計画だけに実はとらわれておりました。本年からこの点につきまして指導を加えまして、火災防御だけでなく、広く災害につきまして、ただいま御指摘のような雪害に対しますところの問題につきましても努力するように計画を練っております。あるいはその途中におきましてまだ不十分な点がございまして、御指摘のような御批判があるかと思います。
  46. 二宮武夫

    二宮委員 消防というのは、災害対策基本法から申しますと、消防活動そのものが全部この中に入ってしまうと思うのです。これは別個のものは何もないと思うのであります。従って、先国会から私も聞いてきておるのですけれども、消防関係予算要求状況とか、あるいはその消防組織法の二十一条に基づいているところの相互の連絡協議であるとか、連絡協調の点であるとかというような問題についての日ごろの訓練とか、災害に対するところの活動状況とか、そういうものについて、私はここでは具体的には申し上げません。具体的には申し上げませんが、次長も、前におられたかどうか知りませんけれども、新しい次長で、相当に批判をしなければならぬ問題があると思うのです。これは具体的に話を聞いて参っておりますけれども、ここでは申し上げませんが、希望として申し上げておきます。そういうような消防自体の活動は災害対策のすべてである。それ以外のものは何ものもないのです。従って、日ごろの訓練あるいは日ごろの相互協調の問題、あるいはこれから後に——昨年、決して予算は足らないことはないのだといって、消防庁長官は何ぼ私が言うてもがんばったのですが、来年度予算要求とか、これらについては、十分に従来の活動状況、それから出動回数などについても、私どもが要望して参りました問題を入れた予算要求でなければならないと思うのです。そういうことについては十分御検討をいただいて今後お進みをいただきたいと思います。  なお、建設省が参っておりませんので、災害復旧そのほかについては午後に残しておいて私の質疑を打ち切りたいと思うけれども、これは行政局長一つお尋ねをしておきたい。第三十三条をごらん願いたい。第三十三条ではこういうことになっている。三十三条の中に、職員派遣要求されたりあるいはお互いにあっせんしたりするような場合に、知能の程度、技術の程度を記載した資料、そういうものを常に備えつけておかなければならない、あるいはお互いに交換をしなければならないという条項があるわけです。地方公務員法の人事委員会あるいは公平委員会仕事の中にこういうことを企画するという点の問題だけはございます。ありますけれども、これはよほど注意をして参らないと、公務員としての知識の程度をABCという段階をつけて、技術の程度をABCという——ABCかどうかわからぬけれども段階をつけて、そしてAという人間は技術ではこのくらいだ、知能はこのくらいだ。これは災害対策のために定期的にそういうものを作っておいて、そして各省間あるいは各庁間、出先機関あるいは自治体同士に、おれのところにいる公務員は、こういうように知識はこれは何で、これはBでこれはCでというような、こういう格づけを災害対策を円滑にやるためにやらなければならぬという法律なんですよ、第三十三条は。これはどうですか、こういうことをやること自体、これは地方公務員法にもはっきりしているように、こういう問題については公表してはならない、教職員勤務評定の場合においても公表してはならぬということが明確になっているわけなんです。ところが第三十三条では、災害対策に対する必要上、知識や技能やそのほかを全部格づけしてそれを決定して、お互いに資料を交換しなければならぬという義務づけは、これは私は地方公務員としてやや行き過ぎではないかと思うのですが、これに対する解釈はどのようにお考えになっておりますか。
  47. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今御指摘になりましたようなことになって、別の角度における勤務評定のような格好になることは、この三十三条が予定しているところではごうもございません。われわれもそういうことは全然考えておらないのであります。ただ、いざという場合にすぐに役立ち得るようにどこにどういう職員がおられるか、どういう専門の職員がおられるかというようなことをはっきり把握いたしておきますることが必要であるということで、最小限度の情報交換をやっておきたいということがこの規定の趣旨でございます。従いまして、技術にいたしましても、これは水道関係の専門技術あるいは土木の関係、建築の関係、農業の関係というようなこと、あるいは農業の中でも果樹の関係あるいは米麦の関係というようなことをあらかじめ知っておく必要がございます。また知識というような面になりますると、専門はどういう関係財政関係の知識あるいは予算関係の知識、そういったもので特に相当の知識を持っておるというような点、あるいは経験の点につきましては、何年くらいこの人はやっておるかというような程度、この程度のことを考えていけば事が足りるのでありまして、それ以上にわたりまして、勤務評定というようなことが間接的に公表され、交換されるようなことに相なりましては、これは本法の趣旨を逸脱するわけでございまして、そういうような行き過ぎにならないように、その点は運用面において十分に善処して参るつもりでございます。
  48. 二宮武夫

    二宮委員 どういう知識を持っておるか、測量をやる人が果樹の何かをやるということに持っていかれちゃかなわぬから、そういうことについてお互いのそれぞれの専門の仕事をやるという、仕事を明記するということについては、これはだれも了解いたしますよ。ところが、この表現を見ますと、経験の程度というのは何年それをやっているのだという程度くらいのものならわかるのです。だれが考えてみたって履歴書を見ればわかる。ところが知識の程度というのがある。知識の程度というのはだれがはかるのですか。しかも地方公務員に対して職階制というものを明確に打ち出している段階になりますと、知識の程度というものは、お前はAだ、お前はBだという、こういう知識の程度を、しかもお互いにこれは交換しなければならないという条文になっていることは、これははなはだ穏当を欠いているのではないかというふうに私は心配をいたします。行政局長のおっしゃるように運用の問題はわかるのですけれども災害対策ということを重点に置き過ぎるために、公務員のお互いの人権的な問題を、おっしゃったような別個の意味における勤務評定というようなもを、これはやりますよ、この法文が出ましたらやりますよ。指定行政官庁では必ずやりますよ。これはやらなければならぬようになっていますよ、文章からいうと……。これは地方公務員法からいうてもちょっと法文上おかしいのじゃないかと思うのです。だから知識の程度というのはだれがはかりますか。昔式の甲とか乙とか、五点とか四点という点数方式をとるのですか、どういうことをやるのですか。
  49. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういうような趣旨では全然ございません。
  50. 二宮武夫

    二宮委員 そうなっているのだよ。
  51. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 知識の程度あるいは技術の程度と申しまするのは、せいぜい考えておりますのは、たとえば建築士とか、あるいは測量士の中では甲種とか、乙種といったようなものがございますね、そういった程度のものを知る。それ以上のことは全然考えておりません。
  52. 二宮武夫

    二宮委員 じゃ、法文を変えなければいけませんね。
  53. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 技術の程度、知識の程度というのはそういう意味に解釈いたしておるのでありまして、それ以上に判定をして、これが有能の度が甲、乙、丙、丁、あるいは四段階、五段階というようなことをここで求めるという趣旨ではございません。
  54. 二宮武夫

    二宮委員 法律というのは、立案者がそのときに良識を持ってそういうように解釈をするのだということ自体は、これはわかるのですよ。ところがあなたがいなくなったり、解釈をした人がいなくなったり、あるいはそれと全然別個の人がそれを受け取って正式に文章的に解釈をすると、そういうことにならないのですよ。これはあなた、今までやってきた法律だってみなそうでしょう。そういうものは、立案の趣旨としてはそういうことは考えておりませんと言うけれども、実際にそれを適用する場合には、決してそうなっていないのだ。これは拡大解釈をやって、非常におかしい解釈が行なわれるようになるのです。ましてや今あなたの答弁しているような、この文章に即した答弁が、立案者と同時に行政局長という法文解釈責任者の立場から考えてここで言うてもすでにおかしい問題がこれが次に渡り、次に渡り、第三者、他の人に渡っていったら一そうおかしくなってくると思うのです。知能の程度をお互いに交換しろというのでしょう。それはおかしいですよ。知能の程度を交換しろ。あなたのおっしゃる技術でAであるとか、甲であるとか、乙であるとか、あるいは一級である、二級であるとか、これは技術なんですよ。知識の程度というものはそういうものじゃないですよ。知識というものの定義を一つあなたから聞かなければならぬことになりますが、この法文は、これはだれが考えても不穏当な法文だと思うのですよ。ですから、私の意見だけ申し上げておいて、お互いにこれは初めから、発足の当時からおかしい印象を持った法文というのは警戒をしなければいかぬと思う。だから誤解のないように、だれが見ても、だれも同じように解釈のできるような一つ法文に直さないと、これは問題が起こってくるだろうということを心配いたしますから、念のために申し上げて、御答弁をしていただいても今の答弁以上には出ないと思いますから、この辺で私の質疑を——委員長、建設省から復旧状況についてちょっと聞きたいことがございますので、午後に質問を保留いたしまして、質疑を打ち切ります。
  55. 園田直

