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1961-12-06 第39回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月六日(水曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 有田 喜一君    理事 始関 伊平君 理事 周東 英雄君    理事 中川 俊思君 理事 松井 政吉君       木村 公平君    木村 守江君       高橋  等君    舘林三喜男君       中村 幸八君    藤田 義光君       牧野 寛索君    滝井 義高君  委員外出席者         通商産業事務官         (石炭局長)  今井  博君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      八谷 芳裕君     ――――――――――――― 十二月六日  委員倉成正君、薩摩雄次君、白浜仁吉君及び南  好雄辞任につき、その補欠として高橋等君、  木村公平君、藤田義光君及び牧野寛索君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員木村公平君、高橋等君、藤田義光君及び牧  野寛索辞任につき、その補欠として薩摩雄次  君、倉成正君、白浜仁吉君及び南好雄君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 十月三十一日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。  ───────────── 本日の会議に付した案件  派遣委員より報告聴取  北海道赤平市における炭鉱ガス爆発に関する説  明聴取      ――――◇―――――
  2. 有田喜一

    有田委員長 これより会議を開きます。  まず、委員派遣承認申請の件について御了承を願いたいと存じます。  去る十一月三十日に、北海道赤平市の福住炭鉱においてガス爆発事件が起こり、不幸にして多くの犠牲者を出しましたことに対しましては、委員会においても哀悼の意を表したいと存じますが、委員方々の御要請もあり、閉会中の委員派遣につきましては、委員長に御一任願っておりましたので、昨日議長申請をいたし、本日派遣委員の諸君が出発いたすこととなっておりますので、以上御了承をお願いいたします。  なお、福住炭鉱災害状況につきましては、後刻説明を聴取することといたします。     ―――――――――――――
  3. 有田喜一

    有田委員長 この際、先般九州地方及び北海道視察して参りました派遣委員により報告を聴取することといたします。まず、北海道視察して参りました第二班の派遣委員木村守江君より報告を聴取することといたします。木村君。
  4. 木村守江

    木村(守)委員 私は北海道視察して参りましたので、その結果を簡単に御報告申し上げます。  われわれ第二班は、十一月十九日に札幌通産局に集合し、管内の状況について説明を聴取し、石炭鉱業関係者に御参集を願い、懇談会を開催し、種々要望を受けたのであります。また、十九日より二十五日までの七日間にわたり、北海道炭鉱関連産業施設及び輸送状況等視察して参りました。視察いたしました炭鉱は、美唄市の三井及び三舟の両美唄炭鉱奔別炭鉱、新幌内炭鉱北炭夕張鉱業所夕張平和炭鉱、及び北夕炭鉱の各炭鉱でありまして、奔別炭鉱においては特に縦坑に入坑し、坑内の状況もつぶさに視察いたしたのであります。  石炭関連産業施設といたしましては、北海道電力新江別火力発電所、王子製紙の苫小牧工場富士鉄製室蘭工場室蘭富士セメント工場、大昭和製紙の白老工場視察し、石炭需要状況を調査いたしますとともに、北海道工業開発試験所を訪ね、同所の内容試験研究について説明を受け、研究費増額確保要望を受けたのであります。  流通機構につきましては、苫小牧工業港港湾荷役施設、小樽港等を視察いたしました。また美唄市、三笠市、夕張市を初めとする関係市町村方々並びに道議会石炭対策特別委員会方々からは、地方公共団体の立場からの陳情を受けて参ったのであります。北海道における石炭鉱業は、出炭量の二八%が原料炭であり、出炭も年次一〇九%の増加をたどり、鉱害発生もきわめて少ないのであります。ただ、石炭危機に対するその深刻さは、九州地域ほどではないにいたしましても、石炭消費の分野においては、例外なく競合燃料に侵食されておりまして、需給の見通しに減退の傾向を強め、漸次深刻さを加えつつあることは、見のがすことができない状態であります。  私ども視察の結果の判断と業界労働組合、並びに鉱業関係市町村等から受けました要望事項を、以下まとめて御報告申し上げたいと存じます。  