○
三輪政府委員 ただいまの
お答えをいたします前に、ちょっとお
断わりをいたしたいと思うのでございますけれ
ども、なぜこの段階で
公安条例を
改正することになったのかということでございます。
先ほどの御
議論では、
公安条例というものが必要か必要でないかということで、今新たに作るか作らないかという御
議論かと思うのでございますけれ
ども、これらはいずれも従来持っておったのでございます。ただ
広島のように、
広島市
公安条例というものがございまして、これは御
承知のように
警察制度が変りました二十九年に、
経過規定で、県が何分の
規定を作りますまで市の
条例が依然として生きておりまして、市の
公安委員会、市の
警察がやりました従来の仕事は、県の
公安委員会、県の
警察がやるということになって生きておりまして、すでに
警察を持っていない市の
条例をいつまでも持っていることは適当でないということで、県の方とお話があり、市が廃止をして、県がこれにかわって五市についての
県条例という形に生まれ変わったというものがございますけれ
ども、その他
愛知の例をとってみましても、
群馬にいたしましても、
静岡にいたしましても、従来ありましたものが、
愛知とか、
群馬、
岐阜等におきましては、御
承知のように、五月八日の
岐阜県の
条例の問題で名古屋の高裁の
判決がございまして、
岐阜県条例の中で、不
許可にした場合に県もしくは
市町村議会に
報告をするということになっております。そういう文句がありましたところから、この
公安委員会というのは、以前の
国警の、県の
公安委員会あるいは市の
公安委員会というものをさすので、二十九年に新たにできた
公安委員会とは性格が違う。そこでその後に手直しをしていないから、この
公安委員会というものはすでになくなったものであるという免許の
判決がありました。このこと
自体につきましては納得がいきませんので、上告をしておるところでございますけれ
ども、しかしながら、そういうことが裁判所で疑いを持たれるということは、
公安条例として適当じゃないというようなことから、これらの点は今回文言その他
内容について若干の修正を加えたということでございます。
静岡はその前に、昨年の七月に最高裁の判例で、これは特殊な形の
条例でございましたために、今や
死文に帰しているという
判決がございました。それを今度前と同じものを、
死文といわれるところを訂正しまして出すというような格好になったわけでございます。
そこで
先ほどの
お尋ねのどういう
方向にということでございますが、これを分けて申しますと、
一つは
制定の
目的を新たに
規定をいたしております。たとえば
集団示威運動等が
公共の安全と
秩序に対して直接危険を及ぼすことなしに行なわれるようにすることというようなことを
目的とするというふうな
目的規定をきめましたものが
島根、
広島、
群馬、
岐阜、
静岡等であります。それから
解釈規定といたしまして、
拡張解釈及び乱用を禁止するというような
訓示規定を設けて、必要な
最小限度にとどめるというのを加えましたのが
広島、
岐阜、
静岡等でございます。それから
公安委員会に
許可を求めるという際に、従来の
東京地裁の
違憲判決が出たときの
内容といたしまして一番大きな点として、
公安委員会が故意にといいますか、あるいは過失といいますか、
許可ないし不
許可の
処分を全然しないで時間が過ぎてしまった場合には、できないということになる、
救済がないではないかというような御意見もありましたので、今回二十四時間前までに
公安委員会が
許可もしくは不
許可という
処分をしない場合には
許可されたものとみなすというふうな
救済規定を入れましたのが
島根、
広島、
三重、
岐阜、
愛知、
静岡というような各県でございます。それから従来七十二時間前といいますものを四十八時間前というふうに短縮いたしましたのが
島根、
広島、
岐阜、
三重、
群馬、
愛知——愛知はただ
行進を伴わないものだけでございますけれ
ども、それと
静岡、これが時間の短縮でございます。それから、これはいささか技術的でございますけれ
ども、
許可の
内容及び
条件を
主催者は
参加者に周知させ、順守させるための必要な
措置を講じなければならないということを入れ、これをやった場合には
主催者に免責をするというような
規定を入れましたものが
島根、
群馬、
岐阜、
静岡の各県でございます。
それから、これは
拡張ということでよく言われるわけでございますけれ
ども、その
集団示威運動等が無
許可であったり、あるいは
条件に反したりしたというような場合に、
警告または
制止ができるというふうな
規定が、従来ないものを入れましたものでございますが、これが新設されましたものが
島根、
岐阜、
愛知、
静岡でございます。
広島の場合には前の市に同じようなことがございましたので入れたようなわけでございます。
群馬は従来からあったわけでございます。そういうことで、この点を新たに強化したという御批判があちこちにあるようでございますので、その点で御参考までに、そういった
措置の
規定を入れております
条例と、ありません
条例との数でございますが、そういう
警告または
制止等の
措置ができるという
規定を入れた
条例が三十三ございます。ないのが二十八ございます。これは現在までの
状態でございます。