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1961-10-27 第39回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十七日(金曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 小川 平二君    理事 黒金 泰美君 理事 細田 義安君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 辻原 弘市君 理事 平岡忠次郎君    理事 横山 利秋君       伊藤 五郎君    大久保武雄君       岡田 修一君    金子 一平君       久保田藤麿君    田澤 吉郎君       永田 亮一君    藤井 勝志君       古田 重延君    石村 英雄君       田原 春次君    広瀬 秀吉君       藤原豊次郎君    堀  昌雄君       安井 吉典君    春日 一幸君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         大蔵政務次官  天野 公義君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         国税庁長官   原  純夫君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   相沢 英之君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      上田 克郎君         農林事務官         (食糧庁総務部         長)      藤波 良雄君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 十月二十七日  畜産物価格安定特別会計法案芳賀貢君外十一  名提出衆法第八号) は、委員会の許可を得て撤回された。 同月二十五日  酒類小売手数料適正化に関する請願浦野幸男  君紹介)(第九四六号)  同(小澤佐重喜紹介)(第九四七号)  同(海部俊樹紹介)(第九四八号)  同(上林榮吉紹介)(第九四九号)  同(齋藤憲三紹介)(第九五〇号)  同(瀬戸山三男紹介)(第九五一号)  同(綱島正興紹介)(第九五二号)  同(中垣國男紹介)(第九五三号)  同(松永東紹介)(第九五四号)  同(宮澤胤男紹介)(第九五五号)  同(森田重次郎紹介)(第九五六号)  同(伊藤卯四郎紹介)(第一〇五一号)  同(井手以誠君紹介)(第一〇五二号)  同(稻葉稜人君紹介)(第一〇五三号)  同(古賀了紹介)(第一〇五四号)  同(佐野憲治紹介)(第一〇五五号)  同(田村元紹介)(第一〇五六号)  同(中野四郎紹介)(第一〇五七号)  同(野原覺紹介)(第一〇五八号)  同(肥田次郎紹介)(第一〇五九号)  同(細迫兼光紹介)(第一〇六〇号)  同(青木正紹介)(第一一一四号)  同(加藤鐐五郎紹介君)(第一一一五号)  同(佐々木義武紹介)(第一一一六号)  同(椎熊三郎紹介)(第一一一七号)  同(舘林三喜男紹介)(第一一一八号)  同(松原喜之次紹介)(第一一一九号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一一二〇号)  同(宇野宗佑紹介)(第一二〇七号)  同(上村千一郎紹介)(第一二〇八号)  同(内海清紹介)(第一二〇九号)  同(久保田鶴松紹介)(第一二一〇号)  同(河野正紹介)(第一二一一号)  同(阪上安太郎紹介)(第一二一二号)  同(津島文治紹介)(第一二一三号)  同(西宮弘紹介)(第一二一四号)  同(野山武夫紹介)(第一二一五号)  同(芳賀貢紹介)(第一二一六号)  同(畑和紹介)(第一二一七号)  合成清酒名称変更等反対に関する請願江崎  真澄紹介)(第九五七号)  同(綾部健太郎紹介)(第九八九号)  同(池山清志紹介)(第九九〇号)  同(一萬田尚登紹介)(第九九一号)  同(宇田國榮紹介)(第九九二号)  同(江崎真澄紹介)(第九九三号)  同(上林榮吉紹介)(第九九四号)  同(二階堂進紹介)(第九九五号)  同(西村英一紹介)(第九九六号)  同(廣瀬正雄紹介)(第九九七号)  同(村上勇紹介)(第九九八号)  同(山中貞則紹介)(第九九九号)  同(小松幹紹介)(第一〇六一号)  同(二宮武夫紹介)(第一〇六二号)  同(江崎真澄紹介)(第一一一三号)  合成清酒名称変更等に関する請願外十件(小  山長規紹介)(第一一二一号)  同(保岡武久紹介)(第一一二二号)  身辺用細貨類物品税減免に関する請願内田  常雄紹介)(第一一二三号)  同(坊秀男紹介)(第一一二四号)  同(内田常雄紹介)(第一二一八号)  同(坊秀男紹介)(第一二一九号) 同月二十六日  酒類小売手数料適正化に関する請願相川勝六  君紹介)(第一二九三号)  同(坊秀男紹介)(第一二九四号)  同(西尾末廣君紹介)(第一二九五号)  同(中村寅太紹介)(第一三八八号)  同(松山千惠子紹介)(第一三八九号)  同(武藤山治紹介)(第一三九〇号)  同(門司亮紹介)(第一三九一号)  同(田澤吉郎紹介)(第一五四六号)  同(三浦一雄紹介)(第一五四七号)  同(赤城宗徳紹介)(第一七四九号)  同(飯塚定輔紹介)(第一七五〇号)  同(大高康紹介)(第一七五一号)  同(太田一夫紹介)(第一七五二号)  同(加藤高藏君紹介)(第一七五三号)  同(風見章紹介)(第一七五四号)  同(北澤直吉紹介)(第一七五五号)  同(久保三郎紹介)(第一七五六号)  同(佐藤洋之助紹介)(第一七五七号)  同(高田富與紹介)(第一七五八号)  同(高見三郎紹介)(第一七五九号)  同(塚原俊郎紹介)(第一七六〇号)  同(中山榮一紹介)(第一七六一号)  同(橋本登美三郎紹介)(第一七六二号)  同(細田吉藏紹介)(第一七六三号)  同(三和精一紹介)(第一七六四号)  合成清酒名称変更等反対に関する請願田中  幾三郎君紹介)(第一二九六号)  同(江崎真澄紹介)(第一三八六号)  たばこ販売手数料引上げに関する請願臼井莊  一君紹介)(第一三八一号)  同(田中榮一紹介)(第一三八二号)  同(二階堂進紹介)(第一三八三号)  同(野田武夫紹介)(第一三八四号)  同(八田貞義紹介)(第一三八五号)  同(小沢辰男紹介)(第一五四五号)  同(菅太郎紹介)(第一七六七号)  陶磁器の物品税撤廃に関する請願加藤鐐五郎  君紹介)(第一三八七号)  同(青木正紹介)(第一六三四号)  同外一件(荒舩清十郎紹介)(第一六三五  号)  同外一件(小川半次紹介)(第一六三六号)  同外一件(小川平二紹介)(第一六三七号)  同(大沢雄一紹介)(第一六三八号)  同外一件(大森玉木紹介)(第一六三九号)  同外一件(鴨田宗一紹介)(第一六四〇号)  同(菅野和太郎紹介)(第一六四一号)  同(坂田英一紹介)(第一六四二号)  同外三件(田中榮一紹介)(第一六四三号)  同外四件(舘林三喜男紹介)(第一六四四  号)  同外四件(松永東紹介)(第一六四五号)  同(松山千惠子紹介)(第一六四六号)  同外十五件(早稻田柳右エ門紹介)(第一六  四七号)  同(加藤高藏君紹介)(第一七六五号)  同(丹羽兵助紹介)(第一七六六号)  大蔵行政における部落解放政策樹立に関する請  願(岡本隆一紹介)(第一四五八号)  同(大原亨君外一名紹介)(第一四五九号)  同(島本虎三紹介)(第一四六〇号)  同(高津正道紹介)(第一四六一号)  同(田中織之進君外一名紹介)(第一四六二  号)  同(辻原弘市君紹介)(第一四六三号)  同(八木一男君外一名紹介)(第一四六四号)  同(安平鹿一君紹介)(第一四六五号)  同(湯山勇紹介)(第一四六六号)  同(板川正吾君外一名紹介)(第一四六七号)  身辺用細貨類物品税減免に関する請願小川  平二紹介)(第一五四八号)  同(小川平二紹介)(第一五四九号)  合成清酒名称変更等に関する請願外二十九件  (成田知巳紹介)(第一五八二号)  松川葉収納価格引上げに関する請願木村守江  君紹介)(第一六四九号)  都城市に国民金融公庫支所設置に関する請願(  瀬戸山三男紹介)(第一六五〇号)  農業用ガソリン等の免税に関する請願外四件(  床次徳二紹介)(第一七六八号)  旧令による共済組合等からの年金制度に関する  請願平岡忠次郎紹介)(第一七六九号)  同(横山利秋紹介)(第一七七〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十六日  揮発油税等税率引上げに伴う配分率是正に関  する陳情書(  第三三八号)  国民年金積立金による特別還元融資わく拡大に  関する陳情書(  第三五一号)  葉たばこ生産業振興対策確立に関する陳情書  (第三六七号)  昭和三十七年度税制改正に関する陳情書  (第三九六号)  昭和三十六年産葉たばこ収納価格引上げに関す  る陳情書  (第四一七  号)  非常勤消防団員の報酬に対する源泉課税免除に  関する陳情書  (第四四九号)  国税通則法制定反対に関する陳情書  (第四五七号)  貸金業利子引下げに関する陳情書  (第四五八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  税制に関する件  金融に関する件  畜産物価格安定特別会計法案芳賀貢君外十一  名提出衆法第八号)の撤回に関する件     ――――◇―――――
  2. 小川平二

    小川委員長 これより会議を開きます。  税制及び金融に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 まず一番最初に、実は本年度酒米が増配をされるように大体国税庁の方で方針を決定されておるようでありますが、その決定に基づきまして、業者人たちがこの酒米を購入するにつきまして、金融上の問題で実は非常に困惑をしておるという現状があるわけでございます。  そこで、ちょっと最初国税庁の方にお伺いをいたしますが、昨年度と今年度との酒造米の割当について、少し弾力の部分がありますから詳しく個々の業者についてはわからないかと思いますが、一応、最高限としては、大体昨年度と今年度伸び率はどのくらいになるのか、ちょっとお伺いいたします。
  4. 上田克郎

    上田説明員 昨年度原料米配分は、百九十二万六千石原料米配分いたしました。ところが今年度といたしましては、一応割り当てます原料米は二百十三万四千石を予定いたしております。これは簡単に申しまして約一割の増でございます。  それから、そのほかに本年度は、その割り当てられました二百十三万四千石に対しまして、各人の希望に応じて、さらに一割を最高限度といたします希望加配というものを考えました。従いまして、もし全体の希望があるといたしますと、さらに一割加わりますので、二百三十四万七千石、そういうふうな数字になるわけでございます。これは約二割強になることになります。
  5. 堀昌雄

    堀委員 そこで、実は私どもがおりますのは兵庫県でありますけれども兵庫県は本来地方銀行でありましたところの神戸銀行が現在の市中銀行になって、現に地方銀行がないという状態でございますが、今度約二割弱の原料米増加、これにあわせてアルコールなりその他のものの諸経費が当然ふえて参るわけでありますから、同じ率でふえるかどうかは別といたしましても、大体全体としての資金需要が二割弱増加をするということが現在の実情でございます。ところが、主要なる取引銀行でございますところの神戸銀行あるいはその他三和銀行等に、これらの業者の方が相談に行かれましたところでは、御承知よう政府総合施策に基づく金融引き締めが行なわれておりまして、昨年実績の八割ないし六割しか今年度融資をすることができない、こういう状態に立ち至っておるようであります。そういたしますと、増加しなくても実は二割ないし部分的には四割が不足をするところへ持ってきて、逆に二割弱増加をするということになって参りますと、その間では事業資金が大幅に不足を来たす。兵庫県の酒造界が試算をしたところで見て参りますと、三十五酒造年度実績と三十六酒造年度の予想で比較をいたしますと、約二十四億あまり所要資金増加があるわけでございます。そうすると昨年の実績通り融資を受けたとしても二十四億あまりが足らないところへ、昨年より二割ないし四割減ということになりますと、さらにそれ以上の資金というものが処置ができないというので、非常に業者の方が困っておられる実情にあるわけでありますが、この問題について一番主管国税庁でございますから、大体どういう方針でこの問題の処理をされるかの大まかな方針一つ伺いたいと思います。
  6. 上田克郎

    上田説明員 ただいま御指摘通りに、本年度相当増石を予定されておりますので、所要資金伸びは相当予想されるわけでありますが、ただいま御指摘のありました兵庫県の地区、まあ灘地区と申しましょうか、灘地区とそれから和歌山県の地区、岐阜の一部というところから、現在きわめて緊迫した資金難を訴えてきておられます。その他のところは特殊事情がそれぞれございまして、それほど熾烈な要求はないわけでありますが、灘及び和歌山方面からは、一応先方の計数によりますと、灘で約四十億、和歌山で約五億というよう数字が出ております。われわれといたしましても、お酒の消費が年々ほとんど国民所得と同程度またはそれを上回るよう伸びを示しております現在、なるべく潤沢にお酒を供給できるように、そしてまた税金も相当伸びておりますので、われわれとしてはその意味では本年度増産分資金にはなるべく困らないように、いろいろな意味であっせんをいたしたい、さように考えているわけであります。しかしながら、やれます限度はいろいろと方法は制限がございますので、われわれとしては、いろいろな考えられる方法を当たってみまして、極力この人たちの要望を届けられるようにしてやりたい、特に私たちがそれを考えております理由は、御承知ようにお酒は  一年に一回の仕込みでございますので、資金が割に長い間寝るわけでございます。それでほかの産業よりもさらにこれについては特に配意する必要があろう、さように考えておりまして、関係方面、特に銀行にもあるいは主計局方面ともよく御相談申し上げたい、かように考えておる次第であります。
  7. 堀昌雄

    堀委員 そこでちょっと食糧庁の方に伺いたいのですが、いろいろ政府の方には政府物資の売り渡しをいたしましたときに多少延べ払いができる法律がございますね。私もきょうは条項を覚えていませんが、最高六カ月間は延べ払いができるという法律があるわけですが、実は私、いろいろとこの問題を調べてみて、現在の日本財政全般状態を考えてみますと、当大蔵委員会でこの間からいろいろ私も論議をして参りましたが、今の国際収支の赤字問題を解決するためには、どうしても金融を相当引き締めねばならぬということが一つの前提としてありますが、半面好況の結果として財政資金は大幅に揚超を続けておる。第三・四半期は時期的に散超になりますが、第四・四半期ともなればまた大幅な揚超になるという時期に、金融の操作で実はこの金を出すというのも一つ方法でありますが、同時に、非常に揚超になっておる財政資金を、それほど急いで引き揚げなくとも、六カ月くらいの延べ払いをしても、筋道が通るのではないか、こういうふうに思うわけです。ところが、これは何と申しても食糧庁でございますから、そこで、食糧庁としては過去にはこういう例がないと思いますが、こういう政府施策に基づいて起きておる金融逼迫状況でもありますから、何かそういう意味で、特例的に延べ払いを――それは部分的なものとなると思いますが、考えられる余地はないかどうか伺っておきたいと思います。
  8. 藤波良雄

