○門司
委員 時間が非常に迫っておりまして、あとの問題もございますので、これ以上押し問答はしませんが、私は憲法ないし
法律をどう
解釈してみましても、今
大臣の
お話しになっておりますように、この種のものはかりに公安条例を認めるとしても、これを届け出制にして、
基本的人権を尊重すべきことは当然であると思います。同時にわれわれの
考え方としては、今
大臣の言われておりますようなことがほんとうに
地方自治法の第二条「
地方公共団体は、法人とする。」第二項として「普通
地方公共団体は、その公共事務及び
法律又はこれに基く政令により普通
地方公共団体に属するものの外、その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」と、こう書いてあります。その次の三項にありますのは、御
承知のように「
法律又はこれに基く政令に特別の定があるときは、この限りでない。」と書いて「前項の事務を例示する」と書いてありまして、
地方公共の秩序の維持ということが一番先に書いてあります。私は、これらのものがこの公安条例制定の
法律的基礎になっておるとしか考えられない。またその
通りだと私は考える。そうだといたしますと、現在ありますさっきから申し上げておりますような、おのおの所有権に基づくあるいは
法律に基づく規定があるのですね。その
地域における国の事務に属しないものじゃないのですね。道路交通法というりっぱな
法律がある、あるいは銃砲刀剣所持禁止のりっぱな
法律がある。だから決してその区域内に国の定めるそういうものがないわけじゃないのです。だから私は、この二条がもし適用されておるとすれば、これも誤まりじゃないか。どう考えても、公安条例というものについては少し行き過ぎである。現行の
法律で取り締まることが十分できますので、従って「その区域内におけるその他の行政事務で国の事務に属しないものを処理する。」と書いてある。国の事務に属しないものはない。みな国の事務に属しているのである。道路交通取り締まりからくる公安条例も、やはりそこに発足があると思うのです。大衆の交通に障害を来たすおそれがあるからこれを規制しようとされておることに間違いはないのである。それでなければ
一般の示威運動なんというものは自由でよろしい。百歩を譲っても届け出制でたくさんだと考える。この辺がどう考えても私は公安条例自身についてのものの
考え方というものは違法であると考えております。
最後に聞いておきたいと思いますことは、今冒頭に聞きました発案者との
関係でありますが、知事並びに市町村長が
地方の自治体の秩序を保持することのためにこういうものが必要であるということが、私は発案の
趣旨になろうかと思います。決してこれは
警察権の
拡大強化のためにあるなんということに考えを及ぼすわけではないが、そうだといたしますと、問題の所在はこの秩序の保持という自治法の二条三項の一番上に書いてある字句との関連性だと思います。秩序を保持することのためには、さっきから申し上げておりますようにたくさんの
法律があって、それでこれはできる。所有権の監督権はおのおの自治体が持っておる。これに対しても規制をしようと思えば規制ができる。従ってさっきから申し上げておりますように、こういう公安条例の必要はないと考える。この公安条例というものは、考えようによりましては国家権力の
拡大になっておるのですね、
警察権自身がそうですから。これは
地方自治体の権限に属する仕事と考えたら私は大きな間違いだと考える。
警察によってこれが許可をされ、
警察によって今日これが取り締まりを受けておる。今日の
警察は一応
警察法の中には都道府県
警察なんという字句を書いておりますが、
警察の幹部は全部
国家公務員であることに間違いはない。だれが考えても国家権力の作用であるということが正しいと私は言えるかと思います。そういたしますと、
地方の自治体の都道府県や知事やあるいは市町村長が、自分の権限外といいますか、管掌外の権力によってこれの取り締まりをしていこうとすることが、はたして自治法上認められるかどうかという問題です。条例については御
承知のように違反した者について罰則がくっついております。十万円以下の罰金あるいは二年以下の懲役に処することができる、こう書いてあることは事実であります。しかしこのことは国家権力の作用というものでなくして、いわゆる自治体が自分の自治体の中の秩序を保持することのためにいろいろな条例をこしらえ、その条例についての違反者に対しての
一つの制裁でありまして、しかもその制裁の決定は御
承知のように裁判所においてこれが行なわれるものだ。
警察権のみによってこれが
処置されるものでは決してない。言いかえますならば、
地方の都道府県知事や市町村長が
警察権を行使することができる、大体こういうことに公安条例をそのままうのみに
解釈すればなりはしませんか。都道府県知事あるいは市町村長が発案するのじゃないですか。そうして議会できめられて、その
処置をするのはあげて
警察である。ところが市町村は
警察の権限は持っておらない。これは少なくとも都道府県の県警にあるといえばあるのであります。権限を持っておらない。だからどうしても市町村長が発案して、権限の行使は
警察権によってこれを行なわしめる、こういうことになるのです。こういうことが自治法上認められますか。私は、自治法に認めておりますものは、あくまでも都道府県知事並びに市町村長の権限において、そして
地方の秩序を保持していくということになっているのじゃないかと考える。こういうふうに考えることが私は正しいと思うのですが、この点はどうですか。都道府知事や市町村長はこういう条例を勝手にこしらえて——勝手にこしらえると言っては悪いが、こしらえて、そうして
警察権を行使することができる、こういうことが許されるかどうか、もう一度
答弁を願っておきたい。