    園田委員長 午前の会議はこの程度にとどめます。  これにて休憩いたします。    午後零時七分休憩      ————◇—————    午後三時二十六分開議
  56. 園田直

    園田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策基本法案を議題とし、質疑を継続いたします。二宮武夫君。
  57. 二宮武夫

    二宮委員 大体おもなポイントにつきましては、それぞれ自民党の議員の皆さんあるいは社会党の先にやられた議員の方々からも御指摘がございましたので、きわめて断片的な質問になりますけれども、建設的に疑義をただして一ついいものを作るという意味から御答弁をお願いしたいと思います。  そこで、行政局長にちょっと法文解釈上ただしておきたいことがあるのですけれども、百五条の「内閣総理大臣は、閣議にかけて、関係地域の全部又は一部について災害緊急事態の布告を発することができる。」という条項がございますね。その災害緊急事態というものの構想といいますか、あるいはそれを発するというような事態はどういうことを想定をしておるのですか。それをちょっと一つ聞いておきたいと思います。
  58. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 非常災害が起こりました際には、非常災害対策本部その他の設置を初めといたしまして、一連の施策が特別に講ぜられるようにいたしておるのでありますが、その非常災害の中でも、程度がきわめて広範、激甚でございまして、当該災害が国の経済なり社会の秩序の維持に重大な影響を及ぼすというような異常かつ激甚な災害が発生した場合、こういう場合においては災害緊急事態の布告が出せるという道を開いたのでありますが、具体的に申せばどういうときにやるかというような基準等につきましては、むろん防災会議その他において論議されると思うのでありますが、私たち想定をいたしておりますのは、普通の場合には、こういう特別措置というものは、むろんそう簡単に講ぜらるべきではございませんで、たとえば関東大震災、ああいったような程度のものがこれに当たるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  59. 二宮武夫

    二宮委員 百六条で、その非常事態が布告をされますると当然二十日以内には国会を召集してその承認を求めなければならないということになっておりますので、ただいま行政局長から御答弁になりましたように、もうごく希少な、まれな非常事態であろう、このように考えるのです。  そこでこういう事態になりました際のこれに対処するやり方というのは、もちろん防災会議、そのほか御答弁のようにいろいろあろうと思うのですけれども、社会情勢あるいは経済的な問題、運輸の問題、治安の問題等いろいろあると思うのですよ。そこでこういう法案を一応立案をされます以上、その際に想定をされる具体的な実情というものは大方皆さんの方で御検討になっておるんじゃないかと思うのですが、これはなぜ質問するかといいますと、この事態においては後に出てくるところの罰則に非常に大きく影響する。言いかえますと、国民の権利義務の問題が非常に大きくこれに波及してくるということがございますので、そうしばしば行なわれるような状態ではなかろうと思うのですが、そういう非常事態の布告が行なわれたときの国のとるべき行政のあり方というむのは一体どういうようにお考えになっておるのですか、その辺を一つ御解明いただきたいと思います。
  60. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 具体的に災害緊急事態の布告がありました場合に、国の行政のあり方というようなものはどういう形になるかということの想定でございますが、この場合におきましては、当基本法あるいは他の法令に基づいてやるべきことはそれぞれございまして、それらの規定に盛られた内容をさらに強度に、集中的に行なうような体制になって参ると思うのであります。ただ、その具体的な緊急措置というものがどの程度のものに及んで参るかということにつきましては、中央にできます防災会議、十一条の第二項の第二号に「非常災害に際し、緊急措置に関する計画を作成し、及びその実施を推進すること。」とございますが、ここでもって具体的にはきめられることに相なるというふうに解しておる次第でございます。ただ、この基本法案において規定をいたしておりまする災害緊急事態が布告されました場合の状況というのは、一つは緊急災害対策本部というものが設置せられまして、防災対策についての強力な、そして集中的な行使ができるという道を開いておりますることがその第一点でございます。第二点といたしましては、緊急措置でございまして、これは戦前の帝国憲法時代においては、御承知のように、財政立場からは緊急財政処分あるいは法律にかわるべき勅令といたしまして緊急勅令というのが非常に広範に認められておったわけでございます。しかし、そのような一般的な法律にかわるべき政令が、たといこの法律の授権に基づくといたしましても、あまり広範になることば、これは当然現在の国家制度、憲法制度のもとにおいては、そういう措置をとることが適当でないことは申すまでもないのであります。しかしながら、考えられる最小限度措置というものは考えておく必要があるであろうということで、先般もお話が出ておりましたような緊急措置といたしましては、三つの項目につきまして政令が特に出せるという規定を置こうとしておる次第でございまして、それ以外に具体的にどのようだ措置が行なわれて参るかということについては、結局この災害対策基本法でもってきめております予防あるいは応急の措置災害復旧というようなことが強力に、あるいは集中的に行なわれる体制になって参るのではないか、かように予想しておる次第でございます。
  61. 二宮武夫

    二宮委員 十一条で、そういう緊急な非常事態の起こり得ることを想定いたして、あらかじめいろいろ協議をして決定するということなんですけれども、普通の場合でも、この法文を読んでみますと、たとえば自治体の首長がいろいろ避難そのほかの主導権を警察や海上保安官に委任することができるという問題があるわけですね。従って私が心配をいたしますのは、警察であるとかあるいは自衛隊であるとかいうものの発動がこの非常事態布告によって行なわれる。いわゆる戦前における戒厳令式なものが行なわれるということによって、それにそむく者は百十六条以下に定められるような罰則の適用がやられる、こういうような事態は全然想定をしなくていいのですか、そういう点は国民として不安はございませんか。
  62. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういう不安が絶無であるかどうかということにつきましては、疑問の点もなきにしもあらずだろうと思います。しかし、そうかといいまして、今の憲法体制下におきまして全面的に法律を停止してしまう、あるいは憲法制度事態を一時停止するということは国の大本に触れる問題でありまして、そういうことは容認することはできないのではないかと思うのであります。一般的な、ただ公共の秩序の維持と災害対策ということだけでもって、何事も法律によらずして政令でもってやっていけるというようなことは、やるべき筋合いのものでもなし、またやれるべき建前のものではないと考えるのであります。従いまして、その点今お話しがございましたように、市町村長がいろいろ権限の行使をやるわけでございますが、これとても警察官なり海上保安官というものがその権限を行使するというのは原則としては認めておりません。市町村がどうしてもその権限の行使ができない、市町村の役場自体の機能が停止をしてしまっておるというようなとき、あるいは緊急措置を要すべき現場において役場吏員その他もおらないというようなときに、これにかわってやる、あるいは委任を受けてやる。そういうふうなことにいたしまして、まず一般的に原則的に警察官なり海上保安官が出ていくということは、やはり避けていくべきが建前であろうというふうに考えておるのであります。
  63. 二宮武夫

