○
有吉説明員 株価の
暴落の
原因とその
対策につきまして御
説明申し上げます。
まず初めに、
株価下落の実情につきまして、お配り申し上げました
資料に基づきまして御
説明いたします。
株価の
推移でございますが、まず初めに
ダウ平均の
推移を申し上げますと、表にもございますように、本年の一月におきましては、
月平均をとりますと、千四百三十六・七九でございます。一月四日が
大発会でございましたが、この日が千三百六十六・七四ということで、一月の
安値のところに掲げてある
数字でございます。それ以来
ダウの趨勢は逐次
上昇いたしましたことは、この
月平均の
数字でおわかりのことと存じますが、七月におきまして
月平均におきまして千七百八十六・四七、しかもこの七月の十八日、その次の欄に
高値と書いてございますが、千八百二十九・七四、これが一番の
高値を示したわけでございます。その後
公定歩合引き上げの発表がございまして後
漸落歩調をたどったわけでございます。すなわち八月に千七百一・四七、九月に千五百四十三・三五とありまして、十月に至りましてもさらに
漸落の
歩調をたどりまして、十月二十三日千二百九十九・七六というのを底にいたしたわけでございます。二十五日、昨日は千三百四十八・三八ということになったわけでございます。
これを、どの
程度の
上昇をたどり、どの
程度の下降をたどったかということをパーセンテージで申し上げますと、本年最初の一月四日の千三百六十六・七四と先ほど申し上げました七月十八日の千八百二十九・七四との率は三三%八八ということでございまして、これだけの
上昇を示したのでございます。この七月十八日から先ほど申しました十月二十三日の千二百九十九・七六という
下落率は二八%九六ということを示しておるのでございます。昨日の千三百四十八・三八と申しますのは、大体三十五年十二月末の
水準と見られるのでございます。
次に
単純平均で申し上げますと、同じように一月四日の
大発会の日におきましては、
単純平均の
安値のところを
ごらんになっていただけばけっこうでございますが、百八十九円三十六銭でございました。その後
上昇いたしまして、七月十四日におきまして二百十九円十九銭という
高値を示したのでございます。その後の
漸落は、十月の二十三日に至りまして百四十二円二十一銭という
安値を示し、昨日におきましては百四十七円五十二銭ということに相なったわけでございます。
年初と
高値との
上昇率は一五%七五、
高値から一番の
安値の十月二十三日の
下落率は三五%一二ということに相なっておるのでございまして、昨日の
単純平均の
株価は大体三十五年一月上旬の
水準と御承知願えればけっこうかと思います。
次に
売買高につきまして申し上げますと、東証、つまり
東京証券取引所の一日
平均売買高を掲げてございます。これは一月におきまして一億二千九百六十一万株を数え、その後四月におきまして一億五千万株というので東証始まって以来の多くの
売買高を呼んだのでございます。その後
漸落いたしまして、九月に至りまして七千八百万株、十月の
平均も大体七千六百万株に落ち込んでいるわけでございます。
次に、
平均利回りは、二百二十五種をとってみますと、
年初三分の見当でございましたがその後
株価の高騰に伴いまして二分台ということに相なったわけであります。最近に至りましては
下落に伴い
利回りは
上昇いたし、二十三日の
安値の際におきましては四分三厘の
利回りと相なったわけでございます。
さらに
日証金、
日本証券金融会社の
差引融資残高を
ごらんいただきますと、
年初におきまして三百四億を数えておったのであります。さらに
上昇をたどり、八月に至りまして、八月の二十五日には三百五十四億という最高を示したのでございます。最近に至りましては百九十億ないし百八十億というような
状況に相なっておるわけでございます。
最後には、四社の
自己融資でございますが、これまた減って参りました。百三十億、百五十億台のものが一時百八十億台になり、それが減りまして九月の末におきましては六十億台、かような減少の過程をたどって参った次第でございます。
次に、この
下落の
原因につきまして申し上げたいと存じます。
根本的な
原因といたしましては、すでに御承知の
通り、
経済実勢に対する多数
投資家の判断の結果に基づくということは否定できないのでございますが、現在のところ
一般大衆投資家の不安、
動揺によるところの投げ売りというものは見られません。むしろ従来は
安定株主と見られておりました
法人筋の換金売りがその直接の
原因となっていることが、その大きな
特徴となっておるのでございます。すなわち、まず第一に申し上げますと、
金融引き締めの
進行による
法人の
所用資金調達のための換金売りというものがございます。第二には、
増資の
急増によりますところの
払い込み資金調達のための換金売りということがさらに重なったのでございます。その結果、最近に至りましては、業績のいかんにかかわらず株を処分するというまことに
経済の
実勢を離れたような状態が招来されておるのでございます。この
対策につきましては、
政府といたしまして
資本市場が
産業資金供給の
