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1961-10-19 第39回国会 衆議院 地方行政委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十九日(木曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 園田  直君    理事 金子 岩三君 理事 纐纈 彌三君    理事 高田 富與君 理事 渡海元三郎君    理事 丹羽喬四郎君 理事 太田 一夫君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君       伊藤  幟君    宇野 宗佑君       大竹 作摩君    亀岡 高夫君       久保田円次君    田川 誠一君       津島 文治君    富田 健治君       前田 義雄君    佐野 憲治君       二宮 武夫君    野口 忠夫君       山口 鶴男君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (行政局長)  藤井 貞夫君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         総理府技官         (経済企画庁総         合開発局総合開         発課長)    八塚 陽介君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      堀  直治君         通商産業技官         (企業局工業用         水課長)    藤岡 大信君         建設事務官         (河川局水政課         長)      井上 義光君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    尚   明君         自治事務官         (行政局行政課         長)      岸   昌君         自治事務官         (財政局財政課         長)      松島 五郎君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 十月十八日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第四〇号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策基本法案内閣提出第四九号)      ————◇—————
  2. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 これより会議を開きます。  園田委員長は都合により出席がおくれますので、指名により私が委員長の職務を行ないます。  災害対策基本法案を議題といたします。  質疑を続行いたします。太田一夫君。
  3. 太田一夫

    太田委員 先回に引き続いてお尋ねをするわけでありますが、大臣出ていらっしゃいましたから、災害対策基本法の総括的な立場から見ましたお尋ねをいたしたいと存じます。  まずこの災害対策基本法案を通覧をいたしまして、われわれが感じますのは、災害予防ということを重点の柱としなければならないと思い、またそのお気持も流れておるように思いますけれども、実はそれが非常にぼけておる。応急対策あるいは災害がまさに起こらんとする場合の災害防衛というような狭い意味防災は入っておりますけれども、広い意味における災害基本的な予防という点の施策に非常に欠くるものがあるように思いますが、あなたはこの中に一体災害予防するという思想はどの程度まで入っているとお考えになっていらっしゃるのか、念のためもう一度お尋ねをいたしたいと思います。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 お話通り、この災害基本法災害対策全般にわたるものでございまして、あらゆる方面を網羅しておりますために、予防といったような点について、あるいはそこだけを特に大きく表現していないというようなうらみはあろうかと存じますが、実はこの基本法につきましては、従来ありましたあらゆる法律案を全部一つ体系づけをするということも、法案を作り上げます技術的な必要から生じておりまして、そういった意味で各般にわたっておる問題が非常に多い。そういう御印象は受けられるかもしれないと思います。しかし予防につきましても、むろんこれは十分に配慮しなければならぬのでございまして、第三条におきましても、まずその趣旨のことをうたっておるわけであります。そこでただ予防具体策が載っていないじゃないかという御趣旨につきましては、実はこの基本法が成立いたしまして、その方針によって今後格段予防その他についての具体的な案は、さらに別個の立法をする、こういう建前をとっております。
  5. 太田一夫

    太田委員 今大臣は、これができたらこの法律によって基本的な予防対策を講ずるのだ、こうおっしゃっていらっしゃったのですが、そういうことでは基本法というのはあくまで一般法立場をとっておるのであって、これはさらにこの基本法というものにのっとって特別法が作られる。だからそちらの方に一切譲るのであって、これはあくまでも単なる基本法だ、単なる基準法だ、こういうように考えられるのですが、具体的に、これが成立いたしましたら、災害予防する立場からはどのようなことができるとあなたはもくろんでいらっしゃるか。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 この趣旨は条章的に申し上げますと、今の三条を受けて第八条に国及び地方団体が抜本的な対策を講じなければならぬという趣旨をうたっておりますが、この法案の構成しております内容から申し上げますと、第一に御承知中央防災会議というものができまして、防災対策基本的な具体案をそこで練る、そうしてそれに基づきましてさらに各省でそれぞれの実施計画を立てていく。こういう非常に積極的な態度を出しておるわけでありまして、今まで各省にそれぞれの機関があり、各省所管法律がそれぞれございましたが、それはみなそれとしては非常に意味がありますが、いわゆる災害そのものを対象にしてあらゆる面から総合的にこれを積極的に企画を進めていく、あるいは予防その他の対策を進めていくというこの機構あるいは制度が今日までなかったのであります。それをまず置いて、そうしてその計画にのっとってそれぞれ必要なものを強く推進をしていこう、そういう意味で新しい防災会議というもの、あるいは防災基本計画、また実施計画というものを最初に出してきておるわけであります。
  7. 太田一夫

    太田委員 あなたはそうおっしゃるんですけれどもね。それはなるほど基本計画を作って、その基本計画に基づきまして各省具体案を作るということになるとおっしゃった。まあそういうコースを行くんでしょうね。中央防災会議などにおきましても、基本計画を作ることと実施を推進するための事務をつかさどるのですね。中央防災会議事務ですよ。従って、あなたのおっしゃるように各省具体策を練るというように、各省にこれを一任してしまうということなら今と一緒です。何も変わらない。しかも私はあなたにお尋ねするのは、第四章にあるけれども、第四章は災害予防という見出しでありますが、四十六条、四十七条、四十八条、四十九条、たった四条でしょう。災害予防という章における条文はたった四条。どんなことが書いてあるかというと、未然に防ぐことということが書いてある。未然に防ぐことという倫理が書いてある。組織であり、訓練であり、備蓄であり、点検である。こんなものが未然に防ぐことですか。そういうことを言っても、あなたのおっしゃるところの基本計画に一切一任するということは各省に一任すること、それぞれの行政機関に一任すること、基本法にある災害予防なんというのは心がまえなのです。組織訓練備蓄点検だけである。こんなばかなことがあるんですか。科学がないじゃないですか。どうして科学がないのですか。予防というこの観念の中になぜ科学が登場しないか。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただいまの御指摘の点でございますが、第四章に掲げておりまする「災害予防」というのは、災害自体についてのむしろ直接的な予防の点を重視して取り上げておるわけであります。さらに根本的な防災、広い意味予防という点につきましては、先刻大臣からも御説明を申し上げましたように、第三条あるいは第八条にその基本的な方向というものをはっきりと打ち出しておるのであります。すなわち、第八条におきましては、国及び地方団体は、その施策のあらゆるものが一体として防災に寄与することとなるようにしなければならないし、また、国並びに地方団体は、具体的に考えていかなければならない、あるいは重視していかなければならない事柄を特に列挙いたしておりますが、その中で、「災害及び災害防止に関する科学的研究とその成果実現に関する事項」あるいは「治山治水その他の国土保全に関する事項」等、災害予防基本的な事項について個々にはっきりと明記をいたしておるのでありまして、この精神にのっとりまして、国の施策その他について具体的な配慮がなさるべきことを要請いたしておる、こういう建前でございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 藤井さん、八条の見出しは「配慮」でしょう。配慮とは何ですか、心を配ることでしょう。心を配るということは、そういうことを心がけるというだけのことであって、これから何が出てくるんでしょうか。配慮しなければならない、配慮をすべき重点施策のかけらがここには出ておるんです。そうでしょう。「災害防止に関する科学的研究とその成果実現に関する事項」何ですか、これは。それから「治山治水その他の国土保全に関する事項」こういうことを実施することに努めなければならない。これは今まで河川法においても、海岸法でも、あるいは国土総合開発法でも、みんな書いてあることじゃありませんか。それぞれ各省これを持っておるでしょう。各省が持っておるところのその法律の中に同じことが書いてあるんですよ。それをただここに書いただけです。だから施策における防災上の配慮配慮じゃありませんよ、責任でなければならないわけです。国の責任というのはありますね。これはあなたのおっしゃった三条の「国の責務」というところは何だといえば、災害予防災害応急対策災害の復旧と経費負担適正化責務、こういうことになっておる。ところが、それは、基本計画を作って、それからさらに法令規定に基づいて実施をするということでありますから、これはまあ倫理規定にしかすぎないのであって、国の責任さえも大ざっぱにぼかされておる。しかし国の責任の中には、災害予防という言葉があるが、地方公共団体、県や市町村の方ではどうか。防災に関する計画を作り、実施するというだけの話でありまして、災害予防なんという言葉は、国の責任とは格段の違いがあるようにできておる。だから、地方公共団体の場合は、災害未然防止するということだけはかすかに載っておりますが、国の責任のような災害予防というような気持さえこれにはない。だから、責任を明らかにするといっても、この責任というのは、今持っておる責任以上の責任じゃない。だから、これから法律政令をどれだけ作られるか知りませんけれども、みんなそれに一任しておるでしょう。今持っておる以上にこれはどこに積極性があるんですか。一歩進んだところがあるか。それはどうですか。
  10. 安井謙

    安井国務大臣 これは全体として申し上げれば、今の各条章その他についてはまた局長からお話し申し上げると思いますが、防災会議を開いて、今後積極的に総合的なあらゆる災害対策を進めていくという点は、今までになかった一つの大きな進歩だと思います。それから活動面におきましても、同様に、従来それぞれの部門がそれぞれ忠実にやっておったものを一つ対策本部なり地方対策本部というものに一本化して、そうして総合的に予防活動なり災害対策活動をやる、これも今までなかった点でございます。それからさらに、災害のつど非常に時間と労力をかけて、そうしていろいろと特別立法をそのつどやるとかやらぬとかいうことでひまをかけておった、こういうような点につきましても、今後は早急に基本的なものを作って、その尺度によって迅速に処理ができるようにする、こういうしなければならぬという規定を作りまして、今後各省でいろいろなものを積極的にやっていくという体制を作ったこと、これも新しいことであろうと思うのでありまして、各省にまかすのじゃないかと言われますが、これは無理はないのでありまして、予防につきましても、あるいは対策活動につきましても、これは政府各省機関がそれぞれの分野を受け持っておることは事実なんでありますから、その意味においてはこれはむろん従来と変わらない。従って、各省責任を持たなければならぬということはありますが、それを今のように総合して非常に強力に進めていく体制を作るということが、この基本法精神であろうと思うのでありまして、そういう点につきまして一つ御了承賜わりたい、こう思います。
  11. 太田一夫

    太田委員 それじゃ大臣、ちょっと具体的にお尋ねしますが、どこやらに書いてあると思うのですけれども、海岸法を適用する場合におきましては、地方防災会議基本計画矛盾をしてはいけない、さからってはいけない、こういうことになっておる。だから私は、海岸法というのを一つ例にとりまして、海岸法そのものは、今後この地方防災会議ができたら、この組織ができることになれば、今より一そう骨抜きになる、こういうことじゃございませんか。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 骨抜きになるということではありませんで、基本法に盛られておりまする精神基本的な考え方にのっとりまして、さらに改善を要する点は改善をしていく、内容充実整備をはかるべきものについては内容充実整備をはかっていく、こういう関係になるものだと承知いたしておるのであります。
  13. 太田一夫

    太田委員 工業用水法というのがある。工業用水法は、中央防災基本計画矛盾することはできない、こういうことになっておりますね。そういうことでしょう。工業用水法優先するのじゃなくて、中央防災会議基本計画の方が優先するのじゃありませんか。工業用水法中央防災会議基本計画と並べてみて、どちらが優先するわけですか。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この法律の根本的な建前でございますが、建前は、まず組織機構点等から申しますると、現行制度におきましても、いろいろ防災に関する組織機構ができておるわけであります。それが完璧なものであるとは考えておりませんが、ただ、それらについては改善を要する面があるといたしましても、直ちに機構等について大変革をやっていくということは、はたして効果的なのか、能率的なのかという点について考えまして、まだ今のところはそこまでいくべきじゃない、それぞれの機構組織というものを能率的に、しかもばらばらにならないように、総合的にこれが運営をしていくような、そういう共通の連絡調整という場を作っていく、それによって事柄は数歩前進するのじゃないかという考え方をとっております。また、各仕事の内容業務運営等につきましても、基本的には防災に関する事務処理については、他の法律がそれぞれございます場合は、その法律定めによっていくということを第十条で規定をいたしまして、他の法律との関係を明示いたしておるのであります。従いまして、直ちにこの法律が出ますことによって他の法律との間に矛盾抵触をするものが大部分であるということにはなりません。その建前はそれぞれ尊重していくという建前であります。局部的には手直しをしなければならぬものが出て参りまして、その点は整理法で考えていかなければならぬと思うのでありますが、この法律が出ることによって直ちに他の法律矛盾抵触が生ずるという建前にはしておらないのであります。しかしながら、他の法律におきましても、この基本精神からいって足らない面がございます。内容充実改善をはからなければならない面も多々あるのであります。そういう点につきましては、今後国が防災基本計画等を作っていく、その方針が明示されていく、その明示された方針に従って内容改善が漸次はかられていく、こういう関係になって事柄を進めていくというのが本法案と他の法律との関係というふうに相なっておる次第でございます。
  15. 太田一夫

    太田委員 そうすると、あなたのおっしゃる解釈によりますと、他に法律定めてある、たとえば工業用水法がある、海岸法があるから、それに定められておることは、この法律の中には触れるわけにはいかないのだ、あなたのおっしゃることは単に十条に書いてあるとおっしゃるのですが、もし十条ということだけをそのような意味解釈しますと、工業用水法がある、海岸法がありますよ、現在他の法律があげておりますよ。だからこれに定めておることはこれによるのであって、これには今回は関係ないのだ、そういうことですか。
  16. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 直接的には個別の法は個別の法の規定するところに従って運営をされていくという建前でございまして、その通りになるわけであります。ただ基本的な問題といたしましては、この基本法精神というものがございますので、この基本法精神にのっとりましてあらゆる国の施策といたしましても再検討を要するものが出て参ります。その再検討をいたしました結果、個々法律についてもあるいは内容改善し、改正をするというものも将来出てくるという関係に立っておるわけでございます。
  17. 太田一夫

    太田委員 だからこれは工業用水法海岸法と具体的な例を言っておりますよ。これはもうきまっておるでしまう。一条から二条、三条というふうにきまっておる。これは今度の基本法ができたら効力が停止されるのか、さらにそれが制約されるのか。そうじゃない、あなたは最初十条というのがあるから、他の法律できまっておるからそれでやるのだ、他の法律をこれが規制しないのだ、そうおっしゃった。今は何か規制するようにおっしゃった、一体どうなんですか。工業用水法海岸法はどうなるのですか。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 基本法が出ました場合において直ちに他の個別法、今おあげになりました海岸法なり工業用水法というものが、失効したり、効力を停止したりするものではございません。
  19. 太田一夫

    太田委員 だったら今のままいくとすれば、あなたの最初おっしゃったのは三十八条のことでしょう。ここにははっきり書いてありますね。矛盾抵触するものは排除しています。矛盾抵触するものは排除しておるということは、これは海岸法なりあるいは工業用水法なりが優先をしないことだと思うのですが、私の解釈は違いますか。それともすることですか。
  20. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 優先という場合におきましては、一方の法律規定に明確に矛盾するというものが出るという場合においては、後にできました法律というものが先方を廃止していく、あるいは効力を停止していくという関係になるわけあります。この基本法建前はそういうことではなくて、あらゆる防災に関する基本的な事項規定はしていくけれども、個々の具体的な業務事務等処理につきましてはそれぞれの法律規定に従っていくということでございます。  そこで今おあげになりました三十八条のことでございますが、ここに書いてございますのは、それぞれの法律に基づいて作成をされます防災に関連する計画防災に関する部分、これは広義の防災計画になるわけであります。その防災計画というものは、これは法律から直ちにその防災計画内容が出てくるものではありません。法律規定に従ってそれぞれのここに書いてあるような計画ができ上がるわけでありますが、その計画自体というものは、今度できます防災基本計画あるいは各省が作る防災業務計画というものに矛盾、抵抗しておるようなことになりましては、せっかくの基本計画なり防災業務計画ができましても意味をなさぬわけでございますので、そういうものにつきましては防災基本計画なり業務計画に照応いたしまして、矛盾抵触をしたものはこれを改めていく、こういうことを期待いたしておるというのが三十八条の規定趣旨でございます。
  21. 太田一夫

    太田委員 そうなれば十条云々じゃなくて、基本計画優先をして工業用水法海岸法も改めなければならぬことが出てくるのですね。
  22. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法律建前では、いわゆる基本法優先をするという建前はとっておらないのが十条の規定方針でございます。基本計画防災業務計画というものとの関連において、他の法律に書いてございます各種の計画がございますけれども、この計画との関係については、御指摘のように基本計画なり業務計画というものが優先するという言葉を使いますればまさしく優先するといってもよいと思うのであります。それと防災に関する各法律規定に基づく計画というものは、その意味改正をしていかなければなりませんですし、それと同時に他の法令につきましても、この法律精神に基づいてあるいは重複したり矛盾をしたりというものがございますものにつきましては、これは次の機会に提案を予定いたしております整理法整理をいたします。さらに積極的には、この法律精神に基づいて改善整備を要するものについてはなお整備改善機会を持っていく、そういう建前に法制が成り立っておると承知をいたしておるのであります。
  23. 太田一夫

    太田委員 簡明に答えて下さいよ。私は工業用水法海岸法という二つの問題だけにとにかくしぼって今お尋ねしておるわけです。通産省は工業用水法をかかえて、これが通ったらおそらくこれは書き改めなければならぬという覚悟をしなければならぬだろうと私は思う。海岸法もまたこれが通れば全般にわたって書き改めなければならぬのだろうと思うのです。そういうことが考えられなければこれは何もならぬじゃないか。今あるものを尊重するというのは、簡単にいえば何も作らなくてもいいのです。あなたの言うことはそういうことじゃないですか。工業用水法海岸法も今のものだけじゃこの考え方に合わないから書き改めるのだ、こういう法律でありますということでしょう。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この法律精神に基づいて他の法律内容整備改善を要するものが出て参りますれば、その線に沿って内容改善をはかってもらうという趣旨でございます。
  25. 太田一夫

    太田委員 そこで総括してお尋ねしておきます。この中には他の法律定めにより、政令により、条例により、こういうふうに書いてありますね。一体ここだけで法律幾つ作ることになり、政令幾つ出すことになり、条例はどれくらい考えられておりますか。
  26. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法律関係につきましては、法律自体でもって別法でもって新しく規定しなければならないというふうにいたしておりますものは、法律自体で明言しておりますのは三つでございます。ただ、法律内容をどこに盛り込むか、既存法律に盛り込むかどうかによって二つになる場合もあり得るかと思うのでありますが、ここに書いておりますのは、激甚災害の場合の特例、それから農地等小規模災害における特例、それから災害基金に関する特例、この三つ法律で別に作るべきものと予定をいたしております。それから政令は四十一でございます。条例はのちほど調べましてお答えいたします。
  27. 太田一夫