    藤波説明員 お答え申し上げます。現在私どもの方で延べ払いをいたしておりますのは、ごく例外的な少数なものでございまして、たとえて申しますと、被災農家とか、食料の緊急処分で知事に売却する場合とか、卸売業者に、全国平均でございますが、二・五日延べ払い制度があるわけであります。卸売業者につきましては、かつては八日の延べ払いを認めておったわけでございますが、制度を整理しまして、だんだん圧縮して参っております。ただいまお話の点、もっともなお話だと思いますが、現在非常に例外的にしかやっていないということと、それからほかにもいろいろ売却しておりますので、そういうものとの関係がいかが相なりますか、こういう点も一つは横付しなければならないと思いますし、なお、最終的には法律大蔵省協議するようになっておりますので、御提案につきましては、私どもとしては慎重に検討いたしまして、最終的には大蔵省協議いたしたいというふうに考えております。
  9. 堀昌雄

    堀委員 今、大蔵省協議をするというお話が出ましたから伺いたいのですが、大蔵省側で、技術的な問題として何かこの点で障害になるようなものがあるかどうか、その点を一つ大蔵省側としてお答えいただきたいと思います。
  10. 相沢英之

    相沢説明員 ただいま問題になっております政府の売り払いました代金についての延納の場合の金利あるいは延納はどういう場合にできるかという問題は、実は私面接担当でございませんで、法規の方の関係でございますが、私の承知しております範囲でお答え申し上げたいと思います。  延納を認めます場合は、先ほど食糧庁総務部長からお話がございました通り、大災害の場合であるとか、ごく特殊の場合に限定するというのが普通のやり方でありまして、一般的に買い入れ者資金が詰まっておるとか、そういった事情の場合に広げてやっておるという例はきわめて少ないのではないか、むしろ私が承知しておる範囲ではあまりないのではないかと思いますが、そういった点で問題があると思います。
  11. 堀昌雄

    堀委員 食糧庁の方に伺いたいのですが、今は二・一日ですか、前は八日間ぐらいの、卸売業者に対する延べ払いの場合等は、金利負担等はどういうことになっておりましたでしょうか。
  12. 藤波良雄

    藤波説明員 現在二・五日の場合は二銭二厘になっております。
  13. 堀昌雄

    堀委員 食糧管理会計の中の金利政府管理経費の中に出ておりますけれども、これの金利は一体どのくらいになっておりますでしょうか。
  14. 藤波良雄

    藤波説明員 日歩一銭六厘五毛になっております。
  15. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、今、卸売業者にも二銭二厘お払いになっておるわけですから、そうすると技術的にはそういう特例を設けた場合に、二銭二厘入ってくれば、食糧管理会計としては、別にそういう金利負担の面で負担増加するということはないと理解してよろしいわけですね。一銭六厘とおっしゃったわけですから……。
  16. 藤波良雄

    藤波説明員 その通りでございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 そうしますと、現実に問題になるのは、どういう場合にそういう特例を設けるかということが問題になるのであって、私は、今のお話で技術的な面における障害はないということになるのではないかと思います。そうすると、これはあと判断の問題になりますから、その判断につきましては、一つ本日はこの問題はここまでにしておきますが、農林省大蔵省とで十分協議をしていただいて、特に国税庁もこの問題については主管当局でありますから、十分その間の事情お話しになって――私は一回開いたからいつでもそれができるということにしたいというのではなくて、日本の今の財政事情全般を通じてみると、この際はその方が望ましいというふうに考えておりますだけですから、そういう点で、これを開いたら特例としていつでもそういうことをやってよろしいと私は考えておりません。日本の今置かれておる金融引き締めの際に、そういう点はちょっと無理ではないかと考えておりますので、そういう意味で今後一つ十分御検討をいただきたいと思います。  次に、銀行局長がお見えになっておりますから、ちょっと伺っておきたいのですが、私は、今の問題の解決方法は、まず正攻法として第一段はただいま食糧庁の方にお願いをしておるよう方法で御検討をいただきたいと考えるわけですが、諸般の事情でどうしてもやむを得ないという場合が起こり得るかと思いますが、そういうふうにしていただきたいのです。その際にはこれはどうしても金融面処理をしなければならない問題だと思いますが、それについて、そういう最悪の場合における銀行局長としてのお考えをちょっと承っておきたいと思います。
  18. 大月高

    大月政府委員 酒造用の米の仕入れ資金につきましては、これは毎年起きる現象でございますので、そのつど事前に国税庁からいろいろお話がございまして、ことしの買い入れ数量はどのくらいで、金額はどのくらいというような御連絡を受けて、それぞれ各金融機関におきましても、例年のことでございますので、そのつもりでもって金融をいたしておるわけでございます。従来特に支障が起きたというようには聞いておりません。ただ、本年度の問題につきましては、先ほどからお話ございますように、造石量もある程度ふえる。金融面から申しましても、むしろ金詰まりの傾向にございまして、平生の取引銀行としては非常にむずかしい状態になっておるかと思います。現実には大体において市中銀行で大部分をまかないまして、あと農林中金と商工中金で若干出しておるというのが現状でございます。今までのお話にございましたように、われわれ金融当局の立場からいたしますと、これは税収に関係する問題でもございますし、最近の財政事情の揚げというような問題もあり、金融が詰まっておるという問題もございますので、できれば財政上の処置として善処願えればわれわれとしては最も適当であろうと考えておりますけれども、かりにいろいろな事情で非常にむずかしいということになりますれば、これは何とかしなくてはならぬ。しかしこれもこれから起こる現象であろうと思いますので、将来の事態の推移を見まして、よく国税庁と御相談しながら考えて参りたい。この問題がございますということは十分含んで参りたいと思っております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 ようやく政務次官がお見えになりましたが、今まで政務次官お話を聞いておられないので、締めくくりをちょっとここでしたいのです。もう一ぺん簡単に繰り返します。  実はことし酒の製造石数をふやそうということで、最高限で見ると約二割弱ふえてきたのです。ところが、引き締めが非常に行きわたっておりまして、特に今非常に問題になっております兵庫県、特に灘の酒数業者はいつも銀行借り入れ処理しておりましたのですが、兵庫県は残念ながら地方銀行がないために、銀行融資の建前は市銀となった神戸銀行が主体になっておるわけです。ところがこの神戸銀行、実は市銀のビリっけつについておりまして、猛烈な高率適用を受けておりまして、なかなか金を貸せません。去年の実績の八割以上は貸せないといっておるわけです。あと三和銀行に少しあるのも六割くらいしか貸せない。そうすると、去年の実績の八割か六割くらいしか貸してくれない。ところが実際は二割弱ふえるのです。ですから、差引三割以上の資金、今国税庁でお答えになったのは大体四十億くらい、そういう結果として金が足らないので困っておる、こういう問題が起きておる。そして今全般日本財政状況を見ますと揚超になっておりまして、そういう意味では政府資金が余っているわけです。片方金融の方は、これは今の総合施策として締めているわけです。そこで、私は、実は農林省の方にお願いをして、延べ払いということのできる法律があるのです。調べてみると、金利の問題等問題がありませんので、一つ農林省として、財政がこういう状況だから、揚げるのを六カ月待ってもらうということにしてもらう方が、国全体としては私は筋だと思うのですが、そういうふうにお願いをしたわけです。しかし、これができるかできないかは、農林省財政当局との打ち合わせだそうですから、その点を一つ腹に含んで、その方でできるよう大蔵省として農林省十分協議をしていただきたいということが節一点です。  第二点は、しかしそういう協議が成り立たない場合に、金がなければ米が費えないということになれば、せっかく国税庁という大蔵省の一部できめられたことがこの際実現できなくなるわけです。これではやはり大蔵省としてまずいことですから、それについては今度金融面として、やはり最終的には責任をもって、業者が割り当てられた米がいずれかの方法によるとしても、一つ円滑に資金が借り入れられて生産にかかれるようにしていただくのが、酒税保全の立場から当然ではないかと思う。  そこで、今までそのことをやったのですが、それについて大蔵省の責任者として大いに協力をしていただく。これは財政担当の立場から当然だと思うのです。しかし何かの都合でやむを得ぬ場合には、大蔵省として責任をもって一つめんどうは見ましょう。業者自身がどうしようもないことをやってみても始まりませんから、できるだけ業者にも努力をして下さいということは申しておりますが、しかし足らざる部分はどうにもなりません。これほど大きな問題ですから、それについて最終的には大蔵当局として責任をもって心配かけないようにしてやりましょう。こういうふうに御答弁いただきたいのですが、いかがですか。
  20. 天野公義

    ○天野政府委員 ただいまのお話は大体了解できます。日本で一番いい酒を作っておるといわれる灘のお酒の業界が、そういうふうに非常に困っておるということは、酒税の面から見ましてもなかなか問題があろうかと思います。私といたしましては、きょう初めて伺うようなところでございますので、銀行当局並びに国税当局、また酒税当局、農林省、いろいろ各方面と連絡をしたり相談をいたしまして、できるだけ御希望の線に沿えるように努力をしたいと思います。
  21. 堀昌雄

    堀委員 この問題は、できるだけ努力をしていただくだけでは片がつかないのですよ。だからそういう政治的答弁ではなくて、大蔵省国税庁が割り当てた米ですから、それが買い取れるよう一つしてあげましょう。できるだけでなしに、大蔵省として一つ何とかします、こう一言ってほしいのですが、どうですか。
  22. 天野公義

    ○天野政府委員 ちょっと不勉強でその問題は初めて伺うものでありますから、直ちにオーケーと言うわけには参りませんので、やはり事情をよく調べまして、できるだけそういう方向に向かってやります。
  23. 堀昌雄

    堀委員 委員会が三十日にもあるようですから、今は知らないから答えにくい、こういうことですから、三十日の委員会でもう一回よく御勉強いただいて御答弁いただくことにいたしまして、この件はここまでにいたしまして、次に入ります。  次に、これはちょっと問題なことが一つあります。実は昨年の十二月、私当委員会におきまして、酒米政府売り渡し価格について論議をいたしました。いろいろ経緯がございますが、本年もまた酒米の売り渡し価格が決定をされる時期になって参りましたので、一つ食糧庁の側で本年度産のそういう売り渡しについても、現在までかたまっております方針なり内応なりをお答えいただきたいと思います。
  24. 藤波良雄

    藤波説明員 現在まで事務的に固めました案を一応申し上げます。  今年度の、これは政府が買い上げます一等から四等までの総平均値でございますが、これが一万一千五十二円五十銭、こういうことになっております。昨年度に比べますと約六百五十円値上がりしているわけです。私どもの一応の考えとしましては、平均値にこの六百五十円をそのまま上乗せするということが一つです。  第二点といたしましては、去年の本委員会におきまして、いろいろ御指摘がございました点を考慮いたしまして、去年もいろいろと積み上げ計算をしているわけでございますが、それに取り上げる要素についてはいろいろ考え方もございますもので、現在その点の検討をいたしているわけでございますが、この点につきましては、最終的な数字でございませんので、今ここで具体的にはちょっと申し上げかねるのですが、大ざっぱに申し上げまして、六百五十円の範囲内で四百円から四百五十円、その程度の値上がりになる数字ではないか、こういうふうに思っております。
  25. 堀昌雄

    堀委員 実は今のお話ではほとんど何もわからないのですが、第一の方は、昨年の価格に、基準的な価格というか、それの上がったものだけを足そうということのようですが、これは私昨年あれだけ論議をしまして、昨年の価格の構成要素というものは必ずしもわれわれ納得できないということは相当ここではっきりさしたわけですから、上積みで六百五十円足すということは、ほとんど問題にならないのじゃないかと思います。まあこれはそちらで御決定になってからのことになりますが……。  それから、第二の方針というのは、大体一種のコスト主義といいますか、昨年私コストの問題でだいぶ申し上げたわけですが、そういうことになってくるんじゃないかと思います。そういうふうな方向として考えたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  26. 藤波良雄

    藤波説明員 コスト主義とお考えになってけっこうだと思います。
  27. 堀昌雄

    堀委員 実はきょう法制局に来ていただいたのですが、去年ちょっと論争したとき法制局もおいでにならなかったしするから、そのままで私済ましているのですが、この食糧管理法で、今、米の価格が結局三本立になっているわけで、この三木立になった根拠は、第四条の第二項にあるということになっておるわけです。しかしこれをさらっと読みますと、この第二項というのは、主食の一般配給を頭に置いて法律が書かれておるというように感じるのです。これは食糧管理法が最初にできた当時の経緯もあるんだと思いますが、この法律は一体どういうふうに読むのが正しいのか、一つ法制局の見解をお聞きいたしたいと思います。
  28. 山内一夫

    ○山内(一夫政府委員 私どもの、食糧管理法の四条二項の解釈といたしましては、やはり最初に申し上げるのは、「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ売渡ノ価格ハ」と、こうきめておりますので、やはり政府の売り渡し価格の決定基準というのは四条の二項で全部一応カバーしているというふうに思っているわけでございます。それでこの四条二項の内容と申しますのは、「消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」こう書いてあるわけでございまして、消費者の家計に一番問題になるのは、普通の家庭で煮たきをして食べる米、これが一番生存を維持していくという意味で欠くことのできない物資でありますから、これを中心として書かれているということは間違いないと思いますけれども、しかし、そういう用途に供しないお米の場合、たとえばお酒の問題でございますが、これも結局米を加工いたしまして最終的には消費者の家計の負担になるものですから、やはりその面で四条二項の基準がかぶってくる、こういうふうに思います。かぶってくるけれども、それをどういうふうに理解するかということは、普通煮たきをするお米の場合とは若干違うわけでありますが、これは今先生直接お聞きになっておりませんから、若干違うのじゃないかということだけ一応お答え申し上げておきます。
  29. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、この法律の趣旨は、結局価格をきめる際は、消費者の家計の安定を受けておる、こういうことですね。消費者の家計の安定というものが価格算定の一番の基準であるということになれば、これは価格はやはり安い方がいいということになるわけですね、ものの考え方からいきますと。消費者の家計を安定させるために高い方がいいという論理は成り立ちませんから、この法律の趣旨も、これの前段に書いてあるように、「家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」ということですから、安い方がいい、こういうことにこの法律は理解すべきであるということでよろしいですか。
  30. 山内一夫