機能を円滑に実現し、
一般大衆投資家に不必要な不安、
動揺を与えないという
観点から、次に申し上げますような
措置を今までにとって参りました。また今後の
市況に応じましてはとろうと考えておる次第でございます。
まず、最近の
市況におきまして従来のような
投機化あるいは
人気化の様相が見られなくなったのでございます。そこで本年二月から実施して参りましたいわゆる
銘柄別の
規制、これは御
説明いたしますと、
証券金融会社が
増担保を
特定の
銘柄につきましてとっておったのでございますが、この
措置と、また
取引所が
売買規制を行なっておりました
特定の
銘柄についての
規制の
措置を、九月の十八日から解除いたしたわけであります。次に十月九日からは、
証券金融会社の
会員別の
融資ワクを拡大いたしたのでございます。
数字につきまして申し上げますと、
日本証券金融会社につきましては六十億円、
大阪証券金融会社につきましては四十億円、
中部証券金融会社につきましては七億九千七百万円という額をそれぞれ増しワクいたした次第でございます。また従来
日本証券金融会社の
貸借担保金の
代用有価証券適格銘柄というものが三百六十三
銘柄に限られておりましたのが、さらに百
銘柄を追加いたした次第であります。次いで十月十一日からは
省令を改正いたしまして、
信用取引委託保証金率の
引き下げを行なったのであります。まず六〇%から五〇%に
引き下げを行なったのでございます。さらに
代用証券の
担保掛目の
引き上げもあわせて実施いたしました。これは六〇%から七〇%へ
引き上げた次第でございます。さらに最近に至りましては、今申し上げました
省令を再度改正いたしまして、
委託保証金率をさらに一〇%
引き下げて、四〇%にすることにいたしたのであります。この
措置は今月二十五日から実施しておる次第でございます。他方、従来からの
株式投信の
資金純増ワクというものを設けておったのでございます。これを廃止するとともに、この
資金のコール・ローンへの
運用制限ワク、これを自由にするという
措置をとったのでございます。これは、十月二十四日に発表いたした次第でございます。
さらに、われわれといたしまして、今後考えらるべき
措置といたしましては、本
年度下半期においては四千六百億円という未
曽有の
増資が予定されておるのでございます。このような大量な
増資が、
株式市場に対しまして、
一つの
圧迫要因となっておるということは、先ほど御
説明しました
通りでございます。これを何らかの形で調整する必要があろう、かように感じておりますので、
目下関係者間で話し合を進めておる次第でございます。なお、先ほど申し上げましたように、最近の
市況の
特徴といたしましては、商社なり企業なりにおきますところの換金売りというような問題が起こっておりますので、こういった
市況の動向に関連しまして、いわゆる
資本市場対策として、
株式市場に何らかの形で
資金を流入させるべきではないかという主張もあるのでございます。
現在の
株価が先ほど御
説明いたしましたように、七月十八日をピークといたしまして
惨落模様となっているのは、一に
金融引き締めの
進行による
法人の
所要資金調達のための換金売りなり、先ほど申しました
増資の
急増による
払い込み資金調達のための換金売り等に基因していることが大きいのでございます。このような
金融情勢を反映しまして、
株価が
実勢以上に変動することは、今後の
資本市場が
産業資金供給の
機能を円滑に発揮するという面から考えて、決して好ましいとは思えないのでございます。従いまして、
当局としましては、先ほど申しました
大量増資の時期的な調整をはかるとともに、
株式市況に不必要な摩擦を起こさせない
一つの有力な手段であるということから、昨日
証券界から強い要望がございましたので、いわゆる社債の
流動化——株式投信に組み入れられておりますところの公社債の
流動化ということにつきましても、さらに慎重に検討中でございます。
以上が最近におきます
株価の現状と
暴落の
原因並びにこれが
対策についての御
説明でございます。なお、
資料をお配りしておりますので、さらに
市場第二部の
運営の点につきまして触れさしていただきたいと存じます。一応御
説明いたしましてから、後に
資料に基づいて御
説明いたしますが、まず、去る六月七日に提出いたされました
証券取引審議会の
報告書にもございますが、従来の集団的な
店頭取引を
取引市場に吸収することが
投資家保護の
観点から必要であるという配慮から、十月の二日に
東京、
大阪及び
名古屋の三
証券取引所に
市場第二部が設けられた次第でございます。この結果、
東京証券取引所におきましては三百五十八社、
大阪証券取引所におきましては二百十九社、
名古屋証券取引所におきましては九十一社が、新たに上場されるということになりました。うち、
市場第二部
銘柄は、
東京証券取引所におきましては三百二十五社、
大阪証券取引所におきましては百七十一社、及び
名古屋証券取引所におきましては五十八社が上場せられたのでございます。このように多くの
会社が上場されることになりましたのは、なるべく多くの
会社を上場することが、将来再び