    太田委員 作るのは三つかしれませんけれども、他の法律定めによるとかいうところはもっとたくさん書いてあったと思うのです。勘定していませんからわかりませんが、よるべき基本法というのが別にまたあるように思います。そこで今の藤井行政局長お話のように、基本計画の方が優先をする、そしてその既存の各法律の方の防災に関する部分というのは書き改めなくちゃならぬというものがたくさん出てくると想像されるとすれば、これは非常に大きな作業なんですが、今の工業用水法にいたしましても、これは書き改めなくちやならぬと予想される部分が出てこなければうそだと思う。あなたたちは立案の過程において、そういう防災に関する部分を強化しなければならぬ、改正しなければならぬものが出てくるであろうと想像されたものは幾つかありますか。
  28. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その点は幾つかございます。ございますが、なお各省等ともいろいろ打ち合わせして最終的な結論を得るために若干時間的な余裕が要りますので、そういう意味合いをもちまして、整理法その他の関連法律の提案ということは、次の通常国会に持ち越したいという状況でございます。
  29. 太田一夫

    太田委員 だから、そうすると私はかなりあると思うのです。そこでどれぐらいあるかの想像をわれわれがする場合の資料が実はない。先ほど申し上げました通りに、第四章で災害予防という見出しのところ、これは組織訓練備蓄点検だけだというようなことじゃ、われわれはこんなものは応急対策法だ、災害救助法のもうちょっと大きくなったものぐらいにしか考えられない。だから、一度念のために承りたいことは、基本計画中央防災会議防災計画というのがありますが、その基本計画のモデルというものはあるのですか。
  30. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 まだそこまでの用意はいたしておりません。
  31. 太田一夫

    太田委員 従って、地方防災計画のモデルもない。これは審議に非常に困難を来たしますね。というのは、先ほど工業用水のことでお話を申し上げましたから、それにちょっと焦点をしぼってお尋ねをしていきますと、先回もお尋ねしたのですが、東京の地盤というのはまことに低い。マイナス地帯が江東地区には非常にたくさんあって、マイナス三メートル以上なんというところもあるわけですから、そういう防災上特段の配慮をしなければならないものが現在たくさんあると思いますが、この原因というのは工業用水の地下水のくみ揚げが一番の原因だとされておる。そうするなら工業用水というのは規制しなければならない。地下水のくみ揚げや冷却用水のくみ揚げというのは規制しなければならないでしょう。ところが工業用水法を見ますると、この規制というのが非常に消極的なんです。非常に消極的だから、あちらでもこちらでもビルの水、工場の水というものがくみ揚げられておって、それが地盤沈下の最大なる要因をなしておることは、京浜地区、中京地区、京阪神地区におきまして顕著なんです。だから、そういう工業用水法内容にいたしましても、もっと積極的に取り締まる、井戸を使わせない、あるものはこれを閉止を命ずるということにならなければ、防災基本計画精神には合致してこぬような気が私はするのだが、そういうような計画はあるんですか。またそれは可能性があるんですか。   〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
  32. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 専管の課長が見えておられるようでありますから、専門的な問題については後ほど関係の課長さんからお答えをいたすことにいたしまして、前段のことについて申し上げておきたいと思います。  基本計画というものは、この法律案も書いておりますように、防災会議が作成をしていくという建前になっておるのであります。防災会議自身が発足をいたす過程になりますれば、できるだけ早急にこの立案が行なわれていくということが期待されるわけでございます。ただ、それにいたしましても、基本計画においてただ単に野放図に災害対策基本に関する問題だというようなことでは、これは抽象的で、何が何だかわからないというようなことから、特に三十五条等におきましては、防災基本計画においてどのような事項規定すべきかというような点につきまして、項目だけといわれればそれまでかもしれませんけれども、網羅してこれを列挙いたしておるのであります。これを直ちに内容の細部にわたってどのような計画を盛り込んでいくかということにつきましては、防災会議がそれぞれの立場から慎重な検討を加えた上で立案されることが期待されているわけであります。
  33. 太田一夫

    太田委員 通産省の工業用水課長さんがおいでになっていらっしゃるようですから、今の点でお尋ねをしますが、工業用水というものが日本の産業の発達のためには非常に不可欠のものであり、水の国であるという日本においてなお水が不足するという不思議な現象があり、あわせて豊富なる地下水を取れば地盤沈下だといわれて、都市の人たちの生命、身体、財産の危険を呼び起こすというような、いろいろ困った立場に立っておるのでありますが、工業用水の地下からのくみ揚げということに対しましては、今後どういう対策をお立てになるつもりでありますか。
  34. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 今おっしゃいましたように、工業用水を多量にくみ揚げることによりまして地盤沈下等の災害の原因になるということで、昭和三十一年に工業用水法というものを制定いたしまして、現在全国で七カ市町村に及びまして指定地域を指定して、新しい井戸のくみ揚げについて規制をいたしております。現状としては新しい井戸のくみ揚げだけでは不十分ではないかということもございますので、従来くみ揚げておった井戸につきましても、工業用水道を早急に施設いたしまして、そのくみ揚げを禁止していこうということを考えております。今太田さんが言われました東京都におきましては、三十六年、ことしの一月に指定地域に指定をいたしまして、東京の江東地区については新規の井戸の掘さく使用ができないという形になっております。その裏づけといたしまして、工業用水道につきましても昨年度から東京都で工事にかかっております。これを早急に完成をして、代替用水を作って、そして早く取りかえさせるという行政的なことを考えております。
  35. 太田一夫

    太田委員 その工業用水の規制地域として指定をされたのが江東地区だとおっしゃったのですが、それはこれから取るのを禁止するのであって、今までのものを禁止するわけではない。丸の内においては、モーターの馬力を強くしたりなんかして、同じ井戸ではあるけれども、その井戸の能力というのを倍化して、くみ揚げを盛んにやっている。こういうことからいってみても、今までのものがそのままである限りにおいては、なかなかもって地下水のくみ揚げの過当くみ揚げというものを防止するということにはならない。今まで以上にならないというだけの話であって、これは改善には役立たぬと思うのですが、今あるものを全部禁止してしまって、そして工業用水の豊富低廉なる供給対策というものを別個に立てる、こういうことにならなければほんとうの防災にはならぬと思うのですが、どうすでか。
  36. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 一見、今太田先生のおっしゃいましたようなふうに見えますが、工業用水のそういうふうに非常に過度くみ揚げをした地帯は、地下水が非常に少なくなっておりますので、馬力を変えてもなかなかそう水がよけいになるというふうにはならないのでございますが、それはまた逆に、工業用水法では、古い井戸でも内容を変えた場合には、それをやはり新設と同じようにチェックするという形になってございますので、その辺は防止できると思います。そうして従来のものをそのままにしておけば、全然効果がないじゃないかという御意見でございますが、まさにその通りでございますが、内容的に申しますと、井戸の水が、地下水が非常に少なくなった地帯ではだんだん出にくくなって参りまして、一年ないし二年で江東地区では井戸がだめになるわけでございます。そういう地帯だと、その井戸があったからということは何も権利を生じませんので、全部新設許可にかかって参ります。新設許可にかかって参りますと、そのきつい制限がございますので、従来のものは相当制限される。ほとんど禁止に近い制限をいたしておりますので、そういうことは実体は確保される、こういうふうに思っております。逆に従来取っておった井戸をそのまますぐ禁止するということになりますと、その工場、事業場の生産を即時に停止するという形になりますので、かえってその辺に困難を生じる。賠償等の疑義が生じて参ります。そういうことで法律的にも非常にめんどうな規定が必要になって参るわけでございますが、それよりは実際上にそういう一、二年で十分効果が上がってくる、長くても四、五年のうちには効果が上がるということが大体見当がついておりますので、法律では一見やわらかいように見えておりますが、内容的には相当シビアになっておるということを御了解いただきたいと思います。
  37. 太田一夫

    太田委員 それは一応新規のものをストップされれば効果はあるでしょう。と思いますけれども、工業用水の不足というのは、とめたからそれでもうよろしいというような、なまやさしいものじゃない。産業が発展をすればだんだん水の需要がふえる。水の需要のふえたものは、今までの井戸以上のものをくんじやいかぬぞということにしておいて、それで事足りるものじゃないでしょう。一方においては、それにかわる施設が要る。これは相当膨大な金がかかると思いますけれども、工業用水供給の今後のプラン、これは積極的なものを何かお持ちでございますか。
  38. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 まことにお説の通りでございまして、工業用水道そのものは、地盤沈下のために井戸水の代替だけを供給すればいいというものではございませんので、一般の産業の発展に応じまして、その需要に応ずる工業用水の確保ということについても考えております。現在われわれのところで所得倍増計画に応じた工業用水の需要を算定をいたしまして、大体昭和四十五年に八千三百万トン程度の淡水が必要であろう、そのうち工業用水道でまかなうべきものは三千七百万トン程度必要になってくるのじゃないかというような試算をいたしております。これを現実的に整備するために、工業用水道の十カ年計画を現在策定をいたしまして、すでに発表されました工業地帯の開発構想とあわせまして、将来十カ年の間にどういう水が要るかということについて現在具体的な計画を策定中でございます。
  39. 太田一夫

    太田委員 江東地区の問題に一つ焦点をしぼってみますと、江東地区というのはほとんど地下水によって工業用水はまかなわれておりましたね。だから、工業用水道の新設というのが焦眉の急であることは間違いないと思う。これは間違いありませんけれども、今度海岸——京浜地区の臨海地帯などにおきましては、これまた何か新たなる構想が必要なような気がいたします。現在でも海水から相当工業用水を取っておると思うのです。必ずしも川や地下水じゃない。海水から取るということは相当資本が要るのでしょうね。要ると思いますが、国家の手によって海水を淡水に還元するという大規模な設備を施して、そうして千葉なら千葉海岸の工業地帯にこれを供給する、京浜地帯も供給する、江東地区も供給する、あるいは中京並びに大阪というところに供給することになれば、今の水源争いというような問題もかなり緩和されてくるし、いいじゃないかと思うのですが、こういうことはどこかにネックがあるのですか。
  40. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 海水の点でございますが、われわれの方で調べました昭和三十三年の工業用水の統計というのは、政府で調べた一番信頼の置ける統計でございますが、これによりますと、海水の方が淡水よりは多少上回って、大体五〇%程度、多少上回って海水の方がよけい取られておるという状態でございまして、現在工業用水として海水が使われておるのは日本では非常に多いわけでございます。諸外国——簡単な例でアメリカの例をとりますと、向こうは海水と申しておりません、内陸にも塩水がございますので、サリン・ウォーターという言い方をしておりますが、その海水といいますか、塩水を使っておる量は大体二〇%以下のようでございます。従いまして、日本は工業用水については非常に恵まれておる。これだけの工業の発展のためには、少なくとも内陸であれば現在の量の倍だけの水が要るのを、海水でまかなっておるために非常に恵まれておるということはいえると思います。そして、最後に言われました海水の転換のことでございますが、淡水転換につきましては、日本は相当技術的に進歩いたしておりまして、アメリカでは塩水転換法という法律がございまして、国が直轄で調査をいたしておりますが、その中で、六カ所ばかりありますけれども、その一つに日本の技術を取り入れたプラントを作って、現在某会社がその技術輸出をいたしております。現在建設を終わりまして、多分この十月ごろから運転を開始する運びになっておると思いますが、技術的にはそういう進んだ技術を日本は持っております。その技術の進んだものにつきましても、大よその見当といたしましては、その会社の人に聞きますと、一トン当たり七十円くらいのコストになるであろう。アメリカで現在やっておるものにつきましては、一トン当たり百円程度のコストがかかっておりますが、それよりは三割方安くなる。しかしまだまだ日本の工業用水といいますと、上水道でも十数円でございまして、工業用水におきましては四円ないし五円というところがせいぜいのコストではないか、こういうふうに思いますので、現状ではちょっと技術的に困難ではないかと思っております。
  41. 太田一夫

    太田委員 それは四円、五円の工業用水の値段だから採算が合わないということだろうと思いますが、それは逆な話であって、四円、五円というものがさらに二円、三円に下げるとかいうことにしなければ、工業の発展ということに相ならぬじゃないか。四円とか五円というのは、大体東京の工業用水の値段でしょう。大阪では七円近いですよ、六円八十銭。大阪は高いのです。これはなぜ高いかというと、ここには地下水くみ揚げを禁止するという条例ができた。工業用水法によって禁止されたのではない。大阪市は条例を制定して地下水のくみ揚げを規制した。そのために、買う水は工業用水六円八十銭というような七円近い高い水を買わなければならなくなった、こういう立場におかれておるでしょう。片方をよくすれば片方が悪くなる、こんな工合。だから先ほど基本計画のプランはないとおっしゃったが、防災基本計画というのはこのようなことをきめる、そして既存法律にはこういう影響を及ぼす、具体的な施策ではこうなるというような、少なくとも青写真をお作りにならない限り、われわれとしてはこの法律を審議する手がかりがないような気がする。  今大阪の話が出たついでにもう一つお尋ねしたいことがあるのです。大阪ではクーリング・タワー方式による冷却と、クーリング・タワー方式による工業用水の新設に対しましては、融資と二分の一の利子の補助をしておるという話ですが、これは課長御存じでございますか。
  42. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 工業用水については、大阪ではそういうことをやっているのではなくて、おそらくビル用水について融資なり補助なりをいたしておるのだとわれわれは聞いております。  それから先ほど六円八十銭というお話がございましたが、御承知通りの高い水でございますので、国が補助を幾分いたしまして作った水でございますが、六円八十銭という非常にコストが高いというので、なかなか業界が使わなかったわけでございます。それで工業用水法が施行された後にまた補助金を出しまして、ほかの工業用水道を三円五十銭の値段でやっていただきたいということを申したわけでございますが、市当局はどうしても三円五十銭にできないということで、前の工業用水とのバランスの問題で言われましたので、われわれとしましては、六円八十銭をもう少し下げてもらって四円にしていただきたい、そのかわり、そのかわりと言ってはおかしいですが、新しい工業用水道の三円五十銭というところを固執しないで、四円にしてよろしゅうございますということで、市当局と話し合いをいたしまして、現在では六円八十銭であった水を四円で供給をいたしております。従いまして、市当局は、多少の赤字はございますが、これは一般財源あるいはその他の財源等でまかなっていくという処置をおとり願っておるという格好になっております。
  43. 太田一夫

    太田委員 クーリング・タワー方式についてもうちょっと御説明いただきたい。そんなものは大して問題じゃないというような感じを受けましたが、そういう新しいシステムができておるのに、それは大したものじゃない、それはビルくらいのものだろう、そのビルが大へんじゃありませんか。ビルがたくさんできて、そこでみずから使用する水でどんどん地盤が沈下しておる。そのもとをほうっておいて地盤沈下対策は考えられないじやありませんか。
  44. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 私の申しましたのを誤解されましたようでございますが、現在ビルにやっておるものについて助成をしておるということを申したわけでございまして、工場でやっておりますクーリング・タワー方式というのは、すでに数十年前からやっておるのでございます。たとえば八幡製鉄のごときは、部分的なことで勘定をいたしますと、九五%までの回収をやっております。そして補給水は五%だけでいいという工場もございまして、全体といたしましては七〇%の回収をいたしておりまして、新しい水は三割補給すればいい。これはどういうことかというと、全部そういう回収方式なりあるいはクーリング・タワー方式なり、いろいろな方式でもって新しい水をなるべく節約するということでまかなっておりまして、大工場におきましては、八幡だけではございませんで、大体の鉄工場ではほとんど使っておるということは言えるのではないか。大阪の大工業につきましても、当然こういうものは使っておりまして、化学工場でも相当水を使いますので、そういうクーリング・タワーの方式はどんどん使うことになっております。  それからわれわれのの方といたしましても、先ほど申しました昭和四十五年の八千三百万トンの水の中には、二五%に及ぶ約二千万トン近い工業用水を回収水で得ようと考えております。これは昭和三十三年の淡水の総使用量に匹敵する量でございまして、なかなかこういう回収はできないのではないかという議論もございますが、この辺までは回収で新しい水源のかわりをしたいということを考えておりまして、現在回収水の利用につきましては、鉄鋼関係と硫安関係二つの業種につきまして指導書を作成して、各会社に周知徹底させ、さらに現在より以上に回収率を高めて、新しい水源の節約をしようということを考えております。引き続きまして他の多量に水を使う産業につきましても、同様のことを来年度以降についても考えておりまして、新しい水ばかりでまかなっておるような工場については、工業用水道の使用についても多少考慮するというくらいなところまで最後にはもっていきたいというふうに考えております。現在新しく立地する、たとえば名古屋地方の東海製鉄等におきましても、当初からすでにもう七〇%の回収率を計画に入れております。こういうものはこれまでの計画には全然なかったものでございまして、今後の工業立地につきましては、当然こういうものは考慮の中へ入れるということをわれわれは指導して参りたい、こう思っております。
  45. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。何十年も前かち実は発見されておったクーリング・タワー方式というものが今日なお注目を浴びておるということは、私はあまり普及しておらないのだと思うのです。だからクーリング・タワー方式を現実に採用しておるものは、率にいたしましてどれくらいの率の普及度でしょうか。
  46. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 クーリング・タワー方式というのは、狭い面積で冷却効率を上げるということでとられている方式でございまして、必ずしもクーリング・タワー方式が最もコストが安いということではないのでございます。従いまして、工場の先ほど申しました回収水というのはクーリング・タワー方式に必ずよれということではございませんので、狭い面積でなるべく回収率をよくするというためにはクーリング・タワー方式が非常にいいということでございます。そういうものを入れまして、工場の回収率を全国の量で言いますと、先ほど申しましたように四十五年は二五%ということを考慮いたしておりますが、現在は二〇%少々でございます。
  47. 太田一夫

    太田委員 二〇%少々とおっしゃいましたが、それはトン数にしてどれくらいなんですか。
  48. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 ちょっと資料を出すのは時間がかかりますので、たしか七百万トン程度であったと記憶いたしております。
  49. 太田一夫