まず、石炭鉱業全般についての一般的な要望事項といたしましては、総合エネルギー対策の確立、産炭地振興対策の推進、石炭需要確保石炭ボイラー設置に対する優遇措置、道路、港湾、鉄道の整備税制優遇措置の実現、離職者対策拡充等についても、強力かつ熱誠なる要望がありましたが、これらの問題はあらゆる機会において論議され、検討されておることでもあり、また、第一班の九州の御報告の中にも詳しく述べられることと存じますので、重複を避けまして、ここでは割愛させていただきたいと思います。  ただ、税制面の問題につきましては、鉱産税石炭鉱業におきましては非常に過重負担となっており、特に北海道においては他の府県よりも高率となっている現状にかんがみまして、これらの是正の措置は当然のことであり、また強い要望があったのであります。また、固定資産税につきましては、この税が市町村財政事情により、採用税率の不均衡から、北海道は特に高率となっており、少なくとも国税並み損金処理を認められた資産適用除外措置とか、公共的性格施設についての減免の措置とかを講じてほしいこと等につきまして、特別強力なる要望があったのであります。  次に、北海道石炭鉱業関係者から、北海道特殊性にかんがみまして格段の要望がありましたので、その点を申し述べておきたいと存じます。まずその第一点は、近代化資金対象ワク拡大比率引き上げについての問題であります。最近の金融事情の逼迫が、合理化の途上にあります石炭鉱業経営を困難にしていることはおおうべからざる現実でありまして、開銀等融資ワクがありましても、弱小の中小炭鉱にとりましては、ほとんどないにひとしいような状態であり、また、少々の融資を受けただけでは、赤字補てんの費用に充てるに精一ぱいというような現状でありまして、その金融状況は深刻なものがあります。この現状にあって、近代化資金ワク拡大等について非常に切実なる陳情があったわけであります。中でも対象工事適用を四割から六割程度比率に引き上げてほしいという要望もあったのであります。これらは現状から見ますならば当然の要求であり、考慮すべき事柄であると考えて参ったのであります。  第二点といたしましては、流通面の充足と補助の問題であります。北海道本州工業地帯から遠隔の地にありますることが、本問題を特に強調するわけでありまして、これは炭価問題ともからんで、遠隔地に対しては特に運賃を軽減する等の特別措置を考慮せられたい、また陸上輸送力の増強、石炭輸送専用車の増設、冬季輸送力確保等について強い要望があったのであります。特に北海道におきましては、冬季間の燃料という生活必需品でありまする関係上、冬季間の輸送力確保を特に要望しておったのであります。  第三点は、坑木安定的確保の問題であります。すでに道内におきましては、大手中小にかかわらず、いずれの鉱山におきましても、三日分程度坑木きり確保できないというようなことを申しておりまして、もしもこれが事実であるといたしますならば、保安上からもゆゆしき問題であり、緊急にその対策を立ててほしいというのであります。私ども製紙工場等に参りまして、この坑木の問題につきましてもいろいろ懇談いたしましたが、現在の状態におきましては、民間より坑木の入手はほとんど困難な状態でありますので、これらの問題を解決するためには国有林払い下げ等を考慮すべきではないかと考えたのであります。私ども視察して参りましたあとで、視察個所には入っておりませんでしたが、同じ北海道赤平市において不幸にして悲惨な炭鉱災害がありました。その原因が坑木不足からきたものではないにいたしましても、鉱山保安上、坑木不足を考えるときに、万全の処置を期することは人道上からも重要なる問題であると考えて参ったのであります。  われわれ一行がわざわざ遠隔地北海道におもむいて、石炭鉱業実情視察して参りましたのは、今日不況にあえぐ石炭業界実情をつぶさに調査いたしまして、その危機打開策を樹立するための一助とすべきことが目的でありましたことは、今さら申し上げるまでもないことでありまするが、現実に有望な北海道炭鉱を見、そして関連産業における需要面を調査いたしました限りにおきましては、石炭産業振興発展の道はまだまだ残されておるのではないかというような感を深くいたしたのであります。それが決して安易なものではないということ、また、今日他の競合エネルギーとの比較上からは、決して有利な地位にあるということではありませんけれども、今日の現実を直視いたしまして、石炭鉱業関係者が一丸となりましてこれらの危機打開に当たり、政府もまた打つべき手を十分に施すならば、わが国産業重要エネルギー源である。石炭産業も、決して衰退産業にあらずと思考されたのでありまするので、すみやかに国産エネルギー確保のためにも、これらの根本対策を樹立することが、今日の急務中の急務であることを痛感して帰って参った次第であります。  簡単ではありまするが、以上をもって第二班の報告といたす次第であります。
  5. 有田喜一