    二宮委員 三つの問題について政令を発するというのは、国会が閉会中であるという事態の場合にできるということなんですね。そして二十日以内に国会を召集して非常事態を布告したということの承認を求めなければならぬということなんですが、私が非常に心配をいたしますのは、こういう非常事態の布告をすることによって、自衛隊が当然なものであるというような印象を国民に与えたり、あるいは私ども基本的に憲法論で食い違う問題なんですけれども、こういう事態の際に、これらの働きを合法化するような方向に内閣総理大臣が閣議に諮ってやるということになりますと、二十日間そういう事態が起こるという状態に私はなるのじゃないかと思うのです。そういうことは皆さん方の方で中央の防災会議において将来想定をされていろいろ論議をされる具体的な内容にはなると思うのですけれども、私はこういう事態が絶無ではないと思うのです。あり得ると思うのです。そういうことになりますと、私どもは、災害対策基本法の精神はいいのですけれども、これから派生をしてくるそうした非常に基本的な、憲法の問題にまで触れるような事態を既成事実として作っていくというきっかけをこの非常事態の中から生み出してくるのではないか、こういう点が非常に心配になってくるわけなんです。そこでそういう点を一つ明確にしておかないと、これが内閣総理大臣一つの権限においてやられる事態が起こるということになりますと、大へんなことになるのではないか。これは一方ではいろいろ論議をしておる憲法に対する基本の問題が、あす起こらぬとも限らないわけですから、そういう憲法論に対する基本的な問題が決定的な段階に至らない前に、そういう既成事実を作ってそれを合法化していくということになる危険を、私はこの基本法ははらんでおるのではないかということを心配するのです。その点は行政局長としてどうですか。これは大臣あるいは政務次官の御答弁もいただいていいのですが、法制的に法の文章の上から解決して、私は、今心配しておるような問題というものは起こり得るのじゃないかと思うのですが……。
  64. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御指摘になりましたような心配は全然起こらないというふうに考えておるのであります。と申しますのは、災害緊急事態の布告が行なわれたといたしても、それによって既存の法律等が効力を停止されたりするようなことは、これは全然ございません。法律自体は現行制度のままで、そのまま運用されていくことになるわけであります。ただ体制といたしまして対策本部ができ、対策本部の権限に属しておる措置を強力に行使するという効果は生まれて参りまして、それによっていろいろな応急措置等が講ぜられていくと思います。しかしそれはあくまで法律規定に基づきまして、あるいは防災基本計画なり業務計画の定めるところに従いまして行なわれることでございまして、現行の法律の効力について何ら変改を加えるものではございません。それだけにいざという場合に困るという事柄もございます。ございますが、その中で特に重要な点といたしまして、三つの点については、ほんとうは法律というものでもってやらなければならないのであるけれども、そのいとまがないということで政令を特に制定ができるということにいたしただけのことでございまして、他の法律等につきましては、何ら影響を及ぼすものではございません。
  65. 二宮武夫

    二宮委員 大へん良心的な法の解釈だと思うのですけれども、これはそうはいかぬ面もあると思うのです。「災害緊急事態の布告を発することができる。」という権限は内閣総理大臣に持たされておるわけですね。そうしますと、いろいろ社会不安を醸成するというような問題が災害を契機として起こってくる。そういう起こってきた場合に、一体どのような措置をするかという地方防災計画というものが私は問題になってくると思うのです。その防災計画を作るときには、あなたのおっしゃるように現行法規というものは尊重されるのだ、こういうように言われるので、それでは現行法規が全部生かされるのだから何もそういう不安はないじゃないかということになりますけれども、現行法規に対して二つの対立的な解釈があったというような場合には、内閣総理大臣一つ解釈の上に立ってそれを行使したというようなことが起こると、その場合に今私が申し上げておるような一つ心配点が起こってくるのじゃないかということを懸念をするわけです。現行法規がみな生かされているのだから、そういうことは一切心配はないのだと言い切ってしまうことは、あまりに大胆過ぎるのじゃないかと私は思うのです。これは杞憂かもしれませんけれども、法を作る上ですから、やはりいろいろの事態を想定して心配しておく必要があると思うのです。だから、そういう点についてはそう簡単に、現行法規が尊重される、心配するな、これでいいんだというふうには私も受け取りがたい面があるわけです。そういう点についてはまた後日ほかの人が質問をすると思いますので、この際、厚生省の方に一つお伺いしたいと思います。  これはごくささいなことでございますけれども公務員あるいはその地域住民に対していろいろな義務づけをしていくわけですね。退避する必要がある、あるいは何に従事しなければならないという責任一つ与えるようなことになるわけです。そういうことによって疾病、傷害あるいは死というような最悪の事態が起こった場合には、八十四条によってこれを見てやらなければならないという規定になっておるわけなのですが、そこでお尋ねいたしたいのは、そういうものに対して手当をするところの医療制度の主体性は一体だれが持っておるのかということがちょっと心配になってくるわけなんです。たとえば民間のお医者さんが、そこで被害が起こった、直ちにそれに治療を加えるというような場合に、私どもが聞き及んでいるところでは、従来伊勢湾台風などでは、民間のお医者がそれをやったことに対しては薬代も払わなかったというような事件があるそうでございます。一体だれが治療をすることの主体を持って、だれに治療させるのか。治療した者に対するそうした実費弁償の形における報酬はどのような形で認定してこれを支給していくのかということについて、少し不安がございますので解明しておいていただきたいと思います。
  66. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 一般の者が従事命令あるいは協力命令を受けて救助に従事した場合、お話しのように疾病あるいは最悪の場合は死亡といったような場合の措置といたしましては、救助法の二十九条に基づきまして、大体救助事務に従事しております状態は。これは今府県知事の責任で救助をやっておるわけでございますが、実際問題としては市町村長の協力を得て実施していく。従ってそういう救助組織の中の一員として働きます関係上、そういう疾病なりあるいは事故が起きたという状態は、その関係者によって一応事後に確認されるわけであります。お話しのたとえば救助活動中にどこかに落ちましてけがをしたというような場合は、もよりの病院に行きまして必要な治療を受けます。それでその間、それがなおりましたあとで、要しました医療費の請求書、または本人がお払いになった場合は領収書を添えまして知事に出していただきますと、実際にかかっただけをそのまま支払う、こういう仕組みになっております。
  67. 二宮武夫

    二宮委員 非常に混乱をしておる場合で、手続の方法なりあるいはそうした具体的な事実等がなかなか把握をし得ないというような事態も起こるのじゃないかと思うのですが、事実伊勢湾台風のようなああした千数百名がなくなるというような、従って被災者が大へん数が多いというような事態のときに、今私が申し上げましたような事態が事実としてあったのですか、どうですか。
  68. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 伊勢湾台風の場合、今ちょっと数字を持ち合わせませんが、従事命令を発しましたのはごく一、二の例しかございません。と申しますのは、実際問題として、従事命令あるいは協力命令の規定があるわけでありますが、ほとんどその命令を発しなくても支障がないということから、そういう取り扱いがなされていないわけでございます。ただこれは事務としては前後するわけでございますけれども、当然こういう状態の救助事務に従事した場合においては命令を出して行なうべきであろうといったものについて、混乱時におけることでもありますので、事後に命令を出してあと手当をするという例も間々ございます。
  69. 二宮武夫

    二宮委員 希望しておきますが、こういう災害のときにはいろいろ混乱が起こりますので、特に善意を持って民間の医者がそうした者に対する手当をする、あるいは善意でもってやったのに支払いができない、支払いをしてくれない、手続を教えてくれる人もないというようなことで、協力的であった者が非協力になってしまうということでは、大きな災害が起こった場合にはマイナスの面が起こってくるのじゃないかと思います。そういう点についての手落ちのない措置一つお願い申し上げたいと思うわけです。  それから建設省の方にお伺いいたしますが、三十六年度に起こりました緊急災害復旧の問題につきましては、いろいろと現在大へん手厚い立法をしながら復旧工事をやっているわけなんですが、概括的にお聞きしたいのは、過年度災害でいまだ復旧のできておらないところ、これは今後の災害対策としては一番痛いところなんですが、そういうものを全国的に統計としておそらく調査ができておると思うのですが、その点を一つ御説明いただきたいと思います。
  70. 鬼丸勝之

    ○鬼丸政府委員 過年災害につきましては、まず補助災害と直接災害、もう一つ災害関連またこれと同様なものがございます。  そこで補助災害から申し上げますと、補助災害は三十四年度分が約二百九億残っておりまして、これが八五%進捗いたしております。それから三十五年度分は百四億残っておりまして、現在の進捗率は六五%でございます。現在と申しますのは三十六年度の進捗率でございます。それから三十六年度分、これは当年災でございますが、これが二百八十五億、これは推定でございまして、まだ調査査定の確定してない部分もございますから、約二百八十六億の推定の額になります。そこで私どもといたしましては、これらを合わせましたものが来年度の予算におきまして、過年災の補助災害の事業費ということになりますから、合わえますと約六百億円に相なりまするが、これを昭和三十七年度の補助災害事業費として所要の予算要求いたしております。  それから次は直轄災害でございますが、直轄災害は、過年災としまして三十五年災の分が残り一億でございまして、ほとんどこれは済んでおる。三十六年度、今年災はただいまのところ三十八億円の事業費に相なっております。  第三に災害関連でございますが、これには御承知のように狭い意味の小さな事業と申しますか、災害関連の事業がございます。まずこれは三十四年が九億ちょっと、三十五年が約六億円、三十六年が推定でございますが十一億余りございます。広い意味の関連改良事業といたしまして、河川助成事業が三十一億、海岸助成事業が四億、地盤変動対策事業が七億、以上が災害関連ないしは助成の事業費でございまして、これらにつきまして来年度所要の予算要求をいたしております。
  71. 二宮武夫