    太田委員 そこで、そういう古くから発見をされ実用されておるけれども、今おっしゃったなかなか進捗しないのは実は金がかかるのだ、一つのビルにクーリング・タワー方式を取り入れますと、大体小さなビルで一億円、ちょっと水を使うようなところでは三億、四億かかるということを巷間ではうわさをしております。一億から三億、四億、いわゆる億という単位の金をクーリング・タワー方式、いわゆる工業用水節約、地下水節約のために投じようという能力のあるものは、法人にいたしましても個人にいたしましてもたくさんあろうとは思えないのです。だからこれに対して、ただクーリング・タワー方式は昔から八幡製鉄でやっておるというだけでは自己満足にすぎないわけであって、これを江東なら江東デルタ地帯に応用する場合には国家が直接やって、そうして地下水はもう工業用水としてくみ揚げはほとんどしなくても済む、こういう抜本的な対策でも講じられるならば、地盤沈下対策にはあずかって寄与できると思うのですが、そうでなかったら、これは金を持っている三越さんとかあるいは東横さんがおやりになるのであって、一般のビルじゃできないじゃありませんか。それはどういうつもりですか。
  50. 藤岡大信

    ○藤岡説明員 先ほど来申しておりますが、私の申しておりますのは工業用水のことだけでございましてビル用水等につきましては、さらに他の諸省に属しておりますので私現在具体的な数字を存じません。今の江東地区の工業用水をクーリング・タワー方式でやればいいじゃないかということでございますが、現在江東地区で相当の大会社、化学工業会社等ではクーリング・タワー方式をやっております。これはもう十年以上も前からやっております。ただ問題は、われわれが今度工業用水道で供給しようとしておるそういう会社には非常に零細なところが多うございまして、御承知のように江東地区ではもうクーリング・タワー自身を作る場所さえないというようなものがございますので、これは工業用水道で代替水源を供給をして、そして地下水のくみ揚げをやめていただくということが抜本的な施策じゃないかということは江東地区全体については言えることじゃないか、こういうふうに思っております。大工業につきましてはすでにやっておりますが、さらにそれを強化するということは一先ほども申し上げましたように現在策定中のものでございまして、これを一般に普及し、さらに高度に回収水を使うということを進めていきたい、こういうふうに行政指導の面で考えております。
  51. 太田一夫

    太田委員 そうなりますと、江東地区あたりではちょっとこれはやれそうもない。工業用水くらいしか仕方がない。そうすると工業用水でペイし得るというそういう値段を考えなくちゃならないから、工業用水を安くしなければならない。だから工業用水道計画というのは、地下水使用禁止令、いわゆる工業用水法の地下水のくみ揚げを禁止すると同時に、工業用水道の増設に格段の力を入れなければならないですね。そこで大臣に聞きますが、それはどこできめるのです。今度これができたときに通産省にまかせるのですか。
  52. 安井謙

    安井国務大臣 この防災中央会議ができますれば、そういう線でぜひこういうものはこういうふうにやらなければいかぬじゃないかといったような強い線も出てこようと思います。そうすると、これは総理大臣の所管のもとにできるわけでありますが、そういう意見がそれぞれ直接通産省なら通産省へ伝達されることによって、これは非常に推進する大きな力になると思います。
  53. 太田一夫

    太田委員 大臣よろしいですか、なかなか金がかかるそうですよ。この金のかかる制度防災基本計画において取り上げて通産省に指示をする。実施しなさいという勧告をすることになるだろうと思うのですが、そういうほんとうにそれだけの強い力というものを中央防災基本計画というのは持つのですか。
  54. 安井謙

    安井国務大臣 中央防災会議基本計画を立てて、それに基づいて各省がそれぞれ実施計画を立てなければならないという建前になっておりますから、これはむろん予算も必要としますし、あるいは年度割りその他具体的な計画につきまして主管省もいろいろ考え方もありましょうし、国の財政の考え方もございましょうが少なくとも従来より強い防災的な立場でそういう問題が強力に推進されるということは、間違いないと思います。
  55. 太田一夫

    太田委員 それでは大臣どうですか、今の実態から見まして工業用水法の積極的改善というのが非常に必要だという御結論だと思うのです。従って、今の工業用水法なんというのは何の役にも立たぬというぐらいのものだ、だから工業用水法なんというのは全然問題にしない、別個の策定をして工業用水法は死滅化してしまおうという、こんなつもりですか。
  56. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 全く役に立たぬというものじゃないと思っております。ただ大臣も言われましたように防災会議でもって防災基本計画の作成をやっていく、その際にいろいろ科学的、技術的な検討というものを加えて具体的施策が盛られて参るわけでございますので、当然先刻来話題に相なっておりますような工業用水確保の問題、それらの対策としての地下水のくみ揚げについての規則の問題、そういったことも当然取り上げられて参ると思うのであります。その線に沿って主管の通産省においてもいろいろ改善施策を現在も考えられておりますけれども、さらに基本計画の線に沿ってこれらの推進がはかられて参るということに相なって参ると思います。従って、その線に乗って改善を要する点があり、しかも現在の工業用水法自体について不足な点あるいは欠陥の点、改善を要する点があります場合においては、その改正ということも当然将来の問題としては日程に上ってくるというふうに考えるわけでございます。
  57. 太田一夫

    太田委員 藤井局長、あなたはそうおっしゃるけれども、別基本法の中じゃそんな工業用水法なんか歯牙にかけちゃおらないじゃないですか、三十八条に出ていない。防災に関する部分というものをつかさどるものの中には工業用水法はありません。どうですか。
  58. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 四章の点は先刻申し上げましたように、災害予防ということの狭義の面で規定をいたしておるのでありますが、一般的な災害対策という点につきましては、三条あるいは八条においてその基本的な考え方をここに打ち出しておるわけでありまして、その施策のあらゆるものをあげて防災に寄与するようにしていかなければならぬ。その対策の中には当然入って参りますし、なお防災基本方針あるいは基本計画というものの中にはそういったことも当然内容として取り入れられることを期待をいたしており、また当然そうなるものと考えておるのであります。
  59. 太田一夫

    太田委員 期待をしてもらっても、原案の中に工業用水法なんというものは出てこないでしょう。特定多目的デム法というのは出てくる。特定多目的ダム法は、この防災に関するものは基本計画矛盾してはならない、抵触してはならないというふうに、これは防災に関して相当重要性を持つというふうに認識を持っていらっしゃる。ところが、地盤沈下防止という大事な使命を持つ工業用水法をこの中に入れておらない。なぜもう少し地下水という問題に着目しないのか。なぜ地盤沈下という問題に着目しないのか。期待をされただけではいかぬ。どうしてこれが入らなかったかという点を明らかにしてもらいたい。
  60. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 三十八条におきましては、ここにいろいろ現在の法律に基づきます防災関連計画というものを拾い出しておるわけであります。これは現行法の中でそれぞれ計画を作るべきことをうたっておるものばかりを拾ったのであります。総合的開発計画あるいは農業振興計画というふうに具体的に計画というものをうたっておりますものを拾い上げたという考え方でございます。工業用水法自体につきましては、そういったこれらに類するような、また並ぶような計画は現在のところ、ないようでございますので、そういったものについては触れておらないということでございます。ただ、将来そういったものができますならば、「前各号に掲げるもののほか、政令定め計画」ということで、政令で拾う場合もございましょうし、また法律自体に手直しして、ここにあげていくということも考えられてよいのではないかと思う次第でございます。いずれにいたしましても、これは現行法ではっきり書いてあるものを拾い上げたという建前でございますので、工業用水等の問題について重大な関心を持っておるということについては変わりはございません。
  61. 太田一夫

    太田委員 だからそれを読んでみてもわからないと私は申し上げる。何が書いてあるかわからない。今日地盤沈下によって、先般の第二室戸台風においても大きな損害を出した。伊勢湾台風においてもそうだった。それからもう一つ、今後の宿題になっております江東ゼロ・メートル地帯、ここにおける災害がどれくらいになるかということは、みんな首を長くして待っておるでしょう。東京にどんな災害が起こるか、第二室戸台風が東京に上がったらどうなるであろうということを、みんな首を長くして待っておる。あなたの方ではデーターが出ない限りは対策が出ない。  それで今あなたのおっしゃったように、工業用水法というのはとにかく地盤沈下防止ということでできたものなんですから、この大使命を持っておるものの防災に関する部分は、少なくとも基本計画よりも下ではいかぬというくらいの積極的な気がまえを見せなければいかんと思う。計画という字がなければ載せないというような形式的なことでなくて、今日は工業用水の問題じゃないですか、地盤沈下、地下水の問題じゃありませんか。中之島公園が水浸しになって、あの中の関電ビルを除いてみんな大被害を受けたのは、防潮堤はあっても地盤沈下したために波が乗り越えて、今日なお家なき人たちがある、今日なお大阪にはたよるべきところのない気の毒な人たちがあることは、ラジオやテレビのニュースがそのまままざまざと伝えておりますよ。まだ家はできないのです。みんな流されてしまった。そういうのは何だといったら、地盤が沈下したためだ、地盤沈下対策が今後の防災のかなめである。私は災害予防立場を言っておるわけです。そういうことになるならば、特定ダムだとか、あるいは海岸における防潮堤、これらのものも地盤が沈下したからこそであって、そのことによって使命が大きくなっておるのに、工業用水法というものは、それが基本計画抵触するものであってはならないという制約をなぜしないのか。なぜ工業用水の地下水くみ揚げを禁止するということを強力に発動させて、地下水のくみ揚げを規制して、それにかわる低廉なる工業用水を供給するという基本的なかまえをここに見せないか、不思議でしょうがない。大臣、どうですか。
  62. 安井謙

    安井国務大臣 この実際の活動といいますか、法の作用する影響部門については、まことにおっしゃる通りだと思うのであります。そこで、今の基本計画ができ、実施計画ができるにあたりましては、こういう重大なものは当然積極的に取り上げていく建前になっております。ただあらゆるケースを全部この法律の中に盛るということもどうかと思いますし、また予想し得ざる問題も今後出てこようかと思うので、そういう形式をとらなかっただけでありまして、おっしゃるような精神のものは、この法律では十分に盛られてある、こういうふうに私どもは心得ております。
  63. 太田一夫

    太田委員 それではもう一つお尋ねします。海岸法、これは三十一年五月十二日制定で、津波、高潮、波浪から海岸、国土を守るのがこの法律の目的でしょう。この海岸法は中央の防災基本計画の中には特に重点的な焦点にならないのですか。
  64. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 この問題も当然重要な対象になって参ると思うのであります。その点は、第八条の第二項にもございますように、「治山治水その他の国土保全に関する事項」ということで、特に国、地方団体重点的にその実施に努めなければならない事項として掲げておる次第でございます。
  65. 太田一夫

    太田委員 私はそんなところから説明してもらおうなんて思っておらない。あなたが先ほどおっしゃったように、今後中央防災基本計画によって、それぞれの行政官庁が所轄する事項については積極的な対策を講じさせるようにするんだとおっしゃるから、それならば、その方向に逆らうものはみんな変えてもらわなければいかぬですよ。先ほど私は工業用水法を取り上げて盛んに言っておきましたが、海岸法というものはなぜ中央基本計画の中に入らないかということを言っておる。海岸法の中に、海岸保全区域の指定というのが第三条にありますね。海岸保全区域の指定は、目的達成に必要な最小限度の区域に限って行なうというのがありましたね。建設省の方はいらっしゃいますか。——そういう表現がありましたね。
  66. 井上義光

    ○井上説明員 今おっしゃいましたように、海岸法に、海岸保全区域の指定は最小限度の区域に限ってするという規定がございます。この立案の趣旨は、海岸保全区域に指定いたしますと、いろんな公益性あるいは公用負担等が課せられますので、こういった国民の権利に関する事項でありますので、海岸を防護することによって国土保全するという目的達成に必要な限度というふうに制限されたものと考えております。
  67. 太田一夫

    太田委員 それは第三条の三項のまっ先にありますね。この指定は「この法律の目的を達成するため必要な最小限度の区域に限ってするものとし、」となっている。公用負担が多くなる、お金がかかるから、最小限度に海岸の保全区域の指定をやれなんという、この海岸法がこのまま大手を振ってのさばり歩いておって、基本計画はどうなるのですか。金がかかるから、なるべく最小限度にやれ、これは矛盾もはなはだしい。だから基本計画の中の特殊対象項目にこれは載っていない。大臣、どうですか、これはどういうことになるのですか。災害対策基本法を作るけれども、海岸になるべく金がかからぬように保全区域というものを最小限度にやっておきなさいよというようなことで、どうして高潮から国土を守れますか。
  68. 安井謙

    安井国務大臣 個々の問題につきましては、また事務当局からも御説明申し上げますが、先ほども申し上げましたように、現在ある法律で有効なものは、それぞれの位置に置いて生かして、さらにそれに総合性を与え、積極的な面で総合的に計画をして、足らない分は補足をしていくようにする基本的な条項を、この法律で、やり方をきめようということでございまして、今御注意のような点につきましては、さらにこの防災会議ができれば、有効にそういう点が修正されるなり、促進をされていくというふうに考えていただけるものだと思っております。この法律がいわゆる防災法というもので、防災に関するあらゆるものを網羅するという建前でありますと、今のような一一の河川法であるとか、あるいは工業用水の問題等も全部網羅して取り上げなければならぬかと思いますが、そうでなくて、この法律は今あるあらゆる法律を生かして、その足らざるところはさらにもっといいものにしていく推進の役割を勤めるいわゆる基本法であるわけでありますので、そういう意味で非常に今後の防災対策に対して強い作用をし得る法律だというふうに御理解を願いたいものだ、こういうふうに考えるわけであります。   〔委員長退席、丹羽(喬)委員長代理着席〕
  69. 太田一夫

    太田委員 そんなことでは、一体何ですか、この災害対策基本法というのがかねや太鼓の鳴りもの入りで宣伝されたということから考え、これはまことにもって調べれば調べるほど羊頭狗肉ということになるじゃありませんか。既存法律は尊重するとかなんとかおっしゃるけれども、既存海岸法は、なるべく国の費用を少なくして地方自治体に金を出させる、こういう建前がある。同時に海岸の保全区域の指定をなるべく最小限度にしようという、金を使わないという精神がある。こんな海岸法など大きく爆砕しちゃって、そうして高潮対策としての防潮堤建設は特別措置法でやっておりますけれども、ああいうものを海岸法に取り入れて、積極的に日本の国土、国民の生命、身体、財産を守るという意欲をここに出さなければ、これは水防法、消防法、災害救助法であるというだけのものではございませんか。だから私のお尋ね申し上げておることは、この中には全然災害予防というものがないのじゃないか、従って災害予防につながる建設改良工事というものに対するあなたの方の気がまえというものは、まことに薄いのじゃないかということを言っておる。しかも現実は東京などにおいて一たん高潮が来たときに、この前中野さんがおっしゃった、江東地区は四メートルくらい水が来て、住んでいる江東三十万の人は魚のえさにしておくというような基本法じゃないのですよ。それをどう守るか、これができたらとみんな期待しておる。基本法ができるということは、住民は水禍から守られる、地震から守られる、火事からも守ってもらえるだろうという大きな期待があるのでしょう。大臣、江東地区三十万の住民、それだけの人たちを守る方策がこれから出てきますか、海岸法はこのままでしょう。
  70. 安井謙

    安井国務大臣 これはいろいろと考え方があると思うのでありまして、なるほど災害対策基本法にそういった積極面を一つもよけい盛り込んで、具体的に推進した方がよりベターである、こういう御意見も私たちでもっともかと思いますが、これを全部ここで網羅しようということになりますと、現在の機構法律建前との調整ということも要ります。これが最初防災庁なり防災省を起こすというような機構改革まで考えての基本法でありますれば、またそういうような考え方もあろうかと思います。今の基本法の立て方はそういうのじゃなくて、現在ある各省庁あるいは各法律の有効な部分はそれぞれ生かして、さらに不足の部分については今後直していくというための具体的な方法をここで規定していこうというのでございますので、この法律ができて、今御指摘のようなものがまた必要ということに相なれば、どんどんそういうものが今後取り上げられていくであろう、今の御意見のようなものを取り上げていくのにこの法律は非常に便利なものになるであろう、こういうふうに考えておりますので、一つそういうふうに御了解を賜わりたいものだと思います。
  71. 太田一夫

    太田委員 せっかくの大臣お話ですからそう考えたいのです。考えたいが、考えられない。われわれはそう考えていたけれども、いよいよ高潮が東京湾に押し寄せてきたときには、東京の銀座から向こうは、隅田川、江戸川、荒川放水路をはさんでみんなぶくぶくといっちゃったらどうするのです。それから地震も対象になっておりますけれども、かりに関東大震災のような地震がきたときに、東京において財産まではいきませんが、せめて身体、生命だけでも守れる方途があるか、この間川合次長さんにお尋ねをしたのですが、なかなかそれがむずかしいとおっしゃる。こういう基本的なものは防災省でも作らなければやれないとおっしゃるなら、あなたはもう一ぺんはっきりと、防災省を作らなければそういう基本的なことはやれないから、この次の二次的なものだけを防災基本法としてきめたということをおっしゃっていただきたい。
  72. 安井謙

    安井国務大臣 それは誤解があるのでありまして、防災省を作らなければできないのではないのであります。防災省を作らなくてもできるような仕組みをこの法律で考えてやる、こういう建前でありまして、たとえば江東地区の高潮堤防の件につきましても、これはお話のように非常に危険な地帯があるということで、数年前から巨額の費用を投じて今やっておるわけであります。来年で一応のものは完成するという建前になっております。しかし、はたしてそれで十分であるかどうかということになると、いろいろな問題があろうと思うのであります。今までは百何十億というものを使って鋭意進めておるわけでありますが、しかし、さらに専門的に積極的な見地から防災会議あるいは実施計画というような面から見て、不足なものがあるなら、さらにこれを足さなければいかぬじゃないかといったような、現状からさらに推進をさせるという作用は、今度の地方会議基本計画なり実施計画でさらに進められていくであろう、こういうように思うのであります。防災省とかなんとかを作って、各省のその面の要素を全部集めてくるというのも一つの案でございますが、それよりは各省がそれぞれの機構で持っておるものは十分に発揮させながら、そこに総合性を与える基礎を作ろう、こういうのがこの法案精神としておりますので、そういう意味でぜひとも御了解をお願いしたい、こう思うわけであります。
  73. 太田一夫

    太田委員 了解せよとおっしゃったって、できないじゃありませんか。あなたはそうおっしゃるけれども、東京湾の高潮堤防というのは、東京都が最近計画をいたしまして、東京都港湾局は三十八年秋までに荒川放水路から右岸約三四キロの堤防を作ろう、こういうことで工費約四億円、このような計画を立てて今漁業組合と交渉中だ、こういうニュースでありますけれども、この東京湾の高潮堤防というのは東京都にまかされておるのです。地方防災会議の方は、海岸法などと密接な関連を持ってやれということは、この法律の中にも書いてある。地方にまかされた防潮堤というものは、被害があると特別措置法で、伊勢湾、それから大阪というところはその目的になってあるけれども、その他被害のないところは、あらかじめ建設省が防潮堤を作ろうという計画がないのです。その根本的な思想を変えなければ、守るわけにいかいじゃないか。大臣は参議院の予算委員会に御出席の御予定だそうですから、あなたはいいです。  これは水政課長の井上さんにお答えいただきたいのですが、やはり東京湾の高潮対策という堤防の築造は、東京都においてやらせておかなければならないのでしょうか、いかがでございますか。
  74. 井上義光