    有田委員長 第一班の派遣委員を代表して、始関伊平君より報告を聴取することといたします。始関君。
  6. 始関伊平

    始関委員 本委員会から派遣されました九州地区視察団報告を申し上げます。  私ども九州地区視察団は、有田委員長を団長として松井、神田、藏内、倉成白浜多賀谷、井手、滝井中村、伊藤、始関などの諸委員によって構成されたものでありまして、主として、福岡県、長崎県、佐賀県の産炭地域視察する一方、通商産業局関係地方自治体石炭関係者電力業者などの石炭需要者等と、石炭産業現状なり、あるいは石炭対策について意見を重ねて参りました。現地におきましては、今回の視察に対して非常な期待を持って歓迎し、各所においてきわめて有益な意見を熱心に開陳せられたのであります。  陳情及び意見の大要は、先国会において本委員会中心となりまして作成した、石炭産業危機打開に関する決議及び有田委員長決議案提出趣旨説明とほぼ同一内容のものでありまして、すみやかに本決議の趣旨が実施に移されることを熱望しておったのであります。しかし、今回の視察によりまして、私どもが今後法案など審議の際、及び政府当局において施策の運営にあたり考慮すべきではないかと考えられる諸点について、簡単に御報告を申し上げたいと存じます。  それに先だちまして、まず九州地区における石炭鉱業現状分析とその見通しについて申し上げます。  御承知のように、九州石炭生産は、昭和三十三年度以降三カ年間で平均約二千五百万トン強であり、全国総出炭の五一%を占めているのであります。九州地区内の出炭量比率は、福岡県下にある筑豊炭田が五〇%以上を占めており、福岡県が九州全体の約三分の二を占めているのであります。稜行炭鉱の実態は、月産五万トン以上の大炭鉱はすべて大手会社の所有する炭鉱であり、その生産比率は約三割を占めているに反し、月産三千トン以下の小炭鉱は二百以上ありますが、総生産に占める出産比率はわずかに九・五%にすぎないのであります。  代表的な炭田は、福岡県下にある筑豊炭田三池炭田を初め、唐津炭田西彼杵炭田天草炭田などでありまして、現在は筑豊炭田生産量において主力炭田でありますけれども明治時代から開発されておるため老朽化して、石炭鉱業合理化事業団買い上げ採掘終了による閉山、廃山が多く、かつ中小炭鉱の移動が激しく、さらに最近では大手炭鉱終廃山も多く、代表的な離職者多発地帯であります。  一口に石炭危機と申しましても、九州特に筑豊地区の場合は、エネルギー革命といわれておるものからくる影響、圧迫を受けておるということのほか、このように炭鉱老朽化という事情が加わっていることは、無視することのできない顕著な事実であります。さらに、筑豊炭田鉱区が輻湊しており、しかも地上は農村や都市として開発されているため、鉱害紛争を初め、盗侵掘や古洞による災害等の問題が絶えず、数カ所の炭鉱を除いては、深部の総合開発によって若返りをするほかは、今後大きな期待をかけることができない炭田であります。  以上は九州炭鉱におけるいわば暗い面でございますが、これに反しまして、三池炭田西彼杵炭田は、ともに炭層条件立地条件の良好な炭田であり、特に有明海底に臨む三井鉱山三池炭鉱主力とする三池炭田や、長崎県の崎戸、大島、高島等島嶼を拠点とする海底採掘炭田は、鉱害の懸念もなく、今後とも大規模な近代化可能炭鉱が多く、ともに大会社の経営で着々と採炭計画が進められている有望な炭田地帯であります。  唐津炭田は、採炭条件等から見て、筑豊炭田ほどではありませんけれども三池炭田西彼杵炭田には比すべくもなく、その中間程度炭田であると申してよろしいと思います。三菱の古賀山炭鉱及び明治佐賀のごとき高能率炭鉱もある一方、多くの中小炭鉱を包含している炭田であります。佐世保炭田は、強粘結炭生産する特異な炭田でありますが、一般に薄層であり、炭たけも三十センチないし五十センチ程度で、抗内条件が悪いため、今後大幅な合理化期待できない炭田であると存じます。  合理化進捗状況は、昭和三十五年度の生産能率の実績が月一人当たり十六トンという程度で、合理化法に基づく九州地区実施計画目標十六・五トンに及ばず、昭和三十八年度の九州合理化目標二十五・四トンまで能率を高めるためには、さらに一段ときびしい合理化を行なわねばならないという実情でございます。  なお、ただいま申したごとく、主力炭田である筑豊地区は、鉱害処理問題を初め、多くのむずかしい問題が介在しておりまして、特に非能率炭鉱買上方法については、買い上げを急速に実施するなど改善すべき事柄が多いように見受けました。  各地において開陳せられました意見ないし要望のうち、主要なるものは次の諸点であります。  第一は、石炭産業近代化のために大幅な資金確保すべきであるという事柄であります。最近の一般的傾向として、市中金融機関石炭産業斜陽産業と見て、貸し出しを敬遠する傾向が強く、そのためせっかく近代化合理化計画を立てても、必要な資金期待できないため、やむを得ず計画を修正しなければならず、あるいは合理化投資の結果として、運転資金不足を来たして困っておるという事例が多いのでありまして、真に石炭鉱業を安定せしめようとするならば、最小限度必要資金量を必ず確保してもらいたいという強い要望があったのでございます。  