    ○山内(一夫政府委員 おっしゃるように実は理解するわけであります。
  31. 堀昌雄

    堀委員 その通りですね。そこで、どうも食糧庁の方で御発言にならないのに、私の方であまり発言するのは、ちょっとまずいかもしれませんが、きのういろいろ伺って話を聞いておりますし、あまり先にいって論議をしてもちょっとまずいと思いますから、きょう少し触れておきたいのですが、今度おきめになりたいという原価の問題について、今お話法律の解釈は、要するに、消費者の家計それから物価、経済事情、こういう前提が一つあって、消費者の家計安定のためにはできるだけ安い方がいいという原則がここに立ちましたから、そうすると、原価でものを見る場合には、この原則が最終的に私は作用すると思います。これは法律ですから行政担当者が今後ものをおきめになる際は、ぴちっとこの線できまるべきで、逆な要素は取り除かなければならない、こういうことになると思います。  そこで、実は点検をさせていただいたらこういうことになるようですね。皆さん方の方では、こういうふうにしたいということだろうと思うのですが、軟質米の三等価格は、さっきおっしゃったいろいろな計算の中から大体一万三百二十二円五十銭というのが現状の価格でございますね。これはもう間違いはないと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 藤波良雄

    藤波説明員 その通りでございます。
  33. 堀昌雄

    堀委員 その次に、本年度の三十六年産米の支払い予定額の中で、時期別格差の平均値は二百五十五円ということだと思いますが、これはこれでよろしいですか。
  34. 藤波良雄

    藤波説明員 現在そういう建前で計算をしております。
  35. 堀昌雄

    堀委員 次に、包装代もやはり同じような考え方で三百十六円、これでよろしいでしょうか。
  36. 藤波良雄

    藤波説明員 その通りでございます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 次に、申し込み加算というものが当然硬質米一等には出てくると思いますからこれが百円、それから一等-三等間の等級間格差がこれは当然二百円、二百円で四百円、それから歩どまり加算が百円、これは硬質米ですから当然ですね。ここまで足しました一万一千四百九十三円五十銭というものが少なくとも本年度における政府買上米の一等硬質米玄米一石当たりの平均原価だということは、これは私間違いないと思いますが、いかがでしょうか。
  38. 藤波良雄

    藤波説明員 その通りでございます。
  39. 堀昌雄

    堀委員 その次に、当然平均原価に見合う政府管理経費というものが、この間の補正予算では千二百四十二円計上なさっておるように思いますから、それを合計いたしますと、一万二千七百三十五円五十銭、これが一応平均的な政府のコストということになるかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
  40. 藤波良雄

    藤波説明員 その通りでございます。
  41. 堀昌雄

    堀委員 そこで、おそらくコストを原価主義ということでお考えになるとすれば、こういう一つの線が大体出てくるんじゃないかと思います。そこで、私この中を少し点検さしてみていただきたいと思うのです。実は私が昨年ここで論議をいたしまして、ここまでお考えいただいたことについては、私は食糧庁の皆さんのお骨折りを非常に感謝をいたしております。私は、正しい方向に問題は一歩発展をしてきたというふうに理解をしておりますが、ただこの際、これは非常な転換なんですね。これまでの酒米価格のきめ方についてはここで非常な転換をしていただいた。昨年ずいぶん諫山さんにきついことを申し上げて私はお気の毒だったと思いますけれども、その成果が本年上がったということを非常に喜んでおるわけなんです。ただその成果がここまで上がったのなら、もう一歩一つその筋道を通していただきたいという気持が実は私の中にあるのです。と申しますのはどういうことかといいますと、先ほど総務部長がおっしゃったように今二つの方針がある。一つは、昨年の価格に標準価格の上がり分を足したらどうだろうかという考え方があると私は言いましたね。もう一つは、今私の申し上げているような考え方だろうと思うのです。ところが、もしここでほんとうのコストが出たとするならば、あと非常に私は簡単になると思うのです。ほんとうのコストにあとは今の基準米の価格の差額だけを今度は積み上げれば、これは納得のできる価格が大体出るのじゃないか。もちろんその中に、多少それはあとで私ちょっと触れる部分を修正をしていただかなければならぬと思いますが、それにしても大体私はそれで出てくると思うのです。ところが本年度コスト主義だと言いながらも、その中に少し明快を欠くものが残りますと、この上へまた積み上げることは、本年度がやはりほんとうのコストでなかったから積み上げちゃ困るという問題が起きてくる。また来年度何か新しい角度でやるというのは、私は酒米の今後の価格の問題に依然として困難を導くもとになるのではないか。だから、ここまで思い切ってお考えをいただいたのなら、一つ年度このルールをはっきりつけていただきたいというのが私の考えなんです。  そこで、この中を少し点検しまして一番最初に気がついた点がありますので、ちょっとそれをお伺いしたいのです。  本年の補正予算におきます政府管理経費の千二百四十二円ですね。この中で、集荷経費と運賃と保管料と事務費と金利と減耗を金額で一回お示しを願いたい。
  42. 藤波良雄

    藤波説明員 お答えいたします。集荷経費百五十二円、運賃二百三十九円、保管料二百六十六円、事務費二百九十二円、金利二百九十一円、ロスとして二円、計千二百四十二円であります。
  43. 堀昌雄

    堀委員 国税庁の方にちょっと伺いますけれども、私が聞いております範囲では、酒米業者が買い受けます場合には、その保管倉庫から業者が引き取ります運賃は、これは業者負担しておるというふうに私は承知しておるわけですが、ここはいかがでしょうか。
  44. 上田克郎

    上田説明員 さようでございます。
  45. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、私がちょっと最初に申し上げたように、大体原則として原価主義ということに今度転換をしていただいておるということになりますと、政府管理経費を千二百四十二円をさっき申し上げたものへ足しました価格にいたしますと、運賃分については二重取りになるのですね。私けさちょっと調べました。この運賃というのは、これは保管倉庫から卸売業者なり小売業者なり、そこへ出る運賃であって、集荷に伴う運賃は集荷経費の方に入っておるというふうにけさ農林水産の専門委員室で伺ったのですが、そこは重要なところでしょうから、ちょっとそこを伺っておいてから先へ行きたいと思います。
  46. 藤波良雄

    藤波説明員 これに入っておる運賃は、産地の指定倉庫から消費地の指定倉庫への運賃であります。
  47. 堀昌雄

    堀委員 そういたしますと、やはり私が考えた通りでありますから、政府管理経費千二百四十二円を、さっき私が申し上げました基本価格、時期別格差、包装代、申し込み加算、等級間格差、歩どまり加算一万一千四百九十三円に機械的に足すと、運賃分だけ二重取りになりますね、どうでしょうか。
  48. 藤波良雄

    藤波説明員 部分的に見ればそういうことは考えられるのです。
  49. 堀昌雄

    堀委員 部分的ということは、酒米という場に限って見ればということでございますね。――そうすると、まず第一の考え方、これは非常にはっきりしておりますし、今お聞きになった方どなたもおわかりだと思うのですが、原価を出していくということが一つ片方にある。片方には法律の解釈として、消費者の家計の安定のためには安い方がいいという一つの原則がある。この二つの原則があって、二重取りしている部分があるとするならば、二重取りの部分をとらなければならぬというのは、これは論理の結果として私当然そうなると思うのですが、食糧庁いかがでしょうか。
  50. 藤波良雄

    藤波説明員 ただいま部分的なと申し上げましたのは、主食につきましてもやはり現地でやっておるものもございまして、そういう方を一切突っ込みましてこの通りの価格になっております。
  51. 堀昌雄

    堀委員 主食のことでなくて、私は今、酒米の売り渡し価桃のことを伺っております。酒米の売り渡し価格を、さっき法制局がお話しになった食管法第四条第二項の基本的なものの考え方、消費者の家計の安定のために価格がきまるわけですから、消費名の家計の安定のために高い方がいいという議論はあり得ないのですから、できるだけ安くしたい。しかしそれには不合理には安くできませんから、筋の通った仕方でなら最低にすべきだということだと思うのですね、まず第一点は。それから、今の第二のものの考え方は、原則的には原価の方でいこうというので原価を積み上げる考えを考えたとすると、その中で二重になる部分がともかくあるのですね。二重になる部分については、政府管理経費の千二百四十二円からただいまおっしゃった平均値の二百三十九円を差し引く。これは全部平均値でものを言っているわけですから、時期別格差も、包装代も、そういっているわけです。そうすると、その二百二十九円を差し引いた一千二百三円というものを、私は政府管理価格のネットとして考えていいんじゃないか。今は論理的な話をしているわけですから、そうしてくれとかなんとかということではないのです。論理の話、筋道の話ですから、今の前提から発展させてくるとそうなるのじゃないか、こういうふうに思います。そうすると、全体の平均のところは、約二百三十九円は平均ベースのところが下がるということに、まず第一点としてなるのが論理的だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  52. 藤波良雄

    藤波説明員 先ほど主食のことを申し上げましたのも、こういうプールの経費でございますから、部分的に取り出しましてそこだけが二重取りになっている、こういうことで都合のいいところだけ差し引きますと、結局食管会計の会計といたしましてはこのプール経費以上にかかるところ、これだけ残りまして、所要の経費を回収するということができない、こういう意味で申し上げたのでございます。
  53. 堀昌雄

    堀委員 与党の皆さんも聞いておられると思いますが、倫理的にどうですか、論理がつながらないと思います。なぜつながらないかというと、食糧管理という面で、要するに、主食の配給の面には買い入れ価格というものは必要でしょうね。売り渡し価格については、現状はコスト計算でも何でもないでしょう。要するに、配給米は十キロ八百円とか幾らかという一つのあれがあって、動かさないということになっているわけですからね。だから、ここに一つの壁と、買い取り価格と諸経費との差額が赤字に出るというだけで、よろしゅうございますか、それだけのことであって、売り渡し価格をきめなければならないものは現状では原料米だけでしょう。あとの業務用米も大体十キロ当たり幾らというよう一つのきまりがあって、毎年変えているわけではないと思います。要するに、配給米及び業務用米は大体政治価格なのですね。だから、正規の売り渡し価格ではないわけですから、コストから来た売り渡し価格ではない。そうすると、あなた方が計算されておるこの千二百四十二円というものは、赤字がどうなるか、それを補てんするための手段としてあなた方はこれを出しているのじゃないですか。売り渡し価格をきめるために出しておられるのですか。ちょっとそこを伺いたい。論理が合わない。
  54. 藤波良雄

    藤波説明員 主食についての売り渡し価格のきめ方は御指摘通りでございますが、これがただ赤字を埋めるものと、こう言いますが、食糧会計全般といたしましてかかる経費、こういう建前で計算しているわけであります。
  55. 堀昌雄

    堀委員 もちろん、業者卸売業者でも何でもいいのですけれども、産地がすぐそこで、費用のかからないところで買うのもあるでしょう。それからそこへ輸送していくために、普通の米飯の方でも卸売業者として販売していくための輸送料もあるでしょうね。それはなるほどあなた方プールをされたというわけでしょう。だから、プールをしたということは、しかしその業者負担になる関係でプールされているのじゃないということを私は言いたいわけです。よろしいですか。それは財政上の食管法という建前があって、農民から米を買うときの価格がきまります。皆さんが管理経費を実際にお使いになって、配給で末端に流していく、そういう場合の全体のマクロとしての経費の総体としてあなた方は見ておられるのです。それが結果として出てくるのは、食管の赤字が幾らになるかということを試算するためにこれが要るのであって、もしその問題がなければこの千二百四十二円というのは出てこないと思うのです。一体この千二百四十二円というのは何のために出されたのですか。補正予算を組むための積算のためじゃないですか。補正予算を組んだのは赤字を埋めるためのものなんでしょう。売り渡し価格をきめるための管理経費じゃないじゃないですか。そこはどうですか。
  56. 藤波良雄

    藤波説明員 赤字が出る計算をするためだけだとおっしゃいますが、私はそういう意味に解しかねます。食糧会計として必要な経費、こういう建前でこれは出しておるわけであります。そうしてお話ように食糧の政府売り渡し価格がきまるわけですから、食糧会計全般といたしましては、かかりました経費をなるべく回収する、こういう建前で問題を処理していく、こう考えております。それができませんときに赤字ということにつながるかと思いますが、そういう建前で、すべての政府が売ります物資に一応公平にかかる、こういう建前のものであります。
  57. 堀昌雄

    堀委員 今かかりました経費とおっしゃいましたね。かかりました経費を出すのだとおっしゃったでしょう。それはかかっていないでしょう。たとい兵庫県から新潟県に買いに行こうと、かかっていないのです。かかっていないのをかかりましたというので経費で見るのはおかしいじゃないですか。今あなたはかかりました経費とおっしゃった。どうですか。
  58. 藤波良雄

    藤波説明員 どうも説明が下手でございますが、先ほど来申し上げておりますのは、酒米だけではなしに、主食につきましても部分的にはそういう問題がございますが、全体的に平均したものの値段でございます。個々のものを取り上げますと、これ以上かかっておるものもございますし、これ以下のものもございますが、全体的にならしまして石当たりこれだけかかっている、そういう意味で抽象的な数字でございますが、現実に必要である経費、こういう意味で申し上げておるのであります。
  59. 堀昌雄

    堀委員 それはおっしゃるよう現実のコストは、たとえば東京と大阪とでは、新潟の米が東京に入る場合と大阪に入る場合では、運賃が違うから裸のコストは、食管というものがない場合、府県その他で米の値段がばらばらになるでしょう。それはよくわかっている。だからそういうものを総体にプールして、平均した抽象的な数字だということもわかっているわけです。しかしそれは実際の経費として見るだけで、売り渡し価格はこれに関係がないわけですね。消費者の米価についてはそうでしょう。消費者米価がこういうものの積み上げで出てくるということになりますれば、私は今の私の議論を引っ込めるのです。なぜ引っ込めるかというと、そうなると酒米部分だけがそうやってワクの外へ出ますと、実際問題として平均値が変わってきます。だから私はそういうことなら引っ込めますが、今の米価の立て方、消費者米価というのは一つのある固定されたものであって、こういうものの積算の基礎として出ていないわけでしょう。だから、それは食管会計という大きなプールの中におけるあなた方の経費計算の要素としてはわかりますけれども、それを売り渡し価格にするときに、これを機械的に持ってきて、その次に今の運賃を負担をしておるということになると、これは原価主義と考えると、私はどうしても筋が通らないじゃないか、こういうことを言っているのです。だから河野さんの構想のように、やがてはそれがみな自由販売になる、そうすると、そこで米の市場が立って、いろいろな条件がなる段階にきたときには、私はこれはもう解消してしまうと思うのです。その点においては、売り手と買い手の間のいろいろの関係できまることで、そういうふうになるのなら私は何をか言わんやですが、なるかならないか知りませんよ。しかし、今の現状の米の価格のきまり方は、要するに、買い入れの方はいろいろな要素があって毎年変わります。しかし、少なくとも政治的には家計の安定ということで、消費者価格の方が押えられておるから、そこへ売り渡される価格も固定されておって、これと関係がないのです。会計全体としては関係があるかもしれませんけれども、これとは関係がない。しかし、酒の業者に売り渡される場合には、これは今のようなことじゃないわけですから、それでここで業者が運賃を払っているということは、当無それだけ今度は弾力がついているわけですね。要するに、兵庫県の業者兵庫県で買えば原価も安くなりますし、新潟県の米を買えば高くなるわけです。価格が変わるわけです。価格が同一なら私は文句は言わないのですよ、要するに、逆に考え方は出ておる、だけれども、酒の業者は運賃はよろしい、もう地元の食糧の売り渡しの場所で買いなさい、しかし、千二百四十二円のこれで買いなさい。ちょうどわれわれ消費者がお米屋から買うように、そういうことになるなら私どっちでもいいのです。もう勝手にやるやつはやめて、こっちにされても私はかまいませんが、しかし、どうも今の建前では、私はやはりこれは二つ要素がダブっておるというふうに考えざるを得ないのです。これはものの論理で議論しているわけですよ。今、価格でどうこうと言うのじゃないのです。私はいつも申し上げるように、物事はやはり筋道の上で、筋の立ったもので議論をしなければまずいのじゃないか、結果を政治的にどうするかはまた別問題ですが、その論理だけははっきりしたいと思うのですが、それはどうでしょうか。
  60. 藤波良雄