    ○井上説明員 東京湾の高潮対策事業につきましては、海岸と、それからこれに流入いたします隅田川、多摩川といった河川堤防のかさ上げと、両方必要でございますが、海岸につきましては、御承知のように、海岸法は、港湾区域は運輸大臣、漁港区域あるいは土地改良計画のある海岸は農林大臣、その他の海岸は建設大臣というふうに分かれておりまして、東京都は港湾の区域になっておりまして、建設省といたしましては、現在隅田川の堤防のかさ上げをいたしております。現在隅田川堤防は大体四メーターから四メーター八十というくらいになっておりますが、地盤沈下の関係もありますし、伊勢湾台風等の潮位、波浪等の高さから、大体これを五メーター五十から六メーター強までかさ上げする。東京都におきましては、二百数十億の全体計画をもちまして実施しようということで計画いたしております。今年度は十三億円の事業費をもちまして、隅田川の左岸側が急を要しますので、現在左岸側の堤防かさ上げの工事を実施中でございまして、三十六年、三十七年では永代橋から隅田水門のあれでございますが一番地盤沈下の関係から急を要する地域につきまして実施するということにいたしております。
  75. 太田一夫

    太田委員 川の左岸、右岸をお上げになるということは、これはやはり同じように高潮はさかのぼってきますから、ずいぶん急を要することでしょうね。単年度で早く完成をして、中之島の二の舞いをしないようにやっていただく必要が、防災基本法ができようができまいが、必要なことだと思うのです。しかし、海岸まつ正面の高潮防潮堤、高潮堤防というのが都の方にまかされていて、建設省は港だから手が出せないという状態、こういうことが今何かしら日本の国の国土保全のための大きな障害になっていると思うのですよ。これを今度の基本法が破砕しちゃうのですか。くだいて、農林省、運輸省、建設省、あるいは地方の都道府県知事というのを、全部一本に国の責任にする、国は国土と国民の生命、身体、財産の安全をはかるというこの使命にかんがみて、その三者、四者の分轄しておるようなこの海岸の今の現状を、ただ一本のものにするというような構想でもこの中にあるのですか、ないのですか。   〔丹羽(喬)委員長代理退席、金子(岩)委員長代理着席〕
  76. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 各省はそれぞれ災害対策についても所管の権限を持っております。また、それぞれの個別の法律によって、その対象となる事項についての必要な規制を行なっておるのであります。しかしながら、ただそのことのために、今お話しになりましたように、ややもすれば施策が非常にばらばらになる、総合性に欠けるというような点は、実はこれは遺憾ながら事実として従来出ておったと思うのであります。それを破砕いたしまするためには、根本的に防災法というようなものを作るという考え方、あるいは組織面におきましては、防災省というようなものを作る考え方というものも、これは一つ確かにあり得ると思います。けれども、そういうことにいたしますることが、またして、能率的、効果的の面からいっても、あるいは現在の各省の仕組みの面からいっても、いかがなものであろうか。そういうことでなくて、現在の組織機構あるいは個別法というものは大体そのままにしておきながら、それの共通の話し合いの場所あるいは連絡調整の場というものを作りまして、それを通じてそこに一体的あるいは有機的、総合的な体制を整備する、そういう建前にすることが最もいいのじゃないかという考え方に端を発しておるのであります。見方によりましては、非常になまぬるいというような御批判もあるかもしれませんけれども、現在よりも、何としてもこの組織化と総合化と計画化ということが軌道に乗りますことによりまして、あらゆる施策が総合化され、一歩前進をしていくという態勢ができ上がることは私は疑いがない事実ではないか、かように考えておる次第であります。
  77. 太田一夫

    太田委員 総合され、企画されるということは、それは小さなものの総合も企画も、総合と企画ですよ。一番大事なものは、地盤沈下と、そうしてそれに伴う高潮の襲来、河川のはんらん、こういうものをどうやって防ぐかという、水につながる問題が一番中心じゃないかと私は思う。先回申し上げたが、伊勢湾台風のときに一番破堤のひどかったのは、農林省と建設省との護岸の継ぎ目、運輸省と農林省との継ぎ目というような、継ぎ目、継ぎ目が実は非常に弱かった。しかもその中で一番工事が堅牢だといわれたのは、運輸省の港の建築であります。建設省の方はその次で、農林省に至ってはまことにもってお粗末だった。そのお粗末なのを聞いてみますと、こういうことをおっしゃるのです。それは、干拓をすれば安い金で移住民に渡さなくちゃならぬから、高い金をかけるわけにいかぬじゃないかという、冗談じゃないですよ。ちょこっとちゃちな干拓をして、ちゃちな張りぼてのような、お芝居のセットのような防潮堤を作っておいて、さあ台風が来た、逃げろ、逃げおくれた、死んでしまった、お気の毒でございます、何かそれに対して補償がありますかといったら、それは何にもありません、隣保互助でお互い隣組でやってちょうだい、こういうことでしょう。市町村が見舞金を出す制度さえも、それはいいことではあるが、法制化することはむずかしい、こういう状態で、人の生命、身体、財産なんというものの保護なんて思いも及ばぬことが長年なされてきたじゃありませんか。そういう一番悪い点をこの際根本的に直す方策というものが何よりも焦眉の急であるのに、総合も調整も企画も何もないのですよ、分けているのだから。そうでなければ、既存法律に悪いもの、不徹底なものは幾らもある。そういうものを、この際全部御破産にしてしまうのだ、法体系あるいは法秩序——法秩序というとおかしいのですが、港湾法というものの構想もこの際全部御破算にするのだ、工業用水法も御破算にするのだ、多目的ダム法も御破算にするのだくらいの気持がなければならないのに、水の方面においてはすでに水資源開発法なんというのができ上がる、公団法ができ上がるということは、在来の考え方をそのままさらに延長しておる。これじゃいつまでたっても百年河清を持つがごとしで、決して防災なんということは思いもよらぬということを考える。だから、そういう古い、間違っておる、不徹底な法律は、ぱっとこの際御破算にしてしまう、こういうことになるかならぬかということを何回も聞いておるのだが、それをあなたははっきりおっしゃらない。   〔金子(岩)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  78. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 先刻来その趣旨のことは申し上げておるつもりでございますけれども、問題は、現在までの防災機構なりあるいは個々の法制なりというものは、欠陥のあるところ、足らない点はむろんありましょう、しかし、それぞれそれらの法律といたしまして効果をあげてきた面は、これは否定はできないのであります。しかしながら、そうかといって現在のままでいけば、今お話になりましたように、欠陥は欠陥として是正されないままに、可能性というものもあって、それこそ災害対策というものについて百年河清を待つというようなうらみも起こって参ります。そこで、やはり何としても欠陥を、できるだけ能率的に、しかも根本的に直していかなければならぬ。しからばといって、現在の防災組織機構なりあるいは災害関係法律なりというものを全部御破算にしてというようなやり方も、これはまたいかがと思うのであります。その点につきましては十分の効果を発揮させるようにしながら、その不足を補っていく、また今後基本計画の作成を通じ、あるいは防災会議の論議を通じまして、既存法律等につきまして改善整備を行なうべき点がどんどん出て参ることは出て参るでありましょう。出て参った場合におきましては、その線に沿って法律等の改善措置というものが十分に行なわれていくということを考えておる次第でございます。
  79. 太田一夫

    太田委員 そこで、藤井さんのお話というのは何回聞いても同じことで、それはあなたなりにそう信じていらっしゃると思うのですが、私はそういうお考え方には賛成できませんが、それはそれとしておきましょう。  少し角度を変えましてお尋ねするのですが、先般来報道されております新産業都市の構想について、これは企画庁の関係だと思いますけれども、先回も触れたのですが、工業用水と新産業都市構想の地域指定とははっきりした割り切りができておるかどうか、こういう点をお尋ねいたしたいと思います。
  80. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 地域指定の際には、それらの事項についても当然研究調査の結果を反映いたしまして、参考にして、指定が行なわれていくことに相なると思います。
  81. 太田一夫

    太田委員 と思いますとおっしゃっても、そう思えない。現実に発表されておる地域というのは幾つありますかね。たとえば千葉海岸、あるいは東北方面へ行きまして仙台、塩釜、秋田、それから中京の方に近づいて豊橋、豊川地区それから中国の播磨地区、それから四国に行きましては徳島地区、こういうようなところが指定されておりますね。今私が申し上げたところは工業用水がふんだんにあるところでございますか。開発課長どうですか。
  82. 八塚陽介

    ○八塚説明員 新産業都市法案につきましては、ただいままだ具体的に検討中でございまして、最終的に成案ははっきりいたしておりませんが、大体新聞等で御承知の線はあまり狂いはないのでございます。ただ、どういう都市を指定するかについては、今のところ全く白紙でございまして、何らかの形で新聞等に出ておりましても、それを前提としてわれわれは考えておるわけではございません。  なお工業用水につきましては、ただいま自治省の方からお答えになりましたように、結局その新産業都市圏の中にどういう企業が来ることが適当であるか、あるいはその企業の性質、それに見合う工業用水が相当量あるかということを考慮した上で指定をするということでございまして、十分にその工業用水の量につきましては検討いたして指定するという考えを持っておる次第でございます。
  83. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、指定するときには十分そういう検討をしてなされるというのですが、先ほど私が申し上げた都市の付近というのは、もうすでに工業用水の不足地帯だというふうになっておる。あなたの方は工業用水不足地帯に新産業都市の構想を合わせていらっしゃるということと結論において一致するかもしれない。これは、一致しないで、もっと山の中に持っていらっしゃるならば別でしょうけれども、おそらくそんなことをしたらばあなたの基本構想がくずれるから、今の工業用水が不足しているそういう地方都市を中心として御指定になるだろうと思う。そうすると、そこに工業誘致をする、工場誘致をする、工業用水というものの不足が来る。先ほど来工業用水課長との話では、工業用水というものもなかなか安く供給できがたい事情にある。工業用水法によればまだそこは指定される地域ではないから、地盤沈下が著しくなるまでは規制はされないであろう、著しくなった場合には、一たん高潮が来たら水浸しになるということなんですが、それまでは指定しないということになるなら、これは新産業都市法というのは新災害拡大法だ、こんな気もしますね、災害対策の面から見れば。その配慮はここになされておるのですか。
  84. 八塚陽介

    ○八塚説明員 現に工業用水が不足しておるような地域をさらに新産業都市として指定するという考え方は全然ございません。特に現在すでに過大人口を抱えておる地帯というふうなところを指定するというふうな考え方ではなくして、むしろそういう大都市で集中過大化したところの負担を引き受けようというような地域を新産業都市で指定していきたいというふうに考えておりますので、従って、用地につきましても、あるいは水につきましても、需要以上に供給があるというところを指定していく。なお、そういう観点からでございますので、工業用水について、地盤沈下との関係で新産業都市においてどうこうということはないと申しますか、よく私ども御質問の趣旨がわかりかねる次第であります。
  85. 太田一夫

    太田委員 藤井局長どうですか。あなたもその新産業法案の立案関係者としまして、地盤沈下が重ねて起きるというようなことは、これはあまり望ましいことじゃないでしょう。従って、今千葉海岸付近が指定されるという中に入っているのですけれども、千葉はこの間川崎製鉄ができて井戸を何本堀りましたか。大して堀らなかったでしょうけれども、周辺の井戸はかれてしまったでしょう。民家の井戸がみなかれてしまったですよ。だから、そのように千葉方面も水が十分にあるとは考えられない。今の話で、潤沢にあるところを今度の新産業都市として指定するということになれば、この計画の中にそれは何十なんてないじゃありませんか。
  86. 八塚陽介

    ○八塚説明員 何十というふうには、全然考えておりません。むしろ新産業都市の考え方としましては、国全体を大きく経済圏に分けまして、その経済圏が全体として均衡して発展するように、そのための中核的な都市という考え方でございますので、何十というふうには現在考えていないのでございます。なお千葉のことにつきましても、千葉を指定するということは確定してございませんので、新産業都市との関連で申し上げるのはなんでございますが、千葉における工業用水の供給というのは、先ほどもお話にございましたむしろ水資源開発促進法の方で利根川水系を指定して、公団または県等でその供結をはかっていくというふうに考えておるのでございます。
  87. 太田一夫

    太田委員 従って、あなたのおっしゃることは、今後新産業都市を作って、そこに相当な人間をまとめようとなさるのだが、それは地盤沈下を来たすような地下水くみ揚げによる工業用水というものは許さぬつもりだ。もし工業用水が要るならば、工業用水道によってこれを補給するという計画でなくちゃならない。こういうことでございますか。
  88. 八塚陽介

    ○八塚説明員 そういうことでございます。
  89. 太田一夫

    太田委員 間違いありませんね。藤井局長、同意見でございますか。
  90. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その方向に行くべきものであろうと思っております。と申しますのは、今わかっておりまする地帯等において起こっておる諸問題というものをまた新産業都市によって繰り返す愚というものは、これは当然避けていかなければならぬと思っております。
  91. 太田一夫

    太田委員 そこで、もう一つ国土開発の立場から考えてみたいことは、東京湾の埋め立て計画でございます。これはいかがでございますか、具体化する公算があるのでしょうか、ないのでしょうか。
  92. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私、所管でありませんから、どのような進捗状況になっておるか、はっきりしたことは責任を持ってはお答えできませんが、まだ埋め立てに関することがはっきりきまったとかというようなことは承知いたしておりません。
  93. 太田一夫

    太田委員 埋め立て計画が今後出て参りましたときには、この基本法立場からいいまして、これをどう対処される心組みでございますか。
  94. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 防災会議等において論議されることであろうと思いますが、私の私見ということでありますれば、東京湾を埋め立てることによって、さらにこの過大都市というものを膨張せしめるような方向の施策というものは、厳に慎みつつ考えていかなければならぬのではないかというふうに考えております。
  95. 太田一夫

    太田委員 総合開発課長、あなたは、企画庁の立場からいいましても、東京湾埋め立てなどというものはあり得べからざるものである、防災立場からいいましても、国土開発の立場の調整の問題からいいましても、東京湾埋め立てというものはあり得べからざるものであるという、今の藤井さんのようなお答えでございますか。
  96. 八塚陽介

    ○八塚説明員 現在の東京都自体が、産業という面から見ましても、非常に過大化して問題になっております。交通あるいは水あるいは土地あるいは空気等あらゆる面から非常に問題が指摘されておるような状況でございますので、さらにその中心へ大きな都市群を作るということは、もし作るといたしますならば、現在の東京のそういうこととの関連において十分考慮しなければなりませんので、非常にむずかしいことだというふうにわれわれは考えております。われわれも東京湾の埋め立てにつきましてどの程度問題が具体化しておるか十分承知いたしておりませんが、やはり今局長がおっしゃいましたような考え方をほぼいたしておるのでございます。
  97. 太田一夫

    太田委員 川合消防次長さん、あなたも、あなたの立場から見まして、東京湾埋め立てなどということは、これはまことにもってまずいことであるというふうにお考えになるか、それとも、それに対してはどういう御所見をお持ちでしょうか。
  98. 川合武

    ○川合政府委員 先ほどの行政局長のお考えと同じでございます。
  99. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、今聞いておりますたとえば東京湾埋め立てというようなことと防災の関連については、皆さんの意見がたまたまここで一致しておるわけだね。一致しておりますが、これは今までくすぶっておる問題ですから、あるいはいつ出てくるかわからない、そういう問題は、かりにそういう計画が出てきたときには、どこかこれをチェックするのですか。どこが規制をやるのですか。
  100. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 災害対策基本法ができ上がっております段階におきましては、事、災害対策という関連から中央防災会議自体が当然関連を持って参りましょうし、あるいはまた新産業都市ということの建設が進められるということに相なりますれば、当然それとの関係において地域指定について問題が生じて参ると思います。それぞれの各省所管立場からこれに関する意見が述べられ、調整がはかられると思うのであります。埋め立てということが具体化いたします場合におきましては、直接の関係になります官庁といたしましては首都圏の整備委員会なりあるいは建設省がその衝に当たって参るのではないかと思います。
  101. 太田一夫

    太田委員 その首都圏整備委員や建設省がそのことの可否を判定するということになりますと、これは基本法とは別に、二元的になるのでしょう。調整がとれないじゃないですか。
  102. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 防災会議には建設大臣もそのメンバーに入って参ります。そういうことからここで論議され、方針として決定されますことにつきましては、建設大臣自体もその決定に従って各種の施策をやっていくということに相なると思います。
  103. 太田一夫

    太田委員 そうすると、今後各種の新立法は、全部中央防災会議にかかるのですか。
  104. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 個々法律案その他施策の具体的な事項防災会議にかかるというものではございません。防災会議にはそれぞれ総理大臣が諮問すべき事項あるいは防災会議として主管すべき事項がここにはっきりと明記されておるわけでありまして、その方針に従って各省施策に誤りなきを期して参るということに相なるわけでございます。
  105. 太田一夫

    太田委員 誤りなきを期するというのは、心がまえでしょう。だれがチェックするのですか。
  106. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 各省大臣が、立案の過程におきまして、防災会議基本方針というものにのっとった施策をやって参りますとともに、それぞれ各省立場から、他省の仕事というものについての意見がある向きにおいては意見を述べて、その間において適宜の調整をはかられるものと思います。
  107. 太田一夫

    太田委員 だから、そういうことになれば、新産業都市法案はまだ日の目を見ておりませんね。これを具体的に一ぺん取り上げてみます。これからどういうコースをたどってこれが確定されるか。まだ出ておりませんね。これは災害基本法ができたとして、新産業都市法案は日の目を見るまでにどういうコースをたどりますか。
  108. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現在経済企画庁を中心にして法案の最終的な仕上げに努力をしておられます。今のところどういうふうになるか存じませんが、大体われわれ聞いておりますところでは法案の作成が終わりますれば、今次の国会に提案をするという運びであるように承知いたしておるのであります。
  109. 太田一夫