    二宮委員 一番金額の多い、市町村が地元負担をやって、国の補助をとりながら災害復旧をしていく、こういう進捗率が最もよくないやつですね。これはいわゆる地元負担ができないために、国から補助をもらっても返上しなければならぬという問題も起こってくるわけなんですが、しかしいずれにいたしましても、災害の復旧ができないでおいて災害対策基本法というものを作ってみたって、これは一番突破口になられて、そこからまた災害災害を呼んでくるわけなのです。そこで今承りますと、約六百億の補助災害については三十七年度で一応予算化すると、補助災害に関する限り過年の災害は一切なくなるという考え方のようですが、ただ問題は、こういう場合に国の方でも十分一つ御検討いただきたいと思うのですが、地元の負担能力という問題と同時に、災害に対して、一方では基本法を出そうという意図がありながらも、政府自体大蔵省が財政支出を押えてくるというのが従来の行き方なんですよ。私どもが、午前中から私自身も、あるいはほかの議員も前々から言っていることは、こういう災害基本法というものをはっきり作ろうというのであれば、財政支出の問題を明瞭にしなければ、これは画竜点睛を欠いているという法律になるわけなんです。従って、こういうような六百億に達するような補助災害、これは地元負担を加えますと、事業量は相当大きなものになると思うのですが、こういう問題について国の理解が足りない、理解が足りないというとちょっと表現がおかしいけれども、ほんとうからいって災害基本法を作って、災害をなくそうという重大な法律を提案するくらいの気持であれば、従来できておるところの災害に対しては、これを完全になくするという基本的なものの考え方がなければ、私は矛盾する上思うのです。これは一応の概括的な御説明をいただいたことで、別に質問をする意思はございませんけれども一つそうした意味において、災害対策基本法を作るという気持であるならば、従来の災害というものを完全になくすという一つの国の態勢というものを作って後に考えなければならぬ。同時に、災害対策基本法を作るのであれば、財政的な基礎を十分に明確にしなければだめだということに結論的になると私は思うのですが、行政局長さん、中央における防災会議というのには、大蔵省はどういうタッチの仕方をしておるのですか。
  72. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 防災会議の構成でございますが、これは十二条の五項にございますように、「委員は、指定行政機関の長をもって充てる。」ということに相なっております。その指定行政機関というものをどうするかということにつきましては、これは国家行政組織法の第三条の機関、いわゆる各省各庁といわれるものでございますが、その中で内閣総理大臣が指定をいたします。財政問題も重要な閣係のあることでございますから、おそらく大蔵大臣もこの行政機関に指定されることは当然でございまして、その意味におきまして大蔵大臣も防災会議委員の一員になってやっていくことに相なると思います。
  73. 鬼丸勝之

    ○鬼丸政府委員 先ほど申し上げましたことで少し言葉が足りませんでしたので補足いたしますが、先ほど補助災害について約六百億円の予算要求をいたしておると申し上げましたが、このうち三十四年災と三十五年災は先ほどの数字で一〇〇%達成する、三十六年災については二五%程度になるというふうに考えております。
  74. 二宮武夫

    二宮委員 特別立法をやればできるのでしょう。それでも残るのですか。
  75. 鬼丸勝之

    ○鬼丸政府委員 実は考え方といたしましては、御承知のように今まで緊要な工事は三・五・二という三カ年で復旧する、緊要でない工事は全体の三割くらいございまして、それを入れますと全体が四カ年復旧になっておったのでございます。そういう予算の仕組みになっておりましたものを、先ほど申しました要求では、工期を短縮いたしまして、緊要工事は二カ年で復旧しよう、緊要でないものを入れて三カ年で復旧を達成するという方針のもとに、先ほどの金額をはじき出しておりますので、進捗率は、もしこれが通れば今申しましたように従来よりは一年ずつ短縮される。災害関連についても従来は六年でありましたものを五カ年で百パーセント達成しよう、こういう考え方要求いたしておりますが、今後の予算折衝を要する問題でございますから御了承願います。
  76. 園田直

    園田委員長 山口鶴男君。
  77. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 気象庁長官がお見えになってないようですから、それまで自治省関係の方々に幾つかの点をお尋ねをしてみたいと思います。  まず最初に、第二条の定義というところに災害とは何ぞやということがずっと並べられております。これを見て疑問に感ずる点を二つお尋ねしたいと思うのです。  まず第一は、「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波」こう並べてありまして、「その他の異常な自然現象」とあるわけであります。災害としてこれだけ並べてあるわけでありますが、わが日本には常襲的に襲ってくる災害というものがもっとこれらのほかにもあると思うのです。見てみますと、あと政令で定めるようなことが書いてあるようでありますが、しかし先ほど二宮委員が、たとえば緊急事態に対する賃金支払いの問題について質問をせられ、政令で云々というお答えでありましたが、事法律で定めるわけでありますから、当然わが国土において常襲的に襲うところの災害というものは列挙すべきである、かように考えるわけです。これだけしか日本には常襲的な災害はないのですか。
  78. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ここにも「その他の異常な自然現象」という表現をもって表わしておりますように、これだけに限っておるわけではございません。ただそれらの日本において常襲をいたします「異常な自然現象」の中で最も典型的と思われますものにつきまして、他の法律規定の仕方等を参酌いたしながらこういう表現をいたしたのであります。御承知と思いますが参考までに申し上げますと、気象庁で出しております気象災害年報というのがございます。これを見ますと、ここに列挙いたしましたほかにまだかなりたくさんのものがございます。その点について御参考までに申し上げておきますと、雷雨、大陸旋風、霜害、旱害、火山爆発、霖雨、冷害、地すべり、突風、濃霧、風塵、煙霧、潮風、凍土、土地の隆起、土地の沈降、沿岸急潮、海岸浸食等が「その他の異常な自然現象」として入って参っております。
  79. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 非常に並べられました。その中でしばしば起こるといいますか、そういうものを列記したというお答えのようですが、私の住んでいるところは群馬県ですが、雷の常襲地帯ですよ。それから私、子供のときに話を聞いたのですが、昭和の初年ごろですか東北地方に冷害等がありまして非常に東北の農民が悲惨な状態にあるというようなことを聞きました。そういうことを考えてみますと、雷はともかくといたしまして、冷害とかあるいは霜害とか、こういったものは毎年々々災害として国会で絶えず問題になることじゃないのですか。だとすれば、基本法としてりっぱなものをお定めになるのだそうでありますから、毎国会災害対策の大きな問題として取り上げる問題については、やはり網羅していくということが常識ではないかと思うのです。そういう点で、行政局長さんの方はお作りになった立場でしようから繰り返し聞いても押し問答みたいになりますが、政務次官どうですか、政治家の立場でごらんになって、どうもこれはやはりまずいのじゃないかというお考えはありませんか。
  80. 大上司