    藤波説明員 企業会計全般から考えました場合に、今お話の買い入れの原価までは大体私も同じように考えますが、最終的に、やはり企業会計としては販売原価、こういうものが考えられるのじゃないか、こういうふうに考えております。その販売原価というものを考えます場合に、御指摘ような議論はあると思いますが、一応企業会計の立場に即して考えますと、米のプール運賃をプラスすることは、その企業にとっての販売原価、そういうふうに考えて差しつかえない、こういうふうに考えております。
  61. 堀昌雄

    堀委員 これは、そう考えるとおっしゃるのに、私が幾ら言ってみても始まりませんからここまでにしますが、私が最初に、前段に申し上げたのは、安くして下さいとか、どうこうという議論じゃないのです。酒米の価格をきめるルールを一つ私はすっきりしたものにしてもらいたいという議論をしておるだけであって、その結果、高くなるか安くなるかは、万人の納得するルールの中でなら、当然どなたでも納得をしなければならぬというふうに私は考えておるわけなんです。そうしてみると、この要素の中で――それはこまかいことを言えばまだたくさんあります。時期別格差が平均値がきておる。しかし酒米の受け取りの部分はもっと早く、そんな早場米ばかり要るわけじゃないから、時期別格差がない米をもらってもいいじゃないか。こまかいことを言ったら切りがないと思うのですが、あなた方のプールされた中の処理ですから、そこまでは触れたくないのですが、この運賃だけはどうもあまりにはっきりし過ぎていて、業者がここは全部払っておる。産地の倉庫から引き取ってその運賃全部を持っておるという現状の中で、管理経費の中に運賃がダブる点については、どうも私は論理的におもしろくないような気がするわけです。まだきまっているわけじゃありませんから、今後、きょうの私の申し上げた論理を十分御検討いただいて、一つお考えを願いたいのです。そういうことで、そこへついたルールを、この際ここまでおやりになっているのですから、一回きめていただきたい。そうしたら、あとはもう簡単だと思うのです。今の軟質米三等価格が動けば、動いただけであとは毎年きまるじゃないですか。あとは今の時期別格差と包装代も平均値をお出しになって、そこへこれらの申し込み加算、等級加算、歩どまり加算を足して、その上に私の言うように、政府管理経費の中の運賃を除いた部分を足せば、これは何らの異議がなく、毎年機械的に動くのだということにしていただく方が、行政というものはすっきりするのじゃないか。毎年々々これをいろいろおやりになると思うので、そういうことは、この際ここまで改善をされるということであるならば、一つ検討をいただきたいというふうに思うわけです。まだきまっていないことですから、今のお話の中の第一点の問題ですね。去年のものに上積みしたいのだという考え方、これは私そういうことが簡単にいけば非常にけっこうだと思うのですが、そこにいかない問題を昨年申し上げたし、今回せっかくここまできましたから、一つ検討いただきたいということを、この問題については申し上げておきます。  次に、今度は国税庁の方に伺います。  実は、先般来御承知ように、合成酒のことで名称の変更とか、それから米の割当の増加について非常に希望が述べられ、清酒の方は非常に反対をしておられる、こういう経緯になっているわけです。そこで、一体合成酒の中でこういうことがなぜ起こるのかを、きょうは少し伺っておきたい。
  62. 上田克郎

    上田説明員 合成清酒の方から、ただいま堀先生が御指摘をなさいましたように、合成清酒という名称を変えてもらいたいという問題と、現在合成清酒に許されております米の使用量を増加してもらいたい、約二倍にしてもらいたいという要望が出ておることは御指摘通りでございます。  なぜそういう要望が出たかということを、私たちの方で推測いたしますと、合成酒の伸びがほとんど横ばいの状態を近年続けてきております。これも、なぜ横ばいかということは、いろいろ解釈があろうかと思いますが、現実には八十万石程度で横ばいをいたしております。最近若干伸びを見せておりますけれども、浩酒の年一割程度の伸びに比べますと、伸び方は少ない。そういうよう意味で、合成酒業界としては、その原因を名称に求め、あるいはその味に求めておるのじゃなかろうか、そういうふうに推測いたしております。
  63. 堀昌雄

    堀委員 合成酒の内部のことを少し伺いたいのですが、合成酒のメーカーというものは、非常に大手ときわめて小さい方とが分布をしておるわけですが、現状における合成酒が停滞をしておりますが、それは大手も小さいところも停職をしておるのか、大手は少しずつ伸びておるけれども逆に中小の方は減りつつあるのか、そこらの事情は一体どういうことでしょうか。
  64. 上田克郎

    上田説明員 実は合成酒はしょうちゅうの製造業者が大部分合成酒を作っておられる関係もありまして、合成酒、しょうちゅうともに実は出荷規制というものをこの八年くらい続けてきております。従いまして、出荷規制は原則として過去のシェアをそのまま続けてやっておりますので、全体が伸びないと、その各人の、大手であろうと、小業者であろうと、全体としての伸びが少ないと同様のような率でしかほとんど伸びない。そういうのが原則になっておりますので、大手だけが伸びて、小さい業者だけが縮んでおるというようなことはないと思います。
  65. 堀昌雄

    堀委員 そこでさっきのお話で、合成酒が売れないもう一つの点は名称と味だ、こういうことにあるようだ、ところが内部的に見ると、…荷規制で過去のシェアが固定をしておるということになると、もし合成酒の名前が変っても、米がふえても、この出荷規制の問題の中に非常に根本的な問題があるのじゃないかと私は思っておるわけです。特にこの出荷規制、まあ一種のカルテルですが、このカルテルの基本になったものは過去におけるシェアが土台になって、このシェアは今動かさないのでしょう。だからこの中に、合成清酒だけでなく、しょうちゅうを含め、アルコールを含めて非常に根本的な大きな問題があるように感じておるわけでありまして、もしかりに合成酒の名前が多少変わって、それから米がふえてみても、そう変わらない現象が起こってくるんじゃないか。だから問題はそこにあるのではなくて、出荷規制の方法の中にありはしないかと第一に感じておるわけであります。私、最近ちょっと調べて気がつくんですが、酒類の業界というのはきわめて保守的なんですね。何か知らないけれども、清酒の方も過去のシェアが非常にものを言う。私がここでいろいろお願いをして生産石数がふえてきましたから、シェア必ずしもオール・マイティでなくなってきたんですが、今の段階ではすべてのアルコール業界では過去のシェアが非常にものを言っている。小さな業界が今度はこれをふやすということになると、自分のところだけふやせないから、全体をふやすということになって、比率としてはシェアはますます格差がふえるという基本的な宿命を持っておる。私はこういうふうな感じがするのです。この出荷規制の問題はアルコール業界内部の問題でもあるし、同時に、今度は清酒業界の方からもいろいろと今問題が出されておるわけですが、今後アルコール業界における出荷規制の方針を私がこの前の酒のときに申したように、今度はもう少し合理的に改善をされる方法検討しておられるかどうか、その点をちょっと伺いたい。
  66. 上田克郎

    上田説明員 御指摘通りしょうちゅう並びに合成酒の業界が出荷規制をやっておりますために、企業努力と申しますか、ほんとうに自分の企業で努力していいものを安く出そう、またよけい売ろうという方の努力が反映しないような形を従来の規制は傾向として持っておりました。先ほど申されましたシェアが固定しているという問題につきましては、固定している傾向は大きな筋としてございますので同感でございますが、小業者に対しては若干の考慮はいたしてございますが、しかし全体として小業者の人が自分の希望通り伸びられるというようなことはございませんと同時に、大業者も自分の能力に応じた程度に市場に出すということができない状態になっております。この状態は、御指摘を待つまでもなく大へん好ましくないというふうに私どもは感じておりますので、一般に酒数に対する増産の要望が強いときに、アルコールを主とするしょうゅちうと合成酒も、少なくとも企業努力の範囲を年一割程度は従来のものに加算していくというような方向にものごとを考えてもらわないと、規制そのものが消費者に対して言いわけがつかぬというような趣旨で、現在は強く業界にその反省を要望しておりまして、大体来年度はそういうような方向に持っていけそうでございます。
  67. 堀昌雄

    堀委員 次におやりいただく方の時間の都合もありますから、私これで大体のところ終わりますが、やはり私は今お話しになった方向で、結局上も下もがお互いに足を引っぱり合っているような格好で、内部的に条件があるものを、外部的な条件だけで解決をするようなふうに考えていらっしゃる点に多少問題があると思いますが、その点については、一つ今後も今おっしゃるような方向で、やはり実勢に即した形でものをやる、しかし、非常に大きな業者と小さな業者があるわけですから、小さな業者であってもやはり成り立っていくような配慮を何らか考えてやる必要があるのではないかと思うわけです。  価格等の問題については、辻原さんが少しおやりになると思いますから私は触れませんが、そこで一つ現状の段階におけるこの問題についての大体のお考え、これは税制調査会の問題やなんかですから、まだ固まっておらなければそのようなことでもいいですが、今の名称変更や米の割当は現状の段階ではどういう方向にお考えになっておるかをお話しいただきたい。
  68. 上田克郎

    上田説明員 率直に申しますと、現在はまだはっきりしたことをきめてない、検討中であると申し上げざるを得ない点でございます。この点は主税局と国税庁とがよく相談し合っておりますが、なかなかむずかしい問題だというふうに考えております。
  69. 堀昌雄

    堀委員 そこで、要望を申し上げておきたいのですが、いろいろの種類がありますが、その酒数はみずからもっと自信をもってもらいたい。だから清酒は清酒として自信を持ってやられればいいし、合成酒という名称が悪いということですが、合成酒はもっと自信を持ったらいいんじゃないかと思う。そうして合成酒のいい点がよくわかるように努力をされまして、内部のいろいろな問題は処理をされてやられれば、必ずしも清酒のまねをして、清酒の衣を着て競争しようなどということは、私はやはり本来ほんとうの競争のかまえではないのではないかという気がするのです。そういうことになってくるのは、今申し上げたように、この方たちはみなアルコール、しょうちゅう兼業者だと思いますから、内部的な問題との関連もあると思いますので、そういう点は前向きに、おのおのがおのおのの特性を生かした格好でやられるのが私はやはり酒類行政としては本来の筋ではないかと思うのです。そういう方向で一つ検討をいただければ幸いだと考える次第であります。  では、私の質問はこれで一応終わります。      ――――◇―――――
  70. 小川平二

    小川委員長 中小企業金融並びに徴税の年末対策に関する件について、横山利秋君より発言を求められております。これを許します。横山利秋君。
  71. 横山利秋

    横山委員 先般来本委員会はもとよりでございますが、本会議並びに各委員会におきまして、金融引き締めについて相当熾烈なる質疑応答が繰り返されて参りました。しかもその質疑応答を通じて明らかになったことは、年末になるに従い、ますます金融情勢が逼迫するであろう、さらにまた来年の二月、三月、四月になりましてさらに熾烈になるであろうという分析でございます。従いまして、本委員会として中小企業金融並びに徴税の年末対策について、各位の御同意を得て特別に決議をいたし、政府に格段の善処を要望したいと考えまして、次の通り動議を提出いたしたいと思います。  中小企業金融並びに徴税の年末対策に関する件    中小企業の資金繰りは、年末を控えて例年に比し一段と困難の度を加えるものと懸念されるから、左記の点に格別の配慮を払うべきである。      記   一、本年度第3・四半期中の全国銀行の中小企業向貸出額の増大に努めること。   二、中小企業金融公庫、国民金融公庫等政府中小金融機関の貸出及び代理貸の資金量を増額すること。   三、年末金融の性格にかんがみ、担保については弾力的な取扱を行なうよう指導するとともに、貸出事務の簡素化、迅速化並びに信用保証協会の活用に一層の工夫を払うなどの措置を講ずること。   四、大企業の下請企業に対する支払を促進するため、大企業に対する融資に際しては、必要に応じてひも付とする等の措置を講ずること。   五、年末の徴税については、明々の経済情勢を十分しんしゃくし納税者の実情を十分考慮して行なうこと。  以上でございます。  本来、この種の決議をいたします以前に、本委員会はもとより、他の委員会におきまして、いろいろと政府の所信を得、また政府の中におきましても、銀行局長の通達その他一連の施策がなされておりますが、それにもかかわらず、われわれがあえてこの決議を上程しようとするゆえんのものは、三十二年のときにおける状態から考えまして、一連の政府施策、決して十分ではないと考えると同時に、またその施策が下部に行くに従って、実効を表わさない、こういうことが痛感されてならないからであります。でありますから、本決議は、念を押すようではございますけれども、以上各般申し上げましたことにつきまして、政府側として大蔵省なり、あるいは通産省、中小企業庁、全政府機関をあげて、この実現に邁進をされたいと考えるところであります。私どもとしては、このような具体的な措置のほかに、根本的な措置が中小企業金融並びに徴税として、なければならないところだとは存じますけれども、これらについてはまた後刻適当な機会を待って質疑をし、また政府の善処を要請いたしたいと考え、当面以上五項目について、決議を提出をした次第であります。皆さんの御同意を賜わりたいと存じます。(拍手)
  72. 小川平二

    小川委員長 ただいま横山利秋君より、中小企業金融並びに徴税の年末対策に関する件について、本委員会において決議をされたいとの動議が提出されました。  本動議について、伊藤五郎君より発言を求められております。これを許します。伊藤五郎君。
  73. 伊藤五郎