第二は、合理化近代化に伴う離職者対策に関する事柄であります。今後合理化近代化が進むに従い、九州地区内におきましては、さらに相当数新規離職者発生が予想されておるのであります。若年令層転職は比較的容易でありますが、中高年令層転職はきわめて困難であり、必然的に現在地に滞留する傾向が強い現状より見て、従来までの職業訓練広域職業紹介移住資金の支給、再就職に必要な住宅建設等措置をさらに一段と強力に推進するほか、現在のままではせっかくの制度実情に合わないためにうまくいっていない点もあるようでございますから、所要の改善と工夫を加える必要を痛感したのでありますが、同時に、中高年令層雇用を容易にするために、雇用奨励金制度の創設など、中高年令層雇用対策は焦眉の急を要する問題であるとの感を深くした次第であります。  現地での印象は、幸い離職者勤労意欲も旺盛であるようでありますから、家族ぐるみの移住を容易ならしめる諸措置をすみやかに講ずべきであると考えます。  次に、離職者問題とともに注目すべき問題は、若年令層の労務者が石炭産業の前途に見切りをつけて、他産業へ逃避しようとする傾向のあることであります。この事実は、炭鉱新規採用を差し控えていることと相待って、炭鉱労働者平均年令を高からしめているのであります。これが対策としては、石炭鉱業を真に安定せしめることが先決であり、根本でありますが、ともかくも注意を要する点であると思われます。  第三は、産炭地域地方自治体財政の困窮に関する事柄であります。関係地方自治体財政は悪化しております。すなわち鉱産税固定資産税等主要財源の減収とは逆に、失業対策費生活保護費等、特別の財政需要は増大する一方であり、特に筑豊炭田地区の自治体は最も悪い状態にあるのであります。従いまして、関係県、市町村代表より、一般失業対策事業費及び炭鉱離職者緊急就労対策事業費の単価を引き上げて、これを投資的事業として経済効果を上げるようにしてもらいたいということ、及びその地方負担分に対して措置された地方債元利償還金全額国庫負担生活保護者及び準要保護児童生徒に対する財政補助税収入の減少に対する財政補てん措置等を講じてもらいたいとの強い要望がありました。  第四は、産炭地域振興対策についてであります。今後石炭産業に多くを期待できない産炭地域におきましては、前国会で成立を見た産炭地域振興臨時措置法に非常な期待をかけており、本法の強力かつ早急な実施を強く要望しておりました。すなわち、産炭地域振興実施機関といたしまして、産炭地振興事業団の設置と産業立地条件整備産炭地火力発電所を設置すること、及び産炭地域振興臨時措置法対象に農業、水産業をも加えるべきであるなどの強い要望がありました。  第五は、鉱害復旧対策に関する事柄であります。鉱害問題は社会政策上重要であるばかりでなくて、石炭鉱業合理化にも不可欠の関係があり、企業の健全化をはかる上においても、さらに非能率炭鉱整備促進の面からも、きわめて重大な関係を持つものであります。九州地区におきましては、現在なお累積した鉱害が二百億円以上残存し、今後十年間で、さらに三百億円以上の鉱害発生が予想されるのであります。  鉱害復旧制度は、鉱業法に基づき、鉱業権者による金銭賠償原則としているため、ややもすれば復旧措置をとらない場合が多く、そのため、被害物件効用回復原則として鉱害計画的に復旧することを目的として、臨時石炭鉱害復旧法が制定されたのでありますが、鉱害賠償関係が私法を中心とするものでありますだけに、なお多くの問題を内包しており、今回の視察におきましても、鉱害賠償制度を抜本的に改めてもらいたいとの陳情を受けたのであります。  このほか鉱区の調整に関する事柄石炭需要安定、鉱山保安流通合理化等につきましても、種々有益な意見を聞いて参ったのでありますが、後日に譲ることといたしまして、最後に年末金融対策につきまして一言申し上げたいと存じます。  先般政府において中小炭鉱向けとして決定した十五億円の融資が、必ずしも円滑に末端にまで流れていないようでございます。これは一般金融機関中小炭鉱を信用せず、貸し出しを渋っているからでありますが、中小炭鉱実情を勘案の上、融資円滑化について、政府の一段の努力を強く要望したいと存じます。なお金融につきましては、中小炭鉱のみでなく、大手炭鉱でも非常に苦慮しているものが少なくない実情より見て、炭鉱向け金融につきましては、さらに特別の配慮を加えるべきであると考えるものでございます。  以上で報告を終わりますが、産炭地はこの年末を控え、深刻な中にも、国会及び政府が適切な対策をとることを強く期待しております。  有田委員長初め視察団一行は、先般の衆議院の決議に基づき、石炭は重要な国産エネルギー源であるから、石炭安定供給源として、エネルギー全体の中に占める石炭地位を明確にして、石炭産業を安定することに努力するけれども、一方、合理化もさらに進める必要があると関係者にお話をして参ったのであります。合理化近代化政策に伴う摩擦をできるだけ少なくしながら、一日も早く石炭鉱業を安定させるための確固たる施策を講ずべきであることを申し添えて、報告を終わります。
  7. 有田喜一