    ○大上政府委員 お説の通り、例年繰り返すその問題が、いろいろな面から見て矛盾はないかという御質問のように思いますが、私もそう思います。ただし、災害はこの基本法についてよくいわれておりますように程度の問題ではないか。ただ例年同じようなことを繰り返すということを一つ項目にうたい込んでいくということも一つの方法であると思いますが、方法としてこれを災害に包含する場合には被害の激甚という考えが潜在的にあるのではないか、このように思います。従いまして、私としてはさらに研究をするということにさせていただきたいと思います。
  81. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 やはり冷害とか、非常に激甚な災害でしかも毎年襲う災害で落ちているものもある、そういう点は次官もお認めになりましたし、わが党の方で、より明確化するための適当な措置もとりたいと思っておりますので、この点はこれで私は打ち切っておきます。  次に問題なのですが、「その他の異常な自然現象又は大規模な火事若しくは爆発」こうありますね。この爆発というのですが、わが党の川村委員が本会議におきまして、実は爆発とは何ぞやという点をお尋ねをしておるのでありますが、議事録を拝見いたしまするとお答えがないようであります。この爆発とは一体何をさすか、この点を一つお答えいただきたいと思います。
  82. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ここで直接的に考えておりますのは、最近起こりましたような火薬工場の爆発、こういうものを考えております。
  83. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 火薬の爆発だけですか。そうすると噴火は自然現象だから入らぬわけですね。
  84. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 噴火とか、桜島の関係は、これは異常な自然現象の中に入れて読みたいと思います。
  85. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この火薬の爆発だけ、ですかね、そうとは思わないのですよ。先三十八国会で制定いたしました法律の中に、原子力爆発に対するところの規定をきめたでしょう。そういう事態はこれに入らぬのですか。
  86. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今御指摘になりました核爆発というものは、なるほどあるわけでありますが、この核爆発等については御指摘のように特別法がございます。その特別法と本基本法との関係につきましては、第十条に基づきまして特別法が優先して適用されることに相なるわけでございます。
  87. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それはおかしいと思うのです。あの法律をごらんになりましたか。あれは核爆発に伴うところの、いわば第三者の被害の場合です。それが故意であろうと、無過失であろうと、いかなる理由によろうと、核爆発が起こりまして、周囲の人たちに被害を与えた場合、五十億円までは企業に責任がある、しかし青空で補償するのでありますが、その場合は政府その他が補助をするのだ、こういう法律である。これを見ますと、災害防止の組織みたいなものがたくさん書いてありますけれども、あの法律にはこういった災害防止の組織云々ということは書いてない。爆発が起こった場合の第三者が受けた被害に対してどう補償するか、こういうことだけです。従って、あの法律では律し切れないことがこの法律の中に書いてあります。とすれば、この爆発に核爆発を考えぬということは、私は問題だと思う。その点はどうなんですか。はっきりして下さい
  88. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今御指摘になりましたような意味でございますれば、核爆発等が起こった場合におきまして、当然これに対する対策としては基本法自体が動く部面があるわけであります。
  89. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうすると、核爆発もこの爆発の中に入る、こうはっきり了解していいわけですね。
  90. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この表現自体につきましては、先刻も申し上げましたように、自然現象の場合におきましても典型的なものを書いておるということでございます。またいわゆる人為的現象と見られるものにつきましても、火事それから爆発——爆発といっても普通考えられるのは、やはり火薬の爆発というものを実は想定して、ここでは書いたつもりでございます。ただその他につきまして、これは今後考えていかなければならぬ問題でございますが、その他その及ぼす被害の程度に応じて、これらに類する政令で定める原因により生ずる被害というものがございますので、この政令によって、事態によっては追加がされるということはあり得ることであろうというふうに考えております。
  91. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうも今のようなお答えは不本意であります。現に東海村に行けば原子炉が二つ動いている。それから第三号炉の国産炉が今やでき上がろうとしている。また今度はその隣には原子力発電のための施設の相当な工事が行なわれている。しかもその隣には東電その他民間会社等が協力して作っている原電の大きな三十万キロワットくらいの原子力発電施設も、着着として進んでいるということは局長さんも御承知でしょう。それから大阪地方では、これまた新しい原子炉が設置されようとしている。そうすれば、現在日本の国の中に相当の原子炉ができているし、またできつつある。また私は行政管理庁の出した報告を拝見したのですが、これはまた群馬県の話で恐縮ですが、群馬県の渋川でコバルト60を、あそこの建設省の役所に置いてあったのを取り扱いが不備であったために、まさに被害が起ころうとした、こういう事態に対しても十分配慮しなければいかぬということをこの中にはっきり書いてある。これは別に原子力爆発ではないが、いわゆる核燃料によるところの被害、こういうものに対しても当然行政管理庁がしかるべき対策をとれというふうに書いてある。こういう事態を全部総合して、こういう客観的な情勢なり事実があるにもかかわらず、いわゆる核爆発、原子力によって生ずるところの災害というものに対して、今のところはっきりした考え方がなくて、将来これに対して政令を制定するときに考えるとか、そういったあいまいな態度ではこの基本法の審議はできないと思う。これは一つ明確にお答え願いたい。
  92. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういう御意見もあろうかと思いますが、核爆発を想定して、それの予防その他の対策を当然講じていかなければならぬということは、もちろんのことでございます。ただここに規定しました規定の仕方自体が、日本においても常襲の災害原因というものを前提として、そこから最も典型的なものを取り上げてみたという規定の仕方をしたわけであります。そういう意味で、私たち立案に当たりましたものの考え方としては、火事もしくは爆発——爆発というのは、最近ございました火薬工場の爆発というものを頭に描いて書いたのでありまして、核爆発その他について実際に対処しなければならない必要性のあることも当然でございましょう。そういった問題点につきましては、さらに検討を加え、防災会議等についても意見が出ると思いますが、その及ぼす被害の程度に応じて政令でもってその範囲をはっきりさせていくということにいたしたいと存じている次第でございます。
  93. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 どうもその点不満足ですよ。とにかく災害基本法という法律を立案され、提案されたわけですから、そのときには、先ほど私が指摘しましたような行管の報告も、現在進みつつある日本の原子力事情というものも十分御承知だと思います。そういう中で、災害というものを規定していく場合に、立案者の頭の中にこれを入れるべきものか入れないものかということくらいのはっきりしたけじめがなくて、こんな法律が出せますか。そういうものに対して、これから考えますというような言い方は、ほんとうに不親切な言い方だと思います。  それでは、この点は大臣がおられませんから、やはり大臣が御出席のときにあらためて政府の見解をはっきりさせていただきたいので、保留しておきます。  それから第三条のいわゆる災害予防ということ、それから第四章に規定されております災害予防、この考え方の範囲が若干違うのではないか、第四章の場合には狭義に考えておるようだし、第三条の場合には広義にこれを解釈しておるようですが、こういう点は、かつて小澤委員から御指摘がありまして、自治省の見解が出されておりますので了解をいたしておりますが、広い意味の災害予防を考えまして、第八条へいきまして施策における防災上の配慮がいろいろ書いてございます。そうして、そのあとの防災会議で作りますところの、第三十五条にありますいわゆる防災基本計画は、結局広い意味における防災、治山治水あるいは気象の予報条件の整備、いろいろそういったものを広範にひっくるめてお考えになっておるのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  94. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その通りでございます。
  95. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 現在治山治水緊急措置法というものにのっとって前期、後期に分かれて五カ年計画ができておるようでありますが、そういった治山治水の五カ年計画というものを当然この防災基本計画の中に織り込んでいく、また同じように気象庁等がお考えになっておられます気象業務整備五カ年計画、こういうようなものも災害基本計画の中に織り込んで考えていく、こういうように考えてよろしゅうございますね。
  96. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 基本計画の中には、今おあげになりましたようなことについての基本的な方向というものが当然入ってくるべきものというふうに考えております。具体的に、治山治水の整備五カ年計画あるいは後期の五カ年計画というものになりますと、これはそれぞれ法律基本がございまして、この法律に基づいて計画を立てておるわけでございます。従いまして、それらの計画につきましては、その計画が基本計画なりに矛盾抵触をしないように考えていかなければならぬということに相なって参ります。従いまして基本計画のきめ方いかんにもよりますけれども、これによって既存の治山治水の五カ年の計画が改定されるということも当然あり得ることであるというふうに考えております。
  97. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 その場合は、当然こちらは災害対策基本法にのっとって、しかも中央防災会議というようなきわめて広範な人たちを網羅して組織しております会議が作ります基本計画でありますから、結局治山治水五カ年計画に合わせて防災基本計画ができるというようなことでは、私は誤まりだと思うのです。やはり防災基本計画というものが勇敢な治山治水の基本計画というものを打ち出す、それにのっとって、治山治水五カ年計画があまりにもみみっちいという場合には、それに合わせて治山治水五カ年計画を変えていく、そういうふうなものでなければならぬ、またそれがこの法の趣旨ではないかと私は思うのですが、そういうように了解してよろしゅうございますか。
  98. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 そういうものでなければ意味がないものというふうに解釈いたします。
  99. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは具体的に気象業務関係につきまして、お尋ねいたしたいと思います。行政管理庁で台風等災害対策に関する総合監察結果報告書というのを私どもいただいております。これを拝見をいたしますと、特に気象業務関係につきまして、非常に詳細な資料の上に立ちまして、幾つかの具体的な報告を出されておるわけでございます。これらの行政管理庁が出しました報告書にのって、気象業務の整備というものについてはどの程度この報告書というものを参考にしてお作りになっておられるのですか。これについては尊重いたしまして、ここで述べられております報告を満たすように気象業務の整備というものをお考えになっておられるのかどうか、この点を一つお聞かせいただきたいと思います。
  100. 和達清夫