    伊藤(五)委員 ただいま提案されました中小企業金融並びに徴税の年末対策に関する件について、私は賛成の意見を表明するものであります。  すなわち、中小企業金融の一そうの拡充については、すでに前国会において、金融及び証券に関する小委員会がこれを取り上げて、十一項目について政府検討、善処を要望する中間報告をいたしておる次第でありまして、ただいま提案されました決議は、年末に際して特に措置すべき事項を強調されたものであり、まことに時宜に適するものと考えるのであります。なかんずく、全国銀行の中小企業向け貸出額の増大や政府中小金融機関資金量の増額は、現下の金融逼迫のおりから、多々ますます弁ずるものと考えるので、政府におかれてはこの点さらに御検討の上善処せられんことを強く要望する次第であります。  次に、年末の徴税については、中小企業の資金繰りは例年に比べ一段と困難の度を加えているので、いやしくも苛斂誅求にわたらないよう、納税者の実情を十分考慮して行なうのは当然でありまして、国税庁におかれては、この際、こういった趣旨のことをあまねく管下税務署に示達せられ、万遺憾なきを期せられることをあわせて強く要望する次第であります。  以上の趣旨により、私は横山君提案の決議に賛成するものであります。  (拍手)
  74. 小川平二

    小川委員長 お諮りいたします。横山提出の動議のごとく、本委員会において決議をするに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本決議は大蔵大臣あて参考送付いたしますから、御了承下さい。  ただいまの決議に対し政府より発言を求められております。これを許します。天野政務次官
  76. 天野公義

    ○天野政府委員 中小企業の金融並びに年末金融等につきましては、政府でも従来努力して参っておりますことは皆さん御承知通りでございます。しこうして、ただいま中小企業金融並びに徴税の年末対策に関する件につきまして、非常に有益な御決議をいただいたわけでございます。政府といたしましては、政府関係機関全力をあげまして、中小企業の年末金融並びに徴税の問題等に関しまして、御決議の線に沿い、これを参考といたしまして、今後善処して参りたいと、かように考えておる次第であります。      ――――◇―――――
  77. 小川平二

    小川委員長 再び税制に関する件について質疑を続けます。辻原弘市君。
  78. 辻原弘市

    辻原委員 先ほどから堀委員より酒税の問題に関連をいたしまして、原料アルコールの出荷規制の問題について質疑が行なわれておるのでありますが、私もそれらに関連をいたしまして、政府の見解をただしておきたいと思うのであります。  最近、原料アルコールの関係の問題が各方面でいろいろ議論せられておりますが、私どもがいろいろ承った範囲によりましても、大蔵省方針は、従来の規制をそのまま存続せられるというふうに聞いておりますが、その点について、現在どういうことに相なっておりますか、これを伺っておきたいと思います。
  79. 上田克郎

    上田説明員 現在の段階におきましては、酒類用の原料アルコールの規制も一般のしょうちゅうの規制と同様になお規制する必要があると考えております。
  80. 辻原弘市

    辻原委員 規制を行なう法的根拠をまず承りたいと思います。
  81. 上田克郎

    上田説明員 出荷規制を行ないます。法的根拠は、いわゆる酒団法でございまして、第四十二条に組合のやります仕事といたしましてそういう規制ができるというふうになっておりますが、その根本は、御承知ように、業界の安定ということと、酒税の確保という両方がその根本の理由になっております。
  82. 辻原弘市

    辻原委員 出荷規制の結果が価格に影響を及ぼして、実際の製造価格、これはいわゆる、バランスのとれる製造価格より事実上高騰しておるといったようなことを私どもは聞くのであります。が、それについての見解を明らかにしていただきたいと思います。
  83. 上田克郎

    上田説明員 価格の問題については、出荷規制では価格を規制することはやっておりません。しかし、価格が幾らくらいに落ちつくかという問題になりますと、実は約八十くらいの業者が原料用アルコールを作っておられるのでありますが、極端に言えば、原価につきましてはピンからキリまでというくらいの差がございます。私たちが見ておりますところでは、現在製酒庫に原料用アルコールとして売っておられます価格が、実質約十三万五、六千円というところになっておると思います。これは実質を申し上げます。業者によってまた若干上下がありますけれども、一応その基準で売られておると思います。これは私たちが計算いたしました、いわゆるピンからキリまでの原価から申しますと、大体平均値に近い数字だと考えております。
  84. 辻原弘市

    辻原委員 キロ当たり十二万五、六千円というお話でありますが、これを石出たりにいたしますると、大体二万二、三千円という価格に相なるわけであります。ところが、事実上取引をされている中には、必ずしもこの二万二千円あるいは二万三千円という価格が収支を償うぎりぎりの線だとは考えないで、むしろそれよりはるか下回っても収支のバランスがとり得るということで取引をせられている例があることもわれわれは聞くのであります。そうだといたしまするならば、この出荷規制が行なわれた結果落ちついてきている一つの価格というものは、実際価格よりも佃が上がっているのじゃないかというふうに想像をするわけでありますが、その点については、出荷規制の結果、価格としてはそう不当な影響を与えてはおらない、こういうふうにあなた方の方では判断をせられておるかどうか、この点を伺いたい。
  85. 上田克郎

    上田説明員 原則的に申しますとその通りだと思います。それほど、出荷規制そのものによって、価格がその形で維持されているとのみは言えないのじゃなかろうか。先ほど申し上げましたように、原価計算いたしますと、大体平均値がその付近にいくということで、規制そのものの影響で値段がそこにきまっているとは考えておりません。
  86. 辻原弘市

    辻原委員 その点が少し私どもの考え方とは相違をしておって、二万二、三千円というこの価格なるものは、やはり出荷規制によってでき上がったものであって、しかもそれが普通企業体における採算ベースよりもかなり上回るものではなかろうか、こういうふうに判断をしております。  もう一つの問題は、先ほど堀委員も触れられておりましたが、資料によって見ますると、原料アルコールの製造を――約五百万石でありましたが、全国的に製造している、五百万石の中で、上位二十社に渡る分が約八〇%を占めておるようであります。そうだといたしましたならば、この不況要件が課せられている一音主たるいわゆる中小零細メーカーには、この規制によって受ける恩恵というものは著しく低いのじゃないか、逆に、この出荷規制のカルテルによって非常な好影響を受け、弱小のメーカーを吸収する勢いすらそういう問題から発生をしてきているのじゃなかろうか、こういうふうに想像をするわけです。その辺の事情をあなた方はどのよう判断されるか。
  87. 上田克郎

    上田説明員 清酒用の原料アルコールの点に限って申し上げますと、昨年度は約四十万石出荷いたしました。それで、しょうちゅう業界全体から見ますと、御指摘通りに集中度が高うございまして、八十社くらいのうちの二十社あるいは十五、六社くらいで、八〇%くらいの、しょうちゅうアルコールを含めましてシェアを持っている、そういう状態になっておりますが、原料アルコールも含めまして、しょうちゅうの値段とかそういうものが、この規制のおかげでそういう値段で一応持ち合っていることになるのじゃないかという御指摘でございますと、その効果は確かにそういうことになっておろうかと考えております。
  88. 辻原弘市

    辻原委員 私の質問いたしました後段の問題は、規制の結果は大企業の経営内容を有利にせしめるだけであって、本来規制の目的である、不況だからというこの要件の対象である中小メーカーにはさしたる影響を及ぼしておらぬではないか、こういう問題であります。
  89. 上田克郎

    上田説明員 これは先ほど堀先生の御質問にもちょっと触れましたが、現在規制をやっておりますおかげで小さい業者の方が利益を受けられている点は多いと思います。ただ、その利益がはたして規制をやって維持しなければならない利益かどうか――利益かどうかと申しますのは、企業努力や何かについてはたしてその規制がほんとうの意味で報いるものがあるかどうかという点では問題があろうかと思います。と同時に、小さい人が企業努力してもなかなか伸びられないと同様に、大きい人は自分の企業に合理的な操業度を持つことはできないという意味で、大きい人も規制に困っているようであります。しかし従来の考え方は、全体の供給があまりにも多くなりますと、業界全体の安定を欠くという理由で、業界全体の利益から、小さい人も大きい人も困っておられる点と、価格が比較的に安定しているという点で、いい点と悪い点があろうかと考えております。
  90. 辻原弘市

    辻原委員 そこで問題の観点を変えまして、現在の規制は原料アルコール全般について及ぼしておりますか、それとも一部限定をしてこれを規制しておりますか。
  91. 上田克郎

    上田説明員 御指摘の点は、清酒用原料アルコールのほかに出している原料アルコールがないかどうかということだろうと思いますが、いわゆる雑酒向けの原料アルコールは出しております。これは清酒向けの約一割足らずでございまして、四十万石の一側でありますので四万石程度出しております。約一割のものが雑酒に出ております。これは規制外になります。それからまたその約一側くらいのものがみりんに出ております。これは清酒業者とみりん業者は兼業の場合が多いものでございますから、現在は規制の対象になっておりますが、われわれとしては、なるべくそういった小業者の方に対する規制ははずして、雑酒業者に対するのと同様に規制をはずしてもらえないかという形で勧告をしておるのであります。
  92. 辻原弘市

    辻原委員 今のお話によりますと、石数が少ないから一部この規例をはずしている面があるというお話でありますか。
  93. 上田克郎

    上田説明員 石数は現実にその程度出ているということでありまして、石数が少ないから規制をはずしているということではございません。むしろ今まで規制をはずしてきたものですから、その規制をはずしたものを規制の中に入れることは逆行ではなかろうか、こういうことで規制をはずした形のままにいたしております。
  94. 辻原弘市

    辻原委員 個々の業者の影響がどうだこうだと言う前に、一般的に考えて、石数の多寡にかかわらず、全般として規制の必要があるならば、原料アルコール全体の規制をすべきであろうし、またそうでなければ規制をはずす問題は、自由企業としては規制すべきものではないから、はずしていくのが建前ではなかろうか、そういう意味でいささか不平等な感を取り扱い上免れない。法律を見てみましても、四十三条の協定の設定及び変更には、やはりそれぞれの要件がここにあげられているわけでありまして、第二項二の「不当に差別的であること。」というこの不当の問題の解釈にかかるでありましょう。そうして四十万石と四万石――私ども聞く範囲では、もう少し多いようでありますけれども、その点で、同じものが、片一方は規制のために結果として価格の高騰を来たし、片一方は結果として比較的安い価格で入手できる、こういうような形のものは、健全な企業育成という立場から考えて、はたして妥当なりやいなやという疑問が法律上からも、一般常識論からも出てくるわけでありますが、それについては、あなた方のお考えはどうであるか。
  95. 上田克郎

    上田説明員 なるべく規制をいろいろな意味ではずしていって、自由な競争にさしていくべきであるというお考え方に同感でございます。ただ、八年間規制をやって参りましたのを、急激に規制をはずすということは、業界に与える影響があまりにも大きいものでございますから、企業努力ができるだけ報いられるような方向に持っていくためには、漸次規制を緩和していく方向に持っていかなければならぬかと考えております。従って、雑酒用のもので現在規制をはずれております場合には、はずれておる方向に将来待っていく、そういう方向で考えていくべきで、それをまた規制に取り込むということは、むしろ逆行ではないかと考えております。しかし御指導のように、清酒用の同じ九八%のアルコールの値段と雑酒用の値段とが差があり過ぎるというような批判もよく聞くところであります。われわれとしてはどこに差があるか、いろいろ中を聞いてみますと、特殊な関係であるとか、たとえば原料アルコールを出して、片一方からウイスキーの原料を分けてもらうとか、あるいは量的に運送が便利であるとか、そういうようないろいろな意味で雑酒に出す方がコストが安いという現状はあるようであります。しかし世間に、規制しているものとしてないものと値開きがあり過ぎるという議論がございますので、その点は、われわれも、業界に対しましては常に差を縮めるようにというような気持では指導をいたしております。
  96. 辻原弘市

    辻原委員 規制を緩和していくという根本的な方向については、これは今お話のありました点と同様ですが、本来価格を高騰させ、それが企業に致命的な影響を与えているという状況下であれば、もちろん規制ということは企業保護の建前から当然必要でありますけれども、さしてそれが深刻な問題ではなくて、しかもそのことによって、前段にも申しましたように、その業界全体に対して公平な影響を及ぼすということであれば、それは当然規制ということも妥当なりと認められるわけですけれども、しかしいろいろそういった不平等な面が現われる場合は、何といっても規制については再検討する必要があるのではないか、こういう一般論が成り立つと思うのです。  そこで、私はもう少し突っ込んで伺いたいのでありますが、今やっている規制というのは四十二条第五項のどの項でやっておられますか。
  97. 上田克郎

    上田説明員 二の販売数量の規制でやっております。
  98. 辻原弘市

    辻原委員 わかりました。そこであまり時間もありませんから少し端折って伺いたいと思いますが、原料アルコールが雑酒用の中に入るというのは、一法律的根拠があるようであります。そこで、原料用アルコールの段階において、これは現実には酒税法の二十八条によって課税を免除されている。そうだとすれば、一つの論拠として、この不況要件を課する法的根拠というものは、これはいわゆる酒数業、製造業並びに販売業の方々の企業保護のためにやっている。それが最終的に酒税の納付のために事実上企業が困難になるということが不況要件になっているとしますれば、それは納税ということが一つのものの考え方として前提になっている。四十二条に「経営が不健全となっており、又はなるおそれがあるため、酒税の納付が困難となり、又はなるおそれがあると認められる場合において、次に掲げる規制を行うこと」とある。だから、いわゆる酒税の納付ということが前提になっておれば、不実上原料段階において酒税の納付が行なわれないということならば、はたして一体アルコール規制というものは法律上または運用上妥当なりやという問題があると思うのです。この点について法律論としてはわかるのですが、実態としては一体どういうことか、こういう点について伺っておきたい。
  99. 上田克郎

    上田説明員 規制が目的としているところは、業界の安定ということが一つありますほかに、酒税の確保ということのあることは御指摘通りでありますが、もし納税した物資を出している限り、規制の対象はおかしいのではないかという議論だとしますれば、実はこれを作っている主体、それが問題だと思います。先ほどから申し上げておりますように、アルコール業者は、約八十くらいの合成酒業者、そのほか小さい甲類しょうちゅうの業者を含めて打数十軒ございますが、その方たちの業界というか、この原料アルコールが商売上というか、経営上に占めるウエートというものは相当大きい。そうするとそれを野放しにすると、しょうちゅう業右の規制を認めているその規制そのものの本来の目的が達せられないという結果がございますので、その物資そのものというよりも、その原料アルコールを作っている業界の安定ということを考えると、業界の希望もあり、またそのウエートが大きいだけに、やはり規制する必要がある。その規制のいい点も悪い点もあることは先ほど申し上げましたが、いい点を考えますと、ウエートが大きいだけに、未納税のままで納税しない物資でございますが、しょうちゅう業界の方たちの安定のためには、これは規制の必要がある、さように考えて、現在規制を認可している次第でございます。
  100. 辻原弘市