    太田委員 防災という見地からのチェックはどこでなされるか、どういう方法で、どういうコースで、防災という見地からいって。私は先ほど地下水の問題を取り上げた。そのほか都市計画の問題もあるでしょう。あるいは地質学的にいいまして、高層建築可能、不可能の問題もあるでしょう。幾多あるでしょう。都市の不燃化対策、あるいは工業用水並びに飲用水の対策、特に工業用水に関連をする地盤沈下を防止する対策、高潮を防止する対策、そういうことのないようにする対策というものが、この新産業都市法案をめぐっても考えられなければならないでしょう。どこが、それをやるのですか。
  110. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 防災会議の場を通じ、あるいは防災基本計画、これに基づく各省防災業務計画というものがそれぞれでき上がって参りますので、それとのにらみ合わせにおいてそれぞれの各省においても配慮することに相なりまするし、なお他省の関係におきましても、それらの法案の作成その他の施策の実行の段階において意見のある向きは意見を出し、それの調整をはかれるという過程において、それらの点は十分に反映されていくということに相なると思います。
  111. 太田一夫

    太田委員 従って、国会は、それに対して基本計画なり基本業務計画にタッチすることはありませんね。ないでしょう。ないとすれば、これは今の海岸法という立場から建設省が海岸をながめておる限り、各省はその精神を変えませんよ。海岸法があるでしょう。工業用水法があるでしょう。その立場というのが変わらない限りは、こそくなものしか生まれないということになりますと、基本的な抜本的な対策というものはどこで生まれますか。こちらの建設省は海岸法を固執する、通産省は工業用水法に立てこもる、建設省は特定多目的ダム法に閉じこもる、農林省は農業ダムにかじりつく、こういうことをやっていたら、それぞれということになれば、その立場を捨てるという保証はないのでしょう。
  112. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 国会に対しましては、政府は毎年防災に関する計画なりあるいは防災に関してとった措置の概況というものを国会に報告をしなければならぬという義務を負わせております。その報告が出て参りました過程において、これの審議を通じて各種の問題が論議をされ、その結果が国政の上にも反映されるということに相なって参ると考えるのであります。  なお、各省がそれぞれの法律に立てこもる、かじりつくというお話でございますけれども、これはそういうことではございませんで、従来の態度そのままでございますれば、本法案というものがおそらく各省間の意見の一致を見るということはなかなかむずかしかったのではないかと思うのであります。その点は、各省とも謙虚に改めるべき点については積極的に改めていく。特に防災会議の意向なり防災基本計画の策定ということによってそれらの点が浮き彫りにされて参りますならば、当然施策の一環として、改善措置というものを講じていくということが前提に相なっておる次第でございます。
  113. 太田一夫

    太田委員 あくまでもそれは会議が主導権をとるということですね。そこで調整をするとか総合をするということはありますけれども、なかなかそれがむずかしいということを先ほど来のお話で感じておるのです。  建設省の水政課長さんにお尋ねしますが、特定多目的ダムというのは、河川局の調査が前回ちょっとお話がございましたけれども、相当計画があります。このダムの用途、水の用途というのは何と何と何でございましたか。
  114. 井上義光

    ○井上説明員 特定多目的ダム法によりますダムは、洪水調節を行ないますほか、水といたしましては、発電、工業用水、上水道及び灌漑でございます。
  115. 太田一夫

    太田委員 特定多目的ダムをお作りになって、灌漑のことも考えるのですか。
  116. 井上義光

    ○井上説明員 さようでございます。
  117. 太田一夫

    太田委員 農林省が作ります農業用水ダムは、何の目的にしからば供されますか。
  118. 井上義光

    ○井上説明員 農林省で建設、管理ざれるダムは、農業用に供されると考えております。ただ現在ダムはそれ自体で落差を持っておりますので、あわせて発電に供される場合もございますし、あるいは農林大臣が主として監督しておられる愛知用水公団の牧尾ダムのように、あわせて工業用水あるいは上水道の供給の機能をも有するものもございます。
  119. 太田一夫

    太田委員 農林省のダムは農業用水というものを中心として作る、建設省の特定多目的ダムは洪水調整を考えつつ発電、工業用水、上水道並びに農業用水も考える、こういうことだと思うのです。そうしますと、同じダムでありながら、特定多目的ダムは、なるほど目的は多目的なんです。多目的だということは総合されておることですから、非常に理想に近い。ところが、農林省のダムだけは農業用水を専門にしております関係上、これは必ず灌漑用水の取り水として設定されてくる。ですから、もしも農林省のダムが上流にできますと、今まで下流にありましたところの工業用水ないし上水道の水というものは、かれざるを得ない、あるいは地下の伏流水も影響を受けざるを得ない、こういうことになりますけれども、農林省は依然として農業ということに基本を置いておるから、従って、農業用水であればその目的を達するという点にどうしても重点を置いて、それから抜け出そうとしないのです。だから、今のお話を聞いて、特定多目的ダムが灌漑を考えるなら、農林省の農業用水ダムというものは不必要じゃございませんか、こういうふうにお考えになりませんか。
  120. 井上義光

    ○井上説明員 現在ダムは、太田委員がおっしゃいますように、建設省で所管しておりますダムもございますれば、発電専用でもっぱら通商産業大臣の監督に服するダムもございますし、あるいは小河内ダムのように上水道専用で厚生大臣がその監督の任に当たるといったダムもございますけれども、それはそれぞれの目的に沿いまして建設されるのでございまして、それを建設いたします場合には、現在河川法によりまして、国の機関としての都道府県知事がその河川の水系の流量あるいは水利等を調査いたしまして、それに基づいて許可をしている。なお、水利使用の許可をいたします場合には、河川の主務大臣としての建設大臣の認可を受ける。また建設大臣が認可をいたします場合には、それぞれ関係の農林大臣、通産大臣あるいは厚生大臣等と協議をしていく、こういう形におきまして水の利用は行なわれておりまして、ダムそのものはそれぞれの目的の内容によりまして、それぞれの行政目的を有する所管省において事業を実施しておられる。ただ、その全体の水の管理は、河川法によって都道府県知事が第一次的には管理をしておるということでございます。
  121. 太田一夫

    太田委員 それは相談をされてお作りになるということは認めますけれども、天から降る水、これは農業用水、これは建設省の所管水を分ける必要はない。農業用水を必要とする農民でも、水道の御厄介になって日常の水を使っておるわけです。だから、農林省の関係の農民だから、農業用のダムさえあればよろしいというわけにいきません。それならば建設省は特定多目的ダム法というりっぱなものがあるのだから、一切これに統合して農林省の農業用水ダムというものはやめてもらわなければならぬということをおっしゃってもいいと思うのです。何で遠慮して——遠慮しているかどうかわかりませんが、率直にあなたの見解をここで聞いておきたいと思うのですが、どうですか。
  122. 井上義光

    ○井上説明員 ダムと申しましても、あるいはせきあるいは水路等もそれぞれ目的があるのでございまして、たとえば、洪水調節は堤防によって十分に行ない得るという河川の水系につきましては、あえて洪水調節を行なうためのダムを必要としないという場合もございますし、また農業用水につきましては、その流域の農地等につきましては既得の水利権で補い得る、あるいは既得の水利施設を改良すれば補い得る。ただ、電気は、水系の地形等から非常に大きな落差があるということから、発電だけやるという場合もございます。ただ最近は、ダムが全国的に建設が進みまして、ダム地点と申しますか、経済的にダムを建設する地点が少なくなって参りましたこと、及び流域の開発が進みまして、先ほどからお話のような新産業都市構想等もありまして、諸用水が必要になるという点からは、多目的に委任すべきところは多目的にした方がいいと思いますけれども、必ずしも各ダムは全部河川法によって建設大臣が全部所管しなくてはならないというふうには考えていない次第でございます。
  123. 太田一夫

    太田委員 その辺は、あなた方も他省に対する仁義があろうと思いますから、しいてそれ以上お尋ねしたいと思いませんけれども、災害基本法立場からいいまして、ダムというもののあり方は、できる限り多目的なダムであってほしい、下流においては水争いがすでに起きているところがあるのですよ。これは愛知県の矢作川にもあるのですよ。農林省のダムができた、合口ダムは完全にシャット・アウトしてしまう。岩盤ですから水の流れようがない、そうすると、下流の方では金魚もフナも死ぬということはやむを得ないことにしましても、たんぼにわき出ておる水がなくなる、それから、井戸水はかれるであろう、伏流水が減って水位は下がるであろう、そういう問題が起きてくる。川に取り入れ口を持っていた工場は工業用水の不足を来たす、こういう大問題になってしまった。ところが、農林省はそれをやるつもりじゃないのだから、その水は農業用水として潤沢なる水を確保するつもりだから、その方面に対する顧慮は二の次になる。これは災害とか民生という問題とは少しかけ離れておりますが、なわ張り根性をとらない限り、ほんとうの災害対策はできぬ、こう思うのです。  そこで特に心配になる点ですが、先回の第二室戸台風も非常な被害をこうむったのでありますが、戦後キャスリン台風以来伊勢湾台風に至りますその間、ずいぶんたくさんの方がこの水では死んでいるのです。キャスリン台風の死者は約千人だと言われておりますが、流れた家屋が三千三百戸、それから伊勢湾台風におきましては、同じく名古屋を中心にいたしまして死者が四千七百人、負傷者に至っては四万人、公共的な施設だけでも千二百億円で、民間の施設は四千三百億と言われておるのですが、このようにたくさんの被害が出る。公共的な施設の十倍から二十倍が民間の施設だということになると、民間施設を災害から除いて考えていってもいかぬと思う。  建設省の住宅局の方においでいただいておりますので、私は特にその辺をお尋ねしたいと思ったのですが、今建築基準法などもありますけれども、あれは一般の小さな家などにはあまり適用がないのか。先回の第二室戸台風に至りましては、仮設住宅があれは五坪十万円というのですね、あれがみなひっくり返ってしまった。あれは風を受けてひっくり返るように設計がされている。ちょうどタコのような設計ですから、風をまともに受けて、みんな上へ持ち上げられて、下へぶつけられて、家財道具がさんざんにやられたというのが仮設住宅の被害でございましたが、ああいうことになる。最初被害を受けてまた再度ひどい被害を受けて、ますます裸になってしまったのですが、今後災害というものから国民を守るために、そういう一番気の毒な貧乏な人たちを守る住宅というものは、どういう計画で、どういう方針でいこうと考えていらっしゃるか、これについて関係者のお答えを、いただきたいと思います。
  124. 尚明

    ○尚説明員 初めに仮設住宅のことについて申し上げます。仮設住宅は前回の災害のときに厚生省所管で応急に収容するために作りましたもので、実は一年ないし二年くらい使用して取りこわす予定になっている住宅をさして言うのではなかろうかと思います。それが残っていてこわれたということじゃないかと思います。一般に住宅災害対策といたしましては、まず被災者のうちで住宅を失った者に供給するために公営住宅をやっております。この公営住宅につきましては、最近は再び木造を建設しないで、なるべく鉄筋コンクリートなりブロック造の堅固な公営住宅を供給するようにいたしております。例を伊勢湾台風にとりますと、伊勢湾台風のときに名古屋市の柴田という団地が非常にひどい損害を受けましたが、その公営住宅の建て直しは、全部二階建て、中には三階建てないし四階建てを三、四棟入れまして、避難にたえ得るような住宅を建てるというようなことをやっております。これは公営住宅を通じての対策でございます。  それからあと、住宅公庫を通じまして、住宅の補修もしくは新築について融資をいたしておりますが、このような住宅はいずれも建策基準法にかかって参りまして、その審査を受けて、一応ある程度の堅固さを持った家を建てさしております。  さらに、伊勢湾台風のときのような低湿地につきましては、建築基準法によりまして、地方公共団体災害危険区域というものを指定いたしまして、簡単に申し上げますと、海岸から至近の距離にあるところにはもっぱら居住の用に供する家は建てさせない。それから逐次土地の位置が上がってくるに応じまして、床の高さをこの程度以上にしなければならないというようなことをやっておりまして、かつそういったものを建設するのに公庫の補修の融資等を割り当てるというような方法をもって、漸進的ながら防災対策を立てております。
  125. 太田一夫

    太田委員 ついでですから、厚生省の社会局の施設課長さん、今建設省の住宅局の方のお話にありましたように、例の仮設住宅というのは一年か二年貸し与えるというものであったから、それが残っていてひっくり返ったんだろうというお話でありましたが、そういうことですか。
  126. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 ただいま建設省からお話がありましたように、応急仮設住宅は災害によりまして家を滅失した方々につきまして、自力ですぐに復旧できるとか、あるいは身寄りがあってそのような方面に行かれるというような方を除きまして、当座自力では何ともならぬ、たとえば災実の際はとりあえず学校等に避難をするわけでありますが、それも学校教育の関係上長期にわたるというわけに参りません。従いまして、一般の住宅対策、建設省で行なわれますその他の方法があるわけでありますが、一般の住宅対策が行なわれるまでの間の当座の小屋がけ的な措置として、応急仮設住宅を作っているわけでございます。従いまして、その使用の期間も最大限二カ年ということを目途にしておりまして、もちろん二カ年一ぱいおるということではございませんで、早いものは二カ月、三カ月でも措置をとれば応急仮設住宅を閉鎖するという、こういう指導方針をとっている状況でございます。従いまして、ただいま御指摘の、今度の第二室戸台風で倒れた仮設住宅が相当あったということでありますが、伊勢湾台風のときのものが二年にちょうどなんなんとしておるわけでありまして、そういうものがあったかと思うわけでございます。
  127. 太田一夫

    太田委員 あったかと思うのではなくて、あったから倒れたのでしょう。ないものは倒れない。ですから、ありましたたくさんの仮設住宅というものは、二年間というものは少なくともあなたの方の所管にあるのでしょう。建設省の所管ですか。厚生省の方だと思うのですが、どこかの所管ですか。それがひっくり返ったということに対して、だれかが責任をとらなければなりませんね。これはどうですか。
  128. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 応急仮設住宅は厚生省の所管でございまして、二年を経過しますと閉鎖するのが建前でございますけれども、希望等によりまして、公共団体あるいは個人に払い下げるという措置が行なわれておるわけでございます。そこで応急仮設住宅がひっくり返ったということにつきましては、これはまことに再度の災害でお気の毒にたえないわけでございますが再び応急仮設住宅を供与するという措置をとっておる次第でございます。
  129. 太田一夫

    太田委員 だから、そういう前例にかんがみまして、過ぎたことはもう問うまい、こういう気持になりましても、これからの災害応急仮設住宅というのは、ああいうものであってはならぬということをお考えになったと思うのです。そこで、この基本法というものが今度できる。あなたの方は災害応急仮設住宅は、しからばいかなる設計によって、いかなる耐久度を持って、どういうことで、これからそういう気の毒な人に与えるつもりか。それとも今までの前例にかんがみて、翌年でも何でも風が吹けば倒れるものだから、もうああいうものは作るまい、もう作ることはやめた、こう考えていらっしゃるのか、その辺のところの将来の展望をお話いただきたい。
  130. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 応急仮設住宅は、あくまでもその名称の通り、応急的な手当でございますので、恒久的な住宅対策とはおのずと違うわけでございます。従いまして、どうしても材質から構造その他が一般の住宅対策よりも非常に落ちるわけでございます。それにいたしましても、再度の災害を受けるというようなことは非常に問題でありますので、どういうものを作るかということにつきましては、たとえば鉄骨などを使いました組み立て式な仮設住宅を考えるというようなことも一つの方法として考えられるわけでございますが、そういったような点を検討しておるということでございます。
  131. 太田一夫

    太田委員 これは、あなたのおっしゃったことは進歩があると思うのですが、なるほど組み立て式にして鉄骨を利用するというような、そういう仮設住宅もこれから用意するということになれば、相当安全性が加わりますね。そうすれば二年ぐらいもつだろうと思います。それは予算の面からいいまして、数もだんだんふえてくるという面からいいまして、十分仮設住宅として今までの人ぐらいの数以上にわたる可能性はあるのですか。
  132. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 これは、ただいまの段階では事務的に検討をしておるという状況でございます。もちろん私どもとしては、そういう方向で関係当局と協議しまして、推進をしたいということでございまして、ただいまのところ、具体的にどの程度のものが準備できるということを申しかねる段階ではございます。
  133. 太田一夫

    太田委員 建設省の建設課長さん、仮設住宅は、厚生省においても鉄骨の組み立て式によってやろうとすると、今の十万円ではとてもできないから、二十万円くらいかかるだろうと思うのですが、あなたの方の第二種公営住宅は、法律そのものによってよりは、特例法で相当建築パーセントをふやし、補助パーセントをふやしていらっしゃると思うのですが、将来の計画は、現在の特例法以上になる見通しでございます。
  134. 尚明

    ○尚説明員 災害に対しまして第二種公営住宅の供給をいたしますその数は、一般の場合は、滅失した住宅の三割に相当する数までは、地方公共団体の要請に応じまして国が補助いたすようになっております。特に災害の激甚な指定されたる地区におきましては、それを、滅失した住宅の五割まで地方の要請にこたえて補助するということになっております。まず、この数の問題につきましては、大体従来の例から申しますと、一般的には激甚のところでも五割までの公営住宅を建てますれば、あとは大体自分の持ち家もしくは自力の建設によって復興ができますものでございまして、大体この五割の数は、今後とも地方の要請がそれ以上ふえることは、特別の事例を除いてはないと考えております。  それから補助率は、一般に第二種公営住宅は三分の二でございますが、激甚地の指定を受けました区域においては、四分の三に引き上げておりまして、その裏づけに起債もつきますので、一応地方の建設には差しつかえなく、今後も当分の間はこの制度でよいのではないか、こう考えております。
  135. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめます。本会議散会後質疑を続行することとし、これにて休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      ————◇—————    午後二時四十七分開議
  136. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  災害対策基本法案を議題とし、質疑を続行いたします。太田一夫君。
  137. 太田一夫

    太田委員 引き続いて水の問題になって恐縮ですが、河川局の水政課長さんにお尋ねをいたします。  それは、現在のあなたの方の河川に対する防災的見地から出てくる諸工事、これは河川の幅を広げるのもありましょうし、堤防の高さを高くしたりあるいはまた二段、三段の腹づけをしたり、またはコンクリートや石がきで巻いたりいろいろあると思いますが、そういう改良工事、河川の危険を防ぐための洪水予防上の措置、こういう計画は、適用河川、準用河川、普通河川と分けまして、今まで大体十年間くらいでいいと思うのですが、どれくらいの事業費が投ぜられておるか、これをお答えいただきたいと思います。
  138. 井上義光

    ○井上説明員 最近の治水事業の事業費でございますが、毎年度ごとの詳細な数字を今手元に持っておりませんが、今年度は六百五十億円、昨年度は五百八十億円、その以前が四百五、六十億円と思いましたが、それ以前は過去十年大体三百億円から三百五十億円が治水事業費として投下されております。
  139. 太田一夫