    和達政府委員 行政管理庁から御指摘の点は十分に尊重し、その線に沿って気象業務をいたしていきたい、実際にもまたそういたしております。こまかいことを申しますと、部分的には直ちに実行しがたいものは、その理由を述べて、行政管理庁に申し述べておる部分もございます。
  101. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 気象業務の整備につきましては、これを見ますと、レーダー網の整備、雨量観測施設の近代化、高潮対策用の検潮儀の整備、波浪計の充実、通信施設の整備、こういったことがうたわれております。過日、気象庁長官に対しまして、科学技術特別委員会でレーダー網等については幾つか質問いたしておりますので、そういう点は一切省略いたしたいと思います。ただ気象庁として現在レーダーは九つだそうですが、一体幾つくらい整備をすれば、当面十分なレーダー網の整備ができるか、そういう点についてはどうお考えでございますか。
  102. 和達清夫

    和達政府委員 気象用レーダーは、近年ますますその有力なることが私どもにもわかって参りました。一方技術も非常に進んで、よい機械もできてきつつあります。そういうような情勢におきまして、お手元に差し上げました五カ年計画のような計画を立てまして、まずこれが完成いたしますと、当初考えておりました計画は一応でき上がるわけでございますけれども、レーダーの機能の技術的の進歩と、またそれを使う私たちの技術の進歩と社会の要求とによりまして、レーダー施設は五カ年計画より早めるとか、あるいは多少増加するとかいうようにしなければならないであろうと考えております。
  103. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それから、これで見ますと、施設の近代化ということがうたわれておるのですが、お話によりますと、伊勢湾台風のとには、名古屋の気象台の観測室が木造のあまり十分でない施設のために、暴風雨で吹き抜けて、いわゆる観測室自体に被害があって、観測ができないようになったということを聞いておりますし、また今回の第二室戸台風におきましても、大阪の気象台ですか、あそこの観測室が破壊をされて、観測に非常に支障があった、全く観測自体が不可能なような状態になったということを聞いておるわけであります。そういうことでは私は非常に困ると思うのです。結局レーダーがあり、観測室があっても、台風が来たら一番先に予報を出す施設がこわれたということでは、全く話にならぬと思います。そういうものについても、整備をする御計画はあるのですか。
  104. 和達清夫

    和達政府委員 気象庁の庁舎は現在老朽し、できるだけ早く整備いたさなくてはならぬものが残っております。伊勢湾台風のために名古屋の気象台が破損いたしましたのは、改良復旧によりましてその部分はおかげさまで非常によくできました。しかし全体といたしまして私ども災害防止のお役に立つのには、その仕事をする庁舎を堅牢なものにして、その仕事に万全を期したいと思い、また事実その方向に努力いたしております。
  105. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これにも観測設備の近代化というようなことが、どこでしたか、たしか御計画にあったと思うのですが、全部を永久建築にしろというわけではないと思いますけれども、特に全国の気象台の観測室とか、あるいはその他関連をする、どうしても永久建築でなければ困る、こういうものの坪数はどのくらいあって、これを直すのには一体幾らくらいかかるのですか。そういうことくらいはお調べになっておるのじゃないですか。遠慮深くお考えになっておられるんじゃないですか。またそういうようなことを調べるように次官の方で配慮したことがありますか。
  106. 有馬英治

    ○有馬政府委員 御指摘の通り、運輸省の施設は非常に老朽化しております。ところが実際問題として聞いていただきますと、設備の近代化、それから技術員の充実だとか、相当金のかかることばかりを毎年要求しているわけなんです。庁舎とあわせて宿舎も全くひどいものでございまして、辺地におります者は非常にこのために苦労をしておるような状況でございます。ところが、実際問題としては、設備、人員の充実の方が優先しなければならないようなことにいつもなって参りまして、ややもすると庁舎や宿舎がおくれがちでございます。御注意を承りましてまことに感謝にたえませんが、気象庁といたしましても、また運輸省の首脳部といたしましても、大いに新しくするところは、していただくならば、これこれのことであるということは十分用意をして、毎年予算要求準備にかかっておるわけでございまして、今気象庁から参っておりますので、ちょっと時間をかしていただけば、その数字は大体わかりますから、お聞き取り願いたいと思います。
  107. 和達清夫

    和達政府委員 五カ年計画の一年が済んでおりますので、四カ年といたしまして、私どもの計画では、宿舎も含みまして全体で二十六億になっております。この中には気象庁の本庁舎のただいまいたしております残りの分も含んでおります。
  108. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 気象庁の一年間の予算が五十億だと聞いております。近年の災害が一年間大体二千億あるいは三千億と言われておるようでありますが、実にその額から比べますと二%にも当たらぬくらいの気象庁の予算だということになろうかと思うのです。二十六億で施設が全部永久建築になって、そうして台風が来た、レーダーで一生懸命観測をしている、その結果を観測室の人たちが、いろいろレーダーばかりでなく、各地のレーダー等の資料も入れて、そうしていつごろそれは大阪に着くとか、そういう観測をやっているところへ風がきて、まっ先に台風を観測している観測室がこわれて予報もできなくなったという事態を二十六億で直せると思えば、私は非常に安いんじゃないかと思うのです。これなどについては、四年といわず、一年間くらいでやるくらいの決意は、次官、ございませんか。
  109. 有馬英治

    ○有馬政府委員 私も、大臣初め運輸省に参りまして、全く同様な感じを持ったのでございます。いろいろ事情を聞いてみますると、毎年そういうようなことで、そうした理想的なことが実現できないで来ておるというような状況が、率直なところでございます。ことしも、そういった御注意でもございますし、気象庁に対する国会方面の同情も大へん集まっておるときでございます。皆様の御協力を得て、例年以上の熱意をもって予算獲得に当たりたいと思っております。
  110. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 大体私運輸省にどうして気象庁があるのか、経過々知らないので奇異に思っておるのですが、気象庁長官、もし運輸省のもとにあって予算が取れぬで困るというのだったら、気象庁を運輸省以外に移したらどうですか。科学技術庁に移すとかあるいは総理府に移すとか、自治省に移していいかどうか私は知りませんが、そのくらいの勇気があっていいのじゃないか。やはりどうしても運輸省でなければまずいのですか。あまりけちけち運輸省がやっている場合には、出て、ほかの省へいった方がいいというようなことをお考えになることがあるのじゃないですか。どうですか。
  111. 和達清夫

    和達政府委員 中央気象台が気象庁になりますときに、いろいろそういうお話がございましたが、気象庁は、御承知のように、非常に各省と関係がございます。結局、航空というような問題、あるいは海上の問題、そういうことから、運輸省に従前からおりましたので、変える理由がない、変えればまあ総理府直属ではないかというようなお話で、この際気象審議会というものを作っていただきまして、各省の連絡を非常によくするということで、前のまま運輸省についておるわけであります。
  112. 川村継義

    ○川村(継)委員 ちょっと関連して。今、山口委員が気象庁の皆様方にいろいろお尋ねしておりますが、ちょっと一言聞かせておいていただきたい。  台風のことでございますが、マリアナ群島北方に何々の大型台風ができたという、ああいう連絡、情報は、皆さん方の手でつかんでおられるのでございますか。あるいは、アメリカの気象観測隊というか、そういうものの情報によって皆さん方が受け取っておられるのでございますか。これは次官、どういう手続でございますか。その辺のところをちょっと……。
  113. 有馬英治

    ○有馬政府委員 現在気象庁の手によってつかんでおります。
  114. 川村継義

    ○川村(継)委員 気象庁が飛行機を飛ばしてそれをつかんでおられるわけでありますか。船が出ていってつかんでおるわけでありますか。
  115. 有馬英治

    ○有馬政府委員 飛行機は別でございます。飛行機は米軍の協力を得ております。
  116. 和達清夫

    和達政府委員 気象事業は国際的でございまして、海上船舶にしましても、国際的の規約によりまして、どこの地域の気象も、それを利用したいところが受け取れるようになっておるのでございます。飛行機は、現在アメリカが飛行機による観測をいたしております。その資料は全部気象庁に送られることになっておりましてへ同様の資料々私どもも持っておるという状態でございます。
  117. 川村継義

