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辻原委員 今るるお話がございましたので、私がただす点についてはそれによってかなり
見解が述べられておるわけであります。今もお話のあった
通り、基本的にやろうとするならば現行の
財政法では十四条三項の
繰り越し明許という
方針でやらざるを得ない。しかしお話のあったように、従来の運用の慣例と申しますか運用の実態というものは、今論議をせられておるような性質のものでなかったことだけははっきりしている。少なくとも天候上あるいは気象上当然それによって左右されるような経費の支出に関することとか、あるいは事実上努力をしても、たとえば土地改良に対する土地の補償といったような場合、事実上これがおくれていくということが当初から
予想されておる場合である。しかし今論議されておるのは、言いかえてみるならば景気の調整を行なうための資金のたな
上げ。だからそれを十四条の三でもってやるということには、どう理屈をつけてみたって解釈としてはそこまでの拡大解釈は無理であるということは常識上明らかである。昨年、二十九条の場合これまた明らかなことを大蔵当局は強引に押し切って、そうして
最後には政治的解決とかそういうことでこの根本問題の解決を本
年度に延ばされておるわけであるけれ
ども、その際も当然
予算独立の原則に反する補正
予算でもって他の投資
会計に資金を繰り入れるといったような
一つのやり方は、何といってもわれわれ一般的な法律解釈からは生まれない。
大蔵省の法律解釈は非常に便利にできておりますから、どんなことでもやれる。そこに問題がある。従って、そういうことでなくて——それは財政
政策としての根本議論はあります。それはそういうような資金のたな
上げをやって、その時限においてその金をどう使うかということについての議論は別である。しかしながら、景気を調整する上において、
予算規模を押える上において、ある
程度の資金をたな
上げしなければならぬということが必要であるとするならば、それは取り扱いができるように当然法律はそう正すべきであるというのが私
どもの
考えなんです。しかしどうも今のお話によりますと、法文解釈の中ではかなり苦しい解釈をしておる。この十四条三の
繰り越し明許には、その行ない得る理由として明らかに規定されることは二つの事項である。「性質上又は
予算成立後の事由に基き」という、この二つの内容によってのみしか、あらかじめ明許の繰り越しを議決することは不可能である。その性質の中にはたして景気調整ということが含まれるかどうか、それはこじつけてあなた方のようなことを申せば、それは何だってできるということになるけれ
ども、しかしそれはおのずから法律解釈の常識というものである。その点に立って
考えてみるならば、今あなた方が場合によっては法改正もやるし、あまり議論が起こらなければ、私はむき出して言うならばあまり議論がここで出てこない、あまり問題にならなければ、まあほおかむりしてこれでやっていこうというような
考え方に立っておるのではないか。だから二面二様の
お答えが、今
大臣なりあなた方の口から答弁されておる。そういうことではいけない、必ずすっきりさせて法律問題としては問題ない、そうなれば一体財政論として、そういう資金のたな
上げをいかなる
方向に使うかという
政策論に議論が及ぶような形に持っていくことが、私は大蔵当局なり
政府のやるべき
方向であるということを申し
上げる。そこでその点についてとかくの論議はいたしません、もう少し
予算の明確になった暁に、われわれも本格的な議論をいたしたいと思います。
時間がございませんのでその次の問題に移りたいと思います。
大臣に伺いますが、貿易収支の十月の実績が発表せられておりますが、それによりましても依然として一億ドルを上回る赤字になっております。従いまして、過去三カ月というのは連続一億ドルをオーバーする大幅な赤字がここに出ておるわけです。そこで私の伺いたいのは、今の時限においてこの三十六
年度末における貿易収支の黒字、赤字はどういうことになるか、お
見通しはどうでありますか、その点を最初に伺いたい。