    辻原委員 そこにちょっとはっきりしない点がある。今あなたが言われた点は、法律的な問題ではなく、実態論から原料も、さらにそれを使っての加工もやっている、従ってそれを合わして経営というものが行なわれておるのだから、一方原料段階においての経営の向上ということがかなり重要な部分を占める、だからそれは課程の対象外であっても、これをしょうちゅう全体としてその価格安定を期するために規制を加えていく、こういうふうに私には聞こえたのですが……。
  101. 上田克郎

    上田説明員 原料という言葉の使い方でございますが、原料アルコールを商品としてしょうちゅう屋さんは売っている。その商品として売っている意味では、しょうちゅうを売っているしょうちゅう屋、原料用アルコールを売っているしょうちゅう屋、みな商品として売っている。そのしょうちゅう屋さんが自分たちの業界の安定のために規制を要望している。そういう意味で、全体として考えなければいけない、そう申し上げました。それを買って作る酒屋さんたちの方から言うと原料でありますが、しょうちゅう屋さんにすると原料用アルコールは商品でございます。ただ未納税移出を認められておるという意味で、税金の対象に直接すぐにはなっていない、そういう意味でございます。
  102. 辻原弘市

    辻原委員 私の言うのは、税金の対象になっているものが不況になる。従ってそこに規制というものが行なわれる。要するに、私はこれは一般論として申し上げるのですよ。そこに二つの人格を持っている。一方は税金の対象にならないアルコールを作っておる、その場合には、もちろんあなたの言う通り商品でしょう。それから一方にはそれを原料として一つの飲料を作っておる、こういう一つの経営の中には二つの人格がある。法律がここで認めておるのは、納税を前提としたそのものについて、いわゆる不況カルテルというものを行なうことができる。とするならば、その原料そのものに対して、それが商品であろうと何であろうと、要するに未納税移出の取り扱いがここで認められておるとするならば、直ちには課税の対象にはならない。ならば、カルテル行為を認めるということは法律の趣旨に相反しておるのではなかろうかという私の法律論です。
  103. 上田克郎

    上田説明員 いわゆる原料という言葉で、もう少し私の方の考え方が徹底しないと悪いと思いますので言わしていただきますが、原料も税法では酒なんであります。その原料のアルコール八八%のものを、酒屋さんといいますか、清酒屋さんなり洋酒屋さんが原料にお使いになるという意味で、原料とは申しておりますが、これは酒の製造であることは間違いないわけであります。それからその場合に、一応それを原料としてお使いになる方の便益のため――もちろんお売りになる方の便益にもなりますが、その意味でいわゆる原料免税と申しますか、移出免税ということを法律でやっておりますわけで、それを、税金がそのとき取られないから規制の対象にはならぬという論理にはならぬのではないかと私は考えております。
  104. 辻原弘市

    辻原委員 まあこれは法律論をやっていると時間をとりますし、また私にはお答えがぴんとこないのですけれども、しかし私のお尋ねする本論はそこではありませんので、次に問題を移したいと思います。  先ほど申しましたように、確かに百あまりのしょうちゅう業者の方々の中には、非常に零細なものも含まれておる。そういった人々が、ある程度の価格安定の施策がなければ、これは業界としても容易じゃないということ、これは私どもも非常によくわかる。それが、ほんとうにこの業界の体質改善のためにこのカルテルが非常に役立っておるというなればわれわれも疑問を生じないわけですけれども、ところが、先刻も申し上げましたように、大体その製造のいわゆるワクといいますか、その大半を握っておりますのが、拾ってみましても上位約二十社にそれは限定せられておる。言いかえてみれば、五分の一がその八割を持っておるという実態の中で、はたしてこのカルテルが残りの二割の、しかも業界にするならばあとの八十社にほんとうに役立っておるのか、わずか二〇%の製造量の価格の安定がカルテルによって行なわれたからこの業界が安定するというふうに考えるということは、いささかそこに矛盾があるのではなかろうか。結論を申し上げますと、この業界の体質改善、経営の合理化ということは、この種の方法によらないでも、もう少し積極的に手を打っていく方途が他に考えられるのではないか。むしろここの価格規制によってのみ何だかその業界の体質改善、合理化ということを考え過ぎるのあまり、他の、あるいは合理化に対する国の援助であるとか、あるいは資金に対する国の手当であるとか、あるいは大企業と小、中企業との競争の面からくる打撃を救うといったような、そういう面に対する――これは業界同士ですよ。いわゆる販売を受けて作る酒屋さんとか、あるいは清酒屋さんとかいうところでの価格の問題ではなくて、そのしょうちゅう業界なら業界相互間における大企業と中小企業のこの格差から起きる圧迫というか、受ける方の側から言えば圧迫、そういう点を取り除く方策を他に考えることの方が、矛盾を感じないですっきりいくのじゃなかろうかと私どもは思うわけです。その点についてはいかがですか。
  105. 上田克郎

    上田説明員 現在やっておりますのは価格カルテルではございませんことは御承知通りでありますが、…荷を規制しているという形になっておりまして、価格についての申し合わせとか話し合いとかいうことは、徳川条項になっていないわけでございます。ただ、出荷を規制いたしておりますので、自然それは価格に影響するということは当然でございます。価格が締まりぎみになるということは当然でございますので、そういう効果があるということは認めながら、出荷規制ということを考えていきたいと思いますが、御承知ように、すでに八カ年ぐらい出荷規制をやっております。その規制いたしました当座は、私が聞いておりますところでは、ほんとうに大小入り乱れて、販売競争と申しますか、投げ売りと申しますか、そういうものをいたしたために、どうしても何かここで規制をする必要があるということで、当初は法律通りに必要な規制であった、そういうふうに私は聞いております。しかし、八年間その規制をやって参りますと、いろいろな状況が変化いたします。これに対する批判はいろいろあろうかと思います。私たちは、その規制を八年間やって参りますと、これをわれわれ考えまして理念的に理想だと思う方向に持っていく場合に、どうも一挙にはいかない。やっぱり少しずつ改善していく以外にないのじゃなかろうか、そういうような考えをいたしております。やはり、大と小との関係のみならず、大と大との関係もこの規制の内側と申しますか、その規制を必要とする理由の中にはあるわけでございます。御指摘ような批判をよく考えながら、できるだけ企業努力が報いられますように、しかもあまり大きな摩擦がありてそれに流されてしまう――これは企業努力をしないでただ規制の上にあぐらをかいている人が押し流されるのはいたしかたないと思いますけれども、企業努力をしながら、なお若干の規制というものが、ある時期は必要だという点があろうかと思います。そういう点を考慮しながら、今後よりいい方向に持っていきたい、さように考えております。
  106. 辻原弘市

    辻原委員 長官も出席されておりますので、だんだんの私が疑問といたしておりますことも今お聞きをいただいたと思うのでありますが、根本的に、カルテル行為というものは、往々にして消費者に対して、大企業その他の恣意によって、その規制の形がいかにあろうとも、販売の規制を行なおうとも、製造数量の規制を行なおうとも、結果はやはり価格に重大な影響を及ぼすわけでありますから、ひっくるめて考えた場合に、最終的には、実質的に価格の規制ではなかろうか。また、現にそうなっておるわけでありますから、そういうことが、それらの法律の趣旨から見て、特に諸般の状況、そのときの状況から見て、これでなければ救われ縁ないといったときに、初めてその規制が行なわれるものだとするならば、ただいまの状況の中で、この規制がはたして今の時点において妥当なりやいなやということについては、一般的に非常に疑問があるわけであります。間税部長お話によると、やはり八年間の実績を考えた場合、当初の業界の形態と今日における業界の形態においても違うし、価格についての状況等も違う、企業内容も違う。だから、それらについては、それぞれの次元において検討を加えていくのだし、根本的にはやはり規制がなくて業界が自由競争の中で安定することが望ましいというのならば、私はそろそろそういう時期が、現在の段階においても、きているのではなかろうかと思う。なおどうしても今までの企業努力によっても救われない中小以下のそういったメーカーに対しては、新しい一つの方策のもとに――これはまああなた方の所管ではないわけでありますけれども政府全般施策の中で、その企業合理化、企業内容の向上というものをはかっていくということに踏み切るべき段階ではなかろうか、そうして、ある特定の、比較的少ない、そういう業者のいたずらな保護といったような印象を与えて、しかも結果においては消費者に対してその面からの高いものの供給ということになっておるならば、これは大いに考えるべきではないか、そういう意味において、一体今の時限ということからの判断として、長官としてのお考え方もあろうかと思いますが、一度この機会に承っておきたいと思います。
  107. 原純夫

    ○原政府委員 先ほど来お話の中心になっております辻原委員のお考えについては、大体において、私どもも全然同感であります。酒の業界の安定プラス酒税の確保ということでこういう団体法というものができ、それに乗って今ある種の規制が行なわれているわけでありますけれども、それに際して消費者の利益というものを忘れてならないというところが一番やはり当面の問題であろうと思いまして、実はその関係では、本日もこの規制のワクの問題でございますが、消費者の側から言いますと、供給をいたずらに縮めて値を強めに上げられてはかなわないというわけでありますので、私どもそういう意味では、この供給量について消費者の立場から見て決して不足をしない、価格に対してもあまり不当な影響のないようにということで努力を続けて、けさも若干の業界には、若干といいますか、相当一部では、言葉はなんでございますが、あるいは反旗を翻すかもしれぬというようなぎりぎりのところを押しつけてやっておるというようなことでございます。御了承を願いたいと思います。  なお、その業界の中で大と小との関係については、実はただいませっかくお話でございますが、この規制が大企業の恣意によって引っぱられているという点につきましては、それは私どもとしては少しいかがであろうかというような感じを持っております。大業者と中小業者との相剋といいますか、競争関係の問題は、この規制が続いております間は常にいろいろな面で問題として出て参っております。そのたびに考える考え方、感じ方は、私はこうでございました。やはり完全な自由に置いたならば、率直に申しますと、やはり大業者が有利になって中小――小の中には案外条件のいいのがありますけれども、概して大が有利になって中小が不利になるということではなかろうかと思うのであります。そのゆえに、そう言いますと、この規制はむしろ大業者のためというよりも、どっちかといえば中小をかかえた業界が全部一緒にそう大きな破綻なしに全体として伸びていくというようなことに主眼があるような形になっておると思います。その間においても、お話の中小に対する配慮という意味においては、いろいろな規制量の決定にあたりまして、単位割といいますか、均等割といいますか、そういうような弱いものに対する割当を特に配慮するというようなことを累次行ない、それがだんだん末広になってきております。そういう意味ではこれはかなり、一視同仁というよりも、そういう中小に対する配慮を相当しておる規制ではないかというふうに私は思っております。  なお、今ごろが中小に対しては何か新しい抜本的なてを打つ、規制のワク自体を大きくはずすなり大きく修正するなりという時期ではないかというふうにお考えのように存じます。この辺は、確かにいつまでこの規制を続けてよろしいかということについては常に反省していかなければならぬと思いますし、また中小の問題がこの規制の形だけで済むかどうかということも、おっしゃる通り問題だと思うのでありますが、私率直に申して、ただいまお話しのことは、お考えはわかります。わかりますが、具体策を持って、そういきましょうというまでの自信がございませんので、なお検討させていただきたい。いずれにしましても、方向としては辻原委員の言われる方向にわれわれはおおむね同感であって、ただいまのような気持で年々努力いたしておる、それからが少し努力が足らないという御批判はあると思います。先ほど私が参りましたときにもお話が出ておった権利といいますか、石数、値段あたりから考えて、これは不満だということは、これはまだあぶない点もありますので、努力が足らないというおとがめは真正面からお受けして努力を強化いたしたいと思っておりますので、せっかくその辺の努力の今後をごらんになっていただきたいと思うのでございます。
  108. 辻原弘市

    辻原委員 大企業が勝手にやっておるということは、少し私の申し上げた点の取り方とは違うわけです。私は結果として、要するに八〇%の製造石数を持っておるならば、その価格が事実上カルテルによって上がれば、受ける恩恵の比率はこれは問題にならないわけであります。二〇%で八〇%、二十社でもって八〇%というこの比率において、結果として受ける恩恵の大半というものは、割当石数の多くを握っているそれらの人々の恩恵に帰するではないか、だから、その人たちがそういう一つのことを前提として考えておらなくとも、私は結果として受ける事態はそういうことだから、実際に中小には、それは恩恵はあるでしょう、ありますけれども、そのときに受ける量が違う。だからやっていることは、もう少し論議を飛躍させるならば、抽象的な言い方をするならば、結果はそういう大企業の有利な施策と相なっておるではないか、こういうことです。そこで、長官も方向としてはそういうことをいわゆる消費者保穫、それから自由な価格安定、同町にそれにマッチした企業安定ということが方向だということでありますので、その点についてはけっこうだと思いますが、本年の取り扱い方針、これは聞くところによりますると、すでに昨年同様の規制というものが大蔵省の方で認可をせられておるようであります。そうすると、さしあたっては、本年度は今検討を続けたいということでありましたが、その点は、一体どういうことでありますか。だんだんのお話によりますと、何か今直ちにというわけではないけれども検討の結果、新しい方針を出されるような向きにも私は承っておったのでありますが、ところがすでにそういうことの認可が行なわれておるという前提においては、これは本年度についてはその方針は動かさない、こういうことにも相なるかと思うのであります。その辺の関係は一体どういうことをお考えになっておりますか。
  109. 上田克郎

    上田説明員 ただいま御指摘の、すでに認可があったものという点は、おそらく原料アルコールの規制の認可だろうと思います。これはちょうど酒造年度もこの十月から始まりますので、すでに認可いたしましたが、これは御承知ように、清酒の方の製造石数いかんによって、その総量がほとんどきめられる問題でございますので、これから申し上げます一般のしょうちゅうの認可、規制の認可ということとはいささか性質を異にいたしております。その前の方の原料アルコールの認可は、むしろ方式を去年通りにして、与えられた数量を皆さんの方にどういうふうに、いわゆるシェアを分けるか、そういうような認可になっております。この点につきましては、需要が伸びればそれだけ皆さんが伸びるという形になっておりますが、この伸び方につきましては、たとえば清酒が、先ほど御説明申し上げましたように、一割ないし二割は少なくとも増産になるといたしますと、それに伴って原料アルコールも一応それくらい伸びることは予想されますから、その伸びたものをどう分けるかという点につきましては、まだ組合としても問題を残しておるようであります。ある意見によれば、小業者によけい分けてくれという意見もございます。ただこれはまだ未決定であります。申請はまだきておりません。それから規制そのものを議論いたします場合に、しょうちゅうないし合成酒そのものの規制ということから申しますと、兆は規制をなるべくはずしてゆるやかにしていけというような方向で、ことしはそれぞれの業界ともに一割の企業努力目標と申しますか、ワクを多くいたしまして、そうして企業努力をする人は一割はよけい出せる、そういう方向で進んでおります。規制の認可は一応しょうちゅうの方から参りまして、その方向で行っておりますので、まだわれわれは理想だと思いません、完全だと思いませんが、現在の段階ではこの程度でも、前向きの姿勢をとってくれればまだ消費者に対して言いわけはできるのじゃなかろうか、かような考えをいたしております。  合成油も大体一割くらいのワクを広げるつもりでおります。これは来月くらいになって申請が来るかと思います。
  110. 辻原弘市