    ○川村(継)委員 またいずれお聞きしたいと思いますが、米軍がとった気象情報を皆さん方に連絡する。米軍というのは、おそらく私は第一義に考えられるのは軍事目的じゃないかと思う。そうなると、皆さん方がほんとうに台風なら台風のそういう気象情報をキャッチなさるのに、おそらくは満足な情報をそうものが得られない場合がありゃせぬか、こういうことを、私、しろうとでございますが、危倶するのですが、そういうことは全然ございませんか。
  118. 和達清夫

    和達政府委員 飛行機の観測を自分の手でいたしまして、好きなときに好きな場所の観測ができれば最も都合がいいわけであります。飛行機の観測は非常に困難な作業でございまして、アメリカ空軍がやっておることも非常に困難なことをいたしておるのでございまして、こちらから相談しまして観測に出てもらうというようなことも可能な場合にはいたしておりますけれども、何分にも非常にむずかしい観測でございますので、こちらが言う希望を十分に達せられるというわけには参りません。現在のところは、アメリカの資料ができるだけ入るように、そしてこういう私どもにとっても大事な資料を突然に少なくするとか、やめるとかいうことがないように、十分協議してもらうように打ち合わせをしておる次第でございます。
  119. 川村継義

    ○川村(継)委員 私も実はお話のように、気象庁の方で観測機を適当なときにまた必要に応じて飛ばせて、自由にそれが観測できるということになると、多分もっともっとりっぱな観測ができるだろうと考えておったわけですが、あなたの方でもそのようなお考えはあるようであります。ちょうどきょうは責任大臣がおられませんけれども、自治省の次官にちょっと関連してお尋ねしておきたいと思います。  この災害対策基本法ができたといたしますならば、今私がほんの一例を申し上げました気象観測等のごときは、重大な災害を未然に防ぐための手段でなければならない、その場合に気象庁に自由にして必要なときに使用できる観測機等は十分に備付けをして、それを用意をして観測に万全を期する、そういう覚悟があってこの基本法というのは考えられておりますか。
  120. 大上司

    ○大上政府委員 お答えします。川村委員の御質問は当然と思われますが、財政的な面並びにこれは総合的にそれぞれの所管省の考え等も織り込んでやっておりますが、はたして今お説のごとき、いわゆる防災の尖兵となるところの気象庁のいろいろな諸機械の諸準備等々につきましてはまだ私十分詳細に聞いておりませんが、ただこれを具体的に買い付つけるとか、あるいはこういうふうな財政処置で次年度発足と同時にこれを準備するのだとかいうような具体的な問題には、まだ少し研究が足りないで申しわけありませんが、しかしこれを立法した趣旨においては、そこまで考えてやるべきだ、またやらなければならぬというような考え方で立法をいたしております。
  121. 川村継義

    ○川村(継)委員 御決意は大へんうれしく聞いておきたいと思いますが、先年のチリ津波の問題にいたしましても、私はやはりわが国にああいう観測の設備あるいは観測機等が飛ばされたならば、あの津波が太平洋に押し寄せてくる前に気象庁としては十分これをキャッチして、その対策が十分立てられただろうということを当時思ったわけです。ところが全部、これは行政協定のしからしめるところでありましょうけれども、一方的にアメリカの方に依存しておる関係上、ああいう思わない、特に気象庁の皆さん方が予測できない事態を起こしたということが指摘できると思う。そこでやはり基本法をこうしてお出しなさるときには、その災害を未然に防ぐということが最も重要な柱でございますから、その辺の覚悟というものが内閣総理大臣を初めみんなにないと、将来検討しましょう、これができていったら、そのうちに財政とにらみ合わせながら考えていきましょうというようなことでは、大へん心細い次第じゃないか、こう思っておる。今次官から大へん力強い決意のほどを聞きましたけれども、問題はトップのところにあるのだと思いますから、いずれお聞きいたしますが、ほんの一例をあわせてお聞きいたしました。
  122. 門司亮

    ○門司委員 関連して。今のお話ですが、これはいずれ私の質問の時間に運輸大臣に来ていただいて詳細に聞こうと思っていましたけれども、気象業務法を見ますと、十六条には明らかに飛行機によって観測するということが書いてあるのですね。見てごらんなさい、十六条に書いてあるでしょう。それは長官の言われるように、国際的ないろいろな問題が書いてあります。しかし、それと別に飛行機によって観測しなければならぬとちゃんと書いてある。しかもその法律は昭和二十七年にできている法律ですね。昭和二十七年にできた法律の十六条に書いてあるでしょう。それを今まで飛行機を持たなかったというのは、一体どういう理由なんですか。
  123. 和達清夫

    和達政府委員 気象庁は航空機に対する気象業務をしなければならないというふうに書いてあります。しかし、普通飛行機を自身で持って観測をしてその業務をすればもちろん非常にけっこうでありますけれども、その業務は現在においては国際的にも飛行機からの資料を得て、そうして各国やっておる次第であります。飛行機を実際に気象業務に使用する点につきましては、戦前から飛行機を持っておるところに委託したり、あるいは非常に性能がよくないのでございましたけれども、気象庁自身も持ってやったこともございます。戦後御承知のように、気象業務が非常な損害を受けまして、一方業務のとり方、技術の進歩、社会の要求等から気象庁自体の整備に非常に追われて参りまして、今日この五カ年計画を見ましても、これが基本的の業務を遂行しなければならない段階にございましたので、飛行機を持つということは、以前のような飛行機ではとても役に立ちませんので、持ちますならば非常に性能のよい、アメリカと同様な飛行機を持ちましていたさねばならぬ。それが今の気象庁の経費としては莫大なものになります関係上、この五カ年計画にも別ワクといたしまして、たとえば防衛庁との協力態勢あるいは運用を委託するとかいうことでやってどのくらいかかるか、そうして防衛庁の方とも話がそれでまとまるかというようなことをいたしておる段階でございまして、現在の気象業務と科学の進歩ををにらみ合わせまして、私どもがこれは今やらねばならぬという計画と、また時期と申しますか、そういうことが具体的にきまりまして実行いたしたいと思っておるような次第でございます。
  124. 門司亮

    ○門司委員 もうこれ以上気象庁の長官にお聞きをしないつもりでおりますが、あとはいずれ運輸大臣に話を伺うつもりでありますが、今の長官のお話では、いろいろな苦しい答弁をされておりますけれども、私は金の問題だと思うのです。だから、新しいい飛行機を買いましても、一切のものを入れても百億内外で間に合うのじゃないですか。そんなに大きな金でないと私は思うのです。しかも昭和二十七年にできた法律だと記憶いたしておりますが、その十六条にはっきり航空機による観測ということが気象業務の中には書いてあるのですね。だから今まで政府が怠っておったと思うのです。これだけ年々何千億という災害を受けておりますとぎに百億くらいの金で完全なものができるなら——アメリカは、今川村さんのお話のように、これは軍事目的の観測ですから、日本は何もそういうものにたよらなくてもやれることなんですね。それはなるほど国際的にはお互いに情報を交換しなければならないことはわかっております。わかっておりますが、それにたよるということ自身が私はおかしいと思うのです。だからこの際資料だけを一つ要求をいたしておきますが、私の考え方では、大体飛行機を一台こしらえて、パイロットその他いろいろな問題がございましょうが、大体百億内外で上がるのではないかということを考えられるのでありますが、そういうもし資料ができますならば、一つ運輸省の方で資料をこしらえていただいて、われわれがこの法律案を審議いたします場合に、さらに財政関係がこの法律には非常にはっきりしておりませんので、それらの参考にすることのためにも必要だと思いますから、そのデータを一つ出していただきたいと思うことと、それからもう一つは、観測船は非常に古くなっておると思います。新しい観測船はたしかないはずだと思います。少し大きな台風がくれば逃げて帰ってきているのが現状だと思いますので、台風から逃げて帰らないように、ある程度やはり十分の観測ができるような設備も必要だと考えております。五カ年計画の中に入っているかどうか私はよく存じておりませんが、それらの点について一応何もこだわらないで、大体このくらいの装備があればよろしいのだということを一つの目安としたデータを作って出してくれませんか。そうして、現在、観測船というのはどのくらいあるかということと、それの性能はどのくらいかということも審議の過程に必要かと思いますから、一つ委員長から運輸省の方に要求をしておいていただきたいと思います。
  125. 園田直