    太田委員 それを適用河川、準用河川、一般普通河川と分けてお答えをいただきたいのです。
  140. 井上義光

    ○井上説明員 現在河川を改修し、あるいは公物として管理いたします場合に、河川法を適用いたします場合と準用いたします場合及び河川法を適用も準用もしない場合と三つございますが、現在、河川法の適用河川は、大部分は国の工事になっております。それから都道府県知事が施行する事業はおおむね準用河川で、一部適用河川を施行しております。普通河川と申しますか、河川法が適用も準用もされない区間、あるいは河川につきましては、現在河川法上の工事は行なわず、地方自治法に基づきまして、条例により市町村長または都道府県知事が施行しております。ただ災害復旧事業につきましては、国が国庫負担をいたしておりますが、それ以外につきましては、市町村または都道府県の単独費をもちまして、普通河川は工事を施行しております。  そこで、大体の予算の割合でございますが、河川改修で申し上げますと、大体七割見当は適用河川において施行されております。それから三割くらいが準用河川において行なわれているというふうに記憶しております。適用河川は、現在河川の幹川の本数にしまして約百十本ございますが、そのうち主要なる区間は国において施行いたしております。また、その主要な河川の支川、派川あるいはそれ以外の重要な河川につきましては、都道府県知事が施行しておる、こういう状況でございます。
  141. 太田一夫

    太田委員 七割が適用河川に、いわゆる直轄河川に費用が注がれておるとおっしゃいましたけれども、それは適用河川が水量も一番多く、また重要な河川であることは事実でありますけれども、準用河川ないしは建設省の方におきまして予算のつけられない普通河川などに至りますと、全然十年来ほったらかしという状態なんです。そういう状態のところで、これからもしも思いがけない災害があったとするならば、長雨ないしは豪雨等がありましたときには非常な災害を起こすだろうことは想像にかたくない。そういう点からいきまして、今まで、昨年が五百八十億、ことし六百五十億だとおっしゃいましたが、今後前期五カ年間あるいは後期五カ年間の治山治水計画では、これがどのように平均予算としてふえるのですか、この点をお尋ねいたします。
  142. 井上義光

    ○井上説明員 昨年十二月に治山事業十カ年計画とともに、治水事業の十カ年計画が閣議決定されました。それによりますと、昭和三十五年つまり昨年から三十九年までの五カ年間では三千六百五十億円、それから四十年からあとの後期五カ年計画では四千五十億円、合わまして八千五百億円の治水事業を行なうことになっております。これは、災害が発生いたしまして、災害復旧事業とともにあわせて改良事業を施行いたしますが、こういった災害に伴う分は別にいたしておりまして、そういった災害に伴って行なう改修事業あるいは府県、市町村等が単独費で施行する事業を、別に年間七十億円、五カ年間で三百五十億円見込んでおりまして、合わせまして十カ年間では九千二百億円と考えております。それで昨年が初年度で五百八十億円の事業になっておりまして、この五百八十億円を基礎といたしまして、この十カ年間に八千五百億円を施行いたしますと、おおむね毎年一一%程度ずつ増加していけば、全体で十カ年で八千五百億になる。今年度予算は昨年度に比べまして、こまかい数字はちょっと忘れましたが、一二%と一三%の間になっておりまして、平均で伸びていくよりは若干多くなっておりますが、最近災害の発生が著しくて、なおその内容といたしまして、戦後キャスリン台風あるいはアイオン台風等で主要河川がやられました。最近主要河川の支派川あるいは単独の中小河川等の災害が目立ちますので、こういった点を考慮しまして、従来の平均年間一〇%程度の増加をあとに延ばさないでできるだけ繰り上げて、前年度の方においてより多く仕事をしたい、かように建設省としては考えております。
  143. 太田一夫

    太田委員 十年平均で年間平均九百億、この事業費の中にはもちろん人件費その他も含んでいるわけですね。直接事業、コンクリートと鉄材とか木材とか土とかいうものの費用がそれじゃないんだから、実質になると、裸にすれば何割かを減らして考えなければならない。それで、ちょっとこまかくなってはなはだ失礼でありますけれども、この予算と実際の請負金額、直接の工事費とのパーセントは、今までの平均でどれぐらいになっておりますか。この予算の何%ぐらいがほんとうの工事費でありますか。管理費とか人件費とかいうものを全部抜いた、直接そこの改修に使われる費用としては、大体どれぐらいの割合になっておりますか。
  144. 井上義光

    ○井上説明員 ただいまの太田委員の御質問の点は、私、今正確な数字を申し上げられませんので、後刻調べましてお答えいたしたいと思います。  なお、事業費といたしましては、これらの事業のうち大体三分の二は国の事業、三分の一ぐらいは都道府県の事業というふうに考えられておりますが、国の事業を行ないます場合には、建設省の出先でございます地方建設局の本局は一般会計の支弁になっておりますので、地方建設局長とか地方建設局の本局の職員費は、この工事とは無関係になっております。現地の工事事務所の所長以下の人件費はこの中に入っております。もちろん補助事業の場合には補助金が交付されますが、その場合にも都道府県の本庁土木部の人件費等は本来の県費支弁というふうになっておりまして、事業費のワク内ではないと考えております。もともと工事の場合も、国または都道府県が直営でやります工事が一部ございまして、直営の場合には直営の労務者ですから、国または都道府県の職員費そのものが工事費になっておりますけれども、請負工事の場合には、設計監督だけがまたは都道府県の間接費になり、その他が請負業者に請負事業としてまかされている。その内訳につきましては別に資料を提出いたしたいと存じます。
  145. 太田一夫

    太田委員 今こかれら何割か引いていって、そしてそれがほんとうの工事費になるのだから、なかなか八百億や九百億の平均では、この日本の無数の、何百本という川を台風あるいは集中豪雨から大丈夫、守るという確信は出てこぬと思うのですが、あなたが堤防を守り得る確信は、昭和何年ごろに生ずるお見通しでございますか。
  146. 井上義光

    ○井上説明員 災害の発生状況をいろいろ考えてみますと、河川とかあるいは海岸あるいは治山事業といった事業が施行されて参りますとともに、一方では河川流域の開発が進みまして、流域における人口も増加しますし、その他家屋その他の動産、不動産等、資産が増加しますので、治水施設が強化されるに従ってそれに比例して必ずしも災害が減っていくというふうには考えられておりませんけれども、現在考えておりますところの河川のはんらん面積から申し上げますと、主要なる水系と申しますか、北上川とか信濃川といったような重要な、国がやっております水系につきましては、昭和三十五年から十五カ年くらいでおおむね完了したいということまでは考えております。なお、その他支派川とか独立の中小河川につきましてもこれに準じて行なうわけではございますが、今のところ何年たてば災害から国土が完全に保全されるかといった点は、お答えいたしかねる段階でございます。
  147. 太田一夫

    太田委員 自治省の藤井行政局長さんは本案を立案された一番中心にいらっしゃった方とお見受けしてお尋ねいたしますが、今のお話で、あなたはこの災害対策基本法予防という点に重点を置かなかった理由は、予防なんということはなかなかもつてこれはできないのだ、おぼつかないことであるから、あまり予防などということに重点を置いた表現をしては困るだろうから、応急対策程度のことにしておきましょう、こういう意図があって、この法案から災害予防というにおいが薄くなった、こういうふうにわれわれは思うのですが、いかがでございますか。
  148. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 決して災害予防というものを軽視いたしておるつもりはないわけであります。むしろ災害対策といたしまして、その完璧を期しますためには、やはり根本的な災害予防災害がまず起こらないための諸施策を恒久的に講じていくということが中心的な大きな問題であるということは、私たちといたしましても十分に考えたつもりでございます。そういうような考え方のもとに国が配慮をすべき事項としての災害対策に関する基本方針あるいは基本計画、さらには施策の上に重点的に配慮すべき事項というようなことの中には、治山治水その他の恒久対策というものも当然考えていかなければならぬということを前提にして規定をいたしておるつもりでございます。
  149. 太田一夫

    太田委員 そうあなたがおっしゃっていらっしゃるのですが、そうおっしゃって、ほんとうにそれに恥じないことができればいいというのです。今具体的に出ているでしょう。重要水系でも十五年かかって、昭和五十年にならなければ大体の自信が出てこない。昭和五十年ですよ。もうちょっとおそく、もう五年ぐらい先にお出しになれば、あるいはあと十年計画で済む、まだ十五年近くありますね。こんな長いこといかなければ、主要な水系でさえもある程度の自信ができないといえば、準用河川や普通河川に至っては、それこそ野放しでしょう。どうして水から国土が守れますか、人命が守れますか、それがないというのです。その保証がない。どうして守れるのですか。十五年も先だという。ほんとうに早くて十五年先でしょう。おそければ二十年、三十年とかかるはずです、今の予算のつけ工合からいけば。各河川の工事を担当しておる工事事務所が算定しておる腹づもりは、二十年から三十年先ですよ。その河川が、治水の工事が完成するなどというのは二十年、三十年先です。あなたの息のあるうちはまだ完成しない。こんな状態の中でこれを促進するあなたの方策ありゃいなや。せめて息のあるうちに……。
  150. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 せめて息のあるうちには、やはりめどをつけるというような態勢にならなければならない、そういうことのために、基本的な方向あるいは基本的な組織というものを整備してかからなければ、いつまでたっても、今おっしゃったような恒久対策の整備ができないということから、実はこ基本法案の立案作成ということが行なわれたわけでございます。むろん表現上の問題その他について御意見のあることは重々わかるわけでございますけれども、私たちといたしましては、やはり災害予防ということも災害対策一つの大きな柱、最も大きな柱の一つであるというふうに考えております。この基本法案ができ上がりますれば、この線に沿って、従来の国家の施策——今の十五年計画とか、中には二十年計画といったようなもので、国家財政の都合もございますから、それが直ちに半分に短縮されるとか三分の一に短縮されるとかいうような保証については、明言の限りではございませんけれども、とにかくこの法案の基礎を流れております方向に従って、もう一度各省既存施策等についても再検討を加えて、繰り上げるべきは繰り上げる、重点を置くべき点についてはさらに調査して重点的に配慮する、そういったことによって災害対策全般が前進するということを期待しておるつもりでございます。
  151. 太田一夫

    太田委員 なるべくそういうように、理解なさる通り実現をはかっていただきたいと思うのですが、そんななまぬるいことで、気長なことで、川さえも治められないという状態のもとに置かれておるとするならばわれわれは国民に対して相済まぬと思う。これは先ほど、工業用水から地盤沈下の問題を長いこといろいろお尋ねをしたわけですが、工業用水の問題さえも、その的確な計画というものが早急に実現する保証がない。幾多の科学的着想はあり、また前進する科学的な施設も生まれてきておるけれども、それは金がかかるために実用化するまでに至らないというわけで、水の問題は野放しになっている、こういう状態でございますね。そこへもってきて、今水資源の開発促進法なんというのができてきた。これは今われわれが水防という、その水防のもう一つ前の原始的な、水を治める治水の問題を論ずるときに、水資源開発促進法という——また何と天下泰平な着想であること。この水資源開発促進法は建設省ですね、中心になったのは。何とまあのんきな法案をお作りになったことか。天下泰平ですよ。源氏鶏太ですよ。これによってダムを作って、そうして水路を作って水を売って、賦課金を取ってもうけていこう、何たることですか。これはこれでいいです。確かに水はほしいところにやればいいんだから。足らないんじゃない。水なんか余っておる。天からのもらい水で日本の水は余っている。余っている水をどう利用するか、その利水の問題が水資源開発促進法。治水という問題は二十年、三十年先の話で、利水はあしたの話です。もうすでにでき上がりつつある。衆議院は通った。こういう方面には熱心なんだね、こういうもうかる方面に金を使うということの方は。国土を守り人命を守るという方はあまりせっかちでない、マンマンデーだということが私は非常に残念だと思う。  そこで先ほどの河川の話ですが、適用河川の長さの延長が一万二千三百四十八キロメートルある。準用河川は七万三千三百一キロ、普通河川に至っては、これは勘定ができないが、九万キロぐらいあるだろう。こういうように日本は川の国です。その川は一つとして大丈夫というところはないのです。あなたの目の前の隅田川でさえも、防潮堤といっては何ですが、堤防のかさ上げをしなかったならば、あの辺の人たちはたちまちに水没するという危険がある。これに対して思い切った措置を講ずるという動きがないままに今まで放置してきた。治山治水五カ年計画、十カ年計画というようなものだけを、ただあるものをそのまま認めつつ継ぎはぎしてみたところで何にもならないじゃないか、こう思うのです。  そこで農林省の堀農地局参事官においでになっていただいておりますので、少し農林省のお考えをついでに承りたいのですが、農業用のダムを作って、そうして灌漑用水をそれから取ろうという考え方が最近非常にダム建設とともに顕著になってきましたが、片や建設省における多目的ダムの建設が非常に最近盛んだ、この二本建てというのが水の秩序を乱す、水の平和を乱すような気がするが、農林省としてはどういうお考えでございますか。
  152. 堀直治

    ○堀説明員 日本の農業は、御存じのように昔から水田を主とした農業をやっていたわけでございます。水田には灌漑用水がこれは絶対に必要なのでございます。昔はやはり河川から取るとか、あるいは泉から自然にわいてくる水をもって灌漑していたというのが常識でございましたけれども、だんだん人知が進みまして、古い狭山池とか万農池とか、要するに川の水は夏に旱魃でかれることがございます。そういうときに、やはり稲の生育のためには水が必要でございますので、ため池を作りまして灌漑をする方法を日本人が編み出したわけでございます。灌漑用のため池といたしまして、ごく小さいものを除きましても、ちょっと調べは古いですけれども、約二十七万個のため池を灌漑用水専属として持っておるような次第でございます。これで約百万町歩程度のたんぼに水をかけておりますというのが実情でございまして、農業といたしまして、やはり旱魃から守るためにはどうしてもため池というものを作っていかなければならぬ、あるいは保持していかなければならぬということになっておりまして、そういうため池を作るために最近でも助成をしている。大きなものは国で国営事業としてやり、中程度のものは県営事業としてやり、小規模のものは団体工事として、補助金あるいは融資の措置を講じ、これらの旱魃をなくするような方途を講じているのが実情でございます。
  153. 太田一夫

    太田委員 そういう実情でしょう。しかし、水は足らぬのじゃないですね。水はないというわけじゃありません。あり余っておる水をどう使うかという水の配分問題が現今の重大問題であり、同時にその水をいかに人間に無害にするか、ハームレスにするかということが一番重大問題でございますので、災害防除上から見ますと、農林省がダムをお作りになるというのは、農民に対するそういう池や、ため池とか、あるいはわき水とか、あるいは天からもらい水でやっているのでは気の毒だから、それを科学的に、有機的にダムというものによって操作をして、常に豊富なる水を供給してやろうということ、こういうことでございましょうが、私の申しますことは、それはそれでいいのです。片や上水道の取り入れ口を川に求めておるところは幾らでもある。また片や工業用水の取水所を河川に求めておるのも幾らでもある。また、その沿岸の農家並びに住民はそれにたよって長い間生活をしてきた。ダムを作るということは、単に農業だけを焦点にとらえて、農民が喜ぶだろう、農民のたんぼや畑の水ということだけでは立論としての根拠が不十分じゃないかと思うのですが、それで私は多目的ダムとの調整ということを考える必要はないか、こういう点を思うのですが。
  154. 堀直治

    ○堀説明員 お言葉でございますけれども、最近ようやくいろいろな施策が実りまして、米もそれほど作らなくても国民は食糧に不自由を感じなくなってきたという状態まで立ち至ったわけでございますが、従来ともやはり旱魃になりますと、旱魃のために二割なり三割の米の減収をするというような状態が起こりましたときには、相当多くの人命がこれによって失われ、社会不安も起こしたわけであります。旱魃をおさめるということは、やはり農業の政策といたしまして、農民をかばうだけではなしに、全国民の食糧対策上からも、あるいは社会政策上からも重要な課題であったわけでございます。そういうわけで、いろいろな用水の改良事業、その中にはため池も含まれるわけでございますが、そういう仕事をやったわけでございます。またおっしゃるように、いろいろ川からも水を取っている、あちらからも取っている、それで十分じゃないかというお話もございますけれども、稲作を行なうためには、御存じのように植付をするのにも水が要り、穂ばらみのときにも水が要り、いろいろ時期的にも水が非常によけい要ることがあるわけでございますが、これが必ずしもそのときの雨の降り方、あるいは川の水のあり方と一致しておるわけではございません。安全に、減収を来たさないで農業をやらせようというのには、どうしてもため池の必要もあり、また栽培技術が変わるに従いまして今後もそういう必要が生まれてくるということであろうと思っております。
  155. 太田一夫

    太田委員 それは水が必要です。そのことは認めます。そのことは私も異議がない。農作物が豊作になって、食糧が潤沢になり安くなることは、国民だれしもそれを望むことですから、それはいいのです。けれども、一つの河川の水を全部、農業が大事だからといって農業だけに使う、専用するという専用ダムというのは少し行き過ぎじゃないか。工業用水の問題も配慮せねばいかぬじゃないか。上水道の水も配慮せねばいけないじゃないか。あるいは下流にあるところの幾多の水利権といってはなんですが、水によって長年生活したその人の立場も尊重せねばいかぬじゃないか。だから水を全部たんぼに流してしまうというのは少し我田引水じゃありませんか、こういうふうに私は思うのですが、その点はどうですか。
  156. 堀直治

    ○堀説明員 川にある水を全部農業で使って、ほかのものには一滴も使わせないということであれば、御説のようにそれはまさに我田引水の尤たるものであると思います。ただ、昔の話を申しますと、昔は一番に水を利用するものは農業であった、そういう関係で農業に主として農業水利権が与えられ、またそれを使って農作をやっておったということでございますが、近年発電もおこり、あるいは工業用水の需要もおこり、また上水道の必要も生じてきたわけでございまして、これは文化国家になれば当然のことでございます。農業の方におきましても、農業だけでそれを使うということを考えておるわけではございませんで、たとえばため池を作りましても、その水が落差があって発電に共用できるものはできるだけ発電に共用して、発電したあとの水をたんぼに使うというような方途をとり、あるいはまた、従来は農業で使っていたせきの水、たとえば川崎の二ケ領用水のようなものであっても、これが工業用水として利用され、また農地としては少なくなっておるというものについては水を分けまして、工業用水なりほかのものに使うというようなことをやっておるわけでございまして、今後はやはりどうしても工業用水なりあるいは水道用水その他のものとバランスをとりまして、農業だけに使うのじゃなしに、効果の大きいところ、必要度の高いところに水を分けて持ってくるということになるものと考えます。
  157. 太田一夫

