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八谷説明員 十一月三十日に、
北海道の
赤平市の
福住炭礦で
災害が
発生いたしました。監督の任に当たっております者といたしまして、はなはだ遺憾にたえないところでございます。申しわけなく存じております。お手元にごく概況をプリントしたものを差し上げてございますので、これに基づきまして御
説明をいたしますが、今回の
災害は最近五カ年間のうちでは、第七番目の大きな
災害になっております。本年におきましては、
上清の七十一名、大辻の四十一名、いずれも三月でございますが、これに次ぎます大きな
災害になっておるわけでございます。
まずプリントにつきましてでございますが、
鉱山の名前は
福住炭礦で、
住吉坑と申しております。これは
租鉱権炭鉱になっておりまして、
鉱業権者の
採掘権は
豊里鉱業株式会社でございますが、これに
租鉱権が乗っかっておりまして、
日本炭業株式会社が
租鉱権者でございます。この
日本炭業株式会社の
所有炭鉱でございまして、この
日本炭業株式会社は
中小のうちでは大きな方の
炭鉱でございまして、九月の
出炭は、
月産で申しますと、三万トンの
出炭を出しております。
九州で四
炭鉱、
北海道で二
炭鉱を
経営いたしております。ただし、
九州の一
炭鉱は九月にはわずか六十八トンで、閉山まぎわの
状態でございましたので、実質上
九州三、
北海道二の五
炭鉱を現在
経営しておるところでございます。所在地は
北海道の
赤平市でございます。根室線が
滝川市から分かれるわけでございますが、
滝川市のごく近傍でございます。
石狩炭田でございます。
災害発生個所は、四片左十番
坑道付近でございます。
災害の日時は、十一月三十日の十五時四十分から十五時五十分の間に起きたものと推定されております。現在までに判明いたしております
罹災者の
状況は、
死亡確認が十四でございます。それから重軽傷が九名、まだ
死体の発見されない、行方不明になっておるのが六名でございまして、
罹災合計は二十九名になっております。ただし、
死亡者十四名のうち、
坑外に収容されましたのは三名でございまして、従いまして、死亡した十四名のうち十一名は、
死体を確認したのみで、まだ取り明けが完了いたしませんために
坑外へ収容はいたしていない
状態でございます。
次に
災害の
状況でございますが、この
炭鉱は、
鉱山労働者が三百名でございまして、
月産約一万一千二百トンを
出炭いたしております。この
鉱山労働者という中には、
保安法でいう
鉱山労働者でございますので、職員も含んでおりますが、
普通能率を算出する場合の
労働者といたしましては二百六十名
程度でございますので、約月四十二万トン
程度の高
能率炭鉱でございます。
災害を
発生いたしました
個所は
坑口から延べ九百メートルの
個所にございまして、深度は
坑口レベルから百六十メートル。そこに四片左十番層という払がございます。この払の長さは五十メートルから六十メートル、非常に傾斜のある
炭層でございまして、四十三度ないし四十七度に及んでおりますが、この
払及びこの払の下に設けられております沿層の
運搬坑道付近であろうと現在推定されますし、また、調査によりますと、
死体のありました
個所も、十一名はこの
沿層運搬坑道で発見されております。
災害当時はちょうど一番方と二番方の
交代時でありまして、この
炭鉱は三
交代制で一番方、二番方が
採炭、三番方が
整理方になっております。たまたま現場におきましての
交代時に
災害が
発生しまして、一番方の者と二番方の者が、現場
交代時でありましたので重複して罹災をいたしておりまして、時期としてはきわめて不幸な時期であったと考えられるわけでございます。
罹災者二十九名のうち、三名は死亡しまして、先ほど申しましたように
坑外へ収容いたしましたが、まだ十七名が未収容のまま残っております。そのうち十一名は、
災害の
発生しました翌日の十二月一日に、コート付近で
死体となって発見されたわけでございます。しかし、払の一部が崩落しているほか、
沿層運搬坑道が広範囲にわたり、最大四メートルから五メートルの高さに、爆発の影響によりまして高落ちをいたしておりますために、この十一名の