    辻原委員 そういたしますと、私がお尋ねいたしましたのは、原料アルコールに対する出荷規制の認可はもうすでに行なったのではないかという質問をしたのですが、それはまだだということですか。
  111. 上田克郎

    上田説明員 それは済みました。方向として済みました。数量はまだ済んでおりません。つけ加わる部分でございます。
  112. 辻原弘市

    辻原委員 しかし、結局本年度の方向というのは昨年のあれを踏襲しようという方向に承るわけですが、先ほど申しましたように、今の次元においてもう少し検討を要するのじゃなかろうか、こう印しておるので、本年度は全然そういう点についての配慮がないということになれば、これは長官のお話とも若干そごを来たすように思いまするので、その辺の――今説明をいただきましたので、他の問題についてはわかりましたけれども、なお一つ十分な検討をして、一つ公正な結論を見出していただきたい。そして先刻から申しておりまするように、やはり消費者に対して妥当な価格、同時に一方においてはやはり中小の製造業者に問題があるわけですから、その点についてはこの種規制の方法では私どもは非常に不十分だと考えるわけで、これは別個な、たびたび申し上げますような振興策というものを別に切り離して、規制が振興策だというふうに、簡単ではないでしょうが、そういう結びつき方ではなくて、企業合理化、振興というものは別個に一つ大いにやるのだ、そうして大企業との格差をなくして、大企業と中小企業との間に、かりに規制がなくともある程度の自由競争が行なわれていける、こういう状態に対するなお一そうの検討と努力をお願いいたしたいと思います。  時間もございませんので、一応私の質問はこれで終わります。
  113. 小川平二

  114. 横山利秋

    横山委員 委員長を初め、皆さん私どもほんとうに腹ぺこぺこでございますが、もう会期末でございますから、もうしばらくごしんぼう願いたいと思います。要点だけ長官にお伺いすることにとどめたいと思います。  最近、協同組合の全国中央会が国税通則法に反対をするということをきめました。私この前の通常国会で、通則法には直接触れませんけれども、通則法に関連いたします諸問題について非常に掘り下げていろいろ御意見をお伺いし、まだその問題は解決もしておらず、中間報告に問題が提起されたわけであります。その後承知いたしましたところでは、長官としては各国税局なり担当の諸君に対しまして、人権じゅうりんの問題のおそれのないように十分注意をするようにというような趣旨の書面を出されたと聞きまして、私も意を安んじておるわけであります。ただ私が感じましたことは、一言に言うとこういうことであります。  私が申し上げておったことは、今の行政のベースで注意してくれというばかりじゃないのだ。これは今の法律が何といっても基盤になっているのだから、法律の中へも反映するようにしてくれというわけで、法律論を相当展開したのでありますが、でき上がりました国税通則法の答申は、これは担当の人々の御意見を伺いますと、また委員の方の御意見も伺いますと、善意に取り上げてみて、アカデミックに検討をしたのだからそういうふうには考えていないのだから、こういうふうにおっしゃるのです。百歩譲ってそうだとしても、これほど前の通常国会で私どもが念を押しました考え方、議論の問題というものが税制調査会にいささかも反映しておらないのではないか。長官は自分でそういうおそれのないようにという通達を出しながら、自分のベースだけでこの問題を処理ようとなさったうらみがないのか、こういう感じがしてならないのであります。こういうことでは、私ども国税庁の皆さんに御質問を申し上げるのも、同じことを大蔵省に申し上げなければならぬ問題が多々あるのではないか。一体国税庁大蔵省との関係はどういうふうになっておるのかというのが、私が感じました第一であります。  それから第二番目の点としては、今や中小企業界があげてと言っても過言ではないと思います。これは強弱の度合いはいろいろございますが、国税通則法の答申の内容に対しまして非常な反対を持っておりますことについて、第一線をつかさどるあなたとしてはどういうふうにお考えであろうか。これが単に誤解の点があるからとか、あるいは十分説明してもらえばわかっていただけるはずだとか、そういうことだけではもう律し切れない状況になっておると私は判断しております。それはなぜかと言いますと、私に言わせますと、これは長官と前から意見が多少違うところなんですが、取る者と取られる者との心理の違いもございましょうし、私どもがときどき指摘しております逸脱行為というものが胸にくすぶっておる。くすぶっておるものが通則法を機会に爆発をしようとしておる、こういうふうに政治的に考えないと問題のとらえどころが違うのではなかろうか、間違ってしまうのではなかろうか、こう考えるのであります。でありますから、その意味では、実際納税者の気持が国税通則法反対という雰囲気に向かったその基底となるその原因について、国税庁の行政のあり方について考えるべき点があるのではないか、これが第二番目の御質問でございます。
  115. 原純夫

    ○原政府委員 第一のお尋ね、つまり税務行政の執行のいろいろな面につきまして、特に質問検査、調査に際するいろいろな税務官吏のやり方に関する法律の規定並びに通達関係の問題でありますが、先般の御議論の際にも私申し上げました趣旨は、法律の規定としては、所得税の調査のために納税者またはそれの関係人と申しますかに対して質問検査をすることができるという規定自体はそれでお認め願っているのではないか。ただそれを執行する場合に、人権じゅうりんはもとより、所得税の調査に必要な限度を越えて権限をふるうということはよろしくないことで、それは法律も認めてないことである。それは、運用の実際において職員を訓練し、気をつけさせるということが筋となって、その好ましい具体的な結果を確保するということではないかと思います、というふうに私は申し上げたいと思います。お話の筋によって法律を直さなければならぬということについては、私は申し上げなかったつもりであります。もちろん、これは非常にマクロ的に申し上げているので、ミクロ的に申しますれば、ただいまの質問検査の関係の規定は、御案内の通り国税法でも若干のふぞろいがあるというようなことから、法律的に全然手当なくして通則法に盛り込めるというものではございません。もちろん法律論は当然あるべきだと思いまするけれども、先般来いろいろお話のありました行き過ぎということにつきましては、これは法律が行き過ぎているということではなくて、運用が行き過ぎているということであろう、そしてその点については、私どもも常々戒めなければならぬと思っておりまするし、また、あのときのお話の趣旨も考え、その他当面として職員に通達するのに適当な事項を選びまして、さっそく通達を出ましたようなわけで、いろいろ実際の納税者に会って聞いてみましても、かなりにあれの反応といいまするか、感じを納税者の側でも持って下されておるようで、大へんけっこうなことだと思いますが、この種の通達について、あるいは通達の形でなく、これはもう職員の全般の訓練、教養全般において重要な問題だと思いますので、今後ともできる限りの努力をして、横山委員の御指摘になっている線のお気持にはこたえるようにやっていきたいと私は思っております。立法の準備の衝に当たる主税局との関係におきましても、お話の趣旨は随時主税局も一緒に伺ったり、あるいは委員会に出席しておりません場合は、あとで十分連絡をとっていたしておりますので、その辺の連絡も十分努力しておるところでございます。  それから、節二段の通則法に対する中小企業の反対が強いという問題につきまして、どうも少し先を越されて、これは誤解だからPRして説明するといっても、とてもならぬ程度に進んでおるというか、そういう程度のものであるというお話であります。しかもその裏には、税務行政に対する不信といいまするか、そういうようなものがあるというお話を伺って、私あなたに反駁するという意味でなしに、非常に痛いとは思います。確かに税務行政が権限、権力を持って大過のない税を付加するということである限り、これはよほど職員が自戒しませんと行き過ぎが起こりやすいということは率直に私も認めます。これはあらゆる国、あらゆる時代の税務行政に共通なことで、それを押えるために、それを適度な礼節ある限界の中におさめるということが、まさに税務行政を担当する名、特に私どもとしては、一番中心的な課題ではないかと思っております。たびたび申し上げますように、税は適正、公平に、しかし近づきやすくということを納税者に対する態度としておやりなさい――私は三木の柱をあげておりまするけれども、第一の柱として近づきやすくと印しておるわけで、なお私は努力が十分だとは申しません。その意味で、これらの反対の裏にあるお気持の御指摘に対しては痛み入ります。ただその先は、先ほど横山委員がもう抑えてしまわれた答弁になりますが、やはり通則法自体は、それは私は今案となっておりますものが最高、最上のものだとは申しません。しかしながら、中小企業その他の反対にはなお十分政府当局として、あるいは税制調査会として説明を加えて理解を願えるという道はないのではないというふうに思いますので、これはやはりあらゆる立法の過程において納得を得るという意味で、血税局ももちろんその気持で努力するでありましょうし、私どももそういう努力をいたしたい。その辺はなおせっかく当委員会においても十分聞いていただきたいし、世間にもなお聞いていただきたいということをこの席から訴えたいと思うわけであります。
  116. 横山利秋

    横山委員 私は少し先走り過ぎるかもしれませんが、常識論から言うならばあなたの言う通りで、あれは答申なんだから、 これから政府法律案を作って、それから私どもが審議するのであるから、それはまだどうなるかわからぬという趣旨においてはその通りであります。私が心配をいたしますのは、政治家の端くれとして、ほうはいたる全国の中小企業のものの考え方、感じ方、とらえ方というものには、今までよりも相当根強いものがあるというふうに痛感をするわけでありますが、それについて、あなたはあなたなりにその根強さについては濃淡の度合いがあるとおっしゃるだろうと思います。私もそれは認めましょう。認めましょうが、事務的にこれを判断をされて、どこが悪い、そんならそこを直せばいい、こういうようなことだけであっては判断の基礎を誤るおそれがあると思う。私はこの間大蔵大臣にも失礼ながら御注意をしたわけでありますが、一般的に政治情勢ともにらみ合わせてお考えなさらぬといかぬのではないか。これは長官には面接関係のないことではございますけれども、経済情勢とか、あるいは参議院選挙とか等々もいろいろあることでございますから、その辺の政治的判断を合わせて考えないと、この通則法だけは上がらない、そして所得税法、法人税法等それに関連するものが上がってしまって、中途半輪になってしまい、現場の第一線をあずかる皆さん方は事務の収拾上大へん困るということを私は申し上げたわけです。これは少し先走り過ぎたのでありますけれども、しかしそれくらいに今度の問題についてはよくお考えにならぬといかぬのではないかというふうに私は申し上げたのであります。これは私がさきに申し上げましたことをあなたは誤解なさっていらっしゃるけれども、さきに私の申し上げたことは、そこの議論は一つ十分に税法担当者の大蔵省に連絡してくれということであって、あなたが法律改正をすると約束しろということではないので、これは誤解です。  それからその次は、いつものことでございますけれども、久しぶりに長官に会ってまたこのことかと言われても私なんですけれども、いつも私が言っておりますのは国税庁の労使の関係であります。  最初にお断わりしておきますが、最近においては、いろいろとおせっかいをいたしました関係もあるかもしれませんが、かなりの前進があると私も思います。思いますけれども、私の期待していることにまだほど遠いような気がするわけであります。この旧国税庁のある幹部の方と非公式に私懇談をいたしました。お互いの立場は立場としても、何で私の言うようにもう少しうまくやってもらえないだろうか。よその官庁だったら、どんな人が長官をやり、どんな人が大臣をやり、どんな人が組合の委員長をやっておっても、お互いに立場は違っておっても十分に話し合うということはもっとやっておる、何で国税庁だけはそれができぬのだろうかという私の気持を込めてお話をしたことがある。私の拝見するところでは、今国税庁はあなたが全部采配を振っている。なるほど有能な部長さん、深長さんがいらっしゃるけれども、今の国税庁では原さんが実際の実権を持っておられる、すぐれた人物だと私も思います。そうであればあるほど労働間胆について原さんがもう少し百尺竿頭一歩を進めて、一つ話し合いの政策というものをやっていただく必要があるのではないか。いろいろな具体的なものを列挙いたしますと水かけ論になりますから、また機会をあらためまして申し上げたいと思うのでありますが、あなたのお気持の中に、労働組合というものについて、ものの考え方としてはわかっているけれども、しかし具体的にはいやなんだ、今の国税庁の中にある労働組合はいやなんだ、そういうお気持が潜在意識としてあるのではないか、こういう気がする。それが先行してしまって、ものの考え方としては、組合の自主性とか、話し合いをする、するといっても、実際はいやな気持が先行してしまっているのではないか、そういう気が私はしてならないのであります。きわめて抽象的なことでございますけれども一つ私の意図をくんで御返事いただきたい。
  117. 原純夫

    ○原政府委員 五万の職長がおります。そして組合に加入しております者がそのうち三万近くございます。幾つかの組合がございます。組合が勤務条件の改善を主題として健康に活動し、伸びるということは、私も心から念願するところであります。同時に、ただいまお話のありましたように、ただいまの国税部内における組合全部ではありませんが、そのうちの一部の組合との関係がしっくりいってないということは事実でございます。私はそれを非常に悲しいことだと考えております。お話しのように、じっくり話し合えるようなものになりたいと私も思っております。そこで今ざっくり突っ込んで、いやなんだという気持があるんじゃないかというお尋ねがありましたが、率直に申し上げます。私、いやな面があります。いやでない面もありますが、いやな面もございます。それは、その話になりますと、具体的に名前を言わなければなりませんから申し上げますが、全国税という組合が、約二万近くを擁して一番大きい組合でありますが、この組合の運動方針、これが先般も申し上げましたが、今まで職制抵抗とか業務規制とか――つまり職場で業務を自分たちで規制していく、職制に対しては抵抗しろというようなテーゼを立てたことが数年前にございます。それがどうもなかなか払拭されないのであります。近ごろそういう言葉を使うことは少なくなりましたが、まだ間々ございます。そしてそれが職場に長く尾を引いて、職場における一種の秩序を無視しておるというよう状況を現出しておるのであります。全部ではございませんが、一部の場所においてそういうことがあるのを、私はまことに遺憾だと存じて、その組合との交渉、会見の席上では率直に私の気持をお話しをして、その点は誤っているから回れ右をして直してほしいということを何回か迫っておりますが、遺憾ながら組合はそれに対して反省の色を示しません。のみならず、今般この夏の大会に付議します運動方針案、これは決定になったものでありますが、その中にはいろいろな形の活動の一つのなにとして、不服従運動を展開するということが入っております。このようなことはいかなる企業においてもあり得ない。先ほど申した、およそ人間の社会における職場の礼節に欠けると私は思うのでありますけれども、ことに私どもの職場のような――非常に重要な職場であると思っておりますが、その職場でそういう点が直らないで、なおかつ尾を引き、悪化するというようなことがあっては非常に困る。私、その面がはっきり今の組合についていやな点でございます。これは何としてでも直していくのでなければ、日本の税務行政そのものがとうてい成り立たないような前提を形作るということになることをおそれるのでありまして、この点を直してほしい。これは今後も私は努力を続けて、組合側を説くつもりでございます。ぜひそうあるべきだと思っております。その点を払って、そして組合が勤務条件を中心にして健康に活動するということであるならば、私どもはもう今のいやな気持が全部なくなって、非常にけっこうな関係になるのではないかというふうに思います。いかにも、ただいま申したことは、私どもは全部正しくて健全的だという感じを持たれるかもしれませんが、私も一年半ばかりの間ずいぶんこの問題には悩みました。そしていろいろとこの問題に処する態度というものについて、私自身考えてもきましたし、いろいろ先輩なり、その関係の識者の意見もいろいろ聞いて勉強しております。今後も私だけの、あるいは私どもだけの狭い、閉じこもった考えだけでなしに、いろいろな職名の考えも聞き、広く、良識ある態度で私どもいきたいと思いますが、ただいま申しました一つの面につきましては、強くこれが改められるということを要望したい。横山委員にもそういう点を十分お考え願いたいということを、ここに切に杯えたいと思います。
  118. 横山利秋