    太田委員 水を分けていただけるということになれば、それは農林省がお作りになっても建設省がお作りになってもいいと思うのです。けれども、多目的ダムといっても灌漑用水の供給の使命を持っておる以上、多目的ダムという現在利水上一番大きな使命を持っているこのダムに上流の水の調節をまかせて、それが上水道、工業用水、農業用水、各種の水利権があるでしょうが、そういうものの用途に供せられるような態勢が今日では一番合理的じゃないかと思う。水の支配が二途に分かれるということは国民の不幸じゃないかと思うのです。多目的ダムで事は足りませんか、いかがですか。
  158. 堀直治

    ○堀説明員 多目的ダムと申されましても、いわゆる多目的に水が使われているダムというのは、先ほど申し上げましたように、数からいっても非常に少ないわけです。数から申しますとやはり農業専用のダムというものが圧倒的に多いわけでございます。これらのものは農業の経営と直接に結びついております。従いまして、農業の経営に直接結びついているダムというのは農林省が所管をするのが当然であろうというふうに考えております。
  159. 太田一夫

    太田委員 農林省としては、今までにどれだけ農林灌漑専用のダムを作り、現在どれだけ建造中であり、今後どれくらいの数をお作りになる御計画でございますか。
  160. 堀直治

    ○堀説明員 農林省として作ったと申しますと、農林省というのは最近になって分かれてできたものでございますから、大正、昭和になってどれだけかということだと思いますが、ただいま資料を持ち合わせておりませんので詳細なことは御報告しませんが、先ほど申し上げましたように、従来からとにかく二十七万有余のダムというものが農業用のために作られておる。またこういうようなものの維持補修を農林省はやっていく義務があるということでございまして、ただいまお話しの大きな多目的ダム、いわば発電とか工業用水とか一緒になるような矢木沢であるとか何であるとかというような大きなものを私の方で所管してどうこうしようというようなわけではございません。
  161. 太田一夫

    太田委員 資料がないから、どれくらいできていて、これからどれくらいお作りになる計画かわからないのでありますが、今までの二十七万余のダムというのは、単なる普通のせきとめるダムだろうと思うのです。そういうものが数に入っていると思うのです。最近矢作川上流に羽布ダムというのが竣工したようにニュースを拝見いたしましたが、なかなかりっぱなものでございますね。明年田植えどきには毎秒五、六トンの放水がされるというのですが、総工費二十一億円で着工しました国営矢作川灌漑排水事業羽布ダムというのですね。ダムは高さ六十二メートル、長さ四百メートルの重力式堰堤、人造湖の広さは百ヘクタール、有効貯水量千八百万立方メートル、これは水田七千ヘクタールを潤すことのできる水であります。これは現在貯水を開始したというお知らせをいただいておりますけれども、この羽布ダムができてどういうことが起きたかというと、下流の工業が大恐慌を起こした。工業用水が取れなくなってしまった。それから場合によっては飲料水に事欠くかもしれない。あるいは伏流水が減るのじゃないか、こういう非常な恐慌が起きまして、たしか蔵田とかおっしゃったのですが、その道の博士の方が現地調査においでになって、地質学その他水の研究をなさっていろいろと意見を当局者に申達をしていらっしゃるという話を聞いておる。そこでその水の問題が起きたときに、県の方は困ったのです。その水がかなり下流を潤しておったために、それが渇水期になれば全部放水路に流されてたんぼに流れ込むのですから、渇水時に水がなくなってしまって川底が干上がる。困ったことだというので水の配分を交渉しなければならない。だから水をどれくらい流してくれ、何々用水の水でどれだけ流してくれというような折衝をしつつ、そういう話にまとめるから、この水の利用については農業用として利用することを沿岸の者も承認をしてくれ、こういう調停といいますか、あっせんがあった。まだまとまらないのです。しかし、同じ矢作川の上流にはもう一つ大きな総合的ないわゆる多目的ダムというのがすでに調査費が計上されて、再来年度から本格的に着工になる予定、これは水政課長は御存じでしょう。この多目的ダムができますと、その水の調節によっては、下流の人たちも、海水が流れ込んで塩分がたんぼに多く出てきたり、あるいはまたいろいろな弊害やら工業用水の不足ということから免れるかもしれないというので、多目的ダムの早く竣工するのを心待ちしておるという状態もある。このダムは本格的なダムなんですよ。建設省が作ったからやらぬというダムか、農林省のダムなんですか、これはどうなんですか。
  162. 堀直治

    ○堀説明員 これは先生のお国のことでありますので、私らよりよく御承知のことでありますが、矢作川の下流は、農業の水利が先ほどお話のように七千町歩ばかりの灌漑面積を持っておりまして、取り入れ口も数は忘れましたが、相当多くの取り入れ口があるわけであります。これはいずれも渇水期になりますと水が不足する、矢作川の水量をふやさないとどうも旱魃の被害を防ぐことができないということから、巴川の羽布地点にダムを作りまして、その貯溜水を渇水時に矢作川に放流することによって下流の取り入れ口の灌漑を潤沢にしようというのでこの仕事は始まったわけでございます。先ほどの農業専用のダムの一つであります。それで当初はダムの水を矢作川にただ放流すればいいというふうに考えておったわけでございますけれども、だんだん矢作川の河床が変動いたしまして、現在でも、水が流れておってもなかなか各取り入れ口は取水に困難であるという状況に立ち至りましたので、せっかく作ったダムの水を矢作川の本流に放流いたしましても、これを農業として取る手段がないということから、巴川と矢作川の合流点近くに取り入れ口のせきを作りまして、これによってダムから放流した水を全部下流の灌漑のために取りたい、こういう計画を県が地元と協議をして立てたわけでございますが、たまたまこの地点が岩盤の地帯でございましたために、そこへ取水堰堤を作って取り入れるというと、矢作川の伏流水に影響を来たすのじゃないか。こういう心配から岡崎市の工業関係の方々が心配されまして、ただいまお話しのような蔵田博士にも現地調査を願い、それをどうしたらいいかというこうことについての打ち合わせをやっているというふうに聞いているわけでございます。これはそのダムの水直接ではございませんで、そこから取水する堰堤の位置なりあるいは取水する方法なりに研究をする点があるというので、目下農林省といたしましても県と協議の上調査中で、まだ確定した方式は出ておりません。そういうことでございます。
  163. 太田一夫

    太田委員 水政課長、あなたにお尋ねいたしますが、多目的ダムは、現在計画中ないしは竣工したものを含めまして、どれくらいありますか。
  164. 井上義光

    ○井上説明員 河川開発事業として実施いたしましたダムは、竣工いたしましたのが直轄で行ないましたのが十五ダム、それから補助事業として都道府県知事が施工いたしました多目的ダムが二十七ダムでございます。それから現在直轄で建設工事または実施計画調査として工事段階に入っておりますダムが十七ダムでございます。それから都道府県におきまして現在工事を実施中のダムは二十七ダムでございます。以上でございます。
  165. 太田一夫

    太田委員 そうすると、百足らない程度のダム計画でありまして、先ほど堀参事官がおっしゃった農林省関係が、かりに二十七万余のダムとおっしゃったのですが、これは小さなものまで入ってのことでしょうが、幾多の統計によりますと、専用を含めまして三、四倍になる。農林省用のものもかなり数多く、特定多目的ダムというのが非常に劣勢であることも明らかになっておると思うのです。  そこで藤井局長さん。水をもとの水源の方においてつかまえたり放したりする施設はそういう状態ですよ。お聞きになっていらっしゃって、これはどうしたらいいと思いますか。このままでいいですか。
  166. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私は専門でございませんので、自信を持ってお答えするわけに参りませんが、感じといたしましては、水というのは、日本の場合、かなり水源地帯というものがあるというふうにいわれておりますが、しかしいろいろの水に対する需要というものは年々増大する一方であります。そういう意味合いをもちまして、治水ということとあわせて水を利用する利水ということにつきましても、もう少し総合的な対策というものが徹底をして行なわれる必要があるのじゃないかという感じはいたします。できるだけむだに水を流してしまわないで、これを活用をしていく。しかもその際に問題になって参りますのは、どうしても水の配分の問題でございまして、配分の関係で合理的な調整をはかっていくということから、今度の水資源の開発促進法なりというものが出てきたと思うのであります。全部の水系にわたってこれが適用されていくものでもないと思いますが、そういう考え方というものの一つの端緒は水資源の開発促進法というところに現われているのじゃないかと思うのであります。そういう観点から見まして、能率的でないようなものにつきましては、やはり機会のあるごとにこれを改善をしていかなければならない。根本は水というものをできるだけ活用するという観点。しかし水というのは、何も水の種類があるわけでなく、水の種類によって農業用に適する水とかあるいはというようなものでもないわけですから、水を有効に捕捉して、それを適切な方面に総合的な見地から調整をとって配分をしていく。そういう体制というものが確立されることが大いに望ましいことではないかという感じを持っております。
  167. 太田一夫

    太田委員 そうですね。建設省と農林省とが水を奪い合っている、ダムをお互いに並行して作り合っている。出る金は日本銀行の金でしょう。国民が出した金でしょう。日本の国の金で日本人が日本のためになるものを作るのに、おれは農林省だから農林省で農業用水を作る、おれは建設省だからこうだ、これではなわ張り争い以外の何ものでもない。水に対する政治の一元化さえできないようなことで、災害対策はできませんと申し上げたいのですが、一体予算が少ないじゃありませんか。きょうは大蔵省がいらっしゃらないからちょっと何ですけれども、一年間で六千億トンも雨が降っているというのだから、トン二円として一兆二千億円も天から金が降っているんでしょう。こんなありがたい国はないですよ。キャスリン台風とか狩野川台風なんかでも、災害々々とやかましく言っているが、狩野川台風なんか四百億トンの雨を降らしたから、八百億円天から降ってきた。さて降ってくると、札びらでみんなけがをし、死んで、財産をなくし、阿鼻叫喚のちまたが出てきた。千両箱を頭にぶつけられたようなものです。それを泣いている国民はどうかしてやいませんか。こんなものを、ありがたい、いただきますというわけで、なぜいただけないか。私はせっかくしあわせというものを災いに転じていると思う。災いを転じてしあわせにするというならわかるが、しあわせを転じて災いにするということが日本国の政治だとすれば、これは根本から考え直さなければ、何とも相済まない話じゃないかと思うのです。そうすると、水だけの問題でも水の行政が一元化されておらないのはまことに残念で、藤井局長の話によりますと、これは何とか一元化する必要があるというお気持はそこに現われている。それは少しでも早くやってもらわなければなりません。海岸だって三本建あるいは四本建で、こんなものは地方自治体の問題ですよというような態度だ。これじゃたまったものじゃたまったものじゃない。そこで消防庁の川合さん。水がそういう状態に放置されている、海岸がそういう状態に放置されている。塩からい水と甘い水とが各家庭に襲いかかる状態がなお十五年、二十年続く。その上に日本は地震の国ですから、いつがらがらっとくるかわからない。関東平野というのは、御承知通りに富士火山脈の爆発したときですか、火山灰がたまりまして、いわゆるローム層といわれる水をよく吸う土を関東平野に吹きつけてくれましたね。これが関東に人が住む一つのチャンスになったと思うのですが、その向こう側には広い大きな沖積層があって、その沖積層は毎日々々沈下しておる。そういうわけで、高い建物というのは丸の内かいわいを除けばあまりたくさんない。地震が起きる可能性がある。火事の起きる可能性がある。雷は大したことはないか知りませんが、そういうように天災が幾多想像されるのですが、あなたの方は、この基本法ができようができまいが、そういう場合になるべく火事の起きないように、人命の多くそこなわれないようにという守る方の立場しか考えていらっしゃらないと思う。その立場のかまえさえあればいいのですが、もしも天災が起きたときに、この間お尋ねしましたが、あなたは大きな地震が東京で起きたときにはこれはやはり大へんなことになると思うから、それをこれから先の、まだ起きておらないのだが、大へんだと想定されていらっしゃる。これを防ぐ方法ですね。そのときに地震は防げぬけれども、被害を最小限度に防ぐという方針は、具体的にいえばどういうことか。道を広くするとか何かあるでしょう、どういうことが一番きき目のあるいい方策であるか、その施策重点についてお考えを承っておきたいと思います。
  168. 川合武

    ○川合政府委員 お話のように、地震の問題につきましては、これは非常に、先日も申し上げましたように対策全般にわたりますので、私の方だけではむずかしい問題でございますが、お尋ねの点につきましての若干の考えを申し上げてみますと、私どもの消防力自体を強化する、また計画を合理化すると申しますか、計画の万全を期するという以外に、他にわたって恐縮でございますが、防火帯あるいは防火的な広場の建設、さらに水利の強化というような点が考えられるかと思います。
  169. 太田一夫

    太田委員 それはそういう概念の上に見本的にはどういう方針を持っていらっしゃるのですか。お手あげなのですか。何かあるでしょう。何かやらなければいかぬ。水利といったって、地震があったら水道管が破裂しちゃって、もう水はだめでしょう。どこで火事を消す水を出すのですか。そういうことなどについて、何か具体的な今後の防災大プランというもの、大計画というものをお持ちでございますか。
  170. 川合武

    ○川合政府委員 今のお尋ねに合いますかどうかわかりませんが、一つの場面を想像いたしまして、かつての大正十二年の関東大震災というようなものが起きましたときに、現在の消防力におきましては、率直に申し上げますのでそれだからといってお手あげというふうにとっていただくと困るのですが、現状よりも約二倍の消防力を必要とするという数字的な計算をいたしまして、それに対しまして目下鋭意強化に努力しておる状況でございます。
  171. 太田一夫

    太田委員 大へんでしょう。あなたの立場から見れば、できる限り、なけなしの財布の中でやらなければならぬでしょうし、ちょっとそこを立ちのいてくれと言ったつて、立ちのいてくれる人はないし、大へんでしょうけれども、あなたの方の直接防災立場にある方々、これは水防にしても消防にしてもそうなんですけれども、確固たる信念というものを絵にかいたもちであってもいいから、これはとにかくこうあるべきだという理想図だけは描いていただいて、それを事あるごとに主張していただかなければ、防災基本計画の中に溶け込んでいかぬ。農林省は農業用水がいいという信念が溶け込んでいく、建設省は多目的ダムで何とかという信念が溶け込んでいく。基本計画は大へんなんです。てんやわんやです。しかし、あなたの方は、消防庁なら、消防の立場からいえば、これだけはぜせともなくちゃならない、たとえば東京にはこれだけなくちゃならない、大阪にはこうあるべきだというようなことが、具体的にあなたの方の構想の中に現われてこなければならぬ。何ということなしに水の備えをする、何ということなしに避難計画を立てるということじゃおざなりになる。しかし、その確率というか、見通しでございますが、ほんとうに東京の住民を守るという確率はおありなんですか。
  172. 川合武

    ○川合政府委員 お尋ねの点でございますが、最終的な結論と申し上げるわけにはいきませんで、ある意味におきましてはさらにさらに今後検討を続けます問題で、また条件が変わるものですから、申し上げるまでもございませんが、ただいまの御説のように、一つの極限と申しますか、考え得る状態の場合を大胆に想定いたしまして、現在の力を率直に反省いたしまして、一つ方針あるいは理想図を描くべきではないかというただいまの御説の通りでございまして、その点につきまして約二年間、これは東京消防庁が中心でございますが、むろん学者その他の有識の方々、専門の方々にお集まりいただきまして、実は今まで不十分でごいましたが、最近一応現段階で何らかの数字を出さなければいけない、こういうようなことで数字を出しております。それをくどくなりまして恐縮でございますが、一つのただ目標といいますか。段階での問題でありますが、率直に申し上げますと、結論は先ほど申し上げましたように、現状の力では、たとえば東京の場合、ポンプ車は現在四百五十くらいでございますが、この力をもってしましては、あるいは水利の点もさようでございますが、総合しました消防力で現在半分くらいの力でございますが、これを仮定しました数字でややこまかく申し上げますと、現在の都内の建物は、木造が約百五十万棟でございます。そのうち、関東大震災程度のものが起きました場合には、木造が一万五千棟くらいは倒壊するという学者の判断になっております。なお御参考まででございますが、関東大震災では約二万五千棟が倒壊いたしました。これはお察しのように、当時よりは建物が何といいましても堅固になっているからでございます。  また、火事でございますが、火事は関東大震災の場合は、実に東市旧市内の四割を焼きましたが、今回はもっと多くの火事が発生するだろうというような想定をしております。これはもう五倍くらいの火事が発生するのではないかという想定であります。ただ自力をもって消し得る能力というものは、大正十二年の場合も五割ございましたので、これは多少努力目標でございますが、六割くらいまでは消していただけるというふうに推定いたしましたときに、かれこれいたしまして、こまかい数字でございますが、一応計算いたしますと、百四十三カ所は現有の消防力で消せるということになりますが、なお残った百二十二カ所というものは消防車の手も回らない。従いまして、推定約四万戸の家が焼けると申しますか、延焼の危険に襲われる、かようなふうに考えております。もっともこれは極限でございまして、冬のとき、しかも冬食時という場面を想定した数字でございますので、夏でございますれば、常識的に火事の被害ははるかに少ないのではないかと思います。
  173. 太田一夫