    有田委員長 以上で派遣委員報告は終わりました。     ―――――――――――――
  8. 有田喜一

    有田委員長 次に、去る十一月三十日に起こりました、北海道福住炭礦災害状況について、政府当局より説明を聴取することといたします。八谷鉱山保安局長
  9. 八谷芳裕

    八谷説明員 十一月三十日に、北海道赤平市の福住炭礦災害発生いたしました。監督の任に当たっております者といたしまして、はなはだ遺憾にたえないところでございます。申しわけなく存じております。お手元にごく概況をプリントしたものを差し上げてございますので、これに基づきまして御説明をいたしますが、今回の災害は最近五カ年間のうちでは、第七番目の大きな災害になっております。本年におきましては、上清の七十一名、大辻の四十一名、いずれも三月でございますが、これに次ぎます大きな災害になっておるわけでございます。  まずプリントにつきましてでございますが、鉱山の名前は福住炭礦で、住吉坑と申しております。これは租鉱権炭鉱になっておりまして、鉱業権者採掘権豊里鉱業株式会社でございますが、これに租鉱権が乗っかっておりまして、日本炭業株式会社租鉱権者でございます。この日本炭業株式会社所有炭鉱でございまして、この日本炭業株式会社中小のうちでは大きな方の炭鉱でございまして、九月の出炭は、月産で申しますと、三万トンの出炭を出しております。九州で四炭鉱北海道で二炭鉱経営いたしております。ただし、九州の一炭鉱は九月にはわずか六十八トンで、閉山まぎわの状態でございましたので、実質上九州三、北海道二の五炭鉱を現在経営しておるところでございます。所在地は北海道赤平市でございます。根室線が滝川市から分かれるわけでございますが、滝川市のごく近傍でございます。石狩炭田でございます。災害発生個所は、四片左十番坑道付近でございます。災害の日時は、十一月三十日の十五時四十分から十五時五十分の間に起きたものと推定されております。現在までに判明いたしております罹災者状況は、死亡確認が十四でございます。それから重軽傷が九名、まだ死体の発見されない、行方不明になっておるのが六名でございまして、罹災合計は二十九名になっております。ただし、死亡者十四名のうち、坑外に収容されましたのは三名でございまして、従いまして、死亡した十四名のうち十一名は、死体を確認したのみで、まだ取り明けが完了いたしませんために坑外へ収容はいたしていない状態でございます。  次に災害状況でございますが、この炭鉱は、鉱山労働者が三百名でございまして、月産約一万一千二百トンを出炭いたしております。この鉱山労働者という中には、保安法でいう鉱山労働者でございますので、職員も含んでおりますが、普通能率を算出する場合の労働者といたしましては二百六十名程度でございますので、約月四十二万トン程度の高能率炭鉱でございます。災害発生いたしました個所坑口から延べ九百メートルの個所にございまして、深度は坑口レベルから百六十メートル。そこに四片左十番層という払がございます。この払の長さは五十メートルから六十メートル、非常に傾斜のある炭層でございまして、四十三度ないし四十七度に及んでおりますが、この払及びこの払の下に設けられております沿層の運搬坑道付近であろうと現在推定されますし、また、調査によりますと、死体のありました個所も、十一名はこの沿層運搬坑道で発見されております。  災害当時はちょうど一番方と二番方の交代時でありまして、この炭鉱は三交代制で一番方、二番方が採炭、三番方が整理方になっております。たまたま現場におきましての交代時に災害発生しまして、一番方の者と二番方の者が、現場交代時でありましたので重複して罹災をいたしておりまして、時期としてはきわめて不幸な時期であったと考えられるわけでございます。  罹災者二十九名のうち、三名は死亡しまして、先ほど申しましたように坑外へ収容いたしましたが、まだ十七名が未収容のまま残っております。そのうち十一名は、災害発生しました翌日の十二月一日に、コート付近で死体となって発見されたわけでございます。しかし、払の一部が崩落しているほか、沿層運搬坑道が広範囲にわたり、最大四メートルから五メートルの高さに、爆発の影響によりまして高落ちをいたしておりますために、この十一名の死体収容ができないのみか、残りの六名はこの高落ちの崩落の下になっておるのじゃないかと推定されるわけでございまして、目下この取り明け搬出作業に全力を傾注している次第でございます。  沿層運搬坑道は、あとで図面で御説明申し上げますが、沿層坑道のみで払口から約百七十メートル程度でございまして、そのうち百二十メートル程度が崩落いたしております。しかし、この百二十メートル程度は、大した崩落でない個所もたくさんございますが、四メートル五メートルという相当大きな崩落をしている個所もございまして、五日の十二時現在で、巻き立てから八十一メートルの個所まで取り明けを終わっておりますが、まだ四十メートル程度につきましては、中にごく一部でございますが、五、六メートルの大きな崩落がありまして、大部分の取り明けを至急にやらなければならぬわけでありますが、この部分を除きますと、崩落程度も少ないので、坑道奥部のシュート付近で発見されました十一名の死亡者は、おそくとも本六日中には収容ができるものと考えております。なお残りの六名の行方不明者についてでございますが、取り明けの進行に伴いまして、この崩落の下になっておるものと推定されますが、至急取り明けを進めまして、発見次第改容することといたしております。  本災害の原因についてでございますが、鉱山保安局の方から川本石炭課長を派遣するとともに、札幌鉱山保安監督部におきましても、監督官が目下調査中でございます。ただいま状況を御説明申し上げましたように、相当崩落がございまして、災害の原因をまだ的確に見きわめるという段階には至っておりません。まず死体収容あるいは行方不明者の発見ということに重点を注ぐとともに、原因の究明には努めております。  まず、災害発生個所付近におきましては、火源としては、キャップ・ランプ以外には電気施設はございません。採炭個所もピック掘りでやっておりますし、局扇なんかもエアで動かしておるわけでございます。また、自然発火の疑いもございませんので、こういう部面による着火の可能性はきわめて薄いように推定されます。その他の火源といたしましては、ハッパと裸火――これは喫煙等によるものでございますが、これらが考えられるわけでございますけれども、現在までに調査をしたところによりますと、災害発生前にシュート口の炭づまり、これは払から石炭をじょうごで落とすシュートでございますが、このじょうご口の炭づまりを処理するために火薬を使用した疑いがあるわけでございまして、このハッパによる着火の疑いが非常に強い、こういうふうに現在では考えておるわけでございますが、何分にも、先ほど申しましたように、災害個所付近は広範囲に崩落いたしておりまして、罹災者がこの崩落の中におるということが推定されますので、目下この崩落を取り明け、罹災者を収容することに全力をあげておる次第でございます。取り明けの進展に伴いまして、引き続き原因の究明に当たりたいと考えておるわけでございます。  次に図面につきまして概略申し上げます。この図面は非常に見にくいと思いますが、この紙の右の方に本卸、進卸とございますが、本卸は二十五度の傾斜で約三百七十メートルの卸がついておりまして、さらに坑内斜坑がこの卸の先の方からついております。この坑内斜坑は二十三度の傾斜でございまして、この抗内斜坑を二百五十メートル下がったところから左四片立て入れというのがついております。この左四片立て入れの先の方が災害個所でございまして、四片左、図面でナンバー一〇と書いてございますが、四片左十番坑層でございます。この沿層坑道がございます。この沿層坑道の一等左の方に矢じるしを書いて二本線を書いておりますのが払でございますが、この払の下の方のじょうご付近で再爆発が起きたのではないか、こういうふうに考えられるのであります。この沿層坑道は約百七十メートルでございまして、先ほども申しますように、きのう現在で八十一メートルを取り明けいたしておりますが、本日中には取り明けが完了するのではないかと考えております。なお、図面等でメートル数を入れておりますが、これは私どもの手元にあります古い採炭図面と、それから札幌の中継によります電話連絡等によりまして、保安局の方で作図してみたわけでありまして、現場からの正確な図面が届きますと若干の食い違いが生ずるかと思いますが、大体の形はこれで御推定願いたいと思います。  概略の御報告は以上でございます。
  10. 有田喜一