死体収容ができないのみか、残りの六名はこの高落ちの崩落の下になっておるのじゃないかと推定されるわけでございまして、目下この取り明け搬出作業に全力を傾注している次第でございます。
沿層運搬坑道は、あとで図面で御
説明申し上げますが、沿層坑道のみで払口から約百七十メートル
程度でございまして、そのうち百二十メートル
程度が崩落いたしております。しかし、この百二十メートル
程度は、大した崩落でない
個所もたくさんございますが、四メートル五メートルという相当大きな崩落をしている
個所もございまして、五日の十二時現在で、巻き立てから八十一メートルの
個所まで取り明けを終わっておりますが、まだ四十メートル
程度につきましては、中にごく一部でございますが、五、六メートルの大きな崩落がありまして、大部分の取り明けを至急にやらなければならぬわけでありますが、この部分を除きますと、崩落
程度も少ないので、坑道奥部のシュート付近で発見されました十一名の
死亡者は、おそくとも本六日中には収容ができるものと考えております。なお残りの六名の行方不明者についてでございますが、取り明けの進行に伴いまして、この崩落の下になっておるものと推定されますが、至急取り明けを進めまして、発見次第改容することといたしております。
本
災害の原因についてでございますが、
鉱山保安局の方から川本
石炭課長を派遣するとともに、札幌
鉱山保安監督部におきましても、監
督官が目下調査中でございます。ただいま
状況を御
説明申し上げましたように、相当崩落がございまして、
災害の原因をまだ的確に見きわめるという段階には至っておりません。まず
死体収容あるいは行方不明者の発見ということに重点を注ぐとともに、原因の究明には努めております。
まず、
災害発生個所付近におきましては、火源としては、キャップ・ランプ以外には電気
施設はございません。
採炭個所もピック掘りでやっておりますし、局扇なんかもエアで動かしておるわけでございます。また、自然発火の疑いもございませんので、こういう部面による着火の可能性はきわめて薄いように推定されます。その他の火源といたしましては、ハッパと裸火――これは喫煙等によるものでございますが、これらが考えられるわけでございますけれ
ども、現在までに調査をしたところによりますと、
災害の
発生前にシュート口の炭づまり、これは払から
石炭をじょうごで落とすシュートでございますが、このじょうご口の炭づまりを処理するために火薬を使用した疑いがあるわけでございまして、このハッパによる着火の疑いが非常に強い、こういうふうに現在では考えておるわけでございますが、何分にも、先ほど申しましたように、
災害個所付近は広範囲に崩落いたしておりまして、
罹災者がこの崩落の中におるということが推定されますので、目下この崩落を取り明け、
罹災者を収容することに全力をあげておる次第でございます。取り明けの進展に伴いまして、引き続き原因の究明に当たりたいと考えておるわけでございます。
次に図面につきまして概略申し上げます。この図面は非常に見にくいと思いますが、この紙の右の方に本卸、進卸とございますが、本卸は二十五度の傾斜で約三百七十メートルの卸がついておりまして、さらに坑内斜坑がこの卸の先の方からついております。この坑内斜坑は二十三度の傾斜でございまして、この抗内斜坑を二百五十メートル下がったところから左四片立て入れというのがついております。この左四片立て入れの先の方が
災害個所でございまして、四片左、図面でナンバー一〇と書いてございますが、四片左十番坑層でございます。この沿層坑道がございます。この沿層坑道の一等左の方に矢じるしを書いて二本線を書いておりますのが払でございますが、この払の下の方のじょうご付近で再爆発が起きたのではないか、こういうふうに考えられるのであります。この沿層坑道は約百七十メートルでございまして、先ほ
ども申しますように、きのう現在で八十一メートルを取り明けいたしておりますが、本日中には取り明けが完了するのではないかと考えております。なお、図面等でメートル数を入れておりますが、これは私
どもの手元にあります古い
採炭図面と、それから札幌の中継によります電話連絡等によりまして、
保安局の方で作図してみたわけでありまして、現場からの正確な図面が届きますと若干の食い違いが生ずるかと思いますが、大体の形はこれで御推定願いたいと思います。
概略の御
報告は以上でございます。