集団的店頭取引を発生させないことになるので、この
上場基準を相当緩和したことによるものでございます。たとえば、
資本金についてこれを見ますれば、
東京証券取引所におきましては、従来三億円以上の
会社の
銘柄を上場いたしておったのでございます。これを一億円以上に
引き下げ、しかも三十七年の九月三十日までは経過的に五千万円以上であってもよろしいということにしたのでございます。
市場第二部における
売買高を御
説明いたしますと、先ほどお配りいたしました
資料を
ごらんになっていただきたいと思いますが、
東京証券取引所について御
説明いたしますと、十月二日には五百二十万株、これが最近におきましては大体二百八十万株、この間を
平均いたしますれば、大体三百十五、六万株の
取引高が示されておるのでございます。この
市場第二部におきましても、五十種の
株価をとりまして、それを
ダウ、
単純等によって毎日の計算をいたしておるのでありますが、十月二日に二五七・五〇というものが、第一部と同様に
漸落の
歩調をたどりまして、十月二十五日に至りまして二一〇・一五ということに相なったわけでございます。これの
値下がり率は一八・三九%でございます。同じく単純につきましても二百五十七円五十銭、昨二十五日には二百七円五十一銭、かように相なっているわけでございます。
なお
備考欄を
ごらん願いますと、先ほど申しました
取り扱い高平均三百十五、六万株というのは、
集団的店頭取引の時代におきますところの一日
平均の
売買高、七月二百八十九万株、八月二百三十万株、九月二百十二万株と比べまして、相当のにぎわいを示しておる、かように思うのでございます。
次に、この
市場第二部におきますところの
売買取引の
状況は、これらの
銘柄が
店頭取引として行なっておりました当時と異なりまして、
受け渡し期間が四日となるというような点、
売買管理が厳正に行なわれているために、穏健に
推移しておるものと認められるのでございます。
なお、
市場第二部
銘柄の性質にかんがみまして、その
売買管理は、
市場第一部
銘柄以上に厳重にする必要があろう、かように感ずるのでございます。
先ほどの
資料に返りましてまことに恐縮でございますが、
市場第一部におきますところの
平均資本金は、
東京証券取引所におきまして
平均三十七億
程度の
会社によって占められております。
市場第二部におきましては、
平均資本額が五億四千万円という
程度の
会社でございます。かように
資本金の比較的小さなものでございます。また、その
流動性も少ないという
銘柄につきましては、特に多少の
売買によりまして値上がり、
値下がりということが行なわれるために、
売買管理を強化する必要があろう、かように考えまして、まず
買い占め等によりましてある
銘柄の
株価変動の著しいときには、その
銘柄を
規制銘柄として指定し、そうしてこれを
規制する必要があるというときには、予告なくして即日その指定をなし得るという
措置も考えられておりますし、さらに
信用取引はこれを行なわないということに相なっておるのでございます。
次に
会員の問題でございます。
証券取引審議会の
報告にもあったのでございます。今回
市場第二部が設けられることによりまして、
地方取引所並びにその
会員、あるいは各地の非
会員に対しまして、相当な
影響があると認められるときには、それらの
会員の
連合体でも作りまして、
会員加入を認めるということを考えたらどうかという答申があったのでございます。これに基づきまして、
東京証券取引所におきましては、かねてからこの問題も検討いたしました。結局
地元非
会員業者の
連合体を一社作れば、これを
会員として認めるということに相なったわけでございます。
大阪証券取引所におきましても同じように一社を認める。また
大阪証券取引所におきましては、
地方取引所の問題といたしまして、
広島取引所会員の
連合体一社の設立並びに
加入ということを認めることに相なったのでございます。それぞれその
準備は進捗中でございます。近く
加入の運びになるものと考えられるのでございます。現在、
東京、
大阪におきます先ほどの
地元非
会員業者の
連合体の問題につきましては、大部分のものがこれに参加する予定になっておるので、ございます。すなわち、
東京におきましては、三十六社の非
会員業者がございます。そのうち三十二社が
連合体の設置に
賛意を表しておる。
大阪は十三社中十社が
賛意を表し、それぞれ着々
準備中でございます。なお、
広島以外の
地方取引所につきましては、現在
つなぎ機関がございますので、二、三の
取引所におきまして、これが支店を認めるかどうかという問題が残っております。大体問題は解決している、かように考えるのでございます。
地方取引所並びにその
会員あるいは
地元の非
会員業者に対する
影響ということは、これらの
措置によって解決されるのじゃないか、かように考えております。なお、
名古屋証券取引所におきましては、かような問題は、
地元におきまして非
会員もございませんし、起こらないのでございます。
以上、
市場第二部の
運営の
状況につきまして御
説明した次第でございます。