    有田委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 有田喜一

    有田委員長 質問を許します。始関委員
  12. 始関伊平

    始関委員 日本炭業の福住炭礦で、今回かなり大きい炭鉱災害発生いたしまして、多くの罹災者を出しましたことは、まことに遺憾に存じます。この災害についての原因の究明あるいは責任の所在、ないし今後の対策等につきましては、いずれ機会をあらためましてこの委員会でも取り上げられることと思いますが、この際、私保安局長に伺いたいのは、この保安監督の機構であります。本省の方は保安監督局というものができて、昔からいうと、その点は強化されておるという感じがいたします。地方の方でありますが、地方では、申し上げるまでもありませんが、終戦前は鉱山監督局というものがあったわけです。それは今日のような意味での石炭行政とか、鉱山行政等はあまりなくて、昔は監督が大部分だったと思う。そこに専門の局長がおって、保安監督を専門にやるということだったと思うのでありますが、終戦後の機構は、各通産局に付置された保安監督部ということであって、この趣旨はもちろん生産行政と監督行政、保安監督をお互いに独立させるということで、その趣旨は私は一応了解をしておるのでありますが、しかし、付置という非常にあいまいな形なので、たとえば、通産局長というものは直接これに責任を持たない、こういう形になっておる。それから部長が一番てっぺんでありますから、長年勤めた経験豊富な監督員なんかをそこにとどめておくわけでありますが、つまり監督の人的構成に厚みを持たせていく、そういった意味から申しましても、今の監督部という機構は不適当である、あるいは不十分じゃないか、監督部そのものの立場が非常にあいまいだということと、部長が一番てっぺんだということが、今申したような意味で必ずしも適当じゃない、こういうようなことがありまして、監督行政の遂行上、これは災害発生からいえば、一つの問題にすぎないのでありますけれども、そういう感じがしておりますが、こういう点について、あなたは責任者としてどういうふうに感じておられるか、また、今後どうしようとしておられるか、その辺だけちょっとお尋ねしたいと思います。
  13. 八谷芳裕

    八谷説明員 ただいま御質問がございました地方の監督行政機関でございますが、現在は、ただいま御指摘のありました通りでございまして、八つの保安監督部と、それから平及び宇部に二つの支部がありまして、この支部も結局ほとんど監督部と同じような機構で動いております。八監督部に二支部ということで現地側の監督機構が構成されておるわけでございますが、監督部は通産局に付置されております。これは昭和二十四年、保安法の制定とともにこういう形になったわけでございますが、最近の特に石炭災害情勢にかんがみまして、さらに監督機構を強化する必要があるのじゃないか、こういうふうに考えられるわけでございまして、ただいま私どもが考え、さらに予算要求等でやっております点は、地方監督部の強化、これには二つの面を考えておりまして、第一点は、特に大きな炭田を控えました九州、それから北海道、この二つの監督部を監督局に昇格いたしまして、通産局の付置を離れまして、独立の官庁とするということでございます。それからさらに、それとともに監督の拡充、能率化をはかりますために、九州では筑豊三地区、飯塚、直方、田川、それから佐賀、佐世保、それから北海道では夕張、岩見沢、滝川、釧路の四カ所でございますが、この炭田中心地に監督署を置きまして、七月の五日に四十名増員されました監督官をここに重点的に配置、増員いたしまして、現在は派遣班という形で、ごく少人数をそこへ置いておるわけでございますが、現地の第一線機関を強化いたしまして、災害時におきまして、あるいは通常の監督におきまして随時直ちに出動ができる、また指導に応じられる、こういう形で進みたい、こういうふうに考えております。
  14. 始関伊平

    始関委員 今日、北海道それから九州では保安監督部の人員も相当多いようだし、局にしてちっともおかしくないと思うんです。あなたは保安局長になられて、いろいろ安心してならない場合も多いだろうと思いますが、非常に大事な監督責任を持っておられるわけですから、こうしなければならぬという点については十分所信を貫いて、責任の持てるような体制を作り上げてもらいたい。私どもも、これは極力応援したいと思います。
  15. 滝井義高

    滝井委員 関連して。実は今保安監督部の機構について始関さんからお触れになりましたが、われわれが中小の山の災害があったときの救護隊の実情をじっと観察しておりますと、たとえば最近われわれのところで大藪炭鉱というのに災害があった。そうしますと、救護班というのが、三井田川鉱業所と島廻鉱業所とからやってきているわけです。こういうように、その山に救護をする人がいないために、よその山からやってくるわけです。もしそういう場合に、救護隊が設けられておる山にたまたま災害が同時にあったというような場合には、救護する人がだれもいないという形になってくるわけです。そこで、いろいろ中小炭鉱経営者たちの意見を聞いてみますと、飯塚、直方、田川というような筑豊炭田石炭事務所に、高度の機械化装備を持った救護班員ですか、そういうものを五人かそこら常置していただく。そうすると、ガス爆発があるということになると、島廻とか三井とかから来る前に直ちに、保安監督部の監督官と一緒に、それが出ていくわけです。そうして応急適切の処置を講ずるわけです。最近の中小山の状況を見てみますと、救護に行った人がいつもみな先にやられている、これはしまったということで、今度は救護に行った人を救護するのに時間がかかって、災害を受けた者はあと回しになるという形になっておる。これはやはり何か常設の救護班というものを石炭事務所に備えておけば、そういう間違いが私は非常に少なくなるのじゃないかと思う。これは全国の石炭事務所に置いたところで、そう大きな予算がかかるわけではないと思う。普通のときには、保安監督部の監督官の助手みたいな役割を演じておればいいのじゃないかと思う。何かこういう方法をやらないと――われわれは反対ですが、最近大きな、かつての財閥会社石炭山が閉山になると、第二会社を作って、その第二会社が百か百五十名の小山になって依然としてやはり操業を続けていくわけです。そうしますと、もとの大山の姿とは全く違った形で山がやはり再生産されていっているわけです。これの数は合理化をやってもまだ六百幾つかの坑口があって、やっている。だんだん規模が小さくなって、坑口の数は変わらないという状態ですから、従って、そうなるとますますそういうものが必要になると思う。今そういうものを全部禁止する態勢が石炭局にできれば問題ないのですが、そういう態勢が客観的に見ていると、どうも速急にできないということになると、やはり何かそういう応急処置を講じなければいかぬという感じがするのですが、そういう点、何か予算要求なり何なりお考えになっておるのでしょうか。
  16. 八谷芳裕