    横山委員 私もかつて国鉄で組合の指導者をした一人なのであります。組合には――あまりむずかしく物事を申し上げたくございませんけれども、団結権、団体交渉権、団体行動権という三権がございまして、そうして自分たちの主張を訴える権利、そういうものがあるわけであります。それに対して理事者側としては川下老の立場を守って、そうして労働組合に対してかくあれというふうに言う権利もまたあるわけであります。それがうまくいきません場合においては、爆発をするというのが通例のことなんであります。あなたは、自分の方にも悪いことはないではないけれども、相手側で一番いやなことはこういうことなんだ、こうおっしゃいました。私は、労使関係というものはすべてといっていいほど相対的なものだと思います。私はその運動方針を読んでおりませんから詳しくわかりませんけれども、いろいろな連動方針にございます戦術的なこと、これが組合側にあるとすれば、あるいは理事者側にも、あなたが訓辞をなさったり、あるいはいろいろ国税広報にお出しになることも、ある意味では理事者側の戦術なのでございます。そういう点では、その片一方の一つのことだけをとらえて全体を律することのないように、特に私はあなたにお願いしたいと思います。  一つだけ私は例を出したいと思うのでありますけれども、私の方の名古屋で――白石さんがおきめになったそうでありますが、国税局庁舎の管理に関する規程というのがございます。三十三年の七月であります。これを拝見いたしますと、まあことごとくと言っていいほど、組合対策の匂いがぷんぷんとしておるわけであります。今度の政防法にも、あるいは破壊活動防止法にも、そんなにこういうような書き方はないと思うのでありますけれども、たとえば「集団陳情の制限」から、入場又は入室の制限」、「退去命令」に関する点から、その他広範に、こまかい点がうたわれておるのでありますが、その文章の中に、全部「しようとする者」、「おそれがある」というのがついておるわけであります。しようとする者、おそれがあるということは、国会では常に問題になる点でありますが、それはだれがしようとするか、そういうおそれがほんとうにあるかないかはみんな管理者の自由裁量になっておるのがこの規程であります。たとえば、組合が組織を作ろうとする、作るとなれば、これはビラをまくおそれがあるとか、あるいは演説するおそれがあるとか、そういうことで、あなたのいやな面だけが非常に下部に強調されておるものですから、下部の管理者の諸君は、組合を組織することについて非常に臆病がり、対抗手段をとり、すべて、しようとしておる、おそれがあるというようにお考えのようであります。私は、この庁舎管理規程というものが一体どれほど拘束力があるものか、管理者の権限においてどんなことをきめてもいいものかどうか、立法論として非常に疑問があるわけでございますけれども、立法論はさておきまして、そういう、しようとする者、おそれがあるということが、実はあなたのいやな面を非常に重視される気持が各管下、各理事者に伝わって、不必要な摩擦を起こしておるのではないか。理屈としては、労働組合ができることについてはそれはもう自由だ、何も当局も干渉はしないと言うておられるけれども、さてでかそうとするためには職場で話し合いをしなければならぬ。勤務時間外なら一番いいけれども、勤務時間内でも休憩室で話をしなければならない。そうして何かのビラもまかなければならぬ。それがしようとする、おそれあるものとして、お前、いかぬぞというようなことが私の選挙区のそばで行なわれているようであります。それがトラブルのまず最初の原因だというのであります。繰り返し申しますけれども、こういうことではどうもあなたの考えていらっしゃるいやな面が強く出過ぎてしまって、組合には、あなたのせっかくのお話でございますから、私も長官のお話はこういうことだというふうに伝えばいたしますけれども、そのいやな面というものが強く出て、それが実は下部におけるトラブルの原因の根底をなしてしまっておる。もう少し雅量を持って、労使の関係というのは相対的なものであるとか、長期的なものであるとか、一人の人がどんなにしゃちほこだっても他の多勢の人を自分の考えるように変えるわけにはいきません。もしも組合が右に行き過ぎれば時計の振子のように自然に左に返ることがある。左に行けば右に返ることがある。私はそれを戦後十数年の間にどんなに体験をしたことでありましょう。あなたが無理をなされば逆に時計の振子は動きます。管理者は、国税庁に働くすべての労働者の善意と自主性をもう少し尊重なさっていいのではないか、こう考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
  119. 原純夫

    ○原政府委員 名古県国税局庁舎の管理規程を引かれて、管理君側が不当に用心し過ぎるといいますか、あるいは疑い過ぎるといいますか、そういう態度で組合に対しておるという点の御指摘でございますが、卒直に申しまして、ここ数年、四、五年の間、先ほど申した国税庁部内の一番大きな組合との思わしからぬ情勢で経過してきた歴史というものは、まことに遺憾千万な歴史でございます。具体的な事例を上げますれば、これはもう横山委員も驚かれ、また世間も非常に驚くような事件が続出いたしました。それで職場の秩序は乱れたというふうに私は判断いたしております。やはりそういうことはあるべきでないというところから、庁舎管理規程その他局署の管理者には、秩序が乱れないように十分に注意するようにということを言うてございます。もちろんそういうことが過当になるということはいけないのでありますけれども、私はただいまの全体の態勢が不当になっておるというおとがめをいただくのはどうであろうかというふうに実は判断しております。ただいま組合側がそれらの規定があるために非常に臆病になって活動が活発にいかないというお話でございますけれども、卒直に申させていただいて、先ほど申した組合の秩序無税、破壊的な活動態度というものの根本が直っておりませんのみか、あらためてこの運動方針にも入れるというようなことでありますので、私をして言わしむれば、臆病になっているのは、あるいは管理者の側ではないかという面も相当あるように、残念ながら私は思います。そういうよう判断で、具体的に名古屋の規程が完全適切かどうかということは、私ここであえてそこまで申すつもりはございませんけれども、やはり、私いろいろ組合のやられることを見ておりましても、もう少し職場における秩序を重んずるという精神を確立してもらわないと困るということは、現在なお非常に痛感いたしております。はなはだ不満足な状態が現在なおあるというふうに思いますので、いろいろな場合に管理者がこの人たちに対して注意をする、用心をするということは、もういたし方がない気持もするが、やはり国民に対するサービスをやる、そのための職場がすっきりした気分のものでなければならないというために、やはり必要ではないかというふうに思います。大へんお答えが抽象的になって恐縮でございますけれども、私の気持を申し上げますればそういう気持ちであります。
  120. 横山利秋

    横山委員 抽象的でけっこうです。私も具体的に議論しようとは思いません。また、具体的には機会をあらためてお尋ねいたしますが、今のあなたのお話の中で、私もなるほどそうであろうと感ずる点がございます。管理者が性病であるかどうかは、それは言葉のあり方ではございますが、私なりに感じましたことは硬直性である。弾力性が少しもない、お互いに十分話し合うという雰囲気がないことは、あなたのおっしゃる憶病性に通ずるところではなかろうかというふうな感じもするわけです。極端に言いますと、恐縮ではございますけれども、今の国税庁の労働政策というものは、あなたの、先ほどから所見を申され、そのお気持があって、これは言うところの労働政策になっていないという気がするのであります。労働政策というものは、よかれあしかれ弾力性のあるものなんです。それはところによって強硬一本になるところはございますけれども、これも労働政策の範疇の中かもしれませんが、いわゆる通常の弾力性のある労働政策があなたのところで行なわれておらない。かつて、非常に恐縮でございますが申したことは、大蔵省の人は非常に頭がいい。非常に頭のいい人がたくさんおる。けれども、何というか誠意性を持った人が少ない。こういうことを失礼な話でありますけれども申し上げたことがあります。ちょっとした労働問題について御相談を申し上げましても非常に怯懦である。憶病である。そうして弾力性が少しもないような気がしてならない。こういうことを申し上げてはどうかと思うのですが、あなたがこうあれかしという気持がもしあるならば、裸になってもっと話し合ったらどうであろうか。一回でいかなければ二回、三回でいかなければ三回というふうに話し合ったらどうであろうか。人間の本性というものはお互い持ち味があるわけですから一その相手の持ち味を変えるわけにはいきません。いきませんけれども、ここに共通のベースというものを発見をしなければどうにもならないのではないか、こう思うわけです。  ですから、私の申し上げたい点は、あなたの方にも問題がある。抽象的な言い方をいたしますと、あなたもまた組合に問題があるとするならば、それがともに解決がつかなければ十分な話し合いができないというようなことでは百年河清を待つようなものではないか。お互いの欠点は欠点としても、その欠点は長期にかけて改作するとしても、十分に話し合う気分がなければ、これはもう失礼な話でありますが、どんなに原さんが一生懸命になったって原さんの在職中に片づく話ではない。私は歴代の長官にいろいろ苦情を申し上げお話もしたのですが、原さんから今日はいやなことはここだとこう率直なお話を承りました。その点については私もあなたの意見はわかります。わかりますけれども、それだからといって、その例外的なものをもって全体を律するという考えがあるとするならば、ぜひこれはお考えおきを願いたいと私は思うのであります。  それから私の経験をもっていたしますと、よくは知りませんけれども何々連動とか、何々闘争というものは年がら年じゅう一月一日から十二月三十一日まで、大会から大会まで全部それで押し通せるものではないのであります。これは私の体験です。一番労使の紛争が最高調に達したときにその実力を発揮するものなんです。ですから、連動方針の片すみにちょっとそれがあったからといって、いかにもそれが全国津々浦々に行なわれ、現にそれが非常に阻害しておるような錯覚を持たれるとしたならば、それは何かあまりにもあなたは小児病的ではなかろうか。原さんが普通持っておられる持ち味をここでも生かして、労使問題の改善にもう一歩踏み出していただく必要があるのではないか。これは私の意見でございます、きょうは非常に抽象的なお話のやりとりでございますけれども、私の話もよくわかっていただけるだろうと思います。あなたの話も私はよくわかりました。わかった上であえてあなたに注文をしたいのでありますが、いかがでございますか。
  121. 原純夫

    ○原政府委員 よく話し合うようにというお気持はよくわかりました。私もよく話し合いたいと思います。ただし、先ほど申しましたいやな点は、これは枝葉片々の事柄ではなくて、職場の規律を乱す、無視する、業務規制をする、職制抵抗をする、不服従をするというようなことは、これは単純なごく枝葉末節における小柄ではなくして、こういうことをやる分子というものは、およそ職務の神聖な使命というようなものとはまるっきり背馳するものであって、そういうようなテーゼ、方針を生かしておくならば、それは職場の破壊であるとすら言えることでありますので、これはもう何と申しますか、少しでもそういうことがあっては、とうてい職場の厳粛な、われわれの責任遂行の上で何とも放置できないことでありますので、私はその点については、やはり徹底的に組合の、反省、改善を求めたいと思うのであります。  それから、そういうことは一時的のことではないかというお話であります。しかしながら、こういうような秩序を無視するようなかまえというものは、なかなか一時的では終わらないというのが、私の見ておる現実であります。初めは、一時的にそういうことが行なわれるというようなことがあったかもしれません。しかしながら、そういうものがはっきりさっと切ってあざやかにやるというようなことではなくて、慢性化して職場にはびこりますると、一種の慢性サボのよう状態が起こるのであります。そうして組合活動家が、仕事は半人前かそこいらしかしないで、ほかのことをやっておる。やっておるのが、今申した秩序を乱るというようなことが多くて、そうしてそれが職制と申しまするか、管理者がそれを規律しようとしますと、かなりに強い抵抗が出るというのが現実であります。こういうようなことでは、職場の規律ある明るい秩序の確立のためには、私はまことに嘆かわしいことだと実はただいま非常に心配しております。何とかここを直さなければならぬというふうに思います。やはり一心的なものでなくて、慢性化し得るものであり、現に慢性化しておると私は判断しておりますので、その辺もっと突っ込んで改善をしたい。組合にそういう規律無視、不服従な問題を改めるようにと申しまするが、そういう議題を出しますと、そういうことは別のことじゃというようなわけで、話し合いに応じないというのが今までの私が現にぶつかりました苦い経験であります。その辺をもっと説いてみます。説いてみますが、やはり私は、それは一小さまつ事ではなくて、私どもの職場における根本的な重要な点であるということはくずさないで話し合いたいと思います。御了承願いたいと思います。
  122. 横山利秋

    横山委員 最後に。本日私が申し上げました趣旨は、私ども及び日本社会党の気持は一応抜きにしまして、何とかして大蔵委員として、国税庁とそれから全国税を初め各組合との関係を改善をしたいという一点に立って、そういう気持だけで私は御質問をしておるわけです。しかしあなたの御意見は、これはもう当然なことながら、国税庁長官として基本的なお話をされておって、そうして私のそういう気持からお尋ねをしておる点については、言うならば私の基本的な立場を少しはずして、まあ率直に言ってそういう意味お話をしておるにもかかわらず、どうも私の気持がちっとも通じていないような気がします。私の体験なり社会党の基本的な気持から言うならば、大いにあなたのあり方についても私は一言なかるべからざるところであります。けれども、それを今言うたのでは、せっかく私が多少立場を捨ててお話をしておる意味が残りませんから、ここではやめることにいたします。将来、私どもがその基本的な立場であなたの方のまずい点を責めることのないように、これは十分に戒心をしていただきたいと思います。  以上です。      ――――◇―――――
  123. 小川平二

    小川委員長 芳賀貢君外十一名提出畜産物価格安定特別会計法案を議題といたします。  お諮りいたします。本案に対しまして提出者より、撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 小川平二

    小川委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可するに決しました。  次会は来たる三十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十七分散会