    太田委員 一事でも大きな火事が出てくれば、これは全都をなめるだろうと思わなければいかぬと思うのです。爆発物が各所にあるのだからね。水のときはガソリンは爆発しないでいいのだが、地震などの場合は都内に幾らでもある自動車がもうみんな動かなくなる。あの中に危険なガソリンを持っていますから、これだけでも大へんなことになる。地震というものは非常に乾燥したときによく起きがちです。長いこと日照りが続いているぞ、どうも地震が起きそうだというときに、がたがたっとくるので。だから、そういうときの防災態勢というものは実は不可能なものに近いのではないかと思うのです。今の話で、消防車のほかに火事を消す方法がないかといったら、それぞれの家庭に防火用のバケツを何個と土のうを何個用意しておきなさいという、大東亜戦争、竹やり戦争というくだりに今になるのじゃないですか。そうなれば自分でバケツの水をかけるとか、ガソリンは、そのそばにある砂袋をかけろという自衛作戦以外にはないということになりはしないか。だから近くに貯水槽がどれくらい作られるか私は知りませんが、よほど大きな規模のものをやらなければならぬ。しかし東京都の歳出予算を見ますと、教育費二五%、土木費一八%、警察消防費が一三%、大体こういう割合になっておりまして、警察関係の費用というのは全国平均の三倍だというのが指摘されておる一つの統計であります。  御承知通り警視庁をかかえて、東京都は治案対策の元締めとして、しかもその警視庁の使命たるや、ちょうど国出先の機関のような代行機関、自治体というよりは国にかわって何か仕事をするという役目をしょわされて東京都の警視庁がある。この警察消防予算が一三%、日本全国の平均の三倍にひとしいというものを出しておるのです。警官二万五千人やそこらではなお不十分だという説もありますけれども、この首都を守るという立場からいいましても、必ずしも東京都が富裕だというわけにはいかぬ。たから何でもあなたのところでやりなさい、高潮対策は東京都で作りなさい、それから消防組織はあなたの方でやりなさい、その他交通機関の問題もあなたの方でやりなさい、道もあなたの方だというようなことでは、ちょっとばかり国の責任としては不十分ではないかと思うのです。だから警察予算があながち多いという点を責めるわけではありませんけれども、その中で消防予算というものはどのくらいあるか知りませんが、今のように、いざとなったときに大丈夫だというかまえがいまだにできておらぬという点から考えてみましても、何かほかの方向に東京都の予算を使われておるような気がする。不要な方にたくさん使われて、急を要する方に使われておらぬ、こんな気がしてならない。しかも年々歳々東京都はだんだん災害が近づいておる予感がある。虫の知らせがあるのですよ。消防庁の次長川合さん、虫の知らせがあるのです。この間の台風のときに都民が、今度はことによると来るかもしれぬと言っておる。必ず来るとは言っておらぬが、もしカーブして来たらどうなりますか。まともにその虫の知らせが東京に来たときには、あなたの方ではしなせんおぼつかない対策だ。さらにあなたの方は国家予算をもって大丈夫国土と国民は守るというかまえをこの際確立しなければ、この基本法を作っても何にもならぬ。それはどうですか、これができたら相当思い切ってやるつもりですか。
  174. 川合武

    ○川合政府委員 実は、私の方は一番基本法に期待しておりますものの一つでございまして、先ほどから率直に赤裸々に私どもの消防力の現状を申し上げております。あるいはお聞きようによってはずいぶん心細いことを言うとおっしゃるかもしれませんが、御質問の趣旨もその点であるかと思い、多少大胆にあからさまを申し上げておるわけでございます。  またただいまのは東京の問題でございますが、全国それに準ずるといいますか、それ以下でございます。私ども消防庁といたしましては、現在もこの点について努力はしてきたつもりでございます。さらに消防庁自体として努力いたしますとともに、この災害対策基本法をすみやかに御決定いただきまして、中央防災会議あるいは防災基本計画の中におきまして、災害対策の前進をはかるようにやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
  175. 太田一夫

    太田委員 防災基本法に期待しているといって期待されても、防災基本法では紙であります。かみといってもゴッドではありません、ペーパーであります。どんなに期待していただいてもだめだ。あなたたちの心の中に基本法がひそんでおらなければならない。溶け込まぬと言っておる。いろいろなものに溶け込まない、関係のそれぞれの行政機関のもとに分担するようになっておるのだから、あなたたちがそれぞれそのようなことに対する重大なる気持を持っていらっしゃることと、もう一つは具体的なプランをもうすでに持って、こうすべきであると今まで思っておった、これがどうしてもできぬからこれを作らなければいかぬ。私はこう言っておる。ところが相変わらずなわ張りはなわ張り、セクションはセクション、分担は分担、こういうことでは何にもならぬじゃないかと私は申し上げる。  きょう文部省の方はいらっしやらないようですが、今の消防、水防というところに関係がある学校、公会堂。特に学校施設ですが、学校を耐震耐火の高層建築にし始めたのは近来のことでありますけれども、特に伊勢湾台風以来避難場所として大きな使命をみなが認識をした。臨海地帯あるいは非常にあぶない地帯、堤防の破堤個所というような危険な個所の低地の学校は、必ず鉄筋コンクリートの何階建というふうにして、付近住民の避難場所にする心がまえが要するのではないかと思いますが、これはどうです。藤井局長、そういうことがこれでこれからどんどんできるでしょうか。災害があったってちっともやってくれませんよ、文部省も大蔵も。文部省の方はなるべく予算がとりたい、ところが大蔵省は査定でだめ、原形復旧、こういうのです。どうです、学校の耐震耐火高層建築がどんどんできるという期待をわれわれは持ってもよろしゅうございますか。
  176. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 これは少し大きなことを言うようでありますが、私自身も太田委員かおっしゃっておられます基本的な考え方については全面的に同感でございます。建物等につきましては、いろいろ従来の日本の実情なり沿革なり諸事情に制約をせられまして、木造というようなことの繰り返しをやってきております。しかし、一般の住宅についても不燃堅牢化をはかっていかなければならぬということはむろんのことでありますが、なかんずく、公共建物、学校というようなものにつきましては、やはりそれ自体が耐震耐火の堅牢建造物でなければならぬ、これは私は当然だと思います。そのことが漸次最近に至って国の諸施策の上でも配慮せられるようになりまして、火事の危険性の少ないといわれる農村地帯等におきましても、最近は学校等についても鉄筋が漸次ふえてきております。自治体といたしましても、できるだけそういうところは鉄筋でということを前提にして起債の裏づけもやっていこうという方針になってきておりますことは、私自身の考え方といたしましても非常にけっこうだと思っておるのであります。なかんずく今御指摘になりましたそのような堅牢化いたしました学校というようなものが災害有事の際におきまして避難場所になる、そういった積極的な対策の道具となるわけであります。そういう点を施策の上においてあらゆる点で配慮していかなければならぬ。ただ単に学校は堅牢の建造物でなければならぬということそれ自体も必要でございますけれども、それと同時に、やはりいざという場合にはそれが災害対策としても重要な一環を占めるんだというふうに、各省の平常の施策においてもやはり災害対策ということを念頭に置いて考えていく、そういう態勢を作っていくことが必要ではないか、それが基本法一つのねらいではないかと思っております。ただこれができましたところで直ちに学校の鉄筋化が今までよりも数倍促進されるというようなことは、なかなかむずかしいと思います。むずかしいとは思いますけれども、そういう方向に持っていくという環境なりムードを盛り上げていく、これが必要ではないかという考え方でございます。
  177. 太田一夫

    太田委員 まあ、ムード政治の時代でございますから、藤井局長のムード防災計画を一応承りましょう。なかなかいいお考えだと思うのです。けれども、群雄割拠の政治ではそれはできないですね。文部省が、一生懸命やったら大蔵省がたたく、こちらが上がればこちらが下がる。バランス政治と言ってはなんですが、ちょっとも進まない。そこで総合開発課長どうですか、国土総合開発の場合に、日本の場合には危険地帯というものがたくさんあると思う。危険地帯というのは堤防、川、海岸あるいは山くずれとか、人が多く住み、工場などを持ってきたらよさそうなものだというような用地のあるところで危険地帯というのは、お調べになっていらっしゃいますか。
  178. 八塚陽介

    ○八塚説明員 国土総合開発法の第二条でございましたか、災害について十分防災上の諸施策を考慮するということが入っております。そういう関係で従来も、先ほどからいろいろ問題がございました治水関係等につきましては、国土総合開発法計画の中でかなり大きなウエートを占めておるというふうになっております。なお、ただいま全国計画を策定中でございまして、七月に一応草案ができたわけでございます。こういう際にも災害というものを頭に入れての公共投資というものは相当考慮をされておるのでございます。そういう関係国土総合開発法の方では災害というものを、特に国土総合開発法が誕生いたしました環境から見ましても、相当大きなウエートを持っておるのでございますし、ただいまも申しましたように全国計画を目下策定中でございますが、ただ、今手元にはそういう災害常襲地帯というものを災害別に詳しく一覧表にしたというふうな資料はございません。国土総合開発というものはそういうことになって、その方向へ向かって作業を進めておるのでございます。なお、今後の国土総合開発法のいわば具体的実現化のための一つ法律と考えられます新産業都市建設促進法案というようなものにつきましても、今後そういう都市を建設する場合には、一つの柱としまして災害が少ないこと、あるいは災害防止できるような施策を講じやすいというようなことを条件にしておるのでございますす。
  179. 太田一夫

    太田委員 それだけ配慮しておっていただければ、もうちょっと地方住民にも注意を喚起していただくことができると思うのですがね。これは資料が非常に不足しておるのです。たとえば何々水系、利根川水系あるいは木曾川水系、信濃川水系、それぞれあるでしょう。狩野川にしても。この水系ごとの危険個所というものも、これは全くもってわからないのですね。今水政課長さん来ていらっしゃるが、大ざっぱにはわかっているかもしれないけれども、ほとんどおわかりになっていらっしゃらないと思う。地方の建設事務所と申しますか、あなたの方の地方建設局のもう一つ下ですね、そういう方面に行きまして具体的に現地を見ている方に伺ってみても、どことどこがこういう危険があり、どことどこにこういう対策をしなければならぬというような、具体的なものを把握していらっしゃる段階ではないのです。ましてや般河川などに至っては野放しであることは先刻も申し上げた通りで、こういうことが国民が油断をするもとになっておる。もしも皆さんがこのあぶないところを水系ごとに公表されると、みなそこにおられなくなって、大騒ぎして陳情がどんどん来るから、まあ内緒にしておけ、天災は自然に起きるものなり、運の悪いところには天災が起きるのだというようなことで、運不運にまかしておけばいい、なるべく押えておった方がいいというので、黙っていらっしゃるのではないかと思うが、これはほんとうに国民に明らかにしてほしい。われわれはその資料がほしいのです。水政課長どうですか、水系の危険個所一覧表というものはありますか。
  180. 井上義光

    ○井上説明員 河川の治水計画は、過去数十年来、また今後も続けますが、水位とか流域面積、それに伴う雨量とその河川への流入量といったようなものを算定いたします。なお、その河川の流域の資産と申しますか、土地の面積あるいは農地の面積、住宅の戸数、防護すべき資産との関連から、ある河川につきましては百五十年確率、百五十年に一度の洪水に耐え得る、ある河川につきましては八十年というふうに、程度の差はございますが、ある確率をもちまして堤防計画あるいは上流の砂防、河床の掘さくということをやっております。個々の個所について申し上げますと、堤防の強弱あるは河積の大小あるいは上流水源地の山地の崩壊の状況といったようなものはそれぞれ川別に把握しまして、それぞれ計画をしているわけでございますけれども、何しろ降雨の状況とか継続の時間といったようなものから、出水量なり土砂の排出量と申しますか、こういったものはあらかじめ想定しましたものと実際とはなかなか一致しない場合が多いと申しますか、具体的に起こりました出水量等も計画段階で考えましたのと違って参ります場合もございます。まあ一応計画を策定するものといたしましては、どこどこの個所の堤防が弱いとか、河床が上がっておりまして相対的に堤防が低下して危険であるという面は把握しております。そしてそれに伴って、たとえば利根川で申しますれば、大体上流の方は主として浚渫に力を入れる。川を掘りまして河積を大にする。中流区間は大体築堤と申しますか、堤防をうしろへ下げて川幅を広げてそれをかさ上げする。上流部分につきましては、下流の浚渫あるいは築堤工事を効果あらしめるようにダムを作る。ダムは洪水調節上、堤防等の用地買収費といった点、また用地取得難から、有利でありますが、また一方、洪水を防ぐためには、工事費としましては土の堤防よりもセメントで単価が高くつくということも比較考量いたしましてやっておるわけであります。個々の危険個所は一応水系ごとに把握しておりますが、それは先ほど先生もおっしゃいましたが、ここが危険であるといって山をかけることができないものでありますから、具体的には水系全般としてみますと、大体中流部が弱いとか、支流の流入部が弱いといったようなことがございますけれども、どういう個所が弱いという点を個々に説明して、関係住民にあらかじめ了解を得ておくということは困難かと思っております。
  181. 太田一夫

    太田委員 実際上そうなんですよ。個々にはなかなかむずかしいと思うのです。今河口を浚渫するとおっしゃいますが、河口をあまり掘れば潮水が入ってくる。これは大へんです。あまり潮水が入ってくれば、そこに取り入れ口があるところや排水口のあるところは樋門でもやって潮の流入を防がなければならないという大問題ができてくる。それから中流は築堤ということがある。築堤に力を入れるとおっしゃるけれども、漏水というものは新堤に非常に多いのです。その漏水に対する対策にはかつて妙薬がないそうですね。なぜかというと、水というものはサイフォン現象を呈するものもあるし、毛細管現象を呈するものもあるという水の特性がありまして、なかなか治まらない。だから完全に漏水を防ぐためには矢板を岩盤に達するまで打たなければならないという大工事になるので、漏水しておっても、大したことはないよということで土地の人をなだめておるが、これが一たん高い水位が長時間続いたときには、一挙にがっとくることは、狩野川でよく現われておる。そういう対策がいまだに科学的な研究さえなされないままに、また堤防を作って川幅を広げて——あなたの方の堤防の作り方は何ですか。単に川の砂を打ち上げて作るだけじゃないですか。それでその土質だとか砂質だとかいうものに対する科学的な研究は何もない。だからすぐに漏水、決壊するというような危険性の多い作り方をしておいても、おお、きれいな堤防が大きくできたからいいだろうというようなことになる。非常に科学性が欠けているじゃないか。  それからまた、県知事にまかされておりますが、砂と砂利の採取権なども、もっと抜本的に改正をしなければならぬと思いますが、あれはうっかりすると、左岸の方が取りやすければ左岸の方ばかりでどんどん取るので、河床が傾きますよ。傾けば水の流れが変わる。水は低きにつきて流れるんですから、そういうことになって水の流れ方が変わってくると、今度は水が出ると、今まで決壊しなかったところがくずれる。まことに水というものの研究が不足である。科学というものをなぜ防災に取り入れないか。こういう点は非常に私はいろいろなところで不満足に思いますが、今までのところを延長するのじゃなくて、斬新なる対策を立てられることが必要だと思うのです。  よく皆さんの立場はわかりましたが、実際この防災ということが私は一番大事だと思う。災害が起きないように予防する。災害が起きなければ応急対策は要りませんよ。水防組織も要らぬ。災害救助法も要らぬ。仮設住宅も要らぬですよ。公営住宅も要らないかもしれない。もともと災害が起きないようにするもとのことを一生懸命やらないで、現象ばかり一生懸命追っておって、災害が起きたときにああする、こうする、交付税をどうする、あるいは激甚地をどうするというようなことは、死んだ人を前にして何か香典の争いをするようなもので残念千万な話ですよ。ぜひとももうちょっと根本的にこの問題を再検討されることを私は望みたいと思います。  以上で質問を終わります。
  182. 川村継義

    ○川村(継)委員 私はちょっと資料をお願いしてみたいと思います。  きょう太田さんが地盤沈下対策の問題やら海岸の護岸の問題、治水の問題等、幾つかの具体的の問題で、災害予防の面についていろいろと質疑をなさったのでありますが、その質疑を通じて安井大臣及び関係当局の皆さん方の答弁を聞いておりますと、答弁を完全に記憶しておるわけではありませんが、この災害対策基本法案は、防災全般について災害関係の現行関係法の趣旨を尊重する建前に立って、そうして今後の対策は、この防災基本法ができてから将来必要な問題の解決、その対策の法改正等をやらなければならない。それらは防災会議検討に待つ、こういうような考え方に立って答弁がなされておるようであります。ところが、ただそれだけでは、この重要な基本法案の審議にあたってはやはりどうも納得できないものがあります。  そこでちょっと資料をお願いする前に一言聞いておきたいと思いますが、これはどなたでもよろしゅうございますが、この基本法案に関係します関係法というようなもの、すなわち、もっと突っ込んで申し上げますならば、災害基本法が成立した場合にずっと関係してくる法律というものは一体何十本あるのか何百本あるのは、それを聞かせていただきたい。実は国会図書館の方で災害関係法律をずっと調べたのがありますけれども、これでも全部網羅しておるとはいえないと私は考えております。まして皆さん方から今度私たちに渡していただいておる法案を見ても、三十本足らずの関係法案が書いてありますが、私はそんなものじゃないと思います。おそらく百本くらいの関係法案があるのじゃないか、このように思っておりますが、その辺のところをおわかりでしたらお示しいただきたい。
  183. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 私たちの方で従来調べておりますところでは、また御指摘がございますればお出しをいたしますが、大体百五十本以上と思います。
  184. 川村継義

    ○川村(継)委員 おそらく私も百本以上あると思います。そこでめんどうですが、できましたらその法律の一覧表を作っていただけないか、その資料についてのお願いと同時に、法律内容をどのように整備したらこの基本法趣旨に合致するのか、基本法趣旨を生かすものになるのか、防災の上から考えて整備内容というものを参考につけてもらえればいいと思います。これはおそらく政府関係各省の中で意見の一致したものはまだないと思いますから無理かと思いますけれども、これはほんとうに参考程度でよいのですが、提出者のこうこう整備されたならばという整備内容、そういう見解でいいですからつけていただけるものならつけていただきたい。と申し上げますのは、皆様方からいただいております災害対策基本法関係資料の中に、昭和二十七年のものでありますか、知事会から出したものがありますね、この知事会から幾つかの意見が出ておりますが、その中にも法令名と整備内容というものを一応出しておるようであります。相当詳しく書いてあります。この整備内容については、おそらく今日までこの知事会の意見が相当充実されたものもあると思います。また充実されていないものもあると思います。それは別といたしまして、このような考え方で、提案者の皆さんがこの防災基本法ができた場合に、このような整備内容を盛っていったならばこの基本法趣旨を生かすところのものになる、そういう見解も、一つできましたらつけていただきたい。それがありませんと、この基本法の大事な審議をしておりますときに、どうも手探り審議みたいにお先まっ暗な審議になってしまうような気がして仕方ありません。大へんあとの方は無理な資料の要求でもあるようでありますけれども、その点一つぜひお願いをしておきたいと思います。
  185. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法律の一覧表はできるだけすみやかに整備して御提出を申し上げたいと思っておりますが、その次に言われました関係法律についてどのような点を整備すべきであるかという点につきましては、今お話の中にもございましたように、今後各省との間に話し合いをしてまとめていかなければならぬものでございます。むろん私たち自身として単独で、自治省の事務当局といたしましてこれらの関係法律をどうすべきかということの意見はございますけれども、そのことをこの段階におきまして、国会に提案者として御報告するということがはたして適当でありますかどうですか、それらの点もございますので、この点はちょっと私、今この席上で必ずお出しいたしますということは確約をいたしかねます。なかなか困難ではないかというような感じがむしろ先に立つわけであります。なおもう少し考えてみたいと思います。
  186. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時より開会することとして、これにて散会いたします。    午後四時二十二分散会