    八谷説明員 ただいま滝井先生から御指摘ございましたように、大きな山が漸次閉山をしていく、そして小さな山に移り変わって、坑口の数は逆にふえるというような現象を呈しておりまして、そういう地区が多々ございまして、従来大手から出動するというようなケース、あるいは今後こういう心配のケースが出てくるのではないかということは確かに考えられるわけであります。現在はっきり予算要求の中に、ただいま申しました監督署の中に救護隊を設けるというようなことは、まだ具体的に進めておりません。まず現地の、先ほど申しました九つの監督署を作り上げるということを第一段階にいたしておりまして、ここに監督官能率的に集中するというふうな進め方をいたしておりますが、この監督署の中に救護隊を置くということにつきましては、非常に大切なことでございますが、また研究すべき点も多々あるかと思っております。現在直方、岩見沢に石炭協会の指導のもとに救護連盟がございまして、ここが救護隊の指導等にあずかっておりますが、こちらを一つ強化するということも考えられるわけでございます。いずれ役所というような形でいった場合に、実際の運営で研究しなければならぬいろいろむずかしい点もあるのではないかとも考えられますので、現在ございます救護隊の活用強化ということと同時に研究を進めて参りたいと考えます。
  17. 滝井義高

    滝井委員 石炭協会の指導のもとに救護的なものをおやりになっておるということでございますが、これは大手のものなので、問題はやはり中小にあると思う。大手ばかりに御加勢を願っておるということでは、あなたの方の保安監督行政というものがなかなかうまくいかないのではないか。やはり保安局長のもとに、系統的な最小限度の救護とそれから監督の組織というものはきちっとお握りになっておく方が、石炭を掘り出すことをやめてしまえば別ですが、なお今後五千五百万トン以上の石炭を掘ろうとすれば、そういうことが私は必要ではないかと思う。やはりこういう行政は、あまり業者にまかせずに、人間の命の問題ですから、ある程度予算をお出しになって、国がいざという場合には最小限度の救護隊が出せるという形をとることが非常に必要な段階に来ているような感じがする。特に大手の山が筑豊炭田のように、だんだんなくなっていくということになり、また大手が経費の節約をしなければならぬということになれば、こういうものをよその山に加勢にやれないということが出てくるような感じがする。予算の中でそういう形ができないとすれば、石炭協会でやっている分について国が相当大幅な補助金でも出して活用するとか、何かお考えにならないと、やはり問題があると思う。
  18. 八谷芳裕

    八谷説明員 去る七月一日に省令を改正しまして、中小炭鉱の中で共同の救護隊を設けるというようなことを目下推進しております。一部には補助金を出すようにいたしておりますが、ただいま滝井先生の御指摘は、こういう中小鉱山に若干の補助金を投じてまかせておくよりも、さらに別途に、それとともに、政府機関の中にも救護隊を設けたらどうかという御趣旨だと考えますが、これは先ほど申しましたように、現在ございますものの強化ということともあわせまして、また七月一日の省令の改正によります共同の救護隊、これの設置状況等ともにらみ合わせて、今後十分研究していきたいと思います。
  19. 有田喜一

    有田委員長 松井政吉君。
  20. 松井政吉

    松井(政)委員 この図面ではちょっとよくわからないのですけれども、たとえば、交代時に起こった災害だということをこの書類で知ったわけですが、交代時だということになりますと、入坑した者が罹災されたのか、それとも作業を終わって上がろうとする者が罹災をされたのか、両方一緒にやられたのかというところが重大な問題になるわけです。同時に、ここにガスがあるかないかということをお聞きいたしたいのです。それは結局裸火か、さもなければハッパということになるのですが、そうなりますと、この採炭がバック採炭でいっているか、前進採炭でいっているかということで、ハッパの時間が問題になるわけなのです。払採炭でバックしてくる場合は、上がりハッパが災害を起こしたことに間違いはない。そうでなくて前進採炭の場合に、やはりハッパでやられたということになりますと、前の、上がる諸君がためておったじょうごの炭処理を入坑した者がやろうとする場合の関係ですね。どうもこの図面で見ると、これはレベル運搬坑といっているわけでしょう。要するに斜坑をおろして、右左レベルで採炭を切り込んでいるわけでしょう。そうして、もう一つ聞きたいのですが、炭層は一体立てひですか。そういう面を一つ説明してくれませんか。
  21. 八谷芳裕

    八谷説明員 まず立てひかどうかという点は、このプリントにもございますように、ひどいところで四十七度程度になっておりまして、この払は擬傾斜払じゃないんで、真昇りでございます。そうして前進式でございます。前進式で、一とう下に沿層坑道がございまして、その上に五メートルほど隔ててゲート坑道がございます。このゲート坑道から払が上がる。ゲートと沿層の間がじょうごになっておる。それでちょうど一番方と二番方との交代時と申しますが、現場は連れ交代でございますので、もう二番方が押しかけておる。ところが、一番方の払で五十車出す予定だったようでございます、それが三十直積んで、二十車はシュート詰まりのために積めない、こういうところでもし――現在まだ十分に罹災者からの聞き取りが進行いたしておりませんので的確には申し上げられませんが、もしシュートでの取り明けハッパということでございますならば、二番方の炭がまだ出ておりませんので、一番方の方で、二番方を待たしておいて炭を出そう、こういうふうな形のときに起きたのじゃないだろうか。ちょうど二番方の者は、作業にかかっているというよりも、ここの払のところでは坑道に待っていた状態である。従って、一番方も二番方も罹災しております。
  22. 松井政吉