    園田委員長 了承いたしました。
  126. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 飛行機の問題についてお尋ねしようど思いましたら、いろいろ関連してお話がありましたので、二、三お尋ねをいたします。  十月十一日の朝日新聞を拝見いたしますと、「よろめき予報の対策」といたしまして、「気象庁部内に二つの考え方」という記事が載っております。現場の観測陣は、観測機がぜひ必要である、こういう見解を発表されております。ところが事務系統の係官の方は——これは企画課長さんのようでありますが、気象庁みずから観測機を持  つ気はないということを言っておられるわけであります。同じ気象庁部でこういうように見解がはなはだしく違っておることは非常に問題だと思います。一体その現場と事務畑の両方を管理しておられる長官はどういう考えなのか、これはっきりお聞かせいただきたいと思います。
  127. 和達清夫

    和達政府委員 御指摘のような庁内の不一致のごときものが新聞に現われた点につきましては、まことに遺憾に存ずる次第であります。申し上げるまでもございませんけれども、新聞というものは、ニュアンスにおきまして、非常に話したのと違う点もございますので、その点は御推察願いたいと思う次第であります。しかし、事務の方といたしましては、出しておる予算というようなものから事務的に申しておりますし、観測者は自分の職務の上からの希望を非常に述べておりますので、その辺にも意見の違いはあると存じております。私の飛行機に対する考えを述べさせていただきますと、現在の科学におきましては、飛行機は非常に重要な有力なる手段であります。非常に経費もかかりますし、困難であり、また危険も伴うものでありますけれども、現在の科学としては飛行機を使うことが最も有力であります。もちろん科学の進歩は現在驚くほどしておりますので、危険であるとか困難であるとかいうことは、機械をもってかえる、また他の手段を使うということも非常に進んでおりますが、ここ四、五年、少なくとも二、三年は、そう飛行機にかわって、さらに有力な科学的手段が出るようには思えません。それで、私は何とか飛行機を使うようにいたしたいと考えておりますけれども、一方そういう科学的問題のほかに、御承知のように、五十億の気象庁の総予算でございまして、その中にも現在苦心をして、しかもまだ十分でない、御指摘の庁舎のことから、近代化のことから、要員の不足から、われわれ実にもっとけたの下の金額でもって非常に苦労をしておるところでございますので、そういう点もありまして、いろいろ考えまして、適当なときに思い切ってやりたいと思っておる次第でございます。
  128. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 必要なのはあとの方で、先ほど政務次官から決意のほどが述べられました。しかしながら、私は今の段階でそういうことを言っておるのは、非常におかしいと思うのです。それは先ほど申上げました行政管理庁の報告によりますと、こう書いてあるでしょよう、ごらんになったと思うのです。次官も、長官もごらんになったと思うのですが、「航空機による観測は、現在は全く米軍に依存しているが、長期的にみれば、その観測資料の収集が不安定な状況におかれることも予想されるので、自主的対策について早急に検討を行う必要がある。」かように明確に報告書は述べておるでしょう。しかるに、このいただきました五カ年計画を見ると、せいぜい、ほしいのだけれども、防衛庁に委託することが適当と思われるので、可能性について協議をしておるというようなことが、具体的な計画ではなくて、欄外に申しわけみたいな格好で書いてあるだけでしょう。これは先ほどからお二人の方が指摘をされておる。また同じ政府の行政管理庁が、早急に対策を立てろ、こういっておる。しかもこれは昭和三十五年五月です。現在は昭和三十六年十月でございます。一年五カ月の月日が流れておる。そういう中で、今もって今のような御答弁しかないということは、私は、これは全く遺憾というほかないのでありまして、一体政府部内の管理庁の出しておる報告、これを実行する気は、次官、ないのですか。
  129. 有馬英治

    ○有馬政府委員 努めて尊重して実行する方向に努力しております。
  130. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それから次に、国際的な協力ということが私は気象には重要だと思うのです。特に、中国の気象は一体どうされておるのですか。
  131. 和達清夫

    和達政府委員 現在では、中国の気象観測資料は、日々の業務に差しつかえなく入手できております。
  132. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 この点は全然心配ない、こういうように言い切れるわけですね。別に中国関係のがわからないので不便をするということはないと、はっきり了解してよろしいのでございますね。
  133. 和達清夫

    和達政府委員 中国は国際気象機関に加盟しておりません。中国の気象資料は日本にとって非常に重要なものでありますので、日本の気象庁から私が非公式のようなことでそのことを頼みに参りまして、それが実ったのかどうかは別としまして、その後しばらくして、私どもが差しつかえなく日々の業務に中国の資料が使えるような配慮が行なわれ、今日に続いておるのであります。
  134. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そうしたものは、正式な協定といいますか、通信協定というような格好でできる道はあるんじゃないですか。それは現状ではないのですか。非公式なものではなくて、公式な協定というものはできませんか。
  135. 和達清夫

    和達政府委員 先ほど申し上げましたように、しっかりした協定ではございませんが、これを協定にいたすということは、そうなれば私どもは非常に安心できるわけでございますけれども、その協定をどういうふうにいたすかということは、私よく存じません。
  136. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 協定の問題等はあらためてお尋ねをいたしたいと思いますが、ちょうど大臣が来られましたので、先ほど大臣にお答えを聞こうと思いまして保留した問題がありますから、それだけお尋ねをいたしておきたいと思います。  この爆発は核爆発を含むのか、含まぬのか、この点だけはっきりお答えを願いたいのですが……。
  137. 安井謙

    ○安井国務大臣 爆発と申しますのは、火薬庫とか火薬の一般の場合の爆発をさしておるのでありまして、核爆発のごときものは全然ここでは考えておりません。
  138. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 そういうふうに受け取ってけっこうでございますか。
  139. 安井謙

    ○安井国務大臣 はい。
  140. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 行政局長は違うことを言っておりますよ。今後検討したいと言っておりますよ。
  141. 安井謙

    ○安井国務大臣 そんなはずはなかろうと思いますが……。私は核爆発というようなものは、これは入る考えでいないと確信をいたしております。
  142. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それでは、東海村は原子炉がありますね。またそのほかにもできつつあります。大臣も御存じでしょうが、原子炉の爆発が起こった場合の第三者の災害をどう補償すべきかというような法律については、先国会できめましたね。しかし、あの法律には、災害が起こった場合の防災組織とか、そういう問題は一切触れておらぬでしょう。そうすると、東海村で原子炉の爆発が起きた場合、中央防災会議地方防災会議は一切知らぬ顔だということなんですか。
  143. 安井謙

    ○安井国務大臣 そういう平和的な試験研究機関といったようなものの爆発といったものと今お問いになりましたものとは、私も趣旨を多少違えて判断したわけでございますが、戦争等による爆発というようなことを想定していないつもりでおったわけなんでございますが、そういうような実際の民間に、現在日本にあるそういう事故につきましては、十分検討はしていかなければならぬと思っております。
  144. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 それじゃ、民間の核爆発は入るというわけですね。あれだって爆発ですよ。原子炉の災害というのは、爆発もあれば、また放射能を持つものがたくさん出ることもある。核爆発というのは、何も水爆、原爆のことばかりじゃないのですからね。これは大臣おわかりだと思うのです、核爆発という意味は。その点一つはっきりお答えをいただきたいと思うのですがね。
  145. 安井謙

    ○安井国務大臣 正直に申し上げまして、この法律を想定いたします場合の、何と申しますか、定義といいますか、対象には、そういういわゆる核爆発とか水爆とかというようなものを考えていなかったことは事実でござい、あす。ただ、今御指摘のような場合、これは全然ないということも言えないと思います。そういう点につきましては、今後政令等を定めます際には、十分検討していきたいと思っております。
  146. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 しかしこの点は、どうも核爆発というものに対して概念を大臣は少し間違えているような点もあるように受け取れますので、一つこれはあらためてどういう核爆発は入るとかということを内容的に一つはっきりして、科学技術庁とよく御連絡をとった上でお答えをして下さい。これはあとでお願いをいたします。  あと時間もだいぶあれですから、まだ私としましては、気象関係の、特に地方防災会議における気象業務関係とか、あるいは防災関係の教育の問題をどうするとか、あるいは今問題の、お話のごさいました原子力災害の問題についてもさらに詳しく科学技術庁等を呼んでお尋ねをいたしたいと思っておりますので、そうなりますと相当時間もかかるし、お集まりの方も限定をされておりますので、一応本日のところはこれで打ち切っておきたいと思います。後日また……。
  147. 園田直

    園田委員長 次会は来たる二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時六分散会