    松井(政)委員 採炭方式は、どういう形でやっておるのですか。それで、一採炭場所に何人ぐらいが作業しておるということは調査しましたでしょう。
  23. 八谷芳裕

    八谷説明員 採炭方法は、先ほど申し上げましたように、四十五度ないし四十七度の真昇りの前進式採炭でございますが、ピック採炭でございまして、パーシャル・パッキング帯状部分充填であります。そしてここへ一番方でありつけましたのは職員の係員が一名、鉱員が十名の十一名であります。
  24. 松井政吉

    松井(政)委員 そうしますと、たとえば払採炭の場合にはよくワク入れをずぼらしたり、いろいろなことがあるわけなんですよ。特に割当採炭をやられる場合の、今五十車の割当なら五十単を積むというときには、ワク入れをずぼらする場合があるのですね。ところがその場合、ワク入れをずぼらしたために落盤して災害が起きたというのは、きわめて小規模なんですよ。人間に被害があったところが、せいぜい多くて四人か五人、少ないものなんですよ。これだけ大きな災害ということになりますと、これはやはり爆発系統だと思いますが、その場合に右片は関係ないわけなんです。それで左片が広範囲におろして、坑内斜坑の二百五十メートルのところで一人死亡しておりますね。採炭個所とこの二百五十メートル坑内斜坑のおりたところとは、距離が何百メートルもありましょう。この関係についての調査はしてみたのですか。
  25. 八谷芳裕

    八谷説明員 この左四片立て入れの巻さ立てのところで死亡者一人発見されておりますが、これは、左四片の十番の引っ立て払のじょうご口の付近で災害が起きまして、その火煙または爆風がここまで及んでおることは明らかでございます。そのほかに、この図面で左四片立て入れというすぐ左の方に五片左ナンバー五、これは五番層であります。ここでは十番層と五番層が現在確保されておりますが、この五片の左五番層の払のすぐ上の方にもう一つ六番層――六番層は稼行にはたえませんが、四片左六番層がございます。この六番層の付近のところで死亡二名が、鉱員でございますが、出ております。それからさらに右の方の四片右ナンバー五でございます。この払におりました――払というか、この片側の仕繰りのようでありますが、ここで鉱員の入院一、死亡一、こういうものが出ておるわけでありまして、ちょうど交代時でございますので、この払いにいたか、あるいは――現在その罹災のときの位置がまだ明確に調査が進んでおりませんので、ただこの払にありつけたということでございます。
  26. 松井政吉

    松井(政)委員 もう一問お伺いしますが、ガスはどうなんですか。この石炭の炭質から割り出したガスはあるのですか。
  27. 八谷芳裕

    八谷説明員 ここはガスは相当にございます。この隣に赤平炭鉱という住友のがございますが、ここはガスとともに自然発火も非常に強いのですが、これは一番滝川寄りの方でございまして、自然発火はございません。坑内で自然発火したことは、今まで聞いておりません。しかし、ガスは相当に強いところでございまして、従来も、気流中にはございませんが、この四片の十番層の引っ立てつめ付近、こういうところにはやはりちょいちょいガスが停滞していた模様でございます。従いまして従来も風洞の切り開き、それから通気門の整備、こういうことは数回指示もいたしております。それから送排気は毎分千五百立米でございますが、この中で〇・九%のメタンが検出されております。
  28. 松井政吉

    松井(政)委員 ガスがあるということになれば、裸火の原因等も考えられるわけですが、これは石狩炭田ですが、太平洋のように粉炭が中心ですか、それとも塊炭が多いんですか。ガスと坑内における裸火の関係というものが非常に微妙になってくるのです。
  29. 八谷芳裕

    八谷説明員 塊粉の割合を明確に今調査いたしておりませんが、赤平、豊里、こういうところは原料炭でもございますし、こちらの方もおそらく粉炭が多いのじゃないかと考えられます。それからここは現在甲種炭鉱でなくて、部長指定の乙種炭鉱でございます。最近の総合調査によりまして、甲種炭鉱に指定すべき程度のガスを持った炭鉱だということで、部長指定から甲種炭鉱に格上げするような準備も進めていたような炭鉱でございます。
  30. 松井政吉

    松井(政)委員 わかりました。以上で終わりますが、しかしこの切羽の爆風の飛び方というのは、右左を問わず、レベル坑にはものすごく強く飛ぶものなんです。しかしこの坑内斜坑の二百五十メートルのところの巻き立て、これは引っ立てですね。ここの一名の死亡というものは、ここに逃げてきて倒れたのか、爆風に追い込まれて倒れたのか。ここで作業している者がレベルでまっすぐ飛んでいくほど――斜坑に飛び込んでくる爆風というものは、死に至たらしめるような爆風はないはずなんです。さっきから考えても、どうしてもわからぬのですが、現実にはこれは死んでいるのですから、調査したあとでお伺いいたします。
  31. 八谷芳裕

    八谷説明員 この死亡一名のところは巻き立てでございますので、水平になっております。これは坑内斜坑から巻き立てを通りまして、クロス・カットになりますから、ほとんど水平になっております。
  32. 有田喜一

    有田委員長 本日は、これにて散会いたします。    午前十一時五十三分散会